JP2016039030A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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義友 竹林
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Abstract

【課題】液枯れの発生を抑制しつつ、容量劣化を抑制し、良好なサイクル特性を備えるリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】本発明により提供される非水電解液二次電池は、それぞれ集電体上に合材層を備える正負極と、非水電解液とを備える。ここで正極合材層は、厚み方向に2つの層を有している。かかる2つの層のうち、相対的に正極集電体から遠い上層は、正極活物質と、第1導電材とを含む。一方、相対的に正極集電体に近い下層は、正極活物質を含まず、第2導電材を含む。上記第2導電材は、DBP吸油量が第1導電材のDBP吸油量よりも大きく、且つ、正極合材層の固形分全体に占める第2導電材の含有率は0.5wt%以上2wt%以下である。
【選択図】図3(b)

Description

本発明はリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池に関する。
非水電解液二次電池の一つにリチウムイオン二次電池がある。近年、リチウムイオン二次電池は、電気自動車や、ハイブリッド電気自動車や燃料電池車などのモーター駆動もしくは補助電源などに用いられている。そのため、更なる高出力、高サイクル時の長寿命性(ロングライフ性能)が求められている。
二次電池の容量劣化として、正極での液枯れに起因する容量劣化が挙げられる。これは充放電の繰り返しにより電極内部で電解液(電解質)が分解され、セパレータおよび正極合材層内部に電解液が不十分な領域が発生することで起きる。その結果として、上記領域ではリチウムイオンの拡散が阻害されるため、抵抗の増大や、活物質へのリチウムイオンの挿入・脱離が十分に行えず容量劣化を引き起こす。また、充放電による電解液の分解は、充放電の電圧が高いほど促進される。したがって、正極電位が高いほど液枯れの発生する可能性が高い。
上記課題に鑑みて、放電特性を改善(高出力化)するための手段として、正極における電解液の保液性を向上させる方法がある。特許文献1には、非水電解液二次電池の放電特性改善のため、正極にフタル酸ジブチル(DBP)吸油量の高い材料を含有させる技術が記載されている。DBP吸油量の高い材料が含有されることにより、正極の保液性が向上する。そのため、充放電の繰り返しにより電極内部で電解液(電解質)が分解されても、正極内の電解液の保液量が多いため、正極内での液枯れが抑制される。したがって、正極に十分な導電性が付与され、良好な放電特性が得られるリチウムイオン二次電池が記載されている。
特開平11−219707号公報 特開2013−080627号公報 特開2013−149387号公報
特許文献1に記載の非水電解液二次電池は、正極における電解液の保液性に優れたものである。しかし、この種の非水電解液二次電池は、正極の保液性の向上により液枯れが抑制できる一方で、正極合材層に含まれる導電材表面の保液性まで一律に向上し、それに伴い導電材表面での電解液の酸化分解が促進され、電解液中により多くの酸(典型的にはフッ化水素:HF)が発生する。電解液中に発生した酸は、正極活物質を構成する遷移金属を溶出させ、容量劣化を引き起こす場合がある。
そこで本発明は上記課題に鑑みて創出されたものであり、液枯れの発生を抑制しつつ、非水電解液の分解に起因する酸による当該高電位正極活物質からの遷移金属溶出に起因する容量劣化を抑制し、良好なサイクル特性を備えるリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明により提供される非水電解液二次電池は、正極活物質を含む正極合材層が正極集電体上に形成された正極と、負極活物質を含む負極合材層が負極集電体上に形成された負極と、非水電解液とを備える非水電解液二次電池である。ここで正極合材層は、厚み方向に2つの層を有している。かかる2つの層のうち、相対的に上記正極集電体から遠い上層は、正極活物質と、第1導電材とを含む。一方、相対的に上記正極集電体に近い下層は、正極活物質を含まず、第2導電材を含み、ここで第2導電材として、フタル酸ジブチル(DBP)吸油量が第1導電材のフタル酸ジブチル(DBP)吸油量よりも大きいことを特徴とする導電材が使用されており、且つ、正極合材層の固形分全体に占める第2導電材の含有率は0.5wt%以上2wt%以下であることを特徴とする。ここでDBP吸油量はJIS−K6221のA法に準拠する方法で測定した測定値である。
上記構成の非水電解液二次電池によれば、液枯れの発生しやすい正極集電体表面近傍の下層の保液性を上層よりも向上させつつ、正極活物質を含む上層の保液性は下層に比べて抑制することができる。このため、正極合材層全体の良好な保液性を確保して出力向上を実現することができるとともに、正極活物質が含まれる上層中の導電材の保液性が高くなりすぎるのを抑えることによって上層中での電解液の酸化分解量が上昇するのを防いでいる。
