JP2016030768A - 燃焼抑制剤、可燃性材料の燃焼抑制方法および燃焼抑制剤含有の可燃性材料 - Google Patents

燃焼抑制剤、可燃性材料の燃焼抑制方法および燃焼抑制剤含有の可燃性材料 Download PDF

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孝一 西本
長谷川 寛
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寛 長谷川
佐知 小谷
Sachi Kotani
佐知 小谷
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Abstract

【課題】 可燃性材料の燃焼抑制処理を安全かつ効率的に行うことができ、また、一回の処理でも充分な燃焼抑制効果が得られ、しかも、木質系材料にアルカリ焼けによる外観上の問題も生じない燃焼抑制剤、及びこの燃焼抑制剤を用いた可燃性材料の燃焼抑制方法、及び燃焼抑制剤を含有させた可燃性材料を提供すること。
【解決手段】 ホウ酸、ホウ酸塩およびリン酸塩と、15重量%未満のエチレングリコールまたはポリエチレングリコールとを含有する水系溶液を燃焼抑制剤に使用すると共に、前記ホウ酸並びにホウ酸塩およびリン酸塩を含む無機塩の含有量を合計で25〜45重量%とし、かつ、常温における前記水系溶液のpHが7〜8となるようにした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、可燃性材料に燃焼抑制効果をもたらす燃焼抑制剤の改良、詳しくは、可燃性材料の燃焼抑制処理を簡単に行うことができ、かつ、優れた燃焼抑制効果が得られる燃焼抑制剤、及びこの燃焼抑制剤を用いた可燃性材料の燃焼抑制方法、及び前記燃焼抑制剤を含有させた可燃性材料に関するものである。
周知のとおり、現在の建築基準法では、準耐火建築物の主要構造部に不燃材料を使用する必要があるため、屋根材には、粘土瓦、コンクリート瓦、金属製瓦等が主に使用されている。その一方で、檜皮や萱、杉板等の可燃性材料については、重要文化財に指定される等、特別な理由がない限り屋根材として使用できないこととなっている。
そこで、従来においては、水溶液中にホウ酸やホウ砂、リン酸水素二アンモニウム等を含む難燃剤(特許文献1参照)を塗布して、可燃性材料を屋根材として使用できるようにする技術も開発されているが、この従来の難燃剤は、ホウ酸及び無機塩の濃度が低かったため、一回の塗布で充分な量の有効成分を付着させることができなかった。
また、上記低濃度の難燃剤を使用する場合、難燃剤を塗り重ねて有効成分の付着量を増やすことは可能であるものの、檜皮葺きの屋根等は濡れると非常に滑り易い状態となるため、塗布作業時に作業者が足を滑らせて落下する危険があった。また更に、塗布と乾燥を繰り返す方法だと、燃焼抑制処理に多くの手間と時間がかかる問題があった。
一方、従来においては、水溶液中にホウ砂、ホウ酸及びリン酸水素ナトリウムを含有する耐火剤も公知となっているが(特許文献2参照)、この耐火剤に関しては、液性がアルカリ性であったため、木材等に耐火剤を塗布すると、木材等の表面がアルカリ焼けによって黒く変色してしまい屋根材としての外観が損なわれるという欠点があった。
また、上記文献2に記載された耐火剤に関しては、木材等への耐火剤の浸透を促進する浸透助剤が含まれていなかったため、耐火剤を塗布しても薬剤が木材等の表面ではじかれて内部まで浸透しない等、浸透性にも問題があった。そのため、耐火剤中に有効成分を高濃度に含有させた場合でも、充分な燃焼抑制効果を得ることが難しかった。
また他にも、従来においては、浸透助剤を難燃剤に添加する内容を示唆した文献も存在しているが(特許文献3,4参照)、これらの文献では、難燃剤のpHバランスに触れていないため、添加物の組合せや濃度によってアルカリ性が強くなり過ぎたり、またpHバランスの崩れによって添加物が水溶液中に結晶析出したりする問題があった。
特開昭53−69496号公報 特開2007−55271号公報 特開平6−264395号公報 特開2003−226877号公報
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、可燃性材料の燃焼抑制処理を安全かつ効率的に行うことができ、また、一回の処理でも充分な燃焼抑制効果が得られ、しかも、木質系材料にアルカリ焼けによる外観上の問題も生じない燃焼抑制剤、及びこの燃焼抑制剤を用いた可燃性材料の燃焼抑制方法、及び燃焼抑制剤を含有させた可燃性材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、ホウ酸をより高濃度に配合可能で、かつ、pHバランスも最適な燃焼抑制剤の材料の組合せ及び配合比を鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ホウ酸、ホウ酸塩およびリン酸塩と、15重量%未満のエチレングリコールまたはポリエチレングリコールとを含有する水系溶液を燃焼抑制剤に使用すると共に、前記ホウ酸並びにホウ酸塩およびリン酸塩を含む無機塩の含有量を合計で25〜45重量%とし、かつ、常温における前記水系溶液のpHが7〜8となるようにした点に特徴がある。なお、常温とはJIS Z 8703によると、20℃±15℃である。
