図1は前述した大容量泡放水システムにおけるホースや管類を接続する接続継手として使用する一対の結合金具の側面図であり、図2はその一対の結合金具の結合部が結合した状態の説明図である。
一対の結合金具100は前後反転した同一の構造としてなり、しかも、後述する結合部110を雌雄の区別のない同一の構造としている。各結合金具100はそれぞれが略円筒状の管状部材からなる結合金具本体101を備える。結合金具本体101は例えばアルミニウム合金やチタン合金等の金属材料で鍛造や引抜または押出等によって概略形状に作り、この物を切削加工等によって仕上げ加工することで一体に作られている。通常の鋳物等の鋳造品は一般に伸びが小さく靱性が乏しいので不適な場合が多い。したがって本実施形態での結合金具本体101は通常の鋳物等の鋳造品を使用しなかった。
図1に示すように結合金具本体101はその管状部内空間を該結合金具本体101の中心軸Oに沿う流体通路102としている。結合金具本体101の軸方向の一端部(結合部110を前方としたときの後方側に位置する端部)の外周には凹凸が形成され、この部分はホース類を取り付けるための装着部103となっている。この装着部103にホース類を取り付ける場合はホース類を装着部103に被嵌した上で該ホース類をバインディング(図示せず)等で締め付けて固定的に取り付ける。
また、結合金具本体101の他端部つまり結合する相手の結合部に向き合う前方側に位置する端部の外周面には略円筒状の結合部本体105が被嵌する状態で取り付けられている。この結合部本体105の材料も前記結合金具本体101の材質と同様、例えばアルミニウム合金等の金属材料が用いられ、結合金具本体101は一体に作られている。また、結合部本体105は後述する結合部110の部分を含めて、例えばアルミニウム合金やチタン合金等の金属材料で鍛造や引抜または押出等によって概略形状に作り、この物を切削加工等によって仕上げ加工することで一体に作られている。
通常の鋳物等の鋳造品は一般に伸びが小さく靱性が乏しいので不適な場合が多いので結合金具本体101の場合と同様、この結合部本体105にも、通常の鋳物等の鋳造品を使用しなかった。また、後述する変形部や結合部等の機能を考慮すると、それら結合金具本体101及び結合部本体105、特に結合部本体105の材料は伸びが10%以上であることが好ましい。そこで、本実施形態での結合金具本体101及び結合部本体105の材料は、JIS H 4140-1988「アルミニウム又はアルミニウム合金鍛造品」のA5056TEを使用しており、その実測値は引張強さ321N/mm2、伸び22%である。
また、結合部本体105の後方側(結合相手の結合金具が位置する側とは逆向き側)に位置するところの後端部は結合金具本体101に取り付けるための取付け部となる。この取付け部の後端部内周には雌ねじ部106が形成されている。この雌ねじ部106に対応して結合金具本体101の中途部外周には雄ねじ部107が形成されている。そして、雌ねじ部106を雄ねじ部107に螺合することにより結合部本体105は結合金具本体101に固定的に取り付けられる。
ここで、雌ねじ部106は結合部本体105の他の内面よりも僅かに内方へ突き出して形成した突縁部108の内面に形成される。また、この突縁部108に対応位置する結合金具本体101における外周部分は、該突縁部108が内方へ突き出した分、小径に形成され、これにより結合金具本体101の外周部分には段部109が形成されている。そして、この段部109の底面に前記雄ねじ部107が形成される。したがって、図1に示すように結合金具本体101の雄ねじ部107に結合部本体105の雌ねじ部106を螺合した取り付け位置で結合部本体105の突縁部108は結合金具本体101における段部109の立上がり壁に突き当たり、結合金具本体101に対する結合部本体105の軸方向の位置決めと同時に前方への移動が規制されている。
なお、結合金具本体101に対してその軸方向の位置を規制できれば、結合部本体105は結合金具本体101の軸周りに回転が可能な取付け方式でもよい。また、一定範囲で周方向へ移動可能な状態で取り付けてもよい。本発明に係る説明において、結合金具本体等の用語において、金具という語句を含めた名称を用いているが、その金具という語句は、金属材料に特定することを意味しない。本発明に係る説明において、金具の語句は機能的意味において使用しており、金属以外の材料であっても、強度等の特性において使用可能であれば、金属以外の材料、例えば繊維補強樹脂等の複合材等も含む。
前記一対の結合部本体105の前端部にはいずれも結合部110が形成される。この結合部110は雌雄の区別のない同一構造になって互いに相補形の構造になっており、また、結合部110はそれぞれの結合部本体105と一体に形成されている。本実施形態では結合部本体105と結合部110とが一体であるが、両者を別部材でそれぞれ構成して両者を連結するように構成した構造であってもよい。
そして、図1に示すように前記結合部110は結合部本体105の前端部にその周方向へ等間隔で複数例えば12個の嵌合突部111を一体に突設し、嵌合突部111の間を嵌合凹部112としている。したがって、嵌合突部111と嵌合凹部112の組が30°の範囲に設けられ、全周に12組のものが配置されている。
また、一対の結合金具100を互いに軸方向において衝合させた場合、一方の結合部本体105の嵌合突部111が結合相手の結合部本体105における嵌合凹部112内に嵌合し、また、結合相手の結合部本体105における嵌合突部111が結合部本体105の嵌合凹部112内に嵌合して互いに相補的に嵌合する。ただし、嵌合凹部112の周方向の幅は同じ位置での嵌合突部111の幅よりもやや広く形成されている。したがって、これら嵌合突部111は相手の嵌合凹部112内において図2に示すように所定の量(G2)だけ周方向への回動が可能である。
図2に示されるように、嵌合突部111の周方向の一方側に位置する側面111aは結合部本体105の軸方向に略平行な面として形成され、また、嵌合突部111の前記周方向の他方側に位置する側面111bは結合部本体105の軸方向に対して嵌合突部111の先が狭くなるように傾斜する。各嵌合突部111はその先端側ほど周方向の幅が狭くなる勾配を片側面に形成する。また、嵌合凹部112はこれに嵌合する嵌合突部111の形状に合わせてその奥部に行くに従って周方向の幅が狭くなる。
また、図2に示すように、嵌合突部111と結合相手の嵌合凹部112が嵌り合う状態において前記嵌合突部111の先端面と嵌合凹部112の奥壁面との間には間隙G1が形成される。したがって、後述する如く、係止鉤部113がオーバーハング状に傾斜させても、それら係止鉤部113同士を係脱させ易い。
また、前述したように前記嵌合突部111の背面と嵌合凹部112の背面との間にも間隙G2が形成されている。このため、後述する係止鉤部113が互いに噛み合う状態と、その係合を外せる後退位置との距離を確保できる。また、嵌合突部111と嵌合凹部112とは係止鉤部113が互いに係合する位置以上に軸方向へ進入させることと軸まわりの回転ができる。したがって係止鉤部113相互の係合及び離脱の操作が可能となる。
図2に示すように、各嵌合突部111の一方(結合部本体105の軸方向と略平行に形成されている方)の側面111aには段形鉤状の係止鉤部113が形成されている。これらの係止鉤部113は嵌合突部111が相手側の嵌合凹部112内に奥まで嵌合させて結合部本体105を互いに周方向へ回動させたときに係脱できる。つまり、一対の係止鉤部113を近接させることで対応する係止鉤部113同士が互いに周方向において噛み合って図2に示すように係止する。そして、軸方向において互いに引き離される向きに外れないように結合部110同士が結合する。
また、図2に示す如く、前記係止鉤部113の係止面113aは結合部本体105の周方向に対して所定の角度だけオーバーハング状に傾斜しており、このように係止面113aを傾斜させることで、一対の係止鉤部113同士が係合した状態での噛み合いの係合力が高まる。
そして、送水使用時、結合した一対の結合金具100における各結合金具本体101には移送水の水圧等により互いに引き離される向きの軸方向の荷重が加わる。この軸方向の引張り荷重は結合金具本体101から結合部本体105に伝わり、更に互いに係止し合う係止鉤部113に伝わる。そして係止面113aが所定の角度だけオーバーハング状に傾斜しているので互いに深く係止し合う向きの周方向への回転力を発生させる。この回転力によって、係止鉤部113相互はより一層強く係合するとともに結合した一対の結合部本体105の抜けや外れ等を防止する。
また、図2に示すように、各係止鉤部113の根元部には応力集中を防止するための丸みのある切欠き孔(湾曲部)115が形成され、この切欠き孔115の開口領域は後述する流体噴出機能を奏する流体噴出口116となる。
なお、嵌合突部111の先端角部も円弧状に形成され、この円弧状の部分は嵌合凹部112と嵌合する際のガイド部117となる。また、嵌合凹部112の根元部分も同様に円弧状の丸み118を形成している。これらのガイド部117及び丸み118は嵌合突部111と嵌合凹部112が嵌合する際に互いに当接して嵌合する際に嵌合突部111と嵌合凹部112の噛み合わせをガイドする機能を有する。また、ガイド部117及び丸み118は各係止鉤部113の根元部における応力集中を防ぎ、係止鉤部113を含む嵌合突部111や嵌合凹部112を備える結合部110の強度を高める。
また、嵌合突部111の他方の傾斜した側面111bの部位には後述する付勢機構120が設けられている。この付勢機構120では図2に示すように円筒形のケース部材124内に突没自在に収容された付勢部材たとえば鋼球125と、この鋼球125に突き出す方向の付勢力を与えるためのスプリング126とを備えて、いわゆるボールプランジャーを構成している。また、鋼球125の一部は側面111bから突き出すように配置される。したがって、図3(a)に示すように嵌合突部111が相手側の嵌合凹部112内に嵌め込む際には鋼球125が互いに当接して押圧し合う。このため、嵌合突部111同士が互いに離反する向きに付勢される。
