JP2016005858A - 工作機械の動特性算出装置および動特性算出方法 - Google Patents

工作機械の動特性算出装置および動特性算出方法 Download PDF

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孝幸 東
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Abstract

【課題】容易にかつ高精度に、実際に使用する回転工具を含む振動系における動特性を測定することができる工作機械の動特性算出装置および動特性算出方法を提供することを目的とする。【解決手段】工作機械の動特性算出装置100は、刃部6a,6bを備える回転工具6を回転しながら被加工物Wに対して相対移動して断続的な切削加工を行う工作機械の動特性を算出する。当該装置は、規定の硬度に設定されている加振体111を予め定められた軌道Obに沿って移動させるとともに所定の速度で回転工具6に衝突させ、当該衝突により所定の速度に応じた衝撃力を回転工具6に付与することにより回転工具6を加振する加振装置110と、回転工具6の振動を検出する振動検出器103と、回転工具6の刃部6a,6bを振動体とする振動系における動特性を算出する振動解析部105とを備える。【選択図】図6

Description

本発明は、エンドミル等の回転工具により切削加工を行う工作機械において、回転工具の刃部を振動体とする振動系における回転工具の動特性を算出する装置および方法に関するものである。
エンドミルなどの回転工具による切削加工を高精度に行うために、適正な加工条件を決定する必要がある。加工条件の決定には、工作機械の動特性を把握することが重要である。特許文献1には、主軸にアンバランスマスタを装着して、当該アンバランスマスタの振れ量を検出し、主軸の動剛性を算出することが記載されている。また、特許文献2には、主軸または主軸に取り付けられた工具、疑似工具などの測定対象部を電磁石の磁気吸引力によって加振し、測定対象部の変位を測定して、主軸の動剛性を測定することが記載されている。当該文献には、変位センサとして、渦電流型変位センサ、インダクタンス型変位センサ、光電型変位センサ、静電容量型変位センサなどが記載されている。
特開2010−274375号公報 特開平11−19850号公報
ところで、近年、より高精度な切削加工を行うために、回転工具の小径化および突出量の長大化に伴い、切削加工中に回転工具のたわみ量が大きくなる。そのため、従来のように主軸自体の動剛性を測定するのみでは十分ではなく、実際に使用する回転工具を含む振動系における動特性を測定することが望まれる。そのため、疑似工具を取り付けた状態では、目的の動特性を得ることはできない。また、動特性をより容易に測定することも求められる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、容易にかつ高精度に、実際に使用する回転工具を含む振動系における動特性を測定することができる工作機械の動特性算出装置および動特性算出方法を提供することを目的とする。
(請求項1)本手段に係る工作機械の動特性算出装置は、1または複数の刃部を備える回転工具を用いて、当該回転工具を回転しながら被加工物に対して相対移動して断続的な切削加工を行う工作機械の動特性を算出する装置であって、規定の硬度に設定されている加振体を予め定められた軌道に沿って移動させるとともに所定の速度で前記回転工具に衝突させ、当該衝突により前記所定の速度に応じた衝撃力を前記回転工具に付与することにより前記回転工具を加振する加振装置と、加振された前記回転工具の振動を検出する振動検出器と、前記振動検出器による検出値に基づいて、前記回転工具の前記刃部を振動体とする振動系における動特性を算出する振動解析部と、を備える。
本手段によれば、加振装置は、加振体を予め定められた軌道に沿って移動させるとともに所定の速度で回転工具に衝突させる。これにより、回転工具は、加振体との衝突により加振体の速度に応じた衝撃力を受けて振動することになる。このように、動特性算出装置は、加振装置により回転工具の加振を自動化することができる。また、本手段では、このような方法により加振された回転工具の振動を検出し、当該検出値に基づいて刃部の固有振動数を算出する。よって、断続的な切削加工によって回転工具の刃部が無負荷時の回転中心に対して撓んで振動する場合に、刃部の固有振動数を用いて加工条件を決定することで、より高精度な切削加工を行うことができる。
また、加振装置は、加振体の規定の硬度や衝突の際の加振体の速度を適宜制御することにより、一定の衝撃力を回転工具に付与できる。よって、ハンマーなどにより手動で回転工具に衝撃力を加えて加振する方法と比較して、回転工具に一定の振動を付与できる。さらに、加振体の速度に応じて振動の振幅が変動するため、加振の強度調整が容易となる。このように加振された回転工具の振動を検出することによって、より正確な動特性を測定できる。さらに、実際に加工に使用する回転工具を加振する構成であるため、当該回転工具を含む正確な工作機械の動特性を算出できる。また、実際の切削加工の直前に行うことができるようになるため、実際の切削加工の状態における動特性を得ることができる。
(請求項2)また、前記加振装置は、前記加振体が移動可能な管状からなる管路を有し、前記加振体を前記所定の速度で前記管路の開口から前記回転工具に向かって射出することにより、前記回転工具に前記加振体を衝突させてもよい。
