JP2016024085A - シリコンドリフト検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電荷の不完全収集が抑制されたシリコンドリフト検出器を提供する。
【解決手段】試料から放射されるX線を検出するX線検出器であって、X線が入射される入射面を有するシリコン半導体層と、入射面に配置され、シリコン半導体層とショットキー接合を形成する入射面電極とを備え、入射面電極を透過してシリコン半導体層に入射したX線を検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料から放出されるX線を検出するシリコンドリフト検出器に関する。
物質から放出される物質固有のX線などの放射線を分析するために、放射線を検出する放射線検出装置が使用されている。放射線検出装置は、放射線のエネルギーを電気信号に変える変換素子などの放射線検出器を備える。
X線を検出するX線検出器には、例えば、Si単結晶にリチウム(Li)を拡散・ドリフトさせて形成したP―I―N接合を有するPIN型のシリコン半導体検出器などが採用されてきた。更に、上記のシリコン半導体検出器よりも高計数での処理が可能なシリコンドリフト検出器(SDD)が、近年使用されてきている。
シリコンドリフト検出器には、シリコン基板のX線の入射面に薄いP+型シリコン層を形成した構造などが採用されている。即ち、このP+型シリコン層をバイアス印加用カソード電極とし、入射面に対向する裏面に電荷収集用のアノード電極としてN+型シリコン層を形成する。そして、P+型シリコン層とN+型シリコン層間に逆バイアスを印可して空乏層を形成し、X線を検知する有感領域としている(例えば、非特許文献1参照。)。
"AMPTEK SILICON DRIFT DETECTORS: Application Note AN-SDD-003"、[online]、Amptek 社、[平成26年6月18日検索]、インターネット<URL:http://www.amptek.com/silicon-drift-detector-application-note/>
上記のシリコンドリフト検出器では、P+型シリコン層の不純物濃度がシリコン基板の不純物濃度に比べて高いために、キャリアのライフタイムが短い。このため、X線入射によってP+型シリコン層に発生した電荷の一部が収集される前に消滅し、電荷の不完全収集が起こる。その結果、分析結果の精度が低下するという問題があった。
上記問題点に鑑み、本発明は、電荷の不完全収集が抑制されたシリコンドリフト検出器を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、試料から放射されるX線を検出するX線検出器であって、X線が入射される入射面を有するシリコン半導体層と、入射面に配置され、シリコン半導体層とショットキー接合を形成する入射面電極とを備え、入射面電極を透過してシリコン半導体層に入射したX線を検出するシリコンドリフト検出器が提供される。
本発明によれば、電荷の不完全収集が抑制されたシリコンドリフト検出器を提供できる。
本発明の実施形態に係るシリコンドリフト検出器の構造を示す模式的な断面図である。 本発明の実施形態に係るシリコンドリフト検出器の構造を示す模式的な平面図である。 本発明の実施形態に係るシリコンドリフト検出器に接続される初段FET回路の例を示す模式図である。 比較例のシリコンドリフト検出器の構造を示す模式図である。 比較例のシリコンドリフト検出器を用いて得られるスペクトル特性の例を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るシリコンドリフト検出器の動作を説明するための模式図である。 本発明の実施形態に係るシリコンドリフト検出器を用いて得られるスペクトル特性の例を示すグラフである。 比較例のシリコンドリフト検出器を用いて得られるスペクトル特性のばらつきを示すグラフである。 本発明の実施形態に係るシリコンドリフト検出器の他の構造を示す模式的な断面図である。 ガードリング領域の効果を示すグラフである。 分解能とシェイピング時間との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係るシリコンドリフト検出器を用いたX線分析装置の構成例を示す模式図である。
