JP2016023380A - 部分的に乾燥防止加工を施した靴下 - Google Patents

部分的に乾燥防止加工を施した靴下 Download PDF

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Abstract

【課題】装用時の快適性と皮膚の乾燥障害の緩和・改善効果の確かさ、さらに、装用時の良好な外観のすべての観点の要求に応え、かつ、過度に角質化した皮膚の状態の改善が期待できる靴下を提供する。
【解決手段】少なくとも一部に伸縮性を有する靴下であって、装用時に足首部・足甲部・脛部およびつま先部・踵部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものとする。ゴム質材料はシリコンゴムやウレタンゴムとすることが好ましく、その厚みは250μm乃至400μmとすることが特に好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、靴下に関するものである。より詳しくは、靴下の内側面のうち、つま先や踵、足甲部、足首、脛の皮膚に接触する部分の少なくとも一部に表面加工を施し、これら部位の皮膚の乾燥や過剰な角質化した状態を緩和・改善させる目的で使用されるものに関する。
空調による乾燥や日光(特に紫外線)等の外的要因、または、個人の体質等の内的要因により皮膚に不快を訴える患者が増えている。特に、肘や膝、踵のように皮膚の角質化が進行し易い部位については、冬季の乾燥期を中心に、皮膚が粉をふいたように荒れた状態となって痒みを生じたり、あるいは、過剰に角質化した皮膚に割れを生じて鋭い痛みを生じたりすることがあり、生命に重篤な影響を与えるものではないものの、患者の苦しみは少なくない。以下、このような皮膚の不具合を便宜上、皮膚の乾燥障害という。
皮膚の乾燥障害を緩和・改善する方法の一つとして、患者が日常的に身に着ける衣類等の繊維製品に皮膚の荒れを防止する機能を付与する方法が従来から利用されてきた。具体的には、適度な保湿を行うことで過剰に角質化した皮膚が乾燥することを防止し、皮膚が粉をふいたような状態になったり割れを発生したりすることに代表される皮膚の乾燥障害を緩和・改善しようとするものである。このようは方法は、薬剤を皮膚に直接散布する方法と比較すると、効果の大きさや即効性という点では見劣りするものの、手間がかからずかつ長時間に渡って持続的に患部に作用できる点で優れているといえる。
このような繊維製品の典型例として、本願発明人自身の考案に係る実用新案登録第3180174号登録実用新案公報に開示された繊維製品があげられる。この文献には、靴下のような繊維製品の人体に接触する面のうち、特につま先部と踵部にコーティング層を設け、該コーティング層はゴム質材料にこめ油を配合したものからなることを特徴とする考案である。
靴下のような繊維製品のつま先部や踵部に接触する部分に選択的にゴム質材料によるコーティング層を設けることにより、当該部分の皮膚から蒸発する水分が閉じ込められ、湿度を高く保つことができる。これによって、患部の乾燥が防止され、皮膚の乾燥障害の緩和・改善が期待されるものとなっている。また、繊維製品の患部に接触しない部分にはこのようなコーティング層を設けないことにより良好な通気性を維持し、良好な装用感も実現されている。
また、前記ゴム質材料によるコーティング層には、こめ油を分散混合したものが使用されている。これにより、油脂分が皮膚にごく薄い油膜となって皮膚からの水分の蒸発を防止する。また、こめ油にはγ−オリザノールやフェルラ酸を始めとする、血流増大や角質軟化作用が認められている成分が豊富に含まれており、油脂分の保湿作用に加えてこれら機能性成分が皮膚の乾燥障害の緩和・改善効果を奏する。
上記のように、繊維製品に工夫を凝らした実用新案登録第3180174号登録実用新案公報に開示された繊維製品は、つま先部や踵部の皮膚の乾燥障害を相当に緩和・改善することを達成している。しかし、皮膚の乾燥障害の発生箇所や範囲には個人差があり、足甲部や足首部、脛部などに皮膚の乾燥障害を発生する患者も少なくなく、該繊維製品は必ずしもこれら患者の要求を満足できるものではなかった。
実用新案登録第3180174号登録実用新案公報
本発明が解決しようとする課題は、つま先部や踵のみならず、足甲部や足首、脛部を含む皮膚の乾燥障害の改善が期待でき、加えて、装用時の快適性や良好な外観の維持などの要請にも応え得る靴下を提供することである。
(1)本発明においては、
主に糸によって構成され、少なくとも一部に伸縮性を有する靴下であって、
該靴下の内面のうち、装用時に足首部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、
該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなる
ことを特徴とする、靴下としている。
足首部はしばしば皮膚の過度の角質化が発生し、皮膚の乾燥障害を起こしやすい部位であるが、歩行時に大きな動きをする部位でもあるため、皮膚の乾燥障害の緩和が期待されるシート状の繊維製品を貼付しても剥がれ落ちたり位置ずれを発生したりしやすい。しかし、靴下であれば、足首部全集を覆うようにして保持するため、靴下の有する伸縮性で患部にぴったりと密着し、かつこの状態で安定することができる。また、靴下によって患部以外の部位も覆われることになるが、患部以外の部分の湿度を過度に高めると蒸れてかぶれを生じるなど不快感の原因になる為、通気性が高いことが好ましい。このため、靴下は患部に対応する部分以外の箇所は主に糸を材料とする織物や布地で通気性良く構成されていることが好ましい。
