JP2016017211A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高SiO微粉鉱石を使用して焼結鉱を作製する場合に、焼結鉱の歩留及び生産率を改善することが可能な、新規かつ改良された焼結鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、二酸化ケイ素の含有率が微粉鉱石の総質量に対して3〜6質量%であり、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が微粉鉱石の総質量に対して90質量%以上である微粉鉱石を、粒度が20μm以下である粒子の含有率が微粉鉱石の総質量に対して20質量%以上となり、かつ、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が微粉鉱石の総質量に対して70質量%以下となるまで事前粉砕する工程と、事前粉砕後の微粉鉱石と、酸化カルシウム源とを含む配合原料を造粒する工程と、を含むことを特徴とする、焼結鉱の製造方法が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、焼結鉱の製造方法に関する。
製銑プロセスで原料となる鉄鉱石のうち、粒度が10mm以下である粉鉱石(平均粒度で1〜3mm)は粒度が小さいので、そのまま高炉に投入されると、高炉内の目詰まりの原因となる可能性がある。即ち、粉鉱石によって高炉内での還元ガスの流路が妨げられる可能性がある。そこで、粉鉱石は、そのまま高炉に投入されるのではなく、凝結材(粉コークスや無煙炭等の炭材)、副原料(石灰石、橄欖岩、蛇紋岩、珪石等)および雑原料(スケール、返鉱等)と共に焼き固められた焼結鉱として高炉に投入される。以下、焼結鉱の製造に使用される原料を総称して焼結用原料とも称する。また、すべてまたは一部の焼結用原料が所定の比率で配合された原料を配合原料とも称する。
また、近年、高品位の粉鉱石(ヘマタイトを多く含み、脈石成分(二酸化ケイ素やアルミナ等)の含有量が少ない粉鉱石)の供給量が低減してきたこと等に鑑み、微粉鉱石を焼結用原料として使用することが期待されている。微粉鉱石は、元来鉄分の含有量が少ない原鉱を粒度が通常0.1mm以下になるまで粉砕し、粉砕した原料を選鉱して鉄分を高めることで製造される精鉱である。例えば、微粉鉱石は、その総質量に対して鉄分を60質量%以上含む。微粉鉱石は、通常ペレット(焼成ペレット)用原料として用いられる。余剰となった微粉鉱石は、ペレットフィード(以下、「PF」とも記載する)と称して焼結用原料として流通している。
微粉鉱石及び粉鉱石は、焼結鉱の生産性を高めることを目的として、凝結材、副原料、及び雑原料の他、必要に応じて生石灰、消石灰等のバインダと共に造粒される。特許文献1に示されるように、微粉砕した鉄鉱石を配合原料に加える場合がある。微粉砕した鉄鉱石は、バインダを補助するものである。そして、焼結機内に造粒物の充填層を形成し、この充填層を焼き固める(焼成する)ことで、焼結ケーキを作製する。具体的には、充填層の表面に点火し、充填層を通して空気を下方に吸引する。これにより、配合原料中の炭材が燃焼して充填層の温度が1300℃程度に加熱される。充填層の温度が1200℃を超えると、配合原料中の酸化カルシウム源(例えば、石灰石)と鉄鉱石の一部とが反応して溶融する。炭材燃焼が完了すると充填層は引き続き吸引される空気によって冷却される。この融液が主にカルシウムフェライトとして凝固し、残部(未溶融)の鉄鉱石を結合することで、焼結体(焼結ケーキ)が形成される。そして、焼結ケーキを破砕・整粒することで、焼結鉱を作製する。
特開2013−32568号公報
ところで、近年、二酸化ケイ素の含有率が微粉鉱石の総質量に対して3〜6質量%であり、粒度が63μm以上である粒子の含有率が微粉鉱石の総質量に対して90質量%以上である微粉鉱石を使用したいというニーズが増加している。以下、このような微粉鉱石を、高SiO微粉鉱石とも称する。高SiO微粉鉱石は、例えばカナダで産出される。
配合原料は造粒後、擬似粒子(造粒物)を形成する。このとき、微粉鉱石は細かいため通常、擬似粒子中の付着粉層に位置する。高SiO微粉鉱石は、比較的多くの粗粒を含むので、高SiO微粉鉱石を含む焼結用原料をそのまま造粒した場合、擬似粒子の付着粉層内に大きな気孔が多数形成される。また、高SiO微粉鉱石は、比較的多くの粗粒を含むので、石灰石と高SiO微粉鉱石との接触面積が低下する。したがって、焼結時に、カルシウムフェライトが生成しにくくなる。一方、高SiO微粉鉱石は、二酸化ケイ素の含有率が高い。したがって、焼結時には、二酸化ケイ素の融液が多く生成する。二酸化ケイ素の融液はシリケートスラグとも称される。このシリケートスラグは、カルシウムフェライトに比べて粘度が高い。
