JP2016028188A - 開閉装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 可動座板12の上方への移動に連動してブレーキ機構42を解除状態から制動状態にする座板連動機構Aを備えた開閉装置であって、座板連動機構Aは、可動座板12の上方への移動により第一紐状部材a1の張力を上昇させる張力上昇機構90と、該張力上昇機構90により張力を上昇した第一紐状部材a1に引っ張られて一方向へ回転するように設けられた回転体70と、回転体70の外周側に一端側が止着されるとともにその他端側によってブレーキ機構42のレバー部材52を復帰位置側へ引っ張るように設けられた第二紐状部材a2とを具備している。
【選択図】 図7
Description
この開閉装置では、閉鎖動作中の開閉体(シャッターカーテン2)が、その閉鎖方向側の障害物に当接した際に、該開閉体の下端の可動座板(下座板101)を障害物からの押圧力により相対的に上昇させ、その可動座板の上昇を感知部(マイクロスイッチ105)により感知し、この感知信号をコード(11a〜11c)により制御装置(8)へ送信し、該制御装置(8)からの制御信号によって開閉機(7)を制御し、開閉体(シャッターカーテン2)の閉鎖動作を停止するようにしている。
このような構造の開閉装置では、火災等に起因する停電が発生した際にも、前記開閉機(7)を制御できるように、通常はバッテリーを具備するが、常時待機させる通常の使用において性能維持のためには定期的なバッテリー交換が一般的には必要で、メンテナンス不良等に起因して前記バッテリーの電力が十分に得られない場合等には、開閉体(シャッターカーテン2)を降下させることができなかったり、降下中の開閉体を障害物感知により停止するのが遅れたり、障害物除去後に開閉体を再降下できなかったり等するおそれがある。
しかしながら、機械的な障害物感知構造では、開閉体の自動閉鎖を開始する自動閉鎖装置(例えば特許文献2参照)や、該自動閉鎖装置によって操作されるブレーキ機構(例えば特許文献3参照)等の作動性に支障をきたすことのないように工夫を要する。
この構成によれば、自動閉鎖装置のレバー部材が復帰位置から前進する際には、第二紐状部材及び回転体がダンパー手段による抵抗を受けない。したがって、レバー部材の復帰位置からの前進を速やかに行うことができ、ひいては、ブレーキ機構が制動状態から解除状態になるのが遅延して、開閉体本体の閉鎖動作の開始が遅れるのを防ぐことができる。
この構成によれば、レバー部材が復帰位置から前進する際にダンパー手段による抵抗を受けないようにする構成を、生産性の良好な具体的構造とすることができる。
この構成によれば、第二紐状部材の弛みが、レバー部材が復帰位置から前進位置まで移動した際に略解消される。よって、レバー部材が前進位置まで移動した後の動作(例えば障害部を感知した際のレバー部材の後退等の動作)が、前記弛みによって遅延するようなことを防ぐことができる。
この構成によれば、レバー部材が復帰位置から前進する際にはダンパー手段による抵抗を受けないように、係合突部をダンパー手段から外すことができ、ひいては、レバー部材の復帰位置からの前進を速やかに行うことができ、更には、ブレーキ機構が制動状態から解除状態になるのが遅延して、開閉体本体の閉鎖動作の開始が遅れるのを防ぐことができる。
この構成によれば、障害物当接等により可動座板が相対的に上方へ移動すると、該可動座板に押動されて第二可動部材が上方へ移動し、第一紐状部材における二つの滑車部材の間の部分が、第一可動部材と第二可動部材との間に挟まれて上方へ引っ張られ、第一紐状部材の張力を上昇させた張力上昇状態になる。
また、障害物の除去等により可動座板が相対的に下方へ移動した場合には、第一可動部材と第二可動部材が下方へ移動して、第二紐状部材の張力を緩和させた張力緩和状態になる。
この構成によれば、第一紐状部材は、その一端側が牽引装置により牽引され、他端側が回転体の外周側に止着された状態で、張力上昇機構によって張力が上昇したり緩和したりする。よって、張力上昇機構による第一紐状部材の張力上昇動作および張力緩和動作を良好に行うことができる。
