本発明の実施形態に係るソリューションは医療機器の分野に関する。より具体的には、このソリューションは診断システムの分野に関する。
多数の病状の診断のためのツールとして、例えば対応する兆候についての報告の後に、医療上の試験が一般的には用いられる。この目的のために、当該技術では複数の異なる技術が利用可能である。
例えば、癌(例えば、前立腺癌、肝臓癌、乳癌)の診断のための黄金律となる技術は、検査のために患者から関連組織のサンプル(一般的にはコアと呼ばれる)を除去する生検である。しかしながら、生検は非常に侵襲性が高くかつ費用がかかる手続きである。また、生検は、特定の用途では比較的に不正確になる(例えば、多数のコアに基づく新しい方法を用いた場合であっても、前立腺癌の診断において、その成功率は約70%のみである)。
造影超音波解析は、同じ分野における用途が増えつつあるもう1つの診断技術である。概して、この診断技術は、患者への超音波造影剤(ultrasound contrast agent:UCA)の投与に基づいたものである。造影剤は、例えば、リン脂質安定化ガス充填微小水泡(又は微小気泡)の懸濁液であり、これらの造影剤微小気泡は、有効な超音波反射物として作用し、また、超音波を送ってそれに応答して戻ってくるエコー信号を測定することにより容易に検出することができる。造影剤は患者の体内の赤血球と同じ速度で流れるので、その検出及び追跡を行うことにより、解析対象の人体部分における血液の灌流についての情報がもたらされる(これから、その状態についての情報を導出することができる)。
特に、イメージングを行うアプローチでは、灌流処理を行う際の人体部分における造影剤の拡散を表す画像シーケンスが生成される(ここで、画像中の各画素の値は、人体部分における対応する場所について、所定時間にわたる記録されたエコー信号の強度を表す)。従って、(例えばモニタに表示された)このような画像シーケンスを検査することにより、人体部分における血液灌流の定性的表示のみがもたらされる。
逆に、定量的アプローチでは、全灌流処理を行う際に記録されたエコー信号は、数学的モデル関数(例えば、特許文献1に開示されたものであり、その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)によってあてはめられる。そのように取得されるモデル関数のインスタンスは、次いで、複数の異なる灌流パラメータ(例えば、流入レート、流出レート、など)を計算するために使用可能である。いかなる灌流パラメータであっても、1つよりも多くの画素(当該画素は、後で単一の値として提示される灌流パラメータを有する)を含む予め定義された関心対象領域(Region Of Interest:ROI)において取得される大域的エコー信号から計算可能である。それに代わって、いかなる灌流パラメータであっても、各画素のエコー信号から個別に計算可能であり、その後、対応する各画素について灌流パラメータの値を(好ましくはカラーで符号化された表現で)画像的に表すことによりパラメータ画像が生成される。灌流パラメータは、(人体部分の全体にわたる灌流パラメータの空間的マップを表すパラメータ画像により)人体部分における血液灌流の定量的アセスメントをもたらす。
特に前立腺癌の診断を参照すると、造影超音波ガイダンスの下で標的の生検を用いた研究では、(必要とされるコアの個数を削減できる可能性とともに)その成功率の向上が示された。また、造影超音波解析は、(副作用、コスト、及び患者の病的状態を劇的に低下させながら)前立腺癌の診断を行う際の最初の選択肢としての生検を置き換えることもできる。
この目的のために、前立腺癌の診断のためのツールとして造影超音波解析を使用することは、人体部分における対応する病変の検出及び特徴付けを必要とする。より具体的には、病変は、正常な実質組織に比較したときの灌流動態の差に従って検出される(すなわち、造影剤の流入及び流出を、以前に、より高い速度で行った場合)。その後、(悪性の病変から良性の病変を区別するために)病変の特徴付けを、それらの血管の性質(すなわち、対応する毛細血管網の密度及び/又は構造)の差に従って行うことができる。
WO2004/110279A
US6,676,606B
US6,436,049B
EP0458745A
WO91/15244A
EP0554213A
WO94/09829A
WO95/16467A
Rafter et al., Imaging technologies and techniques, Cardiology Clinics 22 (2004), pp. 181-197
病変を検出するためにパラメータ解析を使用可能である。実際に、パラメータ画像を対応する灌流パラメータ(例えば、流入レート及び流出レート)に基づいて検査することにより、流入及び流出レートの値が高い人体部分内の領域の場所を特定することで病変の検出が可能になる。しかしながら、信頼性の高いパラメータ解析を行うためには、一般的には、空間的にサブサンプリングされた画像が必要とされ、すなわち、隣接する画素からなるグループの画素値に対してローパスフィルタ処理が実行され、次いで(所定のサブサンプリング係数に従って)サブサンプリングが実行され、対応する細胞の細胞値が生成され、その後、この値に対してあてはめ演算が実行される。このように、信号対雑音比(SNR)を増大させることができ、計算時間を減少させることができる。SNRは、通常は、元のエコー信号では非常に低く、計算時間は、通常は、あてはめ演算の複雑さ及び多数の画素に起因して非常に長い。しかしながら、空間的なサブサンプリングを行うと、解像度が劣化したパラメータ画像が生成される(これは、病変の特徴付けのためには最適ではない)。また、あてはめ演算に係る許容可能な頑健性を保証するために(そしてまた、信頼性の高い灌流パラメータ推定値をもたらすために)、エコー信号は、延長された時間(流入フェーズと、流出フェーズの実質的部分とを包含する)にわたって記録されなければならない。従って、エコー信号は通常はオフラインで(容易に3〜8分を超えうる後処理を行って)処理されるが、このように処理することは、人体部分のいかなるリアルタイム検査にとっても妨げとなる。
病変の特徴付けを行うために、代わりにイメージング解析が使用可能である。実際に、人体部分における血液灌流を(フル解像度で)表す画像を検査することは、その血管の性質を決定するために有用である。しかしながら、造影剤の局所的濃度が非常に低くなる可能性があるので(血管の画像が生成されるとき、当該血管は単一の造影剤微小気泡のみを含んでいる可能性さえある)、小さな血管(例えば毛細血管)の識別は挑戦的な課題である。
この問題を解決するために、当該技術分野において知られたソリューションは、最大値投影(Maximum Intensity Projection:MIP)アルゴリズム(例えば、特許文献2に開示されたものであり、その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)を画像に適用することを含む。特に、各画素について、最大値投影アルゴリズムは、複数の異なる画像における対応する値を、所定時間にわたるそれらの最大値に保持する。この方法では、造影剤粒子の軌跡は、対応する血管の形態を強調するように空間的に投影される。しかしながら、この方法では、病変の周囲の実質組織に対して造影剤の灌流を開始するとすぐに画像は拡散する。従って、病変に係る血管の性質の表現には、ぼけが生じ、明瞭さが失われる(これにより、病変の特徴付けを行うためのイメージング解析の有効性を大幅に低下させる)。
当該技術分野では、最小値投影(Minimum Intensity Projection:mIP)アルゴリズムも知られている。この場合、各画素について、最小値投影アルゴリズムは、複数の異なる画像における対応する値を、所定時間にわたるそれらの最小値に保持する。最小値投影アルゴリズムは、背景クラッターを抑圧して造影剤の可視化を向上させるために、画像内に造影剤が到達する前に使用されてもよい(例えば、特許文献3に提案されるものであり、その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)。しかしながら、このアルゴリズムは、上述の問題に対しては完全に無効である。
例えば、流入フェーズ中の早い段階で造影剤による強調が生じた人体部分の場所において、病変の定性的検出を行うために、最大値投影アルゴリズムに基づくイメージング解析が行われてもよいということに注意すべきである。しかしながら、病変及び実質組織に係るエコー信号の最大値は互いに類似している可能性があり、このため、最大値投影アルゴリズムを適用した後のそれらの表現は、それらの対応するピークに到達した後の時点において互いに類似したものになる。従って、このアプローチは、流入フェーズのうちの短い期間中のみにおいて灌流動態の差を強調することに有用である。いずれにせよ、(画素値がピークに到達した後は一定のままであるので)流出フェーズについてのいかなる情報も完全に失われる。
概して、本発明の実施形態に係るソリューションは、信号モニタリング技術を用いるアイデアに基づく。
特に、本発明の一態様によれば、診断システム(例えば、超音波スキャナ、又はそれに関連付けられたコンピュータ)が提案される。本システムは、所定時間にわたって造影剤で灌流される人体部分を表す複数の入力信号を提供する手段を含む。特に、各入力信号は、造影剤を含んでいる可能性がある人体部分における対応する場所への呼びかけ刺激に対する応答(例えば、超音波パルスからのエコー信号)を示す。本システムはまた、(例えば関心対象領域における)選択された場所の選択された入力信号から、複数のフィルタリングされた信号を生成する手段を含む。所定時間にわたる各瞬間における各フィルタリングされた信号は、当該瞬間を含む選択された入力信号の部分に従って、対応する選択された入力信号から(例えば最大値投影アルゴリズムを適用して)生成される。本発明の一実施形態に係るソリューションによれば、各フィルタリングされた信号をモニタリングして、対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答におけるピークを検出する手段が提供される。このピークは、フィルタリングされた信号の対応する部分が安定性条件を満たしたとき(例えば、フィルタリングされた信号が予め定義された期間にわたって一定のままであるとき)に検出される。
本発明の一実施形態では、各フィルタリングされた信号をモニタリングする手段は、所定時間にわたる安定性条件を、モニタリングを行う瞬間の集合(例えば、対応する入力信号を捕捉する各瞬間)において検証する手段を含む。この検証は、安定性条件が満たされた後で停止される。次いで、安定性条件が満たされたモニタリングの瞬間に従ってピークを検出する手段が提供される。
本発明の一実施形態では、本システムは、モニタリングを行う瞬間に先行する安定性時間ウィンドウにおいて、フィルタリングされた信号が一定のままであるか否かを(モニタリングを行う各瞬間において)検証する手段を含む。次いで、本システムは、安定性条件が満たされたモニタリングの瞬間に対して安定性時間ウィンドウにわたって先行する瞬間においてピークを検出する手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、各選択された場所の灌流を示す1つ又は複数の灌流パラメータを、対応するピーク(例えば流入レート)に従って計算する手段をさらに含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、各選択された入力信号から線形化された入力信号を生成する手段を含む。各瞬間における線形化された入力信号は、対応する選択された場所における当該瞬間の造影剤の濃度に実質的に比例する。本システムはまた、モニタリングする手段によって決定された1つ又は複数の瞬間において、対応する線形化された入力信号に従って各灌流パラメータを計算する手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、複数の入力画像からなるシーケンスを提供する手段を含む。各入力画像は、対応する瞬間における人体部分のディジタル表現を含む。特に、各入力画像は、対応する瞬間における対応する場所への呼びかけ刺激に対する応答をそれぞれ示す、複数の入力値を含む。本システムはまた、複数の入力画像から、フィルタリングされた複数の画像からなるシーケンスを生成する手段を含む。各選択された場所について、フィルタリングされた各画像はフィルタリングされた値を含み、この値は、選択された入力画像の集合における選択された場所に対応する入力値に従って生成される。選択された入力画像の集合は、対応する入力画像と、1つ又は複数の先行する入力画像とを含む。この場合、本システムは、各選択された場所のフィルタリングされた値をモニタリングする手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、フィルタリングされた各画像のフィルタリングされた各値を、所定の値に設定する手段を含む。この設定される値は、選択された入力画像における対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答の、対応するピークが検出されるまでの最大値を表す値である(例えば、これは最大値投影アルゴリズムを適用することによって取得される)。オプションとして、フィルタリングされた値は、選択された入力画像における対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答の、対応するピークが検出された後の最小値を表すものであってもよい(例えば、これは最小値投影アルゴリズムを適用することによって取得される)。
本発明の一実施形態では、本システムは、フィルタリングされた値を、先行するフィルタリングされた画像における選択された場所のフィルタリングされた値と、比較値との間の、呼びかけ刺激に対する応答の、対応するピークが検出されるまでの最大値を表す値に設定する手段を含む。比較値は、(対応する入力画像を含む)比較入力画像の集合における選択された場所の入力値の集合に基づくものである。オプションとして、フィルタリングされた値は、先行するフィルタリングされた画像における選択された場所のフィルタリングされた値と、比較値との間の、呼びかけ刺激に対する応答の、対応するピークが検出された後の最小値を表す値に設定されてもよい。
本発明の一実施形態では、比較値は、対応する入力画像における選択された場所の入力値を含む。本発明の代替の実施形態では、比較入力画像は、対応する入力画像と、1つ又は複数の先行する入力画像とを含み、この場合、本システムは、比較入力画像における選択された場所の入力値に対して平滑化関数(例えばメディアン関数)を適用することにより、比較値を計算する手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、複数の動的パラメータ画像からなる1つ又は複数のシーケンスを生成する手段をさらに含む。各選択された場所について、各動的パラメータ画像は、対応する灌流パラメータが計算される前には、ゼロ値を含み、その計算後には、対応する灌流パラメータを示す値を(例えばカラーで符号化された表現で)含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、対応する灌流パラメータの計算後であっても、この灌流パラメータがしきい値に到達しなかった場合には、各動的パラメータ画像の各選択された場所についてゼロ値を維持する手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、複数の動的パラメータ画像からなる各シーケンスについて、複数の重畳画像からなるシーケンスを生成する手段をさらに含む。重畳画像は、各動的パラメータ画像を、対応するフィルタリングされた画像上に重畳させることにより生成される。
本発明の一実施形態では、本システムは、到達の瞬間(これは、フィルタリングされた信号が有意値に到達した瞬間を示す)を検出する手段と、ピークの瞬間(これは、ピークを検出した瞬間を示す)を検出する手段とを含む。次いで、本システムは、ピークの瞬間において対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答を示す、ピーク値を決定する手段を含む。オプションとして、本システムは、フィルタリングされた信号が所定の低下値に到達した瞬間を示す、低下の瞬間を検出する手段を含んでもよい。ここで、低下値は、ピーク値の予め定義された分数(例えば半ピーク値)である。
本発明の一実施形態では、本システムは、(ピーク値と、ピークの瞬間及び到達の瞬間の差との比に従って)流入レートを計算する手段、(低下値と、低下の瞬間及びピークの瞬間の差との比に従って)流出レートを計算する手段、流入レート及び流出レートの積を計算する手段、又はそれらの他の任意の数学的組み合わせを含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、(造影剤の実質的破壊を生じさせるように)破壊パルスを人体部分に適用する手段をさらに含む。次いで、本システムは、上述の動作を実行する手段を動作させることを1つ又は複数の回数にわたって繰り返す手段を含む。
本発明の他の態様によれば、対応するデータ処理方法が提案される。特に、本データ処理方法は、所定時間にわたって造影剤で灌流される人体部分を表す複数の入力信号を提供するステップを含む。各入力信号は、造影剤を含んでいる可能性がある人体部分における対応する場所への呼びかけ刺激に対する応答を示す。本方法はまた、選択された場所の選択された入力信号から、複数のフィルタリングされた信号を生成するステップを含む。所定時間にわたる各瞬間における各フィルタリングされた信号は、当該瞬間を含む選択された入力信号の部分に従って、対応する選択された入力信号から生成される。本発明の一実施形態に係るソリューションによれば、各フィルタリングされた信号をモニタリングして、対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答におけるピークが検出される。このピークは、フィルタリングされた信号の対応する部分が安定性条件を満たしたときに検出される。
診断システムに関して上述したものと同様の機能が(単独でも、互いに組み合わせても)、必要な変更を行うことで、データ処理方法にも適用される。
本発明の別の態様によれば、対応するコンピュータプログラムが提案される。特に、本コンピュータプログラムは、本コンピュータプログラムがデータ処理システム上で実行されたときに当該データ処理システムに上述のデータ処理方法のステップを実行させるコード手段を含む。
本発明のさらに別の態様によれば、対応するコンピュータプログラム製品が提案される。特に、本コンピュータプログラム製品は、データ処理システム上で実行されたときに当該データ処理システムに同データ処理方法を実行させるコンピュータプログラムを具体化する、コンピュータ使用可能な媒体を含む。
本発明の一実施形態に係るソリューションを適用可能である医療用イメージングシステムを表す図である。
本発明の一実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明の別の実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明の別の実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明のさらに別の実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明のさらに別の実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションの適用の例示的シナリオを示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションの適用の例示的シナリオを示す。(訳注:国際出願時の明細書及び図面では「FIG.5A’」と示していたが、電子出願ソフトの制限により、翻訳文では「図5AA」と記載する。)
本発明の一実施形態に係るソリューションの適用の例示的シナリオを示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションの適用の例示的シナリオを示す。(訳注:国際出願時の明細書及び図面では「FIG.5B’」と示していたが、電子出願ソフトの制限により、翻訳文では「図5BB」と記載する。)
従来技術の最大値投影アルゴリズムの例示的適用を示す。
従来技術の最小値投影アルゴリズムの例示的適用を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの他の生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの他の生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの他の生体内適用例を示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションを実施するために使用可能な主要構成要素の役割を表す図である。
本発明の一実施形態に係るソリューションを実施するために使用可能な主要構成要素の役割を表す図である。
本発明の1つ又は複数の実施形態に係るソリューションや、別の特徴及びその優位点は、添付の図面とともに、非限定的なものとしてのみ示す以下の詳細な説明を参照することにより最もよく理解される。
特に図1を参照すると、超音波スキャナ100を備えた医療用イメージングシステムが図示されている。スキャナ100は、本発明の一実施形態に係るソリューションにおいて、患者103の人体部分102を解析するために使用可能である。超音波スキャナ100は、中央装置105と、ハンドヘルド型送受信イメージングプローブ110(例えばアレー型)とを含む。イメージングプローブ110は、複数のパルス(例えば、1〜50MHzの間の中心周波数を有する)からなるシーケンスを含む超音波を送信し、人体部分102による超音波パルスの反射から生じる無線周波(RF)エコー信号を受信する。この目的のために、イメージングプローブ110には送受信マルチプレクサが設けられ、これにより、上述のパルスエコーモードでイメージングプローブ110を使用することが可能になる。
