以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[画像形成装置10]
図1(A)は、画像形成装置10に給紙カセット40が装着された状態の外観を示す斜視図である。図1(B)は、画像形成装置10に給紙カセット40が引き出された状態の外観を示す斜視図である。図1(A)に示される、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。なお、説明の便宜上、画像形成装置10が使用可能に設置された設置状態(図1(A)に示される状態)で鉛直方向を上下方向8と定義する。また、前記設置状態において図1(A)に示される給紙カセット40が挿抜される面を正面(前面)として前後方向7(図1(A)と定義する。また、前記設置状態の画像形成装置10の正面を基準として左右方向9を定義する。
画像形成装置10の筐体10Aは、全体として略直方体形状の筐体である。筐体10Aの内部には、画像形成装置10を構成する各部が配設されている。図1(A)及び図1(B)に示されるように、筐体10Aは、前面カバー51と、前面カバー51以外の側面カバー52、53、54と、シートトレイ18が形成された天壁55とを有する。筐体10Aの前後方向7の前面カバー51の下部には、左右方向9に幅広な開口部56が形成されている。給紙カセット40は、開口部56から筐体10Aの内部に形成されたカセット収容部31に収容可能である。
図2に示されるように、画像形成装置10は、制御部2、複数の画像形成ユニット4(本発明の画像形成部の一例)、中間転写ベルト5、光走査装置13、二次転写ローラー20、定着装置16、シートトレイ18、給紙カセット40、操作表示部25、及び搬送経路26などを備えるカラープリンターである。そして、画像形成装置10は、入力される画像データに基づいてシートSにモノクロ画像又はカラー画像を形成する。シートSは、本発明のシートの一例であり、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート材料である。また、本発明に係る画像形成装置の他の例として、ファクシミリー、コピー機、及び複合機などがある。なお、操作表示部25は、制御部2からの制御指示に従って各種の情報を表示し、ユーザー操作に応じて制御部2に各種の情報を入力するタッチパネルなどである。
画像形成ユニット4(4C,4M,4Y,4K)各々は、感光体ドラム11、帯電装置12、現像装置14、一次転写ローラー15、及びクリーニング装置(不図示)などを備える電子写真方式の画像形成ユニットである。画像形成ユニット4は、中間転写ベルト5の走行方向(水平方向)に沿って並設されており、所謂タンデム方式の画像形成ユニットを構成している。具体的に、画像形成ユニット4CではC(シアン)、画像形成ユニット4MではM(マゼンタ)、画像形成ユニット4YではY(イエロー)、画像形成ユニット4KではK(ブラック)に対応するトナー像が形成される。中間転写ベルト5の移動方向(矢印19方向)の下流側から順に、シアン用の画像形成ユニット4C、マゼンタ用の画像形成ユニット4M、イエロー用の画像形成ユニット4Y、ブラック用の画像形成ユニット4Kがその順番で一列に配置されている。
中間転写ベルト5は、画像形成ユニット4各々の感光体ドラム11に形成された各色のトナー像が中間転写される中間転写部材である。中間転写ベルト5は、駆動ローラー6A及び従動ローラー6Bによって回転駆動可能に支持されている。駆動ローラー6A及び従動ローラー6Bによって支持されることにより、中間転写ベルト5は、その表面が各感光体ドラム11の表面に接しながら移動(走行)可能となる。そして、中間転写ベルト5は、その表面が感光体ドラム11と一次転写ローラー15との間を通過する際に、各感光体ドラム11からトナー像が順に重ね合わせて転写される。光走査装置13には、各色のレーザー光を照射するレーザー光源、レーザー光を走査するポリゴンミラー、走査されたレーザー光を照射するミラー13C,13M,13Y,13K等を備えている。光走査装置13は、入力される各色の画像データに基づいてレーザー光を画像形成ユニット4各々の感光体ドラム11に照射することにより感光体ドラム11各々に静電潜像を形成する。
このように構成された画像形成装置10では、給紙カセット40(本発明のシートカセットの一例)から搬送経路26に沿って供給されるシートSに以下の手順でカラー画像が形成され、画像形成後のシートSがシートトレイ18に排出される。なお、搬送経路26には、給紙カセット40に積載されたシートSを二次転写ローラー20及び定着装置16を経てシートトレイ18に搬送する各種搬送ローラーが設けられている。
まず、画像形成ユニット4各々では、帯電装置12により感光体ドラム11が所定の電位に一様に帯電される。次に、光走査装置13により感光体ドラム11各々の表面に画像データに基づくレーザー光が照射されることにより、感光体ドラム11各々の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム11各々の静電潜像は現像装置14各々によって各色のトナー像として現像(可視像化)される。なお、現像装置14各々には、各色に対応する着脱可能なトナーコンテナ3(3C,3M,3Y,3K)からトナー(現像剤)が補給される。