したがって、カルシウムフェライト及びシリケートスラグの融液に占めるシリケートスラグの割合が高くなるので、融液の粘度が高くなる。さらに、上述したように、付着粉層内には大きな気孔が多数形成される。したがって、融液は、気孔内にとどまりやすくなるので、付着粉層全体に行き渡りにくくなる。この結果、焼結鉱の強度、即ち歩留が低下し、生産率も低下する。このように、高SiO微粉鉱石を含む焼結用原料をそのまま造粒した場合、焼結鉱の歩留及び生産率が低下するという問題があった。この問題は、後述するように、高SiO微粉鉱石に付着する酸化カルシウム源の量が少ない(CaO/Oreが低い)場合に顕著に現れる。なお、特許文献1に開示された技術は、焼結用原料の造粒性の改善を目的としたものなので、この問題を何ら解決することができなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、高SiO微粉鉱石を使用して焼結鉱を作製する場合に、焼結鉱の歩留及び生産率を改善することが可能な、新規かつ改良された焼結鉱の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、二酸化ケイ素の含有率が微粉鉱石の総質量に対して3〜6質量%であり、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が微粉鉱石の総質量に対して90質量%以上である微粉鉱石を、粒度が20μm以下である粒子の含有率が微粉鉱石の総質量に対して20質量%以上となり、かつ、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が微粉鉱石の総質量に対して70質量%以下となるまで事前粉砕する工程と、事前粉砕後の微粉鉱石と、酸化カルシウム源とを含む配合原料を造粒する工程と、を含むことを特徴とする、焼結鉱の製造方法が提供される。
ここで、微粉鉱石の総質量と、微粉鉱石に付着する酸化カルシウム源のCaO換算質量との基準質量比が0.1以下となる場合には、事前粉砕後の微粉鉱石と、酸化カルシウム源とを含む配合原料を造粒し、基準質量比が0.1を超える場合には、有姿の微粉鉱石と、酸化カルシウム源とを含む配合原料を造粒してもよい。
また、基準質量比は、配合原料中の酸化カルシウム源以外の原料の総質量と、配合原料中の酸化カルシウム源のCaO換算質量との質量比であってもよい。
以上説明したように本発明によれば、高SiO微粉鉱石を所定の粒度まで事前粉砕するので、焼結鉱の歩留及び生産率を改善することができる。
本実施形態に係る造粒システムの一例を示す説明図である。 同実施形態にかかる造粒システムの他の例を示す説明図である。 CaO/Oreと実験用焼結体の強度との対応関係をPFの種類毎に示すグラフである。 CaO/Oreと実験用焼結体の強度との対応関係をPFの種類毎に示すグラフである。 有姿のカナダ産PFを使用して作製した実験用焼結体の断面を拡大して示す光学顕微鏡写真である。 有姿のカナダ産PFを使用して作製した実験用焼結体の断面をさらに拡大して示す光学顕微鏡写真である。 事前粉砕後のカナダ産PFを使用して作製した実験用焼結体の断面を拡大して示す光学顕微鏡写真である。 事前粉砕後のカナダ産PFを使用して作製した実験用焼結体の断面を拡大して示す光学顕微鏡写真である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本実施形態における粒度は、例えば目開きの大きさが異なる篩を用いて測定される。例えば、目開きが0.25mmの篩を用意し、測定対象の原料をこの篩にかける。この篩を通過した原料は、粒度が0.25mm以下となる。一方、篩に残った原料は、粒度が0.25mmより大きくなる。
<1.高SiO微粉鉱石について>
本実施形態に係る焼結鉱の製造方法では、高SiO微粉鉱石を焼結用原料として使用しつつ、焼結鉱の歩留及び生産率を改善するものである。そこで、まず、本実施形態の対象となる高SiO微粉鉱石の特徴について説明する。
高SiO微粉鉱石は、二酸化ケイ素の含有率が高SiO微粉鉱石の総質量に対して3〜6質量%であり、粒度が63μm以上である粒子の含有率が高SiO微粉鉱石の総質量に対して90質量%以上である。このように、高SiO微粉鉱石は、比較的多くの粗粒を含み、二酸化ケイ素の含有量が高い。
高SiO微粉鉱石の一例として、カナダ産微粉鉱石(カナダ産PF)が挙げられる。すなわち、カナダ鉱床から採掘された原鉱(母岩)には、粒度が数100μmの酸化鉄粒子(結晶粒子)及び脈石成分粒子(二酸化ケイ素の粒子等)を多く含む。また、酸化鉄粒子及び脈石成分粒子の粒度は、63μm〜1000μmの範囲内に分布する。そして、原鉱は、酸化鉄粒子と脈石成分粒子が互いに結着した状態となっている。
PFは、概略以下の工程によって作製される。すなわち、原鉱を粉砕することで、原鉱を酸化鉄単体粒子と脈石成分単体粒子とに分離する。ここで、「単体粒子」とは、他の種類の粒子と結合していない粒子を意味する。そして、粉砕後の原鉱を選鉱する(具体的には、粉砕後の原鉱から脈石成分単体粒子を分離除去する)ことで、PFを作製する。選鉱の方法としては、例えば比重選鉱(酸化鉄単体粒子と脈石成分単体粒子との比重の違いを利用して両者を分離する選鉱方法)等が挙げられる。ここで、原鉱の粉砕の程度が大きい(例えば粉砕時間が長い)ほど、多くの原鉱を酸化鉄単体粒子と脈石成分単体粒子とに分離することができる。そして、比重選鉱では、原鉱内に占める単体粒子が多いほど、選鉱の精度が上がる。例えば、選鉱後の微粉鉱石内に占める二酸化ケイ素の質量%が減少する。
