JP2016033527A - 位相差フィルム、光学積層体、液晶表示装置、及びセルロースエステルフィルム - Google Patents

位相差フィルム、光学積層体、液晶表示装置、及びセルロースエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】偏光フィルム等の光学素子と貼り合わせた場合であっても、位相差領域のパターンの直線性が保たれる位相差フィルム、この位相差フィルムを備えた光学積層体、液晶表示装置、及びこの位相差フィルムの支持体として用いられるセルロースエステルフィルムを提供すること。【解決手段】セルロースエステルフィルムと、帯状の互いに異なる位相差領域が面内で交互に配置されてなる位相差層とを有する位相差フィルムであって、上記セルロースエステルフィルムは、上記帯状の位相差領域の長辺方向の音速が2.7〜5.0km/sであり、かつ上記帯状の領域の長辺方向の80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.010〜0.050である位相差フィルム、この位相差フィルムを備えた光学積層体、液晶表示装置、及びこの位相差フィルムの支持体として用いられるセルロースエステルフィルム【選択図】なし

Description

本発明は、位相差フィルム、光学積層体、液晶表示装置、及びセルロースエステルフィルムに関する。
映し出された映像が浮き出るように立体視でき、迫力ある映像を見ることができる3D映像表示方法としては種々の方法が知られているが、そのなかでも、FPR(Film Patterned Retarder)方式はちらつきがなく、眼鏡が軽量にできることから、普及が進んでいる。
FPR方式は、ディスプレイ上に左眼用画像と右眼用画像を表示し、ディスプレイから出射された左眼用画像光と右眼用画像光をそれぞれ異なる2種の偏光状態(例えば、右円偏光と左円偏光)とし、右円偏光透過偏光板と左円偏光透過偏光板から構成される偏光眼鏡を通して、ディスプレイを観察することで立体感を得るものである。
FPR方式におけるディスプレイへの左眼用の画像と右眼用の画像の表示方法として、左眼用の画像と右眼用の画像について、それぞれ元画像の半分ずつをディスプレイの半分に表示する画面分割方式が採用されている。画面分割方式としては、ラインバイライン方式が広く採用されており、ディスプレイの走査線(以下、ラインとも言う)の奇数ラインと偶数ラインに、それぞれ左眼用の元画像の1ラインおきとなるように画素数を半分にした左眼用画像の半分と、右眼用の元画像の1ラインおきとなるように画素数を半分にした右眼用画像の半分を表示させ、左眼用の画像光と右眼用の画像光をそれぞれ異なる2種の偏光状態にして出射する方式である。
この左眼用の画像光と右眼用の画像光をそれぞれ異なる2種の偏光状態にする方法としては、異なる位相差領域が繰り返し帯状にパターニングされているパターン位相差フィルムを、ライン幅にあわせてディスプレイ上に配置する方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
国際公開第2011/102492号
FPR方式では、パターン位相差フィルムの帯状のパターンを、ディスプレイの左目用画像を表示する画素のラインと右目用画像を表示する画素のラインのそれぞれのラインと位置をあわせて配置させることで、右目用画像と左目用画像を異なる偏光状態にすることができるが、パターン位相差フィルムの帯状のパターンが湾曲していると、パターンと画素のラインがずれ、クロストークと呼ばれる立体視品質の低下が発生する。
そのため、パターン位相差フィルムの帯状のパターンはパターン幅が一定であること、パターンが湾曲せず真っ直ぐであること(直線性と呼ばれる)が求められる。
従来、パターン位相差フィルムを偏光板に貼り合せる場合には、粘着剤層を介して偏光板の保護フィルムの表面に貼り合せていた。
しかし、近年は部材点数ダウンのトレンドから、位相差フィルムを偏光フィルムと貼りあわせ、視認側偏光板の視認側保護フィルムとして用いる構成が検討され始めている。本発明者らは、位相差フィルムを視認側保護フィルムとして使用することを検討したところ、偏光フィルムとの貼り合わせによって、帯状のパターンの直線性が悪化し、立体視品質が低下するという問題が発生することが分かった。
したがって、本発明の課題は、偏光フィルム等の光学素子と貼り合わせた場合であっても、位相差領域のパターンの直線性が保たれる位相差フィルム、及び直線性の良好な位相差フィルムを備えた光学積層体を提供することにある。また、本発明の別の課題は、このパターン位相差フィルム又は光学積層体を有するクロストークの発生が低減された3D映像表示用の液晶表示装置を提供することにある。更に、本発明の別の課題は、上記位相差フィルムの支持体として用いられるセルロースエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、位相差フィルムの支持体として、所定の方向に対する音速及び貯蔵弾性率/損失弾性率(tanδ)が特定の範囲であるセルロースエステルフィルムを用いることにより、位相差フィルムと偏光フィルム等の光学素子とを貼り合せることで発生する位相差領域のパターンの直線性の低下を抑制できることを見出した。
即ち、上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
セルロースエステルフィルムと、
帯状の互いに異なる位相差領域が面内で交互に配置されてなる位相差層と
を有する位相差フィルムであって、
上記セルロースエステルフィルムは、上記帯状の位相差領域の長辺方向の音速が2.7〜5.0km/sであり、かつ上記帯状の領域の長辺方向の80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.010〜0.050である位相差フィルム。
<2>
上記セルロースエステルフィルムの、25℃、相対湿度60%で測定した測定波長590nmの面内位相差Re(590)が10〜20nmである、<1>に記載の位相差フィルム。
<3>
<1>又は<2>に記載の位相差フィルムと、偏光フィルム、延伸フィルム、及び反射防止フィルムから選ばれる少なくとも1つの光学素子とを積層した光学積層体。
<4>
<3>に記載の光学積層体を有する液晶表示装置。
<5>
矩形状のフィルムを構成する4辺のうち対向する2辺に平行な方向で音速が大きい方向における音速が2.7〜5.0km/sであり、かつMD方向における80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.01〜0.050であるセルロースエステルフィルム。
<6>
25℃、相対湿度60%で測定した測定波長590nmの面内位相差Re(590)が10〜20nmである<5>に記載のセルロースエステルフィルム。
本発明によれば、偏光フィルム等の光学素子と貼り合わせた場合であっても、位相差領域のパターンの直線性が保たれる位相差フィルム、及び直線性の良好な位相差フィルムを備えた光学積層体を提供することができる。また、本発明によれば、このパターン位相差フィルム又は光学積層体を有するクロストークの発生が低減された3D映像表示用の液晶表示装置を提供することができる。更に、本発明によれば、上記位相差フィルムの支持体として用いられるセルロースエステルフィルムを提供することができる。
本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。 本発明における位相差層の一例を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、長手方向、幅手方向とは連続生産されるフィルムや積層体の長尺体を想定した場合に搬送する方向つまり長尺方向と、搬送する方向に直交する方向をそれぞれ指し、それぞれMD方向、TD方向と称することがある。
本明細書において、「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶表示装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光フィルム」(「偏光膜」、「偏光子」)と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は「偏光フィルム」の少なくとも片面に上記偏光フィルムを保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本発明の位相差フィルムは、セルロースエステルフィルムと、帯状の互いに異なる位相差領域が面内で交互に配置されてなる位相差層とを有する位相差フィルムであって、上記セルロースエステルフィルムは、上記帯状の位相差領域の長辺方向の音速が2.7〜5.0km/sであり、かつ上記帯状の領域の長辺方向の80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.010〜0.050である位相差フィルムである。
(セルロースエステルフィルム)
本発明の位相差フィルムはセルロースエステルフィルムを有する。セルロースエステルフィルムは、帯状の互いに異なる位相差領域が面内で交互に配置されてなる位相差層を設ける際の支持体(基材)となるものである。本発明はこのセルロースエステルフィルムにも関するものである。
本発明のセルロースエステルフィルムは、MD方向(位相差フィルムにおける「帯状の位相差領域の長辺方向」)の音速が2.7〜5.0km/sであり、かつMD方向(位相差フィルムにおける「帯状の位相差領域の長辺方向」)の80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.010〜0.050である。
[音速]
セルロースエステルフィルムのMD方向(長手方向)の音速は、フィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、配向性測定機(SST−4000:野村商事(株)製)を用いて測定できる。測定結果より、MD方向の音速を算出することができる。
なお、セルロースエステルフィルム上に位相差層が設けられている場合は、セルロースエステルフィルム上の位相差層を削るなどして除去することで、同様に測定することができる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、MD方向の音速が2.7〜5.0km/sであり、2.7〜4.5km/sであることが好ましく、2.7〜4.0km/sであることがより好ましく、2.7〜3.5km/sであることが更に好ましく、2.7〜3.0km/sであることが特に好まい。
セルロースエステルフィルムのMD方向の音速が上記範囲にあると、本発明の作用を効率的に得ることができる。
詳細な機構は定かではないが、セルロースエステルフィルムのMD方向の分子配向度が高まる結果、偏光フィルムなどの光学素子と貼り合わせた場合であってもセルロースエステルフィルムの塑性変形が抑制され、位相差領域のパターンの直線性が保たれることにより、偏光板に組み込んだ際にクロストークを低減させることができると本発明者らは推定している。
セルロースエステルフィルムのMD方向の音速は、使用する素材または製造工程の条件を適宜変更することにより、調整することができる。
素材の場合では、たとえば、セルロースエステルの種類もしくは添加剤等が挙げられる。具体的には、セルロースエステルの場合、原料、置換度、置換基もしくは重合度の異なるセルロースエステル(以下、異種セルロースエステルとも称する)、または、このような異種セルロースエステルを混合した様態等が挙げられる。可塑剤の場合、可塑剤の種類もしくは含有量等が挙げられる。
