本発明の実施形態に係るエレベータの群管理システムについて図面を参照して説明する。
(従来技術の問題点)
実施形態について説明する前に従来技術の問題点について説明する。
エレベータの群管理システムとして行先階登録方式の群管理システムが知られている。行先階登録方式の群管理システムでは、利用者により行先階登録装置で行先階が登録され、登録された行先階は複数のエレベータのうちのいずれかのエレベータに割り当てられる。
行先階登録方式においては、割り当てたエレベータが登録階(出発階)に到着するまでの利用者の待ち時間が、予測外れ等によって長くなる場合がある。この場合、待ち時間の短縮のために、登録された行先階が別のエレベータに割当変更されることがある。しかし、割当変更前のエレベータに向かって移動中の利用者は、割当変更を知ることができない場合がある。この問題点について図16を参照して説明する。
図16は、従来技術の問題点を説明するための、エレベータの群管理システムのエレベータホールにおける配置を示す図である。行先階登録装置72は、A号機〜F号機のエレベータホールの入口付近に設置されている(図16(a))。利用者U1は行先階登録装置72で行先階を登録し、D号機のエレベータ71が割り当てられる。そして、利用者U1はD号機のエレベータ71のドア前へ向かって移動する。別の利用者U2は、D号機のエレベータのドア前でD号機のエレベータの到着を待っている。このとき、D号機のエレベータに割り当てられている行先階(例えば5階、10階、12階)が、A号機のエレベータに割当変更されたものとする。このとき、D号機のエレベータのドアの近傍に設置されている行先階インジケータ73は、図16(b)に示すような割当変更の情報を示す表示(以下適宜「割当変更表示」という。)を所定の表示時間だけ行う。利用者U2は、行先階インジケータ73による割当変更表示によって割当変更を知り、A号機のエレベータへ移動できる(図16(c))。
しかしながら、移動中の利用者U1は、D号機のエレベータのドア前にまだ到着していないため、行先階インジケータ73の表示(図16(b))を見ることができない。利用者U1がD号機のエレベータのドア前に到着したときに(図16(c))、行先階インジケータ73の割当変更表示の開始から上記所定の表示時間以上の時間が経過していると、図16(d)に示すように、割当変更表示はすでに消去されている。その結果、利用者U1は、自己の行先階が割り当てられていないD号機のエレベータに乗ってしまう等の不利益を被る可能性がある。本発明は、このような問題点を解決することを目的とする。以下に、本発明の一実施形態を説明する。
(実施形態1)
1.構成
1−1.概要
図1は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。
エレベータの群管理システムは、制御装置10、行先階登録装置20−1,20−2、行先階インジケータ30A〜30F、エレベータ制御装置40A〜40F、及びエレベータ60A〜60Fを有する。エレベータの群管理システムは、エレベータ(A号機〜F号機。以下適宜「号機」という)60A〜60Fの走行を統合的に制御する。本実施形態では、行先階登録装置20−1,20−2及び行先階インジケータ30A〜30Fは、ビルの1階、ロビー階などの所定階(以下、適宜「f階」という)にそれぞれ配備されているものとする。
本例では、A号機からF号機の6台のエレベータ60A〜60Fが設けられている。各エレベータ(各号機)60A〜60Fは、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり、制御部等を有する。各エレベータ60A〜60Fの各エレベータ制御装置40A〜40Fは、制御装置10からの制御信号に基づいて、巻上機(モータ)の動作等を制御することにより、かごの上昇、下降、停止等を制御する。
以下の説明において、行先階登録装置20−1,20−2を総称して「行先階登録装置20」という場合がある。また、行先階インジケータ30A〜30Fを総称して「行先階インジケータ30」という場合がある。さらに、エレベータ制御装置40A〜40Fを総称して「エレベータ制御装置40」という場合がある。またさらに、エレベータ60A〜60Fを総称して「エレベータ60」という場合がある。
1−2.配置
図2(a)は、本実施形態に係るエレベータの群管理システムにおける、エレベータ、行先階登録装置、及び行先階インジケータの、エレベータホールEHにおける配置を示す図である。
各行先階登録装置20−1,20−2は、エレベータホールEHの入口の近傍に設置される。行先階登録装置20−1は、A号機〜F号機のエレベータ60A〜60Fのドアからそれぞれ、図2(a)に示す所定の距離D1A〜D1Fだけ離れた位置に位置する。行先階登録装置20−2は、A号機〜F号機のエレベータ60A〜60Fのドアからそれぞれ、所定の距離だけ離れた位置に位置する。
図2(b)は、エレベータホールEHにおける行先階インジケータ30の配置を示す図である。行先階インジケータ30A〜30Fはそれぞれ、エレベータ60A〜60Fのドアの近傍に設置される。例えば、行先階インジケータ30A〜30Fはそれぞれ、エレベータ60A〜60Fのドア前で待機する利用者が、エレベータ60A〜60Fに対応する行先階インジケータ30A〜30Fを視認できる位置に設置される。本実施形態では一例として、行先階インジケータ30A〜30Cはそれぞれ、図2(b)に示すようにエレベータ60A〜60Cのドア61A〜61Cの上側の壁に設置される。同様に、行先階インジケータ30D〜30Fはそれぞれ、エレベータ60D〜60Fのドアの上側の壁に設置される(図示せず)。行先階インジケータ30A〜30Fはエレベータ60A〜60Fに1対1で対応し、制御装置10による制御にしたがって、対応するエレベータ60A〜60Fに割り当てられた行先階(以下適宜「割当行先階」という。)を示す表示を行う。例えば、行先階インジケータ30Aは、図2(b)に示すように、対応するA号機のエレベータ60Aの割当行先階である10階及び25階を示す表示を行う。なお、行先階インジケータ30は、エレベータ60のドアの近傍であれば、ドアの上側に限らずドアの右側または左側などいかなる位置に設置されてもよい。これによって、エレベータのドア前で待機している利用者は、行先階インジケータ30の表示内容を視認することができる。
1−3.制御装置の構成
制御装置10は、行先階登録装置20において利用者によって登録された行先階を複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てる制御を行う。制御装置10は、図1に示すように、制御部11、記憶部12、及び入出力インタフェース13を備える。
制御部11は、所定の制御を行う。記憶部12は、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。制御装置10は、制御部11が上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、後述する各種の機能を実現する。制御部11は、例えばCPU、MPU、またはFPGAで構成される。制御装置10の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
入出力インタフェース13は、行先階登録装置20、行先階インジケータ30、及びエレベータ60との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、制御部11から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース13は、行先階登録装置20、行先階インジケータ30、及びエレベータ60から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部11に出力する。