ただし、単体粒子をさらに粉砕しても、単体粒子の粒度が小さくなるだけである。単体粒子の粒度が変わっても、比重選鉱の精度はほとんど変わらない。したがって、粉砕の程度を大きくしていくと、比重選鉱の精度がほぼ頭打ちになる。この状態では、大半の酸化鉄粒子及び二酸化ケイ素粒子が単体粒子となっている。比重選鉱よりも精度の高い選鉱方法も存在するが、コストがかかる。
ここで、カナダ産の原鉱は、酸化鉄粒子及び二酸化ケイ素粒子の粒度が他の原鉱(たとえばブラジル産)と比較して大きいので、原鉱の粉砕の程度が軽くても(即ち、粉砕後の原鉱の粒度が大きくても)、多くの酸化鉄粒子及び二酸化ケイ素粒子を単体粒子とすることができる。その一方で、比重選鉱の精度も早期に(すなわち、粉砕の程度が小さいうちに)頭打ちとなる。このため、低コストで選鉱を行うことができるが、比較的多くの二酸化ケイ素がPFに残る。
したがって、カナダ産PFは、比較的多くの粗粒を含み、二酸化ケイ素の含有率が高い。表1に、カナダ産PFの組成例を示す。比較のために、ブラジル産PFの組成例も示す。
表1中、「T.Fe」、「FeO」、「CaO」、「SiO」、「Al」、「MgO」、「P」、「S」、「Mn」、及び「CW」は、それぞれPFの総質量に対する全ての鉄(2価鉄及び3価鉄)、2価鉄、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化マグネシウム、リン、硫黄、マンガン、及び結晶水の質量%を示す。なお、鉄はPF中でヘマタイトまたはマグネタイトとして存在する。また、2価鉄の質量%はFeO換算値である。
<2.本発明者による検討>
上述したように、高SiO微粉鉱石を含む焼結用原料をそのまま造粒した場合、擬似粒子中付着粉層に大きな気孔が多数形成される。さらに、擬似粒子を焼結する際に、融液の粘度が高くなる。このため、融液が気孔内にとどまりやすく、焼結用原料の全体に行き渡りにくい。この結果、焼結鉱の歩留及び生産率が低下する。
そこで、本発明者は、高SiO微粉鉱石の粒度及び融液の粘度が焼結鉱の歩留にどのような影響を与えるのか調査した。ここで、本発明者は、融液の粘度を示すパラメータとして、CaO/Ore(基準質量比)に着目した。CaO/Oreは、高SiO微粉鉱石に添加された酸化カルシウム源のCaO換算質量を高SiO微粉鉱石の総質量で除算した値である。
ここで、酸化カルシウム源の質量について、CaO換算質量を使用することとしたのは、酸化カルシウム源は、焼成時に酸化カルシウムに変化していると考えられるからである。例えば、石灰石は、焼成時に脱炭酸してCaOとなり、このCaOが酸化鉄と反応して溶融する。
したがって、CaO/Oreは、高SiO微粉鉱石に対してどの程度の酸化カルシウム源が添加されたのかを示すパラメータである。CaO/Oreが高いほど、高SiO微粉鉱石に多くの酸化カルシウム源が付随していることになる。したがって、CaO/Oreが高いほど、融液に占めるカルシウムフェライトの量が増加する。すなわち、融液の粘度が低下する。
詳細は後述する実施例で説明するが、本発明者は、擬似粒子中の付着粉層を模擬した高SiO微粉鉱石と石灰石との混合物からなるタブレットを作製し、このタブレットを焼成する(焼結する)ことで実験用焼結体を作成した。そして本発明者は、実験用焼結体の強度を測定した。そして、本発明者は、高SiO微粉鉱石の粒度分布とCaO/Oreとを変更しながら同様の処理を繰り返して行った。ここで、実験用焼結体の強度は、焼結鉱の歩留を示す指標となる。また、混合物には高SiO微粉鉱石及び石灰石以外の焼結用原料は含まれないので、石灰石はほぼすべて高SiO微粉鉱石に付着している。したがって、CaO/Oreは、石灰石のCaO換算質量を高SiO微粉鉱石の総質量で除算することで得られる。
この結果、本発明者は、有姿の(すなわち、事前粉砕していない)高SiO微粉鉱石を使用して作製された実験用焼結体の強度は、CaO/Ore=0.1を境に大きく変化することを見出した。具体的には、有姿の高SiO微粉鉱石を使用して作製された実験用焼結体の強度は、CaO/Oreが0.1以下となる場合には、非常に低くなるが、CaO/Oreが0.1を超える場合には、大きく増加する。
したがって、CaO/Oreが0.1以下となる場合には、上述した問題が生じていると考えられる。一方、CaO/Oreが0.1を超える場合には、融液の粘度が十分に低くなるので、たとえ付着粉層の気孔が大きい場合であっても、高SiO微粉鉱石の全体に融液が行き渡ると考えられる。
その一方で、高SiO微粉鉱石を、粒度が20μm以下である粒子の含有率が高SiO微粉鉱石の総質量に対して20質量%以上となり、かつ、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が高SiO微粉鉱石の総質量に対して70質量%以下となるまで事前粉砕した場合、CaO/Oreの値に関わらず、実験用焼結体の強度が大きくなる。
