JP2016013326A - 血流維持型血管内視鏡システム - Google Patents
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Abstract
Description
血管内視鏡は胃カメラと異なり、直径2〜3mmの非常に細い冠動脈などへ挿入するため、内視鏡カテーテルを4〜5Fr(フレンチ;3Fr=1mm、4Fr=1.3mm、5Fr=1.6mm)程度まで細くする必要がある。また、生理食塩水などの透明な薬液を注入して血液を一時的に排除して視界を確保する必要があること、血管内皮は損傷し易いので構造や材質に配慮が必要であること、血流の継続的な遮断は心筋虚血を誘発するため、時間的な制約が生じるなどの課題に配慮しつつ血管内視鏡を使用する必要がある。
しかし、バルーン102により血流を一時的に遮断すると、観察部位が冠動脈の場合、心筋虚血を引き起こすおそれがある。例えば、規定時間内に撮影を完了させ、バルーン102を縮小して血流を再発できれば良いが、バルーン102の縮小に手間取ると、血流を再開するまでに時間がかかり、心臓に負担を強いる問題がある。
このため、血管内視鏡において、バルーン102を用いることなく撮影が可能な血流維持型の血管内視鏡システムが知られている。
血流維持型の血管内視鏡システムは、ファイバーカテーテルを収容した外筒の先端部から疎血液を血管内に噴出できる構成として、血流の一部を透明な液体で置換しつつ血管内壁を観察するシステムである。
しかし、血流維持型の血管内視鏡は、血流の一部を透明な液体で置換する方式であり、疎血領域が狭いため、ファイバー先端部から血管内壁を撮影すると、視野が狭い場合があり、より広い視野において観察できることが必要であり、できるだけ鮮明な画像を得ることが望まれている。
また、人体の血管は細いので、この種、従来の血管内視鏡先端部の構造として、ガイドカテーテル105の外径1.35mm、内径1.02mm、イメージファイバー106の外径0.75mm程度の大きさの血管内視鏡が用いられている。図7に示すように例えば6000本程度の画像ファイバーの集合体と複数本のライトガイドファイバー107を束ね、画像ファイバー106の集合体の先端部に対物レンズ108を取り付けてなる。この構造により例えばイメージファイバー106の先端側において約70゜の視野角が得られる。
例えば、図8(a)に示すように血管内のプラークや血栓などの変異部分108を確認できたとしても、図8(b)から図9(b)のように0.12mm程度イメージファイバー106を後退させただけで図9(a)に示すように変異部分108の大部分は確認し難くなる。更に、図10(b)に示すようにガイドカテーテル105の先端から0.48mmの位置にイメージファイバー106の先端を後退させると、図10(a)に示すように変異部分108を認識できなくなる問題があった。なお、図9(a)と図10(a)において、血管内視野画像の周囲に円状に描かれている白抜きの領域110は、撮影画像に写されたガイドカテーテル105の内壁面を示す。
また、プロービングカテーテルの外筒先端より内側にカテーテル本体部の先端を配置した状態で外筒とともにカテーテル本体部を後退させて血管に沿って血管内壁の映像を観察するか撮像する場合、外筒に対しカテーテル本体部の先端位置が前後移動するか傾斜することがあっても透明部を介し広い視野角で血管に沿って移動しながら血管内壁の映像を得ることができる。
第2のポンプ11は、手動で流量微調整が可能であるロック付きシリンジポンプを適用することができる。この第2のポンプ11は疎血液を収容したタンク11Aに接続されており、手動注入により微調整しつつ必要量の疎血液を第2の流路R2に流入させることができる。
以上の構成により、図4に示すようにガイドカテーテル管6の先端部6bから前方に外筒9を突出させた場合、ガイドカテーテル管6の先端部6bにおいて外筒9の周囲側に疎血液の第1の噴出部6Aが構成される。また、外筒9の先端部9bにカテーテル本体部5Aの先端部を内在させた場合、外筒9の先端部9bに疎血液の第2の噴出部9Aが構成される。
また、ライトガイドファイバー12の途中に開口12bを設けた分岐部16が形成され、ここからイメージファイバー13を分岐させて分岐部16から後方に突出させたイメージファイバー13の後端部にイメージガイド側コネクター18が設けられ、分岐部16から後方に突出させたライトガイドファイバー12の後端部にライトガイド側コネクター17が設けられている。分岐部16は分岐部チューブ19で覆われ、外力から保護されている。
ライトガイドファイバー12は、石英ガラスの微細なファイバーを束ねた構造であるので、光を導くことができ、ライトガイドファイバー12の先端を挿入した生体内の特定部位とその周囲に光を照射することができる。
イメージファイバー13は、石英ガラスの微細なファイバーを数1000本、例えば、6000本程度束ねた構成であり、生体内の血管等に挿入されてその先端に固定されたセルフォックレンズ(登録商標)などの対物レンズ15により所望の撮影対象部位を拡大し、イメージファイバー13の後端側に接続された撮像装置24や表示装置25で画像情報を得ることができる。
