JP2016030070A - 薬効成分を含む貼付剤の保存方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薬効成分の劣化を抑制したまま、薬効成分を含む貼付剤を長期にわたって保存する方法を提供する。【解決手段】薬効成分を含む貼付剤を、熱可塑性樹脂を含有するシーラント層、テトラリン環を構成単位として含有するポリエステル化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層、並びにガスバリア性物質を含有するガスバリア層をこの順に有する、酸素吸収性多層体を全部又は一部に使用した酸素吸収性容器内に保存する、薬効成分を含む貼付剤の保存方法。【選択図】なし
Description
本発明は、酸素バリア性能及び酸素吸収性能に優れた酸素吸収性多層体を用いた薬効成分を含む貼付剤の保存方法に関するものである。
関節痛、筋肉痛等の消炎剤として各種薬効成分を含む貼付剤は、バリア性を有するフィルムを用いて、密封包装され保存されている。
薬効成分を含む貼付剤を保存する場合、酸素による薬効成分の変質を防止するためには、密封包装に用いるフィルムはガスバリア性を有していることが必要である。しかし、密封後の包装体内に残存する酸素や、バリア性包装体と言えども微量ながら酸素が透過してくるため、薬効成分の変質を抑制する為にはこれらの酸素を除去する必要がある。このため従来は、酸素吸収剤を貼付剤と共に充填密封したり、酸素吸収機能を有する包装袋に充填密封したりしていた。
しかしながら、このような小袋に充填された酸素吸収剤をそのまま入れると、異物感の問題や衛生的な問題もある。一方、酸素吸収剤を包装袋から容易に取り出せないように包装袋内に固着させるのは製造工程が非常に煩雑になって生産性に劣るという問題も有していた。
また、容器自体に酸素吸収性を付与した酸素吸収性容器も数多く提案されている。中でも、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で、酸素バリア性能および酸素吸収性能に優れる酸素吸収性容器として、所定のテトラリン環を有するポリマーと遷移金属触媒を含有する酸素吸収性多層容器(特許文献1参照)が開発されている。
しかしながら、特許文献1の酸素吸収性多層容器を薬効成分を含む貼付剤の保存に使用すると、酸素吸収層の組成や層構成によっては薬効成分の保存性、シーラント層への薬効成分の吸着、シーラント層由来の臭気発生、といった課題がある場合があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、薬効成分の劣化を抑制したまま薬効成分を含む貼付剤を長期間保存できる方法を提供することにある。
本発明者らは、薬効成分を含む貼付剤の保存方法について検討を進めた結果、薬効成分を含む貼付剤を、熱可塑性樹脂を含有するシーラント層、所定のテトラリン環を有するポリエステル化合物と遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層、並びにガスバリア性物質を含有するガスバリア層をこの順に有する多層体を用いた容器に保存することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
<1> 薬効成分を含む貼付剤を、熱可塑性樹脂を含有するシーラント層、テトラリン環を構成単位として含有するポリエステル化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層、並びにガスバリア性物質を含有するガスバリア層をこの順に有する、酸素吸収性多層体を全部又は一部に使用した酸素吸収性容器内に保存する、薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<2> 前記遷移金属触媒が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を含む触媒である、<1>に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<3> 前記遷移金属触媒が、前記ポリエステル化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部含まれる、<1>又は<2>に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<4> 前記ポリエステル化合物が、下記式(1)〜(3)で表される構成単位;
からなる群より選択される少なくとも1つを含む、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<5> 前期熱可塑性樹脂が、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリエステルエラストマー及びポリカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つを含む、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<1> 薬効成分を含む貼付剤を、熱可塑性樹脂を含有するシーラント層、テトラリン環を構成単位として含有するポリエステル化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層、並びにガスバリア性物質を含有するガスバリア層をこの順に有する、酸素吸収性多層体を全部又は一部に使用した酸素吸収性容器内に保存する、薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<2> 前記遷移金属触媒が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を含む触媒である、<1>に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<3> 前記遷移金属触媒が、前記ポリエステル化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部含まれる、<1>又は<2>に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<4> 前記ポリエステル化合物が、下記式(1)〜(3)で表される構成単位;
からなる群より選択される少なくとも1つを含む、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
<5> 前期熱可塑性樹脂が、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリエステルエラストマー及びポリカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つを含む、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
本発明によれば、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有する酸素吸収性多層体を用いて、薬効成分を含む貼付剤を長期に渡り保存することができる。また、酸素吸収性多層体は酸素吸収後の酸素吸収層由来の臭気発生や、シーラント層由来の臭気発生が抑制されている為、薬効成分を含む貼付剤を長期に渡り保存することができる。さらに、酸素吸収後も酸化によるポリエステル化合物の強度低下が極めて小さく、長期の利用においても酸素吸収層の強度が維持されるため、層間剥離が生じにくい酸素吸収性多層体を実現することもでき、薬効成分を含む貼付剤を好適に保存することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
