JP2016017878A - 建築・構築材の固定度評価装置及び評価方法 - Google Patents

建築・構築材の固定度評価装置及び評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】建築・構築材の固定度について、より精度の高い評価を行うことができる評価装置及び評価方法を提供する。
【解決手段】建築物・構築物に固定される建築・構築材2に衝撃を加える衝撃付加手段と、発生した音響を捕捉する音響補足手段と、捕捉した音響を解析する音響解析手段と、を有し、衝撃付加手段が、電磁波を放射する円筒状の電磁コイル13であり、音響捕捉手段が、マイクロフォン11である。前記マイクロフォン11は、円筒状の電磁コイル13の内側空間内に円筒内面に対して空間を設けて配設されており、建築・構築材2から発生した音響の内、不要な反射音・余剰音波を抑制する構成である。更に、衝撃付加手段及び音響捕捉手段の位置決め手段を有して、建築・構築材2に対する衝撃付加手段と音響捕捉手段の距離・角度を任意の固定値に保つことが可能な構成である。
【選択図】図1

Description

本発明は建築・構築材の固定度評価装置及び評価方法に関し、詳しくは建築物・構築物に固定されるあと施工アンカーの如き建築・構築材の固定状態(定着状態)を外部からの非破壊検査で評価する装置及び方法に関する。
建築物・構築物に固定される建築・構築物の一つとして、定着部に接着剤を充填する方式の接着系のあと施工アンカーがある。この、あと施工アンカーは、道路、鉄道、港湾、建築耐震工事等の各施工現場において幅広い用途で用いられている。
2012年に発生した中央自動車道のトンネルでの天井板落下事故では、天井板を覆工コンクリートから吊るために用いられていたあと施工アンカーが脱落することによって天井板が崩落してしまった。あと施工アンカーの脱落の推定される主たる原因としては、定着部に用いられている接着剤の経年劣化以外にも、接着剤の充填量が施工時点で不足していたことも指摘されており、これらの要因によって、設計要求荷重である4ton/1本を満たしていないものがあるどころか、天井板と吊り金具の支持荷重の1.2ton/1本さえも満たしていないものもあった、とされている。
尚、国土交通省の発表によれば、あと施工アンカーに用いられるボルト自体に強度不足や腐食は見られなかったとのことから、定着部に充填された接着剤に主たる原因があったものとの推定は揺るがないものと思料される。
また、この事故を契機に同型の構造を有する他のトンネルについての点検が行われたが、その際、国道197号のトンネルや阪神高速31号線 神戸山手線 神戸永田トンネル等において、あと施工アンカーの緩みや脱落が発見された、と報道された。
上記したあと施工アンカーの緩みや脱落等の不具合、かかる不具合を起因とする事故を未然に防ぐには、日々の定期的な点検が極めて重要であるが、点検の行い難い構造等による点検の省略やずさんな方法による点検等によって不具合や問題点が看過される場合がある。
国土交通省 事故調査・検討委員会による前記した2012年の事故の最終報告書
によれば、その再発防止策の中で「点検にあたっては、全ての常時引張り力を受ける接着系ボルトに対して近接点検(近接目視、打音及び触診)を行うとともに、少なくともいくつかのサンプルで適切な荷重レベルでの引張載荷試験を実施すべき」、新技術の開発の中で「引張り試験等の載荷試験によることなく強度を推定できる非破壊検査手法の技術開発が望まれる」と報告されている。
そこで本発明者らは、既に提案した技術(例えば、特許文献1及び2等)である打音を用いた非破壊検査技術を基に研究を進めることにより前記のような要望のある非破壊検査方法であって、しかも簡易な構成によってあと施工アンカーの固定度(健全性)を容易に評価することできる技術の開発を試みた。
本発明者らは、あと施工アンカーに打撃による衝撃を加え、その打撃の加振力と測定された音圧とから加振点と応答点との位置間の伝達インピーダンスを求め、予め試験体を用いて得られている関係式に当て嵌めることによってあと施工アンカーの健全性を評価する技術を先に提案した(特許文献3)。
特許4456723号公報 特許3770668号公報 特願2014−254086号
本発明者らは、建築・構築材の固定度の評価技術について更に精度を追求する研究を行った。
そこで本発明の課題は、建築・構築材の固定度について、より精度の高い評価を行うことができる建築・構築材の固定度評価装置及び評価方法を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
1.被測定対象が、建築物・構築物に固定される建築・構築材であり、
この建築・構築材に衝撃を加えて音響を発生させる衝撃付加手段と、
発生した音響を捕捉する音響補足手段と、
捕捉した音響を解析することにより前記建築・構築材の固定状態を評価する音響解析手段と、
を有して成る建築・構築材の固定度評価装置において、
前記衝撃付加手段が、前記建築・構築材に対して電磁波を放射する円筒状の電磁コイルであり、
該衝撃付加手段によって、前記建築・構築材に対して強磁界で強エネルギーを短時間与えて該建築・構築材固有の振動数を有する振動を発生させ、
この発生した、建築・構築材の長さや直径の如き条件に応じた固有の振動や、固定状態に応じた固有の振動、が総合された反射波である可聴領域音として前記音響捕捉手段により捕捉される構成であり、
前記音響捕捉手段が、前記音響を計測するマイクロフォンであり、
該マイクロフォンは、前記円筒状の電磁コイルの内側空間内に円筒内面に対して空間を設けて配設されており、