また、上記水系溶液中における各成分の濃度については、燃焼抑制効果とpHバランスを考慮してホウ酸5〜15重量%、ホウ酸塩2.5〜20重量%、リン酸塩10〜25重量%の範囲で調整するのが好ましい。
また更に、上記水系溶液中に含有させるエチレングリコールまたはポリエチレングリコールについては、燃焼抑制剤の浸透性を確保するために含有量を1〜10重量%とするのがより好ましい。
他方また、上記水系溶液中に含有させるホウ酸塩には、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)の使用が好ましく、またリン酸塩には、リン酸水素二アンモニウムまたはリン酸二水素アンモニウムの使用が好ましい。
また、上記ポリエチレングリコールについては、無機塩類の溶解度低下による結晶析出が起こらないように平均分子量が106〜500のポリエチレングリコールを使用するのが好ましい。
一方、本発明では、上記燃焼抑制剤を用いて、可燃性材料の表面処理、含浸処理、注入処理または拡散浸透処理を行い、前記燃焼抑制剤中の含有成分を可燃性材料に付着させることによって可燃性材料に優れた燃焼抑制効果を付与することができる。なお「表面処理」には、刷毛等を使った塗布処理やスプレー等を使った噴霧処理が含まれるものとする。
また、上記可燃性材料については、紙やポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を含む燃える素材全般を指すが、その中でも特に木質系材料を対象とするのが好ましい。なお、上記木質系材料には、檜皮葺き等に使われる檜皮や杉皮等の樹皮材、柿葺きなどの板葺きに使われる檜、杉、桜や榎などの厚さ2mmから30mmの薄板材、杉板や檜板の無垢材、チガヤやススキ等の萱材、及び合板やパーティクルボード等の木質材料などが含まれる。特に本発明は檜皮に対して好適に使用できる。
また更に、本発明においては、上記燃焼抑制剤の溶脱を抑制するために、燃焼抑制剤を可燃性材料に表面処理、含浸処理、注入処理または拡散浸透処理した後、可燃性材料の表面を塗装することもできる。なお塗装方法は、塗膜を表面に均一に形成できる方法であればよく、刷毛やローラーによる塗布やスプレー等による吹き付けを採用できる。
また、上記可燃性材料の塗装に用いる塗料としては、スチレンと、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの一方または両方との共重合体または3元共重合体を含む水性塗料を好適に使用できる。他の水性塗料では、塗装した際に燃焼抑制剤の成分と反応して凝集や表面の色調の変化等の問題が生じる。
そしてまた、上記燃焼抑制剤が表面処理、含浸処理、注入処理または拡散浸透処理された可燃性材料については、建築材料として準耐火建築物の主要構造部に使用できるだけでなく、耐火性が求められる他の用途にも使用することができる。
本発明では、燃焼抑制剤の有効成分としてホウ酸、ホウ酸塩およびリン酸塩を使用すると共に、これらの成分と相性の良いエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを浸透助剤として使用したことにより、木質系材料に対する燃焼抑制剤の浸透性を向上させることができるため、木質系材料の内部まで有効成分を容易に付着させることができる。
また本発明では、水系溶液のpHを7〜8に調整することによって、上記ホウ酸やホウ酸塩、リン酸塩を25〜45重量%の高濃度まで安定に含有させることができるため、処理1回当たりにおける有効成分の付着量を増大させることができる。
そして、上記のように燃焼抑制剤の有効成分を木質系材料に付着させ易くしたことにより、施行後の屋根上において、木質系材料から成る屋根材を燃焼抑制処理する場合でも、燃焼抑制剤の塗布作業を1回行うだけで充分な燃焼抑制効果が得られるため、塗布作業を迅速かつ安全に行うことができる。
しかも、本発明では、上記のように燃焼抑制剤のpHバランスを調整して中性に近づけたことによって、木質系材料に燃焼抑制剤を塗布した場合でも、木質系材料の表面がアルカリ焼けを起こして変色するようなこともないため、燃焼抑制処理を施した檜皮葺きの屋根等が黒ずんで外観が悪化するような問題も生じない。
したがって、本発明により、短時間の処理で非常に高い燃焼抑制効果が得られるだけでなく、木質系材料を処理対象とする場合でもその良好な外観を保持できる機能性に優れた燃焼抑制剤、及びその燃焼抑制剤によって処理された燃焼抑制効果の高い可燃性材料を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
燃焼抑制効果の確認試験(2)の試験結果を表す屋根サンプルの写真である。 燃焼抑制効果の確認試験(2)の試験結果を表す屋根サンプルの写真である。 燃焼抑制効果の確認試験(2)の試験結果を表す屋根サンプルの写真である。 燃焼抑制効果の確認試験(2)の試験結果を表す屋根サンプルの写真である。
次に、本発明を実施するための具体的態様及び好ましい条件について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
[燃焼抑制剤の配合成分と配合比率]
まず本発明の燃焼抑制剤では、水を溶媒に用いると共に、ホウ酸、ホウ酸塩及びリン酸塩、並びにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを溶質として用いる。また本発明では、水系溶液中におけるホウ酸並びにホウ酸塩およびリン酸塩を含む無機塩の含有量が、合計で25〜45重量%となるようにする。
