JP7410749B2 - スクロール型流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は、固定スクロール及び旋回スクロールにより区画される圧縮室の容積を変化させることで、圧縮性流体を圧縮又は膨張させるスクロール型流体機械に関する。
スクロール型流体機械の一例として挙げられるスクロール型圧縮機は、旋回スクロールが固定スクロールの軸心周りに公転することで圧縮室の容積を変化させ、圧縮性流体の一例として挙げられる気体冷媒を吸入、圧縮及び吐出するように構成されている。スクロール型圧縮機では、気体冷媒に含まれる潤滑油によって、旋回スクロールを固定スクロールの軸心周りに公転させるクランク機構などが収容されるクランク室が潤滑されている。具体的には、特開2000-80995号公報(特許文献1)に記載されるように、固定スクロールの背面から先端面に貫通して延びる油路の先端開口から、オイルセパレータにより気体冷媒から分離された潤滑油を噴射し、これに対向するハウジングの内面に形成された受け溝を通って潤滑油がクランク室へと供給されている。
特開2000-80995号公報
しかしながら、油路の先端開口から噴射された潤滑油の一部は、その近傍に形成された吸入ポートから吸入された気体冷媒によって下流方向へと流され、受け溝によって受けられずに、クランク室に供給される潤滑油の絶対量が減ってしまうおそれがあった。そして、クランク室に供給される潤滑油の絶対量が減ると、クランク室の潤滑性能が低下してしまう。
そこで、本発明は、クランク室の潤滑性能を向上させた、スクロール型流体機械を提供することを目的とする。
スクロール型流体機械は、ハウジングと、軸心が水平方向に延びた状態でハウジングに固定された固定スクロールと、固定スクロールの軸心周りに公転可能に配置された旋回スクロールと、固定スクロール及び旋回スクロールによって圧縮又は膨張された圧縮性流体から潤滑油を分離するオイルセパレータと、を備えている。そして、固定スクロールの上部に、旋回スクロールのスラスト力を受けるハウジングの円環形状のスラスト受け面に向けて、オイルセパレータによって圧縮性流体から分離された潤滑油を噴射する油路が形成され、ハウジングに、油路の開口から噴射された潤滑油と交差しつつ、ハウジングの内周面に沿った方向に圧縮性流体を吸入する吸入ポートが形成されている。また、油路の開口に対向するスラスト受け面に、内周端部から外周端部に向かって延びる第1の溝部が形成され、スラスト受け面であって吸入ポートから吸入された圧縮性流体の流通方向に沿った第1の溝部より下流に、内周端部から外周端部に向かって延びる第2の溝部が形成されている。さらに、スラスト受け面の外周部に、第1の溝部と第2の溝部とを連通する、スラスト受け面の径方向に延びる第3の溝部が形成されるか、又は、第1の溝部及び第2の溝部は、固定スクロールに形成された油路の開口から噴射された潤滑油を受けて、旋回スクロールを固定スクロールの軸心周りに公転させる駆動力伝達機構が収容されたクランク室に供給する。
本発明によれば、スクロール型流体機械に関して、クランク室の潤滑性能を向上させることができる。
スクロール型圧縮機の一例を示す断面図である。 固定スクロールに形成された油路の一例を示す斜視図である。 ハウジングの段部を臨む正面図である。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
なお、スクロール型流体機械としては、圧縮機又は膨張機のどちらでも使用することができるが、ここではスクロール型圧縮機を例にとって説明する。
図1は、スクロール型圧縮機100の一例を示している。
スクロール型圧縮機100は、例えば、車両用空調機器の冷媒回路に組み込まれ、冷媒回路から低圧の気体冷媒(圧縮性流体)を吸入して圧縮し、冷媒回路に高圧の気体冷媒を吐出する。スクロール型圧縮機100は、ハウジング200と、低圧の気体冷媒を圧縮する圧縮機構300と、圧縮機構300に外部から回転駆動力を伝達する駆動力伝達機構400と、を備えている。ここで、ハウジング200の下部には、圧縮機構300及び駆動力伝達機構400の可動部などを潤滑する、所定量の潤滑油が貯留されている。
