JP2016028280A - 光学シート、面光源装置及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基材11の一面側に、頂点または稜線を有する凸状の光学単位12aを複数配列した光学機能発現部12を設けた光学シート10であって、光学機能発現部12は、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有しており、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が3%以上であり、且つ、その光学単位の頂部における、ISO14577−1に準拠して押し込み荷重0.5mNで測定したときの押し込み深さが0.6μm以上である。
【選択図】図1
Description
上記光学シートとしては、基材と、当該基材上に、所定の屈折率を備えた単位プリズム又は単位レンズ等の凸状の光学単位を複数配列した凹凸形状の光学機能発現部と、光学機能発現部と反対側の基材上にバインダー樹脂を含む裏面層(例えば、マット層、ハードコート層など)を有する光学シートが広く知られている。
光学シート表面に指跡等の皮膚接触痕が付着するのを防止するための従来の方法としては、防汚剤を光学シートに含有させることが知られている。特許文献1には、光学積層体に用いられるハードコート層に、防汚染剤及び/又は滑り性付与剤として、ケイ素系化合物、フッ素系化合物またはこれらの混合物を含有させ、その含有量を、当該ハードコート層の最表面をXPS解析した場合に、ケイ素原子の存在率が10%以上であり、及び/又は、フッ素原子の存在率が20%以上となるようにすることを記載している(請求項1)。また、特許文献1の実施例では、ハードコート層の表面に対する人工指紋液(JIS K2246)と水の接触角を測定し、その測定値に基づいて防汚性を評価している(段落0102)。
前記光学機能発現部は、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有しており、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が3%以上であり、且つ、その光学単位の頂部における、ISO14577−1に準拠して押し込み荷重0.5mNで測定したときの押し込み深さが0.6μm以上であることを特徴とする。
前記本発明に係る光学シートは、透明基材の他面側に、バインダー樹脂を含む裏面層が設けられていてもよく、その場合には、当該裏面層は、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有しており、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が3%以上であることが好ましい。
本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、THF溶剤におけるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
本発明に係る光学シートは、透明基材の一面側に、頂点または稜線を有する凸状の光学単位を複数配列した光学機能発現部を設け、他面側に、バインダー樹脂を含む裏面層を設けた光学シートであって、
前記光学機能発現部は、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有しており、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が3%以上であり、且つ、その光学単位の頂部における、ISO14577−1に準拠して押し込み荷重0.5mNで測定したときの押し込み深さが0.6μm以上であり、
前記裏面層は、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有しており、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が3%以上であることを特徴とする。
そこで、本発明者らは光学シートの表裏で指跡付着性の程度に差が生じた理由について、その原因を鋭意分析検討した結果、指跡には主に皮脂の付着と加圧による永久変形の二種類の原因があると考えた。つまり、光学シートの光学機能発現部側を手で掴もうとすると、凸状の光学単位の尖った頂上付近だけに指が接触し、接触面積が限定され、光学機能発現部に対する指の接触圧力が裏面層に対する指の接触圧力よりも大きくなるため、特に光学機能発現部の指紋と思われていた痕跡は、表面に皮脂が強く付着するいわゆる狭義の指紋だけでは無く、これに加えて、指跡の凹凸形状が、指が接触した際の加圧によって転写して永久変形することも一因となっている、と考えた。これは、光学機能発現部は、稜線が最外部に突出した三角柱プリズムに代表されるような突起部(稜線乃至頂点)を有し、該突起部は狭い面積で指の加圧力を受ける為、応力が集中し、変形が予想外に顕著に残るためである。それゆえ、単に防汚染剤及び/又は滑り性付与剤を添加するのみでは十分に指跡を解消し得なかったことが判明した。