1−4.行先階登録装置の構成
行先階登録装置20は、利用者が行先階の登録を行うための装置である。図3(a)は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの行先階登録装置20の構成を示すブロック図である。図3(b)は、行先階登録装置20の正面図である。
行先階登録装置20は、制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23、表示部24、及び操作部25を有する。記憶部22は、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。データは、例えば、当該行先階登録装置20の識別情報(ID)や設置階に関するデータを含む。制御部21は、所定の制御を行う。行先階登録装置20は、制御部21が上記プログラムに基づいて種々のデータ等に対して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。制御部21は、例えばCPU、MPU、またはFPGAで構成される。行先階登録装置20の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
入出力インタフェース23は、制御装置10との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース23は、制御部21から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース23は、制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部21に出力する。
表示部24は、制御部21から出力される表示信号に基づく表示を行う。表示部24は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。
操作部25は、利用者が行先階を入力するためのインタフェースである。本実施形態では、操作部25として、例えば、図3(b)に示すように、テンキーを採用している。操作部25は、操作部25の操作内容に対応する操作信号を制御部21に出力する。
表示部24と操作部25とは、タッチパネル式表示装置として一体的に形成されてもよい。
1−5.行先階インジケータの構成
行先階インジケータ30は、エレベータの行先階等を表示する装置である。図4は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの行先階インジケータの構成を示すブロック図である。
行先階インジケータ30は、制御部31、記憶部32、入出力インタフェース33、及び表示部34を有する。
制御部31は、所定の制御を行う。記憶部32は、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。データは、例えば、当該行先階インジケータ30の識別情報(ID)や設置階に関するデータを含む。行先階インジケータ30は、制御部31が上記プログラムに基づいて種々のデータ等利用して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。制御部31は、例えばCPU、MPU、またはFPGAで構成される。行先階インジケータ30の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
入出力インタフェース33は、制御装置10との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース33は、制御部31から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース33は、制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部31に出力する。
表示部34は、制御部31から出力される表示信号に基づく表示を行う。表示部34は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。
2.動作
本実施形態に係るエレベータの群管理システムにおいて実行される動作について以下に説明する。
2−1.動作の概要
2−1−1.制御装置の動作
図5は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの制御装置10の機能ブロック図である。制御装置10は、エレベータの割当処理を実行する行先階呼び割当部10aと、割当変更を行う割当変更部10bと、エレベータ制御装置40を制御する運転制御部10cと、の各機能を実現する。
行先階呼び割当部10aは、行先階登録装置20で登録された行先階を、複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てる。具体的に、行先階呼び割当部10aは、まず、行先階呼び割当要求信号を、行先階登録装置20から入出力インタフェース13を介して受信する。この行先階呼び割当要求信号は、行先階登録装置20で登録された行先階を、複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てることを要求する信号である。行先階呼び割当要求信号は、利用者によって登録された行先階を示す情報と、当該行先階が登録された階(出発階)を示す情報、および、当該行先階を登録する操作が行われた行先階登録装置20−1または20−2を識別する情報(ID)と、を示す信号である。行先階呼び割当部10aは、受信した行先階呼び割当要求信号が示す行先階を、エレベータ60A〜60Fのうちのいずれかに割り当てる。
具体的には、行先階呼び割当部10aはまず、各エレベータの運行情報に基づいて、行先階を割り当てるべきエレベータ(割当号機)を選択するための評価値を、エレベータ毎に算出する。ここで、各エレベータの運行情報は、例えば、各エレベータのかご状態(かごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含む)、予測される待ち時間(割当号機が出発階に到着するまでの時間)、予測されるサービス完了時間(割当号機が行き先階に到着するまでの時間)、かごの予定される停止回数(サービス完了までの間に予定されるエレベータの停止回数)などを示す情報を含む。上記評価値の算出後、行先階呼び割当部10aは、エレベータ60A〜60Fのうちから最も高い評価値を有するエレベータを選択し、行先階を、選択したエレベータに割り当てる。行先階呼び割当部10aは、この他、一般的に知られている従来の方法を用いて行先階をいずれかのエレベータに割り当ててもよい。
図6は、所定階(f階)の行先階呼び情報を記録した行先階呼びテーブル12d1を示す。所定階(f階)の行先階呼び情報とは、所定階の行先階登録装置20(20−1または20−2)で登録された行先階呼びの情報である。行先階呼びテーブル12d1は記憶部12に記憶されている。行先階呼び割当部10aは、行先階をいずれかのエレベータに割り当てると、行先階の割当結果を示す行先階呼び情報を生成して行先階呼びテーブル12d1に追加する。各行先階呼び情報は、行先階呼び情報を識別する情報(呼び番号)と、利用者により登録された行先階を示す情報(行先階)と、当該行先階が割り当てられたエレベータを示す情報(割当号機)と、登録操作が行われた行先階登録装置20−1または20−2を識別する情報(行先階登録装置ID)と、行先階が割当号機に割り当てられたときの時刻を示す情報(割当時刻)とを含む。なお、制御装置10は、割り当てた行先階呼びに基づく運転を実行後(サービス完了後)、行先階呼びテーブル12d1から、当該行先階呼びに係る行先階呼び情報を削除する。