ハウジング200は、圧縮機構300及び駆動力伝達機構400を収容するフロントハウジング220と、フロントハウジング220の開口端に接合されるリアハウジング240と、を含んで構成されている。
フロントハウジング220の外周面は、リアハウジング240との接合面から離れるにつれて、その外径が4段階に縮径する段付円柱形状に形成されている。ここで、円柱形状とは、見た目で円柱形状であると認識できる程度でよく、例えば、その外周面に補強用のリブ、取付用のボスなどがあってもよい(形状については以下同様)。また、フロントハウジング220の内周面は、リアハウジング240との接合面から離れるにつれて、その外径が4段階に縮径する段付円柱形状に形成されている。従って、フロントハウジング220は、その外周面と内周面とが相似形となっており、その全体について略同一の外殻厚さを有する、4段階に縮径する円筒形状に形成されている。さらに、フロントハウジング220の周壁の所定箇所には、冷媒回路から低圧の気体冷媒を吸入する、吸入ポートP1が形成されている。なお、吸入ポートP1の詳細については後述する。
以下の説明においては、説明の便宜上、フロントハウジング220の段付円柱形状の内周面について、その大径部から小径部にかけて、第1内周面220A、第2内周面220B、第3内周面220C、及び第4内周面220Dと称することとする。
リアハウジング240は、フロントハウジング220との接合面から離れるにつれて、その中心部が外方へと膨出する半球形状をなしている。従って、リアハウジング240は、圧縮機構300と協働して所定容積を有する吐出室H1を形成する。また、リアハウジング240には、吐出室H1の気体冷媒から潤滑油を分離する、遠心分離式のオイルセパレータOSが組み込まれている。さらに、リアハウジング240の周壁の所定箇所には、オイルセパレータOSによって潤滑油が分離された高圧の気体冷媒を冷媒回路に吐出する、吐出ポートP2が形成されている。
フロントハウジング220及びリアハウジング240は、フロントハウジング220の開口端とリアハウジング240の開口端とを接合させた状態で、例えば、締結具の一例として挙げることができる、複数のボルト500によって分離可能に締結されている。
圧縮機構300は、フロントハウジング220の第1内周面220Aによって区画される円柱形状の空間に配置されている。圧縮機構300は、フロントハウジング220の大径側の開口を閉塞するように配置された固定スクロール320と、第1内周面220Aから第2内周面220Bへと移行する円環形状の段部220Eと固定スクロール320との間に配置された旋回スクロール340と、を含んで構成されている。ここで、フロントハウジング220の段部220Eが、スラスト受け面の一例として挙げられる。
固定スクロール320は、フロントハウジング220の第1内周面220Aの開口端に嵌合される円板形状の底板322と、底板322の一面から旋回スクロール340に向かって延びるインボリュート形状のラップ324と、を有している。また、固定スクロール320は、第1内周面220Aの開口端において底板322の外周面から半径外方へと延び、フロントハウジング220とリアハウジング240との接合面に挟持される、薄板円環形状のフランジ326を更に有している。フランジ326の外周縁は、フロントハウジング220の開口端の外形に倣った形状に形成され、その板面の複数個所に、ボルト500の軸部が貫通可能な貫通孔が夫々形成されている。従って、固定スクロール320は、そのフランジ326を介して、フロントハウジング220とリアハウジング240との接合面に挟持されることで、フロントハウジング220の大径側の開口端を閉塞するとともに、リアハウジング240と協働して吐出室H1を区画する。なお、固定スクロール320のフランジ326とリアハウジング240との間には、図示しないガスケットが配設されている。