この結果、嵌合突部111の一方の側面111a同士を互いに近接さる向きに嵌合突部111をそれぞれ付勢し、この付勢力で各係止鉤部113を図3(b)に示すように係合させる状態に維持する。また、付勢機構120は嵌合突部111をそれぞれ反発する向きに付勢しているので、結合金具100同士を結合させる際には係止鉤部113を係合する状態まで誘導する作用も発揮する。そして、付勢機構120による付勢力は係止鉤部113同士が係合した後もその係止鉤部113同士をその係合状態に維持する。
一方、図1に示すように、前記結合金具本体101の前端部分にはシールリング部131が結合金具本体101の部材と一体に形成される。このシールリング部131にはシール部材用嵌込み溝132が形成されている。シール部材用嵌込み溝132は軸方向の前方へ向いて開口しており、また、結合金具本体101の軸に対して同心状に配置されている。
本形態では、結合金具本体101とシールリング部131とを一体に形成したが、別部材のシール部材用取付け部材を結合金具本体101に取り付け、この取付け部材に前記シール部材用嵌込み溝132を形成する構成としてもよい。
前記シール部材用嵌込み溝132には弾性材料からなる環状のシール部材133が取り付けられている。ここでのシール部材133はリップシールタイプのものである。シール部材133の一部である基部133aを嵌込み溝132に差し込んでシール部材133を嵌め込むことで取り付けられる。また、シール部材133は図6Aに示されるように基部133aから前方へ伸びて内方へ向けて屈曲したリップ状先端部133bを有する。シール部材133はそのリップ状先端部133bの前方に向く面を結合相手の結合金具のリップ状先端部133bに向き合う接触面(衝合面)133cとしている。
リップ状先端部133bの接触面133cは径方向の内側がより前方へ突き出すように傾斜したテーパ状に形成されている(図6Dはフリーな状態での形を示している。)。そして、結合金具100を結合させる前のフリーな状態では、接触面133cの内方側がより前方へ突き出すように傾斜したテーパ状にある。このため、図6Aに示す一対の結合金具100を結合した状態では接触面133bの先端付近のみが衝合し、かつその最先端付近(径方向の内側)が一番強く互いに押し当たる。図6Aに示すところのリップ状先端部133bの状態が一対の結合金具100の組み付け位置となり、また、流体移送前の状態である。
また、流体移送時はリップ状先端部133bにその内側から流体の圧力(例えば1.3MPa)が加わるので、リップ状先端部133bは図6Bに示す如く外向きに押されて弾性的に変形し、流体圧力に応じて接触面133c同士を強く全面的に衝合させる状態となってシール性が高まる。リップ状先端部133bが閉止状態にあるとき、そのリップ状先端部133bの頂部付近(径方向の内側)の接触面133cが一番強い面圧で互いに接触し合い、リップ状先端部133bの間から外へ流れ出る流体の漏れを防止する。
また、図6Aに示すように、嵌込み溝132の開口縁はリップ状先端部133bが内側へ向けて屈曲する部分に対応している内側領域部分が結合金具本体の外周領域部分に比べて後退している。これによって、リップ状先端部133bが内側へ屈曲するための空間領域を確保し、更に嵌込み溝132の開口縁の外側領域部分でリップ状先端部133aの腰部を受け止める受止め部132cを形成する。
また、嵌込み溝132の開口端周縁にはその開口部中央に向けて突き出す突部132dが形成されている。この突部132dは嵌込み溝132に嵌め込んだシール部材133の基部133aが抜け出ないように阻止するためのものである。突部132dは嵌込み溝132の開口周縁に部分的に設けても開口周縁の全周にわたり環状に形成してもよい。
ところで、一方の結合金具100のシール部材133は結合相手の他方の結合金具100のシール部材133を弁体とみれば弁座となり、他方のシール部材133を弁座と見れば弁体となる関係にある。つまり、各シール部材133は互いに安全弁の弁体と弁座の相補な関係にある。各シール部材133は同一形状であってこれらのシール部材133を互いに突き合わせる弁構造の安全弁134となる。また、シールリング部131とシール部材133が一体的になってそれら両者が弁体または弁座になるという関係と見做すことができる。各シール部材133は一対の結合金具100が互いに結合するときのシール部でもある。
また、一対のシール部材133を前記結合部110との関係で見ると、それらシール部材133の接触面(シール面)133c同士が突き当る衝合位置は、図2に示される如く、嵌合突部111及び嵌合凹部112の途中である嵌合部位の中間に位置する。しかも、この位置は係止鉤部113の係止面133aの係止領域の中央となる。つまり、図2に示す如く、互いに係合した一対の係止鉤部113の中央部と互いに接触するシール部材133の接触面133cの衝合面とが一致する。また、一対の係止鉤部113の係合した部分は一対の係止鉤部113の切欠き孔(湾曲部)115によって形成する一対の流体噴出口116の中間に位置する。更に、各シール部材133の接触面133cが衝合する面が嵌合突部111の背面と嵌合凹部112の背面との間に形成される間隙G2も横切る位置になる。
また、この間隙G2には付勢機構120の鋼球125が位置しているが、移送する流体の圧力が異常で過大な高圧になり、リーク路138から圧力流体が外へ放出されるときに鋼球125は放出される流体の勢い(主に動圧)によってスプリング126の付勢力に抗してケース部材124内に押し込まれるため、間隙G2の部分に流体噴出口の有効領域を確保できる。この様に間隙G2の部分にも比較的大きな流体噴出口を出現させることが可能である(図5参照)。
また、図1に示すように、結合部本体105における中途部には、異常で過大な軸方向の引張り力が加わった際に軸方向へ所定量伸びる変形部135が設けられている。この変形部135は係止鉤部113を備えた結合部110と、結合部本体105の雌ねじ部106との間に位置する領域に結合部本体105と一体に形成されている。すなわち、この変形部135は、結合部本体105の他の部分よりも軸方向への引っ張り力に対する強度が相対的に弱く、軸方向への引っ張り力を受けると、結合部本体105の他の部分よりも先に軸方向へ伸びる領域である。そして変形部135は軸方向へ伸びることで結合部本体105の全体長さを軸方向へ伸ばす部位である。
また、変形部135においてこれに使用する材料の伸び特性や厚み等の形態が同じであるならば、その変形部135の軸方向(スラスト方向)長さが長い程、軸方向への引っ張り力を受けたときの伸び量も長くなる。これらを考慮して変形部135の形状や軸方向の長さ等の形態を適宜設定する。
また、変形部135を結合部本体105の一部分に形成する場合に限らず、結合部本体105の全長を利用する形態でも構わない。
次に、この形態の変形部135をより具体的に説明する。変形部135は結合金具本体101に対する取付け部としての雌ねじ部106を形成した部分つまり結合部本体105の後端部と、結合部110を形成した結合部本体105の前端部との間の領域であって、結合部本体105の途中部分の壁部を利用して形成する。つまり、図1に示すように、変形部135は結合部本体105の途中部分の外周壁に全周した環状溝136を形成し、この環状溝136の部分を結合部本体105の他の部分よりも比較的薄い壁部とする。この肉厚が薄い部分に複数の長孔137を切欠き形成して変形部135を構成するようにした。これらの長孔137は結合金具本体101の中心軸に対して同じ向きで平行に傾斜し、周方向にわたり等間隔で配設されている。各長孔137は多条の螺旋状に左ねじの方向に配列される。
そして、変形部135は軸方向への通常以上の強い軸方向の引っ張り力が加えられると、結合金具の軸方向へ伸びる。つまり、変形部135に軸方向への異常で過大な強さの引っ張り力が加わると、斜めに配置した各長孔137の間に残る帯状の板部分が結合金具本体101や他の結合部本体105の部分よりも先に曲がり始めて変形部135全体を軸方向に伸ばす。結合部本体105の後端部分は結合金具本体101に対して固定されているので、前方に位置する結合部110の方へ結合部本体105が伸び、その結合部本体105の前端側が結合金具本体101に対して軸方向へ相対的に前進する。
変形部135を形成する長孔137が傾斜する向きは左ねじ螺旋方向に傾斜しているのでその変形部135が軸方向へ伸びる際に結合部本体105を右方向へ回転させる付勢力を発生する。この回転付勢力は結合部本体105の係止鉤部113が相手側の係止鉤部113に対してより深く噛み合う向きの力である。したがって、変形部135が伸びると、係止鉤部113同士の係合を維持する作用が現れる。このため、変形部135は結合部本体105を軸方向へ伸長させる機能と同時に結合金具100の係止鉤部113同士の係合保持力を高める作用を奏する。
次に、この形態の結合金具100を使用したときの作用について説明する。まず、一対の結合金具100を結合させるために、各結合金具100の結合部105同士を図1に示すように同軸上で向き合わせて嵌合突部111を係合相手の嵌合凹部112に差し込むようにする。すると、図3(a)に示すように嵌合突部111と嵌合凹部112が互いに噛み合い、同時に付勢機構120の鋼球125が互いに突き当たって押し合って各嵌合突部111を周方向の反対向きに付勢する。このため、結合金具100を周方向へ回転させる操作を積極的に行うまでもなく、係止鉤部113同士が互いに係合する図3(b)に示す状態に誘導される。なお、結合金具100が特に大型の場合には操作者がその結合金具100を周方向に回転操作させて係止鉤部113同士が係合する動きを補助することが好ましい。