このような構成によると、加振装置は、回転工具から適宜離間した状態で、回転工具に振動を付与することができる。また、射出された加振体は、回転工具に衝突した後には、衝突の反作用により弾かれて回転工具から離間して、回転工具の振動に影響しない。
(請求項3)また、前記加振装置は、前記回転工具に衝突する位置まで移動した前記加振体と衝突方向に係止することにより、前記加振体の前記回転工具側への移動を規制する規制部を有してもよい。
このような構成によると、加振体は、回転工具と衝突した後において、加振装置からの脱落を防止される。よって、加振体の回収が不要となり、また加振体の再利用が容易となる。
(請求項4)また、前記加振体は、球状に形成されてもよい。
このような構成によると、回転工具は、加振体の外周面である球面から衝撃力を加えられる。よって、回転工具に付与される衝撃力の方向が安定する。よって、加振装置は、回転工具の好適な加振を行うことができる。
(請求項5)また、前記加振体は、棒状に形成され、一方側の端部において前記回転工具と衝突してもよい。
このような構成によると、加振装置は、加振体が棒状であることから、加振体を容易に保持し、且つ移動力を付与することができる。よって、加振体の移動制御が容易となる。また、棒状にある加振体の長さを調整することにより、加振体の質量を調整することができる。これにより、加振体が回転工具に付与する衝撃力を調整し易くできる。
(請求項6)また、前記加振体の前記硬度は、前記振動系における前記動特性に含まれる固有振動数に応じて設定されてもよい。
加振装置において、加振体における回転工具との接触部位の硬度が、回転工具に付与される振動に影響する。そのため、回転工具に振動を好適に付与するには、加振体の硬度が適宜設定されている必要がある。そして、回転工具の刃部を振動体とする振動系における動特性に含まれる固有振動数が高いほど、加振体の硬度も高く設定することが好適である。また、回転工具の固有振動数は、設置された環境により変動するが、工具種別やホルダからの突出量などから事前に概ね推定することができる。そこで、推定する固有振動数に応じて加振体の硬度を設定することにより、回転工具を好適に振動させることができる。
(請求項7)また、前記加振装置は、前記工作機械に供給されているエアを用いて前記加振体に外力を付与して、前記加振体を前記軌道に沿って移動させてもよい。
このような構成によると、加振装置は、既存設備を利用した駆動機構を構成されるので、装置全体として簡易化することができる。また、エアを用いることにより、加振体の移動制御が容易となり、回転工具に一定の振動を付与できる。
(請求項8)本手段に係る工作機械の動特性算出方法は、1または複数の刃部を備える回転工具を用いて、当該回転工具を回転しながら被加工物に対して相対移動して断続的な切削加工を行う工作機械の動特性を算出する方法であって、規定の硬度に設定されている加振体を予め定められた軌道に沿って移動させるとともに所定の速度で前記回転工具に衝突させ、当該衝突により前記所定の速度に応じた衝撃力を前記回転工具に付与することにより前記回転工具を加振する加振工程と、加振された前記回転工具の振動を検出する検出工程と、前記検出工程にて検出した検出値に基づいて、前記回転工具の前記刃部を振動体とする振動系における動特性を算出する振動解析工程と、を備える。
このような構成によると、請求項1と同様の効果を奏する。
本発明の実施形態における工作機械の構成を示す図である。 図1の工作機械において、回転工具により被加工物を切削している状態であって、回転工具が撓み変形している状態を示す図である。 回転工具に生じる切削抵抗および回転工具の回転中心の変位の経過時間に対する挙動を示すグラフである。 図3の時刻t1における回転工具と被加工物との位置関係を示す図である。 図3の時刻t2における回転工具と被加工物との位置関係を示す図である。 図3の時刻t3における回転工具と被加工物との位置関係を示す図である。 図3の時刻t4における回転工具と被加工物との位置関係を示す図である。 図3の時刻t5における回転工具と被加工物との位置関係を示す図である。 本発明の実施形態における工作機械の動特性算出装置を含む加工条件判定装置の機能ブロック図である。 図5における加振装置を示す模式図である。 図5の振動検出器を用いた振動検出処理を示すフローチャートである。 回転主軸の回転速度と加工誤差との関係を示すグラフである。 回転主軸の回転速度と回転工具の最大振幅との関係を示すグラフである。 第一変形態様における加振装置210を示す模式図である。 第一変形態様における加振装置110を示す模式図である。 第二変形態様における加振装置310を示す模式図である。 第二変形態様における加振装置410を示す模式図である。 第三変形態様における加振装置を示す模式図である。
本発明に係る工作機械の動特性算出装置および動特性算出方法を具体化した実施形態について説明する。工作機械は、1または複数の刃部を備える回転工具を用いて、当該回転工具を回転しながら被加工物に対して相対移動して断続的な切削加工を行う。
(工作機械の機械構成)
適用対象の工作機械の一例として横型マシニングセンタを例に挙げ、図1を参照して説明する。なお、本発明は、当該横型マシニングセンタに限定されるものではなく、他の構成のマシニングセンタでもよく、回転工具を用いる工作機械であれば適用できる。