そして更に、本発明では、上記水系溶液のpHが7〜8となるように各成分の含有量を調整する。具体的には、水系溶液のpHを前記範囲内に調整するために、水系溶液中における有効成分の濃度を、ホウ酸5〜15重量%、ホウ酸塩2.5〜20重量%、リン酸塩10〜25重量%の範囲で調節するのが好ましい。
また、浸透助剤として用いる上記エチレングリコールまたはポリエチレングリコールについては、水系溶液中で無機塩類の結晶析出が起こらないように、エチレングリコールまたは平均分子量が106〜500のポリエチレングリコールを使用し、その含有量を15重量%未満となるように調整するのが好ましいが、1〜10重量%の範囲がより好ましい。
[ホウ酸塩]
本発明で水系溶液に含有させるホウ酸塩には、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)を好適に使用できるが、他にも、メタホウ酸ナトリウムやホウ酸アンモニウム等を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
[リン酸塩]
本発明で水系溶液に含有させるリン酸塩には、リン酸水素二アンモニウムまたはリン酸二水素アンモニウムを好適に使用できるが、他にも、リン酸水素二ナトリウム等を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
[溶脱防止用塗料]
また本発明において、上記燃焼抑制剤の溶脱防止を目的として使用される塗料には、スチレンと、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの一方または両方との共重合体または3元共重合体を含む水性塗料を使用することができる。なお、水性塗料は、分散型のエマルジョン塗料であっても溶液型の水性塗料であってもよいが、分散型のエマルジョン塗料が好ましい。
[可燃性材料の燃焼抑制方法]
可燃性材料に対して、上記燃焼抑制剤を用いた表面処理、含浸処理、注入処理または拡散浸透処理を行い、燃焼抑制剤中の含有成分を可燃性材料に付着させることによって、可燃性材料に燃焼抑制効果を付与する。なお、処理対象となる可燃性材料は、檜皮や萱、杉板等の木質系材料であることが好ましいが、可燃性を有する紙や布帛等であってもよい。
なお、上記燃焼抑制剤の付着量については、可燃性材料1m2あたり0.05kgから1.0kgの範囲(0.05kg/m2から1.0kg/m2の範囲)とするのが好ましいが、0.1kg/m2から0.8kg/m2の範囲がより好ましく、0.2kg/m2から0.5kg/m2の範囲が更に好ましい。これは、0.05kg/m2未満では燃焼抑制効果が十分でなく、また1.0kg/m2を超えて付着させてもそれに見合う燃焼抑制効果が得られない場合もある。
また更に、上記燃焼抑制剤による表面処理等を行った後は、可燃性材料から燃焼抑制剤が溶脱する現象を防止するために、可燃性材料の表面を塗装するのが好ましい。なお可燃性材料の塗装方法については、塗膜を可燃性材料の表面に均一に形成できる方法であればよく、主に塗布や噴霧等の方法を採用することができる。
また、上記可燃性材料の塗装に用いる塗料に関しては、スチレンと、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの一方または両方との共重合体または3元共重合体を含む水性塗料を好適に使用できるが、塗装した際に燃焼抑制剤の成分と反応して凝集や表面の色調の変化等の問題が生じなければ、他の塗料を使用することもできる。
なお、上記塗装に使う塗料の塗布量については、0.01kg/m2から0.5kg/m2の範囲であれば特に問題なく燃焼抑制剤の溶脱防止効果を期待できるが、0.02kg/m2から0.2kg/m2の範囲が好ましく、0.05kg/m2から0.125kg/m2の範囲が更に好ましい。これは、0.01kg/m2未満だと降雨等による燃焼抑制剤の溶脱を防止する効果が十分でなく、また0.2kg/m2を超えて塗布してもそれ以上の溶脱防止効果が得られない場合がある。
『燃焼抑制剤の調製例[1]』
まず、この調製例[1]では、以下の態様で実施例1〜4および比較例1〜10の薬剤を調製した。また本調製例では、ホウ酸塩にホウ砂(四ホウ酸ナトリウム・十水和物)を使用すると共に、リン酸塩に、リン酸水素二アンモニウムを使用した。また浸透助剤には、平均分子量200のポリエチレングリコール(青木油脂工業株式会社製ブラウノンPEG200)を使用した。
「実施例1」
65℃に加温した水59g中にポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えた薬剤。
「実施例2」
65℃に加温した水50g中にポリエチレングリコール10gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えた薬剤。
「実施例3」
65℃に加温した水55g中にポリエチレングリコール10gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸5g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えた薬剤。
「実施例4」