旋回スクロール340は、フロントハウジング220の段部220Eを臨む位置に配置される円板形状の底板342と、底板342の一面から固定スクロール320に向かって延びるインボリュート形状のラップ344と、を有している。底板342は、固定スクロール320の底板322より小さい外径を有し、その他面の外周部が、フロントハウジング220の段部220Eにスラスト力を伝達するように、薄板円環形状のスラストプレート510を介して段部220Eに当接されている。なお、スラストプレート510は、フロントハウジング220の段部220Eに対して固定されている。
そして、固定スクロール320及び旋回スクロール340は、ラップ324及び344の周方向の角度が互いにずれた状態で、ラップ324及び344の側壁が互いに部分的に接触するように噛み合わされている。このとき、固定スクロール320のラップ324の先端部に、旋回スクロール340の底板342の一面との気密性を確保する、図示しないチップシールを取り付けてもよい。一方、旋回スクロール340のラップ344の先端部に、固定スクロール320の底板322の一面との気密性を確保する、図示しないチップシールを取り付けてもよい。従って、圧縮機構300では、固定スクロール320と旋回スクロール340との間に、三日月形状の密閉空間である、気体冷媒を吸入して圧縮する圧縮室H2が区画されている。
固定スクロール320の底板322の中心部には、圧縮室H2によって圧縮された気体冷媒を吐出室H1へと吐出する吐出孔322Aが形成されている。吐出室H1を臨む底板322の他面には、圧縮室H2から吐出室H1への気体冷媒の流通を許容するが、吐出室H1から圧縮室H2への気体冷媒の流通を阻止する、例えば、リードバルブからなる逆止弁328が取り付けられている。
固定スクロール320の底板322の外周面には、その全周に亘って凹溝322Bが形成され、ここにフロントハウジング220との気密性を確保するOリング322Cが嵌め込まれている。また、リアハウジング240の開口端面には、その全周に亘って凹溝240Aが形成され、ここに図示しないガスケットとの気密性を確保するOリング240Bが嵌め込まれている。
駆動力伝達機構400は、駆動軸410と、クランクピン420と、偏心ブッシュ430と、バランサウェイト440と、電磁クラッチ450と、プーリ460と、を含んで構成されている。
駆動軸410は、小径部410A及び大径部410Bを有する段付円柱形状をなし、その小径部410Aの先端部がフロントハウジング220の小径側端部から外部に突出した状態で、フロントハウジング220に回転自由に収容されている。具体的には、駆動軸410の小径部410Aは、フロントハウジング220の第4内周面220Dの開口側端部に対して、ボールベアリング520によって回転自由に軸支されている。また、駆動軸410の大径部410Bは、フロントハウジング220の第3内周面220Cに対して、ローラベアリング530によって回転自由に軸支されている。駆動軸410の小径部410Aであって、ボールベアリング520と大径部410Bとの間に位置する部位は、例えば、メカニカルシールやリップシールなどのシール部材540によって、フロントハウジング220の第4内周面220Dとの気密性が確保されている。なお、駆動軸410は、ボールベアリング520やローラベアリング530などのころがり軸受に限らず、円筒形状のすべり軸受によって回転自由に軸支されていてもよい。
駆動軸410の大径部410Bの軸方向の端面であって、その軸心から偏心した位置には、ここから圧縮機構300に向かって延びる円柱形状のクランクピン420が立設されている。クランクピン420の外周面には、円柱形状の外形を有する偏心ブッシュ430が相対回転可能かつ偏心状態で固定されている。偏心ブッシュ430の外周面は、旋回スクロール340の底板342の他面(背面)からフロントハウジング220の小径側へと向かって延びる円環形状のボス部342Aに対して、その内周面に圧入されたすべり軸受550を介して回転自由に軸支されている。また、旋回スクロール340のボス部342Aの半径外方には、旋回スクロール340の公転に起因する振動を低減するために、旋回部分の重量などを考慮したバランサウェイト440が取り付けられている。
