JP2016015092A - シミュレーション装置、シミュレーション方法およびプログラム - Google Patents

シミュレーション装置、シミュレーション方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】従来は、一つの材料に対して一組の材料特性パラメータを用いていたので、異方硬化性を十分に考慮したものとはいえず、実験との乖離が生じていた。【解決手段】材料特性パラメータを含む予め定められた降伏関数を用いて、予め定められた材料の対象物について成形シミュレーションを実行するシミュレーション装置であって、材料について、基準塑性ひずみの値と基準塑性ひずみに対応する材料特性パラメータの値との関係を取得するパラメータ取得部と、対象物に仮想変位を与えた場合における、基準塑性ひずみの値に対応した材料特性パラメータの値を逐次、降伏関数に用いて、対象物の変形状態を算出する変形算出部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、シミュレーション装置、シミュレーション方法およびプログラムに関する。
有限要素法による成形のシミュレーションにおいて、Yld2000−2d等の降伏関数を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。降伏関数には材料の特性により設定される材料特性パラメータが含まれる。例えばYld2000−2dには材料特性パラメータαi(i=1から8)及び次数Mが含まれる。
特許文献1 特開2010−61249号公報
しかしながら、従来は、一つの材料に対して一組の材料特性パラメータを用いていたので、異方硬化性を十分に考慮したものとはいえず、実験との乖離が生じていた。
本発明の第1の態様においては、材料特性パラメータを含む予め定められた降伏関数を用いて、予め定められた材料の対象物について成形シミュレーションを実行するシミュレーション装置であって、材料について、基準塑性ひずみの値と基準塑性ひずみに対応する材料特性パラメータの値との関係を取得するパラメータ取得部と、対象物に仮想変位を与えた場合における、基準塑性ひずみの値に対応した材料特性パラメータの値を逐次、降伏関数に用いて、対象物の変形状態を算出する変形算出部とを備える。
本発明の第2の態様においては、材料特性パラメータを含む予め定められた降伏関数を用いて、予め定められた材料の対象物について成形シミュレーションを実行するシミュレーション方法であって、材料について、基準塑性ひずみの値と基準塑性ひずみに対応する材料特性パラメータの値との関係を取得するパラメータ取得段階と、対象物に仮想変位を与えた場合における、基準塑性ひずみの値に対応した材料特性パラメータの値を逐次、降伏関数に用いて、対象物の変形状態を算出する変形算出段階とを備える。
本発明の第2の態様においては、材料特性パラメータを含む予め定められた降伏関数を用いて、予め定められた材料の対象物について成形シミュレーションを実行するコンピュータを制御するプログラムであって、材料について、基準塑性ひずみの値と基準塑性ひずみに対応する材料特性パラメータの値との関係を取得するパラメータ取得段階と、対象物に仮想変位を与えた場合における、基準塑性ひずみの値に対応した材料特性パラメータの値を逐次、降伏関数に用いて、対象物の変形状態を算出する変形算出段階とをコンピュータに実行させる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本実施形態に用いられる試験システムを概略的に示す。 円管試験片10が二軸バルジ試験装置100により変形した状態を示す模式図である。 シミュレーション装置200の機能ブロックを示す。 シミュレーション装置200の動作のフローチャートの一例を示す。 図4のステップS30の詳細を示すフローチャートである。 各基準塑性ひずみε に対する応力σ、σを示す。 離散的な基準塑性ひずみε の値にそれぞれ対応した、離散的な材料特性パラメータαiの値の組を示す。 