JP2017203139A - 電子部品支持部材 - Google Patents

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恵子 上野
Keiko Ueno
恵子 上野
孝寛 徳安
Takahiro Tokuyasu
孝寛 徳安
石井 学
Manabu Ishii
学 石井
雄志 山口
Yuji Yamaguchi
雄志 山口
恭之 大山
Yasuyuki Oyama
恭之 大山
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Abstract

【課題】電子部品の表面凹凸状態に係らず空隙なく固定すること、電子部品を研削して薄型化すること、加熱処理をすること、これらの加工後の電子部品から容易に剥離することが可能な電子部品支持部材を提供する。【解決手段】(A)樹脂フィルム基材と、(A)樹脂フィルム基材の一方の面側に(B)樹脂層と、を備える電子部品支持部材であり、(B)樹脂層に(C)熱可塑性樹脂、(D)シリコーン変性樹脂を含有する電子部品支持部材であり、シリコンミラーウエハに貼り付けられた状態で、130℃で30分及び170℃で60分の順で加熱する加熱条件によって加熱処理されたときに、加熱処理された後の前記樹脂層の前記シリコンミラーウエハに対する90°剥離強度が、25℃において300mm/分の速度で測定したとき300N/m以下であり、剥離後にウエハ上に残渣が無いことを特徴とする電子部品支持部材。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品支持部材に関する。より詳細には、本発明は、例えば、電子部品に固定する電子部品固定工程と、電子部品を薄化する電子部品薄化工程と、電子部品薄化した表面に150℃以上の加熱を伴う処理を施す電子部品加熱処理工程と、前記支持部材を電子部品から剥離する支持部材剥離工程で使用可能な電子部品支持部材に関する。
スマートフォンやタブレットPC等の電子機器の多機能化に伴い、半導体素子を多段に積層し、高容量化したスタックドMCP(Multi Chip Package)が普及しており、半導体素子の実装には、実装工程において有利なフィルム状接着剤がダイボンディング用の接着剤として広く用いられている。しかし、このように多機能化の傾向があるにも関わらず、現行のワイヤボンドを使用した半導体素子の接続方式では、データの処理速度に限界があることから、電子機器の動作が遅くなる傾向にある。また、消費電力を低く抑え、充電せずにより長時間使用したいとのニーズが高まっていることから、省電力化も求められつつある。このような観点から、近年、更なる高速化と省電力化を目的として、ワイヤボンドではなく貫通電極により半導体素子同士を接続する新しい構造の電子機器装置も開発されてきている。
このように新しい構造の電子機器装置が開発されてきているものの、依然として高容量化が求められており、パッケージ構造に関わらず、半導体素子をより多段に積層できる技術の開発が進められている。しかし、限られたスペースにより多くの半導体素子を積層するためには、半導体素子の安定した薄型化が望まれている。このため、従来は厚さが350μm程度であった電子部品を、厚さ50〜100μmあるいはそれ以下まで薄くする必要が生じている。裏面研削の際、回路面に表面保護シートを貼付して、回路面の保護および電子部品の固定を行い、裏面研削を行っている。その後、研削面への回路形成や封止等の加工工程を経て、ダイシング、ピックアップ、ダイボンド、樹脂封止等の各種の工程を経て、半導体装置が製造されることになる。
電子部品の裏面研削後に研削面への回路形成や封止等の加工工程を経るような半導体装置製造の工程が増えており、回路面の保護および電子部品の固定、裏面研削、加工工程での加熱処理工程に耐えうる、電子部品支持部材が必要不可欠となってきている。
例えば現在、半導体素子を薄型化する研削工程では、いわゆるBGテープと呼ばれる支持テープを半導体素子に貼り付け、サポートした状態で研削することが主流となっている。しかし、従来のBGテープでは、加工工程での加熱処理工程に耐えることができず、剥離等が発生してしまい、研削した電子部品を破損するという課題があり、加工工程を経る半導体装置の製造で使用できないことがわかってきている。
このような背景から、従来のBGテープよりも熱に耐えうる電子部品支持部材の開発が必要不可欠である。
特許第4841802号公報 特許第5008999号公報
近年、電子機器装置の高容量化を目的として、半導体素子のような電子部品の薄型化が推し進められており、更に半導体の製造方法が変化しつつある。電子部品裏面研削後に加熱処理工程のような加工工程を経る、半導体の製造方法が適用されてきているため、電子部品の薄型化に対応しており、かつ加熱処理工程に耐えうる電子部品支持部材が必要不可欠となってきている。
従来の支持テープ、例えばBGテープでは、電子部品の研削後の加熱処理工程において、加熱によって剥離が発生し、研削した電子部品を破損するという懸念が生じる。
また、加熱処理工程のような加工工程の後に電子部品から従来の支持テープを剥離する際、電子部品に支持テープの糊残りが発生しやすくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電子部品を固定する電子部品固定工程と、電子部品を薄化する電子部品薄化工程と、電子部品薄化した表面に150℃以上の加熱を伴う処理を施す電子部品加熱処理工程と、前記支持部材を電子部品から剥離する支持部材剥離工程で使用可能な電子部品支持部材を提供することを目的とする。
本発明は、電子部品を固定可能で、かつ電子部品加工後に電子部品を容易に剥離可能な電子部品支持部材であり、(A)樹脂フィルム基材と、(A)樹脂フィルム基材の一方の面側に(B)樹脂層と、を備える電子部品支持部材であり、(B)樹脂層に(C)熱可塑性樹脂、(D)シリコーン変性樹脂を含有する電子部品支持部材であり、
ウエハ加工方法が、前記支持部材を電子部品に固定する電子部品固定工程と、電子部品を薄化する電子部品薄化工程と、電子部品薄化した表面に150℃以上の加熱を伴う処理を施す電子部品加熱処理工程と、前記支持部材を電子部品から剥離する支持部材剥離工程と、を備え、
シリコンミラーウエハに貼り付けられた状態で、130℃で30分及び170℃で60分の順で加熱する加熱条件によって加熱処理されたときに、加熱処理された後の前記樹脂層の前記シリコンミラーウエハに対する90°剥離強度が、25℃において300mm/分の速度で測定したとき300N/m以下であり、剥離後にウエハ上に残渣が無いことを特徴とする電子部品支持部材に関する。
本発明は、前記加熱条件によって(B)樹脂層が加熱処理されたときに、加熱処理された後の前記樹脂層の170℃における貯蔵弾性率が、5MPa以上であることが好ましい。
本発明は、(C)熱可塑性樹脂が、100000〜1200000の重量平均分子量と、−50℃〜50℃のガラス転移温度とを有し、架橋性官能基を有する高分子量成分を有することが好ましい。
本発明は、(B)樹脂層の120℃におけるずり粘度が、200〜30000Pa・sであることが好ましい。
本発明は、(A)樹脂フィルム基材の25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上であることが好ましい。