当該工作機械は、駆動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X,Y,Z軸)を有する工作機械である。図1に示すように、工作機械は、ベッド1と、ベッド1上にてX軸方向に移動可能なコラム2と、コラム2の前面(図1の左面)にてY軸方向に移動可能なサドル3と、サドル3に取り付けられかつ回転可能な主軸4aを有する主軸装置4と、主軸4aの先端側(図1の左側)に工具ホルダ5を介して取り付けられる回転工具6と、ベッド1上にてZ軸方向に移動可能であり被加工物Wを載置するテーブル7を備える。また、工作機械は、各駆動軸を制御するための制御装置(図示せず)を備える。
また、工作機械は、図示しないコンプレッサーにより圧縮されたエアが供給されている。工作機械に供給されたエアは、エアシリンダなどを含む種々のアクチュエータに用いられる。本実施形態において、工作機械に供給されたエアは、後述する加振装置において加振体を射出する際の駆動源として用いられる。
(切削加工時の回転工具の状態)
次に、回転工具6により被加工物Wを切削加工する場合における回転工具6の状態について説明する。図2に示すように、回転工具6は、先端側に複数の刃部6a,6bを備えており、基端側(根元側)に工具ホルダ5に支持される非刃部6cを備える。なお、本実施形態においては、2つの刃部6a,6bを有する回転工具6を例に挙げるが、1の刃部または3以上の刃部を有する回転工具を適用することもできる。
この回転工具6による切削加工時には、図2に示すように、刃部6a,6bが被加工物Wから切削抵抗Fyを受けることにより、刃部6a,6b側が無負荷時の回転中心Cbに対して撓み変形する。特に、L/D(=長さ/直径)の大きな回転工具6(細長い回転工具)を用いる場合には、当該回転工具6の剛性が低いため、切削抵抗Fyによって当該回転工具6の先端側の撓み量(撓み変形による変形量)が大きくなる。
ここで、回転工具6に生じる切削抵抗Fyが一定であれば、回転工具6の先端側の撓み量は一定となる。しかし、回転工具6の刃部6a,6bによる断続的な切削加工により、回転工具6に生じる切削抵抗Fyは逐次変化する。また、上記のように切削抵抗Fyが逐次変化することに伴い、回転工具6の撓み量も変化する。そのため、回転工具6の刃部6a,6bの回転中心Ctの変位量は、図2の往復矢印にて示すように、主としてY方向に逐次変化する。
このときの回転工具6の刃部6a,6bの回転中心Ctの変位量と切削抵抗Fyとは、回転工具6の刃部6a,6bを振動体とする振動系における動特性(以下、「回転工具の刃部の動特性」と称する)に依存する。回転工具6の刃部6a,6bの動特性は、刃部6a,6bに入力された力に対する変形の挙動を示すものであり、伝達関数(コンプライアンスおよび位相遅れ)もしくはそれから算出される固有振動数f、ばね定数K、減衰比ζなどにより表される。なお、動特性として、粘性減衰係数C、質量係数Mを用いることもあるが、これらは、上記の固有振動数f、ばね定数K、減衰比ζから求められる。
回転工具6を回転しかつ送りながら被加工物Wの断続的な切削加工を行う際において、回転工具6に生じる切削抵抗Fyおよび回転工具6の刃部6a,6bの回転中心Ctの変位量Yaの経過時間tに対する挙動について、図3、図4A〜図4Eを参照して説明する。ここでは、反切込方向(Y方向)における切削抵抗Fyおよび先端側の回転中心Ctの変位量Yaを取り上げて説明する。これは、反切込方向(Y方向)が加工誤差に対して最も影響が大きいためである。
なお、上述した回転工具6の先端側の回転中心Ctは、回転工具6における振動検出の対象となる部位であり、後述する加振工程における基準位置となる。本実施形態において、当該先端側の回転中心Ctは、ボールエンドミルである回転工具6の先端から工具半径分だけ基端側の位置としている。先端側の回転中心Ctは、回転工具6の先端部としてもよいし、先端部から所定量だけ基端側としてもよい。また、回転工具6の先端側の回転中心Ctの変位量Yaとは、回転工具6が撓み変形することにより生じる撓み量であって、主軸4aが無負荷時の回転中心Cbと、先端側の回転中心Ctの位置とのY軸方向の差分に相当する。
回転工具6に生じる切削抵抗Fyは、図3に示すように、ゼロ付近から時刻t1にて大きな値に変化し、時刻t2に再びゼロ付近に変化している。図4Aおよび図4Bが、それぞれ図3の時刻t1,t2に対応する。図4Aに示すように、時刻t1は、一方の刃部6aが被加工物Wに接触開始した瞬間である。つまり、時刻t1は、一方の刃部6aにより切削加工を開始した瞬間である。一方、図4Bに示すように、時刻t2は、一方の刃部6aによる被加工物Wの切削加工を終了した瞬間である。このように、時刻t1〜時刻t2の間において、一方の刃部6aが被加工物Wを切削加工している。
その後、図3に示すように、時刻t2〜時刻t4の間は、切削抵抗Fyがゼロ付近となっている。この間は、時刻t3に対応する図4Cに示すように、両方の刃部6a,6bが被加工物Wに接触していない。つまり、回転工具6は空転している。
その後、図3に示すように、切削抵抗Fyは、時刻t4に再び大きな値に変化し、時刻t5に再びゼロ付近に変化している。図3の時刻t4には、対応する図4Dに示すように、他方の刃部6bが被加工物Wに接触開始している。つまり、他方の刃部6bにより切削加工を開始している。また、図3の時刻t5には、対応する図4Eに示すように、他方の刃部6bによる切削加工を終了している。このように、時刻t4〜時刻t5の間において、他方の刃部6bが切削加工している。
