JP2023019637A - 放射線検出素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射線検出の精度を安定させることが容易となる放射線検出素子の製造方法、及び放射線検出素子を提供する。【解決手段】放射線検出素子の製造方法では、導体基板を酸化させることにより、検出対象の放射線が入射する入射側に相当する位置にある入射面を覆う第1酸化膜を成長させ、前記第1酸化膜の、前記入射面の一部分を覆う部分を除去することにより、前記入射面の前記一部分を露出させ、前記入射面の前記一部分が露出した状態から、前記半導体基板を再度酸化させることにより、前記入射面を覆う第2酸化膜を、厚みが前記第1酸化膜の厚みよりも小さい所定の厚みになるように成長させる。【選択図】図7

Description

本発明は、放射線検出素子の製造方法、及び放射線検出素子に関する。
X線等の放射線を検出する放射線検出器には、半導体を用いた放射線検出素子を備えたものがある。半導体を用いた放射線検出素子は、平板状の半導体部を備える。放射線が入射する入射側には、ドーパントがドープされており半導体部とは異なる型の半導体でなるドーピング層が設けられている。ドーピング層を介して半導体部に電圧が印加され、半導体部の内部に電界が発生する。半導体部へ放射線が入射した場合、半導体部の内部に電荷が発生し、電荷は電界に従って集められ、電荷量に応じた信号が電極から出力され、放射線の検出が行われる。特許文献1には、ドーピング層を有する放射線検出素子の例が開示されている。
放射線検出素子の製造時には、半導体基板の両面に酸化膜を形成し、入射側の酸化膜の表面に沿った一部分をエッチングにより薄くし、薄くした酸化膜を介してドーパントのイオンを半導体基板へ注入する。ドーパントのイオンが注入された部分がドーピング層となり、他の部分が半導体部となる。例えば、半導体部はn型の半導体でなり、ドーピング層はp型の半導体でなる。
米国特許第6184562号明細書
放射線検出素子の入射側の酸化膜が厚い場合は、ドーパントの濃度が低くなり、ドーピング層の形成が不十分になる。ドーピング層の形成が不十分である場合は、放射線の検出が困難になる。酸化膜が薄い場合は、ドーピング層の厚みが大きくなる。ドーピング層の厚みが大きすぎる場合は、放射線によって発生した電荷がドーピング層に吸収される割合が増大し、放射線検出の精度が悪化する。このように、放射線検出素子の入射側の酸化膜の厚みは、ドーピング層の状態に影響し、ドーピング層の状態は、放射線検出の精度に影響する。エッチングにより酸化膜を薄くする方法では、酸化膜の厚みを正確に調整することが困難であり、酸化膜の厚みにはばらつきが生じる。このため、製造される放射線検出素子の放射線検出の精度を安定させることが困難である。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、放射線検出の精度を安定させることが容易となる放射線検出素子の製造方法、及び放射線検出素子を提供することにある。
本発明に係る放射線検出素子の製造方法は、放射線検出素子を製造する方法において、半導体基板を酸化させることにより、検出対象の放射線が入射する入射側に相当する位置にある入射面を覆う第1酸化膜を成長させ、前記第1酸化膜の、前記入射面の一部分を覆う部分を除去することにより、前記入射面の前記一部分を露出させ、前記入射面の前記一部分が露出した状態から、前記半導体基板を再度酸化させることにより、前記入射面を覆う第2酸化膜を、厚みが前記第1酸化膜の厚みよりも小さい所定の厚みになるように成長させることを特徴とする。
本発明の一形態においては、半導体基板の入射面を覆う第1酸化膜を成長させ、入射面に沿った第1酸化膜の一部分を除去して入射面の一部分を露出させ、入射面を覆う第2酸化膜を所定の厚みまで成長させる。半導体基板を酸化させて酸化膜を成長させる方法は、酸化膜をエッチングする従来の方法に比べて、酸化膜の厚みを正確に調整することができる。第2酸化膜の厚みは、製造される放射線検出素子による放射線検出の精度に影響する。第2酸化膜の厚みを正確に調整することができるので、放射線検出の精度を安定させることができる。
本発明に係る放射線検出素子の製造方法は、前記第2酸化膜の厚みが前記所定の厚みになっている状態で、前記半導体基板を構成する半導体を異なる型の半導体にするドーパントのイオンを、前記第2酸化膜を介して前記半導体基板へ注入することを特徴とする。
本発明の一形態においては、半導体基板の入射面を覆う第2酸化膜の厚みが所定の厚みになっている状態で、第2酸化膜を介してドーパントのイオンを半導体基板へ注入する。半導体基板のドーパントが注入された部分は、ドーピング層となる。ドーピング層の厚みの大きさは、第2酸化膜の厚みに応じた値となる。第2酸化膜の厚みが適切に調整されることにより、ドーピング層の厚みが適切に調整され、製造される放射線検出素子の放射線検出の精度が適切になる。
本発明に係る放射線検出素子の製造方法では、前記入射面の前記第1酸化膜で覆われていない部分を覆う前記第2酸化膜の厚みが、500オングストローム以上1100オングストローム以下になるように、前記第2酸化膜を成長させることを特徴とする。