[薬効成分]
本実施形態の貼付剤が含有する薬効成分は特に限定されないが、インドメタシン若しくはその誘導体、ケトプロフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール若しくはその誘導体、DL−カンフル、L−メントール、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス、アスコルビン酸若しくはアスコルビン酸誘導体、レチノイド類、ビタミンE、オウバク末、ヨウバイヒ、ハッカ油、ニコチン酸エステル等、レゾルシンなどが挙げられる。
本実施形態の貼付剤が含有する薬効成分は特に限定されないが、インドメタシン若しくはその誘導体、ケトプロフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール若しくはその誘導体、DL−カンフル、L−メントール、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス、アスコルビン酸若しくはアスコルビン酸誘導体、レチノイド類、ビタミンE、オウバク末、ヨウバイヒ、ハッカ油、ニコチン酸エステル等、レゾルシンなどが挙げられる。
[貼付剤]
貼付剤は、主にシート状支持体と薬効成分を含む組成物とからなり、シート状支持体の少なくとも一方の面に薬効成分を含む組成物が保持されている。本実施形態の貼付剤に用いられるシート状支持体は、通常貼付剤に用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、不織布、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられ、これらのうちのいくつかを積層させたものでもよい。薬効成分を含む組成物を支持体に保持させるには、例えば、薬効成分を含む組成物をシート状支持体に積層させる、又は含浸させるなど貼付剤で通常行われる方法に従えばよい。
貼付剤は、主にシート状支持体と薬効成分を含む組成物とからなり、シート状支持体の少なくとも一方の面に薬効成分を含む組成物が保持されている。本実施形態の貼付剤に用いられるシート状支持体は、通常貼付剤に用いられているものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、不織布、ポリウレタンフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられ、これらのうちのいくつかを積層させたものでもよい。薬効成分を含む組成物を支持体に保持させるには、例えば、薬効成分を含む組成物をシート状支持体に積層させる、又は含浸させるなど貼付剤で通常行われる方法に従えばよい。
一般に貼付剤は、使用前の状態では保持された薬効成分を含む組成物の表面全体を覆う着脱可能なフィルムが備えられており、使用する際に前記フィルムを剥がして患部に貼付して用いられる。本発明の貼付剤においても、収納の便宜上などから、着脱可能なフィルムを備えることが望ましい。保持された薬効成分を含む組成物を覆うフィルムは、通常貼付剤で用いられているものを用いることができる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが例示できる。
以下、本発明の薬効成分を含む貼付剤の保存方法に用いられる酸素吸収性多層体の実施の形態について説明する。
[酸素吸収性多層体]
本実施形態の酸素吸収性多層体は、熱可塑性樹脂を含有するシーラント層(層C)、酸素吸収性樹脂組成物を含有する酸素吸収層(層A)、並びにガスバリア性物質を含有するガスバリア層(層D)の少なくとも3層をこの順に有する。また、本実施形態の酸素吸収性多層体は、必要に応じて、これら3層以外の層を任意の位置に有していてもよい。
本実施形態の酸素吸収性多層体は、熱可塑性樹脂を含有するシーラント層(層C)、酸素吸収性樹脂組成物を含有する酸素吸収層(層A)、並びにガスバリア性物質を含有するガスバリア層(層D)の少なくとも3層をこの順に有する。また、本実施形態の酸素吸収性多層体は、必要に応じて、これら3層以外の層を任意の位置に有していてもよい。
本実施形態の酸素吸収性多層体は、層Cを内側として密封用包装容器の一部又は全部に使用することにより、容器内の酸素を吸収して、容器外から容器壁面を透過する或いは侵入する酸素がわずかでもある場合にはこの透過或いは侵入した酸素をも吸収して、薬効成分を含む貼付剤の酸素による変質等を防止することができる。
[シーラント層(層C)]
本実施形態の酸素吸収性多層体のシーラント層(層C)は、熱可塑性樹脂を含有するものである。この層Cは、シーラントとしての役割に加え、容器内の酸素を酸素吸収層まで透過させると同時に酸素吸収層(層A)と薬効成分を含む貼付剤とを隔離する(層Aと薬効成分を含む貼付剤との物理的な接触を阻害する)役割を有する。ここで、層Cの酸素透過度は、20μmの厚さのフィルムについて、23℃、相対湿度60%の条件下で測定したときに、50mL/(m2・day・atm)以上であることが好ましく、より好ましくは80mL/(m2・day・atm)以上、さらに好ましくは100mL/(m2・day・atm)以上である。酸素透過度が上記の好ましい値以上であると、そうでない場合に比べて、層Aの酸素を吸収する速度をより高めることができる。
本実施形態の酸素吸収性多層体のシーラント層(層C)は、熱可塑性樹脂を含有するものである。この層Cは、シーラントとしての役割に加え、容器内の酸素を酸素吸収層まで透過させると同時に酸素吸収層(層A)と薬効成分を含む貼付剤とを隔離する(層Aと薬効成分を含む貼付剤との物理的な接触を阻害する)役割を有する。ここで、層Cの酸素透過度は、20μmの厚さのフィルムについて、23℃、相対湿度60%の条件下で測定したときに、50mL/(m2・day・atm)以上であることが好ましく、より好ましくは80mL/(m2・day・atm)以上、さらに好ましくは100mL/(m2・day・atm)以上である。酸素透過度が上記の好ましい値以上であると、そうでない場合に比べて、層Aの酸素を吸収する速度をより高めることができる。
本実施形態の酸素吸収性多層体の層Cに用いる熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン類;ポリスチレン;ポリメチルペンテン;プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のポリプロピレン類;ヒートシール性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A−PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート(PET/I)等の芳香族ポリエステル;ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリヒドロキシ酪酸等の脂肪族ポリエステル;ポリエステルエラストマー;ポリカーボネート;アモルファスナイロン等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は組み合わせて使用することができる。中でも、酸素吸収層との接着性および薬効成分に対する吸着性の低さ、樹脂自体の臭気の低さから、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリカーボネートが好ましく、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。これら熱可塑性樹脂には、必要に応じて、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、熱可塑性エラストマーを添加してもよい。