前記建築・構築材から発生した音響の内、不要な反射音・余剰音波を前記空間を通過させることによって前記マイクロフォンによる不要な反射音・余剰音波の捕捉を抑制する構成であり、
前記音響解析手段が、計測した音響から周波数特性と強度特性とを導き出し、予め算出した良否判定データと対比することにより計測した建築・構築材の固定状態を評価する構成であり、
更に、上記の構成を有する建築・構築材の固定度評価装置が、前記衝撃付加手段及び前記音響捕捉手段の位置決め手段を有し、
該位置決め手段によって、前記建築・構築材に対する前記衝撃付加手段と前記音響捕捉手段の距離・角度を任意の固定値に保つことが可能な構成であること、
を特徴とする建築・構築材の固定度評価装置。
2.前記位置決め手段が、建築・構築材が固定された固定面に当接させる当接台座部と、該当接台座部から立設して前記衝撃付加手段及び前記音響捕捉手段が取付支持される取付支持部と、を有する構成であることを特徴とする上記1に記載の建築・構築材の固定度評価装置。
3.前記電磁コイルの円筒状先端面とマイクロフォンの計測先端面とを、前記建築・構築材に対して同距離に設定することを特徴とする上記1又は2に記載の建築・構築材の固定度評価装置。
4.前記建築・構築材が、定着部に接着剤を充填する方式の接着系のあと施工アンカーであることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価装置。
5.被測定対象が、建築物・構築物に固定される建築・構築材であり、
この建築・構築材に衝撃を加えて音響を発生させ、
発生した音響を捕捉し、
捕捉した音響を解析することにより前記建築・構築材の固定状態を評価することによって建築・構築材の固定度を評価する評価方法において、
前記建築・構築材に対して電磁波を放射する円筒状の電磁コイルによって、前記建築・構築材に対して強磁界で強エネルギーを短時間与えて該建築・構築材固有の振動数を有する振動を発生させ、
この発生した、建築・構築材の長さや直径の如き条件に応じた固有の振動や、固定状態に応じた固有の振動、が総合された反射波である可聴領域音としてマイクロフォンによって捕捉し、
該マイクロフォンは、前記円筒状の電磁コイルの内側空間内に円筒内面に対して空間を設けて前記建築・構築材から発生した音響の内、不要な反射音・余剰音波を前記空間を通過させることによって前記マイクロフォンによる不要な反射音・余剰音波の捕捉を抑制し、
計測した音響から周波数特性と強度特性とを導き出し、予め算出した良否判定データと対比することにより計測した建築・構築材の固定状態を評価する方法であり、
更に、前記電磁コイル及び前記マイクロフォンと前記建築・構築材との距離・角度を任意の固定値に保った状態で計測を行うこと、
を特徴とする建築・構築材の固定度評価方法。
6.前記強磁界で強エネルギーを与える時間が10μsec以内であることを特徴とする上記5に記載の建築・構築材の固定度評価方法。
7.前記マイクロフォンの周波数特性を可聴領域音で一定する技術(f特)を用いることを特徴とする上記5又は6に記載の建築・構築材の固定度評価方法。
8.前記電磁コイルの円筒状先端面とマイクロフォンの計測先端面とを、前記建築・構築材に対して同距離に設定した状態で計測を行うことを特徴とする上記5〜7のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
9.捕捉した前記反射波をアンプ及びフィルターを通して増幅させ、A/D変換ボードに入力する構成であることを特徴とする上記5〜8のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
10.前記可聴領域音の初期値レベルをハニング処理によって切り出し、又は任意の時間波形の切り出し(解析開始点と終了点の切り出し)、該初期値レベル以降の領域の有効範囲を設定することにより、建築・構築材の良否特性を得ることを特徴とする上記5〜9のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
11.捕捉した音響の生波形を元にFFT解析(フーリエ変換)を行う構成であることを特徴とする上記5〜10のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
12.前記FFT解析(フーリエ変換)の結果から特徴抽出を行って特性周波数を得る構成であることを特徴とする上記11に記載の建築・構築材の固定度評価方法。
13.得られた周波数領域の範囲を複数設けて各々の強度の面積を求め、各周波数領域の面積値を比較し、良否判定を行う構成であることを特徴とする上記5〜12のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
14.前記建築・構築材に対して1回目の電磁波を放射することによって前記建築・構築材の残留応力の除去を行い、2回目以降の電磁波の放射から発生する音響を用いて評価する構成であることを特徴とする上記5〜13のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
15.前記建築・構築材が、定着部に接着剤を充填する方式の接着系のあと施工アンカーであることを特徴とする上記5〜14のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
請求項1又は5に示す発明によれば、建築・構築材の固定度について、より精度の高い評価を行うことができる建築・構築材の固定度評価装置又は評価方法を提供することができる。
特に、音響を発生させるための衝撃付加が、バラツキが出易く定量化が困難である人手によるハンマー等の直接的な接触による打撃ではなく、常に均一条件での衝撃付加が可能な電磁波の放射である構成によって、より精度の高い評価が可能となる。
