以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。
<機械的構成:図1A〜図1B>
本発明の一実施形態に係る遊技機として、回胴式遊技機を例にとり説明する。図1Aは、本実施形態に係る回胴式遊技機の外観を示す斜視図であり、図1Bは、本実施形態に係る回胴式遊技機のメダル受入通路、メダル払出装置およびメダル返却通路の位置関係を示した図である。
本実施形態に係る回胴式遊技機は、遊技機本体として、図1Aに示すように、遊技に供する各種遊技部品を収納するための遊技機筐体1と、遊技機筐体1の前面側に開閉自在に取り付けられた前扉2とを備えている。
前扉2には、そのほぼ中央に第1の表示窓3が、またその上側に第2の表示窓4が設けられている。
下側の第1の表示窓3は回胴視認部であり、回胴装置210の横並びに3個配設された回胴5a、5b、5c(以下、必要に応じて、回胴5aを「左回胴5a」、回胴5bを「中回胴5b」、回胴5cを「右回胴5c」と称する)が、この回胴視認部3に臨ませて、遊技者側から視認しうるように設けられている。
本実施形態では、回胴視認部3を介して、各々3個程度(計9つ程度)の図柄が視認可能となっている。また各回胴5a、5b、5cには、回胴視認部3に表示される各図柄を回胴の内側から照射する図柄照射用バックライトLED(バックライト手段:図示せず)が形成されている。この図柄照射用バックライトLEDは、回胴視認部3に表示される各図柄が遊技者から視認し易くする機能の他、遊技に関する演出を現出するための演出手段としても機能し、その発光色の種類や発光態様(点滅、点灯、消灯など)により、光の装飾による光演出効果(たとえば、当選役情報や遊技状態情報や遊技結果としての図柄の組合せ(入賞役情報)などを図柄照射用バックライトLEDの発光態様により報知する)を発揮する。
<図柄配列帯200:図2>
図2は、各回胴5a、5b、5cが有する図柄配列帯200を例示したものである。同図に示す「1ST」図柄配列帯は左回胴5aに、「2ND」図柄配列帯は中回胴5bに、「3RD」図柄配列帯は右回胴5cに対応している。
図柄配列帯200には、役に関する内部抽選により当選した役(当選役)に対応する図柄の組合せを構成するための図柄(構成要素図柄)が表示されている。本実施形態の場合、その図柄種として、赤7(符号31)、青7(符号32)、BAR(符号33)、リプレイ(符号34)、ベル(符号35)、スイカ1(符号36)、スイカ2(符号37)、チェリー1(符号38)、チェリー2(符号39)、ブランク図柄(符号40)などの複数種類の図柄が設けられている。これらの図柄が回胴の回転方向に計21コマ配置され、図柄の並び順に沿って図柄番号0番〜20番のコマ番号が割り当てられている。
各回胴5a、5b、5cは、それぞれパルスモータからなる回胴駆動モータ211a、211b、211c(図3参照)により回転駆動され、これにより、各図柄が変動表示および停止表示されるようになっている。なお各回胴は、回胴駆動モータのような電気的駆動源を用いて回転および停止される機械的な回胴に限定されず、後述する液晶表示装置6のような画像表示装置に表示され、画像上で回転または停止が行われる演出的な回胴であっても良い。また、回胴の数は3個に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、その数は適宜変更することができる。
回胴視認部3には、入賞ライン3aが施されている。回胴視認部3には、ここを横断する形で、単一の入賞ラインが施されている。なお入賞ライン3aは、本発明の目的を達成できるものであれば、その本数やライン形態は特に限定されない。入賞ライン3aの構成は、図柄配列帯200おける図柄の配置構成、図柄の種類、当選役に対応する図柄の組合せ、回胴の停止制御形態(後述の引き込み制御)などの関係により、適宜変更することができる。
上記の入賞ラインは、単位遊技(1ゲーム)に対する所定の賭数(ベット(BET)数)が設定されると有効として扱われる。この有効とされた入賞ライン(以下、「有効入賞ライン」と称する)上において、各回胴5a、5b、5cが停止した際の停止図柄の組合せが、当選役に対応する図柄の組合せとなった場合、その図柄の組合せに応じた遊技価値が遊技者に付与されるようになっている。たとえば、遊技メダルの払い出しを付与しうる役に当選し、これに対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止した場合(図柄の組合せについて遊技価値を獲得するために必要な組合せとしてあらかじめ定められたものが遊技結果として導出表示された場合)、遊技機筐体1内のホッパーユニット500(メダル払出装置:図3参照)が作動し、配当として、所定枚数分の遊技メダルが払い出される。この遊技メダルは、遊技者が遊技を開始する際に必要なものであり、遊技価値を有するものといえる。斯様な遊技者に供与される遊技価値には、上記遊技メダルに限らず、遊技において何らかの遊技価値があるものを指し、遊技者に有利に作用するものに限らず、遊技者に不利に作用するものも含まれる。なお、上記の入賞ラインが複数本ある場合は、単位遊技(1ゲーム)に対するベット数に応じて有効として扱われるライン数を変化させることができる。
また第1の表示窓3(回胴視認部3)の上側に設けられた第2の表示窓4は液晶画面視認部であり、前扉2の裏側に装着された画像表示装置としての液晶表示装置6(LCDユニット)の表示画面(液晶画面)6aに対応して、たとえば、回胴視認部3よりも少し小さい矩形状に形成されている。この液晶画面6aが液晶画面視認部4に臨ませて、遊技者側から視認しうるように設けられている。この液晶表示装置6(液晶画面6a)には、遊技に関する演出が画像により表示される。
また回胴視認部3の左右両側には、光の装飾により遊技に関する演出を現出する光演出装飾部(装飾ランプ13)が設けられている。この装飾ランプ13は発光手段(たとえば、LEDやELランプや無電極ランプ)を内蔵し、その発光態様(発光色の種類や発光パターン(点滅、点灯、消灯)など)により、光の装飾による光演出効果を発揮する。この光演出装飾部は、発光手段を露出してその発光態様を直接視認させる装飾形態や、発光手段の前側(遊技者側)に文字列やキャラクタなどの絵柄が表示(印刷)された透光性素材を配置し、その絵柄を演出的に表示させる装飾形態とすることができる。
また回胴視認部3の下方の段部には、遊技媒体である遊技メダルを投入するためのメダル投入口7と、貯留装置(クレジット手段:遊技機に投入された遊技メダル、または入賞によって獲得した遊技メダルを所定の上限数(最大クレジット枚数:たとえば、50枚)まで貯留して、その貯留数(クレジット枚数)を電磁的方法によって記憶可能とする機能部(主制御部400(図3参照)がその機能部を担う))にクレジットされた範囲内において、1ゲームに対して許容される賭け数(1ゲームに対して投入可能な遊技メダル数)の上限値(最大賭数:たとえば、遊技メダル3枚)まで遊技メダルを一度に疑似投入しうるMAXベットボタン8、押した回数に応じて上記賭数の上限値まで遊技メダルを加算的に疑似投入しうる1ベットボタン9、クレジット精算を行うためのクレジット精算ボタン10などが設けられている。MAXベットボタン8の内部には、MAXベットボタン8の操作が許容状態であることを報知するためのMAXベットLED84(図3参照)が内蔵されている。
なお図示していないが、遊技者が操作可能に構成され、その操作の前後で演出手段による演出に変化をもたらす際に利用される「演出用操作手段(たとえば、演出用ボタン)」が遊技機の適所に設けられている。この演出用操作手段としては、たとえば、ボタン式、ジョグダイヤル式、非接触型センサを利用したタッチセンサ式、液晶表示装置を利用したタッチパネル式などが挙げられるが、いずれの場合にも遊技者による操作が行われた場合に、演出手段で実行される演出に何らかの変化を与える(操作の前後で演出に変化をもたらす)ために利用可能なものであれば特に制限されない。
また回胴視認部3の上記段部の下側には、横長状に形成された操作パネル部14が設けられている。この操作パネル部14には、メダル投入口7内に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン15、回胴5a、5b、5cの回転を開始させるための回胴回転始動レバー11、各回胴5a、5b、5cの回転を個別に停止させるための3個の回胴回転停止ボタン12a、12b、12c(左回胴停止ボタン12a、中回胴停止ボタン12b、右回胴停止ボタン12c)が設けられている。本明細書中では、特に必要のない限り、これら回胴回転停止ボタン12a、12b、12cを「回胴回転停止ボタン12」と略称する。
なお上記したMAXベットボタン8、1ベットボタン9、クレジット精算ボタン10、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12a、12b、12c、および上記演出用操作手段(演出用ボタン(不図示))のそれぞれには、これらが操作されたときの操作検出情報(検出信号)を生成するスイッチ(演出用ボタンスイッチ(不図示)、MAXベットスイッチ8a、1ベットスイッチ9a、クレジット精算スイッチ10a、回胴回転始動スイッチ11a、回胴回転停止スイッチ12a’、12b’、12c’:図3参照)が設けられている。
また操作パネル部14の下方には、遊技機の魅力をアピールしたり、他機種と識別したりするための色彩や文字や絵柄が施された装飾パネル部17が設けられ、この装飾パネル部17の下方には、前扉2と一体的に装着された横長状のメダル受け皿18が設けられている。このメダル受け皿18の遊技機本体側には、ホッパーユニット500(遊技媒体払出手段:図3参照)から払い出された遊技メダルや返却された遊技メダルをメダル受け皿18側に排出するためのメダル払出口19が開口している。
また図1Bに示すように、前扉2の裏面側のメダル投入口7に対応する位置には、メダル投入口7に投入されたメダルが正規か否かを選別して、正規の遊技メダルをホッパータンク14に導くメダルセレクタ43が配設されている。またこのメダルセレクタ43には、投入された遊技メダルを検出するメダル検出センサ7a(図3参照)が形成されている。
メダルセレクタ43によって選別された遊技メダルが正規のものである場合、遊技メダルはメダルセレクタ43の内部通路52の正メダル出口55を通り、スロープ樋48からなるメダル受入通路61を通ってホッパータンク14に誘導され、それ以外の遊技メダルである場合には、キャンセルシュータ44とメダル返却樋45からなるメダル返却通路71を通ってメダル払出口19に誘導されるようになっている。すなわち、このメダルセレクタ43は、メダル投入口7から投入されたメダルの案内経路(内部通路52)を、遊技機内部(ホッパーユニット500側)に受け入れるメダル受入通路61側とメダル返却通路71側とに切り換えるブロッカーソレノイド7c(図3参照)による通路切換機構を備えている。また、メダル返却樋45の下部(共用通路部分73)は、ホッパーユニット500のメダル排出口57から払い出された遊技メダルを、メダル受け皿18に誘導する機能も有している。ここで上記通路切換機構の駆動源として、電磁ソレノイドによる電磁的駆動手段を用いているが、ピエゾ圧電素子のような他の電気的駆動手段を用いても良い。
上記のホッパーユニット500には、メダル投入口7から投入された遊技メダルや前扉2を開放して外部から投入された遊技メダルを貯留するホッパータンク(メダルホッパー)14と、本体17とを中心に構成され、本体17の内部には、図3に示すホッパーモータ510と、図示はしていないが、ホッパーモータ510により回転駆動され、ホッパータンク14に貯留された遊技メダルを所定の回転動作により捕捉して排出するメダル排出機構(たとえば、既に多くの遊技機に搭載されているような、捕捉した遊技メダルをスプリングによる付勢を利用してメダル排出口57に向けて弾きだす弾発式排出機構)を備える排出用ディスクと、本体17(排出用ディスク)からメダル排出口57に向けて排出される遊技メダルを検出するためのメダル払出センサ520(たとえば、フォトインタラプタなど)などが設けられている。またホッパーユニット500には、直流モータで構成されたホッパーモータ510を駆動制御するための払出制御基板(払出制御手段)450(図3参照)が設けられている。
ホッパーユニット500は、上記排出用ディスクの回転に基づいて、ホッパータンク14に貯留された遊技メダルを1枚ずつ払い出す。払い出された遊技メダルは、メダル排出口57からメダル払出口19を介してメダル受け皿18へと排出される。なお払い出された遊技メダルは、メダル払出センサ520により検出され、その検出状態に基づいて、主制御部400(主制御基板)側において遊技メダルの払い出し状態やその払い出し枚数が監視可能となっている。
また前扉2の前扉上部両側と前扉下部両側には、音楽や効果音を出力して、遊技に関する音演出効果を発揮するスピーカ16が設けられている。このスピーカ16の数や形成位置は特に限定されず、遊技機の適所に設けることができる。
また回胴視認部3の下部側には、横長状に形成された遊技パネル77が設けられている。この遊技パネル77の内側には、遊技者に対し、現在の遊技進行具合・遊技状況を報知するための各種の表示部(図3参照)が設けられている。
具体的には、(A)クレジット枚数を表示する「クレジット枚数表示部(クレジット枚数表示器86)」、(B)遊技結果に応じて払い出される遊技メダルの枚数を報知する「払出枚数表示部(払出枚数表示器87)」、(C)回胴回転始動レバー11の操作が有効(遊技開始可能状態(回胴始動可能状態))であるか否かを報知する「遊技開始表示部(遊技開始表示LED81)」、(D)遊技メダルの投入が受付可能状態であるか否かを報知する「メダル投入表示部(メダル投入表示LED82)」、(E)再遊技が作動中(再遊技中)であるか否かを報知する「再遊技作動表示部(再遊技作動LED83)」、および(F)遊技メダルの投入枚数(現在の賭数)を表示する「投入枚数表示部(投入枚数表示LED85)」などの種々の表示部が設けられている。
これら表示部は、主制御部400により表示制御され、たとえば上記クレジット枚数表示部や払出枚数表示部は、7セグメント表示器により現在のクレジット枚数情報や遊技結果に応じた払い出し枚数情報を報知可能に構成されており、また上記遊技開始表示部、メダル投入表示部、再遊技作動表示部、投入枚数表示部などは、その内蔵LEDの発光態様(消灯・点灯(点滅)、発光色など)により、現在の遊技進行具合・遊技状況を報知可能に構成されている。
ここで、本発明における演出手段については、視覚、聴覚、触覚など、人間の五感を刺激することにより演出効果を発揮可能な手段であれば良く、装飾ランプ13やLED、図柄照射用バックライトLEDなどの光発生手段、演出表示装置、スピーカ16などの音響発生装置、遊技者の体に振動を伝える加振装置、または遊技者の体に風圧を与える風圧装置などはその代表例である。なお、上記演出表示装置とは、画像表示装置と同じく、視覚に訴える表示装置を意味するが、画像によらないもの(たとえば、7セグメントによる表示装置)も含む点で画像表示装置とは異なる。液晶表示装置6は画像表示装置の代表例であるが、画像表示装置の場合は主として画像表示により演出を表現するタイプを指し、7セグメントの表示装置のように画像以外の表示により演出を表現するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<制御装置:図3〜図4>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置について説明する。図3は、遊技動作制御を行うための制御装置の構成の概要を示す制御ブロック図である。なお、図1Aおよび図1Bと同じ構成要素には同じ参照番号を付してある。
本実施形態に係る回胴式遊技機の制御装置は、遊技動作制御全般を司る主制御基板400(以下、「主制御部400」と称する)と、主制御部400から演出制御コマンドを受けて、演出動作制御(演出手段に対する演出の現出制御)全般を司る演出制御部410(演出制御手段)と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する不図示の電源基板(電源制御手段)とを中心に構成される。上記の演出制御部410は、演出制御基板420と液晶制御基板460とを含んで構成され、液晶制御基板460には液晶表示装置6が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
主制御部400には、遊技中継基板370を介して、メダル投入口7からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ7aと、MAXベットボタン8の操作を検出するMAXベットスイッチ8aと、1ベットボタン9の操作を検出する1ベットスイッチ9aと、クレジット精算ボタン10の操作を検出するクレジット精算スイッチ10aと、回胴回転始動レバー11の操作を検出する回胴回転始動スイッチ11aと、回胴回転停止スイッチ12a’、12b’、12c’を搭載した停止スイッチ基板360とが接続され、主制御部400はこれらからの検出信号を受信可能となっている。また主制御部400には、遊技中継基板370を介して、ブロッカーソレノイド7cが接続され、ブロッカーソレノイド7cに対してソレノイド制御用の励磁信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、遊技中継基板370を介して、遊技表示基板390が接続されている。この遊技表示基板390には、遊技開始表示LED81と、メダル投入表示LED82と、再遊技作動LED83と、MAXベットLED84(MAXベットボタン8内蔵LED)と、投入枚数表示LED85とが搭載され、主制御部400はこれら表示部を制御する発光制御信号を送信可能となっている。さらに遊技表示基板390には、クレジット枚数表示器86と払出枚数表示器87とが搭載されており、主制御部400はこれら7セグメント表示器を制御する発光制御信号を送信可能となっている。
なお図示はしていないが、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12a、12b、12c、1ベットボタン9、および/またはクレジット精算ボタン10には、その内部にLEDが設けられており、そのLEDの発光態様(たとえば、発光色)により、上記のレバー操作やボタン操作の有効または無効が遊技者に報知可能となっている。
また主制御部400には、回胴中継基板330を介して回胴装置210の回胴5a、5b、5cを回転駆動するための回胴駆動モータ211a、211b、211cが接続され、主制御部400は、これら回胴駆動モータを駆動させるための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部400には、回胴位置検出センサ(各回胴に設けられ、回胴の現在の回転位置(基点からの現在位置)や回胴の回転を検出するためのセンサ)212a、212b、212cが接続され、主制御部400は、これら回胴位置検出センサからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部400には、払出中継基板350を介してホッパーユニット500と、満杯検知金具600とが接続されている。この満杯検知金具600は、ホッパーユニット500から溢れた余剰の遊技メダル貯留するための補助タンク(図示せず)の満杯状態を監視するためのセンサであり、主制御部400は、満杯検知金具600からの検出信号に基づき、遊技機内部に貯留された遊技メダルが満杯状態であるか否かを監視する。
またホッパーユニット500には、既に説明したように、ホッパーモータ510と、メダル払出センサ520と、ホッパーモータ510を駆動制御するための払出制御基板(払出制御手段)450などが設けられている。
主制御部400は、遊技メダルの払い出しが必要な場合、払出制御基板(払出制御部)450に対して払い出し枚数を指定する「払出制御コマンド」を送信可能となっている。払出制御基板450は、この払出制御コマンドを受信すると、ホッパーモータ510を駆動制御して、指定された枚数分の遊技メダルを払い出すようになっている。払い出された遊技メダルは、メダル払出センサ520により検出され、その検出信号は主制御部400に入力される。主制御部400は、メダル払出センサ520からの検出信号に基づいて、払い出し枚数や、遊技メダルの払い出し状態を管理する。
また主制御部400には、外部集中端子基板310が接続され、この外部集中端子基板310を介してホールコンピュータHC(パチンコホールの遊技機を統括的に管理するコンピュータ)に対し、所定の遊技情報(たとえば、遊技メダルの投入枚数(IN枚数)、遊技メダルの払出枚数(OUT枚数)、入賞の発生、ボーナス遊技の発生などに関する種々の情報)を送信可能となっている。
また主制御部400には回胴設定基板430が接続され、回胴設定基板430からの検出信号を受信可能となっている。
この回胴設定基板430には、図示はしていないが、リセットスイッチ、設定キースイッチ、設定スイッチなどが設けられ、これらが操作されたことによる検出信号を主制御部400に送信可能となっている。
上記リセットスイッチは、所定の遊技動作エラー(たとえば、遊技メダルの満杯状態による満杯エラーや、遊技メダルの払い出しに関するエラー(後述のホッパーエラーや払出センサエラーなど))を解除するエラー解除スイッチである。
また上記設定キースイッチは、電源投入時にホール関係者が所持する設定鍵を挿入してON/OFF操作することにより設定変更モード(ON操作時)に切り替えるためのキースイッチである。設定スイッチは、段階的に出玉率(所謂、機械割、PAYOUT率、またはベース値)に変化をもたらす「設定値」を変更するための設定値変更スイッチである。上記「設定値」とは、主として、内部抽選による役の抽選確率(役の当選確率:図5参照)および/または後述のAT抽選確率(図30のAT抽選テーブル参照)を段階別(たとえば、設定1〜6の6段階)に規定するもので、設定値が高くなるほど機械割が高くなり(設定値1が最低の機械割、設定値6が最高の機械割)、遊技者に有利に作用するようになっている。この設定値は、専ら、ホール(遊技店)の営業戦略に基づき、ホール店員が上記設定スイッチを操作して設定値が変更される。
設定値を変更するためには、遊技機への電源OFF状態において設定キースイッチをON状態(設定変更モード移行側)としてから遊技機の電源をON状態すると、現在の設定値が遊技機の適所に設けられた「設定値表示器(不図示)」に表示され、設定値(1〜6段階)の変更操作が可能な設定変更モードに移行される。この設定変更モードに関する処理(設定モード変更処理)は、後述の初期設定処理(図8のステップS11)中において実行される。設定変更モードにおいて、上記設定スイッチが操作されると、設定値表示器の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→・・・」のように1〜6の範囲で循環するように切り替えられる。目的の設定値となった場合に、回胴回転始動レバー11がON操作されると、その設定値が確定される。この設定値情報は、メインRAM401b(図4参照)の所定領域(設定値領域)に格納され、主制御部400で管理される。そして、設定キースイッチをOFF状態に操作すると、設定変更モードが終了し、遊技の進行が可能な状態に移行されるようになっている。
また主制御部400には、演出I/F基板340を介して、演出制御部410を構成する演出制御基板420が接続されている。この演出制御基板420の主な役割は、演出手段に対する演出の現出制御である。具体的には、主制御部400からの演出制御コマンドの受信に関するコマンド受信処理、受信した演出制御コマンドに基づく演出決定に関する演出決定処理、決定した演出に関連した液晶制御コマンドを液晶制御基板460に対して送信する送信処理、その他、スピーカ16の音制御や装飾ランプ13やLEDの発光制御、遊技機の適所に設けられた可動体役物(図示せず)の動作制御に関する制御処理などである。
上記した演出制御基板420には、演出I/F基板340を介して、液晶制御基板460が接続されている。この液晶制御基板460の主な役割は、演出制御基板420からの液晶制御コマンドの受信に関するコマンド受信処理、液晶制御コマンドに基づく液晶表示装置6の画像表示演出の現出制御に関する表示制御処理などである。
次に図4を参照して、主制御部(主制御基板)400および演出制御部410に関する回路構成とその機能について具体的に説明する。ここでは、演出制御部410として、主制御部400に接続されている演出制御基板420に着目しながら説明する。
図4は、図4に示す主制御部400および演出制御基板420の回路構成を概略的に示すブロック図である。先ず、主制御部400の回路構成について説明する。
<主制御部(主制御基板)400>
主制御部400は、メインCPU401cを内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、メインROM401aと、メインRAM401bとを搭載したマイクロコンピュータ401(本実施形態では、Z80システム相当品)を中心に構成され、その他、周辺基板間の信号を入出力するI/Oポート回路402、カウンタ回路403、主制御基板400に接続された外部周辺基板との信号のやり取りを仲介するインターフェース(I/F)回路404〜406、モータ駆動回路407、およびスイッチ入力回路408を含んで構成されている。
メインCPU401cは、たとえば、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUであり、処理を実行するのに必要なデータの読み出し、書き込みが行われる複数種類のレジスタを備えている。
メインROM401aは、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、回胴の停止制御用の停止データを記述した「停止テーブル(図示せず)」、内部抽選(役抽選)用の抽選データを記述した「役抽選テーブル(図5)」、内部抽選結果情報(当選役情報、内部当選フラグ(当選フラグ))を設定するためのデータを記述した「当選フラグ設定テーブル(不図示)」、後述のフリーズ演出抽選用の抽選データを記述した「フリーズ演出抽選テーブル(図29)」など、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。
メインRAM401bはワークエリアやバッファメモリとして機能し、メインCPU401cが上記遊技動作制御プログラムを実行する際に生成されるデータ、たとえば、内部抽選に利用される内部抽選用乱数値、内部抽選結果情報(当選フラグ種別、当選役種別)、遊技状態情報、フリーズ演出種別情報、遊技結果情報(停止図柄情報)、遊技動作制御に係る各種の遊技動作用タイマ、賭数設定情報(遊技メダル投入枚数)、クレジット枚数情報、払出枚数情報など、遊技の進行に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またメインRAM401bは、特定の抽選に利用される乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働くことができる。
上記のマイクロコンピュータ401は、上述のメインROM401a、メインRAM401b、およびメインCPU401cの他、CTC(Counter Timer Circuit)401dや、割込機能(メインCPU401cに割込み信号を付与するタイマ割込機能や割込禁止機能)を発揮する割り込みコントローラ回路401eなどを含んで構成されている。
CTC401dは、8bitのカウンタやタイマを集積した回路であり、周期的割り込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するものである。そこで本実施形態では、CTC401dを利用して、メインCPU401cに1.5ms程度の時間間隔でタイマ割込みをかけている。
カウンタ回路403は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。メインCPU401cは、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数発生回路が示している数値を内部抽選用乱数値(乱数の大きさ:65536)として取得し、その乱数値を内部抽選に利用する。マイクロコンピュータ401(メインCPU401c)は、所定の遊技開始条件の下(遊技開始条件となる賭数が設定された場合)、回胴回転始動レバー11が操作されると、上記内部抽選用乱数値と後述の役抽選テーブル(図5)とに基づいて、いずれの役に当選したのか、そうでない「ハズレ」であるのかを抽選(内部抽選)により決定し、その抽選結果情報を所定の処理が終了するまでメインRAM401bの所定領域に格納(設定)する。この抽選結果情報は、原則として、1ゲームごとにクリアされる。
(役抽選テーブル:図5)
図5に、本実施形態に係る役抽選テーブルの概要を示す。本実施形態では、複数種類の遊技状態(後述のRT0遊技(初期モード)、RT1(通常遊技)、およびボーナス遊技など)に対応した役抽選テーブルが設けられている。これら役抽選テーブルは、設定値ごとに対応した役抽選テーブルが設けられている。ここでは、たとえば、設定値6に対応した役抽選テーブルを代表例として示し、他の設定値に関しては重複記載を避けるために省略する。
上記役抽選テーブルには、図示のように、内部抽選の対象となる役(抽選対象役:図示の「当選役種別」の欄参照)に対応した当選領域(判定値)を有する抽選領域(本実施形態の抽選領域の大きさは、65536となっている)が定められており、これにより各役の当選確率(判定値/抽選領域(65536))が規定される。図示では、内部抽選の対象となる役として、不当選(ハズレ)を含み、15種類の内部抽選対象役(各役については後述する)が設けられているが、その役の種類や種類数などは本発明の目的を達成できるものであれば特に制限されない。主制御部400(メインCPU401c)は、上記役抽選テーブルを参照し、内部抽選乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、いずれの役に当選したのか、ハズレであるのかを決定する。なお、図中の当選役種別には、当選番号に対応する役名称を表記してある。また抽選対象役に関する抽選確率は、設定値が高くなるほど、遊技者に有利に作用するように定められている。
また本実施形態では、遊技状態に応じて、特定の抽選対象役種別や特定の抽選対象役の当選確率が異なるようになっている。たとえば、ボーナス遊技中に利用される抽選テーブル(図示の「ボーナス遊技中」の欄参照)では、後述のAT1〜4の当選確率が通常遊技よりも高く設定されており、ボーナス遊技中においては、AT1〜4のいずれかがほぼ毎ゲーム当選する、といった他の遊技状態とは異なる遊技状態(特別遊技状態)とされる。また後述のRT0遊技中と通常遊技(RT1遊技)中とでは、リプレイ役種(たとえば、当選番号13〜15)の当選確率が異なり、RT0遊技中よりもRT1遊技中の方がリプレイ役種の当選確率が高確率とされる。また、RT0遊技中は、RT1遊技中で抽選対象役となる、リプレイ2〜3(当選番号14〜15)が除外されている。
なお詳細は後述するが、RT1遊技は、特別役種のCBBが内部当選中の遊技状態(以下、「BB内部当選遊技」と称する)であり、RT0遊技は、CBBが内部当選中ではない遊技状態(以下、「非BB内部当選遊技」と称する)となっている。
図4の説明に戻り、主制御部400からは、処理状態を特定可能な制御情報(指令情報)としての「演出制御コマンド」が、演出制御基板420とのI/F回路404が備える出力バッファ回路404aを介して出力される。この演出制御コマンドは、演出I/F基板340を通して、その内部に設けられた主制御基板400用の入力バッファ回路340aを介して演出制御基板420に入力されるようになっている。このような主制御部400からの演出制御コマンドは、一方向通信により演出制御基板420に送信される。つまり演出制御部410側は、一方向通信における入力としてのみ機能するようになっている。これは、外部からのゴト行為による不正な信号が、演出制御部410を介して主制御部400に入力されることを防止するためである。
I/F回路としては、演出制御基板420とのI/F回路404、遊技中継基板370とのI/F回路405、およびその他の基板とのI/F回路406が設けられている。I/F回路405のスイッチ入力回路408には、遊技機本体に配置された各種スイッチやセンサからの信号が入力される。
モータ駆動回路407は、マイクロコンピュータ401(メインCPU401c)の制御の下、回胴駆動モータ211a、211b、211cを制御するための駆動パルス信号を供給し、回胴5a、5b、5cの回転制御および停止制御を行う。
回胴の回転制御は、遊技開始条件の下、回胴回転始動レバー11の操作を確認したことを条件に行われる。具体的には、マイクロコンピュータ401は、メダル検出センサ7a、MAXベットスイッチ8a、または1ベットスイッチ9aからの検出信号に基づく規定枚数(遊技開始可能となる投入枚数)の遊技メダルが投入されたことを確認すると、回胴回転始動スイッチ11aからの操作検出信号の入力の受付を有効(遊技開始可能状態)にする。そして、この遊技開始可能状態の下、回胴回転始動スイッチ11aからの操作検出信号の入力を確認した場合、モータ駆動回路407を介して回胴駆動モータ211a、211b、211cを駆動制御し、各回胴5a、5b、5cを回転始動させ、その後、各回胴を略一定速度で回転させる。これにより、各回胴を回転させる回転動作を実現している。
なお、本実施形態では、遊技メダル3枚が1ゲームに対しての最大賭数(MAXベット)となっており、上記遊技開始条件となる規定枚数も遊技メダル3枚となっている。ただし、最大賭数は、遊技状態に応じて変化させることができる。たとえば、通常遊技中では最大賭数を遊技メダル3枚とし、ボーナス遊技中では最大賭数を遊技メダル2枚とすることができる。また上記規定枚数は、1枚または2枚でも良く、特に制限されない。
回胴の停止制御は、回胴の回転中において、回胴回転停止ボタン12の操作を確認したことを条件に行われる。具体的には、マイクロコンピュータ401は、回胴回転停止スイッチ12a’、12b’、12c’からの操作検出信号の入力を確認した場合、特定位置(たとえば、回胴視認部3の最下段水平方向のライン上(枠内下段)に相当する位置)に存在する図柄番号を取得してこれを「停止操作図柄番号」とし、所定の停止テーブル(図示せず)に基づき、その停止操作図柄番号からどれだけのコマ数(滑りコマ数)分移動させて回胴を停止させるかを割り出し、目的の位置に回胴を停止させる。なおマイクロコンピュータ401は、回胴位置検出センサ212a、212b、212cからの検出信号に基づき、現在、基点となる位置からどれだけの移動量で回胴が回転しているかを監視し、上記特定位置に存在する図柄番号を把握している。これにより、各回胴5a、5b、5cの有効入賞ライン上にどの図柄番号の図柄が停止したのかについて、回胴の停止毎に把握することができるようになっている。また回胴が実際に停止する前段階であっても、滑りコマ数と停止操作図柄番号とに基づき、有効入賞ライン上の停止図柄を事前に把握することもできる。
上述の「停止テーブル」には、停止操作図柄番号に対応する滑りコマ数を最大引き込みコマ数範囲内(たとえば、4コマ)で定めた停止データが定められている。この停止テーブルには、主として、内部抽選結果に応じて選択される複数種類の停止テーブルが含まれる。たとえば、全回胴の滑りコマ数を一括して定めた全回胴用停止テーブルや、各回胴ごとに滑りコマ数を定めた停止テーブル(たとえば、左回胴用停止テーブル、中回胴用停止テーブル、右回胴用停止テーブル)や、回胴の停止操作手順(停止操作タイミングおよび回胴の停止操作順番(押し順)の少なくともいずれか一方)に応じて選択される停止操作順用停止テーブルなど、ハズレや当選役に対応する図柄の組合せを有効入賞ライン上に停止させるための停止テーブルが含まれる。斯様な停止テーブルにより、最大引き込みコマ数範囲内において、特定の図柄(たとえば、当選役に対応する図柄の組合せを構成しうる図柄(当選役の構成要素図柄))を有効入賞ライン上に停止させたり、特定の図柄を有効入賞ライン上に停止させないようにしたりする、所謂「引き込み制御」が実現される。
この「引き込み制御」とは、従来から知られているように、内部抽選により当選役が決定された場合、回胴回転停止ボタン12が操作されたタイミングで有効入賞ライン上に存在する当該当選役の構成要素図柄(当選役に対応する図柄の組合せを構成しうる図柄)を除き、所定の滑りコマ数(最大引き込みコマ数(本実施形態では最大4コマ))の範囲内に有効入賞ライン上に停止可能な当選役の構成要素図柄が存在する場合、その図柄を有効入賞ライン上に引き込む形態で回胴の停止位置を制御する停止制御態様である。したがって、有効入賞ライン上に当選役の構成要素図柄が存在しない場合であっても、当該当選役の構成要素図柄が上記停止操作図柄番号から最大引き込みコマ数分引き込んで有効入賞ライン上に停止可能であれば、基本的にはその図柄が有効入賞ライン上に引き込まれ、当選役に対応する図柄を有効入賞ライン上に成立させるように回胴の停止位置が制御される。