中央装置105はマザーボード115を収容し、マザーボード115上に、超音波スキャナ100の動作を制御する電子回路(例えば、マイクロプロセッサ、作業メモリ、及びハードディスクドライブ)が実装される。また、マザーボード115には、1つ又は複数のドーターボード(その全体を120で示す)が接続される。ドーターボード120は、イメージングプローブ110の駆動及び受信したエコー信号の処理のための電子回路を提供する。超音波スキャナ100には、リムーバブルディスク130(例えば、CD−ROM又はDVD−ROM)を読むためのドライブ125が設けられていてもよい。モニタ135は、進行中の解析処理に関連した画像を表示する。超音波スキャナ100の動作は、キーボード140によって制御される。キーボード140は、従来の方法で中央装置105に接続され、好ましくは、キーボード140には、モニタ135の画面上でポインタ(図面には図示せず)の位置を操作するために使用されるトラックボール145が設けられる。
人体部分102の解析中に、造影剤(有効な超音波反射物として作用する)が患者103に投与される。例えば、造影剤は、液体キャリア中のガス気泡の懸濁液を含む。典型的には、ガス気泡は、患者の毛細血管を通過できるようにするために、0.1〜5μmのオーダーの直径を有する。一般的に、ガス気泡は、乳化剤、油、シックナー、砂糖、タンパク質、又はポリマーを含むさまざまな系にガス又はその前駆物質を混入又はカプセル化させることにより安定化される。一般的に、安定化されたガス気泡は、ガス充填微小水泡と呼ばれる。微小水泡は、水媒体中に分散したガス気泡を含み、ガス/液体の界面において、界面活性剤、すなわち両親媒性材料を伴う非常に薄い膜の境界を有する(微小気泡としても知られる)。それに代わって、微小水泡は、脂質によって、又は天然もしくは合成のポリマーによって形成された固体材料の膜によって包囲されたガス気泡を含む(微小バルーン又は微小カプセルとしても知られる)。他の種類の造影剤は、微小粒子の孔内に設けられたガス気泡を有する、ポリマー又は他の固体からなる多孔性微小粒子の懸濁液を含む。微小水泡、特に微小気泡及び微小バルーンの適切な水性懸濁液と、その調整の例が、特許文献4〜8(それらの開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)で説明されている。ガス充填微小水泡を含む市販の造影剤の例として、ブラッコ・インターナショナル・BV(Bracco International BV)のSonoVue(登録商標)がある。
好ましくは、静脈内ボーラスとして造影剤が患者103に投与される。すなわち、1回の投与が、(2〜20秒のオーダーの)短い時間期間にわたって注射器を用いて手で行われる。造影剤は、人体部分102を灌流するように、患者103の血管系内で循環する。それと同時に、イメージングプローブ110は、人体部分102の領域において患者103の皮膚と接触するように配置される。次いで、造影剤の破壊が無視できる程度(例えば、連続する超音波パルス間におけるその局所的濃度が5%未満、好ましくは1%未満)になるように、小さな音響エネルギー(例えば、メカニカルインデックス(MI)=0.01〜0.1)を有する一連の超音波パルスを人体部分102に適用する。(選択された走査計画における人体部分102の各場所について)所定時間にわたる超音波パルスに応答して記録されたエコー信号により、解析処理を行う間に、造影剤を含む可能性がある人体部分102における対応する領域(すなわちスライス)の表現がもたらされる。
次いで、エコー信号は、標準的な輝度モード(Bモード)の複数のディジタル画像(又はフレーム)からなるシーケンスに変換され、次いでこれは、対応する連続した捕捉の瞬間(例えば、毎秒の画像数のフレームレート(FR)=10〜30)において人体部分102を表す。各画像は、可視化要素、すなわち基本的画像要素(画素)のそれぞれの値からなる(例えば、M=512個の行及びN=512個の列を有する)行列によって定義される。各画素は、人体部分102における1つの場所に対応する。典型的には、各画素値は、画素の輝度を定義する(例えば、8ビットで符号化されている)グレースケールレベルを含む。画素値は、(人体部分の対応する場所における音響的応答を表す)対応するエコー信号の強度の関数として0(黒)から255(白)まで増加する。
一般的に、エコー信号と、その後の対応する画像とは、造影剤及び周囲の組織によって生成された異なる寄与の重ね合わせからもたらされる。好ましくは、超音波スキャナ100は、造影剤の(非線形の)寄与に関して、エコー信号における組織の支配的な(線形の)寄与を実質的に除去する、又は少なくとも低下させるように、コントラスト特異のイメージングモードで動作する。コントラスト特異のイメージングモードの例は、例えば非特許文献1(その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)で説明されるように、ハーモニックイメージング(harmonic imaging:HI)、パルスインバージョン(pulse inversion:PI)、パワーモジュレーション(power modulation:PM)、及びコントラストパルスシーケンシング(contrast pulse sequencing:CPS)技術を含む。
図2Aにおいて、人体部分の通常の場所への超音波に対する例示的応答として、時間−強度の曲線205(実線)を示す。これは、対応するエコー信号のパワー(任意単位又はa.u.(arbitrary units))を時間の関数(単位:秒)として表す。曲線205は初期部分を有し、ここで、エコー信号は、投与後に人体部分を灌流する造影剤の流入フェーズの結果として、ゼロ(造影剤の到達前)からピークに向かって増大し、いったんエコー信号がこのピークにおいてその大域的な最大値(絶対最大値)に到達したとき、エコー信号は、(例えば、肺によって、及び/又は、肝臓によって)患者から除去される造影剤の流出フェーズの結果として、ゼロに向かって減少し始める。
エコー信号は最初にフィルタリングされ、これにより、図面において曲線210(破線)で表すフィルタリングされた信号が生成される。以下で詳述するように、各瞬間において、フィルタリングされた信号は、当該瞬間を含むエコー信号の対応する部分に従ってエコー信号から生成される。例えば、開始時において、フィルタリングされた信号は、最大値投影アルゴリズムを適用することによって生成され、エコー信号は所定時間にわたってその最大値に保持される。この方法では、エコー信号が単調に増大するとき、曲線210の対応する部分(210aで示す)は正確に曲線205に追従する。しかしながら、エコー信号が(例えば、ノイズ、又は造影剤の局所的濃度の自然変動に起因して)瞬間的に減少する場合、その最新の最大値は、より高いエコー信号の値が検出されるまで保存される。
フィルタリングされた信号は、エコー信号の記録と同時に(又は、高々非常に小さな遅延を有して)、任意の瞬間に生成可能である。例えば、最大値投影アルゴリズムは、(フィルタリングされた信号を、すでに利用可能な情報に従ってリアルタイムで生成できるように)対応する瞬間までのエコー信号についての知識のみを必要とする。
本発明の一実施形態に係るソリューションでは、フィルタリングされた信号は、その後、(フィルタリングされた信号がピーク値Ipに到達したときのピークの瞬間tpにおいて)そのピークを検出するためにモニタリングされる。特に、ピークは、フィルタリングされたエコー信号の対応する部分が安定性条件を満たしたときに検出される。例えば、これは、フィルタリングされた信号が予め定義された期間にわたって一定のままであるときに生じる。従って、ピークは、発生すると(安定性条件を満たすために必要とされる短い遅延の後で)すぐに検出される。
エコー信号のフィルタリングは、比較的簡単であり、大きな計算資源を必要とせず、このため、(画像のいかなる空間的サブサンプリングも行うことなく)画素レベルで実行可能である。それにもかかわらず、フィルタリングされた信号は、(フィルタリング前の対応するエコー信号におけるすべての強い変動を除去することにより)大幅に平滑化され、これにより、ピークの検出を頑健な方法で実行できるようになる。結果として、提案する処理は、許容できる信頼性の程度を達成しながら、フル画像解像度で実行可能である。
それと同時に、提案するソリューションによれば、所望の結果を実質的にリアルタイムで取得できるようになる。これは、人体部分のイメージングを行いながら解析処理を実行可能であること、すなわち、必要な計算に起因してピークの検出から短い遅延が生じるが、イメージング処理の完了を待機する必要がないということを意味する。
それに加えて、又は代替として、ピークの検出後に、フィルタリング動作は、エコー信号が所定時間にわたってその最小値に保持される最小値投影アルゴリズムに切り換えられる。この方法で、エコー信号が(造影剤の流出フェーズの間に)単調に減少するとき、曲線210の対応する部分(210bで示す)は正確に曲線205に追従する。しかしながら、エコー信号が(ノイズ、又は造影剤の濃度の自然変動に起因して)瞬間的に増大する場合、その最新の最小値は、より低いエコー信号の値が検出されるまで保存される。
この方法で、流出フェーズについての情報も同様に保存される。それと同時に、フル解像度の画像で、実質的にリアルタイムで、人体部分に係る別の検査が実行されてもよい。
ピークの検出に関連する情報は、複数の異なる目的に使用可能である。特に、図2Bに示すように、本発明の一実施形態では、この情報は、(人体部分の対応する場所における血液灌流を示す)1つ又は複数の灌流パラメータを計算するために使用される。例えば、次式を用いて、流入レートWi(図2Bにおいて対応する一点鎖線の直線で示す)を計算することができる。
ここで、Δti=tp−taは、流入フェーズの継続時間(造影剤の到達の瞬間taからピークの瞬間tpまで)を測定する。到達の瞬間taは、フィルタリングされた信号が予め定義されたしきい値を超える有意値Iaに到達する瞬間として定義される。この流入レートWiは、造影剤の投与の瞬間とは完全に独立しているので、非常に信頼性が高いということに注意すべきである。
それに加えて、又は代替として、フィルタリングされた信号は、フィルタリングされた信号が半ピーク値Ip/2よりも低下する半ピークの瞬間trを検出するためにもモニタリングされる。次いで、次式を用いて、流出レートWo(図2Bにおいて対応する一点鎖線の直線で示す)を計算することができる。
ここで、Δto=tr−tpは、流出フェーズの継続時間(ピークの瞬間tpから半ピークの瞬間trまで)を測定する。この場合も同様に、流出レートWoは、造影剤の投与の瞬間とは独立しているので、非常に信頼性が高い。
本発明の一実施形態では、上述の方法は、人体部分を表す(元の)画像から、フィルタリングされた画像のシーケンスを生成するために使用される。特に、各画素について、ピークの瞬間tpの前に最大値投影アルゴリズムを適用し、その後に最小値投影アルゴリズムを適用することにより、フィルタリングされた複数の異なる画像における対応する画素値が取得される。
より形式的には、ピークの瞬間tpの前に、フィルタリングされた画像の各画素値は、対応する元画像における同じ画素の画素値と、処理の以前の反復の結果から得られた先行する元画像における同じ画素の画素値にわたる現在の最大値とのうちの最大値に設定される。すなわち、次式が得られる。
ここで、OP(x,y,k)は、番号kを有する(元画像のフレームレートの逆数に画像番号kを乗算した瞬間t、すなわち、t=k/FRに取得された)フィルタリングされた画像における空間座標x,y(行番号及び列番号)によって識別される画素の画素値である。IP(x,y,k)及びOP(x,y,k−1)は、それぞれ、同じ番号kを有する(瞬間tに取得された)対応する元画像における同じ画素(x,y)の画素値と、番号k−1を有する(瞬間(k−1)/FRにおいて取得された)先行するフィルタリングされた画像における同じ画素(x,y)の画素値とである。MAX[]は、その引数の間の最大値を返す関数である。代わりに、ピークの瞬間tpの後に、フィルタリングされた画像の各画素値は、対応する元画像における同じ画素の画素値と、処理の以前の反復の結果から得られた(ピークフォワードからの)先行する元画像における同じ画素の画素値にわたる現在の最小値とのうちの最小値に設定される。すなわち、次式が得られる。
ここで、MIN[]は、その引数の間の最小値を返す関数である。
一般に、フィルタリングされた画像の各画素値は、このとき、以下のフィルタリング関数を適用することによって計算可能である。
ここで、L(L>0)は、ピークを検出するために使用されるフィルタリングされた画像の個数を表す安定長である。kp(kp>L)は、画像番号(tp=kp/FR)に関してピークの瞬間tpを表すピーク番号である。特に、ピーク番号kpは、次式で定義される安定性条件を満たす画像番号kに設定される。
言い換えると、安定長Lによって定義される個数のフィルタリングされた画像にわたって(すなわち、安定長Lと元画像のフレームレートの逆数との積によって与えられる安定性時間ウィンドウにおいて)フィルタリングされた画像における画素値が同じ値のままであるときはすぐに、ピークが検出される。安定長Lの値(及び、対応する安定性時間ウィンドウの値)は、解析処理の対立する要件である精度の高さと応答の速さに従って調整される。特に、安定長Lの値が高くなると、対応するエコー信号が瞬間的に(例えば、1又は2個の元画像のみに対応する継続時間で)増大したときに、ピークの誤検出を防止できるようになり、結果として得られるフィルタリングされた信号には、エコー信号が再び増大し始めるまで平坦な部分が生じる。しかしながら、安定長Lを増大させることは、ピークが検出される瞬間を遅延させる。例えば、安定長Lの典型的な値は3〜12である(これは、毎秒10個の元画像のフレームレートの場合に安定性時間ウィンドウ0.3〜1.2秒に対応する)。
上述のフィルタリングアルゴリズムは(最も実用的な状況において信頼性が高い灌流パラメータをもたらすものの)、例えば図3Aに示すように、きわどい条件下(例えば、エコー信号が非常に低いSNRを呈するとき)では何らかの制限を示す可能性がある。特に、曲線205’で表すエコー信号が(例えば、運動のアーティファクトに起因して)流入フェーズ中に瞬間的に増大するとき(スプリアス正スパイク)、又は流出フェーズ中に瞬間的に減少するとき(スプリアス負スパイク)、曲線210’で表すフィルタリングされた信号は、もはや、エコー信号の実際の傾向に正確に追従しなくなる。実際に、各正スパイクについて、フィルタリングアルゴリズムは、エコー信号が保持された値を超えるまで、フィルタリングされた信号をスパイク値に保持し、同様に、各負スパイクについて、フィルタリングアルゴリズムは、エコー信号が保持された値よりも低下するまで、フィルタリングされた信号をスパイク値に保持する。ピークの瞬間tpの前にピーク値Ipよりも高い値を有する正スパイクが生じた場合、問題は特に深刻になる。この場合、ピークの瞬間tp’<tpにおいて、誤ったピークが検出され、フィルタリングされた信号はピーク値Ip’>Ipに到達する。
図3Bに示すように、所望の灌流パラメータの計算に誤りが伝搬する(すなわち、この例では、より高い流入レートWi’、より早い半ピークの瞬間tr’、フィルタリングされた信号が到達するより高い半ピーク値Ip’/2、誤った流出レートWo’)。流出フェーズ中に、半ピークの瞬間の発生前にエコー信号において半ピーク値よりも低い値を有するスプリアス負スパイクが生じた場合にも、同様の考察があてはまる。
しかしながら、上述の問題は、前述の方法に従ってエコー信号をフィルタリングする前にエコー信号を平滑化することによって解決可能である。特に流入フェーズを参照すると、画素値の現在の最大値は、平滑化された値と比較されるが、これは、対応する元画像及び1つ又は複数の先行する元画像における同じ画素の画素値の平滑化集合に基づく。
ここで、SP(x,y,k)は、番号kを有する元画像における画素(x,y)の平滑化された値である。ここで、平滑化された値は、画素値の平滑化集合に平滑化関数を適用することによって定義される。
ここで、SMT[]は、画素値の平滑化集合における短い(正又は負の)スパイクを除去する、又は少なくとも低下させることに適合された平滑化関数である。m(m≧2)は、平滑化集合における画素値の個数を表す(そして対応する元画像の個数を表す)平滑化長であり、ここでは、平滑化長mと元画像のフレームレートの逆数との積によって与えられる平滑化時間ウィンドウに対応する。この目的に適した平滑化関数の典型例は、メディアン関数である(平滑化された値は、昇順に配置された画素値の平滑化集合における中央値を表す)。平滑化長mの値は、解析処理の対立する要件である精度の高さと応答の速さに従って調整される。特に、平滑化長mの値を大きくすることによって、対応するエコー信号においてより長い継続時間を有する(最大で平滑化時間ウィンドウの半分までかかる)スパイクを除去できるようになる。しかしながら、平滑化長mを増大させることは、(平滑化された)画像がフィルタリングに利用可能になる瞬間を遅延させる。例えば、平滑化長mの典型値は2〜6である(これは、毎秒10個の元画像のフレームレートの場合に、平滑化時間ウィンドウ0.2〜0.6秒に対応する)。
同じ平滑化アルゴリズムは流出フェーズにも適用可能である。この場合、画素値の現在の最小値は、同様に、(同じ画素値の平滑化集合に基づいて)平滑化された値と比較される。
従って、フィルタリング関数の全体は次式になる。
上述のソリューションによれば、造影剤を単一のボーラスとして注入するときに人体部分における複数の領域を解析することも可能になる。実際に、いったん所望の灌流パラメータが計算されると(すなわち、流入レートの場合はピークの瞬間の後、又は、流出レートの場合は半ピークの瞬間の後)、解析処理は完了する。しかしながら、造影剤の量のうちの実質的部分はなお患者内を循環している可能性がある。例えば、典型的な用途において、ピークは30〜40秒後に検出されるが、流出フェーズは60〜90秒後にのみ終了する。
従って、図4Aに示すように、所望の灌流パラメータを計算するために必要とされる情報が取得されるとすぐに(例えば、流入レートWiが計算された後のフラッシュの瞬間tf>tp+Lにおいて)、高い音響エネルギーを有する1つ又は複数の超音波パルス(フラッシュ)を人体部分に適用することにより、循環している残りの造影剤を破壊することができる。音響エネルギーは、循環している残りの造影剤の量のうちの実質的部分(例えば、フラッシュを適用する前のその局所的濃度の少なくとも50%)を破壊するのに十分でなければならない(例えばメカニカルインデックス1〜2)。このとき、循環している造影剤は人体部分を満たす。従って、イメージングプローブが他の走査平面に移動されると、フラッシュの瞬間tfの後に記録されるエコー信号は、人体部分の他の関連領域の再灌流を表す。特に、このとき解析下にある人体部分の通常の場所に係る新たなエコー信号が曲線205fで表され、これは、(元の)エコー信号の曲線205の1つに類似したパターンを有する(すなわち、新たな流入フェーズ中にゼロから低い方のピークに増大し、次いで、新たな流出フェーズ中にゼロまで減少する)。人体部分のこの場所に対して、上述したものと同じ動作を繰り返すことができる(すなわち、新たなエコー信号をフィルタリングして曲線210fで表される新たなフィルタリングされた信号を取得し、新たなフィルタリングされた信号をモニタリングしてそのピークを検出し、それに基づいて1つ又は複数の灌流パラメータを計算する)。
例えば、図4Bに示すように、新たな到達の瞬間taf(造影剤の破壊の直後)と、新たなピーク値Ipfを有する新たなピークの瞬間tpfとを検出し、これにより次式の新たな流入レートを計算することができる。
(Δtif=tpf−taf)
それに加えて、又は代替として、フィルタリングされた信号が新たな半ピーク値Ipf/2よりも低下したとき、新たな半ピークの瞬間trfを検出し、これにより次式の新たな流出レートを計算することもできる。
(Δtof=trf−tpf)
当然ながら、(十分な量の造影剤が患者内に残って循環している限り)同じ処理を1つ又は複数の回数にわたって繰り返してもよい。
上述のソリューションは、特に前立腺癌の診断に有利である。実際に、図5A〜図5AAに示すように、健康な(実質)組織に関連するエコー信号と、前立腺癌に関連するエコー信号とは、大きく異なったパターンを有する。特に、図5Aは、健康な組織に関連する場所のエコー信号(曲線205hで表す)と、対応するフィルタリングされたエコー信号(曲線210hで表す)とを示す。図5AAは、代わりに、癌の影響を受けた場所のエコー信号(曲線205cで表す)と、対応するフィルタリングされたエコー信号(曲線210cで表す)とを示す。見てとれるように、癌組織のエコー信号(図5AA)では、健康な組織のエコー信号(図5A)と比較して、流入及び流出が早くかつ速くなっている。
従って、図5Bに示すように、提案するソリューションを健康な組織に適用することにより、そのピークをピークの瞬間tphにおいてピーク値Iphで検出できるようになる。また、その到達の瞬間tah及び半ピークの瞬間trhを検出し、これにより次式の流入レートWih及び流出レートWohを計算することもできる。
(Δtih=tph−tah)
(Δtoh=trh−tph)
同様に、図5BBに示すように、提案するソリューションを癌組織に適用することにより、そのピークをピークの瞬間tpcにおいてピーク値Ipcで検出できるようになる。また、その到達の瞬間tacを半ピークの瞬間trcを検出し、これにより次式の流入レートWic及び流出レートWocを計算することもできる。