本発明者は、この理由を以下のように考えている。まず、CaO/Oreが0.1以下となる場合には、融液の組成は従来と同様なので、粘度が高い。しかし、高SiO微粉鉱石は事前粉砕されているので、混合物内の気孔は小さくなる。さらに、高SiO微粉鉱石同士の隙間も小さくなる。このため、毛細管現象により融液が高SiO微粉鉱石の全体に行き渡ると考えられる。すなわち、融液がより有効に使用される。一方、CaO/Oreが0.1を超える場合には、融液の粘度が十分に低くなるため、融液が高SiO微粉鉱石の全体に行き渡ると考えられる。以上の理由により、高SiO微粉鉱石を事前粉砕した場合、CaO/Oreの値に関わらず、実験用焼結体の強度が大きくなる。
上記の検討の結果、本発明者は、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法に想到した。本実施形態に係る焼結鉱の製造方法は、CaO/Oreが0.1以下になる場合には、高SiO微粉鉱石を事前粉砕した後に、焼結鉱を作製する。また、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法は、CaO/Oreが0.1を超える場合には、有姿または事前粉砕後の高SiO微粉鉱石を用いて焼結鉱を作製する。後者の場合、事前粉砕にかかるコスト等を考慮すると、有姿の高SiO微粉鉱石を用いて焼結鉱を作製することが好ましい。
<3.適用例>
本実施形態に係る焼結鉱の製造方法は、例えば、図1に示される一括造粒システム1a、及び図2に示される選択造粒システム1b等によって実現可能である。そこで、まず、図1に基づいて、一括造粒システム1aの例について説明する。
(3−1.一括造粒システムの構成)
一括造粒システム1aは、高SiO微粉鉱石と粉鉱石とを一括造粒するシステムである。それは、粉砕機2と、ドラムミキサー3と、焼結機4とを備える。粉砕機2は、高SiO微粉鉱石を事前粉砕する。事前粉砕後の高SiO微粉鉱石は、ドラムミキサー3に投入される。ドラムミキサー3は、有姿または事前粉砕後の高SiO微粉鉱石と残りの焼結用原料とを造粒する(一括造粒する)ことで、配合原料の造粒物を作製する。残りの焼結用原料とは、高SiO微粉鉱石を除く原料である。配合原料の組成例を表2に示す。
表2において、各原料の質量%は、配合原料の総質量に対する質量%である。ただし、返鉱及びコークス(coke)の質量%は、外数である。「Aus A」〜「Aus D」は、それぞれオーストラリア産の粉鉱石を意味する。「Bra A」、「Bra B」は、それぞれブラジル産の粉鉱石を意味する。カナダPF1は、破砕の対象とカナダ産PFであって、表1にその組成を示すものである。「CaO」は、生石灰を意味する。表2の例では、高SiO微粉鉱石に付着する酸化カルシウム源は石灰石及び生石灰となる。酸化カルシウム源として、さらに消石灰を含めてもよい。また、生石灰の代わりに消石灰を用いても良い。生石灰及び消石灰は、バインダとなるものである。残りの焼結用原料に消石灰を含めた場合、高SiO微粉鉱石に付着する酸化カルシウム源には、消石灰も含まれる。
一括造粒システム1aでは、高SiO微粉鉱石と残りの焼結用原料とが一括造粒される。このとき、高SiO微粉鉱石と酸化カルシウム源とは後述する確率で付着する可能性がある。配合原料の造粒物は、焼結機4に投入される。焼結機4は、配合原料の充填層を形成し、この充填層を焼結することで、焼結ケーキを作製する。そして、焼結機4は焼結ケーキを破砕し、さらに後工程(不図示)で整粒することで、焼結鉱を作製する。
(3−2.一括造粒システムを用いた焼結鉱の製造方法)
上記一括造粒システム1aを用いた焼結鉱の製造方法では、まず、CaO/Oreの値を算出する。ここで、一括造粒システム1aでは、高SiO微粉鉱石と酸化カルシウム源を含む残りの焼結用原料とが一括造粒されるので、酸化カルシウム源は、高SiO微粉鉱石と、残りの焼結用原料のうち、酸化カルシウム源以外の原料(以下、単に「他の焼結用原料」とも称する)とに付着する。
ここで、酸化カルシウム源は、高SiO微粉鉱石及び他の焼結用原料に、これらの質量割合に応じて付着すると考えられる。したがって、CaO/Oreの分子、すなわち高SiO微粉鉱石に付着する酸化カルシウム源のCaO換算質量は、以下の数式(1)で示される。
数式(1)において、WtCaOは、高SiO微粉鉱石に付着する酸化カルシウム源のCaO換算質量であり、aは高SiO微粉鉱石の総質量であり、bは他の焼結用原料の総質量であり、cは酸化カルシウム源のCaO換算質量である。したがって、CaO/Oreは、以下の数式(2)で示される。
したがって、CaO/Oreは、実質的には、全配合原料(高SiO微粉鉱石+残りの焼結用原料)中の酸化カルシウム源のCaO換算質量を、高SiO微粉鉱石及び他の焼結用原料の総質量(全配合原料中の酸化カルシウム源以外の原料の総質量)で除算することで得られる。
そして、本製造方法では、数式2のCaO/Oreが0.1以下となる場合には、高SiO微粉鉱石を粉砕機2に投入する。そして、粉砕機2は、高SiO微粉鉱石を、粒度が20μm以下である粒子の含有率が高SiO微粉鉱石の総質量に対して20質量%以上となり、かつ、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が高SiO微粉鉱石の総質量に対して70質量%以下となるまで事前粉砕する。粉砕機2は、粒子の最大粒度が125μm以下となるまで高SiO微粉鉱石を粉砕することが好ましい。事前粉砕後の高SiO微粉鉱石は、ドラムミキサー3に投入される。ドラムミキサー3は、事前粉砕後の高SiO微粉鉱石と残りの焼結用原料とを造粒する。