本形態では、結合部本体105を結合金具本体101に固定した形態であるので、結合部本体105のみを独立して回転させることができない。しかし、結合部本体105を結合金具本体101に回転自在に取り付ける構造とした場合には結合部本体105のみを回転して一対の結合金具100を連結できる。
ところで、図2に示す如く、一対の結合金具100を結合した状態では一対の結合金具100の各々のシール部材133が互いに当接している。具体的には図6Aに示すように各シール部材133のリップ状先端部133bにおける頂部が互いに当接して押し合う状態にある。そして流体を移送する通常時の内部圧力(流体圧力)の範囲では図6Bに示すように各リップ状先端部133bが内側からその圧力によって外向きに押されるため、シール用接触面133cが全面的に当接してシール部材133の間をより強く閉塞するシール状態となる。
前述した如く、送水ラインの途中に設けたバルブ操作やポンプ間の連携不足等の種々の原因によって送水ライン中にウォーターハンマー等が発生する場合があるが、送水ライン中に異常で過大な圧力が発生すると、その異常で過大な圧力を受けて結合金具100は安全弁の機能を作動させる。
ところで、結合金具の使用圧(常用最大使用圧力のことであり、これは通常金具に表示されている。以下、本説明は省略する。)と、本発明で想定する異常で過大な圧力値との関係はその結合金具を使用するシステムに応じて相違する。大容量泡放水システムにおけるホースや管類を接続する接続継手として使用する場合、一般的に流体移送時の流体通路102内の使用圧(流体圧力)は1.0〜1.6MPa程度であり、試験圧力は1.5〜2.4MPa程度である。なお、一般的に試験圧力は使用圧の1.5倍〜2倍程度であり、本発明で想定する異常で過大な圧力値は使用圧の3倍〜4倍程度(試験圧力の2倍程度)を想定している。
本発明の結合金具について試験した後述の実施例の場合は、大容量泡放水システムにおけるホースや管類を接続する接続継手として使用しており、呼称300mm結合金具の使用圧は1.3MPaであり、試験圧力は使用圧の1.5倍強(2.0MPa)である。なお、本ホース体の破断圧力は使用圧の2.5倍弱(3.0MPa)であり、本結合金具の安全弁機能における異常で過大な圧力値については使用圧の3.0倍程度(3.9MPa)で設定した。ホースの破断圧力に対して0.9MPaもの大きな余裕を設けた理由は、結合金具が破壊して金具が飛ぶという最悪の事態が迫っていないのに、安全弁機能が作動して本金具の変形部135または140が塑性変形してしまう事態を避けるためである。
次に、結合金具100の安全弁機能の具体的な作動について説明する。一対の結合金具100を接続したときのシール部材133は図6Aに示す状態にある。また、流体移送時は図6Bに示す状態になり、接触面133cの内方先端付近が一番強く、その接触面133cの略全体が押し当たる状態になる。そして移送流体の圧力に応じてシール部材133の間の押し当て力が相応に高まる。
何らかの原因で流体通路102内の圧力(流体圧力)値が極端に高まり、一定以上の異常で過大な圧力になると、その圧力に応じて一対の結合金具100には引き離す引張力が強くなる。この軸方向の引張力は結合金具本体101から結合部本体105の変形部135及び結合部110まで全体に伝わる。
この結果、最も変形し易い変形部135が最初に軸方向へ引き伸ばされる。つまり、変形部135における長孔137の間に形成される帯状の板部分が曲がりながらその板部分の傾きが結合部本体105の軸線方向に近づく形で変形する(図4参照)。このとき、変形部135が優先的に軸方向へ引き伸ばされる様に設計しており、この変形部135以外の他の部位は引っ張り荷重を受けてもほとんど伸びない。なお、長孔137を斜めに形成することにより、その帯状の板部分が曲げと引張の両方向の応力を受けて変形し易くしている。そして、変形部135は全体的に軸方向へ伸び、この伸びにより結合部本体105の全長を軸方向へ伸長させる。
このように流体通路102内での流体圧が一定以上の異常で過大な圧力になると、変形部135は軸方向へ伸びる。一方、シール部材133を保持した結合金具本体101の方は伸びない。したがって、結合金具本体101の前端部に位置するシール部材133は結合部110に対して相対的に後退し、図2に示すシール状態から図5に示す開放状態に位置に変わる。つまり、シール部材133はいずれも結合部110に対して相対的に後退する。(なお、見方を変えると、結合部110の係止部分はそのシール部材133に対して相対的に前進したことになる。)
このときのシール部材133の後退量Rは変形部135の軸方向への伸び量に対応する(図5参照)。そして、一対の結合金具本体101の各シール部材133が互いに離反してその間に生じる間隙によってリーク路138を形成する。一対の結合金具100は同じ構造の形態であるのでそれぞれの後退量Rは一致し、一対の結合金具100におけるシール部材133が相対的に離間した距離Lはそれぞれの後退量Rの和となる。
そして、異常で過大な流体圧力が発生したときにシール部材133の間には2Rの幅(L)のリーク路138が出現し、このリーク路138は結合金具本体101の流体通路102に連通する。そして流体通路102内の異常で過大な高圧流体はそのリーク路138から後述する流体放出路を通じて結合金具100の外へ放出される。
この際、各シール部材133のリップ状先端部133bはリーク路138を経て放出される水流の勢いで捲れ、図6Cに示す形になることが多い。この場合もリップ状先端部133bの間に形成される隙間によってリーク路138を形成し続け、異常で過大な高圧流体が残存する限り、その高圧流体を結合金具100の外へ放出する。高圧流体がリーク路138を通じて結合金具100の外へ流出すると、流体通路102内の流体圧が急激に低下する。そして異常で過大な圧力が瞬時に使用圧以下に低下して、異常で過大な圧力が解消され、それ以上に高まることがない。
上述したように流体通路102内の流体圧が異常で過大な圧力になると、安全弁機能部134が開き、流体通路102の高圧流体がリーク路138を通じて外へ流出し、流体通路102内での流体圧力を低下させる。このため、結合部110等が破損したり損傷したりすることがない。また、一対の結合金具100は結合状態を維持する。
そして、前記変形部135は流体通路102内の流体が異常で過大な高圧状態になったときに前記結合部110による結合相手との結合を維持している段階で優先的に伸びて各シール部材133の間にリーク路138を形成するため、安全弁機能部134が安全弁(圧力弁)としての機能を発揮する。そして結合部110等の結合状態の破断による金具離脱の危険を未然に防止することができる。
ところで、本形態では図5に示すようにリーク路138から流体通路102内の高圧流体が外へ流出するとき、相対した2つのシール部材133の先端(弁体・弁座面)の離反距離は1つのシール部材133についてのリフト量の2倍となる。
そこで、本形態では結合部本体105の変形部135の伸びの特性を、前記シール部材133の弁体・弁座(シール面)が相手側のシール部材133の弁体・弁座(シール面)から離反する全リフト量が、該結合金具100の流体流路102の最少内径の1/100以上となるまで結合部110の結合が破断せずに変形部135が軸方向へ伸びるように設定した。これは弁体・弁座面でのリーク路138の流路面積(カーテン面積)が、この結合金具100に接続するホースや配管類の流路面積の4%以上と云うことを意味する。
なお、後述する結合金具について試験した実施例の場合、図19のグラフより「破断せずに使用できる範囲の荷重である440kN(使用圧の約4.6倍)を加えた時、シールリングが約5.9mmリフトすることを確認でき、このリフト量は流体通路102の最小内径(図12参照)275mmの2.1/100である(5.9/275=0.0214)」ことを確認した。
一方、JIS B 8210-2009に規定される「揚程式安全弁」ではリフトが1/40以上であることが規定されており、このリフトが1/40と云うのは弁座流路面積(カーテン面積)がここでの結合金具100に接続するホースや配管類の流路面積(弁座部面積)の10%以上であることを意味する。よって、単独での警報用安全弁の放出面積は前述したJIS揚程式安全弁の2/5ということになる。このリーク路138の流路面積(カーテン面積)だけを考えれば、本形態での警報用安全弁が3組作動すれば、JIS揚程式安全弁以上の放出面積を確保できる。
本形態ではいずれのシール部材133(弁部材)も移動するので片方のシール部材133での弁部材のリフト量は0.5/100ということになり、2つ合わせて1/100のリフト量を確保する。
下述する結合金具について試験した実施例の場合、リップシールタイプのシール部材(パッキンリング)同士を互いに突き合わせてシールする形式としたが、このリップシールタイプのシール部材は流体圧力が非常に低いときには内圧によるシール部材(パッキンリング)同士の押し付け力があまり期待できないので金具結合時のパッキン位置を「シール部材同士が弁体・弁座口の径の0.7〜1/100程度で互いに押し付け合う位置」(呼称150〜400mm金具の場合)で設計する。
よって、安全弁134のリフトが1/100以上になると、シール部材133同士が互いに押し付け合っておらず、この状態で、異常で過大な高圧流体による内圧が加わった状態では各シール部材133がこの位置で図6Cに示すように実際に有効な隙間が流体通路102の最小内径の0.5/100以上(つまり流体がシール部から実際に放出されるカーテン面積が流体通路102の最小面積の2%以上)となる。
この内圧によるシール部材133の反転現象は、各シール部材133同士の押し付けがなくなって隙間ができるまで発生しないのではなく、試験圧力を超えるような高圧の場合には金具結合時の各シール部材133が押し付け位置(弁座口の径の0.7〜1/100程度)の半分程度になると反転する。ここでの各シール部材133の押し付け位置とは各シール部材が変形しない接触位置を越えて互いに変形した位置を意味する。
