JP2016018770A - 非水電解液 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来より難燃溶媒比率を高めた非水電解液を提供する。【解決手段】非水電解液は、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む溶媒と、下記式(1)で表される電解質とを含む。Li[B(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)] (1)(ただし、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素原子1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフッ素化アルキル基、炭素原子—炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子—炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のフッ素化アルキル基、フッ素化芳香族基、または、C(=O)−R5で表される置換基である。R5は炭素原子1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜9のフッ素化アルキル基から選択される一つである。)【選択図】なし

Description

本願は、非水電解液に関し、特にリチウム二次電池用非水電解液に関する。
非水電解質二次電池、中でもリチウム二次電池は、高電圧・高エネルギー密度であるという特徴を有する。また、貯蔵性能や出力性能に優れている。このため、リチウム二次電池は、多くの電気製品に使用されている。非水電解質二次電池の電解液として用いられる炭酸エステル等の有機溶媒は可燃性を有し、その引火点は10〜160℃と低い。電池内に異物が混入していた場合や、電池制御部や充電器の故障で過充電等の電池異常状態に陥った場合においても電池の安全性を担保するために、一般に、保護回路等の安全化機構が二次電池には設けられている。
従来可燃物である電解液自体を難燃化することによれば、本質的な電池の安全性向上に寄与することができる。加えて、従来電池に備えられていた安全化機構を簡素化することができ、電池の低コスト化の効果も期待される。
電解液の観点から、電池の安全性向上を試みられた取り組みとして、例えば、環状エステルやグライム等の有機溶媒に、有機フッ素化エーテル化合物が添加された電解液が開示されている(特許文献1および2参照)。
特許文献1は、R1−O−R2からなる構造式(ただし、R1及びR2はフッ化アルキル基)で表され、R1基及びR2基のフッ素化率が57%以上86%以下の範囲であり、粘度が0.9cp以上2.3cp以下の範囲であり、かつ沸点が88℃以上の有機フッ素化エーテル化合物の少なくとも1種以上を含有する電解液を開示している。また、電解液溶媒中の上記有機フッ素化エーテル化合物の比率は、体積比20〜50%であると開示している。
特許文献2は、リチウム塩と、特定のハイドロフルオロエーテルと、特定のグライム系溶媒とを含む非水電解液を開示している。また、実施例において、2ccのフッ素化エーテル化合物と、およそ0.69g〜1.36gのグライム溶媒とを混合し、電解液を構成すること、および、電解液溶媒中のフッ素化エーテルの含有比率は、体積比でおよそ60〜74%であることを開示している。
特開2004−87136号公報 国際公開2009/133899号
しかしながら、特許文献2に開示された電解液によれば、難燃成分であるハイドロフルオロエーテル溶媒の添加割合は最高でも体積比で74%であり、一定量の引火性有機溶媒を含む。
上記の事情を鑑み、限定的ではない例示的なある実施形態は、従来よりも溶媒中に難燃成分を多く含む非水電解液を提供する。
本開示の非水電解液は、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む溶媒と、下記式(1)で表される電解質とを含む。
Li[B(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)] (1)
(ただし、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素原子1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフッ素化アルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のフッ素化アルキル基、フッ素化芳香族基、または、C(=O)−R5で表される置換基である。R5は炭素原子1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜9のフッ素化アルキル基から選択される一つである。)
本開示の非水電解液によれば、リチウムイオン伝導性を有し、かつ、従来よりも溶媒中の難燃溶媒の割合が高い。したがって、従来よりもより安全性に優れた非水電解液を提供することが可能となる。
(a)は本発明によるリチウム二次電池の実施形態を示す斜視図であり、(b)は、図1(a)のI−I線に沿った断面図であり、(c)は、図1(a)、(b)に示す電極群13の断面を拡大して示す図である。
本発明者らは、フッ素含有難燃溶媒とそれに対するリチウム塩の溶解性の観点から鋭意検討を行った。従来技術、例えば、特許文献2に開示された電解液において、難燃成分であるハイドロフルオロエーテル溶媒の添加割合は最高でも体積比74%であり、一定量の引火性有機溶媒を含む。これは、溶媒中におけるハイドロフルオロエーテルの添加割合がこれより高い値になると、溶媒にリチウム塩が溶解しなくなってしまうからと考えられる。