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。
又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
本発明の実施形態に係るシリコンドリフト検出器1は、図1に示すように、試料(図示略)からの蛍光X線が入射される入射面11を有するN-型のシリコン半導体層10と、入射面11に配置され、シリコン半導体層10とショットキー接合を形成する入射面電極20とを備える。シリコンドリフト検出器1は、分析対象の試料から放射される蛍光X線(以下において、「入射X線L1」という。)を検出するX線検出器である。シリコンドリフト検出器1は、入射面11に対向するシリコン半導体層10の裏面12に配置されたP型半導体領域のドリフト電極30及びN+型半導体領域の収集電極40を更に備える。ドリフト電極30及び収集電極40は、例えば不純物拡散などにより形成される。シリコンドリフト検出器1は、入射面電極20を透過して入射面11からシリコン半導体層10に入射した入射X線L1を検出し、入射X線L1のエネルギーを以下のように電気信号に変換する。
内部に空乏層領域が形成された状態でシリコン半導体層10に入射面11から入射X線L1が入射すると、シリコン半導体層10の空乏層領域内に電荷が発生する。ドリフト電極30は、シリコン半導体層10で発生した電荷を裏面12の中心領域に移動させるドリフト電場を、入射面電極20と共にシリコン半導体層10の内部に発生させる。
図1、図2に示したように、シリコンドリフト検出器1のドリフト電極30は、互いに離間して多重に配置された複数の環形状電極31、32、・・・、3nを有する(n:2以上の整数。)。このように同心円状に配置された環形状電極31、32、・・・、3nを、内側から外側に向かって徐々に電位が下降するように構成する。なお、図1は、図2のI−I方向に沿った断面図である。
例えば、最外側の環形状電極3nと最内側の環形状電極31間に所定の電圧(以下において「ドリフト電圧」という。)を印可する。そして、入射面電極20の電位を最外側の環形状電極3nと同程度に設定する。これにより生じたドリフト電場によって、シリコン半導体層10で発生した電荷は最内側の環形状電極31に向けて移動する。なお、この電位差は、シリコン半導体層10の内部が略完全に空乏層領域となるように設定される。
環形状電極3nと環形状電極31間のドリフト電圧を環形状電極31、32、・・・、3nによって分圧して所望のドリフト電場を形成するように、環形状電極31、32、・・・、3nの間隔は適宜設定される。なお、環形状電極31、32、・・・、3n間で所定の電位差を実現するために、環形状電極31、32、・・・、3n間にそれぞれ抵抗を配置してもよい。
収集電極40は、ドリフト電極30が配置された領域の内側の領域でシリコン半導体層10の裏面12に配置される。そして、ドリフト電場によって裏面12の中心領域に移動した電荷は、収集電極40に収集される。図1、図2に示したシリコンドリフト検出器1では、複数の環形状電極31、32、・・・、3nが同心円状に配置されたドリフト電極30の中心に、収集電極40が配置されている。
上記のように、シリコンドリフト検出器1では、入射面電極20はカソード電極として、収集電極40はアノード電極として機能する。入射面11からシリコン半導体層10に入射X線L1が入射すると、シリコン半導体層10内に形成した空乏層領域で電荷が発生する。この電荷はドリフト電極30により発生されたドリフト電場によってシリコン半導体層10内を移動し、収集電極40で収集される。
前述したように、ドリフト電圧は、入射面11と裏面12間の略全域でシリコン半導体層10の内部が空乏層領域になるように設定される。このため、シリコン半導体層10が膜厚500μm程度のシリコン層である場合には、ドリフト電圧は150V程度に設定される。例えば、入射面電極20及びドリフト電極30の最外側の環形状電極3nに−150Vを印加し、ドリフト電極30の最内側の環形状電極31を−5Vに設定する。
