JP2016012644A - フィルムコンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】巻回型フィルムコンデンサのみならず積層型フィルムコンデンサにも適用可能な、高い比誘電率(εr)を有するPVDFを含んでなるフィルムを使用するフィルムコンデンサの自己発熱を抑制する技術を提供する。【解決手段】2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とがPVDFを含んでなる誘電体フィルムを挟んで交互に積層されているコンデンサ本体部の2つのメタリコン電極に平行な平面による断面の扁平率(f)と、2つのメタリコン電極間の距離(L)と、が予め定められた関係を満たすように構成する。【選択図】図2

Description

本発明は、フィルムコンデンサに関する。より詳しくは、本発明は、自己発熱が小さいフィルムコンデンサに関する。
近年、環境保護の観点から、種々の電気機器において、インバータ回路の導入による省エネルギー化及び高効率化が進められている。自動車業界においても、電動機と内燃機関(エンジン)とを駆動源として搭載するハイブリッド車両(以降、「HV」と呼称される場合がある)へのインバータ回路の導入による省エネルギー化及び高効率化が盛んに行われている。
このようなHVに搭載されるインバータ等において使用されるコンデンサとして、高い耐電圧及び低い損失を有するフィルムコンデンサが注目されている。フィルムコンデンサの具体例としては、例えば、プラスチックフィルムの表面にアルミニウム(Al)又は亜鉛(Zn)等の金属膜が蒸着された金属化フィルムを多層に重ねて構成された、金属化フィルムコンデンサを挙げることができる。
上記のようなフィルムコンデンサにおいては、コンデンサの小型化及び静電容量の増大を目的として、フィルムの高誘電率化が図られている。具体的には、フィルムコンデンサ用フィルムの材料として、高い比誘電率(ε=ε/ε)を有する樹脂材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用することが知られている。このように高い比誘電率(ε)を有するPVDFを含んでなるフィルムを使用してフィルムコンデンサを構成することにより、コンデンサを小型化し且つ静電容量を増大させることができる。
しかしながら、フィルムコンデンサ用フィルムの材料として従来使用されてきたポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタレート(PET)と比較すると、PVDFの誘電正接(tanδ)は大きい。その結果、材料固有の誘電損失に起因する電気抵抗成分が大きくなり、コンデンサの等価直列抵抗(ESR)に起因する発熱(以降、「自己発熱」と呼称される場合がある)が大きくなる。自己発熱が大きくなると、例えば、HVの駆動時等、当該コンデンサを含むインバータ回路等の作動時に当該コンデンサの温度が上昇して所定の性能を発揮することが困難となる問題が生ずる虞が高まる。例えば、コンデンサを冷却する設備を設けることにより、このような問題を回避することができるが、このような対策は、当該コンデンサを使用する設備(例えば、HV用インバータ回路等)の大型化及び/又は製造コストの増大を招く。
そこで、当該技術分野においては、PVDFを含んでなるフィルムを使用する巻回型フィルムコンデンサにおいて、巻回されるフィルムの幅とコンデンサの直径との大小関係を規定することにより、コンデンサのESRを低減して、コンデンサの自己発熱を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−114092号公報
前述したように、当該技術分野においては、PVDFを含んでなるフィルムを使用する巻回型フィルムコンデンサにおいて、巻回されるフィルムの幅とコンデンサの直径との大小関係を規定することにより、コンデンサのESRを低減して、コンデンサの自己発熱を抑制する技術が提案されている。しかしながら、当該技術分野においては、巻回型フィルムコンデンサのみならず積層型フィルムコンデンサにも適用可能な、高い比誘電率(ε)を有するPVDFを含んでなるフィルムを使用するフィルムコンデンサの自己発熱を抑制する技術が求められている。
上記のように、当該技術分野においては、巻回型フィルムコンデンサのみならず積層型フィルムコンデンサにも適用可能な、高い比誘電率(ε)を有するPVDFを含んでなるフィルムを使用するフィルムコンデンサの自己発熱を抑制する技術は未だ確立されていない。即ち、本発明の1つの目的は、巻回型フィルムコンデンサのみならず積層型フィルムコンデンサにも適用可能な、高い比誘電率(ε)を有するPVDFを含んでなるフィルムを使用するフィルムコンデンサの自己発熱を抑制する技術を提供することである。
そこで、本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでなる誘電体フィルムと、少なくとも2つの電極膜と、互いに対向する2つのメタリコン電極と、を備えるフィルムコンデンサにおいて、前記2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と、前記2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とが、前記誘電体フィルムを挟んで交互に積層されている部分(以降、「コンデンサ本体部」と呼称される場合がある)の前記2つのメタリコン電極に平行な平面による断面の扁平率(f)と、前記2つのメタリコン電極間の距離(L)[mm]と、が予め定められた関係を満たすように構成することにより、当該フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)[K]の大きさを予め定められた上限値(Tmax)[K]未満とすることができることを見出した。尚、上記扁平率(f)の定義については後に詳述する。