更にここで開示される非水電解液二次電池では、DBP吸油量の大きい第2導電材の正極合材層の固形分全体に占める含有率が0.5wt%以上2wt%以下に規定されている。このため、正極合材層全体の保液性の向上を適切なレベルに制御でき、その結果、特に下層近傍の上層領域における正極活物質からの遷移金属溶出に起因する容量劣化を抑制し、且つ、正極合材層全体における液枯れの発生を抑制することができる。このことから、本発明の非水電解液二次電池によると、出力と耐久性(サイクル特性)をともに向上させることができる。
ここに開示される非水電解液二次電池の好ましい一態様では、第1導電材と第2導電材とを合わせた導電材合計の正極合材層の固形分全体に占める含有率は、10wt%以下である。
上記構成の非水電解液二次電池によれば、正極合材層内の保液性の向上(特に正極集電体近傍の保液性)を実現しつつ正極合材層全体における導電材表面の保液性は適度なレベルに制御することができる。そのため、液枯れの発生を抑制しつつ、非水電解液の分解に起因する酸による正極活物質からの遷移金属溶出に起因する容量劣化をより抑制することができる。したがって、本態様の非水電解液二次電池では、高出力化と容量劣化の抑制(耐久性の維持)とを相反せずにともに高レベルに実現することができる。
また、第2導電材としては、DBP吸油量が190ml/100g以上である導電材が好ましく、第1導電材としては、DBP吸油量が190ml/100g未満である導電材が好ましい。
上記構成の非水電解液二次電池によれば、より液枯れの発生を抑制しつつ、非水電解液の分解に起因する酸による正極活物質からの遷移金属溶出に起因する容量劣化をより抑制することができる。
更に第1導電材および第2導電材として、相互にDBP吸油量の異なる異種のカーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックは、粒径が小さく比表面積が大きいため、非常に導電性に優れ、電池の高出力化に寄与する。
ここで開示される非水電解液二次電池の特に好ましい一態様では、正極合材層の上層がリチウム金属基準(vs.Li/Li)での開回路電圧(OCV)が4.3V以上である高電位正極活物質を含む。
ここで開示される技術の効果は、高電位正極活物質を備える非水電解液二次電池において特によく発揮させることができる。例えば、正極が高電位であるリチウムイオン二次電池では、導電材表面での非水電解液の酸化分解が促進される傾向にあり、非水電解液中に酸が発生しやすく、正極活物質を構成する遷移金属の溶出に起因する、容量劣化を引き起こしやすい。これに対し、上記構成によれば、高電圧状態における非水電解液の酸化分解により当該電解液中に酸が発生しやすい非水電解液二次電池においても、液枯れの発生を抑制しつつ、正極活物質の遷移金属溶出に起因した容量劣化を効果的に抑制することができる。
更に高電位正極活物質は、LiとNiとMnとを必須元素とするいわゆる「スピネル系正極活物質」であることが好ましい。かかるスピネル系正極活物質の好適例としては、更にTiおよび/またはFeとを構成元素とするものが挙げられる。その好適な一例として、LiNi0.45Ti0.05Fe0.05Mn1.45が挙げられる。
Tiおよび/またはFeとを構成元素とするスピネル系正極活物質(例えばLiNi0.45Ti0.05Fe0.05Mn1.45)は、熱安定性が高く、且つ、電気伝導性も高いため、電池性能および耐久性の観点からより好ましく用いることができる。
本発明の一実施形態にかかる非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)の外形を模式的に示す斜視図である。 図1中のII−II線に沿う断面構造を模式的に示す縦断面図である。 従来の非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)の正極の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる非水電解液二次電池の正極の構成を模式的に示す断面図である。 正極合材層中の導電材のDBP吸油量と50C放電時間との関係を表すグラフである。 正極合材層中の導電材のDBP吸油量と200サイクル後の容量維持率との関係を表すグラフである。 50C放電時間と容量維持率の関係を表すグラフである。 正極合材層(下層)の導電材のDBP吸油量と50C放電時間との関係を表すグラフである。 正極合材層(下層)の導電材のDBP吸油量と容量維持率との関係を表すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
以下、本発明を好適に実施し得る非水電解液二次電池100のタイプとして、リチウムイオン二次電池100(以下、単に「電池」という場合がある。)を例として好適な実施形態を説明する。しかし、リチウムイオン二次電池100は一例であり、本発明の技術思想は、その他の電荷担体(例えばナトリウムイオン)を備える他の非水電解液二次電池(例えばナトリウムイオン二次電池)にも適用される。
図1は本実施形態にかかる電池(セル)100の外観を示す図である。また、図2は、本実施形態にかかる電池ケース30の内部構成を模式的に示す断面図である。
