JP2016039176A - 仮固定用樹脂組成物、仮固定用樹脂フィルム、仮固定用樹脂フィルムシート及び半導体ウェハの加工方法 - Google Patents

仮固定用樹脂組成物、仮固定用樹脂フィルム、仮固定用樹脂フィルムシート及び半導体ウェハの加工方法 Download PDF

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省吾 祖父江
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恵子 上野
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Takahiro Tokuyasu
孝寛 徳安
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Abstract

【課題】低温・短時間硬化に対応可能で、優れた低温貼付性及び十分な耐熱性を有し、半導体ウェハを支持体に十分固定することができ、なおかつ加工後の半導体ウェハを支持体及び仮固定材から容易に分離することができるフィルム状の仮固定材の形成を可能とする仮固定用樹脂組成物、並びに、該仮固定用樹脂組成物を用いた仮固定用樹脂フィルム及び仮固定用樹脂フィルムシートを提供すること、並びに該仮固定用樹脂フィルムを用いた、半導体ウェハの加工方法を提供すること。【解決手段】半導体ウェハを支持体にフィルム状の仮固定材を介して仮固定する仮固定工程と、支持体に仮固定された半導体ウェハを加工する加工工程と、加工された半導体ウェハを支持体及びフィルム状の仮固定材から分離する分離工程と、を備える半導体ウェハの加工方法に用いられるフィルム状の仮固定材を形成するための仮固定用樹脂組成物であって、(A)熱可塑性樹脂、(B)熱硬化性樹脂、(C)(メタ)アクリルモノマ、及び(D)ラジカル重合開始剤を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウェハを加工する際に使用される仮固定用樹脂組成物、仮固定用樹脂フィルム、仮固定用樹脂フィルムシート及び半導体ウェハの加工方法に関する。
半導体装置の分野では、複数の半導体素子を積み重ねたSIP(System in Package)と呼ばれるパッケージに関する技術の成長が著しい。SIP型のパッケージでは半導体素子を多数積層するため、半導体素子はできるだけ厚さの薄いものが要求される。かかる半導体素子は、例えば、一定の厚みを有する半導体ウェハに集積回路を組み込んだ後、半導体ウェハの裏面を研削することによって薄化した半導体ウェハを個片化することにより作製される。半導体ウェハの加工は、仮固定材によって半導体ウェハを支持体に仮固定して行われる(例えば、特許文献1を参照)。
半導体素子の接続に関しては、従来ワイヤボンディング法が主流であったが、近年ではTSV(シリコン貫通電極)と呼ばれる接続方法が注目を集め、盛んに検討されている。貫通電極を有する半導体素子を作製する場合、半導体ウェハの薄化後に更に貫通電極を形成する加工が施される。この場合、半導体ウェハを300℃程度まで加熱する高温プロセスを伴う。
国際公開第2008/045669号パンフレット
そのため、上記の製造工程で使用される仮固定材に対しては、半導体ウェハの研削等の際に支持体と半導体ウェハとを強固に固定する接着性と、高温プロセスにおける耐熱性とが求められる。その一方で、仮固定材には、加工後の半導体ウェハを支持体から容易に分離できる剥離性が要求されている。特に、半導体チップへのダメージ及び反りの問題が生じないようになるべく低温で半導体ウェハと支持体とを分離でき、しかも半導体ウェハには仮固定材が残らないことが求められている。
特許文献1に記載の仮固定材は、半導体ウェハに貫通電極を形成するときの高温プロセス、及び貫通電極を形成した半導体ウェハ同士の接続を行うときの高温プロセスに対する耐熱性が十分でない傾向がある。仮固定材の耐熱性が不十分であると、高温プロセス中に仮固定材が熱分解して半導体ウェハが支持体から剥がれるといった不具合が生じやすい。
高いガラス転移温度(Tg)を有するポリイミド等の一般的な耐熱性に優れた樹脂の使用が考えられる。しかし、加工時における平坦性を確保しやすくするために仮固定材をフィルム状にする場合、樹脂のガラス転移温度が高いため、半導体ウェハと支持体とを十分固定するには高温で貼り合せを行わなければならず、半導体ウェハにダメージを与える可能性がある。そのため、フィルム状の仮固定材には、低温で貼りあわせても半導体ウェハと支持体とを十分固定することができる低温貼付性が求められる。
ポリイミド以外の樹脂としては、エポキシ樹脂等の一般的な熱硬化性樹脂の使用が考えられる。熱硬化性樹脂を用いることで、フィルム状の仮固定剤は、硬化前は高い流動性による低温貼り付け性、硬化後は架橋構造による優れた耐熱性の付与が可能である。この場合の硬化は、半導体ウェハへのダメージを考えると低温・短時間が望ましい。しかし、低温・短時間での硬化では、未硬化成分が残存する可能性があり、未硬化成分があるとバックグラインドプロセスでの割れ又はずれ、高温プロセスでの発泡が発生する可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低温・短時間硬化に対応可能で、優れた低温貼付性及び十分な耐熱性を有し、半導体ウェハを支持体に十分固定することができ、なおかつ加工後の半導体ウェハを支持体及び仮固定材から容易に分離することができるフィルム状の仮固定材の形成を可能とする仮固定用樹脂組成物、並びに、該仮固定用樹脂組成物を用いた仮固定用樹脂フィルム及び仮固定用樹脂フィルムシートを提供することを目的とする。本発明はまた、該仮固定用樹脂フィルムを用いた、半導体ウェハの加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、半導体ウェハを支持体にフィルム状の仮固定材を介して仮固定する仮固定工程と、支持体に仮固定された半導体ウェハを加工する加工工程と、加工された半導体ウェハを支持体及びフィルム状の仮固定材から分離する分離工程と、を備える半導体ウェハの加工方法に用いられるフィルム状の仮固定材を形成するための仮固定用樹脂組成物であって、(A)熱可塑性樹脂、(B)熱硬化性樹脂、(C)(メタ)アクリルモノマ、及び(D)ラジカル重合開始剤を含む仮固定用樹脂組成物を提供する。
本発明に係る仮固定用樹脂組成物によれば、低温・短時間硬化に対応可能で、優れた低温貼付性及び十分な耐熱性を有し、半導体ウェハを支持体に十分固定することができるフィルム状の仮固定材を形成することができる。このフィルム状の仮固定材は、加工後の半導体ウェハを支持体から容易に分離することができるとともに加工後の半導体ウェハから容易に剥離することができるため、溶剤に浸漬させることなく、加工後の半導体ウェハを支持体及び仮固定材から容易に分離することが可能となる。
本発明に係る仮固定用樹脂組成物において、(D)ラジカル重合開始剤は、活性光線の照射によってラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。このようなラジカル重合開始剤を用いることで、仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の低温硬化と短時間硬化とを高水準で両立させることができる。
本発明に係る仮固定用樹脂組成物において、(C)(メタ)アクリルモノマは、2官能以上の(メタ)アクリルモノマであることが好ましい。このような(メタ)アクリルモノマを用いることで、仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の貼り付け性と短時間硬化とを高水準で両立させることができる。
本発明に係る仮固定用樹脂組成物において、(B)熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤であることが好ましい。このような熱硬化性樹脂を用いることで、仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の貼り付け性と耐熱性とを高水準で両立させることができる。