本形態では、流体圧力が異常に上昇して変形部135が軸方向へ伸びて、シール部材133が軸方向にリフトし、シール部材133によるシール部分から流体が結合金具の外へ放出されるとき、本結合金具の外へ放出されるリーク路138の面積を、本結合金具の流路通路102の最小面積の1%以上とすることができる。
普通の安全弁を使用する場合には、一般的に一つの安全弁で異常圧力を放出するようにするが、上述した大容量泡放水システムの場合のような大掛かりなシステムでは結合金具は最低でも10組の結合金具を用いるので、その場合はそれら全部の結合金具を安全弁機能付き結合金具とし、それらが圧力を放出する安全弁機能を発揮するようにする。このようにすれば、前記JIS B 8210揚程式安全弁の「弁体が開いた時の流路面積の中で弁座流路面積(カーテン面積)が最小となり、安全弁のリフトが1/40以上」という「実際の放出面積が弁座面積の10%以上」という意味の要求を満たす。この場合の警報用安全弁機能付き結合金具の個々に対する要求はその1/10とした(本結合金具10組合計で前記JIS揚程式安全弁の要求と同じになる。)。なお、JISでは警報用安全弁に対する放水量の定めがない。
本形態での変形部135の場合は通常の圧力では極僅かな弾性変形での伸びを示すだけであり、設定した高い異常で過剰な圧力を超えるまで殆ど伸びない。設定した高い異常で過剰な圧力を超えるまではシール部材同士が突き当たり圧力流体の漏れを阻止している。設定した高い異常で過剰な圧力になると、その変形部135の塑性変形が始まって伸びる(変形部135は一旦大きく伸びると、その後は元に戻らなくともよい。)。そして流体通路102内における流体圧が異常で過剰な高圧になったときに図5に示すようにシール部材133の間が開き、リーク路138を形成する。このリーク路138の領域に係止鉤部113の切欠き孔115によって形成される流体噴出口116の部分が位置する。つまり、リーク路138の領域の一部と流体噴出口116の領域の一部が重なり合う。このため、リーク路138から流出する高圧流体はそのリーク路138から流体噴出口116を直線的に経て外まで勢いよく放出される。したがって、流体噴出口116を経て直線的に外へ流出する流体はその噴出途中で余計な抵抗を極力受けることなく結合金具の外へ噴出する。高くまたは遠くまで勢いよく飛ぶようにリーク流体を放出させることができるので放出する流体により異常事態を明確に顕在化する。よって、異常事態の識別力が高まり、これを見ての監視者や操作者等による異常事態の把握が容易になる。
また、係止鉤部113を設けた場所以外の結合部における嵌合隙間からも流体を放出する。特に嵌合突部111の側面で付勢機構120の鋼球125を配置した間隙G2の部分では比較的大きく開口しており、この間隙G2の開口領域にリーク路138が位置しているので、この領域(流体噴出口)からも流体を飛ぶように放出させることができる。また、鋼球125は流体が噴出する際、高圧流体の放出流の勢いで図5に示す状態まで沈み込むので鋼球125は高圧流体の放出を大きく阻害せず、その部分に大きな流体噴出口を形成できる。
また、結合部110は結合部本体105の前方端部に嵌合突部111と嵌合凹部112を形成しており、この結合部110の内面は少なくともその基端部側部分が結合金具本体101の外面に密着するように接して被嵌しているので結合部110の内面と結合金具本体101の外面との間はスムーズな操作に必要な隙間だけである。このため、結合部110の基端部側部分の内面と結合金具本体101の外面との間から流体が大量に放出することはない。基礎
また、本実施形態での結合金具では、本呼称径300mmの結合金具でその円周12方向に切欠き孔115を設けているので、鋼球125のある部分を合わせて24方向という様に略全周方向に噴出流が発生する。したがって、結合金具の設置向きに拘わらず、いずれかのリーク噴出流を観察できるようになるのでその異常事態を認識し易い。最も流体噴出口116が円周方向に均等割りで3ヶ所あれば必ず1か所は上方30°以上の角度となるので十分に異常事態の顕在化に寄与できる。より好ましくは円周方向に均等割りで6か所以上あればよく、この場合には上方60°以上の角度となる。
以上の如く、本形態では、各流体噴出口116を、流体が放射する噴出ノズルとしているので、その噴出流体を把握することが容易になり、異常事態の監視が容易であり、異常事態を知らせる監視及び警報機能を有効かつ顕著に発揮させることができるようになる。更に、流体噴出口116から放射する噴出流体を遠くからでも直ちに気が付くことができる放出能力を付与できることから特に大がかりなシステム、例えば大容量泡放射システムで使用する場合に好適する。
また、本形態での流体噴出口116は係止鉤部113の部分への応力集中を防止するために形成した切欠き孔115を利用しているので流体噴出口116を別に設ける場合に比べて構成の簡略化が図れる。流体噴出口116をリーク路138に対応して別の位置に設けるようにしてもよいが、この場合には穴を開けることによる金具強度の低下に配慮する必要がある。
また、本形態での変形部135は設定した高い異常な圧力を超えるまで殆ど伸びず、通常はシール部材133同士を突き合せて流体の流出を阻止している。しかし、設定圧力を超えると、変形部135はリーク路138を形成するまで優先的に伸びる。そして、変形部135がリーク路138を形成するまで伸びると、その後は元に戻っても戻らなくてもよいが、元に戻らない場合は本結合部本体または本結合金具自体を交換する必要が生じる。この異常事態が実際に生じて作動する頻度は非常に稀であり、結合状態の破壊や損傷を防止できるので人命に係わる事故等の重大な事態を回避できることを考えれば、結合部本体105または本結合金具100自体を交換または破棄することでもやむを得ない。
本形態では、発明者が考案した図26に示す形式の結合金具の場合のように安全弁80の弁体86および弁座84等を別体の構造として結合金具に組み込む必要がない。また、弁体86を付勢する装置として大きなコイルばねを結合金具に組み込む必要もない。しかも、本形態では、結合金具100の構成要素である結合部及びシール部を基本的に変更することなく、結合部を形成する結合部本体自体の一部に変形部を形成するだけで、安全弁機能を備えた結合金具とすることができる。また、各種部材の兼用化が図れる結果、結合金具が大型化せずに比較的簡略化できる構成でしかも低価格化を達成できる。
本形態では正常時に弁体のシール部材を押し付けて流体をシールする一方、移送流体が異常で過剰な高い圧力となったとき、結合部本体が破断せずに結合部本体の一部が軸方向に伸びることによってそれまで押し付けられていた弁体(弁座面)としているシール部材が相手の弁座面(弁体)としているシール部材またはシール部から離れて流体を外へ放出させるリーク路を形成するように構成して安全弁として機能させるようにした。したがって、流体通路内の異常で過大な圧力の流体を放出する構成とするための特別かつ複雑な弁体付勢装置をわざわざ別部材として結合金具に組み込む必要がない。また、結合部本体の一部の一定範囲が略均一に必要量変形できる変形部を設けるだけであるため、結合金具の構成要素の一つである結合部本体の部材を弁体付勢装置として兼用できるようになり、構成の簡略化が図れる。
また、本形態では、結合部本体の部材に肉厚が薄い壁部分を形成し、この壁部分に複数の長孔を切欠き形成して変形部を構成したが、肉厚が薄い壁部分を形成せずに直接に長孔を切欠き形成して変形部を構成してもよい。また、長孔は結合部本体の壁を突き抜けることなく底のある溝状に長孔(穴)を形成した形態の変形部でもよい。また、長孔の代わりに複数の孔(穴)を並べるなどで変形部を形成するものでもよい。また、軸方向へ伸びる変形が可能な構造として変形部が膨らむ形状または窄まる形状に径を変化させる壁構造とするなど、本発明の変形部としては他にも種々の形態が考えられる。
次に、第2の形態について図7を参照して説明する。この第2の形態では一対の結合金具の一方を図24に示した大容量泡放射システムにおいて放水砲39に最も近いマニホルド40に設けた結合金具100aとし、その一対の結合金具で安全機構付き結合金具100としたものである。その他は前述した形態と同様である。
尚、マニホルド40に設けた結合金具100aには変形部135を設けず、他方の結合金具100の方のみに変形部135を設けて前述した形態の場合と同様にリーク機能や警報機能を発揮させるように構成するようにしてもよい。この場合にあっては流体通路102内の流体圧が一定以上の異常で過剰な高圧になると、大容量泡放射システムのマニホルド40に設けた方の結合金具100aではシール部材133が軸方向へ移動しないが、他方の結合金具100の変形部135が変形し、この方のシール部材133のみが軸方向に移動してリーク路138を形成する。この場合、一方のシール部材133のみが後退するので各シール部材133相互の離反量はその一方のシール部材133の後退量Rであり、この一方のシール部材133の後退量Rに相応したリーク路138を形成する。したがって、リーク路138の幅は前述した第1の実施形態の場合の略半分になる。
次に、他の形態について図8を参照して説明する。図8は一対の結合金具100の一方のものを一部断面して示す側面図である。この形態では薄肉部(これは結合部本体105の他の部分に比べて軸方向の断面積が小さいので同じ軸加重を受けると引張り応力が大きくなる部分であり、また先に伸びる部分である。)のみで変形部135を形成した例である。なおこの場合には、前述した形態の長穴加工の様に曲げと引張を受けず、伸びる量が小さくなるので変形部自体の長さを長く作る等、特に伸びの大きい材料を使用するなどの工夫が必要となる。しかし、変形部135に孔や溝等を設けずに薄肉部を成形するだけで構成したので前述した形態の場合のようにエンドミル等で長穴加工と云う特別な加工を加えて変形部135を作る必要がなく、例えば汎用旋盤で薄肉部を形成するだけの簡単な加工方法で結合部本体105を製作することができる。また、この形態では結合部本体105における変形部周辺の形状がシンプルになる。更に結合部本体105の製造コストが低減できる。この形態の他の構成要素等は上述した最初の形態のものと基本的に同様である。