(Δtic=tpc−tac)
(Δtoc=trc−tpc)
見てとれるように、癌組織は、その流入レート及び流出レートが高くなるので、健康な組織から容易に区別できる(すなわち、Wih=53及びWoh=12に対して、Wic=118及びWoc=72)。
さらなる改良として、流入レート及び流出レートを組み合わせ、それらの積によって与えられる新たな灌流パラメータを生成することができる。健康な組織に係るこの積はWh=Wih・Who=53・12=639であり、癌組織に係るこの積はWc=Wic・Whc=118・72=8469である。提案した新たな灌流パラメータは、健康な組織から癌組織を区別することをさらに容易にするが、これは、それらの差が流入/流出レートの積として強調されるからである(Wh=639に対してWc=8469)。
より一般的には、提案するソリューションは、(厳密に治療目的の診断が常に医者自身によって行われるとしても)所望の診断を行う際に医者を支援することができる中間結果を提供することにより、医者のタスクを容易にする。
最大値投影アルゴリズム又は最小値投影アルゴリズムのみを適用することによっては、上述の結果を得ることはできないということに注意する必要がある。
特に、図6Aは、図2Aに示すものと同じエコー信号(再び曲線205で示す)に対して最大値投影アルゴリズムのみを適用する場合を示す。この場合、処理を実行することにより、ここでは曲線610a(破線)で表すフィルタリングされた信号が生成される。上述のように、曲線610aは、(エコー信号におけるすべての強い変動をフィルタリングすることにより)エコー信号のピークに到達するまで正確に曲線205に追従する。しかしながら、ピークの瞬間の後では、フィルタリングされた信号はその最大値を維持し、このため曲線610aは一定のままである。従って、流出フェーズについてのいかなる情報も完全に失われる。
図6Bは、代わりに、図2Aに示すものと同じエコー信号(再び曲線205で示す)に対して最小値投影アルゴリズムのみを適用する場合を示す。この場合、処理を実行することにより、ここでは曲線610b(破線)で表すフィルタリングされた信号が生成される。見てとれるように、フィルタリングされた信号は、造影剤が到達する前の値に対応するそのベースライン値を常に維持する。結果として、曲線610bは、ベースライン値における単なる水平線である。従って、灌流処理についての(その流入フェーズ及び流出フェーズの両方における)いかなる情報も完全に失われる。
図7A〜図7Dに、本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を、従来技術と比較して示す。この目的のために、ヒトの前立腺が、上述のSonoVue(登録商標)造影剤のボーラスを投与した後で、市販の超音波スキャナにより解析された。
特に、図7Aは、解析処理中の複数の異なる瞬間において前立腺を表す一連の元画像を示す。第1の画像(A.1)は流入フェーズの早期に関し、第2の画像(A.2)は流入フェーズの晩期に関し、第3の画像(A.3)は流出フェーズの早期に関し、第4の画像(A.4)は流出フェーズの晩期に関する。画像A.1及びA.2に示すように、流入フェーズ中において、造影剤が現れると、前立腺の高度に血管化された中央ゾーンを強調し、この部分では、造影剤の典型的な対称な強調が示されている。早期の造影を示す他の領域を、矢印で示す前立腺の左側周辺ゾーン(すなわち画像の右下側)において見ることができる。代わりに、同様の造影パターンを示す領域は、前立腺の対側部分、すなわち前立腺の右側周辺部分(画像の左下側)には存在しない。特に前立腺の周辺ゾーンにおけるこのような非対称な強調パターンは、典型的には被疑領域を示し、癌に関連する可能性がある。画像A.3を参照すると、被疑領域における流出が開始して造影剤が周囲の実質組織を灌流し始めたとき(被疑領域のエコーが周囲の実質組織のものと等しくなったとき)、被疑領域におけるこの典型的な早期の強調パターンは急速に消滅する。(画像A.4に示すように)前立腺における流出フェーズ全体が開始したとき、被疑領域に関連した典型的な強調パターンは消滅し、その場所に関する情報は完全に失われる。
図7Bは、代わりに、元画像に対して最大値投影アルゴリズムのみを適用することによって得られた、最大値を保持する一連の画像を示す。このときの画像(B.1、B.2、B.3、及びB.4)は、上述の場合と同じ瞬間に取得された。画像B.1及びB.2に示すように、被疑領域における造影剤の早期の強調は、(ピークの瞬間の後であっても各画素の最大値が所定時間にわたって保存されるので)流入フェーズ全体にわたって可視のままである。従って、被疑領域は、対応する元画像と比較して、より良好に定義され、また表示される。画像B.1及びB.2はまた、(造影剤の軌跡が投影されるので)前立腺の毛細血管網の最も微細な詳細構造を示す。これは、被疑領域の検査をその特徴付けに関して容易にする。しかしながら、流出フェーズ中において、画像B.3及びB.4は拡散する。これは、周囲の実質組織の強調に起因する。周囲の実質組織は、同様の最大値に到達して維持される可能性があり、これにより、被疑領域の明瞭さを低下させる。
ここで図7Cを参照すると、本発明の一実施形態に係るソリューションを適用することによって得られた一連の動的パラメータ画像を示す。このときの画像(C.1、C.2、C.3、及びC.4)は、上述の場合と同じ瞬間に取得された。特に、各画素は、(局所的な流入レートに比例した画素の輝度を有する)上述した対応する場所について計算された流入レートを表す値を有する。流入レートが計算されるまで、すなわち対応するピークが検出されるまで、画素はゼロ値(黒で表される)のままである。
従って、流入フェーズ中はまだ流入レートが利用可能ではないので、画像C.1及びC.2は完全に黒である。しかしながら、画像C.3及びC.4に示すように、このとき、被疑領域は、実質組織から明確に識別される(その理由は、これらが非常に異なる流入レートを有するからである)。また、(画像C.4に示すように)この差は流出フェーズ(の晩期)中においても維持される。従って、これは、解析処理全体にわたって被疑領域の明瞭さを強調する。それと同時に、画像C.3〜C.4の高い解像度は、前立腺の毛細血管網の最も微細な詳細構造も明らかにする。これは、画像C.3〜C.4を用いて、前立腺における任意の病変の検出及び特徴付けの両方をリアルタイムで実行可能であるということを意味する。
図7Dは、代わりに、対応する最大値を保持する画像上に動的パラメータ画像を重畳することにより得られる、一連の重畳画像を示す(同じ瞬間について、図面ではD.1、D.2、D.3、及びD.4で示す)。特に、各画素は、対応する古い最大値画像において定義された値を有する。この値は、対応する流入レートの表現によって、その計算後すぐに(かつ、好ましくは、予め定義されたしきい値を超えた場合に)置き換えられる。
従って、画像D.1及びD.2は、造影剤の早期の強調と、流入フェーズ中の被疑領域に係る典型的な毛細血管網の最も微細な詳細構造とを明確に示す。流出フェーズ中において、画像D.3及びD.4は、被疑領域における流入レートのパラメータ情報を高い解像度でもたらす(それにより、その毛細血管網の最も微細な詳細構造を維持する)。結果として、前立腺のいかなる病変も、流入フェーズ中にリアルタイムで検出可能であり、対応する流入レートは流出フェーズに現れ、これはその後、その特徴付けに使用可能である。また、解析処理の最後に得られる最終画像は、任意の病変の改善された検出及び特徴付けのために、前立腺の灌流動態と血管の性質との両方について全体像又は概要をもたらす。
図8A〜図8Cに、本発明の一実施形態に係るソリューションの他の生体内適用例を、従来技術と比較して(再び前立腺癌の診断の場合について)示す。特に、図8Aは前立腺の一連の元画像を示し、図8Bは対応する最大値を保持する一連の画像を示し、図8Cは、対応する一連の動的パラメータ画像を示す。図8A、図8B、及び図8Cの複数の異なる画像は、解析処理の同じ瞬間で取得され、より具体的には、第1画像集合(それぞれ、A.1’、B.1’、及びC.1’)は流入フェーズの早期に関し、第2画像集合(それぞれ、A.2’、AB.2’、及びC.2’)は流入フェーズの晩期に関し、第3画像集合(それぞれ、A.3’、B.3’、及びC.3’)は流出フェーズの晩期に関する。
特に図8A(元画像)を参照すると、この場合でも、前立腺の右周辺ゾーン(画像の左下側に矢印で示す)において流入フェーズ(画像A.1’及びA.2’)中に造影剤の早期の強調を有する被疑領域を見ることができる。しかしながら、被疑領域における早期の強調は、流出フェーズ(画像A.3’)中に急速に消滅し、これにより、その場所に関するいかなる情報も完全に失われる。
図8B(最大値を保持する画像)を参照すると、被疑領域は、流入フェーズ(画像B.1’及びB.2’)中に、より良好に定義され、また表示される。特に、このとき、被疑領域は、流入フェーズの早期(画像B.1’)中にすでに明確になっているが、これに対して、対応する元画像(図8AのA.1’)ではほとんど不可視である。しかしながら、流出フェーズ中に、画像B.3’は拡散し、被疑領域の明瞭さが低下する.
ここで図8C(動的パラメータ画像)を参照すると、この場合も、画像C.1’及びC.2’は流入フェーズ中には完全に黒である。逆に、画像C.3’に示すように、このとき、被疑領域は、流出フェーズ中に実質組織から明確に識別され、流出フェーズの晩期でもその明瞭さを維持している。それと同時に、画像C.3’の高い解像度は、被疑領域の毛細血管網の最も微細な詳細構造も明らかにする(これは、その改善された検出及び特徴付けのために使用可能である)。
図9Aから図9Bに、本発明の一実施形態に係るソリューションを実施するために使用可能な主要なソフトウェア構成要素及び/又はハードウェア構成要素を表す図を示す。これらの構成要素を、全体として、参照番号900で示す。特に、情報(プログラム及びデータ)は、典型的には、ハードディスクに記憶され、そして、プログラムが実行されるとき、オペレーティングシステム及び他のアプリケーションプログラム(図面には図示せず)とともに、データ処理システム(例えば、超音波スキャナ又は別個のパーソナルコンピュータ)の作業メモリに(少なくとも部分的に)ロードされる。プログラムは、最初は、例えばDVD−ROMから、ハードディスクにインストールされる。より具体的には、図面は、(対応する構成要素によって)システムの静的構造を示し、また、(シンボル「A」を先頭に有するシーケンス番号で示された対応する動作をそれぞれ表す、交換される一連のメッセージによって)その動的ふるまいを示す。
特に、入力モジュール903は、イメージングプローブを制御するドライバを含む。例えば、イメージングプローブのドライバには、解析下の人体部分に適用される超音波パルスを生成する送信ビーム形成器及びパルサが設けられる。次いで、イメージングプローブは、選択された走査平面における人体部分の各場所によって反射された(アナログRF)エコー信号を受信する。アナログRFエコー信号は受信プロセッサに供給され、受信プロセッサは、アナログRFエコー信号に対して前置増幅を行い、予備的な時間利得補償(time-gain compensation:TGC)を適用する。次いで、アナログRFエコー信号は、アナログ/ディジタル変換器(ADC)によってディジタル値に変換され、受信ビーム形成器によって、合焦されたビーム信号に合成される。このように取得されたディジタル信号は、好ましくは、別のディジタルアルゴリズム及び他の線形又は非線形信号コンディショナ(例えばビーム形成後TGC)を用いて処理される。特に、受信プロセッサは、組織の寄与を抑圧するために、(例えば、上述のHI、PI、PM、又はCPS技術に基づく)コントラスト特異のアルゴリズムを適用する。次いで、ディジタル信号は復調され、(良好なバランスのコントラストを有する画像を得るために)対数圧縮され、ビデオフォーマットに走査変換される。この処理により、複数の(ビデオ)画像からなるシーケンスが生成され、画像は対応するリポジトリ906に記憶される。以下、簡単化のために、複数の異なるメモリ構造及びそれらの内容を、同じ参照番号で示す。
解析処理の開始時において、超音波スキャナのオペレータは、イメージングプローブを起動し、それを、(造影剤の投与前に)解析される人体部分の周囲に移動させる。対応するビデオ画像906は、捕捉されるとすぐに、連続的にディスプレイモジュール907に送られ、これにより、それらのリアルタイム表示が得られる(動作「A1_初期化」)。オペレータは、解析される人体部分の(好ましくは被疑領域を含む)領域を表す走査平面を選択し、イメージングプローブを固定された位置に保持する。次いで、オペレータはセレクタ909を用いて、対応するビデオ画像906における関心対象領域を(例えば、トラックボールの支援を受けて、その周りに線を描くことにより)選択する。この処理を実行することにより、境界設定マスク912が生成される(動作「A2_選択」)。境界設定マスク912は、ビデオ画像906と同じサイズを有するバイナリ値の行列を含む。関心対象領域内の画素に係るすべてのバイナリ値には、論理値1が割り当てられるのに対して、関心対象領域外の画素に係るバイナリ値には、論理値0が割り当てられる。
次いで、造影剤が患者に投与され、超音波スキャナは、人体部分の選択された走査平面における灌流処理を表す一連の別のビデオ画像906を捕捉する(動作「A3_解析」)。境界設定器915は、各現在のビデオ画像906に境界設定マスク912を画素毎に乗算する。この処理を実行することにより、対応する境界設定された画像が生成される。境界設定された画像は、(境界設定マスク912によって定義された)関心対象領域内の画素に係る対応するビデオ画像906の画素値を含み、他の画素値は0にリセットされる。境界設定された画像は、リポジトリ918に入れられる(動作「A4.1_境界設定」)。リポジトリ918は、平滑化長mに等しい深さを有するシフトレジスタを含む。従って、リポジトリ918に入れられた各新たに境界設定された画像について、それは、(初期遷移期間の後に)m−1個に等しい個数の先行する境界設定された画像を既に含んでいる。
境界設定された画像のリポジトリ918は、平滑化器921によってアクセスされ、平滑化器921は、各現在の(リポジトリ918に入れられたばかりの)境界設定された画像に対して平滑化アルゴリズムを適用する。この動作を実行することにより、対応する平滑化された画像924が生成され、これは各新たに境界設定された画像918によって連続的に上書きされる(動作「A4.2_平滑化」)。特に、境界設定マスク912における0とは異なる値を有する(すなわち関心対象領域内の)境界設定された画像918の各画素について平滑化関数を適用することにより、平滑化された画像924が得られる。
フィルタ927は、平滑化された画像924の各新しいバージョンに対してフィルタリングアルゴリズムを適用することにより、対応するフィルタリングされた画像を生成し、この画像は連続的にリポジトリ930に追加される(動作「A4.3_フィルタリング」)。この目的のために、フィルタ927はまた、ビデオ画像906と同じサイズを有するバイナリ値の行列を含むピークマスク933にアクセスする。各画素について、ピークマスク933は、対応するピークの検出前には論理値0を有し、その後に論理値1が割り当てられるフラグ(すべての画素のフラグは、解析処理の開始時に論理値0にリセットされる)を含む。フィルタ927は、ピークマスク933の内容に従って、最大値投影アルゴリズム及び最小値投影アルゴリズムのいずれかを適用してもよい。特に、境界設定マスク912における0とは異なる値を有する(すなわち関心対象領域内の)平滑化された画像924の各画素について、フィルタ927は、平滑化された画像924における画素値と先行するフィルタリングされた画像930における画素値との間において、最大値(ピークマスク933における対応するフラグが論理値0を有するとき)又は最小値(ピークマスク933における対応するフラグが論理値1を有するとき)を計算する。
フィルタリングされた画像のリポジトリ930は、(関心対象の瞬間を検出するために)検出器936によってアクセスされる。特に、検出器936は、各現在のフィルタリングされた画像930を検証して、造影剤の到達を検出する。検出器936は、これに応じて到達マップ937を更新する(動作「A4.4_開始」)。到達マップ937は、ビデオ画像906と同じサイズを有する値の行列を含む。各画素について、到達マップ937における値は、対応する到達の瞬間を表す(すべての画素の値は、解析処理の開始時に0にリセットされる)。この目的のために、境界設定マスク912における0とは異なる値を有し(すなわち関心対象領域内にあり)、かつ到達マップ937では0に等しい値を有する(すなわち、到達の瞬間がまだ検出されていない)フィルタリングされた画像930の各画素について、検出器936は、フィルタリングされた画像930における画素値が予め定義されたしきい値(対応する場所において有意な量の造影剤、例えば許容可能な最大値の1〜5%が存在していることを示す)を超えたか否かを検証する。超えている場合には、到達マップ937における値は、対応するシーケンスにおけるフィルタリングされた画像930の画像番号に設定される。この方法で、対応する場所において造影剤の到達を検出した後に、到達マップ937の各値は、到達の瞬間を画像番号に関して表す到達番号を含む(到達の瞬間は、到達番号にビデオ画像906のフレームレートの逆数を乗算した値に等しい)。
リポジトリ930が、安定長Lに等しい個数のフィルタリングされた画像を含むとき、検出器936はまた、フィルタリングされた画像のモニタリングを開始して、エコー信号のピークを検出する。この処理を実行することにより、ピーク検出マップ939が生成され、これは各新たなフィルタリングされた画像によって連続的に上書きされる(動作「A4.5_検出」)。ピーク検出マップ939は、ビデオ画像906と同じサイズを有する値の行列を含み、各画素について、ピーク検出マップ939における値は、その検出に応じた対応するピークの瞬間を表し、さもなければ、それは0に設定される。この目的のために、境界設定マスク912における0とは異なる値を有し(すなわち関心対象領域内にあって)、かつ到達マップ937において0とは異なる値を有し(すなわち、到達の瞬間がすでに検出され)、かつピークマスク933において論理値0を有するフラグを有する(すなわち、ピークがまだ検出されていない)フィルタリングされた画像930の各画素について、検出器936は、フィルタリングされた画像930において安定性条件が満たされるか否かを検証する。検証される場合には、ピーク検出マップ939における値は、対応するシーケンスにおけるフィルタリングされた画像930の画像番号から安定長L−1を減算した値に設定される。この方法で、対応する場所におけるエコー信号のピークの検出において、ピーク検出マップ939の各値は、(画像番号に関してピークの瞬間を表す)ピーク番号を含む。
次いで、検出器936は、これに応じてピークマスク933の内容を更新する(動作「A4.6_更新」)。特に、0とは異なるピーク検出マップ939において対応する値を有する(すなわち、ピークが検出されたばかりの)各画素について、検出器936は、ピークマスク933における対応するフラグに論理値1を割り当てる。結果として、ピークマスク933は、検出器936によるフィルタリングされた複数の異なる画像930におけるピークの検出を蓄積する(これにより、新たなフィルタリングされた画像930が処理されたときに、ピーク検出マップ939の上書きに起因してそれらが失われることを防止する)。従って、各画素のピークが検出される(そして、ピークマスク933における対応するフラグが論理値1に設定される)とすぐに、この画素について、フィルタ927は、最小値投影アルゴリズムに切り換え、新たなフィルタリングされた画像930を処理するとき、検出器936によって画素は廃棄される。
それと同時に、各現在のビデオ画像906について、線形化器945は対応する線形化画像を生成し、線形化画像は、連続的にリポジトリ948に追加される(動作「A4.1’_線形化」)。線形化画像948の各画素値は、造影剤の局所的濃度に正比例させることにより、ビデオ画像906の対応する画素値から得られる。例えば、この結果は、そのように取得された値に対して逆対数圧縮を適用し、次いで二乗することにより達成可能である(例えば、特許文献1に開示され、その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)。
プロセッサ951は、(流入レートを計算するために)到達マップ937と、ピーク検出マップ939の各新しいバージョンと、線形化画像948のリポジトリとにアクセスする。この目的のために、0とは異なるピーク検出マップ939における対応する値を有する(すなわち、ピークが検出されたばかりの)各画素について、プロセッサ951は、ピーク検出マップ939における値(すなわちピーク番号)に等しい番号を有する線形化画像948における対応する画素値を検索する。このとき、この画素値は、(造影剤の濃度に正比例するように線形化された)当該画素のピーク値を表す。この情報は、(線形化画像948からの)ピーク値と流入継続時間との間の比として、対応する流入レートを計算するために使用される。流入継続時間は、ピーク検出マップ939における値(すなわちピーク番号)と到達マップ937における値(すなわち到達番号)との間の差に、ビデオ画像906のフレームレートの逆数を乗算した値として得られる。この処理を実行することにより、流入画像954が生成され、流入画像954は、各新たなフィルタリングされた画像によって連続的に上書きされる(動作「A4.7_計算」)。各画素について、流入画像954は、そのピークの検出に応答して計算された対応する流入レートを含み、さもなければ、値0を含む。プロセッサ951は、オプションとして、対応する離散値(例えば、すべての画素の最低値と最高値との間に一様に分布した64個又は128個のレベルを含み、利得ファクタが適用されていてもよい)を有する各流入レートを表す。この場合、プロセッサ951は、すべての可能なレベルに対応する色の表現を関連付ける(レベルが上がると好ましくは輝度が高くなる)カラールックアップテーブル(図面には図示せず)にもアクセスする。例えば、各色は、その実際の使用を含むパレット内の場所にアクセスするインデックスによって定義される。次いで、流入レートは、流入画像954に追加される前に対応する色表現で置き換えられる。