図5に戻り、行先階呼び割当部10aはまた、行先階呼び割当要求信号の応答として、割当号機を示す情報を含む割当号機信号を、入出力インタフェース13を介して、行先階の登録操作が行われた行先階登録装置20(20−1または20−2)に出力する。また、行先階呼び割当部10aは、割当号機に割り当てられた行先階(割当行先階)を示す情報を含む割当行先階信号を、入出力インタフェース13を介して、割当号機に対応する行先階インジケータ30へ出力する。運転制御部10cは、行先階呼び割当部10aによる割当処理の結果に基づいて、割当号機を出発階(f階)から行先階まで走行させるための割当号機の運転を指示する運転指示信号をエレベータ制御装置40に出力する。
割当変更部10bは、割当行先階を、現在の割当号機から別の号機へ割当変更するか否かを判定する割当変更判定処理を実行する。割当変更判定処理において、割当変更部10bは、所定の割当変更条件が成立するとき、割当行先階を、現在の割当号機から別の号機へ割当変更することを決定する。しかしながら、割当変更部10bは、上記所定の割当変更条件が成立した場合でも、現在の割当号機へ移動中の利用者がいると判定したときは、割当行先階を、現在の割当号機から別の号機へ割当変更しないことを決定する。移動中の利用者の有無の判定は、行先階の割当時刻から所定の移動時間が経過したか否かに基づいて行われる。割当変更部10bによる割当変更判定処理の詳細については後述する。割当変更を行うと決定した場合、割当変更部10bは、割当行先階を、現在の割当号機から別の号機へ割当変更する。
割当変更部10bは、割当変更の結果に応じて、図6に示す行先階呼びテーブル12d1を更新する。具体的に、割当変更部10bは、割当変更の対象となった行先階呼びに係る行先階呼び情報において、割当号機を示す情報を、割当変更元の割当号機から、割当変更先の号機に変更する。
また、割当変更部10bは、行先階と割当変更先の号機とを示す割当変更信号を、入出力インタフェース13を介して、割当変更元の号機に対応する所定階(f階)の行先階インジケータ30に出力する。運転制御部10cは、割当変更部10bによる割当変更の結果に基づいて、割当変更元の割当号機の行先階への運転動作をキャンセルするとともに、割当変更先の号機の行先階への運転を指示する運転指示信号をエレベータ制御装置40に出力する。
2−1−2.行先階登録装置の動作
行先階登録装置20の制御部21は、操作部25から操作信号を受信すると、利用者による行先階の登録操作を受け付ける。制御部21は、利用者により登録された行先階を示す情報と、当該行先階を登録する操作が行われた行先階登録装置20を識別する情報とを示す行先階呼び割当要求信号を生成する。制御部21は、生成した行先階呼び割当要求信号を、入出力インタフェース23を介して、制御装置10に出力する。
また、制御部21は、上述の行先階呼び割当要求信号の応答として、制御装置10(行先階呼び割当部10a)から、割当号機を示す割当号機信号を受信する。制御部21は、利用者によって登録された行先階と、割当号機信号が示す割当号機とを示す情報の表示を指示する表示信号を表示部24に出力する。
表示部24は、制御部21から受信した表示信号にしたがって、利用者によって登録された行先階と、当該行先階の割当号機とを示す表示を行う。例えば、表示部24は、図3(b)に示すように、利用者により入力された行先階である3階が、B号機に割り当てられたことを示す表示を行う。これによって、行先階登録装置20は、登録された行先階が、表示された割当号機に割り当てられたことを、利用者に報知する。
なお、制御部21は、制御装置10から割当号機信号を受信すると即座に、行先階と割当号機とを表示部24に表示させる。そのため、表示部24による行先階と割当号機の表示の時刻(すなわち行先階登録装置20が割当号機を利用者に報知する時刻)は、行先階呼びテーブル12d1に含まれる行先階呼び情報における行先階の割当時刻と実質的に同一である。
2−1−3.行先階インジケータの動作
行先階インジケータ30の制御部31は、制御装置10(行先階呼び割当部10a)から出力された割当行先階信号を入出力インタフェース33を介して受信すると、当該割当行先階信号が示す割当行先階を示す表示を指示する表示信号を表示部34に出力する。
表示部34は、制御部31から受信した上記表示信号にしたがって、割当行先階を示す表示を行う。表示部34による割当行先階の表示によって、行先階インジケータ30は、表示された割当行先階が、当該行先階インジケータ30に対応するエレベータ60に割り当てられていることを、利用者に報知する。
また、制御部31は、制御装置10(割当変更部10b)から出力された割当変更信号を入出力インタフェース33を介して受信すると、当該割当変更信号が示す行先階と割当変更先の号機とを示す表示を指示する表示信号を表示部34に出力する。表示部34は、受信した表示信号にしたがって、行先階と割当変更先の号機とを示す表示を行う。これによって、行先階インジケータ30は、行先階が、当該行先階インジケータ30に対応するエレベータ(割当変更元の号機)から別のエレベータに割当変更されたことを、利用者に報知する。
2−1−4.エレベータ制御装置の動作
エレベータ制御装置40A〜40F(図1)はそれぞれ、上述のように運転制御部10cから出力される運転指示信号にしたがって、対応するエレベータ60A〜60Fを駆動制御する。また、エレベータ制御装置40A〜40Fはそれぞれ、対応するエレベータ60A〜60Fのかごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含むかご状態を検知する。各エレベータ制御装置40A〜40Fは、検知したかご状態を示す情報を含むかご状態信号を、制御装置10(行先階呼び割当部10a及び割当変更部10b)に出力する。
2−2.割当変更判定処理の詳細
本実施形態に係る割当変更判定処理について以下詳細に説明する。
図7は、制御装置10による、所定階(f階)についての割当変更判定処理の流れを示すフローチャートである。制御装置10(割当変更部10b)は、割当変更判定処理を、所定の時間間隔(たとえば1秒間隔)で実行する。
図7のフローチャートに示す割当変更判定処理において、制御装置10(制御部11)はまず、割当号機(エレベータ)のかご番号xを初期値の1に設定する(S1)。以下の説明において、1号機〜6号機はそれぞれA号機〜F号機を指す。
次いで、制御装置10は、行先階呼びテーブル12d1(図6)を参照することによって、x号機が割当行先階を持つか否か、すなわち1つ以上の行先階がx号機に割り当てられているか否かを判定する(S2)。x号機が割当行先階を持たない場合(S2でNO)、制御装置10は、かご番号xが所定数Mに等しい(x=M)か否かを判定する(S17)。ここで、所定数Mはエレベータの基数を表す。本実施形態ではエレベータの群管理システムは6台のエレベータ(A号機〜F号機)を有するため、所定数Mは6にあらかじめ設定されている(M=6)。かご番号xが所定数Mに等しいとき(S17でYES)、すなわち全てのエレベータについて割当変更判定が終了した場合、制御装置10は、このフローチャートによる割当変更判定処理を終了する。かご番号xが所定数Mに等しくない(x≠M)とき(S17でNO)、かご番号xに1を加算し(S18)、次の号機であるx号機が割当行先階を持つか否かの判定処理(S2)を実行する。
x号機が割当行先階を持つとき(S2でYES)、制御装置10は、x号機の全ての割当行先階のうちで、最も古い割当時刻を有する割当行先階dを示す情報を取得する。具体的には、制御装置10は、行先階呼びテーブル12d1(図6)を参照して、割当号機がx号機である行先階呼び情報のうちで、最も古い割当時刻を有する行先階呼び情報が示す割当行先階dの値を取得する(S3)。
