JP2016017460A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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義友 塚
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【課題】可動スクロールの背面側および側面側に吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力の背圧室が形成され、低圧縮比運転が可能で、信頼性の高いスクロール圧縮機を提供する【解決手段】スクロール圧縮機10は、外縁部33を有する固定スクロール31と、可動側鏡板36を有する可動スクロール35とを備える。外縁部は、可動側鏡板の前面36aと接するスラスト面33bを有する。両スクロール間に形成された圧縮室Sc内では流体が圧縮される。可動側鏡板の背面36b側および側面36g側には、中間圧力の背圧空間Sb2が形成される。スラスト面と前面36aとの間には、圧縮室と背圧空間とをシールするシール部80が形成される。可動側鏡板の背面側に、強シール部80aのシール強度が大きくなるように調整する強シール調整部81aと、強シール部以外のシール部のシール強度が小さくなるように調整する通常シール調整部81bとが形成される。【選択図】図8

Description

本発明は、可動スクロールの背面側に、吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力の背圧空間が形成されたスクロール圧縮機に関する。
従来、可動スクロールを固定スクロールに密着させるために、可動スクロールの背面側および側面側に背圧室が形成され、背圧室に吐出圧力と吸入圧力との中間の圧力が導入されるスクロール圧縮機が存在する。例えば、特許文献1(特開2012−67712号公報)には、可動スクロールの背面中央側に吐出圧力となる軸受内部空間を設け、可動スクロールの背面周縁側(軸受内部空間の外側)に吐出圧力と吸入圧力との中間の圧力となる背圧室を設けた構成が開示されている。
ところで、現在、スクロール圧縮機においては、消費電力の低減のため、従来よりも低圧縮比での運転が求められつつある。
しかし、特許文献1(特開2012−67712号公報)の構造のスクロール圧縮機において、従来よりも低圧縮比での運転を実現しようとすると、以下の様な問題が発生しうることを本願発明者は見出した。
スクロール圧縮機が従来よりも低圧縮比で運転される場合には、可動スクロールを固定スクロールに対して押し付ける可動スクロールの背面側の圧力が、あるタイミングで不足し、可動スクロールが転覆して、可動スクロールと固定スクロールとが引き離された状態になることがある。
この時、背圧室と圧縮室との間のシール性が低いと、背圧室は圧縮前の圧縮室と連通して吸入圧力の空間となってしまい、可動スクロールを固定スクロールに押し付ける力が不足し、転覆から復帰できない可能性がある。一方、背圧室と圧縮室との間のシール性が高すぎると、液圧縮時等に圧縮室内の圧力が上昇した時に、圧縮室から背圧室に流体を逃がすことができず、スクロール圧縮機が破損するおそれがある。
したがって、今までは低圧縮比での運転を実施できていない。
本発明の課題は、可動スクロールの背面側および側面側に、吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力の背圧空間が形成されたスクロール圧縮機において、低圧縮比での運転が可能で、かつ液圧縮時等に破損しにくい信頼性の高いスクロール圧縮機を提供することにある。
本発明の第1観点に係るスクロール圧縮機は、固定スクロールと、可動スクロールと、駆動部と、を備える。固定スクロールは、渦巻状の第1ラップと、第1ラップを囲む外縁部とを有する。可動スクロールは、平板状の鏡板と、鏡板の前面から突出する渦巻状の第2ラップとを有する。駆動部は、可動スクロールとクランク軸を介して連結され、可動スクロールを旋回させる。外縁部は、鏡板の前面と接するスラスト面を有する。第1ラップと第2ラップとは、スラスト面と鏡板の前面とが対向するように組み合わされ、第1ラップと第2ラップとにより圧縮室を形成する。駆動部は、可動スクロールを旋回させて圧縮室内の流体を圧縮する。鏡板の背面側および側面側には、吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力の背圧空間が形成される。スラスト面と鏡板の前面との間には、圧縮室と背圧空間との間の流体の流れをシールするシール部が形成される。鏡板の背面側には、シール部のシール強度を調整するシール調整部が形成される。シール調整部は、シール部の第1部分のシール強度が大きくなるように調整する強シール調整部と、シール部の第1部分以外のシール強度が、第1部分のシール強度よりも小さくなるように調整する通常シール調整部とを含む。
ここでは、強シール調整部及び通常シール調整部が設けられることにより、圧縮室と背圧空間との間の流体の流れをシールするシール部の第1部分のシール強度が、シール部の第1部分以外のシール強度よりも大きくなる。
これにより、低圧縮比での運転時に、圧縮室と背圧空間との間のシール性が問題となるシール部の所定の部分について、シール強度を大きくすることができる。その結果、低圧縮比での運転時に、背圧空間が圧縮前の圧縮室と連通して吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機を実現できる。
一方で、シール部全体のシール強度を大きくするわけではないため、液圧縮時等に圧縮室内が異常に高圧になった場合には、シール部を介して、圧縮室から背圧空間に流体を逃がすことができる。そのため、スクロール圧縮機の損傷を防止することができ、信頼性の高いスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第2観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点に係るスクロール圧縮機であって、外縁部には、吸入圧力の流体が供給される吸入流体導入空間が形成される。第1部分は、吸入流体導入空間の近傍に配置される。
ここでは、強シール調整部によりシール強度が大きくなるように調整されるシール部の第1部分は、圧縮室と背圧空間とが連通しやすい吸入流体導入空間近傍に形成される。その結果、低圧縮比での運転時に、背圧空間が圧縮前の圧縮室と連通して吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第3観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点に係るスクロール圧縮機であって、固定スクロール、可動スクロール、及び駆動部を収容するケーシングを更に備える。ケーシング内には、油が貯留され、吐出圧力の圧縮室と連通する油溜空間が形成される。スラスト面には、平面視において、固定スクロールの中心に対し第1角度領域内で円弧状に延びる油溝が形成される。油溝には、油溜空間から油が供給され、油が保持される。第1部分は、平面視において、固定スクロールの中心に対し、第1角度領域外の第2角度領域内に配置される。
ここでは、強シール調整部によりシール強度が大きくなるように調整されるシール部の第1部分は、油溝が形成されない第2角度領域に配置される。これにより、低圧縮比での運転時に、背圧空間が圧縮前の圧縮室と連通して吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第4観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点に係るスクロール圧縮機であって、シール部は、スラスト面の内縁と鏡板の前面の外縁との間に形成される。可動スクロールの1旋回サイクル中の、第1部分での平面視におけるスラスト面の内縁から鏡板の前面の外縁までの距離の最小値は、シール部の第1部分以外での距離の最小値よりも小さい。
ここでは、強シール調整部によりシール強度が大きくなるように調整されるシール部の第1部分は、スラスト面の内縁から鏡板の前面の外縁までの距離が短くなる部分に配置される。これにより、低圧縮比での運転時にも、背圧空間が圧縮前の圧縮室と連通して吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第5観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点から第4観点のいずれかに係るスクロール圧縮機であって、オルダム継手と、ハウジングと、を更に備える。オルダム継手は、環状のリング部を有し、可動スクロールの自転を防止し公転させる。ハウジングは、リング部を介して、可動スクロールを鏡板の背面側で支持する。シール調整部は、鏡板の背面とリング部との間の隙間の、クランク軸の軸方向に対する大きさ、に応じてシール強度を調整する。強シール調整部における隙間の大きさは、通常シール調整部における隙間の大きさより小さい。
ここでは、オルダム継手のリング部と可動スクロールの鏡板の背面との隙間の大きさを変えることで、シール部のシール強度が調整される。特に、隙間を小さくすることで、シール強度を大きくすることができる。これにより、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第6観点に係るスクロール圧縮機は、第5観点に係るスクロール圧縮機であって、強シール調整部における隙間の大きさと通常シール調整部における隙間の大きさとの差は、強シール調整部と通常シール調整部との、リング部の軸方向の厚み、ハウジングの軸方向の高さ、及び、鏡板の軸方向の厚みの少なくとも1つの違いにより生じる。
ここでは、リング部の軸方向の厚み、ハウジングの軸方向の高さ、及び、鏡板の軸方向の厚みの少なくとも1つを変えることで、オルダム継手のリング部と可動スクロールの鏡板の背面との隙間の大きさを変えることができ、シール部のシール強度を調整することができる。これにより、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第7観点に係るスクロール圧縮機は、第5観点又は第6観点に係るスクロール圧縮機であって、強シール調整部における隙間の大きさは、通常シール調整部における隙間の大きさの70%以下である。
