JP2016040537A - レーザーアブレーションicp分析方法及び分析装置 - Google Patents

レーザーアブレーションicp分析方法及び分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、分析試料の拡散や分析感度の低下を抑制しつつ、表面積の大きな分析試料も簡便に分析可能となるレーザーアブレーションICP分析方法の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、レーザーアブレーションICP分析方法において、エジェクタ、ネブライザー又は真空ポンプの吸引により、微粒子化した分析試料をキャリアガスとともにチャンバー内から排出して誘導結合プラズマ質量分析するレーザーアブレーションICP分析方法に関する。本発明によれば、ICP信号強度のシャープなピークが示され高感度な分析が可能になる。また、表面積の大きな分析試料も簡便に分析できる。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザー光の照射により分析試料を蒸発・微粒子化させ、ICP質量分析するレーザーアブレーションICP分析方法及び分析装置に関する。特に、SiC、GaN、AlN等のパワー半導体の分析に好適な技術を提供する。
高周波誘導結合プラズマ(ICP)で分析試料を質量分析する方法として、分析試料の微小領域にレーザーを照射し、照射箇所の試料を蒸発・微粒子化させ、ICP質量分析するレーザーアブレーションICP分析方法が知られている。レーザーアブレーションICP分析方法では、分析試料表面の所定領域を高精度かつ連続的に質量分析できる。このため、半導体基板中の汚染物の分析や、生体材料(樹皮や細胞等)に含まれる微量元素の分析等、幅広い分野で応用が期待されている。
ここで、分析試料が半導体基板である場合には、一般に、エッチングガスによる気相分解の前処理を行った後、エッチング後の基板上に残存する汚染物を回収してICP分析する方法が行われている。しかしながら、気相分解法は、シリコン製基板等の比較的エッチングしやすい基板の分析では有効であるものの、SiC、GaN、AlN製等の基板を分析するには、エッチングでは分解されにくいために利用できない。そこで、気相分解法に替えて、レーザー照射を利用したレーザーアブレーションICP分析方法によれば、SiC、GaN、AlN製の基板等についても、レーザー照射による微粒子化が可能であり、ICP分析を行うことが可能となる。
かかるレーザーアブレーションICP分析方法では、前述のとおり、分析試料にレーザーを照射してセル内で蒸発・微粒子化させた後、微粒子化した分析試料をICP分析装置に導入して質量分析が行われる。この分析方法のうち、微粒子化した分析試料をセル内からICP分析装置に導入する工程では、例えば、セル内に導入したキャリアガスで、微粒子化した試料を押しこむようにICP分析装置に送り込む方法等が用いられている。このキャリアガスによる押出しでは、微粒子化した試料がセル内で拡散してしまい、分析感度及び分解能が低下する要因となっている。
図1は、試料がセル内で拡散し、分析感度が低下した場合の結果例を示したものである。図1は、時間に対するICP信号強度の変化を示すグラフであり、レーザー照射を行ったタイミングを矢印で示している。上記のようなキャリアガスにより微粒子化した試料を押し込む方法では、セル内で試料の拡散が生じ、図1における「拡散例1(破線)」のようなICP信号強度を示すものとなる。拡散例1によれば、レーザー照射後、ICP信号強度の上昇は比較的速やかなものの、拡散により、信号強度の減衰が遅延し、ゆるやかに減少しており、このため分析感度が低下する。