一方、CaO/Oreが0.1を超える場合には、高SiO微粉鉱石を有姿のままドラムミキサー3に投入する。そして、ドラムミキサー3は、有姿の高SiO微粉鉱石と残りの焼結用原料とを造粒する。高SiO微粉鉱石は、上記と同様に粉砕機2により事前粉砕された後にドラムミキサー3に投入されても良いが、コストの観点からは、有姿のままドラムミキサー3に投入されることが好ましい。焼結鉱の歩留を重視する場合には、高SiO微粉鉱石を事前粉砕することが好ましい。この場合、粉砕機2は、粒子の最大粒度が125μm以下となるまで高SiO微粉鉱石を粉砕することが好ましい。ドラムミキサー3によって作製された配合原料の造粒物は、焼結機4に投入される。そして、焼結機4は、配合原料の造粒物を用いて焼結鉱を作製する。
なお、CaO/Oreの計算は、自動的に行われてもよい。例えば、一括造粒システム1aを制御する制御装置を設け、この制御装置にCaO/Oreの計算を行わせてもよい。また、CaO/Oreの計算結果に基づく高SiO微粉鉱石の投入先の変更も制御装置に行わせてもよい。制御装置は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、各種駆動装置等のハードウェア構成を備え、これらのハードウェア構成により、上述した機能を実現する。ROMには、制御装置に上述した機能を実現させるためのプログラムが記憶されており、CPUは、このプログラムを読みだして実行する。CaO/Oreの計算、及びCaO/Oreの計算結果に基づく高SiO微粉鉱石の投入先の変更は、人為的に行われてもよい。
(3−3.選択造粒システムの構成)
次に、図2に基づいて、選択造粒システム1bについて説明する。選択造粒システム1bは、高SiO微粉鉱石と粉鉱石とを選択的に(別々に)造粒するシステムであり、粉砕機2と、パンペレタイザー2aと、ドラムミキサー3と、焼結機4とを備える。
粉砕機2は、高SiO微粉鉱石を事前粉砕する。パンペレタイザー2aは、第1の焼結用原料を造粒することで、第1の焼結用原料の造粒物を作製する。ここで、第1の焼結用原料は、事前破砕後の高SiO微粉鉱石及びバインダを含む。バインダの例としては、生石灰及び消石灰が挙げられる。これらのうち、少なくとも一方が第1の焼結用原料に含まれればよい。また、第1の焼結用原料には、高SiO微粉鉱石よりもさらに粒度の小さい微粉鉱石を含めても良い。第1の焼結原料にこのような微粉鉱石を含めることで、バインダの機能が向上する。以下、このような微粉鉱石を「補助バインダ」とも称する。補助バインダの例は特許文献1に開示されている。第1の焼結用原料の造粒物は、後述する第2の焼結用原料の造粒物と共に焼結機4に投入される。このように、選択造粒システム1bでは、第1の焼結用原料を選択造粒するので、CaO/Oreを算出する際には、第1の焼結用原料に着目すればよい。
ドラムミキサー3は、第2の焼結用原料を造粒することで、第2の焼結用原料の造粒物を作製する。ここで、第2の焼結用原料は、全焼結用原料から上述した第1の焼結用原料を除いたものである。第2の焼結用原料の造粒物は、第1の焼結用原料の造粒物と共に焼結機4に投入される。焼結機4は、造粒物の充填層を形成し、この充填層を焼結することで、焼結ケーキを作製する。そして、焼結機4は、焼結ケーキを破砕し、さらに後工程で整粒することで、焼結鉱を作製する。
(3−4.選択造粒システムを用いた焼結鉱の製造方法)
上記選択造粒システム1bを用いた焼結鉱の製造方法でも、まず、CaO/Oreの値を算出する。ここで、選択造粒システム1bでは、第1の焼結用原料が選択造粒されるので、第1の焼結用原料に着目すればよい。通常、選択造粒システムでは、酸化カルシウム源は、バインダ(例えば生石灰、消石灰)として用いられる。また、補助バインダを用いる場合には、酸化カルシウム源は、高SiO微粉鉱石と、補助バインダとに付着する。
ここで、酸化カルシウム源は、高SiO微粉鉱石及び補助バインダに、これらの質量割合に応じて付着すると考えられる。したがって、CaO/Oreの分子は、以下の数式(1’)で示される。
数式(1)において、WtCaOは、高SiO微粉鉱石に付着する酸化カルシウム源のCaO換算質量であり、a’は高SiO微粉鉱石の総質量であり、b’は補助バインダの総質量であり、c’は第1の焼結用原料内の全酸化カルシウム源のCaO換算質量である。したがって、CaO/Oreは、以下の数式(2’)で示される。
したがって、CaO/Oreは、実質的には、第1の焼結用原料内の全酸化カルシウム源のCaO換算質量を、高SiO微粉鉱石及び補助バインダの総質量(すなわち、第1の焼結用原料中の酸化カルシウム源以外の原料の総質量)で除算することで得られる。第1の焼結用原料内に補助バインダが含まれない場合、b’=0となる。