しきい値処理器957は、流入画像954の各新しいバージョン(重要な情報のみを保持する)にアクセスする。特に、しきい値処理器957は、対応するしきい値処理された画像960を生成する(動作「A4.8_しきい値処理」)。しきい値処理された画像960は、予め定義されたしきい値(例えば、流入画像954における許容可能な画素値の最大値の0〜5%の範囲で)よりも小さい各画素値を(値0に)リセットすることにより、流入画像954から得られる。この方法で、(例えば、運動のアーティファクトに起因して)重要でない流入レートを廃棄することができる。しきい値は、結果として得られる画像の品質を最適化するように調整可能である。しかしながら、このしきい値処理動作の適用は、(流入画像954と正確に同じしきい値画像960を取得するように)単にしきい値を0に設定することによって回避可能であるということに注意すべきである。
しきい値処理された画像960の各新しいバージョンについて、生成器963は、対応する動的パラメータ画像を生成し、対応する動的パラメータ画像は、連続的にリポジトリ966に追加される(動作「A4.9_生成」)。動的パラメータ画像966は、(新たな流入画像954が生成されたときの上書きに起因したいかなる情報の損失も防止するように)しきい値処理された画像960の以前のバージョンから得られた結果を蓄積する。特に、動的パラメータ画像966の各画素は、対応する流入レートが計算されるまで値0のままであり、その後、この値を保持する。
重畳化器969は、各現在の動的パラメータ画像966を、(同じ瞬間に取得された)対応するフィルタリングされた画像930上に重畳させる。この動作を実行することにより、重畳画像が生成され、重畳画像は、連続的にリポジトリ972に追加される(動作「A4.10_重畳」)。特に、動的パラメータ画像966から重畳マスクが生成される。重畳マスクは、動的パラメータ画像966と同じサイズを有するバイナリ値の行列を含む。重畳マスクの各バイナリ値には、動的パラメータ画像966における対応する画素値が厳密に0よりも高い(従って、対応する流入画像954に対して実行されているしきい値処理動作の後におけるしきい値よりも厳密に高い)場合には、論理値0が割り当てられ、さもなければ、論理値1が割り当てられる。このとき、(動的パラメータ画像966に含まれていないフィルタリングされた画像930の画素値を保持するように、かつ他の画素値が0にリセットされるように)重畳化器969は、フィルタリングされた画像930に重畳マスクを画素毎に乗算することにより、マスキングされたフィルタリングされた画像を生成する。次いで、重畳化器969は、マスキングされたフィルタリングされた画像及び動的パラメータ画像966を画素毎に追加することにより、重畳画像972を生成する。この方法で、フィルタリングされた画像930における画素値は、対応する流入レートによって(しきい値よりも高い値で)、その計算後すぐに置き換えられる。
それと同時に、インバータ975は、境界設定マスク912から、(その論理値0及び1を交換することにより)反転された境界設定マスクを生成する。このとき、インバータ975は、(関心対象領域外の現在のビデオ画像906についての情報のみを保持するように)現在のビデオ画像906に反転された境界設定マスクを画素毎に乗算することにより、マスキングされたビデオ画像978を生成する。
合成器981は、各現在の重畳画像972を、(同じ瞬間に取得された)対応するマスキングされたビデオ画像978上に重畳させる。この動作を実行することにより、対応する合成画像が生成され、対応する合成画像は、連続的にリポジトリ984に追加される(動作「A5_合成」)。この目的のために、(関心対象領域内のみにおいて0とは異なる画素値を有する)重畳画像972は、(関心対象領域外のみにおいて0とは異なる画素値を有する)マスキングされたビデオ画像978に対して画素毎に追加される。結果として、合成画像984は、関心対象領域外におけるビデオ画像906についての情報を含む。かわりに、関心対象領域内では、合成画像984は、フィルタリングされた画像930についての情報を含むが、この情報は、いったん流入レートが計算されると、この流入レートによって置き換えられる。合成画像984は、生成されるとすぐに、連続的にディスプレイモジュール907に提供され、これにより、それらのリアルタイム表示が得られる(動作「A6_表示」)。
フィルタリングされた画像をモニタリングし、エコー信号がそれらの各半ピーク値に到達した瞬間を検出するために、同様の構造(簡単化のために図面には図示せず)が使用されてもよい。特に、検出器936は、半ピーク検出マップを生成し、半ピーク検出マップは、各新たなフィルタリングされた画像930によって上書きされる。半ピーク検出マップは、ビデオ画像906と同じサイズを有する値の行列を含み、各画素について、半ピーク検出マップにおける値は、その検出に応じた対応する半ピークの瞬間を表し、さもなければ0である。上述のように、これは半ピークマスク(ビデオ画像906と同じサイズを有するバイナリ値の行列を含む)を必要とし、各画素について、半ピークマスクは、対応する半ピークの検出前には論理値0を有し、その後には論理値1が割り当てられるフラグを含む(すべての画素のフラグは、解析処理の開始時に論理値0にリセットされている)。特に、境界設定マスク912における0とは異なる値を有し(すなわち関心対象領域内いあって)、かつピークマスク933において論理値1を有するフラグを有し(すなわち、ピークがすでに検出され)、かつ半ピークマスクにおいて論理値0を有するフラグを有する(すなわち、半ピークがまだ検出されていない)フィルタリングされた画像930の各画素について、検出器936は、フィルタリングされた画像930における画素値が(ピークが検出されたときに検出器936によって対応するマップに記憶された)対応する半ピーク値よりも低いか否かを検証する。低い場合には、半ピーク検出マップにおける値は、対応するシーケンスにおけるフィルタリングされた画像930の画像番号に設定される。この方法で、対応する場所におけるエコー信号の半ピーク値に到達したとき、半ピーク検出マップの各値は、画像番号に関して半ピークの瞬間を表す半ピーク番号を含む(ビデオ画像906のフレームレートの逆数を乗算した半ピーク番号に等しい値を有する半ピークの瞬間)。
次いで、検出器936は、それに応じて、半ピークマスクの内容を更新する。特に、0とは異なる半ピーク検出マップにおける対応する値を有する(すなわち、半ピークが検出されたばかりの)各画素について、検出器936は、半ピークマスクにおける対応するフラグに論理値1を割り当てる。結果として、半ピークマスクは、(新たなフィルタリングされた画像930が処理されたときに半ピーク検出マップの上書きに起因して損失が生じることを防止するように)検出器936によるフィルタリングされた複数の異なる画像930における半ピークの検出を蓄積する。従って、各画素の半ピークが検出される(そして、半ピークマスクにおける対応するフラグが論理値1に設定される)とすぐに、新たなフィルタリングされた画像930を処理するとき、検出器936によって画素が廃棄される。
プロセッサ951は、(流出レートの計算のために)半ピーク検出マップの各新しいバージョンと線形化画像948のリポジトリとにアクセスする。この目的のために、0とは異なる半ピーク検出マップにおける対応する値を有する(すなわち、半ピークが検出されたばかりの)各画素について、プロセッサ951は、半ピーク検出マップ939における値(すなわち半ピーク番号)に等しい番号を有する線形化画像948における対応する画素値を検索する。このとき、この画素値は、当該画素に係る(線形化された)半ピーク値を表す。この情報は、(線形化画像948からの)半ピーク値と流出継続時間との間の比として、対応する流出レートを計算するために使用される。流出継続時間は、(ピークが検出されたときに検出器936により対応するマップに記憶された)ピーク番号と、半ピーク検出マップにおける値(すなわち半ピーク番号)との間の差に、ビデオ画像906のフレームレートの逆数を乗算した値として取得される。この処理を実行することにより、流出画像が生成され、流出画像は、各新たなフィルタリングされた画像によって連続的に上書きされる。各画素について、流出画像は、その半ピークの検出に応答して計算された対応する流出レートを含み、さもなければ値0を含む。次いで、流出画像は、上述の流入画像の場合と同様の方法で処理される。
変形例.
当然ながら、局所的および特定の要件を満たすために、当業者は、多くの論理的および/または物理的な修正および変更を上記のソリューションに適用してもよい。このソリューションは、その好ましい1つ又は複数の実施形態を参照して所定の特殊性の程度で説明してきたものの、具体的には、それは様々な省略、置換、および形態ならびに詳細における変更が可能であるとともに、他の実施形態も可能であることが理解されるべきである。特に、同じソリューションは、そのより完全な理解を提供するために前述の説明に記載されている特定の詳細事項(例えば数値例)なしで実施することができる。逆に、よく知られている機能は、不必要な事項で説明を不明瞭にしないようにするために省略または簡略化している場合がある。また、開示したソリューションのいずれかの実施形態に関連して説明した特定の構成要素および/または方法ステップは、一般的な設計上の選択の問題として、他の任意の実施形態に組み込まれてもよいということが特に意図されている。
特に、超音波スキャナが異なる構造を持っているか、または他のユニットを含んでいる場合(例えば、リニア、凸、フェーズド、またはマトリックスアレー型のイメージングプローブを用いる場合)にも、同様の考察が適用される。また、提案されたソリューションは、超音波スキャナと別個のコンピュータ(または同等のデータ処理システム)で構成される医療用イメージングシステムに適用される。この場合は、記録された情報は、その処理のために超音波スキャナからコンピュータに(例えば、ディジタル、アナログ、またはネットワークの接続を経由して)転送される。いずれの場合でも、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)やX線コンピュータ断層撮影(CT)に基づく他の任意の医療用イメージングシステムへの応用も、提案されたソリューションの範囲内である。また、先の説明では前立腺癌の診断を参照したが、これは限定を意図したものではなく、同じソリューションが、他のタイプの癌(例えば肝臓癌や乳癌)の診断に、又はより一般的には任意の医療検査に、同様に用途を発見する可能性がある。
提案されたソリューションは、同等のさまざまな造影剤を用いた実施形態に適用される。例えば、造影剤は、磁気共鳴イメージングやX線CTイメージングを強調するための固有のものであってもよい。また、造影剤の注入は、動脈内、リンパ内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、間質、髄腔内または腫瘍内の経路に、持続注入(破壊的フラッシュの適用の有無にかかわらず)として、(例えば胃腸管のイメージングを行うために)経口により、ネブライザーを介して気道に、などで実行可能である。ビデオの画像が他の任意の方法(例えば、動き補償アルゴリズムを適用することによって)で取得される場合も、同様の考察が適用される。また、提案するソリューションを、3次元ビデオ画像や、(いかなる関心対象領域を選択することもなく)ビデオ画像の全体、などに適用することについて、いかなるさまたげも存在しない。
また、ピークは複数の異なるモニタリング動作で検出されてもよく、より一般的には、ピークは、所定時間にわたるフィルタリングされた信号の推移(その変化又は安定性を含む)を記録、収集、検証および/または比較することを目的とする任意の動作で検出されてもよい。たとえば、この動作は、定期的または可変な時間間隔(すなわち、ビデオ画像の捕捉の瞬間と必ずしもと同じではないモニタリングの瞬間において)で実行される、安定条件の連続的または不連続的な検証を用いて実装されてもよい。いずれの場合でも、提案手法は、特にリアルタイムでの使用のために設計されているが、オフラインで得られた結果を検査することは、本発明の実施の形態のソリューションの範囲内である(例えば、記録された情報を超音波スキャナからリムーバブルディスクやメモリキーを介してコンピュータへ転送した後に検査する)。
また、安定長は、複数の異なる値に設定されていてもよく、またはそれが(例えば、造影剤の推定流量に応じて)動的に決定されてもよい。いずれの場合でも、代替の安定性条件の使用は除外されていない。たとえば、フィルタリング動作が平均関数に基づいている場合、フィルタリングされた信号の変動が安定性ウィンドウの定義済みの範囲内にとどまるときにピークを検出することができる。
すでに指摘したように、ピークの検出に関連する情報は、さまざまな目的に使用することができる。例えば、提案されたソリューションの別の実施形態では、フィルタリングされた画像のみが(いかなる灌流パラメータの計算もせずに)生成され、フィルタリングされた画像は、その後、灌流処理の強調された視覚的理解を提供するように表示される(ビデオ画像上に重畳されてもよい)。特に、ピーク瞬間の前に最大値投影アルゴリズムを適用することにより、(造影剤の早期の強調により、フル解像度での定義及び表示を向上させるので)被疑領域の検出と特徴付けを容易にする。それと同時に、ピークの瞬間の後に最小値投影アルゴリズムを適用することにより、流出フェーズに関連する有用な情報を提供し、これにより、解析処理全体の間に被疑地域の明瞭な表現を維持できるようにする。
ビデオ画像は、別の方法で線形化することができる、例えば、線形化画像は、他の目的のために既に利用可能になっている場合がある(パラメータ解析が実装されている場合など)。この場合は、いかなる追加の線形化演算も行うことなく、利用可能な情報を活用することが可能である。いずれにせよ、フィルタリングアルゴリズムを直接に線形化画像に適用することや、ビデオ画像のみを使用することは、除外されていない。
ビデオ画像へのフィルタリング関数の適用は、限定的に解釈されるべきものではない。実際に、(アナログ領域であっても)同様の方法で生のエコー信号を直接フィルタリングすることについて、いかなるさまたげも存在しない。
上記の実装では、エコー信号の強度と各対応する画素値との間の直接的な関係を前提とする(すなわち、エコー信号の強度が大きくなると、結果として明るい画素が得られる)。逆に、ネガ画像に基づくシステム(画素値は、エコー信号の強度に従って減少する)では、上記のすべての式は、逆の論理を反映するように変更される必要がある。もちろん、流入レートのみが計算されなければならないとき、(ピークを検出するまでに)最大値投影アルゴリズムのみを適用することが可能である。
また、複数の同様のフィルタリング関数(解析処理の全体にわたって同じタイプであってもよい)が使用されてもよい。例えば、フィルタリングされた画像における各画素値を、ビデオ画像の集合に対応する画素値の平均として計算することができる。これらのビデオ画像は、現在の瞬間に撮影されたものを含み、さらに、先行及び/又は後続の瞬間に撮影された1つまたは複数の他のビデオ画像を含む。
平滑化長は、複数の異なる値に設定されてもよく、または、(たとえば、ビデオ画像の推定品質に応じて)動的に決定されてもよい。いずれの場合でも、同等の平滑化関数を使用することが可能である(例えば、平均関数)。しかし、(フィルタリングのアルゴリズムの適用前に)ビデオ画像に平滑化アルゴリズムを適用することは厳密には必要ではなく、それは特定のシナリオ(例えば、ビデオ画像の品質が比較的高い場合)では省略することができる。
計算された灌流パラメータは異なる方法で表示されてもよい。例えば、各灌流パラメータに係る単一の(静的な)パラメータ画像を、それが関心対象画素のすべてについて計算された後すぐに生成することについて、いかなるさまたげも存在しない。
しきい値は、複数の異なる値に設定されてもよく、または、(例えば、流入レートの推定最大値に応じて)動的に決定されてもよい。いずれの場合でも、この機能は厳密には必要ではなく、それは提案されたソリューションの簡略化された実装では省略されてもよい(この場合、対応する重要性のアセスメントをオペレータにさせるように、すべての流入レートが、それらの値に関係なく、動的パラメータ画像に含まれる)。
得られた結果を表示する方法の選択も、オペレータの好みに任せられてもよい。例えば、重畳画像のみを(つまり、マスクされたビデオ画像と合成することなく)表示すること、動的パラメータ画像のみを(すなわち、フィルタリングされた画像と合成することなしに)表示すること、(改善されたコントラストのために関心対象領域において黒背景上に灌流パラメータを表示するために)マスクされたビデオ画像と合成された動的パラメータ画像を表示すること、などが可能である。また、フィルタリングされた画像は、エコー信号から直接得られる基本的なBモード画像のような、(元の)コントラスト特異ではない画像と合成されてもよい。
当然、フィルタリングされた信号のモニタリングは、所望の灌流パラメータを計算するために必要な瞬間(たとえば、流入レートのピークの瞬間に加えて、到着の瞬間のみ)の検出に限定されてもよい。また、流出レートの計算は、他の瞬間、すなわち、フィルタリングされた信号がピーク値(例えば、その値の40〜60%)の別の割合に到達したときの瞬間の検出に基づいてもよい。
提案されたソリューションの別の用途では、提案する灌流パラメータのうちの一部のみ、場合によっては1つのみ(すなわち、流入レートのみ、流出レートのみ、又は、流入レート及び流出レートの積のみ)を計算することができる。より一般的に、他の任意の追加および/または代替の灌流パラメータ(例えば、血液量、平均速度、最大強度、ピークまでの時間、流入時間、到達時間、ピーク値の平方根を流入継続時間の二乗で割った値、など)を計算することについて、いかなるさまたげも存在しない。
造影剤を単一のボーラスとして注入して、人体部分の複数の領域に提案されたソリューションを適用することは、複数の異なる方法で(例えば、半ピークの検出後のみにフラッシュを適用することによって)実施可能である。いずれの場合でも、この機能は、(通常は解析処理全体の間に実行される単一の検査を用いた)単なるオプションである。
提案されたソリューションは、それ自体、(同様のステップを使用して、非必須であるいくつかのステップを削除して、または、さらにオプションのステップを追加することで)等価な方法で実施することに適している。また、これらのステップは、異なる順序で、又は同時に、又は(少なくとも部分的に)インターリーブされた方法で、実行されてもよい。
このソリューションは、超音波スキャナの既存の制御プログラムのプラグインとして実装されてもよく、このとき、同じ制御プログラム内に直接実装されてもよく、またはスタンドアロンアプリケーション(別個のコンピュータ上で実行されていてもよく、またはネットワークサービスとして提供されていてもよい)として実装されてもよい。(本発明の各実施形態を実施するために使用される)プログラムが別の方法で構造化されている場合、または追加のモジュールや機能が用意されている場合にも、同様の考察が適用される。同様に、メモリ構造は、他のタイプであってもよく、または同等のエンティティ(必ずしも物理的な記憶媒体で構成されていない)で置き換えられてもよい。いずれの場合でも、プログラムは、任意のデータ処理システムによって、またはそれに接続して(たとえば、仮想マシン内で)使用することに適した任意の形態を取ることができる。特に、プログラムは外部または常駐ソフトウェア、ファームウェア、またはマイクロコードの形態(オブジェクトコードであるか、または例えばコンパイルまたは解釈されるソースコードであるかのいずれかの形態)であってもよい。また、任意のコンピュータ使用可能な媒体であって、プログラムを格納、記憶、通信、伝播、または転送するのに適した任意の構成要素であってもよい媒体上でプログラムを提供することができる。例えば、媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体型のものであってもよい。このような媒体の例は、固定ディスク(プログラムを事前ロードできる場所)、リムーバブルディスク、テープ、カード、有線、ファイバー、無線接続、ネットワーク、放送波、などである。いずれの場合でも、本発明の実施形態に係るソリューションは、さらにハードウェアの構造(例えば、半導体材料のチップに統合された)を用いて、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実装することに適している。
上記の解決策、ならびにそれらの任意の変更は、有利に、従来の診断方法に使用することができる。診断方法は、通常、人体部分に造影剤を投与することと、提案された動作の実行のための人体部分からの入力信号を取得することとを含む。前述のように、造影剤の投与は一般的には静脈内に行われ、好ましくはボーラスの注入として行われる。また、入力信号の取得は、(所定の中心送信周波数のパルス超音波を発生させる超音波スキャナによって)人体部分に超音波を放射し、人体部分から発信されるエコー信号を受信し、それらを、当該人体部分を表す画像を生成するように処理することによって行なうこともできる。診断方法はまた、少なくとも1つの破壊パルスを人体部分に印加して、そこにおける造影剤の実質的な破壊を引き起こすさらなるステップを含んでもよい。一般的に、破壊パルスを印加することの各ステップの後には、人体部分に超音波を放射し、対応するエコー信号を受信し、それらを上述のように処理する一連の各ステップが続く。