このような引き込み制御の特性を利用し、各回胴の図柄配列帯における図柄配置構成や停止操作図柄番号に応じた滑りコマ数などを定めれば、当選役に対応する図柄の組合せを構成しうる図柄を停止操作手順(停止操作タイミングおよび押し順の少なくともいずれか一方)によらず有効入賞ライン上に停止可能(100%引き込み可能(引き込み率100%))にしたり、また役に当選しても停止操作手順によっては、たとえ最大滑りコマ数引き込んでも有効入賞ライン上に停止不可能(所謂「取りこぼし」の発生を可能にする)にしたりすることができる。これにより、たとえば、特定の当選役を取りこぼした際、遊技結果として、特定の停止図柄表示態様(所謂、取りこぼし目、リーチ目、チャンス目など)を導出可能としている。
ただし、内部抽選によりいずれの役にも当選していない「不当選」、つまり「ハズレ」の場合には、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効入賞ライン上に停止させない回胴の停止位置が決定されるようになっている。したがって、「ハズレ」となったゲームでは、回胴の停止操作タイミングにかかわらず、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効入賞ライン上に停止することはなく、遊技結果は常に「ハズレ」となる。
なお本実施形態の図柄配列帯200(図2参照)では、各回胴における1または複数種類の特定の図柄種(たとえば、リプレイ図柄34、ベル図柄35)に関しては、所定の有効入賞ライン上への引き込み率が100%となるように配置されており、その他の図柄に関しては、必ずしも引き込み率が100%とはなっていない。また、一の回胴と他の回胴とで、特定の図柄に関しての引き込み率が異なる。これにより、特定の当選役に関し、その対応する図柄の組合せを停止操作手順によらず100%引き込み可能としたり、停止操作手順によっては「取りこぼし」を発生させたりすることを可能にしている。図柄配列帯200に関し、どのような図柄種をどのような引き込み率に定めるかは、当選役に対応する図柄の組合せや各回胴における図柄配置構成や有効入賞ラインなどの関係により、適宜変更することができる。
<演出制御部410(演出制御基板420)>
次に、演出制御部410の演出制御基板420について説明する。
演出制御基板420は、サブCPU421c(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、サブROM421a(演出制御ROM)と、サブRAM421b(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータ421を中心に構成され、その他、CTC401dと同様の機能を持つCTC421d、サブCPU421cに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路421e、演出I/F基板340との間の信号を入出力するI/Oポート回路422、カウンタ回路423などを含んで構成されている。
また演出制御基板420には、演出I/F基板340を介して、液晶制御基板460と、スピーカ16や、装飾ランプ13や演出用LED(たとえば、図柄照射用バックライトLED)を搭載した演出LED基板380と、可動体役物(不図示)などの演出手段とが接続され、これら演出手段を制御可能となっている。また、上記演出用ボタン(不図示)が接続され、その操作検出信号を受信可能となっている。
上記サブROM421aは、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またサブRAM421bはワークエリアやバッファメモリとして機能し、サブCPU421cが上記演出制御プログラムを実行する際に生成されるデータ、たとえば、演出抽選用乱数値や演出制御部側の遊技状態(演出状態)情報など、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またサブRAM421bは、特定の抽選に利用される乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働くことができる。
またカウンタ回路423は、カウンタ回路403と同様に乱数生成回路とサンプリング回路とを含む。サブCPU421cは、演出処理状態に応じて(たとえば、演出制御コマンドを受信したタイミング)上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数発生回路が示している数値を演出用乱数値として取得する。この演出用乱数値は、主として演出パターンの抽選や、後述の「疑似ボーナス」に関する抽選などに利用される。
なお図示はしていないが、演出制御基板420には、主制御部400からの演出制御コマンドを受けて光と音についての演出処理を行うため、スピーカ16に対する音響制御部と、装飾ランプ13やLEDを含む光表示装置に対する光表示制御部とが設けられている。
液晶制御基板460は、演出制御基板420から受信した液晶制御コマンドに基づき、液晶表示装置6の表示制御を司る表示制御部を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像(キャラクタ)ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
演出の現出制御については、マイクロコンピュータ421(サブCPU421c)が、主制御部400から送られてくる演出制御コマンドに基づき、今回のゲームで現出すべき演出シナリオ(演出内容)を構築する。そして、この演出シナリオに基づき、効果音や光演出の発生が必要なタイミングで、上記音響発生装置や光表示装置に対して専用の制御信号(音制御信号、光制御信号)を送信し、また液晶表示装置6に表示する画像再生が必要なタイミングで、液晶制御コマンドを液晶制御基板460に対し送信する。上記演出シナリオは、1または複数種類の演出パターンを含んで構成される広義の意味での演出であり、複数種類の演出パターンからなる演出シナリオの場合、個々の演出パターンは、その演出シナリオを構成する一要素(パーツ演出)としての役割を果たす。これにより、演出パターンに対応する効果音の再生、または装飾ランプ13やLEDなどの点灯点滅駆動、あるいは液晶表示装置6による画像表示演出が実現され、時系列的に種々の演出パターンが次々に、あるいは複数同時に展開されることにより、目的とする演出が現出されることになる。斯様な演出には、遊技に係る種々の演出態様が含まれ、たとえば、内部抽選結果情報(当選役種別)を報知する役報知演出、遊技状態を報知する状態報知演出(たとえば、遊技状態に応じた演出)、役の当選可能性(当選期待度)を報知する予告演出、遊技者に有利に作用する特典が付与されたことを報知する特典付与報知演出、特定の図柄の組合せを遊技結果として導出表示するための回胴回転停止ボタン12の停止操作手順(押し順および/または停止操作タイミング)に関する情報を報知する演出(アシスト報知演出)などはその代表例である。
またマイクロコンピュータ421は、主制御部400から送られてくる特定情報(たとえば、当選役情報、特定の図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止した旨の情報など)を含む演出制御コマンドを受けて、これに基づいて複数種類の演出状態間(たとえば、非AT遊技とAT遊技間)を移行制御可能な構成となっている。
また図示はしていないが、演出制御基板420の割込端子INTは、コマンド伝送ラインのうち、主制御部400がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU421cは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またサブCPU421cは、メインCPU401cとは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、メインCPU401c(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部410(演出制御基板420)にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、サブCPU421c(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、メインCPU401cによりアクティブ状態に制御される。また液晶制御コマンドの送信に際しては、演出制御基板420は割り込み用ストローブ信号を発生し、液晶制御基板460にMODE信号とEVENT信号とで構成される2バイト長の液晶制御コマンドを前後して送信する。
<当選役の種類(当選役種別)、当選役に対応した図柄の組合せ(入賞となる図柄の組合せ:入賞役種別)、および配当について:図6>
次に図6を参照しながら、本実施形態に係る当選役の種類(当選役種別)、当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役種別)、およびその配当(遊技価値)の関係について説明する。図6は、当選役に応じた図柄の組合せとその役名称、その図柄の組合せを成立させるための停止操作手順、および配当を例示したものである。
なお、図6の「左回胴」「中回胴」「右回胴」のそれぞれの欄に対応する図柄は、回胴5a、5b、5cにおける成立ライン(有効入賞ラインまたは後述の疑似入賞ライン)上の停止図柄を示す。また図中の「押し順の欄に関する「左」「中」「右」の表記について、「左」は停止操作対象が左回胴5a、「中」は中回胴5b、「右」は右回胴5cを意味する。また、同欄の「順押し」や「中右左」などの表記は、同図の「入賞役種別」の欄に対応した図柄の組合せを成立させる回胴の停止操作順番(押し順)を示す。たとえば、上記「中右左」の表記は、この順に回胴を停止させることを意味し、具体的には、第1番目の停止操作が中回胴5b、第2番目の停止操作が右回胴5c、第3番目の停止操作が左回胴5aの意である。また「左」の表記は、第1番目の停止操作を左回胴5aとする押し順の意であり、「中」の表記は、第1番目の停止操作を中回胴5bとする押し順の意であり、「右」は第1番目の停止操作を右回胴5cとする押し順の意である。また同欄の「左/中」の表記は、第1番目の停止操作が「左回胴5a」または「中回胴5b」とする押し順の意である。以下、説明の便宜上、必要に応じて、第X番目の停止操作を「第X停止操作」と略し、「第X番目に停止操作対象となった回胴」を「第X停止操作回胴」と略す。ただし、図示の当選役種別の中には、当選役に対応する図柄の組合せを成立させる条件として、押し順だけでなく、さらに停止操作タイミングを要するものが含まれる。
本実施形態では、図示のように、複数種類の抽選対象役が設けられている。これら抽選対象役は、「特別役種」に属するものと、「一般役種」に属するものとに大別され、さらに「一般役種」は、‘小役種’に属するものと‘リプレイ(再遊技)役種’に属するものとに大別される。上記「特別役種」は、後述の‘ボーナス遊技’への移行契機役となる役種別であり、上記「小役種」は、‘遊技メダルの払い出し(払い出し0枚を含む)’を伴う役種別であり、「リプレイ役種」は、‘再遊技’を伴う役種別であり、それぞれ異なる性能を有する役として定められている。
なお上記「再遊技」とは、遊技メダル(遊技媒体)を投入することなく(貯留手段により、またはその他の装置の操作により遊技メダルを遊技の用に供することを含む)、次回のゲーム開始条件を再付与するものであり、具体的には、今回のゲームで使用した遊技媒体量(賭数設定のために投入した遊技メダル枚数)と同一量(同一の枚数)を疑似的に付与(自動投入)して、次回のゲームを開始可能とするものである。この再遊技は、遊技者が遊技メダルを減らすことなく次回のゲームが可能になるという点で、遊技メダルと同様に遊技価値を有するものといえる。斯様な遊技価値には、上述の再遊技や遊技メダルの他、たとえば、遊技状態の移行やその移行に関連する所定の抽選(たとえば、後述のAT抽選(図30))の実行権利など付与などがあるが、この遊技価値には、遊技において、遊技者に有利に作用するものに限らず、遊技者に不利に作用するものも含むことができる。
本実施形態では、上記特別役種に属するものとして「CBB(当選番号16)」が設けられている。また上記小役種に属するものとして「弱チェリー(当選番号2)」、「強チェリー(当選番号3)」、「弱スイカ(当選番号4)」、「強スイカ(当選番号5)」、「CAベル1〜2(当選番号6〜7)、「AT1〜4(当選番号9〜12)」が設けられている。また上記リプレイ役種に属するものとして「CAベル3(当選番号3)」および「リプレイ1〜3(当選番号13〜15)」が設けられている。
上記抽選対象役のいずれかが内部抽選により当選役として決定された場合、その当選役に対応した図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止表示することが許容される。詳述すれば、内部抽選により当選役が決定された場合、その当選役に対応する内部当選フラグが成立し(当選役に対応する条件装置が作動する)、その成立した内部当選フラグに対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止表示することが許容されることになる。そして、各回胴が停止した際、当選役に対応した図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止すれば、その図柄の組合せに対応する役が成立したとして、当該図柄の組合せに応じた遊技価値が遊技者に付与されるようになっている。
なお本明細書中では、内部抽選により当選役が決定された場合、遊技結果として導出表示される図柄の組合せ(特に、有効入賞ライン上への停止が許容される図柄の組合せ)を「入賞役」と称する場合があり、この入賞役として扱われる図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止(成立)することを「入賞(遊技価値が付与されるか否かは問わない)」と称する場合がある。また、所謂「取りこぼし」が発生した場合に遊技結果として導出表示される特定の停止表示態様(取りこぼし目)も、遊技結果として導出表示される図柄の組合せの一態様であることから、この取りこぼし目も入賞役として扱うことができる。
<役構成>
次に図6を参照して役構成について説明する。
ここで先ず、本発明の理解を容易なものとするために、仮想的な入賞ライン(以下、「疑似入賞ライン」と称する)について説明しておく。
(疑似入賞ライン)
本実施形態では、上記したように、複数種類の抽選対象役が設けられている。これら抽選対象役には、その当選により、少なくとも押し順にかかわらず、対応する役の入賞を許容する「押順不問役(たとえば、後述の弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、強スイカ、CAベル1〜3、リプレイ1)」や、その当選により、少なくとも押し順に応じて異なる役の入賞を許容する「押順規定役(たとえば、後述のAT1〜4、リプレイ2〜3)」が含まれ、これら役により、遊技性を豊富にすることができるようになっている。
このような抽選対象役を多数設けて遊技性の幅を広げる場合、多数の有効入賞ラインを設ける、たとえば、従来の多くの回胴式遊技機に見られるように、図7(A)に示す中段横ラインと、さらに、図7(B)の破線に示すように、回胴視認部3を横および斜めに横断する形の計4本(図正面から見て、回胴視認部3を右斜め下がりに対角線上に横断する「右下りライン」と、左斜め下がりに対角線上に横断する「左下りライン」と、回胴視認部3を水平方向に横断する上段横ラインと下段横ラインとの4本)の合計5本の入賞ラインが施された所謂「5ライン機」のように(たとえば、パチスロ必勝ガイド編集部編、パチスロ大図鑑「1964〜2000」、日本、株式会社白夜書房,2007年参照)、多くの有効入賞ラインを設けてしまうと、引き込み制御、役の構成要素図柄種、およびその図柄に関する図柄配列帯200における図柄配置構成などの関係上、遊技機を設計する上で役構成が複雑化してしまい、抽選対象役の種類やこれに対応する入賞役の種類を制限せざるをえなくなり、遊技性の自由度が阻害されてしまう。
そこで本実施形態では、従来よりも入賞ラインを少ない本数としたもの、たとえば、図7(A)に示す有効入賞ラインのような単一の入賞ラインとする「1ライン機」としている。ここで、上記「1ライン機」のように入賞ラインを少なくした場合、入賞役の種類を豊富にするために、有効入賞ライン上には、一見して「ハズレ目」が如く「バラケ目」を停止させ、これを入賞役として扱うことが必要な場合が生じうる。
このため本実施形態では、遊技者に対して役が成立したことを容易に認識させるべく、有効入賞ラインとは別に、従来の5ライン機を模した仮想的な入賞ライン(図7(B)の破線のライン。以下、「疑似入賞ライン」と称する)を形成して、この疑似入賞ライン上に、遊技者が入賞したと認知し易い特定の図柄の組合せを停止させることで、当選役に対応した入賞が発生したことを遊技者に知得させうるようになっている。
これについて図7A〜図7Bを参照して具体的に説明する。図7Bは、AT4が当選した場合の有効入賞ライン上と疑似入賞ライン上とに停止する図柄の組合せを例示した図である。なお詳細は後述するが、AT4は、押し順に応じて、配当12枚が得られる‘12枚AT役’か、またはそれよりも遊技価値が低い配当1枚が得られる‘1枚AT役’が入賞する、といった押順規定役に属するものである。
図7B(イ)に、押し順が「左右中」であった場合の全回胴停止時の停止図柄の組合せを、図7B(ロ)に、それ以外の押し順であった場合の全回胴停止時の停止図柄の組合せを示す。
図7Bを参照して、AT4が当選した場合において、押し順が「左右中」であった場合、有効入賞ラインである‘中段横ライン’上には「スイカ1」−「ブランク」−「リプレイ」という、一見して、ハズレのようなバラケ目が停止し(図7B(イ)参照)、それ以外の押し順であった場合も「リプレイ」−「ベル」−「BAR」という、一見して、ハズレのようなバラケ目が停止するようになっている(図7B(ロ)参照)。しかし、疑似入賞ラインの観点から見ると、押し順が「左右中」であった場合には、遊技者が入賞したと認知し易い図柄の組合せとして、疑似入賞ラインである‘下段横ライン’上に「ベル」−「ベル」−「ベル」(ベル揃い)を停止させ、これを12枚AT役入賞時の停止図柄の組合せとして導出表示するようになっており、他方、それ以外の押し順であった場合には、疑似入賞ラインである‘右下りライン’上に「ベル」−「ベル」−「チェリー2」(ベルこぼし目)を停止させ、これを1枚AT役入賞時の停止図柄の組合せとして導出表示するようになっている(図6のAT4の「成立ライン」の欄参照)。ここで混同してはならないのは、上記した「バラケ目」のような図柄の組合せがAT4当選により有効入賞ライン上に停止することが許容される図柄の組合せであり、これが実際のAT4に対応する図柄の組合せ(入賞役(真の入賞役))として定められている点である。したがって、疑似入賞ライン上に停止する図柄の組合せは、有効入賞ライン上に停止する真の入賞役の代替の図柄の組合せとして導出表示される仮想的な入賞役(仮想入賞役)となっている。
このように、有効入賞ライン上には、一見して、バラケ目のような図柄の組合せを停止させるが、疑似入賞ライン上には、特殊な図柄の組合せを停止させ(遊技者が認識し易い図柄の組合せが好ましい)、これにより、遊技者が入賞の発生を把握し易いようになっている。また疑似入賞ライン上には、一見して同じ性能を有する図柄の組合せが停止した場合であっても、実際の有効入賞ライン上に停止する入賞役を異ならせることができる。このように疑似入賞ラインや有効入賞ラインの役割をうまく利用することにより、役のバリエーションを多彩なものとし、遊技内容の豊富化を図ることができるようになっている。
再び図6に戻り、本実施形態に係る役構成(当選役の種類(当選役種別)、当選役に対応した図柄の組合せ(入賞役種別))について説明する。なお以下では、説明の便宜上、図6の図柄の組合せの欄については、有効入賞ライン(中段横ライン)または疑似入賞ライン(上段横ライン、下段横ライン、右下りライン、左下りライン)上の停止図柄の組合せ(実際の入賞役または仮想入賞役)を、当選役に対応する図柄の組合せとして説明する。また図示の「成立ライン」の欄には、説明の便宜のために、その図柄の組合せが停止しうる入賞ラインを表記してある。
(小役種:弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、強スイカ)
図6を参照して、まず小役種に属する当選番号2〜4の弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、強スイカについて説明する。
図6に示すように、弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、強スイカの各当選により入賞が許容される図柄の組合せは、弱チェリー当選の場合は右下りライン(疑似入賞ライン)上に「チェリー1」−「リプレイ」−「リプレイ」(角チェリー)、強チェリー当選の場合は中段横ライン(有効入賞ライン)上に「チェリー1」−「リプレイ」−「スイカ1/スイカ2」(中段チェリー)、弱スイカ当選の場合は中段横ライン上に「スイカ1/スイカ2」−「スイカ2」−「スイカ1」(中段スイカ揃い)、弱スイカ当選の場合は右下りライン(疑似入賞ライン)上に「スイカ1/スイカ2」−「スイカ2」−「スイカ1」(斜めスイカ揃い)となっている。
上記した弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、または強スイカに対応する図柄の組合せが入賞した場合、配当として、所定枚数の遊技メダルが払い出されるようになっている(図6の配当の欄参照)。ただし、本実施形態では図柄配置構成の関係上、入賞となるには所定の停止操作タイミングを要することになる。具体的には、回胴の停止操作タイミングが所定の操作タイミングである場合に限り、該当する成立ライン上に、当選役に対応する図柄の組合せが停止するようになっている。これは、左回胴5aにおけるチェリー1図柄や、各回胴におけるスイカ1図柄やスイカ2図柄の引き込み率が100%未満となるように配置されているためである(図2参照)。勿論、ゲーム性に応じて、図柄種や図柄配置構成や入賞役の図柄構成により、弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、または強スイカに対応する図柄の組合せ(入賞役)を、停止操作タイミングによらず、引き込み率100%となるように定めることができる。
なお、弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、および強スイカは、その当選に起因して(契機として)、後述のAT遊技への移行抽選契機となる「AT移行抽選契機役」としても働く(図30参照)。
また上記の弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、または強スイカは、その当選により、少なくとも押し順によらず、対応する入賞役の入賞を許容する役(押順不問役)となっている。この点、後述のAT1〜4や特定のリプレイ役種(リプレイ2〜3)のように、その当選により、少なくとも押し順に応じて異なる入賞役が入賞しうる「押順規定役」とは性質を異にする。勿論、弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、または強スイカについても、上記「押順規定役」として定めることができる。たとえば、弱スイカが当選した場合、所定の押し順の場合に限り「中段スイカ揃い」の停止を許容し、当該所定の押し順以外の押し順である場合には他の図柄の組合せ(たとえば、配当0枚となる停止目(取りこぼし目))の停止を許容するように構成することができる。
なお、各回胴5a、5b、5cのいずれが第1〜第3停止回胴に該当するか否か、つまり押し順の把握は、主制御部400がその機能部を担う「停止操作順番監視手段」により監視される。この停止操作順番監視手段は、各回胴の回転状態および停止状態を監視し、回転中の回胴と停止中の回胴とに基づき、停止操作対象となった回胴が何番目の停止操作であるか(押し順)を把握する。
(小役種:CAベル1、CAベル2)
次に、小役種に属する当選番号6〜7の「CAベル1〜2」について説明する。
このCAベル1〜2も、上記した弱チェリー、強チェリー、弱スイカ、または強スイカと同様に「押順不問役」として規定されている。
図6に示すように、CAベル1〜2の各当選により入賞が許容される図柄の組合せは、それぞれ中段横ライン上に「ベル」−「ベル」−「ベル」(中段ベル揃い)となっている。
上記したCAベル1またはCAベル2に対応する図柄の組合せが入賞した場合、配当として、所定枚数の遊技メダル(たとえば、12枚)が払い出されるようになっている。ただし、本実施形態では図柄配置構成の関係上、入賞となるには停止操作タイミングを要せず、CAベル1〜2に係る「中段ベル揃い」は引き込み率100%の入賞役となっている。これは、各回胴において、ベル図柄が引き込み率100%となるように配置されているためである(図2参照)。またCAベル1とCAベル2は、「AT移行抽選契機役」としても働く。なお、CAベル1またはCAベル2は、その当選確率が他の小役種と比べて低確率に設定されていることから(図5の判定値の欄参照)、「低確率の内部抽選対象役に当選した」という特典として、AT抽選が優遇されるようになっている(図30参照)。
(小役種:AT1〜4)
次に、当選番号9〜11の「AT1〜AT4」について説明する。
このAT1〜AT4は、少なくとも押し順に応じて異なる図柄の組合せ(入賞役)が有効入賞ライン上に停止(入賞)しうる「押順規定役」として規定されている。つまり、有効入賞ライン上に停止させるための特定の図柄の組合せについて、所定の押し順が割り当てられている。具体的には、このAT1〜AT4は、所定の押し順の場合には遊技者に有利に作用する入賞役(有利入賞役)が、それとは異なる押し順である場合には遊技者に不利に作用しうる入賞役(不利入賞役)が有効入賞ライン上に停止(入賞)しうるように定められている。AT1〜AT4は、主に、有利入賞役または不利入賞役に関する押し順が異なる点を除き、その他の内容は実質的に同じであるので、以下では重複記載を避けるために、「AT1」を代表的に説明する。
(AT1について)
図6に示すように、AT1の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)中段横ライン(有効入賞ライン)上に「ベル」−「ベル」−「ベル」の図柄の組合せ(ベル揃い:12枚AT役)、(2)右下りライン上に「ベル」−「ベル」−「スイカ1」の図柄の組合せ(ベルこぼし目:1枚AT役)の計2種類の図柄の組合せとなっている。つまり、AT1が当選役として決定された場合、上記の12枚AT役と1枚AT役とが入賞許容状態に置かれることになる。
詳述するに、AT1は、その当選により、ベル揃いの入賞を許容する役と、ベルこぼし目の入賞を許容する役とに重複当選可能な役、つまり一回の内部抽選で複数種類の役に同時当選可能な「重複役」としての性質を有するものといえる。本実施形態では、この「重複役」のように、当選役とその当選役により許容される停止図柄態様(入賞役)とを1対Nに対応させた抽選対象役を設け、一つの当選役に対して、これを実効化するための停止図柄態様を複数種類設けることで、遊技内容の豊富化を図っている。このような重複役としての性質を有するものには、AT1〜4の他、後述の特定のリプレイ役種(たとえば、リプレイ2〜3)などがある。
上記「ベル揃い」は、「ベルこぼし目」よりも遊技価値が相対的に高い入賞役となっている。具体的には、たとえば、ベル揃いが入賞した場合には、遊技メダル12枚(第1の所定枚数(第1の遊技価値))の払い出し、ベルこぼし目が入賞した場合には、それよりも少ない遊技メダル1枚(第2の所定枚数(第2の遊技価値))の払い出しとなっている。これは、AT1が、少なくとも押し順に応じて、遊技者に有利に作用する入賞役(有利入賞役)か、または遊技者に不利に作用する入賞役(不利入賞役)が遊技結果として導出表示されうることを意味する。
なおAT2〜AT4に関しても、AT1と同事象の引き込み制御が行われるようになっている。このAT2〜AT4について、上記「ベル揃い」に相当する入賞役は、AT2は上段ライン上のベル揃い、AT3は中段横ライン(有効入賞ライン)上のベル揃い、AT4は下段ライン上のベル揃いとなっており、上記「ベルこぼし目」に相当する入賞役は、AT2は右下りライン上のベルこぼし目、AT3は右上りライン上のベルこぼし目、AT4は右下ライン上のベルこぼし目となっている。
次にAT1の当選により入賞が許容される図柄の組合せについて、停止制御の観点から具体的に説明する。
(順押しの場合)
図6に示すように、順押し(左回胴5a→中回胴5b→右回胴5cの順番で停止する停止操作手順)の場合には、ベル揃いが中段横ライン上に停止するように回胴の停止制御(引き込み制御)が行われる。
(順押し以外の場合の場合)
これに対し、順押し以外の押し順である場合には、ベルこぼし目が右下りライン上に停止するように回胴の停止制御が行われる。
(AT1に係るベル1取りこぼしについて)
本実施形態では、AT1が当選役として決定された場合において、上記の順押し以外の押し順である場合には、ベル揃い(払い出し12枚)の取りこぼしが発生し、替わりに、ベルこぼし目(払い出し1枚)が遊技結果として導出表示されうるようになっている。
なお本実施形態では、上記「ベル揃い」は、押し順さえ一致すれば回胴の停止操作タイミングによらず、その図柄の組合せが該当する成立ライン上に停止するようになっている。これに対し、上記「ベルこぼし目」は回胴の停止操作タイミングが所定の停止操作タイミングでなければ、該当する成立ライン上には停止しないようになっている。これは、左回胴5aおよび中回胴5bのベル図柄の引き込み率が100%で配置されているものの、右回胴5cにおけるスイカ1図柄の引き込み率が100%未満となるように配置されているためである(図2参照)。AT2〜4も同様に、ベルこぼし目については、回胴の停止操作タイミングが所定の停止操作タイミングでなければ、該当する成立ライン上には停止しないようになっている(右回胴5cにおけるスイカ1図柄、チェリー図柄1、またはチェリー図柄2の引き込み率が100%未満となるように配置されているため)。しかし本発明はこれに限らず、押し順が一致すれば、停止操作タイミングによらず、「ベルこぼし目」が入賞可能な図柄配置構成としても良い。
また本実施形態では、各AT(AT1〜AT4)について、有利入賞役や不利入賞役については、各AT同士で同じ図柄の組合せとしても良いし、各ATでそれぞれ異なる図柄の組合せとしても良いし、各ATの一部同士で同じ図柄の組合せとしても良い。また入賞となる成立ラインも適宜定めることができる。
(リプレイ役種:CAベル3、リプレイ1〜3)
次に、リプレイ役種に属する当選番号8、13〜15のCAベル3、リプレイ1〜3について説明する。本実施形態では、再遊技を伴う入賞役として1種類の図柄の組合せの入賞を許容するリプレイ役種(CAベル3、リプレイ1)と、複数種類の図柄の組合せの入賞を許容するリプレイ役種(たとえば、リプレイ2〜3)とを含む複数種類のリプレイ役種別が設けられている。説明の便宜のため、当選番号13〜15のリプレイ1〜3から先に説明する。
(リプレイ1)
まず当選番号13のリプレイ1について説明する。
図6に示すように、リプレイ1の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、右下りライン上に「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」の図柄の組合せ(通常リプレイ)となっている。このリプレイ1は「押順不問役」に属し、これに対応する図柄の組合せ(通常リプレイ)を停止させるための停止操作タイミングを必要としない。つまり、リプレイ1が当選した場合、どのような停止操作手順であっても、通常リプレイの入賞が発生し、配当として「再遊技」が付与される。
(リプレイ2〜3)
次に、当選番号14〜15のリプレイ2〜3について説明する。
リプレイ2〜3は、上記「押順規定役」として定められている。図6に示すように、リプレイ2の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」の図柄の組合せ(中段リプレイ)と、(2)「青7」−「青7」−「青7」の図柄の組合せ(特殊リプレイ1:中段青7リプレイ:)の計2種類の図柄の組合せとなっている。また、リプレイ3の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、(1)「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」の図柄の組合せ(中段リプレイ)と、(2)「赤7」−「赤7」−「赤7」の図柄の組合せ(特殊リプレイ2:中段赤7リプレイ)の計2種類の図柄の組合せとなっている。なお、上記中段リプレイまたは特殊リプレイの成立ラインはいずれも‘中段横ライン’となっており、中段リプレイまたは特殊リプレイが入賞した場合には、配当として、「再遊技」が付与される。
なお上記リプレイ2〜3についても上述したAT1〜3と同事象のように、いずれの図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止するか否かは、押し順により決定される。具体的には、第1停止操作回胴が左回胴5aまたは中回胴5bである場合には、その停止操作タイミングによらず、中段リプレイが中段横ライン上に停止し、第1停止操作回胴が右回胴5cである場合には、その停止操作タイミングによらず、特殊リプレイが中段横ライン上に停止するようになっている。
ここで図示の特殊リプレイはその一例を示したものである。特殊リプレイについては、赤7図柄や青7図柄(特殊リプレイの構成要素図柄)の図柄配置構成の関係上、図示の特殊リプレイが入賞するには所定の停止操作タイミングを要することになる。赤7図柄や青7図柄を有効入賞ライン上に引き込み不可能な停止操作タイミングで回胴が停止操作された場合には、特殊リプレイの取りこぼしが発生するが、その取りこぼし目として、特定の図柄の組合せ(特定リプレイ(図示せず))が必ず‘中段横ライン’上に停止し、この場合も特殊リプレイと同等の遊技価値(再遊技+AT移行)が付与されるようになっている。ただし、AT移行については、所定の条件下(後述のAT抽選当選を条件)でその移行がなされる。上記リプレイ2またはリプレイ3は、その当選に起因して(本実施形態では、特殊リプレイの入賞に起因して)、後述のAT遊技への移行契機となる「AT遊技移行契機役」として働く。
(リプレイ役種:CAベル3)
次に、当選番号3のCAベル3について説明する。
図6に示すように、CAベル3の当選により入賞が許容される図柄の組合せは、中段「ベル」−「ベル」−「リプレイ」の図柄の組合せ(ベルリプレイ)となっている。このCAベル3は「押順不問役」に属し、これに対応する図柄の組合せ(ベルリプレイ)を停止させるための停止操作タイミングを必要としない。この点、上記リプレイ1と同様である。
上記CAベル3に対応する図柄の組合せ(ベルリプレイ)が入賞した場合、配当として、再遊技が付与される。またCAベル3は、「AT移行抽選契機役」としても働き、CAベル1またはCAベル2と同様に、その当選確率が他の小役種と比べて低確率に設定されていることから(図5の判定値の欄参照)、「低確率の内部抽選対象役に当選した」という特典として、AT抽選が優遇されるようになっている(図30参照)。
(特別役種:CBB)
次に、当選番号16のCBBについて説明する。このCBBは「特別役種」に属し、「押順不問役」として規定されている。この特別役は、対応する図柄の組合せ(ボーナス役)の入賞を契機に、一般役種の抽選確率が変動する遊技状態や、特殊な引き込み制御となる遊技状態(たとえば、特定の図柄の引き込みコマ数が変動する遊技状態(いわゆる「チャレンジボーナス(CB)、「チャレンジタイム(CT)」)といった特別遊技状態(いわゆる「ボーナス遊技」)への移行契機となる役であり、この点で、このような遊技状態への移行契機とはならない「一般役種」とは性質を異にする。
図6を参照して、CBBの当選した場合、「青7」−「チェリー2」−「ブランク」(CBB1)の図柄の組合せの入賞が許容される。このBBは「押順不問役」であるが、引き込み制御の関係上、停止操作タイミングが所定のタイミングである場合に限り、その図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止可能となっている。このため、ボーナスの構成要素図柄(青7、チェリー2、およびブランク)を有効入賞ライン上に引き込み不可能な停止操作タイミングで回胴が停止操作された場合、CBBの取りこぼしが発生するようになっている。
