JP2016030954A - 建設機械及び制御装置 - Google Patents

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崇司 田添
Takashi Tazoe
崇司 田添
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Abstract

【課題】建設機械において、アタッチメント先端とキャブとの干渉防止に使用するブーム及びアームの制限角度をブーム及びアームの長さを用いずに算出することが可能な技術の提供。【解決手段】ブーム制限角度は、アタッチメントと作業内容との少なくとも一方に応じて設定される角度である。第1アーム制限角度は、ブームの位置にかかわらずアタッチメントの先端が前記キャブに干渉しない最小の角度である。第2アーム制限角度は、ブーム角度がブーム制限角度である場合にアタッチメントの先端がキャブに干渉しない最小の角度である。制限部は、アーム角度が第1アーム制限角度と第2アーム制限角度との間の値であり(S21:NO,S23:YES)、且つ、ブーム角度がブーム制限角度よりも小さい値である場合に(S25:NO)、ブームの上げ動作及びアームの引き動作を許可する(S29)。【選択図】図9

Description

本発明は、建設機械に関し、より詳細には、アタッチメント先端がキャブに干渉するのを防止する技術に関する。
従来、建設機械において、作業アームがキャブに干渉するのを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
具体的には、キャブと作業アームとの干渉防止に用いられる「制限域」として、「円弧状制限域」(線LMN)と、「直線状制限域」(線PQHIMN)とが示されている(特許文献1の図5)。そして、「円弧状制限域」のブーム制限角及びアーム制限角の計算式と(特許文献1の段落0033〜0057)、「直線状制限域」のブーム制限角及びアーム制限角の計算式とが示されている(特許文献1の段落0058〜0078)。
特開2012−31635号公報
上記特許文献1記載の技術によれば、「円弧状制限域」や「直線状制限域」のブーム制限角及びアーム制限角を用いて、作業アーム(詳細にはアタッチメント先端)がキャブに干渉するのを防止することは可能である。
しかし、ブーム制限角及びアーム制限角を計算する際に、ブームの角度やアームの角度のみならず、ブームの長さ(ブーム長Lob)やアームの長さ(アーム長Lab)をも用いなければならない。
そこで本発明は、建設機械において、アタッチメント先端とキャブとの干渉防止に使用するブーム及びアームの制限角度をブーム及びアームの長さを用いずに算出することが可能な技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、建設機械であって、キャブを有する機械本体と、前記機械本体に回動可能に取り付けられるブームと当該ブームの先端に回動可能に取り付けられるアームとを有するアタッチメントと、水平方向に対する前記ブームの角度をブーム角度として算出するブーム角度演算部と、前記ブームに対する前記アームの角度をアーム角度として算出するアーム角度演算部と、前記ブーム角度及び前記アーム角度に基づいて、前記ブームの上げ動作を制限するとともに前記アームの引き動作を制限する制限部とを備え、前記水平方向に対する前記ブームの角度であって、前記アタッチメントと作業内容との少なくとも一方に応じて設定される角度をブーム制限角度とし、前記ブームに対する前記アームの角度であって、前記ブームの位置にかかわらず前記アタッチメントの先端が前記キャブに干渉しない最小の角度を第1アーム制限角度とし、前記ブームに対する前記アームの角度であって、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度である場合に前記アタッチメントの先端が前記キャブに干渉しない最小の角度を第2アーム制限角度とし、前記制限部は、前記ブーム制限角度と前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度とを参照し、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度との間の値であり、且つ、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度よりも小さい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を許可することを特徴とする建設機械を提供している。
また、前記制限部は、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度との間の値であり、且つ、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度よりも大きい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を停止するのが好ましい。