本実施形態の酸素吸収性多層体の層Cに用いる熱可塑性樹脂は、多層体の成形性と加工性を考慮すると、メルトマスフローレート(以下、「MFR」と表記する。)が200℃で0.5〜35g/10分である、又は、MFRが240℃で1〜45g/10分であるものが好ましく用いられる。なお、本明細書においては、特に断りがない限り、MFRは、JIS K7210に準拠した装置を用いて、特定の温度において、荷重2160gの条件下で測定したときの値を意味し、「g/10分」の単位で測定温度とともに表記する。
また、本実施形態の酸素吸収性多層体の層Cは、上記の熱可塑性樹脂以外に、当業界で公知の各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、乾燥剤、酸化チタン等の着色顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、安定剤、滑剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。特に、製造中に発生した端材をリサイクルして再加工する観点から、層Cに酸化防止剤を配合することが好ましい。
層C中の熱可塑性樹脂の含有割合は、適宜設定でき、特に限定されないが、層Cの総量に対して、70〜100質量%が好ましく、より好ましくは80〜100質量%であり、さらに好ましくは90〜100質量%である。また、本実施形態の層Cに用いる熱可塑性樹脂は、テトラリン環含有ポリエステル化合物以外の熱可塑性樹脂を、その総量に対して、50〜100質量%含むものが好ましく、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
[酸素吸収層(層A)]
本実施形態の酸素吸収性多層体の酸素吸収層(層A)は、テトラリン環を有する構成単位を含有するポリエステル化合物(以下、単に「テトラリン環含有ポリエステル化合物」ともいう。)と遷移金属触媒とを含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる。
本実施形態の酸素吸収性多層体の酸素吸収層(層A)は、テトラリン環を有する構成単位を含有するポリエステル化合物(以下、単に「テトラリン環含有ポリエステル化合物」ともいう。)と遷移金属触媒とを含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる。
層A中の前記テトラリン環含有ポリエステル化合物の含有割合は、特に限定されないが、層Aの総量に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。テトラリン環含有ポリエステル化合物の含有割合が50質量%以上であると、酸素吸収性能がより高められる傾向にある。
<テトラリン環含有ポリエステル化合物>
酸素吸収層(層A)の酸素吸収性樹脂組成物において用いられるテトラリン環含有ポリエステル化合物は、テトラリン環を構成単位として有するポリエステル化合物であれば何ら限定されず、例えば、国際公開第2013/077436号(特許文献1)に記載されたポリエステル化合物を用いることができる。中でも、成形加工性と酸素吸収性能、コストの観点から、本実施形態のテトラリン環含有ポリエステル化合物としては、上記式(5)〜(7)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。ここで、「構成単位を含有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。かかる構成単位は、テトラリン環含有ポリエステル化合物中に繰り返し単位として含まれていることが好ましい。このようにテトラリン環含有ポリエステル化合物が重合体である場合、上記構成単位のホモポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのランダムコポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのブロックコポリマーのいずれであっても構わない。
酸素吸収層(層A)の酸素吸収性樹脂組成物において用いられるテトラリン環含有ポリエステル化合物は、テトラリン環を構成単位として有するポリエステル化合物であれば何ら限定されず、例えば、国際公開第2013/077436号(特許文献1)に記載されたポリエステル化合物を用いることができる。中でも、成形加工性と酸素吸収性能、コストの観点から、本実施形態のテトラリン環含有ポリエステル化合物としては、上記式(5)〜(7)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。ここで、「構成単位を含有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。かかる構成単位は、テトラリン環含有ポリエステル化合物中に繰り返し単位として含まれていることが好ましい。このようにテトラリン環含有ポリエステル化合物が重合体である場合、上記構成単位のホモポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのランダムコポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのブロックコポリマーのいずれであっても構わない。
上記のテトラリン環含有ポリエステル化合物の分子量は、所望する性能や取扱性などを考慮して適宜設定することができ、特に限定されない。一般的には、重量平均分子量(Mw)が1.0×103〜8.0×106であることが好ましく、より好ましくは5.0×103〜5.0×106である。また同様に、数平均分子量(Mn)が1.0×103〜1.0×106であることが好ましく、より好ましくは5.0×103〜5.0×105である。なお、ここでいう分子量は、いずれもポリスチレン換算の値を意味する。なお、上記のテトラリン環含有ポリエステル化合物は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、テトラリン環含有ポリエステル化合物の極限粘度(フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値)は、特に限定されないが、テトラリン環含有ポリエステル化合物の成形性の観点から、0.1〜2.0dL/gであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5dL/gである。
また、上記のテトラリン環含有ポリエステル化合物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、0〜90℃であることが好ましく、より好ましくは10〜80℃である。なお、ここでいうガラス転移温度は、示差走査熱量測定により測定される値を意味する。
本実施形態の酸素吸収性多層体において、酸素吸収層(層A)の厚みは、特に限定されないが、5〜250μmであることが好ましく、より好ましくは10〜150μmである。層Aの厚みがこの好ましい範囲内にあることにより、そうでない場合に比べて、加工性や経済性を過度に損なうことなく、酸素吸収性能がより高められ、より長期の保存が可能になる傾向にある。
上述したテトラリン環含有ポリエステル化合物は、いずれも、テトラリン環のベンジル位に水素を有するものであり、上述した遷移金属触媒と併用することでベンジル位の水素が引き抜かれ、これにより優れた酸素吸収能を発現する。