本発明に係る仮固定用樹脂組成物において、(A)熱可塑性樹脂は、反応性基を有する(メタ)アクリル共重合体であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂を用いることで、仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の耐熱性と低温貼付性とを更に高水準で両立させることができる。
本発明に係る仮固定用樹脂組成物は、(E)硬化促進剤を更に含有することが好ましい。この場合、本発明に係る仮固定用樹脂組成物の硬化性と保存安定性とを両立することが容易となる。
本発明に係る仮固定用樹脂組成物は、(F)シリコーン化合物を更に含有することが好ましい。この場合、本発明に係る仮固定用樹脂組成物の剥離性をさらに向上させることができる。
本発明に係る仮固定用樹脂組成物は、(G)無機フィラーを更に含有することが好ましい。この場合、本発明に係る仮固定用樹脂組成物にチキソ性、低熱膨張性又は低吸湿性等の特性を付与することができる。
本発明はまた、本発明に係る仮固定用樹脂組成物をフィルム状に形成してなる仮固定用樹脂フィルムを提供する。このような仮固定用樹脂フィルムを用いることで、半導体ウェハを効率よく加工することができる。これにより、SIP型のパッケージに好適な半導体素子を効率よく製造することができ、更には係る半導体素子を備える半導体装置を効率よく製造することができる。
本発明はまた、離型性を有する支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムとを備える仮固定用樹脂フィルムシートを提供する。本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートによれば、半導体ウェハ或いは支持体に本発明に係る仮固定用樹脂フィルムを容易に転写することができ、半導体ウェハを効率よく加工することができる。
本発明はまた、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムを用いた半導体ウェハの加工方法を提供する。すなわち、半導体ウェハを支持体に、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムを用いて形成されたフィルム状の仮固定材を介して仮固定する仮固定工程と、支持体に仮固定された半導体ウェハを加工する加工工程と、加工された半導体ウェハを支持体及びフィルム状の仮固定材から分離する分離工程と、を備える、半導体ウェハの加工方法を提供する。本発明に係る半導体ウェハの加工方法によれば、低温・短時間で仮固定用樹脂フィルムを硬化することができ、半導体ウェハを効率よく加工することができる。
本発明によれば、優れた低温貼付性及び十分な耐熱性を有し、半導体ウェハを支持体に十分固定することができ、なおかつ加工後の半導体ウェハを支持体及び仮固定材から容易に分離することができるフィルム状の仮固定材の形成を可能とする仮固定用樹脂組成物、並びに、該仮固定用樹脂組成物を用いた仮固定用樹脂フィルム及び仮固定用樹脂フィルムシートを提供することができる。本発明はまた、該仮固定用樹脂フィルムを用いた、半導体ウェハの加工方法を提供することができる。
図1(A)は、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートの一実施形態を示す上面図であり、図1(B)は、図1(A)のI−I線に沿った模式断面図である。 図2(A)は、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートの他の実施形態を示す上面図であり、図2(B)は、図2(A)のII−II線に沿った模式断面図である。 図3(A)、図3(B)及び図3(C)は、半導体ウェハの加工方法の一実施形態を説明するための模式断面図であり、図3(D)は、加工後の半導体ウェハを示す上面図である。 図4は、加工された半導体ウェハを支持体及びフィルム状の仮固定材から分離する分離工程の一実施形態を説明するための模式断面図である。 図5は、半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
[仮固定用樹脂組成物]
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物は、半導体ウェハを支持体にフィルム状の仮固定材を介して仮固定する仮固定工程と、支持体に仮固定された半導体ウェハを加工する加工工程と、加工された半導体ウェハを支持体及びフィルム状の仮固定材から分離する分離工程と、を備える半導体ウェハの加工方法に用いられる仮固定用フィルムを形成するための仮固定用樹脂組成物であって、(A)熱可塑性樹脂、(B)熱硬化性樹脂、(C)(メタ)アクリルモノマ、及び(D)ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする。
本実施形態で用いる(A)熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有する樹脂、又は少なくとも未硬化状態において熱可塑性を有し、加熱後に架橋構造を形成する樹脂であれば特に制限はない。
熱可塑性樹脂としては、仮固定用樹脂組成物の耐熱性及び低温貼付性の観点から、反応性基を有する(メタ)アクリル共重合体(以下、「反応性基含有(メタ)アクリル共重合体」という場合もある)が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかの意味で用いられる。
(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、アクリルガラス、アクリルゴム等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、アクリルゴムが好ましい。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル及びアクリロニトリルから選択されるモノマーの共重合により形成されるものが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられる。具体的なモノマーの組み合わせによる共重合体としては、ブチルアクリレートとアクリロニトリルとからなる共重合体、及びエチルアクリレートとアクリロニトリルとからなる共重合体が挙げられる。
反応性基を有する(メタ)アクリル共重合体は、反応性基を有する(メタ)アクリルモノマと、上記のモノマーとが含まれる単量体組成物を共重合することにより得ることができる。
反応性基としては、耐熱性向上の点から、エポキシ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、エピスルフィド基が好ましいが、中でも架橋性の点からエポキシ基及びカルボキシル基がより好ましい。反応性基としてエポキシ基を選択する場合、反応性基を有する(メタ)アクリルモノマとしては、例えば、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートが挙げられる。反応性基を有する(メタ)アクリルモノマとしては、中でも、耐熱性の観点から、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが好ましい。
(A)熱可塑性樹脂のTgは、−50℃〜50℃であることが好ましい。(A)熱可塑性樹脂のTgが50℃以下であると、仮固定用樹脂組成物からフィルム状の仮固定材を形成したときに、より柔軟性を確保でき、低温貼付性の低下を抑制できる。また、半導体ウェハにバンプ等が存在する場合、150℃以下でのバンプ埋め込みが容易になる。一方、(A)熱可塑性樹脂のTgが−50℃以上であると、仮固定用樹脂組成物からフィルム状の仮固定材を形成したときに、柔軟性が高くなりすぎることによる取扱性及び剥離性の低下を抑制できる。