本実施形態では、上記CBB1(ボーナス)が入賞した場合、次回のゲームから特別遊技状態(ボーナス遊技)として、特定の小役種(たとえば、AT1〜4)の当選確率が高確率に変動する、といった「ボーナス遊技」が発生するようになっている。しかし本実施形態では、ボーナス遊技中において、遊技開始条件となる規定枚数を遊技メダル3枚としており、後述のアシスト報知もされないため、1ゲーム当りの平均獲得遊技メダル枚数(純増枚数)が、概ねゼロまたはマイナスとなるようになっている(これについての詳細は後述する)。このボーナス遊技は、規定枚数(たとえば、22枚)以上の遊技メダルの払い出しを条件に終了される。なお、ボーナス遊技は、遊技者に有利に作用するものであっても良い。たとえば、AT1の当選確率を65535/65536とし、ハズレを1/65536とし、終了条件としての払い出し枚数を多く設定することができる(たとえば、335枚の払い出しで終了)また、本実施形態のように、遊技者に不利に作用しうる(純増枚数がマイナスになりうる)ものであっても良い。
(CBBの持ち越しについて)
上記した特別役であるCBBは、その内部当選フラグを次回以降のゲームに持ち越し可能な「持越役」として設定されている。このため、上記CBBに当選した場合においては、CBBに対応する図柄の組合せ(CBB1)が入賞するまでの遊技期間、当該CBBに係る当選フラグ(ボーナス当選フラグ)の成立状態が維持され、この間、CBBは抽選対象から除外される(図5のCBBの欄参照)。つまり、特別役のような持越役の内部当選フラグの成立状態下では、持越役は内部抽選対象から除外される。したがって、ボーナス当選フラグ持越中においては、ボーナス当選フラグが新たに成立したり、または重複して成立したりすることがないようになっている。このボーナス当選フラグが成立中の状態(当選した当該ゲームを含む)を「BB内部当選遊技」と称し、ボーナス当選フラグが成立中(非当選の当該ゲームを含む)でない遊技を「非BB内部当選遊技」と称する。
本実施形態では、RT0遊技(非BB内部当選遊技)中にCBBが当選した場合、その当選を契機として、RT1遊技(BB内部当選遊技)に移行され、抽選対象から除外されたCBBの抽選値(判定値)分が各種のリプレイ役に割り当てられることにより、CBB非成立中(非BB内部当選遊技)に比べてCBB成立中(BB内部当選遊技)の方がリプレイ役種に当選する割合が高くなるようにしている(図6のRT0遊技中とRT1遊技中における、各リプレイ役種およびCBBに関する判定値の欄参照)。
一方、CBB(特別役種)以外の役は、その当選フラグを次回のゲームに持ち越すことができない「持越不可能役」として設定されている。BB内部当選遊技においては、一般役種(一般小役種、リプレイ役種)については、通常通りに、これを対象とした内部抽選が行われる(図6のRT1遊技の欄参照)。このため、ボーナス当選フラグと他の役の当選フラグとが同時に成立する重複当選状態が発生しうる。このような場合、いずれの当選役に対応する図柄の組合せを入賞させるかどうかは、所定の引き込み優先順位に基づいて決定される。本実施形態では、「特別役種(CBB)<小役種<リプレイ役種」の順位(リプレイ役種が最優先順位)で引き込み制御が行われるようなっている(小役優先制御)。これにより、CBBと他の一般役種とが重複当選中のゲームにおいては、この引き込み優先順位の下で回胴の停止制御が行われる。
なお、以上に説明した抽選対象役、対応する入賞役、配当、およびその種類などに関する役構成については、本発明の目的を達成できるものであれば特に制限されない。たとえば、特別役種については、単一であっても良いし、複数種類あっても良いし、特別役種自体を設けない構成としても良い。また一般役種についても、本発明の目的を達成できるものであれば、その種別や種類数は特に制限されない。
また抽選対象役として、特別役種と特定の一般役種とが重複当選可能な「重複BB役」を1または複数種類設けることができる。たとえば、CBBと強チェリー(当選番号3)とが重複当選する重複BB役が当選役として決定された場合、当選役に対応する図柄の組合せとして、CBB1(CBB対応の図柄の組合せ)と中段チェリー(強チェリー対応の図柄の組合せ)とが入賞許容状態に置かれることになる。この場合、重複BB役が当選したゲームでは、上記引き込み優先順位に基づいて、いずれの入賞役を優先的に有効入賞ライン上に引き込むのか決定される。本実施形態では、小役優先制御となっているので、当該ゲームでは、先ず、上記中段チェリーが優先的に入賞しうる引き込み制御が行われる。この場合、CBBと重複当選する強チェリーが遊技結果として導出されれば、CBBの当選期待感を遊技者に与えることができる。
また「押順規定役」に属する抽選対象役については、特定の入賞役を入賞させるための停止操作手順の割り当て(たとえば、有利入賞役や不利入賞役などの特定の図柄の組合せを入賞させるために、どのような押し順を割り当てるかについて)や、その割り当てによる入賞役の入賞率は、本発明の目的を達成可能なものであれば特に制限されない。
<遊技形態>
次に、各遊技状態およびこれら遊技状態間の移行制御に着目しながら、本実施形態に係る回胴式遊技機の遊技形態(ゲーム性)の概要を説明する。
本実施形態に係る回胴式遊技機では、主制御部(主制御基板)400側で制御される基本的な遊技状態の他、副制御部(演出制御部410)側で制御される付加的な遊技状態が設けられている。主制御部側で制御される遊技状態(主制御部側遊技状態)には、主として、RT遊技(本実施形態では、RT0遊技とRT1遊技)とボーナス遊技とが含まれ、演出制御部410側で制御される遊技状態(演出制御部側遊技状態(演出状態))にはAT(アシストタイム)遊技が含まれる。
(RT(リプレイタイム)遊技について)
RT遊技とは、再遊技を伴うリプレイ役の当選確率が基底の遊技状態の所定確率から変動した再遊技確率変動状態をいう。本実施形態ではRT0遊技とRT1遊技といった複数種類のRT遊技が設け、これら複数種類のRT遊技を実効化することにより、遊技性の自由度を向上させている。
上記各RT遊技は、BB内部当選遊技(BB内部当選状態)に係るRT遊技であるか、非BB内部当選遊技に係るRT遊技であるかで大別される。本実施形態では、上記基底の遊技状態として、リプレイ役種の当選確率(リプレイ確率)が低確率である「非BB内部当選遊技(RT0遊技)」を基準とし、したがって、これよりも高確率に変動する「BB内部当選遊技(RT1遊技)」が再遊技確率変動状態に相当する。このBB内部当選遊技は、リプレイ確率が非BB内部当選遊技よりも高確率となることから「再遊技高確率抽選状態」ともいえる。なお、BB内部当選遊技は、非BB内部当選遊技と同様に、一般遊技状態の一態様である。この一般遊技状態は、ボーナス遊技のように一般小役種の確率を上昇させることができない遊技状態として規定される(図6参照)。
(AT遊技について)
AT遊技とは、役の抽選結果に関連する情報を、液晶表示装置6、装飾ランプ13、スピーカ16などの演出手段を用いて、画像表示演出、効果音、光演出などにより遊技者に報知する特典遊技状態である。このAT遊技は、主制御部400側で制御される遊技状態(主制御部側遊技状態)とは異なり、主に、演出制御部410(演出制御基板420)側で制御される遊技状態(演出制御部側遊技状態(演出状態))である。
上記AT遊技は、演出制御部410がその機能部を担う「演出状態管理手段」によりその発生および終了が管理制御される。この演出状態管理手段は、通常演出状態(非AT遊技)およびAT遊技を含む複数種類の演出状態を統括的に管理可能に構成される。上記演出状態管理手段には、当選役に関する情報を報知する報知状態として、通常報知状態(非AT遊技)と、当該通常報知状態よりも遊技者に有利に作用しうる有利報知状態(AT遊技)とを含む複数種類の報知状態を管理制御する「報知状態管理制御手段」として働く。
(アシスト報知)
本実施形態では、既に説明したように、複数種類の押順規定役が設けられている。たとえば、当選番号9〜12のAT役(AT1〜4)では、押し順に応じて、有利に作用しうる図柄の組合せ(有利入賞役)が入賞しうる。しかし非AT遊技(通常演出状態)中においては、これらの役に当選しても、有利入賞役の入賞を案内する情報(停止操作手順情報(押し順および停止操作タイミングの少なくともいずれか一方に関する情報)は遊技者に報知されない、あるいは報知されるとしても、その報知確率が低確率となっている。このため、非AT遊技中は、有利入賞役の入賞させるための手掛かりを得られず、その入賞が困難なものとされる。したがって、非AT遊技中は、遊技進行上、AT遊技中よりも遊技者に不利なゲーム展開とされる。
これに対しAT遊技中においては、有利入賞役の入賞を案内する情報が高確率で報知されるため、その入賞が著しく容易になる。たとえば、当選番号9のAT4が当選した場合、有利入賞役側の‘ベル揃い’の入賞を案内する押し順情報(「左右中」の押し順)が遊技者に報知される。これにより、遊技者がその報知内容に従い回胴を停止操作すれば、容易にベル揃いを入賞させることができる。これによりAT遊技中は、1ゲームあたりに遊技者が獲得し得る平均的利益(ベース値)が非AT遊技中よりも向上した遊技状態になる。したがって、AT遊技中は、非AT遊技中よりも遊技者に有利なゲーム展開とされる。
このように、当選役に関する情報として、特定の図柄の組合せ(有利入賞役、不利入賞役、その他、特定の図柄の組合せを含む)の入賞させる押し順情報(停止操作手順情報情報)を報知可能な演出態様を「アシスト報知(支援演出)」と称する。
(アシスト報知態様について)
なお上記アシスト報知は、同じ当選役が決定された場合でも、その報知内容が異なる場合がある。つまり、必ずしも遊技者に特定の図柄の組合せ(たとえば、有利入賞役側)を確実に入賞させる報知内容とは限らない。たとえば、押順規定役が当選した場合、有利入賞役を入賞させる押し順の一部を不明(秘匿状態)にしたり、有利入賞役を入賞させる押し順(真のアシスト報知:本告知)とは異なる押し順を報知したり(偽のアシスト報知(偽アシスト報知):偽告知)、複数種類の押し順を報知したりすることができる(たとえば、有利入賞役側を入賞させる押し順と不利入賞役側を入賞させる押し順とを重複して報知する)。
(秘匿報知(選択的アシスト報知))
たとえば、AT1が当選したケースであれば、「ベル揃い」が入賞となる押し順は「左中右(順押し)」である。この場合、「左中右(順押し)」の一部を秘匿する報知内容として、第1停止操作回胴に左回胴5aを選択指示する旨を報知し、第2停止操作以降に選択する回胴については報知しない、といった報知内容が挙げられる。このようなアシスト報知が発生した場合、遊技者は、ベル揃いを入賞させる押し順として「左中右(順押し)」と「左中右」のいずれか(2択)を山勘(恣意的)で選択することになり、これにより、アシスト報知によるベル揃いの入賞率を1/2の確率(入賞率50%)に低下させることができる。また、第1停止操作回胴に中回胴5b以外のいずれかの回胴を選択指示する旨がアシスト報知された場合(たとえば、「第1番目に中回胴以外を押せ!」)、遊技者は、ベル揃いを入賞させる押し順として選択できるのは、左中右(順押し)」「左中右」「右中左」、および「右左中」」の計4通りの押し順のうちからいずれかを山勘で選択することになり、このようにすれば、ベル揃いの入賞率を1/4の確率(入賞率25%)に低下させることもできる。上述のように、押し順の一部を不明にすれば、特定の図柄の組合せを入賞させる押し順が択一式的なものとなり、その結果、特定の図柄の組合せの入賞率を100%未満とすることができる。
また本告知と偽告知とを重複的に報知する場合、偽告知の押し順が1つであれば、入賞率が1/2となり、それ以上であれば、さらに入賞率を低下させることができる。たとえば、AT1が当選したケースであれば、「左中右(本告知:正解押し順)」と「左右左(偽告知:不正解押し順)」の計2通りの押し順のうちからいずれかを遊技者に選択させる報知内容とすれば、「2択ナビ」となり、ベル揃いの入賞率を50%に低下させることができる。また、「左中右(本告知)」と、「左右中(偽告知)」、「右中左(偽告知)」の計3通りの押し順を遊技者に選択させる報知内容とすれば、ベル揃いを入賞させる押し順が3択(3択ナビ)となり、ベル揃いの入賞率を1/3(約33%)に低下させることができる。このような択一的なアシスト報知の場合にも、特定の図柄の組合せの入賞率を100%未満とすることができる。
上記した押し順の一部を秘匿状態とする「秘匿報知」や「択一的なアシスト報知」では、押順規定役に係る特定の図柄の組合せの入賞率を変化させることができる。このようなアシスト報知態様を「選択的アシスト報知」と称する。この選択的アシスト報知も上記「偽アシスト報知(偽告知)」の一態様として扱うことができる。
上記のような選択的アシスト報知が発生すれば、遊技者自身の恣意的な停止操作により、ゲーム展開が有利・不利に作用しうることになるので、回胴の停止操作時において遊技者に対し緊張感を与え、遊技の面白みを向上させることができる。また、上記のようなアシスト報知の発生(現出)確率を異なる複数種類のAT遊技を発生可能に構成することで、性質の異なる遊技状態(たとえば、出玉率・ベース値が異なる遊技状態)を作り出すことができる。たとえば、第1のAT遊技では、本告知の発生率100%とするAT遊技、第2のAT遊技では本告知の発生率50%で選択的アシスト報知の発生率が50%とする、といったように複数種類のAT遊技を発生させることができる。これにより、遊技性(ゲーム性)を多様化することができ、遊技の面白みを向上させることができる。なお、上記選択的アシスト報知や偽告知は、アシスト報知態様によりベース値を変化させたい場合に利用される。特に「偽告知」は、特定の押し順が実行されてしまうことにより、ゲーム進行上、不都合が生じることを回避するために利用することができる。
また、アシスト報知は、原則として、押し順に関する情報を遊技者に提示するだけで、当選役種別に関する情報を付随して遊技者に提示しないようになっている。これは、当選役種別を明示してしまうと、押し順を報知せずとも、役構成によっては、押し順の割り当てを知る遊技者側に、有利入賞役または不利入賞役の押し順が判明してしまい、アシスト報知を発生させる意義が喪失してしまうからである。たとえば、AT1〜4は、ベル揃いが入賞する押し順がそれぞれ異なるように割り当てられているため、当選役種別を明示してしまうと、その割り当てを知る遊技者側(特に、遊技上級者)に、中段ベル1入賞となる押し順が判明してしまい、アシスト報知を発生させる意義が喪失するからである。
(押順不問役のアシスト報知)
またアシスト報知は、上記したように、基本的には、押順規定役に係る特定の図柄の組合せの入賞を案内するものであるが、押順不問役についても発生させることができる。たとえば、停止操作タイミングにより、取りこぼしが発生しうる場合、その取りこぼしの発生しない停止操作タイミングを遊技者に報知することができる。
また当選役に係る入賞役の一部または全部が同一の図柄の組合せを持つ抽選対象役同士の場合、たとえば、押順不問役であるCAベル1は、比較的高確率で当選するAT1やAT3が当選した場合と同じく、中段ライン上に「ベル揃い」が停止する。この場合、「CAベル1」の当選を秘匿するために、特定の押し順をアシスト報知して、AT1やAT3(押順規定役)が当選したように装う場合もある(偽装アシスト報知)。このような偽装アシスト報知は、押順不問役が当選したときに、押順規定役が当選した場合のアシスト報知態様と実質的同一の報知態様(同一または酷似する報知態様)を現出することで当選役種別を秘匿する場合に利用される。
本実施形態では、CAベル1のようなレア役が当選すると、後述のフリーズ演出種別(フリーズ1〜5)のうち、特定のフリーズ演出(たとえばフリーズ5:払出フリーズ)が高確率で発生しうるので(図29参照)、遊技者に特定のフリーズ演出の発生を予測させず、意表を突くような形で、その特定のフリーズ演出を発生させたい場合などに、上記偽装アシスト報知が利用される。これにより、フリーズ演出が発生した際、遊技者の意表を突くことができ、遊技者を驚嘆させたり、高揚させたりして、フリーズ演出効果を高めることができる。なお、上記偽装アシスト報知は、他の抽選対象役が当選した場合のアシスト報知態様と実質的同一の報知態様(同一または酷似する報知態様)を現出して、実際の当選役を秘匿可能とするアシスト報知態様を指し、上述した押順不問役に関し、押順規定役が当選したかのように装う報知態様に限定されず、一の押順規定役が当選した場合に他の押順規定役が当選したかのように装う報知態様とするものも含むことができる。
以上に説明したアシスト報知は、本実施形態では、演出制御部410がその機能部を担う「アシスト報知制御手段」により現出制御される。アシスト報知制御手段は、少なくとも当選役情報に基づいて、現出すべきアシスト報知を決定するようになっている。
(各遊技状態について)
次に図28を参照して、各遊技状態の内容と各遊技状態間の移行制御について説明する。図28は、遊技状態間の移行の概要を示す状態遷移図である。
先ず説明の便宜のために、主制御部遊技状態であるRT0遊技とRT遊技1に着目して、RT遊技間の移行について説明しておく。
主制御部側遊技状態にはRT0遊技とRT1遊技が含まれ、本実施形態では、初期の遊技状態として「RT0遊技(初期モード)」から開始されるようになっている。この「初期の遊技状態」は、メインRAMがクリアされた場合やボーナス遊技終了した場合などを条件に移行(開始)される遊技状態となっている。
このRT0遊技は、リプレイ役の当選確率が低く、かつ非AT遊技に設定されており、他の遊技状態よりも遊技者に不利に作用する遊技状態(遊技者に付与される利益が低い遊技状態)となっている。また上記RT0遊技中は、後述のAT遊技移行に関するAT抽選(特殊リプレイ報知抽選:図30)も行っているが、その抽選も他の遊技状態(RT1遊技)よりも相対的に不利に作用する。なお上記RT0遊技中は、リプレイ役種のうち、リプレイ1が当選可能な遊技状態となっており、リプレイ2〜3は内部抽選対象から除外されている。
このRT0遊技中においてCBBに当選して、当該当選ゲームでCBBに対応する図柄の組合せ(CBB1)を入賞させることができなかった場合、次回のゲームから、RT0遊技よりもリプレイ確率が高確率に変動した「RT1遊技(通常モード)」に移行されるようになっている。つまり、RT1遊技は、CBBの当選を契機として移行される遊技状態であり、CBBボーナス当選フラグが持ち越し中の「BB内部当選遊技」となる。このRT1遊技中においてCBB1(ボーナス役)が入賞した場合、そのボーナス遊技が終了した後、所定の移行条件に基づいて、再度、RT0遊技に移行されるようになっている。なお、RT1遊技からRT0遊技への移行条件としては、たとえば、ボーナス遊技終了後のRT1遊技において所定のゲーム数(0ゲーム(ボーナス遊技終了後、次回のゲームから)であっても良い)を消化したことを条件としても良いし、また、特定の図柄の組合せ(たとえば、AT2〜4に関する不利入賞役(ベルこぼし目(1枚AT役))が入賞した場合など)を条件としても良い。
ここで、図6を参照すれば、RT1遊技中はRT0遊技中と比し、リプレイ確率(合算確率)が高確率に変動し(リプレイ確率について、RT0遊技中は約1/7.29、RT1遊技中は約1/2.98となる)、他方、ハズレ(不当選)確率は極めて低確率に変動するようになっている(ハズレ確率について、RT0遊技中は約1/532.8、RT1遊技中は1/65536となる)。なお、小役種の当選確率(合算確率)は、RT1遊技およびRT0遊技ともに変動はなく、比較的高確率の当選確率(約1/1.52)となっている。またCBBの当選確率は比較的高確率(約1/5.04)となっており、RT0遊技の開始から比較的短期間でCBBに当選(概ね22ゲーム程度内で約99%の確率で当選)するようになっている。
ここで、RT0遊技中においてCBBに当選し、当該当選ゲームでそのCBBに対応する図柄の組合せ(CBB1)を入賞させることができなかった場合、次回ゲームからRT1遊技に移行されるが、このRT1遊技下では、上記小役優先制御の働きにより、極めて低確率な「ハズレ」が抽選されない限り、CBB1を入賞させることができないようになっている。特に本実施形態では、CBBに当選しても、これを知らせる演出は現出されず、またハズレに当選してもこれを知らせる演出は現出されないようになっている。
このため、CBBが内部当選しても遊技者はそれを知る術がなく、また各回胴におけるCBBに対応するCBB1の構成要素図柄は、図柄配列帯200の図柄配置構成の関係上、取りこぼしとなる停止操作範囲が比較的広く(図2参照)、実際にCBB1を入賞させることは極めて困難であり、RT1遊技中におけるCBB1の入賞率は、遊技者が仮に一日中パチンコホールで遊技に興じていても、実質的に不可能な入賞率であるといえる。したがって一旦RT1遊技に移行した場合には、CBBに関する上述した事象により、RAMクリアされない限り極めて稀にしかRT0遊技には再移行されない。つまり実質的にRT1遊技からRT0遊技に再移行されることがない遊技性と等価的なものとなっている。
このようにCBBの入賞率を定める理由は、他の役構成やAT遊技などの関係上、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律による7号営業を対象としたパチンコ店に設置するような遊技機を対象として規定される、同法律おける遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則に基づく「型式試験」による検定を通過させ、かつ、遊技設計上の所望の遊技性を確保するためである。
以上に説明したように、本実施形態では、リプレイ確率が大きく異なる「RT0遊技」と「RT1遊技」とを設けているが、一旦RT1遊技に移行した後は、再度、RT0遊技に移行することは、確率上、極めて稀なものとなっている。これにより、CBBが内部当選中であるにもかかわらず、表面上は通常の遊技状態であるかのように振舞うようになっている。つまり、RT1遊技が、最も滞在期間が長い遊技状態となるように構成されている。したがって以下では、主制御部側遊技状態については、RT0遊技やボーナス遊技に関連する詳細についての説明は適宜省略し、RT1遊技に着目しながら説明する。
(フリーズ演出について)
ここで説明の便宜のため、本実施形態に係るフリーズ演出について先に説明しておく。
本実施形態では、所定の条件に基づいて、遊技進行を通常の遊技進行よりも遅延させるフリーズ状態(遅延状態)に制御可能に構成されている。このフリーズ状態は、主として、所定の遊技動作処理を所定時間進行しないようにして、通常よりも遊技進行を遅延状態下に制御することにより発生される。一般的に、このフリーズ状態を利用した演出態様は「フリーズ演出」と称される。このフリーズ演出は、たとえば、主制御部400側で制御される各回胴5a,5b,5cの動作態様を利用した「フリーズ中メイン側演出(回胴演出)」と、演出制御部410側で制御される演出手段(装飾ランプ13やスピーカ16や液晶表示装置6などの演出手段)を利用したフリーズ中サブ側演出(演出手段による演出)とが連携して、またはそれぞれ単独的(独立的)に現出される演出態様となっている。どのようなフリーズ演出種別をどのようなタイミングで現出させるかについては、内部抽選結果(当選役)に基づいて決定される場合の他、内部抽選結果(当選役)とは別にサブ側で所定期間内における遊技単位毎にフリーズ発生抽選により決定される場合がある。また、特定のゲーム数に到達したことに基づき、択一的または選択的に決定(たとえば、抽選により決定)する場合や、特定のゲーム数に到達した場合に特定のフリーズ演出を必ず発生させる場合もある。なお上記の「特定のゲーム数に到達した場合」とは、たとえば、特定の遊技状態が開始されてから所定のゲーム数が実行された場合や、特定の遊技状態中における所定のゲーム数が実行された場合を含むことができる。
上記のフリーズ中メイン側演出の「回胴演出」とは、フリーズ(遅延)中における回胴の動的な動きまたは静的な動き、またはその組合せによる演出(回胴演出)を意味する。「回胴の動的な動き」とは、通常回転(順方向に通常速度回転する)とは異なった動きをする「変則回転」である。変則回転の代表的なものは、回胴の逆回転、逆方向への寸動、左右または上下に震える運動、逆方向から順方向に回転して逆方向に戻る折り返し運動、各回胴が時間的にずれて次々と逆方向に回転開始する変則スタート、特定の図柄揃いで仮停止状態となり、それから回胴が再回転する疑似回転、低速順回転、さらにこれらの変則回転を各回胴で異なる種類・方向で実行する回転など、である。また「回胴の静的な動き」とは全回胴が静止状態にいること、つまりフリーズ(遅延)中に静止していることを意味する。なお、静止状態は、全回胴が完全に静止した静止状態だけでなく、見た目上、静止していると遊技者に認識しうる状態を含む。このように回胴演出には、回胴を「変則回転」させるものと、回胴を「無回転」のままとするものとがある。なお、一の回胴は動的な動きをさせ、他の回胴を静的な動きをさせるなど(たとえば、左回胴と右回胴は変則回転、中回胴は無回転)、動的な動きと静的な動きとを組合せた回胴演出を実行可能に構成しても良い。
本実施形態のフリーズ状態は、1ゲーム中に存在するフリーズ発生可能時期(たとえば、回胴回転始動レバー11操作時、各回胴回転停止ボタン12(12a、12b、12c)操作時、全回胴停止時などに起因する1または複数の発生可能時期)において、フリーズ状態が発生するように構成されている。これらのフリーズ発生可能時期においてフリーズが発生する場合、それらの時期は、フリーズ演出を開始させるトリガーポイント(基本トリガーポイント)となりうる。上記回胴演出やサブ側フリーズ中演出は、この基本トリガーポイントの到来を契機に発生し、基本的には、このフリーズ開始時の演出により、フリーズの発生が報知される。
(フリーズ中操作時演出)
また上記「フリーズ状態」は、遊技の進行を所定期間(フリーズ時間)遅延状態とする関係上、そのフリーズ時間が経過するまでは、遊技進行を進めようとする操作手段の操作(通常の遊技進行のための操作手段の操作)は「無効扱い(操作無効化状態)」となる。具体的には、たとえば、全回胴停止前にフリーズが発生した場合、回胴回転停止ボタン12を操作しても、その停止対象となった回胴の停止制御は実行されず、回胴は回転したままとなる。つまり、遊技者にとっては、回胴回転停止ボタン12の操作が効かない、といった遊技状況下に置かれることになる。その後、フリーズ状態が解除されると、本来の回胴の停止操作が許容状態下に置かれ、遊技者が回胴回転停止ボタン12を操作すれば、その停止対象となった回胴を停止させることができるようになる。
しかし本実施形態では、上記フリーズ状態下であっても、遊技者が操作可能な操作手段からの検出信号(操作検出信号)自体は受け付けて、操作手段が発せられる検出信号を利用して、フリーズ演出に変化をもたらすことができるように構成されている。具体的には、フリーズ中(フリーズ演出)において、操作手段が操作されたことに基づき、特定の演出を現出可能に構成されている。この操作手段の操作に起因して現出される演出を「フリーズ中操作時演出(操作時演出)」と称する。したがって、フリーズ中操作時演出は、フリーズ演出の一環として発生しうる。つまり、フリーズ演出(フリーズ演出シナリオ)には、基本トリガーポイントの到来を契機に現出しうる「フリーズ開始時演出」と、これとは異なる1または複数のトリガーポイントの到来(操作手段の操作(トリガー操作))を契機に現出しうる「フリーズ中操作時演出」とが含まれる。なお、フリーズ中操作時演出は、メイン側フリーズ中演出(回胴演出)やサブ側フリーズ中演出のいずれであっても良く、これらを重複的または単独的に発生させることができる。
(操作コマンド)
ところで、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12、MAXベットボタン8、1ベットボタン9などの操作手段を1回操作(1往復)させた場合、操作検出信号が発せられる。たとえば、回胴回転始動レバー11を1回操作(1往復)させると、そのスイッチが作用して、操作検出信号が出力される。主制御部400側は、この操作検出信号の立ち上がりと立ち下がりとから、操作コマンドに利用可能なトリガーパルスを計2回取り出し得る。1個目は、たとえば、回胴回転始動レバー11や回胴回転停止ボタン12などを原位置から他位置に移動させた際(押下した際)に、操作検出信号パルスの前縁(前端エッジ)で作成される信号(以下「ON信号」と称する)である。2個目は、回胴回転始動レバー11や回胴回転停止ボタン12を他位置から原位置に移動させた際(押し戻した際(釈放下際))に、操作検出信号パルスの後縁(後端エッジ)で作成される信号(以下「OFF信号」と称する)である。主制御部400側は、このON信号またはOFF信号のいずれかを利用して、演出制御コマンドとして、操作手段に対応した操作コマンドを送信することとなる。
ここで操作コマンドの発生に関し、ON信号(ON操作信号)だけでなくOFF信号(OFF操作信号)も必要とするケースについて説明する。たとえば、遊技者が回胴回転始動レバー11を押し下げた状態をしばらく保持し、それから回胴回転始動レバー11を釈放する場合は、ON信号とOFF信号の間に時間差が生まれる。また回胴回転停止ボタン12やMAXベットボタン8などの他の操作手段の場合も、押下時のON信号と、釈放時のOFF信号との間に時間差が生まれる。したがって上記操作コマンドについても、ON操作コマンドとOFF操作コマンドの間に時間差が生まれることになる。本実施形態では、このON操作とOFF操作、またはその時間差を利用して、異なる種類のフリーズ中操作時演出を発生させることが可能である。つまりフリーズ期間中に、操作手段を押下時(ON操作時)および/またはその釈放時(OFF操作時)を契機に、これに対応したフリーズ中操作時演出を実行させることが可能である。
なお、フリーズの発生は、そのON信号ではなくOFF信号でフリーズを発生させることが好ましい。その理由としては、フリーズの発生自体は主制御部400側で制御されるので、レアケースではあるが、仮にフリーズの発生を左回胴停止ボタン12aのON信号を契機に発生させるとすれば(たとえば、後述のフリーズ2の場合)、ボタン押下状態(ON操作状態)が保持されてしまうと、左回胴停止ボタン12aを釈放(OFF状態)しない限り、その後のフリーズ中操作時演出を発生させることができず(回胴演出のために利用する操作信号や、フリーズ中操作コマンドの発生が阻害される)、フリーズ時間だけが経過してしまいフリーズが終了してしまう、といった不都合があるからである。このため、フリーズ演出種別によって、フリーズの発生契機をON信号としたりOFF信号としたりすることができる。たとえば、フリーズ中操作時演出を実行しないフリーズ種別の場合にはON信号、フリーズ中操作時演出を実行させるフリーズ演出種別の場合にはOFF信号をフリーズ発生契機とすることができる。本実施形態の場合、説明の便宜上、フリーズの発生契機は所定の操作手段が操作された場合に生起するON信号で発生するものとして説明する。
(フリーズ中操作時演出の現出制御について)
次に、フリーズ中操作時演出の現出制御について詳細に説明する。
本実施形態の場合、フリーズ状態下であっても、操作手段(たとえば、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12(12a〜12c)、1ベットボタン9、またはMAXベットボタン8など)が操作されたか否については、これらからの検出信号を受信可能な主制御部400が把握可能な構成となっており、主制御部400は、フリーズ中に上記操作手段が操作されことを確認すると、操作コマンドとして、操作手段に対応した「フリーズ中操作コマンド」を発生させる。たとえば、フリーズ中に回胴回転停止ボタン12が操作された場合、遊技結果を導出表示するための回胴の停止制御は行われないが、その検出信号に対応した「フリーズ中操作コマンド」が発生し、これが主制御部400側から演出制御部410側に送信可能となっている。このケースでは、回胴回転停止ボタン12の操作に対応した「フリーズ中操作コマンド」が発生される。
演出制御部410側においては、上記の「フリーズ中操作コマンド」を利用して、上記「フリーズ中操作時演出」を現出可能となっている。本実施形態では、このようなフリーズ中操作コマンドが発生されることを利用し、操作手段が操作されたか否かに応じて、フリーズ演出の内容に変化をもたらすことができるようになっている。これにより、フリーズ中において、たとえば、操作手段を利用して、遊技者が参加可能な「遊技者参加型のゲーム演出(遊技者参加型演出)」を実現することができる。
上記のような「遊技者参加型演出」では、遊技者自らがゲーム演出に参加してそのゲーム内容を楽しむことができる点で、演出効果に優れる。具体的には、遊技者がゲーム演出に参加することにより、そのゲーム演出結果が遊技結果自体に影響を及ぼしているような感覚を与えるたり、また、そのゲーム演出結果により、今回の遊技結果や現在の遊技状態に関連する情報(たとえば、当選役に関する情報やAT抽選(図30)の当否に関する情報、後述の前兆AT遊技中であるか否かなど)を報知させることができる。
このようなフリーズ中における「遊技者参加型演出」は、単に、自動的にフリーズ演出が進行していくような「遊技者不参加型」のフリーズ演出よりも演出効果に優れ、操作手段によりフリーズ演出の内容に変化を与えることができるので、フリーズ演出の自由度が広がり、そのバリエーションを豊富なものとすることができる。
なお、操作手段による演出の変化は、フリーズ演出中における所定の操作受付有効期間内に操作手段(演出現出対象に係る操作手段)が操作された場合に生起させることができる。この操作受付有効期間については、フリーズ演出種別に応じて適宜定めることができる。これは、フリーズ演出種別に応じてフリーズ時間が異なるためであり、有効な演出時間幅を確保する必要性があることに起因する。端的にいえば、フリーズ中(フリーズ演出中)において、所定の操作手段が操作された場合、所定の条件の下でフリーズ中操作時演出を現出させることができることを意味する。たとえば、特定の操作手段(たとえば、中回胴停止ボタン12b)が所定の操作受付有効期間内に操作され、かつそのOFF操作コマンドを受信した場合、「フリーズ中操作時演出の実行条件が成立した」として、これに対応する「フリーズ中操作時演出(ここでは、フリーズ中サブ側演出)」を現出させる。つまり、操作受付有効期間内に中回胴停止ボタン12bが操作された場合であっても、ON操作コマンドによってフリーズ中操作時演出は現出せず、操作受付有効期間内にOFF操作コマンドを演出制御部410側が受けたことを条件に(フリーズ中操作時演出の実行条件の成立)、フリーズ中操作時演出を現出させることができる。
また「遊技者参加型演出」には、遊技者が意識的にゲーム演出に参加するような演出態様だけでなく、次のように、遊技者が無意識のうちに参加しているような演出態様とすることができる。これについて、たとえば、後述のフリーズ2などのように、第1停止操作後にフリーズが発生する場合を代表例とり説明する。
たとえば、フリーズ2が発生する遊技状況下の場合、遊技者にとっては、普段のように回胴を停止操作しているにもかかわらず(通常は、第1停止操作→第2停止操作→第3停止操作という一連の操作をテンポ良く行える)、当該フリーズにより(ここでは、第1停止操作後にフリーズが発生)第2停止操作が効かなくなり(停止操作による本来の回胴の停止制御は無効化状態とされているため)、次の回胴を停止させることができない。このため遊技者は、第2停止操作ができないことについて「回胴回転停止ボタン12の異常により停止操作時の反応が悪いのか?」あるいは「しっかりと回胴回転停止ボタン12を操作していなかったのではないか?」と思考し、回胴回転停止ボタン12を再操作することが予想される。このような遊技者の心理を利用し、停止操作が効かないという違和感を与えつつ、そのフリーズ中において回胴回転停止ボタン12(他の操作手段でも良い)が操作されたことをトリガー(付随トリガー)タイミングとして、インパクトのあるフリーズ中操作時演出(たとえば、通常の予告演出態様とは異なる演出態様:インパクト演出)を現出させる。
この場合、フリーズ発生時には、上記フリーズ開始時に係る演出を現出させずに、フリーズが発生したことを秘匿状態とするようにすることで、遊技者を無意識にゲーム演出に参加させる、つまり、遊技者が無意識のうちにフリーズ操作時演出を現出させるように操作手段を操作させるように仕向けることで、フリーズ中操作時演出が突発的に発生した感覚を与えることができるようになる。このようなフリーズ中操作時演出は、遊技者の意表を突く形で現出されるので、インパクトある演出態様を採用すれば、遊技者が受ける衝撃度はかなり高いものになると考えられる。またこの場合、フリーズ演出発生前段階においても(本例では、ゲーム開始時〜第1停止操作前段階)、フリーズ発生を遊技者に秘匿することが遊技者の意表を突く上でより好ましいといえる。たとえば、ハズレ時や他の抽選対象役に当選したときのように装う演出を現出させ、フリーズの発生を秘匿状態にしておくことが好ましい。
上記のように本実施形態に係るフリーズ演出は、1または複数の操作手段を利用して、その操作の前後でフリーズ中に展開される演出内容に何らかの影響を与える(操作の前後で演出に変化をもたらす)ことができるようになっている。特に、上述したような、遊技者の意表を突く形で現出されるフリーズ中操作時演出は、衝撃度が高く、これを再体験したいと欲する遊技者が増えるものと考えられ、遊技機に対するリピート率(稼働率)を向上させる上でも演出効果に優れたフリーズ演出といえる。