本発明の一形態においては、半導体基板の入射面を覆う第2酸化膜の厚みは、500オングストローム以上1100オングストローム以下に調整される。第2酸化膜の厚みが500オングストローム未満である場合は、ドーピング層が厚くなり過ぎ、放射線検出の精度が悪化する。第2酸化膜の厚みが1100オングストロームを超過する場合は、ドーピング層中のドーパントの濃度が低すぎ、放射線の検出が困難になる。第2酸化膜の厚みが、500オングストローム以上1100オングストローム以下である場合は、放射線検出の精度が適切になる。
本発明に係る放射線検出素子の製造方法では、前記入射面の前記一部分は、前記放射線検出素子の、検出すべき放射線が入射する入射領域に対応する部分であることを特徴とする。
本発明の一形態においては、第2酸化膜は、放射線検出素子の入射領域に対応する部分を覆い、第2酸化膜を介して当該部分へドーパントのイオンが注入される。入射領域に、放射線を検出するための電圧が印加される電極が形成され、適切な精度での放射線検出が可能になる。
本発明に係る放射線検出素子の製造方法では、前記放射線検出素子は、シリコンドリフト型放射線検出素子であることを特徴とする。
本発明の一形態においては、放射線検出素子は、シリコンドリフト型放射線検出素子である。放射線検出素子は、高感度の放射線検出を可能にする。
本発明に係る放射線検出素子は、本発明に係る放射線検出素子の製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明の一形態においては、放射線検出素子は、本発明に係る製造方法により製造されているので、第2酸化膜の厚みが正確に調整されている。このため、放射線検出素子による放射線検出の精度は安定している。
本発明にあっては、半導体基板の入射面を覆う酸化膜の厚みを容易に調整することができる。このため、製造される放射線検出素子による放射線検出の精度を容易に安定させることができる等、本発明は優れた効果を奏する。
放射線検出素子の例を示す模式的断面図である。 放射線検出素子を用いる放射線検出装置の機能構成例を示すブロック図である。 放射線検出素子を備える放射線検出器の構成例を示す模式的断面図である。 従来の放射線検出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。 従来の放射線検出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。 酸化膜の薄膜部の厚みとP/T比との関係を示すグラフである。 本実施形態に係る放射線検出素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、放射線検出素子1の例を示す模式的断面図である。放射線検出素子1は、シリコンドリフト型放射線検出素子である。放射線検出素子1は、全体的に平板状である。放射線検出素子1は、Si(シリコン)からなる円板状の半導体部11を備えている。半導体部11の成分はn型のSiである。半導体部11は、第1面111と、第1面111の裏側に位置する第2面112とを有する。第2面112は、検出対象の放射線が入射する入射側に位置する面である。
第1面111の中央には、放射線検出時に信号を出力する電極である信号出力電極13が設けられている。信号出力電極13の成分は、半導体部11と同じ型のSiである。例えば、信号出力電極13の成分は、リン等の特定のドーパントがSiにドープされたn+Siである。また、第1面111には、多重のリング状になった複数の曲線状電極14が設けられている。曲線状電極14の成分は、半導体部11とは異なる型の半導体であり、ホウ素等の特定のドーパントがSiにドープされたp型のSiである。例えば、曲線状電極14の成分は、p+Siである。リング状に配置された複数の曲線状電極14はほぼ同心であり、複数の曲線状電極14のほぼ中心に信号出力電極13が位置している。即ち、複数の曲線状電極14は信号出力電極13を囲んでおり、信号出力電極13と夫々の曲線状電極14との間の距離は異なる。
図1には四つの曲線状電極14を示しているが、実際にはより多くの曲線状電極14が設けられている。なお、曲線状電極14の形状は円環が変形した形状であってもよく、多重の曲線状電極14は同心でなくともよい。また、信号出力電極13は、多重の曲線状電極14の中心以外の位置に配置されていてもよく、第1面111の中央以外の位置に配置されていてもよい。
複数の曲線状電極14の外側には、環状の防護電極141が設けられており、防護電極141の外側には、環状の接地電極142が設けられている。接地電極142は、接地電位に接続される。防護電極141の電位は浮遊電位である。防護電極141は、曲線状電極14と接地電極142との間の絶縁破壊を防止する。図1には、単一の防護電極141を示しているが、実際には、多重の環状になった複数の防護電極141が設けられている。
第1面111は、Siの酸化膜16で覆われている。信号出力電極13、曲線状電極14、防護電極141及び接地電極142は、酸化膜16を貫通した金属電極が連結されている。酸化膜16及び金属電極は、Siの酸化物又は窒化物でなる図示しない絶縁膜で覆われていてもよい。
