JP2016013326A - 血流維持型血管内視鏡システム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、観察視野を広くして鮮明な観察画像を得ることができ、外筒内部でカテーテル本体部が前後移動するか、傾斜しても良好な視野角範囲の映像が得られる血流維持型血管内視鏡システムの提供を目的とする。【解決手段】本発明は、イメージファイバー及びライトガイドファイバーを有したカテーテル本体部と、前記イメージファイバー及びライトガイドファイバーを覆って設けられるプロービングカテーテルの外筒とを有し、前記外筒の先端部に透明部が形成されたことを特徴とする血流維持型血管内視鏡システムに関する。【選択図】図3

Description

本発明は、血流維持型血管内視鏡システムに関する。
血管内視鏡は胃カメラと同様の構造を有し、血管内の映像をテレビモニターに映し出すことができる装置である。例えば、冠動脈内視鏡の登場によって、冠動脈病変の診断治療における格段の進歩が期待されている。
血管内視鏡は胃カメラと異なり、直径2〜3mmの非常に細い冠動脈などへ挿入するため、内視鏡カテーテルを4〜5Fr(フレンチ;3Fr=1mm、4Fr=1.3mm、5Fr=1.6mm)程度まで細くする必要がある。また、生理食塩水などの透明な薬液を注入して血液を一時的に排除して視界を確保する必要があること、血管内皮は損傷し易いので構造や材質に配慮が必要であること、血流の継続的な遮断は心筋虚血を誘発するため、時間的な制約が生じるなどの課題に配慮しつつ血管内視鏡を使用する必要がある。
現状知られている血管内視鏡カテーテルの1つに、図6に示すようにガイドワイヤー100に沿わせてカテーテル部101を設け、カテーテル部101の先端部近くにバルーン102を設け、カテーテル部101の先端部から前方側に撮影用のファイバー103を延出させた血流遮断型システムのカテーテルが知られている(特許文献1参照)。
特開平11−262528号公報
先の特許文献1に記載されている血管内視鏡は、観察部位にファイバー103の先端を挿入した後、バルーン102を膨らませて血管内の血流を一時的に遮断し、観察部位に生理食塩水などをフラッシュすることで血流を完全に排除して血管内壁を綺麗に観察することができる。
しかし、バルーン102により血流を一時的に遮断すると、観察部位が冠動脈の場合、心筋虚血を引き起こすおそれがある。例えば、規定時間内に撮影を完了させ、バルーン102を縮小して血流を再発できれば良いが、バルーン102の縮小に手間取ると、血流を再開するまでに時間がかかり、心臓に負担を強いる問題がある。
このため、血管内視鏡において、バルーン102を用いることなく撮影が可能な血流維持型の血管内視鏡システムが知られている。
血流維持型の血管内視鏡システムは、ファイバーカテーテルを収容した外筒の先端部から疎血液を血管内に噴出できる構成として、血流の一部を透明な液体で置換しつつ血管内壁を観察するシステムである。
この血流維持型の血管内視鏡システムは、多少視野が制限されるものの、血流を維持した状態の血管内部を直に観察することができる上に、安全性に全く問題が無く、冠動脈を観察しても心臓に負担をかけないシステムとして利用されている。
しかし、血流維持型の血管内視鏡は、血流の一部を透明な液体で置換する方式であり、疎血領域が狭いため、ファイバー先端部から血管内壁を撮影すると、視野が狭い場合があり、より広い視野において観察できることが必要であり、できるだけ鮮明な画像を得ることが望まれている。
図7に、従来の血流維持型血管内視鏡先端部の一例構造を示す。図7に示す構造の血管内視鏡先端部は、アウターガイドカテーテル105の内部に画像ファイバーを数1000本集合した構造のイメージファイバー106を備え、このイメージファイバー106の先端部を撮影部位に向けて血管の内部画像を撮影できるようになっている。
また、人体の血管は細いので、この種、従来の血管内視鏡先端部の構造として、ガイドカテーテル105の外径1.35mm、内径1.02mm、イメージファイバー106の外径0.75mm程度の大きさの血管内視鏡が用いられている。図7に示すように例えば6000本程度の画像ファイバーの集合体と複数本のライトガイドファイバー107を束ね、画像ファイバー106の集合体の先端部に対物レンズ108を取り付けてなる。この構造により例えばイメージファイバー106の先端側において約70゜の視野角が得られる。