またフリーズ中操作時演出(操作時演出)の現出する場合、操作手段のON−OFF操作がなされる時間幅(ON状態継続時間)に基づいて、フリーズ中操作時演出を現出可能に構成することができる。たとえば、操作受付有効期間内において、操作手段のON操作からOFF操作がなされているON状態継続時間が、所定時間(たとえば、3秒)未満の場合にはフリーズ中操作時演出は現出せず、当該所定時間以上の場合には(いわゆる「長押し」の場合)、フリーズ中操作時演出を現出させることができる。また、ON状態継続時間が、所定時間未満の場合には第1のフリーズ中操作時演出を、所定時間以上であれば、他のフリーズ中操作時演出を現出させる、といったように、ON状態継続時間に対応して、異なるフリーズ中操作時演出を現出させることもできる。
このON状態継続時間は、主制御部400側であれば、操作手段に対応するON信号受信からOFF信号受信までの時間をカウントすることにより把握することができる。また演出制御部410側であれば、操作手段に対応するON操作コマンド受信からOFF操作コマンド受信までの時間をカウントすることにより把握することができる。したがって、ON状態継続時間に基づいて、フリーズ中メイン側演出およびフリーズ中サブ側演出のいずれも現出させることができる。
また操作手段のON操作またはOFF操作が所定回数(操作回数)なされたことに基づいて、フリーズ中操作時演出を現出することができる。たとえば、所定時間(カウント有効時間)内に中回胴停止ボタン12bのON操作(またはOFF操作)を5回確認した場合に、フリーズ中操作時演出を現出させることができる。操作手段の操作回数については、主制御部400側であれば、操作手段に対応するON信号またはOFF受信の受信回数をカウントすることにより、その回数を把握することができる。また演出制御部410側であれば、操作手段に対応するON操作コマンドまたはOFF操作コマンド受信回数をカウントすることにより、その回数を把握することができる。
また上記した操作回数に応じて、異なるフリーズ中操作時演出を現出させることができる。たとえば、OFF操作回数が5回目のときに所定の遊技情報を報知しうる特定のフリーズ中操作時演出を現出させる場合、4回目の操作時において、「次の停止ボタンを釈放する瞬間に気合を入れろ!」などのように、次回(5回目)の操作時において、所定の遊技情報を報知しうるフリーズ中操作時演出が現出されることを予告報知するフリーズ中操作時演出を現出すれば、遊技者は積極的に操作手段を操作して、5回目の操作手段を釈放する瞬間について、如何なる情報が提供されるかについての期待感や緊張感を楽しむことができる。
また、フリーズ中操作時演出を現出する場合、複数種類のフリーズ中操作時演出のうちからいずれかを抽選により選択する構成としても良い。たとえば、当選役種別および/またはAT抽選(図30参照)の当否結果に基づいて抽選により決定し、その決定したフリーズ中操作時演出を現出させることができる。この場合、上述の当選役種別やAT抽選の当否結果に応じて、各フリーズ中操作時演出の選択率を異ならせることにより、それらに関する情報や期待度を、フリーズ中操作時演出を利用して報知することができる。たとえば、装飾ランプの色が青色、黄色、および赤色の光演出のそれぞれ対応した複数種類のフリーズ中操作時演出を設け、青色、黄色、および赤色のこの順にAT抽選の当選期待度が高くなるように定めた場合、その選択率を期待度に応じて異ならせることで、期待度に関連したフリーズ中操作時演出を現出させることができる。これにより、遊技者は、積極的に操作手段を操作して、フリーズ中操作時演出により如何なる情報が提供されるかについての期待感や緊張感を楽しむことができる。
またフリーズ操作時演出は、一のフリーズ操作時演出と他のフリーズ操作時演出とを重複的に発生させることができる。具体的には、ON操作時に係るフリーズ操作時演出の現出中に、OFF操作時に係るフリーズ操作時演出を重複して現出させたり、今回の操作手段の操作に係るフリーズ操作時演出の現出中に、次回の操作手段の操作に係るフリーズ操作時演出を重複して現出させたりすることができる。たとえば、ON操作時に回胴演出が現出され、その回胴演出中にOFF操作された場合、実行中の回胴演出と重複して、音演出(たとえば、稲妻音)や光演出(たとえば、閃光演出)などのサブ側フリーズ中演出を現出させることができる。また、初回のON操作時(OFF操作時であっても良い)に回胴演出が現出され、その回胴演出中に、2回目のON操作(OFF操作時であっても良い)された場合、初回の回胴演出と重複して、音演出や光演出や可動体役物などを利用したフリーズ中操作時演出を現出させることができる。この場合、種々のフリーズ操作時演出が重複的に次々に展開されていくので、インパクトのある演出態様を実現することができる。
上記した「フリーズ中操作時演出の実行条件」について、どのような操作手段を利用するか、その操作信号(ON・OFF信号)やフリーズ中操作コマンドをどのようなものを利用するか、またON/OFF操作の操作回数をどのように定めるか、またON状態継続時間をどのような時間幅とするか、フリーズ中において操作受付有効期間を何処に設けるか、操作受付有効期間を時間幅は幾つとするか、といった種々の実行条件については、フリーズ演出種別に応じて適宜定めることができる。また、フリーズ中操作時演出の実行されるトリガータイミングを幾つ設けるかも適宜定めることができる。これは、フリーズ演出種別に応じてフリーズ時間やその演出シナリオが異なるためであり、有効な演出時間幅を確保する必要性があることに起因する。したがって、フリーズ演出シナリオ(演出内容)や、ゲーム性などに応じて、如何なるフリーズ演出種別に、如何なる実行条件を関連付けるかは、自由である。
また、フリーズ中に複数種類のフリーズ操作時演出を現出させる場合、各フリーズ操作時演出同士が何らかの関連性を有した演出態様とすることが好ましい。斯様な演出態様としては、ストーリー仕立ての演出(たとえば、物語風演出、バトル演出、ステップアップ演出など)がその代表例である。特に、一連のフリーズ操作時演出の演出結果として(たとえば、最終回目のフリーズ操作時演出の内容として)、遊技者が知得したいと考える遊技情報を報知するようにすれば、遊技者は、ストーリー仕立ての演出を楽しみながら、その結果について、期待感や緊張感を持つことができるので、フリーズ演出の面白みをより一層増すことができる。
なお「回胴演出に係るフリーズ中操作時演出」については、回胴演出を制御する主制御部400側に接続された操作手段により実行可能であり、演出制御部410側にのみ接続される演出用ボタン(不図示)の操作では実行不可能となる。その理由は次の通りである。
演出用ボタンが操作されたか否かに関する操作情報については、演出制御部410側から主制御部400側に送信することができず、これにより主制御部400側は、当該演出用ボタンが操作されたか否かについて把握することができない。これは、既に説明したように、外部からのゴト行為を防止するため、演出制御部410側は一方向通信における入力としてのみ機能するようになっており、演出制御部410側から何らかの情報を主制御部400側には送信不可能な構成とされているためである。したがって、上記演出用ボタンの操作に起因して、主制御部400側で制御される回胴演出に変化を与えることはできない。したがって、回胴演出に変化を与えることができるのは、主制御部400側によりその操作を直接的に検出可能な特定の操作手段(たとえば、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12(12a〜12c)、1ベットボタン9、またはMAXベットボタン8など:図4参照)に限られる。
(フリーズ演出種別について:図29)
次に、本実施形態に係る各種フリーズ演出態様について説明する。
本実施形態におけるフリーズ演出の種類には、フリーズ発生となるタイミング(基本トリガーポイント)が何処であるかの違いによって、「回胴回転開始時フリーズ演出(レバー操作時フリーズ演出)」のフリーズ1と、「遊技結果導出前フリーズ演出(全回胴停止前フリーズ演出)」のフリーズ2〜3と、「遊技結果導出後フリーズ演出(全回胴停止後フリーズ演出)」のフリーズ4と、「払出動作中フリーズ演出(払出フリーズ演出)」のフリーズ5とがある。これらのフリーズ演出は、単位遊技(1ゲーム)中で単独的に、または複数連係した形で生起させることもできる。たとえば、上記フリーズ1(レバー操作時フリーズ演出)とフリーズ4(全回胴停止後フリーズ演出)とを1ゲーム中に発生させる、いったように複数種類のフリーズ演出を発生させることもできる。1ゲーム中にフリーズを発生させる基本トリガーポイントが幾つ存在するかは、適宜定めることができる。なおフリーズ演出に係る「フリーズ状態」は、フリーズ演出種別に対応して定められたフリーズ発生可能時期(基本トリガーポイント)で発生する。以下に本実施形態に係るフリーズ演出(フリーズ1〜5)について説明する。
(フリーズ1(レバー操作時フリーズ))
フリーズ1(レバー操作時フリーズ)は、回胴回転始動レバー11の本来目的の操作、つまり通常時において回胴を回転始動させる目的で行う操作を検出したことをトリガータイミングとし、遊技進行上の次の段階である操作または処理(回胴の通常回転の開始)を遅延対象として、これを有効化するタイミングを所定のフリーズ時間だけ遅延させ、結果として、遊技の進行を一時的に中断(フリーズ)させるフリーズ制御である。したがって、フリーズ時間が終了したことが、このフリーズ1の終了契機となる。
ただしフリーズ期間であっても、操作手段が操作されると、その操作がされた旨のフリーズ中操作コマンドを発生させることができる(他のフリーズ演出種別についても同様)。したがって、演出制御部410はこの操作コマンドを受け取ることで、フリーズ中操作時演出を現出させることが可能である。たとえば、フリーズ1が発生した場合、フリーズ開始時のオープニング演出として、たとえば液晶画面をブラックアウトするなど、背景を通常と異なる色とし、また必要に応じて可動体役物を作動させ、さらにインパクトのある画像演出や音(音響・音声)演出や光演出を現出させる。その後、設定された演出シナリオに従い、画像表示演出や音(音響・音声)演出や光演出やフリーズ中操作時演出を現出させる。
また必要に応じ、フリーズ中メイン側演出である回胴演出に変化を与えるために、遊技の進行以外を目的とする操作手段の操作を有効化し(操作信号のON信号および/またはOFF信号を有効に受け付ける)、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12、MAXベットボタン8、1ベットボタン9などの操作手段が操作されることで、操作手段の本来目的外での操作を、回胴演出(たとえば、変則回転)の実行契機として関連付けることは自由である。たとえば回胴演出には、既に説明したように、回胴を「変則回転」させるものと、回胴を「無回転」のままとするものとがあるが、操作手段が操作されるまでは「無回転」状態を保持し、操作手段が操作された場合に「変則回転」を開始させる、といった、回胴演出に係るフリーズ中操作時演出を実行させることができる。
なお本実施形態のフリーズ1は、回胴回転始動レバー11の操作後、フリーズ時間だけ回胴を無回転とする回胴演出(不回転回胴演出)となっている。また図示はしていないが、レバー操作時フリーズとして、回胴回転始動レバー11の操作後のフリーズ期間中、「変則回転」による回胴演出を実行するフリーズ演出種別(変則回転フリーズ演出)を含むことができる。
(フリーズ2、フリーズ3(全回胴停止前(遊技結果導出前)フリーズ演出))
フリーズ2とフリーズ3は、全回胴が順方向に通常回転した後であって、全回胴が停止して遊技結果が導出される前に発生されるフリーズ演出である。なお、フリーズ1の内容
と同じ内容は重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
このフリーズ2とフリーズ3は、回胴回転停止ボタン12の本来目的の操作、つまり通常回転時において回胴を停止させる目的で行う操作を検出したことを開始契機とし、遊技進行上の次の段階である他の回転中の回胴を停止させる操作(停止ボタンの本来目的操作)を有効化するタイミングを所定のフリーズ時間(フリーズ2、フリーズ3のそれぞれに対応したフリーズ時間)だけ遅延させ、結果として、遊技の進行を一時的に中断させるフリーズ制御である。したがって、ここでの所定のフリーズ時間が終了したことが、このフリーズ2またはフリーズ3の終了契機となる。なおフリーズ2は、第1停止操作を契機(基本トリガー)としてフリーズが発生するフリーズ演出種別であり、フリーズ3は第2停止操作を契機としてフリーズが発生するフリーズ演出種別である。
またフリーズ2とフリーズ3のフリーズ期間中においても、フリーズ1と同様に、フリーズ中操作コマンドを発生可能に構成し、フリーズ2とフリーズ3に係るフリーズ演出シナリオにフリーズ中操作時演出が組み込まれている場合には、これに基づくフリーズ中操作時演出を現出させることができる。
(フリーズ4(全回胴停止後フリーズ))
フリーズ4は、第3停止操作に係る停止ボタン(たとえば右回胴回転停止ボタン12c)の本来目的操作を検出したことで開始され、遊技進行上の次の段階である払い出し処理(入賞判定処理:図8のステップS20参照)を有効化するタイミングを遅延させ、その遅延時間であるフリーズ時間が経過したことで終了となる。
なお本実施形態のフリーズ4は、全回胴停止後にフリーズが発生するようになっているが、回胴回転停止ボタン12のON操作を契機にフリーズを発生するようにすることもできる。この場合、全回胴停止前にフリーズが発生することになるので、第3停止操作に起因した本来の引き込み制御に替えて、回胴演出用の回胴制御(たとえば、変則回転用の制御)を実行させることができる。たとえば、第3停止操作時のON操作をトリガーとして、第3停止対象となった回胴や、停止中の他の回胴を変則回転させる回胴演出を発生させることができる。
またフリーズ4のフリーズ期間中においても、フリーズ1〜3と同様に、フリーズ中操作コマンドを発生可能に構成し、フリーズ4に係るフリーズ演出シナリオにフリーズ中操作時演出が組み込まれている場合には、これに基づくフリーズ中操作時演出を現出させることができる。
(フリーズ5(払出フリーズ演出))
フリーズ5は、遊技メダルの払い出しを付与する入賞役が入賞した場合、遊技メダルの払い出しに係る処理(メダル払出枚数監視処理:図8ステップS21参照)の実行中において遅延状態を発生させ、その遅延時間であるフリーズ時間が経過したことで終了となる。具体的には、フリーズ5のフリーズ期間中、ホッパーユニット500のホッパーモータ510をフリーズ時間が経過するまで停止制御したり、通常の払い出し動作とは異なる動作を実行して払い出し動作を遅延させたりして、通常よりも遊技メダルの払い出し動作を遅延させる、といったフリーズ演出である。
たとえば、12枚の払い出しを伴う「ベル揃い」が入賞した場合、遊技メダル12枚が払い出される途中(たとえば、6枚の払い出しを終えた後)でフリーズを発生させて、遊技メダルの払出動作を中断させ、そのフリーズ時間が経過した後で、残り枚数である遊技メダル6枚の払い出し動作処理を再開する。
このフリーズ5のフリーズ期間中においても、フリーズ1〜4と同様に、フリーズ中操作コマンドを発生可能に構成し、フリーズ5に係るフリーズ演出シナリオにフリーズ中操作時演出が組み込まれている場合には、これに基づくフリーズ中操作時演出を現出させることができる。このフリーズ5の演出態様についての詳細は後述する(後述の図31A、図31B等)。
なお本実施形態では、フリーズ演出種別として、フリーズ1〜5を例示したが本発明はこれに限定されない。「フリーズ状態」については、たとえば、(イ)1ベットボタン9操作またはMAXベットボタン8操作による遊技メダル賭数設定動作(遊技メダル投入処理動作)、(ロ)回胴回転始動レバー11操作による回胴の回転始動動作(回胴の回転開始動作に係る処理)、(ハ)回胴回転停止ボタン12操作(回胴回転停止ボタン12a、12b、および12cの少なくともいずれか一つ)による回胴の回転停止動作(回胴の停止制御に係る処理動作)、(ニ)遊技メダルの払い出し動作(遊技メダルの払い出し動作に係る処理動作)、(ホ)再遊技作動(リプレイを付与するための再遊技作動に係る処理動作)、などの遊技進行(遊技動作処理)のうち少なくとも一部を遅延させる状態(通常の遊技(ゲーム)進行よりも遅延させる状態)を「フリーズ」として制御することができる。
上記のようなフリーズ状態の発生それ自体、またはフリーズ状態を利用して現出(実行)される何らかの演出態様(フリーズ中メイン側演出(回胴演出)および/またはフリーズ中サブ側演出(演出手段による演出))を「フリーズ演出」と称する。つまり、フリーズ状態が発生したからといって、必ずしも回胴演出や演出手段による演出が発生するとは限らず、フリーズ状態の発生それ自体で「フリーズ演出」をなす場合もある。
(フリーズ演出抽選)
上記した各フリーズ演出(フリーズ1〜5)は、フリーズ演出抽選に基づいて、その発生が決定される。このフリーズ演出抽選は、主制御部400側において、図29に示す「フリーズ演出抽選テーブル」に基づいて実行される。
(フリーズ演出抽選テーブル:図29)
上記フリーズ演出抽選テーブルには、現在の遊技状態別(主制御部側遊技状態のRT0遊技、RT1遊技の別)に、フリーズ演出抽選契機役種別(図29の当選役種別の欄参照)とフリーズ演出種別(フリーズ1〜5)とが関連付けて定められており、所定の確率でフリーズ1〜5が選択される。なお図中のセル内に示した数値(判定値)は、抽選領域の大きさ128に対する判定値(当選領域)の占有領域数である。たとえば、現在の遊技状態がRT1遊技であり、当選役が弱チェリー(当選番号2)の場合、フリーズ1が抽選確率「8/128」で選択され、フリーズ2またはフリーズ3が抽選確率「2/128」で選択され、フリーズ4が抽選確率「1/128」で選択される。なお、フリーズ5は判定値がゼロ(無し)となっており、弱チェリーの場合は、フリーズ5は選択されない。
上記フリーズ演出抽選では、基本的には、フリーズ演出が発生する場合には、特定の遊技価値の付与に関して優遇されるようになっている。たとえば、後述のAT抽選(図30参照)が優遇される。これは、フリーズ演出が発生した場合に、AT抽選当選に起因して移行される、後述の「ATモード(疑似ボーナス)」への移行期待感を高めるためである。また、どのフリーズ演出が発生した場合にAT抽選が優遇されるかについては、自由に定めることができる。本実施形態では、RT1遊技中にフリーズ5が発生した場合に、AT抽選の当選期待度が最も高くなるように定められている。なお、上記フリーズ演出抽選に関し、その実行契機となる抽選対象役(フリーズ演出抽選契機役)や、その抽選確率には特に制限はなく、遊技性に応じて適宜変更することができる。
(各遊技状態の内容と各遊技状態間の移行形態について)
再び図28の説明に戻り、次に、各遊技モード(遊技状態)の内容と各遊技モード間の移行形態について説明する。
(RT1遊技について)
本実施形態では、既に説明したように、メインRAMがクリア後、初期の遊技状態として、「RT0遊技(初期モード)」から開始され、その後は、原則として、RT1遊技(通常モード)に滞在する。このRT1遊技では、特定の抽選対象役に当選すると後述のAT抽選(図30)が行われる。このAT抽選による当選を契機に、特殊リプレイを入賞させるためのアシスト報知の発生が許容される「特殊リプレイ報知条件」が成立して‘前兆AT遊技’に移行され、遊技機全体として捉えた遊技状態は「RT1遊技+前兆AT遊技(前兆ATモード:疑似ボーナス準備モード)」となる。
この特殊リプレイ報知条件成立下において、リプレイ2〜3のいずれかに当選すると、特殊リプレイを入賞させる押し順がアシスト報知され、特殊リプレイの入賞を契機にAT遊技が発生し、遊技機全体として捉えた遊技状態は「RT1遊技+AT遊技(ATモード:疑似ボーナス)」となる。
このATモード(詳細は後述する)は、原則として、所定の遊技期間(たとえば、40ゲーム)継続され、ATモード中では、AT1〜4に当選するとベル揃い(有利入賞役)を入賞させるためのアシスト報知が発生し、リプレイ1〜3に当選すると通常リプレイに係るアシスト報知が発生する。またATモード中に所定の上乗せ条件を満たすと、ATモードの継続ゲーム数を上乗せする上乗せゲーム数抽選が実行される場合がある。そしてATモードが終了すると、「通常モード」であるRT1遊技に移行される。
したがって本実施形態では、「RT0遊技(初期モード)」から開始されるが、その後は、CBBの入賞率の関係上、原則として、RT1遊技(通常モード)とATモード(疑似ボーナス)とを循環するような遊技遷移状態を辿るようになっている。また「RT0遊技(初期モード)<RT1遊技(通常モード)<ATモード(疑似ボーナス)」の関係で遊技者に付与される利益が相対的に高くなる。
(AT抽選(特殊リプレイ報知抽選))
上記AT抽選は、演出制御部410側において、図30に示す「AT抽選テーブル」に基づき、AT抽選(特殊リプレイ報知抽選)が実行される。なおAT抽選テーブルは、設定値ごとに対応したAT抽選テーブルが設けられている。ここでは、たとえば、設定値6に対応したAT抽選テーブルを代表例として示し、他の設定値に関しては重複記載を避けるために省略する。
(AT抽選テーブル:図30)
上記「AT抽選テーブル」には、AT抽選契機役種別(図30の当選役種別の欄参照)とフリーズ演出種別(フリーズ1〜5)とに応じたAT抽選(特殊リプレイ報知抽選:AT移行抽選)確率(判定値/抽選領域の大きさ(128))が定められている。本実施形態の場合、弱チェリー(当選番号2)、強チェリー(当選番号3)、弱スイカ(当選番号4)、強スイカ(当選番号5)、CAベル1〜3(当選番号6〜8)などが設けられている。たとえば、今回のゲームで弱チェリーに当選した場合において、フリーズ演出が未発生の場合には「2/128」の確率で、フリーズ1〜3の場合には「8/128」の確率で、フリーズ4の場合には「10/128」でAT抽選に当選し、特殊リプレイ報知条件が成立するようになっている。これらAT抽選確率は、設定値が高くなるほど、遊技者に有利に作用するように定められている。
この特殊リプレイ報知条件成立の下で、リプレイ2〜3の当選に契機に、特殊リプレイに係るアシスト報知(特殊リプレイアシスト報知)が行われる。この特殊リプレイアシスト報知が発生するか否かで、ATモードに移行できるか否かが定まり、遊技者の利益が大きく左右されることになる。
ただし本実施形態では、「AT遊技」の発生については次の条件を付している。AT遊技は、RT0遊技またはRT遊技1中において、特殊リプレイ報知が発生して特殊リプレイが入賞した場合に発生するようになっており(「正規ルート」によるAT遊技発生)、特殊リプレイアシスト報知未発生時に昇格リプレイが入賞した場合は発生しないようになっている。このため、遊技者が意図的に、あるいは偶然に特殊リプレイが入賞してしまっても、AT遊技は発生しないようにし、これにより、遊技機の仕様・設計上、想定外の利益が遊技者に付与されてしまうことを防止している。
なお、リプレイ2またはリプレイ3が当選した場合は、既に説明したように、押し順さえ一致すれば、特殊リプレイまたは特定リプレイが入賞し、AT遊技の発生権利を遊技者が得ることができるようになっている。つまり、上記特殊リプレイや特定リプレイのように、引き込み率100%の入賞役によりAT遊技に移行させる場合、リプレイ2またはリプレイ3が内部当選した当該ゲームでAT遊技移行が確定する(所定のゲーム数を消化してから(前兆期間を経由してから)AT遊技を発生させても良い)。したがって、演出制御部410側では、リプレイ2またはリプレイ3の当選を契機として、AT遊技移行設定処理を行っても良いし、特殊リプレイまたは特定リプレイの入賞を契機としてAT遊技移行設定処理を行っても良い。これにより、上記特殊リプレイアシスト報知発生時において、遊技者が目押しに失敗して、特殊リプレイを取りこぼしたとしても、折角獲得したAT遊技移行権利を得ることができない、といった不利益が生じることがなく、遊技技術の巧拙によらず、特殊リプレイアシスト報知発生時おける利益(AT遊技移行権利)を享受することができるので、遊技初心者も安心して遊技に興じることができるようになっている。
(他の特殊リプレイ報知条件について)
以上では、AT抽選に当選した場合、特殊リプレイ報知条件が成立する形態について説明した。しかし本発明はこれに限らず、特殊リプレイ報知条件として、下記の1または複数種類の条件を定めても良いし、上記AT抽選と組合せて定めても良い。
たとえば、特殊リプレイ報知条件として、(A)特定の遊技状態中に、所定のゲーム数を消化した場合(所謂「天井ゲーム数」に到達した場合)、特殊リプレイ報知条件を成立させることができる。たとえば、RT1遊技に移行してから1941ゲーム消化後、特殊リプレイ報知条件を成立させることができる。また、天井ゲーム数は複数種類設けても良く、たとえば、RT1遊技移行を条件に所定の天井ゲーム数抽選を実行し、複数種類の天井ゲーム数(たとえば、815ゲーム、1941ゲーム、および1208ゲーム)のうちからいずれかを天井ゲーム数を選択することができる。
また(B)特定の抽選対象役の当選回数や特定の入賞役の入賞回数が所定の回数(累積回数)に達した場合、特殊リプレイ報知条件を成立させることができる。たとえば、特定のリプレイ役(たとえば、リプレイ1)の当選回数や、特定の入賞役(たとえば、ベル揃い(12枚AT役)やベルこぼし目(1枚AT役))の入賞回数が所定の回数(たとえば、50回)に達した場合、特殊リプレイ報知条件を成立させることができる。なお、上述の特定の抽選対象役の種類、その当選回数、または入賞回数は適宜設定することができる。また、当選回数や入賞回数だけでなく、複数ゲームにわたる連続当選回数(たとえば、連続5回当選)や連続入賞回数(たとえば、連続3回入賞)であっても良い。
また(C)特定の当選役種別に当選した場合、その当選役に対応した所定の報知ポイント数(たとえば、弱チェリーなら50P、強チェリーなら200Pの報知ポイント)を累積して行き、その累積ポイント数が所定のポイント数(たとえば、1000P)に達した場合、特殊リプレイ報知条件を成立させることができる。上記報知ポイント数は、当選役種別に応じて、複数種類のポイント数(たとえば、50P、100P、200P、500P)からいずれかのポイント数を抽選により決定しても良い。この場合、たとえば、内部当選確率が相対的に低い抽選対象役ほど、相対的に高いポイント数が抽選されるようにすることができる。
以上のように本実施形態では、特殊リプレイアシスト報知の発生権利に係るAT抽選を行い、このAT抽選に当選した場合、特殊リプレイアシスト報知の発生権利を得たとして、特殊リプレイ報知条件を成立させる。そして、その報知条件成立の下で、リプレイ2〜3の当選に契機に、特殊リプレイアシスト報知を発生させ、これによりATモードに移行させるようになっている。
(ATモードについて)
特殊リプレイが入賞してAT遊技が発生すると、遊技機全体として捉えた遊技状態は「ATモード(RT1遊技+AT遊技)」となる。
AT遊技が発生すると、リプレイ2〜3のいずれかに当選した場合には「通常リプレイ」を入賞させるための押し順がアシスト報知され、AT1〜4が当選した場合には、ベル揃いを入賞させるための押し順情報がアシスト報知される。このため、ATモードでは、1ゲーム当りの純増枚数が通常モードや初期モードよりも多く獲得することができる、といった所謂「疑似ボーナス」となる。ただしCAベル1またはCAベル2に当選した場合は、既に説明したように、フリーズ5の発生を秘匿して遊技者にフリーズ演出の発生を予測させず、意表を突くような形でフリーズ演出を発生させるために、AT1〜4のアシスト報知と実質的同一(同一または酷似)の演出態様とした「偽装アシスト報知」がなされるようになっている。
ATモードの継続ゲーム数については、特殊リプレイの入賞を契機にATモード継続ゲーム数として、たとえば「40ゲーム」が設定される。この40ゲームは、ATモード継続ゲーム数の初期値、つまり、AT遊技の継続ゲーム数である。なお、このATモード継続ゲーム数は、演出制御部410側で管理される。
(ATモード継続ゲーム数の上乗せについて)
本実施形態では、ATモード継続ゲーム数(本実施形態では、規定継続ゲーム数の40ゲーム)に対し、ゲーム数を上乗せしうる「上乗せ抽選」が行われるようになっている。
この上乗せ抽選では、所定の抽選条件の成立の下、複数種類のゲーム数(たとえば、10ゲーム、20ゲーム、30ゲームなど)のうちからいずれかのゲーム数が抽選により決定され、その決定されたゲーム数が現在のAT継続ゲーム数に対して上乗せされる。これによりAT遊技のゲーム期間が延長されて遊技者にさらなる利益をもたらすことになる。この上乗せ抽選は、演出制御部410側にて、「上乗せ抽選テーブル(図示せず)」に基づいて実行される。
なお、上乗せ抽選の実行契機となる「上乗せ抽選契機役」は、特に制限されない。たとえば、フリーズ演出抽選契機役(図29参照)と同一のものを採用しても良いし、ハズレやリプレイ役種を採用しても良い。また、上乗せ抽選契機役は、1または複数種類設けることができる。またフリーズ演出抽選契機役種別に対応して、どのような上乗せゲーム数が選択されるか、また、どのような確率で上乗せするかを関連付けることは自由である。
また上乗せ抽選契機役として、フリーズ演出抽選契機役が含まれる場合、上乗せ抽選契機役の当選時にフリーズ演出が発生する場合がある。これに着目して、その当選役とその当選役により発生するフリーズ演出種別(未発生を含んでも良い)とに対応した上乗せゲーム数を定めても良い。たとえば、CAベル1(当選番号6)が当選した場合、フリーズ1またはフリーズ5が発生される場合がある。この場合、フリーズ1の場合には第1の上乗せゲーム数に決定し、フリーズ5の場合には第2の上乗せゲーム数に決定することができる。また、フリーズが発生する場合に100%上乗せしても良いし、所定の抽選確率を以って上乗せを決定しても良い。
(ATモード継続ゲーム数が終了した場合について)
本実施形態では、ATモード継続ゲーム数が終了した場合、所定の継続抽選(たとえば、50%で継続)を行い、この継続抽選に当選した場合に、再度、1セットの40ゲームを設定し、AT遊技を継続させることができるようになっている。つまり、この継続抽選に当選し続ける限りは、ATモードが継続されることになる。継続抽選にハズレとなった場合は、ATモードが終了される。具体的には、AT遊技が終了して、疑似ボーナスの「RT1遊技+AT遊技」から通常モードの「RT1遊技」に移行される。
なお、上記継続抽選を行うタイミングはATモード継続ゲーム数終了前であれば、そのタイミングは特に制限されない。たとえば、ATモード継続ゲーム数が終了となる最終ゲーム目の開始時またはその終了時に行っても良いし、ATモード継続ゲームの途中のゲーム数目(任意の残余ゲーム数)の開始時またはその終了時に行っても良い。また上記継続抽選による継続率は、単一の継続率(たとえば、50%で継続)としても良いし、複数種類の継続率からいずれかの継続率を抽選により決定しても良い。たとえば、50%、65%、75%、および85%のうちからいずれかの継続率を決定することができる。上記継続率が複数種類ある場合には、ATモードの開始前段階の所定のタイミングで今回のATモードの継続率を決定する。ATモードの継続率の決定については、AT抽選当選を契機として決定しても良いし、特殊リプレイが入賞したことを契機として決定しても良い。
(不正規手順によるペナルティ)
本実施形態では、多くの抽選対象役およびその役構成、複数種類の遊技状態を実効化することにより遊技性を向上させている一方で、遊技機に求められる機械割や射幸性などを考慮し、遊技進行上に関する罰則として、遊技者が正規の遊技手順を実行しない場合には、所定のペナルティを与えるようになっている。ペナルティを科す理由は、次の通りである。
パチンコ店に設置するような風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律による7号営業を対象とした遊技機においては、同法律おける遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(たとえば、別表第5 回胴式遊技機に係る技術上の規格(第6条関係)(1)性能に関する規格)により、機械割や射幸性が厳しく制限されている。そのため、遊技方法を遊技者に守らせて、想定外の出玉(たとえば、遊技者により意図的に多くの出玉を得られてしまうような状態)を抑制しつつも、遊技者が満足する遊技性を作り出すため、遊技進行に関する所定のペナルティを科すようにしている。
本実施形態では、遊技者の利益を左右する役として、複数種類の押順規定役を設けてある。この押順規定役のうち、特にAT1〜AT4について着目する。
本実施形態の場合、AT1の当選確率よりもAT2〜AT4の当選確率の方が7倍弱も高確率に定められており(AT1の当選確率は「1950/65536」、AT2〜AT4は、それぞれ「13200/65536」:図5参照)、AT遊技が発生すれば、有利入賞役側の「ベル揃い」に係るアシスト報知を行い、これを高確率で入賞させることができるようになっている。このような遊技性を持つ関係上、遊技者の自由な停止操作を許容すると、設計者が想定する範囲を超えて出玉率やベース値が変化してしまう場合がある。したがって、仮に、遊技者の自由な停止操作を許容するとすれば、順押し(左回胴5aを第1停止操作対象とした場合)と変則押し(左回胴5a以外を第1停止操作対象とした場合)とでは、変則押しを毎ゲーム実行した方が遊技メダルを順押し時よりも減らさずにBBやAT抽選移行契機役の当選を待つことができてしまい、遊技性のバランスが崩れてしまう。
そこで、遊技上の正規手順でない回胴の停止操作が行われた場合、遊技者に対して不利に作用する「ペナルティ」を発生させるようになっている。本実施形態では、AT2〜AT4のベル揃いが入賞する押し順に着目し、アシスト報知未発生時またはAT遊技未発生の遊技状態中において「順押し以外の押し順(変則押し)」をした場合に、正規手順ではない「不正規手順」が実行されたとして、所定のペナルティを発生させる。ペナルティの内容としては、たとえば、所定のゲーム数間、遊技者に有利に作用する遊技価値の付与を無効化したり、本来付与される遊技価値よりも低い遊技価値が付与されたりするようにすることができる。具体的には、AT抽選契機役に当選してもAT抽選を無効化する(AT抽選自体を実行しない、またはAT抽選は実行するがこれに当選しても「ハズレ」として処理する)、ペナルティ前にAT抽選に当選して前兆AT遊技に移行中であっても、ペナルティ状態が解除されるまでは、リプレイ2〜3のいずれかに当選しても特殊リプレイのアシスト報知は実行しない、などのペナルティが挙げられる。なお、ペナルティ期間中に再度、不正規手順で操作を行った場合(ペナルティ期間中に複数回、不正規手順が実行された場合)、さらに重いペナルティを科したり、ペナルティ期間を延長したりするようにしても良い。
(ペナルティの除外対象について)
以上に説明したペナルティは、遊技性の関係上とはいえ、遊技者に不利なゲーム展開を強いるものである。したがって、正規手順でない場合に一律にペナルティを科してしまうと、遊技者の遊技意欲を低下させたり、遊技機に対する不信感を与えたりする場合がある。そこで本実施形態では、例外的にペナルテルを科さない「ペナルティの除外対象」を定めることができる。以下に、ペナルティ除外対象について説明する。
本実施形態では、「CAベル1」など当選確率が低い(RT0遊技中で46/65536)役に当選した場合に他の役よりも相対的に高い遊技価値が付与される。たとえば、AT抽選が優遇されるようになっている(図29、図30参照)。このような高い遊技価値を伴う役(高遊技価値付与抽選対象役)への当選は、遊技者が遊技を進行する上での重要な関心事の一つであるといえる。したがって、CAベル1がペナルティ期間中に当選した場合に、当該当選による遊技価値の獲得権利を一切無効化にしてしまうと、折角のCAベル1当選が無に帰すことになり、これは、遊技者にとって酷に過ぎる。またこのような事態は、遊技者の遊技意欲を低下させ、遊技機に対する不信感を招く恐れがある。
上記問題点に鑑み、ペナルティに係る救済機能として、CAベル1のような高遊技価値付与抽選対象役をペナルティ対象として除外し、たとえ、ペナルティ期間中であっても、CAベル1当選によるAT抽選権利を無効化せず、これを有効として扱うことができる。
なお上述では、高遊技価値付与抽選対象役をペナルティ対象外として説明したが、本発明はこれに限られない。上記問題点に関連して、抽選対象役ではなくフリーズ演出種別に関して、これをペナルティの除外対象として定めることができる。その理由は次の通りである。
フリーズ演出は、通常時の遊技進行に係る演出とは異なり、遊技進行を一時的に中断する、といった遅延期間を伴う特異な演出態様であり、主として、高い利益が付与されうる、またはその契機(たとえば、AT遊技への移行契機)となることを遊技者に報知または示唆・暗示する予告演出(高期待度演出の一態様)として利用される。したがって、フリーズが発生すると、遊技者は、何らかの利益獲得に対する多大な期待感を寄せることになる。そのため、上記フリーズの発生が決定された場合には、これをペナルティ対象から除外とすることが好ましい。
ただし、フリーズ演出種別のすべてをペナルティ対象外とするのではなく、特定のフリーズ演出種別、たとえば、AT抽選による当選期待度が相対的に高い特定のフリーズ演出種別(たとえば、フリーズ4やフリーズ5など)の発生を伴う場合、これをペナルティ対象外とすることができる。この場合は、フリーズ4やフリーズ5の発生可能性のある抽選対象役が、ペナルティ対象外となりうる。