続いて、画像形成ユニット4各々の感光体ドラム11に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラー15各々によって中間転写ベルト5に順に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト5に画像データに基づくカラー像が形成される。次に、中間転写ベルト5上のカラー像は、二次転写ローラー20により、給紙カセット40から搬送経路26を経て搬送されるシートSに転写される。カラー像が転写されたシートSは、図示しない搬送手段によって定着装置16に搬送される。定着装置16は、高温に加熱された加熱ローラー16Aと、この加熱ローラー16Aに対向配置された加圧ローラー16Bとを有する。定着装置16に搬送されたシートSは、加熱ローラー16Aと加圧ローラー16Bとによって挟持されつつ搬送される。これにより、カラー像がシートSに溶着される。その後、シートSはシートトレイ18に排出される。なお、感光体ドラム11各々の表面に残存したトナーは前記クリーニング装置各々で除去される。
また、画像形成装置10には、画像形成ユニット4C,4M,4Yの感光体ドラム11及び一次転写ローラー15と中間転写ベルト5とを接触及び離間させる離接機構(不図示)が設けられている。そして、画像形成装置10においてモノクロ画像が印刷される場合には、前記離接機構により画像形成ユニット4C,4M,4Yの感光体ドラム11及び一次転写ローラー15と中間転写ベルト5とが離間される。これにより、画像形成ユニット4Kから中間転写ベルト5にブラックのトナー像のみが転写され、中間転写ベルト5からシートSにモノクロの画像が転写される。なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成ユニット4を例にして説明したが、画像形成ユニット4は電子写真方式のものに限られず、インクジェット記録方式のものであっても、或いはそれ以外の記録方式又は印刷方式のものであってもかまわない。
制御部2は、画像形成装置10を統括制御するものである。制御部2は、CPU、ROM、RAM、EEPROMなどを主な構成要素とするマイクロコンピュータとして構成されている。制御部2は、画像形成装置10の内部において、各画像形成ユニット4、二次転写ローラー20、定着装置16、及び駆動ローラー6Aなどに接続されており、これらの構成要素を制御する。また、制御部2は、画像形成ユニット4を構成する各要素、具体的には、帯電装置12、光走査装置13、現像装置14、一次転写ローラー15、及び前記クリーニング装置などに接続されている。さらに、後述するように、制御部2は、繰り出しローラー33、給送ローラー34を制御するステッピングモーター36A(本発明の駆動モーターの一例、図5参照)、クラッチ36B(図5参照)、給紙カセット40に収納されたシートSのサイズを検出する用紙サイズ検出部37などに接続されている。
このように、画像形成装置10は、複数の画像形成ユニット4(4C,4M,4Y,4K)によって各色のトナー像を走行中の中間転写ベルト5上に重ねて転写することにより、カラー像を中間転写ベルト5の表面に形成させる。さらに、画像形成装置10は、形成されたカラー像を二次転写ローラー20によって中間転写ベルト5からシートSへ転写することにより、シートS上にカラー画像を形成させる。なお、中間転写ベルト5を搬送ベルトとして用い、その搬送ベルト上に搬送されるシートSにカラー像が直接に重ね合わせて転写される構成や、中間転写ベルト5に代えてローラー状の中間転写部材を用いることも他の実施例として考えられる。
[シート給送装置30]
図3(A)は、給紙カセット40がカセット収容部31に定められた所定位置に装着された状態を示すシート給送装置30の斜視図である。図3(B)は、給紙カセット40がカセット収容部31に挿抜される途中の状態を示すシート給送装置30の斜視図である。図3(A)及び図3(B)に示されるように、画像形成装置10には、画像を形成するシートSを供給するシート給送装置30が形成されている。シート給送装置30は、給紙カセット40、カセット収容部31、給紙機構32、及び用紙サイズ検出部37(本発明の検出部の一例、図3(B)参照)等を備える。
図2に示されるように、筐体10Aの下部には、給紙カセット40を挿抜可能に支持するカセット収容部31が形成されている。図2には、給紙カセット40が1段のみ図示されているが、カセット収容部31は、複数の給紙カセット40が上下に複数段収容可能に構成されていてもよい。カセット収容部31は、図2の前後方向7の前側の開口部56から給紙カセット40の出し入れが可能である。給紙カセット40は、開口部56を介して図2の前後方向7に挿抜される。