ここで、図4A〜図4Eにおける今回の切削領域より、時刻t1〜時刻t2、時刻t4〜時刻t5の各瞬間において、実切込量(瞬間的な切込量を意味し、切込量の指令値とは異なる意味である)が異なることが分かる。つまり、実切込量は、切削開始から一気に多くなり、ピークに達した後に徐々に少なくなっている。より詳細には、前回切削されていない部位と前回切削された部位との境界の前後で変化している。そして、図3の切削抵抗Fyのうち急激に大きくなっている部分に示すように、切削加工中の切削抵抗Fyは、略三角形状になっており、実切込量に応じて変化していることが分かる。
上記のように、回転工具6は、時刻t1〜時刻t2、時刻t4〜時刻t5において断続的な切削加工を行い、時刻t2〜時刻t4において断続的に空転している。つまり、回転工具6は、断続的な切削加工によって、断続的に力を受けることになる。つまり、回転工具6の先端側の回転中心Ctは、断続的な切削加工により生じる断続的な力(切削抵抗)によって、少なくとも反切込方向(Y方向)に振動する。
従って、回転工具6の刃部6a,6bの回転中心Ctの変位量Yaは、図3に示すように、回転工具6の固有振動数fに応じて振動している。特に、変位量Yaは、切削抵抗Fyが発生した直後に、回転中心Ctの変位量Yaが最も大きくなり、その後に減衰している。そして、再び、切削抵抗Fyにより変位量Yaが大きくなり、繰り返す。
(動特性算出装置)
上述したように、回転中心Ctの変位量Yaおよび切削抵抗Fyは、回転工具6の刃部6a,6bの動特性に依存する。そのため、回転工具による切削加工を高精度に行うためには、上記の動特性を把握することが重要となる。回転工具6の刃部6a,6bの動特性を算出する装置について、図5〜図7を参照して説明する。
図5に示すように、動特性算出装置100は、FEM解析部101と、加振制御部102と、振動検出器103と、算出部105と、記憶部106と、加振装置110とを備える。FEM解析部101は、工作機械の構造情報に基づく公知のFEM解析により、固有振動数f、ばね定数Kおよび減衰比ζを取得する。工作機械の構造情報には、各構成部材の形状、材質などの情報が含まれる。そして、FEM解析部101は、取得した固有振動数f、ばね定数Kおよび減衰比ζを記憶部106に記憶する。
ここで、固有振動数fは、式(1)により表される。式(1)において、減衰比ζは、1より十分に小さい場合、{√(1−ζ2)}は、1とみなすことができる。また、減衰比ζは式(2)により表され、運動方程式は式(3)により表される。ここで、Cは粘性減衰係数、Kはばね定数、Fは外力、xは変位である。
Figure 2016005858
Figure 2016005858
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加振制御部102は、工作機械の制御装置および加振装置110を介して回転工具6の回転数、加振装置110の動作を制御することにより、回転工具6を加振する。詳細には、加振制御部102は、加振装置110に対して、回転工具6に付与する衝撃力の大きさや衝撃力を付与するタイミングなどに関する制御信号を送出する。加振装置110の構成および回転工具6の加振の詳細については後述する。
振動検出器103は、加振された回転工具6の振動を検出する。本実施形態において、振動検出器103は、回転工具6が加振された場合に、回転工具6が振動によって生じる音波を検出する音波検出器を適用する。振動検出器103は、図6に示すように、回転工具6の刃部6a,6bの近傍に位置決めする。この振動検出器103は、音波を用いた検出方法を採用することから、高精度に位置決めすることなく、ある程度の設置自由度を有する。
算出部105は、振動解析工程において、振動検出器103により検出された音波などに基づいて、固有振動数fを算出する。算出部105は、本発明の「振動解析部」に相当し、本実施形態においては振動系における動特性として刃部6a,6bの固有振動数fを算出する。この固有振動数fは、検出された音波の周波数から算出することができる。そして、算出部105は、算出した固有振動数fを、FEM解析部101によって記憶部106に記憶された固有振動数fに変更して、記憶部106に記憶する。つまり、記憶部106に記憶される固有振動数fは、算出部105により算出された固有振動数fとなる。
(加振装置110の構成)
加振装置110は、加振制御部102から送出される制御信号に基づいて、回転工具6に振動を付与して回転工具6を加振する。加振装置110は、工作機械の機内に固定されており、図6に示すように、加振体111と、軌道案内部112と、制御バルブ113とを有する。加振体111は、回転工具6と衝突した際に回転工具6に衝撃力を付与可能となるように、規定の硬度に設定される。本実施形態において、加振体111は、鋼材により形成され、振動系における動特性に含まれる固有振動数fに応じて設定される。また、加振体111は、球状に形成される。
軌道案内部112は、回転工具6の回転中心Cbに対して垂直な方向に延びる本体管部112aと、本体管部112aから分岐する枝管部112bとを有する。本体管部112aおよび枝管部112bは、球状の加振体111の直径よりも僅かに大きな内径を有し、加振体111が移動可能な管状からなる管路を構成する。本体管部112aの回転工具6側の端部は、回転工具6に対して開口している。このような構成により、軌道案内部112は、枝管部112bより投入された加振体111を、予め定められた軌道Ob(図6の一点鎖線で示す)に沿って移動するように案内する。