第2面112には、電圧が印加される電極であるカウンター電極12が形成されている。カウンター電極12は、Siを半導体部11の成分とは異なる型の半導体にするドーパントがドープされている。カウンター電極12の成分は、ホウ素等の特定のドーパントがSiにドープされたp型のSiであり、例えば、p+Siである。第2面112の中央を含む第2面112の一部分は、検出すべき放射線が入射する入射領域113として設定されている。カウンター電極12は、第2面112の中央を含む大半の領域に形成され、入射領域113の全体に設けられている。
カウンター電極12の外側には、環状の防護電極121が設けられている。防護電極121の電位は浮遊電位である。図1には、単一の防護電極121を示しているが、実際には、多重の環状になった複数の防護電極121が設けられている。防護電極121は、半導体部11の縁とカウンター電極12との間の絶縁破壊を防止する。なお、放射線検出素子1は、第1面111側に接地電極142を備えておらず、第2面112側に接地電極を備える形態であってもよい。即ち、接地電極142が設けられておらず、防護電極121の外側に接地電極が設けられていてもよい。この形態では、防護電極121は、カウンター電極12と接地電極との間の絶縁破壊を防止する。放射線検出素子1は、第1面111側及び第2面112側の両方に接地電極を備える形態であってもよい。
第2面112は、Siの酸化膜15で覆われている。カウンター電極12及び防護電極121は、酸化膜15を貫通した金属電極が連結されている。酸化膜15のカウンター電極12を覆う部分は、図示しない金属膜で覆われていてもよい。
複数の曲線状電極14は、最も内側の曲線状電極14の電位が最も高く、最も外側の曲線状電極14の電位が最も低くなるように、電圧を印加される。また、放射線検出素子1は、信号出力電極13からの距離が互いに異なり隣接する曲線状電極14の間に、所定の電気抵抗が発生するように構成されている。例えば、隣接する曲線状電極14の間に位置する部分の成分を調整することで、二つの曲線状電極14が接続される電気抵抗チャネルが形成されている。即ち、複数の曲線状電極14は、電気抵抗を介して数珠つなぎに接続されている。電圧が印加されることによって、夫々の曲線状電極14は、外側の曲線状電極14から内側の曲線状電極14に向けて順々に単調に増加する電位を有する。即ち、曲線状電極14の電位は、信号出力電極13に遠い曲線状電極14から信号出力電極13に近い曲線状電極14へ向けて順々に増加する。なお、複数の曲線状電極14の中に、電位が同じ隣接する一対の曲線状電極14が含まれていてもよい。
複数の曲線状電極14の電位によって、半導体部11内には、段階的に信号出力電極13に近いほど電位が高く信号出力電極13から遠いほど電位が低くなる電界(電位勾配)が生成される。また、カウンター電極12は、カウンター電極12の電位が最も内側の曲線状電極14と最も外側の曲線状電極14との間の電位になるように、電圧が印加される。このように、半導体部11の内部には、信号出力電極13に近づくほど電位が高くなる電界が生成される。カウンター電極12は入射領域113の全体に設けられているので、半導体部11内の、入射領域113を通って放射線が入射する範囲には、電界が生成される。
X線、光子一般(UV及び可視光を含む)、電子線又は他の荷電粒子線等の放射線は、放射線検出素子1へ入射する。放射線は、主に第2面112の入射領域113を通って、半導体部11内へ入射する。半導体部11内で吸収された放射線のエネルギーに応じた量の電荷が、半導体部11内に発生する。発生する電荷は電子及び正孔である。発生した電荷は、半導体部11の内部の電界によって移動し、一方の種類の電荷は、信号出力電極13へ集中して流入する。本実施形態では、放射線の入射によって発生した電子が移動し、信号出力電極13へ流入する。信号出力電極13へ流入した電荷は電流信号となって出力される。電界の作用によって、高感度の放射線検出が可能になっている。
図2は、放射線検出素子1を用いる放射線検出装置100の機能構成例を示すブロック図である。放射線検出装置100は、例えば蛍光X線分析装置である。放射線検出装置100は、試料6に電子線又はX線等の放射線を照射する照射部4と、試料6が載置される試料台5と、放射線検出器2とを備えている。放射線検出器2には、放射線検出素子1及びプリアンプ21が含まれている。プリアンプ21は、放射線検出素子1の信号出力電極13に接続されている。信号出力電極13が出力した信号はプリアンプ21へ入力される。プリアンプ21は、電流信号を電圧信号へ変換する。プリアンプ21は、放射線のエネルギーに応じた強度の信号を出力する。なお、プリアンプ21は、一部が放射線検出器2の内部に含まれており、他の部分が放射線検出器2の外部に配置されていてもよい。
照射部4から試料6へ放射線が照射され、試料6では蛍光X線等の放射線が発生し、放射線検出器2は試料6から発生した放射線を検出する。図中には、放射線を矢印で示している。放射線検出器2は、検出した放射線のエネルギーに比例した信号を出力する。なお、放射線検出装置100は、試料台5に載置させる方法以外の方法で試料6を保持する形態であってもよい。
