JP2016009629A - 有機発光デバイスの製造方法、およびインク塗布装置 - Google Patents

有機発光デバイスの製造方法、およびインク塗布装置 Download PDF

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利樹 錦織
Toshiki Nishikiori
利樹 錦織
裕隆 南野
Hirotaka Minamino
裕隆 南野
高田 昌和
Masakazu Takada
昌和 高田
島村 隆之
Takayuki Shimamura
隆之 島村
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Abstract

【課題】高品質な有機層の形成により優れた発光特性を有するデバイスを製造することができる有機発光デバイスの製造方法、およびインク塗布装置を提供する。【解決手段】有機発光デバイスにおける有機層を循環系のインク塗布装置5を用い形成する。そして、有機層の形成では、装置の制御部541に対して、流量測定部557,567,577,587から連続的に単位時間当たりのインク流量についての計測データが送られる。これらデータを受け付けた制御部541は、各インクの粘度を推定し、メモリ544に格納された参照テーブルから各インク粘度に応じた電圧値を設定する。これら設定電圧値が電圧制御部545〜548に送られる。各電圧制御部545〜548は、受け付けた設定電圧値に基づき、ピエゾ素子5005,5105,5205,5305に電圧を印加する。【選択図】図8

Description

本発明は、有機発光デバイスの製造方法、およびインク塗布装置に関する。
有機EL(Erectro Luminescence)パネルや有機EL照明に代表される有機発光デバイスの製造では、有機膜の成膜に際して、インクジェット装置などのインク塗布装置が用いられる(特許文献1)。
発光デバイスの製造で用いられるインク塗布装置は、圧力調整用タンクなどを含む複数のタンクと、それらを結ぶ配管、インク吐出のためのインクジェットヘッドを備え構成されている。インク塗布装置内のインクは、長期に渡って内部を循環し、吐出により不足した分だけインクが補充される。供給されたインクは、装置への導入から数十日も装置内を循環する場合もある。
特開2000−106278号公報
しかしながら、インク塗布装置内のインクは、時間の経過とともに粘度が上昇し、吐出精度が低下したり、場合によっては吐出できなくなったりするという事態が生じ得る。これは、例えば、インク塗布装置内のインクは、インクジェットヘッドにおける各ノズルで空気などに触れ、溶媒の蒸発により徐々に粘度が上昇する。
このようなインク粘度の上昇による吐出精度の低下といった問題は、表示パネルなどにおいては高精細化を図る上で大きな問題となる。
本発明は、このような問題の解決を図るべきなされたものであって、高品質な有機層の形成により優れた発光特性を有するデバイスを製造することができる有機発光デバイスの製造方法、およびインク塗布装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る有機発光デバイスの製造方法は、有機発光層を含む複数の有機層を備える有機発光デバイスを製造するための方法である。そして、本態様に係る製造方法では、複数の有機層の少なくとも一の有機層の形成を、循環系インク塗布装置を用い行う。
本態様で用いる循環系インク塗布装置は、装置内でインクが循環され、電圧印加による圧電層の振動を以ってインクがノズルから液滴として吐出されるインク塗布装置である。
そして、本態様に係る有機発光デバイスの製造方法では、次の工程を経て、上記少なくとも一の有機層を形成する。
(インク粘度取得ステップ) 循環しているインクの粘度を連続的あるいは間欠的に取得する。
(印加電圧設定ステップ) 取得されたインク粘度に応じて、吐出されるインクの液滴速度を所定の範囲内に維持するように、圧電層への印加電圧を設定する。
(電圧印加ステップ) 設定された電圧を圧電層に印加する。
上記態様に係る製造方法では、インク粘度を連続的あるいは間欠的に取得し、取得したインク粘度に応じて、吐出液滴に速度が所定範囲となるように圧電層への印加電圧を設定している。よって、インク吐出装置内において経時的にインク粘度が上昇しても、所定範囲の液滴速度での吐出が維持でき、高精度なインク塗布が可能となる。
また、上記態様に係る製造方法では、循環系インク塗布装置を用いているので、インクがノズルから液滴として吐出される際の泡噛みを抑制することができ、気泡を抑制した優れた有機層の形成が可能となる。
以上より、上記態様に係る製造方法を採用すれば、高品質な有機層の形成により優れた発光特性を有するデバイスを製造することができる。
本発明の実施の形態1に係る有機EL表示パネル10の製造過程を示す模式ブロック図である。 (a)〜(e)は、有機EL表示パネル10の製造過程を工程順に示す模式断面図である。 (a)〜(c)は、有機EL表示パネル10の製造過程を工程順に示す模式断面図である。 (a)〜(c)は、有機EL表示パネル10の製造過程を工程順に示す模式断面図である。 有機EL表示パネル10の製造で用いるインク塗布装置5の概略構成を示す模式ブロック図である。 インク塗布装置5におけるILインク塗布部50の概略構成を示す模式ブロック図である。 インクジェットヘッド500の動作原理を示す模式断面図であって、(a)は電圧を印加していない状態、(b)は電圧を印加している状態を示す。 インク塗布装置5における電圧制御に係る制御系統を示す模式ブロック図である。 インク塗布装置5における制御部54が実行する電圧制御方法を示すフローチャートである。 (a)は、制御部54におけるメモリ544に格納されている参照テーブルを示す模式図であり、(b)は、インクの粘度と液滴速度との関係を示す模式図である。 (a)は、ピエゾ素子への印加電圧が低い場合での液滴滴下状態を示す模式平面図であり、(b)は、ピエゾ素子への印加電圧が高い場合での液滴滴下状態を示し模式平面図である。 インク塗布装置5へのインク導入からの経過日数とインクの粘度との関係を示すグラフである。 ピクセルサイズとインク塗布における許容角度バラツキとの関係を示す模式断面図である。 (a)は、B(青色発光層用)インクにおける粘度と液滴速度との関係を示すグラフであり、(b)は、Bインクにおける液滴速度と角度バラツキとの関係を示すグラフである。 (a)は、IL(ホール輸送層用)インクにおける液滴速度と角度バラツキとの関係を示すグラフであり、(b)は、G(緑色発光層用)インクにおける液滴速度と角度バラツキとの関係を示すグラフである。 粘度とピエゾ素子への印加電圧との関係を示すグラフであって,(a)はILインクでの関係、(b)はBインクでの関係、(c)はGインクでの関係を示す。 本発明の実施の形態2に係るインク塗布装置6の概略構成を示す概略構成を示す模式ブロック図である。 インク塗布装置6における制御部64が実行する電圧制御方法を示すフローチャートである。 (a)〜(e)は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示パネルの製造過程の一部を工程順に示す模式断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施の形態3に係る有機EL表示パネルの製造過程の一部を工程順に示す模式断面図である。
[本発明の各態様]
本発明の一態様に係る有機発光デバイスの製造方法は、有機発光層を含む複数の有機層を備える有機発光デバイスを製造するための方法である。そして、本態様に係る製造方法では、複数の有機層の少なくとも一の有機層の形成を、循環系インク塗布装置を用い行う。
本態様で用いる循環系インク塗布装置は、装置内でインクが循環され、電圧印加による圧電層の振動を以ってインクがノズルから液滴として吐出されるインク塗布装置である。
そして、本態様に係る有機発光デバイスの製造方法では、次の工程を経て、上記少なくとも一の有機層を形成する。
(インク粘度取得ステップ) 循環しているインクの粘度を連続的あるいは間欠的に取得する。
(印加電圧設定ステップ) 取得されたインク粘度に応じて、吐出されるインクの液滴速度を所定の範囲内に維持するように、圧電層への印加電圧を設定する。
(電圧印加ステップ) 設定された電圧を圧電層に印加する。