本発明は、(B)樹脂層の前記加熱後の1%質量減少温度が150℃以上であることが好ましい。
本発明は、(B)樹脂層に(E)硬化性成分を更に含有することが好ましい。
本発明は、(B)樹脂層に(F)硬化促進剤を更に含有することが好ましい。
本発明によれば、シリコンウェハなどの電子部品を十分固定することが可能であり、電子部品を研削して薄型化することが可能であり、加熱処理などの加工をすることが可能であり、加工後の電子部品から上記電子部品支持部材を容易に剥離することが可能である。
図1(A)は、本発明に係る(B)樹脂層シートの一実施形態を示す上面図であり、図1(B)は、図1(A)のI−I線に沿った模式断面図である。 図2(A)は、本発明に係る電子部品支持部材シートの一実施形態を示す上面図であり、図2(B)は、図2(A)のI−I線に沿った模式断面図である。 図3は、本発明に係る電子部品支持部材シートの他の実施形態を示す上面図であり、図3(B)は、図3(A)のII−II線に沿った模式断面図である。 図4(A)及び図4(B)は、電子部品の加工方法の一実施形態を説明するための模式断面図であり、図4(D)は、加工後、例えば研削後の電子部品を示す上面図である。 図5は、加工された電子部品を電子部品支持部材から分離する分離工程の一実施形態を説明するための模式断面図である。 図6は、電子機器装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[樹脂フィルム基材]
本実施形態に係る(A)樹脂フィルム基材には特に制限はなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム等)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルムなどが挙げられる。
(A)樹脂フィルム基材の25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上であることが好ましい。1000MPaより小さいと、加工工程での熱に樹脂フィルム基材が変形しやすくなり、電子部品を十分に固定することができなくなる。
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製)を用い、3℃/分の昇温速度で昇温させながら測定した場合の測定値を意味する。
(A)樹脂フィルム基材の厚みは、12.5〜200μmとすることができる。薄化した電子部品を割ること無く支持する、支持性を特に顕著に高めるために、樹脂フィルム基材の厚みは、17.5〜150μm、又は20〜100μmであってもよい。
[樹脂層組成物]
本実施形態に係る(B)樹脂層は、(C)熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物である、樹脂層組成物である。
本実施形態で用いる(C)熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有する樹脂、又は少なくとも未硬化状態において熱可塑性を有し、加熱後に架橋構造を形成する樹脂であれば特に制限はない。
本実施形態で用いる(C)熱可塑性樹脂としては、架橋性官能基を有するポリマーを用いることができる。ポリマーとしては、例えば、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル共重合体、ウレタン樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかの意味で用いられる。上記の樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の架橋性官能基を有する(メタ)アクリル共重合体としては、パール重合、溶液重合等の重合方法によって得られるものを用いてもよく、或いは、市販品を用いてもよい。
上記ポリマーは、架橋性官能基をポリマー鎖中に有していても、ポリマー鎖末端に有していてもよい。架橋性官能基の具体例としては、エポキシ基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。上記の架橋性官能基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(以下、「Tg」と表記する)は、−50℃〜50℃であることが好ましく、−30℃〜20℃であることがより好ましい。Tgがこのような範囲であると、シートに成形した後のタック力が上がりすぎて取り扱い性が悪化することを抑制しつつ、十分な流動性を得ることができ、さらに硬化後の弾性率を低くすることができ、剥離強度が高くなりすぎることを抑制できる。
ガラス転移温度は、DSC(熱示差走査熱量計)(例えば、株式会社リガク製「Thermo Plus 2」)を用いて測定したものをいう。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは10万〜120万であり、より好ましくは20万〜100万である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量がこのような範囲であると、成膜性と流動性とを確保することが容易となる。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
本実施形態で用いる(D)シリコーン変性樹脂としては、シリコーンで変性された樹脂であれば特に制限はない。
シリコーン化合物としては、シリコーン変性アルキド樹脂が好ましい。
フィルム状粘着剤がシリコーン変性アルキド樹脂を含有することで、フィルム状粘着剤を電子部品から剥離する際、溶剤を用いることなく容易に剥離することが可能となる。
シリコーン変性アルキド樹脂を得る方法としては、例えば(i)アルキド樹脂を得る通常の合成反応、すなわち多価アコールと脂肪酸、多塩基酸等とを反応させる際に、オルガノポリシロキサンをアルコール成分として同時に反応させる方法、(ii)あらかじめ合成された一般のアルキド樹脂に、オルガノポリシロキサンを反応させる方法が挙げられる。
アルキド樹脂の原料として用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニット、ソルビット等の四価以上の多価アルコールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキド樹脂の原料として用いられる多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメット酸等の芳香族多塩基酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族飽和多塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の脂肪族不飽和多塩基酸、シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、テルペン−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加物等のディールズ・アルダー反応による多塩基酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキド樹脂は、変性剤又は架橋剤を更に含有していてもよい。
