以下、電動機制御装置の実施形態について説明する。以下では、電動機制御装置が適用された車両1を用いて、電動機制御装置の実施形態を説明する。但し、電動機制御装置は、車両以外の任意の機器(特に、電動機を備える任意の機器)に適用されてもよい。
(1)車両1の構成
はじめに、図1から図4を参照しながら、本実施形態の車両1の構成について説明する。
(1−1)車両1の全体構成
まず、図1を参照しながら、本実施形態の車両1の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態の車両1の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両1は、直流電源11と、平滑コンデンサ12と、電圧センサ12Vと、「電力変換器」の一具体例であるインバータ13と、「三相交流電動機」の一具体例であるモータジェネレータ14と、V相電流センサ14vと、W相電流センサ14wと、「電動機制御装置」の一具体例であるECU(Electronic Control Unit)15とを備えている。
直流電源11は、充電可能な蓄電装置である。直流電源11の一例として、例えば、二次電池(例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等)や、キャパシタ(例えば、電気二重相キャパシタや大容量のコンデンサ等)が例示される。
平滑コンデンサ12は、直流電源11の正極線と直流電源11の負極線との間に接続された電圧平滑用のコンデンサである。つまり、平滑コンデンサ12は、正極線と負極線との間の端子間電圧VHの変動を平滑化するためのコンデンサである。
電圧センサ12Vは、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHを検出する。電圧センサ12Vの検出信号(以降、適宜“端子間電圧検出信号VH*”と称する)は、ECU15によって適宜参照される。
インバータ13は、直流電源11から供給される直流電力(直流電圧)を交流電力(三相交流電圧)に変換する。直流電力(直流電圧)を交流電力(三相交流電圧)に変換するために、インバータ13は、p側スイッチング素子Qup及びn側スイッチング素子Qunを含むU相アーム、p側スイッチング素子Qvp及びn側スイッチング素子Qvnを含むV相アーム及びp側スイッチング素子Qwp及びn側スイッチング素子Qwnを含むW相アームを備えている。インバータ13が備える各アームは、正極線と負極線との間に並列に接続されている。p側スイッチング素子Qup及びn側スイッチング素子Qunは、正極線と負極線との間に直列に接続される。p側スイッチング素子Qvp及びn側スイッチング素子Qvn並びにp側スイッチング素子Qwp及びn側スイッチング素子Qwnについても同様である。p側スイッチング素子Qupには、p側スイッチング素子Qupのエミッタ端子からp側スイッチング素子Qupのコレクタ端子へと電流を流す整流用ダイオードDupが接続されている。n側スイッチング素子Qunからn側スイッチング素子Qwnについても同様に、整流用ダイオードDunから整流用ダイオードDwnが夫々接続されている。インバータ13における各相アームの上側アーム(つまり、各p側スイッチング素子)と下側アーム(つまり、各n側スイッチング素子)との中間点は、夫々モータジェネレータ14の各相巻線(各相コイル)に接続されている。その結果、インバータ13による変換動作の結果生成される交流電力(三相交流電圧)が、モータジェネレータ14に供給される。
モータジェネレータ14は、三相交流電動発電機である。モータジェネレータ14は、車両1が走行するために必要なトルクを発生するように駆動する。モータジェネレータ14が発生したトルクは、当該モータジェネレータ14の回転軸に機械的に連結された駆動軸を介して、駆動輪に伝達される。尚、モータジェネレータ14は、車両1の制動時に電力回生(発電)を行ってもよい。
V相電流センサ14vは、モータジェネレータ14のV相巻線に流れる相電流(つまり、V相電流Iv)を検出する。V相電流センサ14vの検出信号(以降、適宜“V相電流検出信号Iv*”と称する)は、ECU15によって適宜参照される。
W相電流センサ14wは、モータジェネレータ14のW相巻線に流れる相電流(つまり、W相電流Iw)を検出する。W相電流センサ14wの検出信号(以降、適宜“W相電流検出信号Iw*”と称する)は、ECU15によって適宜参照される。
ECU15は、車両1の動作を制御するための電子制御ユニットである。特に、第1実施形態では、ECU15は、インバータ13の動作を制御するためのインバータ制御動作を行う。尚、ECU15によるインバータ制御動作については、後に詳述する(図5等参照)。
(1−2)ECU15の構成
続いて、図2から図4を参照しながら、本実施形態の車両1が備えるECU15の構成(特に、インバータ13の動作を制御するための構成)について説明する。
(1−2−1)ECU15の全体構成
初めに、図2を参照しながら、ECU15の全体構成について説明する。図2は、ECU15の全体構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ECU15は、三相/二相変換部152と、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御部153と、矩形波制御部154と、「第1補正手段」及び「第2補正手段」の夫々の一具体例である加算器158(具体的には、V相加算器158v及びW相加算器158w)を備えている。
三相/二相変換部152は、V相電流センサ14vからV相電流検出信号Iv*を取得する。更に、三相/二相変換部152は、W相電流センサ14wからW相電流検出信号Iw*を取得する。三相/二相変換部152は、三相電流値に相当するV相電流検出信号Iv*及びW相電流検出信号Iw*を、二相電流値に相当するd軸電流Id及びq軸電流Iqに変換する。三相/二相変換部152は、d軸電流Id及びq軸電流IqをPWM制御部153及び矩形波制御部154の夫々に出力する。
PWM制御部153は、三相/二相変換部152から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqに基づいて、インバータ13を制御する。特に、PWM制御部153は、PWM制御方式に準拠して、インバータ13を制御する。具体的には、PWM制御部153は、インバータ13を制御するために、PWM制御方式に準拠して、d軸電流Id及びq軸電流IqからPWM信号を生成する。その結果、インバータ13は、PWM信号に基づいて動作する。
加えて、PWM制御部153は、電流センサ14vの検出信号であるV相電流検出信号Iv*を補正するための補正量(V相補正量)Cv3及び電流センサ14wの検出信号であるW相電流検出信号Iw*を補正するための補正量(W相補正量)Cw3を算出する。尚、PWM制御部153の構成については、後に詳述する(図3参照)。
矩形波制御部154は、三相/二相変換部152から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqに基づいて、インバータ13を制御する。特に、矩形波制御部154は、矩形波制御方式に準拠して、インバータ13を制御する。具体的には、矩形波制御部154は、インバータ13を制御するために、矩形波制御方式に準拠して、d軸電流Id及びq軸電流Iqから矩形波信号を生成する。その結果、インバータ13は、矩形波信号に基づいて動作する。
加えて、矩形波制御部154は、電流センサ14vの検出信号であるV相電流検出信号Iv*を補正するための補正量(V相補正量)Cv4及び電流センサ14wの検出信号であるW相電流検出信号Iw*を補正するための補正量(W相補正量)Cw4を算出する。尚、矩形波制御部154の構成については、後に詳述する(図4参照)。
V相加算器158vは、PWM制御部153が算出したV相補正量Cv3又は矩形波制御部154が算出したV相補正量Cv4をV相電流検出信号Iv*に対して加算する。これにより、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvが補正される(典型的には、相殺される)。
W相加算器158wは、PWM制御部153が算出したW相補正量Cw3又は矩形波制御部154が算出したW相補正量Cw4をW相電流検出信号Iw*に対して加算する。これにより、W相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwが補正される(典型的には、相殺される)。
尚、上述したPWM制御部153が行うV相補正量Cv3及びW相補正量Cw3の算出動作、V相加算器158vが行うV相補正量Cv3の加算動作、並びに、W相加算器158wが行うW相補正量Cw3の加算動作は、「第2補正手段」が行う動作の一具体例である。その詳細は、後に詳述する。
また、上述した矩形波制御部154が行うV相補正量Cv4及びW相補正量Cw4の算出動作、V相加算器158vが行うV相補正量Cv4の加算動作、並びに、W相加算器158wが行うW相補正量Cw4の加算動作は、「第1補正手段」が行う動作の一具体例である。その詳細は、後に詳述する。
(1−2−2)PWM制御部153の構成
続いて、図3を参照しながら、ECU15が備えるPWM制御部153の構成について説明する。図3は、ECU15が備えるPWM制御部153の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、PWM制御部153は、電流指令変換部1531と、電流制御部1532と、二相/三相変換部1533と、PWM変換部1534と、「特定手段」の一具体例であるコンデンサ電流相特定部1535と、「第2補正手段」の一具体例である補正量算出部1536(具体的には、V相補正量算出部1536v及びW相補正量算出部1536w)とを備えている。
電流指令変換部1531は、三相交流電動機14のトルク指令値TRに基づいて、二相電流指令信号(つまり、d軸電流指令信号Idtg及びq軸電流指令信号Iqtg)を生成する。電流指令変換部151aは、d軸電流指令信号Idtg及びq軸電流指令信号Iqtgを電流制御部1532に出力する。
電流制御部1532は、電流指令変換部1531から出力されるd軸電流指令信号Idtg及びq軸電流指令信号Iqtgと、三相/二相変換部152から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqとの差分に基づいて、二相電圧指令信号に相当するd軸電圧指令信号Vd及びq軸電圧指令信号Vqを生成する。このとき、電流制御部1532は、例えば、PI(Proportional Integral)制御又はPID(Proportional Integral Derivative)制御を用いて、d軸電圧指令信号Vd及びq軸電圧指令信号Vqを生成してもよい。電流制御部1532は、d軸電圧指令信号Vd及びq軸電圧指令信号Vqを、二相/三相変換部1533に出力する。
二相/三相変換部1533は、d軸電圧指令信号Vd及びq軸電圧指令信号Vqを、三相電圧指令信号であるU相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vwに変換する。二相/三相変換部1533は、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号VwをPWM変換部1534に出力する。
PWM変換部1534は、所定のキャリア周波数fを有するキャリア信号CとU相電圧指令信号Vuとの大小関係に基づいて、p側スイッチング素子Qupを駆動するためのU相PWM信号Gup及びn側スイッチング素子Qunを駆動するためのU相PWM信号Gunを生成する。更に、PWM変換部1534は、キャリア信号CとV相電圧指令信号Vvとの大小関係に基づいて、p側スイッチング素子Qvpを駆動するためのV相PWM信号Gvp及びn側スイッチング素子Qvnを駆動するためのV相PWM信号Gvnを生成する。加えて、PWM変換部1534は、キャリア信号CとW相電圧指令信号Vwとの大小関係に基づいて、p側スイッチング素子Qwpを駆動するためのW相PWM信号Gwp及びn側スイッチング素子Qwnを駆動するためのW相PWM信号Gwnを生成する。
PWM変換部1534は、U相PWM信号Gup及びGun、V相PWM信号Gvp及びGvn並びにW相PWM信号Gwp及びGwnを、インバータ13に出力する。その結果、インバータ13は、U相PWM信号Gup及びGun、V相PWM信号Gvp及びGvn並びにW相PWM信号Gwp及びGwnに応じて動作する。
コンデンサ電流相特定部1535は、コンデンサ電流相を特定する。言い換えれば、コンデンサ電流相特定部1535は、コンデンサ電流相がU相であるか否か、コンデンサ電流相がV相であるか否か及びコンデンサ電流相がW相であるか否かを特定する。更に言い換えれば、コンデンサ電流相特定部1535は、U相、V相及びW相のいずれの相がコンデンサ電流相であるかを特定する。尚、コンデンサ電流相とは、コンデンサ電流(つまり、平滑コンデンサ12を流れる電流)Icを規定する主たる相電流が流れる相である。例えば、後に詳述するように、コンデンサ電流Icの波形が断続的なパルスが繰り返される形状であることを考慮すれば(図8等参照)、コンデンサ電流相は、コンデンサ電流Icの各パルス波形のピーク値を結ぶ仮想的な線と概ね同一態様の信号レベルを有する(言い換えれば、コンデンサ電流Icのピーク値を結ぶ仮想的な線を形成する)相電流が流れる相である。
尚、コンデンサ電流相特定部1535の動作の詳細については、後に詳述する(図9から図11参照)。このため、ここでのコンデンサ電流相特定部1535の動作の詳細な説明を省略する。
V相補正量算出部1536vは、V相電流検出信号Iv*を補正するためのV相補正量Cv3を算出する。具体的には、V相補正量算出部1536vは、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvを補正する(典型的には、相殺する)ために必要なV相補正量Cv3を算出する。
特に、V相補正量算出部1536vは、コンデンサ電流相がV相であると特定されている期間中に当該V相補正量算出部1536vに入力される端子間電圧検出信号VH*に基づいて、V相補正量Cv3を算出することが好ましい。具体的には、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合には、当該誤差αvは、端子間電圧VH(言い換えれば、端子間電圧検出信号VH*)の増減を引き起こし得る。より具体的には、当該誤差αvは、所定期間中の端子間電圧VH(言い換えれば、端子間電圧検出信号VH*)の平均信号レベルの増減を引き起こし得る。従って、本実施形態では、V相補正量算出部1536vは、端子間電圧検出信号VH*の変動量(つまり、所定期間中の端子間電圧検出信号VH*の平均信号レベルの変動量)が概ねゼロになるように、V相補正量Cv3を算出してもよい。言い換えれば、V相補正量算出部1536vは、端子間電圧検出信号VH*(つまり、所定期間中の端子間電圧検出信号VH*の平均信号レベル)が目標電圧値に一致するように、V相補正量Cv3を算出してもよい。
W相補正量算出部1536wは、W相電流検出信号Iw*を補正するためのW相補正量Cw3を算出する。具体的には、W相補正量算出部1536wは、W相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwを補正するために必要なW相補正量Cw3を算出する。