即ち、電磁コイルを構成するコイル部(励磁コイル)にパルス状の大電流を流し、瞬間的に磁場を発生させて被測定対象である建築・構築材に放射し、この電磁波の放射によって建築・構築材を非接触で振動を与えて音響を発生させ、その音響を解析することにより建築・構築材の固定度を評価することできる。従って、非接触で加力できることから、ハンマー等による加力と比較して均質な振動を与えることができ、更に振動計が不要となる。
更に、建築・構築材に対する電磁波の放射によって発生した音響をマイクロフォンが計測する際に、該マイクロフォン周囲に到達した音響はマイクロフォン側面と円筒状の電磁コイルの内面との間に設けられた空間を通過するため、該マイクロフォンの周囲における音響の余計な反射を抑制することができる。従って、より精度の高い評価が可能となる。
尚、音響を計測するマイクロフォンをフード等の集音部材の内側に配設した構成では、発生した音響がフード内面で反射することによって被測定物から発生する音響とは異なる反射音響が発生するために計測精度が落ちるという問題点を有していることが本発明者らの研究で判った。
請求項2に示す発明によれば、建築・構築材の固定面に位置決め手段を当接することによって極めて容易に所望の一定の距離・角度での固定度の評価が可能となる。従って、より精度の高い評価が可能となる。
請求項3に示す発明によれば、円筒状の電磁コイルの筒形状の内面の音響の反射等の影響を抑制することができるので、より精度の高い評価が可能となる。
請求項4又は15に示す発明によれば、道路、鉄道、港湾、建築耐震工事等の各施工現場において幅広い用途で用いられていたあと施工アンカーの固定度評価に適用することができる。
請求項6〜14に示す発明によれば、より精度の高い建築・構築材の固定度の評価が可能となる。
本発明の建築・構築材の固定度評価装置の一実施例を示す要部構成図 図1の固定度評価装置の使用状態の一例を示す概略側面図 図1の固定度評価装置の使用状態の一例を示す概略平面図 本発明の固定度評価装置の全体構成の一例を示す概略構成図 A/D変換された生波形をハニング処理し、振動数の特質をパラメータ設定で選出する際の説明図 図5の波形の生波形の状態を示す図 音収集波形を説明するグラフ図 周波数解析波形を説明するグラフ図 音響解析装置の表示画面部の表示例の一例を示す図 あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「ナット無しボルト接着量 打検特性」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「ナット無しボルト接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「ボルト−ナット有り0(N)特性」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「トルク0(N)接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「ボルト−ナット 打検特性 接着量50%−トルク特性」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「接着量50% トルク(N)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「ボルト−ナット 打検特性 接着量80%−トルク特性」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「接着量80% トルク(N)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「ボルト−ナット 打検特性 接着量100%−トルク特性」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「接着量100% トルク(N)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「トルク50(N) 接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「トルク100(N) 接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって「トルク150(N) 接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ
以下、本発明に係る建築・構築材の固定度評価装置及び評価方法について説明する。
本発明に係る建築・構築材の固定度評価装置(以下、固定度評価装置、又は評価装置ということもある。)1及び建築・構築材の固定度評価方法(以下、固定度評価方法、又は評価方法ということもある。)は、主として、道路、鉄道、港湾、建築耐震工事等の各施工現場において幅広く用いられているあと施工アンカーに代表される建築・構築材2の健全性である固定度を評価するものである。
建築・構築材2であるあと施工アンカーは、種々の建築物・構築物3の壁面・天井面・スラブ面等を構成するコンクリートに穿設した定着用孔部3A内に、アンカーボルトを一部が露出した状態で埋設し、定着用孔部3Aとの定着部に接着剤4を充填し、この接着剤4の固化により前記アンカーボルトを定着固定する構成であり、該あと施工アンカーに取付固定されるCT鋼や種々吊り具等の被取付物の重量や外的応力等の総量に応じた設計要求荷重を施工時のみならず供用期間においても満たすことが求められている。