図3(A)及び図3(B)に示されるように、給紙カセット40は、矩形の底板45と、この底板45の各辺に沿って立設された正面壁41、背面壁42、右面壁43、及び左面壁44とを有する。給紙カセット40は、画像形成ユニット4によって画像が形成されるシートSを収納する。給紙カセット40は、複数枚のシートを積層状態で収納可能である。なお、矢印Y1は、給紙カセット40が挿入される挿入方向を示す。以下、挿入方向Y1と称す。矢印Y2は、矢印Y1とは逆向きであり、給紙カセット40が引き出される引出方向を示す。以下、引出方向Y2と称す。前記所定位置は、給紙カセット40がカセット収容部31に装着され給紙カセット40からシートSを給送することが可能な位置である。
図2に示されるように、給紙カセット40は、リフト板46及び押し上げ部材49を有する。リフト板46に、シートSが積載される。押し上げ部材49は、リフト板46の底板45のうち給紙カセット40の背面壁42側の端部に回転シャフト49Aが連結されており、給紙カセット40が前記所定位置に装着されると、回転シャフト49Aの端部と伝達ギヤ(不図示)とが連結される。前記伝達ギヤは、駆動モーター(不図示)に連結されている。後述する用紙サイズ検出部37によって給紙カセット40が前記所定位置に装着されたことが検出されると、前記駆動モーターが駆動する。
押し上げ部材49は、駆動モーター(不図示)から駆動力を受けて回動する。リフト板46は、押し上げ部材49の回動により挿入方向Y1の端部が昇降する。給紙カセット40がカセット収容部31の前記所定位置に装着されたときに、押し上げ部材49によってリフト板46が押し上げられた位置(以下、第1位置と称する。)に変位し、リフト板46に積載されたシートSが後述する繰り出しローラー33に接触される。リフト板46によってシートSは、繰り出しローラー33に所定の力で押し付けられる。
一方、給紙カセット40がカセット収容部31から引き出されると、回転シャフト49Aと前記伝達ギヤとの連結が解消され、リフト板46を支える力が押し上げ部材49に付与されなくなる。リフト板46は自重により降下する。リフト板46が降下した位置(以下、第2位置と称する。)に変位し、リフト板46に積載されたシートSが繰り出しローラー33から離間される。リフト板46は、押し上げ部材49に前記第1位置と前記第2位置との間で変位可能に支持されている。
給紙カセット40は、積載されるシートSを挿入方向Y1に直交する幅方向(左右方向9)から支持する一対の用紙ガイド47を有する。用紙ガイド47によってシートSは、シート幅に適した給送位置を維持することができる。例えば、用紙ガイド47は、JIS規格のA4サイズ、A5サイズ、及び葉書サイズなどに対応して、シートSを幅方向から支持する位置が予め定められている。また、用紙ガイド47は、米国標準協会(American NationalStandards Institute)の用紙サイズ規格であるレター(letter,11×8.5inch)やフォリオ(FOLIO,220.0×330.0mm)に対応して、シートSを幅方向から支持する位置が予め定められているものでもよい。
また、図3(B)に示されるように、給紙カセット40は、正面壁41の左右方向9の左側の端部付近の内部空間に、サイズダイヤル39を備えている。サイズダイヤル39は、内部に収納されたシートSのサイズを示すダイヤルであり、ユーザーによってシートSのサイズが設定される。サイズダイヤル39に設定されたサイズは、給紙カセット40の正面壁41の左右方向9の左側に設けられた窓部41Aから目視可能になる。なお、ユーザーによって設定されるため、実際に給紙カセット40に収納されたシートSのサイズと異なるサイズに設定されることがある。
図4(A)は、給紙カセット40の斜視図であり、左面壁44の外側面44Aが示されている。図4(B)は、サイズダイヤル39の拡大図である。図4(C)は、用紙サイズ検出部37の拡大図である。図4(A)及び図4(B)に示されるように、サイズダイヤル39は、上下方向8に平行な軸39Eと、軸39Eの周りに複数のアクチュエーター39A,39B,39C,39D等を備えている。サイズダイヤル39は、設定されたシートSのサイズに応じて、軸39Eが回転する。サイズに応じたアクチュエーター39A〜39D等の何れかが左右方向9の左側に位置し、給紙カセット40がカセット収容部31の前記所定位置に装着された際に、後述する用紙サイズ検出部37に当接する。
図3(B)に示されるように、筐体10Aの前面カバー51の下部に用紙サイズ検出部37が設けられている。より詳細な用紙サイズ検出部37の位置は、開口部56の左右方向9の左側である前面カバー51の部分に位置している。図4(C)に示されるように、用紙サイズ検出部37は、ディップスイッチ37A,37B,37Cを備えている。ディップスイッチ37A,37B,37Cは、上下方向8の上から下へ順番に配設されており、前後方向7の前方へ突出している。給紙カセット40がカセット収容部31の前記所定位置に装着された際に、アクチュエーター39A〜39D等の何れかがディップスイッチ37A,37B,37Cの何れに当接する。