従来の血管内視鏡を心臓の冠動脈等の血管に挿入して血管内面を撮像する場合、イメージファイバー106の先端部をガイドカテーテル105の先端から僅かでも外側に突出させると、イメージファイバー106の先端部で血管の内壁を傷付けてしまうおそれがある。このため、血管内視鏡を用いる場合は、図7に示すようにイメージファイバー106の先端部がガイドカテーテル105の先端部から外側に突出しないように細心の注意を払いながら血管内視鏡を取り扱う必要がある。ところが、この制約があるために従来の血流維持型血管内視鏡は、以下に説明する問題点を有していた。
図8〜図10に従来の血流維持型血管内視鏡におけるイメージファイバー106の先端部とガイドカテーテル105の先端部の位置関係を示す。図8(b)、図9(b)、図10(b)に示すように、イメージファイバー106の先端部をガイドカテーテル105の先端から内側に、0.2mm、0.32mm、0.48mmのそれぞれの位置に配した場合の血管内視鏡画像の一例を図8(a)、図9(a)、図10(a)に示す。
例えば、図8(a)に示すように血管内のプラークや血栓などの変異部分108を確認できたとしても、図8(b)から図9(b)のように0.12mm程度イメージファイバー106を後退させただけで図9(a)に示すように変異部分108の大部分は確認し難くなる。更に、図10(b)に示すようにガイドカテーテル105の先端から0.48mmの位置にイメージファイバー106の先端を後退させると、図10(a)に示すように変異部分108を認識できなくなる問題があった。なお、図9(a)と図10(a)において、血管内視野画像の周囲に円状に描かれている白抜きの領域110は、撮影画像に写されたガイドカテーテル105の内壁面を示す。
また、従来の血流維持型の血管内視鏡において、図11(b)、図12(b)、図13(b)に示すように、イメージファイバー106の先端部がガイドカテーテル105の先端部に対し、傾斜した状態で種々の位置に配された場合、図8(a)、図9(a)、図10(a)に示すように血管内視鏡画像は変化するので、上述の場合と同様に視野が狭くなり必要な変異部分を撮像できない問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、イメージファイバーの先端部がガイドカテーテルの先端部に対し多少前後移動するか傾斜しても目的の血管内壁の良好な画像を得ることができる血管内視鏡システムの提供を目的とする。
本発明は、イメージファイバー及びライトガイドファイバーを有したカテーテル本体部と、前記イメージファイバー及びライトガイドファイバーを覆って設けられるプロービングカテーテルの外筒とを有し、前記外筒の先端部に透明部が形成されたことを特徴とする血流維持型血管内視鏡システムに関する。
本発明によれば、血管内にプロービングカテーテルの外筒とともに挿入して使用するカテーテル本体部を備え、カテーテル本体部のイメージファイバーにより血管内壁を観察するか撮像する際、カテーテル本体部の先端を外筒の先端部から内側に配した状態で撮像し、カテーテル本体部の先端が外筒の内側において多少前後に移動するか、外筒の内側で多少傾斜していたとしても透明部を介しイメージファイバーから広い角度で血管内壁の映像を得ることができる。
また、プロービングカテーテルの外筒先端より内側にカテーテル本体部の先端を配置した状態で外筒とともにカテーテル本体部を後退させて血管に沿って血管内壁の映像を観察するか撮像する場合、外筒に対しカテーテル本体部の先端位置が前後移動するか傾斜することがあっても透明部を介し広い視野角で血管に沿って移動しながら血管内壁の映像を得ることができる。
本発明に係る第1実施形態の血管内視鏡を備えた血管内視鏡システムの一例を示すもので、図1(a)は全体構成図、図1(b)は部分拡大斜視図。 図1に示す内視鏡システムに適用される血管内視鏡カテーテルの一例を示す構成図。 同血管内視鏡カテーテルに設けられるカテーテル本体部と外筒の先端部を示す断面図。 冠動脈にカテーテル本体部とガイディングカテーテルを挿入した状態を示す説明図。 本発明に係る第2実施形態の血管内視鏡を備えた血管内視鏡システムの一例を示す構成図。 従来の血流遮断型血管内視鏡システムの一例を示すもので、図6(a)は全体構成図、図6(b)は血管内でバルーンを膨張させた状態を示す説明図。 