JP2013024806A - レーザーアブレーション質量分析装置 - Google Patents

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健吾 茅野
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Abstract

【課題】アブレーションによって生成された試料エアロゾルの濃度を低くすることなく、2以上の成分元素をマッピング分析する際のテーリングの発生を抑制することのできるレーザーアブレーション質量分析装置を提供する。
【解決手段】LA装置10とICP-MS装置20からなるLA-ICP-MS装置100において、アブレーションチャンバー2は、容器3、管路4、キャリアガスCGを容器3内に提供する流入路3aと第1の開閉弁7a、第2の開閉弁7bを有する導入路3bを備え、レーザーLの照射によって生成された試料エアロゾルAEをレーザー照射位置から拡散させる拡散用ガスDGを容器3内に提供する第1の制御、各弁7a,7bが閉制御された状態で第1の制御が実行され、容器3内の試料エアロゾルAEが所定の濃度となった段階でキャリアガスCGを容器3内に提供し、試料エアロゾルAEをICP-MS装置20に導く第2の制御が実行される。
【選択図】図2

Description

本発明は、レーザーアブレーション質量分析装置に係り、特にレーザーを固体試料に照射して気化させ、キャリアガスとともにICP-MS装置に気化試料を導入するレーザーアブレーション装置(LA装置)に特徴を有するレーザーアブレーション質量分析装置に関するものである。
誘導結合プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry: ICP-MS)法は、超微量元素を高感度で、しかも多元素を同時定量分析できる手法として現在注目されている。中でも、固体試料を直接局所的に分析できるレーザーアブレーション(LA)法を適用した、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析(LA-ICP-MS)法が特に注目されており、地質学や材料化学の分野で利用されている。
このLA-ICP-MS法適用の際に使用されるLA-ICP-MS装置は、固体試料を収容するアブレーションチャンバーと、この固体試料表面にNd-YAGレーザー等の高強度のレーザーを照射するレーザー発信器と、から構成されるLA装置と、アブレーションチャンバー内でレーザーによって固体試料が熱的に気化した試料エアロゾル(試料微粒子、アブレーションガス)がキャリアガスとともに導入されて質量分析が実施されるICP-MS装置と、から大略構成されている。
様々な分野で利用されているLA-ICP-MS法であるが、上記LA-ICP-MS装置においては、固体試料がアブレーションされてできた試料エアロゾルを可及的に高い濃度でICP-MS装置に導入することが当該分野における解決課題の一つとなっている。より具体的に説明するに、LA-ICP-MS分析では、固体試料のエリアごとの質量分析からそのエリアの主たる形成元素を特定し、固体試料の全体でマッピング分析をおこなうことから、試料エアロゾルの濃度が低いとマッピング分析精度が低下することになる。
この分析に使用される従来のLA-ICP-MS装置においては、レーザーを連続的に照射するとともにアブレーションチャンバー内へキャリアガスを連続的に提供する制御やICP-MS装置への試料エアロゾルの連続的な払い出し制御がおこなわれており、このことによって固体試料中の元素量を可及的迅速に分析することを可能としている。しかしながら、アブレーションチャンバー内へキャリアガスを連続的に提供することによって試料エアロゾルの濃度が往々にして低くなり易く、感度不足によって精度のよいマッピング分析がおこない難いという上記課題が顕在化している。
また、貴金属を2層コーティングした排ガス触媒においては、2層コートされた貴金属の拡散状態が触媒性能へ大きな影響を与える要因の一つであり、この拡散状態を正しく把握するために、固体試料の各位置における貴金属量の正確な把握をライン分析によっておこなうことが必要となる。しかしながら、上記するようにアブレーションチャンバー内へキャリアガスを連続的に提供することによって、ライン分析時にいわゆるテーリングが生じてしまい、正しい位置情報を得難いという課題も生じている。
このことを図面を参照して説明する。図8aは、従来のLA-ICP-MS装置を使用した際に得られる、貴金属2層コーティング排ガス触媒のライン分析結果の一例である。同図からも明らかなように、強度の異なる2種類の貴金属が160〜250μmの範囲でラップしており、このように異なる成分がラップすることをテーリングと称している。