そして、光学機能発現部側を手で掴もうとしたときに、光学機能発現部が指の形に合わせて変形し接触圧力を軽減できる柔軟性と、指が離れた後に元の凸状に戻れる復元性を有していれば、加圧による永久変形を防ぐことができ、耐指跡性(指跡付着防止性)の向上に貢献することを突き止めた。
本発明は、かかる知見に基づいて成し遂げられたものである。
図1は、本発明に係る光学シートの一例を示した模式的な斜視図であり、図2は、本発明に係る光学シートの層構成の一例を示した模式的な断面図であり、三角柱プリズムの延在する方向に直角な横断面(主切断面)を示す。尚、本発明において主切断面とは、透明基材の平面の法線方向(以下、単に「厚さ方向」と称することがある。)を含み、且つ光学単位の稜線方向と直交する切断面を意味する。
図1及び図2に示す光学シート10は、透明基材11上に光学機能発現部12が設けられており、透明基材11の光学機能発現部12が無い側に、裏面層13が設けられている。光学機能発現部12は、凸状の光学単位12aが複数配列してなり、図1及び図2では、光学単位12aの一例として、三角柱形状のプリズム単位を備える光学シートを示す。
透明基材は、特に限定されず、従来公知の光学シートに用いられている透明基材を用いることができる。透明基材は、例えば、特開2009−37204号公報に記載のものを用いることができる。
透明基材は、所望の透明性、機械的強度等の要求適性を勘案の上、材料及び厚さを適宜選択すればよい。
透明基材は、通常、樹脂基材とする。透明基材の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂及びシクロオレフィンコポリマー(COC)樹脂等が好ましい。
透明基材の厚さは、通常は50〜500μmが好ましいが、これに限定されない。
透明基材の光透過率としては、画像表示装置の前面設置用としては、100%が理想であり、透過率85%以上であることが好ましい。
光学機能発現部は、頂点または稜線を有する凸状の光学単位が複数配列してなる。当該光学機能発現部は、通常、透明基材の上に形成されるが、透明基材と光学機能発現部とが一体成形されていても良い。この場合、特に限定されないが、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、透明基材上に光学機能発現部を積層成形することが好ましい。
本発明に係る光学シートは、例えば、光学機能発現部の凹凸形状において、光を屈折又は反射等の幾何光学的作用によって変調させて、集光、拡散、屈折又は反射等の所望の機能を発現するプリズムシート又はレンズシート等として用いることができ、光学機能発現部を構成する光学単位の形状は、要求される性能に応じて適宜選択又は設定することができる。
以下、本発明に係る光学シートをプリズムシート又はレンズシートとして用いる場合の光学機能発現部の具体的な形状(構造)を説明する。
上述したような角柱状の単位プリズム(光学単位)の場合、光学機能発現部の厚さT(図2に示すように凹凸形状の凸状頂部から透明基材側の面までの距離)は、その稜線方向で均一であっても良いし、均一でなくとも良い。例えば、周縁部に近いほど高く、中央部に近いほどが低いというように稜線方向で異なっていても良い。
主切断面における三角形の単位プリズム(光学単位)の頂角の値は、40〜120°の範囲で調節することができる。
上記押し込み深さは、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の微小硬さ試験機(商品名PICODENTOR HM500、圧子はダイヤモンド製の四角錐型、対面角90°)で測定することができる。
なお、本発明において「活性エネルギー線」とは、可視光並びに紫外線及びX線等の非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線及びα線のような粒子線を総称する、活性エネルギー線硬化性基を有する分子に架橋反応乃至重合反応を生じせしめるに足るエネルギー量子を持った放射線が含まれる。活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。
単官能のモノマーとしては、例えば、特開2009−37204号公報に記載のビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。
