JP2016016356A - シート搬送ロールの清掃装置及びそれを用いたシート製造方法 - Google Patents

シート搬送ロールの清掃装置及びそれを用いたシート製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面に付着した付着物を、生産工程を継続しながら、ロール表面を傷つけること無く効率的に清掃可能なシート搬送ロールの清掃装置、及びそれを用いた優れた表面品位のシート状物を得ることができるシート製造方法を提供する。【解決手段】本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、シート搬送ロールの表面に付着した付着物を清掃部により除去する清掃装置であって、前記清掃部が付着物を除去するスクレーパーを有し、かつスクレーパーの先端部における少なくとも片側の角部が直線面取り加工または丸め面取り加工されており、前記清掃部をシート搬送ロールの回転軸方向および回転軸と直交する方向に移動させる移動手段を備えている。【選択図】なし

Description

本発明は、シート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面に付着した付着物を、生産工程を継続しながら、ロール表面を傷つけること無く効率的に清掃可能なシート搬送ロールの清掃装置、及びそれを用いた優れた表面品位のシート状物を得ることができるシート製造方法に関する。
紙、布または熱可塑性樹脂等からなるシート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面には、シート状物が持ち込む塵埃、シート搬送ロール周辺の塵埃、及びシート状物自体による異物等が付着することがある。これらの付着物は、シート状物の表面に転写または付着して欠点を発生させたり、シート状物の破断を生じさせる恐れが有るので、一旦シート搬送ロールに付着物が付着すると、製造ラインを停止してシート搬送ロールの掃除を行わなければならない為、シート状物の品質面に加えて、生産性の低下によるコスト面での課題が有る。
例えば、熱可塑性樹脂からなるシート状物を生産する場合、溶融状態の熱可塑性樹脂を冷却しながら流延させてシート状物を形成した後、該シート状物に必要な強度を与えるため、シート状物の搬送方向、すなわち縦方向や、搬送方向と垂直なシート状物の幅方向、すなわち横方向に延伸することにより分子配向させる。一般的に、シート状物を縦方向に延伸する装置として、温度を自在に調整できる複数の回転ロールを備えた延伸装置が知られている。この延伸装置では、回転ロールによってシート状物を加熱したり、冷却したりして入口側の回転ロールの回転速度よりも出口側の回転ロールの回転速度を高速にした状態でシート状物を通過させることにより、シート状物を縦方向に延伸することができる。この際、前記熱可塑性樹脂からなるシート状物がシート搬送ロールに接するときの問題点として、特に該シート状物の表面に存在する極僅かなモノマー、オリゴマー等の低分子量物、分解物、ブリードアウト物、添加物、変性物等で代表されるものが、該シート状物と接触したロール表面に付着し、経時で堆積される。これらがシート状物の表面に転写または付着して欠点を発生させたり、シート状物の破断を生じさせる原因となる。よって、シート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面に付着した付着物を除去するために、様々なロール清掃方法の提案がなされている。
そのような中で、スクレーパーをシート搬送ロールの表面に精度よく目標とする接圧力で圧接でき、表面粗さの小さい高精度ロールであってもその表面を適切に掃除可能なシート搬送ロールの掃除装置が提案されている(特許文献1)。
また、付着物を再付着させることなく、除去、吸引でき、さらにスクレーパーの交換周期が非常に長く、掃除対象のシート搬送ロールがその長手方向に1000mm以上の長尺のものであっても均一に掃除でき、しかも吸引動力が小さくて済むシート搬送ロールの掃除装置が提案されている(特許文献2)。
特開平7−267420号公報 特許第2718321号公報
特許文献1記載のシート搬送ロールの掃除装置は、スクレーパーをシート搬送ロールの表面に所定の圧力に制御された接圧力で圧接可能な接圧手段を設けることで、シート搬送ロール表面へスクレーパーを精度よく目標とする接圧力で圧接でき、表面粗さの非常に小さい高精度ロール表面の付着物を完全に除去することができる。しかしながら、ロール表面に作用するスクレーパーの材質や形状、すなわち、スクレーパーの先端部の磨耗や欠けを抑制する点については考慮されていない。また、スクレーパーが回転ロールと接触する部分におけるロール表面の接触傷を抑制する点についても十分ではなかった。
