JP2016039376A - サーミスタ素子の欠陥検出方法 - Google Patents

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和崇 藤原
長友 憲昭
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憲昭 長友
乾 信一郎
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信一郎 乾
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Abstract

【課題】サーミスタ内の内部欠陥を効率的に検出することができるサーミスタ素子の欠陥検出方法を提供すること。【解決手段】インピーダンスの周波数応答特性を測定するステップと、実数成分Rを横軸とすると共に虚数成分Xを縦軸としたCole−Coleプロットを作成するステップと、前記プロットで得た曲線の低周波下限のときの実数成分RをRmaxとし、中心が(Rmax/2,0)であり前記曲線に近似する仮想円の半円を求めるステップと、前記プロットで得た曲線の前記半円からの歪みの程度を歪み率として求めるステップと、予め複数の素子を測定して得た歪み率と素体の内部欠陥の有無との相関データに基づいて、内部欠陥の有る場合の最小歪み率を基準値として設定するステップと、算出した歪み率が基準値よりも大きいときに素体に内部欠陥があると判断するステップとを有している。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車関係等の温度計測に用いられるサーミスタ素子において製造時や信頼性試験時の内部欠陥を非破壊で検出することができるサーミスタ素子の欠陥検出方法に関する。
一般に、自動車エンジン周りの触媒温度、排気系温度又はガス燃焼制御等の高温測定を行う温度センサとして、サーミスタ温度センサが採用されている。このサーミスタ温度センサに用いられるサーミスタ素子は、例えば、上記自動車関連技術、情報機器、通信機器、医療用機器、住宅設備機器等の温度センサとして利用され、大きな負の温度係数を有する酸化物半導体の焼結体などの素子を用いている。
このサーミスタ素子の製造時や信頼性試験時には、クラック等の内部欠陥が発生する場合があり、この内部欠陥の検出は、発生場所によっては目視による直接観察が困難であり、断面観察等を行っている。しかしながら、断面観察の場合、顕微鏡を使用して局所的な部分を観るためにクラック等を見逃す可能性があった。そこで、非破壊で効率的にクラック等を検出する手段が検討されている。
例えば、従来、非特許文献1では、電流雑音を用いてクラックを検出する方法が提案されている。また、非特許文献2では、第3高調波を用いた方法などが提案されている。
吉田裕通、他4名、「1/fノイズを利用した半固定抵抗器のSO2試験評価方法」、電学論C,116巻12号,平成8年 高久 清、他2名、「抵抗体の非直線性特性とその形状効果」、電子通信学会論文誌、’73/6 Vol.56−C No.6
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記従来の検出方法では、クラック等の内部欠陥と、内部欠陥以外の不良との区別をすることが困難であり、抵抗値変化がクラック等の内部欠陥によるものか、他の不良(例えば電極剥離)によるものかを判別することができないという問題があった。
例えば、図5の(a)に示すように、一対の電極3間のサーミスタ素体2がクラックの無い正常な状態であれば、サーミスタ素子1の等価回路は、図5の(b)に示すように、近似的に電気的に抵抗Rと容量Cとの並列回路で表すことができる。
しかしながら、図6の(a)に示すように、サーミスタ素体2の一部にクラック2aが生じたサーミスタ素子21の場合、その部分の抵抗値が大きくなる一方で、その部分の容量が小さくなり、図6の(b)に示すように、局所的に抵抗成分と容量成分とが異なった別の回路成分が加わった形になる。すなわち、抵抗R1と容量C1との並列回路と、クラック2aで生じた抵抗R2と容量C2との並列回路とが直列に接続された回路として近似的に表すことができる。一方、図7の(a)に示すように、電極剥がれ等によって抵抗値が上昇したサーミスタ素子31の場合、図7の(b)に示すように、等価回路的には正常状態と変わらず、抵抗R3と容量C3とが変化するだけとなる。この場合、抵抗R3は、正常状態の場合の抵抗Rより大きくなり、容量C3は、正常状態の場合の容量Cよりも小さくなる。
しかしながら従来の方法では、主に抵抗値の上昇分を検出する手法であったため、このように破壊モードによって等価回路が異なった場合でも、特にクラックの入った場合を他の不良から区別することが難しかった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、サーミスタ内の内部欠陥を効率的に検出することができるサーミスタ素子の欠陥検出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、サーミスタ素子におけるクラック等の内部欠陥の有無を評価する技術について研究を進めたところ、サーミスタ素子において正常部分と内部欠陥が生じた部分とでは、インピーダンスの周波数緩和特性が異なることを突き止めた。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
