JP2016031233A - 磁性ビーズを用いた糖鎖又は糖ペプチドの精製濃縮方法 - Google Patents

磁性ビーズを用いた糖鎖又は糖ペプチドの精製濃縮方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁性ビーズを用いた、糖鎖又は糖ペプチドの新規な精製濃縮方法を提供する。
【解決手段】中性付近の水溶液中(25℃)で実質的に帯電しない親水性官能基(例えば、水酸基、アミド基)を持つ物質(例えば、セルロース、アガロース等の多糖類)で覆われた磁性ビーズを用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖鎖修飾解析や遊離糖鎖解析などの技術分野に属する。本発明は、磁性ビーズを用いた糖鎖又は糖ペプチドの精製濃縮方法に関するものである。
糖鎖や糖ペプチドを質量分析装置(MS)などで測定する際、不純物や夾雑物を除去する精製や濃縮といった前処理が一般に必要である。そのバッチ精製において、これまで結晶性セルロースやセファロースゲルなどの親水性の結晶性又はゲル状担体が用いられてきた。
具体的には、例えば、セファロースゲル担体を用いた糖鎖の精製濃縮は、次のような手順で行われる。
洗浄液(80%アセトリニリル/0.1%トリフルオロ酢酸)
溶出液(30%アセトニトリル)
例えば、ゲルの攪拌にはマルチシェーカー(1000rpm)、ゲルの沈降には卓上遠心機(12000rpm)が用いられる。
1)1.5mLチューブにセファロースゲルの懸濁液を15μL分注する。
2)500μLの溶出液を加え2分間攪拌後、2分間遠心しゲルを沈降させ、上清を除く。
3)500μLの洗浄液を加え手動で混合後、2分間遠心しゲルを沈降させ、上清を除く。この操作を計3回行う。
4)1mLの洗浄液と50μLの糖鎖サンプル溶液を加え、室温で45分間攪拌する。
5)2分間遠心しゲルを沈降させた後、上清を除く。
6)500μLの洗浄液を加え2分間攪拌後、2分間遠心しゲルを沈降させ、上清を除く。この操作を計3回行う。
7)200μLの溶出液を加え2分間攪拌後、室温で30分間、マルチシェーカー(1000rpm)にかけ溶出する。
8)2分間遠心しゲルを沈降させた後、200μLの上清を別のチューブに回収する。
9)Speed Vacで真空乾燥する。
上記のような従来のバッチ精製・濃縮方法では、例えば、生体由来などの微量でしか存在しない分子をターゲットとし、MS等で分析する場合、洗浄時に溶液が残ることにより不十分な洗浄となったり、不十分な溶出を惹起したり、逆に担体を吸い上げることによるサンプルロスのリスクがある。また、担体の精製サンプルへのコンタミネーションは、MSの感度を低下させてしまうことになる。
従来のバッチ精製・濃縮方法の問題点を改善すべく、磁性ビーズを用いた精製濃縮方法が報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
非特許文献1では、両性電荷を持った高分子で覆われた磁性ビーズを用いて、糖ペプチドの精製濃縮が行われている。非特許文献2では、カルボキシル基のような負の電荷を持った磁性ビーズを用いて、糖鎖の精製濃縮が行われている。磁性ビーズを用いることから、溶液交換時に遠心分離でゲルを沈降させる必要がなく、磁石を利用して壁面に磁性ビーズを集積させることができる。そのため、洗浄などの操作をスムーズに行うことができ、糖鎖・糖ペプチドなどの精製濃縮を早く簡便に行うことが期待される。
いずれの文献に記載の磁性ビーズも、中性付近で帯電している親水性官能基を持つ物質を有するものである。かかる荷電物質で覆われた磁性ビーズの場合、pH依存性があり、イオン性相互作用が強い。そのため、結果として、以下のような好ましくない特性が生じる可能性がある。
1)溶媒pHにより糖鎖・糖ペプチドの保持特性が変化し、回収効率がばらつく。
2)糖鎖・糖ペプチド以外のペプチド等不純物が混入する(特異性の低下)。
3)糖鎖・糖ペプチドの種類により回収効率がばらつく。