次いで、制御装置10は、x号機についての予測待ち時間Tw1を予測して、この予測待ち時間Tw1が所定時間C1以上(Tw1≧C1)であるか否かを判定する処理を実行する(S4)。具体的に、制御装置10は、かご状態を示す情報、行先階呼びテーブル12d1等の種々の情報に基づいて、x号機のf階(出発階)への到着時刻(以下、「第1の予測到着時刻」という。)を予測する。次いで、制御装置10は、第1の予測到着時刻と、行先階呼び情報が示す上記割当行先階dの割当時刻との間の時間差である予測待ち時間Tw1を算出する。そして、制御装置10は、算出された予測待ち時間Tw1が所定時間C1以上(Tw1≧C1)であるとの条件(以下、「第1の割当変更条件」という。)が成立するか否かを判定する。
第1の割当変更条件(Tw1≧C1)が成立したことは、x号機の長待ちが発生していることを示す。所定時間C1は、x号機の待ち時間が長引くことによってサービス性が低下する待ち時間(例えば利用者が待機中にストレスを感じ始める待ち時間)に設定される。所定時間C1は、例えば60秒にあらかじめ設定されている。所定時間C1はこれに限らず、60秒未満の時間に設定されてもよく、または60秒よりも大きな時間に設定されてもよい。
x号機についての予測待ち時間Tw1が所定時間C1以上でないとき(Tw1<C1)(S4でNO)、つまり、x号機の長待ちが発生していないとき、制御装置10は、x号機のいずれの割当行先階も、x号機から別の号機に割当変更しないと決定する(S13)。この場合、x号機に対応する行先階インジケータ30は、x号機の現在の割当行先階を示す表示を継続している。ステップS13の処理を終了すると制御装置10はさらに、前述したステップS17以降の処理を実行する。
一方、x号機についての予測待ち時間Tw1が所定時間C1以上(Tw1≧C1)であるとき(S4でYES)、制御装置10は、割当変更先候補のエレベータ(割当変更先候補号機)のかご番号yを初期値の1に設定する(S5)。次いで、制御装置10は、かご番号yがかご番号xと等しいか否か(y=x)、すなわち割当変更先候補号機のy号機と割当変更元のx号機とが等しいか否かを判定する(S6)。
かご番号yとかご番号xとが等しい場合(S6でYES)、制御装置10は、ステップS7の判定を行い、割当変更先候補号機のかご番号yが所定数Mではないとき(S7でNO)にはかご番号yに1を加算し(S8)、かご番号yがかご番号xと等しいか否かを再び判定する(S6)。また、かご番号yがかご番号xと等しく(S6でYES)、且つ、かご番号yが所定数Mである(y=M)とき(S7でYES)、制御装置10は、x号機のいずれの割当行先階も、x号機から別の号機に割当変更しないことを決定する(S13)。ステップS13の処理を終了すると、制御装置10は、前述したステップS17以降の処理を実行する。
かご番号yとかご番号xとが等しくない場合(S6でNO)、制御装置10は、割当行先階dをx号機からy号機に仮に割当変更した場合における、y号機についての予測待ち時間Tw2を予測し、この予測待ち時間Tw2が所定時間C2未満(Tw2<C2)であるか否かを判定する処理を実行する(S9)。具体的に、制御装置10は、割当行先階dをx号機からy号機に仮に割当変更し、かご状態を示す情報、行先階呼びテーブル12d1等の種々の情報に基づいて、y号機のf階(出発階)への到着時刻(以下、「第2の予測到着時刻」という。)を予測する。次いで、制御装置10は、第2の予測到着時刻と、行先階呼び情報が示す上記割当行先階dの割当時刻との間の時間差である予測待ち時間Tw2を算出する。そして、制御装置10は、算出された予測待ち時間Tw2が所定時間C2未満(Tw2<C2)であるとの条件(以下、「第2の割当変更条件」という。)が成立するか否かを判定する。
第2の割当変更条件(Tw2<C2)が成立したことは、割当行先階dをx号機からy号機へ割当変更することによって、号機の長待ちの状態が解消されることを示す。所定時間C2は、割当変更によってエレベータの待ち時間が短縮してサービス性が改善される待ち時間(例えば利用者が待機中にストレスを感じない待ち時間)に設定される。所定時間C2は例えば、30秒にあらかじめ設定されている。所定時間C2は、所定時間C1未満であればこれに限らず、30秒未満の時間に設定されてもよく、または30秒よりも大きい時間に設定されてもよい。
y号機についての予測待ち時間Tw2が所定時間C2未満でないとき(Tw2≧C1)(S9でNO)、制御装置10は、前述したステップS7以降の処理を実行する。
一方、y号機についての予測待ち時間Tw2が所定時間C2未満(Tw2<C2)であるとき(S9でYES)、制御装置10は、行先階呼びテーブル12d1を参照して、x号機の全ての割当行先階を示す情報を取得する(S10)。以下の説明では、制御装置10は、x号機の全ての割当行先階として、ステップS10において、N個(Nは正整数)の割当行先階d1,d2,…,dNを示す情報を取得したものとする。次いで、制御装置10は、割当行先階の行先階番号i(iは1以上N以下の整数(1≦i≦N))を、初期値の1に設定する(S11)。
次いで、制御装置10は、行先階登録装置20(20−1または20−2)で割当行先階diを登録した利用者のうち、当該登録が行われた行先階登録装置20の設置位置(移動開始位置)から、x号機(現在の割当号機)のドア前へ移動中の利用者がいるか否かの判定処理を実行する(S12)。なお、ステップS12についての以下の説明においては、一例として、現在の割当号機はA号機(x=1)であり、且つ、割当行先階diを登録するための操作は行先階登録装置20−1に対して行われたものとする。
ステップS12の判定処理は次のようにして行う。制御装置10はまず、行先階登録装置20−1で割当行先階diの登録操作を行った利用者のA号機への推定到着時刻TAiを算出する。すなわち、制御装置10はまず、行先階呼びテーブル12d1に基づいて、割当行先階diの割当時刻Tiを示す情報を取得する。この割当時刻Tiは、行先階diのA号機への割り当てが行先階登録装置20−1により利用者に報知された時刻と実質的に同一である。したがって、この割当時刻Tiは、利用者が行先階登録装置20−1からA号機のドア前に向かって移動を開始した時刻であるとみなすことができる。制御装置10はまた、行先階呼びテーブル12d1を参照して、A号機の割当行先階diを登録するための操作が行われた行先階登録装置20−1を特定する。
次いで、制御装置10は、移動時間テーブル12d2を参照する。移動時間テーブル12d2は、図8に示すように、移動開始位置である各行先階登録装置(20−1,20−2)から、各エレベータ(A号機〜F号機)までの標準的な移動時間を記録したテーブルである。移動時間テーブル12d2は、記憶部12にあらかじめ記憶されている。
制御装置10は、移動時間テーブル12d2を参照することによって、利用者の所定移動時間として、移動開始位置である行先階登録装置20−1の設置位置からA号機のドア前までの標準的な移動時間TP1Aを示す情報を取得する。そして、制御装置10は、割当時刻Tiに移動時間TP1Aを加算して得られる時刻Ti+TP1Aを、利用者のA号機への推定到着時刻TAiとする。この推定到着時刻TAiは、利用者が割当時刻Tiに行先階登録装置20−1を出発して標準的な移動速度で移動した場合における、利用者がA号機のドア前に到着すると推定される時刻である。そして、制御装置10は、現在時刻が推定到着時刻TAiよりも前(TAi>(現在時刻))であるか否かを判定する。言い換えると、制御装置10は、割当時刻Tiから所定移動時間TP1Aよりも長い時間が経過したか否かを判定する。