図5に示されるように、制御部2は、用紙サイズ検出部37と電気的に接続されている。当接されたディップスイッチ37A,37B,37Cそれぞれは、前後方向7の後方に押し込まれ、押し込まれたことを示す信号が制御部2に送信される。制御部2は、信号が入力されたディップスイッチ37A,37B,37Cの組み合わせに応じて、給紙カセット40に収納されたシートSのサイズを検出するとともに、給紙カセット40が前記所定位置に装着されたことを検出する。一方、カセット収容部31に対して給紙カセット40が引出方向Y2へ引き出されると、全てのディップスイッチ37A,37B,37Cは、アクチュエーター39A〜39Dから離間する。離間により、全てのディップスイッチ37A,37B,37Cは、制御部2に信号を送信しなくなる。全てのディップスイッチ37A,37B,37Cからの信号を受信しない場合に、制御部2は、給紙カセット40が前記所定位置から引き出されたと判定する。なお、用紙サイズ検出部37及び制御部2が本発明の検出部の一例に相当する。
図5及び図6に示されるように、給紙機構32は、繰り出しローラー33、給送ローラー34、分離ローラー35、ステッピングモーター36A、クラッチ36B、伝達ギヤ33A、ワンウェイクラッチ34A、ホルダー38A、及びホルダー38B等を備える。
繰り出しローラー33は、カセット収容部31の前記所定位置に装着された給紙カセット40における挿入方向Y1の端部近傍に設けられており、装着された給紙カセット40の背面壁42側の端部の近傍に位置する。繰り出しローラー33は、背面壁42の上端部から上下方向8の上側へ離間した位置、詳細には、リフト板46の先端部の上方に配置されている。繰り出しローラー33は、回転軸61を備え、正逆回転が可能に支持されている。繰り出しローラー33は、繰り出しローラー33は、リフト板46により押し上げられたシートのうち最上位のシートSの上面に接触しており、正回転されることにより接触しているシートSを繰り出す。その繰り出し方向は、給紙カセット40がカセット収容部31に挿入される挿入方向Y1と同方向であるシート給送方向の下流側へ繰り出す。
給送ローラー34は、繰り出しローラー33に対して繰り出し方向の下流側(挿入方向Y1)に設けられている。給送ローラー34は、回転軸62を備え、正回動が可能に支持されている。給送ローラー34は、分離ローラー35とニップ部35Aを形成し、シートSを挟持する。給送ローラー34は、繰り出しローラー33により繰り出されたシートSに接触して、正回転されることによって前記シート給送方向の下流側へシートSを給送する。
分離ローラー35は、給送ローラー34の上下方向8の下方に設けられている。分離ローラー35は、回転軸63を備え、トルクリミッターを介して、回転自在に支持されている。前記トルクリミッターは、一定閾値以上の負荷がかかると分離ローラー35を回転可能にし、前記一定閾値未満しかかからないと分離ローラー35の回転を制限して静止させる。分離ローラー35は、前記一定閾値以上の負荷がかかると前記トルクリミッターによる制限が解除されて従動回転し、繰り出しローラー33により繰り出されたシートSを給送ローラー34とで挟持する。分離ローラー35は、前記一定閾値未満の負荷しかかからないと前記トルクリミッターの制限により従動回転せずに停止する。前記一定閾値とは、1枚のシートSが搬送された場合に分離ローラー35にかかる負荷である。2枚のシートSが重送された場合のシート間の摩擦は、1枚のシートSが搬送された場合の摩擦よりも小さい。そのため、分離ローラー35は、前記従動回転が停止することで、繰り出しローラー33により複数枚のシートが重なった状態で繰り出された場合に、最上位のシートSとそれ以外のシートSとを分離する。これにより、給送ローラー34及び分離ローラー35によりシートSが1枚ずつ前記シート給送方向の下流側にある画像形成ユニット4へ給送される。
繰り出しローラー33、給送ローラー34、及び分離ローラー35それぞれの回転軸は、互いに平行である。繰り出しローラー33と給送ローラー34とはホルダー38Aにより支持されている。ホルダー38Aは、繰り出しローラー33と給送ローラー34との相対位置関係(両ローラー33、34間の距離や軸方向における位置の関係)を保持しつつ、繰り出しローラー33及び給送ローラー34を回転自在に支持する。ホルダー38Aには、給送ローラー34の回転軸62と同軸上に設けられた揺動支持軸64が設けられている。この揺動支持軸64は、本体フレーム(不図示)に回転自在に支持されている。これにより、ホルダー38Aが揺動支持軸64によって揺動可能に支持される。ホルダー38Aは、給紙カセット40内のシートSに繰り出しローラー33が接触する位置と、給紙カセット40内のシートSから繰り出しローラー33が離間する位置との間で揺動される。このようなホルダー38Aの揺動により、給送ローラー34の位置が一定のまま繰り出しローラー33が変位可能である。
分離ローラー35は、ホルダー38Bにより回転可能に支持されている。ホルダー38Bは、揺動支持軸(不図示)により支持されており、分離ローラー35を変位可能に支持する。ホルダー38Bは、分離ローラー35が給送ローラー34に接触するときの位置と、分離ローラー35が給送ローラー34から所定量離間するときの位置との間で揺動される。ホルダー38Bの支持機構としては、給紙カセット40の引き出しに連動して接触位置と離間位置との間で変位させる変位支持機構が考えられる。前記接触位置は、給送ローラー34及び分離ローラー35によりニップ部35Aが形成される位置である。前記離間位置は、給送ローラー34及び分離ローラー35が離間してニップ部35Aが解消される位置である。前記変位支持機構は、給紙カセット40が前記所定位置から引き出されると、前記接触位置から前記離間位置に変位させる。なお、前記変位支持機構は、給紙カセット40に連動してホルダー38Bを変位させるものでなくてもよく、給紙カセット40が引き出されたことに応じて駆動モーターなどで駆動される機構でもよい。