特に、W相補正量算出部1536wは、コンデンサ電流相がW相であると特定されている期間中に当該W相補正量算出部1536wに入力される端子間電圧検出信号VH*に基づいて、W相補正量Cw3を算出することが好ましい。具体的には、W相電流検出信号Iw*に誤差αwが含まれている場合には、当該誤差αwは、端子間電圧VH(言い換えれば、端子間電圧検出信号VH*)の増減を引き起こし得る。より具体的には、当該誤差αwは、所定期間中の端子間電圧VH(言い換えれば、端子間電圧検出信号VH*)の平均信号レベルの増減を引き起こし得る。従って、本実施形態では、W相補正量算出部1536wは、端子間電圧検出信号VH*の変動量(つまり、所定期間中の端子間電圧検出信号VH*の平均信号レベルの変動量)が概ねゼロになるように、W相補正量Cw3を算出してもよい。言い換えれば、W相補正量算出部1536wは、端子間電圧検出信号VH*(つまり、所定期間中の端子間電圧検出信号VH*の平均信号レベル)が目標電圧値に一致するように、W相補正量Cw3を算出してもよい。
尚、以下では、説明の簡略化のために、特段の説明がない場合には、誤差αv及び誤差αwを補正する動作における“端子間電圧検出信号VH*”及び“端子間電圧VH”は、夫々、“所定期間中の端子間電圧検出信号VH*の平均信号レベル”及び“所定期間中の端子間電圧VHの平均信号レベル”を意味するものとする。但し、“端子間電圧検出信号VH*”及び“端子間電圧VH”は、夫々、“端子間電圧検出信号VH*そのもの又は端子間電圧検出信号VH*の特性を示す任意のパラメータ”及び“端子間電圧VHそのもの又は端子間電圧VHの特性を示す任意のパラメータ”を意味していてもよい。
また、V相補正量算出部1536v及びW相補正量算出部1536wの動作の詳細については、後に詳述する。このため、ここでのV相補正量算出部1536v及びW相補正量算出部1536wの動作の詳細な説明を省略する。
(1−2−3)矩形波制御部154の構成
続いて、図4を参照しながら、ECU15が備える矩形波制御部154の構成について説明する。図4は、ECU15が備える矩形波制御部154の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、矩形波制御部154は、位相制御部1541と、位相変換部1542と、矩形波生成部1543と、「特定手段」の一具体例であるコンデンサ電流相特定部1544と、「調整手段」の一具体例であるSW(スイッチング)タイミング調整部1545と、「第1補正手段」の一具体例である補正量算出部1546(具体的には、V相補正量算出部1546v及びW相補正量算出部1546w)とを備えている。
位相制御部1541は、三相/二相変換部152から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqに基づいて、モータジェネレータ14が出力しているトルク(出力トルク)を推定する。更に、位相制御部1541は、推定した出力トルクがトルク指令値TRと一致するように、電圧位相指令信号φ2(典型的には、dq座標系における電圧位相指令信号φ2)を算出する。
位相変換部1542は、dq座標系における電圧位相指令信号φ2を、三相固定座標系における電圧位相指令信号φ3に変換する。例えば、位相変換部1542は、電圧位相指令信号φ2に対して、モータジェネレータ14の回転角を検出するレゾルバの検出角(以降、適宜“レゾルバ角”と称する)θ及び90°を加算することで得られる値が電圧位相指令信号φ3となるように、電圧位相指令信号φ2を電圧位相指令信号φ3に変換してもよい。言い換えれば、位相変換部1542は、電圧位相指令信号φ3=電圧位相指令信号φ2+レゾルバ角θ+90°という数式を用いて、電圧位相指令信号φ2を電圧位相指令信号φ3に変換してもよい。
矩形波生成部1543は、電圧位相指令信号φ3に基づいて、p側スイッチング素子Qupを駆動するためのU相矩形波信号Pup及びn側スイッチング素子Qunを駆動するためのU相矩形波信号Punを生成する。加えて、矩形波生成部1543は、電圧位相指令信号φ3に基づいて、p側スイッチング素子Qvpを駆動するためのV相矩形波信号Pvp及びn側スイッチング素子Qvnを駆動するためのV相矩形波信号Pvnを生成する。加えて、矩形波生成部1543は、電圧位相指令信号φ3に基づいて、p側スイッチング素子Qwpを駆動するためのW相矩形波信号Pwp及びn側スイッチング素子Qwnを駆動するためのW相矩形波信号Pwnを生成する。
矩形波生成部1543は、U相矩形波信号Pup及びPun、V相矩形波信号Pvp及びPvn並びにW相矩形波信号Pwp及びPwnを、インバータ13に出力する。その結果、インバータ13は、U相矩形波信号Pup及びPun、V相矩形波信号Pvp及びPvn並びにW相矩形波信号Pwp及びPwnに応じて動作する。
コンデンサ電流相特定部1544は、上述したPWM制御部153が備えるコンデンサ電流相特定部1535と同様に、コンデンサ電流相を特定する。但し、コンデンサ電流相特定部1544は、コンデンサ電流相特定部1535とは異なる方法で、コンデンサ電流相を特定する。尚、コンデンサ電流相特定部1544の動作の詳細については、後に詳述する(図15参照)。このため、ここでのコンデンサ電流相特定部1544の動作の詳細な説明を省略する。
SWタイミング調整部1545は、矩形波生成部1543が生成する矩形波信号のうちコンデンサ電流相の矩形波信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのうちの少なくとも一方の位相(言い換えれば、タイミングであり、以降、適宜“矩形波信号のスイッチング角”と称する)を調整する。特に、SWタイミング調整部1545は、電圧センサ12Vから当該SWタイミング調整部1545に入力される端子間電圧検出信号VH*に基づいて、矩形波信号のスイッチング角を調整する。尚、SWタイミング調整部1545の動作の詳細については、後に詳述する(図16参照)。このため、ここでのSWタイミング調整部1545の動作の詳細な説明を省略する。
V相補正量算出部1546vは、V相電流検出信号Iv*を補正するためのV相補正量Cv4を算出する。具体的には、V相補正量算出部1546vは、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvを補正する(典型的には、相殺する)ために必要なV相補正量Cv4を算出する。
特に、V相補正量算出部1546vは、SWタイミング調整部1545による矩形波信号のスイッチング角の調整によって端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値に一致している(つまり、端子間電圧検出信号VH*の変動量が概ねゼロになる)状態で、V相補正量Cv4を算出する。更に、V相補正量算出部1546vは、V相電流検出信号Iv*の平均信号レベルと基準信号レベルとの差分に基づいて、V相補正量Cv4を算出してもよい。例えば、V相補正量算出部1546vは、V相電流検出信号Iv*の平均信号レベルと基準信号レベルとの差分がゼロになる(つまり、V相電流検出信号Iv*の平均信号レベルが基準信号レベルに一致する)ように、V相補正量Cv4を算出してもよい。
W相補正量算出部1546wは、W相電流検出信号Iw*を補正するためのW相補正量Cw4を算出する。具体的には、W相補正量算出部1546wは、W相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αwを補正する(典型的には、相殺する)ために必要なW相補正量Cw4を算出する。
特に、W相補正量算出部1546wは、SWタイミング調整部1545による矩形波信号のスイッチング角の調整によって端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値に一致している(つまり、端子間電圧検出信号VH*の変動量が概ねゼロになる)状態で、W相補正量Cw4を算出する。更に、W相補正量算出部1546wは、W相電流検出信号Iw*の平均信号レベルと基準信号レベルとの差分に基づいて、W相補正量Cw4を算出してもよい。例えば、W相補正量算出部1546wは、W相電流検出信号Iw*の平均信号レベルと基準信号レベルとの差分がゼロになるように、W相補正量Cw4を算出してもよい。
尚、以下では、説明の簡略化のため、基準信号レベル=ゼロ(つまり、ゼロレベル)であるものとして説明を進める。但し、基準信号レベルはゼロレベルとは異なる任意の信号レベルであってもよい。
(2)本実施形態におけるインバータ制御動作の流れ
続いて、図5から図17を参照しながら、本実施形態の車両1において行われるインバータ制御動作(つまり、ECU15が行うインバータ制御動作)について説明する。
(2−1)インバータ制御動作の全体の流れ
初めに、図5を参照しながら、本実施形態の車両1において行われるインバータ制御動作(つまり、ECU15が行うインバータ制御動作)全体の流れについて説明する。図5は、本実施形態の車両1において行われるインバータ制御動作(つまり、ECU15が行うインバータ制御動作)の全体の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、ECU15は、PWM制御方式に準拠してインバータ13を制御するべきか否かを判定する(ステップS1)。例えば、ECU15は、車両1の負荷に基づいて、PWM制御方式に準拠してインバータ13を制御するべきか否かを判定してもよい。具体的には、車両1の負荷が相対的に低負荷である場合には、ECU15は、PWM制御方式に準拠してインバータ13を制御するべきであると判定してもよい。一方で、車両1の負荷が相対的に高負荷である場合には、ECU15は、PWM制御方式に準拠してインバータ13を制御するべきでない(例えば、矩形波制御方式に準拠してインバータ13を制御するべきである)と判定してもよい。
ステップS1の判定の結果、PWM制御方式に準拠してインバータ13を制御するべきであると判定される場合には(ステップS1:Yes)、PWM制御部153は、PWM制御方式に準拠して、インバータ13を制御する(ステップS3)。このとき、矩形波制御部154は、動作しなくてもよい。
他方で、ステップS1の判定の結果、PWM制御方式に準拠してインバータ13を制御するべきでないと判定される場合には(ステップS1:No)、矩形波制御部154は、矩形波制御方式に準拠して、インバータ13を制御する(ステップS4)。このとき、PWM制御部153は、動作しなくてもよい。
(2−2)PWM制御部153によるインバータ制御動作の流れ
続いて、図6を参照しながら、PWM制御部153が行うインバータ制御動作(PWM制御動作)の流れについて説明する。図6は、PWM制御部153が行うインバータ制御動作(PWM制御動作)の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、二相/三相変換部1533は、三相電圧指令信号(つまり、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vw)を生成する(ステップS311)。尚、三相電圧指令信号の生成方法は、図3を参照しながら上述したとおりである。
その後、PWM変換部1534は、キャリア信号CとU相電圧指令信号Vuとの大小関係に基づいて、U相PWM信号Gup及びGunを生成する(ステップS312)。同様に、PWM変換部1534は、キャリア信号CとV相電圧指令信号Vvとの大小関係に基づいて、V相PWM信号Gvp及びGvnを生成する(ステップS312)。同様に、PWM変換部1534は、キャリア信号CとW相電圧指令信号Vwとの大小関係に基づいて、W相PWM信号Gwp及びGwnを生成する(ステップS312)。その結果、インバータ13は、各PWM信号に基づいて動作する。
ステップS311からステップS312の動作と並行して、PWM制御部153は、V相電流センサ14vの検出信号であるV相電流検出信号Iv*に含まれる誤差αvを補正する(ステップS321からステップS324)。更に、PWM制御部153は、W相電流センサ14wの検出信号であるW相電流検出信号Iw*に含まれる誤差αwを補正する(ステップS321からステップS324)。
ここで、図7及び図8を参照しながら、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている状況について説明する。図7は、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが生じている場合のV相電流検出信号Iv*と実際のV相電流Ivとの関係を示すグラフである。図8は、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合の三相電流(つまり、U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iw)とコンデンサ電流Ic及び端子間電圧VHとの関係、並びに、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれていない場合の三相電流とコンデンサ電流Ic及び端子間電圧VHとの関係を示すグラフである。
図7(a)に示すように、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれているものとする。つまり、V相電流検出信号Iv*が、実際のV相電流Ivに対して誤差αvを加算した値になる(つまり、V相電流検出信号Iv*=実際のV相電流Iv+誤差αvとなる)ものとする。尚、当初は、実際のV相電流Ivは、目標電流値Ivtと一致しているものとする。また、図7(a)に示す例では、誤差αvは、オフセット誤差である。
ここで、PWM制御部153が、図6のステップS321からステップS324の動作(つまり、誤差αv補正動作)を行うことなく、誤差αvが含まれているV相電流検出信号Iv*に基づいて図6のステップS311からステップS312の動作を行う場合を想定する。この場合、図7(b)に示すように、PWM制御部153は、図6のステップS311からステップS312の動作を行うことで、V相電流検出信号Iv*が目標電流値Ivtと一致するようにインバータ13の動作を制御することになる。つまり、PWM制御部153は、V相電流検出信号Iv*の波形が図7(a)中に実線で示す波形から図7(b)中に実線で示す波形へと変化する(言い換えれば、V相電流検出信号Iv*が誤差αvだけ小さくなる)ように、インバータ13の動作を制御することになる。その結果、実際のV相電流Ivは、目標電流値Ivtから誤差αvだけ小さい電流になってしまう(つまり、V相電流Iv=目標電流値Ivt−誤差αvとなってしまう)。つまり、実際のV相電流Ivは、本来とるべき電流値(つまり、目標電流値Ivt)よりも小さい電流になってしまう。より具体的には、誤差αvが含まれたままのV相電流検出信号Iv*に基づいて(つまり、図6のステップS321からステップS324の動作により誤差αvが補正されることなく)インバータ13が制御される結果、図7(a)中の破線の波形で示すように当初は目標電流値Ivtに一致していたV相電流Ivは、図7(b)中の破線の波形で示すように、目標値Ivtから誤差αvだけ小さい電流になってしまう。
ここで、各相電流は、平滑コンデンサ12を流れるコンデンサ電流Icを順次規定する。典型的には、信号レベルがゼロになる相電流が、当該相電流の信号レベルがゼロになってから所定期間が経過するまでの間のコンデンサ電流Icを規定する。例えば、図8(a)は、期間T51のコンデンサ電流Icが正極性のU相電流Iuによって規定され、期間T52のコンデンサ電流Icが負極性のW相電流Iwによって規定され、期間T53のコンデンサ電流Icが正極性のV相電流によって規定され、期間T54のコンデンサ電流Icが負極性のU相電流によって規定され、期間T55のコンデンサ電流Icが正極性のW相電流によって規定され、期間T56のコンデンサ電流Icが負極性のV相電流によって規定される例を示している。尚、負極性の相電流がコンデンサ電流Icを規定している場合には、当該負極性の相電流の極性を反転させることで得られる相電流が、コンデンサ電流Icを規定しているとも言える。従って、図8(a)に示す例では、期間T51及び期間T54は、コンデンサ電流相がU相となる。同様に、図8(a)に示す例では、期間T52及び期間T55は、コンデンサ電流相がW相となる。同様に、図8(a)に示す例では、期間T53及び期間T56は、コンデンサ電流相がV相となる。尚、期間T57以降は、期間T51から期間T56における状態が繰り返される。