また、ゴム質材料には、こめ油を分散混合したものを使用する。こめ油は、油脂分が皮膚にごく薄い油膜となって皮膚からの水分の蒸発を防止する他、γ−オリザノールやフェルラ酸を始めとする、血流増大や角質軟化作用が認められている成分を豊富に含んでおり、油脂分の保湿作用に加えてこれら機能性成分が皮膚の乾燥障害の緩和・改善効果を奏する。
また、ゴム質材料にこめ油を分散混合したものを繊維製品にコーティングすると、コーティング層の表面に無数の微小な凹凸、すなわち、顕著な「荒れ」を発生させることができるが、この「荒れ」たコーティング層表面は、皮膚との摩擦が大きいため、装用者の動きによって、皮膚の上で繊維製品のコーティング層表面が動いた際に、鑢のように角質化した皮膚の表面を削り取る作用が得られる。もちろん、コーティング層は本質的に柔軟なゴム質材料で構成されているため、皮膚を過剰に削り取ってしまう懸念は無い。このように、乾燥を防止することを通じて過度に角質化した皮膚を保湿し、皮膚の乾燥障害を緩和・改善するのみならず、保湿され、あるいは、機能性成分の角質軟化作用によって柔らかくなった、過度に角質化した皮膚を削り落すことにより、積極的に皮膚の乾燥障害を改善する作用を得られる。
なお、コーティング層は、靴下の内面にこめ油を配合したゴム質材料をスクリーン印刷し、その後硬化させることで形成することができる。スクリーン印刷であれば、様々な種類の繊維製品に求められる様々なコーティング層形状に対して、スクリーンの交換のみで対応可能であり、また、コーティング層の厚みの変更にも比較的容易に対応ができるからである。もちろん、コーティング層の形成方法はこれに限られず、任意の常法を使用できることは言うまでも無い。
ところで、コーティング層に配合するこめ油の量は、ゴム質材料に対して、0.5重量%乃至5重量%の範囲であることが好ましい。あまりにコーティング層に含まれるこめ油の量が少ないと、こめ油特有の機能性成分の効果が十分に得られなくなってしまうし、逆にコーティング層に含まれるこめ油の量が多すぎると、コーティング層の強度が低下して繊維製品から剥がれ落ちるリスクが高まってしまうためである。
また、さらに好ましくは、コーティング層に配合するこめ油の量は、ゴム質材料に対して、1重量%乃至3重量%の範囲であることが好ましい。これは、より確実な効果が得られ、かつ、コーティング層に十分な余裕を持った強度が得られるためである。
(2)本発明においては、
主に糸によって構成され、少なくとも一部に伸縮性を有する靴下であって、
該靴下の内面のうち、装用時に足甲部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、
該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなる
ことを特徴とする、靴下としている。
足甲部も靴やサンダルを装用している際にこすれが生じて皮膚を刺激するなどするために角質化が発生し、皮膚の乾燥障害を起こしやすい部位である。しかし、靴下であれば、足甲部全周を覆うようにして保持するため、靴下の有する伸縮性で患部にぴったりと密着し、かつこの状態で安定することができる。これら効果は、先の例と同様である。
(3)本発明においては、
主に糸によって構成され、少なくとも一部に伸縮性を有する靴下であって、
該靴下の内面のうち、装用時に脛部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、
該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなる
ことを特徴とする、靴下としている。
脛部は特に女性では外出時に外気に触れる機会が多く、皮膚の乾燥障害を起こしやすい部位のひとつである。また、靴を履くと隠れてしまうつま先や足甲部、踵部と異なり、脛部は他者から視認される機会が多い部分であるので、皮膚の乾燥障害を改善する目的とはいえどもファッション性を損なう手法は採用しがたい。この点、脛部を覆い得るサイズの靴下であれば、本体の有する伸縮性で患部にぴったりと密着させることが可能であり、この部位に保湿作用を奏するコーティング層を設けることで症状の緩和を期待できるのみならず、外観上は通常の靴下となんら違いの無い本発明であればファッション性を損なう不具合も無い。なお、詳細な作用効果については、先に説明した例と同様である。
(4)本発明においては、
前記靴下の内面のうち、装用時につま先部及び踵部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、
該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなる
ことを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか一に記載の靴下としている。
足甲部、足首部、脛部に皮膚の乾燥障害を発生する患者が少なくないことはすでに説明したとおりであるが、つま先部や踵部に皮膚の乾燥障害を発生する患者数が非常に多いことは実用新案登録第3180174号登録実用新案公報などに記載されている通りである。本発明は、足甲部、足首部、脛部だけでなく、これらと同時につま先部や踵部に皮膚の乾燥障害を発生している患者にも適応できることが好ましく、その為に、該公報に記載された考案に(1)乃至(3)に記載された発明を組み合わせたものとすることができる。