一方、製造工程の場合では、流延に用いるポリマー溶液の処方もしくは製膜方法等が挙げられる。具体的には、製膜方法の場合、延伸もしくは緩和、搬送もしくは巻取り時における張力、または、乾燥温度等が挙げられる。
また、上述したような条件を2種類以上組み合わせて調整してもよい。
なお、本発明においては、生乾きの状態のセルロースエステルフィルムに延伸もしくは緩和を加えることもできる。本発明において生乾きの状態(乾燥未了状態)とは、セルロースエステルフィルムの残留溶媒が0.1%以上であることを意味する。
[損失弾性率/貯蔵弾性率]
80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率を「tanδ(80℃)」とも記載する。
tanδ(80℃)とは、動的粘弾性測定により求められる80℃における損失正接tanδである。本発明において、tanδ(80℃)は、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製DVA−200)を用いて、下記条件において、E”(損失弾性率)とE’(貯蔵弾性率)を測定し、tanδ(=E”/E’)として求められた値とする。
装置:アイティー計測制御株式会社製 DVA−200
試料:5mm、長さ50mm(ギャップ20mm)
測定条件:引張りモード
測定温度:30℃〜220℃
昇温条件:5℃/min
周波数:1Hz
本発明のセルロースエステルフィルムは、MD方向の80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.010〜0.050であり、0.010〜0.048であることが好ましく、0.020〜0.047であることがより好ましく、0.030〜0.045であることが更に好ましい。
セルロースエステルフィルムのMD方向の80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が上記範囲にあると、本発明の作用を効率的に得ることができる。
詳細な機構は定かではないが、本発明者らは、セルロースエステルフィルムのMD方向の損失弾性率/貯蔵弾性率を上記の範囲に調整することで、損失弾性率に対して貯蔵弾性率が大きくなることにより、偏光フィルムなどの光学素子と貼り合わせた場合であってもセルロースエステルフィルムの塑性変形が抑制され、位相差領域のパターンの直線性が保たれる結果、偏光板に組み込んだ際にクロストークを低減させることができると推定している。
セルロースエステルフィルムのMD方向の80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率は、前述したように使用する素材または製造工程の条件を適宜変更することにより調整することができる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、25℃、相対湿度60%で測定した面内位相差Re(590)が10〜20nmであることが好ましく、12〜19nmであることがより好ましく、14〜18nmであることが更に好ましい。
セルロースエステルフィルムの面内位相差を上述のような範囲とすることで、セルロースエステルフィルム上に位相差層を設けて位相差フィルムとした際、支持体であるセルロースエステルフィルムの光学特性の変動に起因する位相差フィルムとしての光学特性の変動が抑制できるため好ましい。
なお、Re(590)とは、波長590nmにおける面内方向のレターデーションを表す。Re(590)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長590nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定することができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの膜厚は特に限定されるものではないが、80μm以下、たとえば10〜80μmから適宜選択することができる。
本発明においては、たとえば、粉末、粒子状、又はペレット化されたセルロースエステルを用いてフィルムを作成することでセルロースエステルフィルムとすることができる。
セルロースエステルフィルムは、1種類のセルロースエステルから構成してもよいし、2種類以上のセルロースエステルから構成してもよい。
セルロースエステルとしては、セルロースアシレートが好ましく、セルロースアセテートがより好ましい。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、特に限定されない。アシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートについて簡単に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシル基を有している。セルロースアシレートは、これらのヒドロキシル基の一部又は全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位に位置するセルロースのヒドロキシル基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は1.5〜3.0であることが好ましく、2.0〜3.0であることがより好ましく、2.5〜3.0であることが更にまた好ましく、2.7〜3.0であることが特に好ましく、2.70〜2.98であることが最も好ましい。また、製膜性の観点からは場合により、2.80〜2.95であることが好ましく、2.85〜2.90であることがより好ましい。ここで、DS2はグルコース単位の2位のヒドロキシル基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位のヒドロキシル基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位のヒドロキシル基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は全アシル置換度に対する6位のアシル置換度の割合であり、以下「6位のアシル置換率」とも言う。
これらセルロースに関しては、公開技報2001−1645号の記載を参考にすることができる。
<添加剤>
本発明のセルロースエステルフィルムは、添加剤を含有してもよい。ここで、添加剤とは、セルロースエステル以外の成分すべてを指す。添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子などが挙げられる。
<可塑剤>
本発明のセルロースエステルフィルムに添加することができる可塑剤は、種々の公知の可塑剤を用いることができるが、塗布液の乾燥未了時のフィルムの変形が小さいという理由から、糖エステル化合物であることが好ましい。詳細な機構は定かではないが、本発明者らは、次のように推定している。フィルムに可塑剤を添加すると、可塑剤が入り込むことでセルロースエステル主鎖同士の距離が広がり、溶剤が染込みやすくなる。糖エステル化合物は、セルロースエステル主鎖の間に入り込みにくいために溶媒の染込みが少なく、フィルムが変形しにくいと本発明者らは考えている。
糖エステル化合物としては、好ましくは、ピラノース環又はフラノース環にアシル基を導入した糖エステル化合物である。糖エステル化合物については、特開2012−181516号公報の[0068]〜[0092]の(糖エステル化合物)の記載を参照することができる。
糖エステル化合物は、下記一般式(A)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(A) (HO)m−G−(L−R1)n
一般式(A)中、Gは単糖残基または二糖残基を表す。R1はそれぞれ独立に脂肪族基又は芳香族基を表す。Lはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。mは0以上の整数、nは1以上の自然数である。
糖エステル化合物とは、この化合物を構成する糖骨格構造中の置換可能な基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基)の少なくとも1つと、少なくとも1種の置換基とがエステル結合されている化合物のことを言う。すなわち、ここで言う糖エステル化合物には広義の糖誘導体類も含まれ、例えばグルコン酸のような糖残基を構造として含む化合物も含まれる。すなわち、糖エステル化合物には、グルコースとカルボン酸のエステル体も、グルコン酸とアルコールのエステル体も含まれる。
本発明に用いることができる一般式(A)で表される糖エステル化合物は、フラノース構造もしくはピラノース構造を有する化合物であることが好ましい。フラノース構造もしくはピラノース構造を糖骨格として有する場合、一般式(A)中、m+n≧4である。
また、フラノース構造もしくはピラノース構造を糖骨格として有する場合、m+nはそれぞれGが残基ではなく同じ骨格の環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しいという条件も満たすことができる。
なお、m+nの上限値は、Gの種類によって定まる値を採用することができ、Gが単糖残基であれば5、二糖残基であれば8となる。
一般式(A)で表される糖エステル化合物の例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストースが挙げられる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられが、これらに限定されるものではない。特にフラノース構造とピラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フクラトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
上記化合物中のヒドロキシル基の全てもしくは一部をエステル化するのに用いられる置換基としては、特に制限はない。その中でも、モノカルボン酸を用いることが好ましい。すなわち、一般式(A)中のR1が、それぞれ独立にアシル基を表すことが好ましい。
モノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種類以上の混合であってもよい。R1が複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一方、一般式(A)中のLが、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−NR11−(R11は1価の置換基を表す)のいずれか一つを表すことが好ましい。
以下に、本発明に用いることができる一般式(A)で表される糖エステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2016033527
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以下の構造式中、Rはそれぞれ独立に任意の置換基を表し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。以下の構造において、置換基1、2はそれぞれ任意のRを表す。また、置換度は、Rが置換基で表される数を表す。「なし」はRが水素原子であることを表す。
Figure 2016033527