また、前記制限部は、前記アーム角度が前記第2アーム制限角度よりも小さい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を停止するのが好ましい。
また、前記制限部は、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度よりも大きい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を許可するのが好ましい。
また、前記ブームの回動角度を検出するブーム用ポテンショメータと、前記アームの回動角度を検出するアーム用ポテンショメータと、励磁状態と非励磁状態とを切り替えることにより前記ブームの上げ動作を許可又は停止するブーム停止弁と、励磁状態と非励磁状態とを切り替えることにより前記アームの引き動作を許可又は停止するアーム停止弁とをさらに備え、前記ブーム角度演算部は、前記ブーム用ポテンショメータによって出力される電圧に基づいて前記ブーム角度を算出し、前記アーム角度演算部は、前記アーム用ポテンショメータによって出力される電圧に基づいて前記アーム角度を算出し、前記制限部は、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度との間の値であり、且つ、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度よりも小さい値である場合に、前記ブーム停止弁及び前記アーム停止弁を制御して、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を許可するのが好ましい。
また、本発明は、機械本体に回動可能に取り付けられるブームと当該ブームの先端に回動可能に取り付けられるアームとを有するアタッチメントを備える建設機械を制御するための制御装置であって、水平方向に対する前記ブームの角度をブーム角度として算出するブーム角度演算部と、前記ブームに対する前記アームの角度をアーム角度として算出するアーム角度演算部と、前記ブーム角度及び前記アーム角度に基づいて、前記ブームの上げ動作を制限するとともに前記アームの引き動作を制限する制限部とを備え、前記水平方向に対する前記ブームの角度であって、前記アタッチメントと作業内容との少なくとも一方に応じて設定される角度をブーム制限角度とし、前記ブームに対する前記アームの角度であって、前記ブームの位置にかかわらず前記アタッチメントの先端が前記機械本体のキャブに干渉しない最小の角度を第1アーム制限角度とし、前記ブームに対する前記アームの角度であって、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度である場合に前記アタッチメントの先端が前記キャブに干渉しない最小の角度を第2アーム制限角度とし、前記制限部は、前記ブーム制限角度と前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度とを参照し、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度との間の値であり、且つ、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度よりも小さい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を許可することを特徴とする制御装置を更に提供している。
請求項1記載の建設機械によれば、アタッチメント先端とキャブとの干渉防止に使用するブーム制限角度、第1アーム制限角度及び第2アーム制限角度のそれぞれをブーム及びアームの長さを用いることなく算出することが可能である。
請求項2記載の建設機械によれば、ブーム角度がブーム制限角度よりも大きい値である場合に、ブーム上げ及びアーム引きの双方を停止することが可能である。
請求項3記載の建設機械によれば、アーム角度が第2アーム制限角度よりも小さい値である場合に、ブーム上げ及びアーム引きの双方を停止することが可能である。
請求項4記載の建設機械によれば、アーム角度が第1アーム制限角度よりも大きい値である場合に、ブーム上げ及びアーム引きの双方を許可することが可能である。
請求項5記載の建設機械によれば、ブーム用ポテンショメータ及びアーム用ポテンショメータを用いてブーム角度及びアーム角度をそれぞれ算出するとともに、ブーム停止電磁弁及びアーム停止電磁弁を用いてブーム上げ及びアーム引きを制御することが可能である。
請求項6記載の制御装置によれば、アタッチメント先端とキャブとの干渉防止に使用するブーム制限角度、第1アーム制限角度及び第2アーム制限角度のそれぞれをブーム及びアームの長さを用いることなく算出することが可能である。
