JP2016005356A - 永久磁石埋込型回転電機のロータ及び回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】永久磁石への応力集中を緩和しつつ永久磁石両端部の熱減磁を抑制する永久磁石埋込型回転電機のロータ及び回転電機の提供。【解決手段】ロータ5は、ロータ鉄心17と、複数の永久磁石19とを備え、ロータ鉄心には複数の永久磁石装着溝15が設けられ、少なくとも一つの永久磁石の径方向外側表面と、対応する永久磁石装着溝の径方向外側の画定壁面との間には、少なくとも一つの軟磁性板が設けられており、軟磁性板の飽和磁束密度および熱伝導率は、永久磁石の飽和磁束密度および熱伝導率より大きく、且つ、軟磁性板の電気抵抗率およびヤング率は、永久磁石の電気抵抗率およびヤング率よりも小さい。【選択図】図5
Description
この発明は、界磁の役割を果たす永久磁石をロータに埋め込んでなる永久磁石埋込型回転電機のロータ及び回転電機に関するものである。
永久磁石埋込型回転電機においては、高出力化・高速化が進んでいる。回転電機を高出力化する上で、回転電機のトルクに寄与するq軸電流によって発生する磁界が永久磁石両端部に集中し、渦電流発熱で永久磁石両端部が熱減磁するという問題があった。また、回転電機を高速化する上で、回転による遠心力が回転数に比例して大きくなるため、高速回転時に永久磁石へ応力が集中することによって永久磁石が破損するという問題もあった。後者を解決する手法としては、ロータ鉄心と磁石との間に弾性体を挿入し固定することで永久磁石への応力集中を緩和する手法が提案されている。(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に示されている従来の手法では、永久磁石への応力集中は緩和できるものの、弾性体として非磁性物質(ゴム類あるいはそれに準ずるもの)を用いているため弾性体内での渦電流は小さく、永久磁石両端部の熱減磁を抑制する効果はなかった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、永久磁石への応力集中を緩和しつつ永久磁石両端部の熱減磁を抑制する永久磁石埋込型回転電機のロータ及び回転電機を得ることを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明の永久磁石埋込型回転電機のロータは、ロータ鉄心と、複数の永久磁石とを備え、前記ロータ鉄心には複数の永久磁石装着溝が設けられ、前記複数の永久磁石はそれぞれ、対応する前記永久磁石装着溝に挿入され、少なくとも一つの前記永久磁石の径方向外側表面と、対応する永久磁石装着溝の径方向外側の画定壁面との間には、少なくとも一つの軟磁性板が設けられており、前記軟磁性板の飽和磁束密度および熱伝導率は、前記複数の永久磁石の飽和磁束密度および熱伝導率より大きく、且つ、前記軟磁性板の電気抵抗率およびヤング率は、前記複数の永久磁石の電気抵抗率およびヤング率よりも小さい。
また、同目的を達成するための本発明の回転電機は、ステータと、該ステータに対面して回転可能に設けられたロータとを備え、前記ロータは、上述した本発明の永久磁石埋込型回転電機のロータである。
また、同目的を達成するための本発明の回転電機は、ステータと、該ステータに対面して回転可能に設けられたロータとを備え、前記ロータは、上述した本発明の永久磁石埋込型回転電機のロータである。
この発明による永久磁石埋込型回転電機のロータ及び回転電機によれば、永久磁石への応力集中を緩和しつつ永久磁石両端部の熱減磁を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
実施の形態1.
