JP2016020287A - 硫化リチウムの製造方法 - Google Patents

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亮 油谷
宏幸 村山
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Abstract

【課題】十分な大きさの表面積を有する硫化リチウムが得られ、かつ反応容器の内壁や気液界面部分への付着が少ない、硫化リチウムの製造方法を提供する。【解決手段】水酸化リチウムと(1)極性基を少なくとも1つを有する、及び(2)常圧及び常温において水を加えた場合であって、Z=前記有機溶媒の量/(前記有機溶媒の量+前記水の量)とした時に、前記有機溶媒からなる相と前記水からなる相で相分離するZが少なくとも1つ存在するを満たす有機溶媒とを含み、温度が100℃以上である組成物に硫化水素を吹き込みつつ、前記組成物から水を除去する工程を含む、硫化リチウムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、硫化リチウムの製造方法に関する。
硫化リチウムは、近年、リチウムイオン電池等で使用される固体電解質の原料として注目されており、当該硫化リチウムは、種々の溶媒中で合成できることが提案されている(特許文献1−3)。
特許文献1では、水と混和する極性溶媒であるNMP中で、硫化リチウムを合成する方法を開示する。しかしながら当該方法で得られる硫化リチウムの表面積は小さく、反応性が低いものであった。また、NMPと水は分離できないため、反応系内の水分量を低減するためには、原則としてNMPと水の混合溶液を系外に出すしか方法がなく、高コストとなる問題があった。
特許文献2は、トルエン等の水と混和しない非極性溶媒中、硫化リチウムを合成する方法を開示する。また、特許文献3は、水中、かつ、低温で、硫化リチウムを合成する方法を開示する。これらのいずれの方法であっても、条件によっては硫化リチウム合成後の反応容器内壁及び気液界面部分に付着物が生じる場合があり、硫化リチウム合成のたびに反応容器の洗浄等を必要とし生産効率が低下してしまう問題があった。
特開平7−330312 特開2010−163356号公報 特開2011−84438号公報
本発明の目的は、十分な大きさの表面積を有する硫化リチウムが得られ、かつ反応容器の内壁や気液界面部分への付着が少ない、硫化リチウムの製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の硫化リチウムの製造方法が提供される。
1.水酸化リチウムと下記(1)及び(2)を満たす有機溶媒とを含み、温度が100℃以上である組成物に硫化水素を吹き込みつつ、前記組成物から水を除去する工程を含む、硫化リチウムの製造方法。
(1)極性基を少なくとも1つを有する
(2)常圧及び常温において水を加えた場合であって、Z=前記有機溶媒の量/(前記有機溶媒の量+前記水の量)とした時に、前記有機溶媒からなる相と前記水からなる相で相分離するZが少なくとも1つ存在する
2.水酸化リチウムと下記(1)及び(2)を満たす有機溶媒とを含む組成物を加熱して100℃以上の温度とする工程、及び
100℃以上とした前記組成物に硫化水素の吹込みを開始し、硫化水素を吹込みつつ前記組成物から水を除去する工程
を含む、硫化リチウムの製造方法。
(1)極性基を少なくとも1つを有する
(2)常圧及び常温において、水を加えた場合であって、Z=前記有機溶媒の量/(前記有機溶媒の量+前記水の量)とした時に、相分離するZが少なくとも1つ存在する
3.前記水酸化リチウムと(1)及び(2)を満たす有機溶媒とを含む組成物が、水酸化リチウム及び式(1)及び(2)を満たす有機溶媒からなるスラリーである1又は2に記載の硫化リチウムの製造方法。
4.前記極性基が、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ケトン基、カーボネート基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる1種以上である1〜3のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
5.前記極性基がニトリル基である1〜4のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
6.前記極性基が1つである1〜5のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
7.前記有機溶媒が下記式(A)又は(B)で表される1〜6のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
(A): R−(X
(B): R−X−R
(式中、R、R及びRは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアルキルアリール基である。