本発明の実施形態によるスクラップローダを示す側面図。 ブームシリンダの油圧回路図。 アームシリンダの油圧回路図。 制御装置の概略構成を示すブロック図。 ブーム及びアームの制限角度の設定処理を示すフローチャート。 第1アーム制限角度を設定する際のスクラップローダを示す側面図。 ブーム制限角度を設定する際のスクラップローダを示す側面図。 第2アーム制限角度を設定する際のスクラップローダを示す側面図。 ブームの上げ動作及びアームの引き動作の制限処理を示すフローチャート。 ブーム角度及びアーム角度に対応するブーム上げ動作及びアーム引き動作を表にした図。 変形例に係るアーム角度とパイロット圧との関係を示すグラフ。 別の変形例に係るアーム角度とパイロット圧との関係を示すグラフ。
<1.実施形態>
<1−1.構成>
本発明の実施形態による作業機械について図1乃至図10に基づき説明する。以下、建設機械の一例として、スクラップローダ1を例にとって説明する。
図1に示すように、スクラップローダ1は、クローラ式の下部走行体2と、機械本体3とを備えて構成される。なお、図1では、便宜的に前後方向を定義している。
機械本体3は、下部走行体2上に搭載されており、下部走行体2に対して鉛直軸まわりに旋回することが可能である。機械本体3は、昇降可能なリンク式のキャブ(運転室)4を有する。また、機械本体3にはアタッチメント5が接続されている。
アタッチメント5は、機械本体3に回動可能に取付けられたブーム6と、ブーム6の先端に回動可能に取付けられたアーム7と、アーム7の先端に揺動可能に取付けられたマグネット8とを備えて構成されている。
ブーム6は、ブームシリンダ60の伸縮動作によって起伏する。アーム7は、アームシリンダ70の伸縮動作によって前後に押し引きする。マグネット8は、マグネット用シリンダ80の伸縮動作によって揺動する。このマグネット8は、励磁させることにより磁性廃棄物等を吸着することが可能である。
図2に示すように、ブームシリンダ60の油圧回路には、ブームシリンダ60に作動油を供給するための油圧ポンプ11と、作動油の給排を制御する給排制御弁13と、給排制御弁13を操作するための操作レバー15と、ブーム6の上げを停止するための停止弁17とが備えられている。
給排制御弁13は、操作レバー15の操作に応じて、図2に示す中立位置から左右のいずれか一方に移動し、ブームシリンダ60を伸長又は縮小させる。
具体的には、操作レバー15の操作に応じて、給排制御弁13が図2の中立位置から左側に移動すると、油路y1と油路y2とが接続されるとともに、油路y3がタンクTに接続される。これにより、油圧ポンプ11からブームシリンダ60の領域61に作動油が供給されるとともに、ブームシリンダ60の領域62内の作動油がタンクTに落ちる。そして、ブームシリンダ60内のピストンが図面左側に移動し、ブームシリンダ60が縮小してブーム6が下がる。
一方、操作レバー15の操作に応じて、給排制御弁13が図2の中立位置から右側に移動すると、今度は油路y1と油路y3とが接続されるとともに、油路y2がタンクTに接続される。これにより、油圧ポンプ11からブームシリンダ60の領域62に作動油が供給されるとともに、ブームシリンダ60の領域61内の作動油がタンクTに落ちる。これに伴って、ブームシリンダ60内のピストンが図面右側に移動し、ブームシリンダ60が伸長してブーム6が持ち上がる。
また、図2に示すように、停止弁17は、油路x1に設けられ、給排制御弁13にかかるパイロット圧(操作圧)を制御する。停止弁17には、ブーム停止ソレノイド18が設けられている。停止弁17は、ブーム停止ソレノイド18が励磁状態である場合に開放され、非励磁状態である場合に閉じられる。
このため、操作レバー15を介してブーム6の上げ操作が受け付けられている最中であっても、ブーム停止ソレノイド18を非励磁状態にすれば、停止弁17が閉じられる。これに伴って、右側に移動していた給排制御弁13が図2に示す中立位置に戻る。そのため、ブームシリンダ60の領域62への作動油の供給が停止し、ブーム6の上げが停止する。
続いて、アームシリンダ70の油圧回路について説明する。図3に示すように、アームシリンダ70の油圧回路には、アームシリンダ70に作動油を供給するための油圧ポンプ21と、作動油の給排を制御する給排制御弁23と、給排制御弁23を操作するための操作レバー25と、アーム7の引きを停止するための停止弁27とが備えられている。
給排制御弁23は、操作レバー25の操作に応じて、図3に示す中立位置から左右のいずれか一方に移動し、アームシリンダ70を伸長又は縮小させる。
具体的には、操作レバー25の操作に応じて、給排制御弁23が図3の中立位置から左側に移動すると、油路y4と油路y5とが接続されるとともに、油路y6がタンクTに接続される。これにより、油圧ポンプ21からアームシリンダ70の領域71に作動油が供給されるとともに、アームシリンダ70の領域72内の作動油がタンクTに落ちる。これに伴って、アームシリンダ70内のピストンが図面左側に移動し、アームシリンダ70が縮小してアーム7が引かれる。