これにより、低圧縮比での運転時にも、背圧空間が圧縮前の圧縮室と連通して吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第8観点に係るスクロール圧縮機は、第1観点から第4観点のいずれかに係るスクロール圧縮機であって、オルダム継手と、ハウジングと、を更に備える。オルダム継手は、環状のリング部を有し、可動スクロールの自転を防止し公転させる。ハウジングは、凸部を有する。ハウジングは、平面視において、強シール調整部が配置される、固定スクロールの中心に対する第3角度領域では、凸部により直接、可動スクロールを鏡板の背面側で支持する。ハウジングは、平面視において、通常シール調整部が配置される、固定スクロールの中心に対する第4角度領域では、リング部を介して、凸部以外の部分で可動スクロールを鏡板の背面側で支持する。強シール調整部は、第3角度領域における、鏡板の背面と凸部との間の第1隙間の、クランク軸の軸方向に対する大きさに応じてシール強度を調整する。通常シール調整部は、第4角度領域における、鏡板の背面とリング部との間の第2隙間の、軸方向に対する大きさに応じてシール強度を調整する。第1隙間の大きさは、第2隙間の大きさより小さい。
ここでは、強シール調整部と、通常シール調整部とでは、異なる部分の隙間の大きさを調整することでシール部のシール性を調整され、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第9観点に係るスクロール圧縮機は、第8観点に係るスクロール圧縮機であって、第1隙間の大きさは、第2隙間の大きさの70%以下である。
これにより、低圧縮比での運転時にも、背圧空間が圧縮前の圧縮室と連通して吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機が実現される。
本発明に係るスクロール圧縮機では、強シール調整部及び通常シール調整部が設けられることにより、圧縮室と背圧空間との間の流体の流れをシールするシール部の第1部分のシール強度が、シール部の第1部分以外のシール強度よりも大きくなる。
これにより、低圧縮比での運転時に、圧縮室と背圧空間との間のシール性が問題となるシール部の所定の部分について、シール強度を大きくすることができる。その結果、低圧縮比での運転時に、背圧空間が圧縮前の圧縮室と連通して吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機を実現できる。
一方で、シール部全体のシール強度を大きくするわけではないため、液圧縮時等に圧縮室内が異常に高圧になった場合には、シール部を介して、圧縮室から背圧空間に流体を逃がすことができる。そのため、スクロール圧縮機の損傷を防止することができ、信頼性の高いスクロール圧縮機が実現される。
本発明の第1実施形態に係るスクロール圧縮機の概略縦断面図である。 図1のスクロール圧縮機の固定スクロールを下方から見た概略平面図である。 図1のスクロール圧縮機の可動スクロールを上方から見た概略平面図である。 図1のスクロール圧縮機のオルダム継手を上方から見た概略平面図である。斜線部は、リング部の上面の突出面を示す。 図4のV−V矢視におけるオルダム継手の概略断面図である。 図1のスクロール圧縮機について、固定スクロールを上方から見た時の透視平面図である。固定スクロールを実線で、可動スクロールを二点鎖線で描画している。 外縁部のスラスト面と、可動側鏡板の前面との間に形成されるシール部のシール強度及びシール長について説明するための、図6のVII部分の拡大図である。 図1のスクロール圧縮機のシール調整部を説明するための、シール調整部周辺の概略縦断面図である。強シール調整部では、通常シール調整部より、オルダム継手のリング部の厚みが厚くなるように形成されている。 図1のスクロール圧縮機のオルダム継手の突出面の配置の一例である。 図1のスクロール圧縮機のオルダム継手の突出面の配置の他の例である。 変形例1Aに係るシール調整部を説明するための、シール調整部周辺の概略縦断面図である。強シール調整部では、通常シール調整部より、可動側鏡板の厚みが厚くなるように形成されている。 変形例1Aに係るシール調整部を説明するための、シール調整部周辺の概略縦断面図である。強シール調整部では、通常シール調整部より、ハウジングの高さが高くなるように形成されている。 本発明の第2実施形態に係るスクロール圧縮機の概略縦断面図である。 図13のスクロール圧縮機について、第3及び第4角度領域を説明するための図である。固定スクロールを上方から見た時の透視平面図を用いて、第3及び第4角度領域を示している。固定スクロールを実線で、可動スクロールを二点鎖線で描画している。 図13のスクロール圧縮機におけるオルダム継手の概略側面図である。 図13のスクロール圧縮機のシール調整部を説明するための、シール調整部周辺の概略縦断面図である。 強シール調整部を設けない(強シール部を設けない)従来のスクロール圧縮機の、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの外縁部のスラスト面と、の距離の変化の例である。(a)は、背圧空間と圧縮空間との間における流体の漏れが少ない場合の、(b)は、背圧空間と圧縮空間との間における流体の漏れが多い場合の、可動側鏡板の前面と固定スクロールの外縁部のスラスト面との距離の変化の例をそれぞれ示す。図17では、点線で、本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機でいうところの強シール部が設けられる部分における、可動側鏡板の前面と固定スクロールの外縁部のスラスト面との距離の変化例を示す。また、図17では、実線で、本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機でいうところの強シール部以外のシール部が設けられる部分における、可動側鏡板の前面と固定スクロールの外縁部のスラスト面との距離の変化の例を示す。
本発明のスクロール圧縮機の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、下記の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
<第1実施形態>
(1)全体構成
本実施形態に係るスクロール圧縮機10は、例えば、空気調和装置等の冷凍装置の室外機に使用される。
スクロール圧縮機10は、図1に示されるように、ケーシング20、圧縮機構30、駆動モータ50、クランク軸60、及び下部軸受部70を主に有する。
スクロール圧縮機10の構成について以下に詳述する。なお、以下の説明では、特に断りの無い場合、図1中の矢印Uの方向を上として方向の説明を行う。
(2)詳細構成
(2−1)ケーシング
スクロール圧縮機10は、縦長円筒状のケーシング20を有する。ケーシング20は、上下が開口した略円筒状の円筒部材21と、円筒部材21の上端及び下端にそれぞれ設けられた上蓋22及び下蓋23と、を有する(図1参照)。円筒部材21と、上蓋22及び下蓋23とは、気密を保つように溶接により固定される。
ケーシング20には、固定スクロール31及び可動スクロール35を有する圧縮機構30、駆動モータ50、クランク軸60及び下部軸受部70を含むスクロール圧縮機10の構成機器が収容される(図1参照)。また、ケーシング20の下部には、油溜空間25が形成されている(図1参照)。油溜空間25には、圧縮機構30等を潤滑するための油Oが溜められる。油溜空間25は、後述する第1空間S1と連通する。
ケーシング20の上部には、圧縮機構30の圧縮対象であるガス冷媒を吸入する吸入管26が、上蓋22を貫通して設けられる。吸入管26の下端は、圧縮機構30の固定スクロール31に接続される。吸入管26は、後述する圧縮機構30の圧縮室Scと連通する。吸入管26には、圧縮前の低圧(吸入圧力)のガス冷媒が流れる。
ケーシング20の円筒部材21の中間部には、ケーシング20外に吐出されるガス冷媒が通過する吐出管27が設けられる。より具体的には、吐出管27は、吐出管27のケーシング20内側の端部が、後述する圧縮機構30のハウジング40の下方に形成される第1空間S1に突き出すように配置される。吐出管27には、圧縮機構30による圧縮後の高圧(吐出圧力)のガス冷媒が流れる。
(2−2)圧縮機構
圧縮機構30は、図1に示されるように、主に、ハウジング40と、ハウジング40の上方に配置される固定スクロール31と、固定スクロール31と組み合わされて圧縮室Scを形成する可動スクロール35と、ハウジング40と可動スクロール35との間に配されるオルダム継手45と、を有する。可動スクロール35とハウジング40との間には、偏心部空間Sb1及び背圧空間Sb2が形成されている。
(2−2−1)固定スクロール
固定スクロール31は、図1及び図2に示されるように、固定スクロール31の前面31aから突出する渦巻状の固定側ラップ32と、固定側ラップ32を囲む外縁部33とを有する。
固定スクロール31の略中央には、後述する圧縮室Scと連通する非円形形状の吐出口31bが、固定スクロール31を厚さ方向に貫通して形成されている(図1参照)。圧縮室Scで圧縮されたガス冷媒は、吐出口31bから上方に吐出され、固定スクロール31に形成された冷媒通路31c及び後述するハウジング40に形成された冷媒通路40aを通過して第1空間S1へ流入する(図1参照)。
固定側ラップ32は、第1ラップの一例である。固定側ラップ32は、後述する可動スクロール35の可動側ラップ37と、外縁部33の下面33aと後述する可動スクロール35の可動側鏡板36の前面36aとが対向するように組み合わされ、固定側ラップ32と可動側ラップ37とにより、固定スクロール31と可動スクロール35との間に圧縮室Scが形成される。
外縁部33は、厚肉のリング状に形成され、固定側ラップ32を取り囲むように配置される。外縁部33は、可動側鏡板36の前面36aと対向する下面33aを有する。下面33aには、図6のように、可動側鏡板36の前面36aが摺接するスラスト面33bを含む。なお、後述するように可動スクロール35が固定スクロール31に対して旋回すると、固定スクロール31と可動スクロール35の位置関係が変化するため、可動側鏡板36の前面36aと接触するスラスト面33bは、可動スクロール35の旋回中に変化する。可動側鏡板36の前面36aとスラスト面33bとの間には、周縁側の圧縮室Scと、可動スクロール35の背面側および側面側(可動側鏡板36の背面36b側および側面36g側)に形成される背圧空間Sb2と、の間の流体の流れをシールするシール部80(図8参照)が形成される。シール部80に関しては、後ほど詳述する。