は、ケトン基、カルボキシル基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、又はハロゲン原子である。
は、カーボネート基、エーテル結合、エステル結合、又はアミド結合である。
nは1以上の整数である。)
8.前記有機溶媒の沸点が100℃以上である1〜7のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
9.前記有機溶媒の沸点が105℃以上である1〜8のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
10.前記有機溶媒の沸点が200℃以下であるである1〜9のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
11.前記100℃以上の温度が前記有機溶媒の沸点である1〜10のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
12.前記除去が、前記有機溶媒と前記水の混合物の蒸発である1〜11のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
13.前記蒸発した混合物から水と有機溶媒を分離し、分離した有機溶媒を、前記組成物に戻す工程を含む12に記載の硫化リチウムの製造方法。
14.除去する水が発生しなくなった後に、前記吹き込みを停止する1〜13のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
15.前記停止の後に、不活性ガスを吹き込む14に記載の硫化リチウムの製造方法。
16.前記不活性ガスが窒素である15に記載の硫化リチウムの製造方法。
本発明によれば、十分な大きさの表面積を有する硫化リチウムが得られ、かつ反応容器の内壁や気液界面部分への付着が少ない、硫化リチウムの製造方法が提供できる。
本発明の一実施形態である硫化リチウムの製造方法の工程図である。
本発明の硫化リチウムの製造方法は、水酸化リチウムと下記(1)及び(2)を満たす有機溶媒とを含み、温度が100℃以上である組成物に硫化水素を吹き込みつつ、組成物から水を除去する工程を含む。
(1)極性基を少なくとも1つを有する
(2)常圧及び常温において、水を加えた場合であって、Z=有機溶媒の量/(有機溶媒の量+水の量)とした時に、相分離するZが少なくとも1つ存在する
本発明の硫化リチウムの方法では、100℃以上となった特定の有機溶媒と水酸化リチウムを含む組成物に硫化水素を吹き込むことで、水酸化リチウムと硫化水素との反応時に生じる水を、反応系から容易に除去することが可能となる。
硫化水素の吹き込みは、上記組成物が100℃以上となったときに開始することが好ましい。100℃以上となったときに硫化水素の吹き込みを開始することで、水酸化リチウムと硫化水素との反応が完了するまでの時間を短くすることができる。
硫化水素を吹き込みつつ水を除去するタイミングは、組成物が100℃以上であればよい。
本発明の他の硫化リチウムの製造方法は、水酸化リチウムと下記(1)及び(2)を満たす有機溶媒とを含む組成物を加熱して100℃以上の温度とする工程、及び100℃以上とした前記組成物に硫化水素の吹込みを開始し、硫化水素を吹込みつつ前記組成物から生成した水を除去する工程を含む。
(1)極性基を少なくとも1つを有する
(2)常圧及び常温において、水を加えた場合であって、Z=前記有機溶媒の量/(前記有機溶媒の量+前記水の量)とした時に、相分離するZが少なくとも1つ存在する
本発明の硫化リチウムの製造方法、及び本発明の他の硫化リチウムの製造方法(以下、これらをまとめて本発明の硫化リチウムの製造方法という)で使用する水酸化リチウムは、無水品、含水品いずれを用いてもよい。
有機溶媒は、(1)極性基を少なくとも1つを有する、及び(2)常圧及び常温において、水を加えた場合であって、Z=有機溶媒の量/(有機溶媒の量+水の量)とした時に、相分離するZが少なくとも1つ存在する、を満たす有機溶媒である。
極性有機溶媒のうち任意の割合の水と混和しない有機溶媒を用いることにより、反応容器の内壁及び気液界面部分への付着が少なく、かつ十分な大きさの表面積を有する硫化リチウムが得られる。
水酸化リチウム及び硫化水素の反応は、転化率の向上とともに水が副成する。しかし、この水が反応系内に滞留すると、生成物が水と反応して、原料に戻る反応が進行する。従って、転化率を向上させ純度の高い生成物を得るには、副成する水を系外に除く必要がある。水を除去する方法としては、有機層と水層に分離して、水層のみを系外へ除去する手法(有機層は反応系に戻す)が簡便(コストも低減できる)であるが、この時の有機層が、水と混和する場合、水を有機層から分離することができない。本発明に用いられる有機溶媒は、水と任意の割合で混和しないので、水層のみを系外へ容易に除去することができる。