図5に示されるように、ステッピングモーター36Aは、繰り出しローラー33の正回転に対応する第1方向又は逆回転に対応する第2方向の何れかの方向へ回転可能である。ステッピングモーター36Aは、クラッチ36B及び伝達ギヤ33Aを介して繰り出しローラー33に連結されている。ステッピングモーター36Aは、クラッチ36B、伝達ギヤ33A、及びワンウェイクラッチ34Aを介して給送ローラー34に連結されている。ステッピングモーター36Aは、前記第1方向又は前記第2方向に回転することによって、繰り出しローラー33及び給送ローラー34を正逆回転させる駆動源である。ステッピングモーター36Aは、制御部2に接続されている。制御部2は、ステッピングモーター36Aの回転方向を制御して、ステッピングモーター36Aを前記第1方向又は前記第2方向の何れかに回転させる。なお、本実施形態の説明では、本発明の駆動モーターがステッピングモーター36Aである場合について説明するが、発明の駆動モーターは、ステッピングモーター36Aに限られず、種々のタイプのモーターが適用可能である。また、ステッピングモーター36Aは、搬送経路26における他の搬送ローラーの駆動源を兼ねるものでもよい。
伝達ギヤ33Aは、ステッピングモーター36Aから繰り出しローラー33にステッピングモーター36Aの回転駆動力を伝達する。クラッチ36Bは、ステッピングモーター36Aと伝達ギヤ33Aとの伝達経路を連結又は遮断する。クラッチ36Bは、制御部2に接続されており、制御部2によって前記伝達経路を連結する連結状態と伝達経路を遮断する遮断状態と切り替えられる。前記連結状態とは、ステッピングモーター36Aと伝達ギヤ33Aとを連結して、ステッピングモーター36Aの回転駆動力を繰り出しローラー33に伝達する状態である。前記遮断状態とは、ステッピングモーター36Aと伝達ギヤ33Aとを切り離して、繰り出しローラー33及び給送ローラー34を他の搬送ローラーの回転駆動力によって従動回転可能にされた状態である。
例えば、制御部2は、給紙カセット40からシートSを給送する際に、シートSが搬送される途中でクラッチ36Bの状態を前記連結状態から前記遮断状態に切り替える。具体的には、制御部2は、ステッピングモーター36Aを前記第1方向に回転させるとともにクラッチ36Bを前記連結状態にして、給紙カセット40からシートSを繰り出す。その後、繰り出されたシートSが搬送経路26における他の前記搬送ローラーと給送ローラー34との双方に挟持され、他の前記搬送ローラーによってシートSの搬送が可能になる。その時点で、制御部2は、繰り出しローラー33及び給送ローラー34から他の前記搬送ローラーにシートSの搬送を引き継がせる。シートSの搬送が引き継がれた後に、制御部2は、ステッピングモーター36Aを停止させるとともにクラッチ36Bを前記遮断状態にする。これにより、搬送されるシートSの前記シート給送方向の下流側が繰り出しローラー33又は給送ローラー34に挟持されていても両ローラー33,34が従動回転するため、他の前記搬送ローラーによるシートSの搬送は妨げられない。また、これにより、繰り出しローラー33によって給紙カセット40から次のシートSが繰り出されることによって、シートSが紙間なく搬送されることを防止できる。
繰り出しローラー33は、クラッチ36B及び伝達ギヤ33Aを介してステッピングモーター36Aに連結されている。ステッピングモーター36Aが第1方向へ回転駆動し且つクラッチ36Bが連結されることによって、前記シート給送方向の下流側に繰り出する力がシートSに加えられる。言い換えると、制御部2が、繰り出しローラー33を正回転させ且つクラッチ36Bを連結させることによって、複数のシートSのうち最上位のシートSを前記シート給送方向の下流側へ繰り出させる。一方、制御部2が繰り出しローラー33を逆回転させ且つクラッチ36Bを連結させることによって、複数のシートSのうち最上位のシートSから順番に下方に位置するシートSを給紙カセット40に戻す方向の力を付与させる。なお、予め定められたプログラムによりシート給送装置30の各部を制御する制御部2は、本発明の制御部に相当する。