多官能のモノマーとしては、例えば、特開2009−37204号公報に記載のエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジオールジ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
反応性プレポリマーとしては、例えば、特開2009−37204号公報に記載のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(A)w−(B)x−(D)y−CF3
(上記式中、Aは、CF2、CFCF2、C(CF2)2からなる群から選択される一種または二種以上の基を表し、
Bは、OCF2CF2、OCF2CF(CF2)、OCF2C(CF2)2、OCF(CF2)CF(CF2)、OCF(CF2)C(CF2)2、OC(CF2)2CF(CF2)、OC(CF2)2C(CF2)2からなる群から選択される一種または二種以上の基を表し、
Dは、OCH2CH2、OCH2CH2CH2、OC(O)(CH2)zからなる群から選択される一種または二種以上の基を表し、
w、x、y、zは0超過50以下の数を表す。)
で表わされるものが挙げられる。
尚、光学機能発現部表面におけるケイ素原子及びフッ素原子の存在率を上記のようにするために実際に含有される防汚剤の含有量は、用いる防汚剤によって異なり、適宜調整されるが、一般的に、組成物の全固形分質量に対して、4〜20質量%である。
以下、これら(A)〜(D)成分について順に説明する。
(A)成分は、活性エネルギー線硬化性基として(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリル樹脂であり、ハロゲン原子、硫黄原子、酸素原子若しくは窒素原子等のヘテロ原子を含む鎖状の脂肪族又は環状の脂環式若しくは芳香族の(メタ)アクリル樹脂であっても良く、例えば、上述した特開2009−37204号公報に記載の単官能の(メタ)アクリル樹脂を用いることができる。
上記一般式(1)において、kは2〜6の正の整数であり、光学機能発現部の柔軟性を高める観点から、好ましくは2、3又は4であり、さらに好ましくは2又は3である。
(A)成分は組成物の全固形分質量に対して、20〜50質量%が好ましい。
そして、組成物の全固形分質量に対してフェノキシエチル(メタ)アクリレートが、15〜30質量%であることが好ましく、22〜27質量%であることがより好ましい。
また、組成物の全固形分質量に対して上記一般式(1)で表わされる化合物が、5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
(B)成分は、活性エネルギー線硬化性基として(メタ)アクリロイル基を2個有する(メタ)アクリル樹脂であり、ハロゲン原子、硫黄原子、酸素原子若しくは窒素原子等のヘテロ原子を含む鎖状の脂肪族又は環状の脂環式若しくは芳香族の(メタ)アクリル樹脂であっても良く、例えば、上述した特開2009−37204号公報に記載の2官能の(メタ)アクリル樹脂を用いることができる。
(B)成分は好ましくは、下記一般式(2)で表わされる化合物が挙げられる。
(C)成分は、光学機能発現部に滑り性を付与し、光学機能発現部の凹凸形状に他部材等が接触した際の外力が加わりを緩和する働きを有する。
この他、非反応性の(C)成分は、組成物が硬化した際に、上記(A)成分、(B)成分及び後述する(D)成分が架橋した網目状の組織の中で、当該網目の隙間を埋める働きもしていると推測される。
このような(C)成分としては、例えば、下記一般式(3)で表わされる化合物が挙げられる。
(C)成分の誘導体として、水酸基を導入したビックケミー・ジャパン(株)製の商品名BYK−377等も好ましく用いることができる。
(D)成分は、下記一般式(4)で表わされる化合物(グリセリンエポキシトリアクリレート)であり、1分子内に3つの活性エネルギー線硬化性基を有するため、組成物の硬化時に上記(A)成分及び(B)成分との架橋が可能であり、多くの架橋点を生じる働きを有する。
この他、(D)成分は、そのCHO−(CH2O−)2部分に由来した柔軟性を有する。
したがって、(D)成分は、光学機能発現部に、複数の架橋点及びCHO−(CH2O−)2部分に由来した柔軟性による強靭性を付与する働きを有する。
(D)成分の含有量は、組成物の全固形分質量に対して、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜7質量%である。
なお、本発明の組成物は、通常、当該組成物中に含まれる上記必須成分と当該必須成分以外の硬化後に光学シートのマトリクスを形成する成分の合計量が、当該組成物の全質量に対して、通常、90質量%以上となるように適宜調製される。
Tgを上記範囲内とすることにより、光学機能発現部の光学単位の形状を変形させるものの磨耗性に優れたものとすることができる。