本実施形態では、上記したペナルティを科すことで、正規手順を遊技者に守らせ、遊技者の恣意的な停止操作により出玉率が想定範囲外になってしまうことを防止している。このペナルティの実行制御は、演出制御部410がその機能部を担う「ペナルティ管理手段」により制御される。ペナルティ管理手段は、ペナルティ状態の設定・解除する機能を有し、具体的には、回胴を停止するための停止手段の停止操作を監視し、不正規手順であった場合、所定の解除条件が成立するまで遊技者に不利に作用するペナルティ状態を設定する「ペナルティ設定手段」として働く。また演出制御部410は、ペナルティ中である場合、所定のペナルティを付与する「ペナルティ付与手段」として働く。なお、上記ペナルティ除外対象が定められている場合、ペナルティ付与手段は、ペナルティ中である場合、ペナルティ除外対象であるか否かを判定して(ペナルティ除外対象判定手段)、ペナルティを付与するか否かを決定することができる。
<遊技動作制御処理>
次に、本実施形態に係る回胴式遊技機の遊技動作制御に関する処理内容について詳細に説明する。
<主制御部側の処理:図8〜図19>
図8〜図19を参照して、遊技動作を統括的に司る主制御部400側の処理内容について説明する。
(1.主制御側メイン処理:図8)
図8は、遊技動作制御プログラムに従い主制御部(主制御基板)400側のメイン処理(主制御側メイン処理)を示すフローチャートである。本処理はメインCPU401cにより実行されるものであるが、説明の便宜上、処理を実行する主体を主制御部400と称して説明する。
遊技機に電源が投入されると、不図示の電源基板から電源が投入された旨の電源投入信号が送られる。この電源投入信号を受けて主制御部400は、図8に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理では、電源投入時の初めての処理としてステップS11の初期設定処理が実行され、これ以外の場合には正常動作時の処理としてステップS12〜S26の処理が実行される。
図8おいて、主制御部400は、電源投入が行われてから初めての処理として、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS11)。この初期設定処理では、たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモードに設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定したり、遊技機に何らかの異常動作(たとえば、乱数発生回路が正常か否か、前扉が開放しているか否かなど)を確認したりする。異常が確認された場合には所定のエラー処理を実行する。
また図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、メインRAMの全領域がゼロクリアされる。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなり、遊技状態などは初期状態から開始される(本実施形態では、RAMクリアされた場合、遊技状態はRT0遊技から開始される)。この初期設定処理は、所定の移行条件に基づき、初期の遊技モード(遊技状態)に移行制御する初期遊技モード移行制御手段として働く。
また初期設定処理では、設定キースイッチがON側に操作されている場合、既に説明した設定変更モードに関する設定変更モード処理が実行される。この設定変更モード処理では、設定値確定操作である回胴回転始動レバー11(回胴回転始動スイッチ11a)と、設定値変更操作である設定スイッチのいずれかのON操作の検出待ちの状態となる。
設定変更モード処理において、設定スイッチを操作したことが検出されると、現在の設定値に1を加算することにより設定値を更新し、その設定値を設定表示器に表示する。そして希望する設定値となったところで回胴回転始動レバー11(回胴回転始動スイッチ11a)をON操作すると設定値が確定され、その変更後の設定値をRAM401bの設定値領域に格納し、設定表示器に確定表示した後、設定キースイッチがOFF側に操作されるまで待機する。そして、設定キースイッチがOFF側に操作されたことを検出すると、設定変更モード処理は終了となり、設定表示器に対する設定値表示をクリアする。これにより設定変更モード処理を終了する。その後、ステップS12のRAM初期化処理に移行することとなる。なお、設定値情報は、特定の演出制御コマンド(設定値情報コマンド)により演出制御部410側に送信され、設定値に対応したAT抽選テーブル(図30)が選択されることになる。設定変更モード中は、たとえば、液晶表示装置6の表示画面に「設定変更中」の画像が表示され、設定変更モードが終了すると、「設定変更中」の表示を終了させる。
上記設定変更モード処理は、所定の設定操作手段(設定キースイッチ、設定スイッチ)の操作に基づいて、複数種類の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択することで遊技に係る有利度(遊技者に対する遊技進行上の有利度合)を設定する「設定値選択手段」として機能する。ここで、設定値とは、出玉率の規定する値、内部抽選により入賞の発生を許容する旨が決定される確率を規定する値(複数種類の役のうち少なくとも1つの役の内部抽選確率を規定する値)、または内部抽選対象役の抽選確率やAT抽選など、遊技者に作用する利益状態などの特定事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味し、本実施形態では、この設定値が複数段階の設定値1〜6の複数種類の設定値を設け、各設定値に応じて、遊技に係る有利度が規定されることになる。
上記の初期設定処理が正常に終了した後、RAM初期化処理(ステップS12)を行う。このRAM初期化処理では、前回のゲーム終了時において使用した所定のデータをクリアし、今回のゲームに必要なワークエリアを確保する。
次いで、遊技状態フラグ生成処理を行う(ステップS13)。この遊技状態フラグ生成処理では、メインRAM401bのモードデータに基づき、今回のゲームの遊技状態(主制御部側遊技状態)を確認し、これに対応する遊技状態フラグ(RT遊技種別やボーナス遊技中など主制御部側遊技状態を識別するフラグ)を設定する。上記遊技状態フラグにより、今回のゲームの遊技状態(遊技モード)が指定される。
次いで、遊技メダル投入処理を行う(ステップS14)。この遊技メダル投入処理では、主に、遊技機本体に投入された遊技メダルの検出、クレジットの管理、再遊技の要求があった場合の遊技メダルの自動投入処理などを行うと共に、遊技開始可能となる規定枚数の遊技メダルが投入されたか否かを監視する。上記規定枚数の遊技メダルの投入が確認された場合には遊技開始条件を成立させて、この条件成立状態を保持したまま、回胴回転始動スイッチ11aからの操作検出信号が送られてくるのを待つ。
回胴回転始動スイッチ11aからの操作検出信号を受けると、主制御部400は、カウンタ回路403のカウンタ値に基づき、内部抽選用乱数値(数値範囲:0〜65535)を取得する(ステップS15)。
次いで、取得した内部抽選用乱数値に基づく内部抽選処理を行う(ステップS16)。この内部抽選処理では、取得した内部抽選用乱数値と、現在の遊技モードに対応した抽選テーブル(図6A〜図6B)とに基づく内部抽選を行い、その内部抽選結果に対応した当選役情報(当選フラグ)を設定する。ここでは、演出制御コマンドとして「遊技開始情報コマンド」をセットする。この遊技開始情報コマンドには、少なくとも当選役情報(当選フラグ情報)が含まれ、本実施形態では、遊技状態情報および当選役情報が含まれる。遊技開始情報コマンドに含まれる情報は、演出制御部410側において、今回のゲーム中に現出する演出の決定や、AT抽選などに利用される。なお、演出制御コマンドは、後述の図22の主制御部側タイマ割込処理中のコマンド出力処理(ステップS45)において、主制御部400から演出制御部410へと送信されるようになっている。
次いで、回胴演出抽選処理を行う(ステップS17)。この回胴演出抽選処理では、フリーズ演出種別(フリーズ1〜5)に関する抽選処理や、その動作設定処理を行う。なお、回胴演出抽選処理の詳細については図9にて後述する。
次いで、回胴回転始動時の設定処理(回胴回転開始設定処理)を行う(ステップS18)。この回胴回転開始設定処理では、各回胴5a、5b、5cの回転を開始する際に必要なデータ、たとえば、回胴演出に係る回胴回転動作や通常の回転動作を実現するために必要なデータ(回胴の回転動作用の制御データ(回胴駆動モータ211a、211b、211c用の制御データ))を設定したり、遊技開始ウェイトタイマ(4.1秒)をセットしたりする。また、前回のゲームで設定された遊技開始ウェイトタイマの経過後を確認した場合、演出制御コマンドとして、回胴始動を示す「回転開始コマンド」をセットする。そして、回胴の回転始動(通常の回転動作)を行い、これにより各回胴5a、5b、5cが回転状態に入る。なお、回胴回転開始設定処理の詳細については図10にて後述する。
その後、回胴が回転始動されて全回胴が概ね一定速度になると、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの停止操作を有効とする、停止操作許容状態となる。この停止操作許容状態において、回胴回転停止ボタン12a、12b、または12cが操作された場合、停止操作対象となった回胴を停止制御するための回胴停止処理を行う(ステップS19)。この回胴停止処理では、回胴の停止制御に係る処理の他、回胴の押し順を監視して、全回胴停止前フリーズ演出(ここでは、フリーズ2〜3)や全回胴停止後フリーズ(フリーズ4)の発生について管理制御する。なお、回胴停止処理の詳細については図11にて後述する。
全回胴の停止が確認されると(フリーズ4が発生する場合はそのフリーズ終了後)、続いて、入賞判定処理を行う(ステップS20)。この入賞判定処理では、入賞ラインデータ(図柄停止情報)に基づいて、当選役に対応する図柄の組合せが有効入賞ライン上に停止したかどうか、つまり入賞が発生したか否かを確認し、入賞が確認された場合には停止した図柄の組合せに基づき、払い出すべき遊技メダル枚数(払出枚数情報を指定する払出枚数データ)の設定処理を行う。なお、入賞判定処理の詳細については図12にて後述する。
次いで、メダル払出枚数監視処理を行う(ステップS21)。このメダル払出枚数監視処理では、ステップS19の入賞判定処理で設定された払出枚数情報に基づき、ホッパーユニット500を駆動制御して目的枚数の遊技メダルの払い出し処理やクレジットの加算処理を行う。またここでは、フリーズ5(払出フリーズ演出)を発生させるために必要な処理を行う。なお、上記メダル払出枚数監視処理については図13にて後述する。
次に、再遊技RT設定処理を行う(ステップS22)。この再遊技RT設定処理では、リプレイが有効入賞ライン上に停止した場合に、再遊技の作動に必要な設定処理を行う。本処理により再遊技作動が指定された場合、次回ゲーム開始時における遊技メダル投入処理(ステップS14)おいて、今回要した遊技メダルと同じ枚数分の遊技メダルが自動投入され、次回ゲームを遊技メダルの投入なしに開始可能とされる。
またここでは、所定の移行条件に基づいて、一のRT遊技から他のRT遊技への移行制御処理も行われる。具体的には、現在の遊技状態がRT0遊技(初期モード)であれば、CBB当選を条件としてRT1遊技への移行設定処理を行い、現在の遊技状態がRT1遊技であれば、CBBによるボーナス遊技終了後の所定ゲーム数(たとえば、2ゲーム)消化を条件に、RT0遊技への移行設定処理を行う、といったRT遊技間の移行制御処理を行う。
次いで、ボーナス遊技中か否かを判定する(ステップS23)。ボーナス遊技中である場合(ステップS23:YES)、ボーナス遊技作動中処理を行う(ステップS25)。このボーナス遊技作動中処理では、ボーナス遊技中の払い出し枚数を監視し、ボーナス遊技の継続およびその終了に要求される処理を行う。ボーナス遊技中の払い出し枚数は、ボーナス遊技中の払出枚数を管理するためのカウンタ(ボーナス遊技中払出枚数カウンタ)により管理される。そして、ボーナス遊技作動中処理を終えると、ステップS12のRAM初期化処理に移行する。
一方、ボーナス遊技中でない場合(ステップS23:NO)、次に、ボーナス役が有効入賞ライン上に停止したか否かを判定する(ステップS24)。ボーナス役が停止していない場合(ステップS24:NO)、ステップS12のRAM初期化処理に移行し、ステップS13以降の処理を順次行う。
一方、ボーナス役が有効入賞ライン上に停止した場合(ステップS24:YES)、ボーナス遊技作動開始処理を行う(ステップS26)。このボーナス遊技作動開始処理では、次回ゲームからボーナス遊技を開始するために必要な設定処理を行う。具体的には、ボーナス遊技開始前の所定の待機時間を設定し、ボーナス役入賞時の演出の現出するための演出時間の設定処理、上記ボーナス遊技中払出枚数カウンタのクリア処理、およびボーナス当選フラグのクリア処理などである。このボーナス遊技作動開始処理を終えると、ステップS12のRAM初期化処理に移行し、ステップS13以降の処理を順次行う。
(1−2.回胴演出抽選処理(ステップS17):図9)
図9を参照して、図8のステップS17の回胴演出抽選処理の詳細について説明する。図9は、図8の回胴演出抽選処理の詳細を示すフローチャートである。
図9において、主制御基板400は、まずステップS15の乱数取得処理で抽選された当選役情報を取得する(ステップS101)。
次いで、現在の遊技状態を確認し、当該遊技状態に係るフリーズ演出抽選対象役であるか否を判定する(ステップS102)。
フリーズ演出抽選対象役である場合(ステップS102:YES)、フリーズ演出抽選処理を行う(ステップS103)。ここでは、図29のフリーズ演出抽選テーブルを参照し、現在の遊技状態(遊技状態フラグ)と当選役種別とに基づき、フリーズ1〜5のいずれかを抽選により決定する。フリーズ演出抽選対象役でない場合(ステップS102:NO)、ステップS103のフリーズ演出抽選処理は行わずに、ステップS104の処理に進む。
上記のフリーズ演出抽選処理(ステップS103)を終えると、次いで、フリーズ演出抽選結果に対応したフリーズ演出フラグをセットする(ステップS104)。このフリーズ演出フラグは、今回のゲームで発生させるフリーズ演出種別を識別(指定)するためフラグであり、フリーズ演出種別ごとに異なる値(たとえば、フリーズ1〜5に対応した「01H」〜「05H」)が設定される。また、このフリーズ演出フラグは1ゲーム毎にクリアされる。フリーズ演出抽選結果が「ハズレ」の場合には、ハズレに対応したフリーズ演出フラグとして「00H」がセットされる。
なお、ステップS104の処理では、ステップS102の処理において「フリーズ演出抽選契機役」でないと判定された場合(ステップS102:NO)、フリーズ演出抽選の抽選結果を「ハズレ」として扱い、フリーズ演出フラグに「00H」をセットする。したがって、ここでは、フリーズ演出抽選処理(ステップS103)の抽選結果に対応したフリーズ演出フラグか(フリーズ1〜5=「01H」〜「05H」)、またはフリーズ未発生(ハズレ)に対応するフリーズ演出フラグ(未発生(ハズレ)=00H)がセットされることになる。
次いで、ステップS104でセットされたフリーズ演出フラグに基づく「フリーズ種別コマンド」をセットする(ステップS105)。このフリーズ種別コマンドは、フリーズ演出種別情報(ハズレ扱いとなる‘フリーズ未発生情報’も含む)を含むものであり、このフリーズ種別コマンドが演出制御部410側に送信されることにより、どのようなフリーズ種が発生するのか、それともフリーズ演出が未発生であるのかを演出制御部410側において把握される。演出制御部410側では、上記内部抽選処理(図8のステップS16)における遊技開始情報コマンドと、このフリーズ種別コマンドとに含まれる情報に基づき、現在の遊技状態(主制御部側遊技状態)、当選役情報、およびフリーズ演出種別(フリーズ未発生を含む)などを把握して、今回のゲームに係る演出制御処理を行う(たとえば、今回のゲームに係る演出シナリオの設定、AT抽選(図30)の実行、アシスト報知制御など)。
次いで、上記フリーズ演出フラグを確認し、レバー操作時フリーズ演出のうちで、変則回転を伴わない無回転の回胴演出(不回転回胴演出)に係るものであるかどうかを判定する(ステップS106)。本実施形態では「フリーズ1」が不回転回胴演出に該当するので、ここでは、フリーズ1であるか否かを判定する。
フリーズ演出種別がフリーズ1でない場合(ステップS106:NO)、何もしないでリール演出抽選処理を抜ける。
しかし、フリーズ演出種別がフリーズ1である場合(ステップS106:YES)、フリーズ1の発生条件が成立したとして、フリーズ開始コマンド(フリーズD1用)をセットする(ステップS107)。この「フリーズ開始コマンド」は、フリーズ演出の開始を指定コマンドであり、フリーズ開始コマンドが主制御部400側から演出制御部410側へと送信されると、演出制御部410側では、フリーズ開始時の演出シナリオに基づくフリーズ演出(サブ側フリーズ中演出)を現出するための演出制御処理を行う。したがって、上記フリーズ開始コマンドは、サブ側フリーズ中演出を発生させるトリガータイミング(基本トリガー)として働く。
次いで、フリーズ1に要するフリーズ時間(遅延時間:ここでは、フリーズ1対応のフリーズ時間:たとえば、30000ms(30秒))をフリーズタイマにセットする(ステップS108)。上記「フリーズタイマ」とは、フリーズ時間を管理するタイマであり、RAM203のタイマ管理領域の一つである。なお、本実施形態では、不回転回胴演出が1種類であるが、複数種類の不回転回胴演出を設ける場合は、各不回転回胴演出に対応したフリーズ時間がセットされることになる。
そして、フリーズタイマ時間の経過を待つための「指定数割込待機処理」を行う(ステップ108)。フリーズ1は回胴の回転動作のないレバー操作時フリーズであるので、ここでフリーズタイマが経過するまで待機する。
そして、フリーズタイマが経過したならば、「フリーズ終了コマンド」を送信する。このフリーズ終了コマンドは、フリーズ状態の終了を指定するコマンドであり、フリーズ終了コマンドが主制御部400側から演出制御部410側へと送信されると、演出制御部410側では、フリーズ演出が終了したことを把握し、現出中のフリーズ演出を終了させる。これにより、回胴演出抽選処理を抜けて、図8の回胴回転開始処理(ステップS18)に進む。なお、不回転回胴演出以外の回胴演出を伴うフリーズ演出種別の場合は、回胴回転開始設定処理(ステップS18)や回胴停止処理(ステップS19)において、その制御を行う。
(1−3.回胴回転開始設定処理:図10)
次に図10を参照して、図8の回胴回転開始設定処理(ステップS18)ついて説明する。図10は、図8の回胴回転開始設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図10において、主制御部400は、まず上記ステップS104でセットされたフリーズ演出フラグを取得し(ステップS171)、そのフリーズ演出フラグが、レバー操作時時フリーズ演出のうちで変則回転を伴うフリーズ演出(たとえば、1/4コマ逆回転)に係るものであるか否かを判定し(ステップS172)、変則回転を伴うフリーズ演出に係るものである場合(ステップS172:YES)、変則回転設定処理(ステップS173〜S174)を行う。一方、変則回転を伴うフリーズ演出に係るものでない場合(ステップS172:NO)、後述のステップS175の処理に進む。
(変則回転設定処理(回転開始時):S173〜S174)
レバー操作時フリーズ演出のうちで変則回転を伴うフリーズ演出である場合には、まずステップS173の変則回転開始設定処理に進み、フリーズ演出種別に応じた変則回転動作用のモータ制御データ(回胴駆動モータ211a、211b、211cを制御するためのデータ)をセットする(ステップS173)。たとえば、回胴演出として1/4コマ逆回転させる回胴のモータ制御は、ここで設定されたモータ制御データに基づいて、主制御側タイマ割込制御処理中の回胴回転制御処理(後述の図22のステップS43)で行われる。またここでは、フリーズ演出フラグ種別に応じたフリーズ開始コマンドをセットし、フリーズ演出フラグ種別に応じたフリーズ時間をフリーズタイマにセットする。
次いで、フリーズタイマ時間の経過を待つための「指定数割込待機処理」を行う(ステップ174)。そして、フリーズタイマが経過したならば、「フリーズ終了コマンド」を送信する。ここでは、たとえば、変則回転のためのフリーズ時間が経過するのを待つことになる。このフリーズ時間中において、回胴の変則回転動作が実行されることになる。
このように、レバー操作時時フリーズ演出のうちで変則回転を伴うフリーズ演出である場合には、上記ステップS173〜S174の処理を経た後にステップS175の処理に進む。しかし、変則回転を伴わないフリーズ演出である場合には、上記ステップS173〜S174の処理を経ずにステップS175の処理に進む。
(通常回転設定処理:S175〜S179)
ステップS175に進むと、回胴を通常回転させる準備として、遊技開始ウェイトタイマを取得し(ステップS175)、そのタイマ値が0(ゼロ)であるか否かを確認する(ステップS176)。そして遊技開始ウェイトタイマの値がゼロでない場合、当該タイマの値が0になるまで待つ(ステップS176:NO)。この遊技開始ウェイトタイマは通常動作での「1ゲームの遊技時間」を規制するためのタイマであり、次のステップS177の処理で4.1秒が設定される。これにより、1ゲームに要する時間が最短でも4.1秒となるようになっている。
遊技開始ウェイトタイマがゼロである場合(ステップS176:YES)、まず遊技開始ウェイトタイマに、1ゲームに要するべき最低限の時間として上記4.1秒を設定する(ステップS177)。そして、通常回転開始設定処理として、「通常回転動作用の制御データ」をセットし、回胴状態フラグに「01H(全回胴回転中)」をセットする(ステップS178:通常回転開始設定処理)。ここでは通常回転とするための制御データが設定され、レバー操作時フリーズ係るフリーズ時間が終了した後は、本処理により全回胴が通常回転を開始し、回胴回転停止ボタン12の第1停止操作が許容される(回胴回転停止ボタンの内蔵LEDが赤色から青色に変化する)ことになる。これによりレバー操作時フリーズ演出が有る場合と無い場合の回胴回転開始設定処理は実質的に終了となる。
最後に演出制御コマンドとして、回胴始動された旨を指定する「回転開始コマンド」をセットし、これにより回胴回転開始設定処理を抜ける(ステップS211)。なお、ここでの回転開始コマンドは、フリーズ終了コマンドを演出制御部410側に送信する代わりをなすことができる。回胴回転開始時フリーズ演出の終了を演出制御部410側に知らせる場合、その旨の上記「フリーズ終了コマンド」を用意して送信してもよいが、レバー操作時フリーズの終了直後には必ず回転開始コマンドがセットされ、これが演出制御部410側に送信されるので、わざわざフリーズ終了コマンドを用意して送信することをせず、この回転開始コマンドによりフリーズ終了コマンドを代用させることもできる。
以上により、回胴回転開始処理を抜けて、図11の回胴停止処理(ステップS19)に進む。各回胴5a、5b、5cが回転状態(通常時の回転動作)に入ることになる。
(1−4.回胴停止処理:図11)
次に図11を参照して、図8の回胴停止処理(ステップS19)ついて説明する。図11は、図8の回胴停止処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、まず主制御部400は、回胴の停止が可能な状態中に回胴回転停止ボタン12の操作があったか否かを判定する(ステップS201)。本実施形態では、主制御部400において、回胴回転始動レバー11が操作されて各回胴が通常回転を開始し、回胴の回転が概ね一定の回転速度まで立ち上がると、各回胴の対応する回胴回転停止ボタン12について停止操作機能が有効に働く状態(停止可能状態)となり、このとき主制御部400の制御の下で、停止ボタンに内蔵の停止ボタンランプが赤色から青色に変更され、停止操作可能であることが遊技者に報知される構成となっている。
回胴停止可能状態の回胴回転停止ボタン12について停止操作があった場合(ステップS201:YES)、続いて、停止準備データをセットする(ステップS202)。この停止準備データには、押し順を特定可能な「停止操作順データ」、既に停止している回胴数(停止回胴数)を特定可能な「停止回胴数データ」(たとえば、第1停止操作時の場合、停止している回胴はないので‘停止回胴数=0’を特定するデータとなる)、停止操作対象となった回胴を特定可能な「停止対象回胴データ」、引き込み制御下で回胴が完全に停止するのに要する余裕時間を含めた停止間隔タイマ(たとえば、213ms)などが含まれ、これらが停止準備データとしてセットされる。なお、現在の押し順や第何番目の停止操作であるかについては、上記停止操作順データや、現在の回胴停止数データにより把握することができるようになっている。
次いで、停止ボタン操作時の演出制御コマンドとして「停止入力情報受付コマンド」をセットする(ステップS203)。この停止情報受付コマンドには、上記の停止操作順データ、停止回胴数データ、および停止対象回胴データを特定可能な情報が含まれる。
次いで、図柄停止制御処理を行う(ステップS204)。この図柄停止制御処理では、当選情報(内部当選フラグ)と、停止操作手順(押し順と停止操作タイミング)とに基づいて目的の停止テーブル(不図示)を選択し、その停止テーブルから滑りコマ数を割り出し、これに基づく回胴の停止制御(引き込み制御)を行う。また、回胴が停止した際には、その停止位置に基づき、各回胴において、いずれの入賞ライン上に、如何なる図柄番号の図柄が停止しているかを特定可能な「図柄停止情報(入賞ラインデータ)」が作成され、メインRAMの所定領域にセットされる。この図柄停止情報は、各回胴の停止毎に作成されるので、図柄の停止目(たとえば、特定の入賞役の聴牌状態など)を把握することができる。この図柄停止情報は、1ゲーム毎にクリアされる。なお、回胴の停止位置は、実際に回胴が停止した際にも把握することができるが、停止操作図柄番号と滑りコマ数とに基づいて、回胴が完全に停止する前段階で、当該回胴の停止位置を把握することもできる。
次いで、回胴停止時の演出制御コマンドとして「停止結果情報コマンド」をセットする(ステップS205)。この「停止結果情報コマンド」には、回胴停止時に作成される上記図柄停止情報が含まれる。演出制御部410側においては、上記「停止結果情報コマンド」や「停止入力情報受付コマンド」により、押し順や、現在の回胴の回転・停止状態や、入賞ライン(有効入賞ラインおよび/または疑似入賞ライン)上の停止図柄を把握することができる。これにより、演出制御部410側では、ペナルティを発生させるためのペナルティ設定処理や、回胴の停止操作時(停止制御時)に係る演出(たとえば、停止操作時の停止音や、特定の停止目(聴牌状態)を報せる演出など)を現出するための演出制御処理を行う。
次いで、停止間隔タイマに設定したタイマ時間(213ms)を監視し(ステップS206)、停止間隔タイマがゼロでない場合、当該タイマがゼロになるまで待つ(ステップS206:NO)。そして、停止間隔タイマがゼロになったならば(ステップS206:YES)、全回胴停止前フリーズ演出処理を行う(ステップS207)。
全回胴停止前フリーズ演出処理では、第1停止操作または第2停止操作を発生契機とする「全回胴停止前フリーズ」に属する‘フリーズ2’または‘フリーズ3’の発生に必要な設定処理を行う。この処理は、図10の回胴回転開始設定処理中のS171〜S174と類似する処理内容となっている。ここでは、まずフリーズ演出フラグを取得し、そのフリーズ演出フラグが、全回胴停止前フリーズ演出フラグ種別に係るもの、本実施形態では、フリーズ2(02H)またはフリーズ3(03H)であるか否かを判定する。取得したフリーズ演出フラグが「フリーズ2(02H)」または「フリーズ3(03H)」でなければ、何もせずにステップS208の処理に進む。
取得したフリーズ演出フラグが「フリーズ2(02H)」または「フリーズ3(03H)」であれば、その発生契機となる停止操作が行われたか否かを判定する。たとえば、取得したフリーズ演出フラグが「フリーズ2(02H)」であり、今回の停止操作が第1停止操作である場合、フリーズ2の発生条件が成立したとして、フリーズ2の発生に要する設定処理を行う。具体的には、フリーズ開始コマンド(フリーズ2用)をセットし、フリーズ2に要するフリーズ時間をフリーズタイマにセットする。そして、フリーズタイマ時間の経過を待つための「指定数割込待機処理」を行い、フリーズタイマが経過したならば、「フリーズ終了コマンド」を送信し、これにより、全回胴停止前フリーズ演出処理のフリーズ2発生に関する処理を終える。なお上述の一連の処理内容は、フリーズ3についても同じ処理内容であるので重複記載を避けるために省略する。
次いで、全回胴が停止したか否か判定する(ステップS208)。第1停止操作後または第2停止操作後においては、まだ回転している回胴があるので、その判定はNOとなり、ステップS201に戻り、第3停止操作による全回胴停止を待つことになる。
これらの第1〜第3停止操作を経て、全回胴が停止したならば(ステップS208:YES)、「全回胴停止後フリーズ演出処理」を行う(ステップS209)。
全回胴停止後フリーズ演出処理では、第3停止操作を発生契機とする「全回胴停止後フリーズ」に属する‘フリーズ4’の発生に必要な設定処理を行う。この処理は、上記全回胴停止前フリーズ演出処理(ステップS207)と類似する処理内容となっている。ここでは、まずフリーズ演出フラグを取得し、そのフリーズ演出フラグが、全回胴停止後フリーズ演出種別に係るもの、本実施形態では、フリーズ4(04H)であるか否かを判定する。取得したフリーズ演出フラグが「フリーズ4(04H)」でなければ、何もせずに全回胴停止後フリーズ演出処理を抜ける。これにより回胴停止処理を抜けて、図8の入賞判定処理(ステップS20)に進む。
取得したフリーズ演出フラグが「フリーズ4(04H)」であれば、フリーズ4の発生条件が成立したとして、フリーズ4の発生に要する設定処理を行う。具体的には、フリーズ開始コマンド(フリーズ4用)をセットし、フリーズ4に要するフリーズ時間をフリーズタイマにセットする。そして、フリーズタイマ時間の経過を待つための「指定数割込待機処理」を行い、フリーズタイマが経過したならば、「フリーズ終了コマンド」を送信し、これにより、フリーズ4発生に関する処理が終了する。これにより回胴停止処理を抜けて、図8の入賞判定処理(ステップS20)に進む。
(1−5.入賞判定処理:図12)
次に図12を参照して、図8のステップS20の入賞判定処理の詳細について説明する。図12は、図8の入賞判定処理を示すフローチャートである。
図12において、主制御部400は、まず、有効入賞ライン数を設定する(ステップS301)。本実施形態の有効入賞ラインは、中段横ラインの単ラインであるので、有効入賞ライン数には「1」が設定される。
次いで、停止図柄情報(入賞ラインデータ)に基づき、当り図柄フラグを作成し設定する(ステップS302)。この当り図柄フラグは、最終的に有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せ(全回胴停止後の図柄の組合せ(遊技結果情報))を管理するデータであり、有効入賞ラインが複数本ある場合は、各々の有効入賞ラインに対応する当り図柄フラグが作成される。なお、このデータは1ゲーム毎にクリアされる。
次いで、上記当り図柄フラグに基づき、遊技メダルの払い出し枚数を算出する(ステップS303:払出枚数算出処理)。ここでは、当り図柄フラグが遊技メダルの払い出しを要する入賞役であるか否かを判定し、遊技メダルの払い出しを要する入賞役であった場合は、その払い出し枚数を算出する。
次いで、全入賞ライン(すべての有効入賞ライン)について当り図柄フラグに係る払出枚数算出処理(ステップS303)が終了したか否かを判定する(ステップS304)。本実施形態では、有効入賞ラインが中段横ラインの単ラインであるが、有効入賞ラインが複数本ある場合は、その全有効入賞ライン分の上記払出枚数算出処理を繰り返す(ステップS304:NO)。
次いで、上記全入賞ライン分が終了した場合(ステップS304:YES)、算出された払い出し枚数を設定する(ステップS305:払出枚数データ←払出枚数)。ここでは、メインRAM401bの所定領域に上記払い出し枚数情報を設定する。
次いで、誤入賞判定処理を行う(ステップS306)。この誤入賞判定処理では、全回胴停止前に、今回ゲームで当選した当選役に対応する図柄の組合せに関する情報(イリーガル判定用データ)と、全回胴停止時において実際に有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せである上記当り図柄フラグとを比較参照し、正規入賞であるか誤入賞であるかを判定する。
具体的には、上記イリーガル判定用データと当り図柄フラグとが一致しない場合には、誤入賞であるとして、当り図柄フラグと払出枚数データとをクリアし、所定のエラー処理(誤入賞エラー処理:たとえば、演出手段を利用してエラーである旨を報知する)を行い、上記イリーガル判定用データと当り図柄フラグとが一致した場合には、正規入賞であると判定して、ステップS307の処理に進む。
ステップS306の誤入賞判定処理を終えると、全回胴の停止時に係る演出制御コマンドとして、「入賞情報コマンド」をセットする(ステップS307)。この入賞情報コマンドには、少なくとも有効入賞ライン上に停止した図柄の組合せを特定可能な「遊技結果情報」が含まれ、さらに、疑似入賞ライン上の停止図柄情報や現在の遊技状態情報などを含むことができる。斯様な入賞情報コマンドにより、演出制御部410側が今回の遊技結果を把握することができるようになっている。なお本実施形態の上記入賞情報コマンドには、上記遊技結果情報として、有効入賞ラインおよび疑似入賞ライン上に、如何なる図柄の組合せが停止したか(停止図柄種別)を特定可能な情報が含まれる。
上記「入賞情報コマンド」が主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では、今回の遊技結果を把握し、全回胴停止時の演出、たとえば、遊技結果の導出表示を契機とする「入賞演出(入賞役種別に対応して現出される演出態様:リプレイ入賞音、リプレイ入賞光演出、小役入賞音、小役入賞光演出など)」などの遊技結果に応じた演出制御処理を行う。
次いで、ボーナス遊技中か否かを判定する(ステップS308)。ボーナス遊技中でない場合(ステップS308:NO)、何もせずに入賞判定処理を抜ける。一方、ボーナス遊技中である場合(ステップS308:YES)、ボーナス遊技中払出枚数カウンタに、今回の払出枚数分の遊技メダル枚数を加算し、ボーナス中獲得枚数情報コマンドをセットする(ステップS309:ボーナス遊技中獲得枚数加算処理)。ボーナス中獲得枚数情報コマンドには、今回の払い出し枚数情報と現在のボーナス遊技中払出枚数カウンタ情報が含まれる。上記「ボーナス中獲得枚数情報コマンド」が主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では、現在のボーナス遊技中の獲得枚数(払い出し枚数)を把握し、たとえば、液晶画面に、ボーナス遊技中における現在の払い出し枚数に関する情報を報知する画像表示演出を現出させるための演出制御処理を行う。
以上により、上記入賞判定処理を抜けると、図8のステップS21のメダル払出枚数監視処理に進む。
(1−6.メダル払出枚数監視処理:図13〜図21)
次に図13を参照して、図8のステップS21のメダル払出枚数監視処理の詳細について説明する。図13は、メダル払出枚数監視処理を示すフローチャートである。
図13において、主制御部400は、まずフリーズ演出フラグを取得し、そのフリーズ演出フラグが、遊技メダルの払い出しを発生契機とする「払出フリーズ演出種別」に係るもの、本実施形態では‘フリーズ5(05H)’であるか否かを判定する。フリーズ演出フラグが「フリーズ5(05H)」である場合(ステップS401:YES)、後述の払出フリーズ制御処理(ステップS402)に進む。払出フリーズ制御処理では、フリーズ5の発生に必要な設定処理を行う。なお、払出フリーズ制御処理の詳細は図17にて後述する。
フリーズ演出フラグがフリーズ5(05H)でない場合(ステップS401:NO)、上記払出枚数データを取得し、払い出し枚数がゼロであるか否かを判定する(ステップS403)。払出枚数データがゼロである場合(ステップS403:=0)、つまり、今回のゲームで遊技メダルの払い出しを付与する入賞役が入賞していない場合か、または入賞による遊技メダルの払い出しが終了して、遊技メダルの払い出しを行う必要がない場合は、後述のステップS411の処理に進む。
一方、払出枚数データがゼロでない場合(ステップS403:≠0)、つまり、遊技メダルの払い出しが終了してない場合には、続いて、クレジット枚数が最大クレジット枚数(本実施形態では、50枚)であるか否かを判定する(ステップS404)。
