JP2016011533A - ハイブリッド式作業車両 - Google Patents
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Abstract
Description
請求項2の発明は、請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、制御部は、増加指令が入力されると、ポンプ要求流量指令を所定値増加させたときの可変容量油圧ポンプの吸収トルクに応じたエンジン出力を演算し、その演算結果に基づいてエンジンの回転数を制御する。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のハイブリッド式作業車両において、制御部は、ポンプ要求流量指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を実行中に増加指令が入力されると、ポンプ要求流量指令および増加指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を開始し、その後、増加指令が入力されたときは、ポンプ要求流量指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を実行する。
請求項4の発明は、請求項1または2に記載のハイブリッド式作業車両において、制御部は、増加指令が入力されると、ポンプ要求流量指令および増加指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を開始し、増加指令の入力から所定時間以上経過したとき、ポンプ要求流量指令と増加指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を中止して、ポンプ要求流量指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を実行する。
請求項5の発明は、請求項4に記載のハイブリッド式作業車両において、上記所定時間を設定する設定部をさらに備える。
図1は実施の形態のハイブリッド式作業車両200の一例として示されるホイールローダの外観側面図であり、図2はハイブリッド式作業車両200の主要構成を示す回路ブロック図である。
なお、キャパシタ3に代えて、たとえば鉛蓄電池や、リチウムイオンバッテリのような2次電池を用いてもよい。
「トルク」 Trq
「出力」 Pwr
「ポンプ」 Ppmp
「走行」 drv
「アクセル」 acc
「発電」 gen
「要求」 req
「指令(目標値)」 t
「走行電動機」、「回生電力」 mot
アクセル要求トルク Tr_acc_req …図6のアクセル要求トルクマップ
走行要求トルク Trq_drv_req …(2)式
走行要求出力 Pwr_drv_req …(3)式
エンジン出力指令 Pwr_eng_t …(9)式
回生電力低減指令 dPwr_mot_t …(6)式
発電出力指令 Pwr_gen_t …(8)式
発電電動機トルク指令 Trq_gen_t …(10)式
走行電動機トルク指令 Trq_mot_t …(12)式
エンジン回転数指令 Neng_t
制動トルク指令 Trq_brk_t …(13)式
エンジン回転数 Neng
走行電動機回転数 Nmot
蓄電管理部110は、キャパシタ3の許容充電電力を演算して出力演算部140に出力する。蓄電管理部110には、コンバータ4で検出されるキャパシタ3の蓄電電圧が入力される。蓄電管理部110は、コンバータ4から入力したキャパシタ3の蓄電電圧と、メインコントローラ100内の記憶装置(不図示)に記憶された許容充電電力マップとに基づいて、キャパシタ3の許容充電電力を算出する。
なお、上記は充電時における例を説明するものであるが、放電時においても同様の演算が成される。
油圧要求演算部120は、油圧ポンプ9の油圧要求出力Pwr_pmp_reqを演算する。油圧要求演算部120には、リフトレバーおよびバケットレバー、すなわち操作装置31からレバー信号が入力され、油圧ポンプ9とコントロールバルブ11との間に設けられた圧力センサ(不図示)からポンプ圧ppmpが入力される。なお、説明を簡略化するため、ステアリングホイールの操作およびステアリングシリンダ12の動作については演算に含めないものとする。
油圧要求演算部120は、受信したレバー信号とポンプ要求流量マップとに基づいて、ポンプ要求流量qpmp_reqを算出する。そして油圧要求演算部120は、算出したポンプ要求流量qpmp_reqと、受信したポンプ圧力ppmpとポンプ増加流量ΔqQupとエンジン回転数Nengを用いて、以下の(1)式により油圧要求出力Pwr_pmp_reqを算出する。