旋回スクロール340の自転を阻止する自転阻止機構として、フロントハウジング220の段部220Eには、ここから旋回スクロール340に向かって延びる、複数の自転阻止ピン560が圧入固定されている。複数の自転阻止ピン560は、駆動軸410の軸心に対して等距離かつ等間隔に配置されている。なお、図1に示すスクロール型圧縮機100では、フロントハウジング220の段部220Eに4本の自転阻止ピン560が圧入固定されているが、その本数は任意とすることができる。また、スラストプレート510の板面には、自転阻止ピン560が貫通する貫通孔が複数形成されている。
旋回スクロール340の底板342の他面であって、フロントハウジング220の段部220Eから突出する自転阻止ピン560に対向する複数個所には、底板342の他面から一面へと向かって延びる円形孔342Bが夫々形成されている。そして、複数の自転阻止ピン560の先端部が、旋回スクロール340の円形孔342Bに内接しつつその軸心周りに公転するように嵌合されている。従って、旋回スクロール340は、その自転が阻止された状態で、固定スクロール320の軸心周りを公転する。
駆動軸410の先端部は、フロントハウジング220の小径部の外周面に遊転可能に取り付けられた電磁クラッチ450を介して、外部からの動力によって回転するプーリ460に連結されている。従って、電磁クラッチ450を動作させると、プーリ460と駆動軸410とが連結され、プーリ460の回転力によって駆動軸410が回転する。一方、電磁クラッチ450の動作を停止させると、プーリ460と駆動軸410とが切り離され、駆動軸410の回転が停止する。このように、電磁クラッチ450を適宜制御することで、スクロール型圧縮機100の動作を制御することができる。なお、外部からの動力としては、例えば、エンジン出力、電動モータ出力などとすることができる。
次に、スクロール型圧縮機100の作用について説明する。
外部からの動力によって駆動軸410が回転すると、その回転力がクランクピン420及び偏心ブッシュ430を介して旋回スクロール340に伝達され、旋回スクロール340が自転を阻止された状態で固定スクロール320の軸心周りを公転する。その結果、圧縮機構300の圧縮室H2の容積が変化し、フロントハウジング220の吸入ポートP1から内部空間へと吸入された低圧の気体冷媒は、圧縮室H2で圧縮されながら中心部へと導かれる。圧縮機構300の中心部へと導かれた気体冷媒は、固定スクロール320の底板322に形成された吐出孔322A及び逆止弁328を介して、吐出室H1へと吐出される。吐出室H1へと吐出された高圧の気体冷媒は、オイルセパレータOSによって気体冷媒と潤滑油とに分離される。
そして、潤滑油が分離された気体冷媒は、リアハウジング240に形成された吐出ポートP2を介して、冷媒回路へと吐出される。一方、気体冷媒から分離された潤滑油は、図2に示すように、固定スクロール320の上部において、底板322の他面(背面)からラップ324の先端面に貫通して延びる油路324Aの先端開口(開口)から、フロントハウジング220の段部220Eに向けて噴射される。フロントハウジング220の段部220Eには、油路324Aの開口から噴射された潤滑油を受けて、フロントハウジング220の第2内周面220Bによって区画される円柱形状の空間、即ち、駆動力伝達機構400のクランクピン420、偏心ブッシュ430などが配置されているクランク室へと潤滑油を供給する、凹溝形状の第1の潤滑油供給路220F(第1の溝部)が形成されている。
ここで、第1の潤滑油供給路220Fは、図3に示すように、駆動軸410の軸心と油路324Aの開口に対向する箇所とを結んだ位置において、段部220Eの内周端部から外周端部に向けて形成されている。第1の潤滑油供給路220Fは、段部220Eの内周端部から、少なくとも油路324Aの開口に対向する位置まで延びていればよい。なお、第1の潤滑油供給路220Fの幅及び深さは、例えば、油路324Aの開口から噴射される潤滑油の最大噴射量を考慮して適宜決定することができる。
従って、固定スクロール320の油路324Aの開口から噴射された潤滑油は、吸入ポートP1から吸入された気体冷媒の一部と混合しつつ、フロントハウジング220の段部220Eに形成された第1の潤滑油供給路220Fを通って、クランク室へと供給される。クランク室へと供給された潤滑油のミストを含んだ気体冷媒は、クランクピン420、偏心ブッシュ430、ローラベアリング530、シール部材540、すべり軸受550などの可動部を潤滑する。