入射X線L1によってシリコンドリフト検出器1で発生し収集電極40に収集された電荷は、初段FET回路2に入力される。具体的には、初段FET回路2の制御電極、即ち電界効果トランジスタ(FET)のゲート電極に、収集電極40が電気的に接続される。このようにして、収集電極40に収集された電荷は初段FET回路2の制御電極に入力される。初段FET回路2は、シリコンドリフト検出器1で発生した電荷による電流パルスを入射X線L1のエネルギーに比例した電圧に変換・増幅し、検出信号STとして出力する。
例えば図3に示すように、シリコンドリフト検出器1で発生した電荷による電気信号Isが、初段FET回路2のFETのゲート電極に入力される。そして、初段FET回路2によって、電気信号Isは入射X線L1のエネルギーに比例した電圧に変換・増幅され、検出信号STとして出力される。初段FET回路2から出力された検出信号STを解析することにより、試料に含まれる元素を分析可能である。
以下に、図1に示したシリコンドリフト検出器1と、P+型薄膜をN型半導体上に配置した構成の図4に示す比較例のシリコンドリフト検出器1Aとを比較する。
先ず、比較例のシリコンドリフト検出器1Aについて説明する。シリコンドリフト検出器1Aでは、カソード電極としてP型半導体のP+型薄膜21がN型半導体のシリコン半導体層10の入射面に配置されている。X線検出時には、シリコン半導体層10の裏面に配置されたアノード電極(図示略)とP+型薄膜21間に逆バイアスを印可する。これにより、P+型薄膜21とシリコン半導体層10との界面近傍には、図4に示すように界面を挟んで一定の領域に空乏層領域23Aが形成される。
したがって、P+型薄膜21のシリコン半導体層10と対向する裏面212の近傍には、電荷を移動させる電界がP+型薄膜21内の空乏層領域23Aに生じている。一方、裏面212に対向する表面211の近傍には、電界の発生しない領域(以下において、「弱電界領域210」という。)がP+型薄膜21内に存在する。
シリコン半導体層10に到達した入射X線L11によってシリコン半導体層10中に発生した電荷は、完全収集される。ここで、「完全収集」とは、発生した電荷のすべてがX線検出器によって収集されることをいう。
一方、入射X線L12によってP+型薄膜21内で発生した電荷のうち、裏面212の近傍で発生した電荷は、空乏層領域23Aに発生した電界によって移動し、シリコンドリフト検出器1Aにより収集される。しかし、弱電界領域210に発生した電荷は拡散でのみ移動し、電界によって移動する電荷に比べて移動に時間がかかる。また、P+型薄膜21の不純物濃度がシリコン半導体層10の不純物濃度に比べて高いために、電荷のライフタイムが短い。このため、弱電界領域210に発生した電荷は、収集される前にP+型薄膜21内で消滅する。発生した電荷の一部が収集されないことを「不完全収集」という。以下において、電荷の不完全収集を生じさせる領域を、「不完全収集領域」という。即ち、軽元素からの蛍光X線が主に吸収される表面近傍の弱電界領域210は、不完全収集領域である。
電荷の不完全収集の生じた信号を分析に用いた場合には、分析結果の精度が低下する。例えば、シリコンドリフト検出器1Aの検出結果から得られる蛍光X線のスペクトル特性に、不完全収集領域の信号により軽元素側の低いエネルギーにおいてバックグランド上昇などが生じる。その結果、図5に実線で示したスペクトル特性S1のように、バックグランド上昇(B)による低エネルギー側でテールが発生し、分析結果に誤差を生じる。比較のため、不完全収集の生じなかった場合のスペクトル特性S0を、図5に破線で示した。なお、図5に示したスペクトル特性は、X線検出器を用いて検出された電荷の個数をエネルギーの大きさ毎に集計した結果を示し、縦軸が集計されたカウント数、横軸がエネルギーである(以下において同様。)。
一方、図1に示したシリコンドリフト検出器1では、不完全収集領域である弱電界領域210を生じさせるP+型薄膜ではなく、シリコン半導体層10とショットキー接合を形成する入射面電極20が入射面11に配置されている。シリコンドリフト検出器1では、ショットキー接合の形成によって、入射面電極20とシリコン半導体層10との金属半導体界面からシリコン半導体層側に図6に示すように空乏層領域23が広がる。シリコン半導体層10内の空乏層領域23で発生した電荷は完全収集される。金属膜である入射面電極20では、分析対象の電荷発生がない。このように、比較例のシリコンドリフト検出器1Aとは異なり、弱電界領域はシリコンドリフト検出器1では発生しない。即ち、シリコンドリフト検出器1には不完全収集領域がなく、不完全収集を考慮する必要がない。