図8bは図8aを模擬した図であるが、現状のマッピング分析では、成分A,Bの各成分検出量においてテーリングが発生し易く、上記するように正しい位置情報が得られ難くなっている。これは、アブレーションチャンバー内へキャリアガスを連続的に提供することにより、固体試料の異なる部位で異なる時間にアブレーションされて生成されたはずの試料エアロゾルのそれぞれがICP-MS装置へ到達するまでに拡散しながら混合されることによるものであると考えられる。
したがって、アブレーションによって生成された試料エアロゾルの濃度を低くすることなく、しかも、2以上の成分元素をマッピング分析する際のテーリングの発生を抑制することのできるLA-ICP-MS装置の開発が当該技術分野における急務の課題である。
ところで、固体試料のみならず液体試料にも適用可能なLA-ICP-MS法と装置が特許文献1に開示されている。これは、液体試料を凍結固化させて固体試料とすることにより、液体試料に対してレーザーアブレーションを可能とした方法と装置である。装置を構成する試料ホルダを低温冷却可能とすることにより、試料温度を低温に維持してレーザー光によるアブレーションを可能としている。
このように特許文献1に開示のLA-ICP-MS装置は、試料ホルダを低温冷却可能とすることが特徴構成であるが、そのほかの装置構成は上記する従来の装置と実質的に同じであり、したがって、アブレーションによって生成された試料エアロゾルの濃度を低くすることなく、しかも、2以上の成分元素をマッピング分析する際のテーリングの発生を抑制することを何等保証するものではない。
特開平11−51904号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、LA装置内においてアブレーションによって生成された試料エアロゾルの濃度を低くすることなく、しかも、2以上の成分元素をマッピング分析する際のテーリングの発生を抑制することのできるレーザーアブレーション質量分析装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるレーザーアブレーション質量分析装置は、レーザー発信器と固体試料が収容されるアブレーションチャンバーとからなるレーザーアブレーション装置(LA装置)と、このアブレーションチャンバーに流体連通し、気化された試料エアロゾルがキャリアガスとともに導入されて試料エアロゾルの質量分析がおこなわれる誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS装置)からなるレーザーアブレーション質量分析装置において、前記アブレーションチャンバーは、固体試料が収容される容器と、容器内に流体連通する管路と、第1の開閉弁を介して該容器に流体連通してキャリアガスを容器内に提供す流入路と、第2の開閉弁を介して容器とICP-MS装置の双方に流体連通して試料エアロゾルを容器からICP-MS装置に導入する導入路と、を備えており、レーザー発信器から発信されるレーザーを前記管路を介して固体試料に提供し、かつ、生成された試料エアロゾルを少なくともレーザー照射位置から拡散させるための拡散用ガスを前記管路を介して容器内に提供する第1の制御が実行されるようになっており、前記第1、第2の開閉弁が閉制御された状態で前記第1の制御が実行され、容器内の試料エアロゾルが所定の濃度となった段階で第1、第2の開閉弁を開制御し、流入路からキャリアガスを容器内に提供し、このキャリアガスで容器内の試料エアロゾルを導入路を介してICP-MS装置に導く第2の制御が実行されるようになっているものである。
本発明のレーザーアブレーション質量分析装置は、従来装置のようにキャリアガスを連続的に容器内に提供するといった制御を廃し、容器内で試料エアロゾルが所定の濃度となった段階でキャリアガスによって試料エアロゾルをICP-MS装置に払い出す制御をおこなうとともに、レーザー照射による試料エアロゾルの生成に際し、生成された試料エアロゾルをレーザー照射位置から拡散させて該試料エアロゾルがレーザー照射の妨げとなるのを防止するための拡散用ガスを容器内に提供する制御を合わせておこなうものである。
このように、絶えずキャリアガスを流し続ける制御を廃したことによって容器内で試料エアロゾルの濃度が低くなることを解消することができる。
アブレーションチャンバーを、固体試料が収容される容器と、容器にレーザーを照射するための管路と、第1の開閉弁を介して容器に流体連通してキャリアガスを容器内に提供する流入路と、第2の開閉弁を介して容器とICP-MS装置の双方に流体連通して試料エアロゾルを容器からICP-MS装置に導入する導入路から構成し、容器内で試料エアロゾルが所定の濃度となるまでは第1、第2の開閉弁を閉制御しておき、したがって、容器内へのキャリアガスの提供はおこなわれない。