変性剤としては、例えばオクチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、脱水リシノレイン酸、あるいはヤシ油、アマニ油、キリ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、大豆油、サフラワー油及びこれらの脂肪酸などを用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂を例示することができる。これらの中でも、アミノ樹脂を用いた場合、アミノ樹脂により架橋されたアミノアルキド樹脂が得られ好ましい。架橋剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン変性アルキド樹脂においては、硬化触媒として酸性触媒を用いることができる。酸性触媒としては、特に制限はなく、アルキド樹脂の架橋反応触媒として公知の酸性触媒の中から適宜選択して用いることができる。このような酸性触媒としては、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機系の酸性触媒が好適である。酸性触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述のようなシリコーン変性アルキド樹脂としては、例えば、テスファインTA31−209E(日立化成株式会社製、商品名)が挙げられる。
本実施形態においては、容易に剥離せしめるという観点から、シリコーン変性アルキド樹脂と同時にポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンなどを組み合わせて使用することが好ましい。
上述のようなシリコーンとしては、東レ・ダウコーニング株式会社製のSH3773M、L−7001、SH−550、SH−710、信越シリコーン株式会社製のX−22−163、KF−105、X−22−163B、X−22−163C等が挙げられるが、高分子量体と相溶すれば、特に限定はない。
本実施形態に係る(B)樹脂層組成物における(D)シリコーン変性樹脂の配合量は、(C)熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、2〜80質量部がより好ましい。(D)シリコーン変性樹脂の配合量が上記範囲内であると、電子部品加工時の接着性と加工後の剥離性とを両立させることが可能となる。配合量が1質量部よりも少ないと剥離性が悪くなり、100質量部よりも多いと耐熱性が悪くなる。
本実施形態に係る(B)樹脂層は、(C)熱可塑性樹脂と(D)シリコーン変性樹脂を含有する(B)樹脂層組成物を備える(B)樹脂層であり、この化合物以外に必要に応じて、(E)硬化性成分、(F)硬化促進剤、及びその他の成分を含有することができる。
本実施形態で用いる(E)硬化性成分としては、特に制限はないが、熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても使用することができる。特に、耐熱性、作業性、信頼性に優れる(B)樹脂層組成物が得られる点でエポキシ樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
エポキシ樹脂は、硬化して耐熱作用を有するものであれば特に限定されない。ビスフェノールA型エポキシなどの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009(「エピコート」は登録商標))、ダウケミカル社製、DER−330、DER−301、DER−361、及び新日鉄住金化学株式会社製、YD8125、YDF8170等が挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート152、エピコート154、日本化薬株式会社製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が挙げられる。o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027や、新日鉄住金化学株式会社製、YDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる(「アラルダイト」、「デナコール」は登録商標)。アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート604、東都化成株式会社製のYH−434、三菱ガス化学株式会社製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学株式会社製のELM−120等が挙げられる。複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
エポキシ樹脂を使用する際は、エポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。
前記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、DIC株式会社製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成株式会社製、商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65及び三井化学株式会社製、商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVRが挙げられる(「フェノライト」、「エピキュア」、「ミレックス」は登録商標)。
本実施形態に係る樹脂層組成物における(E)硬化性成分の配合量は、(C)熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜500質量部が好ましく、5〜300質量部がより好ましい。硬化性成分の配合量が上記範囲内であると、十分な低温貼り付け性、耐熱性と硬化性を両立することができる。配合量が500質量部より多いと硬化前の粘度が過度に低くなり、硬化に長時間を要する。
本実施形態で用いる(F)硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る(B)樹脂層組成物がエポキシ基を有する(メタ)アクリル共重合体を含有する場合、係るアクリル共重合体に含まれるエポキシ基の硬化を促進する硬化促進剤を含有することが好ましい。
本実施形態に係る(B)樹脂層組成物が、(E)硬化性成分を含有する場合、(E)硬化性成分の量に対して(F)硬化促進剤の添加量が少なすぎる場合には、半導体素子の製造工程内の熱履歴ではフィルム状粘着剤を完全に硬化させることが困難となり、電子部品と支持体を確実に固定できなくなり、また、耐熱性も悪化する可能性がある。一方、硬化促進剤の添加量が多すぎる場合には、製造工程中の加熱によりフィルム状粘着剤の溶融粘度が上昇しやすくなるだけではなく、フィルムの保存安定性が悪くなる傾向がある。このような観点から、本実施形態に係るフィルム状粘着剤における(F)硬化促進剤の配合量は、(E)硬化性成分100質量部に対して0.01〜3.0質量部が好ましい。