本態様に係る製造方法では、インク粘度を連続的あるいは間欠的に取得し、取得したインク粘度に応じて、吐出液滴の速度(液滴速度)が所定範囲となるように圧電層への印加電圧を設定している。よって、インク吐出装置内において経時的にインク粘度が上昇しても、所定範囲の液滴速度での吐出が維持でき、高精度なインク塗布が可能となる。
また、本態様に係る製造方法では、循環系インク塗布装置を用いているので、インクがノズルから液滴として吐出される際の泡噛みを抑制することができ、気泡を抑制した優れた有機層の形成が可能となる。
以上より、本態様に係る製造方法を採用すれば、高品質な有機層の形成により優れた発光特性を有するデバイスを製造することができる。
別態様に係る製造方法では、上記態様において、(インク粘度取得ステップ)が、次のサブステップを有する。
(流量計測サブステップ)装置内で循環されているインクの単位時間当たりの流量を計測する。
(粘度推定サブステップ)計測された流量から粘度を推定する。
また、本別態様に係る製造方法では、(印加電圧を設定するステップ)が、インクの粘度と圧電層への印加電圧との関係について予め対応付けられたテーブルを参照し、推定されたインクの粘度から、圧電層への印加電圧を規定するサブステップを有する。
このように、装置内を循環するインクの流量から粘度を推定し、推定した粘度から印加電圧を規定する方法を採用すれば、高精度に液滴速度の制御が可能となる。よって、高品質な有機層を形成する上で好適である。
別態様に係る製造方法では、上記態様において、インクの単位時間当りの流量をQ、インクの粘度をηとするとき、粘度推定サブステップで、η=f(1/Q)の関係に基づき粘度を推定する。このように粘度推定サブステップにおいて、ハーゲン・ポアゼイユ(Hagen−Poiseuille)の法則に則って粘度推定を行うことにより、高精度な粘度推定を行うことができる。よって、適切な液滴速度での液滴吐出が可能となり、高品質な有機層の形成をする上で好適である。
別態様に係る製造方法では、上記態様において、形成対象の中に、有機発光層として、赤色有機発光層および緑色有機発光層および青色有機発光層と、各色有機発光層に接して形成される電荷輸送層とが含まれる。そして、インク粘度と印加電圧との関係を対応付けたテーブルについては、各色有機発光層および電荷輸送層の各々について予め設けられている。このように、形成対象とする有機層毎に参照テーブルを用意することで、適切な液滴速度を維持することがより高精度に可能となる。よって、本態様を採用すれば、高品質な有機層を形成する上で好適である。
別態様に係る製造方法では、上記態様において、(粘度取得ステップ)が次のサブステップを有する。
(計時サブステップ) 装置内へのインクの当初導入時を起点として計時する。
(粘度推定サブステップ) インクの物性に基づき規定された経過時間と粘度との関係が対応付けられたテーブルを参照し、経過時間から粘度を推定する。
(印加電圧規定サブステップ) インクの粘度と圧電層への印加電圧との関係について予め対応付けられたテーブルを参照し、推定されたインクの粘度から、圧電層への印加電圧を規定する。
インクの物性について、予め確認されている場合には、インクを導入してからの粘度変化についても高精度に推定することができる場合がある。このような場合においては、装置内におけるインクの流量を計測しなくても、経過時間に対応付けて印加電圧を規定することも可能となる。このような方法を採用した場合にも、適切な液滴速度を維持することができ、高品質な有機層を形成することが可能となる。
なお、本発明者等の知見によると、吐出時における液滴速度と、吐出後の飛翔に係る液滴の角度バラツキとの間には密接な関連がある。このような知見を踏まえて、別態様に係る製造方法では、上記態様において、(印加電圧設定ステップ)での液滴速度の範囲の規定を、吐出された液滴の飛翔に係る角度バラツキσを5mradとするように行う。
このような態様で製造を実行すれば、高精細なデバイスの製造に際しても、高い着弾精度を確保することができ、高品質な発光特性を有するデバイス製造に好適である。
本発明の一態様に係るインク塗布装置は、次の構成を備える。
(貯留タンク) インク貯留用として複数設けられている。
(吐出ヘッド) 電圧印加による圧電層の振動を以ってインクがノズルから液滴として吐出されるヘッドである。
(配管群) 複数の貯留タンクおよび吐出ヘッドとの間のインクの循環経路を形成する。
(ポンプ) インクの循環のために、インクの循環経路中の少なくとも1箇所に設けられている。
(流量計測部) 循環経路中の少なくとも1箇所に設けられ、単位時間当たりのインクの流量を計測する。
(制御部) 圧電層への電圧の印加を制御する。
本態様に係るインク塗布装置では、制御部が、計測された流量からインク粘度を推定し、当該推定したインク粘度に応じて、吐出されるインクの液滴速度を所定の範囲内に維持するように、圧電層への印加電圧を設定する。
本態様に係るインク塗布装置では、制御部が、流量計測部からインク粘度に関する情報を連続的あるいは間欠的に取得し、取得したインク粘度に応じて、吐出液滴に速度が所定範囲となるように圧電層への印加電圧を設定している。よって、インク吐出装置内において経時的にインク粘度が上昇しても、所定範囲の液滴速度での吐出が維持でき、高精度なインク塗布が可能となる。
また、本態様に係るインク塗布装置は、循環系インク塗布装置であるので、インクがノズルから液滴として吐出される際の泡噛みを抑制することができ、有機層の形成に用いた場合に、気泡を抑制した優れた有機層の形成が可能となる。
以上より、本態様に係るインク塗布装置を採用すれば、高品質な有機層の形成により優れた発光特性を有するデバイスを製造することができる。
以下では、本発明を実施するための形態について、数例の具体例を示して説明する。
[実施の形態1]
1.有機EL表示パネル10の製造方法
本実施の形態に係る有機EL表示パネル10の製造方法について、図1と図2から図4とを併用しながら説明する。
図2(a)に示すように、まず基板100を準備する(図1のステップS1)。
次に、図2(a)、(b)に示すように、基板100の一方の主面上にTFT層101を形成する(図1のステップS2)。なお、図2(b)では、TFT層101の構成の内、EL素子部との接続用に供される上部電極1011だけを図示している。また、有機EL表示パネル10においては、Z軸に対して直行する方向の平面に沿って、複数のトランジスタ素子部が形成されることになるが、図2などでは、一つのトランジスタ素子部だけを代表的に図示している。
具体的にTFT層101の形成は、主面100a上に対して、ゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル層、チャネル保護層、ソース電極およびドレイン電極、上部電極1011、パッシベーション層を形成し、上部電極1011の一部が露出するように、パッシベーション層の一部にコンタクト孔を開設することによりなされる。
次に、図2(c)に示すように、TFT層101を被覆するように層間絶縁層102を形成する(図1のステップS3)。平坦化層102の形成は、有機材料を塗布・硬化させた後、Z軸方向上側の主面を平坦化することによりなされる。なお、図2(c)に示すように、層間絶縁層102には、上部電極1011の一部が露出するように、コンタクト孔102aを開設しておく。コンタクト孔102aの開設は、例えば、ドライエッチングによりなされる。
次に、図2(d)に示すように、コンタクト孔102a内を含む平坦化層102の主面にアノード電極103を形成する(図1のステップS4)。アノード電極103は、サブピクセル単位で設けられ、コンタクト孔102aの底に露出する上部電極1011に各々接続される。アノード電極103の形成は、スパッタリング法あるいは真空蒸着法を用い金属膜を成膜後、ホトリソグラフィ法およびエッチングによりパターニングすることでなされる。
次に、図2(e)に示すように、各サブピクセルに相当する領域を囲繞するバンク104を形成する(図1のステップS5)。バンク104の囲繞により規定される開口104aの底には、アノード電極103の一部が露出する。バンク104の形成は、スピンコート法などを用いバンク用の材料からなる膜を成膜し、露光・現像により開口104aを開設することでなされる。
なお、バンク104の形成前に、アノード電極103上にホール注入層を形成することもできる。