尚、使用する有機溶媒は水酸化リチウムを溶解するものに限定されない。
有機溶媒の極性基は、好ましくは、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ケトン基、カーボネート基(−O−(C=O)−O−)、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる1種以上であり、より好ましくはニトリル基である。
有機溶媒の極性基は1つ有すればよく、2つ以上を有してもよいが、好ましくは1つである。また、有機溶媒の極性基が2つ以上である場合、当該極性基は1種単独でも2種以上でもよい。
「常圧及び常温において、水を加えた場合であって、Z=有機溶媒の量/(有機溶媒の量+水の量)とした時に、相分離するZが少なくとも1つ存在する」は、有機溶媒に任意量の水を添加して常圧及び常温で静置したときに、当該有機溶媒の相と添加した水の相の相分離が確認できる場合が存在することを意味する。相分離が確認できるとき、有機溶媒は添加した水の一部を溶解していてもよい。
ここでZは、0.5<Z<1の範囲に存在することが好ましく、0.6<Z<1の範囲に存在することがより好ましい。
尚、Zの有機溶媒の量及び水の量の「量」は、体積量を意味する。
有機溶媒は、好ましくは下記式(A)又は(B)で表さえる有機溶媒である。
(A): R−(X
(B): R−X−R
(式中、R、R及びRは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、又はアリールアルキル基である。
は、ケトン基、カルボキシル基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、又はハロゲン原子である。
は、カーボネート基、エーテル結合、エステル結合、又はアミド結合である。
nは1以上の整数である。)
、R及びRのアルキル基は、好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基である。
、R及びRのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数3以上12以下のシクロアルキル基である。
、R及びRのアリール基は、好ましくは炭素数6以上12以下のアリール基である。
、R及びRのアルキルアリール基は、好ましくは炭素数7以上12以下のアルキルアリール基である。
、R及びRのアリールアルキル基は、好ましくは炭素数7以上12以下のアリールアルキル基である。
は、アリール基、アルキルアリール基、又はアリールアルキル基が好ましい。
は、ニトリル基、又はハロゲン原子が好ましい。
及びRは、それぞれアルキル基が好ましい。
は、エステル結合が好ましい。
本発明の硫化リチウムの製造方法に使用する(1)及び(2)を満たす有機溶媒の具体例としては、ジイソブチルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジt−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、n−ヘキシルメチルエーテル、n−ヘキシルエチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、フェニルメチルエーテル、酪酸イソプロピル、酪酸イソブチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸イソブチル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキシルメチルケトン、アセトフェノン、ジエチルカーボネート、ビニレンカーボネート、ニトロベンゼン、ニトロシクロヘキサン、イソブチロニトリル、カプロニトリル、ベンゾニトリル、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、N,N−ジn−プロピルホルムアミド、テトラクロロエチレン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンが挙げられる。
上記の有機溶媒は、1種単独で又は2種類以上を混合して用いることが可能である。また、上記有機溶媒は、事前に脱水、脱酸素処理を行うことが望ましい。
有機溶媒の沸点は100℃以上が好ましく、105℃以上が好ましい。また、有機溶媒の沸点は、200℃以下が好ましい。
本発明の硫化リチウムの製造方法に使用する硫化水素は特に制限はないが、高純度の硫化リチウムを得ることができることから、二酸化炭素やアンモニアガス、水分等の不純物含有量の少ない硫化水素を使用することが好ましい。
硫化リチウム及び有機溶媒を含む組成物は、本発明の効果の発現に影響を及ぼさない範囲で、他の成分を含んでもよい。