また、酸素吸収層(層A)の酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収後の臭気発生が無いものである。その理由は明らかではないが、例えば以下の酸化反応機構が推測される。すなわち、上記のテトラリン環含有ポリエステル化合物においては、まずテトラリン環のベンジル位にある水素が引き抜かれてラジカルが生成し、その後、ラジカルと酸素との反応によりベンジル位の炭素が酸化され、ヒドロキシ基またはケトン基が生成すると考えられる。言い換えれば、酸素吸収層(層A)の酸素吸収性樹脂組成物においては、上記従来技術のような酸化反応による酸素吸収主剤の分子鎖の切断がなく、テトラリン環含有ポリエステル化合物の構造が維持され、臭気の原因となる低分子量の有機化合物が酸素吸収後に生成され難く、その結果、酸素吸収後の臭気発生が外部から検知できない程に抑制されていると推測される。
<遷移金属触媒>
本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物において用いられる遷移金属触媒としては、上記のテトラリン環含有ポリエステル化合物の酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。
本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物において用いられる遷移金属触媒としては、上記のテトラリン環含有ポリエステル化合物の酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。
酸素吸収層(層A)の酸素吸収性樹脂組成物において用いられる遷移金属触媒としては、上記のテトラリン環含有ポリエステル化合物の酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。
かかる遷移金属触媒の具体例としては、遷移金属の有機酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酸化物、水酸化物等が挙げられる。ここで、遷移金属触媒に含まれる遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅が好ましい。また、有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタノイック酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、カプリン酸、ナフテン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。遷移金属触媒は、これらの遷移金属と有機酸とを組み合わせたものが好ましく、遷移金属がマンガン、鉄、コバルト、ニッケルまたは銅であり、有機酸が酢酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸またはナフテン酸である組み合わせがより好ましい。なお、遷移金属触媒は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸素吸収層(層A)の酸素吸収性樹脂組成物におけるテトラリン環含有ポリエステル化合物および遷移金属触媒の含有割合は、使用するテトラリン環含有ポリエステル化合物や遷移金属触媒の種類および所望の性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収量の観点から、遷移金属触媒の含有量は、テトラリン環含有ポリエステル化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.002〜2質量部、さらに好ましくは0.005〜1質量部である。
<他の熱可塑性樹脂>
さらに、酸素吸収層(層A)の酸素吸収性樹脂組成物は、必要に応じて、上記テトラリン環含有ポリエステル化合物以外の、熱可塑性樹脂(以下、「他の熱可塑性樹脂」ともいう。)をさらに含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂を併用することで、押出機で混練する際の成形性や取扱性をより高めることができる。
さらに、酸素吸収層(層A)の酸素吸収性樹脂組成物は、必要に応じて、上記テトラリン環含有ポリエステル化合物以外の、熱可塑性樹脂(以下、「他の熱可塑性樹脂」ともいう。)をさらに含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂を併用することで、押出機で混練する際の成形性や取扱性をより高めることができる。
他の熱可塑性樹脂としては、公知のものを適宜用いることができる。低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム又はブロック共重合体等のポリオレフィン;無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等;環状オレフィンを使用したシクロオレフィンポリマーおよびシクロオレフィンコポリマー等の環状ポリオレフィン或いはこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
テトラリン環含有ポリエステル化合物および遷移金属触媒並びに必要に応じて含有される他の熱可塑性樹脂は、公知の方法で混合することができる。また、押出機を用いてこれらを混練することにより、より高い分散性を有する酸素吸収性樹脂組成物を得ることもできる。
<各種添加剤>
ここで、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、上述した各成分以外に、本実施形態の効果を過度に損なわない範囲で、当業界で公知の各種添加剤を含有していてもよい。かかる任意の添加剤としては、例えば、乾燥剤、酸化チタン等の顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
ここで、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、上述した各成分以外に、本実施形態の効果を過度に損なわない範囲で、当業界で公知の各種添加剤を含有していてもよい。かかる任意の添加剤としては、例えば、乾燥剤、酸化チタン等の顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
なお、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収反応を促進させるために、必要に応じて、さらにラジカル発生剤や光開始剤を含有していてもよい。また、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、本実施形態の目的を阻害しない範囲で他の熱可塑性樹脂と押出機で混練することも出来る。これらの、ラジカル発生剤、光開始剤、他の熱可塑性樹脂は特許文献1に記載された公知の物を用いることが出来る。
本実施形態の酸素吸収性多層体において、酸素吸収層(層A)の厚みは、用途や所望する性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。厚みが上記好ましい範囲内にあると、そうでない場合に比べて、層Aが酸素を吸収する性能をより高めることができるとともに、加工性や経済性を高次元で維持することができる。また、シーラント層(層C)の厚みも、用途や所望する性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜80μmである。厚みが上記好ましい範囲内にあると、そうでない場合に比べて、層Aの酸素吸収速度をより高めることができるとともに、加工性や経済性を高次元で維持することができる。さらに、得られる酸素吸収性多層体の加工性を考慮すると、層Cと層Aの厚み比が、1:0.5〜1:5にあることが好ましく、より好ましくは1:1.5〜1:3である。