(A)熱可塑性樹脂のTgは、示差走査熱量測定(DSC)を用いて(A)熱可塑性樹脂を測定したときの中間点ガラス転移温度値である。(A)熱可塑性樹脂のTgは、具体的には、昇温速度10℃/分、測定温度:−80〜80℃の条件で熱量変化を測定し、JIS K 7121:1987に準拠した方法によって算出した中間点ガラス転移温度である。
(A)熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、10万以上200万以下であることが好ましい。重量平均分子量が10万以上であると、仮固定用樹脂組成物の耐熱性を確保しやすくなる。一方、重量平均分子量が200万以下であると、仮固定用樹脂組成物からフィルム状の仮固定材を形成したときに、フローの低下及び貼付性の低下を抑制しやすい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
反応性基を有する(メタ)アクリル共重合体がグリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレートを共重合成分として含む場合、これらの配合量は合計で、共重合成分全量を基準として0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、1.0〜10質量%であることがさらに好ましい。配合量が上記範囲内であると、仮固定用樹脂組成からフィルム状の仮固定材を形成したときに、耐熱性を十分確保しつつ、柔軟性の低下を抑制することができる。
上述のような反応性基を有する(メタ)アクリル共重合体としては、パール重合、溶液重合等の重合方法によって得られるものを用いてもよく、或いは、HTR−860P−3CSP(ナガセケムテックス株式会社製、商品名)等の市販品を用いてもよい。
本実施形態で用いる(B)熱硬化性樹脂としては、熱により硬化するものであれば特に制限はない。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても使用することができる。特に、熱硬化性樹脂としては、耐熱性、作業性、信頼性に優れる仮固定用樹脂組成物が得られる点で、エポキシ樹脂を使用することが最も好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
エポキシ樹脂は、硬化して耐熱作用を有するものであれば特に限定されない。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ等の二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等を使用することができる。エポキシ樹脂は、また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製、DER−330、DER−301、DER−361、東都化成(株)製、YD8125、YDF8170等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート152、エピコート154、日本化薬(株)製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が挙げられる。o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027、東都化成(株)製、YDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート604、東都化成(株)製のYH−434、三菱ガス化学(株)製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学(株)製のELM−120等が挙げられる。複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても使用することができる。
エポキシ樹脂を使用する際は、エポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤としては、特に、吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成(株)製、商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65及び三井化学(株)製、商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物における(B)熱硬化性成分の配合量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して10〜500質量部が好ましく、50〜300質量部がより好ましい。熱硬化性成分の配合量が上記範囲内であると、本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物は、十分な低温貼り付け性と、耐熱性を両立しやすくなる。
本実施形態で用いる(C)(メタ)アクリルモノマとしては、単官能のもの、2官能のもの又は3官能以上の多官能のもののいずれも用いることができ、特に制限は無い。仮固定用樹脂組成物の貼付性及び短時間での硬化性の観点から、(C)(メタ)アクリルモノマとしては、2官能以上であることが好ましい。
単官能(メタ)アクリルモノマとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレート等の脂環式(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−カルバゾール等の複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリルモノマとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;ネオペンチルグリコール型エポキシ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;レゾルシノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン型エポキシ(メタ)アクリレート等の芳香族エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリルモノマとして、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等の芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種類以上組み合わせて用いることができ、さらにその他の重合性化合物と組み合わせて用いることもできる。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物における(C)(メタ)アクリルモノマの配合量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して5〜200質量部が好ましく、10〜150質量部がより好ましい。(メタ)アクリルモノマの配合量が上記範囲内であると、本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物は、十分な低温貼り付け性と、耐熱性とを両立しやすくなる。
本実施形態で用いる(D)ラジカル重合開始剤は、加熱又は紫外線、可視光線、放射線等の活性光線の照射によってラジカルを発生し、重合を開始させるものであれば特に制限は無い。中でも、(D)ラジカル重合開始剤としては、本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の低温硬化と短時間硬化とを高水準で両立させる観点から、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン;フェニルグリオキシル酸メチル、フェニルグリオキシル酸エチル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、オキシフェニル酢酸2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチル等のグリオキシエステル;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−(4−モルフォリン)−2−イルプロパン−1−オン等のα−アミノケトン;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ),2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリン等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステルが挙げられる。