上述のステップS12の処理についての説明では、一例として、かご番号xが1(x=1)すなわち現在の割当号機がA号機であり、且つ、割当行先階diを登録するための操作が行先階登録装置20−1に対して行われたと仮定した。この場合に限らず、かご番号xが2,3,…,または6(B号機、C号機、…、F号機)であり、且つ、割当行先階diを登録するための操作が行先階登録装置20−1に対して行われる場合もある。この場合、制御装置10は、ステップS12において、割当時刻Tiに、移動時間テーブル12d2に示される移動時間TP1B,TP1C,…,またはTP1Fを加算して得られる時刻を、利用者のx号機への推定到着時刻TAiとして算出する。また、かご番号xが1,2,…,または6であり、且つ、割当行先階diを登録するための操作が行先階登録装置20−2に対して行われる場合もある。この場合、制御装置10は、ステップS12において、割当時刻Tiに、移動時間テーブル12d2に示される移動時間TP2A,TP2B,…,またはTP2Fを加算して得られる時刻を、利用者のx号機への推定到着時刻TAiとする。
制御装置10は、現在時刻が、上述のように算出した推定到着時刻TAiよりも前(TAi>(現在時刻))であると判定した場合、割当行先階diを登録した利用者が、登録操作が行われた行先階登録装置20からx号機のドア前へ移動中であると判定する(S12でYES)。この場合、制御装置10は、x号機については割当変更を行わない、すなわちx号機のいずれの割当行先階d1,d2,…,dNもx号機からy号機に割当変更しないと決定する(S13)。この場合、x号機に対応する行先階インジケータ30は、x号機の現在の割当行先階d1,d2,…,dNを示す表示を継続している。
一方、現在時刻が推定到着時刻TAiよりも前ではない(TAi≦(現在時刻))と判定した場合、制御装置10は、割当行先階diを登録した利用者が、登録操作が行われた行先階登録装置20からx号機のドア前へ移動中でないと判定する(S12でNO)。
ステップS12において移動中の利用者がいないと判定した場合(S12でNO)、制御装置10はさらに、行先階番号iが、x号機の割当行先階d1〜dNの個数Nと等しい(i=N)か否かを判定する(S14)。行先階番号iがx号機の割当行先階d1〜dNの個数Nと等しい(i=N)場合(S14でYES)、制御装置10は、x号機の全ての割当行先階d1,d2,…,dNをx号機からy号機に割当変更することを決定する(S16)。なお、行先階番号iがx号機の割当行先階d1〜dNの数Nと等しい(i=N)と判定された場合(S14でYES)、x号機の割当行先階d1〜dNのいずれかを登録した全ての利用者は移動を既に終えており、したがってこれら全ての利用者はx号機のドア前にいることが推定される。このような場合に、制御装置10は、x号機の全ての割当行先階d1,d2,…,dNをx号機からy号機に割当変更することを決定する(S16)。この場合、x号機に対応する行先階インジケータ30は、この割当変更処理の実行の後、y号機に割当変更されたことを示す表示を行う。
制御装置10はまた、ステップS16において、この割当変更判定処理の実行後に実際に割当変更を行うために、割当変更データとして、x号機(割当変更元の号機)と、y号機(割当変更先の号機)と、割当行先階d1〜dN(割当変更対象の行先階)とを示すデータを、記憶部12に格納する。
一方、行先階番号iがx号機の割当行先階d1〜dNの個数Nと等しくない(i≠N)場合(S14でNO)、制御装置10は、行先階番号iに1を加算し(S15)、上述のステップS12以降の処理を繰り返す。
ステップS13またはS16の処理を終えると、制御装置10は、上述のステップS17以降の処理を実行する。制御装置10は、かご番号xが所定数Mに等しくない(x≠M)とき(S17でNO)、上述のステップS18以降の処理を実行する一方、かご番号xが所定数Mに等しいとき(S17でYES)、本フローチャートによる割当変更判定処理を終了する。
割当変更判定処理を以上のように実行した後、制御装置10(割当変更部10b)は、ステップS16において記憶部12に記憶された割当変更データにしたがって、割当変更対象の行先階を、割当変更元の号機から割当変更先の号機に割当変更する。また、制御装置10(割当変更部10b)は、割当変更データにしたがって、割当変更信号を、割当変更が行われた号機に対応する所定階(f階)のインジケータ30に出力して、インジケータ30に割当変更を示す表示を行わせる。
図9は、実施形態1に係る割当変更判定処理に基づいで行われる行先階インジケータの表示の例を示す図である。例えば、3人の利用者がそれぞれ、行先階登録装置20−1で行先階として5階、10階、及び12階を登録し、これらの行先階がD号機(x=4)のエレベータに割り当てられる。このとき、D号機の行先階インジケータ30Dは、図9(a)に示すように、D号機の割当行先階(5階,10階,12階)を示す表示を行う。割当変更判定処理において、制御装置10は、割当行先階(5階、10階、及び12階)を登録した上記3人の利用者の推定到着時刻TA1、TA2、TA3を計算して、これらの利用者が移動中であるか否かを判定する。
例えば、割当変更判定処理の実行時刻(現在時刻)が、いずれの推定到着時刻TA1,TA2,TA3よりも後である場合がある。この場合、3人の利用者はいずれもD号機のエレベータのドア前に到着していると推定される。したがって、3人の利用者はいずれも行先階インジケータ30Dの表示を視認できる状態にあると推測される。この場合、所定の割当変更条件(第1及び第2の割当変更条件)が成立した場合、D号機の全ての割当行先階(5階,10階,12階)は、D号機から例えばA号機に割当変更される。制御装置10は、割当変更に伴い、図9(b)に示すように、行先階インジケータ30Dに、割当行先階(5階,10階,12階)がD号機からA号機に割当変更されたことを示す表示を行わせる。したがって、3人の利用者は、行先階インジケータ30Dによる割当変更の報知によって、各利用者の割当行先階がD号機からA号機に割当変更されたことを知ることができる。
これに対し、例えば、割当変更判定処理の実行時刻(現在時刻)が、5階及び10階をそれぞれ登録した利用者の推定到着時刻TA1,TA2よりも前であり、且つ、12階を登録した利用者の推定到着時刻TA3よりも後である場合がある。この場合、5階及び10階をそれぞれ登録した2人の利用者は移動中であると推定される。したがって、これら2人の利用者は行先階インジケータ30Dの表示を視認できない状態にあると推測される。この場合、所定の割当変更条件(第1及び第2の割当変更条件)が成立した場合であっても、D号機のいずれの割当行先階(5階,10階,12階)も、D号機から別の号機に割当変更されない。D号機の割当行先階は5階,10階,及び12階のままであるため、行先階インジケータ30Dは、これらの割当行先階を示す表示(図9(a))を継続する。
したがって、所定の割当変更条件が成立したときであっても、ある号機へ移動中の利用者がいる間、その号機については割当変更は行われない。つまり、利用者が移動中であって割当変更を知ることができない場合、割当変更は行われない。よって、割当変更によって利用者の利便性が損なわれることが抑制される。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、
利用者による行先階の登録のための行先階登録装置20と、利用者によって登録された行先階を複数のエレベータ60A〜60Fのうちのいずれかのエレベータ(割当号機)に割り当て、その後に、所定の割当変更条件(第1及び第2の割当変更条件)が成立したときに、登録された割当行先階を、割り当てたエレベータ(x号機)から、別のエレベータ(y号機)に割当変更する制御装置10と、を備える。