[ガスバリア層(層D)]
本実施形態の酸素吸収性多層体のガスバリア層(層D)は、ガスバリア性物質を含有するものである。層Dの酸素透過率は、20μmの厚さのフィルムについて、23℃、相対湿度60%の条件下で測定したときに、100mL/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、より好ましくは80mL/(m2・day・atm)以下、さらに好ましくは50mL/(m2・day・atm)以下である。
本実施形態の酸素吸収性多層体のガスバリア層(層D)は、ガスバリア性物質を含有するものである。層Dの酸素透過率は、20μmの厚さのフィルムについて、23℃、相対湿度60%の条件下で測定したときに、100mL/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、より好ましくは80mL/(m2・day・atm)以下、さらに好ましくは50mL/(m2・day・atm)以下である。
本実施形態の酸素吸収性多層体の層Dに用いるガスバリア性物質としては、ガスバリア性熱可塑性樹脂や、ガスバリア性熱硬化性樹脂、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の各種蒸着フィルム、アルミニウム箔等の金属箔等を用いることができる。ガスバリア性熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、MXD6、ポリ塩化ビニリデン等が例示できる。また、ガスバリア性熱硬化性樹脂としては、ガスバリア性エポキシ樹脂、例えば、三菱ガス化学株式会社製「マクシーブ」等が例示できる。
ガスバリア性物質として熱可塑性樹脂を用いる場合、ガスバリア層(層D)の厚みは、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。また、ガスバリア性物質として或いはガスバリア性接着剤層としてアミン−エポキシ硬化剤のような熱硬化性樹脂を使用する場合は、層Dの厚みは、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは0.5〜20μmである。厚みが上記好ましい範囲内にあると、そうでない場合に比べて、ガスバリア性がより高められる傾向にあるとともに、加工性や経済性を高次元で維持することができる。
なお、本実施形態の酸素吸収性多層体は、層Cと層Aとの間に、層Aと層Dとの間に、又は、層Cの外層に或いは層Dの外層に、樹脂層、金属箔層或いは接着剤層等の少なくとも1以上の他の層を有していてもよい。例えば、層Dの破損やピンホールを防ぐために、層Dの内側や外側に熱可塑性樹脂からなる保護層を設けることができる。この保護層に用いる樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等のポリプロピレン類、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド類、さらに、PET等のポリエステル類およびこれらの組み合わせが挙げられる。
また、加工性や接着性を考慮すると、本実施形態の酸素吸収性多層体は、層Dと層Aとの間に、ポリエステル樹脂からなる中間層を介在させることが好ましい。この中間層の厚みは、加工性の観点から、層Cの厚みと略同一であることが好ましい。なお、ここでは、加工によるバラツキを考慮して、厚み比が±10%以内を略同一とする。
また、本実施形態の酸素吸収性多層体は、層Dの外層に紙基材を積層して、酸素吸収性紙基材或いは酸素吸収性紙容器として用いることもできる。紙基材と積層して紙容器とする際の加工性を高い次元で維持する観点から、層Dよりも内側の層の総厚みが100μm以下であることが好ましく、より好ましくは80μm以下である。
本実施形態の酸素吸収性多層体は、各種材料の性状、加工目的、加工工程等に応じて、共押出法、各種ラミネート法、各種コーティング法などの公知の方法を利用して製造することができ、その製造方法は特に限定されない。通常の包装材料を積層する方法、例えば、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、Tダイ共押出成形法、共押出ラミネーション法、インフレーション法等を適用することができる。例えば、フィルムやシートの成形については、Tダイ、サーキュラーダイ等が付属した押出機から溶融した樹脂組成物を押し出して製造する方法や、別途製膜した酸素吸収性フィルムもしくはシートに接着剤を塗布し、他のフィルムやシートと貼り合わせることで製造する方法がある。さらに必要に応じて、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルム等に施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、或いはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等の、ラミネート用接着剤等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を使用することもできる。
[酸素吸収性多層容器]
本実施形態の酸素吸収性多層容器は、上述した酸素吸収性多層体を包装容器の全体又は一部に含むものである。本実施形態の酸素吸収性多層容器は、容器内の酸素を吸収して、容器外から容器壁面を透過する或いは侵入する酸素がわずかでもある場合にはこの透過或いは侵入した酸素をも吸収して、薬効成分を含む貼付剤の酸素による変質等を防止することができる。
本実施形態の酸素吸収性多層容器は、上述した酸素吸収性多層体を包装容器の全体又は一部に含むものである。本実施形態の酸素吸収性多層容器は、容器内の酸素を吸収して、容器外から容器壁面を透過する或いは侵入する酸素がわずかでもある場合にはこの透過或いは侵入した酸素をも吸収して、薬効成分を含む貼付剤の酸素による変質等を防止することができる。
本実施形態の酸素吸収性多層容器の形状は特に限定されず、薬効成分を含む貼付剤に応じて適宜設定することができる。例えば、上記のフィルム状或いはシート状の酸素吸収性多層体を製袋することで、三方シール平袋、スタンディングパウチ、ガセット包装袋、ピロー包装袋、主室と副室とからなり主室と副室との間に易剥離壁を設けた多室パウチ、シュリンクフィルム包装等とすることができる。
本実施形態の酸素吸収性多層体および該多層体を含む酸素吸収性多層容器を使用するにあたり、エネルギー線を照射して、酸素吸収反応の開始を促進したり、酸素吸収速度を高めたりすることができる。エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、X線、電子線、γ線等を利用可能である。照射エネルギー量は、用いるエネルギー線の種類に応じて、適宜選択することができる。
また、薬効成分を含む貼付剤の包装前後に、薬効成分を含む貼付剤に適した形で、容器や薬効成分を含む貼付剤の殺菌処理を施すことができる。殺菌方法としては、例えば、100℃以下でのボイル処理、100℃以上のセミレトルト処理、レトルト処理、130℃以上のハイレトルト処理等の加熱殺菌、紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌、エチレンオキサイド等のガス処理、過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌等が挙げられる。