自動閉鎖装置のレバー部材が復帰位置から前進する際には、閉鎖動作の再開を遅延させるためのダンパー手段による抵抗を受けないようにしているため、レバー部材を速やかに前進させることができる。
よって、電源不良等の影響を受け難い機械的な障害物感知構造を有する上、自動閉鎖装置及びブレーキ機構の作動性を良好にすることができる。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、該開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
本実施の形態は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置として適用可能であり、特に好ましい態様として、火災等の非常時に自動閉鎖されて火炎や煙の蔓延を防ぐ防火シャッター装置に適用した一例について説明する。
この開閉体10の他例としては、単数もしくは複数のパネルや、シート状物、ネット状物を開閉方向へ設けてなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等としてもよい。
この可動座板12を上下方向へ移動させる構造は、例えば、可動座板12の上端部を、開閉体本体11の下端部に対し、上下方向へ所定量スライドするように係合すればよい。
そして、この可動座板12と一体的に上下動するように、座板連動機構Aを作動させるための当接部12a(図5参照)が設けられる。この当接部12aは、例えば、可動座板12の上端部に固定するようにしてもよいし、可動座板12と一体的に揺動するように開閉体本体11に軸支された揺動部材(図示せず)に固定するようにしてもよい。
この可動座板12の材質は作動性の観点から硬質材料(例えば、金属や、硬質樹脂材等)とするのが好ましいが、当該可動座板12の一部または全体を、弾性を有する材料(例えば、ゴムや、弾性樹脂材等)から構成してもよい。
この開閉機40は、より詳細に説明すれば、巻取軸32の動力源となるモータ部41と、該モータ部41の一端側(図示例によれば右端側)でモータ部41による回転を制動するブレーキ機構42とを、ケーシング43内に備えている。
なお、他例として、自重または手動の開閉でしか用いられない場合等には、開閉機40は、モータ部41を省略して、駆動軸41bの回転を制動するブレーキ機構42(および手動駆動機構)を主体とした構成としてもよい。
また、このレバー部材52の後端側には、後述する手動復帰部材55及び第二紐状部材a2が接続されている。
係脱装置54は、内在する付勢部材(図示せず)の付勢力によって付勢されたプランジャ54aをレバー部材52に係止させ、電磁ソレノイドの電磁力によって前記プランジャ54aを後退させて、レバー部材52に対する係止を解除する装置である。
手動復帰部材55は、レバー部材52の後端側に接続され、ケーシング51後方へ突出した部材(例えば紐状体や棒状体など)であり、前進位置にあるレバー部材52を手動で復帰位置に戻すために用いられる。
また、前記前進位置において手動復帰部材55が手動操作で後方(図3によれば左方向)へ引かれた場合には、レバー部材52が、係脱装置54によって係止された復帰位置(図3(a)参照)に戻る。この手動復帰部材55による復帰操作の際には、第二紐状部材a2に弛みa21が形成されることになり(図6参照)、回転体70の規制や回転の遅延等の影響を受けない。
なお、係脱装置54は、電気的な閉鎖指令により電動で解除される構成とすればよいが、他例としては、機械的な力伝達の閉鎖指令により解除される構成としてもよいし、あるいは、これら二つの構成の内の一方が選択的に用いられるようにしたり、これら二つの構成が双方とも用いられるようにしたり等することも可能である。
この第一紐状部材a1は、後述する張力上昇機構90内に挿通されることで、開閉体本体11の下端側に開閉体幅方向へわたって位置する。