本実施形態に係る(B)樹脂層組成物のその他の成分としては、無機フィラーやシランカップリング剤などが挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、銅粉等の金属フィラー;シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の非金属無機フィラーなどが挙げられる。無機フィラーは所望する機能に応じて選択することができる。例えば、金属フィラーは、(B)樹脂層組成物にチキソ性を付与する目的で添加することができ、非金属無機フィラーは、(B)樹脂層組成物に低熱膨張性、低吸湿性を付与する目的で添加することができる。無機フィラーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記無機フィラーは表面に有機基を有するものが好ましい。無機フィラーの表面が有機基によって修飾されていることにより、(B)樹脂層組成物を調製するときの有機溶剤への分散性、並びに(B)樹脂層組成物から形成される(B)樹脂層の密着性及び耐熱性を向上させることが容易となる。
表面に有機基を有する無機フィラーは、例えば、下記一般式(B−1)で表されるシランカップリング剤と無機フィラーとを混合し、30℃以上の温度で攪拌することにより得ることができる。無機フィラーの表面が有機基によって修飾されたことは、UV(紫外線)測定、IR(赤外線)測定、XPS(X線光電子分光)測定等で確認することが可能である。
Figure 2017203139
式(B−1)中、Xは、フェニル基、グリシドキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、ビニル基、イソシアネート基及びメタクリロキシ基からなる群より選択される有機基を示し、sは0又は1〜10の整数を示し、R11、R12及びR13は各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基を示す。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基が挙げられる。入手が容易である点で、メチル基、エチル基及びペンチル基が好ましい。Xとしては、耐熱性の観点から、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基及びイソシアネート基が好ましく、グリシドキシ基及びメルカプト基がより好ましい。式(B−1)中のsは、高熱時のフィルム流動性を抑制し、耐熱性を向上させる観点から、0〜5が好ましく、0〜4がより好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシフェニルシラン、ジメチルジメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3―ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N´―ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサンが挙げられる。これらの中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましく、トリメトキシフェニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランがより好ましい。シランカップリング剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記カップリング剤の使用量は、耐熱性を向上させる効果と保存安定性とのバランスを図る観点から、無機フィラー100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.05質量部〜20質量部がより好ましく、耐熱性向上の観点から、0.5〜10質量部がさらにより好ましい。
本実施形態に係る(B)樹脂層組成物における無機フィラーの配合量は、Bステージ状態における電子部品支持部材の取扱い性の向上、低熱膨張性の向上の観点から、(C)熱可塑性樹脂100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらにより好ましい。無機フィラーの含有量の下限は特に制限はないが、熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましい。無機フィラーの含有量を上記範囲とすることにより、(B)樹脂層組成物から形成される電子部品支持部材の接着性を十分確保しつつ、所望の機能を付与することができる。
本実施形態に係る(B)樹脂層組成物には、更に有機フィラーを配合することができる。有機フィラーとしては、例えば、カーボン、ゴム系フィラー、シリコーン系微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等が挙げられる。有機フィラーの配合量は、(C)熱可塑性樹脂100質量部に対し、300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらにより好ましい。無機フィラーの含有量の下限は特に制限はないが、熱可塑性樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましい。
本実施形態に係る(B)樹脂層組成物は、必要に応じて更に有機溶剤を用いて希釈してもよい。有機溶剤は、特に限定されないが、製膜時の揮発性などを沸点から考慮して決めることができる。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンの比較的低沸点の溶剤は、製膜時にフィルムの硬化が進まない点で好ましい。また、製膜性を向上させるなどの目的では、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンの比較的高沸点の溶剤を使用することが好ましい。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
[電子部品支持部材シート]
本実施形態に係る電子部品支持部材は、上記本実施形態に係る(B)樹脂層組成物を(A)樹脂フィルム基材上にフィルム状に形成してなるものである。
本実施形態に係る(B)樹脂層組成物は、上述した成分を含む樹脂層組成物を有機溶媒中で混合、混練してワニスを調製し、作製したワニスを支持フィルム上に塗布して乾燥する方法により形成することができる。
上記の混合、混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を用い、これらを適宜組み合わせて行うことができる。上記の加熱乾燥は、使用した溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60℃〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行うことができる。
上記ワニスを作製するための有機溶媒は、上記各成分を均一に溶解、混練または分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、トルエン、キシレン等が挙げられる。乾燥速度が速く、価格が安い点でメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等を使用することが好ましい。その際、固形分濃度は、10〜80質量%であることが好ましい。