以下に実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。なお、特に記載が無い限り、核磁気共鳴(NMR)測定は室温で行った。また、本実施例及び比較例において、各種物性値の測定は以下の測定方法及び測定装置により実施した。
(ガラス転移温度の測定方法)
ガラス転移温度はJIS K7122に準拠して測定した。測定装置は株式会社島津製作所製「DSC−60」を使用した。
ガラス転移温度はJIS K7122に準拠して測定した。測定装置は株式会社島津製作所製「DSC−60」を使用した。
(融点の測定方法)
融点は、ISO11357に準拠して測定した。該測定で得られたDSC曲線におけるピーク温度を融点とした。測定装置は株式会社島津製作所製「DSC−60」を使用した。
融点は、ISO11357に準拠して測定した。該測定で得られたDSC曲線におけるピーク温度を融点とした。測定装置は株式会社島津製作所製「DSC−60」を使用した。
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ−紫外可視吸光検出器(GPC)にて測定した。測定装置は東ソー株式会社製「HLC−8320GPC」を使用した。
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ−紫外可視吸光検出器(GPC)にて測定した。測定装置は東ソー株式会社製「HLC−8320GPC」を使用した。
[モノマー合成例]
内容積18Lのオートクレーブに、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル2.20kg、2−プロパノール11.0kg、及び5重量%パラジウムを活性炭に担持させた触媒350g(50重量%含水品)を仕込んだ。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素と置換し、さらに窒素を水素と置換した後、オートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるまでオートクレーブ内に水素を供給した。次に、オートクレーブに設置された撹拌機を起動し、該撹拌機の回転速度を500rpmに調整した。オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、30分かけて内温を100℃まで上げた後、さらにオートクレーブ内に水素を供給しオートクレーブ内の圧力を1MPaとした。その後、反応の進行による圧力低下に応じ、1MPaを維持するようオートクレーブ内への水素の供給を続けた。7時間後にオートクレーブ内の圧力低下が無くなったので、オートクレーブを冷却し、未反応の残存水素を放出した後、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液を濾過し、触媒を除去した後、分離濾液から2−プロパノールをエバポレーターで蒸発させて粗生成物を得た。得られた粗生成物に、2−プロパノールを4.40kg加え、再結晶により精製し、テトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルを80%の収率で得た。精製したテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの融点は77℃であった。なお、NMRの分析結果は下記の通りであった。1H‐NMR(400MHz CDCl3)δ7.76-7.96(2H m)、7.15(1H d)、3.89(3H s)、3.70(3H s)、2.70-3.09(5H m)、1.80-1.95(1H m)。
内容積18Lのオートクレーブに、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル2.20kg、2−プロパノール11.0kg、及び5重量%パラジウムを活性炭に担持させた触媒350g(50重量%含水品)を仕込んだ。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素と置換し、さらに窒素を水素と置換した後、オートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるまでオートクレーブ内に水素を供給した。次に、オートクレーブに設置された撹拌機を起動し、該撹拌機の回転速度を500rpmに調整した。オートクレーブ内の混合物を撹拌しながら、30分かけて内温を100℃まで上げた後、さらにオートクレーブ内に水素を供給しオートクレーブ内の圧力を1MPaとした。その後、反応の進行による圧力低下に応じ、1MPaを維持するようオートクレーブ内への水素の供給を続けた。7時間後にオートクレーブ内の圧力低下が無くなったので、オートクレーブを冷却し、未反応の残存水素を放出した後、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液を濾過し、触媒を除去した後、分離濾液から2−プロパノールをエバポレーターで蒸発させて粗生成物を得た。得られた粗生成物に、2−プロパノールを4.40kg加え、再結晶により精製し、テトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルを80%の収率で得た。精製したテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの融点は77℃であった。なお、NMRの分析結果は下記の通りであった。1H‐NMR(400MHz CDCl3)δ7.76-7.96(2H m)、7.15(1H d)、3.89(3H s)、3.70(3H s)、2.70-3.09(5H m)、1.80-1.95(1H m)。
(製造例1)
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造装置に、上記モノマー合成例で得られたテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチル543g、エチレングリコール217g、テトラブチルチタネート0.038g、及び酢酸亜鉛0.15gを仕込み、装置内の混合物を窒素雰囲気下で230℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、昇温と減圧とを徐々に90分かけて行い、275℃、133Pa以下で重縮合を1時間行い、テトラリン環含有ポリエステル化合物(1)(以下「ポリエステル化合物(1)」とも記す。)を得た。
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えたポリエステル樹脂製造装置に、上記モノマー合成例で得られたテトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチル543g、エチレングリコール217g、テトラブチルチタネート0.038g、及び酢酸亜鉛0.15gを仕込み、装置内の混合物を窒素雰囲気下で230℃まで昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、昇温と減圧とを徐々に90分かけて行い、275℃、133Pa以下で重縮合を1時間行い、テトラリン環含有ポリエステル化合物(1)(以下「ポリエステル化合物(1)」とも記す。)を得た。
得られたポリエステル化合物(1)の重量平均分子量と数平均分子量とを上記方法により測定を行った結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は6.5×104であり、数平均分子量は2.8×104であった。また、ポリエステル化合物(1)のガラス転移温度と融点とを上記方法により測定を行った結果、ガラス転移温度は69℃であり、融点は非晶性のため認められなかった。極限粘度は0.92dL/gであった。