放射線検出器2には、電圧印加部31と、出力した信号を処理する信号処理部32とが接続されている。電圧印加部31は放射線検出素子1に接続されている。電圧印加部31は曲線状電極14及びカウンター電極12に電圧を印加する。信号処理部32はプリアンプ21に接続されている。プリアンプ21が信号を出力することにより、放射線検出器2は、放射線のエネルギーに応じた強度の信号を出力する。信号処理部32は、放射線検出器2が出力した信号を受け付け、信号の強度を検出することにより、放射線検出器2が検出した放射線のエネルギーに対応する信号値を検出する。信号処理部32には、分析部34が接続されている。分析部34は、演算を行う演算部及びデータを記憶するメモリを含んで構成されている。電圧印加部31、信号処理部32、分析部34及び照射部4は、制御部33に接続されている。制御部33は、電圧印加部31、信号処理部32、分析部34及び照射部4の動作を制御する。
信号処理部32は、検出した信号値を示すデータを分析部34へ出力する。分析部34は、信号処理部32からのデータに基づいて、各値の信号をカウントし、放射線のエネルギーとカウント数との関係、即ち放射線のスペクトルを生成する処理を行う。信号処理部32が放射線のスペクトルを生成してもよい。分析部34は、スペクトルに基づいて、試料6に含まれる元素の定性分析又は定量分析を行う。分析部34には、液晶ディスプレイ等の表示部35が接続されている。表示部35は、分析部34が生成したスペクトル、及び分析部34による分析結果を表示する。制御部33は、使用者の操作を受け付け、受け付けた操作に応じて放射線検出装置100の各部を制御する構成であってもよい。また、制御部33及び分析部34は同一のコンピュータで構成されていてもよい。
図2に示した例では、放射線を試料6へ照射し、試料6から発生した放射線を検出する形態を示したが、放射線検出装置100は、試料6を透過又は試料6で反射した放射線を検出する形態であってもよい。放射線検出装置100は、放射線の方向を変更することにより試料を放射線で走査する形態であってもよい。放射線検出装置100は、照射部4、分析部34、又は表示部35を備えていない形態であってもよい。
図3は、放射線検出素子1を備える放射線検出器2の構成例を示す模式的断面図である。放射線検出器2は、SDD(Silicon Drift Detector)である。放射線検出器2は、円筒の一端に切頭錐体が連結した形状のハウジング25を備えている。ハウジング25は、板状の底板部にキャップ状のカバーが被さって構成されている。ハウジング25の先端には、放射線を透過させる窓材でなる窓26が設けられている。ハウジング25の内側には、放射線検出素子1、コリメータ22、基板23、冷却部28、及びコールドフィンガ24が配置されている。ハウジング25は、放射線検出素子1、コリメータ22、基板23及び冷却部28を収容している。冷却部28は例えばペルチェ素子である。
放射線検出素子1は、基板23の表面に実装されており、窓26に対向する位置に配置されている。放射線検出素子1は、第1面111が基板23に対向し、第2面112が窓26に対向するように配置されている。コリメータ22は、両端が開口した筒状であり、放射線を遮蔽する材料で構成されている。コリメータ22は、放射線検出素子1と窓26との間に配置されている。コリメータ22の一端は窓26に対向しており、他端は放射線検出素子1の表面に対向している。主に窓26を透過して放射線がハウジング25の内側へ入射し、コリメータ22は、放射線の一部を遮蔽する。第2面112の中で入射領域113以外の部分は、放射線を遮蔽するコリメータ22が被さっており、放射線は入射されない。入射領域113は、コリメータ22が被さっておらず、放射線が入射される。放射線検出素子1は、コリメータ22で遮蔽されずに入射した放射線を検出する。
基板23には、配線が形成され、プリアンプ21が実装されている。図3では、プリアンプ21を省略している。基板23は、直接に又は介在物を介して、冷却部28の吸熱部分に熱的に接触している。冷却部28の放熱部分はコールドフィンガ24に熱的に接触している。コールドフィンガ24は、冷却部28の放熱部分が熱的に接触する平板状の部分と、ハウジング25の底板部を貫通している部分とを有している。放射線検出素子1の熱は、基板23を通じて冷却部28に吸熱され、冷却部28からコールドフィンガ24へ伝わり、コールドフィンガ24を通じて放射線検出器2の外部へ放熱される。
なお、放射線検出器2は、コールドフィンガ24を備えていなくてもよく、冷却部28の放熱部分はハウジング25の底板部に熱的に接触していてもよい。放射線検出器2は、冷却部28を備えていない形態であってもよい。或は、放射線検出器2は、窓材でなる窓26を有しておらず、ハウジング25の窓26に相当する部分が開口している形態であってもよい。
放射線検出器2は、ハウジング25の底板部を貫通した複数のリードピン27を備えている。リードピン27は、ワイヤボンディング等の方法で基板23に接続されている。電圧印加部31による放射線検出素子1への電圧の印加と、プリアンプ21からの信号の出力とはリードピン27を通じて行われる。なお、放射線検出器2は、その他の構成物を更に備えていてもよい。