容器内で生成される試料エアロゾルが所定の濃度となった段階で第1、第2の開閉弁が開制御され、容器内へキャリアガスが提供されるとともに、このキャリアガスによって容器内で溜まった試料エアロゾルは一気にICP-MS装置へ払い出されることになる(第2の制御)。
たとえば固体試料の所定エリアごとに上記する第2の制御が実行されることにより、固体試料の異なるエリアで異なる時間にアブレーションされて生成されたはずの試料エアロゾルのそれぞれがICP-MS装置へ到達するまでに拡散しながら混合されることが効果的に解消され、このことによってマッピング分析におけるテーリングの発生が効果的に解消されることになる。
ここで、容器内に試料エアロゾルを一定時間溜めおくことから、この試料エアロゾルがレーザー照射の妨げになる可能性が高くなる。そこで、本発明の装置では、生成された試料エアロゾルを少なくともレーザー照射位置から拡散させるための拡散用ガスが管路を介して容器内に提供されるようになっている(第1の制御)。
この拡散用ガスは、キャリアガスと同様に、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスが適用される。
レーザーが照射される管路を介して拡散用ガスも容器内へ提供されることにより、容器内で生成された試料エアロゾルは拡散用ガスによって瞬時に容器の隅へ押しやられ、試料エアロゾルが以後のレーザー照射の妨げとなるのが解消される。
ここで、前記LA装置は制御部をさらに備えており、前記第2の制御では、容器内に装備された濃度センサによって試料エアロゾルの濃度が検知され、検知データが前記制御部に送信されるようになっており、前記制御部には、試料エアロゾルの濃度の閾値となる前記所定の濃度に関するデータが記憶されていて、濃度センサから送信される検知データが該閾値以上となった段階で閉じた状態の第1、第2の開閉弁に開制御信号を送信するようになっている実施の形態であってもよい。
試料エアロゾルを構成する元素ごとに、質量は勿論のこと、アブレーションのし易さや分析の際の最適な感度が相違しており、したがって、各元素の感度に応じた濃度は予め特定されているのが望ましい。
そこで、元素ごとに好ましい濃度を予め特定しておき、これを第1、第2の開閉弁に開制御信号を送信する際の閾値としてLA装置を構成する制御部内に記憶させておく。
一方、容器内には濃度センサを装備しておき、容器内の試料エアロゾルの濃度を絶えず検知するとともに検知データを制御部に送信するようにしておく。
濃度センサから送信される検知データが閾値以上となった段階で閉じた状態の第1、第2の開閉弁に開制御信号を送信することにより、試料エアロゾルの濃度に応じた弁の開閉制御を自動制御することが可能となる。
なお、この制御部においては、その他の制御、たとえば容器内で固体試料を載置するテーブルを移動させてレーザー照射位置を変更したり、キャリアガスの流量や流速を調整する等の制御が実行されるようになっていてもよい。
ここで、アブレーションチャンバーを構成して固体試料が収容される容器と連通する管路の実施の形態として、以下2つの実施の形態を挙げることができる。
その一つは、管路が一重管であり、レーザーと拡散用ガスは共通の該管路を介して同軸状で容器内に提供されるようになっている形態である。
また、他の一つは、管路が内管と外管からなる二重管であり、レーザーが内管を介し、拡散用ガスが内管と外管の間の空間を介してそれぞれ容器内に提供されるようになっている形態である。この形態の管路においては、たとえば内管の断面を容器側に向かって縮径するように構成しておくことで、内管の外側の空間を流れる拡散用ガスも内管の表面に沿って流れ、固体試料におけるレーザー照射位置の周囲に拡散用ガスを案内することができる。
上記いずれの形態の管路であっても、拡散用ガスによって固体試料の少なくともレーザー照射位置から試料エアロゾルを効果的に拡散させることができ、容器内で溜め置かれる試料エアロゾルがレーザー照射の妨げとなることを抑止することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明のレーザーアブレーション質量分析装置によれば、容器内で試料エアロゾルが所定の濃度になった段階で該容器内にキャリアガスを提供し、このキャリアガスによって所定濃度の試料エアロゾルをICP-MS装置へ一気に払い出すことにより、容器内で試料エアロゾルの濃度が低くなることを解消することができ、固体試料の異なるエリアで異なる時間にアブレーションされて生成されたはずの試料エアロゾルのそれぞれがICP-MS装置へ到達するまでに拡散しながら混合されることが効果的に解消され、もってマッピング分析におけるテーリングの発生を効果的に解消することができる。
