JP2016011792A - 非鉄金属の溶解保持炉及び溶解炉の耐火物の張替、補修方法 - Google Patents

非鉄金属の溶解保持炉及び溶解炉の耐火物の張替、補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダイカスト等に供する非鉄金属溶湯を溶製する小型の溶解保持炉において、溶解炉の耐火物の張替、補修を容易にするための炉の配置、構造及び張替、補修方法の提供。
【解決手段】非鉄金属を溶解バーナー(1−2)により加熱溶解して溶湯を得る溶解炉(1−1)と該溶湯を処理する溶湯処理炉2と、処理した溶湯を浸漬ヒータ等により定温に加熱保持して貯湯する溶湯保持炉3と、から成る溶解保持炉において、溶解炉(1−1)の耐火物の張替、補修工事を容易にするために、溶解炉(1−1)から溶湯処理炉2又は溶湯処理炉2、溶湯保持炉3を分離して移動可能にする移動手段を設ける非鉄金属の溶解保持炉。
【選択図】図1

Description

本発明は、ダイカスト等に供するアルミニウム、マグネシウム等の非鉄金属溶湯を溶製する溶解保持炉、特に小型の溶解保持炉において、詳しくは溶解保持炉中の溶解炉の耐火物の張替、補修を容易にするための炉の配置、構造及び張替、補修方法に関するものである。
ダイキャスト法は、金型に溶融したアルミニウム、亜鉛、マグネシウム等の非鉄金属及びそれらの合金を圧入することにより高い寸法精度の鋳物を短時間に大量生産する鋳造方式であって、量産性や製品肌が良好なことに特長があり、自動車関連部品、家電関連部品、事務用品や日用品等に用途を拡大して来ている。
ダイキャスト用合金として使用量が多いのは、アルミニウム合金であって、経済的で、鋳造し易く、しかも機械的性質や成形鋳造性に優れている。ダイキャスト法に用いられるアルミニウム合金の溶湯は、図7に示すような溶解保持炉1で溶製され、その溶湯は保持炉3で800℃近辺で保持される。前記溶解保持炉としては、上部が溶解材料投入口で、下部に傾斜炉床を有する溶解炉1−1を有し、装入された溶解材料を溶解バーナ1−2によって加熱溶解し、傾斜炉床を経由して溶湯処理炉に導入されて溶湯処理を行い、次いで溶湯保持炉3へ導入され、炉の保持バーナにより溶湯を定温に加熱保持するアルミ等の非鉄金属溶湯の溶解保持炉が知られている。
特開2004−332948号公報(図2、図5、図6)
前述の溶解保持炉の溶解炉は、炉上部から装入されたアルミニウム材料を、炉の中間に設けられた溶解バーナの火炎により溶融して傾斜床に沿って流下させ、溶湯処理を経て溶湯保持炉にて貯湯する。この溶解バーナの火炎温度は高く、溶解炉の内壁は燃焼炎の高温に曝され、またアルミニウムや随伴する金属酸化物により溶損し易いので、耐火度の高いAlやAl―SiO系の耐火煉瓦や不定形耐火物が主として用いられてきた。
アルミニウム等の非鉄金属のダイキャスト機に溶湯を供給する溶解保持炉は、前述のダイキャスト機の能力と稼動台数に対応して、小型の、例えば300〜1000kg/hr能力の溶解保持炉が使用されることが多い。また、溶解保持炉の溶解炉は、保持炉からの間歇的な出湯量に見合って、間歇的な溶解作業が行われる。この間歇操業に合わせるべく、溶解炉は溶解バーナの燃焼量を増減して対応する必要があり、また、溶解炉への材料の装入も間歇的であり、その都度投入口の可動蓋が開閉して炉内へ外気の侵入を招来するなど、結果的に、炉内耐火物の温度変化をもたらして溶解炉内の耐火物が損傷し易い状況にある。