特許文献2記載のシート搬送ロールの掃除装置は、スクレーパーの材質を最適化することで、スクレーパーの交換周期を非常に長くでき、最適な位置と角度で配設されたスクレーパー及び吸引手段を有する掃除部をロール長手方向に移動させることにより、実質的にロール全長にわたって確実に付着物を除去することができる。しかしながら、スクレーパーが回転ロールと接触する部分におけるロール表面の接触傷、及びスクレーパーの先端部の磨耗や欠けを抑制するためのスクレーパーの形状については考慮されていない。
本発明の課題は、シート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面に付着した付着物を、生産工程を継続しながら、ロール表面を傷つけること無く効率的に清掃可能なシート搬送ロールの清掃装置、及びそれを用いた優れた表面品位のシート状物を得ることができるシート製造方法を提供することである。
本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、シート搬送ロールの表面に付着した付着物を清掃部により除去する清掃装置であって、前記清掃部が付着物を除去するスクレーパーを有し、かつスクレーパーの先端部における少なくとも片側の角部が直線面取り加工または丸め面取り加工されており、前記清掃部をシート搬送ロールの回転軸方向および回転軸と直交する方向に移動させる移動手段を備えている。
本発明により、シート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面に付着した付着物を、生産工程を継続しながら、ロール表面を傷つけること無く効率的に清掃可能なシート搬送ロールの清掃装置、及びそれを用いた優れた表面品位のシート状物を得ることができるシート製造方法を提供することができる。より具体的には、シート搬送ロールの表面に付着した付着物を清掃部により除去する清掃装置であって、前記清掃部が付着物を除去するスクレーパーを有し、かつスクレーパーの先端部における少なくとも片側の角部が直線面取り加工または丸め面取り加工されており、スクレーパーがシート搬送ロールと接触する部分におけるロール表面の接触傷、及びスクレーパーの先端部の磨耗や欠けを抑制するため、ロール表面に付着した付着物を完全に除去し、より効率的に清掃することができるシート搬送ロールの清掃装置、及びそれを用いたシート製造方法として好適に用いることができる。
図1はシート搬送ロールの清掃装置の正面図及び側面図である。 図2はシート搬送ロールの清掃装置における清掃部の縦断断面図である。 図3はスクレーパーの部品構成を示す概略図である。 図4はスクレーパーの先端部における角部の面取り加工部分を示す概略図である。 図5はきょう雑物測定図表である。
以下に、本発明を実施するための望ましい形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、シート搬送ロールの表面に付着した付着物を清掃部により除去する清掃装置であって、前記清掃部が付着物を除去するスクレーパーを有し、かつスクレーパーの先端部における少なくとも片側の角部が直線面取り加工または丸め面取り加工されており、前記清掃部をシート搬送ロールの回転軸方向および回転軸と直交する方向に移動させる移動手段を備えている。
最初に本発明のシート搬送ロールの清掃装置の一例を、図1に示すシート搬送ロールの清掃装置の正面図及び側面図を用いて説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
通常、連続製膜を行っているときには、清掃装置の清掃部2はシート搬送ロール1の回転軸方向の端の直上に待機している。またこの待機位置を原点としている。清掃装置の清掃部2は、多本数配置された各ロール上をシート搬送ロール1の回転軸方向に移動でき、連続するシート状物9が通過するロールの反対側、すなわちシート状物9が通過しないロール表面部を清掃できる構造となっている。また、ロール回転軸と直交する方向移動用車輪12がロール回転軸と直交する方向移動用レール11を走ることにより、清掃装置の清掃部2をシート搬送ロール1の回転軸と直交する方向に移動させて、清掃の対象となるシート搬送ロール1の位置にセットすることができる。シート搬送ロール起因の欠点が発生していないか定期的なシート状物の検反を行い、該検反にてシート搬送ロール起因の欠点が発生している場合には、欠点の周期よりロールの外周を割り出し、該当するシート搬送ロール1の位置に図2に示す清掃装置の清掃部2を下降させる。