制御装置10は、割り当てたエレベータ(x号機)へ移動中の利用者がいるか否かを判定し、割り当てたエレベータ(x号機)へ移動中の利用者がいると判定したときは、所定の割当変更条件(第1及び第2の割当変更条件)が成立した場合でも、登録された行先階(割当行先階di)を、割り当てたエレベータ(x号機)から別のエレベータ(y号機)に割当変更しない。
これによって、割り当てたエレベータ(x号機)へ移動中の利用者がいると推定されるとき、所定の割当変更条件(第1及び第2の割当変更条件)が成立した場合であっても、行先階(割当行先階di)は、割り当てたエレベータ(x号機)から別のエレベータ(y号機)に割当変更されない。したがって、割当変更によって利用者の利便性が損なわれることが抑制される。
また、本実施形態では、
エレベータの群管理システムは、割り当てたエレベータを示す情報を報知する行先階インジケータ30をさらに備える。
制御装置10は、登録された行先階(割当行先階di)を、割り当てたエレベータ(x号機)から別のエレベータ(y号機)に割当変更したとき、報知部である行先階インジケータ30に当該別のエレベータ(y号機)を示す情報を報知させる。
これによって、割当変更が行われたことを利用者に報知することができる。そのため、利用者は、移動を終えて割り当てたエレベータ(x号機)に到着した後に、行先階インジケータ30の表示によって、当該利用者が登録した割当行先階diが別のエレベータ(y号機)に割当変更されたことを知ることができる。そのため、割当変更によって利用者の利便性が損なわれることを一層良好に抑制することができる。
また、本実施形態では、
制御装置10は、割り当てたエレベータ(x号機)に複数の行先階が登録されている場合において、所定の割当変更条件(第1及び第2の割当変更条件)が成立した場合でも、登録されている行先階のうち少なくとも一の行先階に係る利用者が当該割り当てたエレベータへ移動中であると判定したときは、登録されている全ての行先階(割当行先階d1,d2,…,dN)を別のエレベータ(y号機)に割当変更しない。
これによって、行先階が割り当てられているエレベータ(x号機)に、行先階diを登録した利用者が移動中であると推定されるときは、登録されている全ての行先階(割当行先階d1,d2,…,dN)について割当変更は行われない。利用者によって割当変更の有無が異なると、利用者が困惑する可能性があるが、これが防止される。
また、本実施形態では、
制御装置10は、行先階(割当行先階d)を割り当てたエレベータ(割当号機、x号機)に割り当てた割当時刻から、行先階登録装置20(20−1または20−2)から割り当てたエレベータ(x号機)への所定移動時間(TP1A〜TP1F、TP2A〜TP2F)よりも長い時間が経過したか否かを判定する。
制御装置10は、行先階(割当行先階d)を割り当てたエレベータ(x号機)に割り当てた割当時刻から、所定移動時間(TP1A〜TP1F、TP2A〜TP2F)よりも長い時間が経過していない場合、割り当てたエレベータ(x号機)へ移動中の利用者がいると判定する。
また、制御装置10は、行先階(割当行先階d)を割り当てたエレベータ(x号機)に割り当てた割当時刻から、所定移動時間(TP1A〜TP1F、TP2A〜TP2F)よりも長い時間が経過している場合、割り当てたエレベータ(x号機)へ移動中の利用者がいないと判定する。
これによって、行先階登録装置20から割当号機(x号機)のドア前へ移動中の利用者の有無を、所定移動時間に基づいて、簡単に判定可能である。
また、本実施形態では、所定の割当変更条件は第1の割当変更条件を含む。
すなわち、所定の割当変更条件は、登録された行先階(割当行先階d)がx号機に割り当てられた割当時刻から、割り当てたエレベータ(x号機)が、行先階登録装置20が設置された登録階(f階)に到着するときまでの、利用者の待ち時間が所定時間(所定時間C1)以上であることを含む。
これによって、利用者の待ち時間が所定時間C1以上となってサービス性が低下する恐れがある場合に割当変更が行われることによって、利用者の待ち時間の短縮が可能となり、ユーザの利便性が向上する。
また、本実施形態では、所定の割当変更条件は第2の割当変更条件を含む。
すなわち、所定の割当変更条件は、登録された行先階(割当行先階d)がx号機に割り当てられた割当時刻から、登録された行先階(割当行先階d)を別のエレベータ(y号機)に仮に割当変更した場合における、当該別のエレベータ(y号機)が、行先階登録装置20が設置された登録階(f階)に到着するときまでの、利用者の待ち時間が第2の所定時間(所定時間C2)未満であることを含む。
これによって、利用者の待ち時間が所定時間C2未満となってサービス性が改善されることが期待される場合に割当変更が行われることによって、利用者の待ち時間の短縮が可能となり、ユーザの利便性が向上する。例えば、所定時間C2は所定時間C1未満の値となるように設定可能である。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係るエレベータの群管理システムについて、図面を参照して説明する。なお、実施形態1との相違点を中心として説明する。
1.構成
実施形態1に係るエレベータの群管理システムでは、制御装置10は、ある号機に対して割当変更を行う場合、その号機の全ての割当行先階(d1,d2,・・・,dN)を、別の号機に割当変更する。これに対して、実施形態2に係るエレベータの群管理システムでは、制御装置10は、割当行先階di毎に割当変更を行う(1≦i≦N)。
2.動作
2−1.割当変更判定処理
図10は、実施形態2に係る、所定階の割当変更判定処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートのステップS21、S22、S23、S24、S36、及びS37ではそれぞれ、実施形態1の図7のフローチャートに示すステップS1、S2、S10、S11、S17、及びS18と同一の処理が行われる。
図10のフローチャートに示される割当変更判定処理において、制御装置10は、行先階番号iを初期値の1に設定した後(S24)、ステップS25の判定処理を実行する。ステップS25において、制御装置10は、x号機についての予測待ち時間Tw3を予測し、この予測待ち時間Tw3が所定時間C1以上(Tw3≧C1)であるか否かを判定する処理を実行する(S25)。具体的に、制御装置10は、かご状態を示す情報、行先階呼びテーブル12d1等の種々の情報に基づいて、x号機のf階(出発階)への到着時刻(以下、「第3の予測到着時刻」という。)を予測する。次いで、制御装置10は、第3の予測到着時刻と、行先階呼び情報が示す割当行先階diの割当時刻との間の時間差である予測待ち時間Tw3を算出する。そして、制御装置10は、算出された予測待ち時間Tw3が所定時間C1以上(Tw3≧C1)であるとの判定条件(以下、「第3の割当変更条件」という。)が成立するか否かを判定する。
x号機についての予測待ち時間Tw3が所定時間C1以上でないとき(Tw3<C1)(S25でNO)、制御装置10は、割当行先階diを、x号機から別の号機に割当変更しないと決定する(S32)。このように、割当行先階diを登録した利用者の、x号機の長待ちが発生していないとき(S25でNO)、割当行先階diについては割当変更を行わないと決定される。
一方、x号機についての予測待ち時間Tw3が所定時間C1以上(Tw3≧C1)であるとき(S25でYES)、制御装置10は、割当変更先候補のエレベータ(割当変更先候補号機)のかご番号yを初期値の1に設定する(S26)。次いで、制御装置10は、かご番号yがかご番号xと等しいか否か(y=x)、すなわち割当変更先候補号機のy号機と割当変更元のx号機とが等しいか否かを判定する(S27)。