そこで施工時に設計要求荷重を満たしているか否か、供用期間における経時経年後についても設計要求荷重を満たしているか否かを、引き抜き試験等の載荷試験を行うことなく非破壊検査によって評価する装置及び方法であり、被測定対象であるあと施工アンカーに衝撃を加え、この加えた衝撃によって発生する音響から前記あと施工アンカーの健全性である固定度を評価するものである。
本発明の評価装置の具体的構成としては、図1〜図4に示すように、
被測定対象が、建築物・構築物3に固定される建築・構築材(本実施例では、あと施工アンカー)2であり、
この建築・構築材2に衝撃を加えて音響を発生させる衝撃付加手段と、
発生した音響を捕捉する音響補足手段と、
捕捉した音響を解析することにより前記建築・構築材2の固定状態を評価する音響解析手段と、
を有して成る建築・構築材の固定度評価装置1において、
前記衝撃付加手段が、前記建築・構築材2に対して電磁波を放射する円筒状の電磁コイル13であり、
該衝撃付加手段によって、前記建築・構築材2に対して強磁界で強エネルギーを短時間与えて該建築・構築材2固有の振動数を有する振動を発生させ、
この発生した、建築・構築材2の長さや直径の如き条件に応じた固有の振動や、固定状態に応じた固有の振動、が総合された反射波である可聴領域音として前記音響捕捉手段により捕捉される構成であり、
前記音響捕捉手段が、前記音響を計測するマイクロフォン11であり、
該マイクロフォン11は、前記円筒状の電磁コイル13の内側空間内に円筒内面に対して空間である余剰音通過空間部12を設けて配設されており、
前記建築・構築材2から発生した音響の内、余分な反射音・余剰音波を前記余剰音通過空間部12を通過させることによって前記マイクロフォン11による余分な反射音・余剰音波の捕捉を抑制する構成であり、
前記音響解析手段が、計測した音響から周波数特性と強度特性とを導き出し、予め算出した良否判定データと対比することにより計測した建築・構築材2の固定状態を評価する構成であり、
更に、上記の構成を有する建築・構築材2の固定度評価装置1が、前記衝撃付加手段及び前記音響捕捉手段の位置決め手段を有し、
該位置決め手段によって、前記建築・構築材2に対する前記衝撃付加手段と前記音響捕捉手段の距離・角度を任意の固定値に保つことが可能な構成であること、
である。
以下、本発明について更に詳説する。
音響捕捉手段のマイクロフォン11としては、土木建築分野における打音検査の際に用いられる公知公用のマイクロフォンを特別の制限なく用いることができ、好ましく用いられるマイクロフォンとしては、例えば、振動板と固定板を有するコンデンサマイクを挙げることができる。コンデンサマイクを用いた場合、評価する建築・構築材2の種々条件(例えば、太さや材質、固定面3Bからの突出長等)に応じて増幅率は生波形の応答強度が適切になる範囲で適宜可変調整する。尚、コンデンサマイクの増幅器の増幅率をフィードバックして調整する自動増幅率機能を搭載したものとしてもよい。尚また、発生した音響の捕捉は40msec収集できることが好ましい。
前記マイクロフォン11は、図1に示されるように、マイクロフォン支持管11Aによって支持され、該マイクロフォン支持管11Aはマイクロフォン支持管固定具11B
及び取付ブラケット14Bを介して取付支持部14Aに支持固定されている。取付支持部14Aは更に当接台座部14Bに立設状態で配設されており、該取付支持部14Aと当接台座部14Bとが評価装置1の位置決め部材14を構成する。
また、該マイクロフォン11は、マイクロフォン支持管固定具11Bに螺合取付されたマイクロフォン支持管固定具用ネジ11Cの弛緩・緊締によって建築・構築材2に対する計測距離を可変調整することが可能である。
更に、該マイクロフォン11には、マイクロフォン配線11Dが電気的に接続されており、該マイクロフォン配線11Dは、電圧電流をマイクロフォン11に供給する電線部と、マイクロフォン11が捕捉した音響を音響解析手段に伝達するLANケーブルの如き通信線と、から構成されている。
衝撃付加手段の電磁コイル13は、図1に示すように円筒状であり、磁性体部13Bと、該磁性体部13Bに巻き回されるコイル部13Aと、前記磁性体部13Bの内面部分に内接する電磁コイル内側スリーブ13Cとを有して成り、該電磁コイル内側スリーブ13の一部が前記取付支持部14Aに取付支持されている。
電磁コイル内側スリーブ13Cは、上記したように電磁コイル13の支持部材であると共に、その内側空間内に、空間を設けた状態で前記マイクロフォン11を配設するものである。この設けられた空間が、建築・構築材2から発生した音響の内、余分な反射音・余剰音波等の余分な音響を通過させる余剰音通過空間部12となる。該余剰音通過空間部12によって、余分な音響が通過するので、マイクロフォン11の集音効果・補足効果が阻害されることなく高まることによって建築・構築材2から発生した音響を純粋な状態で捕捉することができる。
また、前記電磁コイル13を構成する磁性体部13Bは、応答周波数の向上と共にヒステリシス損を減少させる点から初期透磁率の高い材料で形成することが好ましい。
更に、前記電磁コイル13には、電磁コイル配線13Dが電気的に接続されており、該電磁コイル配線13Dを介して電圧電流を電磁コイル13に供給することにより該電磁コイル13を励磁させる。
上記構成を有するマイクロフォン11及び電磁コイル13は、施工現場・計測現場における防汚・防水・防塵等対策として固定カバー体15に被覆されていることが好ましい。