外縁部33のスラスト面33bには、図2のように、高圧油溝33ba及び連通溝33bbが形成される。
高圧油溝33baは、スラスト面33bであって、可動スクロール35の旋回中に、可動側鏡板36の前面36aが常時摺接する部分に形成される。高圧油溝33baは、図2のように、スラスト面33bに略円弧状に形成される。高圧油溝33baは、図2のように、固定スクロール31を下方から見た時に、固定スクロール31の中心に対し、第1角度領域R1に形成される。なお、図2に示した高圧油溝33baの形成される角度領域は一例であり、これに限定されるものではない。
高圧油溝33baには、外縁部33のスラスト面33bと可動側鏡板36の前面36aとの接触部分を潤滑するために高圧の油Oが供給され、これが保持される。油Oは、後述するように、後述する可動側鏡板36の内部に形成された高圧油流路36d(図3参照)を介して、高圧油溝33baに供給される。
連通溝33bbは、後述するように可動スクロール35が固定スクロール31に対して公転すると、可動スクロール35の可動側鏡板36に形成された連通路36c(図1及び図6参照)を介して後述する背圧空間Sb2と間欠的に連通するように形成されている。
連通溝33bbは、スラスト面33bであって、可動スクロール35の旋回中に、可動側鏡板36の前面36aと常時接触する部分に形成される。連通溝33bbは、図2のように、固定側ラップ32の巻き終わりから約1周分内側に形成される。連通溝33bbは、周縁側に位置する圧縮途中の圧縮室Scと連通する。圧縮途中の圧縮室Scの圧力は、通常、吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力である。
外縁部33の内部には、図1のように、吸入ポート33cが設けられている。吸入ポート33cの内部には、吸入流体導入空間Siが形成される。吸入ポート33cには、吸入管26の下端が接続され、吸入流体導入空間Siには、吸入管26から吸入圧力の冷媒が供給される。
(2−2−2)可動スクロール
可動スクロール35は、図1に示されるように、略円板状の可動側鏡板36と、可動側鏡板36の前面36a(上面)から突出する渦巻状の可動側ラップ37と、可動側鏡板36の背面36b(下面)から突出し円筒状に形成されたボス部38とを有する。可動側ラップ37は、第2ラップの一例である。
可動側鏡板36には、固定スクロール31の外縁部33に形成された連通溝33bbと、後述する背圧空間Sb2とを間欠的に連通する連通路36cが、可動側鏡板36を厚さ方向に貫通して形成される(図1、図3及び図6参照)。連通路36cは、可動スクロール35が固定スクロール31に対して公転すると、1旋回サイクル中の所定期間だけ連通溝33bbと連通するように配置される。
可動側鏡板36の内部には、固定スクロール31の外縁部33に形成された高圧油溝33ba(図2参照)と、後述するクランク軸60の給油経路63とを連通させるための高圧油流路36dが形成される(図3参照)。高圧油流路36dは、その一端が、後述する円筒状のボス部38内部の上方で開口し、可動側鏡板36内を略径方向に延びるように形成される(図3参照)。高圧油流路36dの他端は、可動側鏡板36の前面36aの、可動スクロール35が固定スクロール31に対して公転する際に、高圧油流路36dと高圧油溝33baとが少なくとも間欠的に連通する位置に開口する(図6参照)。図6のように、高圧油流路36dが、高圧油溝33baと連通することで、給油経路63を流れる高圧の油Oが高圧油溝33baに供給される。
可動側鏡板36の周縁には、平面視において、可動側鏡板36の径方向外向きに突出する凸部36eが2箇所設けられる。それぞれの凸部36eの背面側には、下方に開口する可動スクロールキー溝36fa,36fbが形成される(図3参照)。可動スクロールキー溝36fa,36fbは、後述するオルダム継手45のキー部47a,47b(図4参照)が摺動するための溝である。
ボス部38は、図1のように、上端の塞がれた円筒状部分である。ボス部38に、後述するクランク軸60の偏心部61が挿入されることで、ボス部38と偏心部61とが連結される。ボス部38は、後述する偏心部空間Sb1内に配置される。
(2−2−3)ハウジング
ハウジング40は、円筒部材21に圧入され、その外周面において周方向の全体に亘って固定されている。ハウジング40の上端面は固定スクロール31の外縁部33の下面33aと対向するように配置され、ハウジング40と固定スクロール31とは、図示しないボルト等により固定されている。
ハウジング40には、図1のように、上面中央部に凹むように配置される第1凹部41と、第1凹部41の下方に配置される軸受部42と、第1凹部41を囲むように配置される第2凹部43と、が形成される。また、第1凹部41と第2凹部43との間には、可動側鏡板36の背面36bと対向する環状凸部44が形成される。
第1凹部41は、可動スクロール35のボス部38が配置される偏心部空間Sb1の側面を囲む。
軸受部42には、後述するクランク軸60の主軸62が挿入され、主軸62を回転自在に支持する。
第2凹部43は、背圧空間Sb2の底面および側面の一部を構成する。
第2凹部43には、オルダム継手45が配置されている。第2凹部43の上面43aには、後述するオルダム継手45のキー部48a,48b(図4参照)が摺動するための図示しないハウジングキー溝が形成されている。ハウジングキー溝は、第2凹部43の上面43aに、下方に凹むように形成される。後述するオルダム継手45のリング部46の下面46bは、第2凹部43の上面43aと摺接する。
ハウジング40は、第2凹部43に配されたオルダム継手45のリング部46を介して可動スクロール35を可動側鏡板36の背面36b側で支持する。スクロール圧縮機10の停止中など、可動スクロール35を固定スクロール31に押し付ける力が働かない場合には、可動側鏡板36の背面36bは、ハウジング40上に配されるリング部46の上面46a(図5参照)に接触する。スクロール圧縮機10の運転中には、可動スクロール35は、偏心部空間Sb1及び背圧空間Sb2の圧力により固定スクロール31に押し付けられて、通常、固定スクロール31と略密着する。このとき、可動側鏡板36の背面36bと、リング部46の上面46aとの間に微小な隙間が形成される。この微小な隙間が、シール部80のシール強度を調整するシール調整部81(図8参照)として機能する。シール調整部81に関しては、後ほど詳述する。
環状凸部44は、第1凹部41を取り囲むように環状に配置され、第2凹部43の上面43aから上方に突出する。環状凸部44は、可動側鏡板36の背面36bと対向する上面44aを有する。上面44aは、可動側鏡板36の背面36bと接触しないように、可動側鏡板36の背面36bと僅かな隙間を空けて配置されている。スクロール圧縮機10の停止中など、可動スクロール35を固定スクロール31に押し付ける力が働かない場合には、可動側鏡板36の背面36bは、環状凸部44の上面44aに接近する。しかし、オルダム継手45のリング部46の上面46aと可動側鏡板36の背面36bとが先に接触するため、上面44aは可動側鏡板36の背面36bと接触しない。つまり、環状凸部44の上面44aは、オルダム継手45のリング部46の上面46aよりも下方に配置される。
環状凸部44の上面44aには、シールリング49が収容されるシールリング溝44bが形成される。シールリング溝44bは、上面44aに下方に凹むように形成される円環状の溝である。シールリング49は、スクロール圧縮機10の運転時に、偏心部空間Sb1と背圧空間Sb2との間の流体の流れをシールし、偏心部空間Sb1と背圧空間Sb2との連通を防止する。
(2−2−4)オルダム継手
オルダム継手45は、可動スクロール35の自転を防止し、公転させるための部材であって、図4に示されるように、主に、リング部46、キー部47a,47b及びキー部48a,48bを有する。
リング部46は、図4に示されるように、略環状の部材であり、4箇所に径方向外向きに突出する突出部46cを有する。各突出部46cには、キー部47a,47b又はキー部48a,48bが設けられる。
リング部46の上面46aは、図5のように、略平坦に形成されたベース面46aaと、ベース面46aaより上方に突出するように形成された略平坦な突出面46abを有する。図4の網掛部は、平面視における突出面46abの配置を表し、その他のリング部46の上面46aは、ベース面46aaである。リング部46のベース面46aa及び突出面46abは、可動側鏡板36の背面36bと対向する。
なお、図5では、突出面46abが、ベース面46aaから大きく突出するように強調して図示されているが、実際の高低差(突出面46abの平均高さとベース面46aaの平均高さとの差)は60μm〜150μm程度である。
リング部46の下面46bは、一様に略平坦な面であり、ハウジング40の第2凹部43の上面43aと対向する。リング部46の下面46bは、可動スクロール35の旋回中には、第2凹部43の上面43aと摺接する。
キー部47a,47bは、リング部46の突出部46cから上方に、可動スクロール35の可動スクロールキー溝36fa,36fbまで延びる。1対のキー部47a,47bは、図4のように、リング部46の中心に対して点対象に配置される。キー部47a,47bは、それぞれ可動スクロールキー溝36fa,36fb(図3参照)に嵌め込まれ、可動スクロール35が旋回すると、可動スクロールキー溝36fa,36fb内を摺動する。
キー部48a,48bは、リング部46の突出部46cから下方に、ハウジング40のハウジングキー溝まで延びる。1対のキー部48a,48bは、図4のように、リング部46の中心に対して点対象に配置される。また、平面視において、キー部48a,48bは、リング部46の中心に対しキー部47a,47bと90度回転した位置に配置される。キー部48a,48bは、ハウジング40のハウジングキー溝に嵌め込まれ、ハウジングキー溝内を摺動する。
(2−2−5)シール部
シール部80(図8参照)は、可動側鏡板36の前面36aと、スラスト面33bとの間に形成され、圧縮室Scと、可動スクロール35の背面側および側面側(可動側鏡板36の背面36b側および側面36g側)に形成される背圧空間Sb2との間の流体の流れをシールする。図6〜8を用いて、詳細に説明する。