ここで、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合には、図7(b)に示すように、実際のV相電流Ivは、目標電流値Ivtから誤差αvだけ小さい値になる。一方で、実際のU相電流Iu及び実際のW相電流Iwは、目標電流値Ivtと一致しているものとする。この場合、V相電流Ivの信号波形は、U相電流Iu及びW相電流Iwの信号波形よりも負方向にシフトしている。このため、コンデンサ電流相がV相となる期間中のコンデンサ電流Icは、コンデンサ電流相がU相又はW相となる期間中のコンデンサ電流Icと比較して増加又は減少する。具体的には、コンデンサ電流相がV相となる期間T53中のコンデンサ電流Icは、コンデンサ電流相がU相又はW相となる期間中のコンデンサ電流Icと比較して減少する。一方で、コンデンサ電流相がV相となる期間T56中のコンデンサ電流Icは、コンデンサ電流相がU相又はW相となる期間中のコンデンサ電流Icと比較して増加する。
コンデンサ電流Icの減少は、モータジェネレータ14における電力消費量の減少を意味する。その結果、図8(a)に示すように、コンデンサ電流Icの減少は、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHの増加につながる。同様に、コンデンサ電流Icの増加は、モータジェネレータ14における電力消費量の増加を意味する。その結果、図7(a)に示すように、コンデンサ電流Icの増加は、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHの減少につながる。このため、V相電流検出信号Iv*に誤差(オフセット誤差)αvが含まれている場合には、端子間電圧VHは、V相電流検出信号Iv*の周波数と同一の周波数で変動してしまう。つまり、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合には、端子間電圧VHは、目標電圧値と一致しなくなってしまう。
尚、説明の簡略化のために図示しないものの、V相電流検出信号Iv*に誤差(ゲイン誤差)αvが含まれている場合には、端子間電圧VHは、V相電流検出信号Iv*の周波数の2倍の周波数で変動してしまう。
また、図7及び図8では、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている例を用いて説明を進めている。しかしながら、W相電流検出信号Iw*に誤差αwが含まれている場合にも同様のことが言える。つまり、W相電流検出信号Iw*に誤差(オフセット誤差)αwが含まれている場合には、端子間電圧VHは、W相電流検出信号Iw*の周波数と同一の周波数で変動してしまう。つまり、W相電流検出信号Iw*に誤差αwが含まれている場合には、端子間電圧VHは、目標電圧値と一致しなくなってしまう。
他方で、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれていない場合には、図7(b)に示すように、V相電流Ivの信号波形は、U相電流Iu及びW相電流Iwの信号波形よりも負方向にシフトすることはない。このため、コンデンサ電流相がV相となる期間中のコンデンサ電流Icは、コンデンサ電流相がU相又はV相となる期間中のコンデンサ電流Icと概ね同一となる。従って、V相電流検出信号Iv*に誤差(オフセット誤差)αvが含まれていない場合には、端子間電圧VHは変動しにくい。
このような端子間電圧VHの変動は、インバータ13が備える各スイッチング素子等の故障につながりかねない。従って、各スイッチング素子等の故障を防ぐために、スイッチング素子等の耐圧特性を高める対応策が必要になるとも考えられる。或いは、端子間電圧VHの変動を抑制するための平滑コンデンサの静電容量を高める対応策が必要となるとも考えられる。しかしながら、これらの対応策は、コストの増加につながるため、必ずしもベストの対応策であるとは限らない。このため、本実施形態では、そもそもの端子間電圧VHの変動を引き起こす原因となっている、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvを補正する対応策を採用する。
そこで誤差αvを補正する対応策について検討するに、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている(つまり、V相電流検出信号Iv*がV相電流Ivと一致しない)場合には、コンデンサ電流相がV相となる期間中に端子間電圧VHが変動する。同様に、W相電流検出信号Iw*に誤差αwが含まれている(つまり、W相電流検出信号Iw*がW相電流Iwと一致しない)場合には、コンデンサ電流相がW相となる期間中に端子間電圧VHが変動する。従って、PWM制御部153は、端子間電圧VHの変動を検出することで、V相電流検出信号Iv*及びW相電流検出信号Iw*のうちの少なくとも一方に誤差が含まれている可能性が相対的に高いことを認識することができる。更に、PWM制御部153は、端子間電圧VHが変動している期間中のコンデンサ電流相を特定することで、V相電流検出信号Iv*及びW相電流検出信号Iw*のいずれに誤差が含まれているかを特定することができる。つまり、PWM制御部153は、コンデンサ電流相の特定及び端子間電圧VHの変動の監視を行うことで、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αv及びW相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwの夫々を個別に特定すると共に補正することができる。
より具体的には、PWM制御部153は、V相がコンデンサ電流相であると特定されている間に端子間電圧検出信号VH*が変動している場合には、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれていると認識することができる。従って、この場合には、PWM制御部153は、V相がコンデンサ電流相であると特定されている間に、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中の端子間電圧検出信号VH*の変動量がゼロになるようにV相電流検出信号Iv*を補正するためのV相補正量Cv3を算出する。言い換えれば、PWM制御部153は、V相がコンデンサ電流相であると特定されている間に、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中の端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値に一致するようにV相電流検出信号Iv*を補正するためのV相補正量Cv3を算出する。その結果、PWM制御部153は、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvを補正(相殺)することができる。
同様に、PWM制御部153は、W相がコンデンサ電流相であると特定されている間に端子間電圧検出信号VH*が変動している場合には、W相電流検出信号Iw*に誤差αwが含まれていると認識することができる。従って、この場合には、PWM制御部153は、W相がコンデンサ電流相であると特定されている間に、W相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中の端子間電圧検出信号VH*の変動量がゼロになるようにW相電流検出信号Iw*を補正するためのW相補正量Cw3を算出する。言い換えれば、PWM制御部153は、W相がコンデンサ電流相であると特定されている間に、W相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中の端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値に一致するようにW相電流検出信号Iw*を補正するためのW相補正量Cw3を算出する。その結果、PWM制御部153は、W相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwを補正(相殺)することができる。
以下、再び図6を参照しながら、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αv及びW相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwを補正する動作についての説明を続ける。
図6に示すように、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αv及びW相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwを補正するために、コンデンサ電流相特定部1535は、まずは、コンデンサ電流相を特定する(ステップS321)。
本実施形態では、コンデンサ電流相特定部1535は、コンデンサ電流相を特定するために、三相電圧指令信号(つまり、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vw)の大小関係を利用する。
具体的には、本実施形態では、コンデンサ電流相特定部1535は、まず、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vwのうち信号レベルが最大でなく且つ最小でない中心相電圧指令信号を特定する。言い換えれば、コンデンサ電流相特定部1535は、まず、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vwのうち信号レベルが2番目に大きい(或いは、2番目に小さい)中心相電圧指令信号を特定する。更に、言い換えれば、コンデンサ電流相特定部1535は、まず、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vwのうち信号レベルがゼロレベル(或いは、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vwの信号レベルの平均値)に最も近い信号レベルを有する中心相電圧指令信号を特定する。
その後、コンデンサ電流相特定部1535は、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vwのうち中心相電圧指令信号ではなく且つ中心相電圧指令信号の信号レベルとの差分の絶対値が大きい方の相電圧指令信号の相が、コンデンサ電流相であると特定する。言い換えれば、コンデンサ電流相特定部1535は、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vwのうち中心相電圧指令信号から最も離れている相電圧指令信号の相を、コンデンサ電流相と特定する。
以下、図9を参照しながら、三相電圧指令信号(つまり、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vw)の大小関係に基づいてコンデンサ電流相を特定する動作について説明する。図9は、三相電圧指令信号(つまり、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vw)の大小関係とコンデンサ電流相との関係を示すグラフ及び表である。
図9(a)に示す三相電圧指令信号において、期間#4に着目する。期間#4では、W相電圧指令信号Vwの信号レベル<V相電圧指令信号Vvの信号レベル<U相電圧指令信号Vuの信号レベルという関係が成立している。従って、この場合には、図9(b)に示すように、V相電圧指令信号Vvが中心相電圧指令信号となる。また、期間#4では、|U相電圧指令信号Vuの信号レベル−V相電圧指令信号Vvの信号レベル|>|W相電圧指令信号Vwの信号レベル−V相電圧指令信号Vv|という関係が成立している。従って、この場合には、図9(b)に示すように、U相がコンデンサ電流相であると特定される。
その他、図9(a)に示す期間#1から期間#3及び期間#5から期間#12におけるコンデンサ電流相は、図9(b)に示されている。
ここで、図10及び図11を参照しながら、三相電圧指令信号(つまり、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vw)の大小関係に基づいてコンデンサ電流相を特定することができる理由について説明する。図10は、インバータ13が備える各スイッチング素子の状態を示す説明図である。図11は、三相電圧指令信号とインバータ13が備える各スイッチング素子の状態との間の関係を示すグラフである。
図10(a)に示すU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwが流れており、且つ、図10(a)に示す態様でインバータ13が備える各スイッチング素子の状態が変化する例を用いて説明する。このうち、期間T71に着目すると、U相電流Iu及びW相電流Iwが正極性である(但し、インバータ13からモータジェネレータ14に向かう電流の方向を正極性とする)一方で、V相電流Ivが負極性である。また、期間T71では、U相アームのP側スイッチング素子Gupがオン状態となる一方で、U相アームのn側スイッチング素子Gunがオフ状態となる。同様に、期間T71では、V相アームのP側スイッチング素子Gvpがオフ状態となる一方で、V相アームのn側スイッチング素子Gvnがオン状態となる。同様に、期間T71では、W相アームのP側スイッチング素子Gwpがオフ状態となる一方で、W相アームのn側スイッチング素子Gwnがオン状態となる。
この場合、図10(b)に示すように、例えば、モータジェネレータ14からインバータ13に向かって流れるV相電流Ivの一部は、W相電流Iwとしてインバータ13からモータジェネレータ14へと還流する。また、モータジェネレータ14からインバータ13に向かって流れるV相電流Ivの他の一部は、U相電流Iuとして、平滑コンデンサ12を経由してU相アームに流れる。つまり、期間T71においては、U相電流Iuがコンデンサ電流Icそのものと一致している。
インバータ13が備える各スイッチング素子の状態が期間T71の状態とは異なる各種状態についても考慮すると、コンデンサ電流Icは、3つのp側スイッチング素子のうち単独でオン状態にあるp側スイッチング素子の相の相電流又は3つのn側スイッチング素子のうち単独でオン状態にあるn側スイッチング素子の相の相電流(但し、その極性を反転する)と一致することが分かる。但し、3つのp側スイッチング素子及び3つのn側スイッチング素子のスイッチング状態が刻一刻と変化していることを考慮すれば、コンデンサ電流Icと一致する相電流は、刻一刻と変化する。つまり、ある特定の相の相電流が長期に渡ってコンデンサ電流Icと一致することは殆どない。従って、コンデンサ電流Icを規定する主たる相電流が流れる相であるコンデンサ電流相は、実質的には、所定期間中にコンデンサ電流Icと一致する期間が最も長くなる相電流の相となる。
そこで、コンデンサ電流Icと一致する期間が最も長くなる相電流の相を特定する動作を説明するにあたって、図11に示すように、W相電圧指令信号Vwの信号レベル<U相電圧指令信号Vuの信号レベル<V相電圧指令信号Vvの信号レベルという関係及び|V相電圧指令信号Vvの信号レベル−U相電圧指令信号Vuの信号レベル|<|W相電圧指令信号Vwの信号レベル−U相電圧指令信号Vu|という関係が成立している三相電圧指令信号の一例に着目する。特に、図11では、1周期分のキャリア信号Cに対応する極短い期間に着目する。