また、軌道案内部112の本体管部112aの回転工具6とは反対側の端部は、制御バルブ113を介してコンプレッサー(図示しない)に連結されている。ここで、加振装置110は、本実施形態において、コンプレッサーから工作機械に供給されているエアを用いて加振体111に外力を付与して、加振体111を軌道に沿って移動させる構成を採用している。制御バルブ113は、制御信号に基づいて動作して、軌道案内部112の本体管部112aにおけるエアの流量を調整する。
上記のような構成からなる加振装置110は、軌道案内部112の本体管部112aの開口から、本体管部112aの延伸方向に位置決めされた回転工具6における非刃部6cの回転中心Cbに向かって加振体111を射出する。これにより、加振装置110は、加振体111を軌道Obに沿って移動させるとともに、所定の速度で回転工具に加振体111を衝突させる。そして、加振装置110は、当該衝突により所定の速度に応じた衝撃力を回転工具6に付与することにより回転工具6を加振する。
ここで、加振体111の硬度は、回転工具6に付与される振動に影響する。そのため、回転工具6に意図する振動を付与するには、加振体111の硬度が適切に設定されている必要がある。そして、回転工具6の刃部6a,6bを振動体とする振動系の固有振動数fが高いほど、加振体111の硬度も高く設定することが好適である。これは、回転工具6に加振体111が衝突した際の瞬間的な接触時間と加振体111の硬度との間に相関があり、回転工具6に伝達される衝撃力が加振体111の硬度により変動することが一因と考えられる。
また、回転工具6の固有振動数fは、設置された環境により変動するが、回転工具6の種別やホルダからの突出量に基づいて、FEM解析などにより推定される。そこで、本実施形態において、加振装置110は、予め想定される固有振動数fに応じて加振体111の硬度を設定する。即ち、加振装置110は、固有振動数fに対応した種別(硬度)の加振体111を用いて回転工具6の加振を行う。
また、回転工具6に付与される衝撃力は、加振体111の硬度の他に、加振体111の質量や、衝突の際の加振体111の速度によって変動する。本実施形態において、加振体111は、一定の質量を有する鋼球であり、制御バルブ113の開度に応じて変動するエアの流量に応じて加速され、所定の速度で回転工具6に衝突する。このように、加振装置110は、加振体111を同一の条件(回転工具6における衝突部位、衝突方向、射出速度)で回転工具6に衝突させて加振することが可能となっている。
加振装置110による回転工具6の加振において、回転工具6は、軌道案内部112に対して加振体111の軌道方向に加振体111の直径以上に離間して位置決めされる。これにより、加振装置110から射出された加振体111は、回転工具6に衝突した後に、回転工具6から受ける反作用等によって弾かれて飛散する。この加振体111については、回収した後に再び加振装置110にセットされて再利用されてもよいし、加工時に発生する切り屑とともに回収して廃棄してもよい。
ここで、回転工具6が振動すると、振動検出器103は、回転工具6の振動によって生じる音波を検出することが可能である。また、回転工具6と加振体111が衝突した後に、回転工具6の振動は、減衰比ζで徐々に減衰する。振動検出器103による回転工具6の振動の検出については、少なくとも1回の加振でも足りるが、検出誤差を低減して高精度に振動を検出するために、複数回に亘り振動の検出を行うようにしてもよい。
そこで、加振制御部102は、予め想定される減衰比ζに応じて、適宜の間隔で回転工具6を加振するように加振装置110に制御信号を送出する。これにより、加振装置110は、複数回に亘り適宜の間隔で加振体111を回転工具6に射出する。これにより、回転工具6は、間欠的に加振される。振動検出器103は、回転工具6において維持される振動によって生じる音波を検出する。また、加振体111を射出する間隔については、適宜設定可能であり、例えば振動の減衰と回転工具6が付与される衝撃力の関係を勘案して、振動が1/10程度となるまで減衰する期間に設定してもよい。
また、回転工具6を加振装置110が加振する際に、回転工具6は、所定の回転数で回転していることが好ましい。このとき、回転工具6の回転数は、FEM解析により取得される固有振動数fや減衰比ζを含む振動系の動特性や加工時の回転数などを勘案して適宜設定される。本実施形態において、回転工具6の回転数は、加工時の回転数に設定される。
(音波検出処理)
次に、振動検出器103による音波検出処理について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。振動検出器103には、複数の検出周波数レンジがあり、設定された検出周波数レンジにおける周波数帯の音波を検出する。そこで、動特性算出装置100は、振動検出器103の検出条件としての検出周波数レンジを、FEM解析部101により取得された固有振動数fを含む検出周波数レンジに設定する(S1)。このように、FEM解析により取得した固有振動数fに基づいて、測定に使用する検出周波数レンジを絞ることにより、測定の分解能を高く設定できる。これにより、振動検出器103は、実際の固有振動数fを含む音波を確実に検出できる。
また、加振制御部102は、FEM解析部101による解析結果に基づいて、加振の強度(付与する衝撃力)を調整すべく回転工具6に衝突する際の加振体111の速度を設定する。より具体的には、加振制御部102は、加振装置110に対して位置決めされる回転工具6の位置、加振体111の硬度、および加振装置110の制御バルブ113の開度などを適宜設定する。