クランク室の可動部を潤滑した潤滑油は、図3に示すように、フロントハウジング220の段部220Eの所定箇所に形成された潤滑油排出路220Gを通って、フロントハウジング220の第1内周面220Aによって区画される円柱形状の空間の下部に戻される。この空間の下部に戻された潤滑油は、フロントハウジング220の吸入ポートP1から吸入された気体冷媒と混合し、圧縮機構300の潤滑に供される。
ところで、フロントハウジング220の吸入ポートP1は、図1に示すように、ここから吸入された気体冷媒の一部を使用して、オイルセパレータOSによって分離された潤滑油をクランク室へと導くように、旋回スクロール340の他面(背面)を跨ぐ位置に形成されている。また、吸入ポートP1は、固定スクロール320及び旋回スクロール340の外周端付近の空間へと主に気体冷媒を導く必要があるため、図3に示すように、フロントハウジング220の第1内周面220Aに沿った方向、即ち、その接線方向に延びている。要するに、吸入ポートP1は、油路324Aの開口から噴射された潤滑油と交差しつつ、フロントハウジング220の第1内周面220Aに沿った方向に気体冷媒を吸入する。従って、吸入ポートP1から吸入された気体冷媒の大部分は、フロントハウジング220の第1内周面220Aに沿って流通することとなる。
吸入ポートP1から吸入された気体冷媒の流通方向がフロントハウジング220の第1内周面220Aに沿っているので、固定スクロール320の油路324Aの開口から噴射された潤滑油の少なくとも一部は、気体冷媒によって下流方向へと流されて、第1の潤滑油供給路220Fを介してクランク室へと供給されなくなってしまう。このため、クランク室に供給される潤滑油の絶対量が減り、その可動部の潤滑が不足してしまうおそれがあった。
そこで、フロントハウジング220の段部220Eであって、吸入ポートP1から吸入された気体冷媒の流通方向に沿った第1の潤滑油供給路220Fより下流に、段部220Eの内周端部から外周端部に向けて延びる、凹溝形状の第2の潤滑油供給路220H(第2の溝部)が更に形成されている。第2の潤滑油供給路220Hは、段部220Eの内周端部から、少なくとも油路324Aの開口に対向する位置まで延びていればよい。また、第2の潤滑油供給路220Hの幅及び深さは、第1の潤滑油供給路220Fと同様に、例えば、油路324Aの開口から噴射される潤滑油の最大噴射量を考慮して適宜決定することができる。なお、第2の潤滑油供給路220Hは、油路324Aの開口から噴射された潤滑油が気体冷媒の流れに乗って最も遠くに運ばれる位置に形成すればよい。
このようにすれば、油路324Aの開口から噴射された潤滑油が吸入ポートP1から吸入された気体冷媒によって下流に流されても、その少なくとも一部が、第1の潤滑油供給路220Fより下流に形成された第2の潤滑油供給路220Hで受けられ、ここを通ってクランク室へと供給される。このため、クランク室へと供給される潤滑油の絶対量が増え、クランク室の潤滑性能を向上させることで、例えば、スクロール型圧縮機100の信頼性を向上させることができる。
さらに、フロントハウジング220の段部220Eには、段部220Eの中心から油路324Aの開口に対向する部位までの半径を有する円弧に沿って、要するに、段部220Eの径方向に延びて、第1の潤滑油供給路220Fと第2の潤滑油供給路220Hとを連通させる、凹溝形状の連通路220I(第3の溝部)が形成されている。このようにすれば、吸入ポートP1から吸入された気体冷媒の流れによって、油路324Aの開口から噴射された潤滑油が第1の潤滑油供給路220Fより下流に流されても、これが連通路220Iにより受け止められて、その下壁に沿って第1の潤滑油供給路220F又は第2の潤滑油供給路220Hへと流れ込んでクランク室へと供給される。
従って、フロントハウジング220の段部220Eに、第1の潤滑油供給路220Fに加えて、少なくとも第2の潤滑油供給路220Hを形成することで、固定スクロール320の油路324Aの開口から噴射された潤滑油がクランク室へと供給される絶対量が増え、クランク室の潤滑性能を向上させることができる。また、フロントハウジング220の段部220Eに、第2の潤滑油供給路220Hに加え連通路220Iを更に形成することで、クランク室へと供給される潤滑油の絶対量を更に増加させることができる。