なお、本発明では、引っ張り正弦波、周波数1Hzにて測定したときの、損失正接(tanδ)の極大値を示す温度をTgとし、80℃における貯蔵弾性率(E’)を平衡弾性率とする。
なお、動的粘弾性測定装置としては、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の商品名粘弾性スペクトロメータ DMS6100を挙げることができる。
本発明に係る光学シートは、光学機能発現部の無い透明基材上に、バインダー樹脂及びケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含む裏面層を備える。裏面層としては、例えば、マット層やハードコート層等が挙げられる。
マット層は、例えば、マット剤のコーティング、熱プレスによるエンボス(型押)加工、サンドブラスト加工等の機械的加工、透明樹脂の注型(キャスティング)法等によって形成することができる。
マット剤のコーティングは、例えば、マット剤を樹脂及び溶剤等からなるバインダーに含有させたマット剤塗料を、プリズム層のプリズム列と反対側表面にコーティングすることによって行う。
マット剤としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)系ビーズ、ポリメタクリル酸ブチル系ビーズ、ポリカーボネート系ビーズ、ポリウレタン系ビーズ、炭酸カルシウム系ビーズ、シリコーン系ビーズ及びシリカ系ビーズ等の微粒子が挙げられる。前記微粒子は、特に限定されないが、平均粒径が1〜30μm、屈折率が1.30〜1.65程度の範囲であることが好ましく、また、ビーズの濃度はバインダー樹脂分の2〜5%であることが好ましい。
マット層のバインダーに用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などから適宜自由に選択して用いることができる。前記樹脂の屈折率はマット剤と極力一致させても良いし、出光特性をコントロールするために、樹脂とマット剤の屈折率を一致させなくても構わない。
マット剤塗料のコーティング方法としては、ダイコーティング、グラビヤコーティング、スリットリバースコーティング等各種公知のコーティング方法を選択することが可能である。
なお、マット層の厚さは通常1〜20μmである。
また、透明性を損なわない範囲で表面が被覆されたシリカ、アルミナ等から成る無機粒子又はポリアミド樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等から成る有機粒子を用い、粒子とハードコート成分に共有結合を形成し、硬度を向上させたハードコート層を用いても良い。
裏面層に含まれる防汚剤の量は、裏面層の表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が3%以上となるように適宜定め、好ましくは4%以上となるように適宜定める。ケイ素原子及びフッ素原子の存在率が前記下限値未満であると、裏面層の耐指跡性が不十分となる。また、裏面層に含まれる防汚剤の含有量は、裏面層の表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が28%以下となるように定めることが好ましく、20%以下となるように定めることがより好ましい。ケイ素原子及びフッ素原子の存在率が前記上限値を超えると、防汚剤による耐指跡性の向上が頭打ちになることが多く、また、光学機能発現部の表面からの防汚剤のブリードアウト量が多くなってしまう。
本発明に係る光学シートは、図示はしないが、必要に応じて光拡散機能を付与するために光拡散層を設けても良い。
光拡散層は、好ましく設けられる任意の層であって、光を拡散させる作用があればよく、一般的な光拡散シートに形成されているものを用いることができる。
例えば、光拡散性微粒子が透光性樹脂中に分散した層を適用できる。光拡散層は、透明基材と裏面層の間に面に設けられていても良いし、裏面層の透明基材とは反対側の面に設けられていても良いし、透明基材と光学機能発現部の間に設けられていても良い。あるいはプリズムシート(光学シート)を形成するプリズム樹脂部分(光学機能発現部)に光拡散性微粒子を内添しても良い。
また、光拡散性微粒子としては、一般的に光拡散シートに用いられる光拡散性の微粒子が用いられ、例えば、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)系ビーズ、ポリメタクリル酸ブチル系ビーズ、ポリカーボネート系ビーズ、ポリウレタン系ビーズ、炭酸カルシウム系ビーズ及びシリカ系ビーズ等が挙げられる。
なお、光拡散層の厚さは、通常、1〜20μmである。