尚、原料水酸化リチウム中には、炭酸リチウム、硫酸リチウム、亜硫酸リチウム、チオ硫酸リチウム、炭酸ナトリウムが含まれている可能性があり、これらが、不純物として混入している可能性がある。これらの不純物の総量は、少ないことが好ましいが、溶媒を除去した乾燥粉体で5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。
図1は、本発明の一実施形態である硫化リチウムの製造方法の工程図である。以下、本発明の一実施形態について当該図1を用いて説明する。
本実施形態では、攪拌翼を備えた反応槽12には予め、攪拌翼によって撹拌して調製した硫化リチウム及び有機溶媒からなる組成物が仕込まれている。このとき硫化リチウム及び有機溶媒からなる組成物は、硫化リチウム及び有機溶媒からなるスラリーであると好ましい。
反応槽12中の組成物は100℃以上の温度になるまでヒーター等の加熱手段によって加熱し、100℃以上となった反応槽12中の組成物に硫化水素源10から硫化水素を吹き込む(バブリング)。硫化水素を吹き込むことにより、水酸化リチウムと硫化水素が反応し、硫化リチウムとなる。組成物の温度が100℃以上であるため、反応によって副生される水は蒸発して、反応進行と同時に反応槽外に取り出される。
硫化水素の供給量は、例えば、バルブ等により調整する。硫化水素の供給温度は、系内の圧力にもよるが、例えば、0℃〜80℃が好ましく、特に、5℃〜40℃が好ましい。
硫化水素の吹き込み速度は、反応系の規模や反応条件等により適宜調整すればよい。
水酸化リチウムの仕込み量は、特に制限はなく、取り扱いや移送を考慮して適切な濃度とすればよい。例えば、組成物が水酸化リチウム及び有機溶媒からなるスラリーである場合、当該スラリーにおける水酸化リチウムの仕込み量は30重量%以下であることが望ましい。
反応時の反応系内の圧力は、常圧であっても加圧であってもいずれでもかまわない。加圧することにより反応速度を大きくすることができ、使用する硫化水素量を低減することができる。加圧する場合の圧力は0.2〜3.0MPaが好ましい。
反応時の温度は、有機溶媒の沸点と硫化水素の溶解度、反応時の圧力により適宜調整されるが、組成物の温度が100℃以上であればよい。100℃以上で反応させることにより、反応により生じた水が反応進行と同時に蒸発して組成物内から除去することができる。
反応時の好ましい温度は、有機溶媒の沸点近くであることが好ましく、使用する有機溶媒の沸点が100℃以上である場合、当該有機溶媒の沸点であるとより好ましい。
尚、反応系から蒸発した水もしくは水及び有機溶媒からなる共沸ガスを、コンデンサ等で凝縮することで系外に除去できる。この際、反応時の温度が有機溶媒の沸点以上であれば有機溶媒も除去されるが、除去された量を反応系に新たに追加してもよい。これにより、組成物の水酸化リチウム濃度等を調整できる。
反応が進行し、反応系から原料である水酸化リチウムが消失すると、水の発生が止まる。系内の水分が実質的に無くなった後とは、反応系から蒸発する水分が観測されなくなった状態を意味する。水の発生が止まった後、硫化水素の吹き込みを止め、不活性ガスを吹き込むことが好ましい。この不活性ガスの吹き込みにより系内の残留する硫化水素を取り除くことも可能である。
使用する不活性ガスとしては窒素が好ましい。
脱硫化水素後、組成物の固体成分と有機溶媒を分離し、乾燥することにより、硫化リチウムを回収できる。尚、組成物の状態で固体電解質の製造工程に使用してもよい。
実施例1
窒素気流下で非水溶性媒体としてベンゾニトリル(沸点:188−191℃)270gを600mlセパラブルフラスコに加え、続いて水酸化リチウム30g(本荘ケミカル製)を投入し、アンカー型撹拌翼300rpmで撹拌しながら、180℃まで昇温した。180℃となった時点で、硫化水素(巴商会製)を300ml/分の供給速度で吹き込みを開始した。内温は次第に上昇し、最大190℃まで上がった。セパラブルフラスコからは、水とベンゾニトリルの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するベンゾニトリルと同量のベンゾニトリルを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素吹き込み開始後6時間で水の留出は認められなくなった(水分量は総量で22mlであった)。この後、硫化水素を窒素(300ml/分)に切り替え、あわせて、加熱を停止して、窒素を30分流通させて50℃以下にした。
得られた固形分を窒素雰囲気下でベンゾニトリルとともにシュレンクビンに回収した。この際、リアクター内壁、撹拌翼、軸に目立った付着物、及び、粗粒子は認められなかった。固形分をろ過後、脱水トルエンで洗浄を3回繰り返した。
得られた粉末を分析したところ(塩酸滴定及び硝酸銀滴定)、硫化リチウムの純度は97.3%であった。X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。また、得られた粉末のBET表面積は3.9m/gであった。
実施例2