本発明によれば、巻回型フィルムコンデンサのみならず積層型フィルムコンデンサにおいても、高い比誘電率(ε)を有するPVDFを含んでなるフィルムを使用するフィルムコンデンサの自己発熱を抑制することができる。従って、本発明に係るフィルムコンデンサは冷却設備を必要としない。その結果、当該コンデンサを使用する設備(例えば、HV用インバータ回路等)の大型化及び/又は製造コストの増大を回避することができる。
本発明の1つの実施態様に係るフィルムコンデンサの構成を示す模式図である。 表1に示されている本発明の1つの実施態様に係るフィルムコンデンサにおけるコンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)の組み合わせと自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係を表す模式的な等値線図(コンタ図)である。 本発明のもう1つの実施態様に係るフィルムコンデンサにおいて自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域を複数の不等式の組み合わせによって規定することを例示する模式的な等値線図(コンタ図)である。 本発明の更にもう1つの実施態様に係るフィルムコンデンサにおいて自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域を1つの不等式の組み合わせによって規定することを例示する模式的な等値線図(コンタ図)である。
本発明の種々の実施態様につき、以下に詳しく説明する。しかしながら、それに先立ち、本発明の理解を促すことを目的として、本発明の背景技術及び解決すべき課題につき、若干の補足説明を以下に述べておく。
冒頭で述べたように、PVDFは、フィルムコンデンサ用フィルムの材料として従来使用されてきたPP及びPETと比較して、比誘電率(ε)のみならず、誘電正接(tanδ)もまた、より大きい。従って、PVDFを含んでなるフィルムを使用するフィルムコンデンサにおいては、材料固有の誘電損失に起因する電気抵抗(以降、「誘電抵抗」と呼称される場合がある)が大きくなり、コンデンサのESRも大きくなる。その結果、当該フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)が大きくなる。
以下に示す表1には、PP及びPVDFをフィルム材料としてそれぞれ使用するメタリコン電極タイプの巻回型コンデンサ1及び2の素子特性が列挙されている。何れのコンデンサも、4μmの厚さ及び45mmの幅を有するフィルムと、10Ω/□の表面抵抗率(シート抵抗)を有する電極膜(蒸着膜)と、を使用して製造された、20μFの静電容量を有する巻回型フィルムコンデンサである。また、何れのコンデンサについても、10Hz及び10Armsのリプル電流を使用する場合における各種抵抗値[mΩ]及び発熱密度[W/cm]が示されている。
Figure 2016012644
表1に示されているように、コンデンサ1とコンデンサ2とは同じ静電容量(20μF)を有するにも拘わらず、PPフィルムを使用するコンデンサ1と比較して、PVDFフィルムを使用するコンデンサ2の発熱密度が著しく大きい。これは、PPと比較して、PVDFが著しく大きい比誘電率(ε)及び誘電正接(tanδ)を有することに起因するものと考えられ、具体的には以下に列挙される理由によるものと考えられる。
(1)PVDFはPPよりも大きい比誘電率(ε)を有するため、同じ静電容量(20μF)を達成するのに必要とされるフィルムの巻き取り長さがより短く、結果として、電極膜の電気抵抗成分(R1)がより大きい。加えて、PVDFはPPよりも大きい誘電正接(tanδ)を有するため、フィルムの誘電損失に起因する電気抵抗成分(R2)がより大きい。即ち、PVDFフィルムを使用するコンデンサ2のESR(=R1+R2)は、PPフィルムを使用するコンデンサ1のESRよりも大きい。
(2)上記フィルムの巻き取り長さの違いに起因して、コンデンサ2はコンデンサ1よりも表面積がより小さいため、放熱効率もより低い。
そこで、本発明者は、フィルムコンデンサのESRを低減し、放熱効率を高めるべく、鋭意研究の結果、メタリコン電極間の距離(L)を小さくするほど、電極膜の電気抵抗成分(R1)が小さくなることを見出した。更に、電極膜とフィルムとが積層されている部分(コンデンサ本体部)の扁平率(f)を高めるほど、コンデンサの放熱効率が高くなることを見出した。即ち、本発明者は、2つのメタリコン電極間の距離(L)を小さくするほど、及び/又は、コンデンサ本体部の扁平率(f)を高めるほど、フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)を低減することができることを見出したのである。
従って、コンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係を予め求めておき、自己発熱(ΔT)の大きさが予め定められた上限値(Tmax)未満となる範囲に入るように、上記扁平率(f)及び上記距離(L)を選択することにより、当該フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)を所望の大きさ未満に抑えることができる。