こうした微粒子化した試料の拡散を防ぎ、分析感度の低下を抑制する技術が求められている。特許文献1には、底部に開口部を有するセルを分析試料に直に密着させてレーザー照射し、温度勾配を利用してICP分析装置に分析試料を流入させる方法が開示されている。この方法では、分析試料の表面にセルを密着させつつ、温度勾配を利用することで、ICP分析装置に対する分析試料の流入を促している。この方法では、セルを分析試料上の任意箇所に移動させて分析できるため、表面積の大きな分析試料の分析にも対応できる。
特開2001−13074号公報
しかしながら、一方、特許文献1記載の分析方法は、セル開口部を分析試料に密着させることから、その接触部において分析試料表面の汚染が生じやすい。他方、セルに導入したキャリアガスで、微粒子化した試料を押しこむようにICP分析装置に送り込む方法では、上記のとおり、微粒子化した試料がセル内で拡散してしまい、この拡散は、セルの大きさが大きい程ほど顕著に生じる。このため、この方法では分析試料を配置するセルの大きさをできるだけ小さくすることが求められる。従って、分析する試料は、セル内に配置できるように、試料自体を小さくする必要がある。すなわち、表面積の大きな分析試料(例えば、半導体ウェーハ等)を分析するには、セル内に配置できるよう、分析試料を予め切断する等の前処理が必要となる。
ここで、上記したキャリアガスで試料を押し込む方法において、分析を行うセルの大きさを、表面積の大きな試料がそのまま配置できる程度に大きくした場合、セル内における分析試料の拡散がどのように進行するかを、図1の「拡散例2(2点鎖線)」に示している。拡散例2において、レーザー照射後のICP信号強度は、拡散によって遅延してゆるやかに上昇するとともに、その減衰もゆるやかで、全体的にブロードなピークとなり、分析感度が大幅に低下する。
以上に対し、セル内における試料の拡散を抑制し、分析感度の低下を抑制した場合のICP信号強度の例は、図1における「拡散なし(実線)」で示される。拡散なしの例では、レーザー照射後に、信号強度が速やかに上昇するとともに、信号強度の減衰も速やかに進行し、ICP信号強度のシャープなピークが示され、高感度な分析が可能となる。このため、マッピング分析等の連続的な分析を行う場合にも有用である。
このような背景の下、本発明は、微粒子化した分析試料のセル内の拡散を抑制し、高感度な分析を可能にするレーザーアブレーションICP分析方法を提供する。また、本発明は、表面積の大きな分析試料も切断することなく、簡便に分析可能となる分析方法を提供する。
上記課題を解決すべく本発明者等は鋭意検討を行い、従来技術では、チャンバー内におけるキャリアガスの流動方向が特に制御されておらず、チャンバー内の空間をキャリアガスが任意方向に流動してしまうために、分析試料の効率的な回収が困難になっているものと考えた。そこで、チャンバー内において、キャリアガスを所定の方向のみに流動制御する方法について検討し、下記本発明に想到した。
すなわち、本発明は、チャンバー内に配置した分析試料にレーザー光を照射し、レーザー光により微粒子化された分析試料を、キャリアガスで回収して誘導結合プラズマ質量分析するレーザーアブレーションICP分析方法において、微粒子化した分析試料をキャリアガスとともにチャンバー内から吸引排出して誘導結合プラズマ質量分析するレーザーアブレーションICP分析方法に関する。吸引排出する方法としては、エジェクタ、ネブライザー又は真空ポンプを用いる。
エジェクタは、蒸気やガスなどをノズルから噴流し、噴流部出口の負圧を利用してチャンバー内のキャリアガスを吸引する流体ポンプである。ネブライザーは、ICP分析装置への試料導入に使用されているものであり、不活性ガス等をノズルから噴射することによりチャンバー内のキャリアガスを吸引できる。また、真空ポンプとしては、ドライポンプを利用できる。本発明では、エジェクタ又はネブライザーが好適である。真空ポンプを用いた場合、ポンプ内を分析試料が通過するため、ポンプ内でメモリー(内管等に分析試料が付着し、ロス分が発生すること)や試料の拡散が生じやすいためである。