更に別の形態について図9乃至図11を参照して説明する。図9は一対の結合金具が結合したときの結合部の状態を示す図であり、図10は安全機能が作動したときの結合部の状態を示す図である。また、図11は係止鉤部の根本部分にクラックが入って割れた場合を説明する図である。
前述した各形態では結合部110を除く結合部本体105の途中部分に変形部135を形成するようにしたが、本形態では一層の構成の簡略化と軽量コンパクト化を図るために結合部110の領域に変形部140を形成するようにした。本形態での結合金具についての基本的構成は前述した形態と略同様である。
本形態では、結合部110の嵌合突部111を形成する部分を利用して変形部140を形成するものであって、この変形部140が主に塑性変形により結合部110全体が軸方向へ伸びるようにした。この変形部140は結合金具100の流体通路102内の流体が異常で過剰な高い圧力となることで結合部本体105にその軸方向の引張り力が加わったとき、結合部110を軸方向へ伸す。
また、嵌合突部111はその片側に偏った位置に係止鉤部113を設けてこの係止鉤部113を他の係止鉤部113に係止させるので、図10に示すように、嵌合突部111は係止鉤部113が係止し合った状態で全体が少し曲がりながら軸方向へ伸びる。そして、変形部140は係止鉤部113同士が係合状態を維持する段階で、嵌合突部111の全体が変形して伸び、係止鉤部113による係止状態が破断等により解除されることなく、結合部110を軸方向へ伸ばす。
本形態では結合部110自体により変形部140を構成することで結合金具100の流体通路102内における流体圧が異常で過剰な高圧になったときにそれまで互いに押し付けられていたシール部材133が図10に示す如く相手のシール部材133からそれぞれが互いに離反して退避し、シール部材133の間に高圧流体を外へ逃がすためのリーク路(放出用流路)138を形成するようにした。
ところで、結合部110における嵌合突部111の係止鉤部113付近は局部的に応力が集中し易いので図11に示すように係止鉤部113の根本部分が角のある切欠き形状に形成されていると、その角に応力が集中し、嵌合突部111つまり結合部110全体が変形して伸びる以前に係止鉤部113の根本部分付近から図11に示したようなクラック145が入り、この場所から係止鉤部113が割れてしまう虞がある。
そこで、本形態では、係止鉤部113の根本部分への応力集中を避けるために図9に示したように係止鉤部113の根本部分に丸みのある切欠き孔(湾曲部)115を形成し、係止鉤部113の根本部分への応力集中を避けて係止鉤部113が割れないようにした。この切欠き孔115は流体噴出口142の一つを形成するので大きめの切欠き孔としている。
また、図10に示す如く、弁体としてのシール部材133は変形部140が軸方向へ伸びることで相手のシール部材133からそれぞれ離反して後退し、そのシール部材133の間にリーク路138を形成する。このリーク路138の領域に流体噴出口142の少なくとも一部が重なるように配置した。また、係止鉤部113を設けた側とは反対側に位置する嵌合突部111の側面の間(ここでは付勢機構120の鋼球125を配置した場所付近の間隙G2の領域)にもリーク路138の領域の一部が対応位置するようにした。したがって、この間隙G2の部分も流体噴出口142と見ることができる。
ところで、係止鉤部113の係合面は結合相手の結合金具の係止鉤部113の係合面と軸方向において衝合して係止する。この係止による結合力は結合部110から結合部本体105にわたり、更に結合金具本体101に伝わる。
また、嵌合突部111はその基端側つまり結合部本体105側程幅が広い先細り形状としたので結合部110の基端側部分への応力集中を避け得る。また、嵌合突部111の突出長さを長くすれば、それだけ係止鉤部113を支える先端側領域を確保し、引張り荷重を受ける係止鉤部113の強度が増す。また、嵌合突部111の根元から係止鉤部113の係合位置までの領域を長くすることで同じ伸度の材料を使用してもシール部材133のリフト量を大きくできるので、安全弁機能として必要充分なリーク放水量を確保できるようになる。
また、係合突起111は異常で過大な引張り荷重を受けると、若干曲がりながら伸びる。このために曲がりながら伸びることを考慮した係止鉤部相互の係合離脱防止策が必要である。そこで、係止鉤部113の係止面113aを結合部本体の周方向に対してオーバーハング状に傾斜させるとともに、そのカウンターアングル「θ」を既存の結合金具の場合よりも大きく設定した。例えば、外周面展開図上でのカウンターアングル「θ」は既存の結合金具の場合の15°よりも大きく、例えば、20°〜30°の範囲が好ましく、25°がより好ましい。
ここで、カウンターアングルθが20°よりも小さいと、図10に示したように安全弁134のリーク路138が形成したとき、一対の係止鉤部113の接触し合う係止面113aの角度が結合金具の軸方向に対して直角な位置から外れる向きに傾き易くなる。一方、カウンターアングルθが30°よりも大きいと、前記嵌合突部111の先端面と嵌合凹部112の奥壁面との間の間隙G1を大きくする必要が生じて金具をコンパクトに設計できなくなるとともに操作時に支障を来し易い。そこで、通常、カウンターアングルθは20°〜30°程度が係合状態を確保し、かつ最もスムーズに係止状態に誘導できると同時に係合解除の操作がし易いと考えられる。
従来の結合金具の場合おいては「出荷検査等で一時的に試験圧力(使用圧の1.5〜2.0倍)を受けた後、使用圧(常用最高使用圧力)以内で使用される」ので圧力を受けた時の嵌合突部111の曲りは極わずかな弾性変形による曲りに留まっており、圧力がなくなると元の形状(角度)に戻っていた。したがって、これまでの結合金具100のカウンターアングルは15°程度のカウンターアングルに設定していた。
一方、安全弁機能を一体的に備えた結合金具100の場合、試験圧を超える異常で過大な高圧(使用圧の3〜4倍以上)を受ける圧力を想定している。この異常で過大な圧力を受けた場合、本形態では嵌合突部111が塑性変形によって曲りながら伸び、係止鉤部113も変形する。この曲がって変形した分だけカウンターアングルθが小さくなる。よって、本形態ではこのカウンターアングルθの減少分を見越してそのカウンターアングルθを大きめに設計した。そして結合金具の材質やサイズまたはその形状等によって多少前後するとしても、20°〜30°のカウンターアングルθを設けると、大容量泡放水システム用結合金具(呼称150〜400mm)の場合にも適用できるようになる。
前述した如く、カウンターアングルθが小さいと移送流体の圧力が異常で過大な値になると、そのカウンターアングルθの方向が逆向き(例えば、嵌合突部111が「−20°」曲がると、「15°」だったカウンターアングルが「−5°」)になってしまい、受けている軸荷重によって結合金具に離脱方向の回転力が発生してしまう。また、逆にカウンターアングルθが大き過ぎると、金具結合状態でのシールリング部の先端と相手結合金具のシールリング部の先端との隙間を大きくしないと着脱出来なくなり、シール部材133を大きくする必要が生じて結合金具をコンパクトに設計できない。したがって、カウンターアングルθを20°〜30°の範囲にすることが合理的な設計である。
この形態において、流体通路102内の流体圧力が安全弁134として設定した圧力を超えると、図10に示す通り、この変形部140(結合部110)が塑性変形によって少し曲がりながら軸方向へ全体的に伸びる。そして、一対の結合金具100のシールリング部131が互いに離れる向きにリフトし、シール部材133の突合せ面の間が開いてそのシール部材133の間にリーク路138を形成する。このリーク路138を通じて流体通路102内の高圧流体が外へ放出される。この放出流体は後述する流体放出路を通じて流体噴出口142から結合金具100の円周方向(本呼称300mm金具の場合は円周12方向または円周24方向)へ勢いよく噴出し、上述した実施形態と同様な作用効果を奏する。
尚、流体が放出されるとき、流体噴出口142にシール部材133が位置するが、シール部材133は通常ゴム製なので勢いの強い流体によって押し付けられ、放水量に対する影響は大きくない。また、リーク路138に付勢機構120の鋼球125が位置しているが、鋼球125は勢いの強い噴出流体によってケース部材124内に押し込められ、流体噴出口の領域から極力退避するので放水量を大きく損ねることがない。
次に、図12及び図13を参照して実施形態を説明する。本実施形態は前述した形態の結合金具100と基本的形態が同じであるのでそれらの形態の要素と同様のものは同一符号を付す。