そして、本製造方法では、CaO/Oreが0.1以下となる場合には、高SiO微粉鉱石を粉砕機2に投入する。そして、粉砕機2は、高SiO微粉鉱石を事前粉砕する。ここで、粉砕機2は、粒度が20μm以下である高SiO微粉鉱石粒子の含有率が高SiO微粉鉱石の総質量に対して20質量%以上となり、かつ、粒度が63μmより大きい高SiO微粉鉱石粒子の含有率が高SiO微粉鉱石の総質量に対して70質量%以下となるまで、高SiO微粉鉱石を事前粉砕する。粉砕機2は、高SiO微粉鉱石粒子の最大粒度が125μm以下となるまで高SiO微粉鉱石を粉砕することが好ましい。事前粉砕後の高SiO微粉鉱石及びバインダを含む第1の焼結用原料は、パンペレタイザー2aに投入される。パンペレタイザー2aは、事前粉砕後の第1の焼結用原料を造粒することで、第1の焼結用原料の造粒物を作製する。第1の焼結用原料の造粒物は、第2の焼結用原料の造粒物とともに焼結機4に投入される。
一方、CaO/Oreが0.1を超える場合には、高SiO微粉鉱石及びバインダを含む第1の焼結用原料を有姿のままパンペレタイザー2aに投入する。そして、パンペレタイザー2aは、有姿の第1の焼結用原料を造粒することで、第1の焼結用原料の造粒物を作製する。高SiO微粉鉱石は、上記と同様に粉砕機2により事前粉砕された後にパンペレタイザー2aに投入されても良いが、コストの観点からは、有姿のままパンペレタイザー2aに投入されることが好ましい。焼結鉱の歩留を重視する場合には、高SiO微粉鉱石を事前粉砕することが好ましい。この場合、粉砕機2は、高SiO微粉鉱石粒子の最大粒度が125μm以下となるまで高SiO微粉鉱石を粉砕することが好ましい。第1の焼結用原料の造粒物は、第2の焼結用原料の造粒物とともに焼結機4に投入される。
一方、ドラムミキサー3は、第2の焼結用原料を造粒することで、第2の焼結用原料の造粒物を作製する。第2の焼結用原料の造粒物は、第1の焼結用原料の造粒物とともに焼結機4に投入される。そして、焼結機4は、第1の焼結用原料の造粒物及び第2の焼結用原料の造粒物を用いて焼結鉱を作製する。
なお、CaO/Oreの計算、及びCaO/Oreの計算結果に基づく高SiO微粉鉱石の投入先の変更は、自動的に行われてもよいし、人為的に行われてもよい。
(1.原料の準備)
次に、本実施形態の実施例を説明する。本実施例では、高SiO微粉鉱石として、表1に示されるカナダ産PF1を使用した。このカナダ産PF1は、有姿で湿式篩分け平均粒径(平均粒度)387μm、粒度が20μm以下の粒子の含有率がカナダ産PFの総質量に対して0.33質量%、粒度が63μmより大きい粒子の含有率がカナダ産PFの総質量に対して97.4質量%となる。
ここで、各鉱石の平均粒径は、以下の方法により算出した。すなわち、目開きが1.0、0.5、0.25、0.18、0.125、0.063、0.045、0.020mmの8種類のふるいを用いて鉱石を湿式で篩い分けた。得られた粒度ごとの質量比率から、鉄鉱石の粒度毎の比重差は無いと仮定し、JIS M 8706の付属書Jを参考に,平均粒度を算出した。具体的には、平均粒度は以下の数式(3)に基づいて算出した。
ここで、APSは、平均粒径(mm)であり、fiは、粒度区分毎の質量分率(質量%)であり、diは、粒度区分の中間ふるい目(mm)である。
また、カナダ産PF1の事前粉砕は、以下の2通りの方法で行った。(粉砕方法1)小型ボールミルで50kgのカナダ産PF1を5分間粉砕した。この結果得られたカナダ産PF(以下、「BM粉砕カナダ産PF」とも称する)は、湿式篩分け平均粒径146μm、粒度が20μm以下の粒子の含有率がBM粉砕カナダ産PFの総質量に対して21.2質量%、粒度が63μmより大きい粒子の含有率がBM粉砕カナダ産PFの総質量に対して62.7質量%となった。(粉砕方法2)フレットミルでカナダ産PF1を最大粒度が125μm以下となるまで粉砕した。この結果得られたカナダ産PF(以下、「FM粉砕カナダ産PF」とも称する)は、湿式篩分け平均粒径44μm、粒度が20μm以下の粒子の含有率がFM粉砕カナダ産PFの総質量に対して39.4質量%、粒度が63μmより大きい粒子の含有率がFM粉砕カナダ産PFの総質量に対して29.5質量%となった。粉砕方法2では、粉砕方法1よりも粉砕の程度が大きい。
また、比較として、表1に示されるブラジル産PFを用意した。このブラジル産PFは、湿式篩分け平均粒径108μm、粒度が20μm以下の粒子の含有率がブラジル産PFの総質量に対して8.9質量%、粒度が63μmより大きい粒子の含有率がブラジル産PFの総質量に対して43.5質量%である。また、ブラジル産PFを上記(粉砕方法1)により事前粉砕した。事前粉砕後のブラジル産PFを「BM粉砕ブラジル産PF」とも称する。
(2.反応性(同化性)試験)
造粒物中の酸化カルシウム源と各PFとの反応を模擬するため、以下に示される同化性試験を実施した。まず、CaO/Oreが0.05〜0.15の範囲になるように、各PFと粒度が0.5mm以下の石灰石とを混合し、この混合物を用いて8mmφ×10mmHのタブレットを作製した。なお、タブレットを作製するに際し、混合物にはPF及び石灰石以外の材料を含めていないので、CaO/Oreは、石灰石の総質量をPFの総質量で除算することで得られる。そして、これらのタブレットを焼成することで、実験用焼結体を作製した。焼成パターンは実機の焼結機に近似させた。具体的には、タブレットを1100℃から1300℃まで1分間で加熱し、1300℃から1100℃まで3分間で冷却した。