シール部80は、平面視において、外縁部33のスラスト面33bの内縁と、可動側鏡板36の前面36aの外縁との間に形成される(図6参照)。例えば、図7に一点鎖線で図示した微小領域Aが、シール部80の一部を形成している。シール部80は、外縁部33のスラスト面33bの内縁と、可動側鏡板36の前面36aの外縁との間に全周にわたって形成される。なお、図6及び図7は、あるタイミングにおけるシール部80の配置を表しており、固定スクロール31(外縁部33)と可動スクロール35(可動側鏡板36)との位置関係は、可動スクロール35が旋回されると変化するため、シール部80の配置も変化する。
シール部80は、可動側鏡板36の前面36aと、スラスト面33bとの隙間を流れる流体(冷媒やミスト状の油O)の流れをシールする(図8参照)。その結果、可動側鏡板36の背面36b側及び側面36g側に形成される背圧空間Sb2と、可動スクロール35の周縁側に形成される圧縮室Scとが連通し、同一圧力になることが防止される。
シール部80は、場所によりシール強度が異なる。具体的には、シール部80は、図6の斜線部に、シール強度の大きな強シール部80aを有する。強シール部80aは、シール部80の第1部分の一例である。強シール部80aの平均シール強度は、強シール部80a以外のシール部80の平均シール強度よりも大きい。シール強度は、大きいほど背圧空間Sb2と圧縮室Scとの間がシールされやすいことを意味する。強シール部80aを含むシール部80のシール強度は、シール調整部81(図8参照)により調整される。シール調整部81については、後述する。
なお、シール強度とは、背圧空間Sb2と圧縮室Scとの間のシールのされやすさであり、言い換えれば、流体の流れにくさを意味する。例えば、図7の微小領域Aのシール強度は、微小領域Aに隣接する背圧空間Sb2と圧縮室Scとの圧力差が基準値で、微小領域Aのシール長Dが基準値である場合に、この微小領域Aにおいて、可動側鏡板36の前面36aとスラスト面33bとの間を、流体がどれだけ流れにくいかにより表される。特に、ここでのシール強度は、スクロール圧縮機10が低圧縮比で運転され、外縁部33のスラスト面33bと可動側鏡板36の前面36aとが密着していない状況下におけるシール強度を意味する。
なお、シール長Dは、シール部80の、外縁部33のスラスト面33bの内縁と、可動スクロール35の可動側鏡板36の前面36aの外縁との距離である(図7参照)。
強シール部80aは、図6のように、固定スクロール31の中心に対して、高圧油溝33baの形成される第1角度領域R1ではなく、高圧油溝33baの形成されない第2角度領域R2内に配される。上記のように高圧油溝33baには高圧の油Oが供給され、保持されるため、高圧油溝33baの形成される第1角度領域R1において、圧縮室Scと背圧空間Sb2とが連通しても、背圧空間Sb2の圧力が吸入圧力となりにくい。一方、高圧油溝33baの形成されない第2角度領域R2では、圧縮室Scと背圧空間Sb2とが直接連通し、背圧空間Sb2の圧力が低圧(略吸入圧力)になる可能性があるため、強シール部80aが第2角度領域R2内に配置されている。
また、強シール部80aは、図6のように、第2角度領域R2の中で、外縁部33に設けられた吸入ポート33cの近傍、言い換えれば、吸入ポート33c内に形成された吸入流体導入空間Siの近傍、を含む領域に配置される。強シール部80aが吸入流体導入空間Siの近傍に配置されるのは、吸入流体導入空間Siの近傍の圧縮室Scは略吸入圧力になることから、背圧空間Sb2との圧力差が大きくなりやすく、圧縮室Scと、背圧空間Sb2とが、他の部分よりも連通しやすいためである。また、吸入圧力の圧縮室Scと背圧空間Sb2とが連通すると、背圧空間Sb2が吸入圧力になりやすく、背圧空間Sb2の圧力が、本来あるべき圧力に復帰することが困難になるためである。
また、強シール部80aは、第2角度領域R2の中で、可動スクロール35の1旋回サイクル中に、シール長Dが短くなる部分に配される。可動スクロール35の1旋回サイクル中の、強シール部80aのシール長Dの最小値は、強シール部80a以外のシール部80のシール長Dの最小値よりも小さい。強シール部80aが、シール長Dが短くなる部分に配置されるのは、シール長Dが短い場合には、シール長Dが長い場合に比べ、圧縮室Scと、背圧空間Sb2とが容易に連通しやすいためである。
なお、強シール部80aは、上記のような、シール強度を大きくすることが望ましい部分(第2角度領域R2内、吸入流体導入空間Siの近傍、シール長Dが短くなる部分)を超えて設けられてもよい。ただし、強シール部80aを大きくし過ぎると、液圧縮時等に圧縮室Sc内が異常な高圧になった場合に、圧縮室Scから背圧空間Sb2に流体が逃げることができず、圧縮機構30の破損を引き起こす可能性がある。そのため、強シール部80aは、シール強度を大きくすることが望ましい部分とほぼ一致するように形成されることが望ましい。
(2−2−6)シール調整部
シール調整部81は、図8のように、可動側鏡板36の背面36b側に形成され、シール部80のシール強度を調整する。シール調整部81は、固定スクロール31と可動スクロール35とが密着した状態における、可動側鏡板36の背面36bと、オルダム継手45のリング部46の上面46a(ベース面46aa,突出面46ab)と、の間の隙間である。
シール調整部81は、図8に示す、可動側鏡板36の背面36bとリング部46の上面46a(ベース面46aa,突出面46ab)との間の隙間の、クランク軸60の軸方向(上下方向)に対する大きさC1,C2、に応じてシール強度を調整する。シール調整部81には、強シール部80aのシール強度が大きくなるように調整するための強シール調整部81aと、通常シール調整部81bとを含む。通常シール調整部81bは、強シール部80a以外のシール部80のシール強度を、強シール部80aのシール強度よりも小さくなるように調整するためのシール調整部81である。
強シール調整部81aは、リング部46の上面46aの突出面46abと、可動側鏡板36の背面36bと、の間に形成される。図8では、隙間の大きさがC1で表される部分である。通常シール調整部81bは、リング部46の上面46aのベース面46aaと、可動側鏡板36の背面36bと、の間に形成される。図8では、隙間の大きさがC2で表される部分である。隙間の大きさC1は、隙間の大きさC2よりも小さくなるように形成される。
強シール調整部81aを設けた効果について説明する。
まず、強シール調整部81aを設けない(シール調整部81全体を通常シール調整部81bとした)従来のスクロール圧縮機、言い換えれば強シール部80aを設けない従来のスクロール圧縮機の、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面との距離の変化の例を図17に示す。
図17では、可動スクロールの2旋回サイクル分の、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、の距離の変化の例を示す。図17(a)は、従来のスクロール圧縮機において、背圧空間と圧縮空間との間における流体の漏れが少ない場合の、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、の距離の変化の例を示す。図17(b)は、従来のスクロール圧縮機において、背圧空間と圧縮空間との間における流体の漏れが多い場合(例えば、転覆時)の、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、の距離の変化の例を示す。図17では、点線で、本実施形態のスクロール圧縮機10でいうところの強シール部80aが設けられる部分(以後、強シール部対応部分と呼ぶ)における、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、との距離の変化の例を示している。また、図17では、実線で、本実施形態のスクロール圧縮機10でいうところの強シール部80a以外のシール部80が設けられる部分(以後、強シール部非対応部分と呼ぶ)における、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、との距離の変化の例を示している。
背圧空間と圧縮空間との間における流体の漏れが少ない場合には、強シール部対応部分においても、強シール部非対応部分においても、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、の距離の変動は比較的小さい(図17(a)参照)。また、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、の距離は、最大でも20μm程度である(図17(a)参照)。
背圧空間と圧縮空間との間における流体の漏れが多い場合(例えば転覆時)には、強シール部非対応部分における、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、の距離の変化は、背圧空間と圧縮空間との間における流体の漏れが少ない場合に比べて大きくなる(図17(b)参照)。ただし、背圧空間と圧縮空間との間における流体の漏れが多い場合でも、強シール部非対応部分における、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、の距離の変化は、最大40μm程度である。
しかし、強シール部対応部分における、可動側鏡板の前面と、固定スクロールの周縁部のスラスト面と、の距離は、比較的大きく変動し、最大100μm以上となる。このように、強シール調整部81aを設けない(シール調整部81全体を通常シール調整部81bとした)従来のスクロール圧縮機では、転覆時に圧縮室と背圧空間とが直接連通しやすい部分が局所的に生じる。その結果、可動スクロールが転覆すると、背圧空間が吸入圧力まで低下し、転覆から復帰できない可能性がある。
これに対し、スクロール圧縮機10では、シール調整部81が、隙間の大きさC1,C2がそれぞれ異なる、強シール調整部81aと通常シール調整部81bとを有する。そのため、特に、スクロール圧縮機10が低圧縮比で運転され、外縁部33のスラスト面33bと可動側鏡板36の前面36aとが密着していない状況下において、強シール部80aおよび強シール部80a以外のシール部80における、可動側鏡板36の前面36aと外縁部33のスラスト面33bとの距離を調整できる。その結果、スクロール圧縮機10が低圧縮比で運転される際の、可動側鏡板36の前面36aとスラスト面33bとの間の流体の流れやすさ、つまり、シール強度を調整できる。なお、可動側鏡板36の背面36bとリング部46の上面46aとの間の隙間が小さいほど、対応するシール部80の、可動側鏡板36の前面36aとスラスト面33bとの距離も小さくなるので、シール強度が大きくなる。