本発明に係る光学シートは、例えば、液晶表示装置等のバックライトに用いられるプリズムシート、プロジェクションテレビ等の投影スクリーンに用いられるフレネルレンズシート等に用いることができる。本発明に係る光学シートはこれらのいずれにおいても好適に用いることができるが、中でも液晶表示装置用バックライトのプリズムシートとして好適に用いることができる。
本発明に係る面光源装置は、面光源の光放出面側に、上述した本発明の光学シートを備えることを特徴とする。本発明に係る面光源装置に用いられる面光源としては、各種の仕様(形態)のものが使用でき、特に制限は無い。従来公知の、いわゆる、エッジライト型、直下型、EL(電場発光)型等の形態の面光源の光放出面側に上記の本発明の光学シートを載置して本発明の面光源装置が構成される。
図3は、本発明に係る光学シートを備える面光源装置の一例として、エッジライト型面光源を用いた本発明に係る面光源装置の形態を示した模式的な断面図である。図3の面光源装置20は、導光板21の光放出面22側に、光放出面22側から、裏面層13、透明基材11及び光学機能発現部12が設けられている。
なお、図3の面光源装置20は、導光板21の少なくとも一つの側端面23に設けられた光源24から光が導光板21内に入射され、光放出面22から光が放出されるエッジライト型面光源26を用いたエッジライト型面光源装置である。
導光板は、従来公知の導光板とすれば良く、光学シートや透明基材と同様の透光性材料で形成しても良い。
導光板は通常、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂で形成される。
導光板の厚さは通常1〜10mmであり、その厚さは全範囲で一定であっても良いし、図3に示すように、一端側に光源24を設ける場合は、光源24を設ける側端面23側が最も厚く、側端面23の反対側ほどに徐々に薄くなるテーパ形状であっても良い。
導光板には、光放出面から光を放出させるために、その内部又は表面に光散乱機能が付加されていることが好ましい。
光源としては、特に限定されず、冷陰極管等の線状光源を用いても良いし、白熱電球、LED(発光ダイオード)等の点光源を側端面に沿ってライン状に配置しても良いし、小形の平面蛍光ランプを側端面に沿って複数個配置するようにしても良い。
光反射板は、薄い金属板にアルミニウム等を蒸着したもの、又は、白色の発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)等が用いられる。
本発明に係る画像表示装置は、画像表示装置本体の背面側に、上述した本発明に係る面光源装置を配置していることを特徴とする。
前記画像表示装置としては、例えば、画像表示装置本体として液晶セルを用いた液晶表示装置が挙げられる。本発明において液晶セルとは、液晶化合物をガラス等により封入したモジュールをいい、偏光板又はカラーフィルター等のその他の部材が含まれたモジュールであっても良い。
フェノキシエチルアクリレート(サートマー社製の商品名SR339A):14.6質量部
オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(別名アクリル酸2−(2−ビフェニリルオキシ)エチル):28質量部
ビスフェノールAジアクリレート(EO4モル変性)(一般式(2)においてm=n=2、かつ、R1及びR3が全て水素原子、共栄社化学(株)製の商品名ライトアクリレート BP−4EA):12質量部
ビスフェノールAジアクリレート(EO10モル変性)(一般式(2)においてm=n=5、かつ、R1及びR3が全て水素原子、MIWON社製の商品名MIRAMER M2100):35質量部
ビスフェノールAエポキシジアクリレート(共栄社化学(株)製の商品名FLEA−POA、(全質量に対するビスフェノールAエポキシジアクリレートの含有量49質量%、フェノキシエチルアクリレートの含有量51質量%)、重量平均分子量2000):2質量部
ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名BYK−377)、一般式(3)において、a=5、b=5、c=30、d=10、R1及びR2がメチル基、重量平均分子量10800):0.5質量部
グリセリンエポキシトリアクリレート(上記一般式(4)、ナガセケムテックス(株)製の商品名DA−314):5質量部
イソシアヌル酸トリアクリレート(EO3モル変性、東亞合成(株)製の商品名アロニックス M−315):3質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製の商品名イルガキュア184):3質量部
リン酸エステル系離型剤(SC有機化学(株)製の商品名Chelex H−18D):0.1質量部
フェノキシエチルアクリレート(サートマー社製の商品名SR339A):12質量部
オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(別名アクリル酸2−(2−ビフェニリルオキシ)エチル):32質量部