図5及び図6に示されるように、給送ローラー34は、クラッチ36B、伝達ギヤ33A、及びワンウェイクラッチ34Aを介してステッピングモーター36Aに連結されている。ワンウェイクラッチ34Aは、伝達ギヤ33A及び給送ローラー34の間に設けられ、ステッピングモーター36Aから前記第1方向へ回転する回転駆動力のみを伝達する。そのため、クラッチ36Bが連結された際に、ステッピングモーター36Aから前記第1方向へ回転する回転駆動力だけが給送ローラー34に伝達される。一方、繰り出しローラー33は、クラッチ36Bが連結された際に、ステッピングモーター36Aから前記第1方向へ回転する回転駆動力及び前記第2方向へ回転する回転駆動力が伝達される。そのため、ステッピングモーター36Aが前記第1方向へ回転すると、繰り出しローラー33及び給送ローラー34がともに正回転して、シートSが前記シート給送方向の下流側へ1枚ずつ給送される。しかし、ステッピングモーター36Aが前記第2方向へ回転する回転駆動力は繰り出しローラー33にだけ伝達され、給送ローラー34に伝達されない。言い換えると、ステッピングモーター36Aが前記第2方向へ回転すると、繰り出しローラー33だけが逆回転し、給送ローラー34は停止される。本発明において、カセット収容部31から給紙カセット40が引き出されると、制御部2は、少なくともステッピングモーター36Aを前記第2方向へ回転させて繰り出しローラー33を逆回転させる際にクラッチ33Aを連結する。これにより、カセット収容部31から給紙カセット40が引き出される際にシートSが給紙カセット40から飛び出すことが防止される。
[シート給送装置30の引き出し動作]
図7及び図8を参照しながら、シート給送装置30の給紙カセット40の引き出しに伴う繰り出しローラー33の動作及びシートSの状態について説明する。図7(A)乃至図7(D)は、繰り出しローラー33を停止させたまま給紙カセット40をカセット収容部31から引き出した際のシートSの状態を示している。一方、図8(A)乃至図8(D)は、繰り出しローラー33を逆回転させながら給紙カセット40をカセット収容部31から引き出した際のシートSの状態を示している。なお、図8において、前記クラッチ36Bは、制御部2によって、前記連結状態に切り替えられているものとする。
図7(A)及び図8(A)に示されるように、給紙カセット40がカセット収容部31の前記所定位置に装着された状態では、給紙カセット40に収納されたシートSは、繰り出しローラー33によって繰り出される。最上位のシートSは、給送ローラー34と分離ローラー35によって形成されるニップ部35Aの手前で停止した状態にされる。
図7(B)に示されるように、給紙カセット40がカセット収容部31から引出方向Y2に引き出されると、リフト板46が降下を始める。しかし、リフト板46の降下には時間がかかるため、給紙カセット40が引出方向Y2に移動されても暫くの間、繰り出しローラー33が最上位のシートSに接触する。その際に、繰り出しローラー33を回転させないと、最上位のシートSの背面壁42側の後端部S1は、繰り出しローラー33のローラー表面から摩擦力を受ける。ここで、図7におけるシートSの前後方向7の後方がシートSの後端部S1である。最上位のシートSの後端部S1が繰り出しローラー33のローラー表面から受ける摩擦力は、最上位のシートSが給紙カセット40に積載されている下位のシートSから受ける摩擦力よりも大きい。そのため、給紙カセット40は、引出方向Y2に移動するが、最上位のシートSの後端部S1は、繰り出しローラー33に接した位置に静止し続けようとする力が働く。なお、給紙カセット40が引出方向Y2に引き出されることに伴って、繰り出しローラー33及び給送ローラー34を支持するホルダー38Aが矢印Y3の方へ揺動し始め、分離ローラー35を収容するホルダー38Bが矢印Y4の方へ降下し始める。
図7(C)に示されるように、ホルダー38Aは、繰り出しローラー33が上昇されたリフト板46上に積載されたシートSに接触する位置から、給紙カセット40内のシートSから繰り出しローラー33が離間する位置に揺動する(矢印Y3参照)。また、ホルダー38Bは、分離ローラー35が給送ローラー34とニップ部35Aを形成する位置から降下して(矢印Y4参照)、ニップ部35Aが解消される。さらに、給紙カセット40のリフト板46が降下する。しかし、最上位のシートSの後端部S1が繰り出しローラー33のローラー表面から受ける摩擦力により背面壁42の上に乗り上げる場合がある。背面壁42の上に乗り上げた最上位のシートSの後端部S1が繰り出しローラー33に接触する場合がある。繰り出しローラー33のローラー表面の摩擦力を受けると、シートSの後端部S1は繰り出しローラー33に接した位置に静止し続けようとして、最上位のシートSの後端部S1が給紙カセット40の背面壁42を乗り越えて飛び出す可能性がある。
ここで、繰り出しローラー33の最下端の位置に給紙カセット40の背面壁42が到達したときに、給紙カセット40が前記所定位置から引出方向Y2に引き出された距離をL2とする。概ね、給紙カセット40の引出方向Y2の距離L2になるまで、シートSの後端部S1は繰り出しローラー33に接した位置に静止し続けようとする。これに対して、後述するように本発明のシート給送装置30では、繰り出しローラー33を逆回転させてシートSを給紙カセット40に収納する(図8参照)。
図7(D)に示されるように、給紙カセット40がカセット収容部31から更に引出方向Y2に引き出されると、最上位のシートSが給紙カセット40から飛び出した状態になる。このときに、給紙カセット40が前記所定位置から引出方向Y2に引き出された距離をL3とする。更に、給紙カセット40がカセット収容部31から引き出されると、最上位のシートSに皺ができたり、折れ曲がったりする可能性がある。
[繰り出しローラー33の逆回転動作]