オルダム継手45のリング部46の突出面46abの配置、言い換えれば、強シール調整部81aの配置は、強シール部80aのシール強度が、強シール部80a以外のシール部80よりもシール強度が大きくなるように適切に決定される。ここでは、図4のように、2箇所に分けて突出面46abが設けられ、可動側鏡板36の、前面36aに強シール部80aが配される部分(図6参照)の背面36bの一部が、リング部46の突出面46abと対向する。
ただし、図4は強シール調整部81aの配置例であり、強シール調整部81aは、強シール部80aのシール強度が、他のシール部80のシール強度より大きくなるように配置されればよい。例えば、突出面46abは、図9のように1箇所に設けられてもよく、図10のように3箇所以上に分けて設けられてもよい。
なお、図8では、隙間の大きさC1,C2を強調して図示しているが、実際には、通常シール調整部81bの隙間の大きさC2の最大値が約200μmであるのに対し、強シール調整部81aの隙間の大きさC1の最大値は50〜140μmの範囲である。なお、強シール部80aのシール強度を十分に大きくするためには、強シール調整部81aの隙間の大きさC1の最大値を、通常シール調整部81bの隙間の大きさC2の最大値の70%以下とすることが望ましい。特に、ここでは、強シール調整部81aの隙間の大きさC1の最大値を、50〜70μm程度とすることがより望ましい。
(2−2−7)偏心部空間
偏心部空間Sb1は、可動側鏡板36の背面36b側に中央付近に形成される空間である。偏心部空間Sb1には、高圧の第1空間S1と連通する油溜空間25から高圧の油Oが供給される。その結果、偏心部空間Sb1は高圧になる。より具体的には、定常時には、偏心部空間Sb1の圧力は、スクロール圧縮機10の吐出圧力と略等しくなる。偏心部空間Sb1に作用する圧力により、偏心部空間Sb1内の可動側鏡板36の背面36bには、可動スクロール35を固定スクロール31に向かって上方に押す力が発生する。可動スクロール35は、偏心部空間Sb1内の圧力により生じる力と、後述する背圧空間Sb2内の圧力により生じる力との合力により、固定スクロール31に押し付けられる。
(2−2−8)背圧空間
背圧空間Sb2は、ハウジング40の上方、特には第2凹部43の上方であって、可動側鏡板36の背面36b側および側面36g側に形成される空間である。背圧空間Sb2は、可動側鏡板36の中央付近に形成される偏心部空間Sb1に対し周縁側に配置される。背圧空間Sb2と偏心部空間Sb1とを気密状態で隔てるため、ハウジング40の環状凸部44と可動側鏡板36の背面36bとの間にはシールリング49が配置される。
背圧空間Sb2は、周縁側に位置する圧縮途中の圧縮室Scと、外縁部33に形成された連通溝33bb及び可動側鏡板36に形成された連通路36cを介して、間欠的に連通される(図1及び図6参照)。背圧空間Sb2が圧縮途中の圧縮室Scと連通することで、背圧空間Sb2内の圧力が上昇し、吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力になる。背圧空間Sb2が吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力になることで、可動側鏡板36の背面36bに、可動スクロール35を固定スクロール31に向かって上方に押す力が発生する。可動スクロール35は、偏心部空間Sb1内の圧力により生じる力と、背圧空間Sb2内の圧力により生じる力との合力により、固定スクロール31に対して押し付けられる。
(2−3)駆動モータ
駆動モータ50は、円筒部材21の内壁面に固定された環状のステータ51と、ステータ51の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)を空けて回転自在に収容されたロータ52とを有する。
ロータ52は、円筒部材21の軸心に沿って上下方向に延びるように配置されたクランク軸60を介して、可動スクロール35と連結される。ロータ52が回転することで、可動スクロール35は、固定スクロール31に対して旋回(公転)する。その結果、圧縮室Sc内のガス冷媒が圧縮される。
(2−4)クランク軸
クランク軸60は、駆動モータ50の駆動力を可動スクロール35に伝達する。クランク軸60は、円筒部材21の軸心に沿って上下方向に延びるように配置され、駆動モータ50のロータ52と、圧縮機構30の可動スクロール35とを連結する。
クランク軸60は、円筒部材21の軸心と中心軸が一致する主軸62と、円筒部材21の軸心に対して偏心した偏心部61とを有する。
偏心部61は、前述のように可動スクロール35のボス部38に連結される。
主軸62は、ハウジング40の軸受部42及び後述する下部軸受部70により回転自在に支持される。また、主軸62は、軸受部42と下部軸受部70との間で、駆動モータ50のロータ52と連結される。
クランク軸60の内部には、図1のように、圧縮機構30等に潤滑のための油Oを供給するための給油経路63が形成されている。
給油経路63は、クランク軸60の下端から上端まで延び、クランク軸60の上下の端部で開口する。給油経路63の下端側には、油ポンプ64が設けられている。油溜空間25の高圧の油Oは、油ポンプ64の移送力等によってクランク軸60の上端の開口まで運ばれる。可動スクロール35が公転し、可動側鏡板36の高圧油流路36dと外縁部33の高圧油溝33baとが連通すると(図6参照)、給油経路63を通ってクランク軸60の上端の開口まで運ばれた油Oが、高圧油流路36dを介して、高圧油溝33baに供給される。
また、給油経路63は、偏心部61、軸受部42、下部軸受部70に油Oを供給するため、クランク軸60の径方向にも延びて開口する(図1参照)。
(2−5)下部軸受部
下部軸受部70は、駆動モータ50の下方に配置される。下部軸受部70は、円筒部材21と固定されている。下部軸受部70には、クランク軸60の主軸62が挿入され、クランク軸60の主軸62を回転自在に支持する。
(3)スクロール圧縮機の動作
スクロール圧縮機10の動作について主に図1を参照して説明する。
(3−1)圧縮動作
駆動モータ50が駆動されると、ロータ52が回転し、ロータ52と連結されたクランク軸60も回転する。クランク軸60が回転すると、オルダム継手45の働きにより、可動スクロール35は自転せずに、固定スクロール31に対して公転する。そして、低圧の(吸入圧力の)ガス冷媒が、吸入管26を通ってケーシング20内に吸引される。より具体的には、低圧のガス冷媒が、吸入管26から吸入ポート33c内に形成される吸入流体導入空間Siを介して圧縮室Scに吸引される。可動スクロール35が公転するのに従い、吸入管26と圧縮室Scとは連通しなくなり、圧縮室Scの容積が減少するのに伴って、圧縮室Scの圧力が上昇する。ガス冷媒は、周縁側の圧縮室Scから、中央側の圧縮室Scへ移動するにつれ圧力が上昇し、最終的に高圧(吐出圧力)になる。圧縮途中の圧縮室Scのガス冷媒の圧力は、吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力である。圧縮機構30によって圧縮された高圧のガス冷媒は、固定スクロール31の上面の中央付近に位置する吐出口31bから吐出される。その後、高圧のガス冷媒は、固定スクロール31に形成された冷媒通路31c及びハウジング40に形成された冷媒通路40aを通過して、第1空間S1へ流入する。スクロール圧縮機10の起動後、第1空間S1の圧力は次第に上昇し、定常時には、略吐出圧力に等しくなる。第1空間S1のガス冷媒は、吐出管27から吐出される。
次に、スクロール圧縮機10の運転中の偏心部空間Sb1及び背圧空間Sb2の圧力について説明する。
まず、偏心部空間Sb1の圧力について説明する。偏心部空間Sb1には、油溜空間25から油Oが供給されるため、偏心部空間Sb1の圧力は油溜空間25の圧力に略等しくなる。油溜空間25は、第1空間S1と連通しているため、第1空間S1と略同じ圧力になる。つまり、油溜空間25には、通常、高圧の(略吐出圧力の)油Oが貯留される。そのため、油溜空間25から油Oが供給される偏心部空間Sb1も、通常、高圧(略吐出圧力)になる。
次に、背圧空間Sb2の圧力について説明する。可動スクロール35が公転すると、可動側鏡板36の連通路36cは、固定スクロール31の外縁部33の連通溝33bbに対して略円状の経路を通って移動する。その結果、可動スクロール35の公転サイクル中の一定期間、可動側鏡板36の連通路36cと固定スクロール31の外縁部33の連通溝33bbとが連通し、周縁側に位置する圧縮途中の圧縮室Scと、背圧空間Sb2とが連通する。この結果、背圧空間Sb2の圧力は吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力となる。
なお、スクロール圧縮機10の運転中、通常は(低圧縮比条件の運転でない場合は)、可動側鏡板36の前面36aと外縁部33のスラスト面33bとは略密着した状態であり、可動側鏡板36の前面36aと外縁部33のスラスト面33bとは滑らかに摺接する。
一方、スクロール圧縮機10が、低圧縮比条件で運転される場合には、吸入圧力と吐出圧力との差が小さいことから、偏心部空間Sb1及び背圧空間Sb2の圧力が十分に上昇せず、可動スクロール35を固定スクロール31に押し付ける力が不足しやすい。その結果、可動側鏡板36の前面36aと外縁部33のスラスト面33bとの隙間が大きくなりやすい。強シール部80aの形成される領域(図6参照)は、従来のスクロール圧縮機においては、特に、圧縮室Scと背圧空間Sb2との間を流体の流れやすい領域であるが、本スクロール圧縮機10では、この領域に強シール部80aが配置されるため、圧縮室Scと背圧空間Sb2との間を流体が流れにくい。
(3−2)給油動作
クランク軸60が回転すると、油溜空間25の油Oは、油ポンプ64を介して給油経路63に吸い上げられ、クランク軸60の上端の開口まで上方に流れる。また、油Oの一部は、偏心部61、軸受部42、下部軸受部70に供給される。給油経路63の上端まで吸い上げられた油Oの一部は、可動スクロール35が公転することで高圧油流路36dと高圧油溝33baとが連通すると(図6参照)、高圧油流路36dを介して高圧油溝33baに供給される。高圧油溝33baに供給された油Oは、可動スクロール35が公転することにより、外縁部33のスラスト面33b及び可動側鏡板36の前面36aを潤滑する。