荷電物質は、試料分子の荷電している箇所(例えば、シアル酸部分やペプチドの酸性・塩基性部位)と強くイオン性相互作用するため、場合によっては糖鎖を持たない化合物であっても荷電物質と強く相互作用し、溶出液にペプチドが混入したり、中性の糖ペプチドと比較して酸性糖ペプチドが効率よく濃縮されるなど、糖ペプチドの中での濃縮バイアスがかかる可能性がある。
Chia−Hao Yeh et al, Magnetic bead−bases hydrophilic interaction liquid chromatography for glycopeptide enrichments, Journal of Chromatography A, 1224 (2012), p.70−78 Csaba Varadi et al, Rapid Magnetic Bead Based Sample Preparation for Automated and High Throughput N−Glycan Analysis of Therapeutic Antibodies, Analytical Chemistry, 86 (2014),p.5682−5687
本発明は、MS測定等における糖鎖又は糖ペプチドのサンプル前処理において、荷電物質で覆われた磁性ビーズを用いた場合の前記問題を克服した、糖鎖又は糖ペプチドの新規な精製濃縮方法を提供することを主な課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、中性付近の水溶液中(25℃)で実質的に帯電しない親水性官能基を持つ物質を有する磁性ビーズを用いることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明として、例えば、次のものを挙げることができる。
[1]中性付近の水溶液中(25℃)で実質的に帯電しない親水性官能基を持つ物質で覆われた磁性ビーズ(以下、これを単に「磁性ビーズ」ということがある。)を用いることを特徴とする、糖鎖又は糖ペプチドの精製濃縮方法。
[2]前記親水性官能基が、水酸基又はアミド基である、上記[1]に記載の精製濃縮方法。
[3]前記物質が、多糖類又はアミド基を有するポリマーである、上記[1]に記載の精製濃縮方法。
[4]前記多糖類が、セルロース、アガロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、又はアミロースである、上記[3]に記載の精製濃縮方法。
[5]前記糖ペプチドが、糖タンパク質をプロテアーゼで加水分解したものである、上記[1]〜[4]のいずれか一に記載の精製濃縮方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれか一に記載の精製濃縮方法により得られた糖鎖又は糖ペプチドを、糖分析手段により測定する方法。
[7]前記糖分析手段が質量分析装置である、上記[6]に記載の方法。
以下、本発明を詳述する。
本発明は、中性付近の水溶液中(25℃)で実質的に帯電しない親水性官能基(以下、「非電荷の親水性官能基」ともいう)を持つ物質で覆われた磁性ビーズを用いることを特徴とする。
I.磁性ビーズについて
本発明に係る「中性付近の水溶液中(25℃)で実質的に帯電しない親水性官能基を持つ物質」とは、非電荷の親水性官能基を持つ高分子(ポリマー)であって、糖鎖又は糖ペプチドと親和性を有し、親水性相互作用により糖鎖又は糖ペプチドと可逆的に結合しうる物質をいう。「中性付近」とは、例えば、pH6.0〜8.0やpH6.5〜7.5をいう。
「中性付近の水溶液中(25℃)で実質的に帯電しない親水性官能基」を、pKaを用いて定義すると、酸性の官能基、すなわちプロトンを放出しうる官能基の場合はpKaが6以上、逆に塩基性官能基の場合はpKbが6以上(共役酸のpKaに換算すると8以下)であることを指す。尚、四級アンモニウムは中性付近で帯電しているとみなし、ZIC−HILICのような両イオン性官能基も中性付近で帯電しているとみなす。