65℃に加温した水65g中にポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えた薬剤。
「比較例1」
65℃に加温した水55g中にホウ酸15g及びホウ砂20gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えた薬剤。
「比較例2」
65℃に加温した水60g中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えた薬剤。
「比較例3」
65℃に加温した水70g中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えた薬剤。
「比較例4」
65℃に加温した水60g中にホウ酸15g及びホウ砂25gを溶かした薬剤。
「比較例5」
65℃に加温した水60g中にホウ酸27gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム13gを加えた薬剤。
「比較例6」
水80g中にリン酸水素二アンモニウム20gを加えた薬剤。
「比較例7」
65℃に加温した水55g中にポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸15gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム25gを加えた薬剤。
「比較例8」
65℃に加温した水64g中にポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸15g及びホウ砂20gを溶かした薬剤。
「比較例9」
65℃に加温した水59g中にポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ砂20gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えた薬剤。
「比較例10」
水70g中にポリエチレングリコール30gを溶かした薬剤。
「燃焼抑制効果の確認試験(1)」
この確認試験(1)では、上記調製例[1]で調製した各薬剤の燃焼抑制効果を、以下の試験方法により確認した。
<試験方法>
まず、可燃性材料の試験片(サイズ16cm×4cm、重量3.5g〜4.5gの檜皮)に、上記調製例[1]の薬剤を檜皮と同じ重量だけ刷毛で塗布した。そして、試験片を60℃の恒温槽で30分乾燥させた後、室温で一晩乾燥させた。その後、JIS L 1091繊維製品の燃焼性試験方法を参考にして、試験片を45度の角度を付けてアルコールランプから3cm上方に、かつ、試験片の先端部がアルコールランプ真上の中間部位から斜め上3cmの位置にくるように配置した。そして、アルコールランプを点火して試験片が燃え始めるまでの時間をタイマーで計測した。
そして上記試験の結果、以下の表1に示すように、実施例1〜4の薬剤を塗布した試験片は300秒以上発火が起こらず、比較例1〜10の薬剤よりも優れた燃焼抑制効果を有していることが分かった。なお表中のブランクは、試験片に薬剤を塗布せずに試験を行った結果である。また、ポリエチレングリコールを配合していない比較例1〜6については、試験片の表面でハジキが起こって薬剤を均一に塗布できなかった。
『燃焼抑制剤の調製例[2]』
まず、この調製例では、以下の態様で実施例A〜Sおよび比較例a〜oの薬剤を調製した。また本調製例においても、調製例[1]と同様、ホウ酸塩にホウ砂(四ホウ酸ナトリウム・十水和物)を使用すると共に、リン酸塩にリン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを使用した。
一方、本調製例[2]では、浸透助剤に、平均分子量200のポリエチレングリコール(青木油脂工業株式会社製ブラウノンPEG200)、平均分子量400のポリエチレングリコール(青木油脂工業株式会社製ブラウノンPEG400)、平均分子量1000のポリエチレングリコール(青木油脂工業株式会社製ブラウノンPEG1000)、エチレングリコール(略称「EG」)、ラウリル硫酸ナトリウム(略称「SLS」)の何れかを選択して使用した。
「実施例A」
65℃に加温した水65g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂5gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム15gを加えたpH7.0の薬剤。
「実施例B」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸12g及びホウ砂8gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.1の薬剤。
「実施例C」
65℃に加温した水55g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸12g及びホウ砂8gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.1の薬剤。
「実施例D」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸12g及びホウ砂8gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.1の薬剤。