本発明は、前述の小型の非鉄金属溶解保持炉において、溶解炉の狭隘な内壁中でも耐火物の張替、補修工事を効率的に行う課題に対応するものであって、溶解炉、溶湯処理炉、溶湯保持炉の連結した配置を機器補修に関して改善すると共に、良好な作業空間を確保して、作業環境を改善することにより、耐火物の張替、補修工事を容易にして工期の短縮と、工事結果の品質確保を狙って溶解保持炉の構成及び配置を改善したアルミニウム、マグネシウム等の非鉄金属の溶解保持炉及び溶解炉の耐火物の張替、補修方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る非鉄金属の溶解保持炉は、非鉄金属を溶解バーナーにより加熱溶解して溶湯を得る溶解炉と該溶湯を処理する溶湯処理炉と、処理した溶湯を浸漬ヒータ又は面燃焼バーナにより定温に加熱保持して貯湯する溶湯保持炉と、から成る溶解保持炉において、前記溶解炉の耐火物の張替、補修工事を容易にするために、前記溶解炉から前記溶湯処理炉を、又は前記溶湯処理炉、前記溶湯保持炉を分離して移動可能に構成することを特徴とする。
この構成をとることにより、溶解炉と溶湯処理炉との接続を解放して、溶湯処理炉等を離間して移動させ、その跡に耐火物の張替、補修工事のために作業空間を創出することができる。例えば、溶解炉から溶湯処理炉を上方へ、又は、溶解保持炉の軸線に直角の横方向に移動して、その跡に適切な作業空間を設けることができる。また、溶解炉から溶湯処理炉と溶湯保持炉とを一体的に移動させる場合には、上方へ移動するか、又は、溶解保持炉の軸線に沿って離間する方向に移動させて、その跡に適切な作業空間を設けることができる。
従来の溶解保持炉において、耐火物が損傷して補修が必要となることが多い溶解炉では、特に300〜1000kg/hr能力の小型の溶解保持炉では、その内壁断面の大きさが、材料投入口で約0.5×0.6m〜0.6×0.8m程度であり、溶湯処理炉との接続部では約0.5×0.6m〜0.6×0.8m程度のトンネル状の場所で人間一人がやっと作業できる狭隘な空間である。また、溶解炉炉内で傷みの激しい部位は、溶解バーナの火炎が当たる傾斜床付近の部位であり、このような場所での耐火物の張替、補修工事は、前記材料投入口や溶湯処理炉との接続部や溶解炉の中段の点検口から耐火材及び工事部材の搬入、搬出が必要であり、また、前述の狭隘な場所における張替、補修工事の作業は困難で効率の悪いものであり、工事後の品質も期待し難いものであった。これに対して、本発明の耐火物の張替、補修作業がし易い作業空間を設けることができる構成によれば、張替、補修作業が容易に行え、作業の出来具合も良好であり、結果的に、溶解炉の耐火物の張替、補修工事を迅速に遂行でき、出来上がりの品質も十分確保できるものである。
また、請求項2に係る非鉄金属の溶解保持炉は、請求項1に記載の非鉄金属の溶解保持炉において、前記溶解炉と前記溶湯処理炉の接合面を分離,解放して、前記工事用の余地空間を創出するために、前記溶解炉から前記溶湯処理炉を、又は前記溶湯処理炉、前記溶湯保持炉を分離して移動できるよう移動手段を設けたことを特徴とする。また、請求項3に係る非鉄金属の溶解保持炉は、請求項2に記載の非鉄金属の溶解保持炉において、前記移動手段が、前記溶湯処理炉に、又は前記溶湯処理炉と前記溶湯保持炉に対して、起重機による吊り上げ移動、床盤におけるジャッキによる摺動移動、又は床盤におけるジャッキによる転がり移動であることを特徴とする。