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Figure 2016033527
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可塑剤の含有量は、セルロースエステル100質量部に対して、0.1質量部以上16質量部未満であることが好ましく、0.1質量部以上11質量部未満であることがより好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明のセルロースエステルフィルムは添加剤として紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、ベンゾジチオール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、メロシアニン系化合物などが挙げられる。具体的な例としては、特開2010−70478号公報、特表2009−519993号公報、特開2009−67973号公報の段落番号0019〜0046、特開2009−292753号公報の段落番号0014〜0024、特開2012−181516号公報の段落番号0121等に記載の化合物が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、セルロースエステル100質量部に対して、0.0001質量部以上10未満であることが好ましく、0.0001質量部以上5質量部未満であることがより好ましく、0.001質量部以上3質量部未満であることが更に好ましい。
<微粒子添加剤>
セルロースエステルフィルム表面には、フィルム間の滑り性付与やブロッキング防止のために微粒子を添加することが好ましい。この微粒子としては、疎水基で表面が被覆され、二次粒子の態様をとっているシリカ(二酸化ケイ素,SiO)が好ましく用いられる。なお、微粒子には、シリカとともに、あるいはシリカに代えて、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウムなどの微粒子を用いてもよい。
この微粒子はいわゆるマット剤として機能し、微粒子添加によりフィルム表面に微小な凹凸が形成されこの凹凸によりフィルム同士が重なっても互いに貼り付かず、フィルム同士の滑り性が確保される。この際のフィルム表面からの微粒子が突出した突起による微小凹凸は高さ30nm以上の突起が10個/mm以上である場合に特に滑り性、ブロッキング性の改善効果が大きい。
マット剤微粒子は特に表層に付与することが、フィルムのヘイズ上昇がなくブロッキング性、滑り性改善するために好ましい。表層に微粒子を付与する方法としては、重層流延や塗布などによる手段があげられる。
フィルムロール中で接触面圧が高くなると、フィルムの重なる部分同士が一定の確率で貼り付き、滑りにくくなる。このように、フィルムの表面に過重な圧力が加わることなどが原因で、重なったフィルム同士が貼り付いてしまう現象は、ブロッキングとも呼ばれている。フィルム同士が貼り付いてしまうために滑りにくくなることにより、フィルムを巻き取った際の変形が滑りにより緩和されなくなる。そのため、従来のフィルムロールには、ベコと呼ばれる周方向に沿った凹みやしわ、巻き芯の凹凸や巻き付け時のフィルム端面(切り口)に起因して巻き芯側にフィルム変形となる故障(以下、芯側写り故障と称する)等が発生する。このベコやしわや芯側写り故障は、フィルムの膜厚やフィルムの弾性率の低下によって発生しやすい。
フィルムロールでは、ナーリング部分の間の使用に供される領域部分(使用部分)においては0.01MPa以上0.10MPa程度以下の範囲内の接触面圧がかかっている。
巻き芯付近のフィルムの部分にかかる接触面圧は、フィルムが長尺になればなるほど、高くなる傾向にある。長さ4000m弱の長尺フィルムの巻き芯側では、0.05MPa以上0.10MPa以下の範囲内程度の接触面圧がかかっている。そのため、従来では、フィルムが2000mより短い場合には大きな問題は生じなかったものの、例えばフィルムの長さが2000m以上10000m以下の範囲内というようにフィルムが長いと、ブロッキング、ベコ、しわ、芯側写り故障が発生しやすい傾向にあった。
また、従来では、例えばフィルムの厚さが10μm以上80μm以下の範囲内というようにフィルムが薄いと、巻芯に巻き取ってフィルムロールにする際に、ブロッキング、ベコ、しわ、芯側写り故障が発生しやすい傾向にあった。また、従来では、例えばフィルムの弾性率が1.0GPa以上4.0GPa以下の範囲内というようにフィルムの弾性率が低いと、巻芯に巻き取ってフィルムロールにする際に、ブロッキング、ベコ、しわ、芯側写り故障が発生しやすい。
このような巻き取り適性の改善にはフィルム表面の微小凹凸付与によるブロッキング性、滑り性の改善が有効である。特にフィルム同士の接触面圧が0.05MPa以上0.10MPaの範囲での静摩擦係数が1.2以下であることが、フィルムの重なる部分間で滑りが生じるので、ブロッキング、ベコ、しわ、芯側写り故障の発生が低減される。接触面圧が0.05MPa以上0.10MPa以下の範囲内の部分の静摩擦係数が1.0以下であれば好ましく、接触面圧が0.05MPa以上0.10MPa以下の範囲内の部分の静摩擦係数が0.9以下であればより好ましい。
〔セルロースエステルフィルムの製造方法〕
本発明のセルロースエステルフィルムを製造する方法について説明する。以下、セルロースアシレートを例に説明するが、他のセルロースエステルの場合も同様に製膜することができる。
セルロースアシレートを含むフィルムは溶液流延製膜法又は溶融製膜法を利用して製膜することができる。以下に例として溶液流延製膜法の場合についての説明をする。
<ポリマー溶液>
溶液流延製膜方法では、上記セルロースアシレートや必要に応じて各種添加剤を含有するポリマー溶液(セルロースアシレート溶液)を用いてウェブを形成する。以下において、溶液流延製膜方法に用いることができる本発明におけるポリマー溶液(以下、適宜セルロースアシレート溶液またはドープと称する場合もある)について説明する。
本発明におけるポリマー溶液の主溶媒としては、セルロースアシレートの良溶媒である有機溶媒を好ましく用いることができる。このような有機溶媒としては、沸点が80℃以下の有機溶媒が乾燥負荷低減の観点からより好ましい。上記有機溶媒の沸点は、10〜80℃であることが更に好ましく、20〜60℃であることが特に好ましい。また、場合により沸点が30〜45℃である有機溶媒も上記主溶媒として好適に用いることができる。本発明においては、後述の溶媒群のうち、特にハロゲン化炭化水素を主溶媒として好ましく用いることができ、ハロゲン化炭化水素の中では塩素化炭化水素が好ましく、ジクロロメタン及びクロロホルムが更に好ましく、ジクロロメタンが最も好ましい。また、乾燥過程初期においてハロゲン化炭化水素とともに揮発する割合が小さく、次第に濃縮される沸点が95℃以上の溶媒を全溶媒に対し1〜15質量%含有する溶媒を用いることができ、1〜10質量%含有する溶媒を用いることが好ましく、1.5〜8質量%含有する溶媒を用いることがより好ましい。そして、沸点が95℃以上の溶媒は、セルロースアシレートの貧溶媒であることが好ましい。沸点が95℃以上の溶媒の具体例としては、後述する「主溶媒と併用される有機溶媒」の具体例のうち沸点が95℃以上の溶媒を挙げることができるが、中でもブタノール、ペンタノール、1,4−ジオキサンを用いることが好ましい。更に、本発明に用いられる本発明におけるポリマー溶液の溶媒はアルコールを5〜40質量%含有し、10〜30質量%含有することが好ましく、12〜25質量%含有することがより好ましく、15〜25質量含有することが更に好ましい。ここで用いるアルコールの具体例としては、後述する「主溶媒と併用される有機溶媒」のアルコールとして例示されている溶媒を挙げることができるが、中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを用いることが好ましい。なお、上記の「沸点が95℃以上の溶媒」がブタノールなどのアルコールである場合は、その含有量もここでいうアルコール含有量にカウントする。このような溶媒を用いることにより、作製したセルロースアシレートフィルムの熱処理温度における力学強度を上昇させることができるため、熱処理中に必要以上に延伸されて、得られたフィルムが割れやすくなることを防ぐことができる。
このような主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を特に好ましく挙げることができ、場合により、エステル、ケトン、エーテル、アルコール及び炭化水素などが挙げることもでき、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、上記主溶媒は、エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。更に、上記エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。なお、本発明の製造方法に用いるセルロースアシレートフィルムの作製に用いるポリマー溶液の主溶媒とは、単一の溶媒からなる場合には、その溶媒のことを示し、複数の溶媒からなる場合には、構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い溶媒のことを示す。主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を好適に挙げることができる。
上記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタン及びクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンが更に好ましい。
上記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートなどが挙げられる。
上記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
上記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。
上記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
これら主溶媒と併用される有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコール及び炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、上記有機溶媒としては、エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれか二つ以上を有していてもよい。更に、上記エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタン及びクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンが更に好ましい。
上記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテートなどが挙げられる。
上記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