即ち、本発明の第1の実施態様は、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでなる誘電体フィルムと、
少なくとも2つの電極膜と、
互いに対向する2つのメタリコン電極と、
を備え、
前記2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と、前記2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とが、前記誘電体フィルムを挟んで交互に積層されてなるコンデンサ本体部を構成している、
フィルムコンデンサであって、
前記コンデンサ本体部の扁平率(f)及び前記2つのメタリコン電極間の距離(L)[mm]の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)[K]の大きさとの予め求められた対応関係に基づいて、前記自己発熱(ΔT)の大きさが予め定められた上限値(Tmax)[K]未満となるように、前記扁平率(f)及び前記距離(L)が構成されており、
前記扁平率(f)が、前記コンデンサ本体部の前記2つのメタリコン電極に平行な平面による断面の長手方向における大きさである幅(W)[mm]及び短手方向における大きさである厚さ(H)[mm]から下式(1)によって算出される、フィルムコンデンサである。
Figure 2016012644
上記のように、本実施態様に係るフィルムコンデンサは、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでなる誘電体フィルムと、
少なくとも2つの電極膜と、
互いに対向する2つのメタリコン電極と、
を備え、
前記2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と、前記2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とが、前記誘電体フィルムを挟んで交互に積層されてなるコンデンサ本体部を構成している、
フィルムコンデンサである。
上記誘電体フィルムは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでなる。即ち、上記誘電体フィルムの材料は、主成分としてPVDFを含むPVDF系材料である。このPVDF系材料は、例えばフィルムコンデンサとしての性能の低下等の悪影響が及ばない限りにおいて、主成分としてのPVDF以外に、微量の副成分を含んでもよい。更に、上記PVDF系材料は、より高い比誘電率を達成することを目的として、例えば金属酸化物及び複合酸化物等の高い比誘電率を有する無機充填剤が配合されていてもよい。
上記電極膜は、電気伝導体によって形成された膜状の部材である限り、特に限定されない。典型的には、上記電極膜は、例えばアルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、及び銅(Cu)等の金属からなる。このような電極膜の形成方法は特に限定されない。電極膜は、例えば、圧延等によって形成された、例えば1μm乃至数十μm程度の厚みを有する金属箔であってもよく、或いは上記誘電体フィルムの表面に蒸着された、例えば1nm乃至数十nm程度の厚みを有する蒸着膜であってもよい。
上記メタリコン電極は、典型的には、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、及び半田等の金属又は合金からなり、金属溶射法により、上記誘電体フィルムと上記電極膜とが積層されてなるコンデンサ本体部の互いに対向する2つの端面にそれぞれ形成される。一般的には、これらのメタリコン電極には、当該フィルムコンデンサと他の素子及び/又は回路とを電気的に接続するためのリード線等が接続され、例えば防湿及び/又は絶縁を目的として、封止材(例えば、エポキシ樹脂等)によってコンデンサ本体部及びメタリコン電極を含む部分が被覆される。
上記コンデンサ本体部においては、上述したように、2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と、2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とが、誘電体フィルムを挟んで交互に積層されている。誘電体フィルムと電極膜とを積層する手法は特に限定されない。例えば、電極膜としての金属箔と誘電体フィルムとを重ねたもの又は電極膜が表面に蒸着された誘電体フィルム(金属化フィルム)をロール状に巻回することによって、これらを積層してもよい。或いは、シート状の金属箔とシート状の誘電体フィルムとの組み合わせ又はシート状の金属化フィルムを重ねることによって、これらを積層してもよい。即ち、上記フィルムコンデンサは、巻回型フィルムコンデンサであっても、積層型フィルムコンデンサであってもよい。
尚、上述したように、上記フィルムコンデンサにおいては、2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と、2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とが、誘電体フィルムを挟んで交互に積層されてなるコンデンサ本体部を構成している。このようなコンデンサ本体部において、メタリコン電極が形成されるべき互いに対向する2つの端面のうち、一方の端面には電極膜が到達しており(マージンが無い)、他方の端面には到達していない(マージンが有る)ように電極膜が配置される。更に、このような電極膜の端面への到達の有無(マージンの有無)が、隣り合う電極膜において互い違いになるように電極膜が配置される。このような電極膜の配置を有するコンデンサ本体部の互いに対向する2つの端面にメタリコン電極を形成することにより、2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と、2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とを、誘電体フィルムを挟んで交互に積層することができる。
