以下に、図面を参照して本発明に係る位置情報サービス提供システムの実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
図1は、本発明の実施の形態に係る位置情報サービス提供システムの概略を説明する図である。図1に示すように、位置情報サービス提供システム100は、発電情報送信手段10と、携帯情報端末20とを備えている。
発電情報送信手段10は、測位対象エリアMA内に設置されている。測位対象エリアMAとは、測位対象移動体1がアクセス可能なエリアである。測位対象移動体1とは、例えば人や車両(自動車、バス、バイク、自転車、鉄道の列車など)などである。
なお、測位対象エリアMAは、屋外と屋内のいずれでもよく、測位対象移動体1がアクセス可能なエリアであれば特に限定されるものではない。測位対象エリアMAは、屋外であれば、例えば、比較的人口が集中する市街地や商業地区、観光地、公園、屋外施設などの地域や、その他の町や村などの地域であってもよい。また、測位対象移動体1としての車両や人などが通行する特定のルート(道路、通路、線路など)や、車両などの停車駅やその周辺の地域などであってもよい。また、測位対象エリアMAは、屋内であれば、例えば、店舗内や商業施設内、文化・公共施設内、空港内、駅内、地下街、住宅やビル、工場などの建造物内、地下道やトンネル内などであってもよい。また、測位対象エリアMAは、鉄道列車などの乗物・車両内であってもよい。
本実施の形態では、測位対象移動体1は人であるとする。そして、発電情報送信手段10は、測位対象エリアMA内の物体である床の表面に複数設置されているものとする。なお、床とは通路などの床も含まれる。
携帯情報端末20は、測位対象移動体1に携帯され、測位対象移動体1とともに移動するものである。携帯情報端末20は、例えば人が携帯する携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、自動車等に搭載されるカーナビゲーション端末、鉄道車両などに搭載される自動列車制御端末などである。なお、携帯情報端末20を動作させるための電源は、電池であってもよく、その他外部電源であってもよい。
図2は、実施の形態に係る位置情報サービス提供システムの構成を示す図である。図2に示すように、位置情報サービス提供システム100において、発電情報送信手段10は、発電手段11と、電力変換制御手段12と、固有ID情報記憶手段13と、固有ID情報送信手段14とを備えている。
発電手段11は、測位対象移動体1によって付与される外力2で発電するものであり、その外力2は、測位対象移動体1が発電手段11に直接的または間接的に接触することによって付与されるものである。電力変換制御手段12は、発電手段11が発電した電力を、固有ID情報記憶手段13および固有ID情報送信手段14を動作させるのに適する電力に変換するものである。固有ID情報記憶手段13は、各発電情報送信手段10に固有に割り当てて設定することができるID情報が書き込まれ、かつ書き込まれた固有ID情報の記憶が可能なものである。固有ID情報送信手段14は、固有ID情報記憶手段13に記憶された固有ID情報を無線信号3にて無線送信するものである。
上記構成により、発電情報送信手段10は、測位対象エリアMA内の測位対象移動体1によって付与される外力2で発電し、発電した電力を用いて発電情報送信手段10の固有ID情報を無線送信することができる。
また、図2に示すように、位置情報サービス提供システム100において、携帯情報端末20は、固有ID情報受信手段21と、位置関連情報記憶手段22と、位置推定手段23と、位置情報サービス提供手段24と、通信手段25と、を備えている。さらに、携帯情報端末20は、受信強度測定手段26と、距離推定手段27とを備えている。
固有ID情報受信手段21は、発電情報送信手段10が無線信号3にて無線送信した固有ID情報を受信できるように構成されている。位置関連情報記憶手段22は、測位対象エリアMA内の位置に関連する情報を記憶している。記憶されている情報については後に詳述する。
位置推定手段23は、位置関連情報記憶手段22に記憶された情報と固有ID情報受信手段21が無線信号3にて受信した固有ID情報とに基づいて測位対象移動体1の位置を推定できるように構成されている。位置情報サービス提供手段24は、推定した位置情報に基づく位置情報サービス4を測位対象移動体へ提供できるように構成されている。通信手段25は、情報管理サーバ30と通信できるように構成されている。
受信強度測定手段26は、発電情報送信手段10の固有ID情報送信手段14から送信される無線信号3を受信する際の受信強度を測定することができるように構成されている。距離推定手段27は、受信強度測定手段26によって測定された受信強度によって、その無線信号3を送信した発電情報送信手段10と測位対象移動体1との距離(推定距離)を推定することができるように構成されている。
(発電情報送信手段の構成)
つぎに、発電情報送信手段10の構成についてより具体的に説明する。
図3は、発電情報送信手段の構成例を示す図である。図3(a)に示すように、発電情報送信手段10は、シート状の発電手段11、電力変換制御手段12、固有ID情報記憶手段13、固有ID情報送信手段14、端子15などをシート状のパッケージ部材16に内包した構成を有している。図3(b)は、図3(a)のA−A線断図である。図3(b)に示すように、発電手段11は、例えば、圧電性を有する圧電部材110の両面に電極117a、117bを設けた構成を有する。この構成によれば、測位対象移動体1から外力を付与されると圧電部材110が変形し、これにより圧電部材110の表面に電荷が誘起され、その電荷の誘起に伴って電極117a、117bに電荷が静電誘導されて発電する方式(圧電方式)を利用することができる。
また、発電手段11の代わりに、図3(c)に示す発電手段11Aを用いてもよい。発電手段11Aは、対向する電極117a、117b間に、半永久的に電荷を保持し、周囲に静電界を付与できるエレクトレット誘電体111を配し、電極117a、117bの少なくともいずれか一方(図中では電極117b)とエレクトレット誘電体111との間には部分的にスペーサ112を介在させることで空隙113が設けられた振動発電体で構成されている(たとえば、特許文献8〜10参照)。この構成によれば、測位対象移動体1から外力を付与されると、主に空隙113の変形によるエレクトレット誘電体111と電極117bとの相対的な位置が変化し、したがって電極117a、117bとの相対的な位置が変化し、この際に電極117a、117bに電荷が静電誘導されて発電する方式(静電誘導方式)を利用することができる。また、特許文献10に開示されるような振動ケーブルを用いて発電手段を構成してもよい。また、外力付与に対する発電出力を高めるために、図3(b)、3(c)に示した圧電部材や振動発電体を積層構造としたものを発電手段として用いてもよい。さらには、コイルと磁石とを用いて構成され、測位対象移動体1から外力を付与されると、コイルと磁石との相対的な位置が変化し、この際にコイルに生じる電磁誘導によって発電する方式(電磁誘導方式)を利用する発電手段を用いてもよい。
さらに、発電手段11は、外力の付与によって発電される機構であり、電力変換制御手段12を動作させ、さらには電力変換制御手段12の動作で適正化された電力で固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14とを動作させるのに十分な発電を得ることが好ましいが、そのような十分な発電できるものであればその方式や機構は特に限定されるものではない。
電力変換制御手段12は、例えば、ダイオード等を用いた整流回路、コンデンサ、およびDC−DCコンバータ(定電圧変換回路)などで構成される定電圧電源の機能を有し、固有ID情報記憶手段13や固有ID情報送信手段14を動作させるのに適正な直流電圧を出力する。
一般的に、測位対象移動体1からの外力付与によって発電手段11が発電する電圧は交流電圧であり、交流電圧の波高値も不規則である。一方、固有ID情報記憶手段13や固有ID情報送信手段14を動作させるためには比較的安定した適正な極性、電圧レベルの直流電圧が好ましい。電力変換制御手段12によれば、例えば、発電手段11からの発電出力(交流電圧)を整流回路とコンデンサとの組合せによって整流して直流電圧に変換し、この直流電圧をDC−DCコンバータによって適正な直流電圧レベルに変換することで、適正な直流電圧が得られる。
なお、固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14とで適正な直流電圧が異なる場合には、それぞれに適正な直流電圧を供給するように電力変換制御手段12を構成すればよい。