以上の熱及び光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、ラジカル重合開始剤は、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物における(D)ラジカル重合開始剤は、(C)(メタ)アクリルモノマ100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。ラジカル重合開始剤の配合量が上記範囲内であると、本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物に十分な耐熱性が得られる傾向にある。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂、(B)熱硬化性樹脂、(C)(メタ)アクリルモノマ、及び(D)ラジカル重合開始剤以外に、必要に応じて(E)硬化促進剤、(F)シリコーン化合物、(G)無機フィラー、有機溶剤、及びその他の成分を含有することができる。
(E)硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物における(E)硬化促進剤の配合量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜50質量部が好ましく、0.05〜20質量部がより好ましい。硬化促進剤の配合量が上記範囲内であると、本実施形態に係る仮固定用樹脂組成が十分な硬化性を得つつ、保存安定性の低下を十分小さくできる傾向にある。
(F)シリコーン化合物としては、ポリシロキサン構造を有するものであれば特に制限はなく、シリコーン変性樹脂、ストレートシリコーンオイル、非反応性の変性シリコーンオイル、反応性の変性シリコーンオイル等が挙げられる。シリコーン化合物は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態で用いる(F)シリコーン化合物がシリコーン変性樹脂である場合、シリコーン変性アルキド樹脂が好ましい。
仮固定用樹脂組成物がシリコーン変性アルキド樹脂を含有することで、仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材を半導体ウェハから剥離する際、100℃以下の低温で溶剤を用いることなくより容易に剥離することが可能となる。
シリコーン変性アルキド樹脂を得る方法としては、例えば、(i)アルキド樹脂を得る通常の合成反応、すなわち多価アコールと脂肪酸、多塩基酸等とを反応させる際に、オルガノポリシロキサンをアルコール成分として同時に反応させる方法、(ii)あらかじめ合成された一般のアルキド樹脂に、オルガノポリシロキサンを反応させる方法が挙げられる。
アルキド樹脂の原料として用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニット、ソルビット等の四価以上の多価アルコールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキド樹脂の原料として用いられる多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメット酸等の芳香族多塩基酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の脂肪族不飽和多塩基酸、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、テルペン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物等のディールズ・アルダー反応による多塩基酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン変性アルキド樹脂としては、例えば、テスファイン319、TA31−209E(以上、日立化成ポリマー株式会社製、商品名)等の市販品を用いることもできる。
アルキド樹脂は、変性剤又は架橋剤を更に含有していてもよい。
変性剤としては、例えばオクチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、脱水リシノレイン酸、あるいはヤシ油、アマニ油、キリ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、サフラワー油及びこれらの脂肪酸等を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物がシリコーン変性アルキド樹脂を含有する場合、シリコーン変性アルキド樹脂を熱架橋できる架橋剤、又は架橋剤及び触媒を更に含むことが好ましい。係る架橋剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂が挙げられる。この場合、仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の耐熱性及び剥離性を更に向上させることができる。
架橋剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂を例示することができる。これらの中でも、アミノ樹脂を用いた場合、アミノ樹脂により架橋されたアミノアルキド樹脂が得られ好ましい。架橋剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン変性アルキド樹脂においては、硬化触媒として酸性触媒を用いることができる。酸性触媒としては、特に制限はなく、アルキド樹脂の架橋反応触媒として公知の酸性触媒の中から適宜選択して用いることができる。このような酸性触媒としては、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機系の酸性触媒が好適である。酸性触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、酸性触媒の配合量は、アルキド樹脂と架橋剤との合計100質量部に対し、通常0.1〜40質量部、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部の範囲で選定される。
シリコーン変性アルキド樹脂の表面自由エネルギーは15〜30mN/mであることが好ましい。シリコーン変性アルキド樹脂の表面自由エネルギーがこのような範囲にあると、仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の耐熱性と剥離性とを更に高水準で両立させることができる。更に、仮固定用樹脂組成物は、耐熱性の観点から、表面自由エネルギーが15〜27mN/mであるシリコーン変性アルキド樹脂を含むことがより好ましく、15〜24mN/mであるシリコーン変性アルキド樹脂を含むことが更に好ましい。なお、表面自由エネルギーは、シリコーン変性アルキド樹脂をPETフィルム上に塗布後、150℃で30秒乾燥して得られた厚み0.3μmの膜に対して、接触角計(協和界面科学株式会社製CA−X型)を用いて、水、エチレングリコール、及びヨウ化メチルの接触角を測定し、表面自由エネルギー解析ソフト(協和界面科学株式会社製EG−2)により、算出した。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物における(F)シリコーン化合物の含有量は、溶解性と接着性とのバランスの観点から、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対し、合計で1.0〜100質量部が好ましく、5.0〜80質量部がより好ましい。(F)シリコーン化合物の配合量が上記範囲内であると、半導体ウェハ加工後の剥離性が更に向上する。