これらの構成により、溶解保持炉全体として、非鉄金属の溶解、溶湯処理、溶湯の保持・貯湯の操業を行う中で、溶解炉の耐火物が損傷して、溶解炉の操業の継続が不可になった際に、炉を停止して、必要な耐火物の張替、補修工事を容易にすべく、溶解炉と溶湯処理炉の接続を解放した後、移動手段により溶湯処理炉等を移動して、新たな作業空間を設けることが簡易に実施できる。この移動手段は前もって準備又は設置しておくことが可能である。また、移動手段の設置と使用については、移動する溶湯処理炉又は溶湯処理炉と溶湯保持炉の機器の床盤面と対応する基礎面とに摺動面を前もって形成しておき、潤滑剤を塗布しておけば、摺動を要する場合には油圧ジャッキ等の力を利用して機器を簡単に移動させることができる。また、摺動面の代わりに複数のコロ軸を介在させておけば、移動を要する場合には油圧ジャッキ等の力を利用して機器を簡単に移動させることができる。また、移動する必要がある溶湯処理炉又は溶湯処理炉と溶湯保持炉の機器に吊り環を前もって設けておけば、起重機や揚重機により吊り上げ、縦、横方向に走行移動することにより溶湯処理炉又は溶湯処理炉と溶湯保持炉の分離移動が可能になる。
また、請求項4に係る溶解炉の耐火物張替、補修方法は、請求項1又は2又は3に記載の非鉄金属の溶解保持炉における溶解炉の耐火物張替、補修工事において、前記溶解炉を休止した後、前記溶解炉と前記溶湯処理炉の接合面を分離,解放し、次いで前記溶解炉から前記溶湯処理炉を、又は前記溶湯処理炉、前記溶湯保持炉を分離して離間させて余地空間を創出し、次いで該余地空間を作業空間として耐火物の張替、補修工事を行うことを特徴とする。
この構成によれば、従来の溶解炉の耐火物の張替、補修工事は、特に300〜1000kg/hr能力の小型の溶解炉において、その溶解炉の内壁断面の大きさが、トンネル状の場所で人間一人がやっと作業できる空間であり、このような狭隘な場所での耐火物の張替、補修工事の作業は困難で効率の悪いものであり、工事後の品質も期待し難いものであったのに対し、耐火物の張替、補修工事のし易い作業空間を確実に設けることができ、作業が容易で、作業の出来具合も良好であり、結果的に溶解炉の耐火物の張替、補修工事を迅速に遂行でき、出来上がりの品質も十分確保できる。
本発明に係る請求項1から3に記載の非鉄金属の溶解保持炉及び請求項4に記載の溶解炉の耐火物の張替・補修方法によれば、特に、小型の溶解保持炉において溶解炉の耐火物の張替・補修工事が、作業のし易い作業空間を設けることにより、張替・補修工事が容易に、安全に、確実に実施できる。また、作業効率を上げて工程を短縮することも可能で、復旧した耐火物施工の品質も十分確保できる。また、本発明によれば、溶解炉、溶湯処理炉、溶湯保持炉を個別で函体の製作、耐火物の予施工が可能で、これらの炉を連結、一体化することも可能であり、製作費の削減、工期の短縮、製品品質の向上等について最適化しやすい。
図1は、本発明を実施するための形態に係る非鉄金属の溶解保持炉の模式的斜視図である。 図2は、図1の状態から溶湯処理炉を分離移動した後の状態を示す非鉄金属の溶解保持炉の模式的斜視図である。 図3は、図1の状態から溶湯処理炉及び溶湯保持炉を分離移動した後の状態を示す非鉄金属の溶解保持炉の模式的斜視図である。 図4は、本発明を実施するための形態に係る非鉄金属の溶解保持炉の模式的断面図である。 図5は、図4の状態から溶湯処理炉を分離移動した後の状態を示す非鉄金属の溶解保持炉の模式的断面図である。 図6は、図4の状態から溶湯処理炉及び溶湯保持炉を分離移動した後の状態を示す非鉄金属の溶解保持炉の模式的断面図である。 図7は、従来例の非鉄金属の溶解保持炉の(a)溶解炉断面を示した模式的正面図、(b)溶解炉断面を示した模式的平面図である。
