JP2016031828A - 高温超電導薄膜線材 - Google Patents

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Masaya Konishi
昌也 小西
永石 竜起
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竜起 永石
康太郎 大木
Kotaro Oki
康太郎 大木
元気 本田
Genki Honda
元気 本田
高史 山口
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高史 山口
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Takehiko Yoshihara
健彦 吉原
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Abstract

【課題】ケーブルやコイルの作製に際して、突起を生じた下地に線材を巻回す場合であっても、超電導特性の低下を十分に抑制してケーブルやコイルを作製することができる高温超電導薄膜線材を提供する。
【解決手段】フレキシブルでテープ状の金属基材上に、少なくとも引っ張り歪のない酸化物超電導層が形成されており、酸化物超電導層側が、幅方向に対して凸となるようにアーチ状に形成されている高温超電導薄膜線材。金属基材は、金属テープ上に中間層が設けられ、中間層は、少なくとも表面が2軸配向しており、酸化物超電導層は、RE123系の酸化物超電導材料を用いて形成されている高温超電導薄膜線材。
【選択図】図1

Description

本発明は、ケーブルやコイルのように巻回して使用する際、好適に使用できる高温超電導薄膜線材に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導材料の発見以来、ケーブル、コイル、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導薄膜線材の開発が精力的に行われている。
このような高温超電導薄膜線材(以下、単に「線材」ともいう)は、一般に、表面が2軸配向した中間層を含むテープ状の金属基材上に、例えば、REBaCu7−δ(REはレア・アース)で示されるREBCO系酸化物超電導材料をスパッタ法やパルスレーザ蒸着法等の気相法を用いて蒸着させることにより酸化物超電導層を形成させ、さらに、保護層や安定化層を設けることにより作製される。
しかし、これらの酸化物超電導材料はセラミックスであり、形成された酸化物超電導層は圧縮歪には強いが引っ張り歪には弱いというセラミックス特有の性質を有しているため、ケーブルやコイルのように巻回して使用した場合、酸化物超電導層が引っ張り歪を受けて超電導特性の低下を招きやすいという問題があった。
上記の問題に対して、酸化物超電導層と金属基材との熱膨張係数の差を利用して、酸化物超電導層の形成時、酸化物超電導層に長手方向の圧縮予歪を付加することにより、引っ張り歪の発生を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平3−138817号公報
しかしながら、このような技術によっても、ケーブルやコイルの作製に際して、超電導特性の低下を未だ十分に抑制できているとは言えなかった。
そこで、本発明は、ケーブルやコイルの作製に際して、超電導特性の低下を十分に抑制することができる高温超電導薄膜線材を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る高温超電導薄膜線材は、
フレキシブルでテープ状の金属基材上に、少なくとも引っ張り歪のない酸化物超電導層が形成されており、
前記酸化物超電導層側が、幅方向に対して凸となるようにアーチ状に形成されている
高温超電導薄膜線材である。
上記によれば、ケーブルやコイルの作製に際して、超電導特性の低下を十分に抑制することができる高温超電導薄膜線材を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る高温超電導薄膜線材の使用状況を説明する図である。 従来の高温超電導薄膜線材の使用状況を説明する図である。 コイル状に巻回された高温超電導薄膜線材を模式的に示す図である。 本発明の一実施の形態に係る高温超電導薄膜線材の製造過程を説明する図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る高温超電導薄膜線材は、
フレキシブルでテープ状の金属基材上に、少なくとも引っ張り歪のない酸化物超電導層が形成されており、
前記酸化物超電導層側が、幅方向に対して凸となるようにアーチ状に形成されている
高温超電導薄膜線材である。
本発明者は、上記した課題の解決にあたって、従来の高温超電導薄膜線材(以下、「線材」ともいう)において、何故に超電導特性の低下が発生するのか、その原因について検討を行い、以下の知見を得た。
即ち、従来より、線材を機器に使用する場合、図3に示すように、線材1は下地11に巻回されて使用されているが、このとき下地11が平坦であれば線材1を平坦なまま巻回すことができるため、従来の線材1であっても幅方向に引っ張り歪が入らず、超電導特性の低下を招く恐れはない。
しかし、通常は、多重に巻き重ねられるように線材1が巻回されるため、巻き重ねに乱れが生じて下地が平坦にならない場合がある。この平坦ではない下地に線材1を巻回した場合、線材1が幅方向に曲がったり反ったりすることがあり、この部分で幅方向に引っ張り歪が入り込み、これが原因となって超電導特性の低下を招いてしまっていたことが分かった。
具体的には、図2(a)に示すように、金属基材3上に酸化物超電導層2が形成された平坦な線材1を平坦な下地11に巻回す場合には酸化物超電導層2が幅方向に引っ張り歪を受けることがないため、超電導特性の低下を招くことがない。しかし、上記のように平坦ではない下地に線材1を巻回す場合、例えば、図2(b)に示すように、下地本体12の表面に平坦でない突起13が生じた下地11に線材1を巻回す場合には、線材1が突起13に押し付けられて反るため、酸化物超電導層2に引っ張り歪が入り込み、超電導特性の低下を招く。