本発明のレーザーアブレーション質量分析装置の一実施の形態を示す模式図であって、装置の第1の制御を説明する図である。 図1とともに、第1の制御を説明する図である。 第2の制御を説明する図である。 図8bに対応する図であって、図1で示すレーザーアブレーション質量分析装置によって得られると考えられる、貴金属2層コーティング排ガス触媒マッピング分析結果を示す模式図である。 本発明のレーザーアブレーション質量分析装置の他の実施の形態を示す模式図であって、装置の第1の制御を説明する図である。 図5とともに、第1の制御を説明する図である。 第2の制御を説明する図である。 (a)は従来のレーザーアブレーション質量分析装置を使用した際に得られる、貴金属2層コーティング排ガス触媒のライン分析結果の一例を示す図であり、(b)は図8aを模擬したマッピング分析図である。
以下、図面を参照して本発明のレーザーアブレーション質量分析装置の実施の形態を説明する。
(レーザーアブレーション質量分析装置の実施の形態1)
図1は本発明のレーザーアブレーション質量分析装置の一実施の形態を示す模式図であってその第1の制御を説明する図であり、図2は図1とともに第1の制御を説明する図であり、図3は第2の制御を説明する図である。
図示するレーザーアブレーション質量分析装置100(以下、LA-ICP-MS装置100)は、レーザーアブレーション装置10(以下、LA装置10)と、誘導結合プラズマ質量分析装置20(以下、ICP-MS装置20)から大略構成されており、LA装置10を構成するアブレーションチャンバー2とICP-MS装置20を構成する質量分析チャンバーがアブレーションチャンバー2を構成する導入路3bを介して接続されている。
LA装置10は、Nd-YAGレーザー等の高強度のレーザーを照射するレーザー発信器1と、レーザーを屈折させる屈折レンズ11と屈折後のレーザーを集光する集光レンズ12とからなる光学系と、アブレーションチャンバー2と、から大略構成されている。なお、図示例では、屈折レンズ11の上方にCCDカメラ13が搭載され、ここでの撮像データが不図示のTVモニターに送信されるようになっており、アブレーションポイントにおけるレーザー合焦等の確認をTVモニターにておこなうことができるようになっている。
アブレーションチャンバー2は、固体試料Sが収容される容器3と、容器3内に流体連通する管路4と、第1の開閉弁7aを介して容器3に流体連通してキャリアガスを容器3内に提供する流入路3aと、第2の開閉弁7bを介して容器3とICP-MS装置20の双方に流体連通して試料エアロゾルAEを容器3からICP-MS装置20に導入する導入路3bと、制御部6と、から構成されている。そして、アルゴンやヘリウムといった不活性ガスからなるキャリアガスを収容するガスタンクとこれを提供するポンプから構成された不図示のキャリアガス供給系が流入路3aに流体連通している。また、キャリアガスと同様にアルゴンやヘリウムといった不活性ガスからなる拡散用ガスを収容するガスタンクとこれを提供するポンプから構成された拡散用ガス供給系4aが、管路4の途中位置で該管路4と流体連通している。
容器3の内部には平面(X軸およびY軸)を移動自在なX−YテーブルからなるステージSTが設けてあり、この上に分析対象の固体試料Sが載置される。固体試料の任意ポイントもしくは任意エリアのアブレーションと質量分析が実行されたら、ステージSTが可動し(図示例ではX方向)、別途ポイントもしくは別途エリアのアブレーションと質量分析が実行される。なお、このステージSTは、平面(X軸およびY軸)を移動自在なX−Yテーブルであり、面的に広がる固体試料表面の各ポイントもしくは各エリアを所望順序でレーザーアブレーションするように移動制御される。
なお、LA-ICP-MS装置100の特徴構成がLA装置10にあることから、ICP-MS装置20は従来公知のものを適用することができ、その具体的な内部構成の図示は省略する。たとえば、導入路3bと連通する質量分析チャンバー内に固体試料に由来する試料エアロゾルがキャリアガスによって運ばれて導入されると、プラズマトーチに巻装されたコイルに高周波電力が供給され、これによってプラズマトーチ内に誘導結合型のプラズマを発生させ、このプラズマによって試料エアロゾルがイオン化された後に質量分析計にて質量分析が実行されるようになっている。なお、固体試料表面のエリアごとに質量分析が実行され、これをマッピング分析することによって固体試料表面の質量分析マップが作成される。