同定された各関数のパラメータを示した。 図4のステップS40の詳細を示すフローチャートである。 実施例2で用いた液圧バルジ成形を模式的に示す。 比較例として用いた各材料特性パラメータαiを示した。 頂点部の真板厚ひずみ|ε|対内圧P線図の実験値と有限要素法計算値との比較を示す。 圧延方向から0°、45°、90°方向の子午線に沿った板厚歪み分布である。 圧延方向から0°、45°、90°方向の子午線に沿った板厚歪み分布である。 圧延方向から0°、45°、90°方向の子午線に沿った板厚歪み分布である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に用いられる試験システムを概略的に示す。試験システムは、二軸バルジ試験装置100とシミュレーション装置200とを有する。当該試験システムは、注目している材料について二軸バルジ試験装置100で試験した結果を用いて、当該材料について異方硬化性を考慮した材料モデルを同定し、当該材料モデルを用いてシミュレーション装置200でシミュレーションすることにより、異方硬化性を考慮した成形シミュレーション結果を得ることを目的とする。
二軸バルジ試験装置100は、円管試験片10に対して軸方向φの軸力Tと、径方向θの内圧Pとを独立して与える。二軸バルジ試験装置100は、本体102と、一対の駆動部120、122と、圧力調整部130と、一対のカメラ140、142と、これらを制御するコントローラ104とを有する。
一対の駆動部120、122はそれぞれ、円管試験片10の軸方向端部を把持する把持部110、112を有する。把持部110、112が円管試験片10の軸方向端部を把持した状態で、一対の駆動部120、122が軸方向φに移動することで張力または圧縮力としての軸力Tを円管試験片10に与える。
圧力調整部130は、駆動部122に設けられた流路132を介して円管試験片10の中空部12に連結する。圧力調整部130には油などの流体が収容されている。圧力調整部130が流路132を介して円管試験片10の中空部12に連結した状態で、流体を加圧することにより、中空部12の内壁に径方向θの内圧Pを与える。
一対のカメラ140、142は、互いに異なる方向から円管試験片10の表面の予め定められた領域を撮像する。この場合に、円管試験片10の当該領域には白地に黒インクが噴霧された模様が形成されている。この模様をカメラ140、142で撮像して、模様に含まれるそれぞれの黒点の位置の変化を観察することにより、円管試験片10の当該領域が軸方向φおよび径方向θにどれくらい変形しているかを検出することができる。この場合に、一対のカメラ140、互いに異なる方向から撮像するので、立体視の原理により、その変形を三次元的に検出することができる。
図2は、円管試験片10が二軸バルジ試験装置100により変形した状態を示す模式図である。円管試験片10に生じた軸方向φの応力をσφ、ひずみをεφ、径方向θの応力をσθ、ひずみをεθと表記する。
軸力Tと内圧Pとは独立して制御することができるが、これらにより円管試験片10は軸方向φおよび径方向θについて刻々と変形するから、その時点での外形状と、軸力Tおよび内圧Pから、応力σφ、σθ、ひずみεφ、εθが算出される。コントローラ104は、上記応力σφ、σθ、ひずみεφ、εθを算出して、軸力Tおよび内圧Pをフィードバックしてサーボ制御する。
コントローラ104は、応力の比σφ:σθを保ちつつこれらを大きくして、予め定められた複数の基準塑性ひずみε にそれぞれ達したときの応力σφ、σθを、基準塑性ひずみε に対応付けて応力σ、σとしてシミュレーション装置200に出力する。基準塑性ひずみε については後述する。コントローラ104は、応力の比σφ:σθを変えて行った同様の試験の結果もシミュレーション装置200に出力する。