(最大クレジット枚数でない場合:ステップS404〜S409を辿る処理ルート)
先ず、最大クレジット枚数でない場合(ステップS404:≠MAX)の場合の処理ルートについて説明する。この処理ルートは、最大クレジット枚数でない場合に、入賞による遊技メダルの払い出し枚数分を貯留装置(クレジット手段)にクレジットするための「入賞時クレジット加算処理(ステップS405〜S408)」を行う処理ルートである。
最大クレジット枚数でない場合(ステップS404:≠MAX)、クレジットに1加算する(ステップS405:クレジット+1)。
次いで、クレジット表示データを更新する(ステップS406)。ここでは、クレジット表示データを、加算後のクレジット値に更新する。更新されたクレジット表示データは、表示出力処理(図21のステップS47)で利用され、これにより、クレジット枚数表示器86による現在のクレジットの表示枚数に、「+1」された表示枚数に更新されることになる。
次に、所定の待機時間の経過を待つ待機処理を行う(ステップS407)。ここでは、遊技メダルの払い出しによる待機時間として、RAM401bの所定のタイマ管理領域に、たとえば、60msを設定する。この待機時間は、遊技メダルの払い出しに対応して現出される「払出演出」の一態様として、たとえば、クレジットが1加算(クレジット+1)される毎に現出され、クレジットの増加を報知する「払出時クレジット演出(たとえば、クレジット加算音)」を現出させるための演出時間幅として利用される。
次に、払出メダルカウント処理を行う(ステップS408)。説明の便宜上、以下に、払出メダルカウント処理を先に説明しておく。
(1−6−1.払出メダルカウント処理:図14)
図14を参照して、図13のステップS408の払出メダルカウント処理の詳細について説明する。図14は、払出メダルカウント処理を示すフローチャートである。
図14において、主制御部400は、まず、PAYOUTデータに1加算する(ステップS431:PAYOUTデータ+1)。
次いで、PAYOUT表示データを更新する(ステップS432)。ここでは、PAYOUT表示データを、加算後のPAYOUTデータ値に更新する。更新されたPAYOUT表示データは、表示出力処理(図22のステップS47)で利用され、これにより、払出枚数表示器87による現在の払い出し表示枚数に、「+1」された表示枚数に更新されることになる。
なお、今回のゲームにおいて、ステップS432の処理に初めて入るときには、払出枚数表示器87が「ゼロ」表示となっている。したがって、ステップS432の処理が初めて行われた場合には、払出枚数表示器87による現在の払い出し枚数表示が、合計1枚の払い出しがあった旨を示す表示に更新され(ここでは、「0」の表示から「1」の表示に更新される)、以降、払い出し枚数がゼロになるまで、払出メダルカウント処理が繰り返し実行され(図13のステップS409の判定結果が「≠0」の場合の処理ルート)、遊技メダルが払い出される度に、払出枚数表示器87の表示が‘+1’ずつカウントアップ表示されることになる。
次いで、払出枚数データから1減算し(ステップS433:払出枚数データ−1)、次いで、「払出コマンド」をセットし(ステップS434)、これにより、払出メダルカウント処理を終える。上記「払出コマンド」は、遊技メダルが払い出された旨を指定するための演出制御コマンドであり、払出枚数データが1減算されるごとに送信されるようになっている。つまり、遊技メダルが1枚払い出されるごとに、払出コマンドが演出制御部410側に送信されるようになっている。
上記払出コマンドが主制御部400側から送信されると、演出制御部410側では、「払出演出」の一態様として、「メダル払出音」を現出させる。したがって本実施形態では、単位払出枚数として「遊技メダル1枚の払い出し」がある毎に、メダル払出音が1回現出され、これにより遊技メダルが払い出されていることを確認することができる。
ただしここでは、クレジットが「最大クレジット数未満」であるケースを説明しているので、上記メダル払出音として、クレジットが1加算(+1)されるごとに「クレジット加算音」が現出(スピーカ16から出力)されることになる。このクレジット加算音は、遊技メダル(実物)が払い出されるときのメダル払出音と、その効果音(たとえば、音色や旋律など)のが同一のものであっても良いし、異なるものであっても良い。
また演出制御部410側では、入賞情報コマンド(図12の入賞判定処理のステップS307参照)の受信を契機として、今回の遊技結果(入賞役種別(入賞ライン上の停止図柄種別))が把握され、これに含まれる入賞役情報に応じて、入賞役に対応した入賞演出、たとえば、効果音(入賞音)、光演出(入賞役報知光演出、図柄照射手段により成立ライン上の入賞役(仮想入賞役を含む)に対応する停止図柄を所定の発光態様で照射する図柄照射演出)、および画像表示演出(入賞時画像表示演出)の少なくともいずれか一つの演出態様が現出されうる。なお、いずれの演出態様を現出させるかは、入賞役に応じて決定される。
特に、遊技メダルの払い出しを伴う入賞役である場合、遊技メダルの払い出しに対応して現出される「払出演出」は、入賞情報コマンドに基づく上述の‘入賞演出(入賞情報コマンドに基づく第1払出演出)’と、上記払出コマンドに基づく‘メダル払出音(払出コマンドに基づく第2払出演出)’とを含む一連の演出態様となっている。なお、払出演出は、入賞情報コマンドおよび払出コマンドの少なくともいずれか一方に基づいて現出される演出態様とすることができる。
これについて詳述すれば、たとえば、AT1に係るベル揃い(12枚AT役)が成立(入賞)し、その情報を含む入賞情報コマンドを演出制御部410側が受信すると、演出制御部410側では、音演出として、ベル揃いが入賞した旨を報知する「入賞音(上記メダル払出音とは異なる音演出)」を発生させる。また光演出として、中段横ラインの‘ベル揃い(「ベル」−「ベル」−「ベル」)’の図柄を図柄照射用バックライトLEDにより点滅あるいは点灯表示させて‘ベル揃い’の入賞を報知し、装飾ランプ13などの発光手段を利用して、これに対応した発光色(たとえば、黄色)を呈する光演出を現出させる。さらに画像表示演出として、液晶表示装置6には‘ベル揃い’の入賞を示す画像表示(たとえば、特定のキャラクタ画像や特定のアイテム画像)を表示させる。斯様な入賞情報コマンドに基づく演出態様に付随する形で、上記払出コマンドを受信するごとに、メダル払出音を現出させる。つまり、入賞演出とメダル払出音とがそれぞれ独立して重複的に現出される。これにより、遊技メダルの払い出しに対応して、音演出、光演出、画像表示演出などによる「払出演出」が実現されるようになっている。
なお、上記入賞情報コマンドに基づく入賞演出(第1払出演出)は、原則として、払い出しが終了した旨を指定する後述の「払出終了コマンド」を受信するまで現出されるようになっている。しかし、特定の入賞演出、たとえば、図柄照射演出については、払出終了コマンドを受信しても終了させずに、次回ゲームにおける賭数が設定された場合に、これを終了させることができる。
また本実施形態では、演出制御部410が上記払出コマンドの受信を契機に、音演出によるメダル払出音を現出させるとして説明したが、本発明はこれに限らず、払出コマンドの受信を契機に、必要に応じて、特定の光演出(メダル払出光演出)および特定の画像表示演出(メダル払出表示演出)の少なくともいずれか一方を現出させても良い。
再び図13のメダル払出枚数監視処理の説明に戻る。
上記したステップS408の「払出メダルカウント処理」を終えると、次に、払出枚数データがゼロであるか否かを判定する(ステップS409)。払出枚数データがゼロでない場合(ステップS409:≠0)、残余払い出し枚数があるとして、ステップS404の処理に戻る。このようにして、ステップS404〜S409の処理を繰り返すと、クレジットが最大クレジット枚数(50枚)に達するか、払出枚数データがゼロとなる。そこで、払出枚数がゼロとなった場合には(ステップS409:=0)、後述のステップS410〜S412の処理を行う。なお、払出中フラグは、実物の遊技メダルが払い出される際に実行される図15の「払出センサチェック処理」中のステップS451の処理でON状態(作業状態「01H」)にセットされる。
一方、クレジット枚数が最大クレジット枚数である場合には(ステップS404:=MAX)、ステップS413〜S416の処理を行う。
(最大クレジット枚数である場合:ステップS413〜S416を辿る処理ルート)
ステップS413〜S416の処理ルートは、クレジット枚数が最大クレジット枚数に達している場合に、遊技機内部から実物の遊技メダルの払い出しを行うための「入賞時遊技媒体払出処理(ステップS413〜S416)」が実行される処理ルートである。
ホッパーユニット500を利用した遊技メダル払出動作は、後述の「払出センサチェック処理(ステップS413、その詳細を示す図15)」と、既に説明した「払出メダルカウント処理(ステップS414、図14)」とで実現され、払出枚数データがゼロとなるまで、つまり必要な遊技メダル枚数の払い出しが終了するまで(ステップS415:≠0)、これらの処理が繰り返される(ステップS413〜S415)。なお、ここでの払出メダルカウント処理(ステップS414)における「払出コマンド」を演出制御部410が受信した際には、ホッパーユニット500から遊技メダルが払い出されるごとに「メダル払出音」が現出されることになる。
そして、遊技メダルの払い出しを終えると(ステップS415:=0)、メダル払出制御信号をOFF状態にして(ステップS416)、ホッパーモータ510を停止状態にする。なお、メダル払出制御信号は、ホッパーモータ510を回転させるための制御信号(通電信号)であり、払出センサチェック処理中のステップS452の処理で‘ON状態’にされる。
次いで、払出中フラグを初期状態(00H)に戻し(ステップS410)、払出終了コマンドをセットする(ステップS411)。この「払出終了コマンド」は、遊技メダルの払い出しが終了した旨を指定するための演出制御コマンドであり、この払出終了コマンドが主制御部400側から演出制御部410側に送信されると、演出制御部410側では、遊技メダルの払い出しが終了したことを把握し、現出中の払出演出の一部または全部を終了させる。
そして満杯検知金具600の検出状態に基づく満杯エラー判定処理を行う(ステップS412)。この満杯エラー判定処理では、満杯検知金具600の検出状態(ON・OFF状態)を確認して、その検出状態がON状態であれば、補助タンクが満杯状態になったとして、満杯エラー処理を行い、OFF状態であれば何もせずに満杯エラー判定処理を終える。
以上によりメダル払出枚数監視処理を終えると、図8のステップS22の再遊技設定処理に進む。
(1−6−2.払出センサチェック処理:図15)
図15を参照して、図13のステップS413の払出メダルカウント処理の詳細について説明する。図15は、払出センサチェック処理を示すフローチャートである。
図15において、主制御部400は、まず、払出中フラグを作業状態(01H)にセットし(ステップS451)、メダル払出制御信号をON状態に設定する(ステップS452)。既に説明したように、このメダル払出制御信号はホッパーモータ510への通電を制御する信号であり、メダル払出制御信号をON状態にすることでホッパーモータ510が回転し、これに対応して、排出用ディスク(不図示)に捕捉された遊技メダルがメダル排出口57に向けて移動を開始する。
次いで、「メダル無しエラータイマ」と「払出センサエラータイマ」に、それぞれ初期値(たとえば2500msと100ms)を設定する(ステップS453)。上記「メダル無しエラータイマ」とは、ホッパータンク14に貯留された遊技メダルが空状態(empty)であると判定するためのタイマであり、遊技メダルの払い出し無い状態で、排出用ディスクが空回転を続ける継続時間として、ここでは2500msが設定される。
このメダル無しエラータイマは、後述の主制御部タイマ割込み処理の割り込み周期(1.5ms)毎に監視されるので、具体的には、整数値INT(2500/1.5)が初期値として設定される。この初期値が大きいほど、メダル無しエラー(ホッパーエラー)の精度が上がるが、闇雲に大きくすれば、その分だけ空状態が長引き、遊技機の稼働率の観点から好ましくない。このため、ここでは、適宜な初期値として、2500msを設定している。
また上記「払出センサエラータイマ」とは、メダル検出センサ520のON状態(検出状態)の継続時間を管理するためのタイマであり、ここでは初期値として、100ms(監視時間)に対応した整数値INT(100/1.5)を設定する。特に払出センサエラータイマは、ホッパーユニット500に対する不正行為を監視するために重要な役割を担うタイマであり、この初期値(100ms)は、不正行為防止の観点や、メダル検出センサ520の検出性能に関する設計上の仕様に応じて、適宜な値に設定される。本実施形態では、メダル検出センサ520のON継続時間は、ホッパーモータ510の回転速度や、遊技メダルの大きさや、メダル排出機構の形態や、メダル検出センサ520の具体的構成などで規定される。そして、一般に、上記ON継続時間が短いほど遊技メダルの払出速度が向上して好ましいが、余り払出速度が速いと誤判定のおそれが生じる。そこで、これらの諸点を考慮して、設計上のON継続時間を、80ms程度に設定し、正常な払い出し状態であれば、如何なる場合にもON継続時間が100msを超えることがない仕様(ON継続時間が100ms未満)となっている。
上記各タイマに初期値を設定した後は、所定時間(1割込分)ごとに(ステップS454)、メダル検出センサ520のON/OFF状態の推移を判定し(ステップ455)、その結果、2回連続してON状態であるか否かを判定する(ステップS456)。メダル検出センサ520が遊技メダルを検出するとOFF状態からON状態に立ち上がり、遊技メダルがセンサを通過するとON状態からOFF状態に立ち下がるが、ここでは、そのON/OFF状態が1.5ms毎に判定される。
そして、メダル検出センサ520がON状態に立ち上がった後、しばらくは、ON状態が継続されるので、ON→ONの判定毎に、払出センサエラータイマをデクリメントする(ステップS454〜S457)。ここで、ステップS455〜S457の処理は、1.5ms毎に判定されるので(ステップS454)、払出センサエラータイマがゼロとなる場合とは、メダル検出センサ520が100msの間、継続してON状態が維持された場合である。
ここで上記したように、本実施形態では、メダル検出センサ520について如何なる場合にもON継続時間が100ms未満となるよう設計されているので、払出センサエラータイマがゼロとなった場合は、メダル検出センサ520の故障やメダル詰まりによるホッパージャム(Hopper Jam)や不正行為の可能性を考慮して、メダル払出制御信号をOFF状態にしてホッパーモータ510を停止する(ステップS459)。
そして、メダル検出センサ520に異常が生じた旨(払出センサエラー)を報知するエラー処理を行う(ステップS460:払出センサエラー処理)。この払出センサエラー処理では、払出枚数表示器87の表示制御(発光制御信号データ設定)を行い、エラーコード(たとえば、「CH」)を表示させる(図22のステップS47の表示出力処理参照)。またエラー報知処理として、エラー種別情報(ここでは、払出センサエラー)を含むエラーコマンドをセットする。演出制御部410はエラー報知手段として機能し、上記「エラーコマンド」が主制御部400側から送信されると、演出手段に対してエラー種別に応じたエラー報知制御処理を行う。ここでは、演出制御部410によるエラー報知制御処理により、払出センサエラーに係る所定のエラー報知態様が演出手段により現出(実行)されることになる。
その後は、ホール店員により、回胴設定基板430に設けられた上記エラー解除スイッチ(不図示)が操作されるなどして、エラー解除された場合(ステップS461:ON)、ステップS451の処理に移行して、再度、メダル払出制御信号をON状態にしてホッパーモータ510を回転させ、遊技メダルの払い出し動作を実行する。
以上では、払出センサエラー状態について説明したが、通常は、メダル検出センサ520のON継続時間は100ms未満であり、また、メダル検出センサ520がON状態に立ち上がる以前は、OFF状態を繰り返す。
したがって、メダル検出センサ520がOFF状態を繰り返している場合(OFF−OFF状態)、OFF状態からON状態に立ち上がった瞬間(OFF−ON状態)、およびON状態からOFF状態に立ち下がった瞬間(ON−OFF状態)であれば、ステップ456の判定結果は‘NO’となり、ステップS462の判定処理に移行する。
ステップS462の処理では、払出センサエラータイマが初期値であるか否かを判定する(ステップS462)。
ここで、メダル検出センサ520が、OFF状態を繰り返している場合、または、OFF状態からON状態に立ち上がった瞬間は、ステップS457のデクリメント処理が一度も実行されていないので、払出センサエラータイマの値は初期値(100ms)のままである(ステップS462:=初期値)。この場合には、メダル無しエラータイマの値を1減算し(ステップS463)、その減算結果がゼロでければ(ステップS464:≠0)、ステップS454の処理に進み、再度、それ以降の処理を順次行い、払出センサエラータイマが初期値と異なる値になるまで繰り返される。
一方、メダル検出センサ520が、ON状態からOFF状態に立ち下がった瞬間は、それ以前に、必ずステップS457のデクリメント処理が実行されている。この場合には、正常な遊技メダルの払い出し動作が完了したとして(ステップS462:≠初期値)、払出センサチェック処理を抜けて、図13のステップS414の払出メダルカウント処理に進む。
ここで、ホッパータンク14が空状態である場合には、いくらホッパーモータ510を回転させても、遊技メダルの排出がないために、メダル検出センサ520はON状態とはならず、OFF状態を繰り返す。この場合、払出センサエラータイマは初期値のままであり、ステップS456の判定結果は常に‘NO’となり、またステップS462の判定結果も常に‘=初期値’となり、「ステップS454→S455→S456→S462→S463→S464→S454」の処理ルートが繰り返しされ、ステップS463の処理により、約2500ms後にはメダル無しエラータイマがゼロになる。
メダル無しエラータイマがゼロになった場合には(ステップS464:=0)、ホッパーエラー管理処理を行う(ステップS465)。このホッパーエラー管理処理では、ホッパータンク14が空状態となり、遊技機内部の遊技メダルが空状態になったことを報知するための「ホッパーエラー」に関する処理を行う。以下に、このホッパーエラー管理処理について説明する。
(1−6−3.ホッパーエラー管理処理:図16)
図16を参照して、図15のステップS465のホッパーエラー管理処理の詳細について説明する。図16は、ホッパーエラー管理処理を示すフローチャートである。
上記ステップS464の処理において、メダル無しエラータイマがゼロになった場合(ステップS464:=0、図15)、主制御部400は、このタイミングで、メダル払出制御信号をOFF状態にしてホッパーモータ510を停止させる(ステップS481)。
通常、このステップS481のタイミングで、遊技機内部の遊技メダルが空状態であるとみなし、後述のステップS487のホッパーエラー報知処理を実行しても良いが、このような処理方法を採用した場合には、次のような問題が生じる。
稀なケースであるが、(α)ホッパータンク14が完全に空状態ではなく、遊技メダルの残存枚数が少ないため(たとえば、1枚〜2枚)、メダル排出機構の構成上、排出用ディスクが遊技メダルを捕捉しきれず、未捕捉状態で排出用ディスクが回転を繰り返している未排出状態がありうる。また、(β)排出用ディスクが回転を繰り返した結果、残存している遊技メダルが、完全に排出状態とはならずに中途半端な位置で停止してしまい、たとえば、メダル検出センサ520をON状態にする手前であるか、またはON状態にしたものの、未だメダル検出センサ520がOFF状態に立ち下っていない、といった未排出状態もありうる。
ここで、ホッパーモータ510は、原理上、ステップS481のタイミングで回転を停止することになるが、メダル払出制御信号をOFF状態にしても直流モータの駆動巻線のL性(インダクタンス値)や、直流モータの制動特性などに対応して、特に、モータの回転停止タイミングは、ステップS481より遅れることになる。そこで、この点を重視して、払出モータMの駆動回路に高性能の制動機構を設けることはできるが、それでも、慣性力などにより1/10秒〜1/2秒程度の時間遅れは不可避であり、メダル払出制御信号がOFF状態となった後も、ホッパーモータ510の回転は短時間だけ継続される。
上記(α)(β)の未排出状態のうち、前者(α)の場合は、ホッパータンク14が空状態であると判定しても問題はないが、メダル払出制御信号をOFF状態にしても直ぐにはホッパーモータ510が停止しないことを考慮すると、後者の(β)の場合では、その後も多少は回転を継続するホッパーモータ510によって、遊技メダルが払い出される可能性がある。この場合、メダル払出制御信号をOFF状態した直後、つまりステップS481の直後にエラー処理を実行してしまうと、払い出される遊技メダルを見逃すことになる。たとえ1枚程度の見逃しであっても、多数の遊技機を設置しているホール側にとっては、不利益が大きくなりうるために、このような事態は好ましくない。
そこで、本実施形態では、後者(β)の可能性までをも考慮して、ステップS481の処理によりメダル払出制御信号をOFF状態にした後、メダル無しエラータイマに100msに対応する初期値に再設定している(ステップS482)。
そして、所定時間毎(1.5ms毎)にメダル検出センサ520を判定し(ステップS483〜ステップS484)、メダル検出センサ520がOFF状態であれば、メダル無しエラータイマをデクリメントする処理を繰り返し(ステップS485、ステップS486:≠0)、遊技メダルが残っていないことを確認している。またここでは、遊技メダルのメダル検出センサ520がON状態である場合や、ホッパーモータ510の慣性力によって、メダル検出センサ520がON状態に変化した場合も、このON状態が継続している限り、メダル無しエラータイマのデクリメント処理を繰り返すこととしている。
そして、メダル無しエラータイマがゼロになった場合(ステップS486:≠0)、演出手段により、遊技機内部の遊技メダルが空状態になった旨(ホッパーエラー)を報知するエラー処理(ステップS487:ホッパーエラー報知処理)を行う。このホッパーエラー報知処理では、払出枚数表示器87の表示制御を行い、エラーコード(たとえば、「HE」)を表示させる。またエラー報知処理として、エラー種別情報(ここでは、ホッパーエラー)を含むエラーコマンドをセットする。ここでは、演出制御部410によるエラー報知制御処理により、ホッパーエラーに係る所定のエラー報知態様(真のホッパーエラーが生じた際のエラー報知(真のホッパーエラー報知))が演出手段により現出(実行)されるようになっている。
その後は、ホッパーエラー管理処理を抜けて、図15のステップS461の処理に進み、ホール店員によるエラー解除を待つ(ステップS461:OFF)。
また、ホッパーモータ510の慣性力により、メダル検出センサ520がON状態からOFF状態に移行したような場合、つまりメダル検出センサ520により遊技メダルの排出が確認された場合には(ステップS484:ON→OFF変化)、図14の払出メダルカウント処理を行った後(ステップS488)、上記ホッパーエラー報知処理(ステップS487)を行う。なお、既に説明しように、ON状態のメダル検出センサ520が、OFF状態に復帰しない場合、つまり遊技メダルが未排出状態である場合には、払出メダルカウント処理(ステップS488)が実行されることはないので(ステップS484:ON/OFF継続)、ホール側にも遊技者にも不利益を与えることはない。なお、ホッパータンク14が完全には空状態でなく、1枚程度メダルが更に残存している可能性もあるが、ホッパータンク14内の遊技メダルが不足していることに変わりはない以上、ホッパーエラー報知処理(ステップS487)を実行すべきことに変わりはない。
以上のように本実施形態では、最後の1枚までメダルの払出を判定できる。したがって、遊技メダルが払い出されたか否かを正確に判定することができるので、正確な遊技メダルの払い出し動作が実現される。
(1−7.払出フリーズ制御処理:図17〜図20)
次に図17〜図20を参照して、図13のメダル払出枚数監視処理中の「払出フリーズ制御処理(ステップS402)」の詳細について説明する。
この払出フリーズ制御処理は、遊技メダルの払い出し途中でフリーズ状態に制御する「払出フリーズ」に属するフリーズ演出種別(本実施形態では、フリーズ5)に関する制御処理となっている。ここでは、入賞により遊技メダルが複数枚数払い出される場合において、フリーズが発生することとなる遊技メダルの払い出し枚数を「フリーズ発生契機払出枚数(前半払出枚数)」とし、このフリーズ発生契機払出枚数分が払い出されたことを契機としてフリーズ状態を実行し、そのフリーズ時間終了後に、残りの払い出し枚数である「残余払出枚数(後半払出枚数)」の払い出し動作を実行することにより、払出フリーズ演出を実現している。以下、この払出フリーズの制御動作について詳細に説明する。
(1−7.払出フリーズ制御処理:図17)
図17の払出フリーズ制御処理に入ると、まずフリーズ発生契機払出枚数(前半払出枚数)分の払い出し動作に係る「フリーズ前払出制御処理(ステップS501)と、残りの残余払出枚数(後半払出枚数)分の払い出し動作に係る「残余枚数払出制御処理(ステップS502)」とを実行する。
(1−8.フリーズ前払出制御処理:図18)
図18を参照して、図17のステップS501のフリーズ前払出制御処理の詳細について説明する。図18は、フリーズ前払出制御処理を示すフローチャートである。なお、このフリーズ前払出制御処理について、図13のメダル払出枚数監視処理と実質的に同じ処理内容については、重複記載を避けるために、適宜省略しながら説明する。
図18において、主制御部400は、まず払出枚数データを取得し(ステップS511)、その払出枚数データに基づいて、フリーズ発生前段階において払い出す枚数(フリーズ発生契機払出枚数)を指定する「フリーズ発生契機払出枚数データ」を作成し、メインRAM401bの所定領域(フリーズ発生契機払出枚数データ領域)にセットする(ステップS512:払出枚数区分処理)。このフリーズ発生契機払出枚数を如何なる枚数とするかについては、たとえば、当選役に対応してあらかじめ定められた枚数が設定される。このステップS512の「払出枚数区分処理」は、所定の遅延発生契機枚数(フリーズ発生契機払出枚数)を設定する遅延発生契機枚数設定手段として機能する。
本実施形態の場合、フリーズ5(払出フリーズ)の発生契機となる抽選対象役(払出フリーズ発生契機役)は、CAベル1(当選番号6)とCAベル2(当選番号7)であり、その配当は、それぞれ遊技メダル12枚となっている。フリーズ発生契機払出枚数を何枚とするか、つまり、何枚の遊技メダルの払い出を行ったときに払出フリーズを発生させるかについては、当選役種別(払出フリーズ発生契機役種別)に応じて異なる枚数、または同一枚数(偶数枚数の配当の場合)に設定することができる。たとえば、CAベル1は6枚、CAベル2は7枚と異なる枚数に設定しても良いし、CAベル1とCAベル2とで同じ枚数(たとえば、6枚)としても良い。したがって、フリーズ発生契機払出枚数は、1または複数種類設けることができる。
以下では説明の便宜のために、前半払出枚数である「フリーズ発生契機払出枚数」を配当の半分である6枚とし、後半払出枚数である「残余払出枚数」を6枚として説明する。
次いで、フリーズ発生契機払出枚数データがゼロであるか否かを判定する(ステップS513)。ここでは、フリーズ発生契機払出枚数分(6枚分)の遊技メダルの払い出しが終了したか否かを判定している。
フリーズ発生契機払出枚数データがゼロである場合(ステップS513:≠0)、フリーズ発生契機払出枚数分の遊技メダルの払い出しが終了しとして、払出フリーズ演出の発生に係る後述のステップS520の「払出フリーズ中処理」に進む。なお、この「払出フリーズ中処理」は、遅延発生契機枚数(フリーズ発生契機払出枚数)の払い出しが終了した後、前記払い出し動作を所定の遅延時間中断する遅延発生契機枚数払出後遅延制御手段として機能する。
フリーズ発生契機払出枚数データがゼロでない場合(ステップS513:≠0)、続いて、クレジット枚数が最大クレジット枚数(本実施形態では、50枚)であるか否かを判定し(ステップS514)、最大クレジット枚数であるか否かに応じて、最大クレジット枚数でない場合(ステップS514:≠MAX)の「ステップS514〜S519」の処理ルートか、最大クレジット枚数である場合(ステップS514:=MAX)の「ステップS521〜S524」の処理ルートを行う。
上述の最大クレジット枚数でない場合の「ステップS515〜S519」の処理ルートは、図13のメダル払出枚数監視処理中のステップS404〜S408の処理に相当するもので「入賞時クレジット加算処理(ここでは、ステップS515〜S518)」を行う処理ルートである。また最大クレジット枚数である場合(ステップS514:=MAX)の「ステップS521〜S524」の処理ルートは、同図のステップS413〜S416の処理に相当するもので「入賞時遊技媒体払出処理(ここでは、ステップS521〜S524)」を行う処理ルートである。
ただし、この払出フリーズ前払出制御処理では、フリーズ発生契機払出枚数データを監視対象としている関係上、図13のステップS408とステップS414の処理に相当する「フリーズ前払出メダルカウント処理(S518、S522)」の処理内容が異なるので、この点について説明し、その他の処理内容は同じ処理内容であるので、重複記載を避けるために省略する。
(1−8−1.フリーズ前払出メダルカウント処理:図19)
図19を参照して、図18のフリーズ前払出メダルカウント処理(ステップS518、S522)の詳細について説明する。図19は、フリーズ前払出メダルカウント処理を示すフローチャートである。
図19において、主制御部400は、まず、図14の払出メダルカウント処理を呼び出して、これを実行する(ステップS591)。これにより、通常時の払い出し処理(払出フリーズ未発生時の処理(図13のステップS404〜S408))と同じように、払出枚数表示器87による表示が‘+1’ずつカウントアップ表示されていく。
次いで、フリーズ発生契機払出枚数データを1減算し(ステップS592)、フリーズ前払出メダルカウント処理を抜ける。なお、ステップS591のサブルーチンは、図14の「払出メダルカウント処理(ステップS408、ステップS414)」と共通の処理ルーチンとなっており、本実施形態では、払出メダルカウント処理を共通化してフリーズ演出に係る処理負担を軽減するようにしている。
また、このフリーズ前払出メダルカウント処理では、払出枚数データとともに、フリーズ発生契機払出枚数データがデクリメント更新されるので(図14の払出メダルカウント処理中のステップS433参照)、フリーズ発生契機払出枚数データがゼロになったとき(ここでは、6枚の遊技メダルの払い出しが終了したとき)の払出枚数データ値は上記「残余払出枚数(後半払出枚数:配当12枚−6枚=6枚)」を指定する。したがって、このときの払出枚数データが、フリーズ後に払い出すべき遊技メダル枚数を指定するデータ(残余枚数データ)となり、このデータは、後述の図13の残余枚数払出制御処理(ステップS511)において利用される。
再び図18の払出フリーズ前払出制御処理の説明に戻る。
上記したステップS518の「フリーズ前払出メダルカウント処理」を終えると、次に、フリーズ発生契機払出枚数データであるか否かを判定する(ステップS519)。フリーズ発生契機払出枚数データがゼロでない場合(ステップS519:≠0)、フリーズ発生となる払い出し枚数に達していないとして、ステップS514の処理に戻る。このようにして、ステップS514〜S519の処理を繰り返すと、クレジットが最大クレジット枚数(50枚)に達するか、フリーズ発生となる払出枚数がゼロとなる。そこでフリーズ発生となる払出枚数がゼロとなった場合には(ステップS519:=0)、払出フリーズの発生条件を満たしたとして、後述のステップS520の「払出フリーズ中処理」を行う。
一方、クレジット枚数が最大クレジット枚数である場合(ステップS514:=MAX)、遊技機内部から実物の遊技メダルの払い出しを行うための上記「入賞時遊技媒体払出処理(図13のメダル払出枚数監視処理中のステップS413〜S416)」に相当するステップS521〜S524の処理を行う。
ここでのホッパーユニット500を利用した遊技メダル払出動作は、既に説明した図13の残余枚数払出制御処理中のステップS413の「払出センサチェック処理」と、ステップS518の「フリーズ前払出メダルカウント処理」とで実現され、フリーズ発生契機払出枚数データがゼロとなるまで(ステップS523:≠0)、これらの処理が繰り返される(ステップS521〜S523)。
ただし、ステップS521の「払出センサチェック処理」は、既に説明した図15の「払出センサチェック処理」と次の点が異なる。具体的には、図15の払出センサチェック処理中のホッパーエラー管理処理(ステップS465)において、ステップS487のホッパーエラー報知処理(図16参照)の処理内容が異なる。
ステップS521の「払出センサチェック処理」では、ホッパータンク14が空状態となった場合、上記ホッパーエラー報知処理(図16のステップS487参照)において、前半払出エラー発生フラグがON状態(5AH)に設定される。この前半払出エラー発生フラグは、フリーズ発生契機払出枚数分が払い出される前、つまり払出フリーズが発生する前に、ホッパータンク14が空状態となったことを指定するフラグである。前半払出エラー発生フラグは、後述のステップS520の「払出フリーズ中処理」において利用される。
そして、フリーズ発生契機払出枚数分(6枚)の払い出しを終えると(ステップS523:=0)、払出フリーズの発生条件を満たしたとして、メダル払出制御信号をOFF状態にし(ステップS524)、ステップS520の「払出フリーズ中処理」を行う。
(1−8−2.払出フリーズ中処理:図20)
図20を参照して、図18の払出フリーズ中処理(ステップS520)の詳細について説明する。図20は、払出フリーズ中処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、払出フリーズ(フリーズ5)を発生させる際、遊技メダルの払出動作の進行を中断させる、といったフリーズ状態を利用して、図31Aに示すような、「ホッパーエラー」が生じたように見せ掛ける「疑似ホッパーエラー演出(第1の払出フリーズ中演出:以下、「疑似HE演出」と略す)」を現出して、遊技者に対して「ホッパーエラー」が生じたと勘違いを誘い、意表を突く形でインパクトのあるフリーズ演出を現出させることで、フリーズ演出の演出効果を高めている。
なお本実施形態の場合、所定の条件に応じて、複数種類の払出フリーズ演出を現出可能に構成している。具体的には、少なくともクレジット枚数に応じて、異なるフリーズ演出を現出可能に構成してあり、ここでは、フリーズを開始する際のクレジット枚数と、前半払出フリーズ発生フラグのON/OFF状態、つまりフリーズ発生前に(正確には、フリーズ発生契機枚数分の遊技メダルの払い出し動作開始後、払出フリーズ前の期間中)、ホッパーエラーが生じたか否かによってフリーズ演出態様を異ならせている。このように、クレジット枚数とフリーズ発生前にホッパーエラーが生じたか否かとによってフリーズ演出を異ならせる理由は次の通りである。
本実施形態では、ホッパーエラーを装う上記「疑似HE演出」という特殊なフリーズ演出を設けているが、クレジット枚数とは無関係に払出フリーズを発生させると次のような問題が生じる。
フリーズ発生契機払出枚数分の払い出しを終えた段階でクレジット枚数が最大クレジット枚数に達していないにもかかわらず、遊技機内の遊技メダルが空状態になったという「ホッパーエラー」が生じるという事態は、バグ等の極めて稀なケースを除外すれば、通常はあり得ない。したがって、最大クレジット枚数未満の場合に上記「疑似HE演出」を現出させてしまうと、遊技に慣れた遊技上級者ほど、直ちに、「空状態でないのにホッパーエラーが生じた」という矛盾した状態であることに気がつかれてしまい、結果的に、払出フリーズが発生したことが露呈してしまうことになる。
上記「疑似HE演出」を現出させる最大の目的は、遊技者に対して「ホッパーエラー」が生じたと勘違いを誘い、意表を突く形でインパクトのあるフリーズ演出を現出することである。理想的なケースとしては、「疑似HE演出」を見た遊技者が「ホッパーエラー」が生じたと勘違いし、エラー解除のためにホール店員を呼ぼうとして、遊技機の上方に設置されているようなデータカウンタ装置(不図示)が装備する「コールボタン(店員呼出ボタン)」を押そうとした矢先に、爆発音や閃光演出などのインパクトのあるフリーズ演出が現出されて、遊技者が意表を突かれて驚嘆するケースである。したがって、遊技者に偽のホッパーエラー報知であるということを悟られずに、真のホッパーエラー報知と勘違いさせる点に、「疑似HE演出」を現出させる意義がある。