図1および図2に示すように、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池100は、大まかにいって、扁平形状の捲回電極体20と非水電解液(図示せず)とが扁平な角型の電池ケース(即ち、外装容器)30に収容されて構成される、いわゆる角型電池100である。電池ケース30は、一端(電池の通常の使用状態における上端部に相当する。)に開口部を有する箱形(即ち、有底直方体状)のケース本体32と、該ケース本体32の開口部を封止する蓋体34とから構成される。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼といった軽量で熱伝導性の良い金属材料が好ましく用いられ得る。
また、図1および図2に示すように、蓋体34には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36と、非水電解液(非水電解液)を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。なお、リチウムイオン二次電池100の電池ケース30としては、図示するような角型(箱形)のものだけでなく、他の公知の形状であってもよい。例えば他の形状としては、円筒型、コイン型、ラミネート型等があり、適宜ケース形状を選択することができる。
図2に示すように、電池ケース30内に収容された捲回電極体20は、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極合材層54が形成された正極50と、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極合材層64が形成された負極60とを、2枚の長尺状のセパレータ70を介して積層した積層体が長尺方向に捲回され、扁平形状に成形されている。このような捲回電極体20は、例えば、上記積層体を捲回した捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって、扁平形状に成形されている。正極50を構成する正極集電体52は、アルミニウム箔等によって構成される。一方、負極60を構成する負極集電体62は、銅箔等によって構成される。
図2に示すように、捲回電極体20の捲回軸方向の中央部分には、捲回コア部分(即ち、正極50の正極合材層54と、負極60の負極合材層64と、セパレータ70とが積層されてなる積層構造)が形成されている。また、捲回電極体20の捲回軸方向の両端部では、正極合材層非形成部分52aおよび負極合材層非形成部分62aの一部が、それぞれ捲回コア部分から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分(正極合材層非形成部分52a)および負極側はみ出し部分(負極合材層非形成部分62a)には、正極集電板42aおよび負極集電板44aがそれぞれ付設され、正極端子42および負極端子44とそれぞれ電気的に接続されている。
また、正極合材層54は、従来の図3(a)に示すような全体が一層からなる正極合材層154とは異なり、図3(b)に示すように厚み方向に2つの層で形成されている。相対的に正極集電体52から遠い上層54aは、主に正極活物質と、第1導電材とを含む主たる層(活物質層)であり、相対的に正極集電体52に近い下層54bは、正極活物質を含まず、主に第2導電材で形成されるいわば下地層である。以下、詳細に説明する。
本実施形態にかかる正極合材層54のうち上層(活物質層)54aは、主要構成要素として正極活物質を含有する。
かかる正極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池100に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO等)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO等)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn等)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属として含む酸化物(リチウム遷移金属複合酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩等が挙げられる。
スピネル系正極活物質として、例えばLiMn2−q4+αで表される、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物が好適例として挙げられる。ここで、pは、0.9≦p≦1.2であり;qは、0≦q<2であり、典型的には0≦q≦1(例えば0.2≦q≦0.6)であり;αは、−0.2≦α≦0.2で電荷中性条件を満たすように定まる値である。qが0より大きい場合(0<q)、MはMn以外の任意の金属元素または非金属元素から選択される1種または2種以上であり得る。より具体的には、Na、Mg、Ca、Sr、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Fe、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Zn、B、Al、Ga、In、Sn、La、W,Ce等であり得る。なかでも、Fe,Co,Ni等の遷移金属元素の少なくとも1種を好ましく採用することができる。具体例としては、LiMn,LiCrMnO等が挙げられる。