本発明者は、難燃性の溶媒とその溶媒に溶解が可能な電解質との組み合わせを詳細に検討した。その結果、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロエーテルまたはホスファゼンを含む溶媒と、特定のリチウム塩との組み合わせによって、リチウム塩が溶解した、非水電解液が得られることを見出した。
本開示の非水電解液の概要は以下の通りである。
本開示の非水電解液は、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む溶媒と、下記式(1)で表される電解質とを含む。
Li[B(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)] (1)
(ただし、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素原子1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフッ素化アルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のフッ素化アルキル基、フッ素化芳香族基、または、C(=O)−R5で表される置換基である。R5は炭素原子1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜9のフッ素化アルキル基から選択される一つである。)
前記溶媒は、実質的に前記ハイドロフルオロエーテル、前記パーフルオロポリエーテルおよび前記ホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種のみを含んでいてもよい。非水電解液の溶媒成分が難燃溶媒のみから構成されることから、高い難燃性能を発揮することができる。
前記溶媒は実質的にハイドロフルオロエーテルのみを含んでいてもよい。これにより、非水電解液の溶媒成分が難燃溶媒のみから構成されることに加えて、比較的高い導電率を得ることができる。
前記溶媒は実質的にハイドロフルオロエーテルおよびパーフルオロポリエーテルのみを含んでいてもよい。
前記式(1)において、R1およびR2が、CF3(C=O)−で表され、R3およびR4が、−O−(CH2CH2−O)n−CH3(nは1〜10の間の値)であってもよい。上記リチウム塩は、アニオンが嵩高い構造であり、極性の低い難燃溶媒に溶解させやすく、したがって難燃溶媒のみから構成される非水電解液を構成しやすい。
本開示のリチウム二次電池は、上記いずれかに記載の非水電解液を含む。
(第1の実施形態)
本開示の非水電解液の実施の形態をより具体的に説明する。
本実施形態の一態様である非水電解液は、溶媒と電解質とを含む。溶媒は、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。また、電解質は、下記式(1)で表されるリチウム塩である。
Li[B(ORa)(ORb)(ORc)(ORd)] (1)
式(1)において、Ra〜Rdはそれぞれ独立に、炭素原子1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフッ素化アルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のフッ素化アルキル基、フッ素化芳香族基、または、C(=O)−Reで表される置換基である。Reは炭素原子1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜9のフッ素化アルキル基から選択される一つである。式(1)で示される化合物は、概ね150℃以下の融点を有するイオン液体である。リチウム塩は、式(1)を満たす単一の化合物であってもよいし、式(1)を満たす2以上の異なる置換基を有する化合物であってもよいし、置換基が同じであり、構造異性体である2以上の化合物であってもよい。本発明者の詳細な検討によれば、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンは、上記式(1)で示される電解質をよく溶解させることができることが分かった。
難燃溶媒であるハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンは、一般に極性が小さく、塩を溶解させる力が弱い。このため、従来のリチウム二次電池で一般的に用いられる多くの塩を高濃度で溶解させることはできない。
一方、上記の式(1)で表されるリチウム塩は、嵩高いアニオンを含みアニオン−カチオン間に立体障害が生じやすい。このため、従来のリチウム二次電池で一般的に用いられるLiPF6およびLiBF4のようなフッ化物塩やLiTFSI、LiFSI、LicTFSIのようなイミド塩と比較して、式(1)で表されるリチウム塩におけるアニオン−カチオン間の相互作用(引力)が弱いと考えられる。よって、アニオン−カチオン間に、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンのような極性の小さい難燃溶媒が侵入することが可能となり、リチウム塩を溶解することができると考えられる。