一方、操作レバー25の操作に応じて、給排制御弁23が図3の中立位置から右側に移動すると、今度は油路y4と油路y6とが接続されるとともに、油路y5がタンクTに接続される。これにより、油圧ポンプ21からアームシリンダ70の領域72に作動油が供給されるとともに、アームシリンダ70の領域71内の作動油がタンクTに落ちる。これに伴って、アームシリンダ70内のピストンが図面右側に移動し、アームシリンダ70が伸長してアーム7が押される。
また、図3に示すように、停止弁27は、油路x2に設けられ、給排制御弁23にかかるパイロット圧(操作圧)を制御する。停止弁27には、アーム停止ソレノイド28が設けられている。停止弁27は、アーム停止ソレノイド28が励磁状態である場合に開放され、非励磁状態である場合に閉じられる。
このため、操作レバー25を介してアーム7の引き操作が受け付けられている最中であっても、アーム停止ソレノイド28を非励磁状態にすれば、停止弁27が閉じられる。これに伴って、左側に移動していた給排制御弁23が図3に示す中立位置に戻る。そのため、アームシリンダ70の領域71への作動油の供給が停止し、アーム7の引きが停止する。
次に、図4を参照しながら、ブーム6及びアーム7を制御する制御装置30について説明する。
図4に示すように、制御装置30には、ブーム用ポテンショメータ19と、アーム用ポテンショメータ29と、ブーム停止ソレノイド18と、アーム停止ソレノイド28とが接続されている。
ブーム用ポテンショメータ19は、ブームの回動角度を電圧に変換するための機器であり、アーム用ポテンショメータ29は、アームの回動角度を電圧に変換するための機器である。ブーム停止ソレノイド18は、停止弁17に設けられたソレノイドであり(図2参照)、アーム停止ソレノイド28は、停止弁27に設けられたソレノイドである(図3参照)。
制御装置30は、図4に示すように、ブーム角度演算部31と、アーム角度演算部33と、制限部35と、記憶部37とを備えている。なお、ブーム角度演算部31、アーム角度演算部33及び制限部35の処理はCPU等によって実行される。
ブーム角度演算部31は、ブーム用ポテンショメータ19によって出力される電圧に基づいて、水平方向に対するブーム6の角度をブーム角度Bとして算出する処理部である。
アーム角度演算部33は、アーム用ポテンショメータ29によって出力される電圧に基づいて、ブーム6に対するアーム7の角度をアーム角度Aとして算出する処理部である。
制限部35は、ブーム角度演算部31により算出されたブーム角度Bとアーム角度演算部33により算出されたアーム角度Aとに基づいて、ブーム6の上げ動作を制限すると共に、アーム7の引き動作を制限する処理部である。
<1−2.動作>
次に、図5のフローチャートを参照しながら、第1アーム制限角度A1と、ブーム制限角度B1と、第2アーム制限角度A2との設定処理について説明する。
ステップS11では、制御装置30は、第1アーム制限角度A1を設定する。第1アーム制限角度A1とは、ブーム6に対するアーム7の角度であって、ブーム6の位置にかかわらずマグネット8(アタッチメント5の先端)がキャブ4に干渉しない最小の角度である。
本実施形態では、アタッチメント5の先端であるマグネット8がキャブ4に最も干渉し易いのは、図6に示すように、キャブ4が最上部に位置する状態においてブーム6を一番上に持ち上げてアーム7を引く場合である。したがって、ブーム6を一番上に持ち上げた状態でアタッチメント5の先端であるマグネット8がキャブ4に干渉しなければ、ブーム6がいずれの位置にあってもマグネット8とキャブ4とは干渉しない。
そこで、ステップS11では、キャブ4を最上部に移動させてブーム6を一番上まで持ち上げた後、図6に示すように、アタッチメント5の先端であるマグネット8がアーム引き制限域BDに接するまでアーム7を引く。なお、アーム引き制限域BDは、キャブ4前面の昇降軌跡から所定長さだけ前方に設定されるものとする。
そして、図6に示すように、アーム7をアーム引き制限域BDまで引いた場合のブーム6に対するアーム7の角度は、ブーム6の位置にかかわらずマグネット8(アタッチメント5の先端)がキャブ4に干渉しない最小の角度となる。
そこで、図6に示す状態において、アーム角度演算部33は、アーム用ポテンショメータ29によって出力される電圧に基づきブーム6に対するアーム7の角度(ここでは36度)を第1アーム制限角度A1として算出する。この後、制御装置30は、算出された第1アーム制限角度A1を記憶部37に記憶する。
次に、ステップS12では、制御装置30は、ブーム制限角度B1を設定する。ブーム制限角度B1とは、水平方向に対するブーム6の角度であって、アタッチメント5の種類やサイズ、作業内容等に基づいて設定される角度である。