さらには、電力変換制御手段12は、固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14とを動作させるのに必要な電力量が得られたか否かを判断し、必要な電力量が得られた場合にのみ、固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14とに適正な直流電圧を出力して供給する出力制御機能を備えていてもよい。このように、電力変換制御手段12は、発電手段11から発電される電力を適正かつ安定な直流電圧に変換する定電圧電源の機能と、必要な電力量が得られた場合にのみ直流電圧を出力する出力制御機能とを有する構成としてもよい。このような構成の電力変換制御手段12とすることで、必要な電力量が得られない状態で直流電圧を出力してしまい、固有ID情報記憶手段13と固有ID情報送信手段14との双方を動作できないまま無駄に電力が消費されるという事態を防ぐことができる。
固有ID情報記憶手段13は、例えば、固有ID情報を記憶できる記憶装置としての不揮発性メモリと、不揮発性メモリへ固有ID情報を設定(書き込み)して記憶させ、記憶された固有ID情報を不揮発性メモリから読み出すことができるリード・ライト手段とで構成される。本実施の形態では、発電情報送信手段10の電源は、測位対象移動体1からの外力付与によって発電手段11で発電される電力のみであるため、測位対象移動体1からの外力付与がない時には無電源状態となる。したがって、固有ID情報を記憶するメモリは不揮発性メモリである。不揮発性メモリの種別に関しては特に限定されるものではないが、例えば、情報のリード・ライトが可能なフラッシュメモリなどを利用することができる。
固有ID情報記憶手段13への固有ID情報の設定方法も特に限定されるものではない。設定方法としては、例えば、図3に示すように、発電情報送信手段10に固有ID情報を設定したり、設定されている固有ID情報を読み出すための端子15が設けられていてもよい。これにより、固有ID情報を設定、読み出しできる外部端末を端子に有線で接続することによって、固有ID情報記憶手段13へ固有ID情報を設定したり、固有ID情報記憶手段13に記憶されている固有ID情報を読み出したりすることができる。
また、例えば、近距離無線通信技術(NFC)を用い、発電情報送信手段10に固有ID情報の通信(設定、読み出し)と無線受電とをすることが可能な近距離無線通信用のアンテナを設けてもよい。この場合、近距離無線通信で固有ID情報を通信(設定、読み出し)することができ、かつ発電情報送信手段10へ無線給電することが可能な外部端末を用意することで、無線通信によって固有ID情報記憶手段13への固有ID情報の設定と読み出しを行うことができる。すなわち、固有ID情報の設定、読み出しを行いたい発電情報送信手段10へ、無線通信および無線給電が可能な距離まで外部端末を接近させ、外部端末から発電情報送信手段10へ固有ID情報の設定、読み出しに必要な電力を無線給電し、無線通信によって固有ID情報の設定、読み出しを固有ID情報記憶手段13に対して行うことができる。この場合、発電情報送信手段10と外部端末とが非接触状態で固有ID情報の設定、読み出しを行うことができるため、発電情報送信手段10の設置状況が、発電情報送信手段10の端子15への有線による外部端末との接続が困難な状況である場合においても、簡便かつ確実に固有ID情報の設定、読み出しを行うことができるため好ましい。
固有ID情報送信手段14は、例えば、固有ID情報記憶手段13に記憶された固有ID情報を読み出し、固有ID情報を無線送信規格に準拠しかつ無線送信できる情報形態に変換し、無線信号を生成する機能と、生成された無線信号3にて固有ID情報を無線通信規格に従って送信する機能と、送信に必要なアンテナとを有する。なお、無線通信規格は、携帯情報端末20で受信できる無線通信規格である必要がある。
固有ID情報の無線通信に利用する無線通信規格は、特に限定されるものではなく、例えば、WiFi(登録商標)通信規格、Bluetooth(登録商標)通信規格、Bluetooth Low Energy通信規格、もしくはZigBee(登録商標)通信規格、またはその他独自の無線通信方式を使用してもよい。このとき、測位対象移動体1が付与する外力2によって発電手段11が発電する程度の電力で無線信号3を送信できる通信規格を選択することが好ましく、無線信号3の送信に必要な消費電力が小さい無線通信規格を選択することがより好ましい。
また、固有ID情報送信手段14は、固有ID情報送信手段14へ適正な電力が供給された場合にのみ、固有ID情報記憶手段13から固有ID情報を読み出し、読み出した固有ID情報を無線信号3にて無線送信する構成とすることが好ましい。これにより、固有ID情報送信手段14への電力供給により固有ID情報送信手段14が電源オン(投入)され、固有ID情報を含む無線信号3の送信のスイッチ・オンとなる仕組みとなるので、前述した電力変換制御手段12での電圧出力制御によって、固有ID情報送信の制御をすることができる。
(携帯情報端末の構成)
つぎに、携帯情報端末20の構成について説明する。
固有ID情報受信手段21は、例えば、携帯情報端末20に備えられた通信モジュールの機能により実現されており、発電情報送信手段10での無線送信に使用される無線通信規格に準拠し、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を含む無線信号3を受信できるアンテナと、受信した無線信号3を携帯情報端末20内で処理ができる信号形態に変換する変換部とを有する。
位置関連情報記憶手段22は、例えば、測位対象エリアMA内の位置に関連する情報を記憶できる記憶装置である不揮発性メモリと、不揮発性メモリへそれらの位置情報の設定(書き込み)および読み出しができるリード・ライト手段とを有する。
位置関連情報記憶手段22は、測位対象エリアMA内の位置に関連する情報として、測位対象エリアMA内の発電情報送信手段10の設置位置を示す設置位置情報のリスト(設置位置情報リスト221)や、測位対象エリアMA内の地図情報222や、測位対象移動体1の推定位置情報およびその履歴(推定位置情報履歴223)や、固有ID情報または推定位置情報に関連づけられたサービス情報(サービス情報224)などを記憶している。さらに、位置関連情報記憶手段22は、測位対象エリアMA内の各発電情報送信手段10に設定された固有ID情報のリスト(固有ID情報リスト225)も記憶している。また、位置関連情報記憶手段22は、後述するように発電情報送信手段10における無線信号3の送信電波強度情報を記憶していてもよい。
発電情報送信手段10の設置位置情報としては、例えば、発電情報送信手段10の形状を含めた位置座標情報や、代表的な位置座標情報(例えば中心位置座標)や、外力付与して発電できる有効面積やサイズに関する情報などの位置座標情報である。また、測位対象移動体1の位置推定をしやすくするために、発電情報送信手段10の形態(シート状、押しボタンスイッチ状、ロッカースイッチ状など)を示す情報や、設置対象物(通路・床、壁、柱、扉、テーブル、座席、展示物、商品、設備・機器、昇降機など)に関する情報などを発電情報送信手段10の設置位置情報として含んでいてもよい。
固有ID情報または推定位置情報に関連づけられたサービス情報とは、例えば、ある特定のエリアに測位対象移動体1が位置したら、危険を警告したりする注意喚起サービス情報や、乗物や劇場などの空席状況や駐車場など空車状況などを通知し、誘導するサービス情報や、列車など乗物の混雑状況などを通知し、混雑緩和のための誘導をするサービス情報や、店舗や商業施設、公共施設、地域、企業などの宣伝情報、またはクーポン、特典情報といったサービス情報や、商業施設内や駅構内などの混雑状況を示すサービス情報や、混雑緩和を誘導するサービス情報や、展示物や商品、観光名所などを紹介するサービス情報などである。また、サービス情報は、宝探しゲームや探検・探索ゲームなどのエンターテイメント性を持たせたサービス情報や、オリエンテーリングやジョギング、マラソンなどのスポーツ性を持たせたサービス情報であってもよい。また、サービス情報は、災害や停電時などの非常時に避難ルートを示したりする避難誘導情報などであってもよい。
また、地図情報222の形態は特に限定されるものではないが、例えば、測位対象移動体1が移動可能な場所と移動不可な場所とが識別できる位置情報や、店舗や施設内(商業施設、工業施設、文化・公共施設など)などのフロア・マップ情報や、地域のマップ情報や、発電情報送信手段10の設置位置情報と関連づけられた地図情報などである。測位対象移動体1が移動可能な場所とは、例えば、道路・通路・床や、壁や敷居などに設けられた出入口(扉、ドア、門など)などである。また、測位対象移動体1が移動不可な場所とは、例えば、壁、敷居、塀、柱、棚などや、その他の測位対象移動体1の移動・通行を妨げる構造物などが設置されている場所である。
位置関連情報記憶手段22が有する不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリや磁気記憶装置(ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光磁気ディスクなど)、光ディスク(CDディスク、DVDディスク、Blue−rayディスクなど)であり、携帯情報端末20の形態などによって適宜選択することができる。また、位置関連情報記憶手段22が有する記憶装置は、不揮発性メモリに限定されるものではなく、携帯情報端末20の形態や位置情報提供サービスの利用方法などによっては、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)などの揮発性メモリであってもよく、記憶装置の方式は適宜選択できる。また、位置関連情報記憶手段22が有する記憶装置は、複数の記憶装置を組合せて構成したものでもよい。例えば、測位対象移動体1の移動に伴って適宜更新・記録がなされる推定位置情報や位置情報サービスは、位置情報のリード・ライトが可能なフラッシュメモリに記憶させ、測位対象移動体1の移動に伴って更新・記録の必要がない測位対象エリアMA内の地図情報や発電情報送信手段10の設置位置情報などは、リードオンリーでもよい記憶媒体(例えば、CDディスク、DVDディスクなどの記録ディスクやROMなど)に記憶させるように、位置関連情報記憶手段22が有する記憶装置を構成してもよい。