本発明に係る非鉄金属の溶解保持炉1を図1、図4を用いて説明する。図1は、非鉄金属の溶解保持炉1の模式的斜視図であって、図4は、図1の溶解保持炉1の内壁の耐火物の状態を示す模式的断面図である。溶解保持炉1は、主として溶解炉1−1と、溶湯処理炉2と、溶湯保持炉3と、から成る3炉で構成される。溶解炉1−1は、上部に溶解材料投入口1−4、投入口可動開閉蓋1−5があり、中段に下斜め向きの溶解バーナ1−2を備え、溶解材料を溶解バーナ1−2の火炎により溶解した溶湯が傾斜床1−3に沿って溶湯処理炉2に流下する。また、中段には、炉内点検口1−6とその開閉蓋を設ける。また、図示していないが、溶解炉1−1に溶解材料を投入する材料投入設備が、溶解炉1−1の側部に、溶解材料投入口1−4を挟んで投入口可動開閉蓋1−5に対向する位置に設けられ、主に、図7aの参考図に示すような、材料投入機1−7、材料バケットカーから構成される。
溶湯処理炉2は、溶解した溶湯に随伴される金属酸化物を浮上又は沈降させて分離除去し、清浄な溶湯を得る。溶湯処理炉2には、溶湯の処理温度の維持のために上蓋の一端に溶湯処理バーナ2−1が備えられる。また、溶湯処理炉2には、上面に可動蓋2−2が設けられ、これと隣り合って溶解炉1には、溶湯処理炉2との接続蓋1−11が設けられている。また、溶湯保持炉3は、溶湯処理炉2と下部で連通し、清浄な溶湯のみを受湯する。溶湯保持炉3は、出湯用クレードル(図示しない)が装入される出湯室3−3を備え、出湯室3−3は下部で保持室3−1と連通している。また、溶湯保持炉3には、上面に点検、補修用に可動蓋3−2が設けられる。また、溶湯保持炉3は、保持室3−1の下部に浸漬ヒータ3−8が内壁を貫通して挿入配置される。浸漬ヒータ3−8は、溶湯を加熱保持するために、セラミック等の耐火物製保護管内に電気発熱体又は燃焼発熱体を備えたラジアントチューブ型浸漬ヒータが用いられる。
本発明では、溶解保持炉1において、溶解炉1−1から溶湯処理炉2を、又は溶解炉1−1から溶湯処理炉2及び溶湯保持炉3を分離し移動できる構成にしている。この構成について、溶解保持炉1の函体の観点から説明すると、溶解保持炉1は、通常、鋼製の函体から構成され、溶解炉1−1と溶湯処理炉2の函体の接続部に溶解炉・溶湯処理炉分割フランジ2−4が設けられ、また、溶湯処理炉2と溶湯保持炉3の函体の接続部に溶湯処理炉・溶湯保持炉分割フランジ3−5が設けられる。溶解操業時には、各分割フランジ2−4,3−5は鋼製ボルト、コッタ(くさび)等で締結され、炉の補修時には、締結を外すことにより各分割フランジ2−4,3−5は分離することが可能となる。
溶湯処理炉2及び溶湯保持炉3には、炉の移動手段として、夫々炉の下部に、溶湯処理炉支持装置2−5及び溶湯保持炉支持装置3−6が設けられる。各支持装置2−5、3−6は、図示していないが、各炉2,3の函体の下部に基礎面と対向して平行に、鋼製の床盤を設けることができる。炉の移動は、前記基礎面と床盤に摺動面を設けて、潤滑剤を塗布して油圧ジャッキ等で押して移動させることができる。また、摺動面の代わりに複数のコロ軸を介在させて油圧ジャッキ等で押して移動させることもできる。また、基礎面に移動する方向の軌条を設け、床盤に車輪を設けるか、逆に基礎面に車輪を設け、床盤に移動する方向の軌条を設けることにより、床盤と繋がった炉を移動させることも可能である。また、移動する必要がある溶湯処理炉2又は溶湯処理炉2と溶湯保持炉3の機器に吊り環を前もって設けておけば、起重機や揚重機により吊り上げ、縦、横方向に走行移動することにより溶湯処理炉2又は溶湯処理炉2と溶湯保持炉3の分離移動が可能である。