図11に示すように、1周期分のキャリア信号Cに対応する極短い期間中には、V相電流Ivがコンデンサ電流Icと一致する期間及びW相電流Iwがコンデンサ電流Icと一致する期間が存在する。つまり、信号レベルが最大となる相電圧指令信号の相に対応する相電流及び信号レベルが最小となる相電圧指令信号の相に対応する相電流が、コンデンサ電流Icと一致することが分かる。
この場合、図11に示すように、V相電流Ivがコンデンサ電流Icと一致する期間と比較して、W相電流Iwがコンデンサ電流Icと一致する期間が長くなる。言い換えれば、W相電流Iwがコンデンサ電流Icと一致する期間が最も長くなる。つまり、中心相電圧指令信号(図11に示す例では、U相電圧指令信号Vu)の信号レベルとの差分の絶対値が大きい方の相電圧指令信号(図11に示す例では、W相電圧指令信号Vw)の相に対応する相電流がコンデンサ電流Icと一致する期間が最も長くなることが分かる。
このように、コンデンサ電流相特定部156は、三相電圧指令信号(つまり、U相電圧指令信号Vu、V相電圧指令信号Vv及びW相電圧指令信号Vw)の大小関係に基づいてコンデンサ電流相を特定することができる。
再び図6において、コンデンサ電流相特定部1535がコンデンサ電流相を特定した後には、当該コンデンサ電流相の相電流を検出するためのV相電流センサ14v又はW相電流センサ14wの検出信号を補正するための補正量が算出される。
具体的には、V相がコンデンサ電流相であると特定されている場合には、V相補正量算出部1536vは、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中に当該V相補正量算出部1536vに入力される端子間電圧検出信号VH*の変動量を算出する(ステップS322)。例えば、V相補正量算出部157vは、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間の開始時点での端子間電圧検出信号VH*とV相がコンデンサ電流相であると特定されている期間の終了時点での端子間電圧検出信号VH*との差分を、端子間電圧検出信号VH*の変動量として算出してもよい。
同様に、W相がコンデンサ電流相であると特定されている場合には、W相補正量算出部1536wは、W相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中に当該W相補正量算出部1536wに入力される端子間電圧検出信号VH*の変動量を算出する(ステップS322)。例えば、W相補正量算出部157wは、W相がコンデンサ電流相であると特定されている期間の開始時点での端子間電圧検出信号VH*とW相がコンデンサ電流相であると特定されている期間の終了時点での端子間電圧検出信号VH*との差分を、端子間電圧検出信号VH*の変動量として算出してもよい。
その後、V相補正量算出部1536vは、ステップS322で算出した端子間電圧検出信号VH*の変動量(つまり、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中の端子間電圧検出信号VH*の変動量)がゼロになるようにV相電流検出信号Iv*を補正するためのV相補正量Cv3を算出する(ステップS323)。このとき、V相補正量算出部1536vは、例えば、端子間電圧検出信号VH*の変動量(或いは、端子間電圧検出信号VH*そのもの)に基づくPI制御を行うことで、V相補正量Cv3を算出してもよい。
このように算出されるV相補正量Cv3の極性は、例えば、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中におけるV相電流Ivの極性及び端子間電圧検出信号VH*の変動傾向に応じた極性となってもよい。
例えば、上述の図8(a)に示すように、V相電流検出信号Iv*に正極性の誤差(つまり、実際のV相電流Ivよりも大きいV相電流検出信号Iv*が検出されるという状態を引き起こす誤差)αvが含まれている場合には、V相電流の極性が正極性となる状態で端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が増加すると共に、V相電流の極性が負極性となる状態で端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が減少する。この場合には、V相電流検出信号Iv*に含まれている正極性の誤差αvを補正するために、V相電流検出信号Iv*に加算されることでV相電流検出信号Iv*を小さくすることができる負極性のV相補正量Cv3が算出されることが好ましい。つまり、V相電流Ivの極性が正極性となり且つ端子間電圧検出信号VH*が増加している場合又はV相電流Ivの極性が負極性となり且つ端子間電圧検出信号VH*が減少している場合には、負極性のV相補正量Cv3が算出されることが好ましい。
一方で、V相電流検出信号Iv*に負極性の誤差(つまり、実際のV相電流Ivよりも小さいV相電流検出信号Iv*が検出されるという状態を引き起こす誤差)αvが含まれている場合には、V相電流の極性が正極性となる状態で端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が減少すると共に、V相電流の極性が負極性となる状態で端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が増加する。この場合には、V相電流検出信号Iv*に含まれている負極性の誤差αvを補正するために、V相電流検出信号Iv*に加算されることでV相電流検出信号Iv*を大きくすることができる正極性のV相補正量Cv3が算出されることが好ましい。つまり、V相電流Ivの極性が正極性となり且つ端子間電圧検出信号VH*が減少している場合又はV相電流Ivの極性が負極性となり且つ端子間電圧検出信号VH*が増加している場合には、正極性のV相補正量Cv3が算出されることが好ましい。
また、このように算出されるV相補正量Cv3の大きさは、例えば、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中における端子間電圧検出信号VH*の変動量に応じた大きさとなってもよい。例えば、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中における端子間電圧検出信号VH*の変動量が大きくなるほど、V相補正量Cv3が大きくなってもよい。言い換えれば、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中における端子間電圧検出信号VH*の変動量が小さくなるほど、V相補正量Cv3が小さくなってもよい。
同様に、W相補正量算出部1536wは、ステップS322で算出したW相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中の端子間電圧検出信号VH*の変動量がゼロになるようにW相電流検出信号Iw*を補正するためのW相補正量Cw3を算出する(ステップS323)。このとき、W相補正量算出部1536wは、例えば、端子間電圧検出信号VH*の変動量(或いは、端子間電圧検出信号VH*そのもの)に基づくPI制御を行うことで、W相補正量Cw3を算出してもよい。
このように算出されるW相補正量Cw3の極性は、例えば、W相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中におけるW相電流Iwの極性及び端子間電圧検出信号VH*の変動傾向に応じた極性となってもよい。詳細は、V相補正量Cv3の極性と同様である。また、このように算出されるW相補正量Cw3の大きさは、例えば、W相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中における端子間電圧検出信号VH*の変動量に応じた大きさとなってもよい。詳細は、V相補正量Cv3の大きさと同様である。
その後、V相加算器158vは、ステップS323でV相補正量算出部1536vが算出したV相補正量Cv3(図12(a)参照)をV相電流検出信号Iv*に対して加算する(ステップS324)。尚、V相加算器158vは、V相がコンデンサ電流相であると特定されていない期間中においても、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中に算出されたV相補正量Cv3をV相電流検出信号Iv*に対して加算し続けることが好ましい。これにより、図12(b)に示すように、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvが補正される。その結果、図12(c)及び図12(d)に示すように、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHの変動量が概ねゼロになる。言い換えれば、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHが目標電圧値に概ね一致する。
同様に、W相加算器158wは、ステップS323でW相補正量算出部1536wが算出したW相補正量Cw3(図12(a)参照)をW相電流検出信号Iw*に対して加算する(ステップS324)。尚、W相加算器158wは、W相がコンデンサ電流相であると特定されていない期間中においても、W相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中に算出されたW相補正量Cw3をW相電流検出信号Iw*に対して加算し続けることが好ましい。これにより、図12(b)に示すように、W相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwが補正される。その結果、図12(c)及び図12(d)に示すように、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHの変動量が概ねゼロになる。言い換えれば、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHが目標電圧値に概ね一致する。
以上説明したPWM制御動作によれば、PWM制御部153は、V相電流センサ14vの検出信号であるV相電流検出信号Iv*を好適に補正することができる。つまり、PWM制御部153は、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvを好適に補正することができる。同様に、PWM制御部153は、W相電流センサ14wの検出信号であるW相電流検出信号Iw*を好適に補正することができる。つまり、PWM制御部153は、W相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwを好適に補正することができる。
特に、本実施形態では、PWM制御部153は、コンデンサ電流相を特定しているがゆえに、車両1が複数の電流センサ(つまり、V相電流センサ14v及びW相電流センサ14w)を備える場合であっても、各電流センサの検出信号に含まれている誤差を個別に補正するように、各電流センサの検出信号を個別に補正することができる。つまり、PWM制御部153は、W相電流検出信号Iw*に殆ど又は全く影響を与えることなく、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvを個別に補正することができる。同様に、PWM制御部153は、V相電流検出信号Iv*に殆ど又は全く影響を与えることなく、W相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwを個別に補正することができる。
更には、本実施形態では、PWM制御部153は、PWM制御部153が三相電圧指令信号等を生成している間であれば、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αv及びW相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwを好適に補正することができる。
(2−3)矩形波制御部154によるインバータ制御動作の流れ
続いて、図13を参照しながら、矩形波制御部154が行うインバータ制御動作(矩形波制御動作)の流れについて説明する。図13は、矩形波制御部154が行うインバータ制御動作(矩形波制御動作)の流れを示すフローチャートである。
図13に示すように、位相変換部1542は、電圧位相指令信号φ3を生成する(ステップS411)。尚、電圧位相指令信号φ3の生成方法は、図4を参照しながら上述したとおりである。
その後、矩形波生成部1543は、電圧位相指令信号φ3に基づいて、U相矩形波信号Pup及びPun、V相矩形波信号Pvp及びPvn、並びに、W相矩形波信号Pwp及びPwnを生成する(ステップS412)。その結果、インバータ13は、各矩形波信号に基づいて動作する。
ステップS411からステップS412の動作と並行して、矩形波制御部154は、V相電流センサ14vの検出信号であるV相電流検出信号Iv*に含まれる誤差αvを補正する(ステップS421からステップS426)。更に、矩形波制御部154は、W相電流センサ14wの検出信号であるW相電流検出信号Iw*に含まれる誤差αwを補正する(ステップS421からステップS426)。
特に、本実施形態では、矩形波制御部154は、PWM制御部153が誤差αv及び誤差αwを補正する態様とは異なる態様で、誤差αv及び誤差αwを補正する。つまり、矩形波制御部154は、PWM制御動作とは異なる態様で、誤差αv及び誤差αwを補正する。というのも、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合には、矩形波制御部154は、PWM制御動作と同一の態様で誤差αv及び誤差αwを補正することができないおそれがあるからである。つまり、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合には、矩形波制御部154は、V相がコンデンサ電流相であると特定されている間の端子間電圧検出信号VH*の変動量がゼロになるようにV相補正量Cv3を算出するだけでは、誤差αvを補正することができないおそれがある。同様に、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合には、矩形波制御部154は、W相がコンデンサ電流相であると特定されている間の端子間電圧検出信号VH*の変動量がゼロになるようにW相補正量Cw3を算出するだけでは、誤差αwを補正することができないおそれがある。
以下、図14を参照しながら、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合にPWM制御動作と同一の態様で誤差αv及び誤差αwを補正することができないおそれがある理由について説明する。図14は、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれていない場合の三相電流(つまり、U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iw)と端子間電圧VHとの関係、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合の三相電流と端子間電圧VHとの関係、並びに、V相電流検出信号Iv*に含まれる誤差αv及びV相電流検出信号Iv*に含まれる誤差αvとは異なる要因の双方に起因して端子間電圧VHが変動した場合の三相電流と端子間電圧VHとの関係を示すグラフである。尚、図14に示す例では、説明の簡略化のために、W相電流検出信号Iw*に誤差αwは含まれていないものとする。