この実施形態における結合金具100では、結合部本体105における結合部110、特にその嵌合突部111の内面151を、結合したときの結合相手の結合金具100におけるシールリング部131の外周面に被嵌させるようにしているが、結合相手の結合金具100におけるシールリング部131の外周面と結合部110の内面との間に、次記の適切な隙間を形成するようにしたものである。(1)図13の通り、流体圧が異常で過大な圧力になってシールリング部131等がリフトすると、そのリフトして結合相手と離れる距離に応じて嵌合突部111の内面151と結合相手のシールリング部131の外周面との間で流体放出路153を形成する隙間がより大きく出現するように嵌合突部111の内面151を傾斜させる構成とする。(2)図12の通り、結合金具着脱の操作性を良くするために結合し合う両方の結合金具の中心軸を合致させる必要があって、結合時には嵌合突部111の内面151と結合相手のシールリング部131の外周面とを嵌合させている。しかし、この隙間が小さいと結合操作する時に凸形状のシールリング部131を結合相手の凹形状の結合部110の内面151に入れ難いという問題を解決するために嵌合突部111の内面151は嵌合突部111の突き出し前方端側程、結合相手の結合金具100におけるシールリング部131の外周面(結合金具の中心軸)から離れるように湾曲傾斜するように形成している。つまり結合部の内面は、該結合部の突き出し前方端側程、前記結合金具本体の中心軸から離れるように傾斜して形成される。この様に結合部の内面を湾曲傾斜させたことによって、結合部特にその嵌合突部111の内面151と結合相手の結合金具100におけるシールリング部131の外周面との間に流体放出路153を形成するという効果も同時に得ている。
流体放出路153は、互いに結合したときの一対の結合金具100のシールリング部131の間に形成される間隙G3と、嵌合突部111の先端面と嵌合凹部112の奥壁面との間に形成される間隙G1に連通している。また、流体放出路153は嵌合突部111の背面と嵌合凹部112の背面との間に形成される間隙G2にも連通する。更に、流体放出路153は係止鉤部113を設ける嵌合突部111の側面間に形成される間隙や流体噴出口116にも連通するようになっている。この流体放出路153は移送流体に異常で過剰な圧力が発生したときに形成されるリーク路138に連通する。そして異常で過剰な圧力の高圧流体はその流体放出路153を通じて外へ速やかに放出する。
ところで、各結合部の壁は結合金具の軸に直角な立上がり壁により形成され、それらの間の隙間は外へ開口し、結合金具の軸に直角な向きに開口した流体噴出口155を形成し、流体噴出口155から外へ噴出する高圧流体の向きは結合金具の軸に直角な向きであり、本結合金具の円周方向となる。結合金具の軸に直角な向きに開口することは前述した流体噴出口116についても同様である。もちろん、この流体噴出口155は上述した流体放出路153に連通する。
しかして、この実施形態では、一対の結合金具100の使用中、移送流体に異常で過剰な圧力を超えると、図13に示すように、一対の結合金具100のシールリング部131がリフトするので、シールリング部131の間にリーク路138が形成される。そして高圧流体は図13において矢印で示すようにリーク路138から流体放出路153を通じて流体噴出口116や流体噴出口155等に流れ、結合金具100の外に放出される。したがって、高圧流体の放出が速やかに行われ、結合金具100の結合破壊を回避できるとともに、結合金具の円周方向に高圧流体を噴出させることによって異常な事態を顕在化できる。
次に、結合金具について試験した実施例について説明する。
ここでの試験対象は大容量泡放水システムに用いられる結合金具(型式:使用圧1.3MPa、呼称300mm)に対応した供試体とする。
供試体の材質と物性は以下の通りである。まず、材質はJIS H 4140-1988「アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品」で規定されたA5083FHとする。これは一般的に使用されている鋳造品に比べると高価で加工に手間が掛かる材質であるが、強靭な(強くて割れ難い)材質である点で優れる。
また、供試体の材料についての引張強さ及び伸びのJIS規格値と、実際に使用した材料の実測平均値(山形工業技術センターで測定)で示すと、次の通りである。
JIS規格値 実測平均値
引張強さ(N/mm2)275以上 296(測定値296,296,296)
伸び(%) 16以上 28.7(測定値31,29,26)
ところで、大容量泡放水システム用の大口径結合金具で一般的に使用される材質はアルミニウム合金の砂型鋳造品であり、供試体のアルミニウム合金鍛造品とは伸びの値(靱性)が大きく異なる。金型鋳造品等も一部の会社で使用されているが、基本的に鋳物であるので強靭さに欠ける。なお、鋳造品は一般的に弾性域が余りないので直ぐに塑性域に入って永久変形を起こしやすく、また、伸びが小さいので金具が大きく変形することもないが、突如破壊すると云う様な特性を持つ。
この大口径結合金具で一般的に使用される材質はJIS H 5202−1999「アルミニウム合金鋳物」で規定されたAC7Aであり、規格値は次の通りである。
材質AC7Aの砂型鋳物 JIS規格値
引張強さ(N/mm2) 140以上
伸び(%) 6以上
材質AC7Aの金型鋳物 JIS規格値
引張強さ(N/mm2) 210以上
伸び(%) 12以上
そして、本結合金具に異常で過大な流体圧力が実際に発生した時の状態を確認するため、実際に試験することを検討した。
ここで、使用圧の4倍(5.2MPa)を超える高圧力で試験が出来る耐圧試験機にあってはそのプランジャーポンプの流量がさほど大きくない。よって、結合金具内の圧力を異常で過大な圧力(使用圧の3倍〜4倍を超える様な圧力)まで上昇させることにより、供試体の変形部が伸びると、シール部材が軸方向にリフトしてシール部分から流体が放出されるが、その放出によってポンプ圧力が急激に下がってしまう。シール部から流体が一旦放出され始めると、もう使用圧の4倍を超えるような高圧力にはならない。したがって、本耐圧試験機(プランジャーポンプ)では、それ以上に高圧な圧力を加えた場合に変形部がどの様な挙動を示すかの確認は現実に出来ない。
一方、大容量泡放水システムで実際に使用される渦巻きポンプは充分な流量を有するものであるが、圧力は使用圧を少し超えるまでしか昇圧できない。また、実際のウォーターハンマー現象や、ホースが径方向や長さ方向に膨張してエネルギーを蓄積した状態(ホースではなく、鋼管の場合は殆ど膨張しないのでエネルギーも蓄積されない)を試験室で再現するために、両者のポンプ能力を大きく超える巨大なポンプや、アキュームレータ等でエネルギーを蓄積して行う試験方法は危険が大き過ぎる。よって、このような耐圧試験方法を採用することは断念した。
そこで、引張試験で供試体の試験を行うこととした。一般に、接続金具内を異常で過大な圧力まで上昇させた時に供試体に加わる軸荷重はパスカルの原理で求められる。本供試体に使用圧の内圧が加わる場合、使用圧が1.3MPa(1,300,000Pa)で結合金具の呼び径=ホース装着部外径(図12参照)が305mm(0.305m)なので軸荷重は94.9kNとなり、この荷重の3〜4倍以上で引っ張ることにより供試体の変形部が伸びて、シールリング部(シール部材)が軸方向にリフトする状態を確認することとする。
このときの軸荷重(N)は次の式から求めることができる。
軸荷重(N)=Pπr2
=1,300,000×3.14×(0.305/2)2=94,932
ここでの供試体160の形状及びその寸法は図14乃至図18に示した。図14乃至図15は結合金具本体101、図16は引張り棒162、図17は結合部本体105、図18はシール部材133に対応する供試体を示す。これらの形状及び寸法の表示方法はJIS製図規格及び日本で慣用された製図法による。また、表示した寸法の単位は[mm]である。
ここでの供試体は図9及び図10に示した形態の要素を含む図12に示した実施形態に対応しており、特に結合部110が特に変形するようにした形態の結合金具についての試験を代行できるようにしている。
また、図14に示すように結合金具本体101に対応する供試体は十分に強度のある支持盤161の周囲にシーリング部131を形成する。また、その支持盤161の中央には図16に示す引張り棒162を差し込み係着させる装着孔163を形成した。そして、支持盤161の装着孔163に引張り棒162を差し込んでその支持盤161を引張り棒162で保持しながらそれぞれの引張り棒162を引張試験機のチャックで保持し、その一対の供試体を互いに離反する軸方向へ引っ張り、供試体の結合部110に引張り荷重を加える試験を行った。
このときの試験機は栃木工業技術センターにある(株)東京衡機製造所製万能材料試験機RU500H-TK21(500kN)を使用した。また、この試験での荷重付加速度は0.5mm/min、荷重レンジは500kN、変位レンジは100mmであった。
この引張試験の結果、次の通りデータが得られた。図21は軸方向の引張り荷重とその軸方向の変位(チャック間の変位)をグラフに表した試験結果である。
この引張り試験結果を見ると、荷重390kN位までのグラフの傾きと、それを超えた後の傾きが大きく変化しており、これから荷重390kN位までが弾性変形であってそれ以上の荷重で塑性変形が起っていると考えられる。また、荷重が430kN位になると、ノコギリ状の波形が現れ、局部的な破壊が始まっていると考えられる。したがって、本結合金具を破壊せずに使用できる範囲は440kN程度まであると考えられる。この値は使用圧の約4.6倍の圧力に相当する。なお、ホース体の破断圧力は実測値で使用圧の2.5倍弱(3.0MPa)程度である。
この引張り試験結果のグラフで示す変位量は引張試験機のチャック間での変位である。したがって、供試体の全体の変位量の合計値と云うことになり、支持盤(中実板)161が椀状に変形したりするようにシールリング部131(シール部材133)が軸方向にリフトする効果に繋がらない変形による変位量も含まれるが、供試体全体での荷重:変位の特性を巨視的に把握することが出来る。
次に、供試体の変形部である結合部110等が伸びてシールリング部131(シール部材133を保持する部位)が軸方向にリフトし、シール部分から流体を放出するまでの結果を図22で示す。図22は引張り荷重とシールリング間の変位とのデータをグラフに表したものである。