支持フィルム上に設けられた(B)樹脂層は、必要に応じて保護フィルムを貼り付けることができる。この場合、後述する、(A)樹脂フィルム基材、(B)樹脂層及び保護フィルムからなる3層構造を有する電子部品支持部材シートを得ることができる。
このようにして得られた電子部品支持部材シートは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。また、ロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状にして保存することもできる。
図1(A)は、本実施形態の電子部品支持部材シートの一実施形態を示す上面図であり、図1(B)は図1(A)のI−I線に沿った模式断面図である。
図1に示す(B)樹脂層シート1は、支持フィルム10と、支持フィルム10上に設けられた樹脂層20と、樹脂層20の支持フィルム10とは反対側に設けられた保護フィルム30とを備える。
支持フィルム10としては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドであることが好ましい。また、フィルム状粘着剤(樹脂層)との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などにより離型処理が施されたフィルムを支持フィルムとして用いることが好ましい。
支持フィルム10の厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、3〜350μmであることが好ましい。3μm以上であれば、フィルム強度が十分であり、350μm以下であれば、十分な柔軟性が得られる。このような観点から、支持フィルム10の厚みは、5〜200μmであることが更に好ましく、7〜150μmであることが特に好ましい。
支持フィルムが(A)樹脂フィルム基材以外のフィルムである場合、またシリコーン系化合物、フッ素系化合物などにより離型処理が施されたフィルムである場合、(A)樹脂フィルム基材と(B)樹脂層は60〜120℃でロールラミネートなどにより貼り合わせることで、電子部品支持部材シートを得ることができる。また、図2(B)の構成のように(A)樹脂フィルム基材に直接塗工することもできる。
本実施形態の(B)樹脂層20の厚みについては、特に限定されないが、乾燥後の厚みで、電子部品と搬送用の支持体とを十分に固定するという観点から、5〜350μmであることが好ましい。5μm以上であれば、厚みが十分であるためフィルム又はフィルムの硬化物の強度が十分であり、電子部品と搬送用の支持体とを十分に固定することができ、350μm以下であれば、十分な乾燥によりフィルム中の残留溶剤量を低減することが容易となり、フィルムの硬化物を加熱したときに発泡することを少なくできる。厚みが5μm以下であれば塗工時の厚み精度が不均一となりやすくなり、300μm以上であれば厚みバラツキが生じやすくなる。
厚膜のフィルムを製造する場合は、予め形成した厚み100μm以下の複数のフィルム同士を貼り合せてもよい。このように貼り合せたフィルムを用いることで、厚膜化フィルムを作製したときの残存溶剤を容易に低下させることができる。
本実施形態に係る(B)樹脂層22は、硬化前のずり粘度が120℃においてフィルムの取扱いや支持体への貼り付け性の観点から200〜30000Pa・sであることが好ましい。200Pa・sより小さければやわらかすぎるため、フィルムが取扱い辛くなり、また、硬化に時間がかかってしまう。30000Pa・sより大きければ硬すぎるため十分な貼付性が得られない。
上記ずり粘度は、ARES(レオメトリック・サイエンティフィック社製)を用い、フィルム状粘着剤に5%の歪みを与えながら20℃/分の昇温速度で昇温させながら測定した場合の測定値を意味する。
保護フィルム30としては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンであることが好ましい。また、フィルム状粘着剤(樹脂層)との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などにより離型処理が施されたフィルムを保護フィルムとして用いることが好ましい。
保護フィルム30の厚みは、目的とする柔軟性により適宜設定することができるが、10〜350μmであることが好ましい。10μm以上であれば、フィルム強度が十分であり、350μm以下であれば、十分な柔軟性が得られる。このような観点から、保護フィルム30の厚みは、15〜200μmであることが更に好ましく、20〜150μmであることが特に好ましい。
厚膜のフィルムを製造する場合は、予め形成した厚み100μm以下の複数のフィルム同士を貼り合せてもよい。このように貼り合せたフィルムを用いることで、厚膜化フィルムを作製したときの残存溶剤を容易に低下させることができる。
図2(A)は、本発明に係る電子部品支持部材シートの他の実施形態を示す上面図であり、図2(B)は図2(A)のII−II線に沿った模式断面図である。
図3に示す電子部品支持部材3は、固定する部材の形状に合わせて樹脂層20及び樹脂フィルム基材15が予め裁断されていること以外は、電子部品支持部材シート2と同様の構成を有する。なお、図3では、裁断された樹脂層20及び樹脂フィルム基材15の外縁部が除去されているが、固定する部材の形状に合わせて樹脂層及び樹脂フィルム基材に切れ込みが設けられ、外縁部が残されていてもよい。
[電子部品の加工方法]
本実施形態に係る電子部品の加工方法は、大きく分けて以下の4工程からなる。(a)電子部品と電子部品支持部材を固定する工程と、(b)電子部品支持部材に固定された電子部品を加工する加工工程と、(c)加工された電子部品を電子部品支持部材から分離する分離工程と、(d)電子部品に残渣がある場合に洗浄する洗浄工程とからなる。
図4(A)、図4(B)及び図4(C)は、電子部品の加工方法の一実施形態を説明するための模式断面図であり、図4(D)は、加工後の電子部品を示す上面図である。
<(a)仮固定工程>
図4の(A)は、電子部品60に、本実施形態に係る樹脂フィルム基材50及び樹脂層組成物から形成されるフィルム状の樹脂層40を固定する工程を示す。
電子部品60の厚みは、特に制限はないが、600〜800μmとすることができる。
<(a−1)電子部品60上への電子部品支持部材の形成>
ロールラミネーター、真空ラミネーターなどを用いて、電子部品60上に電子部品支持部材の樹脂層をラミネートすることにより固定することができる。
本実施形態の電子部品の材質は特に選ばないが、シリコンウェハ、ガラスウェハ、石英ウェハなどの基板が使用可能である。
真空ラミネーターを用いる場合は、例えば株式会社エヌ・ピー・シー製真空ラミネーターLM−50×50−S(商品名)、ニチゴーモートン株式会社製真空ラミネーターV130(商品名)を用い、気圧1hPa以下、圧着温度40℃〜180℃、好ましくは60℃〜150℃、ラミネート圧力0.01〜0.5MPa、好ましくは0.1〜0.5MPa、保持時間1秒〜600秒、好ましくは30秒〜300秒で、支持体50上に電子部品支持部材20の(B)樹脂層22側をラミネートすることにより電子部品支持部材40を固定することができる。
<(a−2)樹脂層の硬化>