本開示の非水電解液に用いられるリチウム塩は、上記式(1)で表される。Ra〜Rdはそれぞれ独立に、炭素原子1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフッ素化アルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のフッ素化アルキル基、フッ素化芳香族基、または、C(=O)−Reで表される置換基である。Reは炭素原子1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜9のフッ素化アルキル基から選択される一つである。リチウム塩におけるアニオン−カチオン間の相互作用(引力)を十分に弱めるためには、アニオンに一定の嵩高さ(占有体積)があることが好ましい。その観点から、Ra〜Rdの少なくとも一つは、炭素原子数が6以上であることが好ましい。また、アニオンは構造対称性を有していたほうが安定である。その観点から、Ra〜Rdは全て同じ構造であってもよく、あるいは、Ra〜Rdのうちの2つずつが同じ構造であってもよい。Ra〜Rdは炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよい。また、Ra〜Rdはフッ素化芳香族基であってもよい。また、Ra〜RdはC(=O)−Reで表される置換基であって、Reは炭素原子1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜9のフッ素化アルキル基から選択される一つであってもよい。この置換基は電子吸引性置換基であり、カチオン−アニオンのイオン対の解離度を高める効果があるためである。
また、フッ素を含む難燃溶媒との親和性の観点から、Ra〜Rdはフッ素原子を含むことが好ましい。
式(1)のリチウム塩の合成法は制限されるものではないが、例えばLiBH4と、カルボン酸(RaCOOH)やアルコール(RbOH)を反応させることで合成することができる。アニオンはカチオンとの相互作用を弱めるのに十分嵩高いことが有効であり、Ra〜Rdの有する炭素原子数は6以上を含むことが好ましく、そのためには、上記のカルボン酸やアルコールの炭素原子数として、それを満たす原料と反応させることで得ることができる。
具体的には式(1)で示されるリチウム塩は、Li[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2]、Li[B(OCH(CF32(O(CH2CH2n2]、Li[B(OC652(O(CH2CH2n2]、Li[B(OCOCF3)(O(CH2CH2n3]、Li[B(OCH(CF3)(O(CH2CH2n3]、Li[B(OC65)(O(CH2CH2n3]および、これらの混合物であってよい。
本開示の非水電解液に用いられるハイドロフルオロエーテルは、R1−O−R2で示される。R1及びR2はフッ化アルキル基である。例えば、ハイドロフルオロエーテルはC613−O−CH3、C613−O−C25、CH3−O−C612−O−CH3、CH3−O−C36−O−C36−O−CH3、C3HF6−O−C24−O−C3HF6、C3HF6−O−C36−O−C3HF6、CF3−O−C2HF3−O−C24−O−C2HF3−O−CF3、C37−O−C2HF3−O−C24−O−C2HF3−O−C37、C6HF12−O−C24−O−C6HF12、C37−O−C2HF3−O−C24−O−C3HF6、C7312−O−CH3、C9316−O−CH3、C3HF6−O−CH2CH(−O−C3HF6)CH2−O−C3HF6、C(CH2−O−C3HF64、CH3C(CH2−O−C3HF63、C2HF4−O−C24−O−C2HF4、C2HClF3−O−C24−O−C2HClF3、C49−O−C24−O−C49、CF3CH2−O−CF2CHF2、CHF2CF2CH2−O−CF2CHF2、CF3CH2−O−CF2CHFCF3、CF3CH2−O−CHFCHFCHF3、CF3CH2−O−CF2CH2CF3、CF3CH2−O−CH2CHFCF3、CF3CHFCF2−O−CH2CH2O−CF2CHFCF3、CF3CHFCF2−(O−CH2CH2O)2−CF2CHFCF3、CF3CHFCF2−(O−CH2CH2O)3−CF2CHFCF3、CHF2CF2−O−CH2CH2O−CF2CHF2、CHF2CF2−(O−CH2CH2O)2−CF2CHF2、CHF2CF2−(O−CH2CH2O)3−CF2CHF2、などであってもよい。また、ハイドロフルオロエーテルはここに挙げたものに限定されず、フッ素を含有する他のエーテルを用いてもよい。ハイドロフルオロエーテルは、単一の化合物であってもよいし、2以上の異なる置換基を有する化合物であってもよいし、置換基が同じであり、構造異性体である2以上の化合物であってもよい。
本開示の非水電解液に用いられるパーフルオロポリエーテルは、複数のエーテル酸素を分子内に含み、全てのアルキル基上の水素原子がフッ素原子に置換されている。例えば、パーフルオロポリエーテルは、C25−O−(CF2−CF(CF3)−O) n−F、C25−O−(C36−O) n−CF3、CF3−O−(CF2−CF(CF3)−O) n−(CF2−O) m−CF3、CF3−O−(C36)n−(CF2−O) m−CF3であってもよい。本開示の非水電解液はリチウム二次電池に用いられるため、リチウム二次電池の一般的な使用温度を考慮すると、パーフルオロポリエーテルの沸点は80℃以上であることが好しい。このため、パーフルオロポリエーテルの分子量はおよそ400以上であることが好ましい。一般に分子量が大きくなると、粘度が大きくなることから、パーフルオロポリエーテルの分子量はおよそ2500以下が好ましい。上に示したパーフルオロポリエーテルの化学式中、繰り返し単位である、m、nは、化合物の分子量が概ね400以上2500以下となるように選択されることが好ましい。例えば、nおよびmは1以上10以下が好ましい。パーフルオロポリエーテルは、単一の化合物であってもよいし、2以上の異なる置換基を有する化合物であってもよいし、置換基が同じであり、構造異性体である2以上の化合物であってもよい。