次に、図3(a)に示すように、バンク104の囲繞により規定された開口104a内に、インクジェットヘッド500からホール輸送層用の液滴1051を滴下し、これを乾燥させることで図3(b)に示すホール輸送層105が形成される(図1のステップS6)。図3(a)に示すインク塗布の工程については、後述する。
次に、インクジェットヘッド510から、開口104a内におけるホール輸送層105上に対して、有機発光層用の液滴1061を滴下し、これを乾燥させることで図4(a)に示す有機発光層106が形成される(図1のステップS7)。なお、有機発光層106は、サブピクセル単位で発光色が異なり、それに応じて滴下する液滴種類も異なる。
次に、図4(b)に示すように、有機発光層106およびバンク104の頂面を連続して被覆するように、カソード電極107、封止層108を順に積層形成する(図1のステップS8,S9)。カソード電極107および封止層108の形成は、例えば、スパッタリング法を用いなされる。
なお、有機発光層106とカソード電極107との間に、電子輸送層などを介挿させてもよい。
最後に、封止層108上に、樹脂層109を挟んだ状態でCF(カラーフィルタ)パネル110を貼り合わせて有機EL表示パネル10が完成する(図1のステップS10)。なお、CFパネル110は、基板1101のZ軸方向下側の主面にカラーフィルタ層1102およびブラックマトリクス層1103を形成することで構成されている。
2.構成材料
(1)基板100,1101
基板100,1101の構成材料としては、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
プラスチック基板としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、変形ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
(2)TFT層101
TFT層におけるゲート電極およびソース電極およびドレイン電極の構成材料としては、例えば、銅(Cu)を含み構成されている。例えば、銅(Cu)からなる層とモリブデン(Mo)からなる層との積層体を採用することができる。上部電極1011についても同様の材料を用い形成することができる。
ただし、各電極の構成材料については、これに限定されず、例えば、Cu単層や、Cu/Wの積層体などを採用することもできるし、次のような材料を採用することも可能である。
それ以外に採用することが可能な材料としては、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)などの金属もしくはそれらの合金、または、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ガリウムなどの導電性金属酸化物もしくは酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)などの導電性金属複合酸化物、または、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンなどの導電性高分子もしくはそれらに、塩酸、硫酸、スルホン酸などの酸、六フッ化リン、五フッ化ヒ素、塩化鉄などのルイス酸、ヨウ素などのハロゲン原子、ナトリウム、カリウムなどの金属原子などのドーパントを添加したもの、もしくは、カーボンブラックや金属粒子を分散した導電性の複合材料などが挙げられる。また、金属微粒子とグラファイトのような導電性粒子を含むポリマー混合物を用いてもよい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
TFT層101のゲート絶縁層の構成としては、例えば、酸化シリコン(SiO)と窒化シリコン(SiN)との積層体を採用することができる。ただし、ゲート絶縁層の構成は、これに限定されるものではなく、 ゲート絶縁層102の構成材料としては、例えば、電気絶縁性を有する材料であれば、公知の有機材料や無機材料のいずれも用いることができる。
有機材料としては、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂などを用い形成することができる。
また、無機材料としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化コバルトなどの金属酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化セリウム、窒化亜鉛、窒化コバルト、窒化チタン、窒化タンタルなどの金属窒化物、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウムチタン酸鉛などの金属複合酸化物が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、表面処理剤(ODTS OTS HMDS βPTS)などでその表面を処理したものも含まれる。
TFT層101のチャネル層の構成としては、アモルファス酸化インジウムガリウム亜鉛(In−Ga−Zn−O)からなる層を採用することができる。チャネル層の構成材料は、これに限定されるものではなく、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)から選択される少なくとも一種を含む酸化物半導体を採用することができる。
また、チャネル層の層厚については、例えば、20[nm]〜200[nm]の範囲とすることができ、有機EL表示パネル10に形成されている全てのチャネル層で層厚が同一である必要はなく、一部が異なるように設定することもできる。
TFT層101のチャネル保護層の構成としては、酸化シリコン(SiO)からなる層を採用することができる。ただし、チャネル保護層の構成材料は、これに限定されるものではなく、例えば、酸窒化シリコン(SiON)、窒化シリコン(SiN)、あるいは酸化アルミニウム(AlOx)を用いることができる。また、上記のような材料を用いた層を複数積層することで構成することもできる。
また、チャネル保護層の層厚については、例えば、50[nm]〜500[nm]の範囲とすることができる。
TFT層101のパッシベーション層の構成としては、窒化シリコン(SiN)からなる層を採用することができる。
なお、パッシベーション層の層厚については、例えば、50[nm]〜150[nm]の範囲、例えば、100[nm]とすることができる。
(3)平坦化層102
平坦化層102の構成は、ポリイミドからなる層を採用することができる。ただし、ポリイミドからなる層以外にも、ポリアミド、アクリル系樹脂材料などの有機化合物からなる層を採用することもできる。
なお、平坦化層102の層厚については、4.0[μm]〜5.0[μm]の範囲、例えば、4.5[μm]とすることができる。
(4)アノード電極103
アノード電極103は、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料から構成されている。トップエミッション型の本実施の形態に係る有機EL表示パネル10の場合には、その表面部が高い反射性を有することが好ましい。
なお、アノード電極103については、上記のような金属材料からなる単層構造だけではなく、金属層と透明導電層との積層体を採用することもできる。透明導電層の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。
なお、本実施の形態では、アノード電極103と有機発光層との間のホール注入層などについては図示および説明を省略しているが、上述のように、これらホール注入層を挿入した構成を採用することもできる。
ホール注入層が介挿された構成を採用する場合には、その構成材料の例として、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料を採用することができる。
なお、金属酸化物からなるホール注入層を採用する場合には、PEDOTなどの導電性ポリマー材料を用いる場合に比べて、ホールを安定的に、またはホールの生成を補助して、有機発光層に対しホールを注入する機能を有し、大きな仕事関数を有する、という観点から有効である。
(5)バンク104