第一紐状部材a1の一端側は、牽引装置60によって上方へ牽引されている。また、同第一紐状部材a1の他端側は、弾性部材73を介して回転体70の外周側に接続されている。
この牽引装置60には、開閉体10の全開時に少なくとも開閉体10の開閉ストロークの2倍長の第一紐状部材a1が引き出し可能に巻かれている。
支持ブラケット71には、凸状の係合部71aが固定されている。また、回転体70には、前記係合部71aに対し所定の回動範囲内で係合するように被係合部72が形成されている。
なお、他例としては被係合部72を、係合部71aに係合可能な凹部とすることも可能である。更に他例としては、係合部71aと被係合部72の凹凸関係を逆にした構成等とすることも可能である。
なお、第一紐状部材a1が後述する張力上昇機構90の解除動作により張力上昇状態から張力緩和状態になる際に、回転体70が前記逆方向へ回転する時間は、回転付勢部材71bの付勢力とダンパー手段80の抵抗力を適宜に調整することにより、2〜8秒の範囲内とするのが好ましく、更に好ましくは3〜4秒の範囲内とされる。
また、同係合部71a及び被係合部72は、回転体70の逆方向(図示例によれば時計方向)への回転量を規制することで、自動閉鎖装置50のレバー部材52が復帰位置に戻された際に、回転付勢部材71bの付勢力により逆方向へ回転した回転体70を初期位置で停止して、第二紐状部材a2に弛みa21を有する状態に戻す手段としても機能する。
この第二紐状部材a2は、第一紐状部材a1と同材質の長尺状部材である。この第二紐状部材a2は、弛みa21を有する状態で、その他端側を、復帰位置のレバー部材52に接続している。
この弛みa21は、自動閉鎖装置50のレバー部材52が復帰位置から前進位置まで移動した際に略解消されるように適宜に調整されている。
この弛みa21によれば、自動閉鎖装置50のレバー部材52が、復帰位置から前進する際に、第二紐状部材a2が回転体70を回動させず、すなわちダンパー手段80による抵抗を受けないようにすることができる。
したがって、例えば、第一紐状部材a1の引張力Fを軽減したい場合には、半径R及び/又は半径rを調整すればよいことになる。
また、例えば、第二紐状部材a2の引張力fの方向を変える場合等には、第二紐状部材a2の止着箇所を、半径rの任意の点に置き換えることが可能である。
すなわち、例えば、座金91bの枚数を増加すれば、ケース部材91の位置が高くなるとともに、第二可動部材95が相対的に下方へ移動するため、第一可動部材94と第二可動部材95との間が広がり、ひいては、第一紐状部材a1の磨耗を低減することができる。
逆に、座金91bの枚数を減少すれば、ケース部材91の位置が低くなるとともに、第二可動部材95が相対的に上方へ移動するため、第一可動部材94と第二可動部材95との間が狭まる。よって、これらを調整することにより、初期段階から両可動部材94,95が第一紐状部材a1を挟持してしまうようなことを防いだり、第一紐状部材a1が両可動部材94,95によって十分に挟持されるまでの可動座板12の必要ストロークを良好に設定したり等することができ、ひいては、座板連動機構Aの作動性を良好にすることができる。
すなわち、例えば、ケース部材91の位置を低くすれば、可動座板12の上昇量が比較的小さい場合でも、第一紐状部材a1が両可動部材94,95によって十分に挟持されることになる。
この窓部91dは、図示例によれば矩形状の切欠きであり、両可動部材94,95における後述する凹凸面部94a,95aの間を開閉体厚さ方向側から目視できるように配置してある。すなわち、ケース部材91の高さ調整により、凹凸面部94a,95a間が調整される際、窓部91dを介して凹凸面部94a,95a間にスキマゲージが挿入されるようになっている。なお、前記窓部91dの他例としては貫通孔であってもよい。
また、通常使用時には窓部91dをシール貼り付け等によって塞いで、窓部91d内への埃等の異物の侵入を阻むようにしてもよい。