該清掃装置の清掃部2は、図2、3に示すシート搬送ロール1の表面に付着した付着物を掻き取るためのスクレーパー26を備え、ロール表面にスクレーパーの先端部34が接地する。ロール回転軸方向とスクレーパーの先端部34を平行に接地させるために、スクレーパーホルダー21にはスクレーパー首振り機構24を備え、平行状態を保ったままロール回転軸方向にロール清掃を行う。掻き取られた付着物は、清掃装置の清掃部2に備えられた吸引ノズル13により、掻き取られた付着物の飛散を防止するためにスクレーパー26で掻き取られた付着物を吸引し、吸引ダクト3を経由して掻き取られた付着物を、図示していない吸引装置にて回収する。次に、拭き取りヘッドホルダー27に設けられたサラシまたは不織布等の清掃布を巻いた拭き取りヘッド29が、シート搬送ロール1の表面に接地する。拭き取りヘッドホルダー27の先端部には拭き取りヘッドクッション28を備え、該拭き取りヘッドクッション28を包み込むようにしてサラシまたは不織布等の清掃布を巻いた拭き取りヘッド29を取り付ける。該清掃布により、清掃仕上げとしてシート搬送ロール1の表面を拭き上げすることができる。
図1に示す清掃装置のロール回転軸方向移動用回転ハンドル10を回し、ロール回転軸方向移動用フレームレール7に沿ってロール回転軸方向移動用回転シャフト8を回転させることで、清掃装置の清掃部2をシート搬送ロール1のロール回転軸方向へ移動させながら、ロール表面全域の清掃を行う。尚、ロール回転軸方向への移動は、駆動モーターにより自動可動させても良い。この時、ロール清掃はロール回転軸方向を一方向のみに清掃装置の清掃部2を移動させて清掃を行うことが好ましい。往復清掃を行うと清掃布で拭き取った付着物をロール表面に再付着させることがあるため、シート搬送ロール1のロール回転軸方向を端から端まで清掃後、清掃装置の清掃部2を上昇させてロール回転軸方向移動用回転ハンドル10を回して原点位置まで戻す。原点位置に戻った清掃装置の清掃部2のスクレーパー26および拭き取りヘッドホルダー27は、清掃装置の清掃部2が原点位置に待機しているときに清掃装置から脱着可能となっているため、ロール清掃後にサラシまたは不織布等の清掃布及びスクレーパー26の交換を行うことができる。
本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、前記スクレーパーの先端部34における少なくとも片側の角部が直線面取り加工または丸め面取り加工されている。面取り加工されることで、スクレーパー26がシート搬送ロール1と接触する部分におけるロール表面の接触傷、及びスクレーパーの先端部34、特に、スクレーパーの先端部における角部33の磨耗や欠けを抑制するため、ロール表面に付着した付着物を完全に除去し、より効率的に清掃することができる。
また、面取り加工はスクレーパーの先端部34の少なくとも片側の角部に施されていればよい。前述のとおり、ロール清掃はロール回転軸方向を一方向のみに清掃部2を移動させて清掃を行うことが好ましいので、スクレーパーの先端部34をロール表面に接地させる際、面取り加工が施されていない側の角部をロール端部からはみ出すようにして接地させ、そのまま清掃部2を一方向のみに移動させればよい。こうすることで、スクレーパーの先端部34がロール表面に接地する際や清掃部2が移動しているときに、面取り加工が施されていない側の角部でロール表面がキズつくことがない。もちろん面取り加工はスクレーパーの先端部34の両側の角に施されていてもよい。面取り加工が両側の角部に施されていれば、ロールのどの位置でスクレーパー先端部34を接地させてもよく、清掃部2を往復移動させることもできる。
本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、図4に示すスクレーパーの先端部34における角部の直線面取り加工部分35が、角部の頂点から伸びる二本の直交する半直線のうち、スクレーパーの先端部に平行する半直線をl、lに直交する半直線をlとしたとき、(i)半直線l上の角部の頂点から半直線lと半直線lとの交点までの面取り長さLが0.5mm以上3.0mm以下であり、(ii)半直線lと面取り加工された直線部分とのなす面取り角度θが1°以上70°以下であることが好ましい。面取り長さLと面取り角度θのいずれかが前記の範囲より小さい場合、角部の欠損が大きくシート搬送ロールの表面の傷が発生し易くなることがある。面取り長さLと面取り角度θのいずれかが前記の範囲を超える場合、スクレーパー26により付着物を掻き取る際に、付着物が角部の直線面取り加工部分35に堆積し易くなり、堆積した該付着物が再度シート状物に付着して欠点を発生させることがある。