上記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどが挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなどが挙げられる。好ましくは炭素数1〜4のアルコールであり、より好ましくはメタノール、エタノール又はブタノールであり、最も好ましくはメタノール、ブタノールである。
上記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
上記2種類以上の官能基を有する有機溶媒としては、例えば、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルアセトアセテートなどが挙げられる。
本発明において、セルロースエステルフィルムを構成するポリマーは、ヒドロキシル基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含むため、全溶媒中に5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが流延支持体からの剥離荷重低減の観点から好ましい。
アルコール含有量を調整することによって、本発明の製造方法により製造されるセルロースアシレートフィルムの面内位相差(Re)や膜厚方向の位相差(Rth)の発現性を調整しやすくすることができる。具体的には、アルコール含有量を上げることによって、熱処理温度を比較的低く設定したり、ReやRthの到達範囲をより大きくしたりすることが可能となる。
また、本発明においては、水を少量含有させることも溶液粘度や乾燥時のウェットフィルム状態の膜強度を高めたり、ドラム法流延時のドープ強度を高めるのに有効であり、例えば溶液全体に対して0.1〜5質量%含有させてもよく、より好ましくは0.1〜3質量%含有させてもよく、特には0.2〜2質量%含有させてもよい。
本発明におけるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例については、特開2009−262551号公報に挙げられている。
また、必要に応じて、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とすることもでき、詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載がある。
本発明におけるポリマー溶液中のセルロースアシレート濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%が更に好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。
上記セルロースアシレート濃度は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。更に、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、セルロースアシレートの濃度を低下させることもできる。
添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて適宜決定することができる。
<ポリマー溶液の調製>
本発明におけるポリマー溶液の調製は、例えば、特開昭58−127737号公報、同61−106628号公報、特開平2−276830号公報、同4−259511号公報、同5−163301号公報、同9−95544号公報、同10−45950号公報、同10−95854号公報、同11−71463号公報、同11−302388号公報、同11−322946号公報、同11−322947号公報、同11−323017号公報、特開2000−53784号公報、同2000−273184号公報、同2000−273239号公報に記載されている調製方法に準じて行うことができる。具体的には、ポリマーと溶媒とを混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や加熱等を実施して溶解させた後、これをろ過して本発明におけるポリマー溶液を得る。
本発明においては、ポリマーの溶媒への溶解性を向上させるため、ポリマーと溶媒との混合物を冷却及び/又は加熱する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を冷却する場合、混合物を−100〜10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜39℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜39℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を加熱する場合、下記(a)又は(b)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(a)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜39℃に加温する。
(b)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜39℃に冷却する。
更に、溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を冷却する場合、混合物を−100〜−10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程よりも前の工程に−10〜55℃で膨潤させる工程を含み、冷却よりも後の工程に0〜57℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を加熱する場合、下記(c)又は(d)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(c)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜57℃に加温する。
(d)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜57℃に冷却する。
<ウェブの製膜>
本発明におけるウェブは、ポリマー溶液を用いて溶液流延製膜方法により形成することができる。溶液流延製膜方法の実施に際しては、従来の方法に従って、公知の装置を用いることができる。具体的には、溶解機(釜)で調製されたドープ(ポリマー溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製する。ドープは30℃に保温し、ドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延する(ドープ流延工程)。次いで、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブ)を金属支持体から剥離し、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、ロール群で搬送しながら乾燥を終了する。溶液流延製膜方法の流延工程、乾燥工程の詳細については、特開2005−104148号公報の120〜146頁にも記載があり、適宜本発明にも適用することができる。
セルロースアシレートフィルムは単層であっても、2層以上の積層体であってもよい。セルロースアシレートフィルムが2層以上の積層体である場合は、2層構造または3層構造であることがより好ましく、3層構造であることが好ましい。3層構造の場合は、1層の中間層(すなわち、最も厚い層であり、以下、基層とも言う)と、上記中間層を挟むスキン層Aおよびスキン層Bとを有することが好ましい。すなわち、本発明のセルロースアシレートフィルムはスキン層B/中間層/スキン層Aの3層構造であることが好ましい。スキン層Bは、セルロースアシレートフィルムが溶液製膜で製造される際に、後述する金属支持体と接する層(以下、流延支持体側層とも言う)であり、スキン層Aは上記金属支持体とは逆側の空気界面の層(以下、エア層とも言う)である。なお、スキン層Aとスキン層Bを総称してスキン層とも言う。
積層体を作製する場合は、共流延法、逐次流延法、塗布法などの一般的な各種の積層流延法を適宜選択して使用することができる。
本発明においては、ウェブの製膜の際に用いる金属支持体として金属バンド又は金属ドラムを使用することができる。
<延伸工程>
本発明においては、セルロースエステルを含むフィルム全体を特定の方向に延伸することにより、所望の特性を有するセルロースエステルフィルムを得ることもできる。即ち、本発明に係るセルロースエステルフィルムは、延伸倍率を制御することによって、延伸方向の音速及び損失弾性率/貯蔵弾性率を適切に調整することができる。
延伸は、長手方向(フィルムを搬送する搬送方向、MD方向)に1.2倍以上2.0倍以下の延伸倍率から選択して行うこと好ましい。更に、長手方向と直交する方向(幅手方向、TD方向)への延伸と組み合わせた二軸延伸を行ってもよい。
長手方向への延伸倍率は、1.2〜2.0倍であることが好ましく、1.2〜1.7倍であることがより好ましく、1.2〜1.4倍であることが更に好ましい。また、幅手方向への延伸は特に限定されず、緩和(1.0 倍未満の延伸操作)を行ってもよい。
延伸して弾性率の異方性を制御する方法については、特開2007−176164号公報、特開2009−137289号公報等に記載の延伸方法も好ましく用いることができる。また、フィルム中に溶媒を残した状態で延伸して弾性率の異方性を制御する方法については、特開2007−119717等に記載の延伸方法も好ましく用いることができる。
なお、本明細書でいう「延伸倍率(倍)」とは、延伸方向でのフィルムの長さに関する以下の式により求められるものを意味する。
延伸倍率(倍)=(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)
また、延伸工程におけるウェブの延伸速度は、特に限定されるものではないが、延伸適正(シワ、ハンドリングなど)の観点から、1〜1000%/minが好ましく、1〜100%/minが更に好ましい。延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。また、更に、搬送方向に対して直交する方向に延伸を加えてもよい。
延伸工程を経たウェブは、続いて乾燥ゾーンへ搬送して延伸工程後に乾燥工程を実施してもよい。上記乾燥工程においてウェブは、テンターで両端をクリップされたり、ロール群で搬送したりしながら乾燥される。
[湿度寸法変化率]
本発明においては、セルロースエステルフィルムを、25℃、相対湿度10%において24時間経時させた後を基準として、25℃、相対湿度80%において24時間経時させた後の任意の一辺に対して直行方向及び平行方向の少なくとも一方の寸法変化率(湿度寸法変化率)が1.00%以下であることが好ましい。
本発明において、セルロースアシレートフィルムの湿度寸法変化率を測定する際には、フィルムの幅手方向を測定方向として、上記測定方向に12cmの長さで、幅3cmのフィルム試料を切り出す。上記試料に測定方向に沿って10cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度10%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL10とする)。次いで、試料を25℃、相対湿度80%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長する(測定値をL11とする)。これらの測定値を用いて下記式により湿度寸法変化率を算出することができる。