具体的には、(1)乃至(3)に記載された発明のつま先部及び踵部に接する部分の少なくとも一部にコーティング層を設けた靴下とし、該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものとするとよい。ただし、靴下の内面のあまりにも多くの割合の部分にコーティング層を設けると、皮膚から蒸発した水分が過剰に閉じ込められて蒸れた状態になり、装用者が不快感を感じることになり易い。その為、患者が自らの皮膚の乾燥障害の発生部位にあわせて、必要な部分にのみコーティング層が設けられた靴下を利用できるよう、数種類のパターンでコーティング層を設けた靴下を準備することが好ましい。
(5)本発明においては、
前記コーティング層のデュロメータゴム硬度(タイプA)は、20乃至40の範囲である
ことを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれか一に記載の靴下としている。
前記コーティング層の硬度が高すぎると、靴下の一部が硬くなり、これを装用した装用者に強い違和感を感じさせてしまったり、あるいは人体の皮膚の曲面にコーティング層が沿うことができずに浮き上がってしまったりする原因となり、本発明が期待する効果が得られなくなる懸念がある。また、仮に人体の皮膚にコーティング層を沿わせることができたとしても、硬いコーティング層に常時密着することで皮膚が過剰に削られて皮膚障害を生じてしまうような事態を招きかねない。逆に、コーティング層が柔らかいと皮膚の角質化した皮膚を削り落とす効果が小さくなる。そこで、コーティング層のデュロメータゴム硬度(タイプA)を、20乃至40の範囲となるようにすると、角質化した皮膚を効果的に削り落としつつ、皮膚障害は発生させないという状態を実現できる。なお、デュロメータゴム硬度(タイプA)はJIS K6253に準拠して測定した場合の値であり、以下も同様である。
また、より好ましくはデュロメータゴム硬度(タイプA)を25乃至35の範囲となるようにするとよい。このようにすれば、角質化した皮膚を削り落とす効果が大きく、かつ、装用者がより違和感を感じにくいという効果をより確実に得られるからである。
(6)本発明においては、
前記コーティング層のデュロメータゴム硬度(タイプA)は、3乃至10の範囲である
ことを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれか一に記載の靴下としている。
ところで本発明の発明者は、コーティング層の硬度を非常に低く設定する、つまり、非常にやわらかくした場合にも、優れた靴下を得られることを見出した。すなわち、コーティング層のデュロメータゴム硬度を3乃至10の範囲とすると、コーティング層は極めて柔軟であるので装用直後には角質化した皮膚を削り落とす効果はあまり大きくない。一方、装用感は極めて良好であり、装用者はコーティング層が靴下に設けられていることにほとんど気づけないくらいである。つまり、長時間にわたって靴下を装用していても全く不快感が無いため、長時間にわたる装用が可能である。そして、本発明に係る靴下を長時間装用していると、コーティング層部分の強い保湿効果により、角質化した皮膚が徐々に水分を含んで柔らかくなる。この結果、短時間では角質化した皮膚を削り落とす効果はあまり大きくないものの、長時間の装用によってこれをこすり落とす効果が得られることになる。
また、より好ましくは、コーティング層のデュロメータゴム硬度を3乃至6にするとよい。この範囲であれば、本発明に係る靴下の装用感は実質的にコーティング層を設けない一般の靴下と同等の極めて良好なものとなるからである。なお、一つの靴下に硬度の異なる複数のコーティング層を設けることも可能である。例えば、歩行時に体重が掛かるなどするために強度が要求される踵部には固めのコーティング層を設け、これと比較すると強度は必要ないがより皮膚に対する刺激が少ない良好な装用感が必要な脛部には柔らかめのコーティング層を設けるというような工夫を適宜施しても良い。
(7)本発明においては、
前記ゴム質材料はシリコンゴムである
ことを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか一に記載の靴下としている。
すでに説明した通り、ゴム質材料は人体に直接接触して使用されることになるので、人体に対して特に安全性が求められる。同時に、ゴム質材料で形成されるコーティング層が本発明の効果を得るために最も重要な構成要素であり、最適な硬度のものを形成できる必要があるほか、耐久性も求められる。この点、シリコンゴムは、医療用に使用されるほど人体に対して安全なグレードが利用可能であり、さまざまな硬度のものも入手可能かつ、耐久性もきわめてすぐれている。
従って、本発明のゴム質材料として、シリコンゴムを使用することが好ましい。ここで、シリコンゴムとは、シリコン樹脂とシリカ等を混合したシリコンコンパウンドをも含む概念であり、目的の硬度が得られ、かつ、靴下にスクリーン印刷などの手法でコーティング層を形成できるものを選択すればよい。
(8)本発明においては、
前記ゴム質材料はウレタンゴムである
ことを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか一に記載の靴下としている。