「実施例E」
65℃に加温した水69g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH7.2の薬剤。
「実施例F」
65℃に加温した水65g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH7.2の薬剤。
「実施例G」
65℃に加温した水55g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.3の薬剤。
「実施例H」
65℃に加温した水55g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.3の薬剤。
「実施例I」
65℃に加温した水55g中に、エチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.3の薬剤。
「実施例J」
65℃に加温した水50g中に、エチレングリコール10gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.3の薬剤。
「実施例K」
65℃に加温した水55g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂15gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム15gを加えたpH7.5の薬剤。
「実施例L」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂15gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム15gを加えたpH7.5の薬剤。
「実施例M」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二ナトリウム20gを加えたpH7.6の薬剤。
「実施例N」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂20gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH7.7の薬剤。
「実施例O」
65℃に加温した水55g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂20gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH7.7の薬剤。
「実施例P」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂20gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH7.7の薬剤。
「実施例Q」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸7g及びホウ砂13gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.8の薬剤。
「実施例R」
65℃に加温した水55g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸7g及びホウ砂13gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.8の薬剤。
「実施例S」
65℃に加温した水65g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸5g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム15gを加えたpH8.0の薬剤。
「比較例a」
65℃に加温した水65g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸15g及びホウ砂5gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH5.4の薬剤。
「比較例b」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸15g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム15gを加えたpH6.7の薬剤。
「比較例c」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸15g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム15gを加えたpH6.7の薬剤。
「比較例d」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸15g及びホウ砂15gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH6.8の薬剤。
「比較例e」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸15g及びホウ砂15gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH6.8の薬剤。