Pwr_pmp_req={qpmp_req+sign(Qupsw)・ΔqQup}・ppmp…(1)
なお、ポンプ増加流量ΔqQupは後述する所定値として設定され、signは符号関数であり、吐出容量増加スイッチ41がオン操作されている場合はsign(Qupsw)が「1」となり、吐出容量増加スイッチ41がオン操作されていない場合はsign(Qupsw)が「0」となる。
なお、説明を簡略化するため、油圧ポンプ9の効率は考慮しないものとし、以下の計算式においても同様に油圧ポンプ9の効率は含まれない。また、リフトレバーとバケットレバーが同時操作されることもあり、その場合のポンプ要求流量は、それぞれのレバーからの要求流量のうちの大流量側を選択することにより決定される。なお、両操作レバーの操作と車体による作業状態とに基づいて、それぞれの操作レバーの操作量により要求されるポンプ要求流量を選択するようにしても良い。
走行要求演算部130は、走行時に走行電動機7F,7Rに要求されるトルクである走行要求トルクTrq_drv_reqを(2)式に基づいて算出して出力し、走行時に走行電動機7で消費または発生(回生)される電力である走行要求出力Pwrcdrv_reqを(3)式に基づいて算出して出力する。このとき、走行要求演算部130は、メインコントローラ100の記憶装置(不図示)に記憶されたアクセル要求トルクマップを用いて演算を行う。
Trq_drv_req=sign(VFNR)・Trq_acc_req−sign(Nmot)・Kbrk・Vbrk
…(2)
ただし、signは符号関数であり、引数が正の場合は「1」を、負の場合は「−1」を、0の場合は「0」を返すものとする。さらに、前後進スイッチ信号VFNRは、前後進スイッチが前進方向の場合は「1」を、後進方向の場合は「−1」を、中立の場合は「0」を示す。Kbrkは比例定数であり、ブレーキペダルの操作によって過不足のない減速が得られるように予め設定されている。また、αは、速度段とアクセルペダル踏込量の関数であり、速度段が小さいほど大きな値を、アクセルペダル踏込量が小さいほど大きな値を設定している。
Pwr_drv_req=VDC・IDC_mot …(3)
(3)式によれば、回生運転時の走行要求出力Pwr_drv_reqは負の値をとる。
出力管理部140には、エンジンコントローラ2からのエンジン回転数Nengと、蓄電管理部110からの許容充電電力Pwr_chg_maxと、油圧要求演算部120からの油圧要求出力Pwr_pmp_reqと、走行要求演算部130からの走行要求出力Pwr_drv_reqとが入力される。
出力管理部140は、(4)式に基づいて余剰電力Pwr_supを算出する。また、(5)式に基づいて傾転角増加指令dDpmpを算出して出力し、(6)式に基づいて回生電力低減指令dPwr_mot_tを算出して出力し、(8)式に基づいて発電出力指令Pwr_gen_tを算出して出力し、(9)式に基づいてエンジン出力指令Pwr_eng_tを算出して出力する。
なお、出力管理部140は、エンジン回転数を受信して演算に用いているが、エンジン1、発電電動機5および油圧ポンプ9が機械的に接続されているため、エンジン回転数に代えて発電電動機5および油圧ポンプ9の回転数をセンサ等を介して適宜受信して演算に用いてもよい。
出力管理部140は、走行要求演算部130で(3)式で算出した走行要求出力Pwr_drv_reqを受信する。この走行要求出力Pwr_drv_reqが0以上であれば、出力管理部140はハイブリッド式作業車両200が力行運転中と判断し、走行要求出力Pwr_drv_reqが負であればハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断する。ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断すると、出力管理部140は、蓄電管理部110からの許容充電電力Pwr_chg_maxと、走行要求演算部130からの走行要求出力Pwr_drv_reqとを用いて、以下の(4)式により、余剰電力Pwr_supを算出する。
Pwr_sup=max(|Pwr_drv_req|−Pwr_chg_max,0)…(4)
すなわち、余剰電力Pwr_supとは、回生運転中の走行電動機7F,7Rによる回生電力がキャパシタ3に充電可能な許容充電電力を上回っている電力である。したがって、この余剰電力は、発電電動機5を駆動して消費するか、あるいは、回生電力自体を低減して余剰電力自体を低減する必要がある。