材料の弾塑性変形挙動をあらわすのに、降伏関数が用いられる。降伏関数として様々なものが提案されているが、それぞれの降伏関数には材料に応じて設定される材料特性パラメータが含まれる。発明者らは、降伏関数に含まれる材料特性パラメータを基準塑性ひずみの関数で表すと、異方硬化の挙動が実験に整合するように当該降伏関数で定式化できることを発見した。当該発見に基づいて、材料特性パラメータを同定し、同定した材料特性パラメータを用いて当該材料の供試材の変形をシミュレーションするシミュレーション装置200を見出すに至った。
図3はシミュレーション装置200の機能ブロックを示し、図4はシミュレーション装置200の動作のフローチャートの一例を示す。シミュレーション装置200の一例はパーソナルコンピュータである。
シミュレーション装置200は、応力値取得部220、パラメータ同定部230、変形算出部240および格納部250を有する。応力値取得部220およびパラメータ同定部230は、パラメータ取得部210を構成する。
応力値取得部220は、二軸バルジ試験装置100のコントローラ104から、2軸の応力の比が異なるように2軸引張試験をしたときの2軸の応力の値σ、σを、予め定められた複数の基準塑性ひずみの値ε に対応付けて複数取得する(S20)。パラメータ同定部230は、上記複数の2軸の応力の値σ、σに基づいて、複数の基準塑性ひずみの値ごとに、材料特性パラメータの値を同定する(S30)。
変形算出部240は、基準塑性ひずみの値ε に対応した材料特性パラメータαiの値を逐次用いて、有限要素法により成形シミュレーションを実行する(S40)。有限要素法の解法は、静的陰解法、静的陽解法等のいずれの解法であってもよい。
なお、コントローラ104とシミュレーション装置200とが一体であってもよい。また、シミュレーション装置200の各機能が、CD−ROM202などの媒体に記憶されたソフトウェアプログラムがインストールされることにより実行されてもよい。また、応力値取得部220は、データベースや他のPCから2軸の応力の値σ、σおよび基準塑性ひずみの値ε の値を取得してもよい。さらに、パラメータ同定部230はシミュレーション装置200とは別の装置に組み込まれてもよい。この場合に、パラメータ取得部210は、材料特性パラメータを当該別の装置から取得して変形算出部240に受け渡してもよい。
図5は、図4のステップS30の詳細を示すフローチャートである。まず対象となる降伏関数が選択される(S31)。例えば、当該降伏関数は、ユーザからのキーボード操作により設定されてもよいし、予め候補が格納部250に格納されて、当該候補がシミュレーション装置200のディスプレイに表示され、ユーザからのキーボード操作により選択されてもよい。または、材料の種類等に応じていずれかの候補が優先的に表示または自動的に選択されてもよい。
降伏関数は、異方性を記述できるものが好ましく、例えば、Yld2000−2d、Hillの二次降伏関数、後藤の四次降伏関数、Hosfordの降伏関数等が挙げられる。これらの降伏関数にはいずれも材料によってその数値が同定されるべき未知の材料特性パラメータ(以下、αiと総称することがある)を含んでいる。
パラメータ同定部230は、応力値取得部220により取得された基準塑性ひずみε の値と応力σ、σの値とを用いて、等塑性仕事面の応力点(σ、σy)に基準塑性ひずみε の値ごとの降伏曲面が整合するように、材料特性パラメータαiを同定する(S32)。この場合にパラメータ同定部230は、最小二乗法等の数学的な手法、圧延方向から0°、90°方向等の無次元単軸引張応力等の材料力学的な関係式、またはそれらの組み合わせを用いる。これにより、パラメータ同定部230は、離散的な基準塑性ひずみε の値にそれぞれ対応して、離散的な材料特性パラメータαiの値の組を同定する。
パラメータ同定部230はさらに、連続的な基準塑性ひずみε に対する材料特性パラメータαiの関数形を選択する(S33)。例えば、当該関数形は、予め候補が格納部250に格納されて、当該候補がシミュレーション装置200のディスプレイに表示され、ユーザからのキーボード操作により選択される。または、降伏関数等に応じていずれかの候補が優先的に表示または自動的に選択されてもよい。当該関数形には、当該材料に応じて同定されるべきパラメータを含んでいる。