続いて、工作機械は、加振工程において、加振装置110により適宜の間隔で射出された加振体111を回転工具6に衝突させることによって、回転工具6を間欠的に加振する(S2)。そして、工作機械は、検出工程において、回転工具6が加振されて回転工具6が振動することによって回転工具6が発生する音波を、振動検出器103によって検出する(S3)。このとき、動特性算出装置100は、振動検出器103による検出値に対して、FEM解析により取得した固有振動数fを含む周波数帯でフィルタリングを行うようにしてもよい。これにより、振動検出器103による検出値におけるノイズを除去することができる。
ここで、作業者による組付ずれなどにより、回転工具6を工具ホルダ5へ取り付ける位置は、FEM解析部101におけるFEM解析と実際とで僅かに異なる。つまり、FEM解析部101におけるFEM解析は、回転工具6が工具ホルダ5へ取り付けられた実際の位置における解析ではない。一方、振動検出器103により検出される音波は、実際に回転工具6の振動によって生じる音波であるため、回転工具6が工具ホルダ5へ取り付けられた実際の位置に基づいたものとなる。つまり、FEM解析部101により取得された固有振動数fは、算出部105により算出される固有振動数fと異なる。そして、記憶部106に記憶される固有振動数fは、算出部105により算出される固有振動数f、すなわち実際の回転工具6の刃部6a,6bの固有振動数となる。
(回転工具の回転速度と加工誤差または回転工具の最大振幅との関係)
ここで、回転工具6の回転速度Sと加工誤差Δyとの関係を図8に示し、回転速度Sと回転工具6の最大振幅Aとの関係を図9に示す。例えば、回転速度Sが6500min-1付近において、加工誤差Δyおよび最大振幅Aが小さくなっていることが分かる。このように、回転工具6の回転速度Sを変更することによって、加工誤差Δyおよび最大振幅Aが変化する。これは、回転工具6の刃部6a,6bの振動系における動特性と、回転工具6の刃部6a,6bが被加工物Wに接触するときの周波数との関係が変化することによる。回転工具6の振動系における動特性は変化しないが、回転工具6の刃部6a,6bが被加工物Wに接触するときの周波数は、回転工具6の回転速度Sによって変化する。このように、回転工具6の刃部6a,6bの動特性と回転速度Sとの関係によって、加工誤差Δyおよび最大振幅Aは小さくなったり、大きくなったりする。
そして、図8および図9に示す関係は、回転工具6の刃部6a,6bの動特性を得ることができれば、図示することができる。つまり、回転工具6の刃部6a,6bの動特性を得ることができれば、加工誤差Δyおよび最大振幅Aを小さくすることができる回転速度Sを見出すことができる。特に、得られる固有振動数fが変わると、加工誤差Δyおよび最大振幅Aが急激に変化する回転速度Sが変化することになる。従って、特に、固有振動数fを正確に得ることが、高い加工精度を得るためには必要なことと言える。
(動特性算出装置の適用例)
次に、動特性算出装置の適用例について、図5を参照して説明する。図5に示すように、動特性算出装置100は、加工条件判定装置120の一部として機能させることができる。加工条件判定装置120の判定部121は、記憶部106に記憶された回転工具6の刃部6a,6bの動特性を用いて、図8および図9に示したような回転速度Sと加工誤差Δyまたは最大振幅Aとの関係を導き出しておく。さらに、判定部121は、加工誤差Δyまたは最大振幅Aが閾値より小さくなる回転速度Sの範囲を記憶しておく。
そして、判定部121は、現在の加工条件に含まれる回転速度Sの指令値が、記憶されている回転速度Sの範囲内に含まれるか否かを判定する。指令値が当該範囲内に含まれていれば、現在の加工条件は良好であると判断し、当該加工条件において切削加工を行う。一方、指令値が当該範囲内に含まれていない場合には、回転速度Sの指令値を変化させる。
また、動特性算出装置100は、実際に回転工具6を振動させることにより得られる音波に基づいて固有振動数fを算出するため、実際の状態の固有振動数fを得ることができる。従って、断続的な切削加工によって回転工具6の刃部6a,6bが無負荷時の回転中心Cbに対して撓んで振動する場合に、所望の加工精度を得ることができる加工条件を決定することができる。
一方、ばね定数Kおよび減衰比ζをFEM解析により取得している。ここで、固有振動数fのずれに比べて、ばね定数Kおよび減衰比ζのずれによる加工精度への影響は小さい。そこで、ばね定数Kおよび減衰比ζをFEM解析により取得することで、これらを容易に取得することができると共に、十分な加工精度を得ることができる。
本実施形態によれば、加振工程(S2)において、規定の硬度に設定されている加振体111を予め定められている軌道Obに沿って移動させるとともに所定の速度で回転工具6に衝突させ、当該衝突により所定の速度に応じた衝撃力を回転工具6に付与することにより回転工具6を加振している。これにより、回転工具6の加振を自動化することができる。また、動特性算出装置100は、このような方法により加振された回転工具6の振動を検出し、当該検出値に基づいて刃部6a,6bの固有振動数fを算出する。よって、断続的な切削加工によって回転工具6の刃部6a,6bが無負荷時の回転中心に対して撓んで振動する場合に、刃部6a,6bの固有振動数fを用いて加工条件を決定することで、より高精度な切削加工を行うことができる。