ウレタンゴムは耐摩耗性に優れ、様々な硬度のものが入手可能であると共に、日用品などに広く使用されており、シリコンゴムと同様に人体に対して安全なグレードが利用可能である。また、安価に流通しており、より低いコストで本発明に係る靴下を製造可能である。従って、本発明のゴム質材料として、ウレタンゴムを使用することが好ましい。
(9)本発明においては、
前記コーティング層の厚みは100μm以上かつ600μm以下である
ことを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか一に記載の靴下としている。
コーティング層の厚みは、あまりにも厚くすると装用者が凸凹を感じることになり、靴下としての装用感を悪化させてしまう。また、靴下を装用した際に外部からコーティング層が設けられている部分が盛り上がって見えてしまい、外観上も好ましくない。逆に、あまりに薄くすると、表面が平滑では無い織物や布地で構成される本体内面に設けた際に、かすれや途切れが発生したり、または、外観上、コーティング層にムラがあるように見えてしまいやすい。実は、コーティング層を形成するゴム質材料に配合したこめ油の働きにより、コーティング層に多少のかすれや途切れがあった場合でも、患部の皮膚に移行したこめ油によってつくられる薄い油膜の働きで十分な乾燥防止作用は得られる。また、コーティング層表面の摩擦によって、角質化した皮膚の表面を削り取る作用についても、通常は、装用者の動きによって、皮膚の上で靴下のコーティング層表面が動く量がかすれや途切れの大きさよりも遥かに大きくなる為、その作用にはほとんど差異が生じない。しかし、やはり、コーティング層のかすれや途切れは、外観上は消費者から品質不良であると見做されてしまい易いものであり、明らかに好ましくないものである。
そこで、コーティング層の厚みは、100μm以上かつ600μm以下に設定すると良い。この範囲とすれば、適切な硬度のコーティング層を形成した際に良好な品質のものを形成できると共に、十分に薄い為、装用時の外観に悪影響を与えることも無い。より好ましくはコーティング層の厚みを200μm以上かつ450μm以下とすればよく、さらに好ましくコーティング層の厚みを250μm以上かつ400μm以下とすると良い。製品の歩留まりをより高くすることができると共に、良好な装用感を得られるからである。
ところで、一つの靴下に厚みの異なる複数のコーティング層を設けることも可能である。例えば、歩行時に体重が掛かるなどするために強度が要求される踵部には400μm程度の厚めのコーティング層を設け、これと比較すると強度は必要ないがより皮膚に対する刺激が少ない良好な装用感が必要な脛部には250μm程度の薄めのコーティング層を設けることができる。このようにすることで、耐久性と良好な装用感を兼備えた靴下とすることができる。なぜなら、踵部は体重が掛かったり靴で押さえられたりすることで厚いコーティング層でも皮膚との密着が保たれやすい一方、脛部ではこのような密着を保つことは必ずしも容易ではない。しかし、薄いコーティング層は皮膚の立体的な曲面になじみやすく、より小さな圧力でも確実に皮膚に密着できるので、このようにすることで脛部に対しての本発明の効果をより確実にすることができるのである。
(10)本発明においては、
前記糸には、こめ油を含むレーヨン繊維を少なくとも5重量%含んでいる
ことを特徴とする、(1)〜(9)のいずれか一に記載の靴下としている。
こめ油を含むレーヨン繊維とは、例えば、特開2007−314914号公開特許公報に開示された繊維であり、原料ビスコースに保湿効果に優れたこめ油等を含む乳化液を混和・紡糸してこめ油を含有したレーヨン繊維を得たものであり、これで製造した靴下を装用すると、繊維に含まれるこめ油が徐放されて皮膚表面に薄い油膜が形成され、乾燥の防止が図られるというものである。本体を形成する糸にこめ油を含むレーヨン繊維を用いることで、乾燥の防止作用を、コーティング層だけでは無く、靴下の本体全体で得ることができる。
もちろん、コーティング層を形成した部分は、物理的に水蒸気を遮断することで強力な乾燥防止作用が得られている。その作用は、こめ油を含むレーヨン繊維を使用したとはいえ、基本的には風通しの良い非コーティング層部分よりも強力である。しかし、物理的に水蒸気を遮断する領域があまりに広いと、患者が蒸れを感じたりかぶれなどの原因となったりして、装用感が低下してしまう。しかし、足首部・足甲部・脛部に代表される、皮膚の乾燥障害を特に生じやすい部位の周りも、程度の差こそあれ、同様の障害を生じやすいものであり、一定の乾燥防止作用が得られることが好ましい。
そこで、過度に皮膚の角質化が進みやすい部位については、コーティング層を設けて強力な乾燥防止作用を得ると共に、角質表面を削り落す作用をも実現する。そして、周辺の部位については、こめ油を含むレーヨン繊維による乾燥防止作用のみが発揮されるような靴下とすることが好ましいのである。このようにすることで、必要十分な乾燥防止効果と、良好な装用感が両立可能になる。
なお、こめ油を含むレーヨン繊維の作用は比較的強力であるので、靴下を形成する糸のうち、ごく一部に使用するのみで十分な効果が得られる。具体的には、綿糸のような一般糸に、こめ油を含むレーヨン繊維を5重量%以上混ぜることで十分な効果が得られる。こめ油を含むレーヨン繊維は、綿糸のような一般糸と比較すると高価な材料であるが、このようにすることで、必要な効果を確保しつつ、安価に靴下を提供することが可能となる。
(11)本発明においては、
前記糸には、グリセリン誘導体を含むレーヨン繊維を少なくとも5重量%含んでいる
ことを特徴とする、(1)〜(9)のいずれか一に記載の靴下としている。