容器3の内部には濃度センサ5が装備されており、この濃度センサ5、第1の開閉弁7a、第2の開閉弁7bはそれぞれ、制御部6にデータ送受信自在に接続されている。
制御部6はコンピュータ内部に内蔵されており、制御部6には、容器3内に溜められた試料エアロゾルAEの濃度の閾値データがその記憶手段にデータ入力されており、濃度センサ5から随時送信されてくる濃度の検知データを受信し、その比較演算部で濃度の検知データと閾値データの大小比較演算が随時おこなわれる。
そして、濃度センサ5から送信される検知データが閾値データ以上となった段階で図1で示す閉じた状態の第1、第2の開閉弁7a,7bに開制御信号を送信するようになっている。
また、制御部6では、上記するステージSTの移動制御やレーザー発信器1の作動ON−OFF制御、レーザー強度の調整やキャリアガスの流量(もしくは流速)の調整、不図示のキャリアガス供給機のキャリアガス導入ON−OFF制御やそれらの相対的な制御タイミングのほか、高周波電力の供給制御、質量分析計の実行制御なども実行されるようになっている。
ここで、図1で示すLA-ICP-MS装置100を使用したレーザーアブレーション質量分析の概要を説明する。
まず、図1で示すように、第1、第2の開閉弁7a,7bを閉制御し、容器3内へのキャリアガスの提供が停止された状態とする。
この状態でレーザー発信器1を稼動させると、照射されたレーザーLは、屈折レンズ11と集光レンズ12を介し、管路4を通って容器3内に入射し、ステージST上に載置された固体試料Sの所定エリアに照射されてレーザーアブレーションをおこない、試料エアロゾルAEが生成される。
このレーザーアブレーションと同時に、図2で示すように、拡散用ガス供給系4aから拡散用ガスDGが管路4内に提供され、この拡散用ガスDGは、管路4を介してレーザーLと同軸状で容器3内に進入し、固体試料Sのアブレーションスポットの周囲に提供されることで、アブレーションスポットやその近傍から試料エアロゾルAEを容器3の隅側へ押しやって拡散させる(第1の制御)。
この第1の制御が実行されながら容器3内が所定濃度の試料エアロゾルAEで充満するまで試料エアロゾルAEの生成が継続される。なお、この継続時間は、分析対象の元素の質量やアブレーションのし易さ、分析の際の最適な感度に基づく濃度となるまでの時間であり、元素ごとに予め設定されている。
容器3内の試料エアロゾルAEが所定の濃度に達した段階で、制御部6から第1、第2の開閉弁7a,7bに開制御信号が送信され、図3で示すように双方の開閉弁7a,7bが開制御される(Y方向)。
第1の開閉弁7aが開くことにより、流入路3aに流体連通しているキャリアガス供給系からキャリアガスCGが容器3内に提供され、容器3内で溜め置かれた試料エアロゾルAEが第2の開閉弁7bを介し、導入路3bを通ってICP-MS装置20へ払い出される。
ICP-MS装置20に提供された試料エアロゾルAEは、質量分析チャンバー内に運ばれ、発生されたプラズマによってイオン化された後に質量分析計にて質量分析が実行される。なお、この質量分析(マッピング分析)の際には、検出器にICP-TOF-MSを使用して短時間検出をおこなうのが望ましい。
上記する一連の分析フローが実行されたら、ステージSTを所望に移動させ、固体試料Sの別途エリアにおけるレーザーアブレーションと質量分析が同様のフローで実行される。
図4は、LA-ICP-MS装置100によって得られると考えられる、貴金属2層コーティング排ガス触媒マッピング分析結果を示す模式図である。同図においては、2つの成分A,Bが明確に分離された状態でマッピングされており、図8bで示すようなテーリングも生じない。
図示するLA-ICP-MS装置100によれば、容器3内で試料エアロゾルAEが所定の濃度になった段階で容器3内にキャリアガスCGが提供されることから、絶えずキャリアガスCGが容器内に提供される従来装置のように容器3内で試料エアロゾルAEの濃度が低くなるといった問題は生じ得ない。
また、固体試料Sの異なるエリアで異なる時間にアブレーションされて生成されたはずの試料エアロゾルのそれぞれがICP-MS装置20へ到達するまでに拡散しながら混合されることが効果的に解消され、もってマッピング分析におけるテーリングの発生を効果的に解消することができる。
(レーザーアブレーション質量分析装置の実施の形態2)
図5は本発明のレーザーアブレーション質量分析装置の他の実施の形態を示す模式図であってその第1の制御を説明する図であり、図6は図5とともに第1の制御を説明する図であり、図7は第2の制御を説明する図である。