その中でも、LiとNiとMnとを必須元素とするスピネル系正極活物質であることが好ましい。より具体的には、一般式:Li(NiMn2−y―zM1)O4+βで表されるスピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物が挙げられる。ここで、M1は、存在しないか若しくはNi、Mn以外の任意の遷移金属元素または典型金属元素(例えば、Ti、Fe、Co、Cu、Cr、ZnおよびAlから選択される1種または2種以上)であり得る。なかでも、M1は、3価のFeおよびTiの少なくとも一方を含むことが好ましい。特に耐久性を向上させ得るという観点から、TiおよびFeを構成元素とするスピネル系正極活物質が好ましい。あるいは、半金属元素(例えば、B,SiおよびGeから選択される1種または2種以上)や非金属元素であってもよい。また、xは、0.9≦x≦1.2であり;yは、0<yであり;zは、0≦zであり;y+z<2(典型的にはy+z≦1)であり;βは上記αと同様であり得る。好ましい一態様では、yは、0.2≦y≦1.0(より好ましくは0.4≦y≦0.6、例えば0.45≦y≦0.55)であり;zは、0≦z<1.0(例えば0≦z≦0.3)である。特に好ましい具体例としてLiNi0.45Ti0.05Fe0.05Mn1.45等が挙げられる。
このような正極活物質は、リチウム金属基準(vs.Li/Li)での開回路電圧(OCV)が4.3V以上となることを実現し得る高電位正極活物質となり得るため、本発明の実施に好適な正極活物質である。更に、スピネル系正極活物質(LiNi0.45Ti0.05Fe0.05Mn1.45等)は、熱安定性が高く、且つ、電気伝導性も高いため、電池性能および耐久性の観点からより好ましく用いることができる。
正極活物質は、例えば従来公知の方法で調製されるリチウム遷移金属複合酸化物粉末をそのまま使用することができる。特に限定するものではないが、例えば、一般的なレーザ回折式粒度分布測定装置により得られる体積基準の粒度分布における累積50%粒径(メジアン径:D50)が1μm〜25μm(典型的には2μm〜10μm、例えば6μm〜10μm)の範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属複合酸化物粉末を正極活物質として好ましく用いることができる。
本実施形態にかかる正極合材層54の上層54aは、上述した主成分たる正極活物質の他、導電材(ここでいう第1導電材)を含む。典型的にはバインダ(結着材)を含む。
第1導電材としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等)、コークス、黒鉛(天然黒鉛およびその改質体、人造黒鉛)、炭素繊維(PAN系、ピッチ系)等の炭素材料から選択される、一種または二種以上であり得る。あるいは金属繊維(例えばAl、SUS等)、導電性金属粉末(例えばAg、Ni、Cu等)、金属酸化物(例えばZnO、SnO等)、金属で表面被覆した合成繊維等を用いてもよい。なかでも好ましい導電材として、粒径が小さく比表面積の大きなカーボンブラック(典型的には、アセチレンブラック)が挙げられる。アセチレンブラックは、非常に導電性に優れ、電池の高出力化に寄与する。
また、相対的に後述する第2導電材よりもDBP吸油量が小さい導電材を使用する。なかでも、DBP吸油量が190ml/100g未満の導電材(特にはカーボンブラック)の使用が好ましい。
一方、正極合材層54の下層54bに含まれる第2導電材は、相対的に上記第1導電材よりもDBP吸油量が大きいことを特徴とする導電材であり、かかるDBP吸油量が大きいことを除いて特に限定はなく、典型的には、DBP吸油量を判断基準としてアセチレンブラックその他のカーボンブラック、コークス、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料のなかから選択することができる。
正極合材層54の固形分全体に占める第2導電材の含有率(典型的には下層54bに含まれる第2導電材量)は0.5wt%以上2wt%以下であることが好ましい。例えば、1±0.5wt%程度が好ましい。かかる含有率が0.5wt%よりも大幅に少なすぎる場合には、正極合材層54の正極集電体52近傍部分の液枯れの発生抑制効果が低く好ましくない。一方、かかる含有率が2wt%よりも大幅に多すぎる場合には、正極合材層54の保液性が向上しすぎ、かえって容量劣化を招く虞があるため好適ではない。
特に限定するものではないが、上層54aと下層54bを含めた正極合材層54の固形分全体に占める第1導電材と第2導電材とを合わせた導電材合計の含有率は、15wt%以下が適当であり、10wt%以下が好ましい。また、導電材合計の含有率は、3wt%以上が適当であり、5wt%以上が好ましい。例えば、下層54bに含有される導電材(第2導電材)の含有率が0.5wt%以上2wt%以下であり、上層54aに含有される導電材(第1導電材)の含有率が2wt%以上10wt%以下であることが好ましい。この程度の含有率で導電材を含有することにより、正極合材層54の導電性を適度に保つとともに、導電材の割合が増大して相対的に活物質の割合が低下することによる容量の低下を防ぐことができる。