非電荷の親水性官能基としては、例えば、水酸基、アミド基を挙げることができる。このような非電荷の親水性官能基を持つ物質としては、例えば、多糖類、アミド基を有するポリマーを挙げることができる。かかる多糖類としては、例えば、セルロース、アガロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、アミロースを挙げることができる。この中、多糖類が好ましく、多糖類の中でも、セルロース、アガロース(セファロース)が特に好ましい。セルロース等の重合度ないし分子量や構造などは、糖鎖又は糖ペプチドの精製濃縮を行うのに適したものを適宜選択すればよい。
本発明に係る上記物質は、非電荷の親水性官能基のみを持ち、中性付近の水溶液中(25℃)で帯電する親水性官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基)を持たないことが最も好ましいが、当該物質の全親水性官能基の中、非電荷の親水性官能基が60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であれば、中性付近の水溶液中(25℃)で帯電する有電荷の親水性官能基を有していてもよい。
本発明に係る「磁性ビーズ」は、磁性物質からなる微粒子が上記のような非電荷の親水性官能基を持つ物質で覆われているものである。磁性物質としては、磁性体であれば特に制限はなく、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の金属、酸化鉄(II、III)、フェライト、マグネタイト、マグヘマイト、ヘマタイト、酸化ニッケル、コバルト鉄酸化物等の金属酸化物を挙げることができる。この中、酸化鉄が好ましい。
磁性物質からなる微粒子の形状としては、糖鎖又は糖ペプチドの精製濃縮という目的に支障のない形状であれば特に制限されないが、例えば、球状、針状、紡錘状、円柱状を挙げることができる。中でも、球状が好ましい。当該粒径も特に制限されないが、球状とみなした場合の粒子径としては、1nm〜500μmの範囲内が適当であり、10nm〜300μmの範囲内が好ましく、1μm〜200μmの範囲内がより好ましい。1nm未満であると、磁石等の磁力による引き寄せが難しくなり、500μmより大きいと表面積が低下することによる結合容量の低下や、ビーズ攪拌時に動きが制限されることによる不完全な吸着・洗浄となるおそれがある。
本発明に係る磁性ビーズとして、市販されている、タンパク質濃縮用、抗体精製用、又はリン酸化ペプチド濃縮用のセファロース磁性ビーズ(例、NHS Mag Sepharose(GEヘルスケア社製))も挙げることもできる。但し、NHS Mag Sepharoseのようにアミノ基と反応するN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を有する磁性ビーズを用いて、糖ペプチドを精製濃縮する場合には、NHS部分をトリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)等でブロックするか、精製濃縮する糖ペプチドのアミノ基を修飾するなどの工夫が必要となる。
II.糖鎖又は糖ペプチドについて
本発明により精製濃縮を行うことができる糖鎖、糖ペプチドの種類、鎖長、構造等は特に制限されない。糖がグリコシド結合によって直鎖状又は分枝鎖状につながったあらゆる糖鎖、糖とペプチドとが結合したあらゆる糖ペプチドを、本発明によって精製濃縮することができる。
また、合成されたものでも、糖タンパク質を適当なプロテアーゼ(例、トリプシン、Asp−N、Lys−C、Glu−Cのようなエンドプロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼのようなエキソペプチダーゼで消化されたものであってもよい。また、それらの混合物(例:プロナーゼ等)で消化されたものであってもよい。
本発明によって精製濃縮された糖鎖又は糖ペプチドは、適当な糖分析手段に供することができる。また、かかる糖分析手段によって、糖鎖又は糖ペプチドが精製濃縮されたかどうか確認することができる。かかる糖分析手段としては、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)−TOFMS等の質量分析法(MS)、高速液体クロマトグラム質量分析法(LC−MS)、キャピラリー電気泳動法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を挙げることができる。