加振装置110は、加振体111の規定の硬度や衝突の際の加振体111の速度を適宜制御することにより、一定の衝撃力を回転工具6に付与できる。よって、ハンマーなどにより手動で回転工具6に衝撃力を加えて加振する方法と比較して、回転工具6に一定の振動を付与できる。さらに、加振体111の速度に応じて振動の振幅が変動するため、加振の強度調整が容易となる。このように加振された回転工具6の振動を検出することによって、より正確な動特性を測定できる。さらに、実際に加工に使用する回転工具6を加振する構成であるため、当該回転工具6を含む正確な工作機械の動特性を算出できる。また、実際の切削加工の直前に行うことができるようになるため、実際の切削加工の状態における動特性を得ることができる。
また、加振装置110は、工作機械に供給されているエアを用いて加振体111に外力を付与して、加振体111を軌道Obに沿って移動させる。このような構成によると、加振装置110は、既存設備を利用した駆動機構で構成されるので、装置全体として簡易化することができる。また、エアを用いることにより、加振体111の移動制御が容易となり、回転工具6に一定の振動を付与できる。
また、加振装置110は、加振体111を所定の速度で回転工具6に向かって射出することにより、回転工具6に加振体111を衝突させる。このような構成によると、加振装置110は、回転工具6から適宜離間した状態で、回転工具6に振動を付与することができる。また、射出された加振体111は、回転工具6に衝突した後には、衝突の反作用により弾かれて回転工具6から離間して、回転工具6の振動に影響しない。
また、加振体111は、球状に形成される。このような構成によると、回転工具6は、加振体111の外周面である球面から衝撃力を加えられる。よって、回転工具6に付与される衝撃力の方向が安定する。よって、加振装置110は、回転工具6の好適な加振を行うことができる。
また、加振体111の硬度は、振動系における動特性に含まれる固有振動数fに応じて設定される。加振装置110において、加振体111における回転工具6との接触部位の硬度が、回転工具6に付与される振動に影響する。そのため、回転工具6に振動を好適に付与するには、加振体111の硬度が適宜設定されている必要がある。そして、回転工具6の刃部6a,6bを振動体とする振動系における動特性に含まれる固有振動数fが高いほど、加振体111の硬度も高く設定することが好適である。また、回転工具6の固有振動数fは、設置された環境により変動するが、工具種別やホルダからの突出量などから事前に概ね推定することができる。そこで、推定する固有振動数fに応じて加振体111の硬度を設定することにより、回転工具6を好適に振動させることができる。
<実施形態の変形態様>
(第一変形態様)
実施形態における加振装置110の加振体111は、球状に形成されるものとした。これに対して、加振体111は、球状の他に種々の形状に形成されてもよい。例えば、加振体111は、直線状の軌道Ob方向に延びる棒状に形成され、一方側の端部において回転工具6と接触する構成を採用できる。
より具体的には、加振装置210は、図10に示すように、棒状に形成された加振体211と、シリンダ部材215とを有する。加振体211は、シリンダ部材215の内周側に配置されたピストン部材であり、図示しないエアの供給によって、予め定められた軌道Obに沿って移動可能に保持されている。また、加振体211の一方側の端部には、チップ211aが交換可能に設けられている。当該チップ211aは、実施形態と同様に、規定の硬度に設定される。複数種類のチップ211aを交換することで、加振体211における回転工具6との接触部位における硬度を調整することが可能となっている。
上記のような構成からなる加振装置210は、シリンダ部材215内の気圧を制御することにより、軌道Obの延伸方向に位置決めされた回転工具6に所定の速度で衝突する。この衝突により、回転工具6には所定の速度に応じた衝撃力が付与され、回転工具6が加振される。このように、加振体211が棒状である構成によると、加振体211を保持しやすくなるとともに、加振体211に付与する移動力の制御が容易になる。また、加振体211の硬度や質量が調整し易くなるので、加振体211が回転工具6に付与する衝撃力の制御精度が向上する。
また、実施形態における加振装置110は、回転工具6に衝突する位置まで移動した加振体111と衝突方向に係止することにより、加振体111の回転工具6側への移動を規制する規制部を有してもよい。具体的には、図10に示すように、加振体211が棒状の場合には、例えば加振体211の外周に径方向外方に突出したフランジ部211bを設け、シリンダ部材215の内周面に形成された規制部215aと衝突方向(軌道Obの延伸方向)に係止する構成としてもよい。
また、加振体111が球状の場合には、図11に示すように、軌道案内部112における本体管部112aの端部に規制部212cを設ける。規制部212cは、開口径が加振体111の直径よりも小さく設定されており、加振体111の衝突方向の移動を規制する。このような構成(図10,図11)によると、加振体111,211は、回転工具6と衝突した後において、加振装置110,210からの脱落を防止される。よって、加振体111,211の回収が不要となり、また加振体111,211の再利用が容易となる。
(第二変形態様)