図8(A)に示されるように前記所定位置に装着された状態から、図8(B)に示されるように給紙カセット40がカセット収容部31に対して引出方向Y2へ引き出されると、制御部2は用紙サイズ検出部37から信号を受信しなくなる。これによって、制御部2は、給紙カセット40がカセット収容部31の前記所定位置から引き出されることを検出する。このときに、給紙カセット40が前記所定位置から引出方向Y2に引き出された距離をL1とする。さらに、給紙カセット40がカセット収容部31の前記所定位置から引出方向Y2に引き出されると、リフト板46が前記第1位置から前記第2位置に変位し始める。なお、給紙カセット40が引出方向Y2に引き出されることに伴って、繰り出しローラー33及び給送ローラー34を支持するホルダー38Aが矢印Y3の方へ揺動し始め、分離ローラー35を収容するホルダー38Bが矢印Y4の方へ降下し始める。
しかし、リフト板46の降下には時間がかかるため、給紙カセット40が引出方向Y2に移動されても暫くの間、繰り出しローラー33が最上位のシートSに接触する。このまま、給紙カセット40が前記所定位置から引き出されると、最上位のシートSが給紙カセット40から飛び出してしまう。そこで、制御部2は、所定の逆回転時間(本発明の所定時間の一例)だけ繰り出しローラー33を逆回転させる(矢印Y5)。例えば、前記逆回転時間は、引き出し時に給紙カセット40の背面壁42が繰り出しローラー33の最下点を通過するまでの時間に余裕時間を加えた時間である。なお、前記逆回転時間は、リフト板46が前記第1位置から前記第2位置に変位するまでに要する時間に基づいて定めてもよい。
また、予め測定することによって、給紙カセット40がカセット収容部31の前記所定位置から引き出される速度も適正な値に定めることができる。例えば、ユーザーによって前記所定位置から引き出される速度を予め測定しておき、測定された平均速度を引き出し速度とする。前記平均速度に所定量を加算した速度を逆回転させる逆回転速度として予め定める。引き出される速度よりも速い回転速度で繰り出しローラー33を逆回転させると、最上位のシートSが給紙カセット40に戻りやすくなる。そのため、制御部2は、給紙カセット40が前記所定位置から引き出される速度に対応して予め定められた前記平均速度よりも速い前記逆回転速度で繰り出しローラー33を逆回転させる。このように、制御部2は、用紙サイズ検出部37からの信号によって給紙カセット40が前記所定位置から引き出されることを検出した場合に、繰り出しローラー33を逆回転させることによって、最上位のシートSを給紙カセット40に戻す方向へ給送させる。これにより、最上位のシートSが給紙カセット40から飛び出すことが防止される。
さらに、給紙カセット40の引き出し速度が速く、且つシートS間の摩擦力が強い場合には、最上位のシートSを含む複数のシートSの後端部S1が背面壁42に乗り上げた状態になることが考えられる。この場合、制御部2が繰り出しローラー33を逆回転させることによって、複数のシートSを給紙カセット40に戻す方向へ給送させることが可能である。複数のシートSが給紙カセット40の背面壁42に乗り上げている場合に、制御部2が繰り出しローラー33を逆回転させると、最上位のシートSの後端部S1が戻す方向へ給送され、繰り出しローラー33が下方のシートSの後端部S1に当接する。その状態で、制御部2が繰り出しローラー33を逆回転させ続けると、下方に位置するシートSの後端部S1も戻す方向へ給送される。このように、制御部2は、繰り出しローラー33を逆回転させることによって、複数のシートSのうち最上位のシートSから順番に下方に位置するシートSを給紙カセット40に戻す方向へ給送させる。
図8(C)に示されるように、ホルダー38Aは、繰り出しローラー33が上昇されたリフト板46上に積載されたシートSに接触する位置から、給紙カセット40内のシートSから繰り出しローラー33が離間する位置に揺動される(矢印Y3参照)。また、ホルダー38Bは、分離ローラー35が給送ローラー34とニップ部35Aを形成する位置から降下して(矢印Y4参照)、ニップ部35Aが解消される。さらに、給紙カセット40のリフト板46が降下する。
しかし、最上位のシートSの後端部S1が繰り出しローラー33のローラー表面から受ける摩擦力により背面壁42の上に乗り上げて繰り出しローラー33に接触する場合がある。そのため、給紙カセット40の背面壁42が繰り出しローラー33の最下点を通過するまで制御部2は繰り出しローラー33を逆回転させて、最上位のシートSの後端部S1が給紙カセット40に戻す方向へ給送させる。概ね、給紙カセット40の引出方向Y2の距離L2になるまで、シートSの後端部S1は繰り出しローラー33に接し続ける。そのため、制御部2は、給紙カセット40が前記所定位置から引出方向Y2に引き出された距離をL2に達するまで繰り出しローラー33を逆回転させる。給紙カセット40の引き出しとシートSの給送される方向が同じ方向である。シートSの給送速度の方が給紙カセット40よりも速いと、シートSは給紙カセット40の内部に留まり、繰り出しローラー33との接触によりシートSが給紙カセット40から外に飛び出す可能性が抑制される。逆方向の給送によって最上位のシートSが給紙カセット40の内部で撓むが、最上位のシートSの後端部S1が給紙カセット40の内部に収まった状態になる。