こめ油を含むレーヨン繊維を含む原料糸で本体を形成することで、足首部・足甲部・脛部といったもっとも過度に皮膚の角質化が進みやすい部位の周辺領域についても適度な乾燥防止作用が得られることはすでに説明した通りであるが、本発明の発明者は、これと類似の効果が得られる機能性繊維を提案しており、これを用いてもほぼ同じ効果を得ることができる。具体的には、こめ油に代えて、グリセリン誘導体を含むレーヨン繊維としたものであり、詳細は特願2011−169689号の明細書に記載されているものである。
グリセリン誘導体を含むレーヨン繊維によって得られる効果は、こめ油を含むレーヨン繊維の場合と実質的に同じである。しかし、天然素材であるこめ油と比較して、グリセリン誘導体は工業的に得られるものであるから、品質の極めて安定したものを大量に入手可能であり、品質も安定していて、しかも、大量生産時にはこめ油よりも安価であるという特徴がある。従って、安定した品質の靴下を大量にかつ安価に供給可能になるという効果が得られる。
(12)本発明においては、
前記コーティング層のうちの少なくとも一つが、複数の領域に実質的に分割されている
ことを特徴としている(1)〜(11)に記載の靴下としている。
すでに説明したとおり、装用者の皮膚に接する靴下の内面にコーティング層を設けることで、この部分の皮膚の乾燥障害を改善する効果が得られるのだが、これらの皮膚の部位は立体的、すなわち、曲率の大きな曲面であることが多い。一方、靴下のコーティング層を設けた部分は、コーティング層を設けていない部分よりは多少なりとも腰が強くなる。このため、コーティング層が患部を包み込むように密着することはしばしば困難であり、コーティング層部分が皮膚表面から浮き上がったりしやすくなる。これでは、本発明に特有の皮膚の乾燥障害の改善効果が十分に得られなくなってしまいかねない。また、これが原因で、患者の歩行に伴ってコーティング層部分の位置がずれたりしやすくなってしまうという不都合も生じる。
そこで、一つのコーティング層をいくつかの部分に分割するとよい。例えば脛部に対応する部分のコーティング層の場合、コーティング層を脛の左半分に対応する部分と右半分に対応する部分に分けて形成する。左半分と右半分の間には、コーティング層の厚みよりも大きい幅の間隙を設けておく。このようにすると、しなやかな布地のみからなる間隙部分で靴下が容易に折れ曲がり、左半分と右半分のコーティング層部分は無理なく脛部に密着することができる。これにより、本発明に係る靴下の皮膚の乾燥障害の改善効果をますます顕著とすることができる。
なお、コーティング層が実質的に分割されている、とは、分割されたコーティング層同士が全くつながっていないことを要するという意図ではない。前記の通り、コーティング層が患者の立体的な皮膚の形状に柔軟に追随できるために、折れ曲がりやすい部位をコーティング層に形成することが目的であるから、部分的にこれらコーティング層がつながっている箇所があっても、大部分の領域が分割されていればよい。
また、コーティング層は、1mm程度の間隔で分割されていることが好ましい。あまりに間隔が広いと、皮膚の乾燥障害を改善する効果の無い領域の影響が懸念されるからである。また、より好ましくは、前側と後側のコーティング層を0.5mm程度の間隔で分割するとよい。十分にせまい間隔でありつつ、コーティング層の形成時に意図せず分割したコーティング層がつながってしまうようなトラブルも頻発しない、バランスの良い間隔だからである。
(1)伸縮性を有する靴下の内面の足首部に接触する部分に、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなるコーティング層を設けた靴下としたので、皮膚の乾燥障害を発生している足首部に保湿作用を奏するコーティング層をぴったりと密着させ、確実に乾燥の防止や血流増大・角質軟化作用を発揮する。また、血流増大作用や角質軟化作用を有しているとされる成分を含むこめ油の薄い油膜が皮膚表面に形成されることにより、皮膚の乾燥障害の緩和・改善効果を奏することができる。さらに、強い摩擦を持つコーティング層の表面が皮膚の上で動くことにより、過度に角質化した皮膚の表面を削り取る作用が得られ、積極的に皮膚の乾燥障害を改善する作用を得られる。
(2)伸縮性を有する靴下の内面の足甲部に接触する部分に、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなるコーティング層を設けた靴下としたので、(1)と同様の効果が得られる。
(3)伸縮性を有する靴下の内面の脛部に接触する部分に、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなるコーティング層を設けた靴下としたので、靴を履いた際にも隠れにくい脛部に対してファッション性を犠牲にすることなく(1)と同様の効果が得られる。
(4)(1)乃至(3)に加えて、靴下の内面のつま先及び踵部に接触する部分の少なくとも一部に、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなるコーティング層を設けた靴下としたので、足甲部、足首部、脛部だけでなく、これらと同時につま先部や踵部に皮膚の乾燥障害を発生している患者にも好適な靴下とすることができる。
(5)コーティング層のデュロメータゴム硬度(タイプA)を20乃至40の範囲としたので、角質化した皮膚を効果的に削り落とす効果を十分に有しながら、皮膚障害は発生させないという状態を実現できる。