ところで、上述したように、本発明者は、2つのメタリコン電極間の距離(L)を小さくするほど、及び/又は、コンデンサ本体部の扁平率(f)を高めるほど、フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)を低減することができることを見出した。これは、メタリコン電極間の距離(L)を小さくするほど電極膜の電気抵抗成分(R1)が小さくなること、及びコンデンサ本体部の扁平率(f)を高めるほどコンデンサの単位体積当たりの表面積が増大して放熱効率が高くなることに起因すると考えられる。
従って、フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)が許容可能なレベルを超えないように制御するためには、例えば、以下の手順によって予め定められる範囲に入るように、コンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)とを構成すればよい。例えば、コンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)との様々な組み合わせにて所望の静電容量を有する複数のフィルムコンデンサを製造する。これらのフィルムコンデンサを想定される作動条件(例えば、リプル電流値及びリプル周波数等)下で作動させた場合における自己発熱(ΔT)の大きさをそれぞれ特定する。
上記のようにして得られる扁平率(f)及び距離(L)の組み合わせと自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係に基づいて、所望の自己発熱(ΔT)を達成し得る扁平率(f)及び距離(L)の範囲を特定する。このようにして特定された範囲に入る扁平率(f)及び距離(L)を有するフィルムコンデンサによれば、高い比誘電率(ε)を有するPVDFを含んでなるフィルムを使用するにも拘わらず、当該フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)が許容可能なレベルを超えないように制御することができる。
即ち、本実施態様に係るフィルムコンデンサにおいては、上述したように、
前記コンデンサ本体部の扁平率(f)及び前記2つのメタリコン電極間の距離(L)[mm]の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)[K]の大きさとの予め求められた対応関係に基づいて、前記自己発熱(ΔT)の大きさが予め定められた上限値(Tmax)[K]未満となるように、前記扁平率(f)及び前記距離(L)が構成される。
コンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)[mm]の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)[K]の大きさとの対応関係は、例えば、上述したような事前実験によって予め求めることができる。尚、自己発熱(ΔT)の大きさは、例えば、これらのフィルムコンデンサを実際に作動させて、例えば熱電対等の温度検出手段を使用して、自己発熱(ΔT)の大きさを実測することによって特定することができる。
或いは、想定される作動条件下での抵抗損失等を算出し、伝熱解析を行うことによって、自己発熱(ΔT)の大きさを特定してもよい。例えば、コンデンサからの発熱と周囲への放熱とが平衡に達した状態におけるリプル電流による自己発熱(ΔT)は、例えば、以下の式(2)のように概算することができる。
Figure 2016012644
上式中、Pはコンデンサ内部での消費電力であり、Iはリプル電流であり、Rは等価直列抵抗(ESR)であり、βは放熱定数であり、Aはコンデンサの表面積であり、tanδはフィルムの誘電正接であり、ωは作動条件下でのリプル電流の角速度(=2πf、fはリプル周波数)であり、Cは作動条件下でのコンデンサの静電容量である。
尚、伝熱解析は、例えば、株式会社ソフトウェアクレイドル製の熱流体解析ソフトウェア「SCRYU/Tetra(登録商標)」等を始めとする市販のアプリケーションソフトウェアを利用して行うことができる。
上記のようにして得られる扁平率(f)及び距離(L)の組み合わせと自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係に基づいて、所望の自己発熱(ΔT)を達成し得る扁平率(f)及び距離(L)の範囲を特定する。このようにして特定された範囲に入る扁平率(f)及び距離(L)を有するフィルムコンデンサによれば、当該フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)が許容可能なレベルを超えないように制御することができる。
即ち、本実施態様に係るフィルムコンデンサによれば、巻回型フィルムコンデンサのみならず積層型フィルムコンデンサにも適用可能な、高い比誘電率(ε)を有するPVDFを含んでなるフィルムを使用するフィルムコンデンサの自己発熱を抑制する技術を提供するという、本発明の1つの目的を達成することができる。