バンク104は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク104の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク104は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。さらに、バンク104は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理など施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形、変質などをしないような耐性の高い材料で形成されることが好ましい。また、表面に撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。
なお、バンク104を親液性の材料を用い形成した場合には、バンク104の表面と有機発光層の表面との親液性/撥液性の差異が小さくなり、有機発光層を形成するために有機物質を含んだインクを、バンク104が規定する開口104a内に選択的に保持させることが困難となってしまうためである。
さらに、バンク104の構造については、図2(e)から図4(c)に示すような一層構造だけでなく、二層以上の多層構造を採用することもできる。この場合には、層毎に上記材料を組み合わせることもできるし、層毎に無機材料と有機材料とを用いることもできる。
(6)ホール輸送層105
ホール輸送層105は、親水基を備えない高分子化合物を用い形成することができる。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
(7)有機発光層106
有機発光層106としては、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。有機発光層106の形成に用いる材料は、湿式印刷法を用い成膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
なお、有機発光層とカソード114との間に、電子輸送層を挿入することもできる。
電子輸送層は、カソード114から注入された電子を有機発光層へ輸送する機能を有し、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
(8)カソード107
カソード107は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。本実施の形態のように、トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。光透過性については、透過率が80[%]以上とすることが好ましい。
(9)封止層108
封止層108は、有機発光層などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
封止層108は、トップエミッション型である本実施の形態に係る有機EL表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
(10)カラーフィルタ層1102
カラーフィルタ層1102としては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の波長域の可視光を選択的に透過する、公知の材料から構成される。例えば、アクリル樹脂をベースに形成されている。
(11)ブラックマトリクス層1103
ブラックマトリクス層1103は、例えば、光吸収性および遮光性に優れる黒色顔料を含む紫外線硬化樹脂材料から構成されている。具体的な紫外線硬化樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂等がある。
3.インク塗布装置5の構成
本実施の形態に係る有機EL表示パネル10の製造では、ホール輸送層105、有機発光層106(赤色有機発光層、緑色有機発光層、青色有機発光層)の形成に際して、インク塗布装置5を用いている。インク塗布装置5の構成について、図5から図8を用い説明する。
(1)概略構成
先ず、図5に示すように、本実施の形態で用いるインク塗布装置5は、ILインク塗布部50、Rインク塗布部51、Gインク塗布部52、Bインク塗布部53、および制御部54を有し構成されている。ILインク塗布部50は、図3(a)に示すインクジェットヘッド500を構成に含み、ホール輸送層105を形成するための液滴1051を吐出する機能部である。
同様に、Rインク塗布部51は、図3(c)に示すインクジェットヘッド510を構成に含み、発光色が赤色の有機発光層106を形成するための液滴1061を吐出する機能部である。Gインク塗布部52は、発光色が緑色の有機発光層106を形成するための液滴を吐出する機能であり、Bインク塗布部53は、発光色が青色の有機発光層106を形成するための液滴を吐出する機能部である。インク吐出部50〜53の構成について、ILインク吐出部50を一例として説明する。
図6に示すように、ILインク吐出部50は、4つのタンク501〜504と、インクジェットヘッド500とを備える。インクジェットヘッド500と分配タンク501との間は、配管L1で接続されており、分配タンク501と第1タンク502および第2タンク503とは、それぞれ配管L2,L3で接続されている。
第1タンク502と第2タンク503との間は、配管L4で接続されている。また、第1タンク502および第2タンク503には、配管L5が接続され、配管L7を介して回収タンク(不図示)へと接続されている。
供給タンク504には、配管L8が接続されている。配管L8は、配管L9と配管L10とに分岐され、それぞれが第1タンク502、第2タンク503に接続されている。
供給タンク504に供給されたインク1050は、循環ポンプ551の駆動により第1タンク502および第2タンク503へと送られる。インク1050は、第1タンク502および第2タンク503へと送られる途中で、配管L8中に介挿されたフィルタ554を通過する。第1タンク502および第2タンク503には、それぞれに圧力計555,556が取り付けられており、各タンク502,503内の圧力を測定している。ILインク塗布部50におけるインク1050の循環系路は、負圧に維持されている。これは、インクジェットヘッド500からの不所望の液吐出を防止するためである。
配管L7には、循環ポンプ553が設けられており、余剰のインクを回収タンクへと送る。
供給タンク504から送られてきたインク1050は、循環ポンプ552の駆動により第2タンク503から第1タンク502へと送られ、配管L2、分配タンク501を通りインクジェットヘッド500へと供給される。インクジェットヘッド500から液滴として吐出されなかったインク1050は、配管L3を通り第2タンク503へと返される。
ここで、図6に示すように、配管L3中には、第2タンク503へと返されてくるインク1050の単位時間当たりの流量を測定するための流量測定部557が介挿されている。本実施の形態における流量測定部557は、装置5の駆動中、連続的にインク1050の単位時間当たりの流量測定を実行する。
なお、図示を省略しているが、Rインク塗布部51、Gインク塗布部52、Bインク塗布部53についても、ILインク塗布部50と同一の構成を備える。
(2)インクジェットヘッドの構成
各インク塗布部50〜53が備えるインクジェットヘッド500,・・の構成について、図7を用い説明する。図7では、ILインク塗布部50が備えるインクジェットヘッド500を一例として図示している。なお、インクジェットヘッド500には、複数のインク吐出部を含むが、図7(a)、(b)では、一つのインク吐出部だけを抜き出して模式的に表している。
図7(a)に示すように、本実施の形態に係るインク塗布部50のインクジェットヘッド500は、所謂、ユニモルフ型ピエゾヘッドである。インクジェットヘッド500は、インク1050を貯留するインク貯留部5000と、インク貯留部5000のZ軸方向上側を覆うように配された振動板5001と、振動板5001の上に設けられたピエゾ素子5005を有し構成されている。インク1050が循環する経路が、上記のように負圧に維持されているため、図7(a)に示すように、ピエゾ素子5005の電極5002,5004間に電圧が印加されていない状態、即ち圧電層5003が変形していない状態では、ノズル5000bからインク1050は漏れ出さないようになっている。
図7(b)に示すように、ピエゾ素子5005の電極5002,5004間に電圧VP(V)が印加された時には、圧電層5003の撓みにより振動板5001が振動する。これにより、インク貯留部5000内のインク1050の一部がノズル5000bから液滴1051として滴下される。