(G)無機フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、銅粉等の金属フィラー;シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の非金属無機フィラー等が挙げられる。無機フィラーは所望する機能に応じて選択することができる。例えば、金属フィラーは、仮固定用樹脂組成物にチキソ性を付与する目的で添加することができ、非金属無機フィラーは、仮固定用樹脂組成物に低熱膨張性、低吸湿性を付与する目的で添加することができる。無機フィラーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記無機フィラーは表面に有機基を有するものが好ましい。無機フィラーの表面が有機基によって修飾されていることにより、仮固定用樹脂組成物を調製するときの有機溶剤への分散性、並びに仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の密着性及び耐熱性を向上させることが容易となる。
表面に有機基を有する無機フィラーは、例えば、下記一般式(B−1)で表されるシランカップリング剤と無機フィラーとを混合し、30℃以上の温度で攪拌することにより得ることができる。無機フィラーの表面が有機基によって修飾されたことは、UV測定、IR測定、XPS測定等で確認することが可能である。
Figure 2016039176
式(B−1)中、Xは、フェニル基、グリシドキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、ビニル基、イソシアネート基及びメタクリロキシ基からなる群より選択される有機基を示し、sは0又は1〜10の整数を示し、R11、R12及びR13は各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基を示す。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。入手が容易である点で、炭素数1〜10のアルキル基は、メチル基、エチル基及びペンチル基が好ましい。Xとしては、耐熱性の観点から、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基及びイソシアネート基が好ましく、グリシドキシ基及びメルカプト基がより好ましい。式(B−1)中のsは、高熱時のフィルム流動性を抑制し、耐熱性を向上させる観点から、0〜5が好ましく、0〜4がより好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシフェニルシラン、ジメチルジメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3―ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N’―ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン等が挙げられる。これらの中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましく、トリメトキシフェニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランがより好ましい。シランカップリング剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記カップリング剤の使用量は、耐熱性を向上させる効果と保存安定性とのバランスを図る観点から、無機フィラー100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.05質量部〜20質量部がより好ましく、耐熱性向上の観点から、0.5〜10質量部がさらにより好ましい。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物における(E)無機フィラーの配合量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらにより好ましい。無機フィラーの含有量の下限は特に制限はないが、熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましい。無機フィラーの含有量を上記範囲とすることにより、仮固定用樹脂組成物から形成されるフィルム状の仮固定材の接着性を十分確保しつつ、所望の機能を付与しやすくなる。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物には、更に有機フィラーを配合することができる。有機フィラーとしては、例えば、カーボン、ゴム系フィラー、シリコーン系微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等が挙げられる。有機フィラーの配合量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらにより好ましい。無機フィラーの含有量の下限は特に制限はないが、熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましい。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物は、必要に応じて更に有機溶剤を用いて希釈してもよい。有機溶剤は、特に限定されないが、製膜時の揮発性等を沸点から考慮して決めることができる。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の比較的低沸点の溶剤は、製膜時にフィルムの硬化が進まない点で好ましい。また、製膜性を向上させる等の目的では、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン等の比較的高沸点の溶剤を使用することが好ましい。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物の固形分濃度は、10〜80質量%であることが好ましい。
本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂、(B)熱硬化性樹脂、(C)(メタ)アクリルモノマ、及び(D)ラジカル重合開始剤、並びに、必要に応じて(E)硬化促進剤、(F)シリコーン化合物、(G)無機フィラー、有機溶剤、及びその他の成分を混合、混練することによって調製することができる。混合及び混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ビーズミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
[仮固定用樹脂フィルム]
本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムは、上記本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物をフィルム状に形成してなるものである。
本実施形態に係る仮固定用樹脂フィルムは、例えば、仮固定用樹脂組成物を支持フィルムに塗布することにより容易に製造することができる。また、仮固定用樹脂組成物が有機溶剤で希釈されている場合、該樹脂組成物を支持フィルムに塗布し、有機溶剤を加熱乾燥により除去することにより製造することができる。
支持フィルム上に設けられた仮固定用樹脂フィルムは、必要に応じて保護フィルムを貼り付けることができる。この場合、後述する、支持フィルム、仮固定用樹脂フィルム及び保護フィルムからなる3層構造を有する仮固定用樹脂フィルムシートを得ることができる。