前記マイクロフォン11及び電磁コイル13の各々の建築・構築材2に対する距離は同距離に設定されることが好ましく、かかる構成によれば、円筒状の電磁コイル13の筒形状の内面の音響の反射等の影響(例えば、1/2λ、1/4λの共振、減衰等)を抑制することができるので、より精度の高い評価が可能となる。同距離に設定する構成としては、電磁コイル13の円筒状先端面とマイクロフォン11の計測先端面とを一致させることが挙げられる。
評価装置1による建築・構築材2の固定度評価に際しては、衝撃付加手段である電磁コイル13と音響捕捉手段であるマイクロフォン11とを建築・構築材2の被計測箇所に対して適切な位置に配置するために位置決め手段である位置決め部材14を用いる。
即ち、建築・構築材2の固定度の評価に際して、衝撃を付加して音響を発生させる部分として適切な位置(例えば、本実施例のあと施工アンカーの場合には先端から数cm以内の部分)と対峙する位置にマイクロフォン11及び電磁コイル13が配置されるように、位置決め部材14の当接台座部14Cを建築物・構築物3の固定面3Bに当接配置させる。更に、この際、建築・構築材2との距離についても適切な距離となるように、取付支持部14A等の取付支持に関する部材を調整する。
建築・構築材2があと施工アンカーである場合、該あと施工アンカーのボルト側面からマイクロフォン11の計測先端面との距離は10mm以内であることが好ましく、概ね5mm程度であることが特に好ましい。そして、このマイクロフォン11の計測先端面に電磁コイル13の円筒状先端面を一致させることが更に好ましい。また、この時、前記ボルト側面がマイクロフォン11の計測先端面の中心に位置させることのが好ましい。
前記マイクロフォン11は、前記電磁コイル13から放射された電磁波の電磁的衝撃により励起される建築・構築材2の振動音である音響を捕捉する。この音響は、建築・構築材2の周波数特性及び接着剤4の周波数特性を含んだ電気信号として出力され、音響解析手段に伝達されることになる。
電磁コイル13から放射される電磁波によって発生した建築・構築材2の音響をマイクロフォン11によって捕捉する際、該マイクロフォン11と電磁コイル13との間に余剰音通過空間部12が設けられていることにより、発生した音響の内、余分な反射音・余剰音波はマイクロフォン11に捕捉されることなく前記余剰音通過空間部12を通過して外部へ放出されるので、余分な反射音・余剰音波の捕捉を抑制することができる。電磁コイル内側スリーブ13Cの内面と、前記マイクロフォン11Aの外面とは、余分な反射音・余剰音波の発生をより抑制すると共に円滑に通過させるために平滑に形成されていることが好ましい。
次に、図4に基づいて評価装置1の全体構成について説明する。
評価装置1は、上記した衝撃付加手段である電磁コイル13、音響捕捉手段であるマイクロフォン11の他に、種々様々な機器から構成されており、例えば、下記の機器を挙げることができる。
電磁コイル用電源は、電磁コイル13に電磁コイル配線13Dを介して電気的に接続されて該電磁コイル13を励磁するものであり、電圧可変装置を含み、励磁タイミングの設定、パルス幅の設定、コイル部のチャンネルの設定、励磁タイミング動作等を行う構成である。尚、該電磁コイル用電源は下記の音響解析装置に接続され、該音響解析装置が搭載する制御部(CPU)の制御プログラムにより設定されたタイミングで励磁トリガが出力されることにより電磁コイル13の電磁波の放射が行われる。
音響解析装置は、マイクロフォン11にマイクロフォン配線11Dを介して電気的に接続されるものであり、主として、電源、制御部(CPU)、計測波形・解析波形・各種解析パラメータ設定等を設定・表示する表示画面部、種々データを保存するデータ保存用記録装置、励磁トリガ出力部、計測トリガ入力部、マイクロフォン11の接続・増幅回路、ゲイン可変機能付きA/Dボード、から構成されている。
尚、計測トリガ入力部には、建築・構築材2が計測に適切な位置にあるかを検出する検出センサーが接続されることが好ましく、適切位置にあることが検出された場合に計測トリガ入力が動作して計測開始が可能となる。即ち、前記した位置決め部材14によって評価装置1を適切な位置に配置すると、検出センサーが計測に際して適切な位置に配置したことを検出し、この検出情報に基いて計測トリガ入力部が作動して計測が自動的に行われることになる。
尚また、表示画面部には励磁トリガ出力時や計測トリガ入力時の誤動作等のトリガ事故発生時に対応するためのトリガ事故発生回路を有することも好ましい。
また、該音響解析装置には、評価装置1の作動状態等を監視するための信号を出力する外部判定出力部を有することが好ましく、該外部判定出力部は状態監視ランプ等の状態表示手段に接続されることによって外部から容易に状態を監視できる構成とすることが好ましい。
更に、音響捕捉手段によって計測した音響データや解析値等の種々データを外部のPCやPLCレコーダ等に出力する計測値出力部を有することが好ましい。更にまた、遠隔操作によって無線通信によるデータの収集(出力)を行ってもよい。
前記接続・増幅回路について補足説明すると、該接続・増幅回路はマイクロフォン11から捕捉した音響信号を受信し、この音響信号を増幅しフィルタを通過させた後に、アナログ信号をデジタル信号へ変換し、制御部(CPU)の指令によりデジタル信号をデータ保存用記録装置に書き込む。
前記でデータ保存用記録装置について補足説明すると、該データ保存用記録装置には音響捕捉手段であるマイクロフォン11によって捕捉した音響のデータを保存するだけでなく、良否判定データを算出するための供試体による実験データや過去の評価データ等が予め保存されている。従って、この保存されている良否判定データと新たに計測したデータとを対比することにより建築・構築材2の固定度評価を行うことができる。
次に、本発明の評価方法について説明する。