余剰電力Pwr_supの消費は、(10)式で算出される発電電動機トルク指令Trq_gen_tにより発電電動機5を駆動することで消費される。また、余剰電力Pwr_supは、エンジン回転数Nengとその第2閾値Neng_th2との差(Neng−Neng_th2)から(6)式で算出される回生電力低減指令により低減される。この点は後に詳述する。
すなわち、出力管理部140は、(4)式で算出される余剰電力Pwr_supから以下のことを認識することができる。
(a)余剰電力Pwr_supが0のときは、回生電力でキャパシタ3を充電することができると認識する。
(b)余剰電力Pwr_supが0ではないときは、回生電力でキャパシタ3を充電することができないと認識する。
出力管理部140は(b)を認識すると、発電電動機5を電動モードで駆動して回生電力を消費するか、もしくは、回生電力低減指令により余剰電力自体を低減する。
出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判断すると、エンジン1の回転数Nengが第1設定閾値Neng_th1以下であるか、さらに第2設定閾値Neng_th2以下であるかを判定する。ここで、第1設定閾値Neng_th1および第2設定閾値Neng_th2は、「エンジン1のアイドル回転数<第1設定閾値Neng_th1<第2設定閾値Neng_th2<min(エンジン1の最高回転数、油圧ポンプ9の最高回転数)」を満たすように設定されている。第1設定閾値Neng_th1および第2設定閾値Neng_th2は、メインコントローラ100の記憶装置に記憶され、必要に応じて適宜再設定が可能である。なお、エンジン1の回転数に代えて、発電電動機5の回転数を用いても良いし、油圧ポンプ9の回転数を用いても良い。
以上のように、この実施の形態のハイブリッド式作業車両200ではエンジン1の運転モードを以下の4つのモードに分類している。
回生運転時は、低回転モードと、回転抑制モードと、高回転モードに分類し、力行運転時は、通常モードに分類する。
出力管理部140は、油圧要求演算部120で(1)式から算出された油圧要求出力Pwr_pmp_reqに基づいて、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれが動作中であるかを判定する。油圧要求出力Pwr_pmp_reqが、たとえばポンプ圧力×最小吐出流量で算出される設定値以上であれば、出力管理部140はリフトシリンダ13およびバケットシリンダ14が動作中であると判定する。
さらに、出力管理部140は、以下の3つの条件(i)〜(iii)を満たす場合に、油圧ポンプ9の傾転角を増加するための傾転角増加指令dDpmp_tを下記(5)式にしたがって算出する。
(i)ハイブリッド式作業車両200が回生運転中と判定されている。
(ii)走行電動機7F,7Rの余剰電力で発電電動機5が駆動されているとき、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14のいずれも動作中でないと判定されている。
(iii)エンジン1が高回転モードと判定されている。
dDpmp_t=max{KnD(Neng−Neng_th1),0}…(5)
ただし、KnDは、第1設定閾値Neng_th1と実回転数Nengの差から傾転角増加指令を算出する比例定数であり、あらかじめメインコントローラ100に記憶されている。
出力管理部140は、走行電動機7F,7Rの余剰電力で発電電動機5が駆動され、かつエンジン1が高回転モードと判定された場合に、走行電動機7F,7Rが発電する回生トルクを低減するための回生電力低減指令dPwr_mot_tを算出する。出力管理部140は、エンジンコントローラ2から入力されたエンジン回転数Nengと、第2設定閾値Neng_th2とを用いて、以下の(6)式により回生電力低減指令(回生電力低減目標値)dPwr_mot_tを算出する。
dPwr_mot_t=max{KnP(Neng−Neng_th2),0}…(6)
なお、(6)式において、KnPは、第2設定閾値Neng_th2と実エンジン回転数Nengとの差から回生電力低減指令を算出する比例定数である。
エンジン1が通常モード、低回転モード、回転抑制モードのいずれかの場合には、出力管理部140は回生電力低減指令dPwr_mot_tを0に設定する。
この回生電力低減指令制御は、エンジン1の回転数が高速域で走行しているときに、例えば、アクセルペダルを解放して作業車両200が回生運転に入るような場合にて、余剰電力Pwr_supが大きすぎることに伴うエンジン回転数Nengの過回転を防止することができる。