本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、図4に示すスクレーパーの先端部34における角部の丸め面取り加工部分36が、角R0.5mm以上角R3.0mm以下であることが好ましい。ここで、「角R」とは、角の丸みの半径のことであり、丸め面取り加工された加工部分36の円弧rを形成する仮想中心から円弧rまでの半径Rである。角Rが0.5mm未満の場合、角部の欠損が大きくシート搬送ロールの表面の傷が発生し易くなることがある。角Rが3.0mmを超える場合、スクレーパーにより付着物を掻き取る際に、付着物が角部の丸め面取り加工部分36に堆積し易くなり、堆積した該付着物が再度シート状物に付着して欠点を発生させることがある。
本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、紙、布または熱可塑性樹脂等からなるシート状物を搬送するロールの清掃に好適に用いることができる。特に、熱可塑性樹脂からなるシート状物を搬送するロールの清掃に用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニルスルフィド、及びそれらの混合体、変性体等から選ばれた樹脂が代表的なものであり、特に、ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明における付着物とは、例えば、熱可塑性樹脂に由来するものでは、生産工程で発生する種々の有機化合物を成分とするものである。例えば、該熱可塑性樹脂の低分子量物、分解物、ブリードアウト物、あるいは添加物等である。さらに空気中に含まれる昇華物や油脂、塵埃等もこれに含まれる。熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂であり、例えばポリエチレンテレフタレートの場合、主体となる低分子量物は、テレフタル酸、ビスヒドロキシエチルテレフタル酸、モノヒドロキシエチルテレフタル酸等のモノマー類、及びダイマー、トリマー、サイクリックトリマー等のオリゴマー類が対象となる。
本発明における清掃の対象となるシート搬送ロールとしては特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂からなるシート状物を搬送するシート搬送ロールの場合、該シート状物の製造工程で延伸工程を有するものは、シート状物を縦延伸する縦延伸機の予熱ロール及び延伸ロールが最も汚れを堆積し易くシート状物に傷を発生させ易いため、予熱ロール及び延伸ロールを清掃の対象とすることが好ましい。
本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、前記スクレーパーの材質が、ジルコニア系セラミックス、超硬合金または硬化処理した炭素鋼であることが好ましい。
一般的に、スクレーパーの材質としては、金属ではステンレス鋼、炭素鋼、工具鋼等が挙げられる。スクレーパーの材質が、一般的な炭素鋼やステンレス等である場合、刃先が磨耗して付着物を除去する能力の低下が速くなるという問題点が有る。条件によっては一度の清掃に複数枚のスクレーパーが必要となる場合も有る。この場合、スクレーパーの交換に時間を要するという問題に加えて、該スクレーパーの交換作業そのものが非常に作業しづらいという問題点が有った。よって、スクレーパーの材質として要求される特性としては、接触するシート搬送ロールの表面の強度との関係で、最適な強度と柔軟性が求められる。スクレーパーの材質としてセラミックスを用いる場合、アルミナ系、窒素ケイ素系等が挙げられるが、ジルコニア系のものが好ましい。ビッカース硬度Hvとしては1200〜1600程度が好ましい。また、スクレーパーの材質として炭素鋼を用いる場合、炭素鋼の硬化処理は焼き入れが良い。ビッカース硬度Hvとしては850〜900程度が好ましい。超硬合金の場合、ビッカース硬度Hvとしては1500〜1800程度が好ましい。
本発明のシート搬送ロールの清掃装置は、前記清掃部が前記スクレーパーで除去された付着物を吸引する吸引手段と、付着物が除去されたシート搬送ロールの表面を拭く拭き取り手段を備えていることが好ましい。