一方の滑車部材93の周囲近傍における第一紐状部材a1の曲がり部分の内側には、第一紐状部材a1に摺接するように複数(図示例によれば二つ)のガイド部材93a.93bが設けられている。
これら二つのガイド部材93a,93bは、滑車部材93の両側に配置されている。より詳細に説明すれば、一方のガイド部材93aは、滑車部材93の斜め下方側に配置されて、第一紐状部材a1を略水平方向へ案内している。また、他方のガイド部材93bは、ガイド部材93aよりも若干小さい外径に形成されるとともに、滑車部材93の斜め上方側に配置されて、第一紐状部材a1を上方へ案内している。
すなわち、仮にガイド部材93a,93bを具備しない構成によれば、前記曲がり部分の弛みによって、張力緩和状態から張力上昇状態になった際の第一紐状部材a1の引張量が少なくなり、座板連動機構Aの作動性を損ねてしまうおそれがある。しかしながら、本実施の形態の好ましい一例では、ガイド部材93a,93bによって前記張力上昇状態になった際の第一紐状部材a1の引張量を比較的大きく確保することができ、ひいては、座板連動機構Aの作動性を良好にすることができる。
なお、前記構造に付加する構成として、第一紐状部材a1が滑車部材92,93から外れるのを防ぐ任意の外れ防止手段を設けるようにしてもよい。
第一可動部材94の回動支点(軸支部97)と第二可動部材95の回動支点(軸支部97)は、第一紐状部材a1における滑車部材92と滑車部材93の間の部分よりも上側に配置されている。
そして、これら第一可動部材94と第二可動部材95は、第一紐状部材a1を挟んで上方へ回動することで、第一紐状部材a1を張力上昇状態(図8に示す状態)にし、また、逆方向へ回動することで第一紐状部材a1を張力緩和状態(図7に示す状態)に戻す。
第一可動部材94および第二可動部材95は、金属や硬質合成樹脂等からなり、撓みがほとんど発生しない強度で製作されることが好ましい。
そこで、本実施の形態の好ましい一例では、第一可動部材94と第二可動部材95が同一の軸支部97を支点にして回動する構成とすることで、第一可動部材94と第二可動部材95が共に回動した際に、これら第一可動部材94と第二可動部材95との間の擦れ量が比較的小さくなるようにし、これら第一可動部材94と第二可動部材95間に挟まれる第一紐状部材a1の磨耗を軽減している。
更に、第一可動部材94は、凹凸面部94aよりも回動端側に、前記張力緩和状態にある際に凹凸面部94aよりも第一紐状部材a1側へ突出して第一紐状部材a1に摺接される突部94cを有する。
そして、第一可動部材94は、その回動端側の最先端部が、ケース部材91に固定された規制凸部91eに当接することで、下方への回動量が規制されている。
そして、第二可動部材95は、凹凸面部95aよりも回動端側には、下方へ突出することで当接部12aに当接される被当接部95cを有し、更に回動端側には錘体95dを有する。被当接部95cは、図示した好ましい一例によれば、下面側に凸部を有するとともに上面側に凹部を有する形状(より具体的には略V字状)に形成される。
すなわち、第一可動部材94が上方へ動作していない状態(図5に示す状態)では、規制凸部91eと第一可動部材94先端部との位置が対応し(詳細には規制凸部91eと第一可動部材94先端部とが当接した状態になり)、第二可動部材95が上方へ動作した状態(図8に示す状態)では、規制凸部91eと被当接部95cとの位置が対応する(詳細には規制凸部91eと被当接部95cとの間に第一紐状部材a1が挟まれた状態になる)ように、規制凸部91eと第一可動部材94の先端部と被当接部95cは設けられている。
同様に、突部94cは、第一可動部材94と第二可動部材95とが第一紐状部材a1を挟持している状態(図8に示す状態)において、第一紐状部材a1における凹凸面部95aよりも回動端側の部分に当接して、該部分が凹凸面部95aの凹凸面から上方へ離れるのを防ぐように、その突出量が適宜に設定されている。
したがって、第一紐状部材a1は、図8において、凹凸面部94aの左側で凹凸面部94aの凹凸面よりも上方に位置し、凹凸面部95aの右側で凹凸面部95aの凹凸面よりも下方に位置するため、凹凸面部94aと凹凸面部95aとによって安定して挟持されることになる。