(4)特徴
(4−1)
本実施形態のスクロール圧縮機10は、固定スクロール31と、可動スクロール35と、駆動部としての駆動モータ50と、を備える。固定スクロール31は、渦巻状の固定側ラップ32と、固定側ラップ32を囲む外縁部33とを有する。可動スクロール35は、平板状の可動側鏡板36と、可動側鏡板36の前面36aから突出する渦巻状の可動側ラップ37とを有する。駆動モータ50は、可動スクロール35とクランク軸60を介して連結され、可動スクロール35を旋回させる。外縁部33は、可動側鏡板36の前面36aと接するスラスト面33bを有する。固定側ラップ32と可動側ラップ37とは、スラスト面33bと可動側鏡板36の前面36aとが対向するように組み合わされ、固定側ラップ32と可動側ラップ37とにより圧縮室Scを形成する。駆動モータ50は、可動スクロール35を旋回させて圧縮室Sc内の流体を圧縮する。可動側鏡板36の背面36b側および側面36g側には、吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力の背圧空間Sb2が形成される。スラスト面33bと可動側鏡板36の前面36aとの間には、圧縮室Scと背圧空間Sb2との間の流体の流れをシールするシール部80が形成される。可動側鏡板36の背面36b側には、シール部80のシール強度を調整するシール調整部81が形成される。シール調整部81は、シール部80の第1部分としての強シール部80aのシール強度が大きくなるように調整する強シール調整部81aと、シール部80の強シール部80a以外のシール強度が、強シール部80aのシール強度よりも小さくなるように調整する通常シール調整部81bとを含む。
ここでは、強シール調整部81a及び通常シール調整部81bが設けられることにより、圧縮室Scと背圧空間Sb2との間の流体の流れをシールするシール部80の、強シール部80aのシール強度が、シール部80の強シール部80a以外のシール強度よりも大きくなる。
これにより、低圧縮比での運転時に圧縮室Scと背圧空間Sb2との間のシール性が問題となるシール部80の所定の部分について、シール強度を大きくすることができる。その結果、低圧縮比での運転時に、背圧空間Sb2が圧縮前の吸入圧力の圧縮室Scと連通して略吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機10を実現できる。
一方で、シール部80全体のシール強度を大きくしたわけではないため、液圧縮時等に圧縮室Sc内が異常に高圧になった場合には、シール部80を介して、圧縮室Scから背圧空間Sb2に流体を逃がすことができる。そのため、スクロール圧縮機10の損傷を防止することができ、信頼性の高いスクロール圧縮機10が実現される。
(4−2)
本実施形態のスクロール圧縮機10は、外縁部33には、吸入圧力の流体が供給される吸入流体導入空間Siが形成される。強シール部80aは、吸入流体導入空間Siの近傍に配置される。
これにより、低圧縮比での運転時に、背圧空間Sb2が圧縮前の吸入圧力の圧縮室Scと連通して略吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機10が実現される。
(4−3)
本実施形態のスクロール圧縮機10は、固定スクロール31、可動スクロール35、及び駆動モータ50を収容するケーシング20を更に備える。ケーシング20内には、油Oが貯留され、吐出圧力の圧縮室Scと連通する油溜空間25が形成される。外縁部33のスラスト面33bには、平面視において、固定スクロール31の中心に対し第1角度領域R1内で円弧状に延び、油溜空間25から油Oが供給され、油Oが保持される高圧油溝33baが形成される。強シール部80aは、平面視において、固定スクロール31の中心に対し、第1角度領域R1外の第2角度領域R2内に配置される。
ここでは、強シール調整部81aによりシール強度が大きく調整される強シール部80aは、吐出圧力の油溜空間25から油Oの供給される高圧油溝33baが形成されないため圧縮室Scと背圧空間Sb2とが連通しやすい第2角度領域R2に配置される。なお、高圧油溝33baの形成される第1角度領域R1では、シール部80が十分に機能しないとしても、吐出圧力の油Oが背圧空間Sb2に流入するため、背圧空間Sb2の圧力が低圧(吸入圧力)になることを防止できる。強シール部80aを設けた結果、低圧縮比での運転時に、背圧空間Sb2が圧縮前の吸入圧力の圧縮室Scと連通して略吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機10を実現できる。
(4−4)
本実施形態のスクロール圧縮機10では、シール部80は、外縁部33のスラスト面33bの内縁と、可動側鏡板36の前面36aの外縁との間に形成される。可動スクロール35の1旋回サイクル中の、強シール部80aでの平面視におけるスラスト面33bの内縁から可動側鏡板36の前面36aの外縁までの距離(シール長D)の最小値は、強シール部80a以外のシール部80の上述の距離(シール長D)の最小値よりも小さい。
ここでは、強シール調整部81aによりシール強度が大きく調整される強シール部80aは、圧縮室Scと背圧空間Sb2との流体の漏れが問題となりやすい、シール長Dが短い(スラスト面33bの内縁から可動側鏡板36の前面36aの外縁までの距離が短い)部分に配置される。これにより、低圧縮比での運転時にも、背圧空間Sb2が圧縮前の圧縮室Scと連通して略吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機10が実現される。
(4−5)
本実施形態のスクロール圧縮機10は、オルダム継手45と、ハウジング40と、を更に備える。オルダム継手45は、環状のリング部46を有し、可動スクロール35の自転を防止し公転させる。ハウジング40は、リング部46を介して、可動スクロール35を可動側鏡板36の背面36b側で支持する。シール調整部81は、可動側鏡板36の背面36bとリング部46との間の隙間の、クランク軸60の軸方向に対する大きさC1,C2、に応じてシール強度を調整する。強シール調整部81aにおける隙間の大きさC1は、通常シール調整部81bにおける隙間の大きさC2より小さい。
ここでは、オルダム継手45のリング部46と可動側鏡板36の背面36bとの隙間の大きさを変えることで、シール部80のシール強度が調整される。特に、隙間を小さくすることで、シール強度を大きくすることができる。これにより、容易に、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機10が実現される。
(4−6)
本実施形態のスクロール圧縮機10では、強シール調整部81aにおける隙間の大きさC1と通常シール調整部81bにおける隙間の大きさC2との差は、強シール調整部81aと通常シール調整部81bとの、オルダム継手45のリング部46の軸方向の厚みの違いにより生じる。
ここでは、リング部46の突出面46abとベース面46aaとの高さ、すなわちリング部46の軸方向の厚みを変えることで、オルダム継手45のリング部46と可動側鏡板36の背面36bとの隙間の大きさを変えることができ、シール部80のシール強度を調整できる。これにより、容易に、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機10が実現される。
(4−7)
本実施形態のスクロール圧縮機10では、強シール調整部81aにおける隙間の大きさC1は、通常シール調整部81bにおける隙間の大きさC2の70%以下である。
ここでは、通常シール調整部81bにおける隙間の大きさC2の最大値が約200μmであるのに対し、強シール調整部81aにおける隙間の大きさC1の最大値は、140μm以下に設定される。なお、特に、強シール調整部81aにおける隙間の大きさC1の最大値は、50〜70μmであることが望ましい。
これにより、低圧縮比での運転時にも、背圧空間Sb2が圧縮前の吸入圧力の圧縮室Scと連通して吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機10が実現される。
(5)変形例
以下に第1実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
(5−1)変形例1A
上記実施形態に係るスクロール圧縮機10のシール調整部81では、オルダム継手45のリング部46の厚み(突出面46abとベース面46aaとの高さ)の違いにより、強シール調整部81aの隙間の大きさC1と、通常シール調整部81bの隙間の大きさC2との差を生じさせていたが、これに限定されるものではない。
例えば、図11のように、オルダム継手45のリング部46の厚みは同一とし(ベース面46aaだけとし)、可動側鏡板36の背面36bに下方に突出する突出部36baを設け、可動側鏡板36の厚みの違いにより、隙間の大きさC1,C2に差を生じさせてもよい。
また、図12のように、オルダム継手45のリング部46の厚みは同一とし、ハウジング40の第2凹部43の上面43aに上方に突出する突出部43aaを設け、ハウジング40の高さの違いにより、隙間の大きさC1,C2に差を生じさせてもよい。
また、オルダム継手45のリング部46の厚み、可動側鏡板36の厚み、ハウジング40の高さの2つ以上の違いにより、隙間の大きさC1,C2に差を生じさせてもよい。
(5−2)変形例1B
上記実施形態に係るスクロール圧縮機10では、第2角度領域R2内か、吸入流体導入空間Siの近傍か、シール長Dが短くなる部分かという3つの条件を考慮して、強シール部80aの配置が決定されているが、これに限定されるものではなく、上記3つの条件の少なくとも1つが考慮され、強シール部80aの配置が決定されればよい。
ただし、上記の3つの条件を考慮して強シール部80aの配置は決定されることが望ましい。
(5−3)変形例1C
上記実施形態に係るスクロール圧縮機10では、強シール部80aは連続する1の部分に設けられるが、これに限定されるものではなく、2箇所以上の独立した部分に、強シール部80aが形成されてもよい。
(5−4)変形例1D