本発明の実施形態に係るソリューションは医療機器の分野に関する。より具体的には、このソリューションは診断システムの分野に関する。
多数の病状の診断のためのツールとして、例えば対応する兆候についての報告の後に、医療上の試験が一般的には用いられる。この目的のために、当該技術では複数の異なる技術が利用可能である。
例えば、癌(例えば、前立腺癌、肝臓癌、乳癌)の診断のための黄金律となる技術は、検査のために患者から関連組織のサンプル(一般的にはコアと呼ばれる)を除去する生検である。しかしながら、生検は非常に侵襲性が高くかつ費用がかかる手続きである。また、生検は、特定の用途では比較的に不正確になる(例えば、多数のコアに基づく新しい方法を用いた場合であっても、前立腺癌の診断において、その成功率は約70%のみである)。
造影超音波解析は、同じ分野における用途が増えつつあるもう1つの診断技術である。概して、この診断技術は、患者への超音波造影剤(ultrasound contrast agent:UCA)の投与に基づいたものである。造影剤は、例えば、リン脂質安定化ガス充填微小水泡(又は微小気泡)の懸濁液であり、これらの造影剤微小気泡は、有効な超音波反射物として作用し、また、超音波を送ってそれに応答して戻ってくるエコー信号を測定することにより容易に検出することができる。造影剤は患者の体内の赤血球と同じ速度で流れるので、その検出及び追跡を行うことにより、解析対象の人体部分における血液の灌流についての情報がもたらされる(これから、その状態についての情報を導出することができる)。
特に、イメージングを行うアプローチでは、灌流処理を行う際の人体部分における造影剤の拡散を表す画像シーケンスが生成される(ここで、画像中の各画素の値は、人体部分における対応する場所について、所定時間にわたる記録されたエコー信号の強度を表す)。従って、(例えばモニタに表示された)このような画像シーケンスを検査することにより、人体部分における血液灌流の定性的表示のみがもたらされる。
逆に、定量的アプローチでは、全灌流処理を行う際に記録されたエコー信号は、数学的モデル関数(例えば、特許文献1に開示されたものであり、その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)によってあてはめられる。そのように取得されるモデル関数のインスタンスは、次いで、複数の異なる灌流パラメータ(例えば、流入レート、流出レート、など)を計算するために使用可能である。いかなる灌流パラメータであっても、1つよりも多くの画素(当該画素は、後で単一の値として提示される灌流パラメータを有する)を含む予め定義された関心対象領域(Region Of Interest:ROI)において取得される大域的エコー信号から計算可能である。それに代わって、いかなる灌流パラメータであっても、各画素のエコー信号から個別に計算可能であり、その後、対応する各画素について灌流パラメータの値を(好ましくはカラーで符号化された表現で)画像的に表すことによりパラメータ画像が生成される。灌流パラメータは、(人体部分の全体にわたる灌流パラメータの空間的マップを表すパラメータ画像により)人体部分における血液灌流の定量的アセスメントをもたらす。
特に前立腺癌の診断を参照すると、造影超音波ガイダンスの下で標的の生検を用いた研究では、(必要とされるコアの個数を削減できる可能性とともに)その成功率の向上が示された。また、造影超音波解析は、(副作用、コスト、及び患者の病的状態を劇的に低下させながら)前立腺癌の診断を行う際の最初の選択肢としての生検を置き換えることもできる。
この目的のために、前立腺癌の診断のためのツールとして造影超音波解析を使用することは、人体部分における対応する病変の検出及び特徴付けを必要とする。より具体的には、病変は、正常な実質組織に比較したときの灌流動態の差に従って検出される(すなわち、造影剤の流入及び流出を、以前に、より高い速度で行った場合)。その後、(悪性の病変から良性の病変を区別するために)病変の特徴付けを、それらの血管の性質(すなわち、対応する毛細血管網の密度及び/又は構造)の差に従って行うことができる。
WO2004/110279A
US6,676,606B
US6,436,049B
EP0458745A
WO91/15244A
EP0554213A
WO94/09829A
WO95/16467A
Rafter et al., Imaging technologies and techniques, Cardiology Clinics 22 (2004), pp. 181-197
病変を検出するためにパラメータ解析を使用可能である。実際に、パラメータ画像を対応する灌流パラメータ(例えば、流入レート及び流出レート)に基づいて検査することにより、流入及び流出レートの値が高い人体部分内の領域の場所を特定することで病変の検出が可能になる。しかしながら、信頼性の高いパラメータ解析を行うためには、一般的には、空間的にサブサンプリングされた画像が必要とされ、すなわち、隣接する画素からなるグループの画素値に対してローパスフィルタ処理が実行され、次いで(所定のサブサンプリング係数に従って)サブサンプリングが実行され、対応する細胞の細胞値が生成され、その後、この値に対してあてはめ演算が実行される。このように、信号対雑音比(SNR)を増大させることができ、計算時間を減少させることができる。SNRは、通常は、元のエコー信号では非常に低く、計算時間は、通常は、あてはめ演算の複雑さ及び多数の画素に起因して非常に長い。しかしながら、空間的なサブサンプリングを行うと、解像度が劣化したパラメータ画像が生成される(これは、病変の特徴付けのためには最適ではない)。また、あてはめ演算に係る許容可能な頑健性を保証するために(そしてまた、信頼性の高い灌流パラメータ推定値をもたらすために)、エコー信号は、延長された時間(流入フェーズと、流出フェーズの実質的部分とを包含する)にわたって記録されなければならない。従って、エコー信号は通常はオフラインで(容易に3〜8分を超えうる後処理を行って)処理されるが、このように処理することは、人体部分のいかなるリアルタイム検査にとっても妨げとなる。
病変の特徴付けを行うために、代わりにイメージング解析が使用可能である。実際に、人体部分における血液灌流を(フル解像度で)表す画像を検査することは、その血管の性質を決定するために有用である。しかしながら、造影剤の局所的濃度が非常に低くなる可能性があるので(血管の画像が生成されるとき、当該血管は単一の造影剤微小気泡のみを含んでいる可能性さえある)、小さな血管(例えば毛細血管)の識別は挑戦的な課題である。
この問題を解決するために、当該技術分野において知られたソリューションは、最大値保持又は最大値投影(Maximum Intensity Projection:MIP)アルゴリズム(例えば、特許文献2に開示されたものであり、その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)を画像に適用することを含む。特に、各画素について、最大値保持アルゴリズムは、複数の異なる画像における対応する値を、所定時間にわたるそれらの最大値に保持する。この方法では、造影剤粒子の軌跡は、対応する血管の形態を強調するように空間的に保持される。しかしながら、この方法では、病変の周囲の実質組織に対して造影剤の灌流を開始するとすぐに画像は拡散する。従って、病変に係る血管の性質の表現には、ぼけが生じ、明瞭さが失われる(これにより、病変の特徴付けを行うためのイメージング解析の有効性を大幅に低下させる)。
当該技術分野では、最小値保持又は最小値投影(Minimum Intensity Projection:mIP)アルゴリズムも知られている。この場合、各画素について、最小値保持アルゴリズムは、複数の異なる画像における対応する値を、所定時間にわたるそれらの最小値に保持する。最小値保持アルゴリズムは、背景クラッターを抑圧して造影剤の可視化を向上させるために、画像内に造影剤が到達する前に使用されてもよい(例えば、特許文献3に提案されるものであり、その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)。しかしながら、このアルゴリズムは、上述の問題に対しては完全に無効である。
例えば、流入フェーズ中の早い段階で造影剤による強調が生じた人体部分の場所において、病変の定性的検出を行うために、最大値保持アルゴリズムに基づくイメージング解析が行われてもよいということに注意すべきである。しかしながら、病変及び実質組織に係るエコー信号の最大値は互いに類似している可能性があり、このため、最大値保持アルゴリズムを適用した後のそれらの表現は、それらの対応するピークに到達した後の時点において互いに類似したものになる。従って、このアプローチは、流入フェーズのうちの短い期間中のみにおいて灌流動態の差を強調することに有用である。いずれにせよ、(画素値がピークに到達した後は一定のままであるので)流出フェーズについてのいかなる情報も完全に失われる。
概して、本発明の実施形態に係るソリューションは、信号モニタリング技術を用いるアイデアに基づく。
特に、本発明の一態様によれば、診断システム(例えば、超音波スキャナ、又はそれに関連付けられたコンピュータ)が提案される。本システムは、所定時間にわたって造影剤で灌流される人体部分を表す複数の入力信号を提供する手段を含む。特に、各入力信号は、造影剤を含んでいる可能性がある人体部分における対応する場所への呼びかけ刺激に対する応答(例えば、超音波パルスからのエコー信号)を示す。本システムはまた、(例えば関心対象領域における)選択された場所の選択された入力信号から、複数のフィルタリングされた信号を生成する手段を含む。所定時間にわたる各瞬間における各フィルタリングされた信号は、当該瞬間を含む選択された入力信号の部分に従って、対応する選択された入力信号から(例えば最大値保持アルゴリズムを適用して)生成される。本発明の一実施形態に係るソリューションによれば、各フィルタリングされた信号をモニタリングして、対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答におけるピークを検出する手段が提供される。このピークは、フィルタリングされた信号の対応する部分が安定性条件を満たしたとき(例えば、フィルタリングされた信号が予め定義された期間にわたって一定のままであるとき)に検出される。
本発明の一実施形態では、各フィルタリングされた信号をモニタリングする手段は、所定時間にわたる安定性条件を、モニタリングを行う瞬間の集合(例えば、対応する入力信号を捕捉する各瞬間)において検証する手段を含む。この検証は、安定性条件が満たされた後で停止される。次いで、安定性条件が満たされたモニタリングの瞬間に従ってピークを検出する手段が提供される。
本発明の一実施形態では、本システムは、モニタリングを行う瞬間に先行する安定性時間ウィンドウにおいて、フィルタリングされた信号が一定のままであるか否かを(モニタリングを行う各瞬間において)検証する手段を含む。次いで、本システムは、安定性条件が満たされたモニタリングの瞬間に対して安定性時間ウィンドウにわたって先行する瞬間においてピークを検出する手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、各選択された場所の灌流を示す1つ又は複数の灌流パラメータを、対応するピーク(例えば流入レート)に従って計算する手段をさらに含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、各選択された入力信号から線形化された入力信号を生成する手段を含む。各瞬間における線形化された入力信号は、対応する選択された場所における当該瞬間の造影剤の濃度に実質的に比例する。本システムはまた、モニタリングする手段によって決定された1つ又は複数の瞬間において、対応する線形化された入力信号に従って各灌流パラメータを計算する手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、複数の入力画像からなるシーケンスを提供する手段を含む。各入力画像は、対応する瞬間における人体部分のディジタル表現を含む。特に、各入力画像は、対応する瞬間における対応する場所への呼びかけ刺激に対する応答をそれぞれ示す、複数の入力値を含む。本システムはまた、複数の入力画像から、フィルタリングされた複数の画像からなるシーケンスを生成する手段を含む。各選択された場所について、フィルタリングされた各画像はフィルタリングされた値を含み、この値は、選択された入力画像の集合における選択された場所に対応する入力値に従って生成される。選択された入力画像の集合は、対応する入力画像と、1つ又は複数の先行する入力画像とを含む。この場合、本システムは、各選択された場所のフィルタリングされた値をモニタリングする手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、フィルタリングされた各画像のフィルタリングされた各値を、所定の値に設定する手段を含む。この設定される値は、選択された入力画像における対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答の、対応するピークが検出されるまでの最大値を表す値である(例えば、これは最大値保持アルゴリズムを適用することによって取得される)。オプションとして、フィルタリングされた値は、選択された入力画像における対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答の、対応するピークが検出された後の最小値を表すものであってもよい(例えば、これは最小値保持アルゴリズムを適用することによって取得される)。
本発明の一実施形態では、本システムは、フィルタリングされた値を、先行するフィルタリングされた画像における選択された場所のフィルタリングされた値と、比較値との間の、呼びかけ刺激に対する応答の、対応するピークが検出されるまでの最大値を表す値に設定する手段を含む。比較値は、(対応する入力画像を含む)比較入力画像の集合における選択された場所の入力値の集合に基づくものである。オプションとして、フィルタリングされた値は、先行するフィルタリングされた画像における選択された場所のフィルタリングされた値と、比較値との間の、呼びかけ刺激に対する応答の、対応するピークが検出された後の最小値を表す値に設定されてもよい。
本発明の一実施形態では、比較値は、対応する入力画像における選択された場所の入力値を含む。本発明の代替の実施形態では、比較入力画像は、対応する入力画像と、1つ又は複数の先行する入力画像とを含み、この場合、本システムは、比較入力画像における選択された場所の入力値に対して平滑化関数(例えばメディアン関数)を適用することにより、比較値を計算する手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、複数の動的パラメータ画像からなる1つ又は複数のシーケンスを生成する手段をさらに含む。各選択された場所について、各動的パラメータ画像は、対応する灌流パラメータが計算される前には、ゼロ値を含み、その計算後には、対応する灌流パラメータを示す値を(例えばカラーで符号化された表現で)含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、対応する灌流パラメータの計算後であっても、この灌流パラメータがしきい値に到達しなかった場合には、各動的パラメータ画像の各選択された場所についてゼロ値を維持する手段を含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、複数の動的パラメータ画像からなる各シーケンスについて、複数の重畳画像からなるシーケンスを生成する手段をさらに含む。重畳画像は、各動的パラメータ画像を、対応するフィルタリングされた画像上に重畳させることにより生成される。
本発明の一実施形態では、本システムは、到達の瞬間(これは、フィルタリングされた信号が有意値に到達した瞬間を示す)を検出する手段と、ピークの瞬間(これは、ピークを検出した瞬間を示す)を検出する手段とを含む。次いで、本システムは、ピークの瞬間において対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答を示す、ピーク値を決定する手段を含む。オプションとして、本システムは、フィルタリングされた信号が所定の低下値に到達した瞬間を示す、低下の瞬間を検出する手段を含んでもよい。ここで、低下値は、ピーク値の予め定義された分数(例えば半ピーク値)である。
本発明の一実施形態では、本システムは、(ピーク値と、ピークの瞬間及び到達の瞬間の差との比に従って)流入レートを計算する手段、(低下値と、低下の瞬間及びピークの瞬間の差との比に従って)流出レートを計算する手段、流入レート及び流出レートの積を計算する手段、又はそれらの他の任意の数学的組み合わせを含む。
本発明の一実施形態では、本システムは、(造影剤の実質的破壊を生じさせるように)破壊パルスを人体部分に適用する手段をさらに含む。次いで、本システムは、上述の動作を実行する手段を動作させることを1つ又は複数の回数にわたって繰り返す手段を含む。
本発明の他の態様によれば、対応するデータ処理方法が提案される。特に、本データ処理方法は、所定時間にわたって造影剤で灌流される人体部分を表す複数の入力信号を提供するステップを含む。各入力信号は、造影剤を含んでいる可能性がある人体部分における対応する場所への呼びかけ刺激に対する応答を示す。本方法はまた、選択された場所の選択された入力信号から、複数のフィルタリングされた信号を生成するステップを含む。所定時間にわたる各瞬間における各フィルタリングされた信号は、当該瞬間を含む選択された入力信号の部分に従って、対応する選択された入力信号から生成される。本発明の一実施形態に係るソリューションによれば、各フィルタリングされた信号をモニタリングして、対応する選択された場所への呼びかけ刺激に対する応答におけるピークが検出される。このピークは、フィルタリングされた信号の対応する部分が安定性条件を満たしたときに検出される。
診断システムに関して上述したものと同様の機能が(単独でも、互いに組み合わせても)、必要な変更を行うことで、データ処理方法にも適用される。
本発明の別の態様によれば、対応するコンピュータプログラムが提案される。特に、本コンピュータプログラムは、本コンピュータプログラムがデータ処理システム上で実行されたときに当該データ処理システムに上述のデータ処理方法のステップを実行させるコード手段を含む。
本発明のさらに別の態様によれば、対応するコンピュータプログラム製品が提案される。特に、本コンピュータプログラム製品は、データ処理システム上で実行されたときに当該データ処理システムに同データ処理方法を実行させるコンピュータプログラムを具体化する、コンピュータ使用可能な媒体を含む。
本発明の一実施形態に係るソリューションを適用可能である医療用イメージングシステムを表す図である。
本発明の一実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明の別の実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明の別の実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明のさらに別の実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明のさらに別の実施形態に係るソリューションの例示的適用を示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションの適用の例示的シナリオを示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションの適用の例示的シナリオを示す。(訳注:国際出願時の明細書及び図面では「FIG.5A’」と示していたが、電子出願ソフトの制限により、翻訳文では「図5AA」と記載する。)
本発明の一実施形態に係るソリューションの適用の例示的シナリオを示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションの適用の例示的シナリオを示す。(訳注:国際出願時の明細書及び図面では「FIG.5B’」と示していたが、電子出願ソフトの制限により、翻訳文では「図5BB」と記載する。)
従来技術の最大値保持アルゴリズムの例示的適用を示す。
従来技術の最小値保持アルゴリズムの例示的適用を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの他の生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの他の生体内適用例を示す。
従来技術と比較した本発明の一実施形態に係るソリューションの他の生体内適用例を示す。
本発明の一実施形態に係るソリューションを実施するために使用可能な主要構成要素の役割を表す図である。
本発明の一実施形態に係るソリューションを実施するために使用可能な主要構成要素の役割を表す図である。
本発明の1つ又は複数の実施形態に係るソリューションや、別の特徴及びその優位点は、添付の図面とともに、非限定的なものとしてのみ示す以下の詳細な説明を参照することにより最もよく理解される。
特に図1を参照すると、超音波スキャナ100を備えた医療用イメージングシステムが図示されている。スキャナ100は、本発明の一実施形態に係るソリューションにおいて、患者103の人体部分102を解析するために使用可能である。超音波スキャナ100は、中央装置105と、ハンドヘルド型送受信イメージングプローブ110(例えばアレー型)とを含む。イメージングプローブ110は、複数のパルス(例えば、1〜50MHzの間の中心周波数を有する)からなるシーケンスを含む超音波を送信し、人体部分102による超音波パルスの反射から生じる無線周波(RF)エコー信号を受信する。この目的のために、イメージングプローブ110には送受信マルチプレクサが設けられ、これにより、上述のパルスエコーモードでイメージングプローブ110を使用することが可能になる。