本発明では、エジェクタ等によりキャリアガスを吸引することで、チャンバー内に導入されたキャリアガスの流動方向を、エジェクタ等に接続するチャンバー排出口方向へと流動制御できる。このため、チャンバー内におけるキャリアガスのランダムな流動を抑制し、チャンバー内で分析試料が分散しにくいものとなる。また、エジェクタ等を用いた場合、チャンバー内の圧力を負圧となるように制御することが可能となる。チャンバー内を負圧にした場合、さらにキャリアガス流動が制御しやすいものとなる。尚、エジェクタやネブライザーによる吸引排出量は、エジェクタ等に供給する蒸気又はガスの流量を制御することにより調整できる。
本発明におけるレーザー光としては、Nd−YAGレーザー、エキシマレーザー、フェムトレーザー等の一般的なレーザー光として知られるものを利用できる。また、キャリアガスとしては、Ar、He等の不活性ガスが利用可能であり、Heガスが好適である。Heガスを用いた場合、微粒子化した試料の粒子サイズを微細化することができ、分析感度を向上できるためである。また、Heガスを用いた場合、Arガスを用いた場合よりも、微粒子化した試料が微細化により分析試料表面に残りにくく、特にチャンバー内が加圧された場合において、分析試料表面に残りにくくなる。
また、本発明の分析方法では、レーザー光をチャンバー略中央の上方より照射するとともに、キャリアガスをチャンバーの周縁側から中心方向に流動させて、微粒子化した分析試料とともにチャンバー略中央の上方より吸引排気することが好ましい。チャンバー内におけるキャリアガスの流動方向を、周縁側から中心方向へと流動制御することにより、微粒子化した試料の拡散を抑制できる。また、微粒子化した分析試料の排気位置を、レーザー照射を行うチャンバー略中央の上方にすることで、微粒子化した分析試料が拡散する前に、効率よくICP分析装置へと押し出すことができる。
この方法は特に、チャンバーのサイズを大きくした場合においても、キャリアガスを所定方向に流動するよう制御できる点で好ましい。チャンバーサイズが大きいものとなると、キャリアガスの任意方向への流動がより発生しやすく、分析試料の任意方向への拡散が生じやすいためである。例えば、分析試料として半導体ウェーハ基板を用いる場合、ウェーハをそのまま配置できる大きさのチャンバーを採用することが可能になる。この場合、製造後の半導体ウェーハ基板全体を、前処理することなく、そのままチャンバー内に配置し、質量分析することができる。かかる本発明の分析方法は、前述のとおり、従来の気相分解法ではエッチングが進行しにくい、SiC、GaN又はAlNからなるウェーハ基板にも適用できる点で特に有用である。尚、周縁部とは、チャンバーの内壁周辺を示し、チャンバー底面の形状に沿って内壁全周にわたる部分である。
以上説明した本発明の分析方法は、分析試料を配置するチャンバーと、チャンバー内にレーザー光を照射するレーザー照射手段と、ICP分析手段と、を備えるレーザーアブレーションICP分析装置において、レーザー照射手段は、チャンバーの略中心の上方に配置され、分析試料表面に対し垂直方向にレーザー光を照射可能となっており、チャンバーは、分析試料を載置し、底面と水平方向に基板を移動させる試料ステージと、分析試料表面にキャリアガスを供給するガス供給手段と、供給したキャリアガスをチャンバーの略中心の上方より吸引排気するガス排気手段と、分析試料の上方に配置され、キャリアガスをチャンバーの周縁側から中心方向に流動させるガス流動調整手段と、を備え、ICP分析手段は、エジェクタ、ネブライザー又は真空ポンプを備え、ガス流動調整手段の略中央がガス排気手段と接続し、ガス排気手段は、ICP分析手段のエジェクタ、ネブライザー又は真空ポンプに接続しているレーザーアブレーションICP分析装置を用いて行うことができる。