媒体をベンゾニトリルからトリフルオロメチルベンゼン(沸点:102℃)に変更し、硫化水素吹き込み開始時の温度を100℃とし、反応温度を最大102℃まで上昇させた他は、実施例1と同様にして白色粉末である硫化リチウムを調製した。硫化リチウム調製後、リアクター内壁、撹拌翼、軸に目立った付着物、及び、粗粒子は認められなかった。
得られた粉末を分析したところ(塩酸滴定及び硝酸銀滴定)、硫化リチウムの純度は97.0%であった。X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。また、得られた粉末のBET表面積は3.5m/gであった。
実施例3
媒体をベンゾニトリルからイソ酪酸イソプロピル(沸点:121℃)に変更し、硫化水素吹き込み開始時の温度を115℃とし、反応温度を最大121℃まで上昇させた他は実施例1と同様にして、白色粉末である硫化リチウムを調製した。硫化リチウム調製後の反応容器には、凝集物等は観測されなかった。
得られた粉末を分析したところ(塩酸滴定及び硝酸銀滴定)、硫化リチウムの純度は97.5%であった。X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。また、得られた粉末のBET表面積は4.1m/gとなった。
比較例1
窒素気流下で非水溶性媒体としてパラキシレン(広島和光製試薬、沸点:138.4℃)270gを600mlセパラブルフラスコに加え、続いて水酸化リチウム30g(本荘ケミカル製)を投入し、フルゾーン撹拌翼300rpmで撹拌しながら、110℃まで昇温した。
その後、硫化水素(巴商会製)を300ml/分の供給速度で吹き込みを開始した。内温は次第に上昇し、約144℃まで上がった。セパラブルフラスコからは、水とパラキシレンの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するパラキシレンと同量のパラキシレンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後6時間で水の留出は認められなくなった(水分量は総量で22mlであった)。
この後、硫化水素を窒素(300ml/分)に切り替え、あわせて、加熱を停止して、窒素を30分流通させて50℃以下にした。得られた固形分をろ過・乾燥して白色粉末である硫化リチウムを得た。この際、反応容器に凝集物の付着が確認された。
得られた粉末を分析したところ(塩酸滴定及び硝酸銀滴定)、硫化リチウムの純度は97.0%であった。X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。
比較例2
媒体をパラキシレンからトルエン(沸点:110.6℃)とし、硫化水素吹き込み開始時の温度を95℃とし、吹込み中及び後を110℃に変えた他は比較例1と同様にして硫化リチウムを得た。硫化リチウムを得た後の反応容器には凝集物が確認された。
得られた粉末を分析したところ(塩酸滴定及び硝酸銀滴定)、硫化リチウムの純度は96.9%であった。X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。
比較例3
(1)硫化リチウムの製造
撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び無水水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpmで130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3L/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)で昇温し、生成した水硫化リチウムを脱硫化水素化し硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発しはじめ、この水をコンデンサにより凝縮し、系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度が上昇し、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。反応中、NMPが少量の水分とともにコンデンサーに凝集したが、これを系外へ除外した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応(約80分)が終了後、反応を終了し硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
(1)で得られた500mLのスラリ反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリ)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、脱水ヘプタン100mLを加え、室温で撹拌して、上澄み除去を行った。この操作を5回繰り返した。このヘプタンスラリーを採取し、窒素気流下でろ過することで溶媒を除去した。200℃で真空乾燥を行い、精製硫化リチウムを得た。