パラメータ同定部230は、離散的な基準塑性ひずみε の値に対応して同定された離散的な材料特性パラメータαiの値の組を用いて、関数形のパラメータを同定することにより、連続的な基準塑性ひずみε と連続的な材料特性パラメータαiとの関係を示す関数を同定する(S34)。この場合に、最小二乗法等の数学的な手法が用いられる。
アルミニウム合金板を供試材として、降伏関数Yld2000−2dの材料特性パラメータαiの関数を同定した。供試材としては、板厚0.9mmのアルミニウム合金板6016−T4を用いた。Cube方位を主方位とし、板厚1/4の方位密度(ランダム比)は133である。
まず、圧延方向の単軸引張試験を行い、既定の基準塑性ひずみε に達した瞬間における単軸引張応力σと、基準塑性ひずみε に達するまでになされた単位体積あたりの塑性仕事Wを求めた。次いで、二軸引張り試験を行い、塑性仕事Wと等量の塑性仕事が消費された時点の応力点(σ,σ)を求めた。それらを主応力空間にプロットして、基準塑性ひずみε に対する等塑性仕事面を決定した。
図6は、各基準塑性ひずみε に対する応力σ、σを示す。基準塑性ひずみε は0.0002から0.16まで13個測定したが、図6ではそのうちの6個を代表して示した。
次に、シミュレーション装置200を用いて、当該等塑性仕事面を降伏関数Yld2000−2dを用いて近似する。ここで、Yld2000−2d下記数式1から6で表され、次数Mおよびαi(i=1から8)の計9つの材料特性パラメータを有する。
Xi´、Xi´´は2階のテンソルX´、X´´の主値であり、下記数式2および3で計算される。
X´、X´´はCauchy応力テンソルσを下記数式4により線形変換して得られる。
上記数式4は下記数式5および6の通りにマトリクス表示できる。
パラメータ同定部230は、圧延方向から0°、45°、90°方向の無次元化単軸引張応力σ/σ、σ45/σ、σ90/σおよびr値r、r45、r90に加えて、等二軸引張試験から測定された無次元化応力σ/σと塑性ひずみ速度比r=dε /dε を用いて材料特性パラメータαiを決定した。さらに、 パラメータ同定部230は、等塑性仕事面に対して、下記数式7に示す平均二乗誤差が最小となるように次数Mを決定した。
ここで、nは無次元化等塑性仕事面を構成する応力点の数であり、kは線形応力経路の番号である。rおよびr´はk番目の線形応力経路における実測応力点およびモデル化された降伏曲面までの原点からの距離である。
図7は、上記の計算により同定された、離散的な基準塑性ひずみε の値にそれぞれ対応した、離散的な材料特性パラメータαiの値の組を示す。基準塑性ひずみε の変化に対して材料特性パラメータαiがほぼ連続的に変化していることがわかる。
次数Mの関数形として、下記数式8を選択した。
上記数式8の次数Mを最小二乗法を用いて同定した。このように同定された次数Mを用いて、各基準塑性ひずみε に対応する材料特性パラメータαiを再度決定した。
材料特性パラメータの関数形として下記数式9を選択した。上記で計算された、各基準塑性ひずみε に対応する材料特性パラメータαiを用いて、最小二乗法により各パラメータを同定した。
図8に、上記により同定された各関数のパラメータを示した。図7に、当該関数で表された材料特性パラメータαiと基準塑性ひずみε との関係を曲線で示した。さらに、当該関数で表された材料特性パラメータM、αiを用いて等塑性仕事面を近似した結果を図6に曲線で示した。図6から分かるように、材料特性パラメータをM、αiを基準塑性ひずみε の関数として表すことにより、供試材の加工硬化の異方性が精度よく再現できていることがわかる。
図9は、本実施例における図4のステップS40の詳細を示すフローチャートである。まず空間の離散化、降伏関数等の初期設定がされる(S41)。