本発明の分析装置では、キャリアガスを周縁側から中心方向に流動させるガス流動調整手段と、チャンバーの略中心の上方よりキャリアガスを吸引排気するガス排気手段と、ガス排気手段と接続したエジェクタ等と、を備えることにより、キャリアガスの流動方向をチャンバー周縁側から中心方向という一定方向への流動のみに制御しつつ、チャンバー略中心で微粒子化した分析試料が拡散する前に、チャンバー略中心の上方に設置されたガス排気手段より排出させることができる。また、ガス流動調整手段は、キャリアガスが周縁側以外の内周側から分析試料表面に流動することを遮る役割も果たす。すなわち、チャンバー上方より導入されたキャリアガスは、ガス流動調整手段により周縁側へと誘導され、分析試料の内周側へは直接流動せず、ガス流動調整手段の外周側からのみ分析試料表面へと導入され、キャリアガスの流動方向の乱れを抑制できる。
かかる分析装置によれば、チャンバーサイズを大きくすることが可能となるため、例えば、分析試料が半導体ウェーハである場合、ウェーハ全体をそのまま配置することができる。このため、半導体製造ライン等のウェーハカセットから取り出したウェーハを自動で分析するシステムとすることも可能である。また、ウェーハ製造から分析までを自動化することで、半導体製造ラインとの分析情報共有も実現できる。さらに、チャンバーサイズの大きな分析装置では、表面積の小さな分析試料を、複数並べて分析することも可能であり、分析試料の入れ替えに要する時間を短縮できる。
以下、本発明におけるレーザーアブレーションICP分析装置の各構成につき、詳細に説明する。
分析試料を配置するチャンバーは、試料ステージ、ガス供給手段、ガス排気手段、及びガス流動調整手段を備える。チャンバーの形状は、直方状、円柱状等の任意形状等の任意の形状とすることができるが、分析試料が半導体ウェーハ等である場合は、底面が円状の円柱状が好ましい。チャンバーの大きさは、従来のレーザーアブレーション用のセルと同様に約5〜10cm程度の小さめとしても良いが、本発明によれば、4〜18インチの半導体ウェーハをそのまま配置できるような約20〜100cmとすることも可能である。尚、ウェーハをそのまま配置する場合、ウェーハの直径の約2倍以上の大きさのチャンバーを採用することが好ましい。この大きさのチャンバーであると、試料ステージ上にウェーハを配置し、水平方向に移動させた際に、ウェーハ全面を測定可能になるためである。例えば、18インチのウェーハ(約450mm)を配置する場合、チャンバーの大きさは約900mmが好適となる。
次に、ガス流動調整手段について説明する。ガス流動調整手段の形状は、任意の形状を採用することができ、円盤状又は分析試料側を頂点とする略円錐状が好ましい。ガス流動調整手段の大きさ(最大直径)は、チャンバー内に配置可能な任意のサイズとすることができるが、大きすぎるとキャリアガスの流動に偏りを生じる場合がある。このため、ガス流動調整手段の直径は、チャンバーの直径に対して、50〜95%が好ましく、65〜90%が特に好ましい。
ガス流動調整手段が円盤状である場合、円盤の数は1つ、又は複数のいずれであってもよい。また、円錐状と円盤状のガス流動調整手段とを、組み合わせて設置してもよい。複数の円盤を備える場合は、直径の異なる円盤とすることができる。特に、チャンバー上部より底部に向けて、直径が順次大きくなる円盤を多段に配置することが好ましい。チャンバー上部よりガス流動調整手段の外周側から分析試料表面へと、キャリアガスが流動しやすくなるためである。
ガス流動調整手段が円盤状である場合、外周付近の厚みが、外周端側に向けて薄く加工されており、切り欠き状の部分を有することが好ましい。切り欠き部分は、ガス流動調整手段において、分析試料に対面する下側と、分析試料と反対の上側のうち、どちらの側に設けても良いが、分析試料に対面する下側に設けることが好ましい。切り欠き部分を設けると、ガス流動調整手段の外周から分析試料表面に対し、キャリアガスがスムーズに流動し、例えばチャンバー上部への逆流等、分析試料表面以外にキャリアガスが流動する乱流を抑制できる。