「比較例f」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸13g及びホウ砂7gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH6.9の薬剤。
「比較例g」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸13g及びホウ砂7gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH6.9の薬剤。
「比較例h」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸5g及びホウ砂15gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH8.2の薬剤。
「比較例i」
65℃に加温した水55g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸5g及びホウ砂15gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH8.2の薬剤。
「比較例j」
65℃に加温した水65g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸5g及びホウ砂15gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム10gを加えたpH8.2の薬剤。
「比較例k」
65℃に加温した水55g中に、平均分子量400のポリエチレングリコール5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸5g及びホウ砂20gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム15gを加えたpH8.4の薬剤。
「比較例l」
65℃に加温した水59.5g中に、平均分子量1000のポリエチレングリコール0.5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.3の薬剤。
「比較例m」
65℃に加温した水59.5g中に、ラウリル硫酸ナトリウム0.5gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.3の薬剤。
「比較例n」
65℃に加温した水45g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール15gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えたpH7.3の薬剤。
「比較例o」
65℃に加温した水59g中に、平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸二水素ナトリウム20gを加えたpH7.4の薬剤。
「製剤安定性の確認試験」
この確認試験では、上記調製例[2]で調製した各薬剤の製剤安定性を、以下の試験方法により確認した。
<試験方法>
上記調製例[2]の薬剤をJIS Z 8802に準拠して常温におけるpHを測定したのち、薬剤をスクリュー管に入れて室温で3ヶ月静置時と、室温での静置一年に相当する40℃で1ヶ月静置時の薬剤の溶解の状態(結晶析出の有無)を目視で確認した。そして、各薬剤の製剤安定性について、結晶析出が認められなかったものを“○”、結晶析出が認められたものを“×”で評価した。
その結果、以下の表2に示すように、pHが7.0〜8.0の範囲内となる実施例A〜Sの薬剤については結晶析出が起こらず、製剤安定性が良好であることを確認できた。一方、pHが7.0よりも小さい、または8.0よりも大きい比較例a〜kの薬剤については、結晶析出が見られた。また、浸透助剤に平均分子量が500よりも大きいポリエチレングリコールを用いた比較例lや、ラウリル硫酸ナトリウムを用いた比較例m、平均分子量200のポリエチレングリコールを10重量%を超えて配合した比較例n、またリン酸二水素ナトリウムを用いた比較例oについても、結晶析出が見られた。
『燃焼抑制処理された可燃性材料の調製例[3]』
まず、この調製例[3]では、以下の態様で実施例1〜3及び比較例1〜6の可燃性材料を調製した。また本調製例では、可燃性材料に大きさ16cm×4cm、重量3.5g〜4.5gの檜皮を使用すると共に、燃焼抑制剤に、上記調製例[1]の実施例1に示す薬剤を使用した。なお、燃焼抑制剤は、塗布量が固形分として1.3gになるように檜皮に塗布した。また、実施例および比較例に使用した塗料は、塗布量が固形分として0.7gになるように塗布した。
「実施例1」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む水性塗料(昭和電工社製AP-4750Nを水で5倍に希釈したもの)を塗布して成る可燃性材料。
「実施例2」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む水性塗料(昭和電工社製AP-3820Nを水で5倍に希釈したもの)を塗布して成る可燃性材料。