上記実施形態に係るスクロール圧縮機10では、シール部80は、強シール部80aと、それ以外との2種類に分けられているが、シール強度を3段階以上に異ならせたシール部80が設けられてもよい。これに併せて、シール調整部81も、3段階以上にシール部80のシール強度を変化させるように形成されてもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態に係るスクロール圧縮機110について以下に説明する。図13は、スクロール圧縮機110の概略縦断面図である。スクロール圧縮機110は、ハウジング140(図13参照)、オルダム継手145(図13参照)、シール調整部181(図16参照)を除き、第1実施形態と同様の構成である。ここでは、ハウジング140、オルダム継手145、シール調整部181についてのみ説明し、その他の説明は省略する。
なお、以下の説明では、特に断りの無い場合、図13中の矢印Uの方向を上として方向の説明を行う。
(1)詳細構成
(1−1)ハウジング
ハウジング140は、円筒部材21に圧入され、その外周面において周方向の全体に亘って固定されている。ハウジング140の上端面は、固定スクロール31の外縁部33の下面33aと対向するように配置され、ハウジング140と固定スクロール31とは、図示しないボルト等により固定されている。
ハウジング140には、図13のように、上面中央部に凹むように配置される第1凹部41と、第1凹部41の下方に配置される軸受部42と、第1凹部41を囲むように配置される第2凹部143と、が形成される。また、第1凹部41と第2凹部143との間には、可動側鏡板36の背面36bと対向する環状凸部144が形成される。環状凸部144は、凸部の一例である。
ここでは、スクロール圧縮機10と異なる第2凹部143と環状凸部144とについてのみ説明し、その他の説明は省略する。
第2凹部143は、背圧空間Sb2の底面および側面の一部を構成する。
第2凹部143には、オルダム継手145が配置されている。第2凹部143の上面143aには、後述するオルダム継手145のキー部48a,48b(図15参照)が摺動するための図示しないハウジングキー溝が形成されている。ハウジングキー溝は、第2凹部143の上面143aに、下方に凹むように形成される。後述するオルダム継手145のリング部146の下面46bは、第2凹部143の上面143aと摺接する。
ハウジング140は、図14に示す、固定スクロール31の中心(ハウジング140の中心)に対する第4角度領域R4において、可動スクロール35を、オルダム継手145のリング部146を介して、可動側鏡板36の背面36b側で支持している。スクロール圧縮機110の停止中など、可動スクロール35を固定スクロール31に押し付ける力が働かない場合には、第4角度領域R4においては、可動側鏡板36の背面36bは、ハウジング140上に配される、オルダム継手145のリング部146の上面146aに接触する。一方、図14に示す、固定スクロール31の中心に対する第3角度領域R3(第4角度領域以外の部分)においては、可動スクロール35を固定スクロール31に押し付ける力が働かない場合にも、可動側鏡板36の背面36bは、オルダム継手145のリング部146の上面146aに接触しない。
スクロール圧縮機110の運転中には、可動スクロール35は、偏心部空間Sb1及び背圧空間Sb2の圧力により固定スクロール31に押し付けられて、通常、固定スクロール31と略密着する。このとき、可動側鏡板36の背面36bと、リング部46の上面46aとの間に微小な隙間が形成される。第4角度領域R4においては、この微小な隙間が、シール部80のシール強度を調整するシール調整部181(図16参照)として機能する。特に、上記の隙間は、強シール部80a以外のシール部80のシール強度を調整する、通常シール調整部181bとして機能する。シール調整部181(通常シール調整部181b)に関しては、後ほど説明する。
環状凸部144は、第2凹部143の上面143aから上方に突出する。環状凸部144は、第1凹部41を取り囲むように環状に形成されている。環状凸部144は、可動側鏡板36の背面36bと対向する上面144aを有する(図13参照)。上面144aには、略平坦なベース面144aaと、ベース面144aaから上方に突出する略平坦な突出面144abとが含まれる(図16参照)。ベース面144aaは、図14に示す第4角度領域R4において形成され、突出面144abは、図14に示す第3角度領域R3において形成される。
ハウジング140は、固定スクロール31の中心に対する第3角度領域R3において、可動スクロール35を、可動側鏡板36の背面36b側で、環状凸部144により直接支持している。スクロール圧縮機110の停止中など、可動スクロール35を固定スクロール31に押し付ける力が働かない場合には、第3角度領域R3において、可動側鏡板36の背面36bは、環状凸部144の突出面144abに接触する。一方、第4角度領域R4においては、可動スクロール35を固定スクロール31に押し付ける力が働かない場合にも、可動側鏡板36の背面36bは、オルダム継手145のリング部146の上面146aと接触し、環状凸部144のベース面144aaとは接触しない。スクロール圧縮機110の運転中には、可動スクロール35は、偏心部空間Sb1及び背圧空間Sb2の圧力により固定スクロール31に押し付けられて、通常、固定スクロール31と略密着する。このとき、可動側鏡板36の背面36bと、環状凸部144の上面144aとの間に微小な隙間が形成される。第3角度領域R3においては、この微小な隙間が、シール部80のシール強度を調整するシール調整部181、特に強シール調整部181aとして機能する(図16参照)。シール調整部181に関しては、後ほど詳述する。
環状凸部144の上面144aには、シールリング49が収容されるシールリング溝144bが形成される。シールリング溝144bは、上面144aに下方に凹むように形成される円環状の溝である。シールリング49は、偏心部空間Sb1と背圧空間Sb2との間の流体の流れをシールし、偏心部空間Sb1と背圧空間Sb2との連通を防止する。
(1−2)オルダム継手
オルダム継手145は、可動スクロール35の自転運動を防止し、公転させるための部材である。図15に示されるように、オルダム継手145は、第1実施形態のオルダム継手45と、リング部146の上面146aは一様に平坦である点で異なる。その他の点は同様であるので、説明は省略する。
(1−3)シール調整部
シール調整部181は、シール部80のシール強度を調整する。シール調整部181は図16のように、強シール調整部181aと、通常シール調整部181bとを有する。強シール調整部181aは、可動側鏡板36の背面36bと、ハウジング140の環状凸部144の上面144a(突出面144ab)と、の間の隙間(第1隙間)であり、平面視において、固定スクロール31の中心に対する第3角度領域R3に形成される。通常シール調整部181bは、可動側鏡板36の背面36bと、オルダム継手145のリング部146の上面146aと、の間の隙間(第2隙間)であり、平面視において、固定スクロール31の中心に対する第4角度領域R4に形成される。
なお、第3角度領域R3は、この角度領域に強シール調整部181aを配することで、強シール部80aのシール強度が、強シール部80a以外のシール部80よりもシール強度が大きくなるように適切に決定される。ここでは、図14のように、第3角度領域R3は、固定スクロール31の中心に対して強シール部80aが配される角度領域と重なるように決定されている。ただし、図14は第3角度領域R3の配置の例であり、強シール調整部181aは、強シール部80aのシール強度が大きくなるように配置されればよい。例えば、第3角度領域R3を2箇所以上に設けてもよい。
強シール調整部181aは、可動側鏡板36の背面36bと、ハウジング140の環状凸部144の上面144a(突出面144ab)と、の間の隙間の、クランク軸60の軸方向の大きさ(上下方向の大きさ)E1(図16参照)に応じてシール強度を調整する。通常シール調整部181bは、可動側鏡板36の背面36bと、オルダム継手145のリング部146の上面146aと、の間の隙間の、クランク軸60の軸方向の大きさE2(図16参照)に応じてシール強度を調整する。隙間の大きさE1は、隙間の大きさE2よりも小さくなるように形成される。
シール調整部181は、隙間の大きさE1,E2がそれぞれ異なる、強シール調整部181aと通常シール調整部181bとを有する。そのため、特に、スクロール圧縮機110が低圧縮比で運転され、外縁部33のスラスト面33bと可動側鏡板36の背面36bとが密着していない状況下において、強シール部80aおよび強シール部80a以外のシール部80における、可動側鏡板36の前面36aと外縁部33のスラスト面33bとの距離を調整できる。その結果、スクロール圧縮機110が低圧縮比で運転される際の、可動側鏡板36の前面36aとスラスト面33bとの間の流体の流れやすさ、つまり、シール強度を調整する。なお、隙間の大きさE1,E2が小さいほど、対応するシール部80の、可動側鏡板36の前面36aとスラスト面33bとの距離も小さくなるので、シール強度が大きくなる。
なお、図16では、隙間の大きさE1,E2の大きさを強調して図示しているが、実際には、通常シール調整部181bの隙間の大きさE2の最大値が約200μmに対し、強シール調整部181aの隙間の大きさE1の最大値は50〜140μm程度である。なお強シール部80aのシール強度を十分に大きくするためには、強シール調整部181aの隙間の大きさE1の最大値を、通常シール調整部181bの隙間の大きさE2の最大値の70%以下とすることが望ましい。特に、ここでは、強シール調整部181aの隙間の大きさE1の最大値を、50〜70μm程度とすることがより望ましい。
また、図16では、ハウジング140の環状凸部144のベース面144aaと突出面144abとの高さも強調して図示しているが、この高さの差も、隙間の大きさE1,E2の差と同程度のオーダーである。
この他の点については、シール調整部181も、第1実施形態のシール調整部81と同様であるので、説明は省略する。
(2)特徴
以下に、第2実施形態のスクロール圧縮機110の特徴を示す。なお、第2実施形態のスクロール圧縮機110は、スクロール圧縮機10と同様に、第1実施形態の(4−1)から(4−4)の特徴も有する。
(2−1)