中央装置105はマザーボード115を収容し、マザーボード115上に、超音波スキャナ100の動作を制御する電子回路(例えば、マイクロプロセッサ、作業メモリ、及びハードディスクドライブ)が実装される。また、マザーボード115には、1つ又は複数のドーターボード(その全体を120で示す)が接続される。ドーターボード120は、イメージングプローブ110の駆動及び受信したエコー信号の処理のための電子回路を提供する。超音波スキャナ100には、リムーバブルディスク130(例えば、CD−ROM又はDVD−ROM)を読むためのドライブ125が設けられていてもよい。モニタ135は、進行中の解析処理に関連した画像を表示する。超音波スキャナ100の動作は、キーボード140によって制御される。キーボード140は、従来の方法で中央装置105に接続され、好ましくは、キーボード140には、モニタ135の画面上でポインタ(図面には図示せず)の位置を操作するために使用されるトラックボール145が設けられる。
人体部分102の解析中に、造影剤(有効な超音波反射物として作用する)が患者103に投与される。例えば、造影剤は、液体キャリア中のガス気泡の懸濁液を含む。典型的には、ガス気泡は、患者の毛細血管を通過できるようにするために、0.1〜5μmのオーダーの直径を有する。一般的に、ガス気泡は、乳化剤、油、シックナー、砂糖、タンパク質、又はポリマーを含むさまざまな系にガス又はその前駆物質を混入又はカプセル化させることにより安定化される。一般的に、安定化されたガス気泡は、ガス充填微小水泡と呼ばれる。微小水泡は、水媒体中に分散したガス気泡を含み、ガス/液体の界面において、界面活性剤、すなわち両親媒性材料を伴う非常に薄い膜の境界を有する(微小気泡としても知られる)。それに代わって、微小水泡は、脂質によって、又は天然もしくは合成のポリマーによって形成された固体材料の膜によって包囲されたガス気泡を含む(微小バルーン又は微小カプセルとしても知られる)。他の種類の造影剤は、微小粒子の孔内に設けられたガス気泡を有する、ポリマー又は他の固体からなる多孔性微小粒子の懸濁液を含む。微小水泡、特に微小気泡及び微小バルーンの適切な水性懸濁液と、その調整の例が、特許文献4〜8(それらの開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)で説明されている。ガス充填微小水泡を含む市販の造影剤の例として、ブラッコ・インターナショナル・BV(Bracco International BV)のSonoVue(登録商標)がある。
好ましくは、静脈内ボーラスとして造影剤が患者103に投与される。すなわち、1回の投与が、(2〜20秒のオーダーの)短い時間期間にわたって注射器を用いて手で行われる。造影剤は、人体部分102を灌流するように、患者103の血管系内で循環する。それと同時に、イメージングプローブ110は、人体部分102の領域において患者103の皮膚と接触するように配置される。次いで、造影剤の破壊が無視できる程度(例えば、連続する超音波パルス間におけるその局所的濃度が5%未満、好ましくは1%未満)になるように、小さな音響エネルギー(例えば、メカニカルインデックス(MI)=0.01〜0.1)を有する一連の超音波パルスを人体部分102に適用する。(選択された走査計画における人体部分102の各場所について)所定時間にわたる超音波パルスに応答して記録されたエコー信号により、解析処理を行う間に、造影剤を含む可能性がある人体部分102における対応する領域(すなわちスライス)の表現がもたらされる。
次いで、エコー信号は、標準的な輝度モード(Bモード)の複数のディジタル画像(又はフレーム)からなるシーケンスに変換され、次いでこれは、対応する連続した捕捉の瞬間(例えば、毎秒の画像数のフレームレート(FR)=10〜30)において人体部分102を表す。各画像は、可視化要素、すなわち基本的画像要素(画素)のそれぞれの値からなる(例えば、M=512個の行及びN=512個の列を有する)行列によって定義される。各画素は、人体部分102における1つの場所に対応する。典型的には、各画素値は、画素の輝度を定義する(例えば、8ビットで符号化されている)グレースケールレベルを含む。画素値は、(人体部分の対応する場所における音響的応答を表す)対応するエコー信号の強度の関数として0(黒)から255(白)まで増加する。
一般的に、エコー信号と、その後の対応する画像とは、造影剤及び周囲の組織によって生成された異なる寄与の重ね合わせからもたらされる。好ましくは、超音波スキャナ100は、造影剤の(非線形の)寄与に関して、エコー信号における組織の支配的な(線形の)寄与を実質的に除去する、又は少なくとも低下させるように、コントラスト特異のイメージングモードで動作する。コントラスト特異のイメージングモードの例は、例えば非特許文献1(その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)で説明されるように、ハーモニックイメージング(harmonic imaging:HI)、パルスインバージョン(pulse inversion:PI)、パワーモジュレーション(power modulation:PM)、及びコントラストパルスシーケンシング(contrast pulse sequencing:CPS)技術を含む。
図2Aにおいて、人体部分の通常の場所への超音波に対する例示的応答として、時間−強度の曲線205(実線)を示す。これは、対応するエコー信号のパワー(任意単位又はa.u.(arbitrary units))を時間の関数(単位:秒)として表す。曲線205は初期部分を有し、ここで、エコー信号は、投与後に人体部分を灌流する造影剤の流入フェーズの結果として、ゼロ(造影剤の到達前)からピークに向かって増大し、いったんエコー信号がこのピークにおいてその大域的な最大値(絶対最大値)に到達したとき、エコー信号は、(例えば、肺によって、及び/又は、肝臓によって)患者から除去される造影剤の流出フェーズの結果として、ゼロに向かって減少し始める。
エコー信号は最初にフィルタリングされ、これにより、図面において曲線210(破線)で表すフィルタリングされた信号が生成される。以下で詳述するように、各瞬間において、フィルタリングされた信号は、当該瞬間を含むエコー信号の対応する部分に従ってエコー信号から生成される。例えば、開始時において、フィルタリングされた信号は、最大値保持アルゴリズムを適用することによって生成され、エコー信号は所定時間にわたってその最大値に保持される。この方法では、エコー信号が単調に増大するとき、曲線210の対応する部分(210aで示す)は正確に曲線205に追従する。しかしながら、エコー信号が(例えば、ノイズ、又は造影剤の局所的濃度の自然変動に起因して)瞬間的に減少する場合、その最新の最大値は、より高いエコー信号の値が検出されるまで保存される。
フィルタリングされた信号は、エコー信号の記録と同時に(又は、高々非常に小さな遅延を有して)、任意の瞬間に生成可能である。例えば、最大値保持アルゴリズムは、(フィルタリングされた信号を、すでに利用可能な情報に従ってリアルタイムで生成できるように)対応する瞬間までのエコー信号についての知識のみを必要とする。
本発明の一実施形態に係るソリューションでは、フィルタリングされた信号は、その後、(フィルタリングされた信号がピーク値Ipに到達したときのピークの瞬間tpにおいて)そのピークを検出するためにモニタリングされる。特に、ピークは、フィルタリングされたエコー信号の対応する部分が安定性条件を満たしたときに検出される。例えば、これは、フィルタリングされた信号が予め定義された期間にわたって一定のままであるときに生じる。従って、ピークは、発生すると(安定性条件を満たすために必要とされる短い遅延の後で)すぐに検出される。
エコー信号のフィルタリングは、比較的簡単であり、大きな計算資源を必要とせず、このため、(画像のいかなる空間的サブサンプリングも行うことなく)画素レベルで実行可能である。それにもかかわらず、フィルタリングされた信号は、(フィルタリング前の対応するエコー信号におけるすべての強い変動を除去することにより)大幅に平滑化され、これにより、ピークの検出を頑健な方法で実行できるようになる。結果として、提案する処理は、許容できる信頼性の程度を達成しながら、フル画像解像度で実行可能である。
それと同時に、提案するソリューションによれば、所望の結果を実質的にリアルタイムで取得できるようになる。これは、人体部分のイメージングを行いながら解析処理を実行可能であること、すなわち、必要な計算に起因してピークの検出から短い遅延が生じるが、イメージング処理の完了を待機する必要がないということを意味する。
それに加えて、又は代替として、ピークの検出後に、フィルタリング動作は、エコー信号が所定時間にわたってその最小値に保持される最小値保持アルゴリズムに切り換えられる。この方法で、エコー信号が(造影剤の流出フェーズの間に)単調に減少するとき、曲線210の対応する部分(210bで示す)は正確に曲線205に追従する。しかしながら、エコー信号が(ノイズ、又は造影剤の濃度の自然変動に起因して)瞬間的に増大する場合、その最新の最小値は、より低いエコー信号の値が検出されるまで保存される。
この方法で、流出フェーズについての情報も同様に保存される。それと同時に、フル解像度の画像で、実質的にリアルタイムで、人体部分に係る別の検査が実行されてもよい。
ピークの検出に関連する情報は、複数の異なる目的に使用可能である。特に、図2Bに示すように、本発明の一実施形態では、この情報は、(人体部分の対応する場所における血液灌流を示す)1つ又は複数の灌流パラメータを計算するために使用される。例えば、次式を用いて、流入レートWi(図2Bにおいて対応する一点鎖線の直線で示す)を計算することができる。
ここで、Δti=tp−taは、流入フェーズの継続時間(造影剤の到達の瞬間taからピークの瞬間tpまで)を測定する。到達の瞬間taは、フィルタリングされた信号が予め定義されたしきい値を超える有意値Iaに到達する瞬間として定義される。この流入レートWiは、造影剤の投与の瞬間とは完全に独立しているので、非常に信頼性が高いということに注意すべきである。
それに加えて、又は代替として、フィルタリングされた信号は、フィルタリングされた信号が半ピーク値Ip/2よりも低下する半ピークの瞬間trを検出するためにもモニタリングされる。次いで、次式を用いて、流出レートWo(図2Bにおいて対応する一点鎖線の直線で示す)を計算することができる。
ここで、Δto=tr−tpは、流出フェーズの継続時間(ピークの瞬間tpから半ピークの瞬間trまで)を測定する。この場合も同様に、流出レートWoは、造影剤の投与の瞬間とは独立しているので、非常に信頼性が高い。
本発明の一実施形態では、上述の方法は、人体部分を表す(元の)画像から、フィルタリングされた画像のシーケンスを生成するために使用される。特に、各画素について、ピークの瞬間tpの前に最大値保持アルゴリズムを適用し、その後に最小値保持アルゴリズムを適用することにより、フィルタリングされた複数の異なる画像における対応する画素値が取得される。
より形式的には、ピークの瞬間tpの前に、フィルタリングされた画像の各画素値は、対応する元画像における同じ画素の画素値と、処理の以前の反復の結果から得られた先行する元画像における同じ画素の画素値にわたる現在の最大値とのうちの最大値に設定される。すなわち、次式が得られる。
ここで、OP(x,y,k)は、番号kを有する(元画像のフレームレートの逆数に画像番号kを乗算した瞬間t、すなわち、t=k/FRに取得された)フィルタリングされた画像における空間座標x,y(行番号及び列番号)によって識別される画素の画素値である。IP(x,y,k)及びOP(x,y,k−1)は、それぞれ、同じ番号kを有する(瞬間tに取得された)対応する元画像における同じ画素(x,y)の画素値と、番号k−1を有する(瞬間(k−1)/FRにおいて取得された)先行するフィルタリングされた画像における同じ画素(x,y)の画素値とである。MAX[]は、その引数の間の最大値を返す関数である。代わりに、ピークの瞬間tpの後に、フィルタリングされた画像の各画素値は、対応する元画像における同じ画素の画素値と、処理の以前の反復の結果から得られた(ピークフォワードからの)先行する元画像における同じ画素の画素値にわたる現在の最小値とのうちの最小値に設定される。すなわち、次式が得られる。
ここで、MIN[]は、その引数の間の最小値を返す関数である。
一般に、フィルタリングされた画像の各画素値は、このとき、以下のフィルタリング関数を適用することによって計算可能である。
ここで、L(L>0)は、ピークを検出するために使用されるフィルタリングされた画像の個数を表す安定長である。kp(kp>L)は、画像番号(tp=kp/FR)に関してピークの瞬間tpを表すピーク番号である。特に、ピーク番号kpは、次式で定義される安定性条件を満たす画像番号kに設定される。
言い換えると、安定長Lによって定義される個数のフィルタリングされた画像にわたって(すなわち、安定長Lと元画像のフレームレートの逆数との積によって与えられる安定性時間ウィンドウにおいて)フィルタリングされた画像における画素値が同じ値のままであるときはすぐに、ピークが検出される。安定長Lの値(及び、対応する安定性時間ウィンドウの値)は、解析処理の対立する要件である精度の高さと応答の速さに従って調整される。特に、安定長Lの値が高くなると、対応するエコー信号が瞬間的に(例えば、1又は2個の元画像のみに対応する継続時間で)増大したときに、ピークの誤検出を防止できるようになり、結果として得られるフィルタリングされた信号には、エコー信号が再び増大し始めるまで平坦な部分が生じる。しかしながら、安定長Lを増大させることは、ピークが検出される瞬間を遅延させる。例えば、安定長Lの典型的な値は3〜12である(これは、毎秒10個の元画像のフレームレートの場合に安定性時間ウィンドウ0.3〜1.2秒に対応する)。
上述のフィルタリングアルゴリズムは(最も実用的な状況において信頼性が高い灌流パラメータをもたらすものの)、例えば図3Aに示すように、きわどい条件下(例えば、エコー信号が非常に低いSNRを呈するとき)では何らかの制限を示す可能性がある。特に、曲線205’で表すエコー信号が(例えば、運動のアーティファクトに起因して)流入フェーズ中に瞬間的に増大するとき(スプリアス正スパイク)、又は流出フェーズ中に瞬間的に減少するとき(スプリアス負スパイク)、曲線210’で表すフィルタリングされた信号は、もはや、エコー信号の実際の傾向に正確に追従しなくなる。実際に、各正スパイクについて、フィルタリングアルゴリズムは、エコー信号が保持された値を超えるまで、フィルタリングされた信号をスパイク値に保持し、同様に、各負スパイクについて、フィルタリングアルゴリズムは、エコー信号が保持された値よりも低下するまで、フィルタリングされた信号をスパイク値に保持する。ピークの瞬間tpの前にピーク値Ipよりも高い値を有する正スパイクが生じた場合、問題は特に深刻になる。この場合、ピークの瞬間tp’<tpにおいて、誤ったピークが検出され、フィルタリングされた信号はピーク値Ip’>Ipに到達する。
図3Bに示すように、所望の灌流パラメータの計算に誤りが伝搬する(すなわち、この例では、より高い流入レートWi’、より早い半ピークの瞬間tr’、フィルタリングされた信号が到達するより高い半ピーク値Ip’/2、誤った流出レートWo’)。流出フェーズ中に、半ピークの瞬間の発生前にエコー信号において半ピーク値よりも低い値を有するスプリアス負スパイクが生じた場合にも、同様の考察があてはまる。
しかしながら、上述の問題は、前述の方法に従ってエコー信号をフィルタリングする前にエコー信号を平滑化することによって解決可能である。特に流入フェーズを参照すると、画素値の現在の最大値は、平滑化された値と比較されるが、これは、対応する元画像及び1つ又は複数の先行する元画像における同じ画素の画素値の平滑化集合に基づく。
ここで、SP(x,y,k)は、番号kを有する元画像における画素(x,y)の平滑化された値である。ここで、平滑化された値は、画素値の平滑化集合に平滑化関数を適用することによって定義される。
ここで、SMT[]は、画素値の平滑化集合における短い(正又は負の)スパイクを除去する、又は少なくとも低下させることに適合された平滑化関数である。m(m≧2)は、平滑化集合における画素値の個数を表す(そして対応する元画像の個数を表す)平滑化長であり、ここでは、平滑化長mと元画像のフレームレートの逆数との積によって与えられる平滑化時間ウィンドウに対応する。この目的に適した平滑化関数の典型例は、メディアン関数である(平滑化された値は、昇順に配置された画素値の平滑化集合における中央値を表す)。平滑化長mの値は、解析処理の対立する要件である精度の高さと応答の速さに従って調整される。特に、平滑化長mの値を大きくすることによって、対応するエコー信号においてより長い継続時間を有する(最大で平滑化時間ウィンドウの半分までかかる)スパイクを除去できるようになる。しかしながら、平滑化長mを増大させることは、(平滑化された)画像がフィルタリングに利用可能になる瞬間を遅延させる。例えば、平滑化長mの典型値は2〜6である(これは、毎秒10個の元画像のフレームレートの場合に、平滑化時間ウィンドウ0.2〜0.6秒に対応する)。
同じ平滑化アルゴリズムは流出フェーズにも適用可能である。この場合、画素値の現在の最小値は、同様に、(同じ画素値の平滑化集合に基づいて)平滑化された値と比較される。
従って、フィルタリング関数の全体は次式になる。
上述のソリューションによれば、造影剤を単一のボーラスとして注入するときに人体部分における複数の領域を解析することも可能になる。実際に、いったん所望の灌流パラメータが計算されると(すなわち、流入レートの場合はピークの瞬間の後、又は、流出レートの場合は半ピークの瞬間の後)、解析処理は完了する。しかしながら、造影剤の量のうちの実質的部分はなお患者内を循環している可能性がある。例えば、典型的な用途において、ピークは30〜40秒後に検出されるが、流出フェーズは60〜90秒後にのみ終了する。
従って、図4Aに示すように、所望の灌流パラメータを計算するために必要とされる情報が取得されるとすぐに(例えば、流入レートWiが計算された後のフラッシュの瞬間tf>tp+Lにおいて)、高い音響エネルギーを有する1つ又は複数の超音波パルス(フラッシュ)を人体部分に適用することにより、循環している残りの造影剤を破壊することができる。音響エネルギーは、循環している残りの造影剤の量のうちの実質的部分(例えば、フラッシュを適用する前のその局所的濃度の少なくとも50%)を破壊するのに十分でなければならない(例えばメカニカルインデックス1〜2)。このとき、循環している造影剤は人体部分を満たす。従って、イメージングプローブが他の走査平面に移動されると、フラッシュの瞬間tfの後に記録されるエコー信号は、人体部分の他の関連領域の再灌流を表す。特に、このとき解析下にある人体部分の通常の場所に係る新たなエコー信号が曲線205fで表され、これは、(元の)エコー信号の曲線205の1つに類似したパターンを有する(すなわち、新たな流入フェーズ中にゼロから低い方のピークに増大し、次いで、新たな流出フェーズ中にゼロまで減少する)。人体部分のこの場所に対して、上述したものと同じ動作を繰り返すことができる(すなわち、新たなエコー信号をフィルタリングして曲線210fで表される新たなフィルタリングされた信号を取得し、新たなフィルタリングされた信号をモニタリングしてそのピークを検出し、それに基づいて1つ又は複数の灌流パラメータを計算する)。
例えば、図4Bに示すように、新たな到達の瞬間taf(造影剤の破壊の直後)と、新たなピーク値Ipfを有する新たなピークの瞬間tpfとを検出し、これにより次式の新たな流入レートを計算することができる。
(Δtif=tpf−taf)
それに加えて、又は代替として、フィルタリングされた信号が新たな半ピーク値Ipf/2よりも低下したとき、新たな半ピークの瞬間trfを検出し、これにより次式の新たな流出レートを計算することもできる。
(Δtof=trf−tpf)
当然ながら、(十分な量の造影剤が患者内に残って循環している限り)同じ処理を1つ又は複数の回数にわたって繰り返してもよい。
上述のソリューションは、特に前立腺癌の診断に有利である。実際に、図5A〜図5AAに示すように、健康な(実質)組織に関連するエコー信号と、前立腺癌に関連するエコー信号とは、大きく異なったパターンを有する。特に、図5Aは、健康な組織に関連する場所のエコー信号(曲線205hで表す)と、対応するフィルタリングされたエコー信号(曲線210hで表す)とを示す。図5AAは、代わりに、癌の影響を受けた場所のエコー信号(曲線205cで表す)と、対応するフィルタリングされたエコー信号(曲線210cで表す)とを示す。見てとれるように、癌組織のエコー信号(図5AA)では、健康な組織のエコー信号(図5A)と比較して、流入及び流出が早くかつ速くなっている。
従って、図5Bに示すように、提案するソリューションを健康な組織に適用することにより、そのピークをピークの瞬間tphにおいてピーク値Iphで検出できるようになる。また、その到達の瞬間tah及び半ピークの瞬間trhを検出し、これにより次式の流入レートWih及び流出レートWohを計算することもできる。
(Δtih=tph−tah)
(Δtoh=trh−tph)
同様に、図5BBに示すように、提案するソリューションを癌組織に適用することにより、そのピークをピークの瞬間tpcにおいてピーク値Ipcで検出できるようになる。また、その到達の瞬間tacを半ピークの瞬間trcを検出し、これにより次式の流入レートWic及び流出レートWocを計算することもできる。