実施形態における加振装置110は、加振工程(S2)において、工作機械に供給されているエアを用いて加振体111に外力を付与して、加振体111を軌道Obに沿って移動させる。これに対して、加振装置110は、他の方法により加振体111を軌道Obに沿って移動させるようにしてもよい。他の方法としては、電力や磁力、重力などを採用することができる。
より具体的には、加振装置310は、図12に示すように、一部が湾曲した軌道案内部312を有し、投入された球状の加振体111が落下する力を利用して、当該加振体111を軌道Obに沿って移動させる構成としてもよい。また、加振装置410は、図13に示すように、固定された回転軸周りに回転可能に指示された振り子の先端に球状の加振体111を配置してもよい。このような構成においても同様に、加振体111は、予め定められた軌道Obに沿って移動して、回転工具6に衝突する。
(第三変形態様)
実施形態において、加振装置110は、加振体111を所定の速度で回転工具6に向かって射出することにより、回転工具6に加振体111を衝突させる。これに対して、加振装置110は、回転工具6に衝突した後の加振体111が加振装置110から脱落しない構成としてもよい。
より具体的には、図14に示すように、軌道案内部512は、加振体111を回収するための第二枝管部512dをさらに有する。そして、加振工程(S2)において、回転工具6は、回転工具6と軌道案内部512との距離が加振体111の直径より小さく(好適には、半径よりも小さく)なるように位置決めされる。これにより、加振体111は、回転工具6との衝突後に再び軌道案内部512の内部に戻り、第二枝管部512dを通って回収される。
(その他)
上記実施形態において、振動検出器103は、音波検出器とした。この他に、振動検出器103は、回転工具6の振動によって変動する磁気を検出できる磁気センサ、その他にも光(レーザー)、渦電流、静電容量などを用いた検出器を適用することができる。磁気センサは、音波検出器と同様に、設置の自由度が高い。そのため、設置に熟練技術を要することがないため、設置時間を短縮できる点で有用である。何れの検出器においても実施形態と同様の効果を奏する。
5:工具ホルダ、 6:回転工具、 6a,6b:刃部、 6c:非刃部、 100:動特性算出装置、 101:FEM解析部、 102:加振制御部、 103:振動検出器
105:算出部(振動解析部)、 110,210:加振装置、 111,211:加振体、 112,512:軌道案内部、 112a:本体管部(管路)、 212c,215a:規制部、 f:固有振動数、 M:質量係数、 ζ:減衰比、 Ob:軌道

Claims (8)

  1. 1または複数の刃部を備える回転工具を用いて、当該回転工具を回転しながら被加工物に対して相対移動して断続的な切削加工を行う工作機械の動特性を算出する装置であって、
    規定の硬度に設定されている加振体を予め定められた軌道に沿って移動させるとともに所定の速度で前記回転工具に衝突させ、当該衝突により前記所定の速度に応じた衝撃力を前記回転工具に付与することにより前記回転工具を加振する加振装置と、
    加振された前記回転工具の振動を検出する振動検出器と、
    前記振動検出器による検出値に基づいて、前記回転工具の前記刃部を振動体とする振動系における動特性を算出する振動解析部と、
    を備える、工作機械の動特性算出装置。
  2. 前記加振装置は、前記加振体が移動可能な管状からなる管路を有し、前記加振体を前記所定の速度で前記管路の開口から前記回転工具に向かって射出することにより、前記回転工具に前記加振体を衝突させる、請求項1に記載の工作機械の動特性算出装置。
  3. 前記加振装置は、前記回転工具に衝突する位置まで移動した前記加振体と衝突方向に係止することにより、前記加振体の前記回転工具側への移動を規制する規制部を有する、請求項1に記載の工作機械の動特性算出装置。
  4. 前記加振体は、球状に形成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の工作機械の動特性算出装置。
  5. 前記加振体は、棒状に形成され、一方側の端部において前記回転工具と衝突する、請求項1〜3の何れか一項に記載の工作機械の動特性算出装置。
  6. 前記加振体の前記硬度は、前記振動系における前記動特性に含まれる固有振動数に応じて設定される、請求項1〜5の何れか一項に記載の工作機械の動特性算出装置。
  7. 前記加振装置は、前記工作機械に供給されているエアを用いて前記加振体に外力を付与して、前記加振体を前記軌道に沿って移動させる、請求項1〜6の何れか一項に記載の工作機械の動特性算出装置。
  8. 1または複数の刃部を備える回転工具を用いて、当該回転工具を回転しながら被加工物に対して相対移動して断続的な切削加工を行う工作機械の動特性を算出する方法であって、
    規定の硬度に設定されている加振体を予め定められた軌道に沿って移動させるとともに所定の速度で前記回転工具に衝突させ、当該衝突により前記所定の速度に応じた衝撃力を前記回転工具に付与することにより前記回転工具を加振する加振工程と、
    加振された前記回転工具の振動を検出する検出工程と、
    前記検出工程にて検出した検出値に基づいて、前記回転工具の前記刃部を振動体とする振動系における動特性を算出する振動解析工程と、
    を備える、工作機械の動特性算出方法。
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