すなわち、第1の発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法は、サーミスタ素体の表面に少なくとも一対の電極が形成されているサーミスタ素子の欠陥を検出する方法であって、前記一対の電極間の前記サーミスタ素体についてインピーダンスの周波数応答特性を測定するステップと、測定した前記周波数応答特性からインピーダンスの実数成分Rを横軸とすると共にインピーダンスの虚数成分Xを縦軸としたCole−Coleプロットを作成するステップと、前記Cole−Coleプロットで得た曲線における前記曲線の低周波下限のときの前記実数成分RをRmaxとし、中心が(Rmax/2,0)であり前記Cole−Coleプロットの曲線に近似する仮想円の半円を求めるステップと、前記Cole−Coleプロットで得た曲線の前記半円からの歪みの程度を歪み率として求めるステップと、予め複数のサーミスタ素子を測定して得た前記歪み率と前記サーミスタ素体の内部欠陥の有無との相関データに基づいて、内部欠陥の有る場合の最小歪み率を基準値として設定するステップと、算出した前記歪み率が、前記基準値よりも大きいときに前記サーミスタ素体に内部欠陥があると判断するステップとを有していることを特徴とする。
このサーミスタ素子の欠陥検出方法では、Cole−Coleプロット(ナイキストプロット)に基づいて算出した歪み率が、上記基準値よりも大きいときにサーミスタ素体に内部欠陥があると判断するので、クラック等の内部欠陥起因で抵抗率が上昇した際に歪んだ形状に変化したCole−Coleプロットに基づいて、クラック等の内部欠陥を非破壊で高精度に検出することができる。
第2の発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法は、第1の発明において、前記Cole−Coleプロットで得た曲線における前記虚数成分Xの絶対値の最大値を|Xmax|とし、得られた前記曲線の扁平率αを、式:「α=|Xmax|×2/Rmax」により求め、前記歪み率α’を、式:「α’=1−α」により求めることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子の欠陥検出方法では、得られた前記曲線の扁平率αを、式:「α=|Xmax|×2/Rmax」により求め、歪み率α’を、式:「α’=1−α」により求めるので、虚数成分Xの絶対値の最大値に基づいて比較的簡易に内部欠陥の検出を行うことができる。
第3の発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法は、第1の発明において、前記仮想円の中心(Rmax/2,0)と前記曲線上の各測定点(Ri,Xi)との距離diと、前記仮想円の半径rとから、以下の式1により、前記歪み率として歪み率βを求めるステップを有していることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子の欠陥検出方法では、仮想円の中心(Rmax/2,0)と各測定点(Ri,Xi)との距離diと、仮想円の半径rとから、式1により、前記歪み率として歪み率βを求めるステップを有しているので、歪み率を測定点すべてを考慮して求めることで、より高い検出精度を得ることができる。
第4の発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法は、第2の発明において、前記一対の電極間における直流抵抗の測定値を、前記Rmaxの代わりに用いて前記歪み率を算出することを特徴とする。
Rmaxは、本来ω=0(但し、ωは周波数)のときの値であり、交流では現実には0にできないが、低周波下限での抵抗値であるRmaxは、X=0で直流抵抗とほぼ同じとなる。そこで、本発明のサーミスタ素子の欠陥検出方法では、一対の電極間における直流抵抗の測定値を、前記Rmaxの代わりに用いて歪み率を算出するので、近似的に一番低周波側の値となる直流抵抗値を使用することで、容易に歪み率の算出を行うことができる。
第5の発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法は、第2又は4に記載のサーミスタ素子の欠陥検出方法において、前記サーミスタ素体が、セラミックスで形成され、前記基準値が、予め前記サーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た前記歪み率の最大値よりも0.05だけ高い値とされることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子の欠陥検出方法では、サーミスタ素体が、セラミックスで形成され、基準値が、予めサーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た歪み率の最大値よりも0.05だけ高い値とされるので、測定した歪み率が最大値より0.05高いときに内部欠陥があると判定することができる。