したがって、シリコンドリフト検出器1を使用した分析では、図7に示したスペクトル特性のように低エネルギー側でテールは発生しない。これに対し、P+型薄膜21をシリコン半導体層10に配置した構成の比較例のシリコンドリフト検出器1Aを使用した分析では、図8に示したようにスペクトル特性に低エネルギー側でテールが発生する。更に、収集されない電荷量が一定ではないため、図8に破線で囲んだように、テールを生じさせるバックグランド上昇の大きさにばらつきが生じる。
以上に説明したように、シリコンドリフト検出器1では、シリコン半導体層10の入射面11に、シリコン半導体層10とショットキー接合を形成する入射面電極20が配置される。このため、不完全収集領域が形成されない。つまり、シリコンドリフト検出器1では不完全収集の発生が抑制され、電荷の完全収集に対する不完全収集の割合が改善される。
したがって、シリコンドリフト検出器1によれば、電荷の不完全収集が抑制されたシリコンドリフト検出器を実現できる。その結果、X線スペクトルの軽元素側のテールの発生などが抑制され、分析精度が向上する。
例えば、厚み500μm程度のN型半導体のシリコン半導体層10の入射面11に、入射面電極20として膜厚10nm程度のニッケル(Ni)膜を形成して、シリコンドリフト検出器1を実現できる。或いは、Ni膜の代わりにパラジウム(Pd)膜や白金(Pt)膜を使用してもよい。
ところで、入射面電極20とシリコン半導体層10とでショットキー接合を形成することにより、P+型薄膜21をシリコン半導体層10上に配置した場合と比べて、シリコンドリフト検出器1のブレークダウン電圧が低下することが考えられる。即ち、ショットキー接合を形成する金属膜の端部で電界集中が生じ、リーク電流が流れる。初段FET回路2のFETのゲート電極にリーク電流が流れ込むことにより、シリコンドリフト検出器1の分解能が低下する問題が生じる。ショットキー接合のブレークダウン電圧は、通常、数V程度である。
しかし、半導体層の金属膜の端部と接する領域に半導体層と反対の導電型のガードリング領域を形成することによって、ブレークダウン電圧を向上できる。例えば、N型のシリコン半導体層10にP型のガードリング領域を形成することによって、分解能の劣化を抑制できる。
したがって、シリコンドリフト検出器1について、図9に示すように、ショットキー接合が形成される入射面電極20の端部と接触する領域において、N型のシリコン半導体層10の上部の一部にP型のガードリング領域15を形成することが好ましい。ガードリング領域15を配置することにより、入射面電極20の端部での電界集中が緩和され、リーク電流が抑制される。これにより、分解能の低下が抑制される。図9に示した構造において、入射面電極20の周囲でシリコン半導体層10上に配置されて入射面を保護する絶縁膜50には酸化シリコン膜などを使用可能である。
図10に、N型不純物濃度が2.5×1016cm-3のシリコン半導体層にP型不純物濃度が5×1018cm-3程度のガードリング領域を形成したときの、ショットキー接合の電圧Vとリーク電流Iとの関係を示す。ガードリング領域を形成することにより、ブレークダウン電圧が30V程度に向上する。発明者らの検討によれば、電気抵抗率1kΩcm(N型不純物濃度:4×1012cm-3)のシリコン半導体層10の場合には、ブレークダウン電圧は数百V程度になると予測される。
上記のように、ガードリング領域15を形成することにより、シリコンドリフト検出器1のブレークダウン電圧を向上し、リーク電流を低減することができる。所望のブレークダウン電圧やシリコン半導体層10の不純物濃度などに応じて、ガードリング領域15の不純物濃度や形状などが適宜設定される。
更に、本発明者らが検討を重ねた結果、リーク電流による分解能の低下を補うために、シェイピング時間(波形成形時間:Shaping time)を最適化することが有効であるという知見が得られた。以下に、シェイピング時間の最適化について説明する。
シリコンドリフト検出器1の分解能RESは、シェイピング時間τ、及び係数A1〜A3を用いて、以下の式(1)で表される:

(RES)2=A1×F1×τ+A2×F2+A3×F3/τ+R2 ・・・(1)