(製造例2)
エチレングリコールに代えて1,4−ブタンジオール315gを用いること以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有ポリエステル化合物(2)を合成した。得られたポリエステル化合物(2)のポリスチレン換算の重量平均分子量は8.5×104、数平均分子量は3.6×104、極限粘度は1.08dL/g、ガラス転移温度は36℃、融点は145℃であった。
エチレングリコールに代えて1,4−ブタンジオール315gを用いること以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有ポリエステル化合物(2)を合成した。得られたポリエステル化合物(2)のポリスチレン換算の重量平均分子量は8.5×104、数平均分子量は3.6×104、極限粘度は1.08dL/g、ガラス転移温度は36℃、融点は145℃であった。
(製造例3)
エチレングリコールに代えて1,6−ヘキサンジオール413gを用いること以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有ポリエステル化合物(3)を合成した。得られたポリエステル化合物(3)のポリスチレン換算の重量平均分子量は6.6×104、数平均分子量は2.4×104、極限粘度は0.98dL/g、ガラス転移温度は16℃、融点は137℃であった。
エチレングリコールに代えて1,6−ヘキサンジオール413gを用いること以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有ポリエステル化合物(3)を合成した。得られたポリエステル化合物(3)のポリスチレン換算の重量平均分子量は6.6×104、数平均分子量は2.4×104、極限粘度は0.98dL/g、ガラス転移温度は16℃、融点は137℃であった。
(実施例1)
まず、直径37mmのスクリューを2本有する2軸押出機に、ポリエステル化合物(1)を100質量部と、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量として0.02質量部とをドライブレンドして得られた混合物を供給して、押出温度220℃、スクリュー回転数100rpmの条件で混練し、酸素吸収性樹脂組成物を得た。
まず、直径37mmのスクリューを2本有する2軸押出機に、ポリエステル化合物(1)を100質量部と、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量として0.02質量部とをドライブレンドして得られた混合物を供給して、押出温度220℃、スクリュー回転数100rpmの条件で混練し、酸素吸収性樹脂組成物を得た。
次に、2台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、コロナ放電処理装置、巻き取り機等を備えた多層フィルム製造装置を用い、1台目の押出機からシーラント層の材料としてポリブチレンサクシネート樹脂(製品名;三菱化学株式会社製「GS Pla」、以下「PT−1」と表記する。)を、2台目の押出機から酸素吸収層の材料として酸素吸収性樹脂組成物をそれぞれ押し出し、フィードブロックを介して幅900mmの2種3層フィルム(厚さ;PT−1層20μm/酸素吸収層40μm/PT−1層20μm)を作製した。その後、60m/分でPT−1層の片面をコロナ放電処理して、フィルムロールを作製した。得られたフィルムロールを観察したところ、コブ等の偏肉はなかった。
次に、コロナ放電面に、ウレタン系ドライラミネート用接着剤(製品名;東洋モートン株式会社製「TM277/CAT−10L」)を用いて、PETフィルム(製品名;東洋紡株式会社製二軸延伸ポリエステルフィルム「E5100」)、アルミ箔を積層し、PET(15μm)/ウレタン系ドライラミネート用接着剤(3μm)/アルミ箔(7μm)/ウレタン系ドライラミネート用接着剤(3μm)/PT−1層(20μm)/酸素吸収層(40μm)/PT−1層(20μm)の酸素吸収性多層体を得た。なお、括弧内のμm単位の数字は厚さを示す。
次いで、得られた酸素吸収性多層体を切断し、12cm×12cmの大きさの酸素吸収性多層体を2枚用意した。この2枚の酸素吸収性多層体を、PT−1層側を内面にして、シール幅5mmにて3方をヒートシールすることで、酸素吸収性多層袋(三方シール袋)を作製した。また、ゴム粘着剤(薬効成分インドメタシンを0.5wt%、酢酸トコフェロールを0.3wt%、タルクを10wt%含有する)10gを10cm×10cmの不織布からなる支持体に展着させることで、薬効成分を含有する層を作製した。さらに、薬効成分を含有する層に、エンボス加工を施した厚さ25μmの無延伸ポリプロピレンからなる離型フィルムを貼り付け、薬効成分を含有した貼付剤を作製した。貼付剤の離型フィルム側の外観は白色であった。三方シール袋内に該貼付剤を装填した後に、密封した。このようにして得られた密封袋を、23℃・50%RHにて保存した。そして、3日保存後および7日保存後の袋内酸素濃度の測定と、3ヶ月保存後の酢酸トコフェロールの保持率測定を行った。また、密封袋を40℃、20%RHに3カ月保存し、貼付剤の離型フィルム側の色調および保存前後における袋内の臭気変化を調査した。これらの結果を表1に示す。なお、酢酸トコフェロールの保持率の測定においては、日本薬局方記載の定量法に基づき測定した。
(実施例2)
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして酸素吸収性多層体を得た。その後、実施例1と同様にして三方シール袋を作製して、実施例1と同様に袋内酸素濃度と酢酸トコフェロール保持率の測定、および貼付剤の離型フィルム側の色調、保存前後における袋内の臭気変化調査を行った。これらの結果を表1に示す。
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして酸素吸収性多層体を得た。その後、実施例1と同様にして三方シール袋を作製して、実施例1と同様に袋内酸素濃度と酢酸トコフェロール保持率の測定、および貼付剤の離型フィルム側の色調、保存前後における袋内の臭気変化調査を行った。これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして酸素吸収性多層体を得た。その後、実施例1と同様にして三方シール袋を作製して、実施例1と同様に袋内酸素濃度と酢酸トコフェロール保持率の測定、および貼付剤の離型フィルム側の色調、保存前後における袋内の臭気変化調査を行った。これらの結果を表1に示す。
ポリエステル化合物(1)に代えてポリエステル化合物(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして酸素吸収性多層体を得た。その後、実施例1と同様にして三方シール袋を作製して、実施例1と同様に袋内酸素濃度と酢酸トコフェロール保持率の測定、および貼付剤の離型フィルム側の色調、保存前後における袋内の臭気変化調査を行った。これらの結果を表1に示す。
(実施例4)