このようにして得られた仮固定用樹脂フィルムシートは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。また、ロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状にして保存することもできる。
図1(A)は、本実施形態の仮固定用樹脂フィルムシートの一実施形態を示す上面図であり、図1(B)は図1(A)のI−I線に沿った模式断面図である。
図1に示す仮固定用樹脂フィルムシート1は、離型性を有する支持フィルム10と、支持フィルム10上に設けられた仮固定用樹脂フィルム20と、仮固定用樹脂フィルム20の支持フィルム10とは反対側に設けられた保護フィルム30とを備える。
支持フィルム10としては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、支持フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドであることが好ましい。また、仮固定用樹脂フィルム(樹脂層)との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等により離型処理が施されたフィルムを支持フィルムとして用いることが好ましい。
支持フィルム10の厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、3〜250μmであることが好ましい。厚みが3μm以上であれば、フィルム強度が十分であり、250μm以下であれば、十分な柔軟性が得られる傾向にある。このような観点から、支持フィルム10の厚みは、5〜200μmであることが更に好ましく、7〜150μmであることが特に好ましい。
本実施形態の仮固定用樹脂フィルム20の厚みについては、特に限定されないが、乾燥後の厚みで、5〜300μmであることが好ましい。5μm以上であれば、厚みが十分であるためフィルム又はフィルムの硬化物の強度が十分であり、300μm以下であれば、十分な乾燥によりフィルム中の残留溶剤量を低減することが容易となり、フィルムの硬化物を加熱したときに発泡することを少なくできる。
厚膜のフィルムを製造する場合は、予め形成した厚み100μm以下のフィルムを貼り合せてもよい。このように貼り合せたフィルムを用いることで、厚膜化フィルムを作製したときの残存溶剤を低下させることができる。
保護フィルム30としては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、保護フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンであることが好ましい。また、仮固定用樹脂フィルム(樹脂層)との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等により離型処理が施されたフィルムを保護フィルムとして用いることが好ましい。
保護フィルム30の厚みは、目的とする柔軟性により適宜設定することができるが、10〜250μmであることが好ましい。10μm以上であれば、フィルム強度が十分であり、250μm以下であれば、十分な柔軟性が得られる傾向にある。このような観点から、保護フィルム30の厚みは、15〜200μmであることが更に好ましく、20〜150μmであることが特に好ましい。
図2(A)は、本発明に係る仮固定用樹脂フィルムシートの他の実施形態を示す上面図であり、図2(B)は図2(A)のII−II線に沿った模式断面図である。
図2に示す仮固定用樹脂フィルムシート2は、仮固定する部材の形状に合わせて仮固定用樹脂フィルム20及び保護フィルム30が予め裁断されていること以外は、仮固定用樹脂フィルムシート1と同様の構成を有する。なお、図2では、裁断された仮固定用樹脂フィルム20及び保護フィルム30の外縁部が除去されているが、仮固定する部材の形状に合わせて仮固定用樹脂フィルム及び保護フィルムに切れ込みが設けられ、外縁部が残されていてもよい。
[半導体ウェハ加工方法]
本実施形態に係る半導体ウェハの加工方法は、大きく分けて以下の4工程からなる。(a)半導体ウェハと支持体とをフィルム状の仮固定材を介して仮固定する仮固定工程と、(b)支持体に仮固定された半導体ウェハを加工する加工工程と、(c)加工された半導体ウェハを支持体及びフィルム状の仮固定材から分離する分離工程と、(d)半導体ウェハに残渣がある場合に洗浄する洗浄工程とからなる。
図3(A)、図3(B)及び図3(C)は、半導体ウェハの加工方法の一実施形態を説明するための模式断面図であり、図3(D)は、加工後の半導体ウェハを示す上面図である。
<(a)仮固定工程>
図3の(A)は、支持体50及び半導体ウェハ60の間に、本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物又は仮固定用樹脂フィルムから形成されるフィルム状の仮固定材40を介在させ、支持体50に半導体ウェハ60を仮固定する工程を示す。
半導体ウェハ60の厚みは、特に制限はないが、600〜800μmとすることができる。
<(a−1)半導体ウェハ60上へのフィルム状の仮固定材の形成>
仮固定用樹脂組成物を用いる場合、スピンコート等の方法により半導体ウェハ60の素子形成面上にフィルム状の仮固定材40を形成することができる。仮固定用樹脂組成物が有機溶剤で希釈されている場合、スピンコート後、その溶剤の揮発条件に応じて、加熱乾燥により有機溶剤を加熱乾燥により除去し、フィルム状の仮固定材40を形成する。
仮固定用樹脂フィルム20を用いる場合、ロールラミネーター、真空ラミネーター等を用いて、半導体ウェハ60の素子形成面上に仮固定用樹脂フィルム20をラミネートすることによりフィルム状の仮固定材40を設けることができる。
<(a−2)フィルム状の仮固定材へのUV照射(増粘化)>
UV露光機を用いて、10〜10000mJ/cm照射することにより、フィルム状の仮固定材40を増粘化する。
<(a−3)支持体50の貼り付け>
次に、ウェハ接合装置又は真空ラミネーター上に、UV照射を行い増粘化したフィルム状の仮固定材40を形成した半導体ウェハ60をセットし、支持体50をプレスで押圧して貼り付ける。
ウェハ接合装置を用いる場合は、例えばEVG社製真空プレス機EVG520IS(商品名)を用いて、気圧1hPa以下、圧着圧力1MPa、圧着温度60℃〜200℃、保持時間100秒〜300秒で、半導体ウェハ60と支持体50とをフィルム状の仮固定材40を介して仮固定する。
真空ラミネーターを用いる場合は、例えば株式会社エヌ・ピー・シー製真空ラミネーターLM−50×50−S(商品名)、ニチゴーモートン株式会社製真空ラミネーターV130(商品名)を用い、気圧1hPa以下、圧着温度40℃〜180℃、好ましくは60℃〜150℃、ラミネート圧力0.01〜0.5MPa、好ましくは0.1〜0.5MPa、保持時間1秒〜600秒、好ましくは30秒〜300秒で、半導体ウェハ60と支持体50とをフィルム状の仮固定材40を介して仮固定する。
<(a−4)仮固定材の硬化>
半導体ウェハ60と支持体50とをフィルム状の仮固定材40を介して仮固定した後、100〜200℃で1〜60分加熱することにより、フィルム状の仮固定材40の熱硬化を行う。
本実施形態の支持体の材質は特に選ばないが、シリコンウェハ、ガラスウェハ、石英ウェハ等の基板が使用可能である。
本実施形態の支持体には剥離処理を行ってもよく、図3(A)のように支持体50表面の全部、又は一部を剥離処理することで、剥離層52を形成する。剥離処理に使用される剥離剤は特に限定されないが、例えば、フッ素元素を有する表面改質剤、ポリオレフィン系ワックス及びシリコーンオイル、反応性基を含有するシリコーンオイル、シリコーン変性アルキド樹脂が剥離性に優れるため好ましい。
以上説明したような構成のフィルム状の仮固定材を用いると、支持体を用いた高温での半導体ウェハの加工が可能で、加工後に室温で仮固定用樹脂組成物を半導体ウェハ及び支持体から糊残りなく剥離することができる。
<(b)加工工程>