ビスフェノールAジアクリレート(EO4モル変性)(一般式(2)においてm=n=2、かつ、R1及びR3が全て水素原子、共栄社化学(株)製の商品名ライトアクリレート BP−4EA):8質量部
ビスフェノールAジアクリレート(EO10モル変性)(一般式(2)においてm=n=5、かつ、R1及びR3が全て水素原子、MIWON社製の商品名MIRAMER M2100):42質量部
ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名BYK−377)、一般式(3)において、a=5、b=5、c=30、d=10、R1及びR2がメチル基、重量平均分子量10800):0.5質量部
グリセリンエポキシトリアクリレート(上記一般式(4)、ナガセケムテックス(株)製の商品名DA−314):5質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製の商品名イルガキュア184):3質量部
リン酸エステル系離型剤(SC有機化学(株)製の商品名Chelex H−18D):0.1質量部
フェノキシエチルアクリレート(サートマー社製の商品名SR339A):19質量部
イソボルニルアクリレート:8質量部
4−アクリロイルモルホリン:5質量部
ビスフェノールAジアクリレート(EO4モル変性)(一般式(2)においてm=n=2、かつ、R1及びR3が全て水素原子、共栄社化学(株)製の商品名ライトアクリレート BP−4EA):12質量部
ビスフェノールAジアクリレート(EO2モル変性)(一般式(2)においてm=n=1、R1が全てメチル基、かつ、R3が全て水素原子、共栄社化学(株)製の商品名ライトアクリレート BP−2EM):27質量部
ビスフェノールAエポキシジアクリレート(共栄社化学(株)製の商品名FLEA−POA、(全質量に対するビスフェノールAエポキシジアクリレートの含有量49質量%、フェノキシエチルアクリレートの含有量51質量%)、重量平均分子量2000):16質量部
ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名BYK−377)、一般式(3)において、a=5、b=5、c=30、d=10、R1及びR2がメチル基、重量平均分子量10800):0.5質量部
イソシアヌル酸トリアクリレート(EO3モル変性、東亞合成(株)製の商品名アロニックス M−315):13質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製の商品名イルガキュア184):3質量部
リン酸エステル系離型剤(SC有機化学(株)製の商品名Chelex H−18D):0.1質量部
綜研化学製、架橋アクリル散粒子(平均粒径5μm)1重量%をポリエステル樹脂に混合し、イソシアネート硬化剤を硬化反応適量加えた。メチルエチルケトンとトルエンを等量混合した有機溶剤を用い、前記固形分が35重量%になるように希釈して、光拡散性微粒子を含むマット層用材料ベース処方を調製した。
上記プリズム部用組成物ベース処方Aに、ケイ素系防汚剤(日本合成化学工業(株)製、UT3971)が固形分全体の1質量%となるように、且つ、フッ素系防汚剤(大日本インキ社製、ディフェンサTF3001)が固形分全体の0.8質量%となるように、ケイ素系防汚剤及びフッ素系防汚剤をそれぞれ添加、混合し、プリズム部用組成物を得た。尚、前記ケイ素系防汚剤及びフッ素系防汚剤の含有量(質量%)は、得られるプリズム部用組成物中の固形分全体の質量を100%としたときの値である。
上記マット層用材料ベース処方に、ケイ素系防汚剤(日本合成化学工業(株)製、UT3971)が固形分全体の1質量%となるように、且つ、フッ素系防汚剤(大日本インキ社製、ディフェンサTF3001)が固形分全体の0.8質量%となるように、ケイ素系防汚剤及びフッ素系防汚剤をそれぞれ添加、混合し、マット層用材料を得た。尚、前記ケイ素系防汚剤及びフッ素系防汚剤の含有量(質量%)は、得られるマット層用材料中の固形分全体の質量を100%としたときの値である。
図1に示すような単位プリズム(光学単位)の線状配列の凹凸形状が形成されたプリズム型に前述のプリズム部用組成物を供給し、マット層を設けていない面のポリエチレンテレフタレート(PET)の透明基材を重ね、ニップローラーで加圧し、高圧水銀灯を用い、780mJ/cm2で紫外線照射を行い、多数の単位プリズムを有するプリズム部(光学機能発現部)を硬化させ、PET基材と一体化した状態で上記プリズム型を剥離し、光学シートを得た。
ここで、単位プリズム(光学単位)の形状は、主切断面形状が高さ25μm、底辺50μm、頂角90°となる二等辺三角形の三角柱形状とした。そして、プリズム部(光学機能発現部)は、各単位プリズムの稜線が互いに平衡になるように複数の単位プリズムを配列周期50μmで当該稜線と直交する方向に多数隣接して配列した構造とした。