かご番号yとかご番号xとが等しい場合(S27でYES)、制御装置10は、割当変更先候補号機のかご番号yが所定数Mと等しいか否かを判定する。
割当変更先候補号機のかご番号yが所定数Mと等しくないとき(S28でNO)、制御装置10は、ご番号yに1を加算し(S29)、上記ステップS27においてかご番号yとかご番号xとが等しいか否かを再び判定する。
これに対し、かご番号yが所定数Mと等しい(y=M)とき(S28でYES)、制御装置10は、割当行先階diを、x号機から別の号機に割当変更しないことを決定する(S32)。
一方、上記ステップS27においてかご番号yとかご番号xとが等しくない場合(S27でNO)、制御装置10は、割当行先階diをx号機からy号機に仮に割当変更した場合における、y号機についての予測待ち時間Tw4を予測し、この予測待ち時間Tw4が所定時間C2未満(Tw4<C2)であるか否かを判定する処理を実行する(S30)。具体的に、制御装置10は、割当行先階diをx号機からy号機に仮に割当変更して、かご状態を示す情報、行先階呼びテーブル12d1に記録された情報等の種々の情報に基づいて、y号機のf階(出発階)への到着時刻(以下、「第4の予測到着時刻」という。)を予測する。次いで、制御装置10は、第4の予測到着時刻と、行先階呼び情報が示す上記割当行先階diの割当時刻との間の時間差である予測待ち時間Tw4を算出する。そして、制御装置10は、算出された予測待ち時間Tw4が所定時間C2未満(Tw4<C2)であるとの条件(以下、「第4の割当変更条件」という。)が成立するか否かを判定する。
y号機についての予測待ち時間Tw4が所定時間C2未満でないとき(Tw4≧C1)(S30でNO)、制御装置10は、前述したステップS28以降の処理を実行する。
一方、y号機についての予測待ち時間Tw4が所定時間C2未満(Tw4<C2)であるとき(S30でYES)、制御装置10は、行先階登録装置20(20−1または20−2)で割当行先階diを登録した利用者のうち、当該登録が行われた行先階登録装置20の設置位置から、x号機(現在の割当号機)のドア前へ移動中の利用者がいるか否かの判定処理を実行する(S31)。
ステップS31の判定処理は次のように行う。制御装置10は、利用者のx号機への推定到着時刻TAiを、実施形態1に係る割当変更判定処理のステップS12の処理と同様の方法で算出する。そして、制御装置10は、現在時刻が推定到着時刻TAiよりも前(TAi>(現在時刻))であるか否かを判定する。言い換えると、制御装置10は、割当時刻Tiから所定移動時間(図8)よりも長い時間が経過したか否かを判定する。
現在時刻が、算出した推定到着時刻TAiよりも前(TAi>(現在時刻))であると判定した場合、制御装置10は、割当行先階diを登録した利用者が、登録が行われた行先階登録装置20からx号機のドア前へ移動中であると判定する(S31でYES)。そこで、この場合、制御装置10は、x号機の割当行先階diを、x号機からy号機に割当変更しないと決定する(S32)。この場合、x号機に対応する行先階インジケータ30は、行先階diがx号機の割当行先階であることを示す表示を継続している。
一方、制御装置10は、現在時刻が推定到着時刻TAiよりも前ではない(TAi≦(現在時刻))と判定した場合、割当行先階diを登録した利用者が、行先階登録装置20−1からx号機のドア前へ移動中でないと判定する(S31でNO)。この場合、制御装置10は、x号機の割当行先階diをx号機からy号機に割当変更することを決定する(S33)。この場合、x号機に対応する行先階インジケータ30は、この割当変更処理の終了の後、y号機に割当変更されたことを示す表示を行う。
制御装置10はまた、ステップS33において、本実施形態に係る割当変更判定処理の実行後に実際に割当変更を行うために、割当変更データとして、x号機(割当変更元の号機)と、y号機(割当変更先の号機)と、割当行先階di(割当変更対象の行先階)とを示すデータを、記憶部12に格納する。
ステップS32またはステップS33の処理を終えると、制御装置10は、行先階番号iが、x号機の割当行先階d1〜dNの個数Nと等しい(i=N)か否かを判定する(S34)。行先階番号iがx号機の割当行先階d1〜dNの個数Nと等しくない(i≠N)場合(S34でNO)、制御装置10は、行先階番号iに1を加算し(S35)、上述のステップS25以降の処理を繰り返す。一方、行先階番号iがx号機の割当行先階d1〜dNの数Nと等しい(i=N)場合(S34でYES)、制御装置10は、かご番号xが所定数Mに等しい(x=M)か否かを判定する(S36)。
かご番号xが所定数Mに等しくない(x≠M)とき(S36でNO)、制御装置10は、かご番号xに1を加算し(S37)、上述のステップS22以降の処理を実行する。かご番号xが所定数Mに等しいとき(S36でYES)、制御装置10は、割当変更判定処理を終了する。
割当変更判定処理を以上のように実行した後、制御装置10(割当変更部10b)は、ステップS33において記憶部12に記憶された割当変更データにしたがって、割当変更対象の行先階を、割当変更元の号機から割当変更先の号機に割当変更する。また、制御装置10(割当変更部10b)は、割当変更データにしたがって、割当変更信号を、割当変更が行われた号機に対応するインジケータ30に出力して、インジケータ30に割当変更を示す表示を行わせる。
2−2.行先階インジケータの表示動作
図11は、実施形態2に係る割当変更判定処理に基づいた行先階インジケータの表示例を示す図である。例えば、3人の利用者がそれぞれ、行先階登録装置20−1で行先階として5階、10階、及び12階を登録し、これらの行先階がD号機のエレベータに割り当てられているものとする。このとき、D号機の行先階インジケータ30Dは、図11(a)に示すように、D号機の割当行先階(5階,10階,12階)を示す情報を表示する。
本実施形態に係る割当変更判定処理において、制御装置10は、割当行先階(5階、10階、及び12階)を登録した上記3人の利用者の推定到着時刻TA1、TA2、TA3を計算して、これらの利用者が移動中であるか否かを判定する。
例えば、割当変更判定処理の実行時刻(現在時刻)が、5階及び10階をそれぞれ登録した利用者の推定到着時刻TA1,TA2よりも前であり、且つ、12階を登録した利用者の推定到着時刻TA3よりも後である場合がある。この場合、12階を登録した利用者は既にドア前に到着しており、行先階インジケータ30Dの表示を視認できる状態にあると推測される。この場合、所定の割当変更条件(第3及び第4の割当変更条件)が成立した場合、D号機の割当行先階である12階は、D号機から例えばC号機に割当変更される。
しかしながら、5階及び10階をそれぞれ登録した2人の利用者は移動中であり、行先階インジケータ30Dの表示を視認できない状態にあると推測される。この場合、所定の割当変更条件(第3及び第4の割当変更条件)が成立した場合であっても、D号機の割当行先階である5階と10階については、D号機から別の号機に割当変更されない。
この結果、12階はD号機からC号機に割当変更される一方で、5階と10階はD号機から割当変更されない。この場合、図11(b)に示すように、行先階インジケータ30Dは、5階と10階がD号機の割当行先階であることを示す表示を行うと同時に、12階がC号機に割当変更されたことを示す表示を行う。このように、5階と12階を登録した移動中の2人の利用者は、これら5階及び12階の割当変更が抑制されるため、割当変更による不利益を被ることはない。その一方で、12階を登録した利用者はD号機のドア前にいるため、行先階インジケータ30Dの報知によって割当変更の内容を知ることができる。