この知見に基づいて、本発明者は、線材を幅方向に対して酸化物超電導層側が凸となるようにアーチ状に形成し、この酸化物超電導層が少なくとも引っ張り歪のない酸化物超電導層であれば、下地に突起などが形成されていても、アーチ状を保ったまま巻回すことができるため、酸化物超電導層に入り込む引っ張り歪が十分に抑制され、超電導特性の低下を招かないと考え、本発明を完成するに至った。
即ち、図1(a)に示すように、下地本体12の表面に突起13を有する下地11に線材1を巻回しても、本実施態様に係る線材1は、アーチ状を保ったまま突起13を跨いで巻回すことができるため、酸化物超電導層2に引っ張り歪が入り込まずあるいは抑制されて、超電導特性の低下を招くことがない。また、図1(b)に示すように、線材1を平坦な下地11に巻回す場合には、アーチ状を押し広げるようにして線材1を平坦にして巻回すことになり、酸化物超電導層2には引っ張り歪でなく圧縮歪が入り込むため、超電導特性の低下を招く可能性は低い。
なお、酸化物超電導層における引っ張り歪の有無は、X線回折を用いて酸化物超電導層の格子定数を計測することにより確認することができる。即ち、引っ張り歪の有無に合わせて格子定数が変化することが分かっているため、これを測定することにより、酸化物超電導層における引っ張り歪の有無を確認することができる。
本実施態様において、フレキシブルでテープ状の金属基材としては、金属テープ上に中間層が設けられて構成されており、この中間層の少なくとも表面は2軸配向していることが好ましい。
そして、金属基材上に形成される酸化物超電導層としては、REBCO系の酸化物超電導材料から形成された酸化物超電導層であることが好ましい。
また、本実施態様においては、酸化物超電導層上に保護層として銀層が形成されていることが好ましく、さらにその周囲にCu等の良導体からなる安定化層が形成されていることが好ましい。
[本発明の実施の形態の詳細]
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施の形態に係る高温超電導薄膜線材は、上記したように、フレキシブルでテープ状の金属基材上に、少なくとも引っ張り歪のない酸化物超電導層が形成されており、幅方向に対して酸化物超電導層側が凸となるようにアーチ状に形成されている。
このような線材の製造方法について説明する。本実施の形態の線材では、酸化物超電導層に少なくとも引っ張り歪を入れてはならない。例えば、酸化物超電導層を形成した後に、線材に機械的に反り加工を施す方法では、機械的な反り加工により酸化物超電導層に引っ張り歪が入り込んでしまうため好ましくない。
図4は本実施の形態に係る高温超電導薄膜線材の製造過程を説明する図であり、図4(a)は平坦な金属基材3を用い、酸化物超電導層2と金属基材3の熱膨張係数の差を利用して反りを有する線材1を製造する方法を示している。
即ち、REBCO系の酸化物などからなる酸化物超電導層2はセラミックスであるため熱膨張係数が小さく、一方、中間層と金属層とから構成される金属基材3は金属を主体としているため熱膨張係数が大きい。このため、高温で酸化物超電導層2を形成した後の冷却の過程において、金属基材3が酸化物超電導層2に比べてより縮む。これにより、酸化物超電導層2には圧縮力が入り込み、酸化物超電導層2側が凸となるようにアーチ状に線材1が反る。
具体的には、酸化物超電導層2は、従来と同様な、例えばパルスレーザ蒸着(PLD)法などの蒸着法を用いて、金属基材3の2軸配向性の表面にエピタキシャル成長させることにより形成される。このとき、金属基材3の厚さは、酸化物超電導層2の厚さに比べて十分に厚いため、冷却時、金属基材3が縮む際に酸化物超電導層2には圧縮力が入り込み、引っ張り歪を入り込ませることなく、線材1にアーチ状の反りを付与することができる。
<付記>
なお、本発明は、以下に付記する発明をも包含するものである。
(付記1)
フレキシブルでテープ状の金属基材上に、少なくとも引っ張り歪のない酸化物超電導層が形成されており、
前記酸化物超電導層側が、幅方向に対して凸となるようにアーチ状に形成されている
高温超電導薄膜線材。
(付記2)
前記金属基材は、金属テープ上に中間層が設けられ、前記中間層は、少なくとも表面が2軸配向しており、
前記酸化物超電導層は、RE123系の酸化物超電導材料を用いて形成されている
付記1に記載の高温超電導薄膜線材。
(付記3)
前記酸化物超電導層上に保護層として銀層が形成されている付記1または付記2に記載の高温超電導薄膜線材。
(付記4)
前記線材の周囲を覆う良導体製の安定化層が形成されている付記1〜付記3のいずれかに記載の高温超電導薄膜線材。
本発明は、REBCO系などの酸化物超電導層を備える超電導薄膜線材において、突起が生じた下地に線材を巻回す場合であっても、突起を跨いで巻回すことができるため、超電導層が引っ張り歪を受けることが抑制され、超電導特性の低下をより確実に抑制可能な長尺の高温超電導薄膜線材を可能とするものであり、超電導薄膜線材の実用化の一層の推進に寄与する。
1 高温超電導薄膜線材
2 酸化物超電導層
3 金属基材
11 下地
12 下地本体
13 突起

Claims (1)

  1. フレキシブルでテープ状の金属基材上に、少なくとも引っ張り歪のない酸化物超電導層が形成されており、
    前記酸化物超電導層側が、幅方向に対して凸となるようにアーチ状に形成されている
    高温超電導薄膜線材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013157286A1 (ja) * 2012-04-16 2013-10-24 古河電気工業株式会社 超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法

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WO2013157286A1 (ja) * 2012-04-16 2013-10-24 古河電気工業株式会社 超電導成膜用基材及び超電導線並びに超電導線の製造方法

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