図1は、本実施形態にかかる永久磁石埋込型回転電機を模式的に示す横断面図である。また、図2は、永久磁石埋込型回転電機の縦断面図である。図において、回転電機1は、ステータ3と、ステータ3に対面して回転可能に設けられたロータ5とを備えている。ステータ3は、円環状に形成されており、ロータ5は、ステータ3の内側に配置されている。ロータ5の中心には、回転軸(シャフト7)が一体的に設けられている。ステータ3とロータ5との間には、空隙が存在しており、この空隙をステータ・ロータ間空隙9と呼称する。
図1は、本実施形態にかかる永久磁石埋込型回転電機を模式的に示す横断面図である。また、図2は、永久磁石埋込型回転電機の縦断面図である。図において、回転電機1は、ステータ3と、ステータ3に対面して回転可能に設けられたロータ5とを備えている。ステータ3は、円環状に形成されており、ロータ5は、ステータ3の内側に配置されている。ロータ5の中心には、回転軸(シャフト7)が一体的に設けられている。ステータ3とロータ5との間には、空隙が存在しており、この空隙をステータ・ロータ間空隙9と呼称する。
ステータ3は、ティース及びスロットを有するステータ鉄心11と、スロット内に装着されたステータ巻線13とを有している。ロータ5は、磁極ごとに永久磁石装着溝15を有するロータ鉄心17と、永久磁石装着溝15に装着される永久磁石19とを有している。
以下では、永久磁石19によって発生する磁束を界磁磁束と呼称する。ステータ鉄心11及びロータ鉄心17は、渦電流の発生を防ぐためケイ素鋼板を積層することによって構成される。以下では、ケイ素鋼板が積層されている方向(図1における紙面表裏方向、図2における上下方向)を軸方向と呼称する。
図3は、一般的なd軸電流磁界によって発生する磁束の流れを説明するための図であり、図4は、一般的なq軸電流磁界によって発生する磁束の流れを説明するための図である。これら図3および図4に基づきながら、永久磁石近傍における、電流磁界によって発生する一般的な磁束の流れについて説明する。
永久磁石装着溝15には、角型(横断面が矩形形状)の永久磁石19が装着されている。
回転電機1では、ロータ5を回転させるトルクを得るため、ステータ巻線13に交流電流を通電する。この際、界磁磁束がステータ巻線13に鎖交することによって生じる誘起電圧と同位相の電流をq軸電流と呼称し、90度位相が遅れた電流をd軸電流と呼称する。q軸電流に発生する磁界をq軸電流磁界と呼称し、d軸電流によって発生する磁界をd軸電流磁界と呼称する。d軸電流磁界によって発生する磁束は、永久磁石全体を通過するのに対し、q軸電流磁界によって発生する磁束は、永久磁石両端部を通過するため、両端部で渦電流発熱が発生し、高出力時には熱減磁する。
図5は、本発明のロータの永久磁石装着溝を拡大した図である。永久磁石19と永久磁石装着溝15には、寸法誤差の違いから空隙が生じる。本発明では、上記空隙における、永久磁石装着溝15の径方向外側の画定壁面15aと、永久磁石19の径方向外側表面19aとの間に、少なくとも一つの(本実施の形態1では一つの)軟磁性板21が装着されている。軟磁性板21は、永久磁石19と周方向(磁極中心となる径方向と直交する方向)において同等の幅を有し、軸方向(シャフト7の延長方向)の長さも同等である。
なお、軟磁性板21の飽和磁束密度は、永久磁石19より大きい。界磁磁束は、軟磁性板を通りステータ・ロータ間空隙9に達するため、飽和磁束密度が永久磁石19より大きい軟磁性板21を用いることで、ステータ・ロータ間空隙9の磁束密度が向上し、回転電機1の出力が向上する。