式(1)の右辺第1項は、シリコンドリフト検出器1に発生するリーク電流に起因する並列白色雑音に依存する値を示し、シェイピング時間τに比例する。F1は、電荷量q及び初段FET回路2のFETのゲート電極に流れるリーク電流の値ILを用いて、式(2)で表される:

F1=(2×q)×IL ・・・(2)

式(1)の右辺第2項は、シリコンドリフト検出器1が搭載されるマウント材の誘電損失による1/f雑音に依存する値を示す。1/f雑音は、シェイピング時間τに依存しない。F2は、マウント材固有のHf1、初段FET回路2のFETのゲート電極に接続するすべての容量の合計容量値Cを用いて、式(3)で表される:

F2=Hf1×C ・・・(3)

式(1)の右辺第3項は、シリコンドリフト検出器1でのキャリア再結合のランダム性によるショット雑音に依存する値を示し、シェイピング時間τに反比例する。F3は、初段FET回路2のFETの相互コンダクタンスgmを用いて、式(4)で表される:

F3=2/3×4kT×C2/gm ・・・(4)

式(4)で、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。
式(1)の右辺第4項は、シリコン半導体層10内での電荷生成統計変動による広がりを示す。シリコン半導体の場合は、R=121eVである。
式(1)で表される分解能とシェイピング時間との関係を図11に示す。なお、使用した試料はマンガン(Mn)である。図11において、シリコンドリフト検出器1における式(1)の右辺第1項の値R1を破線、右辺第2項の値R2を一点鎖線、右辺第3項の値R3を二点鎖線、右辺第4項の値R2を点線で示した。また、シリコンドリフト検出器1における(RES)2の値R0を実線で示した。
一方、図11において、図4に示した比較例のシリコンドリフト検出器1Aにおける式(1)の右辺第1項の値Ra1を破線で、(RES)2の値Ra0を実線で示した。なお、図11ではシリコンドリフト検出器1の値を太線で示し、シリコンドリフト検出器1Aの値を細線で示して、両者を区別している。また、目安として、「160eV」、「180eV」、「200eV」の分解能の位置を図11に矢印で示した。
図11に示したように、PN接合を用いた比較例のシリコンドリフト検出器1Aでは、シェイピング時間τが10μSの場合に最小分解能が得られる。一方、ショットキー接合を形成するシリコンドリフト検出器1では、リーク電流が大きくなるために分解能は低下する。しかし、シェイピング時間τを1.5μSにすることにより、分解能の低下を最小限にできる。
上記のように、シェイピング時間を最適化することにより、シリコンドリフト検出器1ではリーク電流による分解能の低下を抑制することができる。
図1に示したシリコンドリフト検出器1は、例えば図12に示すX線分析装置100などに使用される。X線分析装置100は、励起X線L0を出射するX線管110、励起X線L0を照射された試料200から放出される蛍光X線が入射X線L1として入射するシリコンドリフト検出器1、シリコンドリフト検出器1で発生した電荷から検出信号STを出力する初段FET回路2、及び、シリコンドリフト検出器1により検出されたX線を分析する信号分析装置130を備える。
シリコンドリフト検出器1は、例えばCANタイプのパッケージに搭載可能である。シリコンドリフト検出器1と初段FET回路2はマウントボート3に隣接して配置され、容器5に格納される。マウントボート3に配設された図示を省略した配線によって、シリコンドリフト検出器1の収集電極40と初段FET回路2の制御電極は接続されている。マウントボート3の裏面には、シリコンドリフト検出器1や初段FET回路2を冷却するための冷却装置4が配置されている。
なお、シリコンドリフト検出器1では、ペルチェ素子などを冷却装置4として使用可能である。即ち、電子冷却を行うだけで、冷却に液体窒素を用いるPIN型のX線検出器と同等のエネルギー分解能が得られる。したがって、シリコンドリフト検出器1を使用したX線分析装置は小型且つ軽量である。
試料200から放出された入射X線L1は、容器5に設置された入射窓51を透過して、入射X線L1としてシリコンドリフト検出器1に入射する。入射窓51は、例えばベリリウム(Be)材からなる。