第6の発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法は、第3の発明において、前記サーミスタ素体が、セラミックスで形成され、前記基準値が、予め前記サーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た前記歪み率の最大値よりも0.02だけ高い値とされることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子の欠陥検出方法では、基準値が、予めサーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た歪み率の最大値よりも0.02だけ高い値とされるので、測定した歪み率が最大値より0.02高いときに内部欠陥があると判定することができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法によれば、Cole−Coleプロットに基づいて算出した歪み率が、上記基準値よりも大きいにサーミスタ素体に内部欠陥があると判断するので、クラック等を非破壊で高精度に検出することができる。したがって、本発明の欠陥検出方法では、本来の抵抗値成分と内部欠陥で新たに抵抗値が上昇した部分とを電気的に区別して検出することで、内部欠陥以外の不良との区別をすることができ、抵抗値変化がクラック等の内部欠陥によるものか、他の不良(例えば電極剥離)によるものかを判別することができる。
本発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法の第1実施形態において、Cole−Coleプロットの一例を示すグラフである。 第1実施形態において、サーミスタ素子のサンプルを示す正面図(a)及び平面図(b)である。 第1実施形態において、正常な状態のサンプルとクラックを生じさせたサンプルのCole−Coleプロットを示すグラフである。 第1実施形態において、正常な状態のサンプルと電極剥離をさせたサンプルのCole−Coleプロットを示すグラフである。 正常状態のサーミスタ素子を示す平面図(a)及び等価回路(b)である。 クラックが生じたサーミスタ素子を示す平面図(a)及び等価回路(b)である。 電極の一部が剥離したサーミスタ素子を示す平面図(a)及び等価回路(b)である。 本発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法の第2実施形態において、Cole−Coleプロットと仮想円との一例を示すグラフである。
以下、本発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法の第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。
本実施形態のサーミスタ素子の欠陥検出方法は、サーミスタ素体の表面に少なくとも一対の電極が形成されているサーミスタ素子の欠陥を検出する方法であって、一対の電極間のサーミスタ素体についてインピーダンスの周波数応答特性を測定するステップと、測定した周波数応答特性からインピーダンスの実数成分Rを横軸とすると共にインピーダンスの虚数成分Xを縦軸としたCole−Coleプロットを作成するステップと、Cole−Coleプロットで得た曲線における前記曲線の低周波下限のときの実数成分RをRmaxとし、中心が(Rmax/2,0)でありCole−Coleプロットの曲線に近似する仮想円の半円を求めるステップと、Cole−Coleプロットで得た曲線の前記半円からの歪みの程度を歪み率として求めるステップと、予め複数のサーミスタ素子を測定して得た歪み率とサーミスタ素体の内部欠陥の有無との相関データに基づいて、内部欠陥の有る場合の最小歪み率を基準値として設定するステップと、算出した歪み率が、基準値よりも大きいにサーミスタ素体に内部欠陥があると判断するステップとを有している。
また、このサーミスタ素子の欠陥検出方法では、Cole−Coleプロットで得た曲線における虚数成分Xの絶対値の最大値を|Xmax|とし、得られた前記曲線の扁平率αを、式:「α=|Xmax|×2/Rmax」により求め、歪み率α’を、式:「α’=1−α」により求める。
また、この欠陥検出方法では、一対の電極間における直流抵抗の測定値を、前記Rmaxの代わりに用いて歪み率を算出する。
さらに、上記サーミスタ素体は、セラミックスで形成され、基準値が、予めサーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た歪み率の最大値よりも0.05だけ高い値とされる。
この本実施形態の欠陥検出方法について、上記各ステップについて具体的に以下に説明する。