また、軟磁性板21は、永久磁石19よりも小さい電気抵抗率を有する。上述の通り、q軸電流磁界によって発生する磁束は、永久磁石両端部を通るので、高出力時には渦電流発熱により永久磁石が熱減磁してしまう。本発明によれば、永久磁石19と永久磁石装着溝15との間の空隙に、飽和磁束密度が永久磁石19より大きく、かつ電気抵抗率が永久磁石19より小さい軟磁性板21が装着されているため、q軸電流磁界は、まず軟磁性板21に流入する。この際、電磁誘導により軟磁性板21には渦電流が流れ、q軸電流磁界とは逆方向磁界が発生する。軟磁性板21が永久磁石19よりも低い電気抵抗率を有しているため、軟磁性板21で発生する渦電流の大きさは、永久磁石19の表面で発生する渦電流よりも大きくすることができる。この磁界によりq軸電流磁界は減衰するため、q軸電流磁界の永久磁石19両端部への集中を抑制することができる。
そして、軟磁性板21は、永久磁石19よりも小さいヤング率は有する。高速回転時には、遠心力が働き永久磁石19は永久磁石装着溝15の径方向外側の画定壁面15a側へと付勢される。ここで、永久磁石19と永久磁石装着溝15の径方向外側の画定壁面15aとの間が空間である場合、永久磁石19は、永久磁石装着溝15の径方向外側の画定壁面15aに押しつけられる。画定壁面15aすなわちロータ鉄心17を構成しているケイ素鋼板は、永久磁石19よりも大きなヤング率を有しているため、永久磁石19に対して弾性体の役目を果たさず、永久磁石19に応力が集中してしまう。これに対して、本実施の形態1によれば、永久磁石19と永久磁石装着溝15との間の空隙にヤング率が永久磁石19よりも小さい軟磁性板21が装着されているため、軟磁性板21は弾性体として機能し、高速回転時の遠心力によって永久磁石19に集中する応力を緩和することができる。
さらに、軟磁性板21は、永久磁石19より大きい熱伝導率を有する。上記の通り、q軸電流磁界によって永久磁石19は発熱する。ケイ素鋼板は、永久磁石19よりも熱伝導率は大きいものの、ロータ鉄心を構成すべくケイ素鋼板は軸方向に積層されており、さらに表面を絶縁層で覆われているため、軸方向の熱伝導率は、永久磁石よりも小さい。このため、ケイ素鋼板は、永久磁石19で発生する熱を拡散する効果は小さい。しかし、本実施の形態1では、永久磁石19と永久磁石装着溝15との間の空隙に、熱伝導率が永久磁石19より大きい軟磁性板21が装着されているため、軟磁性板21で発生する熱は、永久磁石19に伝わることがないのに対し、永久磁石19で発生する熱は、軟磁性板21には伝わる。このため、永久磁石19で発生する熱は、軟磁性板21に伝わり、さらにそのようにして軟磁性板21に伝わった熱は、軸方向に拡散するため、永久磁石19で発生する熱を拡散し、熱減磁を抑制することができる。
ここで、軟磁性板21として用いる材料としては、ヤング率が永久磁石19より小さい軟磁性体である非晶質磁性金属(以下、アモルファス磁性金属と呼称する。)を用いることが望ましい。なかでもFeを主成分とするアモルファス磁性金属(以下、Fe基アモルファス磁性金属と呼称する。)は飽和磁束密度が大きいため、用いる軟磁性板の材料として好ましい。
このように構成された本実施の形態1の永久磁石埋込型回転電機のロータ及び回転電機によれば、永久磁石への応力集中を緩和しつつ永久磁石両端部の熱減磁を抑制することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1と同様であるものとする。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1と同様であるものとする。
本実施の形態2として、以下の具体的な構成要素を含む態様を示す。永久磁石としては、残留磁束密度の大きい、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石(以下、ネオジム磁石と呼称する。)を用いるのが望ましい。ネオジム磁石の一例として、日立金属株式会社の商品名「NEOMAX」(登録商標)を挙げることができる。