変形算出部240は、仮想的な時間増分Δtを付与し(S42)、当該時間増分Δtに応じた内圧増分ΔPを算出する(SS43)。さらに、変形算出部240は、加工の対象物に、仮想変位すなわちひずみ増分を付与する(S44)。変形算出部240は、材料特性パラメータαiを基準塑性ひずみε で表した関数を用いて、現在の基準塑性ひずみε の値に対する材料特性パラメータαiの値を算出する(S45)。変形算出部240は、当該材料特性パラメータαiの値を用いて応力増分Δσおよび基準塑性ひずみ増分Δε を算出する(S46)。この場合に、繰り返しステップnにおける応力およびひずみの値を元に、材料力学的な整合性を保ちつつ、応力増分Δσおよび基準塑性ひずみ増分Δε が算出される。上記ステップS46の結果に基づいて、変形算出部240は、接線剛性係数を算出する(S47)。
変形算出部240は、ステップS44で付与した仮想変位で、仮想仕事の原理を満たすことができたか否かを確認する(S48)。当該条件を満たせなかった場合には、ステップS44に戻って、当該条件を満たすまで計算が繰り返される(S48:No)。当該条件を満たしたら(S48:Yes)、変形算出部240は、仮想変位を確定して座標を更新する(S49)。
上記ステップS42からS49までが、予め設定された繰り返しステップ数で繰り返される(S50)。変形算出部240は、ステップS50による繰り返しが終了したら、変形状態の結果を出力する(S51)。
ステップS45およびS46において、材料特性パラメータαiの値を降伏関数に用いるごとに、材料力学の条件を満たすべく、基準塑性ひずみε の値をさらに補正するなど、繰り返し計算が含まれていてもよい。
上記ステップS44からS48の具体的な方法の一例は下記の通りである。まず、塑性仕事増分が等価となる応力−ひずみ関係を、下記数式10の通り、相当応力−相当塑性ひずみ線図として定義する。
応力積分アルゴリズムには後退Euler法を用いる。塑性仕事の増加に伴う異方硬化挙動を表現するために引数に相当塑性ひずみε−を加える。すなわち、降伏関数において、材料特性パラメータを塑性ひずみの関数として導入する。降伏関数を一般的に表現すると、下記数式11となる。
塑性ひずみの増分Δεの方向は、関連流れ則を適用すると、下記式12で表される。
ここで、γは塑性乗数を示す。塑性乗数γと相当塑性ひずみ増分との関係は数式11および12から、下記数式13のように表される。
ここで、σ(σ,ε−)はσの1次の斉次関数であるので、下記数式14の関係を利用した。
加工硬化式を下記数式15で表すと、増分前の解析ステップをnとおくと、増分後の降伏条件は下記数式16で表され、応力増分は数式17で表される。ここで、Cは4階の弾性テンソルである。
上記数式16および17を、Newton−Raphson法を用いて解く。この場合に、安定して収束解を得る方法として、多段リターンマッピングを用いる。この方法では、サブステップを導入することで満たすべき降伏関数を緩和させて安定した収束を維持し、次第に緩和を除去していき、収束解を解く。
この場合に、接線剛性は、上記応力積分アルゴリズムに整合したものにする。後退Euler法に従えば、増分後すなわちn+1ステップの降伏条件および応力は下記数式18および19を満たす。
σn+1とεn+1とを変数として両辺の全微分をとり、整理すると下記数式20をえる。ここで、下記数式21の定義を用いた。
以上により、有限要素法のシミュレーションにおいて、材料特性パラメータαiを基準塑性ひずみε の関数として表すことにより、供試材の異方硬化が導入される。これにより、当該シミュレーションが実験をより正確に再現したものとなる。
図10は、実施例2で用いた液圧バルジ成形を模式的に示す。上記降伏関数の妥当性を検証するために、液圧バルジ成形による実験検証を行った。ダイ穴直径φ150mmの円盤試験片20を液圧バルジ成形した。ひずみ分布は、一対のカメラ140、142を用いてデジタル画像相関法により検出した。