よって、上記構成によれば、第一可動部材94および第二可動部材95の回動量に多少ばらつきがある場合でも、常に、第一紐状部材a1を凹凸面部94aと凹凸面部95aとによって安定的に挟持することができる。
また、更に好ましい態様としては、図10に示すように、凹凸面部94a(95a)の表面に、第一紐状部材a1外周面の凹凸Mに対し延設方向及びピッチが略一致する凹凸m1と、該凹凸m1に対し延設方向が直交し且つピッチが略一致する凹凸m2とを設けるようにする。この構成によれば、凹凸面部94a(95a)表面の凹凸の方向と、第一紐状部材a1外周の凹凸の方向との位置合わせが容易になり、生産性が良好である。
これら突部94c,95bは、第一紐状部材a1が張力緩和状態(図5〜7に示す状態)にある際に、凹凸面部94a,95aが第一紐状部材a1に摺接して、第一紐状部材a1が磨耗してしまうようなことを防いでいる。
この規制突部94bは、第一紐状部材a1が張力上昇状態にある際に、第二可動部材95に当接することで、第一紐状部材a1を挟む凹凸面部94a,95a間の挟持力が強くなりすぎるのを防ぎ、ひいては、第一紐状部材a1の磨耗の進行や、凹凸面部94a,95aの第一紐状部材a1への噛み込み過ぎ等を防ぐ。
先ず、開閉体10が全開状態で静止している際には、図6に示すように、自動閉鎖装置50のレバー部材52が係脱装置54に係止された復帰位置(初期位置)になっている。
この状態では、開閉機40のブレーキ機構42は、内在する付勢部材42cの付勢力によって制動状態に維持される。
また、第一紐状部材a1は、張力上昇機構90によって拘束されていない張力緩和状態にある。
また、回転体70は、回転付勢部材71bの付勢力によって時計方向へ付勢されるとともに被係合部72の一端部を係合部71aに当接させて静止している。
また、第二紐状部材a2は、弛みa21を有する状態に維持されている。
すなわち、初期位置から前進しようとするレバー部材52が、第二紐状部材a2を介してダンパー手段80の抵抗を受けてしまうようなことを、弛みa21によって防ぐことができる。
この自重閉鎖中、第一紐状部材a1は、牽引装置60から繰り出されるとともに、張力上昇機構90によって拘束されていない張力緩和状態に維持される。
また、回転体70は、回転付勢部材71bの付勢力によって時計方向へ付勢され被係合部72の一端部を係合部71aに当接させた静止状態に維持される。
また、第二紐状部材a2は、弛みa21を解消したままの状態に維持されている。
そのため、第一紐状部材a1における二つの滑車部材92,93の間の部分が、第一可動部材94と第二可動部材95との間(詳細には両凹凸面部94a,95aの間)に挟まれ、第一紐状部材a1が第一可動部材94,第二可動部材95に対してその線方向にロックされ、また開閉体10の閉鎖力(自重)が第一紐状部材a1に吊支状態で掛かるとともに、第一可動部材94と第二可動部材95により第一紐状部材a1における二つの滑車部材92,93間の部分が上方へ引っ張られ、第一紐状部材a1が張力上昇状態になる。
したがって、ブレーキ機構42の操作体44が前記後方へ揺動し、ブレーキ機構42が内部の駆動軸41bを拘束した制動状態になり、駆動軸41bに連動する巻取軸32の繰り出し方向の回転が停止し、開閉体10の閉鎖動作(下降動作)も停止する。
なお、第一可動部材94と第二可動部材95とが第一紐状部材a1を挟持したのみの当初段階で、第一紐状部材a1の張力が足りない状態では、回転体70の回転が不足して開閉体10の停止にまで至らないが、この状態から開閉体10がさらに若干閉鎖することにより、第一可動部材94および第二可動部材95が、共に上方へ回動して第一紐状部材a1をジグザグ折り曲げ状態で上方に引き上げ、第一紐状部材a1の張力を更に増すことになる。
したがって、レバー部材52が第二紐状部材a2の引張力により復帰位置(図6に示す初期位置)まで後退してしまい、障害物Xが除去されても再度閉鎖指令がないと開閉体10の閉鎖動作が再開されないようなことを防ぐことができる。