位置推定手段23は、例えば、携帯情報端末20に備えられたCPUおよびメモリの機能によりソフトウェア的に実現される。位置推定手段23は、固有ID情報受信手段21が受信した固有ID情報が入力され、位置関連情報記憶手段22に記憶された固有ID情報リスト225を参照して固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定し、さらに設置位置情報リスト221に含まれる発電情報送信手段10の設置位置情報リスト221を参照し、その設置位置を測位対象移動体1の現在の位置と推定する。これにより、位置推定手段23は、測位対象移動体1の位置を推定することができる。
また、位置推定手段23は、例えば、測位対象移動体1以外の他の移動体がいずれかの発電情報送信手段10へ外力を付与したことによって送信された固有ID情報と、測位対象移動体1がいずれかの発電情報送信手段10へ外力を付与したことによって送信された固有ID情報とを識別する機能を有していてもよい。このとき、測位対象移動体1による外力付与によって送信された固有ID情報を選択し、その固有ID情報が割り当てられた発電情報送信手段10の設置位置を参照し、その設置位置を測位対象移動体1の現在の位置とすることで測位対象移動体1の位置を推定することができる。また、上記において、位置推定手段23は、例えば他の移動体がいずれかの発電情報送信手段10へ外力を付与したことによって送信された固有ID情報と、その固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定し、位置関連情報記憶手段22に記憶される発電情報送信手段10の設置位置情報や測位対象エリアMA内のその他位置情報を参照し、それらの位置情報から距離などを演算(計算)することによって測位対象移動体1の現在位置を推定することができるように構成されていてもよい。ここで距離とは、例えば、測位対象移動体1(携帯情報端末20)と発電情報送信手段10との距離や、複数の発電情報送信手段10同士の距離などを意味する。
位置情報サービス提供手段24は、位置推定手段23が推定した測位対象移動体1の推定位置情報に基づく位置情報サービスを測位対象移動体1へ提供する。
位置情報サービスとは、測位対象移動体1の推定位置情報に関連したサービスであれば特に限定されるものではない。例えば、単純に測位対象移動体1の現在の推定位置を現在位置として示すサービスや、測位対象移動体1の移動ルートの履歴を記録するサービスや、現在地から目的地までの移動ルートを示したり、災害や停電時などの非常時に避難ルートを示したりするナビゲーションサービスであってもよい。また、上述したサービス情報に基づいたサービスであってもよい。すなわち、ある特定のエリアに測位対象移動体1が位置したら、危険を警告したりする注意喚起サービスや、空席状況や空車状況などを通知し、誘導するサービスであったり、乗物の混雑状況などを通知し、混雑緩和のための誘導をするサービスや、店舗や商業施設、公共施設、地域、企業などの宣伝情報、またはクーポン、特典情報を提供するサービスや、商業施設内や駅構内などの混雑状況を示すサービスや、混雑緩和を誘導するサービスや、展示物や商品、観光名所などの情報を提供するサービスであってもよい。また、情報サービスは、エンターテイメント性やスポーツ性を持たせたサービス(例えば、チェックポイントの通過履歴や、走行・歩行ルート履歴情報を記録したりするサービスなど)であってもよい。
位置情報サービス提供手段24は、たとえば携帯情報端末20の表示部(ディスプレイ)、音声発生機能や振動(バイブレーション)発生機能により構成されている。そして、位置情報サービス提供手段24は、例えば、表示部を利用して測位対象移動体1の現在位置や移動ルートの履歴を表示したり、ナビゲーション情報を表示したり、店舗や商業施設のクーポンや特典情報、案内情報や宣伝情報を表示したり、展示物や商品、観光名所などの案内情報を表示したり、空席・空車情報や混雑状況を表示したりすることで、測位対象移動体1へ位置情報サービスを提供することができる。また、位置情報サービス提供手段24は、音声発生機能や振動発生機能などを利用して、音声や振動などでそれらの案内情報や注意喚起等を測位対象移動体1へ通知することで、測位対象移動体1へ位置情報サービスを提供することができる。
通信手段25は、たとえは、携帯情報端末20に備えられた通信モジュールの機能により実現されており、無線通信ネットワーク等を介して情報管理サーバ30と通信する。データセンタなどである情報管理サーバ30は、たとえば携帯情報端末20による測位対象移動体1の位置推定と、測位対象移動体1への位置情報サービスの提供とを実現するために必要なアプリケーションソフトウェアを、例えば以下の手順、方法で提供する。
(a)携帯情報端末20の通信手段25が情報管理サーバ30へアクセスし、位置情報サービスの提供に必要なアプリケーションソフトウェアのダウンロードを行う。
(b)携帯情報端末20にてダウンロードしたアプリケーションソフトウェアを起動する。ここで、測位対象移動体1は、必要に応じてログインなどの認証手続きを行う。この際、測位対象エリアMA内での位置推定に必要な情報や、固有ID情報または推定位置情報に関連づけられたサービス情報も携帯情報端末20へダウンロードされる。
(c)アプリケーションの起動中は、固有ID情報の受信に基づき、携帯情報端末20内で測位対象移動体1の位置推定処理が行われる。
(d)携帯情報端末20は、位置推定処理の結果に基づいた位置情報サービスを測位対象移動体1へ通知、提供する。
(e)携帯情報端末20と情報管理サーバ30との通信は、基本的には(a)、(b)でのアプリケーションのダウンロードおよびログインの時のみであり、それ以降での位置推定および位置情報サービス提供は携帯情報端末20のみによって行われる。
(f)ただし、推定位置に基づく位置情報サービスが随時更新される場合には、適宜携帯情報端末20と情報管理サーバ30との間でたとえばプッシュ型の通信を行い、携帯情報端末20内のサービス情報が更新されるようにしてもよい。サービス情報が更新される場合とは、例えば、店舗等の時間帯サービス(クーポンや特典など)などが該当するが、特に限定はされない。
受信強度測定手段26は、例えば、携帯情報端末20に備えられた受信強度測定機能により実現されており、発電情報送信手段10の固有ID情報送信手段14から送信される無線信号3を受信する際の受信強度を測定する。
距離推定手段27は、例えば、携帯情報端末20に備えられたCPUおよびメモリの機能によりソフトウェア的に実現される。距離推定手段27は、受信強度測定手段26によって測定された受信強度によって、その固有ID情報を送信した発電情報送信手段10と携帯情報端末20(測位対象移動体1)との距離を計算により推定し、発電情報送信手段10と測位対象移動体1との推定距離として出力する。
無線通信において、理論的には、電波の強度は電波の伝播距離の自乗に反比例して減衰するという関係がある。距離推定手段27は、この関係を利用して、無線通信による固有ID情報の受信電波強度から電波強度の減衰量を計算し、その電波強度の減衰量から電波の伝播距離を計算することによって、その電波の伝播距離を発電情報送信手段10と携帯情報端末20(測位対象移動体1)との推定距離として導出することができる。
ここで、受信電波強度から電波の減衰量を計算するためには、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報の送信電波強度に関する情報が必要である。発電情報送信手段10から送信される固有ID情報の送信電波強度に関する情報は、例えば、予め発電情報送信手段10の設置位置情報に含めて位置関連情報記憶手段22が記憶しておくことができる。また、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報の送信電波強度に関する情報は、送信する固有ID情報の中に含めることもできる。上記のいずれの方法においても、距離推定手段27は、受信した固有ID情報に対する送信電波強度情報を参照することができ、送信電波強度と受信電波強度とから電波強度の減衰量を計算することで、発電情報送信手段10と携帯情報端末20(測位対象移動体1)との推定距離を導出することができる。
また、電波強度の減衰量は、電波の伝播する環境や物質などによっても異なる。そのため、例えば、送信電波強度に関する情報において、携帯情報端末20が測位対象移動体1に携帯される状況や環境を考慮して、その状況や環境を電波が伝播する際の電波強度の減衰量の範囲を予め設定しておき、距離推定手段27が、設定された電波強度の減衰量の範囲を用いて発電情報送信手段10と携帯情報端末20(測位対象移動体1)との推定距離を補正することができるようにしてもよい。