次に、放射線検出素子1の製造方法を説明する。図4及び図5は、従来の放射線検出素子1の製造方法を説明するための模式的断面図である。図4Aに示すように、放射線検出素子1は、板状の半導体基板10から製造される。半導体基板10の成分はn型のSiである。図4Bに示すように、入射面101を覆う酸化膜15と、電極面102を覆う酸化膜16とが形成される。酸化膜15及び16は、半導体基板10の熱酸化によって成長させられることにより、形成される。酸化膜15の厚みは約2000オングストロームである。従来の放射線検出素子1の製造方法では、図4Cに示すように、酸化膜15の入射面101に沿った一部分を厚み方向に部分的にエッチングすることにより、酸化膜15の一部の厚みを薄くする。酸化膜15の厚みが薄くなった部分を薄膜部151とする。薄膜部151は、入射領域113に対応する領域を覆う部分である。薄膜部151の厚みは、800±100オングストロームである。
酸化膜16の適宜の位置にある部分がエッチングにより除去され、半導体基板10に対してイオン注入が行われることにより、信号出力電極13、曲線状電極14、防護電極141、及び接地電極142が形成される。同様に、酸化膜15の適宜の位置にある部分がエッチングにより除去され、半導体基板10に対してイオン注入が行われることにより、防護電極121が形成される。
更に、図5Aに示すように、酸化膜15を介し、半導体基板10に対してイオン注入が行われる。例えば、電圧により加速されたイオンを酸化膜15へ衝突させることにより、イオン注入が行われる。イオンの軌跡は矢印で示されている。注入されるイオンは、Siをp型にするドーパントのイオンである。例えば、ドーパントはホウ素である。ドーパントのイオンは、薄膜部151を透過し、半導体基板10へ注入される。ドーパントのイオンが注入されることにより、Siにドーパントがドープされ、p型のSiが生成される。半導体基板10のドーパントがドープされた部分をドーピング層103とする。ドーピング層103は、p型のSiでなる。図5Aでは、ドーピング層103を破線で示す。ドーピング層103は、薄膜部151に覆われた部分に形成される。
スパッタ等の方法により、酸化膜15及び16にアルミニウム等の金属の膜が形成され、酸化膜15及び16を覆う金属がエッチングにより除去されることによって、信号出力電極13、曲線状電極14、防護電極141、接地電極142及び防護電極121に夫々連結する金属電極が形成される。図5Bに示すように、ドーピング層103がカウンター電極12になり、半導体基板10の、ドーピング層103、防護電極121、信号出力電極13、曲線状電極14、防護電極141及び接地電極142以外の部分が半導体部11となり、放射線検出素子1が製造される。入射面101は第2面112となり、電極面102は第1面111となる。
イオン注入の際の加速電圧を低くすることには限界があるので、カウンター電極12を形成するためには、酸化膜15を介してイオン注入が行われる。カウンター電極12に含まれるドーパントの濃度、及びカウンター電極12の厚みは、薄膜部151の厚みを調整することによって制御される。薄膜部151が厚い場合は、ドーパントのイオンが薄膜部151を透過し難くなり、カウンター電極12に含まれるドーパントの濃度が低くなる。薄膜部151が薄い場合は、ドーパントのイオンが薄膜部151を透過し易く、半導体基板10の深い部分にまでドーパントのイオンが注入され易いので、カウンター電極12が厚くなる。カウンター電極12に含まれるドーパントの濃度は十分高いことが望ましく、カウンター電極12の厚みは小さい方が望ましい。
半導体部11内に電界を発生させるために、カウンター電極12の成分はp型のSiである必要があり、カウンター電極12の成分がp型であるためには、ドーパントの濃度は十分高いことが望ましい。放射線の入射によって半導体部11内に発生した電子は、高い運動エネルギーを有している。このため、カウンター電極12の付近で発生した電子は、電界に逆らってカウンター電極12へ突入し、カウンター電極12に含まれる正孔と再結合し、消滅することがある。電子が消滅した場合は、信号出力電極13に収集される電子が減少し、放射線のエネルギーが実際よりも低く測定されてしまう。カウンター電極12の厚みが大きい場合は、半導体部11の中でカウンター電極12の付近の部分が占める割合が大きくなるので、カウンター電極12へ突入する電子の割合が増加し、放射線検出の精度が低下する。
放射線検出の精度を示す指標の一つに、P/T比(Peak to Tail ratio)がある。P/T比は、放射線のスペクトルにおけるピーク値とピークのすそ野に位置するテーリング部での値との比である。例えば、鉄の同位体の一つであるFe55の特性X線を測定し、ピーク(5.89keV)での強度とテーリング部(5.3keV)での強度との比を計算することにより、P/T比の例が得られる。P/T比が小さいことは、テーリング部の値が大きく、エネルギーが実際よりも低く測定されている割合が高いことを示している。このため、P/T比はある程度高い値であることが望まれる。
薄膜部151が薄いほどカウンター電極12が厚くなり、カウンター電極12が厚いほどカウンター電極12へ突入する電子の割合が増加する。このため、薄膜部151が薄いほどP/T比は低下し、薄膜部151が厚いほどP/T比は増大する。一方で、薄膜部151が厚いほどカウンター電極12中のドーパントの濃度は低下する。薄膜部151が厚すぎる場合は、カウンター電極12中のドーパントの濃度が低すぎるので、カウンター電極12はp型の特性が不十分であり、放射線の検出が困難になり、P/T比も得られない。このように、薄膜部151の厚みを調整することにより、P/T比を調整することができる。