そこで本実施形態では、クレジット枚数が最大クレジットである場合、上記疑似HE演出を現出させるようになっている。
また本実施形態では、フリーズ発生前に、ホッパーエラーが生じたか否かも上記疑似HE演出を現出させる条件としている。その理由は次の通りである。
フリーズ発生契機払出枚数分の遊技メダルの払い出し中に、真のホッパーエラーが生じた場合(払出センサチェック処理(図18のステップS521、図13のステップS413、図13のステップS465、図15、図16等参照))、ホール店員により遊技機内部(回胴設定基板430)に設けられたエラー解除スイッチ(不図示)が操作されて解除されるが(図15のステップS461参照)、詳細には、次のようエラー解除手順により、ホッパーエラーを解除している。
ホッパーエラーが生じた場合、ホール店員により前扉2が開放され、ホッパータンク14に遊技メダルが補充される。次いでエラー解除スイッチが操作されると、払い出し動作が再実行され(図15のステップS461の判定結果‘ON’の処理ルート)、残りの遊技メダルがメダル排出口57から払い出される。この払い出される遊技メダルは、通常、ホール店員により回収されてメダル受け皿18に入れられる。そして前扉2が閉じられて、これによりホッパーエラーが解除される。なお、遊技機には、不正行為防止のために、前扉2の開閉状態を検出する扉開放検出手段(扉開放センサ)により検出されるようになっており、前扉2が開状態を維持している間は、扉開放検出手段からの検出情報に基づいて、所定のエラー処理(扉開放エラー)が発生する。したがって、実際には、ホッパーエラーが生じた場合には、ホッパーエラーの解除と扉開放エラーの解除とがなされて、遊技機全体に生じているエラーが解除されることになり、エラーが完全に解除されたことをホール店員が確認しているのが実情である。
上記のようにしてホール店員によりホッパーエラーが解除された後、すぐさま再びホッパーエラーが生じるという事態は、バグ等の極めて稀なケースを除外すれば、通常はあり得なものと考えられる。仮に真のホッパーエラーを解除した後、すぐさま上記「疑似HE演出」を現出させた場合は、遊技に慣れた遊技上級者ほど、矛盾した状態であることに気がつかれてしまい、結果的に、払出フリーズが発生したことが露呈してしまうことになる。また疑似的なエラー報知とはいえ、すぐさまホッパーエラーが生じたことを報知してしまうと、真のホッパーエラーを解除したホール店員が、連続してホッパーエラーが生じたという異常事態である勘違いして、前扉2を再開放して遊技機内部を検査してしまうことも考えられる。このような無駄な作業・時間消費は、パチンコホール側にとっても遊技者側にとっても好ましくない。そこで本実施形態では、払出フリーズ発生前段階において、真のホッパーエラーが生じていない場合に、上記疑似HE演出を現出させるようになっている。
一方、クレジット枚数が最大クレジット枚数でない場合か、または払出フリーズ発生前段階でホッパーエラーが生じた場合は、上記疑似HE演出を現出する必要性に乏しいため、疑似HE演出に替えて、これとは異なる「通常払出フリーズ中演出(第2の払出フリーズ中演出)」を現出するようになっている(詳細は後述する)。この通常払出フリーズ中演出は、疑似HE演出のようにホッパーエラーが発生したことを装う、といった演出内容である必要がないため、払出フリーズが発生したことを遊技者が知得可能な演出態様(払出フリーズが発生したことを報知しうる演出態様)となっており、その演出態様は、たとえば「遊技者参加型演出」となっている。
以上の理由により本実施形態では、疑似HE演出の現出条件として、最大クレジット枚数でなく、フリーズ発生前にホッパーエラーが生じていないことを条件としている。
そこで本実施形態では、図20において、主制御部400は、まずクレジット枚数が最大クレジット枚数であるか否かを判定し(ステップS531)、最大クレジット枚数である場合には(ステップS531:=MAX)、次いで、クレジット枚数が前半払出フリーズ発生フラグのON状態(5AH)であるか否かを判定し(ステップS532)、前半払出フリーズ発生フラグがON状態でない場合(ステップS532:≠5AH)、疑似HE演出の現出条件が成立したものとして、疑似HE演出の開始を指定する「疑似HEフリーズ開始コマンド」をセットし(ステップS533)、疑似HE演出に対応するフリーズ時間をフリーズタイマにセットする(ステップS534)。そして、そのフリーズ時間分待機する「特別指定数割込待機処理」を行う(ステップS535)。この特別指定数割込待機処理では、フリーズ時間分待機する指定数割込待機処理や、所定時間経過後、払出枚数表示器87に所定のエラーコードを表示させるための表示制御処理(特定表示部制御処理)を行う。なお、特定表示部制御処理については後述する。
上記疑似HEフリーズ開始コマンドは「フリーズ開始コマンド」と同じ働きをするものであり、このコマンドが主制御部400側から演出制御部410側へと送信されると、演出制御部410側では、疑似HE演出(サブ側フリーズ中演出)を現出するための演出制御処理を行う。たとえば、図27(イ)に示すように、疑似HEフリーズ開始コマンドを受信したことに基づいて、疑似HE演出用の演出シナリオをセットし、そのシナリオ基づいて、演出を現出制御する。これにより、主制御部400側によるフリーズ状態の実行に伴い、演出制御部410側によるサブ側フリーズ中演出として「疑似HE演出」が現出される。
(疑似HE演出について:図31A)
図31Aを参照して、上記「疑似HE演出」について説明する。図31Aに、たとえばCAベル1が当選した場合に疑似HE演出が現出されるケースを例示する。
図31Aを参照して、全回胴が停止した場合(同図(A))、主制御部400側では、CAベルに係る「中段ベル揃い(配当:遊技メダル12枚)」が入賞したことに基づいて、今回の払い出し枚数(配当12枚)に基づくフリーズ発生契機払出枚数(図示には、前半枚数と略記:たとえば6枚)を決定し、その枚数分の遊技メダルを払い出すための払い出し動作を開始する(同図(B))。このとき、演出制御部410では、中段ベル揃いの入賞に起因して(入賞情報コマンドに基づいて)、その入賞に対応した入賞演出(たとえば、入賞音や光演出など)を現出する。また遊技メダルの払い出し中は、ベル揃いに係る入賞演出と、遊技メダルの払い出しごとにメダル払出音が現出されることになる。つまり、入賞演出とメダル払出音とが重複的に発生しうる。
なお、既に説明したように、遊技者の意表を突くようなフリーズ演出を現出させるには、フリーズ5の発生を遊技者に予測させないことが好ましい。そのため、予告演出や入賞演出については、CAベル(ここでは、CAベル1)に対応した専用の演出を現出させるのではなく、たとえば、AT1が当選したときと同じ入賞演出を現出させることが好ましい。本実施形態では、CAベル1〜2とAT1に係るベル揃い(中段ベル揃い)の押し順を同一(順押し)としているため、演出上からCAベル当選を秘匿すれば、ベル揃いが出現したときであっても、遊技者に対してCAベルに当選したのかAT1に当選したのかの判別を不明確とすることができる。特に、通常時では、ペナルティを設けて遊技者に正規手順を実行させるようにしているので、演出上からCAベル当選を秘匿すれば、CAベルの判別は実質不可能になる。
次いで、主制御部400側では、フリーズ発生契機払出枚数(前半枚数)である遊技メダル6枚の払い出し動作が終了した場合、遊技メダルの払い出し動作を中断してフリーズ状態(フリーズ5実行開始)に制御する(同図(D)、図18のステップS520、図20のステップS533〜S534)。
またフリーズの開始に伴い、演出制御部410側では上記した「疑似HE演出」の実行を開始する(同図(D))。この疑似HE演出では、疑似的なホッパーエラーを装うために、その一環として、同図(D−1)に示すように、まず「偽のホッパーエラー報知前の演出態様(以下、「偽のHE開始前演出」と略す)」として、入賞演出を所定時間現出しておき、その所定時間経過後、同図(D−2)に示すように、真のホッパーエラー(図16のステップS487参照)が生じたときに現出される「真のホッパーエラー報知」に係る報知(演出)態様(以下、「真のHE報知演出」と略す:図31B(D)参照)と少なくとも一部が共通する演出態様、本実施形態では、真のHE報知演出と同一または実質的同一(酷似する)演出態様である「偽のホッパーエラー報知演出(疑似HE演出)」を現出する。なお、図示では、画像表示演出の一例を示しているが、ホッパーエラー報知に係る音演出・光演出も重複的に現出されうる。
(偽のHE開始前演出について)
ここで本実施形態では、上記「偽のHE開始前演出」を次のような演出態様としている。
真のホッパーエラーが生じる場合には、ホッパータンク14が空状態と判定される時間は2500ms〜2600ms程度(以下、「HE判定時間」と称する)となっている(図15のステップS452、S465(ホッパーエラー管理処理)、S465の詳細を示す図16参照)。ここで、フリーズ発生契機払出枚数(前半枚数)分の遊技メダル払い出し終了後、上記HE判定時間経過後に、直ちに、図示(D−2)に示すような「偽のHE報知演出」を現出しても良い。しかし演出上、遊技者を効果的に欺瞞するために、疑似HE演出が現出された際には、より真のホッパーエラーが生じたように見せかけることが好ましい。
そこで本実施形態では、全回胴停止後から現出される入賞演出をフリーズ開始後も違和感を与えることなく所定時間継続して現出する一方で、フリーズ開始に伴い現出される上記偽のHE開始前演出においては、当該継続中の入賞演出ともに、所定のタイミングで「偽のメダル払出音」を少なくとも1回(たとえば、1〜2回程度)現出させる、といった演出シナリオとしている。この場合、偽のメダル払出音が現出された後、HE判定時間経過後に(複数回発生させる場合は、最後の偽のメダル払出音現出後、HE判定時間経過後に)、同図(D−2)に示すような「偽のHE報知演出」を現出させるようにしている。これについて、真のホッパーエラーが生じてホッパーエラー報知が発生するケースを踏まえて、以下詳述する。
ホッパータンク14に遊技メダルがある程度残存している場合には、遊技メダルの払い出中において、入賞演出に係る入賞演出(ここでは説明の便宜上、「ティロティロティロ・・・」のような入賞音だけが発生すると仮定する)と、メダル払出音(ここでは、1枚当り「ドゥル」のような払出音とする)とが重複的に発生される。そして、ホッパータンク14が空状態になると、ホッパーエラーであると判定されるまでの間(HE判定時間が経過するまで)、メダル払出音は現出されないため、入賞演出に係る入賞音「ティロティロティロ・・・」が継続して現出される。
ここで、ホッパータンク14が空状態に近づいて残余遊技メダルが数枚程度になると、ホッパーユニット500の排出用ディスクが回転しながら遊技メダルを捕捉する関係上、実際には、遊技メダルが払い出される間隔が通常よりも長くなり、上記「ドゥル」というメダル払出音が、通常よりも1秒〜2秒程度遅延発生する、といった現象がしばしば起こる。
このような遊技メダルの払い出しに関する事象に着目し、「偽のHE開始前演出」では、入賞演出とともに、所定のタイミングで「偽のメダル払出音」を1〜2回程度遅延発生させて真のホッパーエラーが生じたように装う、といった演出シナリオとしている。このような偽のメダル払出音が現出するようにしても、メダル受け皿18に遊技メダルが払いだされたことを遊技者が注意深く観察していない限り、偽のメダル払出音と悟られることはないので、特に問題は生じないと考えられる。ただし、偽のメダル払出音の現出回数が多いほど、偽のメダル払出音と悟られ易くなるので、1〜2回程度であることが好ましい。
(HE報知演出について)
再び図31Aの説明に戻り、同図(D−1)に示す「偽のHE開始前演出」を所定時間現出した後、続いて同図(D−2)に示す「偽のHE報知演出」を現出させる。この「偽のHE報知演出」とは、真のホッパーエラーが生じた場合に現出される「真のHE報知演出」と実質的同一、好ましくは同一の報知態様(演出態様)であり、「疑似的なホッパーエラー報知演出」である。本実施形態では、上記偽のHE開始前演出と偽のHE報知演出との一連の演出シナリオにより、遊技者に対し、真のホッパーエラーが生じたと思わせることができるようになっている。
(疑似エラーコード表示について(特定表示部制御処理:図20のステップS535))
特に本実施形態では、より真のホッパーエラーが生じたように装うべく、上述のような「偽のHE報知演出」とともに、払出枚数表示器87に特定のエラーコードを表示可能な構成となっている。ここでの「特定のエラーコード」とは、真のホッパーエラーが生じたときと実質的同一、好ましくは同一のエラーコード(本実施形態では「HE」の表示)であり、「疑似的なホッパーエラーに対応するエラーコード(偽のエラーコード)」である。これにより、演出手段による演出上だけで偽のホッパーエラーを表現するよりも、さらに効果的に真のホッパーエラーが生じたように装うことができる。
ここで、図20のステップS535の処理における「特定表示部制御処理」の処理内容について詳細に説明する。
主制御部400は、フリーズタイマを監視して、払出フリーズが開始してから所定時間経過後に、払出枚数表示器87に上記特定のエラーコード‘HE’を表示させる。なおここでの「所定時間」とは、払出フリーズが開始してから偽のHE報知演出が開始されるまでの時間幅、つまり「偽のHE開始前演出」の演出時間に相当する時間幅となっている。これにより、払出枚数表示器87に上記特定のエラーコード‘HE’が表示されるとともに、偽のHE報知演出が開始されるので、真のホッパーエラーが生じたときのように装うことができる。
上記特定表示部制御処理において、主制御部400側と演出制御部410側とがそれぞれ独立してエラーコード‘HE’表示処理と、偽のHE報知演出の演出処理を実行する構成、つまり、主制御部400側と演出制御部410側とで払出フリーズが開始してからの経過時間をそれぞれ独立して計時する構成とし、払出フリーズが開始してから所定時間経過後に主制御部400側ではエラーコード‘HE’表示する表示処理を行い、演出制御部410側では、偽のHE報知演出の現出制御処理を行う構成とすることができる。しかし、より簡易な制御方法として、主制御部400側において払出フリーズが開始してからの経過時間を計時し、所定時間経過した場合に、特定の演出制御コマンド(偽HE開始コマンド)を演出制御部410側に送信し、これを演出制御部410が受信した場合、実行中の「偽のHE開始前演出」を終了させ、「偽のHE報知演出」を現出させるように構成しても良い。
なお、偽のHE報知演出は、真のホッパーエラーが如く装うことにその目的・意義があるために、真のHE報知演出と同一の演出態様であることが好ましいが、必ずしも同一の演出態様ではなく、ゲーム性に応じて、実質的同一の演出態様を採用することができる。ここでいう、偽のHE報知演出と真のHE報知演出とが「実質的同一の演出態様」とは、同一ではないが、両者を比較した場合に見分けがつき難い程度の演出態様(類似、酷似する演出態様)を指し、たとえば、(D−2)に示す画像表示演出の「係員をお呼び下さい」の文字色の全部または一部が微妙に異なるもの(たとえば、「猩々緋と赤色」、「緑黄色と鶸色」など)、文字の全部または一部の書体(たとえば、文字の太さや形状)が微妙に異なるものを指す。また音演出の場合には、音の音量の高低や音色の違いであり、光演出の場合には、発光色や発光パターン(たとえば、点滅速度)の違いなどである。
偽のHE報知演出と真のHE報知演出とを実質的同一の演出態様とした形態の場合、次のような効果を奏することができる。
遊技に不慣れな遊技初心者や中間レベルの遊技中級者の多くは、払出フリーズが発生した際に偽のHE報知演出が現出されることや、偽のHE報知演出と真のHE報知演出との違いを知識として有していない場合が多く、偽のHE報知演出が現出された場合には、真のホッパーエラーが生じたと勘違いする可能性が高いと考えられ、これら遊技者に対しては、「疑似HE演出」の本来の目的(真のホッパーエラー報知と勘違いさせる)が達成されるものと考えられる。しかし、遊技に熟練した遊技上級者の場合、その多くは、払出フリーズが発生した際に偽のHE報知演出が現出されることを知っている可能性が高く、また偽のHE報知演出と真のHE報知演出との違いを知識として有している場合が多い。このため、HE報知演出が現出された場合、遊技上級者は、その演出態様を注意深く観察して、偽のHE報知演出であると見抜く可能性が高い。
つまり、遊技初心者〜遊技中級者に対しては「疑似HE演出」の本来の目的(遊技者の意表を突くフリーズ演出)が達成される可能性が高く、一方、遊技上級者に対しては疑似HE演出であることを見抜く(偽のHE報知演出であることを見抜く)楽しさを与え、偽のHE報知演出であると見抜いた場合には、特典が付与されること、または特典が付与される可能性が高いことを事前に知得することができる(たとえば、AT抽選に当選したこと(疑似ボーナス当選)や、上乗せ抽選で上乗せゲーム数が得られたことなど、またはAT抽選に当選した可能性が高いこと、上乗せ抽選で上乗せゲーム数が得られた可能性が高いことなどを事前に知ることができる)。このように、遊技者の熟練度や経験に応じて異なる楽しみ・面白さを与えることができる。これにより、遊技初心者〜遊技上級者まで幅広い遊技者層の遊技興趣を高めることができる。
また払出枚数表示器87(7セグメント表示器)に表示するエラーコードについても、必ずしも真のホッパーエラーのエラーコード(本実施形態では「HE」)と同一の表示態様ではなく、偽のエラーコードとして、異なる表示態様を採用することができる。この場合、真のホッパーエラーのエラーコードと実質的同一のエラーコード表示(とすることが好ましい。ここでいう、「実質的同一のエラーコード表示」とは、同一ではないが、両者を比較した場合に見分けがつき難い程度の標示態様(類似、酷似する演出態様)を指し、たとえば、真のエラーコード「HE」に対して、偽のエラーコードをドット付の「HE.」や「H.E」のように、微妙に異なる表示態様とする。この場合にも、上述した偽のHE報知演出を真のHE報知演出と実質的同一の演出態様とするケースと同じ効果を期待することができる。なお、偽のHE報知演出を真のHE報知演出と同一とし、偽のエラーコードを真のホッパーエラーのエラーコードを同一または実質的同一とすることもできるし、偽のHE報知演出を真のHE報知演出と実質的同一とし、偽のエラーコードを真のホッパーエラーのエラーコードを同一または実質的同一とすることもできる。いずれを採用するかは、適宜決定することができる。
ところで上記偽のHE報知演出が現出されとき、これを真のホッパーエラーが生じたと勘違いした遊技者は、コールボタン(店員呼出ボタン)を押して、ホール店員にエラー解除を依頼しようとすることが予想される。このとき、遊技者が実際に上記コールボタンを押してしまうと、ホール店員を呼び出してしまうことになるので好ましくない。そこで、遊技者がホッパーエラー報知を確認してから上記コールボタンを押すまでの一般的な動作時間を考慮し、偽のHE報知演出の演出時間幅を数秒〜5秒程度に定めることが好ましい。
上記偽のHE報知演出の現出時間(報知時間)の経過後、疑似HE演出の一環として、同図(D−3)に示すような「特典付与報知演出」が現出される。この特典付与報知演出では、たとえば、現出中の偽のHE報知画像をブラックアウトして、特典が付与された旨を報知する画面表示を現出し、また必要に応じて、遊技機の適所に設けられた可動体役物(不図示)を作動させ、インパクトのある音(音響・音声)演出や光演出を現出させる。
この特典付与報知演出は、所定の遊技情報を報せる演出となっている。なおここでは、特典が付与されることを報知する演出態様(図示では、AT抽選当選(疑似ボーナス当選)を報せる「BONUS GET!!」の画像表示演出)を例示しているが、場合により(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選に非当選だった場合)、特典が付与されなかったことを報知する演出態様であっても良い。もっとも払出フリーズという特殊なフリーズ演出の観点からは、何らかの特典が付与されることを報知しうる演出であることが好ましい。したがって、AT抽選や上乗せ抽選に非当選であった場合は、疑似HE演出に替えて、後述の通常払出フリーズ中演出を現出させることができる。
上記特典付与報知演出はフリーズ時間終了とともに終了し、これにより、フリーズ5に係る疑似HE演出が終了して(同図(E))、残余払出枚数分(図示には後半枚数と略記:ここでは、残余枚数6枚)に対する払い出し動作が開始されることになる。
再び図20の説明に戻り、最大クレジット枚数でない場合(ステップS531:≠MAX)か、または前半払出フリーズ発生フラグがON状態である場合(ステップS532:=5AH)、疑似HE演出の現出条件が未成立であるとして、通常払出フリーズ中演出の開始を指定する「通常払出フリーズ開始コマンド」をセットし(ステップS536)、通常払出フリーズ中演出に対応するフリーズ時間を「フリーズタイマ」にセットし(ステップS537)し、前半払出エラー発生フラグのクリア処理(前半払出エラー発生フラグ←00H)を行い(ステップS538)、そのフリーズ時間分待機する「指定数割込待機処理」を行う(ステップS539)。なお、通常払出フリーズ中演出に対応するフリーズ時間は、上記疑似HE演出に対応するフリーズ時間と同じであっても良く、どのようなフリーズ時間を採用するかは、各フリーズ演出の演出時間幅に応じて適宜変更することができる。
上記通常払出フリーズ開始コマンドは「フリーズ開始コマンド」と同じ働きをするものであり、このコマンドが主制御部400側から演出制御部410側へと送信されると、演出制御部410側では、通常払出フリーズ中演出(サブ側フリーズ中演出)を現出するための演出制御処理を行う。たとえば、図27(ロ)に示すように、通常払出フリーズ開始コマンドを受信したことに基づいて、通常払出フリーズ中演出用の演出シナリオをセットし、そのシナリオ基づいて、演出を現出制御する。これにより、主制御部400側によるフリーズ状態の実行に伴い、演出制御部410側によるサブ側フリーズ中演出として「通常払出フリーズ中演出」が現出される。
(通常払出フリーズ中演出:図31B)
図31Bを参照して、上記「通常払出フリーズ中演出」について説明する。図31Bに、たとえばCAベル1が当選した場合に通常払出フリーズ中演出が現出されるケースを例示する。なお図31Aにて説明した内容と実質的に同じ内容については重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図31Bを参照して、全回胴が停止した場合(同図(A))、主制御部400側では、フリーズ発生契機払出枚数分(前半枚数6枚分)の遊技メダルを払い出すための払い出し動作を開始する(同図(B))。このとき、演出制御部410では、中段ベル揃いの入賞に対応した入賞演出と、遊技メダルの払い出しごとにメダル払出音を現出させる。
ここで、フリーズ発生契機払出枚数分(前半枚数6枚分)を払い出し終える前に、ホッパータンク14が空状態となりホッパーエラーが生じた場合、ホッパーエラー報知処理の一環として、同図(D)に示すようなホッパーエラー報知演出を現出して、遊技機内部の遊技メダルが空状態になったことを報知する(同図(D)、図15のステップS465、図16のS487)。ここでのホッパーエラー報知演出は、実際に空状態となっていることを報知する「真のホッパーエラー報知(真のHE報知演出)」である。
そして、ホール店員によりホッパーエラーが解除され(同図(E)、図15のステップS461:OFF)、払い出し動作が再開されてフリーズ発生契機払出枚数分の遊技メダル払い出しが終了した後、遊技メダルの払い出し動作を中断してフリーズ状態に制御する(フリーズ5実行開始:同図(F)、(同図(D)、図18のステップS524およびステップS520)。
またフリーズの開始に伴い、演出制御部410側では「通常払出フリーズ中演出」の実行を開始する(同図(G))。本実施形態では、既に説明したように、クレジット枚数が最大クレジット未満か、または払出フリーズ発生前段階でホッパーエラーが生じた場合には、疑似HE演出ではなく、この通常払出フリーズ中演出を現出させるようになっている。
上記通常払出フリーズ中演出では、たとえば、同図(G−1)および(G−2)に示すような、特典の付与可能性がある旨を示す「期待演出」となっており、期待演出の一環として、フリーズ中操作時演出を現出させ(同図(G−2))、これにより、特典付与の有無(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選の当否)や、特典を付与する場合にはその特典の内容・種類(たとえば、上乗せ抽選当選時の上乗せゲーム数)などを報せる演出態様となっている。なお、通常払出フリーズ中演出は、回胴演出(フリーズ中メイン側演出)および/または演出手段による演出(フリーズ中サブ側演出)とすることができる。
ここでは、まず同図(G−1)に示すように、AT抽選当選(疑似ボーナス当選)してAT移行の可能性がある旨を示す「BONUS?」の画像表示演出を現出し、この画像表示演出中の所定の操作受付有効期間内において所定の操作手段(たとえば、MAXベットボタン8や、回胴回転停止ボタン12など)を操作した場合に、同図(G−2)に示すように、上記フリーズ中操作時演出として「GET!!」の画像表示演出を現出させるとともに、派手な音演出や光演出を現出させたインパクトのある演出により、AT移行権利を獲得したことを報知する。なお、図示では画像表示演出の一例を示しているが、当然に、音演出・光演出も現出可能である。
(フリーズ中操作時演出の制御:フリーズ中操作コマンド送信処理(図20のステップS539))
なお、上記(G−2)のようなフリーズ中操作時演出については、指定割込数待機処理(ステップS539)中において、以下に説明する「フリーズ中操作コマンド送信処理」により現出される。
フリーズ中操作時演出の発生契機となる操作手段(トリガー手段として作用する操作手段)が、主制御部400側で管理される特定の操作手段である場合、主制御部400は、まずフリーズ時間内に「フリーズ中操作時演出」の発生対象となる操作が行われたか否かを判定する。なお、上述の特定の操作手段は、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12(12a、12b、12c)、MAXベットボタン8、および1ベットボタン9のうちの少なくとも1つの操作手段を採用することができる。
ここでは、遊技進行目的とする操作手段の操作があったか否かの判定をなすこととは別に、フリーズ中において、特定の操作手段(手操作スイッチ類)の操作について、その操作があったか否かを判定する。たとえば、仮に、全回胴停止前フリーズ演出(フリーズ2、フリーズ3)中である場合には、第1・第2停止操作により発生したフリーズ中であれば、そのフリーズ発生契機となる停止操作により停止した回胴に係る以外の回胴について、遊技進行目的の次の停止操作があったか否かの判定をなすこととは別に、当該フリーズ中において、操作手段(手操作スイッチ類)の操作について、その操作があったか否かを判定することになる。
操作手段からの操作信号が入力されたか否かは、主制御部400における「主制御部側タイマ割込処理のポート入力処理(後述の図22のステップS42)」で監視されており、この操作信号入力の監視機能はフリーズ中であっても有効に働いている。したがってフリーズ演出中(フリーズ状態中)は、遊技進行を目的とする操作があってもこれについては無効化されているが、その操作に対応した「フリーズ中操作コマンド」が演出制御部410側に送信される。
したがって、フリーズ中操作時演出の発生契機に係る対象操作があったか否かについては、主制御部400側では特定の操作手段からの操作信号が入力されたか否かにより、他方、演出制御部410側では、その操作信号に対応した「フリーズ中操作コマンド」を受けることにより知ることができるようになっている。これにより、フリーズ演出にフリーズ中操作時演出のシナリオが組み込まれている場合には、演出制御部410が上記フリーズ中操作コマンドに基づくフリーズ中操作時演出を現出させる。また必要に応じて、主制御部400側では、操作信号に基づく回胴演出に係るフリーズ中操作時演出を現出する。
そして、フリーズタイマの値がゼロになってフリーズ時間が終了した場合には、主制御部400側から「フリーズ終了コマンド」が送信され、演出制御部410側では、このフリーズ終了コマンドを受信して、今回の通常払出フリーズ中演出を終了させる。
これによりフリーズ5が終了して(同図(E))、残余払出枚数分(残余枚数6枚)に対する払い出し動作が開始されることになる(後述の図21参照)。
なお他のフリーズ1〜4についても、上述のフリーズ中操作時演出に関する処理(フリーズ中操作時演出処理)を実行させることにより、フリーズ中操作時演出を現出させることができる。この場合、フリーズ1のようなレバー操作時フリーズ種別であれば、図9のステップS109や図10のステップS175の指定数割込処理中において、またフリーズ2であれば図11のステップS207の全回胴停止前フリーズ演出処理中において、フリーズ3であれば図11のステップS209の全回胴停止後フリーズ演出処理中において、上述のフリーズ中操作時演出処理を実行させるように構成すれば良い。
(1−9.残余枚数払出制御処理:図21)
次に図21を参照して、図17のステップS502の残余枚数払出制御処理の詳細について説明する。図21は、残余枚数払出制御処理を示すフローチャートである。なお、この残余枚数払出制御処理について、図13のメダル払出枚数監視処理と実質的に同じ処理内容については、重複記載を避けるために適宜省略しながら説明する。
図21において、主制御部400は、まず払出枚数データを取得し、払い出し枚数がゼロであるか否かを判定する(ステップS551)。ここで取得される払出枚数データは、残余枚数(後半枚数)を指定する払出枚数データ(以下、「残余枚数払出データ」と称する)となっている(図19のフリーズ前払出メダルカウント処理中のS591参照)。したがって、残余枚数払出制御処理では、この残余枚数払出データを監視して、残余枚数払出データがゼロになるまで、クレジット枚数に応じて、ステップS553〜S557の処理か、またはステップS560〜S563の処理を行う。
(入賞時クレジット加算処理:ステップS553〜S557)
ここで、クレジット枚数がクレジット枚数未満である場合は(ステップS552:≠MAX)、「ステップS553〜S557」の処理を行う。このステップS553〜S557を辿る処理ルートは、既に説明した、図13のメダル払出枚数監視処理中のステップS404〜S409の処理(入賞時クレジット加算処理)に相当するので、重複記載を避けるために、その詳細な説明は省略する。
(入賞時遊技媒体払出処理:ステップS560〜S563)
また、クレジット枚数が最大クレジット枚数である場合は(ステップS552:≠MAX)、「ステップS560〜S563を」の処理を行う。このステップS560〜S563を辿る処理ルートは、既に説明した、図13のメダル払出枚数監視処理中のステップS413〜S416の処理(入賞時遊技媒体払出処理)に相当するので、重複記載を避けるために、その詳細な説明は省略する。
上記入賞時クレジット加算処理または上記入賞時遊技媒体払出処理が終了した後は、ステップS558の払出中フラグを初期状態(00H)に戻す処理、ステップS559の払出終了コマンドをセットする処理、ステップS564の満杯エラー判定処理を順次行う。これらは図13のメダル払出枚数監視処理中のS411〜S413の処理内容と同じ処理内容であるので、重複記載を避けるために、その詳細な説明は省略する。
以上により残余枚数払出制御処理を終えると、図8のステップS22の再遊技設定処理に進む。
(2.主制御側タイマ割込処理:図22)
次に図22を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図22は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1.5ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図22において、主制御部400は、まずタイマ割り込みが発生した場合、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理を行う(ステップS41)。
次いで、ポート入力処理を行う(ステップS42)。このポート入力処理では、遊技機に設けられたスイッチ類やセンサ類からの検出情報を管理する。
次いで、回胴回転制御処理を行う(ステップS43)。回胴回転制御処理では、回胴状態フラグを確認した際の回胴始動時や、停止操作時の停止指令フラグを確認した際の回胴停止時において、回胴駆動モータに出力するパルス信号を管理制御して回転動作を制御したり、現在の回胴の回転位置やその速度を監視したりする。
次いで、定期更新処理を行う(ステップS44)。この定期更新処理では、遊技動作に用いられるタイマを更新したり、ウォッチドッグタイマを定期的にクリアしたりする。定期更新処理が実行されない場合、例えば、遊技動作制御に異常が発生してプログラムが暴走状態となった場合、ウォッチドッグタイマがタイムアップすると、メインCPU401cが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。
次いで、コマンド出力処理を行う(ステップS45)。このコマンド出力処理では、遊技の進行に伴う処理状態に応じてセットされる演出制御コマンドを演出制御部410側(演出制御基板420側)に送信する。主制御部400は、割り込み毎に演出制御コマンドを1バイト分出力している。1つの演出制御コマンドは2バイト長であるので、連続する2回のタイマ割り込みで1つの演出制御コマンドが送信される。
次いで、メダル情報出力処理を行う(ステップS46)。このメダル情報出力処理では、遊技メダル投入や遊技メダル払出しの際のメダル払出信号を出力する。上記各信号は、外部集中端子基板310を介してホールコンピュータHCに送信される。
次いで、表示出力処理を行う(ステップS47)。この表示出力処理では、遊技進行状況に応じて、遊技機に設けられたLEDや7セグメントなどの発光を制御する発光制御信号を出力する。遊技パネル77に形成された各種の表示部の発光態様は、ここで管理制御される。
具体的には、処理状態に応じて作成された発光制御信号データに基づき、遊技開始表示LED81、メダル投入表示LED82再遊技作動LED83、MAXベットLED84、投入枚数表示LED85、停止ボタンLED(不図示)、クレジット枚数表示器86、払出枚数表示器87などの発光態様を制御するための発光制御信号を出力する。
なお払出枚数表示器87は、払い出しを伴う小役などが入賞した場合、払出枚数表示器87の7セグメントの発光態様を表示制御し、払出枚数表示器87に今回の払い出し枚数(配当による枚数)を表示させる遊技媒体払出枚数報知手段として働くものであるが、その他にも、遊技機の動作に異常(エラー)が生じた場合に、エラー状態である旨を報知するエラー報知手段(エラー種別報知手段)としても働く。具体的には、エラーが生じた場合、そのエラー種別を識別可能な「エラーコード(エラー種別情報)」を表示する。たとえば、ホッパータンク14に貯留された遊技メダルが空状態である「ホッパーエラー」である場合には「HE」、メダル検出センサ520に異常が生じた「払出センサエラー」の場合には「CH」、上記補助タンク(不図示)が満杯状態である「メダル満杯エラー」の場合には「FE」、メダルセレクタ43内部に異常が生じた「セレクタエラー」の場合には「CE」を表示する。
なお、上記各表示部の一部または全部が表示する情報を液晶表示装置6による画像表示により現出可能に構成することができる。この場合は、遊技の進行状況に応じて、各表示部に係る情報を特定可能な演出制御コマンドを演出制御部410側に送信可能に構成することで実現できる。このコマンドが主制御部400側から演出制御部410側へと送信されると、演出制御部410側では、当該コマンドに含まれる情報に基づき、液晶表示装置6を表示制御して、当該情報を画像により表示する。
次いで、異常監視処理を行う(ステップS48)。この異常監視処理では、上記入力管理処理の情報に基づいて遊技動作状態を監視し、遊技機の異常(遊技動作エラー)を監視する。
以上のステップS41〜ステップS48の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(ステップS49(レジスタ復帰処理))、割込み許可状態に設定する。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
以上のように本実施形態では、遊技メダルの払出動作の進行を中断させる、といったフリーズ状態を利用することで、フリーズ演出が従来には無い斬新なものとなっている。また払い出し途中でフリーズが発生することを利用した「疑似HE演出」の現出を可能にし、これにより遊技者の意表を突くことができる。このため、非常にインパクトのあるフリーズ演出を実現することができるようになる。
(変形例1)
以上に説明した実施形態では、CAベル1〜2を「払出フリーズ発生契機役」として採用しているが、所定枚数の遊技メダル(遊技媒体)の払い出しを付与しうる小役種であれば特に制限されない。またフリーズ発生契機となる「フリーズ発生契機払出枚数(前半枚数)」をどのような枚数に定めるかは、適宜な値にすることができる。