電子部品60と電子部品支持部材45を固定した後、電子部品支持部材45の(B)樹脂層40の硬化を行う。
硬化方法はフィルムが硬化されれば特に制限されなく、熱や放射線照射による方法がある。これらの中で熱による硬化が好ましい。硬化条件は、100〜200℃で10〜300分の硬化が好ましく、20〜210分の硬化がさらに好ましい。100℃以下であるとフィルムが硬化されず、加工工程で問題がおき、200℃以上であると、硬化中にアウトガスが発生し、フィルムの剥離が起こる可能性がある。また、10分以下の硬化であると、加工工程で問題がおき、240分以上であると、硬化時間が長いため作業効率が悪くなる。
本実施形態に係る(B)樹脂層40は、硬化した後の貯蔵弾性率が25℃において10MPa以上が好ましい。25℃での貯蔵弾性率が10MPa以下であると、電子部品を薄化する際に電子部品を十分に固定することができなくなる。
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム製)を用い、3℃/分の昇温速度で昇温させながら測定した場合の測定値を意味する。
以上説明したような構成の電子部品支持部材を用いると、高温での電子部品の加工が可能で、加工後に室温で電子部品部材を電子部品から糊残りなく剥離することができる。
<(b)加工工程>
加工工程には、ウェハレベルで用いられる研削、電極形成、金属配線形成、保護膜形成などが含まれる。研削方式には特に制限はなく、公知の研削方式が利用できる。研削は電子部品と砥石(ダイヤモンドなど)とに水をかけて冷却しながら行うことが好ましい。
例えば、図4(B)に示すように、グラインダー90によって電子部品80の裏面、すなわち電子部品80の樹脂層70と接する側とは反対側の面を研削し、例えば700μm程度の厚みを100μm以下にまで薄化する。
研削加工する装置としては、例えば株式会社DISCO製DGP−8761(商品名)等が挙げられ、この場合の切削条件は所望の電子部品の厚み及び研削状態に応じて任意に選ぶことができる。
その他の工程は具体的には、電極などの形成のための金属スパッタリング、金属スパッタリング層をエッチングするウェットエッチング、金属配線形成のマスクするためのレジストの塗布、露光・現像によるパターンの形成、レジストの剥離、ドライエッチング、金属めっきの形成、TSV形成のためのシリコンエッチング、シリコン表面の酸化膜形成など、公知のプロセスが挙げられる。
本実施形態に係る、(B)樹脂層70の前記加熱後の1%質量減少温度が150℃以上であることが好ましい。1%質量減少温度が150℃より小さいとき、150℃以上の加工工程の熱で樹脂層が劣化してしまい、加工後に室温で電子部品部材を電子部品から糊残りなく剥離することができなくなる。
1%質量減少温度は、前記加熱後に、アルミパンに10mg精秤し、熱分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、TG/DTA6300)を用いて昇温速度:10℃/分、測定温度:40〜500℃、空気流量:300mL/分の条件で熱質量減少の温度依存性を測定し、1%質量減少温度を見積もった。
図4(C)は、薄化した電子部品80の裏面側にドライイオンエッチング又はボッシュプロセス等の加工を行い、貫通孔を形成した後、銅めっきなどの処理を行い、貫通電極82を形成した例を示している。
こうして電子部品80に所定の加工が施される。図4(D)は、加工後の電子部品80の上面図である。加工された電子部品80は、さらにダイシングライン84に沿ったダイシングによって半導体素子に個片化される。
<(c)分離工程>
図5は、加工された電子部品を支持体及びフィルム状粘着剤から分離する分離工程の一実施形態を説明するための模式断面図である。
本実施形態に係る分離工程は、加工工程で加工を施した電子部品を電子部品支持部材から剥離する工程、即ち、薄型化した電子部品に様々な加工を施した後、ダイシングする前に支持体から剥離する工程である。剥離方法としては、電子部品の研削面に保護フィルムを貼り、電子部品と保護フィルムとをピール方式で剥離する方法等が挙げられるが、特に制限なく採用することができる。
本実施形態には、これらの剥離方法すべてに適用可能であるが、図5(A)に示されるように加工した電子部品を水平に固定しておき、ピール方式において剥離する方法等がより適しており、電子部品80を得ることができる(図5(B)を参照)。本実施形態においては、本実施形態に係るフィルム状粘着剤組成物を用いてフィルム状粘着剤が形成されていることにより、糊残りなどの残渣が十分低減された加工済み電子部品を容易に得ることができる。
これらの剥離方法は、通常、室温で実施されるが、40〜100℃程度の電子部品にダメージのない温度下で実施してもよい。
本実施形態に係る(B)樹脂層の剥離力は、支持体、例えばシリコンミラーウエハに対する90°剥離強度が25℃において300N/m以下が好ましい。300N/m以下であれば、糊残りなく、(B)樹脂層と電子部品を剥離することが可能である。300N/m以上であれば、電子部品から電子部品支持部材を剥離する際に(B)樹脂層と電子部品との間で糊残り無く剥離することができず、電子部品上にフィルムが残る可能性がある。
90°剥離強度は以下のように測定した。
厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)を真空ラミネーター(株式会社エヌ・ピー・シー製、LM−50X50−S)のステージ上に置き、上記で得られたフィルム状粘着剤を(B)層を下にしてシリコンミラーウェハ側に貼り付くように設置し、120℃/0.1MPa/2分、15mbarで真空ラミネートした。得られたサンプルを硬化させ、10mm幅に切り出した。これを、剥離角度が90°となるように設定した剥離試験機で300mm/分の速度で剥離試験を実施し、そのときの剥離強度を記録した。
<(d)洗浄工程>
電子部品の回路形成面は樹脂層の一部が残存しやすい。剥離した電子部品の回路形成面に樹脂層が一部残存した場合、これを除去するための洗浄工程を設けることができる。樹脂層の除去は、例えば、電子部品を洗浄することにより行うことができる。
用いる洗浄液には、一部残存した樹脂層を除去できるような洗浄液であれば、特に制限はなく、例えば、樹脂層組成物の希釈に用いることができる上記有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、残存した樹脂層が除去しにくい場合は、有機溶剤に塩基類、酸類を添加してもよい。塩基類の例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、アンモニアなどのアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアンモニウム塩類が使用可能である。酸類としては、酢酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機酸が使用可能である。添加量は、洗浄液中濃度で、0.01〜10質量%が好ましい。また、残存物の除去性を向上させるため、既存の界面活性剤を添加してもよい。
洗浄方法として、特に制限はないが、例えば、上記洗浄液を用いてパドルでの洗浄を行う方法、スプレー噴霧での洗浄方法、洗浄液槽に浸漬する方法が挙げられる。温度は10〜80℃、好ましくは15〜65℃が好適であり、最終的に水洗又はアルコール洗浄を行い、乾燥処理させて、薄型の電子部品80が得られる。