なお、図示を省略しているが、インク塗布部51〜53についても、同様の構成のインクジェットヘッドを備える。
(3)インク塗布装置5における吐出制御に係る構成
インク塗布装置5における吐出に係る構成、特に、各インク塗布部50〜53への印加電圧の設定に係る構成について、図8を用い説明する。
図8に示すように、インク塗布装置5における制御部54は、演算部541、入力部542、表示部543、メモリ541、および電圧制御部545〜548を備えている。入力部542は、オペレータからのインク塗布に関する情報の入力を受け付ける。表示部543は、オペレータに対する警告などの情報を表示する。
ILインク塗布部50には、IL流量測定部557(図6を参照。)およびピエゾ素子5005(図7を参照。)が含まれており、電圧制御部545および演算部541に対して信号伝達経路が接続されている。同様に、Rインク塗布部51には、R流量測定部567およびピエゾ素子5105が含まれ、Gインク塗布部52には、G流量測定部577およびピエゾ素子5205が含まれ、Bインク塗布部53には、B流量測定部587およびピエゾ素子5305が含まれている。そして、各インク塗布部51〜53も、電圧制御部546〜548および演算部541に信号伝達経路が接続されている。
なお、信号伝達経路の接続については、例えば信号線でなされるが、無線での接続でも構わない。
4.インク塗布装置5における制御部54が実行する制御
インク塗布装置5における制御部54がインク塗布に際し実行する制御について、図9および図10を用い説明する。
図9に示すように、インク塗布装置5の駆動を開始すると、制御部54は、各インク塗布部50〜53の流量測定部557,567,577,587に対し、単位時間当たりの流量測定の実行を命令する。そして、制御部54の演算部541には、各流量測定部557,567,577,587からの流量に関する情報が連続的に入力される(ステップS11)。
次に、制御部54における演算部541は、各インク塗布部50〜53におけるインクの流量情報から、各インクの粘度ηを推定する(ステップS12)。流量Qからの粘度ηの推定は、一例として、次式で表すハーゲン・ポアゼイユ(Hagen−Poiseuille)の法則に則って行うことができる。
[数1]η=πa4ρght/8lQ
上式において、a:管の半径、l:管の長さ、ρ:管両端の圧力差、ρgh:高さhの静水圧
なお、上式は、層流の場合に関係を表すものであるが、乱流などを加味することもできる。
次に、演算部541は、インク種類ごとの吐出に係る特性の関係式に従い、推定した粘度ηから電圧値V(η)を算出する(ステップS13)。各種インクに係る関係式については、予め実験などを行い、その結果より規定しておくことができる。
次に、演算部541は、算出した電圧値V(η)が、上限となる電圧値Vmaxを超えているか否かを判断し(ステップS14)、超えていると判断した場合には(ステップS14;Yes)、表示部543に“粘度が上限超”との警告を表示して(ステップS17)、吐出駆動を停止させる。
ここで、ピエゾ素子への印加電圧値VPを上昇させると、吐出速度(液滴速度)が上昇するのであるが、吐出速度が高くなるとリガメント(尾引き)が長くなる。リガメントがある長さよりも長くなると、液滴はやがて分裂を起こし、着弾精度の低下が顕著となる。上記のような上限となる電圧値Vmaxの設定は、使用するインクの特性に鑑み、予め液滴の分裂についての検討を行った結果から規定されるものである。
一方、演算部541は、算出した電圧値V(η)が上限となる電圧値Vmaxを超えていないと判断した場合には(ステップS14;No)、実際のインク吐出のためにピエゾ素子5005,5105,5205,5305に印加する電圧値VPを、各電圧制御部545〜548に送出する(ステップS15)。ここで、電圧値VPの設定については、予めメモリ544に格納された参照テーブルに従って行われる。メモリ544に格納された参照テーブルの一例を図10(a)に示す。
なお、図10(a)では、一つの参照テーブルのみを示しているが、メモリ544には、インク種類ごとに複数のテーブルが格納されている。
また、本実施の形態では、図10(a)の参照テーブルのように、吐出の際の電圧値VPを複数の段階に分けて電圧値VP(1)〜VP(7)の7段階で設定することとしている。ただし、設定電圧値VPの規定の仕方については、これに限定されるものではなく、例えば、6段階以下とすることや8段階以上とすること、さらには算出した電圧値V(η)を印加電圧値VPとすることなどもできる。
上記のように、各電圧制御部545〜548に電圧値VPを送出した後、インク塗布が実行され(ステップS16)、演算部541は、ステップS11からの各ステップを継続して実行する。
5.液滴速度の推移および液滴滴下状態
本実施の形態に係るインク塗布装置5では、上記のような制御を実行することで、一例として図10(b)に示すような液滴速度でインク塗布が実行される。なお、図10(b)では、液滴速度vdrを、4.0m/sec.〜5.0m/sec.の間で維持するための制御を行った例である。
図10(b)に示すように、粘度ηがη0からη1と上昇すると、液滴速度vdrが5.0m/sec.から4.5m/sec.程度まで低下してくる。この間は、ピエゾ素子には電圧値VP(1)の電圧が印加されている。そして、粘度ηがη1まで上昇すると、ピエゾ素子への印加電圧が電圧値VP(2)へと変更(増加)される。これにより、液滴速度vdrが略5.0m/sec.まで回復する。
インク塗布装置5の制御部54は、推定されたインクの粘度ηの変化(η0〜η7)により、段階的にピエゾ素子への印加電圧を上昇させる制御を実行する。
本実施の形態に係るインク塗布装置5では、制御部54が上記のような電圧値VPの制御を実行することにより、図10(b)に示すような液滴速度vdrをある既定の範囲内に入るようにしている。
次に、本実施の形態に係るインク塗布装置5では、液滴速度vdrを規定の範囲に収まるように電圧値VPを制御するのであるが、電圧値VPを上昇させると、一滴あたりのインク体積が上昇する。このため、電圧値VPをVP(1)〜VP(7)と変化させてゆく過程において、1サブピクセルあたりの液滴のドロップ数についても、形成しようとする有機層の厚みなどを勘案の上、変化させる。これについて、図11を用い説明する。
図11(a)に示すように、ピエゾ素子への印加電圧が比較的低い場合には、サブピクセルを構成する開口104aへの一滴あたりの液滴1051aの体積が小さい。
一方、図11(b)に示すように、推定されるインク粘度が上昇し、ピエゾ素子への印加電圧が高くなってきた場合には、開口104aへの一滴あたりの液滴1051bの体積が大きくなる。このため、ある程度、液滴1051bの体積が大きくなった場合には、一つの開口104aに対する液滴のドロップ数を少なくすることができる。この場合、どのノズルからの吐出を停止するかについては、種々の制御が考えられる。例えば、液滴における着弾精度などを連続的あるいは間欠的に観察しておき、安定度合いの低いノズル(相対的に不安定なノズル)からのインク吐出を停止することが可能である。
なお、図11(b)では、液滴1051bが等間隔で並んだ状態を図示しているが、上記のようなノズル使用停止の方法を採用する場合には、不揃いな液滴1051bの並びとなることもある。
6.インク粘度とピエゾ素子への印加電圧についての考察
本実施の形態に係るインク塗布装置5の制御方法を採用するに至る過程で行った、インク粘度とピエゾ素子への印加電圧についての考察について、図12から図16を用い説明する。
(1)インク粘度の変化
インク塗布装置5における供給タンク504へのインク導入からの経過日数と、インク粘度との関係について、図12を用い説明する。なお、図12には、一例としてBインクのインク粘度の変化を表している。
図12に示すように、装置導入直後に10.0mPa・sec.程度であったインク粘度は、日数の経過に従って上昇する。例えば、15日経過時点では、略10.3mPa・sec.まで上昇し、40日経過時点では、10.9mPa・sec.まで上昇する。これは、インク塗布装置5のインク循環経路において、インクが大気などと触れることにより、溶媒成分が揮発することなどの原因が考えられる。溶媒が揮発する箇所としては、インクジェットヘッド500におけるノズル開口部や、第1タンク502や第2タンク503などが考えられる。