本実施形態のスクロール圧縮機110は、オルダム継手145と、ハウジング140と、を備える。オルダム継手145は、環状のリング部146を有し、可動スクロール35の自転を防止し公転させる。ハウジング140は、環状凸部144を有する。ハウジング140は、平面視において、強シール調整部181aが配置される、固定スクロール31の中心に対する第3角度領域R3では、環状凸部144により直接、可動スクロール35を可動側鏡板36の背面36b側で支持する。ハウジング140は、平面視において、通常シール調整部181bが配置される、固定スクロール31の中心に対する第4角度領域R4では、リング部146を介して、環状凸部144以外の部分で可動スクロール35を可動側鏡板36の背面36b側で支持する。強シール調整部181aは、第3角度領域R3における、可動側鏡板36の背面36bと環状凸部144との間の隙間(第1隙間)の、クランク軸60の軸方向に対する大きさE1に応じてシール強度を調整する。通常シール調整部181bは、第4角度領域R4における、可動側鏡板36の背面36bとリング部46との間の隙間(第2隙間)の、軸方向に対する大きさE2に応じてシール強度を調整する。第1隙間の大きさE1は、第2隙間の大きさE2より小さい。
ここでは、強シール調整部181aと、通常シール調整部181bとでは、異なる部分の隙間の大きさE1,E2を調整することでシール部80のシール強度を調整することができ、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機10が実現される。
(2−2)
本実施形態のスクロール圧縮機110では、第1隙間の大きさE1は、第2隙間の大きさE2の70%以下である。
これにより、低圧縮比での運転時にも、背圧空間Sb2が圧縮前の圧縮室Scと連通して略吸入圧力の空間となることを防止でき、低圧縮比でも運転可能なスクロール圧縮機110が実現される。
(3)変形例
以下に第2実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。また、第1実施形態の変形例1B〜1Dについては、第2実施形態の変形例としても適用できる。
(3−1)変形例2A
上記実施形態に係るスクロール圧縮機110のシール調整部181では、ハウジング140の環状凸部144の高さに変化をつけて(ベース面144aaに対して突出面144abを設けて)、強シール調整部181aの隙間の大きさE1を規定しているが、これに限定されるものではない。
例えば、可動側鏡板36の背面36bに下方に突出する突出部を設けることで、強シール調整部181aの隙間の大きさE1を規定してもよい。
(3−2)変形例2B
上記実施形態に係るスクロール圧縮機110では、強シール調整部181aは可動側鏡板36の背面36bと環状凸部144との間の隙間の大きさE1に応じて強シール部80aのシール強度を調整し、通常シール調整部181bは、可動側鏡板36の背面36bとオルダム継手145のリング部146との間の隙間の大きさE2に応じて強シール部80a以外のシール部80のシール強度を調整するが、これに限定されるものではない。
強シール調整部181aは、可動側鏡板36の背面36bとリング部146との間の隙間の大きさに応じてシール強度を調整し、通常シール調整部181bは、可動側鏡板36の背面36bと環状凸部144との間の隙間の大きさに応じてシール強度を調整してもよい。
本発明は、可動スクロールの周囲に背圧空間が形成されるスクロール圧縮機において適用することが可能である。
10,110 スクロール圧縮機
20 ケーシング
25 油溜空間
31 固定スクロール
32 固定側ラップ(第1ラップ)
33 外縁部
33b スラスト面
33ba 高圧油溝(油溝)
35 可動スクロール
36 可動側鏡板(鏡板)
36a 可動側鏡板の前面
36b 可動側鏡板の背面
36g 可動側鏡板の側面
37 可動側ラップ(第2ラップ)
40,140 ハウジング
144 環状凸部(凸部)
45,145 オルダム継手
46,146 リング部
50 駆動モータ(駆動部)
60 クランク軸
80 シール部
80a 強シール部(第1部分)
81,181 シール調整部
81a,181a 強シール調整部
81b,181b 通常シール調整部
C1 強シール調整部における隙間の大きさ
C2 通常シール調整部における隙間の大きさ
E1 強シール調整部における隙間の大きさ
E2 通常シール調整部における隙間の大きさ
R1 第1角度領域
R2 第2角度領域
R3 第3角度領域
R4 第4角度領域
Sc 圧縮室
Sb2 背圧空間
Si 吸込流体導入空間
O 油
特開2012−67712号公報

Claims (9)

  1. 渦巻状の第1ラップ(32)と、前記第1ラップを囲む外縁部(33)とを有する固定スクロール(31)と、
    平板状の鏡板(36)と、前記鏡板の前面(36a)から突出する渦巻状の第2ラップ(37)と、を有する可動スクロール(35)と、
    前記可動スクロールとクランク軸(60)を介して連結され、前記可動スクロールを旋回させる駆動部(50)と、
    を備え、
    前記外縁部は、前記鏡板の前記前面と接するスラスト面(33b)を有し、
    前記第1ラップと前記第2ラップとは、前記スラスト面と前記鏡板の前記前面とが対向するように組み合わされ、前記第1ラップと前記第2ラップとにより圧縮室(Sc)を形成し、
    前記駆動部は、前記可動スクロールを旋回させて前記圧縮室内の流体を圧縮し、
    前記鏡板の背面(36b)側および側面(36g)側には、吸入圧力と吐出圧力との中間の圧力の背圧空間(Sb2)が形成され、
    前記スラスト面と前記鏡板の前記前面との間には、前記圧縮室と前記背圧空間との間の前記流体の流れをシールするシール部(80)が形成され、
    前記鏡板の前記背面側には、前記シール部のシール強度を調整するシール調整部(81,181)が形成され、
    前記シール調整部は、前記シール部の第1部分(80a)の前記シール強度が大きくなるように調整する強シール調整部(81a,181a)と、前記シール部の前記第1部分以外の前記シール強度が、前記第1部分の前記シール強度よりも小さくなるように調整する通常シール調整部(81b,181b)とを含む、
    スクロール圧縮機(10,110)。
  2. 前記外縁部には、前記吸入圧力の前記流体が供給される吸入流体導入空間(Si)が形成され、
    前記第1部分は、前記吸入流体導入空間の近傍に配置される、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記固定スクロール、前記可動スクロール、及び前記駆動部を収容するケーシング(20)、
    を更に備え、
    前記ケーシング内には、油(O)が貯留され、前記吐出圧力の前記圧縮室と連通する油溜空間(25)が形成され、
    前記スラスト面には、平面視において、前記固定スクロールの中心に対し第1角度領域(R1)内で円弧状に延び、前記油溜空間から前記油が供給され、前記油が保持される油溝(33ba)が形成され、
    前記第1部分は、平面視において、前記固定スクロールの前記中心に対し、前記第1角度領域外の第2角度領域内(R2)に配置される、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記シール部は、前記スラスト面の内縁と前記鏡板の前記前面の外縁との間に形成され、
    前記可動スクロールの1旋回サイクル中の、前記第1部分での平面視における前記スラスト面の前記内縁から前記鏡板の前記前面の前記外縁までの距離(D)の最小値は、前記シール部の前記第1部分以外での前記距離の最小値よりも小さい、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  5. 環状のリング部(46)を有し、上記可動スクロールの自転を防止し公転させるオルダム継手(45)と、
    前記リング部を介して、前記可動スクロールを前記鏡板の前記背面側で支持するハウジング(40)と、
    を更に備え、
    前記シール調整部は、前記鏡板の前記背面と前記リング部との間の隙間の、前記クランク軸の軸方向に対する大きさ(C1,C2)、に応じて前記シール強度を調整し、
    前記強シール調整部における前記隙間の大きさ(C1)は、前記通常シール調整部における前記隙間の大きさ(C2)より小さい、
    請求項1から4のいずれかに記載のスクロール圧縮機(10)。
  6. 前記強シール調整部における前記隙間の大きさと前記通常シール調整部における前記隙間の大きさとの差は、前記強シール調整部と前記通常シール調整部との、前記リング部の前記軸方向の厚み、前記ハウジングの前記軸方向の高さ、及び、前記鏡板の前記軸方向の厚みの少なくとも1つの違いにより生じる、
    請求項5に記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記強シール調整部における前記隙間の大きさは、前記通常シール調整部における前記隙間の大きさの70%以下である、
    請求項5又は6に記載のスクロール圧縮機。
  8. 環状のリング部(146)を有し、上記可動スクロールの自転を防止し公転させるオルダム継手(145)と、
    凸部(144)を有するハウジング(140)と、
    を更に備え、
    前記ハウジングは、平面視において、前記強シール調整部(181a)が配置される、前記固定スクロールの中心に対する第3角度領域(R3)では、前記凸部により直接、前記可動スクロールを前記鏡板の前記背面側で支持し、前記通常シール調整部(181b)が配置される、前記固定スクロールの中心に対する第4角度領域(R4)では、前記リング部を介して、前記凸部以外の部分で前記可動スクロールを前記鏡板の前記背面側で支持し、
    前記強シール調整部は、前記第3角度領域における、前記鏡板の前記背面と前記凸部との間の第1隙間の、前記クランク軸の軸方向に対する大きさ(E1)に応じて前記シール強度を調整し、
    前記通常シール調整部は、前記第4角度領域における、前記鏡板の前記背面と前記リング部との間の第2隙間の、前記軸方向に対する大きさ(E2)に応じて前記シール強度を調整し、
    前記第1隙間の大きさは、前記第2隙間の大きさより小さい、
    請求項1から4のいずれかに記載のスクロール圧縮機(110)。
  9. 前記第1隙間の大きさは、前記第2隙間の大きさの70%以下である、
    請求項8に記載のスクロール圧縮機。
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