ところで、本実施態様に係るフィルムコンデンサにおいて、コンデンサ本体部の扁平率(f)は、上述したように、コンデンサ本体部の2つのメタリコン電極に平行な平面による断面の長手方向における大きさである幅(W)[mm]及び短手方向における大きさである厚さ(H)[mm]から下式(1)によって算出することができる。
Figure 2016012644
例えば、上記断面の形状が長方形である場合、上記幅(W)は長方形の長辺の長さに該当し、上記厚さ(H)は長方形の短辺の長さに該当する。或いは、上記断面の形状が楕円である場合、上記幅(W)は楕円の長軸の長さに該当し、上記厚さ(H)は楕円の短軸の長さに該当する。上記断面の形状が複雑で幅(W)及び厚さ(H)の特定が困難である場合は、例えば、上記断面の形状の等価楕円の長軸及び短軸の長さをそれぞれ幅(W)及び厚さ(H)として採用してもよい。
ここで、添付図面を参照しながら、本実施態様に係るフィルムコンデンサの構成について説明する。図1は、前述したように、本発明の1つの実施態様に係るフィルムコンデンサの構成を示す模式図である。尚、図1においては、紙面の法線方向をX軸、紙面に向かって左右方向をY軸、及び紙面に向かって上下方向をZ軸とする。図1に示されている実施態様に係るフィルムコンデンサ10においては、コンデンサ本体部12の(X軸方向と交わる)2つの端面に、メタリコン電極14a及び14bがそれぞれ配設されている。
フィルムコンデンサ10が巻回型フィルムコンデンサである場合、X軸方向に平行な軸を中心に電極膜及び誘電体フィルムを巻回することによってコンデンサ本体部12が形成される。フィルムコンデンサ10が積層型フィルムコンデンサである場合、X−Y平面と略平行な電極膜及び誘電体フィルムのシートをZ軸方向に重ねることによってコンデンサ本体部12が形成される。その後、コンデンサ本体部12の(X軸方向と交わる)2つの端面に金属材料が溶射され、メタリコン電極14a及び14bが形成される。この際、上述したマージンの有無に応じて個々の電極膜はメタリコン電極14a及び14bの何れか一方とのみ電気的に接続される。
上記のようにして、コンデンサ本体部12において、上述したように、2つのメタリコン電極14a及び14bの一方(例えば、14a)と電気的に接続された電極膜(図示せず)と、2つのメタリコン電極14a及び14bの他方(例えば、14b)と電気的に接続された電極膜(図示せず)とを、誘電体フィルム(図示せず)を挟んで交互に積層することができる。
尚、フィルムコンデンサ10は、コンデンサ本体部12のY−Z平面による断面とメタリコン電極14a及び14bのY−Z平面による断面とが同じ形状及び大きさとなるように構成されている。従って、コンデンサ10においては、メタリコン電極14a及び14bのY軸方向における大きさがコンデンサ本体部12の断面の幅(W)と一致し、メタリコン電極14a及び14bのZ軸方向における大きさがコンデンサ本体部12の断面の厚さ(H)と一致する。更に、2つのメタリコン電極14aと14bとの間の距離(L)は、コンデンサ本体部12のX軸方向における大きさと一致する。
次に、上記のような構成を有するフィルムコンデンサ10におけるコンデンサ本体部12の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極14aと14bとの間の距離(L)のそれぞれを様々に変化させて、各種フィルムコンデンサを製造する。そして、上述したように、これらの各種フィルムコンデンサを想定される作動条件(例えば、リプル電流値及びリプル周波数等)下で作動させた場合における自己発熱(ΔT)の大きさを、コンデンサ本体部12の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極14aと14bとの間の距離(L)の組み合わせ毎にそれぞれ特定する。
尚、上述したように、自己発熱(ΔT)の大きさは、上記各種フィルムコンデンサ10を実際に作動させて、例えば熱電対等の温度検出手段を使用して実測することによって特定してもよい。或いは、想定される作動条件下での抵抗損失等を算出し、伝熱解析を行うことによって、自己発熱(ΔT)の大きさを特定してもよい。ここでは、100μFの静電容量を有するフィルムコンデンサを扁平率(f)とメタリコン電極間の距離(L)との様々な組み合わせにて製造した。そして、それぞれのコンデンサについて、10Hz及び10Armsのリプル電流を使用した場合における自己発熱(ΔT)の大きさを、株式会社ソフトウェアクレイドル製の熱流体解析ソフトウェア「SCRYU/Tetra(登録商標)V10」を利用する伝熱解析により特定した。結果を以下の表2に示す。
Figure 2016012644
上記のようにして得られる扁平率(f)及び距離(L)の組み合わせと自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係に基づいて、所望の自己発熱(ΔT)を達成し得る扁平率(f)及び距離(L)の範囲を特定する。このようにして特定された範囲に入る扁平率(f)及び距離(L)を有するフィルムコンデンサによれば、当該フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)が許容可能なレベルを超えないように制御することができる。
即ち、本実施態様に係るフィルムコンデンサにおいては、上述したように、