図示を省略しているが、他のインク(ILインク、Rインク、Gインク)についても、図12と同様に、日数の経過に従ってインク粘度が上昇してゆく。
(2)液滴速度vdrと吐出された液滴の角度バラツキσ
液滴速度vdrと吐出された液滴の角度バラツキσとの関係について、図13から図15を用い説明する。
(i)角度バラツキσ
吐出された液滴の角度バラツキσを検討するに当たり用いた形状モデルについて、図13に示す。
図13に示すように、インクジェットヘッド500におけるノズル5000bから、インクの吐出対象までの距離をhとする。図13に示すモデルでは、ホール輸送層105の形成用インクの吐出について示しているので、下地がアノード電極103ということになる。
次に、バンク104aの囲繞により構成される開口104aの幅をWとする。そして、アノード電極103の表面に塗布された液滴1051の液滴半径をrとする。このとき、ノズル5000bを通るZ軸に平行な中心線CLに対して、X軸方向左右の中心線LL,LRが許容角度バラツキである。
例えば、h=500μm、r=15μm、W=60μmとし、吐出に係るヘッドスキャン方向でのオフセット精度を7〜8μmと仮定するとき、許容角度σは、5mradとなる。
(ii)Bインク
B(青色の有機発光層用)インクの場合には、ピエゾ素子への印加電圧を一定としたとき、図14(a)に示すような粘度ηと液滴速度vdrとの関係となった。具体的には、図14(a)に示すように、粘度ηが9.2mPa・sec.のときには液滴速度vdrが5.0m/sec.、粘度ηが10.2mPa・sec.のときには液滴速度vdrが4.0m/sec.、粘度ηが12.2mPa・sec.のときには液滴速度vdrが3.5m/sec.となる。
次に、インク粘度ごとの液滴速度vdrと角度バラツキσとの関係を図14(b)に示す。図14(b)に示すように、Bインクにおいては、液滴速度vdrを上昇させるに従って、液滴の角度バラツキσが小さくなる。また、各液滴速度vdrにおいて、インク粘度が高いほど角度バラツキσが大きくなっている。
ただし、液滴速度vdrを6.0m/sec.まで上昇させると、粘度の違いによらず、角度バラツキσは4.0mradで略同じ値となった。
(ii)ILインク
IL(ホール輸送層用)インクの場合には、図15(a)に示すような液滴速度vdrと角度バラツキσの関係となった。図15(a)に示すように、ILインクの場合にも、液滴速度vdrを上昇させるに従って、角度バラツキσが小さくなる傾向がある。
ただし、図15(a)に示すように、インク粘度が2.8mPa・sec.、3.2mPa・sec.の場合には、液滴速度vdrを4.3m/sec.以上にしても、角度バラツキσの変化は小さい。
(iii)Gインク
G(緑色の有機発光層用)インクの場合には、図15(b)に示すような液滴速度vdrと角度バラツキσの関係となった。図15(b)に示すように、Gインクの場合においても、液滴速度vdrを上昇させるに従って、角度バラツキσが小さくなる。ただし、図15(b)に矢印Aで指し示す部分のように、液滴速度vdrが6m/sec.程度の場合においては、インク粘度が10.5mPa・sec.で角度バラツキσが最も高い値を示した。これについて本発明者等が検討した結果、液滴速度vdrを上昇させたことにより、リガメント(尾引き)が長くなり角度バラツキσの悪化に繋がったものと考えられる。他のインクでは、Gインクのような顕著な傾向は観察されなかったが、液滴速度vdrと角度バラツキσとの関係を考える上では、リガメントの長さという要因についても考慮する必要がある。
なお、R(赤色の有機発光層用)インクについての液滴速度vdrと角度バラツキσとの関係を表すグラフについては掲載を省略しているが、液滴速度vdrを上昇させると角度バラツキσが小さくなるという基本的な関係は同じである。
(2)インク粘度とピエゾ素子への印加電圧
上記のような結果に基づき、インク粘度とピエゾ素子への印加電圧との関係について、図16(a)〜(c)に示す。図16(a)〜(c)は、液滴速度vdrを5.0m/sec.で維持する場合の関係を示すものである。
(i)ILインク
図16(a)に示すように、ILインクにおいて液滴速度vdrを5.0m/sec.で維持する場合、インク粘度と印加電圧とは略正比例の関係を示す。ILインクでは、インク粘度の変化が小さいため(2.8mPa・sec.〜3.2mPa・sec.)、印加電圧についても小さな幅での可変(12.7V〜13.3V)となっている。
(ii)Bインク
図16(b)に示すように、Bインクにおいても、液滴速度vdrを5.0m/sec.で維持する場合、インク粘度と印加電圧とは略正比例の関係を示す。図16(b)に示すように、Bインクにおいては、ILインクよりもインク粘度の変化が大きいため(9.2mPa・sec.〜12.2mPa・sec.)、ピエゾ素子への印加電圧の可変幅も大きくなっている(17.8V〜19.4V)。
(iii)Gインク
図16(c)に示すように、Gインクにおいても、液滴速度vdrを5.0m/sec.で維持する場合、インク粘度と印加電圧とは略正比例の関係を示す。図16(c)に示すように、Gインクにおいては、Bインクよりもさらにインク粘度の変化が大きいため(6.0mPa・sec.〜10.5mPa・sec.)、ピエゾ素子への印加電圧の可変幅がさらに大きくなっている(15.7V〜19.2V)。
なお、Rインクについてのインク粘度と印加電圧との関係については図示を省略しているが、同様の傾向を示す。
7.効果
本実施の形態に係る有機EL表示パネル10の製造方法では、インクの流量Qからインク粘度を推定し、推定したインク粘度に応じて、液滴速度vdrが所定範囲となるようにピエゾ素子5005、・・・の圧電層5003、・・・への印加電圧VPを設定している。よって、インク吐出装置5内において経時的にインク粘度が上昇しても(図12を参照)、所定範囲の液滴速度vdrでのインク吐出が維持でき、高精度なインク塗布が可能となる。
また、本実施の形態に係る有機EL表示パネル10の製造方法では、循環系のインク塗布装置5を用いているので、インク1050がノズルから液滴1051として吐出される際の泡噛みを抑制することができ、気泡を抑制した優れた有機層(例えば、ホール輸送層105、各色有機発光層106)の形成が可能となる。
以上より、本実施の形態に係る有機EL表示パネル10の製造方法を採用すれば、高品質な有機層の形成により優れた発光特性(表示特性)を有する有機EL表示パネル10を製造することができる。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る有機EL表示パネルの製造方法について、図17および図18を用い説明する。
1.インク塗布装置6における吐出制御に係る構成
先ず、本実施の形態に係る製造方法で用いるインク塗布装置6について、吐出制御に係る構成を図17を用い説明する。
図17に示すように、本実施の形態に係るインク塗布装置6は、上記実施の形態1と同様に、制御部64と、インク塗布部60〜63とを備える。このうち、各インク塗布部60〜63には、上記実施の形態1と同様に、ピエゾ素子6005、6105,6205,6305を備える。そして、各インク塗布部60〜63の基本構成は、上記実施の形態1におけるインク塗布部50〜53と同様である。
ただし、本実施の形態に係るインク塗布装置6では、インクの流量を測定する流量測定部を備えていない。
インク塗布装置6における制御部64は、上記実施の形態1と同様に、演算部641、入力部642、表示部643、メモリ641、および電圧制御部645〜648を備えている。さらに、制御部64では、タイマ649を備えている。
本実施の形態に係るインク塗布装置6では、演算部641に対する流量に関する情報の入力がなく、タイマ649からの経過時間に関する入力がある点を除き、上記実施の形態1と同様の信号の入出力形態を有する。
2.インク塗布装置6における制御部64が実行する制御
インク塗布装置6における制御部64がインク塗布に際し実行する制御について、図18を用い説明する。
図18に示すように、インク塗布装置6において、各インク塗布部60〜63に対してインクが導入された時点で、制御部64は、タイマ649に対し計時開始の指示を出す(ステップS21)。この後、タイマ649は、インク塗布装置6の駆動が停止されるまで(ステップS28)、経過時間に関する情報を演算部641に送り続ける。