図4に示すように、アルミニウム合金300kg/hrの溶解保持炉1の溶解炉1−1の耐火物1−9の壁内寸は、材料投入口で幅約0.5m、奥行約0.6m、溶湯処理炉2との接続部で幅約0.5m、高さ約0.6mであり、溶解炉・溶湯処理炉分割フランジ2−4からの奥行が約1.3mであって、材料投入口1−4から溶湯処理炉2の接続部下端までの全高は約2.4mである。溶解炉1−1の耐火物1−9の材質は、耐火度が要求され、かつ、形状が複雑な部位もあるので、主としてAl系耐火レンガ及びAl―SiO系のプラスチック又はキャスタブルの不定形耐火物でライニングされる。溶解炉1−1の耐火物1−9の壁内寸の大きさから分かるように、溶解炉1−1の耐火物1−9の張替又は補修作業は、それを行う作業空間が狭いので、従来、簡易な作業ではなかった。また、溶湯処理炉2の耐火物2−6の内寸は、幅約0.5m、高さ約0.6m、奥行約0.3mである。溶湯処理炉2の耐火物2−6,2−7の材質は、主に、Al―SiO系のプラスチック又はキャスタブルの不定形耐火物でライニングされる。また、溶湯保持炉3の保持炉3−1の耐火物3−7の内寸は、幅約0・9m、奥行約0.95m、高さ約0.6mである。保持炉3−1の耐火物3−7の材質は、従来、シャモット質キャスタブル耐火物が使われていたが、最近では熱伝導率の低い断熱性耐火材ボードを2〜3層の多層化にして用いられ、省エネルギや軽量化にも寄与している。溶解炉1−1、溶湯処理炉2の耐火物1−9、2−6の背面には、通常、赤レンガ等の外壁耐火物6が後詰施工される。
本発明に係る非鉄金属の溶解保持炉1の溶解炉1−1の耐火物1−9の張替、補修工事について、図1〜6を用いて説明する。溶解保持炉1の溶解操業時は、図1に示す状態であって、溶解炉1−1、溶解処理炉2、溶解保持炉3は、溶湯が流れる方向を軸線として一体的に連結されている。また、溶解炉1−1、溶解処理炉2、溶解保持炉3の夫々の内壁の耐火物1−9,1−10,2−6,2−7,3−7は、図4に示す状態で一体的に接合され、溶湯が洩れないようにライニングされている。溶解操業を継続していくと、溶解炉1−1の内張り耐火物1−9の中、溶解バーナ1−2の火炎により装入された非鉄金属が溶解する場所は、傾斜床1−3付近であり、この部位が高温とヒートサイクルと溶融金属及びその酸化物、随伴金属の酸化物等により耐火物1−9が侵食されて行き、最終的に耐火物1−9の張替、補修が必要となる。
前術したように、従来、耐火物1−9の張替、補修工事が狭隘な炉内で行う必要があったのが、本発明では、作業空間を余分に広く確保できるので、耐火物1−9の張替、補修工事を容易に確実に実施するための構成を成した。すなわち、溶解炉1−1の耐火物1−9の張替、補修工事をするための作業空間を余分に確保するために、(A)溶湯処理炉2を移動して、その跡を作業空間とする場合、(B)溶湯処理炉2と溶湯保持炉3を移動して、その跡を作業空間とする場合とがある。