まず、インピーダンスアナライザーにより、複数のサーミスタ素子について定められた周波数範囲において交流インピーダンスの周波数応答特性を測定し、図1に示すように、Cole−Coleプロット(ナイキストプロット)を作成する。このとき、測定したサーミスタ素子が、図2の(a)に示すように、一対の電極間のサーミスタ素体がクラック等の内部欠陥の無い正常な状態であれば、図1に示すNo.1のサンプルのように、Cole−Coleプロットの曲線は単一の半円となるが、クラック等の内部欠陥起因で抵抗率が上昇した場合、図1に示すNo.2〜10のサンプルのように、内部欠陥の程度が増すにつれ、歪んだ形状の曲線に変化する。
なお、上記インピーダンスの周波数応答特性の測定は、下記条件で行っている。
<測定条件>
・測定装置:アジレントテクノロジー社製4194A
・測定周波数:40〜10MHz(1kHz以下では直流抵抗とほぼ同じ値)
・測定モード:R−X
・掃引点数:401
クラック等の内部欠陥の程度が大きくなると、図1に示すNo.10のように、2つの半円を組み合わせた曲線となる。この歪みの程度は、Cole−Coleプロットにおける読み取り値からCole−Coleプロットの曲線の扁平率α及び歪み率α’を、以下の式で定義する。
α=|Xmax|×2/Rmax
α’=1−α
ここで、Cole−Coleプロットで得た曲線の低周波下限のときの実数成分RをRmaxとする。すなわち、Rmaxは、低周波下限での抵抗値であるが、このとき、虚数成分X=0で直流抵抗とほぼ同じであることから、一対の電極間における直流抵抗の測定値を、前記Rmaxの代わりに用いて扁平率α及び歪み率α’を算出する。
また、インピーダンスの虚数成分Xの絶対値の最大値を|Xmax|とする。すなわち、この|Xmax|は、Cole−Coleプロットの半円おける虚数成分のピーク値であるが、ピークが2つ確認された場合は、高周波側のピーク値を採用する。
上記αは、Cole−Coleプロットによる曲線の扁平率であり、「α=1」であれば完全な半円であることを意味し、抵抗と容量との一組の並列回路で記述できる理想的な状態であることを示している。実際は欠陥のない状態であってもサーミスタの粒界抵抗、容量成分および電極の抵抗成分などが存在するため、1よりもすこし小さい状態となる。一方でαがさらに小さくなった場合には、サーミスタ素子由来の成分以外の別の回路成分の寄与が大きくなったと考え、クラック等の内部欠陥発生の可能性が高いと判断できる。
また、上記α’は、扁平率αを用いて上記の式:「α’=1−α」で算出されるものであり、Cole−Coleプロットによる曲線の歪み率である。すなわち、「α’=0」であればCole−Coleプロットによる曲線が完全な半円であることを意味し、抵抗と容量との一組の並列回路で記述できる理想的な状態であることを示している。実際は欠陥のない状態であってもサーミスタの粒界抵抗、容量成分および電極の抵抗成分などが存在するため、0よりもすこし大きい状態となる。一方でα’がさらに大きくなった場合には、Cole−Coleプロットの半円からのずれが大きく、サーミスタ素子由来の成分以外の別の回路成分の寄与が大きくなったと考え、クラック等の内部欠陥発生の可能性が高いと判断できる。
次に、測定した複数のサーミスタ素子について、例えば目視によりサーミスタ素体にクラックが有るか無いかを確認し、扁平率α及び歪み率α’とクラックの有無との相関データを作成する。
本実施形態では、図2に示すように、樹脂基板102の表面に薄膜サーミスタ103(サーミスタ素体)を成膜し、この薄膜サーミスタ103上に一対の櫛歯電極104を形成したサーミスタ素子101をサンプルとして複数作製した。
なお、上記薄膜サーミスタ103は、セラミックスで形成されている。本発明の測定法を用いてクラック等の内部欠陥を検出するためには、電極部のインピーダンスがサーミスタ素体と比較して十分に小さいことが必要であるが、セラミックスで形成されたサーミスタ素子等は電極部のインピーダンスがサーミスタ素体と比較して十分に小さいため、本発明の測定法を用いてクラック等の内部欠陥を検出することができる。
これらのサンプルのうち一部については、樹脂基板102の裏面側から細い棒を押し込み局所的に曲げ状態にして意図的にクラックを発生させた。この動作を繰り返すことにより、意図的にクラックを増大させたサンプルを作製した。また、櫛歯電極104の一部を剥離させ除去したサンプルも作製した。このように作製した正常な状態のサンプルと、クラックを生じさせたサンプルと、電極剥離させたサンプルとについて、それぞれ歪み率αを測定した。
上記測定の結果、図3に示すように、正常な状態のサンプル(図中の「初期」)では、Cole−Coleプロットの曲線はほぼ半円状であるが、クラックを生じさせたサンプル(図中の「1回目」〜「3回目」)では、棒の押し込み回数を増やすにつれて実数成分(抵抗値:横軸の値)が増加し、歪み率α’も大きくなっている。このように、クラックを発生させたサンプルでは、表1に示すように、抵抗値変化率と扁平率α及び歪み率α’とは強い相関が見られている。