従来の血流維持型血管内視鏡システムに適用されている血管内視鏡の先端部分を示す構成図。 図8(a)は従来の血管内視鏡により撮影した血管内視鏡画像の第1の例を示す模式図、図8(b)は図8(a)に示す内視鏡画像を撮影した際のアウターガイドカテ−テルと内視鏡先端部の第1の位置関係を示す断面図。 図9(a)は従来の血管内視鏡により撮影した血管内視鏡画像の第2の例を示す模式図、図9(b)は図9(a)に示す内視鏡画像を撮影した際のアウターガイドカテ−テルと内視鏡先端部の第2の位置関係を示す断面図。 図10(a)は従来の血管内視鏡により撮影した血管内視鏡画像の第3の例を示す模式図、図10(b)は図10(a)に示す内視鏡画像を撮影した際のアウターガイドカテ−テルと内視鏡先端部の第3の位置関係を示す断面図。 図11(a)は従来の血管内視鏡により撮影した血管内視鏡画像の第4の例を示す模式図、図11(b)は図11(a)に示す内視鏡画像を撮影した際のアウターガイドカテ−テルと内視鏡先端部の第4の位置関係を示す断面図。 図12(a)は従来の血管内視鏡により撮影した血管内視鏡画像の第5の例を示す模式図、図12(b)は図12(a)に示す内視鏡画像を撮影した際のアウターガイドカテ−テルと内視鏡先端部の第5の位置関係を示す断面図。 図13(a)は従来の血管内視鏡により撮影した血管内視鏡画像の第6の例を示す模式図、図13(b)は図13(a)に示す内視鏡画像を撮影した際のアウターガイドカテ−テルと内視鏡先端部の第6の位置関係を示す断面図。
図1は本発明に係る血管内視鏡カテーテルシステムの第1実施形態を示すもので、本実施形態の血管内視鏡システム1は、血管内の観察位置近くまで延出されるガイディングカテーテル2とこのガイディングカテーテル2に挿通されて血管内の観察位置まで延在されるプロービングカテーテル3とこのプロービングカテーテル3の内部に挿通されて血管内の観察位置まで延在される内視鏡カテーテル5を備えてなる。
ガイディングカテーテル2は、一例として、6Fr以上の径のポリエチレン系樹脂からなる長さ100cm程度のガイドカテーテル管6とこのガイドカテーテル管6の基端部(後端部)6aに装着されたY字型のコネクター7とからなる。このコネクター7は、主管7aと分岐管7bからなり、主管7aの一端部にガイドカテーテル管6の基端部6aが接続され、分岐管7bの外端部に第1のポンプ8が接続されている。第1のポンプ8は、一例として疎血液を収容したタンク8Aに接続された自動式シリンジポンプを例示できる。この自動式シリンジポンプは、流量設定が可能であり、例えば、最大3.3ml/s(15.1秒)の割合でコネクター7を介し第1の流路R1に疎血液を送ることができる。
コネクター7の分岐管7bは、主管7aの周壁に接続され、分岐管7bの内部流路は主管7aの内部流路に接続されている。このため、ガイドカテーテル管6と外筒9との間に形成される第1の流路R1に分岐管7bを介し第1のポンプ8から送る疎血液を注入することができる。なお、コネクター7の外筒9側の端部には外筒9の外周部に密着して第1の流路R1の一端部を閉じる閉塞部7cが形成されている。前記疎血液として低分子デキストラン(乳酸リンゲル液)等を用いることができる。
プロービングカテーテル3は、ガイドカテーテル管6内に挿通された外筒9と、この外筒9の基端部(後端部)9aに装着されたY字型のコネクター10とからなる。コネクター10は、主管10aと分岐管10bからなり、主管10aの一端部に外筒9の基端部9aが接続され、分岐管10bの外端部に第2のポンプ11が接続されている。
第2のポンプ11は、手動で流量微調整が可能であるロック付きシリンジポンプを適用することができる。この第2のポンプ11は疎血液を収容したタンク11Aに接続されており、手動注入により微調整しつつ必要量の疎血液を第2の流路R2に流入させることができる。
ガイドカテーテル管6の内部には外筒9が挿通されており、外筒9の内部に内視鏡カテーテル5のカテーテル本体部5Aが挿通されている。外筒9は、例えば、全長135cm程度のポリエチレン系樹脂から成る親カテーテルと、全長140cm程度のポリアミド外層とポリプロピレン内層からなる2重構造の小カテーテルとからなる3重管構造を採用することができる。