本開示の非水電解液に用いられるホスファゼンは、シクロトリホスファゼンであり、具体的には、下記式(2)で示される。
Figure 2016018770
式(2)中、X1〜X6は、独立してフッ素、塩素および炭素原子数1〜16のアルコキシ基(OR)、フェノキシ基から選ばれる1つである。難燃性の観点から、X1〜X6のうち、アルコキシ基およびフェの基の数は2以下であることが好ましい。
具体的には式(2)で示されるホスファゼンは、X1〜X6のうちの全てがフッ素であってもよいし、あるいは、一つが塩素、残りの五つが独立してフッ素であってもよいし、あるいは、二つが塩素、残りの4つが独立してフッ素であってもよいし、あるいは、三つが塩素、残りの三つが独立してフッ素であってもよい。また、それらの混合物であってもよい。また、X1〜X6のうちの一つがエトキシ基で、残りの五つがフッ素であってもよいし、一つがフェノキシ基で、残りの五つがフッ素であってもよい。ホスファゼンは、単一の化合物であってもよいし、2以上の異なる置換基を有する化合物であってもよいし、置換基が同じであり、構造異性体である2以上の化合物であってもよい。
難燃性の観点から、非水電解液は、溶媒の主成分として、上述したハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。ここで主成分とは溶媒全体に対して、95体積%以上の割合を占めることをいう。より好ましくは、非水電解液は、溶媒として、実質的に上述したハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種のみを含む。ここで、実質的にとは、難燃性に影響を与えない程度の少量の他の溶媒を含み得ることを意味する。例えば、溶媒中1体積%程度のハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼン以外の溶媒を含んでいてもよい。
また、溶媒として、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンのうち2種以上を非水電解液が含む場合、それらの含有比率に特に制限はない。任意の割合で、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンから選ばれる2種またはこれら3種を溶媒として含むことができる。
非水電解液は、電解質以外の他の溶質を含んでいてもよい。たとえば、活物質の表面皮膜形成の目的で添加剤となる溶質を含んでいてもよい。例えば、LiBOB(リチウムビスオキサレートボラート)などのLi塩や、その他のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を含んでいてもよい。
本実施形態の非水電解液によれば、上述したように、溶媒として、上述したハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を主として含むため、より高い難燃性を備える。また、Li[B(ORa)(ORb)(ORc)(ORd)]を溶質として含むため、リチウム二次電池の非水電解液として適切なリチウム伝導性を備える。したがって、本実施形態の非水電解液をリチウム二次電池に用いることにより、難燃性に優れ、従来電池に備えられていた安全化機構を簡素化することができ、電池の低コスト化が可能な、リチウム二次電池を実現し得る。
(第2の実施形態)
以下、本発明による蓄電デバイスの実施形態を説明する。本実施形態の蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池である。図1(a)は本実施形態のリチウムイオン二次電池の斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるI−I断面を示している。
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、電極群13と、電極群13を収納する電池ケース14と、電池ケース14内に充填された非水電解液15とを備える。電極群13における正極は正極リード11に接続され、電極群における負極は負極リード12に接続されている。正極リード11および負極リード12は電池ケース14の外部に引き出されている。非水電解液15には、第1の実施形態の非水電解液を用いる。
図1(c)は電極群13の断面を拡大して示している。図1(c)に示すように、電極群13は、正極1と、負極2と、正極2と負極2との間に設けられたセパレータ3とを備えている。正極1は、アルミニウム箔からなる正極集電体1aと、正極集電体1aの表面に塗布されたLiCoO2からなる正極活物質層1bとを有している。一方、負極2は、ステンレス(SUS304)製メッシュからなる負極集電体2aと、負極集電体2aの表面に圧着された金属リチウムからなる負極活物質層2bとを有している。セパレータ3は、例えばポリエチレン製の微多孔質シートからなる。
正極活物質層1bの材料としては、LiCoO2以外のリチウム含有遷移金属酸化物を用いてもよい。例えば、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1-y2、LixCoy1-yz、LixNi1-yyz、LixMn24、LixMn2-yy4(MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうちの少なくとも一種であり、x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=1.7〜2.3)が挙げられる。これらの材料以外でも、充電時の正極1の電位がリチウム基準で4Vを超えるような材料であればよい。また、正極活物質として、複数の異なった材料を混合して用いてもよい。正極活物質が粉末である場合には、平均粒径は特に限定はされないが、特に0.1〜30μmであることが好ましい。正極活物質層1bは、通常50μmから200μm程度の厚さを有するが、特に厚さに制約はなく、正極活物質層1bは、0.1μmから50μmの厚さを有していてもよい。