得られた精製硫化リチウム純度を電位差滴定により算出したところ、98.9重量%であった。また、得られた硫化リチウムのBET表面積は0.04m/gであり、細孔容積は0.001ml/g以下であった。
実施例1−3及び比較例1−3の結果を以下にまとめる。
Figure 2016020287
本発明の製造方法で得られる硫化リチウムは、固体電解質の原料等として好適である。
10 硫化水素源
12 反応槽

Claims (16)

  1. 水酸化リチウムと下記(1)及び(2)を満たす有機溶媒とを含み、温度が100℃以上である組成物に硫化水素を吹き込みつつ、前記組成物から水を除去する工程を含む、硫化リチウムの製造方法。
    (1)極性基を少なくとも1つを有する
    (2)常圧及び常温において水を加えた場合であって、Z=前記有機溶媒の量/(前記有機溶媒の量+前記水の量)とした時に、前記有機溶媒からなる相と前記水からなる相で相分離するZが少なくとも1つ存在する
  2. 水酸化リチウムと下記(1)及び(2)を満たす有機溶媒とを含む組成物を加熱して100℃以上の温度とする工程、及び
    100℃以上とした前記組成物に硫化水素の吹込みを開始し、硫化水素を吹込みつつ前記組成物から水を除去する工程
    を含む、硫化リチウムの製造方法。
    (1)極性基を少なくとも1つを有する
    (2)常圧及び常温において、水を加えた場合であって、Z=前記有機溶媒の量/(前記有機溶媒の量+前記水の量)とした時に、相分離するZが少なくとも1つ存在する
  3. 前記水酸化リチウムと(1)及び(2)を満たす有機溶媒とを含む組成物が、水酸化リチウム及び式(1)及び(2)を満たす有機溶媒からなるスラリーである請求項1又は2に記載の硫化リチウムの製造方法。
  4. 前記極性基が、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ケトン基、カーボネート基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  5. 前記極性基がニトリル基である請求項1〜4のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  6. 前記極性基が1つである請求項1〜5のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  7. 前記有機溶媒が下記式(A)又は(B)で表される請求項1〜6のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
    (A): R−(X
    (B): R−X−R
    (式中、R、R及びRは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアルキルアリール基である。
    は、ケトン基、カルボキシル基、ニトロ基、ニトリル基、アミノ基、又はハロゲン原子である。
    は、カーボネート基、エーテル結合、エステル結合、又はアミド結合である。
    nは1以上の整数である。)
  8. 前記有機溶媒の沸点が100℃以上である請求項1〜7のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  9. 前記有機溶媒の沸点が105℃以上である請求項1〜8のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  10. 前記有機溶媒の沸点が200℃以下であるである請求項1〜9のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  11. 前記100℃以上の温度が前記有機溶媒の沸点である請求項1〜10のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  12. 前記除去が、前記有機溶媒と前記水の混合物の蒸発である請求項1〜11のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  13. 前記蒸発した混合物から水と有機溶媒を分離し、分離した有機溶媒を、前記組成物に戻す工程を含む請求項12に記載の硫化リチウムの製造方法。
  14. 除去する水が発生しなくなった後に、前記吹き込みを停止する請求項1〜13のいずれかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  15. 前記停止の後に、不活性ガスを吹き込む請求項14に記載の硫化リチウムの製造方法。
  16. 前記不活性ガスが窒素である請求項15に記載の硫化リチウムの製造方法。
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