スクレーパーのシート搬送ロールの回転軸方向、すなわちロール面長方向との接触部分について、本発明におけるスクレーパーの押付け力は、図2に示すねじりコイルバネ17による荷重を一定(1kgf)にし、スクレーパーの押付け力としてシート搬送ロールの表面に与えることを特徴とする。また、スクレーパーの長さ(刃幅)は、押付け力の均一性、制御性を良くするためには短い方が良く、清掃時間を短くするためには長い方が良い。具体的な長さとしては、30mm〜200mm程度のものが好ましい。スクレーパーの刃先形状(刃先角度)は、鋭角な方が清掃能力が高く、鈍角な方が耐磨耗性が高い。具体的には、刃先角度が10°〜40°程度のものが好ましい。スクレーパーの厚みは、刃先再研磨性を良くするには薄い方が良く、耐折れ性を良くするには厚い方が良い。具体的には、0.1mm〜1.0mm程度のものが好ましい。
図2に示す本発明におけるスクレーパーとシート搬送ロールの形成する角度は、シート搬送ロールの上流(シート搬送ロールの回転方向とは逆の方向)に向かって45°を中心にプラス側30°マイナス側30°の範囲、すなわち、刃先とロールとの接触点におけるロール接線に対して15°〜75°のすくい角を有している。スクレーパーのすくい角がこの範囲であると、シート搬送ロールに付着した付着物は、シート搬送ロールの表面上で、ロール回転軸と直交する方向、すなわちシート状物の搬送方向の上流側への相対速度成分を持つが、現実的にはシート搬送方向に静止しているスクレーパーに衝突して、シート搬送ロールの表面から除去されると同時に、除去された付着物がスクレーパーにせき止められて、シート搬送ロールの表面に対して相対的にシート状物の搬送方向の上流に向けて速度成分を持つようになり、あたかも、除去された付着物がスクレーパーによりシート状物の搬送方向の上流側に向けて掻き飛ばされるようになる。したがって、除去された付着物を吸引する吸引手段の吸引口は、シート状物の搬送方向に関して、前記刃先の上流側に、該刃先に対向して開口するように設けられる。また、図2に示す、拭き取りヘッド29にセットする付着物が除去されたシート搬送ロールの表面を拭く拭き取り手段としては、例えば、織物(サラシ等)や不織布、紙、合成樹脂フィルム等を用いることができ、織物を用いる場合は、木綿、麻等の天然繊維やポリアミド、ポリエステル繊維等の合成繊維が好ましい。また、紙や合成樹脂フィルムを用いる場合は、内径1mm〜5mm程度の孔が多数設けられた多孔質のものや、表面にケイ素、アルミナ粒子等が接着された凹凸状のシート体に形成されるものが好ましい。特に、熱可塑性樹脂フィルムからなるシート状物のシート搬送ロールの清掃用としては、木綿を用いるのが好ましい。清掃布の好ましい幅は、シート状物の材質にもよるが、通常50mm〜500mm程度が好ましい。
本発明のシート製造方法は、シート状物をシート搬送ロールで連続的に搬送し、巻き取り手段により巻き取るまでの工程で、該シート状物を正規長まで巻き取りを継続し、巻き替えのタイミングでターレット式巻取機にてターレットを行った後、本発明のシート搬送ロールの清掃装置を用いてロール表面に付着した付着物を除去して清掃する。本発明により、シート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面に付着した付着物を、生産工程を継続しながら、ロール表面を傷つけること無く効率的に清掃し、優れた表面品位のシート状物を得ることができる。
以下、実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、諸特性は以下の方法により実施した。
(面取り加工)
スクレーパーの先端部における角部の面取り加工について、以下の方法で行った。
NCマシニングによるコンピューター制御でのレーザー加工にて、スクレーパーの先端部における片側または両側の角部に、直線面取り加工または丸め面取り加工を行った。また、面取り加工後、加工部分のバリを研磨機で除去した。
(スクレーパーの先端部における角部の欠け)
図5に示す、JIS SP8208 きょう雑物測定法で定義されている「きょう雑物測定図表」に基づいて、目視にてスクレーパーの先端部における角部の欠けを測定した。また、同時に微分干渉顕微鏡(ニコン OPTIPHOT)、撮像素子(ニコン DS−Fi1)、形状解析ソフトを含んだモニター(ニコン DIGITAL SIGHT DS−L2)を用いて、スクレーパーの先端部における角部の状態を50倍の倍率で観察し、以下の基準で評価した。
◎:スクレーパーの先端部における角部に、欠けが無い。
○:スクレーパーの先端部における角部に、0.1mm未満の欠けが有る。
△:スクレーパーの先端部における角部に、0.1mm以上0.5mm以下の欠けが有る。
×:スクレーパーの先端部における角部に、0.5mmを超える欠けが有る。
(シート搬送ロールの表面の傷)
スケールルーペを用いて、シート搬送ロール表面の傷の長径を測定し、以下の基準で評価した。
◎:シート搬送ロールの表面に、スクレーパー起因の傷が無い。
○:シート搬送ロールの表面に、0.1mm未満のわずかなスクレーパー起因の傷が有る。