図14(a)は、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれていない場合の三相電流を示す。この場合には、図14(a)に示すように、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合においても、PWM制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合と同様に、V相電流Ivの信号波形は、U相電流Iu及びW相電流Iwの信号波形よりも正方向又は負方向にシフトすることはない。このため、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合においても、PWM制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合と同様に、端子間電圧VHが変動しにくい(図8(b)参照)。つまり、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれていない場合には、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合においても、PWM制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合と同様に、端子間電圧VHは目標電圧値と一致しやすい。
一方で、図14(b)は、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合の三相電流を示す。特に、図14(b)は、V相電流検出信号Iv*に含まれる誤差αvとは異なる要因に起因して端子間電圧VHが変動していない場合の三相電流を示す。つまり、図14(b)は、端子間電圧VHの変動が主として誤差αvによって引き起こされている場合の三相電流を示す。この場合には、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合においても、PWM制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合と同様に、V相電流Ivの信号波形は、U相電流Iu及びW相電流Iwの信号波形よりも正方向又は負方向にシフトしてしまう。その結果、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合においても、PWM制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合と同様に、端子間電圧VHが変動してしまう(図8(a)参照)。つまり、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合には、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合においても、PWM制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合と同様に、端子間電圧VHが目標電圧値と一致しなくなってしまう。
他方で、図14(c)は、V相電流検出信号Iv*に含まれる誤差αv及びV相電流検出信号Iv*に含まれる誤差αvとは異なる要因の双方に起因して端子間電圧VHが変動してしまった場合の三相電流を示す。つまり、図14(c)は、端子間電圧VHの変動が誤差αvのみならず誤差αvとは異なる要因によっても引き起こされている場合の三相電流を示す。この場合、誤差αvは、V相電流Ivのシフト(つまり、本来取るべき電流値(目標電流値)からの乖離)を引き起こすことは上述したとおりである。更に、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動もまた、U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwの少なくとも一つのシフトを引き起こしかねない。例えば、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動は、端子間電圧VHの変動の周期に同期したU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwの少なくとも一つのシフトを引き起こしかねない。その結果、図14(c)に示すように、誤差αwが含まれていないがゆえに誤差αwに起因してシフトしていなかったW相電流Iwが、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動によって、シフトしてしまうおそれがある。更には、誤差αvに起因してシフトしていたV相電流Ivが、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動によって、本来取るべき電流値(目標電流値)に一致してしまうおそれがある。
三相電流の状態が図14(a)及び図14(b)に示す状態にある場合には、矩形波制御部154は、PWM制御動作と同一の態様で誤差αv及び誤差αwを補正することができる。もちろん、三相電流の状態が図14(a)及び図14(b)に示す状態にある場合には、PWM制御部153は、上述したPWM制御動作を行うことで誤差αv及び誤差αwを補正することができる。
しかしながら、三相電流の状態が図14(c)に示す状態にある場合には、矩形波制御部154は、PWM制御動作と同一の態様で誤差αv及び誤差αwを補正することができないおそれがある。一方で、三相電流の状態が図14(c)に示す状態にあっても、PWM制御部153は、上述したPWM制御動作を行うことで誤差αv及び誤差αwを補正することができる。
具体的には、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動による三相電流のシフトは、V相電流検出信号Iv*及びW相電流検出信号Iw*にも反映される。従って、PWM制御部153は、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動による三相電流のシフトが反映されたV相電流検出信号Iv*及びW相電流検出信号Iw*に基づいて、PWM信号を生成することができる。つまり、PWM制御部153は、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動によってシフトした三相電流に基づいてデューティ比が調整されたPWM信号を生成することができる。その結果、PWM制御部153は、PWM信号のデューティ比を調整することで、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動を相殺するようにインバータ13を制御することができる。誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動が相殺されると、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動による三相電流のシフトもまた相殺される。その結果、誤差αv及び誤差αvとは異なる要因の双方に起因して端子間電圧VHが変動してしまった場合であっても、PWM制御動作により、三相電流の状態は、U相電流Iu及びW相電流Iwがシフトしておらず且つ誤差αvに起因してV相電流Ivがシフトしている状態へと遷移する。つまり、三相電流の状態は、図14(c)に示す状態から図14(b)に示す状態へと遷移する。その結果、誤差αv及び誤差αvとは異なる要因の双方に起因して端子間電圧VHが変動してしまった場合であっても、PWM制御部153は、上述したPWM制御動作を行うことで誤差αv及び誤差αwを補正することができる。
一方で、矩形波制御部154は、デューティ比を調整することができない矩形波信号を生成している。このため、矩形波制御部154は、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動を相殺するように、インバータ13を制御することができない。その結果、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動による三相電流のシフトもまた相殺されることはない。従って、矩形は制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合には、三相電流の状態は、図14(c)に示す状態のまま維持される。その結果、場合によっては、誤差αwが含まれていないがゆえに誤差αwに起因してシフトしていなかったW相電流Iwが、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動によってシフトしてしまうおそれがある。また、場合によっては、誤差αvに起因してシフトしていたV相電流Ivが、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動によって、本来取るべき電流値(目標電流値)に一致してしまうおそれがある。
この状態において、矩形波制御部154がPWM制御動作と同一の態様で誤差αv及び誤差αwを補正すると仮定する。この場合、矩形波制御部154は、W相電流Iwがシフトしていると認識してしまうおそれがある。このため、矩形波制御部154は、W相電流Iwを検出する電流センサ12wのW相検出信号Iw*を補正するために、W相補正量Cv3を算出してしまう。更に、加算器158wは、当該W相補正量Cw3をW相検出信号Iw*に加算してしまう。その結果、誤差αwが含まれていなかったがゆえにW相電流Iwと一致していたW相検出信号Iw*は、W相補正量Cw3の加算に伴って、W相電流Iwと一致しなくなってしまうおそれがある。一方で、矩形波制御部154は、V相電流Ivがシフトしていないと認識してしまうおそれがある。このため、誤差αvが含まれているがゆえにV相電流Ivと一致していないV相検出信号Iv*は、V相補正量Cv3が加算されないがゆえに、V相電流Ivと一致しないままである。従って、矩形波制御部154は、誤差αvを補正することができないだけでなく、誤差αwが含まれていないW相検出信号Iw*を誤って補正してしまうおそれがある。
このように、矩形波制御部154は、PWM制御動作と同一の態様で誤差αv及び誤差αwを補正することができないおそれがある。このため、本実施形態では、矩形波制御部154は、PWM制御動作とは異なる態様で誤差αv及び誤差αwを補正する。
そこでPWM制御動作とは異なる態様で誤差αv及び誤差αwを補正する対応策について検討するに、そもそも、端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が目標電圧値と一致している状態では、三相電流のシフトは発生しない(図14(a)参照))。つまり、端子間電圧VHが目標電圧値と一致している状態では、誤差αv及び誤差αwに起因した三相電流のシフトのみならず、誤差αv及び誤差αwとは異なる要因に起因した三相電流のシフトも発生しない。一方で、三相電流のシフトが発生していない状態では、三相電流の夫々の平均信号レベルはゼロレベルに一致する。
従って、端子間電圧VHが目標電圧値と一致している(つまり、V相電流Ivの平均信号レベルがゼロレベルに一致している)状態で誤差αvがV相検出信号Iv*に含まれていなければ、V相検出信号Iv*の平均信号レベルもまたゼロレベルに一致するはずである。逆に言えば、端子間電圧VHが目標電圧値と一致している(つまり、V相電流の平均信号レベルがゼロレベルに一致している)状態でV相検出信号Iv*の平均信号レベルがゼロレベルに一致していなければ、誤差αvがV相検出信号Iv*に含まれていると推定される。
同様に、端子間電圧VHが目標電圧値と一致している(つまり、W相電流Iwの平均信号レベルがゼロレベルに一致している)状態で誤差αwがW相検出信号Iw*に含まれていなければ、W相検出信号Iw*の平均信号レベルもまたゼロレベルに一致するはずである。逆に言えば、端子間電圧VHが目標電圧値と一致している(つまり、W相電流の平均信号レベルがゼロレベルに一致している)状態でW相検出信号Iw*の平均信号レベルがゼロレベルに一致していなければ、誤差αwがW相検出信号Iw*に含まれていると推定される。
このため、本実施形態では、矩形波制御部154は、まずは、端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が目標電圧値に一致するように、端子間電圧VHを調整する。つまり、矩形波制御部154は、三相電流の状態を図14(a)に示す状態に遷移させる。その上で、矩形波制御部154は、V相検出信号Iv*の平均信号レベルとゼロレベルとの差分が誤差αvに相当すると推定した上で、当該差分に応じたV相補正量Cv4を算出する。同様に、矩形波制御部154は、W相検出信号Iw*の平均信号レベルとゼロレベルとの差分が誤差αwに相当すると推定した上で、当該差分に応じたW相補正量Cw4を算出する。
以下、再び図13を参照しながら、矩形波制御部154による誤差αv及び誤差αwの補正動作について説明する。
図13に示すように、矩形波制御部154は、まずは、端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が目標電圧値に一致するように、端子間電圧VHを調整する(ステップS421からステップS423)。
端子間電圧VHを調整するために、まずは、コンデンサ電流相特定部1544は、コンデンサ電流相を特定する(ステップS421)。コンデンサ電流相特定部1544は、PWM制御部153が備えるコンデンサ電流相特定部1535がコンデンサ電流相を特定する態様とは異なる態様で、コンデンサ電流相を特定する。具体的には、コンデンサ電流相特定部1544は、電圧位相指令信号φ3に基づいて、コンデンサ電流相を特定する。というのも、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合には、相電圧の大きさ(つまり、振幅)が固定されているため、位相のみに基づいてコンデンサ電流相を特定することができるからである。
ここで、図15を参照しながら、電圧位相指令信号φ3に基づくコンデンサ電流相の特定動作について説明する。図15は、dq座標系における電圧位相指令信号φ2と三相固定座標系における電圧位相指令信号φ3との関係を示すグラフ、及び、電圧位相電圧位相指令信号φ3とコンデンサ電流相との関係を示すグラフである。
図15(a)に示すように、位相変換部1542は、三相固定座標系における電圧位相指令信号φ3=dq座標系における電圧位相指令信号φ2+レゾルバ角θ+90°という数式を用いて、電圧位相指令信号φ2を電圧位相指令信号φ3に変換してもよいことは上述したとおりである。但し、d軸、q軸、U相軸、V相軸及びW相軸の定義方法によっては、位相変換部1542は、異なる数式を用いて、電圧位相指令信号φ2を電圧位相指令信号φ3に変換してもよい。しかしながら、電圧位相指令信号φ2を電圧位相指令信号φ3に変換する方法は公知の方法を用いて良いため、その詳細な説明は省略する。
図15(b)に示すように、コンデンサ電流相は、電圧位相指令信号φ3に対して一義的に対応付けられている。従って、コンデンサ電流相特定部1544は、電圧位相電圧位相指令信号φ3とコンデンサ電流相との関係を規定する何らかの情報を参照することで、電圧位相指令信号φ3に基づいてコンデンサ電流相を特定することができる。図15(b)に示す例では、電圧位相指令信号φ3が0°以上且つ30°未満である、150°以上且つ210°未満である又は330°以上且つ360°未満である場合には、U相がコンデンサ電流相となる。同様に、図15(b)に示す例では、電圧位相指令信号φ3が30°以上且つ60°未満である又は210°以上且つ270°未満である場合には、W相がコンデンサ電流相となる。同様に、図15(b)に示す例では、電圧位相指令信号φ3が60°以上且つ150°未満である又は270°以上且つ330°未満である場合には、W相がコンデンサ電流相となる。但し、d軸、q軸、U相軸、V相軸及びW相軸の定義方法によって電圧位相電圧位相指令信号φ3とコンデンサ電流相との関係が変わり得ることは言うまでもない。