初段FET回路2から出力される、入射X線L1のエネルギーに比例した大きさを示す検出信号STは、例えば図示を省略したプリアンプによって増幅されるなどして、信号分析装置130に入力される。入射X線L1は、試料200に含まれる元素固有のエネルギーを有する。このため、検出信号STを信号分析装置130によって分析することによって、試料200に含まれる元素、及びその元素の含有量などの元素情報が得られる。例えば、信号分析装置130によって入射X線L1のスペクトルが生成される。
なお、X線検出時の容器5の内部は、真空状態に維持することが好ましい。容器5の内部を真空状態にすることによって、シリコンドリフト検出器1を冷却しやすくなり、分解能が向上する。また、軽元素のX線が大気で吸収されることがなくなり、分析結果の精度低下が抑制される。
図12に示したX線分析装置100によれば、X線検出器にシリコンドリフト検出器1を使用することにより、電荷の不完全収集が抑制された、精度の高い分析を実行することができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
上記では、シリコンドリフト検出器1の外部に初段FET回路2が配置される例を示した。しかし、初段FET回路2をシリコン半導体層10に形成してもよい。即ち、初段FET回路2のFETを、収集電極40が配置された領域の内側でシリコン半導体層10の裏面12に形成する。例えば、同心円状に配置されたドリフト電極30の中心にリング形状の収集電極40を配置し、この収集電極40の内側にFETを形成する。
このように収集電極40と初段FET回路2とを近接して配置することによって、収集電極40と初段FET回路2間の静電容量が減衰する。これにより、電気ノイズが減少し、シリコンドリフト検出器1の分解能を向上することができる。
また、上記ではN型のシリコン半導体層10上に入射面電極20を配置する例を示したが、P型のシリコン半導体層10を使用してもよい。即ち、P型半導体とショットキー接合を形成する金属膜を入射面電極20に使用し、この入射面電極20をP型のシリコン半導体層10上に配置してもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…シリコンドリフト検出器
2…初段FET回路
3…マウントボート
4…冷却装置
5…容器
10…シリコン半導体層
11…入射面
15…ガードリング領域
20…入射面電極
30…ドリフト電極
40…収集電極
100…X線分析装置
110…X線管
130…信号分析装置
200…試料

Claims (5)

  1. 試料から放射されるX線を検出するX線検出器であって、
    前記X線が入射される入射面を有するシリコン半導体層と、
    前記入射面に配置され、前記シリコン半導体層とショットキー接合を形成する入射面電極と
    を備え、前記入射面電極を透過して前記シリコン半導体層に入射した前記X線を検出することを特徴とするシリコンドリフト検出器。
  2. 前記入射面電極の端部と接する領域において前記シリコン半導体層の上部の一部に形成された、前記シリコン半導体層と反対の導電型のガードリング領域を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシリコンドリフト検出器。
  3. 前記入射面に対向する前記シリコン半導体層の裏面に配置され、前記X線が入射することによって前記シリコン半導体層で発生した電荷を前記裏面の中心領域に移動させるドリフト電場を、前記入射面電極と共に前記シリコン半導体層の内部に発生させるドリフト電極を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンドリフト検出器。
  4. 前記ドリフト電極が、内側から外側に向かって徐々に電位が上昇するように構成された、互いに離間して多重に配置された複数の環形状電極を有することを特徴とする請求項3に記載のシリコンドリフト検出器。
  5. 前記ドリフト電極が配置された領域の内側の領域で前記裏面に配置され、前記中心領域に移動した前記電荷を収集する収集電極を更に備えることを特徴とする請求項3又は4に記載のシリコンドリフト検出器。
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