湿度寸法変化率[%]=(L11−L10)×100/L10
本発明のセルロースエステルフィルムの幅手方向の湿度寸法変率化は、0〜1.000%以下であることが好ましく、0.1〜0.85%以下であることがさらに好ましく、0.2〜0.72%が特に好ましい。
湿度寸法変化率の幅手方向ばらつきは、10%以下であることが好ましく、0〜7%がより好ましく、0〜5%が最も好ましい。
ここで、湿度寸法変化のばらつきは、幅手方向に等間隔になるように選んだ5箇所の湿度寸法変化を測定し、そのときの最大値と最小値の差を5箇所の平均値で割って算出する。
湿度寸法変化率のばらつきが大きいと湿度寸法変化の局所的な差が大きくなるため、積層する位相差層がその変形に追従してしまい、位相差層をパターン状に形成した場合にパターンの変形が起こりやすくなり表示性能の低下がより強調される。湿度寸法変化率のばらつきは、幅手方向延伸実施領域でのフィルム温度やフィルム中溶媒量にばらつきが原因となってフィルム内の分子鎖の状態が一様でない状態に起因すると推定している。
(位相差フィルム)
本発明の位相差フィルムは、上記本発明のセルロースエステルフィルムの一方の面上に、直接又は他の層(たとえば配向膜)を介して、帯状の互いに異なる位相差領域を面内で交互に配置した位相差層を積層したものである。
帯状の互いに異なる位相差領域としては、液晶性化合物の配向状態を固定してなる層(液晶性化合物の固定層)であることが好ましい。
図1に本発明の位相差フィルムの一例の概略図を示す。図1の位相差フィルム10は、セルロースエステルフィルム1に、位相差層(好ましくは液晶性化合物の配向状態を固定してなる層)2が積層されている。
液晶性化合物の配向状態を固定してなる層は、位相差層(光学異方性層)として機能する。この位相差層は、2種類の互いに異なる位相差値を有する帯状の領域が面内で交互に配置される層である。
<パターン位相差層>
位相差層は、帯状の互いに異なる位相差領域を面内で交互に配置したものであり、レターデーションまたは遅相軸方向が異なる複数の位相差領域からなることが好ましく、長手方向にパターン状に配置されてなる(この態様の位相差層をパターン位相差層とも言う)。
パターン位相差層は、第一位相差領域(「第一領域」とも言う)と第二位相差領域(「第二領域」とも言う)とが、幅手方向に交互に配置されてなるものである。第一位相差領域と第二位相差領域としては、互いにレターデーションが異なる態様や遅相軸の方向が異なる態様が挙げられる。
図2に、本発明における位相差層の一例を示す。図2は、位相差層2を平面視した概略図であり、帯状の第一位相差領域21と帯状の第二位相差領域22とが交互に配置されてなる。
<第一領域と第二領域の形状>
上記第一位相差領域と上記第二位相差領域が1ラインごとに交互にパターン化されていることが好ましい。上記第一領域と上記第二領域が、互いの短辺の長さがほぼ等しい帯状であり、かつ交互に繰り返しパターニングされていることが、3D映像表示システム用に用いる観点から好ましい。
本発明の積層体では、上記第一領域の遅相軸と上記第二領域の遅相軸が略直交することが、3D映像表示をするときに上記第一領域と上記第二領域を通過した光の偏光状態を直線偏光から円偏光、又は円偏光から直線偏光に変えることができる観点から好ましい。
また、本発明の積層体では、上記第一領域の遅相軸と上記第二領域の遅相軸が直交することが、3D映像表示をするときに上記第一領域と上記第二領域を通過した光の偏光状態を、楕円偏光させずに、直線偏光から円偏光、又は円偏光から直線偏光に変えることができる観点から、より好ましい。
なお、領域ごとに円偏光の偏光方向を変えるという観点では、上記第一領域と上記第二領域との遅相軸を揃え、一方の領域のレターデーションを1/4波長、他方の領域のレターデーションを3/4波長とすることで同一の効果を得ることができる。
本発明の位相差フィルムは、パターン位相差層の帯状の位相差領域の長辺の方向と、支持体であるセルロースエステルフィルムの音速が2.7〜5.0km/sとなる方向及び80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.010〜0.050である方向(セルロースエステルフィルムのMD方向)が平行である。これにより、本発明の位相差フィルムと配向度分布が大きい偏光フィルムとを貼り合わせた場合であっても、位相差領域の直線性が悪化することを抑制することができ、その結果、位相差領域と液晶パネルの画素のずれを低減し、クロストークを抑制できることができる。
<レターデーション>
上記のように直線偏光から円偏光、又は円偏光から直線偏光に変換する機能を有するパターン位相差層は波長の1/4のレターデーションを持つことが好ましい。一般に4分の1波長板と呼ばれ、可視光の波長550nmにおいてはRe=137.5nmが理想値となる。
また、直線偏光から円偏光、又は円偏光から直線偏光に変換するパターン位相差層は波長の1/4のレターデーションを有するものだけではない。例えば、波長の−1/4や3/4のレターデーションでもよく、一般式で表すと波長の1/4±n/2(nは整数)のレターデーションを有すればよい。
上記第一領域の遅相軸と上記第二領域の遅相軸が直交するパターニングは、波長の−1/4や1/4のレターデーションを有する領域を交互に形成すればよい。この時、互いの領域の遅相軸はほぼ直交する。また、波長の1/4と3/4のレターデーションをパターニングしてもよく、この時の互いの領域の遅相軸はほぼ平行になる。ただし、互いの領域の円偏光の回転方向は逆になる。
更に、波長の1/4と3/4のレターデーションのパターニングは、波長の1/4を全面に形成後、波長の1/2又は−1/2のレターデーションを形成してもよい。
本発明の積層体は、波長の1/4のレターデーションを持たせる場合、積層体中に含まれる上記第一領域のRe(550)値と、積層体中に含まれる上記第二領域のRe(550)値が30〜250nmであることが好ましく、50〜230nmであることがより好ましく、100〜200nmであることが特に好ましく、105〜180nmであることがより特に好ましく、115〜160nmであることが更に好ましく、130〜150nmであることがより特に好ましい。
また、3D映像表示をするときに上記第一領域と上記第二領域を通過した光の偏光状態を直線偏光から円偏光、又は円偏光から直線偏光に変えることができる観点からの観点から、パターン位相差層とセルロースエステルフィルムとの全体のRe(550)が110〜165nmであることが好ましく、110〜155nmであることがより好ましく、120〜145nmであることが更に好ましい。特に、パターン位相差層とセルロースエステルフィルムとの全体のRe(550)が上記範囲であり、かつ第一領域と第二領域の遅相軸が略直交していることが精度良く右目用画像と左目用画像の偏光状態を変えることができる観点から好ましい。
<パターン形成方法>
上記第一領域と第二領域は様々な方法で形成が可能である。以下にその方法の例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
[パターン露光]
位相差層のパターニングのために、パターン露光を行うことができる。
パターン露光とは、複屈折パターン作製材料の2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を行うことを意味する。このときの「2つ以上の領域」は互いに重なる部位を有していても有していなくてもよいが、互いに重なる部位を有していないことが好ましい。パターン露光は単に未露光部及び露光部のみを生じるパターン露光であってもよい。この場合、通常位相差を残したい領域を露光する。また、パターン露光は未露光部及び露光部の中間調となる1個以上の露光条件による露光部を含むパターン露光であってもよい。パターン露光は1回の露光によって行われても複数回の露光によって行われてもよい。例えば、領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスク等を用いて1回の露光によって行われていてもよく、又は両者が組み合わされていてもよい。
露光条件としては、特に限定はされないが、露光ピーク波長、露光照度、露光時間、露光量、露光時の温度、露光時の雰囲気等が挙げられる。この中で、条件調整の容易性の観点から、露光ピーク波長、露光照度、露光時間、及び露光量が好ましく、露光照度、露光時間及び露光量が更に好ましい。パターン露光時に相異なる露光条件で露光された領域はその後、焼成を経て相異なる、かつ露光条件によって制御された複屈折性を示す。特に異なる位相差量を与える。なお、異なる露光条件で露光された2つ以上の露光領域間の露光条件は不連続に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。
[マスク露光]
露光条件の異なる露光領域を生じる手段として、露光マスクを用いた露光は有用である。例えば1つの領域のみを露光するような露光マスクを用いて露光を行った後に、温度、雰囲気、露光照度、露光時間、露光波長を変えて別のマスクを用いた露光や全面露光を行うことで、先に露光された領域と後に露光された領域の露光条件は容易に変更することができる。また、露光照度、あるいは露光波長を変えるためのマスクとして領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスクは特に有用である。この場合、ただ一度の露光を行うだけで複数の領域に対して異なる露光照度、あるいは露光波長での露光を行うことができる。異なる露光照度の元で同一時間の露光を行う事で異なる露光量を与えることができることは言うまでもない。
また、レーザーなどを用いた走査露光を用いる場合には、露光領域によって光源強度を変える、走査速度を変えるなどの手法で領域ごとに露光条件を変えることが可能である。
パターン露光の手法としてはマスクを用いたコンタクト露光、プロキシ露光、投影露光などでもよいし、レーザーや電子線などを用いてマスクなしに決められた位置にフォーカスして直接描画してもよい。上記露光の光源の照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することが更に好ましい。感光性樹脂層により同時に段差を形成する場合には樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射することも好ましい。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、青色レーザー等が挙げられる。好ましい露光量としては通常3〜2000mJ/cm程度であり、より好ましくは5〜1000mJ/cm程度、更に好ましくは10〜500mJ/cm程度、最も好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
[加熱(ベーク)]
パターン露光された位相差層に対して50℃以上400℃以下でベークを行うことにより、上記パターン露光時の露光条件に応じたパターンで位相差量のパターニングが行われる。用いられた位相差層の露光前のレターデーション消失温度をT1[℃]、露光後のレターデーション消失温度をT2[℃]とした場合(レターデーション消失温度が250℃以下の温度域にない場合はT2=250℃とする)、ベーク時の温度はT1℃以上T2℃以下が好ましく、(T1+10)℃以上(T2−5)℃以下がより好ましく、(T1+20)℃以上(T2−10)℃以下が最も好ましい。