「実施例3」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む水性塗料(昭和電工社製AP-5150を水で5倍に希釈したもの)を塗布して成る可燃性材料。
「比較例1」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、アクリル酸エステル共重合体樹脂を含む水性塗料(昭和電工社製AP-4795Nを水で5倍に希釈したもの)を塗布して成る可燃性材料。
「比較例2」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、アクリル酸エステル共重合体エマルジョンを含む水性塗料(昭和電工社製AP-4690Nを水で5倍に希釈したもの)を塗布して成る可燃性材料。
「比較例3」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、酢酸ビニル重合水性エマルジョンを含む水性塗料(昭和電工社製S-5501RLを水で5倍に希釈したもの)を塗布して成る可燃性材料。
「比較例4」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、シリコーン乳濁液を含む水性塗料(市販品)を塗布して成る可燃性材料。
「比較例5」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、アルキド系合成樹脂を含む油性塗料(市販品)を塗布して成る可燃性材料。
「比較例6」
燃焼抑制剤を表面に塗布した檜皮を60℃で30分乾燥し、更に室温で一晩静置した後、この檜皮の表面に、アルキル・ウレタン系合成樹脂を含む水性塗料(市販品)塗布して成る可燃性材料。
「燃焼抑制剤の溶脱防止効果の確認試験」
この確認試験では、上記調製例[3]で調製した各可燃性材料について、燃焼抑制剤の溶脱防止用塗料の刷毛塗り感や、塗装後の外観、降雨を想定して水で濡れた後のホウ酸残留率および燃焼性を、以下の試験方法により確認した。
<試験方法>
まず、可燃性材料の表面に、水性塗料を刷毛で塗布した際の刷毛塗り感を確認する。次に、水性塗料を塗布した可燃性材料を、60℃で30分乾燥させた後、可燃性材料の表面に白変が生じていないかを目視で確認する。そして、室温で一晩静置した後、可燃性材料に純水100mlを霧吹きで噴霧し、可燃性材料から溶脱したホウ酸量を測定して、ホウ酸残留率を算出する。そして、耐候性試験後の可燃性材料の外観を確認した後、可燃性材料の燃焼試験を行う。なおホウ酸量の測定には、共立理化学研究所社製水質測定用試薬セットNo.39ホウ素を用いた。また水質計には、同社のラムダー9000(型式:L-9000)を使用し、測定原理としてアゾメチンH法を用いて測定した。
なお、本試験では、刷毛塗り感に関して、塗料のこびりつきが生じず表面に均一に塗布できるものを“○”、塗料がこびりついて均一に塗布できないものを“×”と評価する。また、外観に関しては、白変が生じていないものを“○”、多少白変が生じているものを“△”、激しく白変が生じているものを“×”と評価する。また、燃焼試験の方法は、上記燃焼抑制効果の確認試験と同様の方法を採用する。
そして上記試験の結果、以下の表3に示すように、実施例1〜3の可燃性材料については、水性塗料の刷毛塗り感および塗装後の外観が良好であるだけでなく、水に濡らした後のホウ酸残留率が比較例1〜6よりも格段に高い数値を示した。また、耐候性試験後の燃焼試験においても、優れた結果が得られた。なお表中のブランクは、試験片に水性塗料を塗布せずに試験を行った結果である。
「燃焼抑制効果の確認試験(2)」
この確認試験(2)では、以下の方法を用いて野外試験を行い燃焼抑制効果の有無を確認した。まず新しい檜皮および30年経過した檜皮を用いて、檜皮葺きの屋根を部分的に再現したサイズ30cm×50cmの屋根サンプルを2枚ずつ作製した。なおここでは、新しい檜皮から作製した屋根サンプルを「新檜皮サンプル」、30年経過した檜皮から作製した屋根サンプルを「古檜皮サンプル」と呼ぶ。
そして、上記新檜皮サンプル及び古檜皮サンプルのそれぞれ1枚に対して、燃焼抑制剤が浸透し易くなるように水を散布して、各サンプルを湿潤させた。その後、水で湿潤させた各サンプルに、燃焼抑制剤を、塗布量が1m2あたり0.5kgとなるように散布した。なお本試験では、一度に全量散布して燃焼抑制剤が流れ落ちてしまわないように、2回に分けて0.25kg/m2ずつ散布した。そして燃焼抑制処理を散布した各サンプルを、2日間充分に乾燥させた。
また本試験では、上記燃焼抑制剤に、65℃に加温した水59g中に平均分子量200のポリエチレングリコール1gを溶かした後、その水溶液中にホウ酸10g及びホウ砂10gを溶かし、更にその水溶液が50℃以下に冷めてからリン酸水素二アンモニウム20gを加えた薬剤を使用した。
そして、上記乾燥作業の完了後、乾燥させた各サンプルに、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む水性塗料(昭和電工社製AP-3820Nを水で5倍に希釈したもの)を、塗布量が固形分として0.2kg/m2となるように全体にむらなく散布した。そして塗料を散布した各サンプルを、5日間充分に乾燥させた。