「NEOMAX」の電気抵抗率、熱伝導率、ヤング率、残留磁束密度は、図6に示すとおりである。残留磁束密度としては、「NEOMAX」において最大の残留磁束密度である、型番NMX−S54の残留磁束密度を用いている。
また、ネオジム磁石として「NEOMAX」を用いる場合、それと組み合わせて用いる軟磁性板の材料は、電気抵抗率が130μΩ・cmより小さく、熱伝導率が7.5W/(m・K)より大きく、ヤング率が160GPaより小さく、飽和磁束密度が1.51Tより大きい必要がある。このような条件を満たす軟磁性体としては、例えば、日立金属株式会社のFe基アモルファス磁性金属、商品名「METGLAS」(登録商標)の型番2605SA1及び2605HB1Mがある。
2605SA1及び2605HB1Mの電気抵抗率、熱伝導率、ヤング率、残留磁束密度は、図6に示すとおりである。2605SA1及び2605HB1Mと比較するために一般的なケイ素鋼板と一般的な非磁性の弾性体とに関し、電気抵抗率、熱伝導率、ヤング率、残留磁束密度も合わせて図6に示す。
非磁性の弾性体は、ヤング率が永久磁石に比べ小さいものの、非磁性かつ電気抵抗率が高いため、永久磁石表面に発生する渦電流発熱を抑制する効果はない。ケイ素鋼板は飽和磁束密度が永久磁石よりも大きく、熱伝導率も永久磁石より大きく、電気抵抗率も永久磁石より小さいものの、ヤング率が永久磁石よりも大きいため永久磁石に対して弾性体の役目を果たさず、応力の集中を緩和する効果はない。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1または2と同様であるものとする。
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1または2と同様であるものとする。
本実施の形態3として、軟磁性板の厚さとして以下の具体的な範囲を含む態様を示す。一つの軟磁性板の厚さは、20μm〜30μmの範囲内であり、そのような軟磁性板を、複数枚積層して使用してもよい。
図7は、軟磁性板を複数枚積層して使用する際のロータの拡大図である。ケイ素鋼板の公差幅は、30μm程度であるのに対し、永久磁石19の公差幅は100μm程度である。このため、永久磁石装着溝15と永久磁石19との間には最大で150μm程度の空隙が生じる。これに対し、軟磁性板21の厚さが20μm〜30μmの範囲内にあれば、この空隙を軟磁性板21の枚数を調節することで埋めることができる。調整の仕方としては、一つの永久磁石装着溝15の中に複数枚の軟磁性板を挿入する態様となるが、図7に示した具体的一例では、永久磁石装着溝15の画定壁面と永久磁石19の表面との隙間に関し、永久磁石19の径方向外側に、2枚の軟磁性板21を挿入し、永久磁石19の径方向内側に、1枚の軟磁性板21を挿入した場合を示している。
このように、永久磁石装着溝15の画定壁面と永久磁石19の表面との隙間を、軟磁性板21の枚数を調節することで埋めることにより、空隙磁束密度が向上し回転電機の出力が向上する。
さらに、軟磁性板を複数枚積層することにより、遠心力による軟磁性板の変形量が増加し、永久磁石への応力集中をさらに緩和することができる。
また、軟磁性板を複数枚積層することにより、各軟磁性板に渦電流が発生し、永久磁石表面に発生する渦電流をさらに抑制することができる。
また、軟磁性板を複数枚積層することにより、軟磁性板の軸方向に対する断面積が増加するため熱抵抗が減少し、渦電流発熱を拡散する効果がさらに高まる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜3の何れかと同様であるものとする。
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4は、以下に説明する部分を除いては、上述した実施の形態1〜3の何れかと同様であるものとする。