同様に、距離推定手段27は、位置関連情報記憶手段22に記憶された、設置位置情報リスト221における固有ID情報を送信した発電情報送信手段10の設置位置情報と、測位対象移動体1の推定位置情報履歴223における最新履歴と、測位対象エリアMAの地図情報222と、発電情報送信手段10と携帯情報端末20(測位対象移動体1)との推定距離の計算結果とから、発電情報送信手段10と携帯情報端末20との間の電波の伝播経路を計算し、その伝播経路に構造物などの障害物がある場合には、その障害物を伝播する際の電波強度の減衰量の範囲を計算し、計算した電波強度の減衰量の範囲を用いて発電情報送信手段10と携帯情報端末20(測位対象移動体1)との推定距離を補正することができるようにしてもよい。
(位置情報サービス提供システムの動作例1)
次に、位置情報サービス提供システム100の動作例1について、図1、2を参照して説明する。
まず、人である測位対象移動体1が、携帯電話またはスマートフォンなどの携帯情報端末20を携帯しながら、測位対象エリアMAである通路内を通行し、移動する。測位対象エリアMAの床の表面には発電情報送信手段10が複数設置されている。
測位対象移動体1は、発電情報送信手段10の上を通行して足で踏むことによって、その発電情報送信手段10に直接的に外力2を付与する。すると、発電情報送信手段10において、発電手段11は発電し、発電した電力を電力変換制御手段12に出力する。電力変換制御手段12は、発電手段11が発電した電力が入力され、この電力を固有ID情報記憶手段13および固有ID情報送信手段14を動作させるのに適する電力に変換し、それぞれに出力する。固有ID情報送信手段14は、固有ID情報記憶手段13に記憶された、この発電情報送信手段10に固有に割り当てて設定された固有ID情報を読み出し、無線信号3にて固有ID情報を無線通信規格に従ってアンテナから送信する。
携帯情報端末20において、固有ID情報受信手段21は、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を含む無線信号3を受信し、受信した無線信号3を携帯情報端末20内で処理ができる信号に変換し、位置推定手段23に出力する。位置推定手段23は、固有ID情報が入力されると、位置関連情報記憶手段22に記憶された固有ID情報リスト225を参照して、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10を特定する。位置推定手段23は、さらに設置位置情報リスト221に含まれる発電情報送信手段10の設置位置情報を参照し、その設置位置を測位対象移動体1の現在の位置と推定することで、測位対象移動体1の位置を推定することができる。
このように、測位対象エリアMA内の既知の位置に発電情報送信手段10が設置されており、測位対象エリアMA内に設置した個々の発電情報送信手段10の設置位置情報と、その個々の発電情報送信手段10の固有ID情報とを対応付けることにより、測位対象移動体1の位置を推定することができる。なお、設置位置情報リスト221および固有ID情報リスト225の代わりに、発電情報送信手段10の設置位置情報と固有ID情報とを1つにしたリストを位置関連情報記憶手段22に記憶して利用してもよい。
位置推定手段23は、推定した測位対象移動体1の推定位置情報を位置情報サービス提供手段24に出力する。位置情報サービス提供手段24は、推定位置情報に基づく位置情報サービスを測位対象移動体1へ提供する。
このように、この位置情報サービス提供システム100は、測位対象エリアMA内の測位対象移動体1によって付与される外力2で発電情報送信手段10が発電し、発電した電力を用いて発電情報送信手段10の固有ID情報を無線信号3にて無線送信し、さらに測位対象移動体1に携帯される携帯情報端末20が、受信した固有ID情報に基づいて測位対象移動体1の位置を推定し、推定位置情報に基づく位置情報サービス4を測位対象移動体1へ提供するようにしているので、より確実に測位対象移動体1の位置を推定し、的確な位置情報サービス4を提供することができる。
また、この位置情報サービス提供システム100では、位置推定手段23は、測位対象エリアMA内の地図情報222や、測位対象移動体1の推定位置情報履歴223を参照することによって、より精度の高い測位対象移動体の位置推定を行うことができる。そして、測位対象移動体1の推定位置情報に関連づけられたサービス情報224や測位対象移動体の推定位置情報履歴223の参照により、位置情報サービス提供手段24は測位対象移動体1へ、より的確な位置情報サービス4を提供することができる。
また、この位置情報サービス提供システム100では、発電情報送信手段10が、測位対象移動体1による1回の外力付与に対して、固有ID情報を含む無線信号3を送信できるだけの十分な発電を行い、固有ID情報を送信できるように構成することができる。このようにすることで、発電情報送信手段10は、測位対象移動体1からの外力付与によって確実に固有ID情報を送信するというスイッチ的な役割を担うことができる。その結果、測位対象移動体1が発電情報送信手段10へ外力2を付与することによって、確実に位置推定を行うことができる。
また、この位置情報サービス提供システム100では、発電情報送信手段10は、動作に必要な電源が、測位対象移動体1が付与する外力2による自己発電で確保され、発電情報送信手段10から携帯情報端末20への固有ID情報の送信は無線により行われる。そのため、発電情報送信手段10を設置する際の電源配線や通信配線といった配線工事は不要である。したがって、発電情報送信手段10の設置が容易であり、設置工事費を抑えられ、レイアウト変更も容易であるといった、設置自由度を高めることができるという利点がある。また、発電情報送信手段10に対する電気料金の課金も削減できる。また、発電情報送信手段10では電池を使用しないため、電池の管理コスト(電池の充電状態監視や、電池交換、電池の在庫管理など)も削減される。したがって、この位置情報サービス提供システム100は、導入コストが低く導入のための煩雑な工事等も不要であるため、導入が容易なものとなっている。さらには、この位置情報サービス提供システム100では、災害や停電といった非常事態においても、携帯情報端末20が電池等で動作された状態であり、かつ発電情報送信手段10が損傷を受けて機能を失わない限り、測位対象移動体1に推定位置情報等の位置情報サービスを提供することができ、信頼性が高い。このため、例えば、この位置情報サービス提供システム100を用いれば、上記のような非常事態に、測位対象移動体1の推定位置情報と推定位置に基づいた避難誘導ルートのナビゲーション情報の提供といった位置情報サービス4を提供することが可能である。
さらには、この位置情報サービス提供システム100では、発電情報送信手段10と測位対象移動体1に携帯される携帯情報端末20との間の固有ID情報の通信で測位対象移動体1の位置推定がなされる。そのため、測位対象移動体1の推定位置情報は測位対象移動体1にのみ通知され、測位対象移動体1を識別できる(推定)位置情報が他者(測位対象移動体1以外の移動体や位置監視システムなど)には通知されない。すなわち、この位置情報サービス提供システム100では、固有ID情報の通信は、発電情報送信手段10から送信され、携帯情報端末20で受信されるという一方向の通信であり、受信した固有ID情報に基づいて携帯情報端末20内で位置推定がなされ、携帯情報端末20が測位対象移動体1へ位置情報サービス4を提供する。そのため、例えば、位置推定を行う際に携帯情報端末20を所有する測位対象移動体1を識別できる情報が、他の通信システム等(無線基地局など)に送信されることはない。したがって、測位対象移動体1は、他者に自身の位置を知られずに、自身の推定位置情報を取得することができる。そのため、測位対象エリアMA内で測位対象移動体1が位置や行動を監視されているといった不快感や不安感などを持つことがない。また、この位置情報サービス提供システム100によれば、個人情報の取扱いという点でも、リスクの少ない位置情報サービス提供システムを実現することができる。
ここで、位置推定の精度は、測位対象移動体1が発電情報送信手段10へ外力2を付与する際の発電情報送信手段10と、測位対象移動体1に携帯される携帯情報端末20との距離や、測位対象移動体1が外力2を付与可能な発電情報送信手段10の面積(サイズ)、測位対象移動体1の移動速度などに依存して決まる。また、発電情報送信手段10と携帯情報端末20との距離は、携帯情報端末20の位置と、測位対象移動体1が発電情報送信手段10へ外力2を付与可能な距離または測位対象移動体1と発電情報送信手段10との位置関係と、で決まる。
例えば、本実施の形態のように、測位対象移動体1が人であり、携帯情報端末20が携帯電話やスマートフォンであり、携帯情報端末20を測位対象移動体1が手に持って携帯している状態であり、発電情報送信手段10が、測位対象移動体1が通行する通路に設置されており、通路に設置された発電情報送信手段10の上を測位対象移動体1が通行し、足で踏むことによって発電情報送信手段10へ外力2を付与する場合を考える。この場合、人の身長にも依存するが、発電情報送信手段10と携帯情報端末20との距離(固有ID情報の送受信距離または通信距離)は、1m程度である。