なお、上述したように、本実施形態に係る樹脂層組成物によれば、糊残りなどの残渣を十分低減することができるため、洗浄工程を省略することが可能となる。
加工された電子部品80は、上記と同様にして貫通電極82が形成され、さらにダイシングライン84に沿ったダイシングによって半導体素子に個片化される(図3(D)参照)。
本実施形態においては、得られた半導体素子を他の半導体素子又は半導体素子搭載用基板に接続することにより電子機器装置を製造することができる。
図6は、電子機器装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。まず、上述した方法により、貫通電極86が形成され、個片化された半導体素子100を用意する(図6(A))。そして、半導体素子100を配線基板110上に複数積層することにより電子機器装置120を得ることができる(図6(B))。
以上、本発明に係る電子部品支持部材、薄型化した電子部品の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1〜4)
[ワニス(フィルム状接着剤組成物)の調製]
表1及び2に示す(B)樹脂層の質量部の組成で、(B)樹脂層は、(C)熱可塑性樹脂と、(D)硬化性成分と、(E)シリコーン変性樹脂と、(F)硬化促進剤、及び溶剤、を配合し、ワニスを調製した。
Figure 2017203139
((B)樹脂層の配合単位;質量部)
Figure 2017203139
((B)樹脂層の配合単位;質量部)
表1、2中の各成分の詳細は以下のとおりである。
Q83−50:ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(商品名、帝人デュポンフィルム株式会社製、厚み:50μm)
25SGA:ポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、厚み:25μm)
G2−50:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、厚み:50μm)
HTR−280−CHN:GPCによる重量平均分子量90万、Tg−28℃のアクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製)
HTR−860P−3CSP:GPCによる重量平均分子量80万、Tg12℃のアクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製)
YDCN−700−10:クレノボ型多官能エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製)
YDF−8170C:ビスF型2官能エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製)
XLC−LL:フェノールアラルキル樹脂(三井化学株式会社製)
SH550:メチルフェニルシリコーン化合物(東レ・ダウケミカル株式会社製)
SH3773M:ポリエーテル変性シリコーン化合物(東レ・ダウケミカル株式会社製)
SC2050−HLG:シリカフィラー(アドマテックス株式会社製)
2PZ−CN:イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製)
[比較例3・ポリイミド樹脂PI−1の合成]
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えたフラスコ内に、ジアミンである、BAPP(東京化成工業株式会社製、商品名、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)、分子量410.51)を10.26g(0.025mol)及び1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル(東京化成工業株式会社製、商品名:B−12、分子量:204.31)5.10g(0.025mol)と、溶媒である、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100gとを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、デカメチレンビストリメリテート酸二無水物(DBTA)26.11g(0.05mol)を、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温し、ポリイミド樹脂PI−1を得た。ポリイミド樹脂PI−1の重量平均分子量は50000、Tgは70℃であった。
上記のポリイミド樹脂PI−1を、NMP溶媒中に固形分濃度が50質量%になるように溶解混合してフィルムを形成するためのワニスを作製した。
このワニスを用い、上記と同様にして(B)樹脂層を得た。
[フィルム状接着剤の評価]
調製したワニスを、それぞれ離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、A31、厚み38μm)の離型処理面上に塗布し、90℃で5分間、140℃で5分間加熱乾燥して、保護フィルム及び支持フィルム付き(B)樹脂層を得た。(A)樹脂フィルム基材と(B)樹脂層を60℃でロールラミネートにより貼り合せ、電子部品支持部材を得た。調製した実施例1〜5、比較例1〜4のフィルム状接着剤を用いて、以下に示す方法にしたがって、粘度、150℃での耐熱性評価、5%質量減少温度、硬化後の弾性率、90°剥離強度及び剥離性をそれぞれ評価した。
その評価結果を表3、4にまとめた。
[ずり粘度測定]
(B)樹脂層のずり粘度を下記の方法により評価した。
(B)樹脂層シートを80℃でラミネートすることで厚み120μmとし、回転式粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント株式会社製、ARES)を用いて、測定方法はparall plate、測定冶具は直径8mmの円形、測定モードはDynamic temperature ramp、周波数は1Hz、35℃で5%の歪みを与えながら20℃/分の昇温速度で120℃まで昇温し、120℃の粘度を測定した。
[150℃での耐熱性評価]
(B)樹脂層の150℃での耐熱性を下記の方法により評価した。
厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)をブレードダイシングにより25mm角に小片化した。小片化したシリコンミラーウェハ表面に、(B)樹脂層シートが貼り付くように80℃でロールラミネートした。次に、厚みが0.1〜0.2mmで大きさが約18mm角のスライドガラスを80℃でロールラミネートし、(B)樹脂層シートがシリコンウェハとスライドガラスで挟まれた積層品を作製した。得られたサンプルを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で1時間加熱して(B)樹脂層シートを硬化させ、その後、150℃で30分間加熱した。
このようにして得られたサンプルをスライドガラス面から観察し、画像をPhotoshop(登録商標)などのソフトウェハで解析し、フィルム状粘着剤全体の面積に占めるボイドの割合から150℃での耐熱性を評価した。評価基準は以下の通りである。