前記コネクター10の分岐管10bは、主管10aの周壁に接続され、分岐管10bの内部流路は主管10aの内部流路に接続されている。このため、外筒9とカテーテル本体部5Aの間に形成される第2の流路R2に分岐管10bを介し第2のポンプ11から送る疎血液を注入することができる。なお、コネクター10のカテーテル本体部5A側の端部にはカテーテル本体部5Aの外周部に密着して第2の流路R2の一端を閉じる閉塞部10cが形成されている。
以上の構成により、図4に示すようにガイドカテーテル管6の先端部6bから前方に外筒9を突出させた場合、ガイドカテーテル管6の先端部6bにおいて外筒9の周囲側に疎血液の第1の噴出部6Aが構成される。また、外筒9の先端部9bにカテーテル本体部5Aの先端部を内在させた場合、外筒9の先端部9bに疎血液の第2の噴出部9Aが構成される。
図2に示すように内視鏡カテーテル5は、複数本の光ファイバーから構成したライトガイドファイバー12にイメージファイバー13を沿わせて設け、イメージファイバー13の先端部に対物レンズ15を組み込み、それらの先端側でライトガイドファイバー12とイメージファイバー13と対物レンズ15を一体に接着し、全体をフッ素樹脂等の保護チューブで覆った構成のカテーテル本体部5Aを備えている。一例としてカテーテル本体部5Aの挿入部の全長は160〜180cm程度(全長350cm程度)、挿入部径は0.7mm程度とされる。
また、ライトガイドファイバー12の途中に開口12bを設けた分岐部16が形成され、ここからイメージファイバー13を分岐させて分岐部16から後方に突出させたイメージファイバー13の後端部にイメージガイド側コネクター18が設けられ、分岐部16から後方に突出させたライトガイドファイバー12の後端部にライトガイド側コネクター17が設けられている。分岐部16は分岐部チューブ19で覆われ、外力から保護されている。
ライトガイドファイバー12の後端側にはランプなどの光源23が接続され、ライトガイドファイバー12に光源23から照明光を導入することができる。また、イメージファイバー13の後端側にカメラ等の撮像装置24とモニタ等の表示装置25が接続され、イメージファイバー3の先端部からの画像を撮影し、表示できるようになっている。
ライトガイドファイバー12は、石英ガラスの微細なファイバーを束ねた構造であるので、光を導くことができ、ライトガイドファイバー12の先端を挿入した生体内の特定部位とその周囲に光を照射することができる。
イメージファイバー13は、石英ガラスの微細なファイバーを数1000本、例えば、6000本程度束ねた構成であり、生体内の血管等に挿入されてその先端に固定されたセルフォックレンズ(登録商標)などの対物レンズ15により所望の撮影対象部位を拡大し、イメージファイバー13の後端側に接続された撮像装置24や表示装置25で画像情報を得ることができる。
図3に外筒9の先端部の構成とその内側に配されたカテーテル本体部5Aの先端部の構成を拡大して示す。
外筒9の先端部には、透明材料製の管状体からなる透明部9Aが形成されている。この透明部9Aは、長さ0.32mm以上、5mm以下の管状体、より好ましくは長さ0.6mm程度であって、外筒9と同一径の管状体からなる。一例として、透明部9Aは体内に入っても害のない透明な樹脂、例えば、ポリエーテルブロックアミド、ポリエチレン、ナイロン、ウレタン等の可視光透過率95%以上の無色透明の樹脂製の管状体からなる。
一例として、外筒9は、ポリアミド、ポリエチレン、ナイロン、ウレタン等の可撓性の柔軟性に優れた樹脂材料からなる。透明部9は外筒9の先端側に外筒9を延長するように接着あるいは熱溶着等の取り付け手段により一体化されている。
外筒9はカテーテル本体部5Aを心臓の冠動脈などの血管内に導くために設けられるので、上述の柔軟性に富む樹脂材料からなる。また、外筒9は血管内に挿入されるため、血管の内壁を傷つけないような柔軟性が要求される。このため、外筒9の先端に取り付ける透明部9は長すぎると外筒9の柔軟性を阻害し、血管への進入性を阻害する。逆に、外筒9が短すぎると透明部分が少なくなるのでイメージファイバー13から得られる画像の視野拡大に寄与しない。従って血管内に挿入する場合の血管に対する負担をかけない柔軟性と視野拡大を両立するために透明部9Aは上述の長さ範囲であることが好ましい。
次に、上述の構成の血管内視鏡システム1を用いて血管内壁の観察あるいは撮像を行う場合について説明する。