△:シート搬送ロールの表面に、0.1mm以上0.5mm以下のスクレーパー起因の傷が有る。
×:シート搬送ロールの表面に、0.5mmを超えるスクレーパー起因の傷が有る。
(実施例1)
図1、2に示すシート搬送ロールの清掃装置を用い、図3に示すスクレ−パーホルダー21に、材質がジルコニア+タングステンカーバイト、厚み0.30mm、硬度(Hv)1574のスクレーパー26で、該スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、直線面取り加工(面取り長さL0.2mm、面取り角度θ80°)したものを、スクレーパーホルダー上蓋22にセットし、スクレーパーホルダー21、スクレーパーホルダー上蓋固定ネジ23を、六角レンチで締め付けて固定する。次いで、スクレーパーアーム19に、スクレーパーホルダー21、スクレーパーホルダー上蓋22、スクレーパー26、スクレーパーホルダー上蓋固定ネジ23から構成されるスクレーパー組立体を、スクレーパー首振り機構回転部25を介して、スクレーパーアーム19のスクレーパー首振り機構24へと固定する。スクレーパー26の搬送ロール1の表面への押し付け力は1kgfとし、スクレーパー26とシート搬送ロール1の形成する角度が40°となるように設定し、シート搬送ロール1(表面材質Hcr、ロール表面硬度(Hv)700、ロール径200mmφ、ロール面長2900mm)のロール速度を0m/minとし、清掃装置の清掃部2を下降させ、シート搬送ロール1のロール端面部から、ロール幅方向100mmの位置で清掃装置の清掃部2を下降及び上昇を10回繰り返して、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。次いで、新品の前記スクレーパー26と交換後、シート搬送ロールのロール速度を60m/minとし、清掃装置の清掃部2を下降させ、シート搬送ロール1のロール端面部から、ロール幅方向200mmの位置までスクレーパー26を一方向に10回、ロール回転軸方向へと繰り返し移動させ、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、直線面取り加工(面取り長さL1.0mm、面取り角度θ45°)した以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、直線面取り加工(面取り長さL4.0mm、面取り角度θ80°)した以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、丸め面取り加工(角R1.0mm)した以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、丸め面取り加工(角R4.0mm)した以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
スクレ−パーホルダー21に、材質が焼き入れ炭素鋼、厚み0.24mm、硬度(Hv)865のスクレーパー26で、該スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、丸め面取り加工(角R1.0mm)したものを、スクレーパーホルダー上蓋22にセットした以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表1に示す。
(実施例7)
スクレ−パーホルダー21に、材質がステンレスFHS−5、厚み0.20mm、硬度(Hv)652のスクレーパー26で、該スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、丸め面取り加工(角R1.0mm)したものを、スクレーパーホルダー上蓋22にセットした以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
スクレーパー26の先端部における角部33を、面取り加工なしとした以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
スクレ−パーホルダー21に、材質が焼き入れ炭素鋼、厚み0.24mm、硬度(Hv)865のスクレーパー26で、該スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、面取り加工なしとしたものを、スクレーパーホルダー上蓋22にセットした以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表2に示す。
(比較例3)