そして、第一紐状部材a1が張力緩和状態になると、回転体70は、付勢部材53の付勢力による第二紐状部材a2の牽引力、および回転付勢部材71bの付勢力によって、時計方向へ回転する。この際、回転体70の回転は、ダンパー手段80による抵抗を受けて遅延する。したがって、第二紐状部材a2も遅延してスライドし、更に第二紐状部材a2に引っ張られていたレバー部材52も、遅延して前進を開始し、ブレーキ機構42の操作体44を押動する。
よって、障害物Xの除去後、ブレーキ機構42が数秒経過して解除状態になり、開閉体10の閉鎖動作が再開することになる。
この制動状態において、例えば、手動復帰部材55が後方へ引かれることで、自動閉鎖装置50のレバー部材52が復帰位置(図6に示す位置)に係止され、更に、開閉体10が手動開放操作により全開位置に戻された場合には、可動座板12及び両可動部材94,95が下降して第一紐状部材a1が張力緩和状態になるため、回転体70が回転付勢部材71bの付勢力によって所定量だけ時計方向へ回転し、第二紐状部材a2に弛みa21が形成されて、図6に示す初期状態に戻ることになる。すなわち、レバー部材52が復帰位置で係止されて付勢部材53の付勢力が得られない場合でも、回転付勢部材71bの付勢力によって回転体70を時計方向へ回転させることができる。
すなわち、仮に前記隙間sを有さない構成によれば、図13(a)〜(c)に示すように、ブレーキ機構42が解除状態(図13(b)参照)から制動状態になる際に、レバー部材52が操作体44によって後方(図示例によれば左方向)へ押圧されて復帰位置(図13(c)の位置)に戻ってしまうおそれがある。
しかしながら、本実施の形態では、図3(a)に示すように、隙間sを設けているため、レバー部材52が操作体44によって後方(図示例によれば左方向)へ押圧されて復帰位置に戻ってしまうようなことを防ぐことができる。
なお、他例としては、回転体70の反時計方向への回転量を規制する構成と、制動状態のブレーキ機構42の操作体44と復帰位置のレバー部材52との間に隙間sを設ける構成との内、何れか一方の構成を省くようにしてもよい。
回転体70’は、外周の一部の範囲に扇形に突出してダンパー手段80の制動回転体81に係合可能な係合突部71’を有する。前記係合突部71’は、図示例によれば、回転体70’の外周の一部の範囲に形成された歯車の歯である。回転体70’は、係合部71a及び被係合部72によって規制される回動範囲において、前記係合突部71’を二つのダンパー手段80’に噛み合わせるようにしている。
また、第二紐状部材a2は、回転体70’の側部において、第一紐状部材a1の止着箇所よりも回転体70’中心側に止着され、略水平方向へ導かれている。
この係合突部71”は、レバー部材52の復帰位置からの前進に伴って回転体70”が前記逆方向(図12によれば時計方向)へ回転した際にダンパー手段80の制動回転体81から外れ、レバー部材52の前進位置からの後退に伴って回転体70”が前記一方向(図12によれば反時計方向)へ回転した際にダンパー手段80の制動回転体81に係合するように、周方向の範囲が設定されている。
なお、回転付勢部材71bの付勢力は、図12(a)の状態から時計回りに回転体70”が回転したときには作用せず、図12(a)の状態から反時計回りに回転体70”が回転した時にのみ働くようになっている。
すなわち、第二紐状部材a2の弛みa21の撓み量が、仮に自動閉鎖装置50のレバー部材52が復帰位置から前進位置まで移動する量に対して不足していた場合であっても、その不足を若干量まで許容でき、ひいては、閉鎖指令による開閉体10の閉鎖動作の開始が遅延するのを防ぐことができる。
前記電動モータとしては直流モータを用いるのが好ましく、その端子間に抵抗器を電気的に接続し、出力軸を回転体70(又は70’,70”)に噛み合わせる。この構成によれば、前記電動モータが発電機として作用し、前記出力軸によって回転体70に回転抵抗を与えることができる。更に好ましい態様として、前記抵抗器を可変抵抗とし、その抵抗の調整によって回転抵抗を調整するようにしてもよい。