図1は、血管の内部にガイドカテーテル管6の先端側と外筒9の先端側とカテーテル本体部5Aの先端側を挿入した状態においてこれらの基端側を示している。また、図4は、冠動脈入口部30にガイドカテーテル管6の先端部6bを挿入し、外筒9の先端部を冠動脈入口部30より前方の細い動脈枝部31まで挿入した状態を示す。
図4に示す状態にするためには、以下に説明する手順に沿ってガイドカテーテル管6と外筒9とカテーテル本体部5Aを血管に挿入する。
最初の段階では内視鏡カテーテル5を外筒9には挿入せず、外筒9に図示略の内筒とガイドワイヤーを挿入しておき、ガイドワイヤーを利用してオーバーザワイヤー方式で内筒と外筒9を一体で血管に挿入する。ここで用いる内筒は、外筒9と同等の柔軟性を有する樹脂材料からなる。ガイドカテーテル管6の基端部6aにコネクター7を装着しておく。コネクター7には第1のポンプ8を接続しておく。この段階ではコネクター10と内視鏡カテーテル5を外筒9から外した状態としておく。
上腕あるいは大腿部の動脈からガイドカテーテル管6を挿入し、先端を冠動脈入口部30に留置する。ガイドワイヤーを用い、動脈枝部31まで慎重に案内する。即ち、ガイドワイヤーに沿わせてオーバーザワイヤー方式で内筒と外筒9を一体で上腕あるいは大腿部の動脈から動脈枝部31まで挿入する。続いて、ガイドワイヤーと内筒を一緒に外筒9から抜き出す。
上述の場合、ガイドワイヤーの位置を別途室内に設けたX線透視画像で観察しつつ、血管のどの位置にガイドワイヤーとガイドカテーテル管6の先端部が位置するのか、血管に損傷を与えないように慎重に冠動脈近くまで案内することが好ましい。
ガイドワイヤーと内筒を一緒に外筒9から抜き出したならば、外筒9の基端部9aから血液を溢れさせつつ空気抜きを行った後、基端部9aにコネクター10を装着する。コネクター10の分岐管10bには第2のポンプ11を接続しておき、疎血液を分岐管10bから主管10側に送って主管10の両端から溢れさせつつコネクター10を外筒9に接続する。
内視鏡カテーテル5のカテーテル本体部5Aをコネクター10から挿入し、カテーテル本体部5Aの先端部を外筒9の先端部近くまで図4に示すように挿入する。
この状態において、第1のポンプ8から疎血液を第1の流路R1に送るとともに第2のポンプ11により疎血液を第2の流路R2に送る。第1の流路R1に送られた疎血液は図4に示すようにガイドカテーテル管6の先端部6bの第1の噴出部6Aから冠動脈入口部30に流入し、第2の流路R2に送られた疎血液は外筒9の先端部の第2の噴出部9Aから動脈枝部31に流入する。冠動脈入口部30において血液の流れの方向は冠動脈入口部30から動脈枝部31側に流れている。
図4に示すように2箇所から疎血液を流入させるので、動脈枝部31の撮影箇所において血液の大部分を疎血液に置換することができ、カテーテル本体部5Aの先端部の対物レンズ15からイメージファイバー13を介して得られる鮮鋭な画像を撮像装置24で撮像するか、表示装置25で観察することができる。即ち、ガイドカテーテル管6の先端側から噴出させた疎血液は冠動脈入口部30から動脈枝部31側に流れるので、外筒9の先端部周囲を覆うように流れ、換言すると対物レンズ15の周囲を囲むように流れるので、外筒9の先端部周囲の視野が広くなり、鮮鋭な画像を撮影できる。
ガイドカテーテル管6の先端部6b(第1の噴出部6A)から流入させる疎血液の量と外筒9の先端部9b(第2の噴出部9A)から流入させる疎血液の量比は、2.5〜3:1の割合で冠動脈入口部30側から、より多くの疎血液を流入させることが好ましい。なお、この量比は一例であって個体差があるので、適切な量比は適宜選択することが好ましい。量比の選択は、試験注入などを行い、その結果のデータから、疎血液の水圧、流量等を計算し、第1のポンプ8と第2のポンプ11を作動させて心臓にかける負担を軽減することが好ましい。
上述のように望ましい量比で第1の噴出部6Aと第2の噴出部9Aの2箇所から疎血液を送り出して血液の置換を良好に行えば、より広い領域の血液を疎血液で置換できるので、イメージファイバー13と対物レンズ15から得られる画像の視野を広く、鮮鋭にできるので、視野の広い鮮鋭な血管内壁画像を撮像し、観察することができる。
血管内の映像を得る場合、外筒9の先端からカテーテル本体部5の先端を突出させると血管内壁を損傷させるおそれがあるので、カテーテル本体部5Aの先端側は対物レンズ15も含めて外筒9の前方に突出させないように細心の注意が必要となる。