○:ボイドの割合が5%未満。
×:ボイドの割合が5%以上。
[1%質量減少温度]
(B)樹脂層の1%質量減少温度を下記の方法により評価した。
上記で得られた(B)樹脂層シートを130℃のオーブンで30分、さらに170℃で1時間加熱した。その後、得られたサンプルをφ5.2mm×2.5mm厚のアルミパンに10mg 精秤し、熱分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、TG/DTA6300)を用いて昇温速度:10℃/分、測定温度:40〜500℃、空気流量:300mL/分の条件で熱質量減少の温度依存性を測定し、1%質量減少温度を見積もった。
[硬化後の貯蔵弾性率]
(B)樹脂層シートの貯蔵弾性率を下記の方法により評価した。
上記で得られた(B)樹脂層シートを80℃でロールラミネートし、厚み120μmの積層フィルムを得た。110℃のオーブンで30分、さらに170℃で1時間加熱した後、厚み方向に4mm幅、長さ33mmに切り出した。なお、積層フィルムの支持フィルムは剥離除去した。得られたサンプルを動的粘弾性装置(製品名:Rheogel−E4000、株式会社ユービーエム製)にセットし、引張り荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分で測定し、25℃での測定値を記録した。
[90°剥離強度]
シリコンミラーウェハ及び(B)樹脂層の間の90°剥離強度を下記の方法により評価した。
厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)を真空ラミネーター(株式会社エヌ・ピー・シー製、LM−50X50−S)のステージ上に置き、上記で得られた(B)樹脂層を下にしてシリコンミラーウェハ側に貼り付くように設置し、120℃/0.1MPa/2分、15mbarで真空ラミネートした。得られたサンプルを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で1時間加熱して硬化させ、その後、150℃で2時間加熱した後、10mm幅に切り出した。これを、剥離角度が90°となるように設定した剥離試験機で25℃雰囲気下で300mm/分の速度で剥離試験を実施し、そのときの剥離強度を記録した。
[残渣]
シリコンミラーウェハ及び(B)樹脂層の残渣を下記の方法により評価した。
厚み625μmシリコンミラーウェハ(6インチ)を真空ラミネーター(株式会社エヌ・ピー・シー製、LM−50X50−S)のステージ上に置き、上記で得られた(B)樹脂層を下にしてシリコンミラーウェハ側に貼り付くように設置し、120℃/0.1MPa/2分、15mbarで真空ラミネートした。得られたサンプルを130℃で30分間加熱し、続いて170℃で1時間加熱して硬化させ、その後、150℃で2時間加熱した後、10mm幅に切り出した。これを、剥離角度が90°となるように設定した剥離試験機で25℃雰囲気下で300mm/分の速度で剥離試験を実施し、そのときのシリコンミラーウエハにフィルム残渣の有無を目視で観察した。
○:目視でフィルム残渣無し。
×:目視でフィルム残渣有り。
Figure 2017203139
Figure 2017203139
表3、4に示されるように、実施例1〜5の電子部品支持部材は、耐熱性に優れるとともに、シリコンウェハと電子部品支持部材(B)樹脂層との間の90°剥離強度が低く、残渣なく剥離性が良好であることが確認された。
1…(B)樹脂層シート、2…電子部品支持部材シート、3…電子部品支持部材シート、10…支持フィルム、15…樹脂フィルム基材、20…樹脂層、30…保護フィルム、40…樹脂層、45…電子部品支持部材、50…樹脂フィルム基材、60…電子部品、70…硬化した樹脂層、75…電子部品支持部材、80…電子部品、82…貫通電極、84…ダイシングライン、86…貫通電極、90…グラインダー、100…半導体素子、110…配線基板、120…半導体装置。

Claims (8)

  1. 電子部品を固定可能で、かつ電子部品加工後に電子部品を容易に剥離可能な電子部品支持部材であり、(A)樹脂フィルム基材と、(A)樹脂フィルム基材の一方の面側に(B)樹脂層と、を備える電子部品支持部材であり、(B)樹脂層に(C)熱可塑性樹脂、(D)シリコーン変性樹脂を含有する電子部品支持部材であり、
    ウエハ加工方法が、前記支持部材を電子部品に固定する電子部品固定工程と、電子部品を薄化する電子部品薄化工程と、電子部品薄化した表面に150℃以上の加熱を伴う処理を施す電子部品加熱処理工程と、前記支持部材を電子部品から剥離する支持部材剥離工程と、を備え、
    シリコンミラーウエハに貼り付けられた状態で、130℃で30分及び170℃で60分の順で加熱する加熱条件によって加熱処理されたときに、加熱処理された後の前記樹脂層の前記シリコンミラーウエハに対する90°剥離強度が、25℃において300mm/分の速度で測定したとき300N/m以下であり、剥離後にウエハ上に残渣が無いことを特徴とする電子部品支持部材。
  2. 前記加熱条件によって(B)樹脂層が加熱処理されたときに、加熱処理された後の前記樹脂層の25℃における貯蔵弾性率が、5MPa以上である、請求項1に記載の電子部品支持部材。
  3. (C)熱可塑性樹脂が、100000〜1200000の重量平均分子量と、−50℃〜50℃のガラス転移温度とを有し、架橋性官能基を有する高分子量成分を有する、請求項1または2に記載の電子部品支持部材。
  4. (B)樹脂層の120℃におけるずり粘度が、200〜30000Pa・sである、請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品支持部材。
  5. (A)樹脂フィルム基材の25℃における貯蔵弾性率が1000MPa以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品支持部材。
  6. (B)樹脂層の前記加熱後の1%質量減少温度が150℃以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品支持部材。
  7. (B)樹脂層に(E)硬化性成分を更に含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品支持部材。
  8. (B)樹脂層に(F)硬化促進剤を更に含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品支持部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019198932A (ja) * 2018-05-17 2019-11-21 富士紡ホールディングス株式会社 研磨加工用シートの製造方法
JP2019220550A (ja) * 2018-06-19 2019-12-26 株式会社ディスコ ウエーハの加工方法
WO2020217405A1 (ja) * 2019-04-25 2020-10-29 日立化成株式会社 ドルメン構造を有する半導体装置の製造方法、支持片の製造方法、及び支持片形成用積層フィルム

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