図8(D)に示されるように、給紙カセット40がカセット収容部31から更に引出方向Y2に引き出されて距離L3になっても、最上位のシートSの後端部S1が給紙カセット40の内部に収まっている。そのため、撓んだ最上位のシートSが自重により真っ直ぐ伸びると下位のシートSの上に積載される。その際に、用紙ガイド47等によりシートSの位置が規制されるため、最上位のシートSが給紙カセット40内の正しい位置に収まった状態になる。
[実施形態の効果]
以上説明したように、本発明の画像形成装置10及びシート給送装置30によれば、給紙カセット40がカセット収容部31から引き出される場合に、最上位のシートSを給紙カセット40から飛び出すことを抑制することが可能となる。
上述した実施形態の説明では、繰り出しローラー33の前記逆回転速度が、給紙カセット40が引き出される速度よりも速い回転速度の場合について説明したが、前記逆回転速度が引き出される速度と同じ速度や遅い速度でもよい。前記逆回転速度が引き出される速度と同じ速度の場合、最上位のシートSが給紙カセット40と同じ速度で引出方向Y2に移動する。図8(C)において、最上位のシートSは撓むことなく、下層のシートSの上に積み重なる。一方、前記逆回転速度が引き出される速度よりも遅い速度の場合、最上位のシートSが給紙カセット40よりも遅い速度で引出方向Y2に移動する。図8(C)において、最上位のシートSの後端部S1が、給紙カセット40の背面壁42の上に乗った状態になる。しかし、最上位のシートSの後端部S1は、給紙カセット40の背面壁42から外側に垂れ下がることは抑制される。このように、繰り出しローラー33の前記逆回転速度が、給紙カセット40が引き出される速度よりも速い回転速度でなくても、最上位のシートSが給紙カセット40から飛び出すことが抑制される。
[実施形態の変形例]
上述した実施形態の説明では、給送ローラー34を一方向に回転させるために、ワンウェイクラッチ34Aが設けられている場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、繰り出しローラー33及び給送ローラー34がともに正逆回転するものでもよい。また、繰り出しローラー33を回転させる駆動源と給送ローラー34を回転させる駆動源とが別の駆動源でもよい。
また、上述した実施形態の説明では、繰り出しローラー33を逆回転させる速度を前記平均速度に所定量を加算した前記逆回転速度として説明したが、これに限るものではない。前記逆回転速度が前記平均速度と同一又は遅い速度でもよい。繰り出しローラー33を逆回転させることによって、最上位シートSは、繰り出しローラー33のローラー表面から静止する摩擦抵抗を受けずに、引出方向Y2への給送力を受ける。そのため、最上位のシートSが給紙カセット40の内部に留まり易くなる。
また、上述した実施形態の説明では、給紙カセット40が引き出されることを検出した場合に、繰り出しローラー33を逆回転させる場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、制御部2は、用紙サイズ検出部37によって給紙カセット40が引き出されたことが検出された場合に、予め定められた待機時間が経過した後に、繰り出しローラー33を逆回転させてもよい。回転シャフト49Aの端部が伝達ギヤに連結される際に、回転されるギヤの状態及び回転シャフト49Aの端部とギヤとのクリアランスなどにより、装着される度に異なる位置に連結される。そのため、図8(B)に示される給紙カセット40の位置が距離L1に達した場合において、用紙サイズ検出部37によって給紙カセット40が引き出されたことが検出されても給紙カセット40内のリフト板46が前記第1位置に留まり続けて降下を開始しない場合がある。この段階で、繰り出しローラー33を前記逆回転速度で回転させると、最上位のシートSが皺になる可能性がある。そのため、給紙カセット40が前記所定位置から必ず引き出される時間が経過するまで、繰り出しローラー33を逆回転させない方が望ましい場合がある。そこで、制御部2は、用紙サイズ検出部37によって給紙カセット40が引き出されたことが検出されてから前記待機時間が経過した場合に、繰り出しローラー33を逆回転させることが考えられる。例えば、前記待機時間は、0.2秒乃至0.3秒程度である。
また、給紙カセット40に収納されたシートSがリフト板46及び押し上げ部材49によって昇降される場合について説明したが、これに限るものではない。給紙カセット40がカセット収容部31の前記所定位置に装着される場合に、給紙カセット40に収納されたシートSを前記第1位置と前記第2位置との間で変位可能に支持するものであれば他の機構でもよい。
また、上述した実施形態の説明では、繰り出しローラー33は、カセット収容部31の前記所定位置に装着された給紙カセット40における挿入方向Y1の端部近傍に設けられた場合について説明したが、これに限るものではない。繰り出しローラー33は、給紙カセット40の最上位のシートSに当接して繰り出すことが可能であれば、引出方向Y2の端部近傍や挿入方向Y1の中央付近に設けられていてもよい。