解析にはAbaqus/StandardVer6.11−1を用いた。液圧バルジ試験と同形状の金型を解析的剛体で定義し、ボルト締め付け力により算出された金型抑え力を加えた状態で内圧を負荷した。金型接触面の摩擦係数は0.3とした。対称性を考慮して1/4モデルとし、4節点低減積分シェル要素を用いた。要素分割は、半径方向に1mm(ただし、ビード成形される半径92から103mmの範囲では0.5mm)、半径30から110mmの範囲は円形方向に36分割、半径20mm以内の範囲は1辺1mm程度に自動分割とした。
加工硬化式には、圧延方向単軸引張り試験により同定されたSwiftの式を用いた。解析に用いた降伏関数は、 実施例1で同定されたYld2000−2dを用いた。 すなわち、各材料特性パラメータM、αiを、数式8、9および図8の各パラメータで同定される塑性ひずみεの関数として表した、Yld2000−2dを用いた。以下、この降伏関数を、Yld2000−2d(DWH)または単にDWHと表すことがある。上記条件を用いて、変形算出部240により有限要素法を実行した。
比較例として、等方硬化モデルであるvonMises、および、Hill´48の降伏二次関数を用いた。さらに他の比較例として、基準塑性ひずみε が0.002、0.04、0.16に対する等塑性仕事面に対して各材料特性パラメータM、αiを同定したYld2000−2dを用いた。これらの各材料特性パラメータαiを図11に示した。
図12は、頂点部の真板厚ひずみ|ε|対内圧P線図の実験値と有限要素法計算値との比較を示す。有限要素法計算の終了点は、内圧増分をΔP=1×10−10MPa/step以下にしなければ計算が収束しなくなった点を示しており、実験で負荷される最大内圧に対応する。
図12に示されるように、Yld2000−2d(DWH)は全域にわたり実験値とほぼ一致し、最大内圧の予測精度も向上している。これに対し、vonMisesおよびM=6.7は最大内圧を過大に予測している。一方、Hill´48は最大内圧を過小に予測している。M=12.5および37.8は内圧が4MPa以下においては実験値をよく再現できているものの、最大内圧を過大に予測している。
図13から図15は、圧延方向から0°、45°、90°方向の子午線に沿った板厚歪み分布である。図13がバルジ成形高さh=10mm、図14が20mm、図15が38mmである。
図13では、頂点部の板厚ひずみ|ε|は約0.025であり、低ひずみ状態であることに対応する。Yld2000−2d(DWH)は、全域にわたり実験値を最も正確に再現できている。これに対し、M=6.7は実験値の傾向を良く再現できているものの、他のvonMises、Hill´48、M=12.5、38.7は、いずれかの領域で値を過大または過小に評価した結果となっている。
図14では、頂点部の板厚ひずみ|ε|は約0.08であり、中程度のひずみ状態であることに対応する。Yld2000−2d(DWH)は、全域にわたり実験値を最も正確に再現できている。これに対し、M=12.5は実験値の傾向を良く再現できているものの、他のvonMises、Hill´48、M=6.7、38.7は、いずれかの領域で値を過大または過小に評価した結果となっている。
図15では、頂点部の板厚ひずみ|ε|は約0.28であり、大きいひずみ状態であることに対応する。Yld2000−2d(DWH)は、Rが0から20mmの範囲で実験値を正確に再現できている。これに対し、vonMises、Hill´48、M=6.7、12.5、38.7は、いずれかの領域で値を過大または過小に評価した結果となっている。
以上、図12から図15の結果によれば、実施例2として、材料特性パラメータを塑性ひずみの関数として表したYld2000−2dを用いたことにより、成形初期から成形終了に至るまでのすべての成形段階に対して解析精度が向上した。