第1および第2導電材の平均粒径は、電子顕微鏡観察による平均径で0.5nm以上500nm以下が適当であり、かかる平均粒径が10nm〜100nm程度の導電材(例えばカーボンブラック)が好ましい。
バインダ(結着材)としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。好ましくは、正極の耐久性を向上させる観点から、PVdFが好ましい。
このような正極合材層54の形成方法は、特に限定されないが、例えば以下のように作製することができる。まず、正極集電体52上の正極合材層非形成部分52aを除く部分に下層54bを形成する。具体的には、第2導電材として適当な導電材(典型的には高いDBP吸油量のカーボンブラック等の導電性炭素材料)を適当な溶媒に分散したペースト状の下層形成用組成物(ペースト状の組成物にはスラリー状組成物およびインク状組成物が包含される。以下同じ。)を調製(用意)する。そして、この組成物を正極集電体52上の正極合材層非形成部分52aを除く部分に塗布(付与)し、乾燥させることによって、下層54bを形成することができる。
次いで、下層54bの上に所定の正極活物質と第1導電材と典型的にはバインダを含む上層54aを形成する。具体的には、正極活物質と、第1導電材として適当な導電材(典型的には低いDBP吸油量のカーボンブラック等の導電性炭素材料)を適当な溶媒(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等)に分散したペースト状の上層形成用組成物を調製(用意)する。そして、この組成物を下層54bの上に塗布(付与)し、乾燥させることによって、上層54aを形成することができる。このようにして上層54aと下層54bとからなる正極合材層54を形成した後、必要に応じて適当なプレス処理を施すことによって正極合材層54の性状(例えば、平均厚み、活物質密度、活物質層の空孔率等)を調整し得る。
負極合材層64は、少なくとも負極活物質を含有する。かかる負極活物質としては、例えば、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。負極合材層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、スチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等の各種のポリマー材料を採用し得る。
このような負極合材層64は、例えば上述の正極合材層54(上層54a)の場合と同様にして作製することができる。即ち、負極活物質と必要に応じて用いられる材料とを適当な溶媒(例えばイオン交換水)に分散させ、ペースト状の組成物を調製し、次に、該組成物の適当量を負極集電体62の表面に付与した後、乾燥によって溶媒を除去することによって形成することができる。また、必要に応じて適当なプレス処理を施すことによって負極合材層64の性状(例えば、平均厚み、活物質密度、活物質層の空孔率等)を調整し得る。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PP層の両面にPE層が積層された三層構造)であってもよい。
非水電解液としては、典型的には有機溶媒(非水溶媒)中に、所定の支持塩、および添加剤を含有させたものを用いることができる。
非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池100の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が例示される。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
或いは、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)のようなフッ素化カーボネート等のフッ素系溶媒を好ましく用いることができる。例えば、MFECとTFDMCとを体積比1:2〜2:1(例えば1:1)の割合で含む混合溶媒は耐酸化性が高く、高電位電極との組み合わせで好適に使用することができる。
支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩を好適に用いることができる。特に好ましい支持塩として、LiPFが挙げられる。支持塩の濃度は、好ましくは0.7mol/L以上1.3mol/L以下であり、特に好ましくは凡そ1.0mol/Lである。