(Δtic=tpc−tac)
(Δtoc=trc−tpc)
見てとれるように、癌組織は、その流入レート及び流出レートが高くなるので、健康な組織から容易に区別できる(すなわち、Wih=53及びWoh=12に対して、Wic=118及びWoc=72)。
さらなる改良として、流入レート及び流出レートを組み合わせ、それらの積によって与えられる新たな灌流パラメータを生成することができる。健康な組織に係るこの積はWh=Wih・Who=53・12=639であり、癌組織に係るこの積はWc=Wic・Whc=118・72=8469である。提案した新たな灌流パラメータは、健康な組織から癌組織を区別することをさらに容易にするが、これは、それらの差が流入/流出レートの積として強調されるからである(Wh=639に対してWc=8469)。
より一般的には、提案するソリューションは、(厳密に治療目的の診断が常に医者自身によって行われるとしても)所望の診断を行う際に医者を支援することができる中間結果を提供することにより、医者のタスクを容易にする。
最大値保持アルゴリズム又は最小値保持アルゴリズムのみを適用することによっては、上述の結果を得ることはできないということに注意する必要がある。
特に、図6Aは、図2Aに示すものと同じエコー信号(再び曲線205で示す)に対して最大値保持アルゴリズムのみを適用する場合を示す。この場合、処理を実行することにより、ここでは曲線610a(破線)で表すフィルタリングされた信号が生成される。上述のように、曲線610aは、(エコー信号におけるすべての強い変動をフィルタリングすることにより)エコー信号のピークに到達するまで正確に曲線205に追従する。しかしながら、ピークの瞬間の後では、フィルタリングされた信号はその最大値を維持し、このため曲線610aは一定のままである。従って、流出フェーズについてのいかなる情報も完全に失われる。
図6Bは、代わりに、図2Aに示すものと同じエコー信号(再び曲線205で示す)に対して最小値保持アルゴリズムのみを適用する場合を示す。この場合、処理を実行することにより、ここでは曲線610b(破線)で表すフィルタリングされた信号が生成される。見てとれるように、フィルタリングされた信号は、造影剤が到達する前の値に対応するそのベースライン値を常に維持する。結果として、曲線610bは、ベースライン値における単なる水平線である。従って、灌流処理についての(その流入フェーズ及び流出フェーズの両方における)いかなる情報も完全に失われる。
図7A〜図7Dに、本発明の一実施形態に係るソリューションの生体内適用例を、従来技術と比較して示す。この目的のために、ヒトの前立腺が、上述のSonoVue(登録商標)造影剤のボーラスを投与した後で、市販の超音波スキャナにより解析された。
特に、図7Aは、解析処理中の複数の異なる瞬間において前立腺を表す一連の元画像を示す。第1の画像(A.1)は流入フェーズの早期に関し、第2の画像(A.2)は流入フェーズの晩期に関し、第3の画像(A.3)は流出フェーズの早期に関し、第4の画像(A.4)は流出フェーズの晩期に関する。画像A.1及びA.2に示すように、流入フェーズ中において、造影剤が現れると、前立腺の高度に血管化された中央ゾーンを強調し、この部分では、造影剤の典型的な対称な強調が示されている。早期の造影を示す他の領域を、矢印で示す前立腺の左側周辺ゾーン(すなわち画像の右下側)において見ることができる。代わりに、同様の造影パターンを示す領域は、前立腺の対側部分、すなわち前立腺の右側周辺部分(画像の左下側)には存在しない。特に前立腺の周辺ゾーンにおけるこのような非対称な強調パターンは、典型的には被疑領域を示し、癌に関連する可能性がある。画像A.3を参照すると、被疑領域における流出が開始して造影剤が周囲の実質組織を灌流し始めたとき(被疑領域のエコーが周囲の実質組織のものと等しくなったとき)、被疑領域におけるこの典型的な早期の強調パターンは急速に消滅する。(画像A.4に示すように)前立腺における流出フェーズ全体が開始したとき、被疑領域に関連した典型的な強調パターンは消滅し、その場所に関する情報は完全に失われる。
図7Bは、代わりに、元画像に対して最大値保持アルゴリズムのみを適用することによって得られた、最大値を保持する一連の画像を示す。このときの画像(B.1、B.2、B.3、及びB.4)は、上述の場合と同じ瞬間に取得された。画像B.1及びB.2に示すように、被疑領域における造影剤の早期の強調は、(ピークの瞬間の後であっても各画素の最大値が所定時間にわたって保存されるので)流入フェーズ全体にわたって可視のままである。従って、被疑領域は、対応する元画像と比較して、より良好に定義され、また表示される。画像B.1及びB.2はまた、(造影剤の軌跡が保持されるので)前立腺の毛細血管網の最も微細な詳細構造を示す。これは、被疑領域の検査をその特徴付けに関して容易にする。しかしながら、流出フェーズ中において、画像B.3及びB.4は拡散する。これは、周囲の実質組織の強調に起因する。周囲の実質組織は、同様の最大値に到達して維持される可能性があり、これにより、被疑領域の明瞭さを低下させる。
ここで図7Cを参照すると、本発明の一実施形態に係るソリューションを適用することによって得られた一連の動的パラメータ画像を示す。このときの画像(C.1、C.2、C.3、及びC.4)は、上述の場合と同じ瞬間に取得された。特に、各画素は、(局所的な流入レートに比例した画素の輝度を有する)上述した対応する場所について計算された流入レートを表す値を有する。流入レートが計算されるまで、すなわち対応するピークが検出されるまで、画素はゼロ値(黒で表される)のままである。
従って、流入フェーズ中はまだ流入レートが利用可能ではないので、画像C.1及びC.2は完全に黒である。しかしながら、画像C.3及びC.4に示すように、このとき、被疑領域は、実質組織から明確に識別される(その理由は、これらが非常に異なる流入レートを有するからである)。また、(画像C.4に示すように)この差は流出フェーズ(の晩期)中においても維持される。従って、これは、解析処理全体にわたって被疑領域の明瞭さを強調する。それと同時に、画像C.3〜C.4の高い解像度は、前立腺の毛細血管網の最も微細な詳細構造も明らかにする。これは、画像C.3〜C.4を用いて、前立腺における任意の病変の検出及び特徴付けの両方をリアルタイムで実行可能であるということを意味する。
図7Dは、代わりに、対応する最大値を保持する画像上に動的パラメータ画像を重畳することにより得られる、一連の重畳画像を示す(同じ瞬間について、図面ではD.1、D.2、D.3、及びD.4で示す)。特に、各画素は、対応する古い最大値画像において定義された値を有する。この値は、対応する流入レートの表現によって、その計算後すぐに(かつ、好ましくは、予め定義されたしきい値を超えた場合に)置き換えられる。
従って、画像D.1及びD.2は、造影剤の早期の強調と、流入フェーズ中の被疑領域に係る典型的な毛細血管網の最も微細な詳細構造とを明確に示す。流出フェーズ中において、画像D.3及びD.4は、被疑領域における流入レートのパラメータ情報を高い解像度でもたらす(それにより、その毛細血管網の最も微細な詳細構造を維持する)。結果として、前立腺のいかなる病変も、流入フェーズ中にリアルタイムで検出可能であり、対応する流入レートは流出フェーズに現れ、これはその後、その特徴付けに使用可能である。また、解析処理の最後に得られる最終画像は、任意の病変の改善された検出及び特徴付けのために、前立腺の灌流動態と血管の性質との両方について全体像又は概要をもたらす。
図8A〜図8Cに、本発明の一実施形態に係るソリューションの他の生体内適用例を、従来技術と比較して(再び前立腺癌の診断の場合について)示す。特に、図8Aは前立腺の一連の元画像を示し、図8Bは対応する最大値を保持する一連の画像を示し、図8Cは、対応する一連の動的パラメータ画像を示す。図8A、図8B、及び図8Cの複数の異なる画像は、解析処理の同じ瞬間で取得され、より具体的には、第1画像集合(それぞれ、A.1’、B.1’、及びC.1’)は流入フェーズの早期に関し、第2画像集合(それぞれ、A.2’、AB.2’、及びC.2’)は流入フェーズの晩期に関し、第3画像集合(それぞれ、A.3’、B.3’、及びC.3’)は流出フェーズの晩期に関する。
特に図8A(元画像)を参照すると、この場合でも、前立腺の右周辺ゾーン(画像の左下側に矢印で示す)において流入フェーズ(画像A.1’及びA.2’)中に造影剤の早期の強調を有する被疑領域を見ることができる。しかしながら、被疑領域における早期の強調は、流出フェーズ(画像A.3’)中に急速に消滅し、これにより、その場所に関するいかなる情報も完全に失われる。
図8B(最大値を保持する画像)を参照すると、被疑領域は、流入フェーズ(画像B.1’及びB.2’)中に、より良好に定義され、また表示される。特に、このとき、被疑領域は、流入フェーズの早期(画像B.1’)中にすでに明確になっているが、これに対して、対応する元画像(図8AのA.1’)ではほとんど不可視である。しかしながら、流出フェーズ中に、画像B.3’は拡散し、被疑領域の明瞭さが低下する.
ここで図8C(動的パラメータ画像)を参照すると、この場合も、画像C.1’及びC.2’は流入フェーズ中には完全に黒である。逆に、画像C.3’に示すように、このとき、被疑領域は、流出フェーズ中に実質組織から明確に識別され、流出フェーズの晩期でもその明瞭さを維持している。それと同時に、画像C.3’の高い解像度は、被疑領域の毛細血管網の最も微細な詳細構造も明らかにする(これは、その改善された検出及び特徴付けのために使用可能である)。
図9Aから図9Bに、本発明の一実施形態に係るソリューションを実施するために使用可能な主要なソフトウェア構成要素及び/又はハードウェア構成要素を表す図を示す。これらの構成要素を、全体として、参照番号900で示す。特に、情報(プログラム及びデータ)は、典型的には、ハードディスクに記憶され、そして、プログラムが実行されるとき、オペレーティングシステム及び他のアプリケーションプログラム(図面には図示せず)とともに、データ処理システム(例えば、超音波スキャナ又は別個のパーソナルコンピュータ)の作業メモリに(少なくとも部分的に)ロードされる。プログラムは、最初は、例えばDVD−ROMから、ハードディスクにインストールされる。より具体的には、図面は、(対応する構成要素によって)システムの静的構造を示し、また、(シンボル「A」を先頭に有するシーケンス番号で示された対応する動作をそれぞれ表す、交換される一連のメッセージによって)その動的ふるまいを示す。
特に、入力モジュール903は、イメージングプローブを制御するドライバを含む。例えば、イメージングプローブのドライバには、解析下の人体部分に適用される超音波パルスを生成する送信ビーム形成器及びパルサが設けられる。次いで、イメージングプローブは、選択された走査平面における人体部分の各場所によって反射された(アナログRF)エコー信号を受信する。アナログRFエコー信号は受信プロセッサに供給され、受信プロセッサは、アナログRFエコー信号に対して前置増幅を行い、予備的な時間利得補償(time-gain compensation:TGC)を適用する。次いで、アナログRFエコー信号は、アナログ/ディジタル変換器(ADC)によってディジタル値に変換され、受信ビーム形成器によって、合焦されたビーム信号に合成される。このように取得されたディジタル信号は、好ましくは、別のディジタルアルゴリズム及び他の線形又は非線形信号コンディショナ(例えばビーム形成後TGC)を用いて処理される。特に、受信プロセッサは、組織の寄与を抑圧するために、(例えば、上述のHI、PI、PM、又はCPS技術に基づく)コントラスト特異のアルゴリズムを適用する。次いで、ディジタル信号は復調され、(良好なバランスのコントラストを有する画像を得るために)対数圧縮され、ビデオフォーマットに走査変換される。この処理により、複数の(ビデオ)画像からなるシーケンスが生成され、画像は対応するリポジトリ906に記憶される。以下、簡単化のために、複数の異なるメモリ構造及びそれらの内容を、同じ参照番号で示す。
解析処理の開始時において、超音波スキャナのオペレータは、イメージングプローブを起動し、それを、(造影剤の投与前に)解析される人体部分の周囲に移動させる。対応するビデオ画像906は、捕捉されるとすぐに、連続的にディスプレイモジュール907に送られ、これにより、それらのリアルタイム表示が得られる(動作「A1_初期化」)。オペレータは、解析される人体部分の(好ましくは被疑領域を含む)領域を表す走査平面を選択し、イメージングプローブを固定された位置に保持する。次いで、オペレータはセレクタ909を用いて、対応するビデオ画像906における関心対象領域を(例えば、トラックボールの支援を受けて、その周りに線を描くことにより)選択する。この処理を実行することにより、境界設定マスク912が生成される(動作「A2_選択」)。境界設定マスク912は、ビデオ画像906と同じサイズを有するバイナリ値の行列を含む。関心対象領域内の画素に係るすべてのバイナリ値には、論理値1が割り当てられるのに対して、関心対象領域外の画素に係るバイナリ値には、論理値0が割り当てられる。
次いで、造影剤が患者に投与され、超音波スキャナは、人体部分の選択された走査平面における灌流処理を表す一連の別のビデオ画像906を捕捉する(動作「A3_解析」)。境界設定器915は、各現在のビデオ画像906に境界設定マスク912を画素毎に乗算する。この処理を実行することにより、対応する境界設定された画像が生成される。境界設定された画像は、(境界設定マスク912によって定義された)関心対象領域内の画素に係る対応するビデオ画像906の画素値を含み、他の画素値は0にリセットされる。境界設定された画像は、リポジトリ918に入れられる(動作「A4.1_境界設定」)。リポジトリ918は、平滑化長mに等しい深さを有するシフトレジスタを含む。従って、リポジトリ918に入れられた各新たに境界設定された画像について、それは、(初期遷移期間の後に)m−1個に等しい個数の先行する境界設定された画像を既に含んでいる。
境界設定された画像のリポジトリ918は、平滑化器921によってアクセスされ、平滑化器921は、各現在の(リポジトリ918に入れられたばかりの)境界設定された画像に対して平滑化アルゴリズムを適用する。この動作を実行することにより、対応する平滑化された画像924が生成され、これは各新たに境界設定された画像918によって連続的に上書きされる(動作「A4.2_平滑化」)。特に、境界設定マスク912における0とは異なる値を有する(すなわち関心対象領域内の)境界設定された画像918の各画素について平滑化関数を適用することにより、平滑化された画像924が得られる。
フィルタ927は、平滑化された画像924の各新しいバージョンに対してフィルタリングアルゴリズムを適用することにより、対応するフィルタリングされた画像を生成し、この画像は連続的にリポジトリ930に追加される(動作「A4.3_フィルタリング」)。この目的のために、フィルタ927はまた、ビデオ画像906と同じサイズを有するバイナリ値の行列を含むピークマスク933にアクセスする。各画素について、ピークマスク933は、対応するピークの検出前には論理値0を有し、その後に論理値1が割り当てられるフラグ(すべての画素のフラグは、解析処理の開始時に論理値0にリセットされる)を含む。フィルタ927は、ピークマスク933の内容に従って、最大値保持アルゴリズム及び最小値保持アルゴリズムのいずれかを適用してもよい。特に、境界設定マスク912における0とは異なる値を有する(すなわち関心対象領域内の)平滑化された画像924の各画素について、フィルタ927は、平滑化された画像924における画素値と先行するフィルタリングされた画像930における画素値との間において、最大値(ピークマスク933における対応するフラグが論理値0を有するとき)又は最小値(ピークマスク933における対応するフラグが論理値1を有するとき)を計算する。
フィルタリングされた画像のリポジトリ930は、(関心対象の瞬間を検出するために)検出器936によってアクセスされる。特に、検出器936は、各現在のフィルタリングされた画像930を検証して、造影剤の到達を検出する。検出器936は、これに応じて到達マップ937を更新する(動作「A4.4_開始」)。到達マップ937は、ビデオ画像906と同じサイズを有する値の行列を含む。各画素について、到達マップ937における値は、対応する到達の瞬間を表す(すべての画素の値は、解析処理の開始時に0にリセットされる)。この目的のために、境界設定マスク912における0とは異なる値を有し(すなわち関心対象領域内にあり)、かつ到達マップ937では0に等しい値を有する(すなわち、到達の瞬間がまだ検出されていない)フィルタリングされた画像930の各画素について、検出器936は、フィルタリングされた画像930における画素値が予め定義されたしきい値(対応する場所において有意な量の造影剤、例えば許容可能な最大値の1〜5%が存在していることを示す)を超えたか否かを検証する。超えている場合には、到達マップ937における値は、対応するシーケンスにおけるフィルタリングされた画像930の画像番号に設定される。この方法で、対応する場所において造影剤の到達を検出した後に、到達マップ937の各値は、到達の瞬間を画像番号に関して表す到達番号を含む(到達の瞬間は、到達番号にビデオ画像906のフレームレートの逆数を乗算した値に等しい)。
リポジトリ930が、安定長Lに等しい個数のフィルタリングされた画像を含むとき、検出器936はまた、フィルタリングされた画像のモニタリングを開始して、エコー信号のピークを検出する。この処理を実行することにより、ピーク検出マップ939が生成され、これは各新たなフィルタリングされた画像によって連続的に上書きされる(動作「A4.5_検出」)。ピーク検出マップ939は、ビデオ画像906と同じサイズを有する値の行列を含み、各画素について、ピーク検出マップ939における値は、その検出に応じた対応するピークの瞬間を表し、さもなければ、それは0に設定される。この目的のために、境界設定マスク912における0とは異なる値を有し(すなわち関心対象領域内にあって)、かつ到達マップ937において0とは異なる値を有し(すなわち、到達の瞬間がすでに検出され)、かつピークマスク933において論理値0を有するフラグを有する(すなわち、ピークがまだ検出されていない)フィルタリングされた画像930の各画素について、検出器936は、フィルタリングされた画像930において安定性条件が満たされるか否かを検証する。検証される場合には、ピーク検出マップ939における値は、対応するシーケンスにおけるフィルタリングされた画像930の画像番号から安定長L−1を減算した値に設定される。この方法で、対応する場所におけるエコー信号のピークの検出において、ピーク検出マップ939の各値は、(画像番号に関してピークの瞬間を表す)ピーク番号を含む。
次いで、検出器936は、これに応じてピークマスク933の内容を更新する(動作「A4.6_更新」)。特に、0とは異なるピーク検出マップ939において対応する値を有する(すなわち、ピークが検出されたばかりの)各画素について、検出器936は、ピークマスク933における対応するフラグに論理値1を割り当てる。結果として、ピークマスク933は、検出器936によるフィルタリングされた複数の異なる画像930におけるピークの検出を蓄積する(これにより、新たなフィルタリングされた画像930が処理されたときに、ピーク検出マップ939の上書きに起因してそれらが失われることを防止する)。従って、各画素のピークが検出される(そして、ピークマスク933における対応するフラグが論理値1に設定される)とすぐに、この画素について、フィルタ927は、最小値保持アルゴリズムに切り換え、新たなフィルタリングされた画像930を処理するとき、検出器936によって画素は廃棄される。
それと同時に、各現在のビデオ画像906について、線形化器945は対応する線形化画像を生成し、線形化画像は、連続的にリポジトリ948に追加される(動作「A4.1’_線形化」)。線形化画像948の各画素値は、造影剤の局所的濃度に正比例させることにより、ビデオ画像906の対応する画素値から得られる。例えば、この結果は、そのように取得された値に対して逆対数圧縮を適用し、次いで二乗することにより達成可能である(例えば、特許文献1に開示され、その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)。
プロセッサ951は、(流入レートを計算するために)到達マップ937と、ピーク検出マップ939の各新しいバージョンと、線形化画像948のリポジトリとにアクセスする。この目的のために、0とは異なるピーク検出マップ939における対応する値を有する(すなわち、ピークが検出されたばかりの)各画素について、プロセッサ951は、ピーク検出マップ939における値(すなわちピーク番号)に等しい番号を有する線形化画像948における対応する画素値を検索する。このとき、この画素値は、(造影剤の濃度に正比例するように線形化された)当該画素のピーク値を表す。この情報は、(線形化画像948からの)ピーク値と流入継続時間との間の比として、対応する流入レートを計算するために使用される。流入継続時間は、ピーク検出マップ939における値(すなわちピーク番号)と到達マップ937における値(すなわち到達番号)との間の差に、ビデオ画像906のフレームレートの逆数を乗算した値として得られる。この処理を実行することにより、流入画像954が生成され、流入画像954は、各新たなフィルタリングされた画像によって連続的に上書きされる(動作「A4.7_計算」)。各画素について、流入画像954は、そのピークの検出に応答して計算された対応する流入レートを含み、さもなければ、値0を含む。プロセッサ951は、オプションとして、対応する離散値(例えば、すべての画素の最低値と最高値との間に一様に分布した64個又は128個のレベルを含み、利得ファクタが適用されていてもよい)を有する各流入レートを表す。この場合、プロセッサ951は、すべての可能なレベルに対応する色の表現を関連付ける(レベルが上がると好ましくは輝度が高くなる)カラールックアップテーブル(図面には図示せず)にもアクセスする。例えば、各色は、その実際の使用を含むパレット内の場所にアクセスするインデックスによって定義される。次いで、流入レートは、流入画像954に追加される前に対応する色表現で置き換えられる。