加工工程には、ウェハレベルで用いられる研削、電極形成、金属配線形成、保護膜形成等が含まれる。研削方式には特に制限はなく、公知の研削方式が利用できる。研削は半導体ウェハと砥石(ダイヤモンド等)とに水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。
例えば、図3(B)に示すように、半導体ウェハ80は、グラインダー90によって半導体ウェハ80の裏面、すなわち半導体ウェハ80のフィルム状の仮固定材70と接する側とは反対側の面を研削し、例えば700μm程度の厚みを100μm以下にまで薄化する。
研削加工する装置としては、例えばDISCO株式会社製DGP−8761(商品名)等が挙げられ、この場合の切削条件は、所望の半導体ウェハの厚み及び研削状態に応じて任意に選ぶことができる。
その他の工程は、具体的には、電極等の形成のための金属スパッタリング、金属スパッタリング層をエッチングするウェットエッチング、金属配線形成のマスクするためのレジストの塗布、露光・現像によるパターンの形成、レジストの剥離、ドライエッチング、金属めっきの形成、TSV形成のためのシリコンエッチング、シリコン表面の酸化膜形成等、公知のプロセスが挙げられる。
図3(C)は、薄化した半導体ウェハ80の裏面側にドライイオンエッチング又はボッシュプロセス等の加工を行い、貫通孔を形成した後、銅めっき等の処理を行い、貫通電極82を形成した例を示している。
こうして半導体ウェハ80に所定の加工が施される。図3(D)は、加工後の半導体ウェハ80の上面図である。
<(c)分離工程>
図4は、加工された半導体ウェハを支持体及びフィルム状の仮固定材から分離する分離工程の一実施形態を説明するための模式断面図である。本実施形態に係る分離工程は、支持体から半導体ウェハを剥離する第一の剥離工程と、半導体ウェハからフィルム状の仮固定材を剥離する第二の剥離工程と、を含む。第一の剥離工程は、加工工程で加工を施した半導体ウェハを支持体から剥離する工程、即ち、薄型化した半導体ウェハに様々な加工を施した後、ダイシングする前に支持体から剥離する工程である。剥離方法としては、主に半導体ウェハと支持体とを加熱(好ましくは200〜250℃)しながら、水平方向に沿って反対方向にスライドさせることにより両者を分離する方法、支持体の半導体ウェハ又は支持体の一方を水平に固定しておき、他方を水平方向から一定の角度を付けて持ち上げる方法、及び、研削された半導体ウェハの研削面に保護フィルムを貼り、半導体ウェハと保護フィルムとをピール方式で支持体から剥離する方法等が挙げられるが、特に制限なく採用することができる。
本実施形態は、これらの剥離方法すべてに適用可能であるが、図4(A)に示されるような支持体の半導体ウェハ80又は支持体50の一方を水平に固定しておき、他方を水平方向から一定の角度を付けて持ち上げる方法、及び、研削された半導体ウェハの研削面に保護フィルムを貼り、半導体ウェハと保護フィルムとをピール方式で剥離する方法等がより適している。これらの剥離方法は、通常、室温で実施されるが、40〜100℃程度の半導体ウェハにダメージのない温度下で実施してもよい。機械的に分解する際は、例えばEVG社製De−Bonding装置EVG805EZDを用いる。
第二の剥離工程では、例えば、図4(B)に示されるように、半導体ウェハ80を水平に固定しておき、フィルム状の仮固定材70の端を水平方向から一定の角度をつけて持ち上げることで、フィルム状の仮固定材が剥離された半導体ウェハ80を得ることができる(図4(C)を参照)。本実施形態においては、本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物を用いてフィルム状の仮固定材が形成されていることにより、糊残り等の残渣が十分低減された加工済み半導体ウェハを容易に得ることができる。
本実施形態においては、第一の剥離工程で、半導体ウェハと、フィルム状の仮固定材との間で分離を行ってもよい。
<(d)洗浄工程>
半導体ウェハの回路形成面は仮固定材の一部が残存しやすい。剥離した半導体ウェハの回路形成面に仮固定材が一部残存した場合、これを除去するための洗浄工程を設けることができる。仮固定材の除去は、例えば、半導体ウェハを洗浄することにより行うことができる。
用いる洗浄液には、一部残存した仮固定材を除去できるような洗浄液であれば、特に制限はなく、例えば、仮固定用樹脂組成物の希釈に用いることができる上記有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、残存した仮固定材が除去しにくい場合は、有機溶剤に塩基類、酸類を添加してもよい。塩基類の例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、アンモニア等のアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウム塩類が使用可能である。酸類としては、酢酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸が使用可能である。添加量は、洗浄液中濃度で、0.01〜10質量%が好ましい。また、残存物の除去性を向上させるため、既存の界面活性剤を添加してもよい。
洗浄方法として、特に制限はないが、例えば、上記洗浄液を用いてパドルでの洗浄を行う方法、スプレー噴霧での洗浄方法、洗浄液槽に浸漬する方法が挙げられる。温度は10〜80℃、好ましくは15〜65℃が好適であり、最終的に水洗又はアルコール洗浄を行い、乾燥処理させて、薄型の半導体ウェハ80が得られる。
なお、上述したように、本実施形態に係る仮固定用樹脂組成物によれば、糊残り等の残渣を十分低減することができるため、洗浄工程を省略することが可能となる。
加工された半導体ウェハ80は、上記と同様にして貫通電極82が形成され、さらにダイシングライン84に沿ったダイシングによって半導体素子に個片化される。
本実施形態においては、得られた半導体素子を他の半導体素子又は半導体素子搭載用基板に接続することにより半導体装置を製造することができる。
図5は、半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。まず、上述した方法により、貫通電極86が形成され、個片化された半導体素子100を用意する(図5(A))。そして、半導体素子100を配線基板110上に複数積層することにより半導体装置120を得ることができる(図5(B))。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
[ワニス(仮固定用樹脂組成物)の調製]
表1及び2に示す質量部の組成で熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、(メタ)アクリルモノマ、ラジカル重合開始剤、シリコーン化合物、硬化促進剤及び溶剤を配合し、ワニスをそれぞれ調製した。
[仮固定用樹脂フィルムの作製]
調製したワニスを、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、A31、厚み38μm)の離型処理面上に塗布し、90℃で10分間、120℃で30分間加熱乾燥して、保護フィルム及び支持フィルム付き仮固定用樹脂フィルムをそれぞれ得た。仮固定用樹脂フィルムの膜厚は、30μmであった。調製した実施例1〜7、比較例1〜4の仮固定用樹脂フィルムを用いて以下の試験を行い、その評価結果を表3及び4にまとめた。
[半導体ウェハへのフィルムラミネート]
支持フィルム付き仮固定用樹脂フィルムを、半導体ウェハの直径よりも2mm小さい直径を有する円形状に切り出した。その後、半導体ウェハに仮固定用樹脂フィルムを、ニチゴーモートン株式会社製真空ラミネーターV130を用い、気圧1hPa以下、圧着温度80℃、ラミネート圧力0.5MPa、保持時間60秒でラミネートを行い、仮固定用樹脂フィルム付き半導体ウェハを得た。
[UV照射]
株式会社オーク製作所製UV−330 HQP−2型露光機を用い、1000mJ/cmを仮固定用樹脂フィルム付き半導体ウェハに露光し、露光済仮固定用樹脂フィルム付き半導体ウェハを得た。