出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が回生運転中であると判定した場合に、走行電動機7F,7Rで発生する回生電力のうち発電電動機5で消費すべき電力である消費電力Pwr_cnsを算出する。出力管理部140は、(4)式で算出した余剰電力Pwr_supと、(6)式で算出した回生電力低減指令dPwr_mot_tとを用いて、以下の(7)式から消費電力Pwr_cnsを算出する。
Pwr_cns=max(Pwr_sup−dPwr_mot_t,0)…(7)
ただし、出力管理部140は、ハイブリッド式作業車両200が力行運転中と判定した場合には、消費電力Pwr_cnsを0に設定する。
Pwr_gen_t=max(Pwr_drv_req,0)−Pwr_cns …(8)
力行運転時、消費電力Pwr_cnsは0に設定され、また、走行要求出力Pwr_drv_reqは正の値をとるので、(8)式の発電出力指令Pwr_gen_tは、(3)式で算出される走行要求出力Pwr_drv_reqとなる。一方、回生運転時、走行要求出力Pwr_drv_reqは負の値をとるので、(8)式の発電出力指令Pwr_gen_tは、(7)式で算出される消費電力Pwr_cnsとなる。
換言すると、力行時の発電出力指令Pwr_gen_tは走行要求出力Pwr_drv_reqであり、回生時の発電出力指令Pwr_gen_tは消費電力Pwr_cnsであり、負の値をとる。
Pwr_eng_t=Pwr_pmp_req+Pwr_gen_t …(9)
力行運転時、出力管理部140が算出するエンジン出力指令Pwr_eng_tは、ポンプ要求流量qpmp_reqとポンプ圧力ppmpとの積である油圧要求出力Pwr_pmp_req((1)式で算出される)に、(8)式で算出した走行要求出力Pwr_drv_reqである発電出力指令Pwr_gen_tを加算したものとなる。
回生運転時、出力管理部140が算出するエンジン出力指令Pwr_eng_tは、ポンプ要求流量qpmp_reqとポンプ圧力ppmpとの積である油圧要求出力Pwr_pmp_req((1)式で算出される)に、(7)式で算出した消費電力Pwr_cnである発電出力指令Pwr_gen_tを加算したものとなる。
換言すると、力行時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力Pwr_pmp_reqに走行要求出力Pwr_drv_reqを加算したものであり、回生時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力Pwr_pmp_reqから消費電力Pwr_cnsを減算したものである。油圧要求出力Pwr_pmp_reqが0の場合、エンジン出力指令Pwr_eng_tは消費電力Pwr_cnsとなる。
アクセルペダルが踏み込まれていないときは、走行要求出力Pwr_drv_reqと消費電力Pwr_cnはともにゼロであり、(9)式のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力Pwr_pmp_reqとなる。すなわち、エンジン回転数は操作装置の操作量に応じて大きくなる。
目標回転数演算部150は、エンジンコントローラ2に送信するエンジン回転数指令(エンジン回転数目標値)Neng_tを算出する。目標回転数演算部150は、出力管理部140で算出されたエンジン出力指令Pwr_eng_tに基づいて、エンジン等燃費マップを用いて、最もエンジン効率が高くなる動作点を算出する。そして、目標回転数演算部150は、算出した動作点でのエンジン回転数をエンジン回転数指令Neng_tとする。エンジンコントローラ2は、エンジン回転数指令Neng_tを目標回転数演算部150から受信すると、そのエンジン回転数指令が示すエンジン回転数でエンジン1を回転させる。
発電電動機制御部160には、エンジンコントローラ2からのエンジン回転数Nengと、出力管理部140からの発電出力指令Pwr_gen_tと、目標回転数演算部150からのエンジン回転数指令Neng_tとが入力される。発電電動機制御部160は、これらの値を用いて、以下の(10)式によって発電電動機トルク指令(発電電動機トルク目標値)Trq_gen_tを算出する。
Trq_gen_t=max{Kp(Neng_t−Neng),0}−Pwr_gen_t/Neng …(10)
ただし、Kpは、エンジン回転数Nengとエンジン回転数指令Neng_tとの差から発電電動機トルクを算出する比例定数である。