また、クラックを生じさせずに電極剥離させたサンプル(図中の「電極剥離品」)では、図4に示すように、正常な状態のサンプル(図中の「正常品」)に対して実数成分(抵抗値:横軸の値)の上昇が大きいが、Cole−Coleプロットの形状は半円のままで変化がなく、抵抗値変化率と歪み率及び扁平率との相関は見られない。
このように、クラックが原因で抵抗値上昇が生じた場合には、歪み率及び扁平率も変化するが、電極剥離などで抵抗値が変化した場合には歪み率及び扁平率に変化が現れない。
上記サンプルをさらに増やして歪み率とクラックの有無とを予め調べ、相関データを作成した結果を、図1及び表3に示す。この結果から、歪み率α’が0.08以上(扁平率αが0.92以下)のサーミスタ素子は全てクラックが発生していることがわかった。すなわち、サーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た歪み率α’の最大値は、0.03(扁平率αの最大値は、0.97)であり、この最大値よりも0.05以上高い歪み率(すなわち、0.08以上)となったサーミスタ素子は、すべてクラックが発生している。(なお、扁平率は、最大値よりも0.05以上低い歪み率(すなわち、0.92以下)となったサーミスタ素子は、すべてクラックが発生している。)
したがって、歪み率とクラックの有無との上記相関データに基づいて、クラックの有る場合の最小歪み率である0.08をクラック判断の基準値に設定した。これにより、測定した歪み率α’が、基準値0.08以上(扁平率αが0.92以下)である場合、クラックが有ると判定することで、クラックによる不良品を容易に分離して判別することが可能になる。
このように本実施形態のサーミスタ素子の欠陥検出方法では、Cole−Coleプロット(ナイキストプロット)に基づいて算出した歪み率が、上記基準値よりも大きいにサーミスタ素体に内部欠陥があると判断するので、クラック等の内部欠陥起因で抵抗率が上昇した際に歪んだ形状に変化したCole−Coleプロットに基づいて、クラック等の内部欠陥を非破壊で高精度に検出することができる。
また、一対の電極間における直流抵抗の測定値を、前記Rmaxの代わりに用いて歪み率を算出するので、近似的に一番低周波側の値となる直流抵抗値を使用することで、容易に歪み率の算出を行うことができる。
さらに、サーミスタ素体が、セラミックスで形成されている場合、基準値が、予めサーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た歪み率の最大値よりも0.05だけ高い値とされるので、測定した歪み率が最大値より0.05高いときに内部欠陥があると判定することができる。
次に、本発明に係るサーミスタ素子の欠陥検出方法の第2実施形態について、図8を参照して以下に説明する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、歪み率α’を扁平率α(α=|Xmax|×2/Rmax)を用いて求めるステップを有しているのに対し、第2実施形態のサーミスタ素子の欠陥検出方法では、図8に示すように、Cole−Coleプロットの仮想円の中心(Rmax/2,0)とCole−Coleプロットの曲線上の各測定点(Ri,Xi)との距離diと、仮想円の半径rとから、以下の式1により、歪み率として歪み率βを求めるステップを有している点である。
すなわち、第2実施形態の欠陥検出方法では、Cole−Coleプロットで得た曲線における前記曲線の低周波下限のときの実数成分RをRmaxとし、Cole−Coleプロットの仮想円の中心となる点:中心A(Rmax/2,0)を求め、各測定点Pi(Ri,Xi)と仮想円の中心A(Rmax/2,0)との距離diを求めるステップと、距離diの総和を測定点数Nで除して仮想円の半径rを求めるステップと、距離diと半径rとの差を2乗し、その総和を求め、測定点数Nで除して、さらにその平方根を求め、前記平方根を半径rで除して、仮想円からの歪み率として歪み率βを求めるステップとを有している。
したがって、第2実施形態において、仮想円は、各測定点Piと中心Aとの各距離diの平均値である半径rを有し、Cole−Coleプロットで得られた前記曲線に近似した円である。また、歪み率βは、測定点数Nすべてを考慮した仮想円から求められた平均歪みであって、仮想円(半円)からの誤差率を表している。
次に、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様に、測定した複数のサーミスタ素子について、目視によりサーミスタ素体にクラックが有るか無いかを確認し、歪み率βとクラックの有無とを予め調べ、相関データを作成した結果を、表4に示す。この結果から、歪み率βが0.03以上のサーミスタ素子は全てクラックが発生していることがわかった。すなわち、サーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た歪み率βの最大値は、0.01であり、この最大値よりも0.02以上高い歪み率(すなわち、0.03以上)となったサーミスタ素子は、すべてクラックが発生している。