また、測位対象移動体1が自動車などの車両であって、測位対象移動体1の車内に携帯情報端末20が搭載され、発電情報送信手段10は測位対象移動体1が通行する道路に設置され、道路に設置された発電情報送信手段10の上を測位対象移動体1が通行し、タイヤで踏むことによって発電情報送信手段10へ外力2を付与する場合にも、発電情報送信手段10と携帯情報端末20との距離はおよそ1m程度であると考えられる。
このように、測位対象移動体1の種別(人や車両)によって、測位対象移動体1が外力2を付与できる発電情報送信手段10と携帯情報端末20との距離(通信距離)はおおよそ決まる。したがって、測位対象移動体1が外力2を付与可能な発電情報送信手段10の面積(サイズ)を適正にすることで、必要な位置推定精度を容易に実現することができる。例えば、測位対象移動体1の移動速度が、位置推定するために必要な時間に対して十分遅く、上述のように測位対象移動体1が人であり、通路に設置された発電情報送信手段10の上を通行する場合を考えると、携帯情報端末20による位置推定した結果が測位対象移動体1に提供される時点では、発電情報送信手段10上に測位対象移動体1が位置していると考えられる。したがって、1m程度の位置推定精度が必要な場合には、測位対象移動体1が外力を付与可能な発電情報送信手段10のサイズを例えば1m×1mの正方形状または直径1mの円状とすればよい。
また、発電情報送信手段10の設置場所は、本実施の形態のような床に限らず、測位対象エリアMA内に存在し、測位対象移動体1が外力を付与できるあらゆる構造物に設置することができる。測位対象エリアMA内に存在する構造物としては、例えば、測位対象移動体1が通行する通路・道路・床や、壁、柱、扉、窓、テーブルや椅子、ショーケース、棚、展示物、商品、置物、ポスター、掲示板、設備・機器、昇降機(エスカレータ、エレベータ)などである。また、測位対象移動体1の位置を推定する上では、発電情報送信手段10を設置する構造物は、その位置が固定されているものであることが好ましい。これにより、発電情報送信手段10の設置位置が固定されるので、発電情報送信手段10から送信される固有ID情報に基づき、より正確に位置を推定することができる。ただし、位置が移動する構造物に発電情報送信手段10を設置してもよい。この場合においても、その構造物の移動範囲が限定される場合には、その移動範囲に応じた精度で位置を推定することができる。
発電情報送信手段10の形状や設置形態は、上記の設置場所に応じて適宜選択することができる。例えば、通路・道路・床などへ設置する場合には、発電情報送信手段10を、パッケージ部材に内包し薄いシート状やマット状として、通路・道路・床などへ置いたり、粘着材や接着材にて貼り付けたり、埋め込んだりすることで設置することができる。また、通路・道路・床を構成するマット・タイルや、コンクリート、アスファルトなどへ発電情報送信手段10を組み込んだり、発電情報送信手段10を土壌などの地面へ埋め込んだりすることで設置することができる。その他として、発電情報送信手段10を、壁、柱、扉、窓、テーブルや座席、棚、展示物、商品、置物、ポスター、掲示板、設備・機器、昇降機(エスカレータ、エレベータ)などへ設置する場合にも、例えば、発電情報送信手段10を薄いシート状として、設置対象物へ貼り付けたり、埋め込んだり、置いたりすることで設置することができる。また、上記のように発電情報送信手段10を薄いシート状とする場合には、発電情報送信手段10にフレキシブル性がある方が好ましい。フレキシブル性を有する発電情報送信手段10は、設置対象物の形状に応じて柔軟に設置することができるため、設置自由度が高い。また、発電情報送信手段10の形状をシート状とする場合のシートの形状は特に限定されるものではなく、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形など)や円、楕円などでもよい。また、発電情報送信手段10の形状・形態はシート状の他に、押しボタンスイッチ型や、ロッカースイッチ型などの形状・形態をとってもよく、テーブル、壁、棚、扉、窓、展示物、商品、置物、設備・機器などへ設置することができる。
また、発電情報送信手段10は、マット・タイルなどの建築部材をパッケージ部材として内包してもよく、粘着テープや粘着シートの中に内包してもよく、押しボタンスイッチ型やロッカースイッチ型などのパッケージ部材で内包してもよく、それら内包したものを発電情報送信手段10としてもよい。
また、測位対象移動体1が発電情報送信手段10へ外力を付与する形態も特に限定されるものではなく、測位対象移動体1の種別、発電情報送信手段10の形状、設置場所、設置形態などに応じて適宜選択することができる。例えば、発電情報送信手段10を構成する発電手段11へ測位対象移動体1が接触することによって直接的に外力を付与する形態としてもよいし、測位対象移動体1が他の部材に接触することによって外力を付与し、当該他の部材を介して間接的に発電手段11へ外力を付与する形態としてもよい。
さらに、測位対象移動体1が発電手段11や他の部材に接触する方法は特に限定されるものではない。例えば、本実施の形態のように測位対象移動体1が人である場合には、手で押したり、足で踏んだり、座ったりするといった体の一部を発電手段11や他の部材に接触させることによって外力を付与することができる。
人である測位対象移動体1が手で押して触れることによって発電情報送信手段10へ外力を付与するにあたって、発電情報送信手段10の形状・形態は特に限定されるものではないが、例えば、下記のような形状・形態をとることによって、人が手で押しやすく、触れやすくすることができる。
(a)上述したように発電情報送信手段10をシート状とし、シート状の発電情報送信手段10を人が手で押したり、触れたりしやすい構造物へ組み込んだり、置いたり、貼り付けたりすることで設置することができる。
(b)上述したように、発電情報送信手段10を、例えば押しボタンスイッチ型やロッカースイッチ型とし、人が手で押したり、触れたりしやすい構造物へこれらのスイッチ型の発電情報送信手段10を設置する。
また、発電情報送信手段10を座席に組み込む場合、人である測位対象移動体1が座席へ座る行為によって、座席に組み込まれた発電情報送信手段10の発電手段11へ外力2が付与され、発電手段11が例えば変形することで発電し、その結果固有ID情報が送信される。ただし、発電情報送信手段10を座席に組み込む場合はこれに限らず、例えば、座っている人が離席する際にも同様に発電情報送信手段10の発電手段11で発電が行われ、その結果、発電情報送信手段10が固有ID情報を送信することも可能である。これは、座席に人が座っている間に外力を受けて変形した発電手段11が、人が離席することによる外力の除荷によって、元の形状に戻る方向に変形し、その変形過程でも発電が行われるからである。すなわち、発電手段11における発電は、主に、測位対象移動体1の外力付与により受ける変形過程と、その外力の除荷によって元の形状に戻る変形過程のそれぞれで行われ、このとき固有ID情報を送信できるのに十分な発電が行われることが好ましい。このとき、発電手段11における発電が、測位対象移動体1の外力付与により受ける変形過程と、その外力の除荷によって元の形状に戻る変形過程とで発電される発電量の総和で固有ID情報を送信できる電力量を確保するように発電手段11を構成してもよく、いずれか一方の変形過程で固有ID情報を送信できる電力量を確保するように発電手段11を構成してもよい。なお、発電手段11における発電が、移動体1の外力付与により受ける変形過程と、その外力の除荷によって元の形状に戻る変形過程との双方で行われることは、発電情報送信手段10を座席に組み込む場合に限らず、他の構造物(例えば、床・通路・道路や壁、柱など)に組み込む場合にも同様である。したがって、座席以外の他の構造物に発電情報送信手段10を組み込む場合においても、発電手段11における発電が、移動体1の外力付与により受ける変形過程と、その外力の除荷によって元の形状に戻る変形過程とで発電される発電量の総和で固有ID情報を送信できる電力量を確保するように発電手段11を構成してもよく、いずれか一方の変形過程で固有ID情報を送信できる電力量を確保するように発電手段11を構成してもよい。いずれの場合も、固有ID情報を送信できる電力量を確保できた場合に固有ID情報送信手段14によって固有ID情報が送信されるようにすればよい。
座席への発電情報送信手段10の組込方法に関して特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法がある。
(a)シート状の発電情報送信手段10を座席の座部分に内蔵させる。
(b)シート状の発電情報送信手段10を座席の背もたれ部分に内蔵させる。
(c)シート状の発電情報送信手段10を、例えば座布団の中に内蔵させ、その座布団を座席の上に設置する。
(d)シート状の発電情報送信手段10(パッケージ部材に内包したもの)を座席に置く、あるいは貼り付けて設置する。