尚、コンデンサ電流相特定部1544は、PWM制御部153が備えるコンデンサ電流相特定部1535がコンデンサ電流相を特定する態様と同一の態様で、コンデンサ電流相を特定してもよい。
再び図13において、その後、端子間電圧VHを調整するために、SWタイミング調整部1545は、矩形波生成部1543が生成する矩形波信号のうちコンデンサ電流相の矩形波信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのうちの少なくとも一方の位相(つまり、矩形波信号のスイッチング角)を調整する(ステップS422)。というのも、コンデンサ電流相の矩形波信号のスイッチング角の調整は、コンデンサ電流相の相電流の調整につながる。コンデンサ電流相の相電流の調整は、コンデンサ電流Icの調整につながる。コンデンサ電流Icの調整は、端子間電圧VHの調整につながる。つまり、コンデンサ電流相の矩形波信号のスイッチング角の調整は、コンデンサ電流相以外の相の矩形波信号のスイッチング角の調整よりも、端子間電圧VHの調整につながりやすいからである。
例えば、コンデンサ流相がU相であると特定されている場合には、SWタイミング調整部1545は、U相矩形波信号Pup及びU相矩形波信号Punの夫々のスイッチング角を調整する。同様に、例えば、コンデンサ電流相がV相であると特定されている場合には、SWタイミング調整部1545は、V相矩形波信号Pvp及びV相矩形波信号Pvnの夫々のスイッチング角を調整する。同様に、例えば、コンデンサ電流相がW相であると特定されている場合には、SWタイミング調整部1545は、W相矩形波信号Pwp及びW相矩形波信号Pwnの夫々のスイッチング角を調整する。
特に、SWタイミング調整部1545は、電圧センサ12Vから当該SWタイミング調整部1545に入力される端子間電圧検出信号VH*に基づいて、矩形波信号のスイッチング角を調整する。具体的には、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*の変動量が概ねゼロになるように、矩形波信号のスイッチング角を調整する。言い換えれば、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値に一致するように、矩形波信号のスイッチング角を調整する。
ここで、図16を参照しながら、端子間電圧検出信号VH*に基づく矩形波信号のスイッチング角の調整動作の一例について説明する。図16は、端子間電圧検出信号VH*に基づく矩形波信号のスイッチング角の調整動作の一例を示すタイミングチャートである。尚、図16では、コンデンサ電流相がU相である場合の矩形波信号(つまり、U相矩形波信号Pup及びPun)のスイッチング角の調整動作を例に挙げて説明を進める。但し、コンデンサ電流相がV相又はW相である場合についても同様である。
図16(a)及び図16(b)は、U相矩形波信号Pup(つまり、上アームに相当するスイッチング素子Qupを制御するための矩形波信号)の立ち下がりエッジの位相及びU相矩形波信号Pun(つまり、下アームに相当するスイッチング素子Qunを制御するための矩形波信号)の立ち上がりエッジの位相を調整する動作を示している。以下、説明の便宜上、立ち下がりエッジの位相を第1スイッチング角と称し、立ち上がりエッジの位相を第2スイッチング角と称する。
図16(a)に示すように、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値よりも小さい場合には、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して端子間電圧検出信号VH*が大きくなるように、U相矩形波信号Pupの第1スイッチング角及びU相矩形波信号Punの第2スイッチング角を調整する。端子間電圧検出信号VH*を大きくするためには、コンデンサ電流Icが小さくなればよい(つまり、モータジェネレータ14における電力消費量が小さくなればよい)。コンデンサ電流Icを小さくするためには、上アームに相当するスイッチング素子Qupがオン状態になっている期間が短くなればよい。言い換えれば、コンデンサ電流Icを小さくするためには、下アームに相当するスイッチング素子Qunがオフ状態になっている期間が短くなればよい。
従って、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較してU相矩形波信号Pupの第1スイッチング角が進角するように、U相矩形波信号Pupの第1スイッチング角を調整する。つまり、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して上アームに相当するスイッチング素子Qupがオフ状態に切り替わるタイミングが早くなるように、U相矩形波信号Pupの第1スイッチング角を調整する。このとき、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*と目標電圧値との差分に応じたシフト量だけU相矩形波信号Pupの第1スイッチング角が進角するように、U相矩形波信号Pupの第1スイッチング角を調整することが好ましい。
同様に、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較してU相矩形波信号Punの第2スイッチング角が進角するように、U相矩形波信号Punの第2スイッチング角を調整する。つまり、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して下アームに相当するスイッチング素子Qunがオン状態に切り替わるタイミングが早くなるように、U相矩形波信号Punの第2スイッチング角を調整する。このとき、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*と目標電圧値との差分に応じたシフト量だけU相矩形波信号Punの第2スイッチング角が進角するように、U相矩形波信号Punの第2スイッチング角を調整することが好ましい。
図16(b)に示すように、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値よりも大きい場合には、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して端子間電圧検出信号VH*が小さくなるように、U相矩形波信号Pupの第1スイッチング角及びU相矩形波信号Punの第2スイッチング角を調整する。端子間電圧検出信号VH*を小さくするためには、コンデンサ電流Icが大きくなればよい(つまり、モータジェネレータ14における電力消費量が大きくなればよい)。コンデンサ電流Icを大きくするためには、上アームに相当するスイッチング素子Qupがオン状態になっている期間が長くなればよい。言い換えれば、コンデンサ電流Icを大きくするためには、下アームに相当するスイッチング素子Qunがオフ状態になっている期間が長くなればよい。
従って、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較してU相矩形波信号Pupの第1スイッチング角が遅角するように、U相矩形波信号Pupの第1スイッチング角を調整する。つまり、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して上アームに相当するスイッチング素子Qupがオフ状態に切り替わるタイミングが遅くなるように、U相矩形波信号Pupの第1スイッチング角を調整する。このとき、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*と目標電圧値との差分に応じたシフト量だけU相矩形波信号Pupの第1スイッチング角が遅角するように、U相矩形波信号Pupの第1スイッチング角を調整することが好ましい。
同様に、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較してU相矩形波信号Punの第2スイッチング角が遅角するように、U相矩形波信号Punの第2スイッチング角を調整する。つまり、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して下アームに相当するスイッチング素子Qunがオン状態に切り替わるタイミングが遅くなるように、U相矩形波信号Punの第2スイッチング角を調整する。このとき、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*と目標電圧値との差分に応じたシフト量だけU相矩形波信号Punの第2スイッチング角が遅角するように、U相矩形波信号Punの第2スイッチング角を調整することが好ましい。
図16(c)及び図16(d)は、U相矩形波信号Pupの立ち上がりエッジの位相及びU相矩形波信号Punの立ち下がりエッジの位相を調整する動作を示している。つまり、図16(c)及び図16(d)は、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角及びU相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整する動作を示している。
図16(c)に示すように、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値よりも小さい場合には、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して端子間電圧検出信号VH*が大きくなるように、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角及びU相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整する。端子間電圧検出信号VH*を大きくするためには、上アームに相当するスイッチング素子Qupがオン状態になっている期間及び下アームに相当するスイッチング素子Qunがオフ状態になっている期間が短くなればよい。
従って、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較してU相矩形波信号Pupの第2スイッチング角が遅角するように、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角を調整する。つまり、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して上アームに相当するスイッチング素子Qupがオン状態に切り替わるタイミングが遅くなるように、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角を調整する。このとき、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*と目標電圧値との差分に応じたシフト量だけU相矩形波信号Pupの第2スイッチング角が遅角するように、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角を調整することが好ましい。
同様に、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較してU相矩形波信号Punの第1スイッチング角が遅角するように、U相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整する。つまり、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して下アームに相当するスイッチング素子Qunがオフ状態に切り替わるタイミングが遅くなるように、U相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整する。このとき、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*と目標電圧値との差分に応じたシフト量だけU相矩形波信号Punの第1スイッチング角が遅角するように、U相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整することが好ましい。
図16(d)に示すように、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値よりも大きい場合には、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して端子間電圧検出信号VH*が小さくなるように、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角及びU相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整する。端子間電圧検出信号VH*を小さくするためには、上アームに相当するスイッチング素子Qupがオン状態になっている期間及び下アームに相当するスイッチング素子Qunがオフ状態になっている期間が長くなればよい。
従って、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較してU相矩形波信号Pupの第2スイッチング角が進角するように、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角を調整する。つまり、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して上アームに相当するスイッチング素子Qupがオン状態に切り替わるタイミングが早くなるように、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角を調整する。このとき、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*と目標電圧値との差分に応じたシフト量だけU相矩形波信号Pupの第2スイッチング角が進角するように、U相矩形波信号Pupの第2スイッチング角を調整することが好ましい。
同様に、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較してU相矩形波信号Punの第1スイッチング角が進角するように、U相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整する。つまり、SWタイミング調整部1545は、調整前と比較して下アームに相当するスイッチング素子Qunがオフ状態に切り替わるタイミングが早くなるように、U相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整する。このとき、SWタイミング調整部1545は、端子間電圧検出信号VH*と目標電圧値との差分に応じたシフト量だけU相矩形波信号Punの第1スイッチング角が進角するように、U相矩形波信号Punの第1スイッチング角を調整することが好ましい。
再び図13において、SWタイミング調整部1545は、矩形波信号のスイッチング角を調整する動作を、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値と一致するまで継続する(ステップS423)。