3台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、コロナ放電処理装置、巻き取り機等を備えた多層フィルム製造装置を用い、1台目の押出機からシーラント層の材料としてポリエチレン樹脂(製品名;日本ポリエチレン株式会社製「ノバテックLL UF641」、以下「PE−1」と表記する。)を、2台目の押出機から接着層の材料として接着性樹脂(製品名;三菱化学株式会社製「モディックM545」、以下「AD−1」と表記する。)を、3台目の押出機から酸素吸収層の材料として実施例1と同様にして得た酸素吸収性樹脂組成物をそれぞれ押し出し、フィードブロックを介して幅900mmの3種5層フィルム(厚さ;PE−1層20μm/AD−1層10μm/酸素吸収層30μm/AD−1層10μm/PE−1層20μm)を作製した。その後、60m/分でPE−1層の片面をコロナ放電処理して、フィルムロールを作製した。得られたフィルムロールを観察したところ、コブ等の偏肉はなかった。
3台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、コロナ放電処理装置、巻き取り機等を備えた多層フィルム製造装置を用い、1台目の押出機からシーラント層の材料としてポリエチレン樹脂(製品名;日本ポリエチレン株式会社製「ノバテックLL UF641」、以下「PE−1」と表記する。)を、2台目の押出機から接着層の材料として接着性樹脂(製品名;三菱化学株式会社製「モディックM545」、以下「AD−1」と表記する。)を、3台目の押出機から酸素吸収層の材料として実施例1と同様にして得た酸素吸収性樹脂組成物をそれぞれ押し出し、フィードブロックを介して幅900mmの3種5層フィルム(厚さ;PE−1層20μm/AD−1層10μm/酸素吸収層30μm/AD−1層10μm/PE−1層20μm)を作製した。その後、60m/分でPE−1層の片面をコロナ放電処理して、フィルムロールを作製した。得られたフィルムロールを観察したところ、コブ等の偏肉はなかった。
次に、実施例1と同様にドライラミネートにて積層し、PET(15μm)/ウレタン系ドライラミネート用接着剤(3μm)/アルミ箔(7μm)/ウレタン系ドライラミネート用接着剤(3μm)/PE−1層(20μm)/AD−1層(10μm)/酸素吸収層(30μm)/AD−1層(10μm)/PE−1層(20μm)の鉄系酸素吸収性多層体を作製した。なお、括弧内のμm単位の数字は厚さを示す。
次いで、酸素吸収性多層体を用いて、実施例1と同様にして三方シール袋を作製して、実施例1と同様に袋内酸素濃度の測定と酢酸トコフェロール保持率の測定、および貼付剤の離型フィルム側の色調、保存前後における袋内の臭気変化調査を行った。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
平均粒径20μmの鉄粉と塩化カルシウムを質量比100:1の割合で混合し、この混合物とPT−1とを30:70の質量比で混練して、鉄系酸素吸収性樹脂組成物を得た。その鉄系酸素吸収性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に2種3層フィルムを作製しようとしたが、フィルム表面に鉄粉に由来する凹凸が発生し、以降の検討に耐え得る表面が平滑なフィルムが得られなかった。そのため、厚さ50μmの共重合ポリエステルフィルム(製品名;三菱樹脂株式会社製「ディアフィクス PG−WHI」、以下「PT−2」と表記する。)に、酸素吸収層として、上記鉄系酸素吸収性樹脂組成物を厚さ30μmで押し出しラミネートにて積層し、その後、鉄系酸素吸収性樹脂組成物の層側の表面を60m/分でコロナ放電処理して、ラミネートフィルムを得た。
平均粒径20μmの鉄粉と塩化カルシウムを質量比100:1の割合で混合し、この混合物とPT−1とを30:70の質量比で混練して、鉄系酸素吸収性樹脂組成物を得た。その鉄系酸素吸収性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に2種3層フィルムを作製しようとしたが、フィルム表面に鉄粉に由来する凹凸が発生し、以降の検討に耐え得る表面が平滑なフィルムが得られなかった。そのため、厚さ50μmの共重合ポリエステルフィルム(製品名;三菱樹脂株式会社製「ディアフィクス PG−WHI」、以下「PT−2」と表記する。)に、酸素吸収層として、上記鉄系酸素吸収性樹脂組成物を厚さ30μmで押し出しラミネートにて積層し、その後、鉄系酸素吸収性樹脂組成物の層側の表面を60m/分でコロナ放電処理して、ラミネートフィルムを得た。
次に、実施例1と同様にドライラミネートにて積層し、PET(15μm)/ウレタン系ドライラミネート用接着剤(3μm)/アルミ箔(7μm)/ウレタン系ドライラミネート用接着剤(3μm)/酸素吸収層(30μm)/PT−2層(50μm)の鉄系酸素吸収性多層体を作製した。なお、括弧内のμm単位の数字は厚さを示す。
次いで、得られた鉄系酸素吸収性多層体を用いて、実施例1と同様にして三方シール袋を作製して、実施例1と同様に袋内酸素濃度の測定と酢酸トコフェロール保持率の測定、および貼付剤の離型フィルム側の色調、保存前後における袋内の臭気変化調査を行った。これらの結果を表1に示す。
実施例1〜4の結果から明らかなように、本発明の酸素吸収性多層容器は、薬効成分を含む貼付剤の保存において、良好な酸素吸収性能を示し、薬効成分の劣化を抑制した。さらに、シーラント層に脂肪族ポリエステルを用いた実施例1〜3においては、薬効成分を含む貼付剤を3ヶ月後においても臭気変化の無い良好な状態で保存することが出来た。
Claims (5)
- 薬効成分を含む貼付剤を、熱可塑性樹脂を含有するシーラント層、テトラリン環を有する構成単位を含有するポリエステル化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層、並びにガスバリア性物質を含有するガスバリア層をこの順に有する酸素吸収性多層体を全部又は一部に使用した酸素吸収性容器内に保存する、薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
- 前記遷移金属触媒が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属を含む触媒である、
請求項1に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。 - 前記遷移金属触媒が、前記ポリエステル化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部含まれる、
請求項1又は2に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。 - 前記ポリエステル化合物が、下記式(1)〜(3)で表される構成単位;
からなる群より選択される少なくとも1つを含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。 - 前期熱可塑性樹脂が、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリエステルエラストマー及びポリカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つを含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬効成分を含む貼付剤の保存方法。
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2014
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JP2021183316A (ja) * | 2020-05-22 | 2021-12-02 | 共同印刷株式会社 | ガス吸収フィルム |
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