図6は、酸化膜15の薄膜部151の厚みとP/T比との関係を示すグラフである。図中の横軸は酸化膜15の薄膜部151の厚みを示し、単位はオングストロームである。縦軸はP/T比を任意単位で示す。図6は、夫々に薄膜部151の厚みが異なる放射線検出素子1についてP/T比を計算した実験結果を示す。図中の丸印は実験で得られたP/T比を示す。薄膜部151の厚みが500オングストローム以上、1100オングストローム以下である場合は、十分な放射線検出の精度を示すP/T比が得られる。薄膜部151の厚みが500オングストローム未満である場合は、P/T比が大きく低下する。カウンター電極12が厚くなり過ぎることによって、P/T比が適切な範囲よりも小さくなり、放射線検出の精度が悪化する。薄膜部151の厚みが1100オングストロームを超過する場合は、放射線検出素子1が正常に動作せず、P/T比が得られない。カウンター電極12中のドーパントの濃度が低すぎることによって、放射線の検出が困難になる。薄膜部151の厚みが800±100オングストロームである場合は、最適なP/T比が得られる。
エッチングにより酸化膜15の厚みを薄くする従来の方法では、薄膜部151の厚みを正確に調整することが困難である。ウェットエッチングの場合、エッチングレートは酸化膜15の状態及びエッチング液の状態等、制御の難しい条件に依存する。エッチングレートの制御が困難であるので、薄膜部151の厚みを正確に調整することは困難であり、薄膜部151の厚みにはばらつきが生じる。ドライエッチングの場合でも、エッチングレートの制御が困難であり、薄膜部151の厚みにはばらつきが生じる。
複数の放射線検出素子1を製造した際には、複数の放射線検出素子1の間で薄膜部151の厚みはばらつく。また、一つの放射線検出素子1に含まれる薄膜部151の厚みも均一ではなく、薄膜部151の厚みは場所によってばらつく。例えば、適切なP/T比が得られる薄膜部151の厚みの規格を800±100オングストロームとする。複数の放射線検出素子1の薄膜部151の厚みの平均は、規格内に収まったとしても、複数の放射線検出素子1の間で厚みは大きく異なり、規格から外れる放射線検出素子1もある。また、一つの放射線検出素子1に含まれる薄膜部151全体の厚みの平均は規格内に収まったとしても、厚みの標準偏差は大きく、場所によっては厚みが規格を外れることがある。
図4及び図5を用いた説明では、一つの放射線検出素子1を製造する方法を示したが、実際には、一枚の半導体基板10から複数の放射線検出素子1が製造され、一度に複数の半導体基板10を用いて製造が行われる。従来の方法では、一枚の半導体基板10について複数の放射線検出素子1の薄膜部151の厚みが検査され、同じ検査が全ての半導体基板10について行われる。薄膜部151の厚みが規格内に収まっていない放射線検出素子1が含まれる半導体基板10に対して、再度エッチングが行われ、薄膜部151の厚みが可及的に規格内に収まるように、薄膜部151の厚みが再度調整される。このため、従来の方法では、検査及び再度の調整のための作業が膨大になる。このように、従来の方法では、適切なP/T比が得られる放射線検出素子1を製造することは容易ではなく、放射線検出の精度を安定させることは困難である。
本実施形態に係る放射線検出素子1の製造方法では、酸化膜15の成長により、酸化膜15の厚みを調整する。図7は、本実施形態に係る放射線検出素子1の製造方法を説明するための模式的断面図である。図7では、半導体基板10の電極面102付近の部分は記載を省略している。従来と同様に、図7Aに示すように、半導体基板10に、入射面101を覆う第1酸化膜152が形成される。第1酸化膜152は、半導体基板10の熱酸化によって成長させられることにより、形成される。第1酸化膜152の厚みは約1700オングストロームである。図7Aには示していないものの、同時に、電極面102を覆う酸化膜も形成される。
次に、図7Bに示すように、フォトリソグラフィによりパターニングを行い、入射面101に沿った第1酸化膜152の一部分をエッチングすることにより、第1酸化膜152の、入射面101の一部分を覆う部分が除去される。これにより、入射面101の一部分は、露出し、第1酸化膜152で覆われない部分となる。入射面101の中で露出する領域は、入射領域113に対応する領域を含む。
次に、入射面101が露出した状態から、図7Cに示すように、入射面101を覆う第2酸化膜153が形成される。本実施形態に係る放射線検出素子1では、酸化膜15は、第1酸化膜152及び第2酸化膜153からなる。第2酸化膜153は、半導体基板10の熱酸化によって形成される。半導体基板10が表面から内部に向かって徐々に酸化することにより、第2酸化膜153が成長する。入射面101が第1酸化膜152で覆われていない部分では、半導体基板10に含まれるSiが空気中の酸素と結合し、酸化が進行する。入射面101が第1酸化膜152で覆われた部分でも、半導体基板10が酸化することにより、第1酸化膜152と入射面101との間に第2酸化膜153が成長する。但し、入射面101が第1酸化膜152で覆われた部分では、酸素は第1酸化膜152を通過してからSiと結合するので、酸化のスピードは遅くなり、第2酸化膜153は成長し難い。