以上、本実施形態によれば、材料特性パラメータを基準塑性ひずみの関数として表したことにより、異方硬化をより正確に再現したシミュレーションができる。これまでは、実際の加工は異方硬化を伴うことが多いにもかかわらず、シミュレーションで異方硬化の再現性が不十分であったので、実物の大掛かりな破壊試験等を行っていた。これに対し、本実施形態によれば、異方硬化を考慮した加工対象の変形状態が予測できるので、破壊試験等をせずに済み、時間及びコストを大幅に削減することができる。また、材料特性パラメータを基準塑性ひずみに対して同定するときに用いる情報を、応力比が可変な二軸バルジ試験装置から得るので、材料ごとにより正確な材料パラメータを特定することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10 円管試験片、12 中空部、20 円盤試験片、100 二軸バルジ試験装置、102 本体、104 コントローラ、110、112 把持部、120、122 駆動部、130 圧力調整部、132 流路、140、142 カメラ、200 シミュレーション装置、202 CD−ROM、210 パラメータ取得部、220 応力値取得部、230 パラメータ同定部、240 変形算出部、250 格納部

Claims (7)

  1. 材料特性パラメータを含む予め定められた降伏関数を用いて、予め定められた材料の対象物について成形シミュレーションを実行するシミュレーション装置であって、
    前記材料について、基準塑性ひずみの値と前記基準塑性ひずみに対応する前記材料特性パラメータの値との関係を取得するパラメータ取得部と、
    前記対象物に仮想変位を与えた場合における、基準塑性ひずみの値に対応した前記材料特性パラメータの値を逐次、前記降伏関数に用いて、前記対象物の変形状態を算出する変形算出部と
    を備えるシミュレーション装置。
  2. 前記パラメータ取得部は、
    前記材料に対して、2軸の応力の比が異なるように2軸引張試験をしたときの2軸の応力の値を、予め定められた複数の基準塑性ひずみの値に対応付けて複数取得する応力値取得部と、
    前記複数の2軸の応力の値に基づいて、前記複数の基準塑性ひずみの値ごとに、前記材料特性パラメータの値を同定するパラメータ同定部と
    を有する請求項1に記載のシミュレーション装置。
  3. 前記パラメータ同定部は、前記降伏関数における等塑性仕事面の応力の値に、前記複数の基準塑性ひずみの値ごとの降伏曲面が整合するように、前記材料特性パラメータの値を同定する請求項2に記載のシミュレーション装置。
  4. 前記パラメータ同定部は、前記複数の基準塑性ひずみの値ごとに同定した前記材料特性パラメータの値に基づいて、基準塑性ひずみと材料特性パラメータとの関係を示す関数を同定する請求項3に記載のシミュレーション装置。
  5. 前記変形算出部は、前記材料特性パラメータの値を前記降伏関数に用いるごとに、材料力学の条件を満たすべく、前記基準塑性ひずみの値をさらに補正する請求項3に記載のシミュレーション装置。
  6. 材料特性パラメータを含む予め定められた降伏関数を用いて、予め定められた材料の対象物について成形シミュレーションを実行するシミュレーション方法であって、
    前記材料について、基準塑性ひずみの値と前記基準塑性ひずみに対応する前記材料特性パラメータの値との関係を取得するパラメータ取得段階と、
    前記対象物に仮想変位を与えた場合における、基準塑性ひずみの値に対応した前記材料特性パラメータの値を逐次、前記降伏関数に用いて、前記対象物の変形状態を算出する変形算出段階と
    を備えるシミュレーション方法。
  7. 材料特性パラメータを含む予め定められた降伏関数を用いて、予め定められた材料の対象物について成形シミュレーションを実行するコンピュータを制御するプログラムであって、
    前記材料について、基準塑性ひずみの値と前記基準塑性ひずみに対応する前記材料特性パラメータの値との関係を取得するパラメータ取得段階と、
    前記対象物に仮想変位を与えた場合における、基準塑性ひずみの値に対応した前記材料特性パラメータの値を逐次、前記降伏関数に用いて、前記対象物の変形状態を算出する変形算出段階と
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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