また、測位対象移動体1が車両である場合には、車両が走行する面(通路、道路、床など)に発電情報送信手段10が設置され、車両に備え付けられた車輪(タイヤなど)が地面に設置された発電情報送信手段10に接触することによって外力を付与したり、車両を運転する人が、周囲の構造物に設置されている発電情報送信手段10へ身を乗り出して接触することによって外力を付与することができる。このように、測位対象移動体1が車両などの場合では、携帯情報端末20が車両に搭載されて測位対象移動体1とともに移動するが、車両自身が直接的または間接的に発電情報送信手段10へ外力を付与するだけでなく、車両を運転する人が周囲の構造物に設置されている発電情報送信手段10へ外力を付与することによっても、発電情報送信手段10が発電して固有ID情報を送信するので、結果として携帯情報端末20が固有ID情報を受信し、測位対象移動体1である車両の位置を推定することができる。
なお、携帯情報端末20では、受信強度測定手段26が、送信された固有ID情報を受信する際の受信強度を測定し、距離推定手段27が、測定された受信強度によって、受信した固有ID情報を送信した発電情報送信手段10と携帯情報端末20(測位対象移動体1)との距離を推定し、位置推定手段23が、受信した固有ID情報に加えて、距離推定手段27によって推定された推定距離も利用して、測位対象移動体1の位置を推定するようにしてもよい。これにより、より精度の高い測位対象移動体1の位置推定を行うことができる。
(位置情報サービス提供システムの動作例2)
次に、位置情報サービス提供システム100の動作例2について、図2、4を参照して説明する。この動作例2では、図4に示すように、測位対象エリアMA内を移動する移動体として、測位対象移動体1の他に、他の移動体1A、1B、1Cが存在する。
図1に示すように、測位対象エリアMA内に測位対象移動体1しか存在せず、他の移動体は存在しない場合には、携帯情報端末20が受信する無線信号3は、必ず測位対象移動体1が外力付与した発電情報送信手段10から送信された無線信号3である。したがって、その固有ID情報から発電情報送信手段10の設置位置情報を参照することによって、確実に測位対象移動体1の位置を推定することができる。
一方、図4に示すように、測位対象エリアMA内に他の移動体1A、1B、1Cが存在する場合には、他の移動体1A、1B、1Cが外力付与した発電情報送信手段10からも固有ID情報を含む無線信号3A、3B、3Cが送信され、測位対象移動体1が携帯する携帯情報端末20が各固有ID情報をも受信する場合がある。したがって、携帯情報端末20は、測位対象移動体1の位置推定のためには、受信した無線信号に含まれる固有ID情報が、測位対象移動体1が外力付与した発電情報送信手段10の固有ID情報であるか、測位対象エリアMA内の他の移動体1A、1B、1Cのいずれかが外力付与した発電情報送信手段10からの固有ID情報であるかを識別し、選択する必要がある。
そこで、本動作例2では、携帯情報端末20における位置関連情報記憶手段22は、さらに、測位対象移動体1が外力を直接的または間接的に付与できる発電情報送信手段10と携帯情報端末20との距離の範囲である設定距離の範囲を記憶している。さらに、位置推定手段23は、距離推定手段27が推定した、受信した固有ID情報を送信した発電情報送信手段10と携帯情報端末20(測位対象移動体1)との推定距離と、設定距離の範囲とを比較する。そして、位置推定手段23は、推定距離が設定距離の範囲にある場合には、受信した固有ID情報が、測位対象移動体1が外力を付与した発電情報送信手段10から送信された固有ID情報であると判断し、位置関連情報記憶手段22に記憶された設置位置情報リスト221および固有ID情報リスト225を参照し、その固有ID情報に対応する発電情報送信手段10の位置情報によって、測位対象移動体1の位置を推定する。一方、位置推定手段23は、推定距離が設定距離の範囲外である場合には、受信した固有ID情報が、他の移動体1A、1B、1Cが外力を付与した発電情報送信手段10から送信された固有ID情報であると判断する。これにより、測位対象エリアMA内に他の移動体1A、1B、1Cが存在していたとしても、受信した固有ID情報のうち、測位対象移動体1が外力付与した発電情報送信手段10によって送信された無線信号3に含まれる固有ID情報を識別して選択することができ、選択した固有ID情報を送信した発電情報送信手段10の設置位置情報から、測位対象移動体1の位置を精度よく推定することができる。
距離推定手段27で推定される推定距離を用いて上記固有ID情報を識別することができるのは、上述したように、測位対象移動体1が外力付与できる発電情報送信手段10と、測位対象移動体1が携帯する携帯情報端末20との距離の範囲はおおよそ決まることによる。例えば、上述のように測位対象移動体1が人であり、携帯情報端末20が携帯電話やスマートフォンであり、携帯情報端末20を測位対象移動体1が手に持って携帯している状態であり、発電情報送信手段10が、測位対象移動体1が通行する通路に設置されており、通路に設置された発電情報送信手段10の上を測位対象移動体1が通行し、足で踏むことによって発電情報送信手段10へ外力2を付与する場合を考える。この場合、人の身長にも依存するが、発電情報送信手段10と携帯情報端末20との距離は、1m程度である。また、測位対象移動体1が自動車などの車両であって、測位対象移動体1の車内に携帯情報端末20が設置され、発電情報送信手段10は測位対象移動体1が通行する道路に設置され、道路に設置された発電情報送信手段10の上を測位対象移動体1が通行し、タイヤで踏むことによって発電情報送信手段10へ外力2を付与する場合にも、発電情報送信手段10と携帯情報端末20との距離はおよそ1m程度であると考えられる。
したがって、上述のように、位置推定手段23が、距離推定手段27によって推定された推定距離と設定距離の範囲とを比較し、推定距離が設定距離の範囲内にあれば、受信した固有ID情報が測位対象移動体1の外力付与によって送信された無線信号3の固有ID情報であると判断し、それ以外であれば他の移動体1A、1Bまたは1Cの外力付与によって送信された無線信号3A、3Bまたは3Cの固有ID情報であると判断し、位置を推定することで、測位対象移動体1の位置を精度よく推定することができる。
設定距離の範囲は、例えば、測位対象移動体1が人であれば、大人、子供、性別などを考慮した人の身長の範囲や携帯情報端末20の携帯状況(例えば、手に持っている状況やカバンや衣類のポケットなどに入れてある状況など)、発電情報送信手段10の設置状況(道路・通路・床や壁など)、発電情報送信手段10への外力付与方法(手、足やその他身体の一部を利用した接触による外力付与)などを考慮して決定すればよい。例えば、設定距離の範囲は、0.3m〜2mとしたり、0m〜2mとしたりすることができる。測位対象移動体1が車両である場合に対しても、人である場合と同様なことを考慮して設定距離の範囲を決定すればよい。
(位置情報サービス提供システムの動作例3)
次に、位置情報サービス提供システム100の動作例3について、図2、5、6を参照して説明する。この動作例3でも、図5、6に示すように、壁などの仕切Wによって仕切られた測位対象エリアMA内を移動する移動体として、測位対象移動体1の他に、他の移動体1A、1B、1Cが存在する。
測位対象エリアMA内では、測位対象移動体1の外力付与で発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を、携帯情報端末20が必ずしも受信できるとは限らないという問題がある。例えば、発電情報送信手段10へ測位対象移動体1が外力2を付与している状態でも、外力付与による発電手段11での発電出力が、電力変換制御手段12や固有ID情報記憶手段13、固有ID情報送信手段14を動作させるのに不十分な量であれば、固有ID情報は送信されない。また、例えば、測位対象移動体1が人であり、発電情報送信手段10が道路や通路、床に設置され、その発電情報送信手段10の上に人が静止していると見なせる状態では、発電手段11による発電出力は固有ID情報を送信するには不十分であり、固有ID情報は送信されない。また、測位対象エリアMA内における測位対象移動体1がアクセス可能なエリアの全てに発電情報送信手段10が設置されるとは限らない。すなわち、図5、6にも示すように、測位対象移動体1が外力を付与可能な位置の範囲内には発電情報送信手段10が設置されないようなエリアに、測位対象移動体1が位置する場合には、測位対象移動体1は自身の外力付与によって固有ID情報を受信することはできない。
しかしながら、測位対象移動体1が自身の外力付与によって固有ID情報を受信することができない状況であっても、図5、6に示すように、他の移動体1A、1B、1Cの外力付与によって送信される固有ID情報を含む無線信号3A、3B、3Bを受信できる場合がある。そこで、本動作例3では、携帯情報端末20において、固有ID情報受信手段21が、他の移動体1A、1B、1Cの発電情報送信手段10への外力付与によって送信された固有ID情報を含む無線信号3A、3B、3Bを受信する。そして、位置推定手段23が、その固有ID情報から距離推定手段27によって計算される、無線信号3A、3B、3Bの送信元である発電情報送信手段10と携帯情報端末20との推定距離と、位置関連情報記憶手段22に記憶される発電情報送信手段10の設置位置情報(設置位置情報リスト221)や測位対象エリアMAの地図情報222、測位対象移動体1の推定位置情報履歴223における最新履歴などを利用して、測位対象移動体1の位置を推定する。