なお、非水電解液中には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した非水溶媒、支持塩以外の添加材(成分)を更に含み得る。かかる任意の添加材(成分)は、例えば、電池の出力性能の向上、保存性の向上(保存中における容量低下の抑制等)、初期充放電効率の向上等の1または2以上の目的で使用されるものであり得る。このような任意の添加材(成分)として、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;ホウ素原子および/またはリン原子を含むオキサラト錯体化合物、ビニレンカーボナート(VC)、フルオロエチレンカーボナート(FEC)等の被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤が挙げられる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池100は各種用途に利用可能であるが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等の車両に搭載される駆動用電源として好適に利用し得る。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明の技術範囲をかかる試験例で説明したものに限定することを意図したものではない。
<例1>
正極合材として、スピネル系正極活物質と、第1導電材としてのDBP吸油量が125ml/100gであるアセチレンブラックと、PVdF(バインダ)とを、これらの重量比が89:8:3となるように混合し、溶媒をNMPとしてペースト状組成物を作製した。ここで使用したスピネル系正極活物質はLiNi0.45Ti0.05Fe0.05Mn1.45であり、メジアン径(D50)が13μmである。この正極合材ペーストを、厚さ15μmのアルミニウム箔(正極集電体)に塗布した後、乾燥させて正極合材層を形成し、ロールプレスして正極を作製した。この正極を、一角に幅10mmの帯状部が突き出た5cm×5cmの正方形に切り出した。その帯状部から上記合材層を除去し、アルミニウム箔を露出させて端子部を形成し、端子部付正極を得た。
負極合材として、グラファイト(負極活物質:平均粒径20μm、黒鉛化度≧0.9)と、CMC(増粘剤)と、SBR(バインダ)とを、これらの重量比が98.3:1:0.7となるように混合し、溶媒を水としてペースト状組成物を作製した。この負極合材ペーストを、厚さ10μmの銅箔(負極集電体)に塗布した後乾燥させて負極合材層を形成し、ロールプレスして負極を作製した。この負極を、上記端子部付正極と同じ面積および形状に加工して、端子部付負極を得た。
MFECとTFDMCとを体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解して非水電解液を調製した。
適切な大きさに切り出して上記非水電解液を含浸させたセパレータ(多孔質PE/PP/PE三層シート)を介して、上記端子部付正極と上記端子部付負極とを重ね合わせ、ラミネートフィルムで覆った。ここへ上記非水電解液を更に注入し、該フィルムを封止してラミネートセル型電池を構築した。
<例2>
導電材として、DBP吸油量が140ml/100gのものを用いた他は上述の例1と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例3>
導電材として、DBP吸油量が150ml/100gのものを用いた他は上述の例1と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例4>
導電材として、DBP吸油量が160ml/100gのものを用いた他は上述の例1と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例5>
導電材として、DBP吸油量が175ml/100gのものを用いた他は上述の例1と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例6>
導電材として、DBP吸油量が200ml/100gのものを用いた他は上述の例1と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例7>
導電材として、DBP吸油量が220ml/100gのものを用いた他は上述の例1と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
〔コンディショニング処理〕
上述の例1〜7にかかる各電池セルを、二枚の板で挟み、350kgf(350kg/25cm)の負荷がかかる状態に拘束した。拘束した各電池セルに対して、1/3Cのレートで4.9Vまで定電流充電させ、10分休止させた後、1/3Cのレートで3.5Vまで定電流放電させ、10分休止させる操作を温度25℃の環境下で、3回繰り返した。以下の測定等は、特に断りがない限り拘束したままの電池セルに対して行った。
〔50C放電時間〕
例1〜7にかかる各電池セルを、温度25℃の環境下で、50Cのレートで、2.5Vまで定電流放電した。放電に要した時間を50C放電時間とし、放電した後の電流および電圧よりIV抵抗を算出し、初期IV抵抗とした。
〔耐久試験(容量維持率)〕
コンディショニング処理後、各例の電池セルにおいて、温度60℃の環境下で、2Cのレートで4.9Vまで定電流充電させ、10分休止させた後、2Cのレートで3.5Vまで定電流放電させ、10分休止させる操作を200回繰り返した。かかる耐久試験後、各例の電池の初期容量に対する残存容量の比率を容量維持率として算出した。