スクレ−パーホルダー21に、材質がステンレスFHS−5、厚み0.20mm、硬度(Hv)652のスクレーパー26で、該スクレーパー26の先端部における両側の角部33を、面取り加工なしとしたものを、スクレーパーホルダー上蓋22にセットした以外は実施例1と同様にして、スクレーパーの先端部における角部33の欠け、及びシート搬送ロール1の表面の傷を評価した。結果を表2に示す。
本発明により、シート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面に付着した付着物を、生産工程を継続しながら、ロール表面を傷つけること無く効率的に清掃可能なシート搬送ロールの清掃装置、及びそれを用いた優れた表面品位のシート状物を得ることができるシート製造方法を提供することができる。例えば、紙、布または熱可塑性樹脂等からなるシート状物を連続的に搬送するシート搬送ロールの表面に付着した付着物を完全に除去し、より効率的に清掃することができるシート搬送ロールの清掃装置、及びそれを用いたシート製造方法として好適に用いることができる。
1:シート搬送ロール
2:清掃装置の清掃部
3:吸引ダクト
4:清掃部の昇降レール
5:清掃部のフレーム
6:清掃部の昇降シリンダー
7:ロール回転軸方向移動用フレームレール
8:ロール回転軸方向移動用回転シャフト
9:シート状物
10:ロール回転軸方向移動用回転ハンドル
11:ロール回転軸と直交する方向移動用レール
12:ロール回転軸と直交する方向移動用車輪
13:吸引ノズル
14:スクレーパーの昇降シリンダー
15:シリンダーアーム回転軸
16:シリンダーアーム
17:ねじりコイルバネ
18:スクレーパーアーム回転軸
19:スクレーパーアーム
20:スクレーパー首振り機構固定ネジ
21:スクレーパーホルダー
22:スクレーパーホルダー上蓋
23:スクレーパーホルダー上蓋固定ネジ
24:スクレーパー首振り機構
25:スクレーパー首振り機構回転部
26:スクレーパー
27:拭き取りヘッドホルダー
28:拭き取りヘッドクッション
29:拭き取りヘッド
30:スクレーパー首振り機構回転穴
31:スクレーパー首振り角度制限穴
32:スクレーパーホルダー固定ネジ穴
33:スクレーパーの先端部における角部
34:スクレーパーの先端部
35:角部の直線面取り加工部分
36:角部の丸め面取り加工部分
37:角部の頂点

Claims (6)

  1. シート搬送ロールの表面に付着した付着物を清掃部により除去する清掃装置であって、前記清掃部が付着物を除去するスクレーパーを有し、かつスクレーパーの先端部における少なくとも片側の角部が直線面取り加工または丸め面取り加工されており、前記清掃部をシート搬送ロールの回転軸方向および回転軸と直交する方向に移動させる移動手段を備えている、シート搬送ロールの清掃装置。
  2. 前記スクレーパーの先端部における角部の直線面取り加工が、角部の頂点から伸びる二本の直交する半直線のうち、スクレーパーの先端部に平行する半直線をl、lに直交する半直線をlとしたとき、
    半直線l上の角部の頂点から半直線lと半直線lとの交点までの面取り長さLが0.5mm以上3.0mm以下であり、
    半直線lと面取り加工された直線部分とのなす面取り角度θが1°以上70°以下である、請求項1のシート搬送ロールの清掃装置。
  3. 前記スクレーパーの先端部における角部の丸め面取り加工が、角R0.5mm以上角R3.0mm以下である、請求項1のシート搬送ロールの清掃装置。
  4. 前記スクレーパーの材質が、ジルコニア系セラミックス、超硬合金または硬化処理した炭素鋼である、請求項1〜3のいずれかのシート搬送ロールの清掃装置。
  5. 前記清掃部が前記スクレーパーで除去された付着物を吸引する吸引手段と、付着物が除去されたシート搬送ロールの表面を拭く拭き取り手段を備えている、請求項1〜4のいずれかのシート搬送ロールの清掃装置。
  6. シート状物をシート搬送ロールで連続的に搬送し、巻き取り手段により巻き取るまでの工程で、該シート状物の巻き取りを継続しながら、請求項1〜5のいずれかのシート搬送ロールの清掃装置を用いてロール表面に付着した付着物を除去して清掃する、シート製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108556299A (zh) * 2018-05-16 2018-09-21 温州万润机械有限公司 淋膜机复合胶辊剔废装置
CN111530792A (zh) * 2020-05-11 2020-08-14 董晓晓 一种轴类机械零件加工制作用高效型清洁装置

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