本実施の形態4では、永久磁石装着溝15の画定壁面と、永久磁石19の径方向外側表面との間に、少なくとも1枚の軟磁性板が設けられ、且つ、永久磁石装着溝15の画定壁面と、永久磁石19の径方向内側表面との間に、少なくとも1枚の軟磁性板が設けられており、径方向外側の軟磁性板と径方向内側の軟磁性板とが、永久磁石19の軸方向(シャフト7の延長方向)の一端側で、軟磁性ブリッジ部によって接続されている態様を提供する。なお、軟磁性ブリッジ部と、当該軟磁性ブリッジ部によって接続される一対の軟磁性板とは、構成材料としては同一であり、換言すれば、軟磁性ブリッジ部と、それによって接続される一対の軟磁性板とは、一つの軟磁性部材とみることもできる。
本実施の形態4として、以下に、3つの態様を例示する。図8は、本実施の形態4の第1態様のロータの縦断面図である。第1態様では、軟磁性板21は、表面が平滑であり剛性はなく、永久磁石19の径方向外側および径方向内側(磁極面両側)に挿入された軟磁性板21同士は、永久磁石19の軸方向の片端面において軟磁性ブリッジ部21aによって接続されており、軟磁性ブリッジ部21aが永久磁石19の軸方向端面を覆っている。
この態様によれば、軟磁性ブリッジ部が外気と接しているため、軸方向で軟磁性板に温度勾配が生じ、永久磁石及び軟磁性板で発生する熱の軸方向への移動がさらに向上する。
また、永久磁石装着溝の側面は、ケイ素鋼板の切り口が集合するため、永久磁石を永久磁石装着溝に挿入する際、永久磁石がケイ素鋼板切り口にぶつかり永久磁石が損傷する可能性が皆無ではない。これに対し、本態様によれば、永久磁石を挿入する際に、永久磁石は、表面が平滑な軟磁性板の上を通過するため、永久磁石の損傷を抑えることができる。
さらに、使用する軟磁性板は、厚さが20μm〜50μmであれば、永久磁石と永久磁石装着溝との間の空隙に対して十分に小さいため、軟磁性板の枚数を調節することによって挿入時に永久磁石にかかる圧力を調整することができる。
さらに、永久磁石の損傷を防ぐという役割を剛性のある金属を用いて行う際は、永久磁石や永久磁石装着溝の寸法に合わせた金属が必要になるのに対し、本発明で用いる軟磁性板は剛性がないため、永久磁石に軟磁性板を巻きつけるだけで構成を実現することができる。
なお、軟磁性板としてFe基アモルファスを用いる場合、冷却用ロール面に接する面(以下、ロール面と呼称する。)の平滑度が高いため、ロール面を永久磁石と接する面として使用することで、永久磁石を挿入する際の損傷をさらに抑えることができる。
続いて、本実施の形態4の第2態様を説明する。図9は、本実施の形態4の第2態様のロータの縦断面図である。第2態様では、図9に示されるように、永久磁石19の径方向外側および径方向内側の両方に少なくとも一枚の軟磁性板21が設けられ、それら径方向外側および径方向内側の少なくとも一方側には、複数枚の軟磁性板21が設けられており、永久磁石19の径方向外側表面に最も近い軟磁性板21と、永久磁石19の径方向内側表面に最も近い軟磁性板21とが(永久磁石の両磁極面に最も近い軟磁性板同士が)、永久磁石19の軸方向の片端面において軟磁性ブリッジ部21aによって接続されており、軟磁性ブリッジ部21aが永久磁石19の軸方向端面を覆っている。
このように永久磁石に接触する軟磁性板が軸方向端面で軟磁性ブリッジ部によって接続されることで、永久磁石で発生する渦電流熱を拡散する効果がより一層高まる利点が得られる。