経過時間に関する情報を受けた演算部641は、各インク塗布部60〜63で循環されているインク粘度ηを推定する(ステップS22)。経過時間からのインク粘度ηの推定は、メモリ644に予め格納されている経過日数と粘度ηとの関係(例えば、図12のような関係)に基づき実行される。
次に、演算部641は、上記実施の形態1と同様に、インク種類ごとの吐出に係る特性の関係式に従い、推定した粘度ηから電圧値V(η)を算出する(ステップS23)。そして、演算部641は、算出した電圧値V(η)が、上限となる電圧値Vmaxを超えているか否かを判断し(ステップS24)、超えていると判断した場合には(ステップS24;Yes)、表示部643に“使用期限超”との警告を表示して(ステップS27)、計時を停止して(ステップS28)、吐出駆動を停止させる。
なお、吐出駆動については、上記のような判断を下した際に、全てのインク吐出部60〜63を一斉に駆動停止してもよいし、上記ステップS24でYesの判定となったインク吐出部だけ駆動停止してもよい。
演算部641は、算出した電圧値V(η)が上限となる電圧値Vmaxを超えていないと判断した場合には(ステップS24;No)、実際のインク吐出のためにピエゾ素子に印加する電圧値VPを、各電圧制御部645〜648に送出する(ステップS25)。ここで、電圧値VPの設定については、上記実施の形態1と同様に、予めメモリ644に格納された推定粘度ηと電圧VPとを対応付けた参照テーブルに従って行われる。
上記のように、各電圧制御部645〜648に電圧値VPを送出した後、インク塗布が実行され(ステップS26)、演算部641は、ステップS22からの各ステップを継続して実行する。
以上のように、予め求めておいた、インク種類ごとの経過日数と粘度ηとの関係に基づいて、ピエゾ素子への印加電圧を可変して行く方法を採用する場合にも、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
[実施の形態3]
1.製造方法
本発明の実施の形態3に係る有機発光デバイスの製造方法について、図19および図20を用い説明する。
図19(a)に示すように、基板200を準備する。準備する基板200については、上記実施の形態1で説明したうちの何れかの材料からなるものを用いることができる。
次に、図19(a)、(b)に示すように、基板200の主面200a上にゲート電極2011を形成する。ゲート電極2011の形成に関しては、上記アノード電極103の形成方法と同様の方法とすることができる。
次に、図19(c)に示すように、ゲート電極2011および基板200の上を覆うように、ゲート絶縁層2012を積層形成する。そして、図19(d)に示すように、ゲート絶縁層2012の主面上に、ゲート電極2011の上方にあたる部分(開口2013a)を囲繞するように、隔壁2013を形成する。
次に、図19(e)に示すように、隔壁2013で囲繞された領域に、ソース電極2014およびドレイン電極2015を形成する。なお、隔壁2013とソース電極2014およびドレイン電極2015との形成順は逆であってもよい。
次に、図20(a)に示すように、隔壁2013により規定される開口部2013aに対し、有機半導体層2016を形成するためのインク液滴20161を塗布する。そして、滴下されたインクを乾燥させることにより、図20(b)に示すように、開口部2013aに対して、有機半導体層2016を形成することができる。
最後に、図20(c)に示すように、有機半導体層2016およびゲート絶縁層2012の表面を覆うように、パッシベーション層2017を形成して、TFT層201が完成する。
この後、TFT層201上に、平坦化層を介して有機EL素子部を形成することで、本実施の形態に係る有機EL表示パネルが完成する。
2.TFT層201の構成材料
(1)ゲート電極2011
ゲート電極2011の構成材料については、導電性を有する材料であれば用いることができる。
具体的な材料として、たとえば、クロム、アルミニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、銅、銀、金、白金、プラチナ、パラジウム、インジウム、ニッケル、ネオジウムなどの金属もしくはそれらの合金、または、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ガリウムなどの導電性金属酸化物もしくはインジウムスズ複合酸化物(以下、「ITO」と略す。)、インジウム亜鉛複合酸化物(以下、「IZO」と略す。)、アルミニウム亜鉛複合酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛複合酸化物(GZO)などの導電性金属複合酸化物、または、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンなどの導電性高分子もしくはそれらに、塩酸、硫酸、スルホン酸などの酸、六フッ化リン、五フッ化ヒ素、塩化鉄などのルイス酸、ヨウ素などのハロゲン原子、ナトリウム、カリウムなどの金属原子などのドーパントを添加したもの、もしくは、カーボンブラックや金属粒子を分散した導電性の複合材料などが挙げられる。また、金属微粒子とグラファイトのような導電性粒子を含むポリマー混合物を用いてもよい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(2)ゲート絶縁層2012
ゲート絶縁層2012は、例えば、絶縁性を有する材料であれば有機材料および無機材料の両方を用いることができる。
有機材料としては、例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂などを用い形成することができる。
また、無機材料としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化コバルトなどの金属酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化セリウム、窒化亜鉛、窒化コバルト、窒化チタン、窒化タンタルなどの金属窒化物、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウムチタン酸鉛などの金属複合酸化物が挙げられる。これらは、1 種または2 種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、表面処理剤(ODTS OTS HMDS βPTS)などでその表面を処理したものも含まれる。
(3)ソース電極2014およびドレイン電極2015
ソース電極2014およびドレイン電極2015は、ゲート電極2011を形成するための上記材料を用い形成することができる。
(4)有機半導体層2016
有機半導体層2016の構成材料としては、例えば、半導体特性を有し、溶媒に可溶であれば採用することができる。例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン) (PTV ) もしくはクォーターチオフェン(4T)、セキシチオフェン(6T)およびオクタチオフェンなどのα−オリゴチオフェン類もしくは2,5−ビス(5'−ビフェニル−2'−チエニル)−チオフェン(BPT3)、2,5−[2,2'−(5,5'−ジフェニル)ジチエニル]−チオフェンなどのチオフェン誘導体、ポリ(パラ−フェニレンビニレン) (PPV) などのフェニレンビニレン誘導体、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン) (PFO) などのフルオレン誘導体、トリアリルアミン系ポリマー、アントラセン、テトラセン、ペンタセンおよびヘキサセン等のアセン化合物、1,3,5−トリス[(3−フェニル−6−トリ−フルオロメチル)キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ1) および1,3,5−トリス[{3−(4−t−ブチルフェニル)−6−トリスフルオロメチル}キノキサリン−2−イル]ベンゼン(TPQ2)などのベンゼン誘導体、フタロシアニン、銅フタロシアニン(CuPc)および鉄フタロシアニンのようなフタロシアニン誘導体、トリス(8−ヒドロキシキノリノレート)アルミニウム(Alq3)、およびファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)のような有機金属化合物、C60、オキサジアゾール系高分子、トリアゾール系高分子、カルバゾール系高分子およびフルオレン系高分子のような高分子系化合物ならびにポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン) (PFMO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール) (BT) 、フルオレン−トリアリルアミン共重合体およびポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジチオフェン) (F8T2)などのフルオレンとの共重合体などが挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、溶媒に可溶な無機材料も使用することが可能である。