正極活物質層1bは、活物質以外の導電剤および結着剤の両方を含んでいてもよいし、いずれか一方のみを含んでいてもよい。または、正極活物質層1bは導電剤および導電剤のいずれも含んでおらず、活物質のみから構成されていてもよい。
正極活物質層1b用の導電剤は、正極1の充放電電位において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、黒鉛類やカ−ボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、金属粉末類、導電性ウィスカー類、導電性金属酸化物あるいは有機導電性材料などを単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。導電剤の添加量は、特に限定されないが、正極材料に対して1から50重量%が好ましく、特に1から30重量%が好ましい。
正極活物質層1bに用いられる結着剤は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。好ましい結着剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンをはじめとするポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)をはじめとするフッ素系樹脂やそれらの共重合体樹脂、ポリアクリル酸やその共重合体樹脂などである。
導電剤や結着剤の他にも、フィラー、分散剤、イオン伝導体、圧力増強剤およびその他の各種添加剤を用いることができる。フィラーは、リチウムイオン二次電池内で化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でもよい。
正極集電体1aの材料は、正極1の充放電電位において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何であってもよい。例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、炭素、導電性樹脂などを用いることができる。また、正極集電体1aの表面には、表面処理により凹凸を付けることが望ましい。形状は、フォイルの他、フィルム、シート、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群、不織布体の成形体などのいずれであってもよい。厚みは、特に限定されないが、一般には1μmから500μmである。
負極活物質層2bの材料としては、各種天然黒鉛または各種人造黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素などの炭素材料やこれらの混合物を用いてもよいし、リチウム金属、リチウムを可逆的に吸蔵放出可能なシリコンやスズなどの材料を含む複合材料や各種合金材料を用いてもよい。例えば、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素と酸素とを含む化合物、ケイ素と窒素とを含む化合物、スズ単体、スズ合金、スズと酸素とを含む化合物、およびスズと窒素とを含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を用いるのが望ましい。さらには、チタン酸リチウムをはじめとするリチウムを可逆的に吸蔵放出可能な酸化物材料やリチウム含有複合窒化物を用いることもできる。
負極集電体2aとしては、例えば、銅箔やニッケル箔、ステンレス箔などを用いてもよい。
本実施形態の非水電解液15は、第1の実施形態で説明したように、高い難燃性を備える。したがって、本実施形態によれば、難燃性に優れ、従来電池に備えられていた安全化機構を簡素化することができ、電池の低コスト化が可能な、リチウム二次電池を実現し得る。
本実施形態はシート型のリチウムイオン二次電池を一例として説明したが、本実施形態のリチウム二次電池は他の形状を有していてもよい。たとえば、本実施形態のリチウム二次電池は、円筒形や角形形状を有していてもよい。また、電気自動車等に用いる大型の形状を有していてもよい。
本実施形態のリチウム二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に好適に用いることができる。また、これら以外の機器にも用いることができる。
(実施例)
以下、第1の実施形態の非水電解液の実施例を比較例とともに説明する。実施例中の非水電解液は、全てアルゴングローブボックス内で調合した。本開示の非水電解液は、以下に説明する実施例に限定されない。
≪実施例1≫
リチウム塩および溶媒として、Li[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2]およびハイドロフルオロエーテルであるCHF2CH2OCF2CHF2を用い、リチウム塩と溶媒とを混合することによって実施例1の電解液を調合した。溶媒に対するリチウム塩の添加量が0.1モル/Lとなるようにリチウム塩を秤量した。用いたハイドロフルオロエーテルは大気下で引火点をもたない難燃溶媒であることから、電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