また、本実施形態では、割当変更先号機(y号機)は、割当号機の割当行先階di毎に選択される。したがって、3人の利用者はいずれも移動中でないと推定されるときに、例えば、5階と10階をD号機からA号機に割当変更され、且つ、12階をD号機からC号機に割当変更されることが可能である。この場合、行先階インジケータ30Dは、当該割当変更の内容を示す表示を行う(図11(c))。このように、制御装置10は、割当行先階di毎に割当変更先の号機(y号機)を細かく設定することができる。よって、割当変更する階を最小限の階におさめることができる。そのため、割当変更による利用者への影響を極力少なくすることができる。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係るエレベータの群管理システムでは、
制御装置10は、
割り当てたエレベータに複数の行先階が登録されている場合において、
所定の割当変更条件(第3および第4の割当変更条件)が成立した場合でも、登録されている行先階のうち少なくとも一の登録された行先階に係る利用者が当該割り当てたエレベータ(x号機)へ移動中であると判定したときは、前記割り当てた複数の行先階のうち移動中であると判定した利用者により登録された行先階diについては、別のエレベータ(y号機)に割当変更しない。
これによって、制御装置10は、一の行先階diのみを割当変更しないことが可能となる。そのため、割当変更する階を最小限の階におさめることができる。したがって、割当変更による利用者への影響を極力少なくすることができる。
また、本実施形態では、所定の割当変更条件は第3の割当変更条件を含む。これによって、利用者の待ち時間が所定時間C1以上となってサービス性が低下する恐れがある場合に割当変更が行われることによって、利用者の待ち時間の短縮が可能となり、ユーザの利便性が向上する。
また、本実施形態では、所定の割当変更条件は第4の割当変更条件を含む。これによって、利用者の待ち時間が所定時間C2未満となってサービス性が改善されることが期待される場合に割当変更が行われることによって、利用者の待ち時間の短縮が可能となり、ユーザの利便性が向上する。
(実施形態3)
上記実施形態1、2では、制御装置10は、利用者の属性によらずにあらかじめ決定された標準的な移動時間を用いて、割当号機へ移動中の利用者がいるか否かを判定した。これに対して、本実施形態では、制御装置10は、利用者の属性に応じた移動時間を用いて、割当号機へ移動中の利用者がいるか否かを判定する。以下、構成を説明する。
実施形態3に係るエレベータの群管理システムは、行先階登録装置20と制御装置10に替えて、図12に示す行先階登録装置20Aと、図13に示す制御装置10Aとを備える。行先階登録装置20Aは、利用者が所有するIDカードから利用者の属性を示す情報(利用者ID)を読み取るカードリーダ26(識別情報取得部)をさらに備える。制御装置10Aの記憶部12は、上記実施形態1、2の移動時間テーブル12d2に代えて、移動速度テーブル12d3及び移動距離テーブル12d4を記憶している。
移動速度テーブル12d3は、図14に示すように、利用者の属性に応じた移動速度を記録したテーブルである。図14は、一例として、ID1の利用者の移動速度Vは1.2m/s、ID2の利用者の移動速度Vは0.8m/sであること等が記録されている。ID1の利用者は健常者であり、ID2の利用者は高齢者である。高齢者は健常者に比べ一般に歩行速度が遅いので、高齢者の移動速度は健常者の移動速度Vに比べ小さな値に設定されている。
移動距離テーブル12d4は、図15に示すように、実施形態3に係るエレベータの群管理システムにおける、各行先階登録装置から各エレベータまでの利用者の移動距離を記録したテーブルである。例えば、図15は、行先階登録装置20−1は、A号機〜F号機のエレベータ60A〜60Fのドアから、図2(a)に示す所定の距離D1A〜D1Fだけ離れた位置に位置し、行先階登録装置20−2は、A号機〜F号機のエレベータ60A〜60Fのドアから、所定の距離D2A〜D2Fだけ離れた位置に位置することが記録されている。
行先階登録装置20Aの制御部21は、カードリーダ26が読み取った利用者IDを示すID信号を制御装置10A(割当変更部10bA)に出力する。制御装置10Aの割当変更部10bAは、移動速度テーブル12d3を参照して、制御部21から受信したID信号が示す利用者IDにより特定される利用者の移動速度を示す情報を取得する。そして、割当変更部10bAは、特定した利用者の移動速度と、行先階登録装置20から割り当てたエレベータ60までの距離とに基づいて、特定した利用者の移動時間を算出する。割当変更部10bAは、割当変更判定処理において、このように算出された利用者の属性に応じた移動時間に基づいて、この利用者がエレベータに移動中であるか否かを判定する。これによって、制御装置10Aは、利用者毎の移動速度に基づいて、利用者が移動中であるか否かの判定を、利用者毎に精度良く行うことができる。よって、利用者の利便性がさらに向上する。
(その他の実施形態)
上記実施形態1〜3では、割当変更条件として第1ないし第4の割当変更条件を示した。しかし、割当変更条件はこれらに限定されない。例えば、割当変更条件は、予測される待ち時間、予測されるサービス完了時間、かごの予定される停止回数、乗場呼び情報、かご呼び情報等の種々のパラメータを含んでもよい。ここで、予測される待ち時間、予測されるサービス完了時間、およびかごの予定される停止回数の各々は、例えば、行先階呼びテーブル12d1、かご状態を示す情報等に基づいて、制御装置10によって算出される。また、乗場呼び情報は、従来型の移動方向を指定する乗場呼びに関する情報であり、例えばエレベータの近傍に設置された上下方向の乗場呼びのためのボタンを含む操作盤(図示せず)から割当変更部(10bまたは10bA)に入力される。さらに、かご呼び情報は、エレベータのかご内に設置された操作盤(図示せず)で行先階を指定する操作に基づいて、割当変更部(10bまたは10bA)に入力されるかご呼びに関する情報である。
上記実施形態1〜3では、行先階登録装置20はビルの所定階(f階)に配置されている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、行先階登録装置20は、ビルの全階または一部の複数の階に設置されてもよい。この場合、制御装置10は、割当変更判定処理を行先階登録装置が設置される階毎に実行する。また、ビルの各階のエレベータホールEHにおける行先階登録装置20の設置位置は、ビルの階毎に同一であってもよく、または相違してもよい。
上記実施形態1〜3では、行先階登録装置20はエレベータホールEHの入口の近傍に配置される。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、行先階登録装置20は、ビルの入口の近傍、ビル内の所定の領域への入場を管理するためのセキュリティゲートの近傍などに設置されてもよい。
上記実施形態1〜3では、行先階インジケータ30は表示部34を有し、割当変更先の号機を示す表示を行うことで割当変更の内容を利用者に報知する。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、行先階インジケータ30は、表示部34とともに、またはこれに替えて音声出力部を備え、割当変更先の号機を音声で報知してもよい。
上記実施形態1〜3では、所定の割当変更条件が成立した後で、割り当てたエレベータへ移動中の利用者がいるか否かを判定する。しかし、本発明はこれに限らない。例えば、所定の割当変更条件が成立するか否かの判定と、割り当てたエレベータへ移動中の利用者がいるとの条件が成立するか否かの判定とを、並行して行ってもよい。そして、両条件が成立したときは、割当変更を行わないようにしてもよい。