(5)パッシベーション層2017
パッシベーション層2017は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などの水溶性樹脂や、フッ素系樹脂などを用い形成することができる。
以上のように、本実施の形態に係る製造方法では、TFT層201における有機半導体層2016の形成において、上記実施の形態1,2などと同様のインク塗布装置5,6を用い、上記のような塗布制御の下でインク液滴20161の塗布を行う。これにより、上記実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
[その他の事項]
上記実施の形態1,2,3では、ピエゾ素子における圧電層への印加電圧を一定の期間ごとに可変することとしたが、推定されたインク粘度に応じて適時可変することとしてもよい。
また、上記実施の形態1,2では、ホール注入層および有機発光層の各層を形成するためのインク塗布を一台のインク塗布装置5,6で行うこととしたが、使用するインクごとに異なるインク塗布装置を用いることとしてもよい。
また、上記実施の形態1では、有機EL素子部の構成を簡略的に説明したが、電子輸送層などを有機層で構成する場合なども考えられる。その場合には、上記実施の形態1,2のインク塗布装置5,6を用いインク塗布することができる。
また、図13から図16を用い説明した印加電圧の設定に関する事項は、インクの種類および特性、設定する液滴速度などで適宜変更することが可能である。
また、上記実施の形態1では、有機EL表示パネル10として、アクティブマトリクス型であって、トップエミッション型のパネル構成を一例としたが、本発明は、パネル構成をこれに限定されるものではない。例えば、パッシブマトリクス型のパネルやボトムエミッション型のパネルなどの各製造に、上記方法を採用することとしても、上記同様の効果を得ることができる。
本発明は、有機EL表示パネルや有機EL照明装置などの有機発光デバイスを製造するのに有用である。
5,6.インク塗布装置
10.有機EL表示パネル
50,60.ILインク塗布部
51,61.Rインク塗布部
52,62.Gインク塗布部
53,63.Bインク塗布部
54,64.制御部
100,200,1101.基板
101,201.TFT層
102.層間絶縁層
103.アノード電極
104.バンク
105.ホール輸送層
106.有機発光層
107.カソード電極
108.封止層
109.樹脂層
110.CFパネル
500,510.インクジェットヘッド
501.分配タンク
502.第1タンク
503.第2タンク
504.供給タンク
541,641.演算部
542,642.入力部
543,643.表示部
544,644.メモリ
545〜548,645〜648.電圧制御部
551〜553.循環ポンプ
554.フィルタ
555,556.圧力計
557,567,577,587.流量測定部
649.タイマ
1011.上部電極
1050.インク
1051,1051a,1051b,1061,20161.液滴
1102.カラーフィルタ層
1103.ブラックマトリクス層
2011.ゲート電極
2012.ゲート絶縁層
2013.隔壁
2014.ソース電極
2015.ドレイン電極
2016.有機チャネル層
2017.パッシベーション層
5000.インク貯留部
5001.振動板
5002,5004.電極
5003.圧電層
5005,5105,5205,5305,6005,6105,6205,6305.ピエゾ素子

Claims (7)

  1. 有機発光層を含む複数の有機層を備える有機発光デバイスの製造方法であって、
    前記複数の有機層の少なくとも一の有機層の形成は、
    装置内でインクが循環され、電圧印加による圧電層の振動を以ってインクがノズルから液滴として吐出される循環系インク塗布装置を用い、
    前記循環しているインクの粘度を連続的あるいは間欠的に取得するステップと、
    前記取得された前記インクの粘度に応じて、前記吐出されるインクの液滴速度を所定の範囲内に維持するように、前記圧電層への印加電圧を設定するステップと、
    前記設定された電圧を前記圧電層に印加するステップと、
    を経てなされる
    ことを特徴とする有機発光デバイスの製造方法。
  2. 前記粘度を取得するステップは、
    前記装置内で循環されているインクの単位時間当たりの流量を計測するサブステップと、
    前記流量から前記粘度を推定するサブステップと、
    を有し、
    前記圧電層への印加電圧を設定するステップは、
    前記インクの粘度と前記圧電層への印加電圧との関係について予め対応付けられたテーブルを参照し、前記推定されたインクの粘度から、前記圧電層への印加電圧を規定するサブステップ
    を有する
    請求項1記載の有機発光デバイスの製造方法。
  3. 前記インクの単位時間当りの流量をQ、前記インクの粘度をηとするとき、
    前記粘度を推定するサブステップでは、η=f(1/Q)の関係に基づき前記粘度を推定する
    請求項2記載の有機発光デバイスの製造方法。
  4. 前記複数の有機層には、前記有機発光層として、赤色有機発光層および緑色有機発光層および青色有機発光層と、各色有機発光層に接して形成される電荷輸送層とが含まれ、
    前記インクの粘度と前記圧電層への印加電圧との関係を対応付けた前記テーブルは、前記各色有機発光層および前記電荷輸送層の各々について予め設けられている
    請求項2または請求項3に記載の有機発光デバイスの製造方法。
  5. 前記粘度を取得するステップは、
    前記装置内へのインクの当初導入時を起点として計時するサブステップと、
    前記インクの物性に基づき規定された経過時間と前記粘度との関係が対応付けられたテーブルを参照し、前記経過時間から前記粘度を推定するサブステップと、
    前記インクの粘度と前記圧電層への印加電圧との関係について予め対応付けられたテーブルを参照し、前記推定されたインクの粘度から、前記圧電層への印加電圧を規定するサブステップ
    を有する
    請求項1記載の有機発光デバイスの製造方法。
  6. 前記圧電層への印加電圧を設定するステップでは、吐出された液滴の飛翔に係る角度バラツキσを5mradとするように、前記液滴速度の範囲を規定する
    請求項1から請求項5の何れか記載の有機発光デバイスの製造方法。
  7. インク貯留用の複数の貯留タンクと、
    電圧印加による圧電層の振動を以ってインクがノズルから液滴として吐出される吐出ヘッドと、
    前記複数の貯留タンクおよび前記吐出ヘッドとの間のインクの循環経路を形成する配管群と、
    前記インクの循環のために、前記循環経路中の少なくとも1箇所に設けられたポンプと、
    前記循環経路中の少なくとも1箇所に設けられ、単位時間当たりの前記インクの流量を計測する計測部と、
    前記圧電層への電圧の印加を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記計測された流量から前記インクの粘度を推定し、当該推定した粘度に応じて、前記吐出されるインクの液滴速度を所定の範囲内に維持するように、前記圧電層への印加電圧を設定する
    ことを特徴とするインク塗布装置。
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