前記コンデンサ本体部の扁平率(f)及び前記2つのメタリコン電極間の距離(L)[mm]の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)[K]の大きさとの予め求められた対応関係に基づいて、前記自己発熱(ΔT)の大きさが予め定められた上限値(Tmax)[K]未満となるように、前記扁平率(f)及び前記距離(L)が構成される。
コンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)[mm]の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)[K]の大きさとの対応関係は、例えば、上述したような事前実験によって予め求めることができる。コンデンサ本体部の扁平率(f)、2つのメタリコン電極間の距離(L)、及びコンデンサの自己発熱(ΔT)の大きさの対応関係は、上記表2のようにデータテーブルとして表すことができる。或いは、これらの対応関係は、扁平率(f)、距離(L)、及び自己発熱(ΔT)を座標軸とする座標空間における曲面として表すこともできる。或いは、これらの対応関係は、扁平率(f)及び距離(L)を座標軸とする座標平面における自己発熱(ΔT)の大きさの分布を表す等値線図(コンタ図)として表すこともできる。
ここで、添付図面を参照しながら、本実施態様に係るフィルムコンデンサにおけるコンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係について説明する。図2は、前述したように、本発明の1つの実施態様に係るフィルムコンデンサにおけるコンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)の組み合わせと自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係を表す模式的な等値線図(コンタ図)である。
図2のコンタ図は、扁平率(f)を表す横軸及びメタリコン電極間の距離(メタリコン間距離)(L)を表す縦軸によって規定される座標平面を、表2に列挙されているデータに基づいて、自己発熱(ΔT)の大きさの範囲に応じて塗り分けたものである。具体的には、自己発熱(ΔT)の大きさが0〜10Kとなる領域(a)は白ベタ、10〜20Kとなる領域(b)は右上がりの斜線、20〜30Kとなる領域(c)は右下がりの斜線、30〜40Kとなる領域(d)は網掛け、及び40〜50Kとなる領域(e)は黒ベタに、それぞれ塗られている。
図2からも明らかであるように、扁平率(f)を大きくするほど、及び/又は、メタリコン間距離(L)を小さくするほど、自己発熱(ΔT)が小さくすることができる。これは、前述したように、扁平率(f)を高めるほどコンデンサの放熱効率が高くなること、及びメタリコン間距離(L)を小さくするほど電極膜の電気抵抗成分(R1)が小さくなり、フィルムコンデンサのESRが小さくなること、に起因するものと考えられる。
従って、コンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係を予め求めておき、例えば図2のコンタ図等を使用して、自己発熱(ΔT)の大きさが予め定められた上限値(Tmax)未満となる範囲に入る扁平率(f)及び距離(L)を選択することにより、当該フィルムコンデンサの自己発熱(ΔT)を所望の大きさ未満に抑えることができる。
尚、当然のことながら、このような扁平率(f)及びメタリコン電極間の距離(L)の組み合わせとコンデンサの自己発熱(ΔT)の大きさとの対応関係は個々のコンデンサの設計仕様及び/又は作動条件によって異なる。即ち、上記表2及び図2によって示されている対応関係はあくまでも一例に過ぎない。
尚、所望の静電容量を達成するためには、2つのメタリコン電極間の距離(L)を小さくした分、フィルム及び電極膜の巻回長及び積層数を増大させて、蓄電に寄与する面積を維持する必要がある。しかしながら、PVDFフィルムを使用するコンデンサにおいては、その高い比誘電率の故に、従来のPPフィルム等を使用するコンデンサと比較して、そもそも巻回長及び積層数が小さい。従って、本実施態様に係るフィルムコンデンサにおいて巻回長及び積層数を増大させてもなお、従来技術に係るフィルムコンデンサと比較して、フィルム及び電極膜の使用量は少なく、製造コスト上の利点は確保される。
ところで、上記上限値(Tmax)は、例えば、当該フィルムコンデンサの設計仕様、当該フィルムコンデンサを使用する設備(例えば、HV用インバータ回路等)の設計仕様、当該設備における当該フィルムコンデンサの作動条件(例えば、リプル電流値及びリプル周波数等)等に応じて適宜設定することができる。例えば、自己発熱(ΔT)の上限値(Tmax)を10Kに設定しようとする場合、図2のコンタ図における領域(a)に入るように、コンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)を定めればよい。また、自己発熱(ΔT)の上限値(Tmax)を20Kに設定しようとする場合、図2のコンタ図における領域(a)又は(b)に入るように、コンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)を定めればよい。
しかしながら、図2のコンタ図に示されているように、自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域の境界線の形状は必ずしも単純ではない。従って、自己発熱(ΔT)を所望の大きさ未満に抑えることができるコンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)との組み合わせを具体的に特定することが困難である場合も想定される。