疎血液の噴出により血管内壁の映像を得られることを確認したならば、外筒9とカテーテル本体部5Aを一体として引き抜きながら動脈枝部31の血管内壁を順次観察することができる。必要であれば、血管内壁の画像を撮影する。
この際、外筒9とカテーテル本体部5Aを一体として引き抜いたとしても、外筒9の先端側に内在するカテーテル本体部5Aの先端位置は数分の一mm程度前後に移動することがあり、外筒9の中心軸線とカテーテル本体部5Aの中心軸線がずれて傾斜し、外筒9に対しカテーテル本体部5Aの先端が傾くことがある。
このようにカテーテル本体部5Aが多少前後移動するか傾斜する状況については、図8〜図13を基に先に説明した従来のイメージファイバー106が前後移動するか傾斜する状態と同様の状態である。
本実施形態の構造ではカテーテル本体部5Aを構成しているイメージファイバー13の視野角が従来と同等の例えば70゜であったとしても、外筒9の先端部側に0.32mm〜5mm程度の長さの管状体からなる透明部9Aを設けているので、従来よりも広い視野の血管内壁映像を得ることができる。即ち、カテーテル本体部5Aが多少前後移動するか、傾斜して図9(a)、図10(a)に示した場合と同様にイメージファイバー13からの映像に外筒9の内周面が写ったとしても、外筒9の先端が透明部9Aからなるので、この透明部9Aを介してその周囲の血管内壁の映像を得ることができる。
即ち、本実施形態の構造によれば、カテーテル本体部5Aの先端を外筒9の先端部から内側に配した状態で撮像し、カテーテル本体部5Aの先端が外筒9の内側において多少前後に移動するか、外筒の内側で多少傾斜しても透明部9Aを介しイメージファイバー13により広い視野角で血管内壁の映像を得ることができる。
また、プロービングカテーテル3の外筒先端より内側にカテーテル本体部5Aの先端を配置した状態で外筒9とともにカテーテル本体部5Aを後退させて血管に沿って血管内壁映像を順次観察するか撮像する場合、外筒9に対しカテーテル本体部5Aの先端位置が前後移動するか傾斜することがあっても透明部9Aを介し広い視野で血管内壁の映像を得ることができる。
図5は第2実施形態のカテーテル本体部5Aを示すもので、この実施形態のカテーテル本体部5Aには、イメージファイバー13の先端側にセルフォックレンズ(登録商標)からなる対物レンズ15に替えて魚眼レンズからなる対物レンズ15Aが設けられた例である。
イメージファイバー13の先端側に魚眼レンズからなる対物レンズ15を備えることでイメージファイバー13から得られる画像の視野角が広がるので、外筒9の先端部に透明部9Aを設けた効果と相俟って、より広い範囲の血管内映像を得ることができる。
R1…第1の流路、R2…第2の流路、1…血管内視鏡システム、2…ガイディングカテーテル、3…プロービングカテーテル、5…血管内視鏡カテーテル、5A…カテーテル本体部、6…ガイドカテーテル管、6A…第1の噴出部、7…第1のコネクター、8…第1のポンプ、9…外筒、9A…第2の噴出部、10…第2のコネクター、11…第2のポンプ、12…ライトガイドファイバー、13…イメージファイバー、15、15A…対物レンズ、23…光源、24…撮像装置、25…表示装置、30…冠動脈入口部、31…冠動脈枝部。

Claims (4)

  1. イメージファイバー及びライトガイドファイバーを有したカテーテル本体部と、前記イメージファイバー及びライトガイドファイバーを覆って設けられるプロービングカテーテルの外筒とを有し、前記外筒の先端部に透明部が形成されたことを特徴とする血流維持型血管内視鏡システム。
  2. 前記透明部は可撓性の前記外筒の先端部に該外筒と同等径の透明材料からなる管状体を取り付けてなることを特徴とする請求項1に記載の血流維持型血管内視鏡システム。
  3. 前記外筒の外径1.35mm以上、1.40mm以下、内径1.02mm以上、1.05mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の血流維持型血管内視鏡システム。
  4. 前記プロービングカテーテルの外筒を覆って設けられるガイディングカテーテルを有し、 前記ガイディングカテーテルの先端部に疎血液の第1の噴出部が形成され、前記プロービングカテーテルの外筒先端部に疎血液の第2の噴出部が形成された請求項1に記載の血流維持型血管内視鏡システム。
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