第2酸化膜153が成長することにより、入射面101の位置はより半導体基板10の中心に近い位置に変わり、入射面101は第2酸化膜153で覆われる。入射面101が第1酸化膜152で覆われた部分では、第2酸化膜153は成長し難いので、入射面101が第1酸化膜152で覆われていない部分に比べて、第2酸化膜153の厚みが小さくなる。このため、図7Cに示すように、入射面101が第1酸化膜152で覆われた部分と、入射面101が第1酸化膜152で覆われていない部分とでは、入射面101の位置がずれる。第1酸化膜152で覆われていない部分での入射面101の位置は、第1酸化膜152で覆われた部分での入射面101の位置に比べて、より半導体基板10の中心に近い位置にある。
熱酸化の工程では、半導体基板10を収納した酸化炉の内部の温度を所定の温度に保ち、酸化炉内へ酸素を継続的に供給することによって、半導体基板10の表面が酸化し、第2酸化膜153が成長する。熱酸化が行われる時間の長さを調整することにより、第2酸化膜153の厚みが調整される。第2酸化膜153は、入射面101が第1酸化膜152で覆われていない部分での厚みが所定の厚みになるように成長させられることにより、厚みを調整される。具体的には、第2酸化膜153は、入射面101が第1酸化膜152で覆われていない部分での厚みが500オングストローム以上、1100オングストローム以下になるように成長させられる。より望ましくは、第2酸化膜153は、入射面101が第1酸化膜152で覆われていない部分での厚みが800±100オングストロームになるように成長させられる。第2酸化膜153の厚みは、第1酸化膜152の厚みよりも小さい。
次に、酸化膜15の適宜の位置にある部分がエッチングにより除去され、半導体基板10に対してイオン注入が行われることにより、防護電極121が形成される。また、図7Dに示すように、第2酸化膜153を介し、半導体基板10に対してイオン注入が行われる。例えば、電圧により加速されたイオンを第2酸化膜153へ衝突させることにより、イオン注入が行われる。イオンの軌跡は矢印で示されている。注入されるイオンは、半導体基板10を構成する半導体を異なる型の半導体にするドーパントのイオンである。ドーパントのイオンは、第2酸化膜153を透過し、半導体基板10へ注入される。ドーパントのイオンが注入されることにより、Siにドーパントがドープされ、p型のSiが生成される。ドーパントは、例えば、ホウ素である。図7Dには、ドーパントがドープされたドーピング層103を破線で示す。ドーピング層103は、p型のSiでなる。ドーピング層103は、第1酸化膜152には覆われておらず第2酸化膜153に覆われた部分に形成される。
図7Dには示していないものの、従来と同様に、信号出力電極13、曲線状電極14、防護電極141及び接地電極142が形成される。更に、従来と同様に、金属電極が形成される。従来と同様に、ドーピング層103がカウンター電極12になり、半導体基板10の、ドーピング層103、防護電極121、信号出力電極13、曲線状電極14、防護電極141及び接地電極142以外の部分が半導体部11となり、図1に示す如き放射線検出素子1が製造される。入射領域113に対応する領域が第2酸化膜153で覆われ、当該領域にドーピング層103が形成されるので、入射領域113にカウンター電極12が設けられる。
本実施形態では、第2酸化膜153を介してドーパントのイオンを半導体基板10へ注入するので、第2酸化膜153の厚みを調整することによって、製造される放射線検出素子1のP/T比を調整することができる。また、本実施形態では、半導体基板10の熱酸化によって第2酸化膜153を成長させることにより、第2酸化膜153の厚みを調整する。酸素が十分に供給されている状態では、半導体基板10の熱酸化のレートは温度によって律速される。酸化炉内では、半導体基板10の温度をほぼ均一に調整することは容易である。即ち、半導体基板10のどの場所においても温度はほぼ同じになる。このため、半導体基板10のどの場所においても熱酸化のレートはほぼ同じになり、第2酸化膜153はほぼ均一に成長する。従って、作成された第2酸化膜153の厚みには場所によるばらつきが少なく、一つの放射線検出素子1に含まれる第2酸化膜153の厚みはほぼ均一になる。第2酸化膜153の複数の場所での厚みの標準偏差は、従来に比べて、1/10未満となり、複数の場所での厚みを全て規格内に収めることが容易になる。
本実施形態では、半導体基板10の熱酸化のレートは温度によって律速されるので、温度と熱酸化が行われる時間の長さとを制御することにより、精度良く第2酸化膜153の厚みを調整することができる。エッチングにより薄膜部151の厚みを調整する従来の放射線検出素子1の製造方法に比べて、本実施形態では、より正確に第2酸化膜153の厚みを調整することができる。正確に第2酸化膜153の厚みを調整することができるので、複数の放射線検出素子1の間で第2酸化膜153の厚みのばらつきが小さくなる。