また、本実施の形態4は、第3態様として、図10に示されるように構成されていてもよい。図10は、本実施の形態4の第3態様のロータの縦断面図である。第3態様では、図10に示されるように、永久磁石19の径方向外側および径方向内側の両方に、複数枚の軟磁性板21が設けられており、永久磁石19の径方向外側表面に最も近い軟磁性板21と、永久磁石19の径方向内側表面に最も近い軟磁性板21とが、永久磁石19の軸方向の片端面において軟磁性ブリッジ部21aによって接続されており、軟磁性ブリッジ部21aが永久磁石19の軸方向端面を覆っており、さらに加えて、永久磁石19の径方向外側表面に二番目に近い軟磁性板21と、永久磁石19の径方向内側表面に二番目に近い軟磁性板21とが、軟磁性ブリッジ部21aによって接続されており、その二番目の軟磁性ブリッジ部21aが、最も近い軟磁性板同士を接続する一番目の軟磁性ブリッジ部21aを覆っている。簡単に言い換えると、径方向外側の複数の軟磁性板21と、径方向内側の複数の軟磁性板21とが、永久磁石19の表面に近い側から順に、軟磁性ブリッジ部21aによって接続されている。
このような態様によれば、ブリッジ部の枚数がさらに増え、外気と接する軟磁性板が増えることにより、永久磁石で発生する渦電流熱を拡散する効果がより一層高まる利点が得られる。
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
1 回転電機、3 ステータ、5 ロータ、15 永久磁石装着溝、15a 永久磁石装着溝の径方向外側の画定壁面、17 ロータ鉄心、19 永久磁石、19a 永久磁石の径方向外側表面、21 軟磁性板、21a 軟磁性ブリッジ部。
Claims (7)
- ロータ鉄心と、
複数の永久磁石とを備え、
前記ロータ鉄心には複数の永久磁石装着溝が設けられ、
前記複数の永久磁石はそれぞれ、対応する前記永久磁石装着溝に挿入され、
少なくとも一つの前記永久磁石の径方向外側表面と、対応する永久磁石装着溝の径方向外側の画定壁面との間には、少なくとも一つの軟磁性板が設けられており、
前記軟磁性板の飽和磁束密度および熱伝導率は、前記複数の永久磁石の飽和磁束密度および熱伝導率より大きく、且つ、前記軟磁性板の電気抵抗率およびヤング率は、前記複数の永久磁石の電気抵抗率およびヤング率よりも小さい、
永久磁石埋込型回転電機のロータ。 - 前記軟磁性板の飽和磁束密度は1.51Tより大きく、該軟磁性板の熱伝導率は7.5W/(m・K)より大きく、該軟磁性板の電気抵抗率は130μΩ・cmより小さく、且つ、該軟磁性板のヤング率は160GPaより小さい、
請求項1の永久磁石埋込型回転電機のロータ。 - 前記一つの軟磁性板の厚さは20μm〜30μmの範囲内であり、
一つの前記永久磁石装着溝の中には、複数の前記軟磁性板が挿入されている、
請求項1または2の永久磁石埋込型回転電機のロータ。 - 前記永久磁石装着溝の画定壁面と、前記永久磁石の径方向外側表面との間に、少なくとも一つの前記軟磁性板が設けられ、且つ、前記永久磁石装着溝の画定壁面と、前記永久磁石の径方向内側表面との間に、少なくとも一つの前記軟磁性板が設けられており、
径方向外側の前記少なくとも一つの軟磁性板と、径方向内側の前記少なくとも一つの軟磁性板とが、前記永久磁石の軸方向一端側で、軟磁性ブリッジ部によって接続されている、
請求項1〜3の何れか一項の永久磁石埋込型回転電機のロータ。 - 前記永久磁石の径方向外側および径方向内側の少なくとも一方側には、複数の前記軟磁性板が設けられており、
前記永久磁石の径方向外側表面に最も近い前記軟磁性板と、前記永久磁石の径方向内側表面に最も近い前記軟磁性板とが、前記軟磁性ブリッジ部によって接続されている、
請求項4の永久磁石埋込型回転電機のロータ。 - 前記永久磁石の径方向外側および径方向内側の両方に、複数の前記軟磁性板が設けられており、
径方向外側の複数の前記軟磁性板と、径方向内側の複数の前記軟磁性板とが、前記永久磁石の表面に近い側から順に、前記軟磁性ブリッジ部によって接続されている、
請求項4の永久磁石埋込型回転電機のロータ。 - ステータと、該ステータに対面して回転可能に設けられたロータとを備え、
前記ロータは、請求項1〜6の何れか一項の上記永久磁石埋込型回転電機のロータである、
回転電機。
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