先ず、建築・構築材2の側面を電磁コイル13により強磁界で短時間(10μsec以内であることが好ましい)の強エネルギーを与えて引っ張る、即ち、電磁波を建築・構築材2に対して放射する。この電磁波の放射は、ボルト検出センサーのタイミングや自己発生トリガ等により行われることが好ましい。
電磁波の放射により音響が発生する。即ち、強磁界が与えられることにより建築・構築材2は固有の振動数を有する振動が発生し、その振動が固有の振動、固定に用いられている定着用孔部3A内の接着剤4の充填量の状態固有の振動、ナット5締付量による固有の振動が総合された反射波として建築・構築材2から可聴領域音(0〜2×10Hz)としてマイクロフォン11に捕捉される。
マイクロフォン11により捕捉した音響の周波数特性を可聴領域音で一定にする技術(f特)と、マイクロフォン11の集音技術(例えば、音波通過空間の確保、コイル部13A先端面とマイクロフォン11の測定先端面とを建築・構築材2に対して同距離にする等)、電磁界を発生する電磁コイル13の周波数特性及び透磁率(コイル部13A、磁性体13Bの材質選定)を公知公用の構成に適宜適正に選定して反射した音響を効率よく収集する。
捕捉した音響の反射波は、アンプ及びフィルターを通して増幅させ、A/D変換ボードに入力することが好ましい。反射波のA/D変換された生の波形から、公知公用の音波収集ソフトを用いて振動数の特質をパラメータ設定で算出する。音波収集ソフトでは、図5に示すように、本来の波形から、アンカーボルトの良否特性が得られ易い領域である可聴音取り込みタイミング(F2)や有効範囲(F2の範囲)の設定を行う。図5に示すように、可聴音は初期値レベル(F1)が基本的に大きいことからsin波カーブに載せて切り出し(ハニング処理)、パルス幅を使用して選出することを行ってもよい。
得られるアンカーボルトの良否特性は、アンカーボルトそのものの状態(欠陥品であるか否か)、接着剤の定着用孔部3A内の充填状態、建築物・構築物2の状態(例えば、コンクリートの割れ、ひび割れ、欠損等)である。
尚、図5に示すグラフでは、ハニング処理を行ったことにより初期の可聴音領域が抑えられた状態で波形が出力されているが、実際の生波形は、可聴音領域が全体の8割以上を占めており、図6に示すような過度応答の特性を示す。図7に音収集波形のグラフを示し、図8に周波数解析波形のグラフを示す。また、図9に、音響解析装置の表示画面部の表示例の一例を示す。
可聴音取り込みタイミング(F2)は、電磁波の放射と同時に40msec間の音響波を捕捉することが好ましい。生波形収集時間は、40msec以上で周波数分解能10Hzを得られるように4096ビットの情報収集個数を設定することが好ましい。
次に、選出した生波形を元に、FFT解析(フーリエ変換=ファーストフーリエトランスファー)を行い、周波数と強度特性を導き出す。解析したFFT結果から特徴抽出を行って特性周波数を得、表示画面に表示する。
得られた周波数領域の範囲を複数設けて、各々の強度の面積を求めて、各周波数領域の面積値を比較することによって、建築・構築材2の固定度の合格(良)と不合格(否)の区別を行うロジックを用いて良否判定を行う。尚、良否判定はパターンマッチング手法による比較判定により行うこともできる。
良否判定データを用いて建築・構築材の固定度の評価を行うには、予め作成した供試体を用いて上記説明した評価装置・評価方法によって計測を行い、得られた実験データ結果を用いて良否判定データとして評価することが行われる。また、供試体データだけでなく、同様乃至は近似した施工条件の過去の計測データを良否判定データとして用いたり、或いはこの過去の計測データを前記した供試体データに加味したものを良否判定データとして用いることもできる。
本発明の評価装置・評価方法による建築・構築材の固定度の評価は、施工時の評価だけでなく経時経年変化した場合での評価も行うことができる。即ち、建築物・構築物の供用期間内の全期間に亘って建築・構築材の固定度を評価することができる。
以上の評価方法により、建築・構築材の固定度評価を行うことができる。
尚、評価に際して温度による周波数のズレが発生する場合等は温度補正を行って周波数のズレを補正することが好ましい。
尚また、建築・構築材2が残留応力を有している場合があるため、測定の際に1回目の電磁波の放射を行って建築・構築材2を振動させることにより残留応力を取り除き、2回目以降の電磁波の放射によって発生する振動の音響を評価に用いることが好ましい。
次に、本発明について実験例に基づき説明する。
本実験例では、建築物・構築物3としてトンネルを想定し、建築・構築材2としてトンネルの天井板を固定する接着系あと施工アンカーボルトを想定した。
実験に用いる供試体条件は、1500×1800×450mmのコンクリート直方体に、直径28×280mm長の定着用孔部3Aを穿設し、長さ370mmのアンカーボルト(M22、SS400相当)をコンクリート表面から280mmの深さまで埋め込んだ状態とした。尚、アンカーボルトにはM22用の座金(図1〜図3に示す座金部6)と六角ナット(図1〜図3に示すナット5)を設置して実験を行った。
実験条件は、接着剤充填率を、0%、50%、80%、100%の4水準(コンクリートとアンカーボルトが固着した部分の固着長さD1:0mm、140mm、224mm、280mm程度)とし、トルクレンチを用いたナットによる締付けトルクを0N−m、50N−m、100N−m、150N−mの4水準とした。
尚、接着剤の充填率0%(即ち、接着剤無し)ではアンカーボルトが固定できずに動いてしまうため粘土を充填した。接着剤の充填率50%、80%では、定着用孔部3Aの深部側に接着剤を充填しコンクリート表面(固定面3B)側に空隙が生じるように供試体を作成した。