ハイドロフルオロエーテルは、市販品(CAS Number: 16627-68-2)を用いた。リチウム塩は、既報(Electrochimica Acta 50 (2005) 3872−3877)に従い、合成したものを用いた。上記式におけるnは平均値で7.2であった。
≪実施例2≫
実施例1と溶媒のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で実施例2の電解液を調製した。ハイドロフルオロエーテルであるCHF2CH2OCF2CHF2とパーフルオロポリエーテルであるCF3−O−(C36−O)n−(CF2−O)m−CF3を1対3の体積比で混合した溶媒を用いた。用いたハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルはいずれも大気下で引火点をもたない難燃溶媒であることから、電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
ハイドロフルオロエーテルは、市販品(CAS Number: 16627-68-2)を用いた。パーフルオロポリエーテルは市販品(ガルデンLS−230、分子量1020)を用いた。
≪比較例1≫
実施例1とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例1の電解液を調整した。リチウム塩にはLiPF6(6フッ化リン酸リチウム)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例2≫
実施例1とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例2の電解液を調製した。リチウム塩にはLiBF4(4フッ化リン酸リチウム)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例3≫
実施例1とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例3の電解液を調製した。リチウム塩にはLiTFSI(LiN−(SO2−CF32:リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例4≫
実施例1とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例4の電解液を調製した。リチウム塩にはLiFSI(LiN−(SO2F)2:リチウムビスフルオロスルホニルイミド)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例5≫
実施例1とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例5の電解液を調製した。リチウム塩にはLicTFSI(LiN−(SO2−CF2−)2)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例6≫
実施例2とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例2と同じ方法で比較例6の電解液を調製した。リチウム塩にはLiPF6(6フッ化リン酸リチウム)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例7≫
実施例2とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例2と同じ方法で比較例7の電解液を調製した。リチウム塩にはLiBF4(4フッ化リン酸リチウム)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例8≫
実施例2とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例2と同じ方法で比較例8の電解液を調製した。リチウム塩にはLiTFSI(LiN−(SO2−CF32:リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例9≫
実施例2とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例2と同じ方法で比較例9の電解液を調製した。リチウム塩にはLiFSI(LiN−(SO2F)2:リチウムビスフルオロスルホニルイミド)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例10≫
実施例2とリチウム塩のみが異なり、それ以外は実施例2と同じ方法で比較例10の電解液を調製した。リチウム塩にはLicTFSI(LiN−(SO2−CF2−)2)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例11≫
リチウム塩および溶媒としてLiPF6および下記式(2)で示されるホスファゼンを用い、リチウム塩と溶媒とを混合することによって比較例11の電解液を調合した。溶媒に対するリチウム塩の添加量が0.1モル/Lとなるようにリチウム塩を秤量した。用いたホスファゼンは大気下で引火点をもたない難燃溶媒であることから、電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