図示するLA-ICP-MS装置100Aと既述するLA-ICP-MS装置100の相違は、LA-ICP-MS装置100を構成する管路4が一重管であるのに対して、LA-ICP-MS装置100Aを構成する管路4Aが内管4’と外管4”からなる二重管である点であり、この管路4Aと容器3からアブレーションチャンバー2Aが構成され、このアブレーションチャンバー2Aとレーザー発信器1等からLA装置10Aが構成される。
レーザーLは内管4’を介し、拡散用ガスDGは内管4’と外管4”の間の空間を介してそれぞれ容器3内に提供されるようになっている。
図示する内管4’は、その断面が容器3側に向かって縮径するように構成されており、このような構成の内管4'を適用することで、その外側の空間を流れる拡散用ガスDGも内管4’の表面に沿って流れ、固体試料Sにおけるレーザー照射位置の周囲に拡散用ガスDGを案内することができる。
図示するLA-ICP-MS装置100Aによっても、容器3内で試料エアロゾルAEが所定の濃度になった段階で容器3内にキャリアガスCGが提供されることから、絶えずキャリアガスCGが容器内に提供される従来装置のように容器3内で試料エアロゾルAEの濃度が低くなるといった問題は生じ得ない。また、固体試料Sの異なるエリアで異なる時間にアブレーションされて生成されたはずの試料エアロゾルのそれぞれがICP-MS装置20へ到達するまでに拡散しながら混合されることが効果的に解消され、もってマッピング分析におけるテーリングの発生を効果的に解消することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…レーザー発信器、2,2A…アブレーションチャンバー、3…容器、3a…流入路、3b…導入路、3c…ステージ、4,4A…管路、5…濃度センサ、6…制御部、7a…第1の開閉弁、7b…第2の開閉弁、10,10A…レーザーアブレーション装置(LA装置)、20…誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS装置)、100,100A…レーザーアブレーション質量分析装置(LA-ICP-MS装置)、L…レーザー、DG…拡散用ガス、CG…キャリアガス、S…固体試料、AE…試料エアロゾル

Claims (4)

  1. レーザー発信器と固体試料が収容されるアブレーションチャンバーとからなるレーザーアブレーション装置(LA装置)と、このアブレーションチャンバーに流体連通し、気化された試料エアロゾルがキャリアガスとともに導入されて試料エアロゾルの質量分析がおこなわれる誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS装置)からなるレーザーアブレーション質量分析装置において、
    前記アブレーションチャンバーは、固体試料が収容される容器と、容器内に流体連通する管路と、第1の開閉弁を介して該容器に流体連通してキャリアガスを容器内に提供する流入路と、第2の開閉弁を介して容器とICP-MS装置の双方に流体連通して試料エアロゾルを容器からICP-MS装置に導入する導入路と、を備えており、
    レーザー発信器から発信されるレーザーを前記管路を介して固体試料に提供し、かつ、生成された試料エアロゾルを少なくともレーザー照射位置から拡散させるための拡散用ガスを前記管路を介して容器内に提供する第1の制御が実行されるようになっており、
    前記第1、第2の開閉弁が閉制御された状態で前記第1の制御が実行され、容器内の試料エアロゾルが所定の濃度となった段階で第1、第2の開閉弁を開制御し、流入路からキャリアガスを容器内に提供し、このキャリアガスで容器内の試料エアロゾルを導入路を介してICP-MS装置に導く第2の制御が実行されるようになっているレーザーアブレーション質量分析装置。
  2. 前記LA装置は制御部をさらに備えており、
    前記第2の制御では、容器内に装備された濃度センサによって試料エアロゾルの濃度が検知され、検知データが前記制御部に送信されるようになっており、
    前記制御部には、試料エアロゾルの濃度の閾値となる前記所定の濃度に関するデータが記憶されていて、濃度センサから送信される検知データが該閾値以上となった段階で閉じた状態の第1、第2の開閉弁に開制御信号を送信するようになっている請求項1に記載のレーザーアブレーション質量分析装置。
  3. 前記管路は一重管であり、レーザーと拡散用ガスは共通の該管路を介して同軸状で容器内に提供されるようになっている請求項1または2に記載のレーザーアブレーション質量分析装置。
  4. 前記管路は内管と外管からなる二重管であり、レーザーが内管を介し、拡散用ガスが内管と外管の間の空間を介してそれぞれ容器内に提供されるようになっている請求項1または2に記載のレーザーアブレーション質量分析装置。
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