本発明によれば、非電荷の親水性官能基(水酸基等)を持つ物質(例、セルロースやアガロース、アミド類)で覆われた磁性ビーズを用いて、糖鎖又は糖ペプチドを簡便迅速に精製濃縮することができる。また、担体を吸い上げることによるMS測定での感度低下を防ぎながら溶出液量を少なくすることができるため、サンプルロスも少なくすることができる。
また、本発明に係る磁性ビーズは、基本的に非電荷物質で覆われているため、イオン性相互作用が弱く、単純な親水性相互作用で糖鎖・糖ペプチドを保持する。従って、糖鎖を持たないペプチドは相互作用しにくく、また糖鎖の大部分を占める親水性部位(水酸基)を介して相互作用するため、糖鎖・糖ペプチドの種類による濃縮効率のばらつきも抑えうる。
糖ペプチドを得るのに用いた糖タンパク質(rhE−cadherin)の模式図である。 Asp−Nの消化により生成される糖ペプチド(配列番号1〜3)を表す。の下線は、糖鎖が結合している位置を示す。 マススペクトルを表す。上図は糖ペプチドサンプルを精製処理する前のスペクトルを、下図は糖ペプチドサンプルを精製処理した後のスペクトルを、それぞれ表す。丸マークは、糖鎖を含まないペプチドのピークを、菱形マークは、糖ペプチド(Pep1:配列番号1)のピークを、三角マークは、糖ペプチド(Pep3:配列番号3)のピークを、四角マークは、糖ペプチド(Pep3*:配列番号4)のピークを、それぞれ示す。
以下、本発明の実施方法について詳述する。
本発明は、基本的に、従来のゲル粒子の代わりに本発明に係る磁性ビーズを用い、それに伴い溶液の除去方法が異なる他は、従来のゲル粒子による方法と同様に実施することができる。
(1)サンプル溶液の調製
まず、精製濃縮を行う糖鎖又は糖ペプチドを含む混合物を用意する。これを高濃度の水溶性有機溶媒中に溶解し、サンプル溶液とする。高濃度の水溶性有機溶媒は、精製濃縮する糖鎖・糖ペプチドの種類等により適宜選択することができる。具体的には、例えば、80%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸溶液、ブタノール:エタノール:水=4:1:1(v/v)溶液を挙げることができる。
(2)磁性ビーズの洗浄
本発明に係る磁性ビーズを適当量取り、適当な容器(チューブ等)に入れる。これに溶出液となる低濃度の水溶性有機溶媒を加え洗浄し、磁石等で磁性ビーズを壁面に集めた上で、かかる洗浄液をピペット等で排出する。この操作を少なくとも1回行う。低濃度の水溶性有機溶媒は、精製濃縮する糖鎖・糖ペプチドの種類等により適宜選択することができる。具体的には、例えば、30%アセトニトリル、エタノール:水=1:1(v/v)溶液を挙げることができる。また、低濃度の水溶性有機溶媒の代わりに有機溶媒を含まない水溶液であってもよい。具体的には、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液または単なる水などを挙げることができる。
続いて、サンプル溶液の溶媒と同じ水溶性有機溶媒を加え洗浄し、磁石等で磁性ビーズを壁面に集めた上で、かかる洗浄液をピペット等で排出する。この操作を2〜5回程度、好ましくは3回程度行う。
(3)サンプル溶液の精製濃縮
洗浄した磁性ビーズにサンプル溶液を加え、磁性ビーズやサンプル溶液の種類、濃度等にもよるが、例えば室温で5〜30分程度混和する。混和後、磁石等で磁性ビーズを壁面に集めた上で、溶液をピペット等で排出する。
続いて、サンプル溶液の溶媒と同じ水溶性有機溶媒を加え洗浄し、磁石等で磁性ビーズを壁面に集めた上で、かかる洗浄液をピペット等で排出する。この操作を2〜5回程度、好ましくは3回程度行う。
十分に洗浄液を取り除いた後、溶出液を適当量加えて攪拌し磁性ビーズを十分に懸濁する。攪拌後、磁石等で磁性ビーズを壁面に集めた上で、溶出液を新しい適当な容器(チューブ等)へ移し、必要に応じて溶出液を留去することにより、糖鎖又は糖ペプチドを精製濃縮することができる。