本実施形態では、図7に示すように、アーム7の先端(アームトップとも称する)とブーム6の基端(ブームフットとも称する)とがほぼ同じ高さとなる位置がグラウンドレベルの作業に最も適している。
そこで、本実施形態では、上述のステップS11の処理が完了すると、図7に示すように、キャブ4を最下部に移動させるとともに、ブーム6に対するアーム7の角度(ここでは36度)を保ったまま、アーム7の先端がブーム6の基端とほぼ同じ高さになるまでブーム6を降ろす。
そして、ブーム角度演算部31は、ブーム用ポテンショメータ19によって出力される電圧に基づき水平方向に対するブーム6の角度(ここでは38度)をブーム制限角度B1として算出する。この後、制御装置30は、算出されたブーム制限角度B1を記憶部37に記憶する。
ここで、ブーム6に対するアーム7の角度(ここでは36度)を保った状態でブーム6を図7に示す位置まで降ろすと、アタッチメント5の先端であるマグネット8とアーム引き制限域BDとの間に間隙が生じる。
最後に、ステップS13では、制御装置30は、第2アーム制限角度A2を設定する。第2アーム制限角度A2とは、ブーム6に対するアーム7の角度であって、ブーム角度Bがブーム制限角度B1である場合にアタッチメント5の先端であるマグネット8がキャブ4に干渉しない最小の角度である。
ここでは、ステップS12の処理が完了した時点において、ブーム角度Bがブーム制限角度B1となっている。また、図7に示すように、アタッチメント5の先端であるマグネット8とアーム引き制限域BDとの間には間隙が生じている。
そこで、図8に示すように、アタッチメント5の先端であるマグネット8がアーム引き制限域BDに接するまでアーム7を更に引く。そして、アーム角度演算部33は、アーム用ポテンショメータ29によって出力される電圧に基づきブーム6に対するアーム7の角度(ここでは25度)を第2アーム制限角度A2として算出する。この後、制御装置30は、算出された第2アーム制限角度A2を記憶部37に記憶する。
以上のような動作により、第1アーム制限角度A1と、ブーム制限角度B1と、第2アーム制限角度A2とが記憶部37に記憶される。
続いて、図9のフローチャートを参照しながら、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作の制限処理について説明する。なお、以下の図9に示すフローチャートの処理は、アタッチメント5が動作している最中は所定の間隔で実行される。
まず、ステップS21では、制御装置30は、アーム角度Aが第1アーム制限角度A1よりも大きいか否かを判定する。具体的には、まず、アーム角度演算部33は、現時点でのアーム角度Aを算出する。次に、制限部35は、記憶部37内の第1アーム制限角度A1を取得し、アーム角度Aとの大小判定を行う。
ステップS21において、アーム角度Aが第1アーム制限角度A1よりも大きいと判定されると(S21:YES)、ステップS29に進む。ステップS29では、制限部35は、ブーム停止ソレノイド18を励磁状態にするとともに、アーム停止ソレノイド28を励磁状態にする。これによって、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作がそれぞれ許可される。
一方、ステップS21において、アーム角度Aが第1アーム制限角度A1以下であると判定されると(S21:NO)、ステップS23の判定処理に進む。
ステップS23では、制御装置30は、アーム角度Aが第2アーム制限角度A2よりも大きいか否かを判定する。具体的には、制限部35は、記憶部37内の第2アーム制限角度A2を取得し、アーム角度Aとの大小判定を行う。
ステップS23において、アーム角度Aが第2アーム制限角度A2よりも大きいと判定されると(S23:YES)、後述のステップS25の判定処理に進む。一方、アーム角度Aが第2アーム制限角度A2以下であると判定されると(S23:NO)、ステップS27に進む。ステップS27では、制限部35は、ブーム停止ソレノイド18を非励磁状態にするとともに、アーム停止ソレノイド28を非励磁状態にする。これによって、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作がそれぞれ停止される。
ステップS25では、制御装置30は、ブーム角度Bがブーム制限角度B1より小さいか否かを判定する。具体的には、まず、ブーム角度演算部31は、現時点でのブーム角度Bを算出する。次に、制限部35は、記憶部37内のブーム制限角度B1を取得し、ブーム角度Bとの大小判定を行う。
ステップS25において、ブーム角度Bがブーム制限角度B1より小さいと判定されると(S25:YES)、上述のステップS29に進み、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作がそれぞれ許可される。