穿設した定着用孔部3Aにカプセル型の接着剤とアンカーボルトを挿入し、充填度に応じてアンカーボルトとコンクリートを固着させた。
尚、ナットの締付けは、0N−mが人力による締付けであり、50N−m、100N−m、150N−mがトルクレンチによる締付けである。
測定は電磁パルス法の測定装置を用いて行った。アンカーボルトと電磁コイル13の距離は5mmとして電磁波を放射し、この電磁コイルの励磁コイルの瞬間的な引張力により発生するアンカーボルトの音響を、コイル部13Aの中心部に設置したコンデンサマイク(マイクロフォン11)で測定し、高速フーリエ変換等も可能な波形処理プログラムにより、周波数分布の卓越振動数等を用いて解析した。
種々条件の供試体を用いて、接着剤4の充填量の違いによる周波数特性、ナット5の締付けトルクの違いによる周波数特性について計測した結果を図10〜図22のグラフに示す。
図10〜図22に示すグラフはいずれも、あと施工アンカーボルトの接着材量及びトルクの打検特性結果であって、
図10は、「ナット無しボルト接着量 打検特性」を示すグラフ、
図11は、「ナット無しボルト接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ、
図12は、「ボルト−ナット有り0(N)特性」を示すグラフ、
図13は、「トルク0(N)接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ、
図14は、「ボルト−ナット 打検特性 接着量50%−トルク特性」を示すグラフ、
図15は、「接着量50% トルク(N)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ、
図16は、「ボルト−ナット 打検特性 接着量80%−トルク特性」を示すグラフ、
図17は、「接着量80% トルク(N)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ、
図18は、「ボルト−ナット 打検特性 接着量100%−トルク特性」を示すグラフ、
図19は、「接着量100% トルク(N)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ、
図20は、「トルク50(N) 接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ、
図21は、「トルク100(N) 接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ、
図22は、「トルク150(N) 接着量(%)−ピーク周波数(KHz)」を示すグラフ、
を示す。尚、各図において、「接着量」とは「接着剤の充填率」を云い、「トルク」とは「ナットの締付けトルク」を云う。尚また、計測は各条件項目につき2回行った。
実験結果から、下記表1に示すように、ナット無しのアンカーボルトの場合、接着剤の充填率が上がるに従って周波数が高く検出されることが判る。従って、接着剤の充填率の変化を周波数特性の相違から把握できることが判った。周波数特性を建築・構築材の固定度の状態(合格であるか不合格であるか)と結び付けておくことにより良否判定が可能となる。
Figure 2016017878
実験結果から、下記表2に示すように、接着剤の充填率が同じ場合にナットの締付けトルクが増大するに従って周波数が高く検出されることが判る。従って、ナットの締付けトルクの変化を周波数特性の相違から把握できることが判った。周波数特性を建築・構築材のナットの締付けトルクの状態(合格であるか不合格であるか)と結び付けておくことにより良否判定が可能となる。
Figure 2016017878
1 建築・構築材の固定度評価装置
11 マイクロフォン
11A マイクロフォン支持管
11B マイクロフォン支持管固定具
11C マイクロフォン支持管固定具用ネジ
11D マイクロフォン配線
12 余剰音通過空間部
13 電磁コイル
13A コイル部
13B 磁性体部
13C 電磁コイル内側スリーブ
13D 電磁コイル配線
14 位置決め部材
14A 取付支持部
14B 取付ブラケット
14C 当接台座部
15 固定カバー体
2 建築・構築材
3 建築物・構築物
3A 定着用孔部
3B 固定面
4 接着剤
5 ナット
6 座金部

Claims (15)

  1. 被測定対象が、建築物・構築物に固定される建築・構築材であり、
    この建築・構築材に衝撃を加えて音響を発生させる衝撃付加手段と、
    発生した音響を捕捉する音響補足手段と、
    捕捉した音響を解析することにより前記建築・構築材の固定状態を評価する音響解析手段と、
    を有して成る建築・構築材の固定度評価装置において、
    前記衝撃付加手段が、前記建築・構築材に対して電磁波を放射する円筒状の電磁コイルであり、
    該衝撃付加手段によって、前記建築・構築材に対して強磁界で強エネルギーを短時間与えて該建築・構築材固有の振動数を有する振動を発生させ、
    この発生した、建築・構築材の長さや直径の如き条件に応じた固有の振動や、固定状態に応じた固有の振動、が総合された反射波である可聴領域音として前記音響捕捉手段により捕捉される構成であり、
    前記音響捕捉手段が、前記音響を計測するマイクロフォンであり、
    該マイクロフォンは、前記円筒状の電磁コイルの内側空間内に円筒内面に対して空間を設けて配設されており、
    前記建築・構築材から発生した音響の内、不要な反射音・余剰音波を前記空間を通過させることによって前記マイクロフォンによる不要な反射音・余剰音波の捕捉を抑制する構成であり、