そして、発電電動機制御部160は、算出した発電電動機トルク指令Trq_gen_tを発電インバータ6へ送信する。これにより、発電電動機5が駆動制御される。
力行運転時、エンジン回転数指令Neng_tはエンジン回転数Nengより大きい。したがって、力行運転時、発電電動機制御部160は、Kp(Neng_t−Neng)で求めた要求トルクから、エンジン出力指令Pwr_eng_tをエンジン回転数Nengで除して得られるトルクを減算することにより、発電電動機トルク指令Trq_gen_tを算出する。力行運転時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは、油圧要求出力Pwr_pmp_reqに走行要求出力Pwr_drv_reqを加算したものである。
一方、回生運転時、エンジン回転数指令Neng_tはエンジン回転数Nengより小さい。また、回生時のエンジン出力指令Pwr_eng_tは油圧要求出力Pwr_pmp_reqに消費電力Pwr_cnsを加算したものである。したがって、回生運転時に発電電動機制御部160が算出する発電電動機トルク指令Trq_gen_tは、油圧要求出力Pwr_pmp_reqから消費電力Pwr_cnsを減算した値をエンジン回転数Nengで除して得られるトルクとなる。
傾転角制御部170は、下記の(11)式に基づいて傾転角制御信号VDp_tを算出して、この傾転角制御信号に基づいて油圧ポンプ9の図示しないレギュレータを駆動することによって、油圧ポンプ9の傾転角、すなわち容量を制御する。傾転角制御部170は、エンジンコントローラ2からのエンジン回転数Nengと、油圧要求演算部120からのポンプ要求流量qpmp_reqと、ポンプ増加流量ΔqQupと、出力管理部140からの傾転角増加指令dDpmp_tとを用いて、以下の(11)式によって傾転角制御信号VDp_tを算出する。
VDp_t=KDp{(qpmp_req+sign(Qupsw)・ΔqQup)/Neng}+dDpmp_t …(11)
なお、KDpは、油圧ポンプの傾転角を目標値とするために必要な傾転制御信号を算出するための比例定数である。
また、力行運転中と判定された場合には、出力管理部140は傾転角増加指令dDpmp_tを0に設定する。さらに、回生運転中、回生電力の全量がキャパシタ3に充電することができず余剰電力が0でなく、かつ、油圧ポンプ9の負荷が小さいときには、出力管理部140は、(5)式で算出された傾転角増加指令dDpmp_tを出力する。その結果、油圧ポンプ9の傾転角が大きくなって余剰電力の消費量が増加する。
走行電動機・ブレーキ制御部180には、走行要求演算部130で(2)式から算出された走行要求トルクTrq_drv_reqと、回転数センサ22からの走行電動機回転数Nmotと、出力管理部140で(6)式から算出された回生電力低減指令dPwr_mot_tとが入力されている。走行電動機・ブレーキ制御部180は、これらの値を用いて、以下の(12)式によって走行電動機トルク指令Trq_mot_tを算出する。
Trq_mot_t=sign(Trq_drv_req)・max{|Trq_drv_req|
−(dPwr_mot_t)/|Nmot|,0} …(12)
ただし、signは符号関数であり、引数が正の場合は1を、負の場合は「−1」を、0の場合は「0」を返すものとする。
Trq_brk_t=max{−sign(Nmot)・(Trq_drv_req−Trq_mot_t),0}
…(13)
ただし、signは符号関数であり、引数が正の場合は1を、負の場合は「−1」を、0の場合は「0」を返すものとする。
回生運転時、走行要求トルクTrq_drv_reqも走行電動機トルク指令Trq_mot_tもいずれも負であり、また、走行要求トルクTrq_drv_reqの絶対値は走行電動機トルク指令Trq_mot_tの絶対値よりも大きいので、(Trq_drv_req−Trq_mot_t)は負である。符号関数{−sign(Nmot)}は電動機が前進(正転)しているときは「−1」、電動機が後進(逆転)しているときは「1」である。したがって、前進時の回生運転時は、{−sign(Nmot)・(Trq_drv_req−Trq_mot_t)}が正となり、この正の値が回生運転時の制動トルク指令Trq_brk_tとして選択されて使用される。
走行電動機・ブレーキ制御部180で演算された制動トルク指令Trq_brk_tから次式(14)を用いてブレーキ制御信号Vbrk_tを演算する。
Vbrk_t=KbrkTrq_brk_t …(14)
ただし、Kbrkは、制動トルク指令Trq_brk_tと油圧ブレーキの実際の制動トルクとが一致するように予め設定された比例定数である。