得られた各セルの50C放電時間と容量維持率とを表1および図4、5に示した。
Figure 2016039030
表1および図4に示されているとおり、正極合材層中の導電材のDBP吸油量が大きいほど、50C放電時間が長いことが認められた。これは正極中に放電により分解できる電解液が多く存在するため、より長時間の放電が可能であると考えられる。
また、表1および図5に示すように、正極合材層中の導電材のDBP吸油量が200ml/100g未満(例6)のとき、容量維持率が比較的良好であることが認められた。特に190ml/100g未満の導電材によって、容量維持率が良好となり得ることが認められた。これは正極合材層中の導電材のDBP吸油量が190ml/100gを超えると、正極合材層の保液性が向上し、導電材表面での電解液の酸化分解が促進される。そのため、電解液中により多くの酸が発生し、正極活物質の遷移金属を溶出させ、容量劣化を引き起こしたと考えられる。
次に、DBP吸油量の異なる導電材を複数用いて、本発明にかかる非水電解液二次電池(ラミネートセル型電池)の好適例と比較例を構築した。50C放電時間と、容量維持率との算出方法は上述したものと同条件である。
<例8>
正極合材層として図3(b)に示すように厚み方向に上層と下層を下記に示す条件で作製した。その他の電極作製条件は上述の例1と同様にラミネートセル型電池を構築した。なお、以下の試験例では、上層と下層を合わせた正極合材層全体について、正極合材:導電材:バインダの重量比が89:8:3となるようにこれら固形分試料を配合した。即ち、上層の第1導電材と下層の第2導電材との合計の重量比が、正極合材層全体の導電材合計の重量比に対応する。また、かかる導電材の重量比は、適宜、重量%(即ち、正極合材層全体の固形分全量に占める導電材の重量%)で示す。
本例の下層には、正極活物質は含まれておらず、第2導電材としてDBP吸油量が220ml/100gであるアセチレンブラックを用いた。導電材の全体重量比である8wt%中の1wt%に相当する量を下層における第2導電材の含有量とし、導電材の全体重量比である8wt%中の残りの7wt%に相当する量を上層における第1導電材の含有量とした。
具体的には、正極合材層全体の1wt%に相当する量の第2導電材を、該第2導電材とPVdF(バインダ)とをこれらの重量比が7:3となるように混合したペーストを調製し正極集電体上に塗布し乾燥することで本例にかかる下層を形成した。
上層は、例1と同じ正極活物質と、第1導電材としてDBP吸油量が125ml/100gであるアセチレンブラックと、バインダ(PVdF)とを使用し、正極合材:導電材:バインダの重量比が正極合材層全体で89:8:3となるようにこれら固形分試料を配合した。即ち、上記のとおり、上層における第1導電材の含有量は、正極合材層全体の固形分の7wt%に相当する量である。そして、これら固形分試料を溶媒(NMP)と混合して上層形成用ペースト状組成物を作製し、あらかいじめ形成しておいた上記下層上に塗布し、乾燥することにより、上層を形成した。
<例9>
正極合材層を2層に分けることなく、例8の2種類の導電材を混合して正極合材層中に含有させた。導電材の比率は、正極合材層全体の固形分全量に占める導電材の含有量が8重量%であるところ、第1導電材は7wt%、第2導電材は1wt%である。その他の電極作製条件は上述の例1と同様としてラミネートセル型電池を構築した。
得られた各セルの50C放電時間と容量維持率とを表2および図6に示した。
Figure 2016039030
表2および図6に示されているとおり、正極合材層を図3(a)に示すように厚み方向に上下2つの層で形成し、DBP吸油量が大きい導電材(第2導電材)を下層に含有させた例8で、50C放電時間が長く、且つ、容量維持率が高いことが認められた。これは液枯れの発生しやすい集電体表面のみ保液性を向上させつつ、正極内部の保液性は抑制できたためと考えられる。また、DBP吸油量の大きい第2導電材は、正極合材層全体の固形分全量に占める導電材の含有率が1wt%であり、第1および第2導電材を合わせた導電材の添加量が正極合材層全体の固形分全量の10wt%以下(ここでは8wt%)であるため、保液性が上昇しすぎるのを抑制できたと考えられる。したがって、液枯れの発生を抑制しつつ、非水電解液の分解による正極活物質からの遷移金属溶出に起因する容量劣化を抑制することができたと考えられる。
例9については、容量維持率は例8と同様に好適であるが、正極合材中の導電材含有率が高くなるため、容量の低下(50C放電時間の低下)を招いている。
次に正極合材層を例8のように厚み方向に2層で形成し、下層の第2導電材としてDBP吸油量が異なる種々のアセチレンブラックを使用してラミネートセル型電池を構築した。50C放電時間と、容量維持率との算出方法は上述したものと同条件である。
<例10>
第2導電材として、DBP吸油量が200ml/100gのものを用いた他は上述の例8と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例11>