(6)コーティング層のデュロメータゴム硬度(タイプA)を3乃至10の範囲としたので、装用者がコーティング層が靴下に設けられていることにほとんど気づけないほどの良好な装用感を得られる。また、これにより、長時間にわたる装用が可能になるため、角質化した皮膚が長時間かけて水分を含んで柔らかくなり、これがこすり落とされるという効果を得ることができる。また、一つの靴下にデュロメータゴム硬度(タイプA)の複数のコーティング層を設けることとしたので、良好な耐久性と良好な装用感を両立することができる
(7)ゴム質材料をシリコンゴムとしたので、人体に安全かつ適切な硬度のコーティング層を形成することができるほか、耐久性も良好な靴下とすることができる。
(8)ゴム質材料をウレタンゴムとしたので、(4)にほぼ等しい効果をより低いコストで実現することができる。
(9)コーティング層の厚みを100μm以上かつ600μm以下としたので、靴下としての外観が良好でありつつ良好な装用感を実現することができる。また、装用時の外観にも悪影響を与えることも殆ど無く、ファッション性への影響を最小とすることができる。また、コーティング層の厚みを200μm以上かつ450μm以下として前記効果をより顕著とし、さらにコーティング層の厚みを300μm以上かつ400μm以下として前記効果をさらに確実なものとすることができる。さらに、一つの靴下に厚みの異なる複数のコーティング層を設けることとしたので、良好な耐久性と良好な装用感を両立することができる。
(10)こめ油を含むレーヨン繊維を少なくとも5重量%含んでいる糸によって本体を形成したので、コーティング層を形成していない部分にも乾燥の防止効果が得られる。これにより、過度の皮膚の角質化が進行している部位はコーティング層による強力な乾燥防止効果と角質表面の削り落し効果があり、それ以外の部位は適度な乾燥防止効果を有する靴下とすることができ、装用感と効果を両立することができる。
(11)グリセリン誘導体を含むレーヨン繊維を少なくとも5重量%含んでいる糸によって本体を形成したので、(7)にほぼ等しい効果をより低いコストで実現することができる。
(12)靴下の内面に設けられたコーティング層の少なくとも一つを、複数の領域に実質的に分割されている構成としたので、分割部分で靴下の布地が無理なく折れ曲がり、装用者の立体的な皮膚表面にコーティング層が無理なく密着することとなり、(1)〜(11)に記載の効果をますます顕著とすることができる。また、コーティング層が装用者の皮膚表面に浮き上がらずに密着することから、歩行時などにもずれを生じにくくなるという効果も得られる。
以下、本発明の一実施例について、図面を用いて説明する。
図1及び図2は、本発明に係る靴下の一実施例についての説明図である。図1は装用時の様子を示しており、図2は靴下を裏返して平らな平面上に配した様子を示している。図1中、ハッチングが施された(2),(3),(4)部は、靴下本体の表面にコーティング層が設けられていることを示すが、実際には靴下の外面ではなく、内面に設けられている。図ではコーティング層が設けられている位置を明瞭に示すために図1のような表示としているものである。また、図2(A)は靴下の底側、すなわち、該靴下を装用した際に足の裏面に接する側が見えるように平面状に配した様子を示している。逆に、図2(B)は靴下の上側、すなわち、該靴下を装用した際に足甲側に接する側が見えるように平面状に配した様子を示している。
図1に表示される本発明に係る靴下は、グリセリン誘導体を含んでいるレーヨン繊維を30%と綿糸70%を混紡して得た紡績糸を用いて靴下本体(1)を定法にて製造した。ここに、グリセリン誘導体を含んでいるレーヨン繊維とは、原料ビスコース中に、グリセリン誘導体として、リシノール酸モノグリセリド5重量%と10%水酸化ナトリウム溶液2.5重量%と乳化剤15重量%を含む乳化液をインジェクションを用いてミキサーにて連続混合し、直径60μmの紡糸口金から引出し、以下、一般的なレーヨンの製造法によって、カット、捲縮、精錬、乾燥して直径15μm〜20μm程度のレーヨン繊維を得たものである。
グリセリン誘導体を含んでいるレーヨン繊維が混紡された紡績糸で靴下本体(1)が作られているため、装用者の皮膚を適度に保湿する作用が得られ、本発明に係る靴下が接触する皮膚全体の皮膚の乾燥障害を穏やかに改善する効果が期待できる。ただし、あくまでも糸を織った織物であるから、通気性も優れている。従って、踵やつま先部分ほどには皮膚の過度の角質化などの深刻な皮膚の乾燥障害はないものの、皮膚表面が少し粉をふいたように見えるといった程度の比較的軽度の皮膚の乾燥障害を緩和するというような作用である。
靴下本体(1)のうち、装用時に足甲部に接触する部分には、図1に示すように足甲部コーティング層を設けている。同様に、装用時に踵部に接触する部分とつま先部分に接触する部分にも、それぞれ踵部分コーティング層(2)とつま先部分につま先部分コーティング層(3)を設けた。図1では、靴下本体(1)の外面にコーティング層を設けているように見えるが、これはコーティング層の位置を明瞭に表示する作図の都合でこのような表示としているもので、実際には、コーティング層は靴下本体(1)の内面、つまり、装用時に人体の皮膚に接触する側の面に設けられる。