溶液を除去する際に用いる磁石等は、特に制限されず、様々な形態や組成の永久磁石(例、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石)、電磁石などを用いることができる。また市販されている磁性ビーズ用のマグネットスタンドを用いることもできる。
本発明方法により精製濃縮を行った糖鎖又は糖ペプチドは、そのまま前記した糖分析手段に供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1] セファロース磁性ビーズを用いた、Recombinant Human(rh)E−cadherinの糖ペプチドの精製濃縮
1.精製処理前サンプルの調製
(1)電気泳動
rhE−cadherin(0.5mg/mL、Sino Biological Inc社製)をPBSで1,000ng/5μLに希釈後、還元Buffer(0.5M リン酸トリス(2−クロロエチル):TCEP;4μL + 1M Tris(pH9.0);6μL + 2×サンプルバッファー;190μL)5μLと混合した。75℃で20分間インキュベート後、マーカー5μLと共にサンプル全量を各ウェルにローディングした。15mAで100分間電気泳動後、CBB染色した。
(2)還元・アルキル化
ゲル中のrhE−cadherinのバンドを切り出し、チューブへ入れた。ゲルの入ったチューブに50mM NHHCO 150μLと100%アセトニトリル150μLを添加し、ボルテックスした後、4℃で45分間静置した。上清を取り除き、CBBの脱色後、100%アセトニトリル150μLを添加し、室温で10分間静置し、脱水した。上清を取り除き、Speed Vacで室温、10分間遠心乾燥した。 乾燥したゲルに10mMジチオトレイトール/50mM NHHCOを100μL添加し、37℃、1時間静置した。上清を取り除き、55mMヨードアセトアミド/50mM NHHCOを100μL添加し、暗所、室温、1時間静置した。上清を取り除いた後、50mM NHHCOを150μL添加して室温で10分間静置後、上清を取り除き、100%アセトニトリルを100μL添加して、室温で10分間静置することによりゲルを洗浄した。この洗浄操作をさらに2回繰り返した。上清を取り除き、Speed Vacで室温、10分間遠心乾燥させた。
(3)インゲル消化
ゲル中で還元、アルキル化された1,000ng rE−Cadherinに0.01%ProteaseMAX(promega社製)/5mM NHHCOに溶けているAsp−N(SIGMA−ALDRICH社製)を2μL(20ng)加えた。5分後、0.01%ProteaseMAX/5mM NHHCOを18μL加えて、37℃で2時間インキュベートした。ゲルの上清を新しい0.5mLチューブへ移した。
これをセファロース磁性ビーズによる精製処理前サンプルとした。
2,精製処理
(1)磁性ビーズの調製
NHS MAG SEPHAROSE(GE Healthcare社製)のNHS部分をTris(トリスヒドロキシメチルメタン)でブロックして、糖ペプチド精製用セファロース磁性ビーズを作製した。
<NHS部分のブロック>
・Blocking buffer A:32mM Tris−HCl,1M NaCl,pH8.0
40mMのTris−HCl(pH8.0)1.6mLと5M塩化ナトリウム0.4 mLを混合することにより調製した。
・Blocking buffer B:50mM Glycine−HCl,1M NaCl, pH3.0
1Mグリシン100μL、1N塩酸48.4μL、5M塩化ナトリウム400μL、及び水1451μLを混合することにより調製した。
NHS MAG SEPHAROSE 50μLを1.5mLチューブへ移し、上清を除き、1 mM塩酸500μLを加えて懸濁した。上清を除いた後、Blocking buffer Aを500μL加えて懸濁し、上清を除いた後、Blocking buffer Bを500μL加えて懸濁した。上清を除いた後、再びBlocking buffer Aを500μL加えて懸濁し、室温で15分間、転倒混和した。
次いで、上清を除いた後、Blocking buffer Bを500μL加えて懸濁し、上清を除いた後、Blocking buffer Aを500μL加えて懸濁し、上清を除いた後、再びBlocking buffer Bを500μL加えて懸濁した。