(A)の場合の耐火物1−9の張替、補修工事を説明すると、図1,図4の状態で溶解炉1−1の溶解操業を停止し、溶湯処理炉2と溶湯保持炉3の溶湯を汲み出して、全体装置を冷却する。冷却した後、図2、5に示すように、溶解炉1−1に対して溶湯処理炉2を分離移動するために、溶解炉・溶湯処理炉分割フランジ2−4の締結を解放し、分離できる状態にする。また、溶解炉1−1の接続部蓋1−11と溶湯処理炉2の可動蓋2−2を開けるか、取り外して後、溶解炉・溶湯処理炉接続部耐火物1−10の不定形耐火物をA−Aラインで部分的に壊して縁切りを行う。同様に、溶湯保持炉3に対して溶湯処理炉2を分離移動するために、溶湯処理炉・溶湯保持炉分割フランジ3−5の締結を解放し、分離できる状態にし、次いで溶湯処理炉・溶湯保持炉接続部耐火物2−7の不定形耐火物をB−Bラインで部分的に壊して縁切りを行う。
前述した溶湯処理炉2と溶解炉1−1及び溶湯保持炉3との縁切りが済めば、溶湯処理炉支持装置2−5の摺動又は転動を施して、溶湯処理炉2を軸線と直角方向に横移動させる。移動が済めば、溶湯処理炉2の設置場所であった跡地に奥行約1m、幅方向に制限が無い作業空間が創出できる。また、横移動の代わりに、溶湯処理炉2を吊り上げて移動し、その跡地を作業空間とすることもできる。この作業空間を利用して、溶解炉1−1の耐火物1−9の張替、補修工事が効率良く、出来上がりの品質を良好にして達成できる。該張替、補修工事が終了すれば、前述の手順を逆に実施して、溶解保持炉1を操業可能な状態に戻すことが容易に確実に実施できる。なお、溶解炉・溶湯処理炉接続部耐火物1−10のA−Aライン及び溶湯処理炉・溶湯保持炉接続部耐火物2−7のB−Bラインの縁切した耐火物の復旧はプラスチック耐火物をラミングして用いるのが好適である。
(B)の場合の耐火物1−9の張替、補修工事を説明すると、図1,4の状態で溶解炉1−1の溶解操業を停止し、溶湯処理炉2と溶湯保持炉3の溶湯を汲み出して、全体装置を冷却する。冷却した後、図3、6に示すように、溶解炉1−1に対して溶湯処理炉2を分離移動するために、溶解炉・溶湯処理炉分割フランジ2−4の締結を解放し、分離できる状態にする。また、溶解炉1−1の接続部蓋1−11と溶湯処理炉2の可動蓋2−2を開けるか、取り外して後、溶解炉・溶湯処理炉接続部耐火物1−10の不定形耐火物をA−Aラインで部分的に壊して縁切りを行う。
前述した溶湯処理炉2と溶解炉1−1との縁切りが済めば、溶湯処理炉支持装置2−5及び溶湯保持炉支持装置3−6の機能である摺動又は転動を施して、溶湯処理炉2と溶湯保持炉3を軸線方向に移動させる。移動が済めば、溶湯処理炉2の設置場所であった跡地に軸線である奥行方向に制限が少ない作業空間が創出できる。また、移動の代わりに、溶湯処理炉2と溶湯保持炉3を吊り上げて移動し、その跡地を作業空間とすることもできる。この作業空間を利用して、溶解炉1−1の耐火物1−9の張替、補修工事が効率良く、出来上がりの品質を良好にして達成できる。該張替、補修工事が終了すれば、前述の手順を逆に実施して、溶解保持炉1を操業可能な状態に戻すことが容易に確実に実施できる。なお、溶解炉・溶湯処理炉接続部耐火物1−10のA−Aラインの縁切した耐火物の復旧はプラスチック耐火物をラミングして用いるのが好適である。
前述したように、本発明の溶解保持炉1や溶解炉の耐火物の張替、補修方法によれば、従来の溶解炉1−1の耐火物1−9の張替、補修工事を狭隘な炉内で行う代わりに、本発明では耐火物1−9の張替、補修の作業空間を十分に広く確保できるので、耐火物1−9の張替、補修工事を容易に、確実に、出来上がり品質を良好に実施することができる。また、このように結果的に非鉄金属の小型の溶解保持炉1の特長である多品種、少量生産などの小回りを生かせることが可能となり、ダイキャスト業界の発展に貢献できる。