第2導電材として、DBP吸油量が125ml/100gのものを用いた他は上述の例8と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例12>
第2導電材として、DBP吸油量が140ml/100gのものを用いた他は上述の例8と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例13>
第2導電材として、DBP吸油量が150ml/100gのものを用いた他は上述の例8と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例14>
第2導電材として、DBP吸油量が160ml/100gのものを用いた他は上述の例8と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
<例15>
第2導電材として、DBP吸油量が175ml/100gのものを用いた他は上述の例8と同様にして、ラミネートセル型電池を構築した。
得られた各セルの50C放電時間と容量維持率とを表3および図7、8に示した。
Figure 2016039030
表3および図7に示されているとおり、第2導電材のDBP吸油量が190ml/100g以上(ここでは200ml/100g以上)のとき(例8,10)、50C放電時間が他の例より顕著に上昇することが認められた。これは、液枯れの発生しやすい集電体表面とその近傍の保液性が十分なため、液枯れの発生を防止できたためであると考えられる。
それに対して、例11〜15では正極集電体表面の導電材のDBP吸油量が190ml/100g未満であり、液枯れの発生しやすい集電体表面の保液性が不十分となり、液枯れが発生するため、50C放電時間の改善が認められなかったと考えられる。
また、表3および図8に示されているとおり、第2導電材のDBP吸油量に関わらず、容量維持率は良好であることが認められた。これは第1導電材の正極合材層に対する固形分率が1wt%〜10wt%であり、第1および第2導電材を合わせた導電材の添加量が正極合材層に対する固形分率も10wt%以下であるため、保液性の向上をより抑制でき、正極活物質からの遷移金属溶出に起因する容量劣化を抑制できたためであると考えられる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
32 電池ケース本体
34 蓋体
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極
52 正極集電体
52a 正極合材層非形成部分
54 正極合材層
54a 上層(活物質層)
54b 下層(下地層)
60 負極
62 負極集電体
62a 負極合材層非形成部分
64 負極合材層
70 セパレータ
100 非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)
154 正極合材層

Claims (7)

  1. 正極活物質を含む正極合材層が正極集電体上に形成された正極と、
    負極活物質を含む負極合材層が負極集電体上に形成された負極と、
    非水電解液と、を備える非水電解液二次電池であって、
    前記正極合材層は、厚み方向に2つの層を有しており、
    前記2つの層のうち、相対的に前記正極集電体から遠い上層は、前記正極活物質と、第1導電材とを含み、
    相対的に前記正極集電体に近い下層は、前記正極活物質を含まず、第2導電材を含み、
    ここで前記第2導電材として、フタル酸ジブチル(DBP)吸油量が前記第1導電材のフタル酸ジブチル(DBP)吸油量よりも大きい導電材が使用されており、且つ、前記正極合材層の固形分全体に占める前記第2導電材の含有率は0.5wt%以上2wt%以下である、非水電解液二次電池。
  2. 前記第1導電材と前記第2導電材とを合わせた導電材合計の前記正極合材層の固形分全体に占める含有率は、10wt%以下である、
    請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記第2導電材のDBP吸油量は、190ml/100g以上であり、
    前記第1導電材のDBP吸油量は、190ml/100g未満である、
    請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記第1導電材および前記第2導電材として、相互にDBP吸油量の異なる異種のカーボンブラックを含む、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記正極合材層の上層は、リチウム金属基準(vs.Li/Li)での開回路電圧(OCV)が4.3V以上である高電位正極活物質を含む、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記高電位正極活物質は、LiとNiとMnとを必須元素とするスピネル系正極活物質である、
    請求項5に記載の非水電解液二次電池。
  7. 前記スピネル系正極活物質は、更にTiおよび/またはFeとを構成元素とする活物質である、
    請求項6に記載の非水電解液二次電池。
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