たとえば、図6に符号5で測位対象移動体1の移動経路の一例を示している。本例では、測位対象移動体1が紙面上方から測位対象エリアMAに進入し、移動経路5に沿って移動する。すると、測位対象移動体1は、この移動経路5に設置された各発電情報送信手段10に外力を付与する。その結果として得られた各推定位置(図中黒丸で示す)に関する推定位置情報が、推定位置情報履歴として位置関連情報記憶手段22に記憶される。位置推定手段23はこのような測位対象移動体1の推定位置情報履歴223における最新履歴などを利用して、測位対象移動体1の位置を推定する。
例えば、図5、6において、携帯情報端末20の距離推定手段27によって、無線信号3A、3B、3Cに含まれる固有ID情報に対応する発電情報送信手段10と携帯情報端末20との推定距離A、B、Cが計算される。そして、位置推定手段23は、これらの固有ID情報を送信した各発電情報送信手段10の設置位置情報リスト221を用いて推定距離A、B、Cを半径とする範囲6A、6B、6C(推定距離A、B、Cの範囲)が重なる領域に携帯情報端末20(測位対象移動体1)が位置していると推定することができる。
なお、他の移動体1A、1B、1Cの外力付与によって送信された固有ID情報を利用して測位対象移動体1の位置を推定する場合と、測位対象移動体1自身の外力付与によって送信された固有ID情報を利用して測位対象移動体1の位置を推定する場合とでは、位置推定の精度が異なる。すなわち、他の移動体1A、1B、1Cの外力付与によって送信された固有ID情報を利用する場合の方が、位置推定精度が悪い。したがって、測位対象移動体1の推定位置情報履歴を位置関連情報記憶手段22に記憶する際には、他の移動体1A、1B、1Cの外力付与によって送信された固有ID情報を利用して推定された測位対象移動体1の位置情報の履歴(間接推定位置情報履歴)と、測位対象移動体1自身の外力付与によって送信された固有ID情報を利用して推定した測位対象移動体1の位置情報の履歴(直接推定位置情報履歴)とを、区別して記憶することが望ましい。
さらには、位置関連情報記憶手段22が記憶している、測位対象移動体1の推定位置情報履歴223における最新履歴や、測位対象エリアMA内の発電情報送信手段10の設置位置情報リスト221や、通路や壁、柱、出入口などの位置情報などの地図情報222などの位置情報を参照することによって、位置推定手段23は、測位対象移動体1の存在する確率の高い位置範囲を計算し、測位対象移動体1の推定位置(たとえば範囲6)を導出することができる。
なお、図5、6では、3つの他の移動体1A、1B、1Cが存在し、これらからの3つの固有ID情報を受信・取得しているが、受信する固有ID情報の数は特に限定されない。携帯情報端末20が、他の移動体の存在による外力付与によって送信された固有ID情報を少なくとも1つ受信できれば、位置推定手段23は、位置関連情報記憶手段22に記憶された測位対象移動体1の推定位置情報履歴223や、発電情報送信手段10の設置位置情報リスト221や、地図情報222などを利用して、測位対象移動体1の位置を推定することができる。なお、このように測位対象移動体1自身の外力付与による固有ID情報が取得できない場合においては、携帯情報端末20が、他の移動体の存在による外力付与によって送信された固有ID情報を受信する数が多いほど、測位対象移動体1の推定位置精度を高めることができるので好ましい。
ここで、この位置情報サービス提供システム100では、移動体(測位対象移動体1または他の移動体)によって外力付与された発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を、測位対象移動体1とともに移動する携帯情報端末20が受信することによって測位対象移動体1の位置を推定している。したがって、携帯情報端末20が固有ID情報を受信することができなければ、測位対象移動体1の位置を精度高く推定することが難しいという問題がある。また、固有ID情報は、例えば常に定期的に送信されているというものではなく、測位対象移動体1を含めた移動体の存在や行動に依存して送信される。そこで、携帯情報端末20が固有ID情報を受信する毎に測位対象移動体1の位置を推定する代わりに、以下のようにしてもよい。すなわち、測位対象移動体1の移動速度や要求される位置推定精度(測位精度)を考慮して、複数の固有ID情報を受信するために適正な、所定の時間範囲を位置推定手段23に設定し、設定した所定の時間範囲内で受信した1つまたは複数の固有ID情報とその固有ID情報の送信元である発電情報送信手段10との推定距離とを関連付けて記憶させる。そして、位置推定手段23が、所定の時間範囲内で受信した1つまたは複数の固有ID情報と固有ID情報の送信元である発電情報送信手段10との推定距離を利用して、測位対象移動体1の位置を推定する。このようにすることは、測位対象移動体1の推定位置精度を高める上で効果的である。
また、上述したように、測位対象移動体1自身の移動や行動によって発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を携帯情報端末20で受信できれば、より確実かつ精度の高い測位対象移動体1の位置推定を行うことができる。そのためには測位対象エリアMA内での移動体がアクセスできる全領域に多数の発電情報送信手段10を設置することが好ましい。しかしながら、このように全領域に発電情報送信手段10を設置することは、設置効率としては非効率である場合がある。したがって、設置効率の観点からは、発電情報送信手段10については、測位対象エリアMA内の要所に設置し、その要所に設置した発電情報送信手段10から送信される固有ID情報を利用して、測位対象移動体1の位置を必要な精度で推定できるようにしてもよい。ここで、発電情報送信手段10を設置する要所とは、測位対象エリアMA内での測位対象移動体1を含めた移動体の移動や行動に伴ってより確実に発電情報送信手段10へ外力付与ができる位置であることが好ましい。
さらに、携帯情報端末20において、位置推定手段23は、上述した所定の時間範囲内に固有ID情報を受信しない場合には、直接推定位置情報履歴と間接推定位置情報履歴のうち最新の推定位置情報履歴の推定位置を測位対象移動体1の推定位置とするようにしてもよい。これにより、位置推定手段23は、携帯情報端末20が設定された所定の時間範囲内に固有ID情報を受信しない場合においても、測位対象移動体1の位置を推定することができる。
なお、携帯情報端末20が固有ID情報を受信しない状況としては、以下の状況が考えられる。
(a)測位対象移動体1が外力付与可能な位置に発電情報送信手段10が設置されていない場合。すなわち、発電情報送信手段10が設置されていない位置に測位対象移動体1が居る場合。
(b)測位対象移動体1が外力付与可能な位置に発電情報送信手段10が設置され、外力2が付与されていても、固有ID情報を送信するのに十分な電力量の発電が発電情報送信手段10で行われない場合(例えば、通路、床などに発電情報送信手段10が設置されており、測位対象移動体1がその上で静止に近い状態である場合など)。
(c)測位対象移動体1が外力付与可能な位置に発電情報送信手段10が設置されていても、測位対象移動体1が外力付与行為を行わない場合(例えば、壁やテーブルなどに発電情報送信手段10が設置されていても、人である測位対象移動体1が手で発電情報送信手段10を押すなどの、外力2を付与する行為をしない場合など)。
(d)測位対象移動体1が上記(a)〜(c)の状況であり、かつ他の移動体が存在しない場合。
(e)他の移動体が存在していても、それらが上記(a)〜(c)の測位対象移動体1と同様な状況にある場合。
(f)他の移動体の存在によって固有ID情報が送信されても、携帯情報端末20がそれを受信できない場合(例えば、他の移動体と測位対象移動体1との距離が、固有ID情報の受信ができない程度に離れていたり、他の移動体と測位対象移動体1との間に、固有ID情報の受信を妨げる障害物が存在していたりする場合)。
(g)携帯情報端末20に複数の固有ID情報が同時に到達した場合、通信の衝突が起こることにより、携帯情報端末20では到達したいずれの固有ID情報も受信することができない場合。例えば、測位対象移動体1が外力付与した発電情報送信手段10から送信される固有ID情報と、他の移動体が外力付与した発電情報送信手段10から送信される固有ID情報とが、同時に携帯情報端末20に到達した場合には、通信の衝突が起こり、携帯情報端末20では同時に到達したいずれの固有ID情報も受信することができない状態となる場合がある。
上記いずれの場合においても、上述したように、必要な推定位置精度を確保するように測位対象エリアMA内の要所に発電情報送信手段10が設置されている場合には、測位対象移動体1の現在の推定位置を、測位対象移動体1の推定位置情報履歴(直接推定位置情報履歴と間接推定位置情報履歴)のうち、最新の推定位置情報履歴における推定位置と同じ位置であると推定することで、必要な推定位置精度を確保することができる。