したがって、歪み率βとクラックの有無との上記相関データに基づいて、クラックの有る場合の最小歪み率である0.03をクラック判断の基準値に設定した。これにより、測定した歪み率βが、基準値0.03以上である場合、クラックが有ると判定することで、クラックによる不良品を容易に分離して判別することが可能になる。
このように第2実施形態のサーミスタ素子の欠陥検出方法では、仮想円の中心A(Rmax/2,0)と各測定点Pi(Ri,Xi)との距離diと、仮想円の半径rとから、式1により、前記歪み率として歪み率βを求めるステップを有しているので、歪み率βを測定点Piすべてを考慮して求めることで、より高い検出精度を得ることができる。
また、基準値が、予めサーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た歪み率βの最大値よりも0.02だけ高い値とされるので、測定した歪み率βが最大値より0.02高いときに内部欠陥があると判定することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、サーミスタ素体として薄膜サーミスタを採用したサーミスタ素子について欠陥検出を行ったが、本発明は、チップ型サーミスタ等のバルクサーミスタについて欠陥検出を行う場合にも適用することができる。
また、上記実施形態では、上記歪み率とクラック(欠陥)の有無との相関データは、目視でクラックを確認した結果に基づくものであるが、断面観察も含んだ欠陥の有無に基づいて相関データを作成しても構わない。この場合、より高い精度の相関データ及び基準値が得られる。
1,21,31,101…サーミスタ素子、2…サーミスタ素体、2a…クラック、3…電極、103…薄膜サーミスタ(サーミスタ素体)、104…櫛歯電極

Claims (6)

  1. サーミスタ素体の表面に少なくとも一対の電極が形成されているサーミスタ素子の欠陥を検出する方法であって、
    前記一対の電極間の前記サーミスタ素体についてインピーダンスの周波数応答特性を測定するステップと、
    測定した前記周波数応答特性からインピーダンスの実数成分Rを横軸とすると共にインピーダンスの虚数成分Xを縦軸としたCole−Coleプロットを作成するステップと、
    前記Cole−Coleプロットで得た曲線における前記曲線の低周波下限のときの前記実数成分RをRmaxとし、中心が(Rmax/2,0)であり前記Cole−Coleプロットの曲線に近似する仮想円の半円を求めるステップと、
    前記Cole−Coleプロットで得た曲線の前記半円からの歪みの程度を歪み率として求めるステップと、
    予め複数のサーミスタ素子を測定して得た前記歪み率と前記サーミスタ素体の内部欠陥の有無との相関データに基づいて、内部欠陥の有る場合の最小歪み率を基準値として設定するステップと、
    算出した前記歪み率が、前記基準値よりも大きいに前記サーミスタ素体に内部欠陥があると判断するステップとを有していることを特徴とするサーミスタ素子の欠陥検出方法。
  2. 請求項1に記載のサーミスタ素子の欠陥検出方法において、
    前記Cole−Coleプロットで得た曲線における前記虚数成分Xの絶対値の最大値を|Xmax|とし、得られた前記曲線の扁平率αを、式:「α=|Xmax|×2/Rmax」により求め、
    前記歪み率α’を、式:「α’=1−α」により求めることを特徴とするサーミスタ素子の欠陥検出方法。
  3. 請求項1に記載のサーミスタ素子の欠陥検出方法において、
    前記仮想円の中心(Rmax/2,0)と前記曲線上の各測定点(Ri,Xi)との距離diと、前記仮想円の半径rとから、以下の式1により、前記歪み率として歪み率βを求めるステップを有していることを特徴とするサーミスタ素子の欠陥検出方法。
  4. 請求項2に記載のサーミスタ素子の欠陥検出方法において、
    前記一対の電極間における直流抵抗の測定値を、前記Rmaxの代わりに用いて前記歪み率を算出することを特徴とするサーミスタ素子の欠陥検出方法。
  5. 請求項2又は4に記載のサーミスタ素子の欠陥検出方法において、
    前記サーミスタ素体が、セラミックスで形成され、
    前記基準値が、予め前記サーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た前記歪み率の最大値よりも0.05だけ高い値とされることを特徴とするサーミスタ素子の欠陥検出方法。
  6. 請求項3に記載のサーミスタ素子の欠陥検出方法において、
    前記サーミスタ素体が、セラミックスで形成され、
    前記基準値が、予め前記サーミスタ素体に内部欠陥の無いサーミスタ素子を測定して得た前記歪み率の最大値よりも0.02だけ高い値とされることを特徴とするサーミスタ素子の欠陥検出方法。
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