ただし、「払い出し途中でフリーズを発生させる」という払出フリーズの演出効果を生かすために、遊技者が、ある程度遊技メダルの払い出しがあったという認識させることが好ましく、したがって、遊技メダルの払い出し枚数が相対的に多い抽選対象役を採用することが好ましい。本実施形態の抽選対象役を例にすれば、たとえば、配当が遊技メダル2枚程度の弱チェリーや強チェリーを採用するのではなく、比較的配当が多い、配当7枚の弱スイカや強スイカ、配当12枚のCAベル1〜2などである。この場合、フリーズ発生契機払出枚数が1枚程度に設定してしまうと、遊技者に対して払い出しがあったという認識させることが難しく、全回胴停止後フリーズ(たとえば、フリーズ4)が発生したのかと誤認され、払出フリーズの演出効果を生かすことができない恐れが生じる。このような観点から、フリーズ発生契機払出枚数を配当の1/3〜1/2程度以上の枚数(たとえば、弱スイカや強スイカであれば3枚〜4枚以上、CAベル1〜2であれば6枚以上)に定めることが好ましいといえる。
(変形例2)
また以上に説明した実施形態では、フリーズ演出抽選処理(図9のステップS103、図29)によりフリーズ5の発生が決定されると、必ずフリーズ5が発生する形態について説明した。しかし本発明はこれに限らず、払出枚数データに基づいて、フリーズ5の実行可否を決定する、といった構成とすることができる。これについて、以下詳細に説明する。
上記実施形態の場合、CAベル1〜2を払出フリーズ発生契機役としているが、このCAベル1〜2は「押順不問役」に属し、引き込み率100%の「中段ベル揃い」を入賞役とする抽選対象役として定められている。この場合、回胴停止操作ボタン12の停止操作手順(押し順および停止操作タイミングの少なくともいずれか一方)によらず「中段ベル揃い」必ず入賞することとなるので、当選役種別に対応したフリーズ発生契機払出枚数(たとえば、CAベル1の場合は5枚、CAベル2の場合は6枚など)を設定し、あるいは固定的なフリーズ発生契機払出枚数(たとえば、6枚)を設定して、必ず払出フリーズを発生させることができる。
しかし払出フリーズ発生契機として、押順不問役であっても引き込み率100%未満の入賞役を持つ抽選対象役(たとえば、弱スイカや強スイカ)や、回胴の停止操作手順によって配当が異なる入賞役が入賞しうる押順規定役を採用した場合には、必ずしも払出フリーズを発生させるに足るフリーズ発生契機払出枚数を設定することができない場合がある。たとえば、回胴の停止操作手順に応じて、取りこぼしが発生して配当自体が得ることができない(配当がゼロ)、あるいは、相対的に少ない配当(たとえば、1枚)しか得られない、といった場合が生じうる。前者の場合であれば、遊技メダルの払い出しが行われることなく(払出枚数データがゼロとなっているため)フリーズ5が発生してしまい、後者の場合であれば、払い出しがあってもその枚数が少ない枚数であるために、遊技者に対して払い出しがあったかどうかを認識させることが難しい。勿論、このようなケースでも、払出フリーズ(フリーズ5)を発生させても良いが、払い出し動作が実行されない、あるいは、遊技者に認識されないまま払出フリーズを発生させてしまうと、本来の払出フリーズの演出効果の魅力を十分に生かすことができない恐れが生じうる。
そこで上記問題点に鑑み、この変形例2では、払出枚数データに基づいて、フリーズ5の実行可否を決定するように構成し、この問題を回避することができるようにしている。変形例2は、図18の払出フリーズ前払出制御処理の処理が上記した実施形態と次の点が異なる。以下、詳細に説明する。
変形例2では、払出枚数データに基づいて、フリーズ5の実行可否を決定するべく、図18の払出フリーズ前払出制御処理において、まず払出枚数データを取得した後(ステップS511)、この払出枚数データが所定枚数(払出フリーズ実行可能枚数)以上であるか否かを判定する(払出フリーズ実行可能枚数判定処理)。この判定処理は、図18のステップS511の処理の後、ステップS512の処理の前に設ければ良い。
取得した払出枚数データが上記「払出フリーズ実行可能枚数」以上でない場合、フリーズ5を実行不可能な配当枚数であるとして、そのまま何もせずに払出フリーズ前払出制御処理を抜けて、図21の残余枚数払出制御処理に進む。
図21の残余枚数払出制御処理に入ると、払出枚数データに基づく遊技メダルの払い出し動作が実行され、その払い出し動作を終えると、図8の再遊技RT設定処理(ステップS22)に進む。これにより、払出フリーズ実行可能枚数を満たない配当である場合は、フリーズ5の発生自体そのものがキャンセルされたことになる。
一方、払出枚数が払出フリーズ実行枚数以上である場合、フリーズ5が実行可能であるとして、ステップS512の処理に進み、フリーズ発生契機払出枚数を設定し(ステップS512)、クレジット枚数に応じて、ステップS513〜S519か、ステップS521〜S524の処理を実行する。
そして、フリーズ発生契機払出枚数の払い出しを終えると(ステップS519:=0、または、ステップS523:=0→S524)、ステップS520の「払出フリーズ中処理」が実行され、これにより、フリーズ5(払出フリーズ)が発生される。
上記払出フリーズ実行可能枚数は、ゲーム性や入賞役による配当枚数などに応じて適宜な値に設定することができる。たとえば、取りこぼしが無かった場合の配当枚数を基準として設定することができる。具体的には、弱スイカや強スイカを払出フリーズ発生契機役として採用した場合は、払出フリーズ実行枚数を「7枚」とすれば、スイカ揃いが入賞した場合に限り、フリーズ5を発生させることができる。なお、この場合のフリーズ発生契機払出枚数は、払出枚数データに基づいて、適宜な値に決定することができる。たとえば、上述したように、配当の1/3〜1/2程度以上の枚数に決定することができる。
また、当選役種別と払出枚数データとを判定し、弱スイカや強スイカの場合は払出フリーズ実行枚数が7枚以上である場合にフリーズ5を実行するようにし、CAベル1〜2の場合は払出フリーズ実行枚数が12枚以上である場合にフリーズ5を実行する、といったように、当選役種別に応じて、払出フリーズ実行可能枚数を定めることも可能である。このようにすれば、払出フリーズが必ずしも発生するとは限らない「第1の払出フリーズ発生契機役」と、払出フリーズが必ず発生する「第2の払出フリーズ発生契機役」といった、払出フリーズに関して異なる性能を有する抽選対象役を設けることができる。これにより、払出フリーズ演出のバリエーションを豊富なものとすることができる。なお、上記第1の払出フリーズ発生契機役、または第2の払出フリーズ発生契機役は、少なくとも1種類設けることができる。また、上記第1の払出フリーズ発生契機役だけを設けて、第2の払出フリーズ発生契機役は設けない構成とすることもできる。
以上のように、この変形例2では、フリーズ5が抽選された場合であっても、入賞による払い出し枚数に応じて、フリーズ5をキャンセルしたり、フリーズ5を実行したりすることができる。
(フリーズ5がキャンセルされた場合について)
なお、フリーズ5がキャンセルされた場合、フリーズ5が発生したならば遊技者に報知されるべきであった「所定の遊技情報(たとえば、AT抽選に当選(疑似ボーナス当選)した旨や上乗せ抽選に当選した際の上乗せゲーム数などの情報)」がある場合、フリーズ5がキャンセルされることで当該ゲームにて、その遊技情報が報知されない、といった問題が生じることになる。
そこで、フリーズ5がキャンセルされた場合には、たとえば、次回ゲームの賭数設定時において(たとえば、1ベットボタン8、MAXベットボタン9の操作時、実物の遊技メダルの投入時をトリガーとして)、図31Aの(D−3)に示すような「特典付与報知演出」を現出させるように構成すれば、フリーズ5がキャンセルされた場合でも、報知すべきだった遊技情報を次回ゲーム開始前に報知することができる。このようにすれば、遊技情報の報知タイミングは先延ばしにされるが、次回ゲーム開始時には、その情報が報知されることになるので特に問題はないと考えられる。また、この場合、次回ゲーム開始時において、疑似ボーナス当選や上乗せゲーム数などの情報が突発的に報知されるので、遊技者を驚嘆させることができるという利点もある。したがって、フリーズ5がキャンセルされた場合は、これに応じた演出効果を期待することができる。
(変形例3)
また以上に説明した実施形態では、クレジット枚数が最大クレジット枚数であるか否か、およびフリーズ発生前にホッパーエラーが生じた否かを条件として(図20の払出フリーズ中処理参照)、疑似HE演出か、または通常払出フリーズ中演出を現出させる形態について説明した。しかし本発明はこれに限らず、払出フリーズそれ自体で斬新なフリーズ演出として採用できることに着目し、疑似HE演出か、または通常払出フリーズ中演出のいずれか一方を設けて、クレジット枚数が最大クレジット枚数であるか否か、およびフリーズ発生前にホッパーエラーが生じた否かを判定することなく、これを現出させる構成としても良い。具体的には、図20の払出フリーズ中処理において、ステップS531およびステップS532の処理を設けず、ステップS533〜S535の処理か(疑似HE演出を設けた場合)、またはステップS536〜S539の処理(通常払出フリーズ中演出を設けた場合)のいずれかを実行する構成とすれば良い。なお、疑似HE演出または通常払出フリーズ中演出のいずれを設けるかは自由である。
(変形例4)
また以上に説明した実施形態では、今回払い出すべき遊技メダル枚数を、フリーズ発生契機払出枚数として前半払出枚数と、その残余枚数として後半払出枚数とで区分し、前半払出枚数分の払い出し終了後に1回の払出フリーズを発生させる構成した。しかし本発明はこれに限らず、複数回発生させることができる。この変形例4について、以下、詳細に説明する。
ここでは、CAベル1〜2の配当12枚であるのでこれを着目し、たとえば、一連の払い出し動作で払い出される枚数を、前半払出枚数(第1のフリーズ発生契機払出枚数)として4枚、中間払出枚数(第2のフリーズ発生契機払出枚数)として4枚、後半払出枚数として4枚の3つの払出枚数に区分(ここでは等区分)した例を代表的に説明する。
上記のように、前半払出枚数(4枚)、中間払出枚数(4枚)、および後半払出枚数(4枚)というように、3区分以上に配当を区分した場合は、少なくとも2回の払出フリーズの発生が可能になる。
詳しくは、前半払出枚数4枚分の払い出しを終えた後に‘第1の払出フリーズ’を発生させ、この第1の払出フリーズが終了した後、次いで、中間払出枚数4枚の払い出しの実行を開始し、この中間払出枚数4分の払い出しを終えた後に‘第2の払出フリーズ’を発生させる。つまりケースでは、第1の払出フリーズと第2の払出フリーズという複数回の払出フリーズ演出を、1ゲーム中に発生させることができる。
そして、第2の払出フリーズが終了した後、残りの払出枚数分の後半払出枚数4枚の払い出しの実行を開始し、この後半払出枚数4分の払い出しを終えることにより、今回の配当枚数12枚の払い出しが完結される。
このように変形例4では、1ゲーム中に複数回の払出フリーズ演出が実行可能である。そこで、複数回の払出フリーズ演出が実行可能であることに着目し、その各フリーズ演出態様について、各フリーズ演出同士を何らかの関連性を有したものとすることが好ましい。具体的には、ストーリー仕立ての演出シナリオ、たとえば、物語風演出、バトル演出、ステップアップ演出などを採用することが好ましい。
上記「ストーリー仕立ての演出シナリオ」としては、たとえば、最初のフリーズ演出シナリオ(第1の払出フリーズに係る演出シナリオ)が「主人公キャラが橋に爆弾を仕掛ける様」を表現した演出内容とし、その後の2回目のフリーズ演出シナリオ(第2の払出フリーズに係る演出シナリオ)が「主人公キャラがその爆弾を仕掛ける様」を表現した演出内容とし、2回目のフリーズ演出シナリオでは「主人公キャラがその爆弾を爆破させる様」を表現した演出内容とするといった様に、複数回の払出フリーズを利用したストーリー仕立ての演出シナリオを実現することができる。この演出形態は、複数回の払出フリーズにおいて実行される「連続演出」であるといえる。
特に、一連のフリーズ演出の演出結果(連続演出の結果)として、遊技者が知得したいと考える所定の遊技情報(AT抽選結果情報、上乗せ抽選結果情報など)を報知可能に構成すれば、遊技者は、ストーリー仕立ての演出を楽しみながら、その演出結果(連続演出結果)について、期待感や緊張感を持つことができる。上記の例でいえば、第2の払出フリーズに係る演出シナリオとして、AT抽選の結果に対応して「爆破対象の橋が崩壊する(爆破成功演出)」または「爆破対象の橋が崩壊しない(爆破失敗演出)」という様を表現した演出内容を用意し、AT抽選の結果に基づき、いずれかの演出を現出させるように制御することができる。具体的には、AT当選であれば「爆破成功演出」を現出し、AT抽選非当選であれば「爆破失敗演出」を現出する。これにより、AT抽選の結果を、一連の払出フリーズにおいて(連続演出の演出結果として)報知することができる。なお、上記の「爆破成功演出」や「爆破失敗演出」を現出する場合、演出シナリオにフリーズ操作時演出を組み込み、所定の操作手段が操作されたことを契機に、上記「爆破成功演出」や「爆破失敗演出」を現出させるように構成しても良い。
(変形例5)
また以上に説明した実施形態では、CAベル1とCAベル2に応じて、固定的なフリーズ発生契機払出枚数を定めた例について説明した(図18のステップS512参照)。しかし本発明はこれに限らず、たとえば、ステップS512の払出枚数区分処理において、次のようなフリーズ発生契機払出枚数を決定し設定することができる。
たとえば、一の払出フリーズ発生契機役に対し、所定の抽選(フリーズ発生契機払出枚数抽選)により複数種類のフリーズ発生契機払出枚数(たとえば、「3枚」、「5枚」、「7枚」)の中からいずれかを決定し、その決定された枚数を設定することができる。これにより、同じCAベル1が当選した場合であっても、フリーズ発生契機払出枚数が異なるものとすることができる。このように、抽選によりフリーズ発生契機払出枚数を決定する構成では、フリーズ発生契機払出枚数が固定的ではなく変動的となる。このため、フリーズ発生契機払出枚数が固定的である場合よりも遊技者にフリーズ5の発生を予測させ難くすることができるので、上記疑似ホッパーエラー演出(疑似HE演出)を発生させる上で効果的であるといえる。なお、各フリーズ発生契機払出枚数の抽選確率は、自由に定めることができる。この構成では、ステップS512の「払出枚数区分処理」は、遊技媒体の払出数について、払い出し動作の中断契機となる複数種類の遅延発生契機枚数のうちからいずれかを抽選する遅延発生契機枚数抽選手段、その抽選された遅延発生契機枚数を設定する遅延発生契機枚数設定手段として機能する。
(変形例6(変形例5の変形例))
また、複数種類のフリーズ発生契機払出枚数を択一的に選択可能に構成することで、次のような作用効果を奏することができる。この変形例6では、フリーズ発生契機払出枚数に応じて、払出フリーズ演出態様を異ならせることができる。具体的には、(イ)フリーズ発生契機払出枚数に応じて払出フリーズ中演出態様を異ならせることができるので、疑似HE演出および/または通常払出フリーズ中演出を複数種類設けることができる。(ロ)また、どのようなフリーズ発生契機払出枚数でフリーズが発生したかそれ自体により、所定の遊技情報を遊技者に報知することができる。
この変形例6の構成について、ここでは、特に後者の上記(ロ)に着目した構成について説明する。またここでは、CAベル1またはCAベル2の配当(12枚)を考慮し、フリーズ発生契機払出枚数を「3枚」、「5枚」、「7枚」、および「9枚」といった複数種類のフリーズ発生契機払出枚数を採用したものを代表例として説明する。なお、重複記載を避けるため、上記した実施形態とは異なる内容について説明する。
この変形例6では、まず払出枚数区分処理(図18のステップS512)において、フリーズ発生契機払出枚数「3枚」、「5枚」、「7枚」、および「9枚」のうちからいずれかを抽選(フリーズ発生契機払出枚数抽選)により決定し、これをフリーズ発生契機払出枚数データ領域に設定(格納)する。そして、決定されたフリーズ発生契機払出枚数情報を特定可能な演出制御コマンド(フリーズ発生契機払出枚数情報コマンド)をセットする。このフリーズ発生契機払出枚数情報コマンドが主制御部400側から演出制御部410側に送信されると、今回の払出フリーズに係るフリーズ発生契機払出枚数を把握する。
(フリーズ発生契機払出枚数抽選テーブル:図32)
上記フリーズ発生契機払出枚数抽選は、具体的には、主制御部400側において、図32に示す「フリーズ発生契機払出枚数抽選テーブル」に基づいて実行される。
上記フリーズ発生契機払出枚数抽選テーブルには、現在の設定値とフリーズ発生契機払出枚数とが関連付けて定められており、所定の確率でいずれかのフリーズ発生契機払出枚数が決定されるようになっている。なお図中のセル内に示した数値(判定値)は、抽選領域の大きさ128に対する判定値(当選領域)の占有領域数である。図32を参照して、たとえば、設定値1の場合、「3枚」が抽選確率「60/128」で選択され、「5枚」が抽選確率「68/128」で選択される。なお、「7枚」および「9枚」は判定値がゼロとなっており、設定値1の場合は、「7枚」および「9枚」は選択されない。
図32から分かるように、設定値が高くなるほど、特定のフリーズ発生契機払出枚数(ここでは、3枚)の抽選確率が相対的に高くなるようになっている。ただし、本実施形態の場合、中間設定値である設定値3の場合は、設定値4〜6よりも「3枚」の抽選確率が高い。これは、設定4〜6の場合は、設定値1〜3では選択されない「7枚」や「9枚」の判定値が割り当てられているからである。つまり、図32から分かることは、フリーズ発生契機払出枚数「3枚」の発生率が高い場合には設定値が‘低設定(設定値1〜3)’であると推測され、「9枚」が発生した場合には、その時点で、設定値が高設定(設定値4〜6)であることが確定報知されることになる。特に、「7枚」が発生した場合には、その時点で、設定値が最高設定の‘設定値6’であることが確定報知される。この点、フリーズ発生契機払出枚数「7枚」は、プレミアム的な位置付けとなっている。
このように、どのようなフリーズ発生契機払出枚数で払出フリーズが発生したかにより、遊技者に対し、自己が興じている遊技機の内部的な設定値を予測・推測させたり、または確定的に知りうる機会を与えたりすることができるようになっている。如何なる設定値であるかは、遊技者の利益を左右する大きな要因であるため、遊技者の最大の関心事の一つといえる。本変形例6では、遊技者が知得したいと欲する遊技情報をフリーズ発生契機払出枚数種別に応じて報知することができるので、払出フリーズ演出のバリエーションを多彩なものとすることができる。その結果、遊技性の自由度、遊技者の遊技興趣を大きく向上させることができる。
また上記では、演出手段による演出に依存することなく、フリーズが発生したタイミング、つまり、フリーズ発生契機払出枚数種別に応じて所定の遊技情報を報知するケース(ロ)について説明したが、上記(イ)の「フリーズ発生契機払出枚数に応じて払出フリーズ中演出態様を異ならせる」こともできる。これについて説明する。
フリーズ発生契機払出枚数情報は、既に説明した「フリーズ発生契機払出枚数情報コマンド」により演出制御部410側が把握することができる。これを利用して、フリーズ発生契機払出枚数に応じた払出フリーズ中演出を現出させることができる。
たとえば、フリーズ発生契機払出枚数が「7枚」である場合、他のフリーズ発生契機払出枚数とは異なる「疑似HE演出」および/または「通常払出フリーズ中演出」させることができる。具体的には、フリーズ発生契機払出枚数が「7枚」である場合、図31Aの(D−1)〜(D−3)に係る演出態様の少なくとも1つを、図31Bの((D−1)〜(D−3)に係る演出態様の少なくとも1つを、他のフリーズ発生契機払出枚数とは異なる演出態様とすることができる。図31Aの(D−3)を代表例にとれば、「BONUS GET!!」の画像表示演出の他、「設定値6」を示唆または明示する演出画像(文字や特定のキャラクター)を重複的に現出させる、あるいは、特殊な背景画像を現出する、といったように他のフリーズ発生契機払出枚数の場合では現出されない演出態様を現出させ、これにより遊技者に所定の遊技情報(ここでは、設定値情報)を報知することができる。なお、上記ではフリーズ発生契機払出枚数が「7枚」である場合を説明したが、勿論、各フリーズ発生契機払出枚数に対応した演出態様を現出可能に構成することもできる。これにより、払出フリーズ演出のバリエーションを多彩なものとし、遊技性の自由度、遊技者の遊技興趣を大きく向上させることができる。
(変形例7)
複数種類のフリーズ発生契機払出枚数を抽選により決定する場合、次のような構成とすることもできる。
複数種類のフリーズ発生契機払出枚数種別(たとえば、「3枚」、「5枚」、「7枚」)に応じて、演出制御部410側で実行されるAT抽選や上乗せ抽選の抽選確率を異なるものとすることができる。たとえば、図35のCAベル1またはCAベル2の欄を参照すれば、フリーズ5が発生した場合、単一のAT抽選確率が定められている。しかし本変形例7では、たとえば、「3枚」、「5枚」、および「7枚」をそれぞれ異なるAT抽選確率、たとえば、「3枚」、「5枚」、および「7枚」のこの順に、AT抽選確率が相対的に高くなるように定めることができる。なお、フリーズ発生契機払出枚数は既に説明したように、「フリーズ発生契機払出枚数情報コマンド」により演出制御部410側が把握することができるので、これを利用して、フリーズ発生契機払出枚数種別に応じたAT抽選確率を定めるように構成することができる。
このように、フリーズ発生契機払出枚数種別に応じて遊技者の利益を左右させることは、遊技性の自由度が増し、また、どのようなフリーズ発生契機払出枚数でフリーズが発生したかにより、遊技者の期待感を煽ることもできるので、払出フリーズ演出のバリエーションを多彩なものとすることができる。
以上に説明した変形例2〜6は、本発明の目的を達成することができるならば、これら変形例を組合せた実施形態とすることができる。
<演出制御側の処理:図23〜図27>
次に、図23〜図27を参照して、本実施形態の演出制御部410側における演出制御処理について説明する。演出制御部410側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図23)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図24)とを含んで構成される。なお演出制御部410の制御主体は、正確には演出制御基板420のサブCPU421cや液晶制御基板25のCPUなどを含んだものであるが、主制御部410から演出制御コマンドを受けた演出制御基板420(サブCPU421C)側が、これに関連する液晶制御コマンドを液晶制御基板460に送信する関係上、以下では、演出制御基板420が行う処理手順を中心に説明し、演出制御基板420の機能と液晶制御基板460の機能とを特に必要がない限り区別することなく、処理を実行する主体を演出制御部410として説明する。またCPU、RAM、ROMは、演出制御基板420のサブCPU421c、サブRAM421b、サブROM421aなどで代表させる。
(3.演出制御側メイン処理:図23)
図23は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部410は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図34に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、演出制御部410(サブCPU)は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物(図示せず)の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、演出制御部410は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図25のステップS096)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。演出抽選用乱数は、AT抽選、予告演出、期待演出、アシスト報知、上乗せ抽選など、演出制御部410側による所定の抽選や現出すべき演出を抽選により決定する場合に利用され、抽選態様に対応した複数種類の演出抽選用乱数が含まれる。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、演出制御部410は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。
たとえば、遊技開始情報コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合、コマンド解析処理において、このコマンドに含まれる情報(たとえば、内部抽選結果情報(内部当選フラグ情報))と現在の演出制御部遊技状態(演出状態)に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成するための演出要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより今回ゲーム中に現出するための演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAMのシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお、遊技者参加型演出の場合は、操作手段の操作に応じて、対応するパーツ演出を変更して、適宜、演出シナリオの構成を変更、再構築する。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、たとえば、演出シナリオに組み込まれたパーツ演出の発生時期が到来すると、スピーカ16用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをサブRAMの指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、サブRAMの指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図25のステップS095)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ16から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物(不図示)を動作させる駆動源用(モータ)の制御データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図25のステップS094)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップ079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(4.コマンド受信割込処理:図24)
次に図24を参照して、コマンド受信割込処理について説明する。図25は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部400から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図25)よりも優先的に実行される。
まず演出制御部410(サブCPU)は、図23のメイン処理実行中に主制御部400側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて(ステップS081)、受信した演出制御コマンドをサブRAMのコマンド受信バッファに格納し(ステップS082)、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS083)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部400から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。
(5.演出制御側タイマ割込処理:図25)
次に図24を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図24は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図24において、演出制御部410(サブCPU)は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、演出ボタン(図示せず)からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をサブRAMの所定領域に格納する。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、図23の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置6に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ(図示せず)に制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
<6.受信コマンド解析処理の内容:図26〜図27>
図26〜図27に、受信コマンド解析処理(図23のステップS073)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示す。
図26に示す遊技開始時演出管理処理は、主に、遊技情報開始コマンドやフリーズに係る演出制御コマンド(フリーズ種別コマンド、フリーズ開始コマンド、フリーズ終了コマンド、フリーズ中操作コマンドなど)などを受信した場合に実行される処理であり、図27は、フリーズ開始コマンドのうち、疑似HEフリーズ開始コマンド、通常払出フリーズ開始コマンドを受信した場合に実行される処理である。なお、図26に示す遊技開始時演出管理処理については、重複記載を避けるために各コマンドを受信した場合の処理内容を纏めたものを図示し、各コマンドに対応した個別のコマンド受信時の処理についての詳細は省略してある。また図27に示す疑似HEフリーズ開始コマンド受信処理および通常払出フリーズ開始コマンド受信処理については既に説明したのでここでの説明は省略する。
(6−1.遊技開始時演出管理処理:図26)
図26において、まず演出制御部410は、遊技開始時において受信される遊技情報開始コマンドやフリーズに係るコマンドを解析し、これに含まれる情報を取得する(ステップS611)。具体的には、上記「遊技情報開始コマンド」には、内部抽選結果情報(内部当選フラグ情報、当選役情報(当選番号情報))や主制御部側遊技状態情報(RT種別情報、ボーナス遊技中情報)などが含まれ、また上記「フリーズ種別コマンド」にはフリーズ演出種別情報が含まれ、また上記「フリーズ開始コマンド」にはフリーズ演出開始情報が含まれ、フリーズ終了コマンドにはフリーズ演出終了情報が含まれ、フリーズ中操作コマンドには操作された操作手段(ON操作時であるかOFF操作時であるかの情報を含む)に関する情報が含まれる。演出制御部410は、これらコマンドを受信した場合、コマンドに含まれる情報を解析し、演出処理の進行状態に応じて利用する。また必要がある場合には、その情報をサブRAM421bに格納した後、演出処理の進行状態に応じて読み出し利用する。
また演出状態に応じた演出を現出するために、現在の演出状態(演出制御部側遊技状態)に関する情報も処理状態に応じて取得され、利用される(ステップS612)。この演出状態情報は、主制御部400側からの特定の演出制御コマンド(たとえば、遊技情報開始コマンドや入賞情報コマンドなど)に基づいて、また演出処理状態(AT抽選によるAT遊技移行やATモード継続ゲーム数によるAT遊技終了など)に応じて変更(移行制御)される。また演出状態は、基本的には、主制御部側遊技状態と整合性を保つ形で管理され、現出される演出に不具合が生じないように管理されている。
上記演出状態には、非AT遊技、前兆AT遊技、AT遊技、ボーナス遊技、RT遊技種別など、現在の遊技状態を特定するための各種の演出状態が含まれる。なお本実施形態の場合、演出状態として、主制御部側遊技状態である「RT遊技」種別に関する情報を管理可能に構成して、遊技機全体としての遊技状態を演出制御部410側が把握可能な構成となっている。
次いで、現在の演出状態が、ボーナス遊技中であるか、AT遊技(ATモード)中であるか、通常中(非AT遊技中、前兆AT遊技中)であるか、その他の演出状態であるかに応じて、対応した演出制御処理を行う。
現在の演出状態がボーナス遊技中である場合には(ステップS613:YES)、ボーナス遊技中の演出を現出するための演出設定処理を行う(ステップS617)。現出すべき演出態様については、「演出シナリオ(演出パターン)」を決定し、その演出シナリオのデータをRAMのシナリオ設定領域に格納する。これにより、ボーナス遊技中に関する演出が現出される。
また現在の演出状態がATモード中である場合には(ステップS614:YES)、AT遊技中演出設定処理を行う(ステップS618)。このAT遊技中演出設定処理では、主として、ATモード下の演出を現出するために必要な各種の演出処理が行われる。ここでの演出処理には、たとえば、フリーズ中に係る演出(サブ側フリーズ演出)を現出するための演出処理(AT中フリーズ演出処理)、アシスト報知を現出するための演出処理(AT中アシスト報知処理)、上乗せ抽選に関する上乗せ抽選用の演出処理(上乗せ抽選用演出処理)が含まれる。また、上乗せ抽選当選によるATモード継続ゲーム数の上乗せゲーム数設定処理や、ATモード継続ゲーム数を監視(計数)してATモード継続・終了を管理するAT遊技継続ゲーム数管理処理や、その他、AT遊技中に関連する演出を現出するための各種の演出処理が含まれる。現出すべき演出態様については、「演出シナリオ(演出パターン)」を決定し、その演出シナリオのデータをRAMのシナリオ設定領域に格納する。これにより、ATモード中に関する演出が現出される。
また現在の演出状態が通常中(通常モード(前兆AT遊技を含む)中)である場合には(ステップS615:YES)、通常中演出設定処理を行う(ステップS619)。この通常中演出設定処理では、主として、通常モード中の演出を現出するために必要な各種の演出処理が行われる。ここでの演出処理には、たとえば、フリーズ中に係る演出(サブ側フリーズ中演出)を現出するための演出処理(通常中フリーズ演出処理)、AT抽選(図30)に関する演出処理(通常中AT抽選処理)、前兆AT遊技中において特殊リプレイアシスト報知を現出するための演出処理(通常中アシスト報知処理)、特殊リプレイ入賞によるATモード移行に必要な設定処理(たとえば、AT遊技への移行設定、ATモード開始時のゲーム数(40ゲーム)の設定に関する処理など:AT移行設定処理)、その他、通常の演出状態に係る演出を現出するための各種の演出処理が含まれる。これら処理において現出すべき演出態様については、「演出シナリオ(演出パターン)」を決定し、その演出シナリオのデータをRAMのシナリオ設定領域に格納する。これにより、通常中の遊技に関する演出が現出される。
またここでは、ペナルティに関するペナルティ中演出処理も行う。ペナルティ中演出処理では、ペナルティを付与するペナルティ条件の成立によるペナルティ設定処理、ペナルティを解除する解除条件の成立によるペナルティ解除処理、ペナルティ状態中か否かを判定し、ペナルティ状態中である場合には、所定のペナルティを付与するペナルティ付与処理を行う。ペナルティとしては、たとえば、上記AT抽選が実行された場合には、その抽選結果を無効扱いとする(当選でもハズレとして処理をする)、あるいは抽選自体を無効とする無効化処理を行い、AT遊技の発生(移行)を制限する。
なお、上記ペナルティ中に係る演出態様には警告演出が含まれ、この警告演出としては、たとえば、液晶画面上に、ペナルティ期間を報知する「ペナルティゲーム数(ペナルティ解除条件成立まで表示)」を表示したり、回胴回転始動レバー11の操作および/または回胴回転停止ボタン12の操作に起因して、スピーカ16から非ペナルティ中(正常時)とは異なる効果音や光演出を現出したりすることができる。たとえば、回胴の停止操作時に送信されてくる「停止情報受付コマンド」の受信時の警告演出として、回胴回転停止ボタン12が操作されたときに、正常時とは異なる警告音や警告光などを現出することができる。
また上記ボーナス遊技中、ATモード中、通常中のいずれでもない場合には(ステップS616)、その他の演出状態中における演出設定処理を行う(ステップS616)。
以上に説明した実施形態では、遊技媒体として遊技メダルを利用したものについて説明したが、遊技媒体は特にメダルに制限されない。たとえば、弾球遊技機に利用されるような遊技球であっても良いし、電磁気的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの)を利用した遊技媒体であっても良い。
また以上に説明した実施形態では主制御部側遊技状態として、リプレイ確率が異なる複数種類のRT遊技を設けているが、リプレイ確率が変動しない回胴式遊技機であっても良い。