そして、実験用焼結体について+0.5mm歩留試験及び光学顕微鏡観察を行った。+0.5mm歩留試験では、実験用焼結体の上方300mmから300gの分銅を3回落下させた。その後、粉砕された実験用焼結体を目開き0.5mmの篩にかけ、篩に残った粒子(+0.5mm粒子)の実験用焼結体の総質量に対する質量%を測定した。+0.5mm粒子は、粒度が0.5mmより大きい。+0.5mm粒子の質量%が大きいほど、実験用焼結体の強度が大きい。そこで、+0.5mm粒子の質量%を実験用焼結体の強度とした。実験用焼結体の強度は、焼結鉱の歩留(+5mm歩留)の指標となる。
図3及び図4に測定結果を示す。まず、カナダ産PFの測定結果とブラジル産PFの測定結果とを比較する。CaO/Oreが低い(0.05〜0.10)場合には、有姿のカナダ産PF1を使用して作製された実験用焼結体の強度は非常に小さいが、BM粉砕カナダ産PFを使用して作製された実験用焼結体の強度は非常に大きい。一方、有姿のブラジル産PFを使用して作製された実験用焼結体の強度と、BM粉砕ブラジル産PFを使用して作製された実験用焼結体の強度との間に大きな差は見受けられなかった。このように、低CaO/Oreでは、カナダ産PF1を事前粉砕することで、実験用焼結体の強度を大きく向上させることができた。さらに、事前粉砕による強度向上効果は、カナダ産PFの方がブラジル産PFよりも大きくなった。
カナダ産PF1は粒度が大きいので、石灰石とPF粒子とが接する表面積も小さくなる。したがって、有姿のカナダ産PF1を含み、かつCaO/Oreが低いタブレットを焼成した場合、石灰石とPF粒子との反応が十分に進まず、十分な量のカルシウムフェライトが生成されない。さらに、カナダ産PF1は、二酸化ケイ素を多く含むため、焼成時に多くのシリケートスラグが生成される。このため、融液に占めるシリケートスラグの割合が多くなる。そして、シリケートスラグは粘度が高い。このため、融液の粘度が高くなる。さらに、カナダ産PF1は粒度が大きいので、タブレット内には大きな気孔が多数形成される。
このため、融液が気孔内にとどまり、有姿のカナダ産PF1の全体に行き渡らない。さらに、これらの気孔は、実験用焼結体に残る(図5参照)。以上の理由により、実験用焼結体の強度が低くなる。
一方、BM粉砕カナダ産PFを含み、かつCaO/Oreが低いタブレットを焼成した場合、融液の粘度は有姿の場合と同様に高い。しかし、カナダ産PFは事前粉砕されているので、タブレット内の気孔は小さく、カナダ産PF間の隙間も小さい。このため、融液が毛細管現象によりカナダ産PFの全体に行き渡りやすくなり、結果として、実験用焼結体の強度が大きくなる。
一方、ブラジル産PFは二酸化ケイ素をカナダ産PFほど含まないので、CaO/Oreが低い場合であっても、融液の粘度は低くなる。さらに、ブラジル産PFの粒度はカナダ産PF1よりも小さい。したがって、事前粉砕の有無に関わらず、融液がブラジル産PFの全体に行き渡りやすくなり、結果として、実験用焼結体の強度が大きくなる。
一方、CaO/Oreが高い(0.10超過〜0.15)場合には、有姿のカナダ産PF1を使用して作製された実験用焼結体の強度と、BM粉砕カナダ産PFを使用して作製された実験用焼結体の強度との間に大きな差は見受けられなかった。この場合、融液の粘度が低くなるので、有姿の場合であっても融液がカナダ産PF全体に行き渡ったものと考えられる。ブラジル産PFにおいても同様の傾向が見られた。
上記の理由により、低CaO/Oreでは、カナダ産PF1を事前粉砕することで、実験用焼結体の強度を大きく向上させることができる。さらに、事前粉砕による強度向上効果は、カナダ産PFの方がブラジル産PFよりも大きくなる。
つぎに、粉砕の程度による測定結果の違いについて検討した。図4に示すように、CaO/Oreが低い場合、高い場合共に、粉砕の程度が大きいほど、強度が大きくなることがわかった。また、強度の違いは、CaO/Oreが高い場合に顕著に現れた。これらの結果によれば、(粉砕方法1)程度の粉砕で十分な効果が得られることがわかった。また、CaO/Oreが高く、かつ、焼結鉱の歩留を重視したい場合、粒子の最大粒度が125μm以下となるまでカナダ産PF1を粉砕すればよいこともわかった。
光学顕微鏡観察では、実験用焼結体を、その中心を通る垂直断面で切断し、この断面を研磨した。その後、断面を光学顕微鏡で観察した。垂直断面の光学顕微鏡写真を図5〜図8に示す。いずれの実験用焼結体も、CaO/Ore=0.1の条件下で作製されたものである。図5及び図6に示す実験用焼結体は、有姿のカナダ産PF1を使用して作製されたものであり、図7及び図8に示す実験用焼結体は、BM粉砕カナダ産PFを使用して作製されたものである。図5及び図7は、同じ倍率であり、垂直断面のマクロ組織を示す。図6及び図8は、同じ倍率であり、垂直断面の中心部分のミクロ組織を示す。
図5に示すように、有姿のカナダ産PF1を使用して作製された実験用焼結体の垂直断面には、大きな気孔が多数存在する。さらに、気孔の形状も不定形である。これらの気孔は、有姿のカナダ産PF1の粒度が大きいために形成されたものである。一方、図7に示すように、BM粉砕カナダ産PFを使用して作製された実験用焼結体の垂直断面には、図5のような大きな気孔はほとんど形成されず、小さな気孔が多数形成される。また、各気孔の形状も円形に近くなる。これはBM粉砕カナダ産PFと石灰石の反応が進み、気孔の再配列が進んでいることを示唆している。