Claims (5)
- 巻取軸から繰出されてスライドしながら自重閉鎖可能な開閉体本体と、該開閉体本体の下端部に接続されて該開閉体本体に相対して上方へ移動可能な可動座板と、前記開閉体本体の閉鎖動作を制動したり該制動状態を解除したりするブレーキ機構と、閉鎖指令に応じて前記ブレーキ機構を制動状態から解除状態にする自動閉鎖装置と、前記可動座板の前記上方への移動に連動して前記ブレーキ機構を解除状態から制動状態にする座板連動機構とを備えた開閉装置であって、
前記ブレーキ機構は、付勢部材の付勢力に抗して操作体が前方へ押動されることにより制動状態から解除状態になるように構成され、
前記自動閉鎖装置は、前記操作体を押動した前進位置と元の状態まで後退した復帰位置との間で進退可能なレバー部材と、該レバー部材を前進方向へ付勢する付勢部材と、後退した際の前記レバー部材を前記復帰位置で係止するとともにその係止状態を閉鎖指令に応じて解放する係脱装置とを具備してなり、
前記座板連動機構は、前記可動座板の前記上方への移動により紐状部材の張力を上昇させる張力上昇機構を具備し、
前記紐状部材は、弛みを有する状態で前記復帰位置の前記レバー部材に接続され、前記弛みは、前記レバー部材が前記復帰位置から前記前進位置まで移動した際に略解消されるように調整されていることを特徴とする開閉装置。 - 前記紐状部材が、第一紐状部材と第二紐状部材とかなり、
前記張力上昇機構により張力を上昇した第一紐状部材に引っ張られて一方向へ回転するように回転体を備え、
第二紐状部材は、その一端側が前記回転体の外周側に止着されるとともにその他端側によって前記レバー部材を前記復帰位置側へ引っ張るように設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。 - 前記張力上昇機構は、開閉体幅方向へ離間するように前記開閉体本体に支持された二つの滑車部材と、これら二つの滑車部材の下部側に掛けわたされるとともに両端側がそれぞれ上方へ引かれた前記第一紐状部材と、前記第一紐状部材における前記二つの滑車部材間の上方側で前記開閉体本体に相対して上下方向へ移動するように前記開閉体本体に支持された第一可動部材と、前記第一紐状部材における前記二つの滑車部材間の下方側で前記開閉体本体に相対して上下方向へ移動するように前記開閉体本体に支持されるとともに下方側から前記可動座板によって押動されるように設けられた第二可動部材と、前記第一可動部材を下方へ付勢する第一可動部材用付勢部材とを具備し、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の上方への移動に伴って前記第一紐状部材を前記両可動部材間に挟んで前記上方へ引っ張った張力上昇状態になり、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の下方への移動に伴って前記両可動部材間を広げて前記第一紐状部材の張力を緩めた張力緩和状態になることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
- 前記第一紐状部材は、弾性部材を介して前記回転体の外周側に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。
- 前記座板連動機構は、前記レバー部材が前記復帰位置よりも前側から前進する際に該レバー部材の前進をダンパー手段の抵抗により遅延させ、前記レバー部材が前記復帰位置から前進する際には前記ダンパー手段による前記抵抗を受けないように構成され、
前記ダンパー手段は、前記回転体に係合して前記回転体の前記一方向に対する逆方向への回転に抵抗を与えるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置。
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