外筒9の先端部には、透明材料製の管状体からなる透明部9Aが形成されている。この透明部9Aは、長さ0.32mm以上、5mm以下の管状体、より好ましくは長さ0.6mm程度であって、外筒9と同一径の管状体からなる。一例として、透明部9Aは体内に入っても害のない透明な樹脂、例えば、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ナイロン、ウレタン等の可視光透過率95%以上の無色透明の樹脂製の管状体からなる。
一例として、外筒9は、ポリアミド、ポリエチレン、ナイロン、ウレタン等の可撓性の柔軟性に優れた樹脂材料からなる。透明部9は外筒9の先端側に外筒9を延長するように接着あるいは熱溶着等の取り付け手段により一体化されている。
図1は、血管の内部にガイドカテーテル管6の先端側と外筒9の先端側とカテーテル本体部5Aの先端側を挿入した状態においてこれらの基端側を示している。また、図4は、冠動脈入口部30にガイドカテーテル管6の先端部6bを挿入し、外筒9の先端部を冠動脈入口部30より前方の細い動脈枝部31まで挿入した状態を示す。
図4に示す状態にするためには、以下に説明する手順に沿ってガイドカテーテル管6と外筒9とカテーテル本体部5Aを血管に挿入する。
上述の場合、ガイドワイヤーの位置を別途室内に設けたX線透視画像で観察しつつ、血管のどの位置にガイドワイヤーとガイドカテーテル管6の先端部が位置するのか、血管に損傷を与えないように慎重に冠動脈近くまで案内することが好ましい。
内視鏡カテーテル5のカテーテル本体部5Aをコネクター10から挿入し、カテーテル本体部5Aの先端部を外筒9の先端部近くまで図4に示すように挿入する。
図4に示すように2箇所から疎血液を流入させるので、動脈枝部31の撮影箇所において血液の大部分を疎血液に置換することができ、カテーテル本体部5Aの先端部の対物レンズ15からイメージファイバー13を介して得られる鮮鋭な画像を撮像装置24で撮像するか、表示装置25で観察することができる。即ち、ガイドカテーテル管6の先端側から噴出させた疎血液は冠動脈入口部30から動脈枝部31側に流れるので、外筒9の先端部周囲を覆うように流れ、換言すると対物レンズ15の周囲を囲むように流れるので、外筒9の先端部周囲の視野が広くなり、鮮鋭な画像を撮影できる。
疎血液の噴出により血管内壁の映像を得られることを確認したならば、外筒9とカテーテル本体部5Aを一体として引き抜きながら動脈枝部31の血管内壁を順次観察することができる。必要であれば、血管内壁の画像を撮影する。
この際、外筒9とカテーテル本体部5Aを一体として引き抜いたとしても、外筒9の先端側に内在するカテーテル本体部5Aの先端位置は数分の一mm程度前後に移動することがあり、外筒9の中心軸線とカテーテル本体部5Aの中心軸線がずれて傾斜し、外筒9に対しカテーテル本体部5Aの先端が傾くことがある。
本実施形態の構造ではカテーテル本体部5Aを構成しているイメージファイバー13の視野角が従来と同等の例えば70゜であったとしても、外筒9の先端部側に0.32mm〜5mm程度の長さの管状体からなる透明部9Aを設けているので、従来よりも広い視野の血管内壁映像を得ることができる。即ち、カテーテル本体部5Aが多少前後移動するか、傾斜して図9(a)、図10(a)に示した場合と同様にイメージファイバー13からの映像に外筒9の内周面が写ったとしても、外筒9の先端が透明部9Aからなるので、この透明部9Aを介してその周囲の血管内壁の映像を得ることができる。
また、プロービングカテーテル3の外筒先端より内側にカテーテル本体部5Aの先端を配置した状態で外筒9とともにカテーテル本体部5Aを後退させて血管に沿って血管内壁映像を順次観察するか撮像する場合、外筒9に対しカテーテル本体部5Aの先端位置が前後移動するか傾斜することがあっても透明部9Aを介し広い視野で血管内壁の映像を得ることができる。
イメージファイバー13の先端側に魚眼レンズからなる対物レンズ15を備えることでイメージファイバー13から得られる画像の視野角が広がるので、外筒9の先端部に透明部9Aを設けた効果と相俟って、より広い範囲の血管内映像を得ることができる。
Claims (4)
- イメージファイバー及びライトガイドファイバーを有したカテーテル本体部と、前記イメージファイバー及びライトガイドファイバーを覆って設けられるプロービングカテーテルの外筒とを有し、前記外筒の先端部に透明部が形成されたことを特徴とする血流維持型血管内視鏡システム。
- 前記透明部は可撓性の前記外筒の先端部に該外筒と同等径の透明材料からなる管状体を取り付けてなることを特徴とする請求項1に記載の血流維持型血管内視鏡システム。
- 前記外筒の外径1.35mm以上、1.40mm以下、内径1.02mm以上、1.05mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の血流維持型血管内視鏡システム。
- 前記プロービングカテーテルの外筒を覆って設けられるガイディングカテーテルを有し、 前記ガイディングカテーテルの先端部に疎血液の第1の噴出部が形成され、前記プロービングカテーテルの外筒先端部に疎血液の第2の噴出部が形成された請求項1に記載の血流維持型血管内視鏡システム。
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