(固有ID情報の割り当て方法)
ここで、上述したように固有ID情報については、発電情報送信手段10に個別に割り当てられている。しかし、固有ID情報の割り当て方法についてはこれに限らず、例えば、複数の発電情報送信手段10に同一の固有ID情報が割り当られていてもよい。この場合、例えば、測位対象エリアMAが複数のブロックに区分けされており、1つ以上の発電情報送信手段10が各ブロックに存在する物体の表面または内部に設置されており、同一ブロック内に設置される複数の発電情報送信手段10に、同一の固有ID情報が割り当られている。
これにより、測位対象エリアMA内で必要な測位対象移動体1の位置推定精度を確保しつつ、複数設置される発電情報送信手段10の全てに個別の固有ID情報を割り当てる必要がなくなる。そのため、測位対象エリアMA内での発電情報送信手段10への固有ID情報の割り当て作業の簡便化や、割り当てることができる固有ID情報の制約の回避や、発電情報送信手段10の設置位置と固有ID情報との関連を示した地図情報上でのマッピングの簡略化、さらには携帯情報端末20での位置推定処理の簡便化などを実現することができる。
図7は、ブロックの配置の一例を示す図である。本例では、仕切Wによって仕切られた測位対象エリアMA内が、複数のブロック50に区分けされている。ブロック50は、測位対象エリアMA内の全ての領域に配置される必要はなく、測位対象移動体1の位置推定の目的(位置情報提供サービスの目的)や要求される精度に応じて測位対象エリアMAの要所に配置されればよい。
ブロック50に存在する物体の表面または内部には、1つ以上の発電情報送信手段10が設置されている。ただし、ブロック50内の全てのエリアに発電情報送信手段10が配置される必要はなく、上述の場合と同様に、測位対象移動体1の位置推定の目的(位置情報提供サービスの目的)や要求される精度に応じてブロック50の要所に発電情報送信手段10が配置されればよい。
ブロック50の中の発電情報送信手段10の設置場所は、ブロック50の中に存在し、測位対象移動体1を含む移動体がアクセス可能または外力付与可能な場所や構造物であれば特に限定されるものではない。例えば、発電情報送信手段10の設置場所は、ブロック50の中に存在する床(通路、道路など)や、壁、柱、棚、テーブル、座席、扉、窓、展示物、商品、設備・機器などであってもよい。ブロック50に存在するそれらの複数の構造物に発電情報送信手段10を設置し、各ブロック50の中に設置した発電情報送信手段10の全てに同一の固有ID情報が割り当てられればよい。
測位対象エリアMA内での複数のブロック50の設置方法や、ブロック50内での発電情報送信手段10の設置方法は、上述したように、測位対象移動体の位置推定の目的(位置情報提供サービスの目的)や要求される精度に応じて測位対象エリアMAの要所に設置されるようにすればよく、特に限定されるものではない。例えば、以下のようなブロック50または発電情報送信手段10の設置方法が挙げられる。
(a)測位対象エリアMA内で、測位対象移動体1が必ず通過する場所に、ブロック50とその中の発電情報送信手段10を設置する。例えば、測位対象エリアMAが商業施設内の通路であれば、通路の幅と人である測位対象移動体1の歩幅とを考慮し、どのような測位対象移動体1がブロック50を通過しても、必ずブロック50の中に設置された発電情報送信手段10のいずれかを踏んで通過するように設置する。通路に設定するブロック50の間隔は、例えば通路に隣接する店舗間隔を考慮したり、固有ID情報の無線送信における送受信可能距離(発電情報送信手段10と携帯情報端末20との間の送受信可能距離)や、携帯情報端末20が受信した固有ID情報から計算した推定距離(発電情報送信手段10と携帯情報端末20との距離)により測位対象移動体1自身で発電情報送信手段10へ付与した外力による固有ID情報の送受信であるのか否かを判断できる距離範囲を考慮するなどして設定すればよい。
(b)発電情報送信手段10が設置されている場所が測位対象移動体1に対して明示されている必要はない。したがって、測位対象移動体1が発電情報送信手段10を意識して外力を付与する必要はない。一方、発電情報送信手段10が設置されている場所を測位対象移動体1へ明示することで、意識的に測位対象移動体1が発電情報送信手段10へ外力を付与して位置情報を取得するようにしてもよい。この態様は、測位対象移動体1が測位対象エリアMA内で位置情報サービスの提供を受けたいという意思がある場合に適しており、位置情報サービスの提供を受けたい時に、測位対象移動体1が意識して発電情報送信手段10が設置されている場所を探し、発電情報送信手段10へ外力を付与することで位置情報サービスを受けるというものである。発電情報送信手段10の設置場所の明示方法は特に限定されるものではないが、例えば、発電情報送信手段10が床(道路、通路など)に設置される場合には、発電情報送信手段10の設置部分の床の色や模様を変えたり、設置されている旨の表示をしたりすることで測位対象移動体1へ設置場所を明示することができる。また、発電情報送信手段10が、壁や柱、棚、テーブル、座席、扉、窓、展示物、商品、設備・機器などの他の構造物へ設置される場合も同様に明示することができる。
(c)(b)のように、発電情報送信手段10の設置場所を明示することによって、測位対象移動体1が位置情報サービスを受けるために意識的に発電情報送信手段10を探して、発電情報送信手段10へ外力を付与することが可能になるため、測位対象エリアMA内での発電情報送信手段10の設置数を必要最小限に抑えることができる。
なお、上記実施の形態では、携帯情報端末20が、位置関連情報記憶手段22、位置推定手段23および距離推定手段27を備えているが、本発明はこれに限らず、位置関連情報記憶手段22、位置推定手段23および距離推定手段27が、情報管理サーバ30に備えられていてもよい。この場合、携帯情報端末20では、固有ID情報受信手段21および受信強度測定手段26が、通信手段25を介して、受信した固有ID情報と測定した受信強度とを情報管理サーバ30へ送信し、情報管理サーバ30において、距離推定手段27が、受信強度によって、固有ID情報を送信した発電情報送信手段10と測位対象移動体1との距離を推定し、位置推定手段23が、固有ID情報と推定距離とに基づいて測位対象移動体1の位置を推定し、情報管理サーバ30が、推定位置情報とこの推定位置情報に関連づけられたサービス情報とを携帯情報端末20へ送信するようにしてもよい。このとき、携帯情報端末20において、位置情報サービス提供手段24は、受信したサービス情報に基づき、位置情報サービス4を測位対象移動体1へ提供する。
このような構成とすることで、測位対象移動体1の位置推定をするにあたって、携帯情報端末20の機能としては、固有ID情報の受信機能とその受信強度の測定機能とに機能の簡略化を行うことができ、受信した固有ID情報とその受信強度とを情報管理サーバ30へ送信することで、測位対象移動体1が位置情報サービスを受けることができる。すなわち、携帯情報端末20が受信した固有ID情報とその受信強度とに基づく測位対象移動体1の位置推定機能を、全て情報管理サーバ30に持たせることができる。
この場合、測位対象エリアMA内で測位対象移動体1が位置推定による位置情報サービス4の提供を受けたい場合には、例えば、以下の仕組み、手順によってその提供を実現することができる。
(a)携帯情報端末20の通信手段25が情報管理サーバ30へアクセスし、位置情報サービスの提供に必要なアプリケーションソフトウェアのダウンロードを行う。
(b)携帯情報端末20にてダウンロードしたアプリケーションソフトウェアを起動する。ここで、測位対象移動体1は、必要に応じてログインなどの認証手続きを行う。
(c)アプリケーションの起動中は、固有ID情報の受信およびその受信強度の測定は自動的に行われ、受信した固有ID情報およびその受信強度は情報管理サーバ30へ送信される。
(d)情報管理サーバ30は、携帯情報端末20から送信された固有ID情報およびその受信強度に基づき、測位対象移動体1の位置を推定し、位置推定結果に基づいたサービス情報を携帯情報端末20へ送信する。
(e)携帯情報端末20は、情報管理サーバ30から送信されたサービス情報に基づき、位置情報サービス4を測位対象移動体1へ提供する。
上記において、情報管理サーバ30における固有ID情報およびその受信強度に基づく測位対象移動体1の位置推定方法や、携帯情報端末20での測位対象移動体1への位置情報サービス提供方法は、携帯情報端末20で全ての位置推定処理を行う場合と同様である。なお、このように情報管理サーバ30で測位対象移動体1の位置推定処理がなされる場合には、情報管理サーバ30と携帯情報端末と20の間で頻繁に送受信を行う必要があり、情報管理サーバ30によって測位対象移動体1の位置が常時監視されることにもなる。
以上説明したように、本発明によれば、より導入が容易であり、推定位置精度および信頼性の高い位置情報サービス提供システムが実現される。
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。