以上のガス流動調整手段は、上下動可能に設置されることが好ましい。ガス流動調整手段の上下位置を変更することにより、ガス流動調整手段と分析試料との間に導入されたキャリアガスの流動速度を調整し、よりチャンバー周縁側から中心方向へ流動しやすい条件に制御できる。ガス流動手段の上下位置は、キャリアガスの供給量や排気量、基板の口径などを考慮して変更することが好ましい。尚、ガス流動調整手段は、パイプ状のガス排気手段に、上記した円盤状や円錐状等のものを取り付けて一体形状としてもよく、この場合、ガス排気手段を上下動させることにより、ガス流量調整手段を容易に上下動させることができる。
また、本発明の分析装置は、キャリアガスをチャンバーの略中心の上方より排気するガス排気手段を有する。ガス排気手段は、ガス流動調整手段の略中央に接続しており、この排気流によって、チャンバーの周縁から略中心方向へのキャリアガス流動が誘引される。また、排気口をチャンバー略中心の上方に有することにより、チャンバー略中心で微粒子化した分析試料を、レーザー照射を照射後、直ちにキャリアガスとともに排気できる。
本発明の分析装置は、以上説明したエジェクタ、ネブライザー又は真空ポンプを有するとともに、チャンバー内を負圧に維持する圧力調整手段を有することが好ましい。チャンバーの排気側はエジェクタ等により負圧雰囲気となりやすいものの、キャリアガスの供給により、チャンバー内の圧力が変化しやすいため、かかる圧力調整手段を設け、チャンバー内を負圧に維持することが好ましい。チャンバー内を負圧に維持することにより、分析試料の拡散を抑制しやすくなる。
このため、圧力調整手段は、チャンバーへのキャリアガス供給側に設けることが好ましい。上記の通り、チャンバーの排気側におけるガス流量(圧力)はエジェクタ等の特性に依存する傾向となるためである。圧力調整手段の機構は、特に制限されないが、例えば、バッファータンクを備える方法や、ガスバックを用いる方法を採用できる。負圧を維持するための具体的な方法としては、キャリアガスの供給側に、キャリアガスのバッファータンクを備え、バッファータンクと大気との差圧を一定に保つようにタンク内圧を制御するとともに、チャンバー内へのキャリアガス供給量を制御することにより、チャンバー内を負圧に維持することができる。また、テドラーバッグ等のガスバックを用いた場合には、予め分析に必要な容量分のガスをガスバックに充填し、エジェクタ等によりチャンバー外に吸引排気される量と同量のガスをガスバックより供給させることで、チャンバー内の負圧を維持できる。
そして、チャンバー内に配置した分析試料にレーザー光を照射するレーザー照射手段は、チャンバーの略中心の上方に配置され、分析試料表面に対し垂直方向にレーザー光を照射可能となるように設ける。かかる構成により、常にチャンバーの略中心に位置する分析試料にレーザー光が照射され、微粒子化される。よって、後述する試料ステージ上に載置した分析試料を水平方向に移動させて分析する際には、常にチャンバーの略中心に位置する部分の分析試料が分析されることとなる。レーザー照射手段は、チャンバー上部より試料表面にレーザー光を照射できるよう、レーザー照射経路に位置するチャンバー上部、ガス流動調整手段等の任意箇所に、レーザーを透過可能な窓部を設けることができる。また、ガス排気手段の配管内を通じて、レーザー照射することも好ましい。
分析試料を載置する試料ステージは、チャンバー底面と水平方向に移動可能なXYステージが好ましい。これにより、試料ステージを任意のX方向及びY方向に移動させることで、分析試料の任意箇所にレーザーを照射させて分析することが可能になる。このレーザー照射箇所と、ICP分析の結果とを連動させて制御することにより、分析試料の全面又は一部を連続して分析し、マッピング分析することも可能になる。尚、試料ステージの形状は、円状・角上等の任意形状を分析試料に応じて選択できる。