第2酸化膜153の厚みがほぼ均一になり、複数の放射線検出素子1の間で第2酸化膜153の厚みのばらつきが小さいので、放射線検出素子1のP/T比を精度良く調整することができる。複数の半導体基板10を用いて放射線検出素子1を製造した場合に、一枚の半導体基板10の中で第2酸化膜153の厚みのばらつきがほとんど無く、複数の半導体基板10に亘って第2酸化膜153の厚みのばらつきがほとんど無い。このため、第2酸化膜153の厚みを検査する際には、複数の半導体基板10から一つの半導体基板10を選び、選ばれた半導体基板10の一箇所について第2酸化膜153の厚みを検査するだけで、十分な検査が可能である。第2酸化膜153の厚みが規格を外れることは少なく、第2酸化膜153の厚みを再度調整する機会は少ない。このため、検査及び第2酸化膜153の厚みの再度の調整のための作業が少ない。従って、適切なP/T比を有する放射線検出素子1を容易に製造することが可能となる。また、放射線検出素子1を製造するコストが抑制される。適切なP/T比を有する放射線検出素子1が容易に得られるので、適切な放射線検出の精度をもたらす放射線検出素子1が容易に得られる。従って、放射線検出素子1を利用した放射線検出の精度が安定する。
本実施形態においては、放射線検出素子1が信号出力電極13、複数の曲線状電極14及びカウンター電極12の組を一つ有する形態を示したが、放射線検出素子1は、信号出力電極13、複数の曲線状電極14及びカウンター電極12の組を複数有する形態であってもよい。本実施形態においては、放射線検出素子1を構成する半導体がSiである形態を示したが、放射線検出素子1はSi以外の半導体で構成された形態であってもよい。本実施形態においては、半導体部11がn型の半導体からなり、カウンター電極12及びドーピング層103がp型の半導体からなる形態を示したが、放射線検出素子1は、半導体部11がp型の半導体からなり、カウンター電極12及びドーピング層103がn型の半導体からなる形態であってもよい。本実施形態においては、放射線検出素子1がシリコンドリフト型放射線検出素子である形態を示したが、放射線検出素子1は、半導体製の素子であれば、シリコンドリフト型放射線検出素子以外の素子であってもよい。このため、放射線検出器2は、SDD以外の放射線検出器であってもよい。
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
100 放射線検出装置
1 放射線検出素子
10 半導体基板
101 入射面
103 ドーピング層
11 半導体部
113 入射領域
12 カウンター電極
121、141 防護電極
13 信号出力電極
14 曲線状電極
142 接地電極
15、16 酸化膜
152 第1酸化膜
153 第2酸化膜
2 放射線検出器
21 プリアンプ
4 照射部
6 試料
本発明に係る放射線検出素子の製造方法は、放射線検出素子を製造する方法において、半導体基板を酸化させることにより、検出対象の放射線が入射する入射側に相当する位置にある入射面を覆う第1酸化膜を成長させ、前記第1酸化膜の、前記入射面の一部分を覆う部分を除去することにより、前記入射面の前記一部分を露出させ、前記入射面の前記一部分が露出した状態から、前記半導体基板を再度酸化させることにより、前記入射面を覆う第2酸化膜を、厚みが前記第1酸化膜の厚みよりも小さい所定の厚みになるように成長させ、前記第2酸化膜の厚みが前記所定の厚みになっている状態で、前記半導体基板を構成する半導体を異なる型の半導体にするドーパントのイオンを、前記第2酸化膜を介して前記半導体基板へ注入することを特徴とする。

Claims (6)

  1. 放射線検出素子を製造する方法において、
    半導体基板を酸化させることにより、検出対象の放射線が入射する入射側に相当する位置にある入射面を覆う第1酸化膜を成長させ、
    前記第1酸化膜の、前記入射面の一部分を覆う部分を除去することにより、前記入射面の前記一部分を露出させ、
    前記入射面の前記一部分が露出した状態から、前記半導体基板を再度酸化させることにより、前記入射面を覆う第2酸化膜を、厚みが前記第1酸化膜の厚みよりも小さい所定の厚みになるように成長させること
    を特徴とする放射線検出素子の製造方法。
  2. 前記第2酸化膜の厚みが前記所定の厚みになっている状態で、前記半導体基板を構成する半導体を異なる型の半導体にするドーパントのイオンを、前記第2酸化膜を介して前記半導体基板へ注入すること
    を特徴とする請求項1に記載の放射線検出素子の製造方法。
  3. 前記入射面の前記第1酸化膜で覆われていない部分を覆う前記第2酸化膜の厚みが、500オングストローム以上1100オングストローム以下になるように、前記第2酸化膜を成長させること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出素子の製造方法。
  4. 前記入射面の前記一部分は、前記放射線検出素子の、検出すべき放射線が入射する入射領域に対応する部分であること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の放射線検出素子の製造方法。
  5. 前記放射線検出素子は、シリコンドリフト型放射線検出素子であること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の放射線検出素子の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の放射線検出素子の製造方法により製造されたことを特徴とする放射線検出素子。
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