このときの引張り荷重とそのときの結合部110が変形する状態を図21Aから図21Fに示した。すなわち、図21Aは引張り荷重Wが2kNでシールリング間の変位が0.0mmであり、図21Bは引張り荷重Wが91kNでシールリング間の変位が0.4mmであり、図21Cは引張り荷重Wが210kNでシールリング間の変位が1.5mmであり、図21Dは引張り荷重Wが300kNでシールリング間の変位が2.8mmであり、図21Eは引張り荷重Wが400kNでシールリング間の変位が4.5mmである、図21Fは引張り荷重Wが440kNでシールリング間の変位が5.9mmである。
この場合、図19のグラフを見ると、本結合金具100の結合が破壊せずに使用できる範囲の荷重である440kN(使用圧の約4.6倍)を加えた時、シールリングが約5.9mmリフトすることを確認できた。このリフト量は弁座の径と略等しい本結合金具100の流体通路102の内径275mmの2.15/100に相当する。また、一組の結合金具にはシールリング部131(シール部材133)が2つあり、この2つの合計が本リフト量となる。なお、図19と図20の結果から供試体全体の変位量の約半分が、シールリング部131(シール部材133)が軸方向にリフトする効果に繋がっていたことが分かった。
また、嵌合突部111(結合部110)の片側に係止鉤部113を設けて、この係合面113aで相手結合金具の係合面と軸方向に突き当てて係合させている。この係合面の角度(カウンターアングル)θを考察する。
結合金具の試験圧を超える大きな荷重を受けると、嵌合突部111(結合部110)全体が係止鉤部113の反対側に曲がりながら伸びる。なお、使用圧や試験圧での曲りは極わずかな弾性変形の範囲であるため、その荷重が無くなると元に戻る。今回の試験は使用圧の約4.6倍に相当するまでの荷重を加えて測定し、このカウンターアングルθがどの様に変化するかを調べた。
供試体のカウンターアングルθは外周面展開図上で25°設けているが、この角度が引張試験での強い荷重を受けて次の様に変化していた。
荷重(kN) 圧力(使用圧の倍数) カウンターアングルθ(°角度)
2 0.0 25
91 1.2 24
210 2.7 22
300 3.9 16
400 5.2 4
440 5.7 0
従来の結合金具の場合、出荷検査等で一時的に試験圧力(使用圧の1.5〜2.0倍)を受けた後、使用圧(常用最高使用圧力)以内で使用されていたので嵌合突部111の曲りは極わずかな弾性変形による曲りに留まると考えていた。よって、結合金具の材質やサイズ・詳細形状等によって前後するが、15°程度のカウンターアングルを設けていれば済むことであった。
しかし、安全弁機能を一体的に備えた結合金具の場合には試験圧を超える異常で過大な高圧(使用圧の3〜4倍以上)を受けることを想定するので、その異常な圧力を受けた時には嵌合突部111(結合部110)が塑性変形によって曲りながら伸びることまで考えなければならない。また、この嵌合突部111が係止鉤部113の反対側に曲がると当然カウンターアングルθが減少し、そのカウンターアングルθを設けた効果が減少するので、この減少分を見越してカウンターアングルθを大きめに設計しなければならない。そこで、結合金具の材質やサイズ・詳細形状等によって前後するが、大容量泡放射システム用結合金具(呼称150〜400mm)の場合、25°のカウンターアングルθを設けるようにした。
今回の試験結果によれば、本金具を破壊せずに使用できる範囲は440kN程度(使用圧の約4.6倍)までと考えられ、この時、残存しているカウンターアングルθが略0°なので、基本設計25°程度とのカウンターアングルは最小かつ最適値であった。また、本カウンターアングルθがそれ以上に小さいと、異常な圧力を受けた時にカウンターアングルθの向きが逆向きになってしまい、受けている軸荷重によって金具離脱方向の回転力が発生してしまう。
逆に、カウンターアングルθが大き過ぎると、金具結合状態でのシールリング部131の先端と相手金具のシールリング部131先端との隙間を大きくしないと着脱出来なくなるので、他の部材を大きくする必要が生じ、結合金具をコンパクトに設計できなくなると云う問題が起きる。
そこで、前述した理由とも一致する、少なくとも20°〜30°の範囲が適当であり、特に25°が好ましいと考えられる。
次に、耐圧試験の結果について述べる。この耐圧試験は先の引張試験結果によって、荷重440kN(使用圧約4.6倍)を加え、シールリング部131が約5.9mmリフトした結合金具を供試体とし、その供試体の耐圧通水試験を実施した。
なお、引張試験で荷重を取り除くと弾性変形分だけスプリングバックとして元に戻るが、殆どが塑性変形なので荷重を取り除いてもリフト量は大きく戻らなかった。
この耐圧通水試験は流量が重要なので、実際の大容量泡放水システムで使用する大容量ポンプ(圧力1.3MPa、流量20,000L/min.)に比べると非力な試験装置であるが、屋外消火栓設備(圧力0.9MPa、流量350L/min)を使用した。
まず、供試体内の流体圧力と噴出の状態を本試験で確認した。つまり、供試体を封止してその内部圧力を上昇させると、0.4MPaで流体が噴出し始めて圧力が下がり、その後、屋外消火栓のバルブを最大に開くと、円周方向に2〜3m流体が噴出した。このときは、噴出する流量が多いので、圧力は0.3MPaまでしか昇圧できなかった。この耐圧通水試験の結果、リーク路から噴出する流体によって異常事態の発生を作業者等に警告することが可能であることを確認できた。
上述した形態では結合部の嵌合突部111に係止鉤部113を設け、この係合面113aと結合相手の係合面113aとを軸方向に突き当てて係合するようにしたので、その係合面113aが周方向に対してオーバーハング状に傾斜するように形成した。本発明はこれに限らず、例えば図22で示すように係合鉤部113の先端部分をオーバーハング状に結合金具の軸方向後方に向けて伸ばして形成した係合形態、つまり結合相手側から手前に向けて曲がる形状の鉤部を形成し、結合相手の鉤部に引っ掛けて結合するようにしたものでもよい。
このように係合鉤部113同士を軸方向において互いに引っ掛かるように係止させる手段として、図22の係合鉤部113を後方へ突き出す鉤部114の形状とした他は上述した実施形態でのものと同様に構成する。また、図22に示した符号は上述した形態での符号の要素と同様な構成の要素のものであり、それらの要素は同じ符号を付して具体的な説明を省略する。
また、この形態での流体噴出口116は嵌合突部111の背面と嵌合凹部112の背面との間に形成される間隙G2を横切るリーク路138の部分に形成され、これが主な流体噴出口となる。そして流体圧が異常で過大な高圧になったときにシール部材133が2点鎖線の位置に移動し、そのシール部材133の間に形成されるリーク路138と間隙G2とが重なる共通領域によって流体噴出口が形成される。また、この流体噴出口116の付近に付勢機構120の鋼球125が位置しているが、上述したと同様に流体圧が異常で過大な高圧になってリーク路138から液が放出されるときにその高圧で放出される液流によってスプリング126の付勢力に抗して鋼球125が押し込まれるので流体噴出口116の領域の大きさを確保できる。
尚、前述した各形態ではオスメスのない一対の同一構造の結合部を用いたツインスター金具の形態であったが、本発明の結合金具はその結合部や金具形式に依存せず、例えば、消防用金具としてのねじ式結合金具(平成25年総務省令第23号)やストルツ式金具(DIN14300 A-Druckkupplung)等にも利用が可能である。
図23は他の形態を示しており、同図23は一対の結合金具を接続した状態でその一部を断面して示す側面図である。この形態は結合部がねじ式の結合金具の例である。このねじ式の結合金具は雄型結合金具本体171と雌型結合金具本体172を備えており、両結合金具本体171,172はそれぞれ略等径の円筒体から形成されている。雄型結合金具本体171において雌型結合金具本体172に向き合う方の端部外周には雄ねじ部173が形成されている。雄型結合金具本体171の雄ねじ部173を形成した側の端部を更に延長し、この延長端を雌型結合金具本体172に設置されるリング状の弾性シール部材174に突き当たるシール突当て端176としている。前記雌型結合金具本体172の前端外周部には周回溝175が形成され、この周回溝175には弾性シール部材174がその内周部分を嵌め込み装着されている。そして、周回溝175からはみ出した弾性シール部材174の部分に対して雄型結合金具本体171のシール突当て端176が突き当たる(図23参照)。
また、雌型結合金具本体172の、雄型結合金具本体171に向き合う方の端部には結合部本体180が被嵌されている。この結合部本体180は略円筒状に形成され、この結合部本体180の一端部が雌型結合金具本体172の端部に対して回転自在に取り付けられる。また、結合部本体180の他端部における内周には雌ねじ部181が形成されている。そして、この雌ねじ部181が雄型結合金具本体171の雄ねじ部173と螺合し、雄型結合金具本体171と雌結合金具本体172が連結している。また、この結合部本体180は雄型結合金具本体171に雌結合金具本体172を連結するための結合部183ともなっている。この結合部183の内径は雄型結合金具本体171の流体通路186と雌結合金具本体172の流体通路187を流れる流体の流れを妨げないようにそれらの結合金具本体171,172の内径よりも僅かに大きい内径で形成されている。
また、雌型結合金具本体172の外周にはストッパ用突起188が周回する状態で形成されている。また、結合部本体180の後端部内周には内方へ突き出したストッパ用突縁部189が周回する状態で形成されている。そして、結合部本体180は雌ねじ部181の部分を含め、雌型結合金具本体172のストッパ用突起188の外径よりも大きな内径に形成されている。ストッパ用突縁部189の部分はストッパ用突起188の外径よりも小さな内径となっている。このため、雌型結合金具本体172の後方から結合部本体180を差し込むことができる。