以上で説明したように、本発明のレーザーアブレーション分析方法によれば、チャンバー内における微粒子化した試料の拡散を防ぎ、分析感度の低下を抑制できる。また、チャンバーのサイズを大きなものとし、表面積の大きな分析試料をそのまま配置することも可能になる。
分析試料の拡散によるICP信号強度の変化例を示す図。 本実施形態のレーザーアブレーションICP分析装置の概略断面図。
以下、本発明における最良の実施形態について説明する。本実施形態では、分析試料としてウェーハ基板をレーザーアブレーションICP分析した場合について説明する。基板には、直径100mmのSiCウェーハを用いた。キャリアガスはHeガスとした。
図2は、本実施形態のレーザーアブレーションICP分析装置の概略断面図である。チャンバー10は底面が円型の円柱形状である。チャンバー10の内部には、円盤32と円盤33とをパイプ状のガス排気手段31に取り付けて一体にしたガス流動調整手段30を有する。円盤32の直径は、円盤33の直径よりも小さいものとし、円盤33の直径は、基板Wの直径よりも大きいものとした。また、円盤33は、外周の下側(試料Wに対面する側)に切り欠き部分を有する形状とした。チャンバーの直径は300mm、円盤33の直径は200mm(チャンバーの直径の約67%)、円盤32の直径は100mmとした。
チャンバー10の上側の略中央には貫通孔を有し、貫通孔内にガス排気手段31を配置した。このガス排気手段31の外周とチャンバー10の貫通孔の内周との間には、ガス供給手段としてキャリアガスGのガス導入口11を有する。チャンバー内のキャリアガスGは、ICP分析手段と接続しているネブライザー(図示せず)により吸引され、ガス排気手段31を通じて排気される。本実施形態では、アルゴンガスを噴射するタイプのネブライザーを用いた。ガス排気手段31内には、管内にフッ素樹脂製のチューブを配管しており(図示せず)、キャリアガスGは、この配管を通じて排気される。
ガス導入口11は、圧力調整手段と接続している。圧力調整手段は、ガス透過性の低いテドラーバック21と、ガス供給弁22とを備えるものとした。圧力調整手段としては、上記手段の他、テドラーバック21に替えてチャンバー容量よりも大きいバッファータンクで、タンク内に差圧センサー及び電磁弁を設けたものを適用することもできる。差圧センター及び電磁弁により、タンク内の圧力を一定に維持できる。
本実施形態の分析装置は、さらに、試料ステージ40と、レーザー照射手段50とを有する。試料ステージ40は、基板Wを載置するX−Yステージ41を有し、X−Yステージ41は、チャンバー10底部と水平に、任意のX方向及びY方向に移動可能となっている。本実施形態では、レーザー照射手段50を、ガス排気手段の排気パイプ31を通じて基板W表面にレーザー光Lを照射するように配置した。また、レーザー光Lの導入用として、石英製の窓部51を、排気パイプ31の上部に備えるものとした。
図2には、チャンバー10内に供給したキャリアガスGの流動方向を破線矢印で示している。チャンバー10内に供給したキャリアガスGは、小径の円盤32にその流動方向を遮られ円盤32の外周方向に流動する。そして、小径の円盤32の外周方向に流動したキャリアガスGは、その下に配置された大径の円盤33により、チャンバー10の周縁側に流動することになる。そしてチャンバー周縁側に流動したキャリアガスGは、基板Wと円盤33との間を、チャンバー10の中心方向へと流動する。そして、ネブライザーの吸引排気により、ガス排気手段の排気パイプ31を通じてキャリアガスGが排気され、上記チャンバー中心方向への流動が促される。
そして、レーザー照射手段50により、窓部51を通じて基板W表面にレーザー光Lが照射されて微粒子化した試料は、キャリアガスGとともにガス排気手段31内のフッ素樹脂製チューブを通ってチャンバー10から吸引排気される。X−Yステージ41によるX−Y方向の移動と、ICP分析の結果とは、連動制御されており、基板Wのマッピング分析が可能となっている。