    前記音響解析手段が、計測した音響から周波数特性と強度特性とを導き出し、予め算出した良否判定データと対比することにより計測した建築・構築材の固定状態を評価する構成であり、
    更に、上記の構成を有する建築・構築材の固定度評価装置が、前記衝撃付加手段及び前記音響捕捉手段の位置決め手段を有し、
    該位置決め手段によって、前記建築・構築材に対する前記衝撃付加手段と前記音響捕捉手段の距離・角度を任意の固定値に保つことが可能な構成であること、
    を特徴とする建築・構築材の固定度評価装置。
  2. 前記位置決め手段が、建築・構築材が固定された固定面に当接させる当接台座部と、該当接台座部から立設して前記衝撃付加手段及び前記音響捕捉手段が取付支持される取付支持部と、を有する構成であることを特徴とする請求項1に記載の建築・構築材の固定度評価装置。
  3. 前記電磁コイルの円筒状先端面とマイクロフォンの計測先端面とを、前記建築・構築材に対して同距離に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の建築・構築材の固定度評価装置。
  4. 前記建築・構築材が、定着部に接着剤を充填する方式の接着系のあと施工アンカーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価装置。
  5. 被測定対象が、建築物・構築物に固定される建築・構築材であり、
    この建築・構築材に衝撃を加えて音響を発生させ、
    発生した音響を捕捉し、
    捕捉した音響を解析することにより前記建築・構築材の固定状態を評価することによって建築・構築材の固定度を評価する評価方法において、
    前記建築・構築材に対して電磁波を放射する円筒状の電磁コイルによって、前記建築・構築材に対して強磁界で強エネルギーを短時間与えて該建築・構築材固有の振動数を有する振動を発生させ、
    この発生した、建築・構築材の長さや直径の如き条件に応じた固有の振動や、固定状態に応じた固有の振動、が総合された反射波である可聴領域音としてマイクロフォンによって捕捉し、
    該マイクロフォンは、前記円筒状の電磁コイルの内側空間内に円筒内面に対して空間を設けて前記建築・構築材から発生した音響の内、不要な反射音・余剰音波を前記空間を通過させることによって前記マイクロフォンによる不要な反射音・余剰音波の捕捉を抑制し、
    計測した音響から周波数特性と強度特性とを導き出し、予め算出した良否判定データと対比することにより計測した建築・構築材の固定状態を評価する方法であり、
    更に、前記電磁コイル及び前記マイクロフォンと前記建築・構築材との距離・角度を任意の固定値に保った状態で計測を行うこと、
    を特徴とする建築・構築材の固定度評価方法。
  6. 前記強磁界で強エネルギーを与える時間が10μsec以内であることを特徴とする請求項5に記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  7. 前記マイクロフォンの周波数特性を可聴領域音で一定する技術(f特)を用いることを特徴とする請求項5又は6に記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  8. 前記電磁コイルの円筒状先端面とマイクロフォンの計測先端面とを、前記建築・構築材に対して同距離に設定した状態で計測を行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  9. 捕捉した前記反射波をアンプ及びフィルターを通して増幅させ、A/D変換ボードに入力する構成であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  10. 前記可聴領域音の初期値レベルをハニング処理によって切り出し、又は任意の時間波形の切り出し(解析開始点と終了点の切り出し)、該初期値レベル以降の領域の有効範囲を設定することにより、建築・構築材の良否特性を得ることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  11. 捕捉した音響の生波形を元にFFT解析(フーリエ変換)を行う構成であることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  12. 前記FFT解析(フーリエ変換)の結果から特徴抽出を行って特性周波数を得る構成であることを特徴とする請求項11に記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  13. 得られた周波数領域の範囲を複数設けて各々の強度の面積を求め、各周波数領域の面積値を比較し、良否判定を行う構成であることを特徴とする請求項5〜12のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  14. 前記建築・構築材に対して1回目の電磁波を放射することによって前記建築・構築材の残留応力の除去を行い、2回目以降の電磁波の放射から発生する音響を用いて評価する構成であることを特徴とする請求項5〜13のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
  15. 前記建築・構築材が、定着部に接着剤を充填する方式の接着系のあと施工アンカーであることを特徴とする請求項5〜14のいずれかに記載の建築・構築材の固定度評価方法。
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