ブレーキ制御信号Vbrk_tに基づいて油圧ブレーキ制御弁35a,35bが駆動され、油圧ブレーキ36a,36bが車輪18を制動する。これが回生協調時の機械的ブレーキ力である。
以下、吐出容量増加スイッチ41がオン操作された場合にメインコントローラ100により行われる処理について詳細に説明する。吐出容量増加スイッチ41は、操作装置31の操作に応じたリフトシリンダ13およびバケットシリンダ14の動作の応答性を高めることが要求される作業を行う際に操作される。たとえば、バケット20内の積荷、たとえば粘土質や雪等の粘性の高い積荷をショックダンプによって排出するような、操作装置31の操作に際してリフトシリンダ13やバケットシリンダ14を急激に操作することが必要とされる場合に吐出容量増加スイッチ41がオン操作される。本発明によるハイブリッド式作業車両では、このような作業は、アクセルペダルが操作されず、ブレーキペダルが操作された状態にて行われる。
油圧要求出力Pwr_pmp_reqが決まると、出力管理部140によって式(9)を用いて算出されるエンジン出力指令Pwr_eng_tは、ポンプ増加流量ΔqQupとして加算された値が反映され、増加する。すなわち、エンジン1の回転数指令は、加算されたポンプ増加流量ΔqQupに応じて大きくなる。
図7(b)は、操作装置31の操作量とポンプ増加流量ΔqQupとの関係を示す図である。操作量が「O1」〜「O2」の間ではンプ増加流量ΔqQupは最大値であり、操作量が「O2」を超える範囲では操作量「O3」でポンプ増加流量ΔqQupがゼロとなるような特性が設定されている。
すなわち、吐出容量増加スイッチ41がオン操作されたとき、O1〜O3の範囲で上述した式(1)で用いられるポンプ増加流量ΔqQupは、レバー操作量がゼロのときでも、ポンプ要求流量qpmp_reqが所定値Qxとなる値として決定される。この場合、関係L4に示すように、操作装置31の操作量が「O1」の場合に、エンジン回転数はX3(>X1)となり、操作量が「O4」まで増加する間に、エンジン回転数はX2に増加する。操作装置31の操作量が「O1」、「O2」の範囲では、関係L2に示すようにして増加されたポンプ要求流量Qxにより、エンジン1の回転数は、関係L3に示す回転数X1と比較して高回転となる。すなわち、操作装置31の操作量が小さい場合であっても、エンジン1の回転数は、ポンプ要求流量の増加分に相当する回転数分だけ増加する。換言すると、ポンプ増加流量ΔqQupに相当するポンプ吸収トルクだけエンジン出力を増加させる。
(1)増加指令部材すなわち吐出容量増加スイッチ41はポンプ要求流量の増加を指示する増加指令を出力する。メインコントローラ100は、吐出容量増加スイッチ41がオン操作されていない場合には、操作装置31の操作量に応じたポンプ要求流量、すなわち油圧要求出力に応じてエンジン出力を式(1)に基づいて演算する。メインコントローラ100は、演算されたエンジン出力に応じた回転数となるようにエンジンを駆動制御する。一方、メインコントローラ100は、操作装置31の操作量に応じたポンプ要求流量に対応したポンプ押除け容積を演算し、式(11)に基づき傾転制御信号を演算してレギュレータを駆動制御する。これにより、油圧ポンプ9からリフトシリンダ13とバケットシリンダ14へ供給する圧油の流量が制御される。以上が本発明によるハイブリッド式作業車両の前提となる制御処理である。
メインコントローラ100は、吐出容量増加スイッチ41がオン操作されている場合、操作装置31の操作量が所定範囲にある時は、好ましくはフル操作量の75%程度までの操作範囲「O1」〜「O3」では、油圧ポンプ9からリフトシリンダ13とバケットシリンダ14へ供給される圧油の流量を増加させる。
したがって、「O1」〜「O3」の範囲で操作装置31が操作された場合、吐出容量増加スイッチ41が操作されていない場合に比べて油圧ポンプ9の押除け容積が大きめに、またエンジン回転数もその分だけ大きく設定されているので、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14への圧油の流量を迅速に増加させることができる。すなわち、これら両アクチュエータを即座に、大きな速度で駆動させることができるので、リフトシリンダ13およびバケットシリンダ14を操作装置31の操作に対して高い応答性にて駆動させることができる。
具体的には、吐出容量増加スイッチ41がオン操作され、油圧ポンプ9からリフトシリンダ13とバケットシリンダ14へ供給される圧油の流量が増加されているときに、吐出容量増加スイッチ41が再度操作されると、メインコントローラ100は、リフトシリンダ13とバケットシリンダ14へ供給される圧油流量の増加制御を終了する。したがって、圧油の吐出容量が増加された状態が継続して、燃費を悪化させることを防止できる。