以上説明した、レーザーアブレーションICP分析装置を用いて、基板の分析を行った。ネブライザーへ供給するArガスの流量は1〜2L/minとし、チャンバー内を100〜1000Paの負圧条件となるように調整した。
以上によるICP分析の結果、ICP信号強度のデータは、上昇及び減衰ともに速やかで、シャープなピークが示された。本実施形態の分析方法により、高感度な分析が可能になることが分かった。
本発明のレーザーアブレーション分析方法によれば、微粒子化した分析試料を効率的にチャンバー内から排出し、感度の高いICP分析が可能となる。また、本発明の分析装置であれば、表面積の大きな半導体基板等を、そのまま配置して分析することができ、試料表面を連続的にマッピング分析することも可能となる。
10 チャンバー
11 ガス導入口
20 圧力調整手段
21 テドラーバック
22 ガス供給弁
30 ガス流動調整手段
31 排気パイプ
32、33 円盤
40 試料ステージ
41 X‐Yステージ
50 レーザー照射手段
51 窓部
W 基板
G キャリアガス
L レーザー光

Claims (7)

  1. チャンバー内に配置した分析試料にレーザー光を照射し、レーザー光により微粒子化された分析試料をキャリアガスで回収して誘導結合プラズマ質量分析するレーザーアブレーションICP分析方法において、
    エジェクタ、ネブライザー又は真空ポンプの吸引により、微粒子化した分析試料をキャリアガスとともにチャンバー内から排出して誘導結合プラズマ質量分析するレーザーアブレーションICP分析方法。
  2. レーザー光は、チャンバー略中央の上方より照射するとともに、
    キャリアガスは、チャンバーの周縁側から中心方向に流動させた後、微粒子化した分析試料とともにチャンバー略中央の上方より吸引排気する請求項1に記載されたレーザーアブレーションICP分析方法。
  3. 分析試料はSiC、GaN又はAlNからなるウェーハ基板であり、
    基板全体をチャンバー内に配置し、チャンバー底面と水平方向に基板を移動させてレーザー光を照射した部分に含まれる微量元素を質量分析する請求項1又は請求項2記載のレーザーアブレーションICP分析方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された分析方法に用いられ、分析試料を配置するチャンバーと、チャンバー内にレーザー光を照射するレーザー照射手段と、ICP分析手段と、を備えるレーザーアブレーションICP分析装置において、
    レーザー照射手段は、チャンバーの略中心の上方に配置され、分析試料表面に対し垂直方向にレーザー光を照射可能となっており、
    チャンバーは、分析試料を載置し、底面と水平方向に基板を移動させる試料ステージと、分析試料表面にキャリアガスを供給するガス供給手段と、供給したキャリアガスをチャンバーの略中心の上方より吸引排気するガス排気手段と、分析試料の上方に配置され、キャリアガスをチャンバーの周縁側から中心方向に流動させるガス流動調整手段と、を備え、
    ICP分析手段は、エジェクタ、ネブライザー又は真空ポンプを備え、
    ガス流動調整手段の略中央がガス排気手段と接続し、
    ガス排気手段は、ICP分析手段のエジェクタ、ネブライザー又は真空ポンプに接続しているレーザーアブレーションICP分析装置。
  5. チャンバー内を負圧に維持する圧力調整手段を更に有する請求項4記載のレーザーアブレーションICP分析装置。
  6. ガス流動調整手段は円盤状であり、外周付近の厚みが、外周端側に向けて薄く加工されている請求項4又は請求項5に記載のレーザーアブレーションICP分析装置。
  7. ガス流動調整手段は、上下動可能に設置されている請求項4〜請求項6のいずれかに記載されたレーザーアブレーションICP分析装置。
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