レターデーション消失温度が上昇する位相差層を用いている場合、露光を行う事によりベークによって層中の未露光部のレターデーションが低下し、一方で露光部はレターデーションの低下が小さく、若しくは全く低下しないかあるいは上昇し、結果として未露光部のレターデーションが露光部のレターデーションに比較して小さくなり、軸の有無又は位相差量のパターンが作製される。
[軸方向のパターニング]
軸方向のパターニングの方法については、特に限定されないが、好ましくは配向層を利用して、位相差層の光軸(遅相軸)の方向のパターニングを行うことができる。
光配向層上に設けられた液晶性化合物を含む層、好ましくは光配向層上に直接設けられた液晶性化合物を含む層は、紫外光が照射されると、光配向層が作製された偏光紫外光の偏光方向に、液晶分子が配向する。同様に、ラビング配向層上に設けられた液晶性化合物を含む層、好ましくはラビング配向層上に直接設けられた液晶性化合物を含む層は、紫外光が照射されるとラビングされた方向に液晶分子が配向する。
従って、光配向層上にパターン位相差層を設ける際には、配向材料を含む光配向層形成用組成物から形成された層に上記のパターン位相差層の作製時に用いられるパターン露光の手法と同様の手法により、偏光紫外光をパターン照射し、この層の光配向性をパターニングする。得られた光配向層の上に液晶性化合物を含む組成物を塗布、乾燥等させた後、紫外光を照射することにより軸方向がパターニングされた位相差層を得ることができる。同様に、ラビング配向層上にパターン位相差層を設ける際には、ラビング配向層形成用組成物から形成されたラビング前の層にマスク等を介して、ラビングを行い、この層のラビング方向をパターニングする。得られたラビング配向層の上に液晶性化合物を含む組成物を塗布、乾燥等させた後、紫外光を照射することにより軸方向がパターニングされた位相差層を得ることができる。
本態様においても、上記位相差層を配向膜上に形成してもよい。即ち、あらかじめ配向膜を形成し、上記配向膜の微細領域に、上記組成物を含む流体を吐出させてもよい。本実施の形態に利用可能な配向膜は、上記転写法の実施の形態に利用可能な配向膜の例と同様である。上記配向膜の形成方法については特に制限されないが、本実施の形態では、位相差層の形成と同様、インクジェット法により形成するのが好ましい。上記流体の吐出が完了した後、所望により上記流体の層の乾燥を行い、液晶相を形成し、露光することによって硬化させて、位相差層を形成する。液晶相を形成するために、所望により加熱してもよく、その場合は、加熱装置を使用してもよい。
上記流体は、硬化可能であるのが好ましく、即ち、硬化性組成物を溶液等の流体として調製したものであるのが好ましい。硬化性組成物中に含有させる重合開始剤等については、転写方法の実施の形態にて説明した種々の重合開始剤を用いることができる。また、上記流体中には、配向制御剤等の添加剤を含有させてもよく、これらの例についても転写方法の実施の形態にて説明した種々の添加剤の例と同様である。また、上記流体の調製に使用する溶媒の例についても、転写法の実施の形態にて塗布液の調製に使用可能な溶媒の例と同様である。
上記位相差層を形成する際のインク等の射出条件については特に制限されないが、位相差層形成用の流体の粘度が高い場合は、室温あるいは加熱下(例えば、20〜70℃)において、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。インク等の粘度変動は、そのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク等の温度をできるだけ一定に保つのが好ましい。
上記方法に用いられるインクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう)は、特に制限されず、公知の種々のものを使用することができる。コンティニアスタイプ、及びドットオンデマンドタイプが使用可能である。ドットオンデマンドタイプのうち、サーマルヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号公報に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾヘッドでは、例えば、欧州特許A277,703号、欧州特許A278,590号などに記載されているヘッドを使うことができる。ヘッドは組成物の温度が管理できるよう、温調機能を持つものが好ましい。上記流体の射出時の粘度は5〜25mPa・sとなるよう射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるよう流体温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。
(光学積層体)
本発明は、上述の位相差フィルムを用いた光学積層体にも関する。本発明における光学積層体は、上記位相差フィルムに、偏光フィルム、延伸フィルム、及び反射防止フィルムから選ばれる少なくとも1つの光学素子を積層したものであり、偏光フィルムを積層したものであることが最も好ましい。本発明の位相差フィルムは偏光板保護フィルムとして好適に用いることができる。
(偏光フィルム)
従来の位相差フィルムを偏光フィルムと貼り合わせて偏光板の状態にすると、位相差フィルム単独の状態よりも直線性が悪化することがある。
これは、偏光フィルムが透過軸方向に配向度分布を持っているためと推定される。偏光フィルムは、一方向に延伸したPVA(ポリビニルアルコール)原反をヨウ素染色して製膜しているため、延伸方向にPVA分子が配向する。このとき、延伸形態が自由端一軸のため、周囲にPVA分子が無い原反外側部では、延伸と直交方向に収縮しながらPVA分子が配向するが、周囲にPVA分子が存在する中央部では延伸と直交方向の収縮が抑制されるために配向が十分に進まず、結果的に偏光フィルム中にV字型の配向度分布が生まれると本発明者らは想定している。このV字型の配向度分布を持った偏光フィルムは、湿熱環境では配向度が高い部分ほど縮みやすいため、この偏光フィルムに貼合された位相差フィルムは中央部に比べて端部の収縮が大きくなり、変形して直線性が悪化する傾向がある。
位相差フィルムと偏光フィルムとを積層した光学積層体については、偏光フィルムの配向度とRe(902)に相関があるため、Re(902)の分布は、0〜30nmに抑えられていることが多い。しかし、一般的には、上述のような理由からRe(902)分布が30nmを超えてしまう偏光フィルムもあり、Re(902)の分布が30nmを超える偏光フィルムを用いると、位相差フィルムとの貼合後に直線性が悪化することがある。
本発明においては、位相差フィルムの支持体として、音速及び損失弾性率/貯蔵弾性率が特定の範囲であるセルロースエステルを使用するので、支持体の硬度が高くなり、配向度分布が大きい偏光フィルムを貼り合わせた場合であっても、直線性が悪化することを防止することができる。
従って、本発明においては、偏光フィルムの透過軸方向のRe(902)が30nm以上の分布を有していてもよい。
なお、偏光フィルムの配向度分布を簡易的に測定する手段としては、以下の方法が一般的に用いられている。
Re(902)は、光学積層体を、25℃、相対湿度60%で24時間調湿し、王子計測 KOBRA−WX100/IRを使用し、波長902nmで面内位相差を測定することにより得られる値である(面内位相差算出に使用する次数は3)。なお、セパレーター、ラミネーターが光学積層体に貼合されている場合は、セパレーター、ラミネーターを剥離した上で測定することができる。
(液晶表示装置)
本発明は、上述の位相差フィルム又は光学積層体を有する液晶表示装置にも関する。
本発明の位相差フィルムは、特に大画面の3D映像表示用の液晶表示装置に用いるのに適している。大画面用液晶表示装置用の光学フィルムとして用いる場合は、例えば、フィルム幅を1470mm以上として成形するのが好ましい。また、本発明の積層体には、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様のフィルムのみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様のフィルムも含まれる。後者の態様のフィルムは、その状態で保管・搬送等され、実際に液晶表示装置に組み込む際や偏光フィルム等と貼り合わされる際に、所望の大きさに切断されて用いられる。また、同様に長尺状に作製されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光フィルム等と、長尺状のまま貼り合わされた後に、実際に液晶表示装置に組み込む際に、所望の大きさに切断されて用いられる。ロール状に巻き上げられたフィルムの一態様としては、ロール長が2500m以上のロール状に巻き上げられた態様が挙げられる。
<偏光板>
本発明においては、少なくとも1枚の本発明のセルロースエステルフィルム又は位相差フィルムを保護フィルムとして用いることにより、偏光板を作製することもできる。たとえば、偏光子と上記本発明のセルロースエステルフィルム又は位相差フィルムを積層する方法である。 上記偏光板は、従来公知の一般的な構成の偏光板を挙げることができ、上記偏光板の具体的な構成については、特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば、特開2008−262161号公報の図6に記載の構成を採用することができる。本発明の積層体は、一般的な偏光板の一方の面上に積層させ、偏光眼鏡方式の3D映像表示システムに用いることができるパターン位相差フィルムとすることができる。上記偏光板の態様は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、帯状、すなわち、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
積層には、粘着剤もしくは接着剤が用いられ、通常、接着剤が用いられる。偏光子と両面の偏光板保護フィルムの間の接着剤層は、その厚さを0.01〜30μm程度とすることができ、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μmである。接着剤層の厚さがこの範囲にあれば、積層される偏光板保護フィルムと偏光子との間に浮きや剥がれを生じず、実用上問題のない接着力が得られる。
好ましい接着剤の一つとして、水系接着剤、すなわち、接着剤成分が水に溶解又は分散しているものを挙げることができ、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤が好ましく用いられる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤において、ポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。
この接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキシル酸塩等が架橋剤として添加されていてもよい。水系接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層の厚みは通常、1μm以下である。