上記のような場合は、例えば、図3のコンタ図に描かれた複数の太い線分によって表されているように、自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域の境界線を単純な数式(関数)によって境界線を近似してもよい。図3のコンタ図に描かれた複数の太い線分は、自己発熱(ΔT)の大きさが20K未満に収まる領域の境界線を表す。従って、例えば、図3に示されているフィルムコンデンサにおいて自己発熱(ΔT)の上限値(Tmax)を20Kに設定する場合、下式(3)によって表される関係を満たすコンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)との組み合わせを採用することができる。
Figure 2016012644
上記のように、自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域を、この領域の境界線を近似する数式に対応する不等式として、より単純に規定することができる。結果として、自己発熱(ΔT)を所望の大きさ未満に抑えることができるコンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)との組み合わせを、より簡便に特定することができる。
従って、本発明の第2の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様に係るフィルムコンデンサであって、
前記扁平率(f)及び前記距離(L)が上式(3)によって表される関係を満たす、
フィルムコンデンサである。
本実施態様に係るフィルムコンデンサにおいては、自己発熱(ΔT)を所望の大きさ未満に抑えることができるコンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)との組み合わせを、上式(3)に従って、より簡便に特定することができる。
本実施態様においては自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域の境界線の形状からの近似式の乖離をできる限り小さくすることを目的として、上記のように複数の数式の組み合わせとして近似式を規定した。しかしながら、例えば、コンデンサ本体部の扁平率(f)及び2つのメタリコン電極間の距離(L)の設定可能な範囲に余裕がある場合等においては、上記境界線を1つの数式(関数)によって規定してもよい。
上記のような場合は、例えば、図4のコンタ図に描かれた1本の太い直線によって表されているように、自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域の境界線を1つの数式(関数)によって近似してもよい。これにより、自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域を、当該数式に対応する不等式として、更により単純に規定することができる。結果として、自己発熱(ΔT)を所望の大きさ未満に抑えることができるコンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)との組み合わせを、更により簡便に特定することができる。
具体的には、自己発熱(ΔT)の上限値(Tmax)を所定の上限値(Tmax)(例えば、20K)に設定する本発明の上記第1又は第2の実施態様に係るフィルムコンデンサにおいては、例えば、下式(4)によって表される関係を満たすコンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)との組み合わせを採用することができる。
Figure 2016012644
従って、本発明の第3の実施態様は、
本発明の前記第1又は第2の実施態様に係るフィルムコンデンサであって、
前記扁平率(f)及び前記距離(L)が上式(4)によって表される関係を満たす、
フィルムコンデンサである。
本実施態様に係るフィルムコンデンサにおいては、自己発熱(ΔT)を所望の大きさ未満に抑えることができるコンデンサ本体部の扁平率(f)と2つのメタリコン電極間の距離(L)との組み合わせを、上式(4)に従って、更により簡便に特定することができる。
尚、本発明の第2及び第3の実施態様についての上記説明においては、自己発熱(ΔT)の大きさが所定の範囲に収まる領域の境界線を近似する数式(関数)を一次式として表した。しかしながら、このような数式をより高次の関数(例えば、二次関数及び三次関数等)によって表してもよいことは言うまでも無い。
ところで、前述したように、コンデンサ本体部においては、メタリコン電極が形成されるべき互いに対向する2つの端面のうち、一方の端面には電極膜が到達しており(マージンが無い)、他方の端面には到達していない(マージンが有る)ように電極膜が配置される。更に、このような電極膜の端面への到達の有無(マージンの有無)が、隣り合う電極膜において互い違いになるように電極膜が配置される。このような電極膜の配置を有するコンデンサ本体部の互いに対向する2つの端面にメタリコン電極を形成することにより、2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と、2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とが、誘電体フィルムを挟んで交互に積層される。