一方、ステップS25において、ブーム角度Bがブーム制限角度B1以上であると判定されると(S25:NO)、上述のステップS27に進み、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作がそれぞれ停止される。
図10は、ブーム角度B及びアーム角度Aに応じたブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作を纏めた表である。
図10に示すように、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作は、ブーム角度B及びアーム角度Aに応じた4つのパターンPT1〜PT4に分けられる。
パターンPT1では、アーム角度Aが第1アーム制限角度A1より大きい場合には、ブーム角度Bの値に関係なく、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作の双方が許可される。
パターンPT2では、アーム角度Aが第1アーム制限角度A1以下であって第2アーム制限角度A2より大きい値であり、且つ、ブーム角度Bがブーム制限角度B1よりも小さい値である場合には、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作の双方が許可される。
パターンPT3では、アーム角度Aが第1アーム制限角度A1以下であって第2アーム制限角度A2より大きい値であり、且つ、ブーム角度Bがブーム制限角度B1以上の値である場合には、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作の双方が停止される。
パターンPT4では、アーム角度Aが第2アーム制限角度A2以下の値である場合には、ブーム角度Bの値に関係なく、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作の双方が停止される。
以上、本実施形態のスクラップローダ1によれば、アタッチメント5の先端であるマグネット8とキャブ4との干渉防止に使用するブーム制限角度B1、第1アーム制限角度A1及び第2アーム制限角度A2のそれぞれをブーム6及びアーム7の長さを用いることなく算出することが可能である。
また、本実施形態では、第1アーム制限角度A1のみならず、第2アーム制限角度A2を用いて、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作が制御されるので、ブーム6及びアーム7の作業範囲をより広く確保することが可能である。
例えば、第1アーム制限角度A1のみを用いてブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作を制御しようとすると、アーム角度Aが第1アーム制限角度A1以下になった時点において、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作を停止しなければならない。
これに対して、本実施形態では、第2アーム制限角度A2をも用いる。このため、アーム角度Aが第1アーム制限角度A1以下になったとしても、アーム角度Aが第2アーム制限角度よりも大きく、ブーム角度Bがブーム制限角度B1よりも小さければ、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作が許容される。そのため、特にグラウンドレベルに近い領域において、ブーム6及びアーム7の作業範囲をより広く確保することが可能である。
<2.変形例>
本発明による建設機械は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
例えば、上記実施形態では、本発明の思想をスクラップローダ1に適用する場合を例示したが、これに限定されず、油圧ショベル等のその他の建設機械に適用するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、キャブ4が昇降可能なリンク式のキャブにより構成される場合を例示したが、これに限定されず、昇降可能なエレベータキャブや昇降機能を有しない固定キャブ等により構成されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、図9のフローチャートにおいて、ステップS23又はステップS25においてNOと判定されると、ステップS27に進み、ブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作の双方が停止される場合を例示したが、これに限定されない。
例えば、ステップS23又はステップS25においてNOと判定されると、キャブ4内に設けられた一時解除スイッチ又は常時解除スイッチがONであるか否かを更に判定し、ONであると判定された場合には、ブーム6の上げ動作を停止する一方、アーム7の引き動作を許可するようにしてもよい。なお、一時解除スイッチ又は常時解除スイッチがONでないと判定された場合には、図9のステップS27と同様にブーム6の上げ動作及びアーム7の引き動作の双方を停止する。