もう一つの好ましい接着剤として、活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化するエポキシ化合物を含有する硬化性接着剤組成物が挙げられる。ここで硬化性のエポキシ化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものである。この場合、偏光子と保護フィルムとの接着は、接着剤組成物の塗布層に対して、活性エネルギー線を照射するか、又は熱を付与し、接着剤に含有される硬化性のエポキシ化合物を硬化させる方法により行うことができる。エポキシ化合物の硬化は、一般に、エポキシ化合物のカチオン重合により行われる。また生産性の観点から、この硬化は活性エネルギー線の照射により行うことが好ましい。
硬化性接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層の厚みは通常、0.5〜5μm程度である。
硬化性接着剤を用いる場合には、貼合ロールを用いてフィルムを貼合した後、必要に応じて乾燥を行ない、活性エネルギー線を照射するかまたは加熱することにより硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましく用いられる。
耐候性、屈折率、カチオン重合性などの観点から、硬化性接着剤組成物に含有されるエポキシ化合物は、分子内に芳香環を含まないものであることが好ましい。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物として、水素化エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。このような硬化性接着剤組成物に好適に用いられるエポキシ化合物は、例えば、特開2004−245925号公報に詳細に説明されている。
また、上記本発明のセルロースエステルフィルム又は位相差フィルムと偏光子とを接着剤で貼合するにあたり、接着強度を向上させる目的で、上記本発明の光学フィルムの、偏光子と対向する面に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理)や易接着層形成等をしてもよい。特開2007-127893号公報、特開2007−127893号公報等に記載されている易接着層の材料や形成法などを用いることができる。
上記本発明のセルロースエステルフィルム又は位相差フィルムと偏光子との貼り合せに、水系接着剤を用いる態様では、上記本発明のセルロースエステルフィルム又は位相差フィルムの貼合面は、アルカリ鹸化処理を行うことが好ましい。また、貼合には、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いることができる。
上記偏光子としては、従来公知の方法で製造したものを用いることができ、ポリビニルアルコール系偏光子が好ましい。例えば、ポリビニルアルコールあるいはエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%であるエチレン変性ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理して配向させたものを用いる。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことにより10μm以下の偏光子フィルムを得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第5048120号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、特許第4751486号公報を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も本発明の偏光板に好ましく利用することができる。
[映像表示パネル]
映像表示パネルは、少なくとも1枚の本発明のセルロースエステルフィルム又は位相差フィルムを含むことで構成できる。好ましい態様は、本発明のセルロースエステルフィルム又は位相差フィルムが視認側に近い保護フィルムとして用いられる態様である。これにより、例えばパターン位相差層を設けた場合、映像表示パネルからの光のうち、第一領域を通過した光と、第二領域を通過した光の偏光状態を変えることができ、3D立体映像表示を表示することができる映像表示パネルとなる。
映像表示装置に用いられる映像表示パネルは特に制限はなく、映像表示パネルを液晶表示パネルとすることで、フラットパネルディスプレイの中でも高画質かつ安価な映像表示システムとすることができる。
したがって、本発明のセルロースエステルフィルム又は位相差フィルムは液晶表示装置に用いられることが特に好ましい。
液晶表示装置の具体的な構成としては特に制限はなく公知の構成及びモードを採用できる。また、特開2008−262161号公報の図2に記載の構成も好ましく採用することができる。
[映像表示システム]
本発明のセルロースエステルフィルム、位相差フィルム又は液晶表示装置は、映像表示システムに用いることもできる。これにより、例えば上記パターン位相差層を設けた場合、左眼用画像と右眼用画像を映像表示パネルに入力し、映像表示パネルから左眼用画像と右眼用画像を本発明の光学フィルムに向けて出射し、本発明に係る上記パターン位相差層の上記第一領域を通過した上記左眼用画像(又は右眼用画像)と、上記第二領域を通過した上記右眼用画像(又は左眼用画像)の偏光状態を変えさせることができる。更に上記第一領域を通過した上記左眼用画像のみを透過する偏光板付き左眼用レンズと、上記第二領域を通過した上記右眼用画像のみを透過する偏光板付き右眼用レンズを備えた偏光眼鏡を併用することで、左右の眼にそれぞれ左眼用画像と右眼用画像のみを入射させ、3D映像表示を観察することができる映像表示システムを得ることができる。
このような映像表示システムについては、米国特許5,327,285号公報に記載がある。また、偏光眼鏡については、特開平10−232365に例が記載されている。
また、市販の映像表示システムの内、パターン位相差フィルムを剥がして、本発明の光学フィルムと差し替えてもよい。
本発明において、好ましい映像表示システムとしては、下記の液晶表示装置が挙げられる。即ち、上記液晶表示装置は、少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板と、上記一対の基板間の液晶層と、上記液晶層を挟んで配置され、偏光フィルムと上記偏光フィルムの少なくとも外側の面に設けられた保護膜とを有し、光源側に配置される第一偏光板と、視認側に配置される第二偏光板とを有し、更に、第二偏光板の視認側に、偏光フィルムと少なくとも一枚の保護膜とを有する第三偏光板を通じて画像を視認する液晶表示装置であって、第二偏光板として、本発明の積層体を有する偏光板を用いた液晶表示装置である。本発明の積層体は温度変化に伴う寸法変化の小さい支持体を用いているので、経時後もクロストークのない良好な3D表示性能を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(実施例1)
(エア層、流延支持体側層用ドープ1の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、エア層、流延支持体側層用ドープ1を調製した。
エア層、流延支持体側層用ドープ1の組成
・セルロースエステル(アセチル置換度2.86) 100質量部
・式(I)の糖エステル化合物1 7.5質量部
・式(II)の糖エステル化合物2 2.5質量部
・下記紫外線吸収剤(UV剤) 2.4質量部
・シリカ粒子分散液(マット剤、平均粒径16nm) “AEROSIL R972”、日本アエロジル(株)製
0.078質量部
・メチレンクロライド 339質量部
・メタノール 74質量部
・ブタノール 3質量部
式(I)
Figure 2016033527
式(II)
Figure 2016033527
紫外線吸収剤
Figure 2016033527
(中間層用ドープ1の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、中間層用ドープ1を調製した。
中間層用ドープ1の組成
・セルロースエステル(アセチル置換度2.86) 100質量部
・式(I)の糖エステル化合物1 7.5質量部
・式(II)の糖エステル化合物2 2.5質量部
・上記紫外線吸収剤(UV剤) 2.4質量部
・メチレンクロライド 266質量部
・メタノール 58質量部
・ブタノール 2.6質量部
(共流延による製膜:ドラム製膜法)
流延ダイとして、共流延用に調整したフィードブロックを装備して、3層構造のフィルムを成形できるようにした装置を用いた。以下の説明において、主流から形成される層を中間層と称し、流延用支持体面側の層を流延支持体側層と称し、反対側の面をエア層と称する。上記エア層用ドープ1、中間層用ドープ1、及び流延支持体側層用ドープ1を流延口から−7℃に冷却したドラム上に共流延した。このとき、乾燥後に各層の厚みがエア層/中間層/流延支持体側層=2μm/54μm/4μmとなるように各ドープの流量を調整した。
ドープを直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。流延された膜にドラム上で34℃の乾燥風を270m/分で当てた。
そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースエステルフィルムをドラムから剥ぎ取った後、両端をピンテンターで保持した。剥離の際、長手方向(MD方向・搬送方向)に1.23倍の延伸を行った。
ピンテンターで保持されたセルロースエステルフィルムを乾燥ゾーンに搬送した。初めの乾燥では45℃の乾燥風を送風し、次に110℃で5分乾燥した。このとき、セルロースエステルフィルムを幅手方向に倍率を0.96倍に収縮しながら搬送した。
ピンテンターからセルロースエステルフィルムを離脱させたあと、ピンテンターで保持されていた部分を連続的に切り取った。このときのセルロースエステルフィルムの幅は1610mmであった。搬送方向に130Nのテンションをかけながら145℃で10分乾燥した。さらに、セルロースエステルフィルムが所望の幅になるように幅方向端部を連続的に切り取り、かつ幅方向両端部に幅15mm、高さ10μmのナーリングをつけ、膜厚60μmのセルロースエステルフィルムを作製した。
(実施例2〜7、比較例1、3)
フィルム厚み、可塑剤種、可塑剤の添加量、製膜方法、延伸倍率を下記表5に示したように変更した以外は、実施例1と同様にしてセルロースエステルフィルムを作製した。フィルム厚みが実施例1と異なる場合は、エア層/中間層/流延支持体側層の厚みの比が実施例1と同じになるようにした。
なお、TPPはトリフェニルホスフェートを表し、BDPはビフェニルジフェニルホスフェート、EPEGはエチルフタリルエチルグリコレートを表す。実施例4、5、比較例1〜3のセルロースエステルフィルムにおいて、可塑剤1はTPPであり、可塑剤2はBDP又はEPEGである。
また、表5中、可塑剤1、2に記載された数値は、セルロースエステル100質量部に対する各添加剤の含有量(質量部)を表す。
なお、実施例5は、下記のように製膜方法を変更して作製した。
(共流延による製膜:バンド製膜法)
エア層用ドープ、中間層用ドープ、及び流延支持体側層用ドープを、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で溶媒を蒸発させ、のちにステンレスバンド支持体から剥離した。剥離後のセルロースエステルフィルムの両端部をテンタークリップで把持し、長手方向(MD方向・搬送方向)に1.25倍の延伸をした後、幅手(TD)方向に0.95倍に収縮しながら搬送した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行った。さらに、セルロースエステルフィルムが所望の幅になるように幅方向端部を連続的に切り取り、かつ幅方向両端部に幅15mm、高さ10μmのナーリングをつけ、実施例5のセルロースエステルフィルムを作製した。