上記「マージン」は、2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と2つのメタリコン電極の他方との電気的な絶縁状態が確保される大きさである必要がある。このような電気的な絶縁状態を確保することができるマージンの最小値は、例えば、隣り合う電極膜の間に印加される電圧の大きさ、マージンに対応する部分においてメタリコン電極と電極膜との間に存在する物質の種類等、様々な要因に応じて変化する。具体的なマージンの最小値は、例えば、製造しようとするフィルムコンデンサの設計仕様及び作動条件に応じた事前実験等によって予め特定することができる。
本発明に係るフィルムコンデンサにおいても、上記のようにして特定される最小値以上のマージンを確保して、2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と2つのメタリコン電極の他方との電気的な絶縁状態が確保するべきであることは言うまでも無い。従って、本発明に係るフィルムコンデンサにおける2つのメタリコン電極間の距離(L)は、所望の静電容量を達成するために必要とされる電極膜の(例えば、図1におけるX軸方向の)大きさのみならず、上記のようにして特定されるマージンの最小値をも考慮した大きさとする必要がある。
即ち、本発明の第4の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様乃至前記第3の実施態様の何れか1つに係るフィルムコンデンサであって、
前記距離(L)が予め定められた下限値(Lmin)[mm]以上である、
フィルムコンデンサである。
上述した説明からも明らかであるように、上記下限値(Lmin)は、例えば、本実施態様に係るフィルムコンデンサにおいて所望の静電容量を達成するために必要とされる電極膜の(例えば、図1におけるX軸方向の)大きさと、上述したようにして特定されるマージンの最小値と、の和とすることができる。これにより、本実施態様に係るフィルムコンデンサは、所望の静電容量を達成しつつ、2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と2つのメタリコン電極の他方との電気的な絶縁状態を確保することができる。
ところで、一般的には、マージンに対応する部分においてメタリコン電極と電極膜との間には、例えば封止材等の材料は特に充填されない。即ち、一般的には、マージンに対応する部分においてメタリコン電極と電極膜との間に存在する物質は空気である。従って、マージンの最小値は、基本的には空気の絶縁耐力によって定まる。例えば、一般的なHV用インバータ回路において使用されるフィルムコンデンサにおけるマージンの最小値は20mm程度である。従って、所望の静電容量を達成するために必要とされる電極膜の(例えば、図1におけるX軸方向の)大きさを考慮すると、2つのメタリコン電極間の距離(L)の下限値(Lmin)は30mmであることが望ましい。
即ち、本発明の第5の実施態様は、
本発明の前記第4の実施態様に係るフィルムコンデンサであって、
前記下限値(Lmin)が30mmである、
フィルムコンデンサである。
上述した説明からも明らかであるように、本実施態様に係るフィルムコンデンサにおいては、2つのメタリコン電極間の距離(L)は30mm以上に限定される。その結果、本実施態様に係るフィルムコンデンサは、一般的なHV用インバータ回路において使用されるフィルムコンデンサとして所望の静電容量を達成しつつ、2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と2つのメタリコン電極の他方との電気的な絶縁状態を確実に確保することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施態様につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施態様に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。

Claims (1)

  1. ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでなる誘電体フィルムと、
    少なくとも2つの電極膜と、
    互いに対向する2つのメタリコン電極と、
    を備え、
    前記2つのメタリコン電極の一方と電気的に接続された電極膜と、前記2つのメタリコン電極の他方と電気的に接続された電極膜とが、前記誘電体フィルムを挟んで交互に積層されてなるコンデンサ本体部を構成している、
    フィルムコンデンサであって、
    前記コンデンサ本体部の扁平率(f)が、前記コンデンサ本体部の前記2つのメタリコン電極に平行な平面による断面の長手方向における大きさである幅(W)[mm]及び短手方向における大きさである厚さ(H)[mm]から下式(1)によって算出され、
    Figure 2016012644
    前記扁平率(f)及び前記2つのメタリコン電極間の距離(L)[mm]が下式(3)によって表される関係を満たし、そして
    Figure 2016012644
    前記距離(L)が30mm以上である、
    フィルムコンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107063498A (zh) * 2017-05-19 2017-08-18 广东顺德中山大学卡内基梅隆大学国际联合研究院 一种温度传感器及其制备方法

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