図6に示すように、有姿のカナダ産PF1を使用して作製された実験用焼結体の垂直断面では、粗大な気孔中に融液(CF+SSで表記)が集まっており、PF粒子(Hemaで表記)同士の結合に十分に活用されていなかった。このように、融液は、カナダ産PF1の全体に行き渡りにくくなっている。一方、図8に示すように、有姿のカナダ産PF1を使用して作製された実験用焼結体の垂直断面では、PF粒子間に融液が十分に拡散しており、PF粒子同士の結合に利用されていた。このように、融液は、BM粉砕カナダ産PFの全体に行き渡りやすくなっている。このため、実験用焼結体の強度が向上したと考えられる。また、粗粒の残留も解消されている。粗粒の界面は、強度欠陥の原因となりうるものである。したがって、この点からも実験用焼結体の強度が向上したと考えられる。
(2.焼結鍋試験)
カナダ産PF1の粉砕によって焼結鉱の成品歩留(+5mm歩留)及び生産率が改善することを確認するために、以下に説明する焼結鍋実験を実施した。
参考例の配合(ベース)は、表2の焼結用原料からカナダ産PFを除いた配合とした。比較例および実施例の配合は表2に示すとおりの構成とした。さらに比較例のカナダ産PF1は有姿のまま使用し、実施例でのそれは、BMで粉砕したのち使用した。粉砕後の湿式篩分け平均粒径は146μm、粒度が20μm以下の粒子の含有率が21.2質量%、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が62.7質量%であった。比較例及び実施例のCaO/Oreはいずれも0.088(0.1よりも小さい)であった。
ついで、各配合原料の全量をドラムミキサー(直径1000mm×長さ400mm)で1分混合したのちに、水分を7.0%添加し、4分間の造粒を行った。各配合原料の造粒物を300mmφ焼結鍋に層厚600mmで装入し、負圧1200mmHO一定で焼成した。点火時間は90秒とした。また、焼成時間は、点火開始からウィンドボックス温度が最高となるまでの時間とした。また、FFS(フレームフロント速度)は層厚を焼結焼成時間で割ったものとした。
成品歩留は、以下のように測定した。すなわち、作製された焼結鉱(焼結ケーキ)を2.0mの高さから5回落とした。そして、破砕後の焼結鉱を目開き5mmの篩にかけ、篩に残った粒子(+5mm粒子)の焼結鉱の総質量に対する質量%を成品歩留(+5mm歩留)とした。また、生産率は、焼結鍋の単位面積(平面視の単位面積)、単位時間あたりに得られる+5mm粒子の質量として求めた。焼結鍋実験の結果を表3に示す。
参考例と比較例とを比較すると、比較例ではFFSと歩留が下がり、生産率も低下している。FFSの低下は、難造粒性である粒度分布と表面形状が影響していると考えられる。歩留の低下は、低CaO/Oreにおける同化性の悪さが影響していると考えられる。一方、比較例と実施例とを比較すると、実施例では、FFSは比較例並であるものの、歩留は大きく改善した。これは粉砕による効果によるものであると考えられる。
以上により、本実施形態によれば、高SiO微粉鉱石を事前粉砕することで、焼結鉱の歩留及び生産率が改善する。この効果は、CaO/Oreが低い(0.1以下)となる場合、特に顕著に現れる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1a、1b 造粒システム
2 粉砕機
2a パンペレタイザー
3 ドラムミキサー
4 焼結機

Claims (3)

  1. 二酸化ケイ素の含有率が微粉鉱石の総質量に対して3〜6質量%であり、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が前記微粉鉱石の総質量に対して90質量%以上である前記微粉鉱石を、粒度が20μm以下である粒子の含有率が前記微粉鉱石の総質量に対して20質量%以上となり、かつ、粒度が63μmより大きい粒子の含有率が前記微粉鉱石の総質量に対して70質量%以下となるまで事前粉砕する工程と、
    事前粉砕後の前記微粉鉱石と、酸化カルシウム源とを含む配合原料を造粒する工程と、を含むことを特徴とする、焼結鉱の製造方法。
  2. 前記微粉鉱石の総質量と、前記微粉鉱石に付着する酸化カルシウム源のCaO換算質量との基準質量比が0.1以下となる場合には、事前粉砕後の前記微粉鉱石と、前記酸化カルシウム源とを含む配合原料を造粒し、
    前記基準質量比が0.1を超える場合には、有姿の前記微粉鉱石と、前記酸化カルシウム源とを含む配合原料を造粒することを特徴とする、請求項1記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 前記基準質量比は、前記配合原料中の前記酸化カルシウム源以外の原料の総質量と、前記配合原料中の前記酸化カルシウム源のCaO換算質量との質量比であることを特徴とする、請求項2記載の焼結鉱の製造方法。



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