(1)実施形態のハイブリッド式作業車両200では、一対の走行電動機7F,7Rを使用しているが、一つの走行電動機を使用した作業車両でもよい。
(2)実施形態のメインコントローラ100では、(1)式〜(14)式により、エンジン1、発電電動機5,走行電動機7F,7R、ブレーキ弁35bなどを駆動制御するようにしたが、これは一例である。異なる数式を採用して同様の装置を駆動制御するように設計されたメインコントローラを採用することもできる。
(4)エンジン1により駆動された発電電動機5によって車輪18を駆動するシリーズハイブリッド式を用いるものに代えて、エンジン1により走行駆動力を得るとともに、エンジン1により駆動された発電電動機5による電力で駆動される走行電動機により走行駆動力を得るようにしたパラレルハイブリッド式やシリーズパラレル式のハイブリッド車両に本発明を適用してもよい。
5…発電電動機、 7F,7R…走行電動機、
9…油圧ポンプ、 12…ステアリングシリンダ、
13…リフトシリンダ、 14…バケットシリンダ、
31…操作装置、 40…シフトスイッチ
41…吐出容量増加スイッチ、
100…メインコントローラ、 110…蓄電管理部、
120…油圧要求演算部、 130…走行要求演算部、
140…出力管理部、 150…目標回転数演算部、
160…発電電動機制御部、 170…傾転角制御部、
180…走行電動機・ブレーキ制御部、 200…ハイブリッド式作業車両
Claims (5)
- エンジンで駆動される発電電動機と、
前記発電電動機の電力で駆動される走行電動機と、
前記エンジンで駆動される可変容量油圧ポンプと、
前記可変容量油圧ポンプから吐出される圧油で駆動される油圧アクチュエータと、
要求トルク指令を出力するアクセルペダルと、
ポンプ要求流量指令を出力する作業操作部材と、
前記可変容量油圧ポンプの押除け容積を所定値増加させる増加指令を出力する増加指令部材と、
前記ポンプ要求流量指令が入力されると、前記ポンプ要求流量指令に基づいて前記エンジンの回転数と前記可変容量油圧ポンプの押除け容積を制御し、前記ポンプ要求流量指令および前記増加指令が入力されると、前記ポンプ要求流量指令および前記増加指令に基づいて前記エンジンの回転数と前記可変容量油圧ポンプの押除け容積を制御し、前記要求トルク指令が入力されると、その要求トルク指令も用いて前記エンジンの回転数を制御する制御部とを備えるハイブリッド式作業車両。 - 請求項1に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記制御部は、前記増加指令が入力されると、前記ポンプ要求流量指令を所定値増加させたときの前記可変容量油圧ポンプの吸収トルクに応じたエンジン出力を演算し、その演算結果に基づいて前記エンジンの回転数を制御するハイブリッド式作業車両。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記制御部は、前記ポンプ要求流量指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を実行中に前記増加指令が入力されると、前記ポンプ要求流量指令および前記増加指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を開始し、その後、前記増加指令が入力されたときは、前記ポンプ要求流量指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を実行するハイブリッド式作業車両。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記制御部は、前記増加指令が入力されると、前記ポンプ要求流量指令および前記増加指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を開始し、前記増加指令の入力から所定時間以上経過したとき、前記ポンプ要求流量指令と前記増加指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を中止して、前記ポンプ要求流量指令に基づく押除け容積制御とエンジン回転数制御を実行するハイブリッド式作業車両。 - 請求項4に記載のハイブリッド式作業車両において、
前記所定時間を設定する設定部をさらに備えるハイブリッド式作業車両。
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