(比較例2)
(主ドープ液の調整)
以下の組成の主ドープ液2を調製した。加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
主ドープ液2の組成
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
セルロースアセテート(アセチル基置換度2.9) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 9.5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 2.2質量部
チヌビン326(紫外線吸収剤;BASF製) 0.4質量部
チヌビン109(紫外線吸収剤;BASF製) 0.7質量部
チヌビン171(紫外線吸収剤;BASF製) 0.6質量部
(微粒子分散液2の調製)
下記の成分をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行って、以下の組成の微粒子分散液を調製した。
微粒子分散液2の組成
微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製))11質量部
エタノール 89質量部
(微粒子添加液2の調製)
次に、メチレンクロライドを入れた溶解タンクに、セルロースアセテート(アセチル基置換度2.9)を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後の溶液を充分に攪拌しながら、ここに上記で調製した微粒子分散液2をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液2を調製した。
微粒子添加液2の組成
メチレンクロライド 99質量部
セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.9) 4質量部
微粒子分散液2 11質量部
(流延による製膜:バンド製膜法)
主ドープ液2の100質量部と、微粒子添加液2の2質量部とを加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で溶媒を蒸発させ、のちにステンレスバンド支持体から剥離した。剥離後のフィルムの両端部をテンタークリップで把持し、長手方向(MD方向・搬送方向)に1.04倍の延伸をした後、幅手(TD)方向の延伸倍率が1.25倍となるように延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有するセルロースアシレートフィルムを作製した。これを、比較例2とした。得られたフィルムの幅は2.0m、厚みは60μmであった。
得られたセルロースエステルフィルムについて、以下の方法に従って、音速、損失弾性率/貯蔵弾性率、Re(590)及び湿度寸法変化率を測定した。
<セルロースエステルフィルムの長手方向の音速>
フィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、配向性測定機(SST−4000:野村商事(株)製)を用いて測定した。
<セルロースエステルフィルムの損失弾性率/貯蔵弾性率>
あらかじめ温度80℃、相対湿度60%雰囲気下で2時間調湿したフィルム試料について、下記条件において、E”(損失弾性率)とE’(貯蔵弾性率)を測定し、tanδ(=E”/E’)を求めた。
装置:アイティー計測制御株式会社製 DVA−200
試料:5mm、長さ50mm(ギャップ20mm)
測定条件:引張りモード
測定温度:30℃〜220℃
昇温条件:5℃/min
周波数:1Hz
<セルロースエステルフィルムの面内位相差Re(590)>
セルロースエステルフィルムの面内位相差Re(590)は、KOBRA ADH(王子計測機器(株)製)を使用し、25℃、相対湿度60%で、波長590nmの光をフィルムの法線方向に入射させて測定した。
<セルロースエステルフィルムの湿度寸法変化率>
フィルムの幅手方向を測定方向として、上記測定方向に12cmの長さで、幅3cmのフィルム試料を切り出し、上記試料に測定方向に沿って10cmの間隔でピン孔を空け、25℃、相対湿度10%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長した(測定値をL10とする)。次いで、試料を25℃、相対湿度80%にて24時間調湿後、ピン孔の間隔をピンゲージで測長した(測定値をL11とする)。これらの測定値を用いて下記式により湿度寸法変化率を算出した。
湿度寸法変化率[%]=(L11−L10)×100/L10
湿度寸法変化率は、それぞれ実施例7:0.56%、比較例1:0.47%と算出され、実施例および比較例の間で顕著な差がないことを確認した。
[位相差フィルムの作製]
特開2009−223001号公報の実施例1の「部位2」及び「部位5」を参考に、Re=137.5nmで、遅相軸の向きがパターンの長辺の方向に対して45度の部位(第1領域)と135度の部位(第2領域)とが300μm周期で繰り返しとなるようにパターニングされたパターン位相差層Aをガラス基板上に作製した。これを上記で作製したセルロースエステルフィルム上に転写して、パターン位相差層Aを有する位相差フィルムを作製した。
その後、作製した位相差フィルムを用いて、3Dモニターを作製した。
(3Dモニターの作製)
<偏光フィルムの作製>
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒間浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒間浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した。その後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光フィルムを得た。
なお、実施例1〜5、比較例1〜3において使用した偏光フィルムAは、原反幅が2mのフィルムを5倍延伸して1.4m幅の偏光フィルム作成したものであり、実施例6、7において使用した偏光フィルムBは、原反幅が4mのフィルムを5倍延伸して3.2mの原反を作成した後、両端を0.9mずつ切りおとして、1.4m幅の偏光フィルムを作成したものである。
<偏光板の作製>
[偏光板用接着剤]
2−ヒドロキシエチルアクリレート100質量部、トリレンジイソシアネート10質量部および光重合開始剤(イルガキュア907、BASF製)3質量部、を配合して偏光板用接着剤を調製した。
上記の方法で作製したパターン位相差フィルムおよび市販のセルロースアセテートフィルム(ZRD40SL、富士フイルム(株)製))を準備し、2枚のフィルム上に、上記偏光板用接着剤を、マイクログラビアコーター(グラビアロール:#300,回転速度140%/ライン速)を用いて、厚さ5μmになるように塗工し、接着剤付きフィルムとした。次いで、上記接着剤付きフィルム2枚で上記偏光フィルムを挟持するように、ロール機でロールツーロールで偏光フィルムの両面に貼り合わせた。
貼り合わせたフィルム側(両側)から、紫外線を照射して、偏光板を作製した。なお、ライン速度は20m/min、紫外線の積算光量300mJ/cm2とした。ここで、偏光フィルムの透過軸とフィルムの搬送方向とが直交するように配置し、パターン位相差層は内側に来るように配置した。
市販の3D液晶テレビ(42LS5600(LGエレクトロニクス製))のフロント偏光板をはがし、粘着剤を介して上記の方法で作成した偏光板を貼合した。貼合の際、パターン位相差の長辺が画素の上下の辺と一致するようにした。また、パターン位相差の幅が画素の幅と合うように貼合時の湿度を調整した。
なお、比較例2、3においては、3Dモニター(HPL02065(HP製))のフロント偏光板をはがし、代わりに比較例2、3の偏光板を貼合した。
得られた偏光フィルムについて、透過軸方向のRe(902)を測定すると共に、液晶表示装置について、クロストークの評価を行った。
Re(902)は、偏光板を、25℃、相対湿度60%で24時間調湿し、王子計測 KOBRA−WX100/IRを使用し、波長902nmで面内位相差を測定することにより得られた値である(面内位相差算出に使用する次数は3)。Re(902)の分布は、5点計測した際の最大値と最小値の差(単位 nm)である。
(クロストークの評価)
上記で作製した3Dモニターを1時間連続点灯後、右目用画素は白、左目用画素は黒のパターンを表示させ、目の位置に分光放射輝度計(SR−3 トプコン製)をおき、右目用/左目用の円偏光メガネをそれぞれ通して、輝度を測定した。また、同様の方法で、24時間連続点灯後の輝度を測定した。なお、1時間連続点灯後のクロストークの結果が下記C又はDであるものについては、24時間連続点灯後の測定は行わなかった。
右目用円偏光メガネを通した時の輝度をYRR、左目用円偏光メガネを通した時の輝度をYRLとする。
右目用画像が左目に、左目用画像が右目に入ると3D感が失われるため、クロストーク度合いをCRO=(YRR−YRL)/(YRR+YRL)×100と定義し、1時間点灯後及び24時間点灯後のCROを以下の基準で評価した。
A:95%以上
B:92.5%以上95%未満
C:90%以上92.5%未満
D:90%未満
Figure 2016033527
実施例1〜7は、セルロースエステルフィルムのMD方向の音速及び貯蔵弾性率/損失弾性率が本発明の範囲内であるので、このセルロースエステルフィルムを支持体として用いた偏光板については、クロストークの評価結果が優れたものとなった。
1 セルロースエステルフィルム
2 液晶性化合物の配向状態を固定してなる層
10 位相差フィルム
21 帯状の第一位相差領域
22 帯状の第二位相差領域

Claims (6)

  1. セルロースエステルフィルムと、
    帯状の互いに異なる位相差領域が面内で交互に配置されてなる位相差層と
    を有する位相差フィルムであって、
    前記セルロースエステルフィルムは、前記帯状の位相差領域の長辺方向の音速が2.7〜5.0km/sであり、かつ前記帯状の領域の長辺方向の80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.010〜0.050である位相差フィルム。
  2. 前記セルロースエステルフィルムの、25℃、相対湿度60%で測定した測定波長590nmの面内位相差Re(590)が10〜20nmである、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の位相差フィルムと、偏光フィルム、延伸フィルム、及び反射防止フィルムから選ばれる少なくとも1つの光学素子とを積層した光学積層体。
  4. 請求項3に記載の光学積層体を有する液晶表示装置。
  5. 矩形状のフィルムを構成する4辺のうち対向する2辺に平行な方向で音速が大きい方向における音速が2.7〜5.0km/sであり、かつMD方向における80℃での損失弾性率/貯蔵弾性率が0.01〜0.050であるセルロースエステルフィルム。
  6. 25℃、相対湿度60%で測定した測定波長590nmの面内位相差Re(590)が10〜20nmである請求項5に記載のセルロースエステルフィルム。
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