そこで、後方から雌型結合金具本体172に結合部本体180を、ストッパ用突起188にストッパ用突縁部189が当たる位置まで差し込み、雄型結合金具本体171と雌型結合金具本体172とを連結する(図23参照)。この位置で結合部本体180の軸方向の位置が定まり、結合部本体180は雌型結合金具本体172に対して回転可能である。また、図23に示すように弾性シール部材174には雄型結合金具本体171のシール突当て端176が突き当たり、これにより連結したときに結合金具本体171,172の間は閉塞されている。
一方、雄型結合金具本体171の雄ねじ部173が形成された端部外周にはハンドル176aが設けられ、また、結合部本体180の前端部外周にもハンドル176bが設けられている。雄型結合金具本体171の他端部にはホース等を取り付けるための取付け部178が設けられ、同じく雌型結合金具本体172の他端部も他のホース等を取り付けるためのホース取付け部179が設けられている。そして各ホース取付け部178,179はいずれも滑り止めのための複数の突条部が形成されている。
また、前記結合部本体180において、ハンドル176bとストッパ用突起188に取り付けられる後端部を除く中途部領域には前述した実施形態で示したものと同様な変形部190が形成されている。例えば、複数の長孔191を切欠き形成して構成されている。これらの長孔191は結合部本体180の中心軸に対して同じ向きに傾斜しており、その周方向に等間隔で配置される。そして、変形部190は異常で過大な軸方向の荷重が加わったとき、斜めの長孔191の各間に形成される帯状の板状部分が曲がりながら結合部本体180の軸方向へ全体的に伸びるようになる。
各長孔191は多条螺旋状に配置されており、また、その長孔191の傾斜する向き、つまり螺旋方向はいわゆる左ねじの状態に形成されている。これは雄型結合金具本体171の雄ねじ部173と雌結合金具本体172の雌ねじ部181が右ねじであるからそのねじ結合の関係で各長孔191の螺旋方向を逆向きのいわゆる左ねじ方向としたものである。このように長孔191の傾斜する向きを左ねじ方向とすれば、この変形部190の変形により軸方向へ伸びた際に結合部本体180を右回転させる付勢力を発生する。この付勢力の方向は結合力を弱めない向きであり、このため、結合金具本体171,172の間でのねじ結合を確保できるようになる。
また、図23に示すように、前記長孔191を形成した領域において、雌型結合金具本体172のシール部材174と雄型結合金具本体171のシール突当て端176が互いに突き当たる部分は対応して位置する。また、少なくともシール突当て端176がシール部材174から離反したとき、両者間に形成される隙間で生成されるリーク路はその長孔191の領域に入るため、流体通路186,187内の流体圧が異常で過大な圧力となった場合、結合部本体180の変形部190が塑性変形によって軸方向への伸びを示してリーク路を形成し、このリーク路の領域と、長孔191が形成する流体噴出口の領域とが互いに重なり合い、この共通領域を経てリーク路から放出する流体を直線的に勢いよく外へ放出させることができる。
通常は、シール突当て端175がシール部材174に押し当たり、その間を閉塞しているが、流体通路186,187内の流体圧が異常で過大な圧力になると、一対の結合金具本体171,172の間に軸方向へ離反する向きの過大な引っ張り力が加わり、この過大な引っ張り力は両者を連結する結合部本体180にも加わる。
そして、この引っ張り力は結合部本体180における変形部190を軸方向へ引き伸ばす。変形部190が塑性変形して軸方向へ伸びると、シール突当て端176がシール部材174から後退し、シール突当て端176とシール部材174との間にリーク路を形成する。
そして、リーク路から放出する流体を各長孔191からなる流体噴出口を経て外へ勢いよく放出させる。このように高圧の流体を外へ放出させることにより流体通路内の流体圧が急激に低下し、一対の結合金具本体171,172を軸方向へ離反する向きに引っ張る力も低下し、結合部183等の破壊や損傷を未然に防止できるようになる。また、各長孔191からなる流体噴出口を経て外へ噴出する流体により異常な事態を監視者等に知らせる警報が作動する。
前述した説明では、結合金具本体内の流体の圧力が異常に上昇したときに前記結合部本体に加わる軸方向の引っ張り力により前記シール部材が結合相手のシール部材から離反して外へ流体を放出するリーク路を形成するようにしたが、係合部同士が係止した状態で流体が使用想定圧力の3倍に高まり結合金具本体を互いに引き離す方向への軸荷重が加わったときにその荷重で流体放出路に通じるリーク路を形成するようにしてもよい。更には係止部が係止した状態で流体が結合金具の試験圧力に高まり結合金具本体を互いに引き離す方向への軸荷重が加わったときにその荷重で流体放出路に通じるリーク路を形成するようにしてもよい。
また、前述した各形態ではオスメスのない一対の同一構造の結合部を用いたツインスター金具の形態であったが、本発明の結合金具はその結合部や金具形式に依存せず、例えば日本のねじ式金具(平成25年3月27日総務省令第23号)やドイツ規格のストルツ式金具(DIN14300 A-Druckkupplung)等の機種にも適用が可能である。
前述した説明によれば、特許請求の範囲に記載した発明の他にも少なくとも次の内容の発明が得られる。
1.ホースやパイプの管類相互または管類と他の機器とを結合する結合金具において、軸方向の一端側部分に前記管類または他の機器を取り付けるための装着部を有し、内部に流体通路を形成した結合金具本体と、
軸方向の一端側部分に前記結合金具本体に取り付けるための取付け部を有し、軸方向の他端側部分には結合相手の結合金具と連結可能な結合部を有した結合部本体と、
前記結合金具本体の軸方向の他端側部分に設けられ、結合相手の結合金具におけるシール部材との間の隙間を閉塞するためのシール部材と、
前記結合部本体に形成され、前記結合金具本体内の流体の圧力が異常に上昇したときに前記結合部本体に加わる軸方向の引っ張り力により軸方向に伸ばされることで前記シール部材が結合相手のシール部材から離反して外へ流体を放出するリーク路を形成し、このリーク路を形成するまで前記結合部による結合相手との結合を維持しながら伸びる変形部と、
を備えた安全弁機能を有する結合金具。
2.前記結合金具本体内の流体の圧力が異常に上昇したときに結合相手のシール部材から離反するシール部材と結合相手のシール部材との間に形成されるリーク路から流体を外へ噴出させる流体噴出口を前記結合部本体に設け、この流体噴出口から噴出する流体により異常を警報する手段を有する1に記載の安全弁機能を備えた結合金具。
3.前記結合部本体は、前記結合金具本体の周囲に配置される円筒部を有し、前記円筒部の領域に前記結合部本体の軸に対して斜めの長孔を開口し、この長孔を形成した部分で前記変形部を形成した請求項1または請求項2に記載の結合金具。
4.前記結合部本体は、前記結合金具本体の周囲に配置される円筒部を有し、前記変形部は、前記円筒部の領域の厚さを該結合部本体の他の部分の厚さをよりも薄く形成した1または2に記載の結合金具。
5.前記結合部は、結合相手の方へ前記結合金具本体の軸方向へ突き出した突部と、
この突部に設けられ、結合相手の結合部のものに係合可能である係止鉤部と、
を備え、更に、前記変形部は、前記結合部の領域に形成した1または2に記載の結合金具。
6.前記変形部が伸びて前記シール部材が軸方向に移動したときに前記シール部材と結合相手のシール部材との間によって形成されるリーク路の開口領域と、前記流体噴出口の領域とが少なくともその一部が重なり、前記リーク路から放出する流体を前記流体噴出口から噴出させる2に記載の結合金具。
7.前記流体噴出口を前記結合部本体の円周方向の複数個所に配置した6に記載の結合金具。
8.前記流体噴出口を前記結合部本体の円周方向に均等割りで3か所以上配置した6に記載の結合金具。
9.少なくとも前記変形部の素材を伸び10%以上の材質とした1、2、6または7のいずれかに記載の結合金具。
10.前記結合部本体、結合部及び変形部の少なくともいずれかの素材を引張強さ250N/mm2以上、伸び15%以上のアルミニウム合金鍛造品とした1、2、6または7いずれかに記載の結合金具。
11.前記係止鉤部は、相手の係止面と係止する係止面を有し、該係止面は周方向に対し、カウンターアングルθが20°〜30°でオーバーハング状に傾斜する5に記載の結合金具。
12.前記変形部は、前記シール部材が相手側のシール部材から離反する全リフト量が該結合金具の流路部最少内径の1/100である1に記載の結合金具。
13.前記変形部が伸びて前記シール部材が軸方向にリフトしてシール部を開放したときに流体を放出するシール部の開放隙間の面積を、前記結合金具本体の流路部最少面積の1%以上とした1または2に記載の結合金具。
14.係合鉤部は、結合相手側から手前に向けて曲がる形状の鉤部を有し、この鉤部を結合相手の結合金具の鉤部に引っ掛けて結合するようにした5に記載の結合金具。
15.異常圧力の発生によってシールリング部131等がリフトして嵌合突部111の内面151と結合相手のシールリング部131の外周面との間に出現する「流体放出路153の最小断面積」(図13参照)が、シールリング部131等がリフトすることによって同時に出現するシールリング部131のシール部材133と相手のシール部材133間の「リーク路138の断面積」(図6C参照)に対応した面積とした結合金具。
なお、「流体放出路153の断面積」=π(内面151の内径/2)2−π(シールリング部131の外径/2)2である。
「内面151の内径」…内面151とシールリング部131の外周面の隙間が最小部分の内径寸法
「シールリング部131の外径」…内面151とシールリング部131の外周面の隙間が最小部分の外径寸法
また、「リーク路138の断面積」=L×π(シール部材133の径)である。
「L」…図10のL
「シール部材133の径」…シール部材133と相手のシール部材133間の隙間が最小の位置の径寸法(図6C参照)