また、本発明によれば、溶解炉、溶湯処理炉、溶湯保持炉を個別に連結可能な構成であるので、それぞれ別工場で同時に製作することも可能であり、製作期間の短縮を図ることが可能である。また、各炉を個別に製作、搬入して、現場で結合、一体化できるので、輸送、設置費の節約が可能である。また、各炉は単体で製品の検査、修正ができるので、品質管理がし易い。また、各炉とも函体のみならず、耐火物の予備施工をした状態での製作も可能で、各炉の連結、結合も簡易であり、製作費用、納期とも経済的に最適化し易い。
非鉄金属や小型炉のみならず、通常の溶解保持炉の製作や耐火物修理に関して利用できる。
1:溶解保持炉 1−1:溶解炉 1−2:溶解バーナ 1−3:傾斜床
1−4:材料投入口 1−5:投入口可動蓋 1−6:点検口
1−7:材料投入機 1−8:材料バケットカー 1−9:溶解炉耐火物
1−10:溶解炉・溶湯処理炉接続部耐火物 1−11:接続部蓋
2:溶湯処理炉 2−1:溶湯処理バーナ 2−2:可動蓋 2−3:外壁
2−4:溶解炉・溶湯処理炉分割フランジ 2−5:溶湯処理炉支持装置
2−6:溶湯処理炉耐火物 2−7:溶湯処理炉・溶湯保持炉接続部耐火物
3:溶湯保持炉 3−1:保持室 3−2:可動蓋 3−3:出湯室
3−4:外壁 3−5:溶湯処理炉・溶湯保持炉分割フランジ
3−6:溶湯保持炉支持装置 3−7:溶湯保持炉耐火物 3−8:浸漬ヒータ
A−A:溶解炉・溶湯処理炉耐火物分割ライン
B−B:溶湯処理炉・溶湯保持炉耐火物分割ライン

Claims (4)

  1. 非鉄金属を溶解バーナーにより加熱溶解して溶湯を得る溶解炉と該溶湯を処理する溶湯処理炉と、処理した溶湯を浸漬ヒータ又は面燃焼バーナにより定温に加熱保持して貯湯する溶湯保持炉と、から成る溶解保持炉において、前記溶解炉の耐火物の張替、補修工事を容易にするために、前記溶解炉から前記溶湯処理炉を、又は前記溶湯処理炉、前記溶湯保持炉を分離して移動可能に構成することを特徴とする非鉄金属の溶解保持炉。
  2. 前記溶解炉と前記溶湯処理炉の接合面を分離,解放して、前記工事用の余地空間を創出するために、前記溶解炉から前記溶湯処理炉を、又は前記溶湯処理炉、前記溶湯保持炉を分離して移動できるよう移動手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の非鉄金属の溶解保持炉。
  3. 前記移動手段が、前記溶湯処理炉に、又は前記溶湯処理炉と前記溶湯保持炉に対して、起重機による吊り上げ移動、床盤におけるジャッキによる摺動移動、又は床盤におけるジャッキによる転がり移動であることを特徴とする請求項2に記載の非鉄金属の溶解保持炉。
  4. 請求項1又は2又は3に記載の非鉄金属の溶解保持炉における溶解炉の耐火物張替、補修工事において、前記溶解炉を休止した後、前記溶解炉と前記溶湯処理炉の接合面を分離,解放し、次いで前記溶解炉から前記溶湯処理炉を、又は前記溶湯処理炉、前記溶湯保持炉を分離して離間させて余地空間を創出し、次いで離間させて該余地空間を作業空間として耐火物の張替、補修工事を行うことを特徴とする溶解炉の耐火物張替、補修方法。
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