上述した実施形態に関し、スクロール型圧縮機100は、ハウジング200の内部に電動モータを内蔵していてもよい。また、オイルセパレータOSは、遠心分離式に限らず、例えば、ラビリンス通路により気体冷媒から潤滑油を分離する方式であってもよい。
上記実施形態について、そこで説明された技術的思想を任意に組み合わせ、又はその一部を組み替えることで、新たな変形例を生み出すことができる。従って、本発明は、上記実施形態に記載された内容に限らず、当業者であればこれらから容易に想起し得る技術的思想を含んだものであることを理解すべきである。
100 スクロール型圧縮機(スクロール型流体機械)
200 ハウジング
220 フロントハウジング
220E 段部(スラスト受け面)
220F 第1の潤滑油供給路(第1の溝部)
220H 第2の潤滑油供給路(第2の溝部)
220I 連通路(第3の溝部)
320 固定スクロール
324A 油路
340 旋回スクロール
400 駆動力伝達機構
P1 吸入ポート
OS オイルセパレータ

Claims (2)

  1. ハウジングと、
    軸心が水平方向に延びた状態で前記ハウジングに固定された固定スクロールと、
    前記固定スクロールの軸心周りに公転可能に配置された旋回スクロールと、
    前記固定スクロール及び前記旋回スクロールによって圧縮又は膨張された圧縮性流体から潤滑油を分離するオイルセパレータと、
    を備え、
    前記固定スクロールの上部に、前記旋回スクロールのスラスト力を受ける前記ハウジングの円環形状のスラスト受け面に向けて、前記オイルセパレータによって圧縮性流体から分離された潤滑油を噴射する油路が形成され、
    前記ハウジングに、前記油路の開口から噴射された潤滑油と交差しつつ、前記ハウジングの内周面に沿った方向に圧縮性流体を吸入する吸入ポートが形成され、
    前記油路の開口に対向する前記スラスト受け面に、内周端部から外周端部に向かって延びる第1の溝部が形成され、
    前記スラスト受け面であって前記吸入ポートから吸入された圧縮性流体の流通方向に沿った前記第1の溝部より下流に、内周端部から外周端部に向かって延びる第2の溝部が形成され、
    前記スラスト受け面の外周部に、前記第1の溝部と前記第2の溝部とを連通する、前記スラスト受け面の径方向に延びる第3の溝部が形成された、
    スクロール型流体機械。
  2. ハウジングと、
    軸心が水平方向に延びた状態で前記ハウジングに固定された固定スクロールと、
    前記固定スクロールの軸心周りに公転可能に配置された旋回スクロールと、
    前記固定スクロール及び前記旋回スクロールによって圧縮又は膨張された圧縮性流体から潤滑油を分離するオイルセパレータと、
    を備え、
    前記固定スクロールの上部に、前記旋回スクロールのスラスト力を受ける前記ハウジングの円環形状のスラスト受け面に向けて、前記オイルセパレータによって圧縮性流体から分離された潤滑油を噴射する油路が形成され、
    前記ハウジングに、前記油路の開口から噴射された潤滑油と交差しつつ、前記ハウジングの内周面に沿った方向に圧縮性流体を吸入する吸入ポートが形成され、
    前記油路の開口に対向する前記スラスト受け面に、内周端部から外周端部に向かって延びる第1の溝部が形成され、
    前記スラスト受け面であって前記吸入ポートから吸入された圧縮性流体の流通方向に沿った前記第1の溝部より下流に、内周端部から外周端部に向かって延びる第2の溝部が形成され、
    前記第1の溝部及び前記第2の溝部は、前記固定スクロールに形成された前記油路の開口から噴射された潤滑油を受けて、前記旋回スクロールを前記固定スクロールの軸心周りに公転させる駆動力伝達機構が収容されたクランク室に供給する、
    クロール型流体機械。
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