次に、上記薬剤処理を行った新檜皮サンプルと古檜皮サンプル、及び薬剤処理を行わなかった新檜皮サンプルと古檜皮サンプルの合計4種類の屋根サンプルを、45°の角度で傾斜した架台に置き、これらの屋根サンプル上に、カセットコンロバーナーで2分間加熱した種火材(ブナの木を4cm角にカットしたものを表裏中央に互い違いの向きになるように3cmの切り込みをいれたもの)、及び着火剤(2cm×2cmのバーベキュー用紙製着火剤)を載せて5分間観察した。
その結果、図1に示すように、薬剤処理を行った新檜皮サンプルは種火材及び着火剤の下部が少し焦げただけだったのに対し、無処理の新檜皮サンプルは、種火材及び着火剤を取り除いても火が消えずに燃え続けた。また、薬剤処理を行った古檜皮サンプルについても、図2に示すように、種火材及び着火剤の下部が少し焦げただけだったのに対し、無処理の古檜皮サンプルは、裏面まで火が周り燃え抜けた。
そして次に、上記種火材や着火剤等を載せて5分経過した屋根サンプル上から種火材等を取り除き、60分放置した後の各屋根サンプルを観察した。その結果、図3に示すように、薬剤処理を行った新檜皮サンプルは、表面が焦げたのみだったのに対して、無処理の新檜皮サンプルは、燃え続けて焼け落ちた。また、薬剤処理を行った古檜皮サンプルについても、図4に示すように、表面が焦げたのみだったのに対し、無処理の古檜皮サンプルは、燃え続けて焼け落ちた。
以上の結果から、薬剤処理を行った新檜皮サンプル及び古檜皮サンプルが、優れた燃焼抑制効果を有することが確認できた。最後に上記試験結果を纏めた内容を下記表4に示す。
本発明に係る「燃焼抑制剤、可燃性材料の燃焼抑制方法、及び燃焼抑制剤含有の可燃性材料」は、檜皮葺き屋根や茅葺き屋根等を有する日本古来の建築物において活用が見込まれ、また従来よりも優れた燃焼抑制効果が得られるメリットもあることから、産業上の利用可能性は非常に大きい。

Claims (10)

  1. ホウ酸、ホウ酸塩およびリン酸塩と、15重量%未満のエチレングリコールまたはポリエチレングリコールとを含有する水系溶液であって、前記ホウ酸並びにホウ酸塩およびリン酸塩を含む無機塩の含有量が合計で25〜45重量%であり、かつ、前記水系溶液のpHが7〜8であることを特徴とする燃焼抑制剤。
  2. 水系溶液中における各成分の濃度が、ホウ酸5〜15重量%、ホウ酸塩2.5〜20重量%、リン酸塩10〜25重量%の範囲内で調整されていることを特徴とする請求項1記載の燃焼抑制剤。
  3. 水系溶液中におけるエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの含有量が1〜10重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼抑制剤。
  4. ホウ酸塩として四ホウ酸ナトリウムが使用されると共に、リン酸塩としてリン酸水素二アンモニウムまたはリン酸二水素アンモニウムが使用されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の燃焼抑制剤。
  5. 平均分子量が106〜500のポリエチレングリコールが使用されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の燃焼抑制剤。
  6. ホウ酸、ホウ酸塩およびリン酸塩と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールとを含有する水系溶液であって、前記ホウ酸並びにホウ酸塩およびリン酸塩を含む無機塩の含有量が合計で25〜45重量%で、かつ、pHが7〜8の燃焼抑制剤を用いて、可燃性材料の表面処理、含浸処理、注入処理または拡散浸透処理を行い、前記燃焼抑制剤中の含有成分を可燃性材料に付着させることを特徴とする可燃性材料の燃焼抑制方法。
  7. 可燃性材料が木質系材料であることを特徴とする請求項6記載の可燃性材料の燃焼抑制方法。
  8. 燃焼抑制剤を可燃性材料に表面処理、含浸処理、注入処理または拡散浸透処理した後、可燃性材料の表面を塗装して燃焼抑制剤の溶脱を抑制することを特徴とする請求項6記載の可燃性材料の燃焼抑制方法。
  9. 可燃性材料の塗装に用いられる塗料が、スチレンと、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの一方または両方との共重合体または3元共重合体を含む水性塗料であることを特徴とする請求項8記載の可燃性材料の燃焼抑制方法。
  10. ホウ酸、ホウ酸塩およびリン酸塩と、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールとを含有する水系溶液であって、前記ホウ酸並びにホウ酸塩およびリン酸塩を含む無機塩の含有量が合計で25〜45重量%で、かつ、pHが7〜8の燃焼抑制剤が表面処理、含浸処理、注入処理または拡散浸透処理されていることを特徴とする燃焼抑制剤含有の可燃性材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107139287A (zh) * 2017-04-29 2017-09-08 安徽阜南县向发工艺品有限公司 一种木制家具表面高温烘烤下短时间阻燃的方法
JP2021055088A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 大建工業株式会社 難燃化薬液及びそれを用いた不燃木材

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