[支持体への圧着]
ニチゴーモートン株式会社製真空ラミネーターV130を用い、気圧1hPa以下、圧着温度100℃、ラミネート圧力0.5MPa、保持時間100秒で、離型処理剤付き支持体と仮固定用樹脂フィルム付き半導体ウェハ、及び離型処理剤付き支持体と露光済仮固定用樹脂フィルム付き半導体ウェハとを、それぞれ圧着した。その後、圧着したサンプルを140℃に設定したオーブンで15分間保持し、積層サンプルを得た。
[低温貼付性試験]
半導体ウェハへのフィルムラミネート、及び支持体への圧着後に、超音波顕微鏡(SAM)(インサイト株式会社製、Insight−300)を用いて仮固定用樹脂フィルムの状態を確認した。仮固定用樹脂フィルムの剥離が見られなかったサンプルを「○」、剥離が見られたサンプルを「×」と評価した。
[バックグラインド試験]
低温貼付性試験において、評価が「○」であった積層サンプルについて、フルオートグラインダポリッシャ(DISCO株式会社製、DGP−8761)を用いて積層サンプルにおける半導体ウェハ表面を研削した。ホイールには、1軸:GF01−SDC320−BT300−50、2軸:IF−01−1−4/6−B・K09、3軸:DPEG−GA0001をそれぞれ用いた。半導体ウェハの表面は、チャックテーブル回転数を300rpm、ホイール回転数を1軸:3,200rpm、2軸:3,400rpm、3軸:1,400rpmとし、クロスフィード方式で研削を行った。1軸で142μm厚になるまで研削後、2軸で102μm厚になるまで、3軸で100μm厚になるまで研削した。研削終了時点で割れ等が発生しなかったサンプルを「○」、割れ等が発生したサンプルを「×」と評価した。
[耐熱性試験]
バックグラインド試験において、評価が「○」であった積層サンプルについて、超音波顕微鏡(SAM、インサイト株式会社製、Insight−300)を用いて仮固定用樹脂フィルムの状態を確認した。その後、積層サンプルを200℃に設定したオーブンに2時間放置し、さらに260℃に設定したオーブンに20分間放置した。続いて、再度SAMを用いて仮固定用樹脂フィルムの状態を確認し、オーブンに放置しても仮固定用樹脂フィルムの剥離が生じなかったサンプルを「○」、剥離が生じたサンプルを「×」と評価した。
[支持体からの剥離性試験]
耐熱性試験において、評価が「○」であった積層サンプルについて、離型処理剤付き支持体と仮固定用樹脂フィルムとの間に先端が鋭利な状態のピンセットを差し入れ、外縁に沿ってピンセットを動かした。このとき、半導体ウェハが割れることなく支持体を剥離できたサンプルを「○」、剥離できなかったサンプルを「×」と評価した。
[半導体ウェハからの剥離性試験]
支持体からの剥離性試験において評価が「○」であった積層サンプルについて、半導体ウェハに貼付されている仮固定用樹脂フィルムの端部をピンセットにて持ち上げた。このとき、半導体ウェハから仮固定用樹脂フィルムを剥離できたサンプルを「○」、剥離できなかったサンプルを「×」と評価した。
Figure 2016039176
Figure 2016039176
表1、2中の各成分の詳細は以下のとおりである。
HTR−860P−3CSP:GPCによる重量平均分子量80万、グリシジルメタクリレート3質量%、Tg12℃のアクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製)
HTR−860P−3CSP−30B:GPCによる重量平均分子量30万、グリシジルメタクリレート8質量%、Tg12℃のアクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製)
YDCN−700−10:クレノボ型多官能エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製)
YDF−8170C:ビスF型2官能エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製)
XLC−LL:フェノールアラルキル樹脂(三井化学社製)
LF−4871:フェノールアラルキル樹脂(DIC株式会社製)
GPH−103:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(日本化薬株式会社製)
A−DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
A−9300:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
I−184(IRUGACURE−184):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光ラジカル重合開始剤、BASF株式会社製)
TA31−209E:シリコーン変性アルキド樹脂(日立化成ポリマー株式会社製)
SH3773M:ポリエーテル変性シリコーン化合物(東レ・ダウケミカル株式会社製)
2PZ−CN:イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製)
Figure 2016039176
Figure 2016039176
1…仮固定用樹脂フィルムシート、2…仮固定用樹脂フィルムシート、10…支持フィルム、20…仮固定用樹脂フィルム、30…保護フィルム、40…仮固定材、50…支持体、52…剥離層、60…半導体ウェハ、70…仮固定材、80…半導体ウェハ、82…貫通電極、84…ダイシングライン、86…貫通電極、100…半導体素子、110…配線基板、120…半導体装置。

Claims (10)

  1. 半導体ウェハを支持体にフィルム状の仮固定材を介して仮固定する仮固定工程と、前記支持体に仮固定された前記半導体ウェハを加工する加工工程と、加工された前記半導体ウェハを前記支持体及び前記フィルム状の仮固定材から分離する分離工程と、を備える半導体ウェハの加工方法に用いられる前記フィルム状の仮固定材を形成するための仮固定用樹脂組成物であって、
    (A)熱可塑性樹脂、(B)熱硬化性樹脂、(C)(メタ)アクリルモノマ、及び(D)ラジカル重合開始剤を含む、仮固定用樹脂組成物。
  2. 前記(D)ラジカル重合開始剤が、活性光線の照射によってラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤である、請求項1に記載の仮固定用樹脂組成物。
  3. 前記(C)(メタ)アクリルモノマが、2官能以上の(メタ)アクリルモノマである、請求項1又は2に記載の仮固定用樹脂組成物。
  4. 前記(B)熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂組成物。
  5. 前記(A)熱可塑性樹脂が、反応性基を有する(メタ)アクリル共重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂組成物。
  6. (E)硬化促進剤を更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂組成物。
  7. (F)シリコーン化合物を更に含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の仮固定用樹脂組成物をフィルム状に形成してなる、仮固定用樹脂フィルム。
  9. 離型性を有する支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた、請求項8に記載の仮固定用樹脂フィルムと、を備える、仮固定用樹脂フィルムシート。
  10. 半導体ウェハを支持体に、請求項9に記載の仮固定用樹脂フィルムを用いて形成されたフィルム状の仮固定材を介して仮固定する仮固定工程と、前記支持体に仮固定された前記半導体ウェハを加工する加工工程と、加工された前記半導体ウェハを前記支持体及び前記フィルム状の仮固定材から分離する分離工程と、を備える、半導体ウェハの加工方法。
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