また、上記実施形態では、マグネット8が取り付けられた状態で図5のフローチャートの設定処理が行われる場合を例示したが(図6〜図8)、これに限定されず、例えば、マグネット8が取り外された状態で当該設定処理が行われるようにしてもよい。このような変形例では、アームの先端(アームトップ)をアタッチメントの先端とすればよい。
また、上記実施形態では、停止弁17にブーム停止ソレノイド18が設けられ、停止弁27にアーム停止ソレノイド28が設けられる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ブーム停止ソレノイド18の代わりにブーム停止比例弁を設け、アーム停止ソレノイド28の代わりにアーム停止比例弁を設けるようにしてもよい。かかる変形例によれば、停止弁17,27へのパイロット圧を無段階又は段階的に制御できるので、ブーム6やアーム7の停止に伴うショックを緩和することが可能である。
例えば、図11に示すように、アーム7を引いている最中のアーム角度Aが第2アーム制限角度A2に所定角度(例えば5度)を加算した角度(A2+5)よりも小さくなると、停止弁27へのパイロット圧を最大圧から徐々に減圧し、アーム角度Aが第2アーム制限角度A2になった時点でゼロになるように制御する。
これによれば、アーム7の引きの速度が徐々に減速するため、アーム7の停止に伴うショックを緩和することが可能である。
また、図12に示すように、アーム7を引いている最中のアーム角度Aが第2アーム制限角度A2に所定角度(例えば5度)を加算した角度(A2+5)より小さくなると、パイロット圧を最大圧から予め定められた一定の減速圧に切り替え、当該減速圧をアーム角度Aが第2アーム制限角度A2になるまで維持する。そして、アーム角度Aが第2アーム制限角度A2になると、パイロット圧を減速圧からゼロに切り替える。つまり、アーム7の引きの速度を「全速から減速」、「減速からゼロ」の2段階で切り替える2速切替式とする。
これによれば、アーム7の引き速度が、全速の状態から一旦減速状態に切り替えられ、その後、減速の状態からゼロの状態に切り替えられるので、アーム7の停止に伴うショックを緩和することが可能である。
以上のように本発明にかかる建設機械は、アタッチメント先端とキャブとの干渉防止機能を有する建設機械に適用可能である。
1 スクラップローダ、2 下部走行体、3 機械本体、4 キャブ、
5 アタッチメント、6 ブーム、7 アーム、8 マグネット、11 油圧ポンプ、
13 給排制御弁、15 操作レバー、18 ブーム停止ソレノイド、
19 ブーム用ポテンショメータ、21 油圧ポンプ、23 給排制御弁、
25 操作レバー、27 停止弁、28 アーム停止ソレノイド、
29 アーム用ポテンショメータ、30 制御装置、31 ブーム角度演算部、
33 アーム角度演算部、35 制限部、37 記憶部、40 入力部、
60 ブームシリンダ、61,62 領域、70 アームシリンダ、
71,72 領域、80 マグネット用シリンダ、A アーム角度、
A1,A2 アーム制限角度、B ブーム角度、B1 ブーム制限角度、BD 制限域、
PT1〜PT4 パターン、T タンク、y1〜y6 油路

Claims (6)

  1. 建設機械であって、
    キャブを有する機械本体と、
    前記機械本体に回動可能に取り付けられるブームと当該ブームの先端に回動可能に取り付けられるアームとを有するアタッチメントと、
    水平方向に対する前記ブームの角度をブーム角度として算出するブーム角度演算部と、
    前記ブームに対する前記アームの角度をアーム角度として算出するアーム角度演算部と、
    前記ブーム角度及び前記アーム角度に基づいて、前記ブームの上げ動作を制限するとともに前記アームの引き動作を制限する制限部と、
    を備え、
    前記水平方向に対する前記ブームの角度であって、前記アタッチメントと作業内容との少なくとも一方に応じて設定される角度をブーム制限角度とし、
    前記ブームに対する前記アームの角度であって、前記ブームの位置にかかわらず前記アタッチメントの先端が前記キャブに干渉しない最小の角度を第1アーム制限角度とし、
    前記ブームに対する前記アームの角度であって、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度である場合に前記アタッチメントの先端が前記キャブに干渉しない最小の角度を第2アーム制限角度とし、