尚、XPS解析は、Thermo Electron社製(VG Theta Probe)のXPS(X線光電子分光測定)装置を使用し、X線源はMonochromated Al Kα、X線出力は100W、測定領域は400μmφ、レンズはAngle Resolvedとした。測定角度は、5段階(28°、38°、48°、58°、68°)の条件にて行った。
プリズム部用組成物ベース処方Aに添加する防汚剤の量を、ケイ素系防汚剤(日本合成化学工業(株)製、UT3971)が固形分全体の4質量%となるように、且つ、フッ素系防汚剤(大日本インキ社製、ディフェンサTF3001)が固形分全体の3質量%となるようにして得られたプリズム部用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学シートを得た。
マット層用材料ベース処方に添加する防汚剤の量を、ケイ素系防汚剤(日本合成化学工業(株)製、UT3971)が固形分全体の4質量%となるように、且つ、フッ素系防汚剤(大日本インキ社製、ディフェンサTF3001)が固形分全体の3質量%となるようにして得られたマット層用材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光学シートを得た。
プリズム部においてXPS解析によるケイ素の存在率及びフッ素の存在率が、表4に示す値になるように、表2及び表3に従って、プリズム部用組成物ベース処方Aに、ケイ素系防汚剤(日本合成化学工業(株)製、UT3971)及びフッ素系防汚剤(大日本インキ社製、ディフェンサTF3001)を含有させたプリズム部用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学シートを得た。
マット層においてXPS解析によるケイ素の存在率及びフッ素の存在率が、表4に示す値になるように、表2及び表3に従って、マット層用材料ベース処方に、ケイ素系防汚剤(日本合成化学工業(株)製、UT3971)及びフッ素系防汚剤(大日本インキ社製、ディフェンサTF3001)を含有させたマット層材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学シートを得た。
プリズム部用組成物ベース処方Aの代わりにプリズム部用組成物ベース処方Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学シートを得た。
プリズム部用組成物ベース処方Aの代わりにプリズム部用組成物ベース処方Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学シートを得た。
プリズム部用組成物ベース処方Aに添加する防汚剤の量を、ケイ素系防汚剤が固形分全体の0.5質量%(存在率1%)、フッ素系防汚剤が固形分全体の0.3質量%(存在率1%)となるようにして得られたプリズム部用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学シートを得た。
マット層用材料ベース処方に添加する防汚剤の量を、ケイ素系防汚剤が固形分全体の0.5質量%(存在率1%)、フッ素系防汚剤が固形分全体の0.3質量%(存在率1%)となるようにしして得られたマット層用材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学シートを得た。
プリズム部用組成物ベース処方Aの代わりにプリズム部用組成物ベース処方Bを用い、当該プリズム部用組成物ベース処方Bに添加する防汚剤の量を、ケイ素系防汚剤が固形分全体の0.5質量%(存在率1%)、フッ素系防汚剤が固形分全体の0.3質量%(存在率1%)となるようにして得られたプリズム部用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学シートを得た。
プリズム部用組成物ベース処方Aの代わりにプリズム部用組成物ベース処方Cを用い、当該プリズム部用組成物ベース処方Cに添加する防汚剤の量を、ケイ素系防汚剤が固形分全体の6質量%(存在率15%)、フッ素系防汚剤が固形分全体の5質量%(存在率15%)となるようにして得られたプリズム部用組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学シートを得た。
各実施例及び各比較例で得られた光学シートのプリズム部(光学機能発現部)の頂部における押し込み深さを、ISO 14577−1に準拠し、押し込み荷重0.5mNで測定した。測定機器としては、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の微小硬さ試験機(商品名PICODENTOR HM500、圧子はダイヤモンド製の四角錐型、対面角90°)を用いた。実施例で得られた光学シートの測定結果を表4に示し、比較例で得られた光学シートの測定結果を表5に示す。