SWタイミング調整部1545による矩形波信号のスイッチング角の調整動作の結果、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値と一致した場合には(ステップS423:Yes)、V相補正量算出部1546vは、V相検出信号Iv*の平均信号レベルを算出する(ステップS424)。同様に、SWタイミング調整部1545による矩形波信号のスイッチング角の調整動作の結果、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値と一致した場合には(ステップS423:Yes)、W相補正量算出部1546wは、W相検出信号Iw*の平均信号レベルを算出する(ステップS424)。このため、V相補正量算出部1546v及びW相補正量算出部1546wは、夫々、V相検出信号Iv*及びW相検出信号Iw*を取得することが好ましい。このとき、V相補正量算出部1546vは、加算器158vを通過したV相検出信号Iv*を取得してもよい。或いは、V相補正量算出部1546vは、加算器158vを通過する前のV相検出信号Iv*を取得してもよい。同様に、W相補正量算出部1546wは、加算器158wを通過したW相検出信号Iw*を取得してもよい。或いは、W相補正量算出部1546wは、加算器158wを通過する前のW相検出信号Iw*を取得してもよい。
このとき、V相補正量算出部1546vは、所定期間中のV相検出信号Iv*の平均信号レベルを算出してもよい。例えば、V相補正量算出部1546vは、V相検出信号Iv*の1周期(或いは、数周期)に相当する期間中のV相検出信号Iv*の平均信号レベルを算出してもよい。同様に、W相補正量算出部1546wは、所定期間中のW相検出信号Iw*の平均信号レベルを算出してもよい。
その後、V相補正量算出部1546vは、ステップS424で算出したV相検出信号Iv*の平均信号レベルに基づいて、V相補正量Cv4を算出する(ステップS425)。具体的には、上述したように、V相検出信号Iv*の平均信号レベル(但し、V相補正量Cv4が加算されていないV相検出信号Iv*の平均信号レベル)とゼロレベルとの差分は誤差αvに相当すると推定される。従って、V相補正量算出部1546vは、V相検出信号Iv*の平均信号レベルがゼロレベルになるように、V相補正量Cv4を算出してもよい。このとき、V相補正量算出部1536vは、例えば、V相検出信号Iv*の平均信号レベルに基づくPI制御を行うことで、V相補正量Cv4を算出してもよい。
同様に、W相補正量算出部1546wは、ステップS424で算出したW相検出信号Iw*の平均信号レベルに基づいて、W相補正量Cw4を算出する(ステップS425)。具体的には、上述したように、W相検出信号Iw*の平均信号レベル(但し、W相補正量Cw4が加算されていないW相検出信号Iw*の平均信号レベル)とゼロレベルとの差分は誤差αwに相当すると推定される。従って、W相補正量算出部1546wは、W相検出信号Iw*の平均信号レベルがゼロレベルになるように、W相補正量Cw4を算出してもよい。このとき、W相補正量算出部1546wは、例えば、W相検出信号Iw*の平均信号レベルに基づくPI制御を行うことで、W相補正量Cw4を算出してもよい。
その後、V相加算器158vは、ステップS425でV相補正量算出部1546vが算出したV相補正量Cv4(図12(a)参照)をV相電流検出信号Iv*に対して加算する(ステップS426)。これにより、図12(b)に示すように、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvが補正される。
より具体的には、図17(a)に示すように、V相補正量Cv4が加算されていないV相電流検出信号Iv*の平均信号レベルがAv(但し、Av>0)である場合を想定する。この場合、V電流相検出信号Iv*は、実際のV相電流よりもAvだけ大きい電流値を示していると言える。つまり、V電流相検出信号Iv*には、平均信号レベルAvと一致する大きさの誤差αvが含まれていると言える。このため、この場合には、V相検出信号Iv*の平均信号レベルをゼロレベルに一致させるためのV相補正量Cv4(実質的には、誤差αv又はV相補正量Cv4が加算されていない平均信号レベルAvの符号を反転させることで得られる値に一致する)がV相検出信号Iv*に加算される。その結果、図17(b)に示すように、V電流相検出信号Iv*が実際のV相電流Ivに一致する。つまり、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvが補正される。
同様に、W相加算器158wは、ステップS425でW相補正量算出部1546wが算出したW相補正量Cw4(図12(a)参照)をW相電流検出信号Iw*に対して加算する(ステップS426)。これにより、図12(b)に示すように、W相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwが補正される。
以上説明した矩形波制御動作によれば、矩形波制御部154は、PWM制御部153と同様に、誤差αv及び誤差αwを好適に且つ個別に補正することができる。加えて、矩形波制御部154は、PWM制御部153と同様に、矩形波制御部154が矩形波信号等を生成している間であれば、誤差αv及び誤差αwを好適に補正することができる。
更に、矩形波制御部154は、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合であっても、誤差αv及び誤差αwを好適に補正することができる。特に、矩形波制御部154は、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されており且つ誤差αv及び誤差αwとは異なる要因に起因して端子間電圧VHが変動してしまった場合であっても、誤差αv及び誤差αwを好適に補正することができる。つまり、矩形波制御部154は、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されているがゆえにPWM制御部153が行うPWM制御動作では補正することができない誤差αv及び誤差αwを好適に補正することができる。
尚、PWM制御部153は、矩形波制御部154が誤差αv及び誤差αwを補正する態様と同一の態様で、誤差αv及び誤差αwを補正してもよい。具体的には、PWM制御部153は、端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が目標電圧値に一致するように、端子間電圧VHを調整してもよい。具体的には、PWM制御部153は、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値と一致するように、三相電圧指令信号(或いは、PWM信号)の特性を調整してもよい。例えば、PWM制御部153は、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値と一致するように、三相電圧指令信号を高電位側又は低電位側にシフトしてもよい。例えば、PWM制御部153は、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値と一致するように、三相電圧指令信号の位相を調整してもよい。その上で、PWM制御部153は、V相検出信号Iv*の平均信号レベルとゼロレベルとの差分が誤差αvに相当すると推定した上で、当該差分に応じたV相補正量Cv3を算出してもよい。同様に、PWM制御部153は、W相検出信号Iw*の平均信号レベルとゼロレベルとの差分が誤差αwに相当すると推定した上で、当該差分に応じたW相補正量Cw3を算出してもよい。
また、上述の説明では、PWM制御方式に準拠してインバータ13がされている場合にPWM制御部153が誤差αv及び誤差αwを補正する一方で、矩形波制御方式に準拠してインバータ13がされている場合に矩形波制御部154が誤差αv及び誤差αwを補正している。しかしながら、PWM制御方式及び矩形波制御方式とは異なる制御方式でインバータ13が制御されている場合であっても、PWM制御部153及び矩形波制御部154のうちの少なくとも一方が誤差αv及び誤差αwを補正してもよい。例えば、過変調PWM制御方式でインバータ13が制御されている場合には、PWM制御部153が誤差αv及び誤差αwを補正してもよい。
また、上述の説明では、矩形波制御部154は、V相電流検出信号Iv*の平均信号レベルがゼロレベル(或いは、基準信号レベル)に一致するように、V相補正量Cv4を算出している。しかしながら、矩形波制御部154は、V相電流検出信号Iv*そのものが所望値に一致するように、V相補正量Cv4を算出してもよい。或いは、矩形波制御部154は、V相電流検出信号Iv*の特性を示す任意のパラメータが所望値に一致するように、V相補正量Cv4を算出してもよい。W相補正量Cw4を算出する場合も同様である。
また、上述の説明では、車両1は、2つの電流センサ(つまり、V相電流センサ14v及びW相電流センサ14w)を備えている。しかしながら、車両1は、1つ又は3つ以上の電流センサを備えていてもよい。例えば、車両1は、U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwのうちの少なくとも1つを検出する少なくとも1つの電流センサを備えていてもよい。この場合には、ECU15は、電流センサが設けられている相に対応する補正量算出部1536、補正量算出部1546及び加算器158を備えていればよい。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電動機制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の電動機制御装置は、電動機システムを制御する電動機制御装置であって、前記電動機システムは、直流電源と、前記直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換器と、前記電力変換器に対して電気的に並列に接続される平滑コンデンサと、前記電力変換器から出力される交流電力を用いて駆動する三相交流電動機と、前記三相交流電動機に供給される相電流を検出すると共に検出結果を示す検出信号を出力する電流センサとを備えており、前記電動機制御装置は、前記平滑コンデンサの端子間電圧を第1基準値と一致させることで前記相電流が第2基準値に一致するように前記端子間電圧を調整する調整手段と、前記端子間電圧が前記第1基準値と一致した状態で前記検出信号そのものの値を示す又は前記検出信号の特性を示す検出値が前記第2基準値と一致していない場合には、補正前と比較して前記検出値と前記第2基準値との間のずれが小さくなるように、前記検出信号を補正する第1補正手段とを備える。
ここで、端子間電圧の目標値になり得る第1基準値は、端子間電圧が第1基準値と一致する状態に起因して相電流(つまり、相電流そのもの又は相電流の特性を示す任意のパラメータ)が第2基準値と一致するという状態が導かれるという観点から設定される。逆に言えば、端子間電圧の変動が相電流の変動に繋がると共に相電流の変動が端子間電圧の変動に繋がることを考慮すれば、第1基準値は、相電流が第2基準値と一致する状態に起因して端子間電圧が第1基準値と一致するという状態が導かれるという観点から設定されるとも言える。つまり、調整手段は、端子間電圧を第1基準値と一致させることで相電流が第2基準値と一致するように、端子間電圧を調整する。言い換えれば、調整手段は、相電流が第2基準値と一致することで端子間電圧が第1基準値と一致するように、端子間電圧を調整する。
ここで、端子間電圧が第1基準値と一致することで相電流が第2基準値と一致するように調整手段が端子間電圧を調整することは上述した通りである。従って、このような態様で調整手段が端子間電圧を調整した場合には、端子間電圧が第1基準値と一致している状態で相電流は第2基準値と一致しているはずである。このため、電流センサの検出信号に誤差が含まれていなければ、端子間電圧が第1基準値と一致している状態で、検出値もまた第2基準値と一致しているはずである。逆に言えば、端子間電圧が第1基準値と一致している状態で検出値が第2基準値と一致していなければ、電流センサの検出信号に誤差(つまり、電流センサの検出信号と実際の相電流との間の差分又は乖離)が含まれている可能性が高いと想定される。
このような端子間電圧が第1基準値と一致している状態と相電流及び検出値の夫々が第2基準値と一致している状態との間の関係性を考慮すれば、第1補正手段は、端子間電圧が第1基準値と一致した状態で検出値が第2基準値と一致していない場合には、検出信号に誤差が含まれていると推定することができる。その結果、検出信号に誤差が含まれている(つまり、検出値が第2基準値と一致していない)と推定される場合には、第1補正手段は、検出値と第2基準値との間のずれが小さくなる(好ましくは、ゼロになる)ように、検出信号を補正することができる。つまり、第1補正手段は、検出値と第2基準値との間のずれが小さくなる(好ましくは、ゼロになる)ように検出信号を補正することで、電流センサの検出信号に含まれている誤差の影響を抑制する又は排除するように、電流センサの検出信号を補正することができる。
本発明の電動機制御装置の他の態様では、前記平滑コンデンサを流れるコンデンサ電流を規定する主たる相電流が流れる相であるターゲット相を特定する特定手段を更に備え、前記調整手段は、前記端子間電圧が前記第1基準値と一致するように前記ターゲット相の相電流を調整することで、前記端子間電圧を調整する。
上述の如くターゲット相の相電流を調整することで端子間電圧を調整する電動機制御装置の他の態様では、前記電力変換器は、前記三相交流電動機の各相に対応するスイッチング素子を備えており、前記調整手段は、前記端子間電圧が前記第1基準値と一致するように前記ターゲット相に対応する前記スイッチング素子のスイッチングタイミングを調整することで、前記端子間電圧を調整する。
上述の如くターゲット相に対応するスイッチング素子のスイッチングタイミングを調整することで端子間電圧を調整する電動機制御装置の他の態様では、前記スイッチングタイミングは、前記ターゲット相の上アームに対応する前記スイッチング素子がオン状態からオフ状態に切り替わる第1スイッチングタイミングを含み、前記調整手段は、(i)前記端子間電圧が第1基準値よりも小さい場合には、調整前の前記第1スイッチングタイミングと比較して、前記第1スイッチングタイミングが早くなるように、前記第1スイッチングタイミングを調整し、前記調整手段は、(ii)前記端子間電圧が第1基準値よりも大きい場合には、調整前の前記第1スイッチングタイミングと比較して、前記第1スイッチングタイミングが遅くなるように、前記第1スイッチングタイミングを調整する。
具体的には、調整手段は、端子間電圧が第1基準値よりも小さい場合には、調整前の第1スイッチングタイミングと比較して第1スイッチングタイミングが早くなるように、第1スイッチングタイミングを調整する。このとき、調整手段は、例えば、調整前の第1スイッチングタイミングと比較して、端子間電圧と第1基準値との間の差分に応じた量だけ第1スイッチングタイミングが早くなるように、第1スイッチングタイミングを調整する。その結果、第1スイッチングタイミングが調整された場合の上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間は、第1スイッチングタイミングが調整されていない場合の上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間よりも短くなる。上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間が短くなると、平滑コンデンサに流れるコンデンサ電流が小さくなる。平滑コンデンサに流れるコンデンサ電流が小さくなると、三相交流電動機の消費電力が小さくなるがゆえに平滑コンデンサの端子間電圧は増加する。このため、調整手段は、第1基準値よりも小さい端子間電圧が第1基準値に一致するように、端子間電圧を調整することができる。