最後に、上清を除いた後、50mM NHHCO 50μLで3回洗浄し、50mM NHHCOを50μL加えて懸濁し、当該セファロース磁性ビーズのNHS部分をTrisでブロックした。これを4℃で保存した。
(2)精製処理後サンプルの調製
残った消化物溶液の溶媒組成を80%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸とした。
上記作製した糖ペプチド精製用セファロース磁性ビーズを用いて、次のような手順で目的の糖ペプチドの精製濃縮処理を行った。溶液を除去する時は、マグネットスタンドを使用した。
洗浄液(80%アセトリニリル/0.1%トリフルオロ酢酸)
溶出液(30%アセトニトリル)
1)セファロース磁性ビーズを5μL取り、0.2mLチューブへ入れた。
2)セファロース磁性ビーズを溶出液100μLで1回洗浄した。
3)続いて、セファロース磁性ビーズを洗浄液100μLで3回洗浄した。
4)サンプル溶液をセファロース磁性ビーズ入りチューブへ全量加えて、室温で10分間、マイクロチューブローテーター(アズワン社製)で転倒混和させた。
5)混和後、セファロース磁性ビーズを洗浄液100μLで3回洗浄した。
6)完全に上清を取り除いた後、溶出液を4μL加えてビーズを完全に懸濁した。10回ピペッティングした後、上清の溶出液を新しい0.2mLチューブへ移した。
これをセファロース磁性ビーズによる精製処理後サンプルとした。
(3)精製効果の確認
セファロース磁性ビーズによる精製処理前と処理後のサンプル1μLと液体マトリックス(3−アミノキノリン/クマリン酸 in 2mMリン酸二水素アンモニウム/50%アセトニトリル)0.5μLを900μFocus target plate上で混合した後、AXIMA−Resonance(島津製作所社製)を用いて、positive high mass modeにてMALDI−TOF MS測定を行った。その結果を図3に示す。
図3の上図に示す通り、本発明による精製濃縮処理を行う前では、糖鎖のないペプチド(非目的ペプチド)しか観測されなかった。一方、図3の下図に示す通り、本発明による精製濃縮処理を行うと、糖鎖のないペプチドは観測されず、目的とする糖ペプチドのみ観測された。
なお、予想された糖ペプチドが観測されず(Pep2:配列番号2)、逆に予想していない糖ペプチドが観測されたが(Pep3*:配列番号4)、これは何らかの理由で消化ミスが起こったためと考えられる。
本発明は、糖鎖又は糖ペプチドを質量分析装置等で測定するに際して、その前処理である精製濃縮処理を簡便にし、液量を減らして微量処理が可能であるから、糖鎖又は糖ペプチドの機器分析において有用である。
配列番号1〜4:rh E−cadherinのAsp−N消化物

Claims (7)

  1. 中性付近の水溶液中(25℃)で実質的に帯電しない親水性官能基を持つ物質で覆われた磁性ビーズを用いることを特徴とする、糖鎖又は糖ペプチドの精製濃縮方法。
  2. 前記親水性官能基が、水酸基又はアミド基である、請求項1に記載の精製濃縮方法。
  3. 前記物質が、多糖類又はアミド基を有するポリマーである、請求項1に記載の精製濃縮方法。
  4. 前記多糖類が、セルロース、アガロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、又はアミロースである、請求項3に記載の精製濃縮方法。
  5. 前記糖ペプチドが、糖タンパク質をプロテアーゼで加水分解したものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の精製濃縮方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の精製濃縮方法により得られた糖鎖又は糖ペプチドを、糖分析手段により分析する方法。
  7. 前記糖分析手段が質量分析装置である、請求項6に記載の方法。

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