図2を用いて、さらに本実施例について詳細に説明する。図2は靴下本体(1)を裏返して、つまり、装用時に人体の皮膚に接触する側の面が外側になるようにして平らな平面上に配した様子を説明する説明図であり、図2(A)は靴下の底側が見えるように、図2(B)は靴下の上側が見えるように配した様子を示している。靴下本体(1)を装用した際に、踵に対応する位置には踵部分コーティング層(2)が設けられている。コーティング層の形成は、シリコンコンパウンドにこめ油を3重量%添加して、靴下本体(1)の表面にスクリーン印刷によって200μmの厚みの踵部分コーティング層(2)を形成した。この際、コーティング層を形成したシリコンゴムのデュロメータゴム硬度(タイプA)は28であった。踵部分コーティング層(2)と同時に、靴下本体(1)のつま先側にもコーティング層を形成し、さらに、足甲部に対応する位置には足甲部分コーティング層(4)を形成した。
また、踵部分のコーティング層(2)は、踵部分前部コーティング層(2a)と踵部分後部コーティング層(2b)が間隙部(5)で分割されるように形成した。同様に、足甲部分コーティング層(4)は、足甲部分右側コーティング層(4a)と足甲部分左側コーティング層(4b)が間隙部z(5)で分割されるように形成した。
踵部分のコーティング層(2)に設けた間隙部(5)、及び、足甲部分に設けたコーティング層(4)に設けた間隙部(5)については、本実施例では幅を約0.5mmとしているが、この幅は事実上任意である。間隙部(5)を設けることで、面積の広いコーティング層部が面積の狭い領域に分割され、間隙部(5)で容易に折れ曲がることができるようになる。コーティング層が設けられている部分はどうしても他の部分と比較すると腰が強く、曲がりにくくなり、人体の皮膚の立体的形状を包み込むような形状には変形しがたい。このため、特に踵部分や足甲部のように曲率の大きな曲面状の皮膚から浮き上がったりしてしまいやすいのであるが、間隙部(5)によって容易に折れ曲がるようになり、常に装用者の皮膚と密着した状態が保たれるようになる。
以上の説明で明らかな通り、コーティング層の分割は二分割に限らず、必要に応じて任意の個数に分割することができる。本実施例では、踵部分のコーティング層(2)は前後に二分割、足甲部分のコーティング層(4)は左右に二分割しているが、これらをさらに分割してより皮膚へなじみやすくしてもよい。
なお、本実施例ではコーティング層の厚みはすべて200μmとしている。この程度の厚みであれば、スクリーン印刷によってコーティング層を形成した際にかすれ等が生じることもなく不良をほとんど発生しないと同時に、十分に薄いために靴下の装用感を損なわず、かつ、凹凸が靴下の表面に目立つこともないため良好な外観も維持される。
ところで、上記実施例では、コーティング層を形成したシリコンゴムのデュロメータゴム硬度(タイプA)は28であったが、これに代えて、デュロメータゴム硬度(タイプA)を5としたものも製造した。これ以外の部分については、上記実施例と同様である。
このように非常にやわらかいコーティング層とすると、コーティング層の異物感はほとんど感じられなくなり、非常に装用感の良好な靴下が得られた。一方で、コーティング層が非常にやわらかい為に、この部分での角質化した皮膚を削り落とす効果が少なくなる。ところが、装用感に優れる為に長時間装用することが可能であり、そうすると、コーティング層の保湿作用で過度に角質化した皮膚が徐々に水分を含んで柔らかくなり、結局は徐々に消しゴムでこすり落とすように角質化した皮膚が除去されることが分かった。従って、本発明は、極端にやわらかいコーティング層を備えた態様で実施することも可能である。
図3及び図4は、本発明に係る靴下のについての別の実施例についての説明図である。図3は装用時の様子を示しており、図4は靴下を裏返して平らな平面上に配した様子を示している。図3中、ハッチングが施された(2a),(2b),(6a),(6b)部は、靴下本体の表面にコーティング層が設けられていることを示すが、実際には靴下の外面ではなく、内面に設けられている。図ではコーティング層が設けられている位置を明瞭に示すために図3のような表示としているものである。また、図4(A)は靴下の底側、すなわち、該靴下を装用した際に足の裏面に接する側が見えるように平面状に配した様子を示している。逆に、図4(B)は靴下の上側、すなわち、該靴下を装用した際に足甲側に接する側が見えるように平面状に配した様子を示している。同図中の符号は、図3にあらわれるものと共通としている。
さて、本実施例では靴下(1)の装用時に足の脛部に対応する位置と踵部に対応する位置にコーティング層を設けている。脛部に対応する位置のコーティング層は、間隙部(5)によって2分割され、それぞれ脛部分右側コーティング層(6a)および脛部分左側コーティング層(6b)としている。このように分割することによって、曲率の大きな脛部にコーティング層が無理なく密着し、良好な保湿作用を奏する。なお、コーティング層をさらに分割したり、または、分割しない設計とすることも可能である。また、脛部に対応するコーティング層の厚みは200μmと薄く設定しており、非常に自然な装用感が得られるほか、柔軟性に富むために皮膚への密着性が良好である。とくに、コーティング層を分割しない場合には、薄いコーティング層とする利点が顕著となる。
踵部に対応する位置のコーティング層は、間隙部(5)によって2分割され、それぞれ踵部分前部コーティング層(2a)および踵部分後部コーティング層(2b)としている。この部分については、実施例1とほぼ同様であるが、コーティング層の厚みを400μmとしている。この部位は、常時体重を支える部分であるため、コーティング層が損傷し易いので、強度を高める目的で400μmの厚みに形成したものである。なお、踵部分は脛部分と比較して、厚めのコーティング層としても患者は違和感を感じにくく、また、外観上の問題も発生しにくい。脛部と踵部に限らず、コーティング層の厚みを部位ごとに最適なものとすることが可能であることは言うまでもないことである。