一方で、調整手段は、端子間電圧が第1基準値よりも大きい場合には、調整前の第1スイッチングタイミングと比較して第1スイッチングタイミングが遅くなるように、第1スイッチングタイミングを調整する。このとき、調整手段は、例えば、調整前の第1スイッチングタイミングと比較して、端子間電圧と第1基準値との間の差分に応じた量だけ第1スイッチングタイミングが遅くなるように、第1スイッチングタイミングを調整する。その結果、第1スイッチングタイミングが調整された場合の上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間は、第1スイッチングタイミングが調整されていない場合の上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間よりも長くなる。上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間が長くなると、平滑コンデンサに流れるコンデンサ電流が大きくなる。平滑コンデンサに流れるコンデンサ電流が大きくなると、三相交流電動機の消費電力が大きくなるがゆえに平滑コンデンサの端子間電圧は減少する。このため、調整手段は、第1基準値よりも大きい端子間電圧が第1基準値に一致するように、端子間電圧を調整することができる。
上述の如くターゲット相に対応するスイッチング素子のスイッチングタイミングを調整することで端子間電圧を調整する電動機制御装置の他の態様では、前記スイッチングタイミングは、前記ターゲット相に対応する前記スイッチング素子がオフ状態からオン状態に切り替わる第2スイッチングタイミングを含み、前記調整手段は、(i)前記端子間電圧が前記第1基準値よりも小さい場合には、調整前の前記第2スイッチングタイミングと比較して、前記第2スイッチングタイミングが遅くなるように、前記第2スイッチングタイミングを調整し、前記調整手段は、(ii)前記端子間電圧が前記第1基準値よりも大きい場合には、調整前の前記第2スイッチングタイミングと比較して、前記第2スイッチングタイミングが早くなるように、前記第2スイッチングタイミングを調整する。
具体的には、調整手段は、端子間電圧が第1基準値よりも小さい場合には、調整前の第2スイッチングタイミングと比較して第2スイッチングタイミングが遅くなるように、第2スイッチングタイミングを調整する。このとき、調整手段は、例えば、調整前の第2スイッチングタイミングと比較して、端子間電圧と第1基準値との間の差分に応じた量だけ第2スイッチングタイミングが遅くなるように、第2スイッチングタイミングを調整する。その結果、第2スイッチングタイミングが調整された場合の上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間は、第2スイッチングタイミングが調整されていない場合の上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間よりも短くなる。このため、上述したように、平滑コンデンサの端子間電圧は増加する。従って、調整手段は、第1基準値よりも小さい端子間電圧が第1基準値に一致するように、端子間電圧を調整することができる。
一方で、調整手段は、端子間電圧が第1基準値よりも大きい場合には、調整前の第2スイッチングタイミングと比較して第2スイッチングタイミングが早くなるように、第2スイッチングタイミングを調整する。このとき、調整手段は、例えば、調整前の第2スイッチングタイミングと比較して、端子間電圧と第1基準値との間の差分に応じた量だけ第2スイッチングタイミングが早くなるように、第2スイッチングタイミングを調整する。その結果、第2スイッチングタイミングが調整された場合の上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間は、第2スイッチングタイミングが調整されていない場合の上アームのスイッチング素子がオン状態になる期間よりも長くなる。このため、上述したように、平滑コンデンサの端子間電圧は減少する。従って、調整手段は、第1基準値よりも大きい端子間電圧が第1基準値に一致するように、端子間電圧を調整することができる。
本発明の電動機制御装置の他の態様では、前記平滑コンデンサを流れるコンデンサ電流を規定する主たる相電流が流れる相であるターゲット相を特定する特定手段と、前記端子間電圧が前記第1基準値と一致するように、前記ターゲット相の相電流を検出する前記電流センサが出力する前記検出信号を補正する第2補正手段とを更に備え、前記電力変換器が矩形波制御方式に準拠した第1動作モードで動作している場合には、前記検出信号は前記第1補正手段によって補正され、前記電力変換器がパルス幅変調制御方式に準拠した第2動作モードで動作している場合には、前記検出信号は前記第2補正手段によって補正される。
一方で、後に図面を用いて詳細に説明するように、電力変換器の動作モードによっては、第1補正手段及び第2補正手段の少なくとも一方が電流センサの検出信号を補正することができない可能性がある。そこで、この態様では、電力変換器の動作モードに応じて、電流センサの検出信号を補正する主体が切り替えられる。具体的には、電力変換器が矩形波制御方式に準拠した第1動作モードで動作している場合には、第1補正手段が検出信号を補正する一方で、第2補正手段は検出信号を補正しない。一方で、電力変換器がパルス幅変調制御方式に準拠した第2動作モードで動作している場合には、第2補正手段が検出信号を補正する一方で、第1補正手段は検出信号を補正しない。その結果、電力変換器が第1動作モード及び第2動作モードのいずれで動作している場合であっても、電流センサの検出信号に含まれている誤差の影響を抑制する又は排除するように、電流センサの検出信号が補正される。
特に、V相補正量算出部1536vは、コンデンサ電流相がV相であると特定されている期間中に当該V相補正量算出部1536vに入力される端子間電圧検出信号VH*に基づいて、V相補正量Cv3を算出することが好ましい。具体的には、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合には、当該誤差αvは、端子間電圧VH(言い換えれば、端子間電圧検出信号VH*)の増減を引き起こし得る。より具体的には、当該誤差αvは、所定期間中の端子間電圧VH(言い換えれば、端子間電圧検出信号VH*)の平均信号レベルの増減を引き起こし得る。従って、本実施形態では、V相補正量算出部1536vは、端子間電圧検出信号VH*の変動量(つまり、所定期間中の端子間電圧検出信号VH*の平均信号レベルの変動量)が概ねゼロになるように、V相補正量Cv3を算出してもよい。言い換えれば、V相補正量算出部1536vは、端子間電圧検出信号VH*(つまり、所定期間中の端子間電圧検出信号VH*の平均信号レベル)が、「第1基準値」の一具体例である目標電圧値に一致するように、V相補正量Cv3を算出してもよい。
尚、以下では、説明の簡略化のため、基準信号レベル=ゼロ(つまり、ゼロレベル)であるものとして説明を進める。但し、基準信号レベルはゼロレベルとは異なる任意の信号レベルであってもよい。基準信号レベルは、「第2基準値」の一具体例である。
コンデンサ電流Icの減少は、モータジェネレータ14における電力消費量の減少を意味する。その結果、図8(a)に示すように、コンデンサ電流Icの減少は、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHの増加につながる。同様に、コンデンサ電流Icの増加は、モータジェネレータ14における電力消費量の増加を意味する。その結果、図8(a)に示すように、コンデンサ電流Icの増加は、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHの減少につながる。このため、V相電流検出信号Iv*に誤差(オフセット誤差)αvが含まれている場合には、端子間電圧VHは、V相電流検出信号Iv*の周波数と同一の周波数で変動してしまう。つまり、V相電流検出信号Iv*に誤差αvが含まれている場合には、端子間電圧VHは、目標電圧値と一致しなくなってしまう。
例えば、上述の図8(a)に示すように、V相電流検出信号Iv*に正極性の誤差(つまり、実際のV相電流Ivよりも大きいV相電流検出信号Iv*が検出されるという状態を引き起こす誤差)αvが含まれている場合には、V相電流の極性が正極性となる状態で端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が増加すると共に、V相電流の極性が負極性となる状態で端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が減少する。この場合には、V相電流検出信号Iv*に含まれている正極性の誤差αvを補正するために、V相電流検出信号Iv*に加算されることでV相電流検出信号Iv*を小さくすることができる負極性のV相補正量Cv3が算出される。つまり、V相電流Ivの極性が正極性となり且つ端子間電圧検出信号VH*が増加している場合又はV相電流Ivの極性が負極性となり且つ端子間電圧検出信号VH*が減少している場合には、負極性のV相補正量Cv3が算出される。
一方で、V相電流検出信号Iv*に負極性の誤差(つまり、実際のV相電流Ivよりも小さいV相電流検出信号Iv*が検出されるという状態を引き起こす誤差)αvが含まれている場合には、V相電流の極性が正極性となる状態で端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が減少すると共に、V相電流の極性が負極性となる状態で端子間電圧VH(端子間電圧検出信号VH*)が増加する。この場合には、V相電流検出信号Iv*に含まれている負極性の誤差αvを補正するために、V相電流検出信号Iv*に加算されることでV相電流検出信号Iv*を大きくすることができる正極性のV相補正量Cv3が算出される。つまり、V相電流Ivの極性が正極性となり且つ端子間電圧検出信号VH*が減少している場合又はV相電流Ivの極性が負極性となり且つ端子間電圧検出信号VH*が増加している場合には、正極性のV相補正量Cv3が算出される。
その後、V相加算器158vは、ステップS323でV相補正量算出部1536vが算出したV相補正量Cv3(図12(a)参照)をV相電流検出信号Iv*に対して加算する(ステップS324)。尚、V相加算器158vは、V相がコンデンサ電流相であると特定されていない期間中においても、V相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中に算出されたV相補正量Cv3をV相電流検出信号Iv*に対して加算し続ける。これにより、図12(b)に示すように、V相電流検出信号Iv*に含まれている誤差αvが補正される。その結果、図12(c)及び図12(d)に示すように、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHの変動量が概ねゼロになる。言い換えれば、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHが目標電圧値に概ね一致する。
同様に、W相加算器158wは、ステップS323でW相補正量算出部1536wが算出したW相補正量Cw3(図12(a)参照)をW相電流検出信号Iw*に対して加算する(ステップS324)。尚、W相加算器158wは、W相がコンデンサ電流相であると特定されていない期間中においても、W相がコンデンサ電流相であると特定されている期間中に算出されたW相補正量Cw3をW相電流検出信号Iw*に対して加算し続ける。これにより、図12(b)に示すように、W相電流検出信号Iw*に含まれている誤差αwが補正される。その結果、図12(c)及び図12(d)に示すように、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHの変動量が概ねゼロになる。言い換えれば、平滑コンデンサ12の端子間電圧VHが目標電圧値に概ね一致する。
一方で、矩形波制御部154は、デューティ比を調整することができない矩形波信号を生成している。このため、矩形波制御部154は、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動を相殺するように、インバータ13を制御することができない。その結果、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動による三相電流のシフトもまた相殺されることはない。従って、矩形波制御方式に準拠してインバータ13が制御されている場合には、三相電流の状態は、図14(c)に示す状態のまま維持される。その結果、場合によっては、誤差αwが含まれていないがゆえに誤差αwに起因してシフトしていなかったW相電流Iwが、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動によってシフトしてしまうおそれがある。また、場合によっては、誤差αvに起因してシフトしていたV相電流Ivが、誤差αvとは異なる要因に起因した端子間電圧VHの変動によって、本来取るべき電流値(目標電流値)に一致してしまうおそれがある。
図15(b)に示すように、コンデンサ電流相は、電圧位相指令信号φ3に対して一義的に対応付けられている。従って、コンデンサ電流相特定部1544は、電圧位相指令信号φ3とコンデンサ電流相との関係を規定する何らかの情報を参照することで、電圧位相指令信号φ3に基づいてコンデンサ電流相を特定することができる。図15(b)に示す例では、電圧位相指令信号φ3が0°以上且つ30°未満である、150°以上且つ210°未満である又は330°以上且つ360°未満である場合には、U相がコンデンサ電流相となる。同様に、図15(b)に示す例では、電圧位相指令信号φ3が30°以上且つ90°未満である又は210°以上且つ270°未満である場合には、W相がコンデンサ電流相となる。同様に、図15(b)に示す例では、電圧位相指令信号φ3が90°以上且つ150°未満である又は270°以上且つ330°未満である場合には、V相がコンデンサ電流相となる。但し、d軸、q軸、U相軸、V相軸及びW相軸の定義方法によって電圧位相指令信号φ3とコンデンサ電流相との関係が変わり得ることは言うまでもない。
SWタイミング調整部1545による矩形波信号のスイッチング角の調整動作の結果、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値と一致した場合には(ステップS423:Yes)、V相補正量算出部1546vは、V相検出信号Iv*の平均信号レベルを算出する(ステップS424)。同様に、SWタイミング調整部1545による矩形波信号のスイッチング角の調整動作の結果、端子間電圧検出信号VH*が目標電圧値と一致した場合には(ステップS423:Yes)、W相補正量算出部1546wは、W相検出信号Iw*の平均信号レベルを算出する(ステップS424)。このため、V相補正量算出部1546v及びW相補正量算出部1546wは、夫々、V相検出信号Iv*及びW相検出信号Iw*を取得する。このとき、V相補正量算出部1546vは、加算器158vを通過したV相検出信号Iv*を取得してもよい。或いは、V相補正量算出部1546vは、加算器158vを通過する前のV相検出信号Iv*を取得してもよい。同様に、W相補正量算出部1546wは、加算器158wを通過したW相検出信号Iw*を取得してもよい。或いは、W相補正量算出部1546wは、加算器158wを通過する前のW相検出信号Iw*を取得してもよい。