    前記制限部は、前記ブーム制限角度と前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度とを参照し、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度との間の値であり、且つ、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度よりも小さい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を許可することを特徴とする建設機械。
  2. 請求項1に記載の建設機械において、
    前記制限部は、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度との間の値であり、且つ、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度よりも大きい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を停止することを特徴とする建設機械。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の建設機械において、
    前記制限部は、前記アーム角度が前記第2アーム制限角度よりも小さい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を停止することを特徴とする建設機械。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建設機械において、
    前記制限部は、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度よりも大きい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を許可することを特徴とする建設機械。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建設機械において、
    前記ブームの回動角度を検出するブーム用ポテンショメータと、
    前記アームの回動角度を検出するアーム用ポテンショメータと、
    励磁状態と非励磁状態とを切り替えることにより前記ブームの上げ動作を許可又は停止するブーム停止弁と、
    励磁状態と非励磁状態とを切り替えることにより前記アームの引き動作を許可又は停止するアーム停止弁と、
    をさらに備え、
    前記ブーム角度演算部は、前記ブーム用ポテンショメータによって出力される電圧に基づいて前記ブーム角度を算出し、
    前記アーム角度演算部は、前記アーム用ポテンショメータによって出力される電圧に基づいて前記アーム角度を算出し、
    前記制限部は、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度との間の値であり、且つ、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度よりも小さい値である場合に、前記ブーム停止弁及び前記アーム停止弁を制御して、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を許可することを特徴とする建設機械。
  6. 機械本体に回動可能に取り付けられるブームと当該ブームの先端に回動可能に取り付けられるアームとを有するアタッチメントを備える建設機械を制御するための制御装置であって、
    水平方向に対する前記ブームの角度をブーム角度として算出するブーム角度演算部と、
    前記ブームに対する前記アームの角度をアーム角度として算出するアーム角度演算部と、
    前記ブーム角度及び前記アーム角度に基づいて、前記ブームの上げ動作を制限するとともに前記アームの引き動作を制限する制限部と、
    を備え、
    前記水平方向に対する前記ブームの角度であって、前記アタッチメントと作業内容との少なくとも一方に応じて設定される角度をブーム制限角度とし、
    前記ブームに対する前記アームの角度であって、前記ブームの位置にかかわらず前記アタッチメントの先端が前記機械本体のキャブに干渉しない最小の角度を第1アーム制限角度とし、
    前記ブームに対する前記アームの角度であって、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度である場合に前記アタッチメントの先端が前記キャブに干渉しない最小の角度を第2アーム制限角度とし、
    前記制限部は、前記ブーム制限角度と前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度とを参照し、前記アーム角度が前記第1アーム制限角度と前記第2アーム制限角度との間の値であり、且つ、前記ブーム角度が前記ブーム制限角度よりも小さい値である場合に、前記ブームの上げ動作及び前記アームの引き動作を許可することを特徴とする制御装置。
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