作製した実施例及び比較例の光学シートをA4サイズに切り出し、明室にて、プリズム部表面及びマット層表面の指跡の有無を目視にて観察した。指跡を認識できなかったものを○、指跡を認識できたものを×とし、実施例で得られた光学シートの評価結果を表4に示し、比較例で得られた光学シートの評価結果を表5に示す。
実施例1〜12で得られた光学シートは、プリズム部(光学機能発現部)及びマット層(裏面層)のいずれにおいても指跡が確認されなかった。プリズム部では、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有し、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計を3%以上とすることで、皮脂の付着がなく、さらに、押し込み荷重0.5mNでの押し込み深さを0.6μm以上とすることで、加圧による永久変形もなかったことにより、指跡の付着を防止できたと考えられる。マット層では、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有し、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計を3%以上とすることで、皮脂の付着を防いだことにより、指跡の付着を防止できたと考えられる。
一方、比較例1、2、4及び5で得られた光学シートでは、プリズム部に指跡が確認された。
比較例1では、プリズム部表面におけるケイ素原子及びフッ素原子の存在率が実施例と同等であったため、皮脂の付着はなかったと考えられるが、プリズム部の押し込み荷重0.5mNでの押し込み深さが0.4μmと小さかったため、加圧によって指跡が形成されたと考えられる。
比較例2及び比較例4では、プリズム部の押し込み深さが実施例と同等であったため、加圧による変形はなかったと考えられるが、プリズム部が含有する防汚剤量が少なく、ケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が2%と小さかったため、皮脂による指跡が付着したと考えられる。
比較例5では、プリズム部における防汚剤の含有量が多すぎたため、防汚剤がブリードアウトしたことにより指跡が付着し、プリズム部の表面には艶のムラができた。また、プリズム部の押し込み荷重0.5mNでの押し込み深さが0.4μmと小さかったことにより、加圧による指跡も形成されたと考えられる。尚、プリズム部表面におけるケイ素原子及びフッ素原子の存在率は実施例と同等であったため、皮脂による指跡の付着はなかったと考えられる。
比較例3で得られた光学シートでは、マット層に指跡が確認された。これは、マット層が含有する防汚剤量が少なく、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が2%と小さかったため、皮脂による指跡が付着したと考えられる。
11 透明基材
12 光学機能発現部
12a 光学単位
13 裏面層
20 面光源装置
21 導光板
22 光放出面
23 側端面
24 高原
25 光反射板
26 面光源
30 液晶表示装置
31 液晶セル
110 可動盤
120 偏光フィルム
130 荷重部
Claims (4)
- 透明基材の一面側に、頂点または稜線を有する凸状の光学単位を複数配列した光学機能発現部を設けた光学シートであって、
前記光学機能発現部は、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有しており、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が3%以上であり、且つ、その光学単位の頂部における、ISO14577−1に準拠して押し込み荷重0.5mNで測定したときの押し込み深さが0.6μm以上であることを特徴とする光学シート。 - 前記透明基材の他面側に、バインダー樹脂を含む裏面層を設けた光学シートであって、当該裏面層は、ケイ素系化合物及びフッ素系化合物から選ばれる防汚剤を含有しており、その表面をXPS解析したときのケイ素原子及びフッ素原子の存在率の合計が3%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
- 面光源の光放出面側に前記請求項1又は2に記載の光学シートを備えることを特徴とする、面光源装置。
- 画像表示装置本体の背面側に、前記請求項3に記載の面光源装置を配置した、画像表示装置。
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