用いたホスファゼン溶媒は、既報(Journal of the Chemical Society, 1961 , p.1768−1771)に従い、合成したものを用いた。上記式におけるX1〜X6は平均でClが1個で、Fが5個であった。より詳細には、置換基X1〜X6のうち全てがフッ素原子である化合物が37%、ひとつが塩素原子である化合物が31%、二つが塩素原子である化合物が32%から成る混合物であり、混合物におけるフッ素原子と塩素原子の平均個数はそれぞれ5個および1個であった。
Figure 2016018770
≪比較例12≫
比較例11とリチウム塩のみが異なり、それ以外は比較例11と同じ方法で比較例12の電解液を調製した。リチウム塩にはLiBF4(4フッ化リン酸リチウム)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例13≫
比較例11とリチウム塩のみが異なり、それ以外は比較例11と同じ方法で比較例13の電解液を調製した。リチウム塩にはLiTFSI(LiN−(SO2−CF32:リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例14≫
比較例11とリチウム塩のみが異なり、それ以外は比較例11と同じ方法で比較例14の電解液を調製した。リチウム塩にはLiFSI(LiN−(SO2F)2:リチウムビスフルオロスルホニルイミド)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例15≫
比較例11とリチウム塩のみが異なり、それ以外は比較例11と同じ方法で比較例15の電解液を調製した。リチウム塩にはLicTFSI(LiN−(SO2−CF2−)2)を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪実施例3≫
比較例11とリチウム塩のみが異なり、それ以外は比較例11と同じ方法で実施例3の電解液を調製した。リチウム塩には実施例1で用いたのと同じ、Li[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2]を用いた。電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
≪比較例16≫
実施例1と溶媒のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例16の電解液を調製した。リチウム塩には実施例1で用いたのと同じ、Li[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2]を用い、溶媒にはジメトキシエタン(DME)を用いた。用いたDMEは大気下で可燃性を有する可燃性溶媒であることから、電解液溶媒中の難燃溶媒比率は0%であった。
≪比較例17≫
実施例1と溶媒のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例17の電解液を調製した。リチウム塩には実施例1で用いたのと同じ、Li[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2]を用い、溶媒にはヘキサンを用いた。用いたヘキサンは大気下で可燃性を有する可燃性溶媒であることから、電解液溶媒中の難燃溶媒比率は0%であった。
≪比較例18≫
実施例1と溶媒のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例18の電解液を調製した。リチウム塩には実施例1で用いたのと同じ、Li[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2]を用い、溶媒にはキシレンを用いた。用いたキシレンは大気下で可燃性を有する可燃性溶媒であることから、電解液溶媒中の難燃溶媒比率は0%であった。
≪比較例19≫
実施例1と溶媒のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例19の電解液を調製した。リチウム塩には実施例1で用いたのと同じ、Li[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2]を用い、溶媒にはモノフルオロベンゼンを用いた。用いたモノフルオロベンゼンは大気下で可燃性を有する可燃性溶媒であることから、電解液溶媒中の難燃溶媒比率は0%であった。
≪比較例20≫
実施例1と溶媒のみが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法で比較例20の電解液を調製した。リチウム塩には実施例1で用いたのと同じ、Li[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2]を用い、溶媒にはパーフルオロテトラグライムを用いた。用いたパーフルオロテトラグライムは大気下で可燃性を有しない難燃溶媒であることから、電解液溶媒中の難燃溶媒比率は100%であった。
[相溶性および導電性評価]
実施例1〜3および比較例1〜20の非水電解液の相溶性を目視により評価し、均一であった非水溶媒に関しては、導電率測定を行った。なお、リチウム塩の析出や、溶媒との相分離が確認された場合は「相溶性」を×とし、これらの現象が確認されなかった場合は「相溶性」を○とした。
導電率測定は、堀場製作所製D-54 pH/Conductivity Meterを用いて、25℃で測定した。実施例1〜3、および比較例1〜20の結果を表1にまとめて示す。なお、表中にLi[B(OCOCF32(O(CH2CH2n2はLiB(OR12(OR22と略記した。
Figure 2016018770