しきい値処理器957は、流入画像954の各新しいバージョン(重要な情報のみを保持する)にアクセスする。特に、しきい値処理器957は、対応するしきい値処理された画像960を生成する(動作「A4.8_しきい値処理」)。しきい値処理された画像960は、予め定義されたしきい値(例えば、流入画像954における許容可能な画素値の最大値の0〜5%の範囲で)よりも小さい各画素値を(値0に)リセットすることにより、流入画像954から得られる。この方法で、(例えば、運動のアーティファクトに起因して)重要でない流入レートを廃棄することができる。しきい値は、結果として得られる画像の品質を最適化するように調整可能である。しかしながら、このしきい値処理動作の適用は、(流入画像954と正確に同じしきい値画像960を取得するように)単にしきい値を0に設定することによって回避可能であるということに注意すべきである。
しきい値処理された画像960の各新しいバージョンについて、生成器963は、対応する動的パラメータ画像を生成し、対応する動的パラメータ画像は、連続的にリポジトリ966に追加される(動作「A4.9_生成」)。動的パラメータ画像966は、(新たな流入画像954が生成されたときの上書きに起因したいかなる情報の損失も防止するように)しきい値処理された画像960の以前のバージョンから得られた結果を蓄積する。特に、動的パラメータ画像966の各画素は、対応する流入レートが計算されるまで値0のままであり、その後、この値を保持する。
重畳化器969は、各現在の動的パラメータ画像966を、(同じ瞬間に取得された)対応するフィルタリングされた画像930上に重畳させる。この動作を実行することにより、重畳画像が生成され、重畳画像は、連続的にリポジトリ972に追加される(動作「A4.10_重畳」)。特に、動的パラメータ画像966から重畳マスクが生成される。重畳マスクは、動的パラメータ画像966と同じサイズを有するバイナリ値の行列を含む。重畳マスクの各バイナリ値には、動的パラメータ画像966における対応する画素値が厳密に0よりも高い(従って、対応する流入画像954に対して実行されているしきい値処理動作の後におけるしきい値よりも厳密に高い)場合には、論理値0が割り当てられ、さもなければ、論理値1が割り当てられる。このとき、(動的パラメータ画像966に含まれていないフィルタリングされた画像930の画素値を保持するように、かつ他の画素値が0にリセットされるように)重畳化器969は、フィルタリングされた画像930に重畳マスクを画素毎に乗算することにより、マスキングされたフィルタリングされた画像を生成する。次いで、重畳化器969は、マスキングされたフィルタリングされた画像及び動的パラメータ画像966を画素毎に追加することにより、重畳画像972を生成する。この方法で、フィルタリングされた画像930における画素値は、対応する流入レートによって(しきい値よりも高い値で)、その計算後すぐに置き換えられる。
それと同時に、インバータ975は、境界設定マスク912から、(その論理値0及び1を交換することにより)反転された境界設定マスクを生成する。このとき、インバータ975は、(関心対象領域外の現在のビデオ画像906についての情報のみを保持するように)現在のビデオ画像906に反転された境界設定マスクを画素毎に乗算することにより、マスキングされたビデオ画像978を生成する。
合成器981は、各現在の重畳画像972を、(同じ瞬間に取得された)対応するマスキングされたビデオ画像978上に重畳させる。この動作を実行することにより、対応する合成画像が生成され、対応する合成画像は、連続的にリポジトリ984に追加される(動作「A5_合成」)。この目的のために、(関心対象領域内のみにおいて0とは異なる画素値を有する)重畳画像972は、(関心対象領域外のみにおいて0とは異なる画素値を有する)マスキングされたビデオ画像978に対して画素毎に追加される。結果として、合成画像984は、関心対象領域外におけるビデオ画像906についての情報を含む。かわりに、関心対象領域内では、合成画像984は、フィルタリングされた画像930についての情報を含むが、この情報は、いったん流入レートが計算されると、この流入レートによって置き換えられる。合成画像984は、生成されるとすぐに、連続的にディスプレイモジュール907に提供され、これにより、それらのリアルタイム表示が得られる(動作「A6_表示」)。
フィルタリングされた画像をモニタリングし、エコー信号がそれらの各半ピーク値に到達した瞬間を検出するために、同様の構造(簡単化のために図面には図示せず)が使用されてもよい。特に、検出器936は、半ピーク検出マップを生成し、半ピーク検出マップは、各新たなフィルタリングされた画像930によって上書きされる。半ピーク検出マップは、ビデオ画像906と同じサイズを有する値の行列を含み、各画素について、半ピーク検出マップにおける値は、その検出に応じた対応する半ピークの瞬間を表し、さもなければ0である。上述のように、これは半ピークマスク(ビデオ画像906と同じサイズを有するバイナリ値の行列を含む)を必要とし、各画素について、半ピークマスクは、対応する半ピークの検出前には論理値0を有し、その後には論理値1が割り当てられるフラグを含む(すべての画素のフラグは、解析処理の開始時に論理値0にリセットされている)。特に、境界設定マスク912における0とは異なる値を有し(すなわち関心対象領域内いあって)、かつピークマスク933において論理値1を有するフラグを有し(すなわち、ピークがすでに検出され)、かつ半ピークマスクにおいて論理値0を有するフラグを有する(すなわち、半ピークがまだ検出されていない)フィルタリングされた画像930の各画素について、検出器936は、フィルタリングされた画像930における画素値が(ピークが検出されたときに検出器936によって対応するマップに記憶された)対応する半ピーク値よりも低いか否かを検証する。低い場合には、半ピーク検出マップにおける値は、対応するシーケンスにおけるフィルタリングされた画像930の画像番号に設定される。この方法で、対応する場所におけるエコー信号の半ピーク値に到達したとき、半ピーク検出マップの各値は、画像番号に関して半ピークの瞬間を表す半ピーク番号を含む(ビデオ画像906のフレームレートの逆数を乗算した半ピーク番号に等しい値を有する半ピークの瞬間)。
次いで、検出器936は、それに応じて、半ピークマスクの内容を更新する。特に、0とは異なる半ピーク検出マップにおける対応する値を有する(すなわち、半ピークが検出されたばかりの)各画素について、検出器936は、半ピークマスクにおける対応するフラグに論理値1を割り当てる。結果として、半ピークマスクは、(新たなフィルタリングされた画像930が処理されたときに半ピーク検出マップの上書きに起因して損失が生じることを防止するように)検出器936によるフィルタリングされた複数の異なる画像930における半ピークの検出を蓄積する。従って、各画素の半ピークが検出される(そして、半ピークマスクにおける対応するフラグが論理値1に設定される)とすぐに、新たなフィルタリングされた画像930を処理するとき、検出器936によって画素が廃棄される。
プロセッサ951は、(流出レートの計算のために)半ピーク検出マップの各新しいバージョンと線形化画像948のリポジトリとにアクセスする。この目的のために、0とは異なる半ピーク検出マップにおける対応する値を有する(すなわち、半ピークが検出されたばかりの)各画素について、プロセッサ951は、半ピーク検出マップ939における値(すなわち半ピーク番号)に等しい番号を有する線形化画像948における対応する画素値を検索する。このとき、この画素値は、当該画素に係る(線形化された)半ピーク値を表す。この情報は、(線形化画像948からの)半ピーク値と流出継続時間との間の比として、対応する流出レートを計算するために使用される。流出継続時間は、(ピークが検出されたときに検出器936により対応するマップに記憶された)ピーク番号と、半ピーク検出マップにおける値(すなわち半ピーク番号)との間の差に、ビデオ画像906のフレームレートの逆数を乗算した値として取得される。この処理を実行することにより、流出画像が生成され、流出画像は、各新たなフィルタリングされた画像によって連続的に上書きされる。各画素について、流出画像は、その半ピークの検出に応答して計算された対応する流出レートを含み、さもなければ値0を含む。次いで、流出画像は、上述の流入画像の場合と同様の方法で処理される。
変形例.
当然ながら、局所的および特定の要件を満たすために、当業者は、多くの論理的および/または物理的な修正および変更を上記のソリューションに適用してもよい。このソリューションは、その好ましい1つ又は複数の実施形態を参照して所定の特殊性の程度で説明してきたものの、具体的には、それは様々な省略、置換、および形態ならびに詳細における変更が可能であるとともに、他の実施形態も可能であることが理解されるべきである。特に、同じソリューションは、そのより完全な理解を提供するために前述の説明に記載されている特定の詳細事項(例えば数値例)なしで実施することができる。逆に、よく知られている機能は、不必要な事項で説明を不明瞭にしないようにするために省略または簡略化している場合がある。また、開示したソリューションのいずれかの実施形態に関連して説明した特定の構成要素および/または方法ステップは、一般的な設計上の選択の問題として、他の任意の実施形態に組み込まれてもよいということが特に意図されている。
特に、超音波スキャナが異なる構造を持っているか、または他のユニットを含んでいる場合(例えば、リニア、凸、フェーズド、またはマトリックスアレー型のイメージングプローブを用いる場合)にも、同様の考察が適用される。また、提案されたソリューションは、超音波スキャナと別個のコンピュータ(または同等のデータ処理システム)で構成される医療用イメージングシステムに適用される。この場合は、記録された情報は、その処理のために超音波スキャナからコンピュータに(例えば、ディジタル、アナログ、またはネットワークの接続を経由して)転送される。いずれの場合でも、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)やX線コンピュータ断層撮影(CT)に基づく他の任意の医療用イメージングシステムへの応用も、提案されたソリューションの範囲内である。また、先の説明では前立腺癌の診断を参照したが、これは限定を意図したものではなく、同じソリューションが、他のタイプの癌(例えば肝臓癌や乳癌)の診断に、又はより一般的には任意の医療検査に、同様に用途を発見する可能性がある。
提案されたソリューションは、同等のさまざまな造影剤を用いた実施形態に適用される。例えば、造影剤は、磁気共鳴イメージングやX線CTイメージングを強調するための固有のものであってもよい。また、造影剤の注入は、動脈内、リンパ内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、間質、髄腔内または腫瘍内の経路に、持続注入(破壊的フラッシュの適用の有無にかかわらず)として、(例えば胃腸管のイメージングを行うために)経口により、ネブライザーを介して気道に、などで実行可能である。ビデオの画像が他の任意の方法(例えば、動き補償アルゴリズムを適用することによって)で取得される場合も、同様の考察が適用される。また、提案するソリューションを、3次元ビデオ画像や、(いかなる関心対象領域を選択することもなく)ビデオ画像の全体、などに適用することについて、いかなるさまたげも存在しない。
また、ピークは複数の異なるモニタリング動作で検出されてもよく、より一般的には、ピークは、所定時間にわたるフィルタリングされた信号の推移(その変化又は安定性を含む)を記録、収集、検証および/または比較することを目的とする任意の動作で検出されてもよい。たとえば、この動作は、定期的または可変な時間間隔(すなわち、ビデオ画像の捕捉の瞬間と必ずしもと同じではないモニタリングの瞬間において)で実行される、安定条件の連続的または不連続的な検証を用いて実装されてもよい。いずれの場合でも、提案手法は、特にリアルタイムでの使用のために設計されているが、オフラインで得られた結果を検査することは、本発明の実施の形態のソリューションの範囲内である(例えば、記録された情報を超音波スキャナからリムーバブルディスクやメモリキーを介してコンピュータへ転送した後に検査する)。
また、安定長は、複数の異なる値に設定されていてもよく、またはそれが(例えば、造影剤の推定流量に応じて)動的に決定されてもよい。いずれの場合でも、代替の安定性条件の使用は除外されていない。たとえば、フィルタリング動作が平均関数に基づいている場合、フィルタリングされた信号の変動が安定性ウィンドウの定義済みの範囲内にとどまるときにピークを検出することができる。
すでに指摘したように、ピークの検出に関連する情報は、さまざまな目的に使用することができる。例えば、提案されたソリューションの別の実施形態では、フィルタリングされた画像のみが(いかなる灌流パラメータの計算もせずに)生成され、フィルタリングされた画像は、その後、灌流処理の強調された視覚的理解を提供するように表示される(ビデオ画像上に重畳されてもよい)。特に、ピーク瞬間の前に最大値保持アルゴリズムを適用することにより、(造影剤の早期の強調により、フル解像度での定義及び表示を向上させるので)被疑領域の検出と特徴付けを容易にする。それと同時に、ピークの瞬間の後に最小値保持アルゴリズムを適用することにより、流出フェーズに関連する有用な情報を提供し、これにより、解析処理全体の間に被疑地域の明瞭な表現を維持できるようにする。
ビデオ画像は、別の方法で線形化することができる、例えば、線形化画像は、他の目的のために既に利用可能になっている場合がある(パラメータ解析が実装されている場合など)。この場合は、いかなる追加の線形化演算も行うことなく、利用可能な情報を活用することが可能である。いずれにせよ、フィルタリングアルゴリズムを直接に線形化画像に適用することや、ビデオ画像のみを使用することは、除外されていない。
ビデオ画像へのフィルタリング関数の適用は、限定的に解釈されるべきものではない。実際に、(アナログ領域であっても)同様の方法で生のエコー信号を直接フィルタリングすることについて、いかなるさまたげも存在しない。
上記の実装では、エコー信号の強度と各対応する画素値との間の直接的な関係を前提とする(すなわち、エコー信号の強度が大きくなると、結果として明るい画素が得られる)。逆に、ネガ画像に基づくシステム(画素値は、エコー信号の強度に従って減少する)では、上記のすべての式は、逆の論理を反映するように変更される必要がある。もちろん、流入レートのみが計算されなければならないとき、(ピークを検出するまでに)最大値保持アルゴリズムのみを適用することが可能である。
また、複数の同様のフィルタリング関数(解析処理の全体にわたって同じタイプであってもよい)が使用されてもよい。例えば、フィルタリングされた画像における各画素値を、ビデオ画像の集合に対応する画素値の平均として計算することができる。これらのビデオ画像は、現在の瞬間に撮影されたものを含み、さらに、先行及び/又は後続の瞬間に撮影された1つまたは複数の他のビデオ画像を含む。
平滑化長は、複数の異なる値に設定されてもよく、または、(たとえば、ビデオ画像の推定品質に応じて)動的に決定されてもよい。いずれの場合でも、同等の平滑化関数を使用することが可能である(例えば、平均関数)。しかし、(フィルタリングのアルゴリズムの適用前に)ビデオ画像に平滑化アルゴリズムを適用することは厳密には必要ではなく、それは特定のシナリオ(例えば、ビデオ画像の品質が比較的高い場合)では省略することができる。
計算された灌流パラメータは異なる方法で表示されてもよい。例えば、各灌流パラメータに係る単一の(静的な)パラメータ画像を、それが関心対象画素のすべてについて計算された後すぐに生成することについて、いかなるさまたげも存在しない。
しきい値は、複数の異なる値に設定されてもよく、または、(例えば、流入レートの推定最大値に応じて)動的に決定されてもよい。いずれの場合でも、この機能は厳密には必要ではなく、それは提案されたソリューションの簡略化された実装では省略されてもよい(この場合、対応する重要性のアセスメントをオペレータにさせるように、すべての流入レートが、それらの値に関係なく、動的パラメータ画像に含まれる)。
得られた結果を表示する方法の選択も、オペレータの好みに任せられてもよい。例えば、重畳画像のみを(つまり、マスクされたビデオ画像と合成することなく)表示すること、動的パラメータ画像のみを(すなわち、フィルタリングされた画像と合成することなしに)表示すること、(改善されたコントラストのために関心対象領域において黒背景上に灌流パラメータを表示するために)マスクされたビデオ画像と合成された動的パラメータ画像を表示すること、などが可能である。また、フィルタリングされた画像は、エコー信号から直接得られる基本的なBモード画像のような、(元の)コントラスト特異ではない画像と合成されてもよい。
当然、フィルタリングされた信号のモニタリングは、所望の灌流パラメータを計算するために必要な瞬間(たとえば、流入レートのピークの瞬間に加えて、到着の瞬間のみ)の検出に限定されてもよい。また、流出レートの計算は、他の瞬間、すなわち、フィルタリングされた信号がピーク値(例えば、その値の40〜60%)の別の割合に到達したときの瞬間の検出に基づいてもよい。
提案されたソリューションの別の用途では、提案する灌流パラメータのうちの一部のみ、場合によっては1つのみ(すなわち、流入レートのみ、流出レートのみ、又は、流入レート及び流出レートの積のみ)を計算することができる。より一般的に、他の任意の追加および/または代替の灌流パラメータ(例えば、血液量、平均速度、最大強度、ピークまでの時間、流入時間、到達時間、ピーク値の平方根を流入継続時間の二乗で割った値、など)を計算することについて、いかなるさまたげも存在しない。
造影剤を単一のボーラスとして注入して、人体部分の複数の領域に提案されたソリューションを適用することは、複数の異なる方法で(例えば、半ピークの検出後のみにフラッシュを適用することによって)実施可能である。いずれの場合でも、この機能は、(通常は解析処理全体の間に実行される単一の検査を用いた)単なるオプションである。
提案されたソリューションは、それ自体、(同様のステップを使用して、非必須であるいくつかのステップを削除して、または、さらにオプションのステップを追加することで)等価な方法で実施することに適している。また、これらのステップは、異なる順序で、又は同時に、又は(少なくとも部分的に)インターリーブされた方法で、実行されてもよい。
このソリューションは、超音波スキャナの既存の制御プログラムのプラグインとして実装されてもよく、このとき、同じ制御プログラム内に直接実装されてもよく、またはスタンドアロンアプリケーション(別個のコンピュータ上で実行されていてもよく、またはネットワークサービスとして提供されていてもよい)として実装されてもよい。(本発明の各実施形態を実施するために使用される)プログラムが別の方法で構造化されている場合、または追加のモジュールや機能が用意されている場合にも、同様の考察が適用される。同様に、メモリ構造は、他のタイプであってもよく、または同等のエンティティ(必ずしも物理的な記憶媒体で構成されていない)で置き換えられてもよい。いずれの場合でも、プログラムは、任意のデータ処理システムによって、またはそれに接続して(たとえば、仮想マシン内で)使用することに適した任意の形態を取ることができる。特に、プログラムは外部または常駐ソフトウェア、ファームウェア、またはマイクロコードの形態(オブジェクトコードであるか、または例えばコンパイルまたは解釈されるソースコードであるかのいずれかの形態)であってもよい。また、任意のコンピュータ使用可能な媒体であって、プログラムを格納、記憶、通信、伝播、または転送するのに適した任意の構成要素であってもよい媒体上でプログラムを提供することができる。例えば、媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体型のものであってもよい。このような媒体の例は、固定ディスク(プログラムを事前ロードできる場所)、リムーバブルディスク、テープ、カード、有線、ファイバー、無線接続、ネットワーク、放送波、などである。いずれの場合でも、本発明の実施形態に係るソリューションは、さらにハードウェアの構造(例えば、半導体材料のチップに統合された)を用いて、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実装することに適している。
上記の解決策、ならびにそれらの任意の変更は、有利に、従来の診断方法に使用することができる。診断方法は、通常、人体部分に造影剤を投与することと、提案された動作の実行のための人体部分からの入力信号を取得することとを含む。前述のように、造影剤の投与は一般的には静脈内に行われ、好ましくはボーラスの注入として行われる。また、入力信号の取得は、(所定の中心送信周波数のパルス超音波を発生させる超音波スキャナによって)人体部分に超音波を放射し、人体部分から発信されるエコー信号を受信し、それらを、当該人体部分を表す画像を生成するように処理することによって行なうこともできる。診断方法はまた、少なくとも1つの破壊パルスを人体部分に印加して、そこにおける造影剤の実質的な破壊を引き起こすさらなるステップを含んでもよい。一般的に、破壊パルスを印加することの各ステップの後には、人体部分に超音波を放射し、対応するエコー信号を受信し、それらを上述のように処理する一連の各ステップが続く。