上記で特に説明していない部分については、本実施例に係る靴下は実施例1の場合と同様に制作している。このようにして得た靴下の効果を調べるため、20名の女性患者を対象に冬季に4週間試用した際の官能試験を実施した。下記表1および表2に、コーティング層を設けた脛部および踵部のそれぞれに対して、皮膚の乾燥障害の自覚症状である「カサカサ感」「乾燥感」に変化が見られたかどうかについての回答を得た結果を集計したものを示す。
Figure 2016023380
Figure 2016023380
表1および表2の結果から明らかなとおり、ほとんどの患者が皮膚の乾燥障害の自覚症状が改善したと回答しており、本発明の有用性を証明している。
また、本発明は靴下に関するものであるが、例えば足首部分のサポータのように、実質的に靴下と同一または靴下の一部と等価であるような繊維製品にも適用できることは明らかである。
以上のように、本発明は装用時の快適性や装用時の良好な外観を実現しつつ、皮膚の乾燥の防止や角質化した皮膚表面の削り落す作用を通じた皮膚の乾燥障害の緩和・改善を実現可能である靴下を提供することができる、極めて有用な発明であり、産業上の利用価値は極めて高い。
本発明の一実施例である靴下を示した説明図である。 本発明の一実施例である靴下を示した説明図である。 本発明の別の一実施例である靴下を示した説明図である。 本発明の別の一実施例である靴下を示した説明図である。
1 靴下本体
2 踵部分コーティング層
2a 踵部分前部コーティング層
2b 踵部分後部コーティング層
3 つま先部分コーティング層
4 足甲部分コーティング層
4a 足甲部分右側コーティング層
4b 足甲部分左側コーティング層
5 間隙部
6a 脛部分右側コーティング層
6b 脛部分左側コーティング層

Claims (12)

  1. 主に糸によって構成され、少なくとも一部に伸縮性を有する靴下であって、
    該靴下の内面のうち、装用時に足首部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、
    該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなる
    ことを特徴とする、靴下。
  2. 主に糸によって構成され、少なくとも一部に伸縮性を有する靴下であって、
    該靴下の内面のうち、装用時に足甲部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、
    該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなる
    ことを特徴とする、靴下。
  3. 主に糸によって構成され、少なくとも一部に伸縮性を有する靴下であって、
    該靴下の内面のうち、装用時に脛部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、
    該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなる
    ことを特徴とする、靴下。
  4. 前記靴下の内面のうち、装用時につま先部及び踵部に接触する部分の少なくとも一部にコーティング層が設けられており、
    該コーティング層は、ゴム質材料にこめ油を配合したものからなる
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の靴下。
  5. 前記コーティング層のデュロメータゴム硬度(タイプA)は、20乃至40の範囲である
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の靴下。
  6. 前記コーティング層のデュロメータゴム硬度(タイプA)は、3乃至10の範囲である
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4いずれか一に記載の靴下。
  7. 前記ゴム質材料はシリコンゴムである
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の靴下。
  8. 前記ゴム質材料はウレタンゴムである
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の靴下。
  9. 前記コーティング層の厚みは100μm以上かつ600μm以下である
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の靴下。
  10. 前記糸には、こめ油を含むレーヨン繊維を少なくとも5重量%含んでいる
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の靴下。
  11. 前記糸には、グリセリン誘導体を含むレーヨン繊維を少なくとも5重量%含んでいる
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の靴下。
  12. 前記コーティング層のうちの少なくとも一つが、複数の領域に実質的に分割されている
    ことを特徴としている請求項1乃至請求項11いずれか一に記載の靴下。
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