表1に示すように、溶媒としてハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルまたはホスファゼンを含み、Li[B(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)]で表されるリチウム塩を含む実施例1、2、3の非水電解液において、リチウム塩の析出および相分離は確認されなかった。これらの非水電解液の難燃溶媒比率は100%である。の電解液を構築することができた。また、導電率も確認でき、その値は、実施例1、2の非水電解液では、比較例16の非水電解液以上より大きくなった。実施例3の非水電解液の導電率は、比較例16の非水電解液の導電率よりも小さいが、実用上、リチウム二次電池の非水電解液として使用可能な程度の値である。ハイドロフルオロエーテルと、パーフルオロポリエーテルとでは、パーフルオロポリエーテルの方が難燃性能に優れることから、実施例1と2の非水電解液とでは、実施例2の非水電解液の方が優れた難燃性を有していると考えられる。
また、比較例1〜5、比較例6〜10に示すように、溶媒として用いたハイドロフルオロエーテルや、ハイドロフルオロエーテルとパーフルオロポリエーテルとの混合溶媒は、第1の実施形態説明したように、式(1)で示されるリチウム塩以外のフッ化物塩、イミド塩を溶解させることができず、電解液を調製することができなかった。また、測定可能な程度の導電率も得られなかったことから、リチウム塩は部分的にも溶解していなかったことが確認された。
また、比較例11〜15に示すように、溶媒として用いたホスファゼンも式(1)で示されるリチウム塩以外であるフッ化物塩、イミド塩を溶解させることができず、電解液を調製することができなかった。測定可能な程度の導電率も得られなかったことから、リチウム塩は部分的にも溶解していなかったことが確認された。
また、比較例16〜20に示すように、式(1)で示されるリチウム塩は、DMEには溶解するが、有機溶媒として広く用いられるヘキサンやキシレン、フッ素溶媒であるフルオロベンゼンやパーフルオロテトラグライムには溶解しないことが分かる。
これらの結果から、難燃性の溶媒を選択すれば、容易に難燃性の非水電解液を得ることができるわけではなく、特定の難燃溶媒と特定のリチウム塩との組み合わせによって初めて、難燃溶媒の比率が従来よりも極めて高い非水電解液を実現できることが分かる。具体的には、溶媒としてハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を用い電解質としてLi[B(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)]で表されるリチウム塩を用いることによって、初めて難燃溶媒比率が従来構築できなかったような極めて高い値の非水電解液を実現できることが分かった。
本開示の非水電解液は、リチウム二次電池の安全性向上に大きく貢献することができる。また、本開示はの非水電解液を用いたリチウム二次電池は、携帯電子機器などの電源;火力発電、風力発電、燃料電池発電などの発電設備と組み合わせて使用される電力平準化用の蓄電デバイス;一般家庭および集合住宅用の非常用蓄電システム、深夜電力蓄電システムなどの電源;無停電電源;電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車といった輸送機器などの電源に好適に使用できる。

Claims (6)

  1. ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテルおよびホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む溶媒と、
    下記式(1)で表される電解質と
    Li[B(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)] (1)
    (ただし、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素原子1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフッ素化アルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子―炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する炭素原子数1〜16のフッ素化アルキル基、フッ素化芳香族基、または、C(=O)−R5で表される置換基である。R5は炭素原子1〜9のアルキル基、炭素原子数1〜9のフッ素化アルキル基から選択される一つである。)
    を含む非水電解液。
  2. 前記溶媒は、実質的に前記ハイドロフルオロエーテル、前記パーフルオロポリエーテルおよび前記ホスファゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種のみを含む請求項1に記載の非水電解液。
  3. 前記溶媒は実質的にハイドロフルオロエーテルのみを含む請求項2に記載の非水電解液。
  4. 前記溶媒は実質的にハイドロフルオロエーテルおよびパーフルオロポリエーテルのみを含む請求項2に記載の非水電解液。
  5. 前記式(1)において、R1およびR2が、CF3(C=O)−で表され、R3およびR4が、−O−(CH2CH2−O)n−CH3(nは1〜10の間の値)である、請求項1に記載の非水電解液。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の非水電解液を含むリチウム二次電池。
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