JP2016004693A - マグネシウム空気電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発電継続時間、放電容量の面で優れたマグネシウム空気電池の電解液を提供する。【解決手段】 ケース11内に、4つのセル20が積層され、さらに一端に導電性の金属板28が積層された状態で、封入し、貫通孔16が形成されたキャップ15によって下面を封印してマグネシウム空気電池10を構成する。各セル20は、ステンレスの正極21、活性炭を含む正極活性体22、電解質を保持したセパレータシートで構成された電解質層23、マグネシウム合金AZ31からなる負極24で構成される。電解質層23は、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)に、塩化カリウムを0.2%添加した水溶液を浸透させた後、乾燥させて形成する。エチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを電解液として用いることにより、水酸化マグネシウムの生成を抑制でき、発電継続時間、放電容量を向上させることができる。【選択図】 図2

Description

本発明は、マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池に関する。
近年、負極側にマグネシウムまたはマグネシウム合金を用い、正極側に空気中の酸素を用いるマグネシウム空気電池が開発されている。マグネシウム空気電池における正極および負極での反応は、次の通りである。
正極側:O+2HO+4e→4OH
負極側:2Mg+3OH→2Mg2++4e
マグネシウム空気電池については、電解液のpHと関連して、次のような課題が指摘されている。電解液が酸性の場合、自己放電、即ち負極側のマグネシウムまたはマグネシウム合金から溶出された電子が、負極上で水素イオンと反応し、水素ガスを発生してしまう現象が生じてしまうのである。一方、電解液がアルカリ性の場合、マグネシウム表面に水酸化マグネシウム、即ちMg(OH)が生成され、電気もイオンも通さない不動態膜を形成するため、電流が流れなくなってしまうのである。
特許文献1、特許文献2は、それぞれ上述した課題の解決を図るため、クエン酸塩およびコハク酸塩などの多価カルボン酸塩を用いる旨を開示している。特許文献1によれば、多価カルボン酸塩を用いる効果として、「マグネシウムイオンに多価カルボン酸塩のイオンがキレート結合してマグネシウムイオンと結合するため、マグネシウムイオンが水酸化イオンと結合するのを妨げて、マグネシウムイオンの溶解度を飛躍的に向上」させるとともに、「多価カルボン酸イオンの緩衝作用によって水系電解質が容易にアルカリ性へと変化することを防止する」ことができるとされている。
特許第5192163号公報 特開2010−182435号公報
しかし、先に述べた通り、マグネシウム空気電池の電解液は、酸性の場合には自己放電を生じ、アルカリ性の場合には不動態膜が形成されるという課題を有しており、特許文献1、2の技術においても、これらの課題を回避できる範囲にpHを調整する必要があり、安定的に発電させることは容易ではなかった。
また、特許文献1ではクエン酸が効果的とされているものの、「クエン酸を加えた電解液では負極が全て溶解する前に電圧が0.1V以下となったことから容量の測定はできなかった」(安田剛他、「マグネシウム燃料電池の開発」http://www.tonio.or.jp/koryu/ronbunsyu−27/H25−045.pdf)との報告もあり、マグネシウム空気電池における電解液には、まだ改善の余地が残されていた。
本発明は、かかる状況下、発電継続時間、放電容量の面で優れたマグネシウム空気電池の電解液を提供することを目的とする。
本発明は、マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池であって、
マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる負極と、
導電性材料からなる正極と、
前記正極に接して配置され、酸素を供給する正極活性体と、
前記正極活性体と前記負極との間に配置され、アルカリ性を示すアミノポリカルボン酸塩の水溶液を含む電解液を保持する電解質層とを備えるマグネシウム空気電池として構成することができる。
アミノポリカルボン酸塩は、少なくとも1つの−N(CHCOOH)を有しており、マグネシウムイオンと安定的にキレート結合することができる。本発明では、種々のアミノポリカルボン酸塩の中で、アルカリ性の溶液となるものを用いる。
本発明によれば、アミノポリカルボン酸塩がマグネシウムイオンとキレート結合することにより、水酸化マグネシウムの発生を抑制でき、不動態膜の形成を抑制することができる。また、本発明では、電解液はアルカリ性となるから、酸性下で生じる自己放電の問題も自然と回避することができる。
即ち、本発明は、電解液を敢えてアルカリ性にすることによって、マグネシウム空気電池の電解液が酸性下で生じる課題を回避するとともに、マグネシウムイオンとキレート結合を生じるアミノポリカルボン酸塩を用いることによってアルカリ性下で生じる課題も回避することを図っている。こうすることにより、本発明のマグネシウム空気電池は、発電継続時間および放電容量を向上させることが可能となる。
本発明のマグネシウム空気電池においては、
前記アミノポリカルボン酸塩として、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム(EDTA3Na)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(DTPA5Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム(HEDTA3Na)、 トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N”,N”,N”’六ナトリウム(TTHA6Na)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二ナトリウム(HIDA2Na)、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン−ナトリウム(DHEGNa)、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(GLDA4Na)、およびエチレンジアミン−N,N’ −ジコハク酸三ナトリウム(EDDSH3Na)の少なくとも一つを用いるものとしてもよい。
これらは、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。fa
また、これらのアミノポリカルボン酸塩において、アルカリ性が非常に弱い場合などには、水酸化ナトリウムを添加するなどしてもよい。
また、本発明のマグネシウム空気電池においては、
発電時における前記電解液が、pH8以上かつpH13以下に調整されていることが好ましい。
このようにpHを調整しておくことにより、酸性下で生じる自己放電を確実に回避することができる。pHの調整は、電解液の濃度や、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質の添加などによって行うことができる。
本発明のマグネシウム空気電池においては、
前記電解液は、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの少なくとも一方を、0.05重量%以上かつ18重量%以下の範囲で含有することも好ましい。
こうすることによって、電解液の電気伝導率を向上させることができる。
本発明において、電解質層は、種々の構成が可能である。
電解質層の第1の構成として、
前記電解質層は、前記負極および正極活性体の少なくとも一部を浸す状態で前記電解液を貯蔵するタンクによって構成されるものとしてもよい。
電解液は、当初からタンクに貯蔵されていてもよいし、発電開始時にタンクに電解液を注入するようにしてもよい。また、タンク内に固体のアミノポリカルボン酸塩を貯蔵しておき、発電開始時にタンクに水を注入するようにしてもよい。
電解質層の第2の構成として、
前記電解質層は、前記負極および正極活性体に少なくとも一部で接触し、前記電解液を吸収し保持する保水体によって構成されるものとしてもよい。
かかる構成によれば、電解液が保水体に保持されているため、液漏れを抑制しやすい利点がある。かかる構成においても、マグネシウム空気電池の組み立て当初から、電解液を保水体に保持させておいてもよいし、発電開始時に外部から電解液を保水体に供給するようにしてもよい。
また、第2の構成、即ち保水体を用いた構成の場合、
前記電解質は、発電開始前の状態において、前記保水体に溶出可能な部位に固体として保持されており、
前記保水体に、前記溶出を実現できる量の水を外部から供給するための供給機構を備えているものとしてもよい。
こうすることにより、発電開始前の状態では電池内には固体しか存在しないため、液漏れの心配なく保管することができる。また、外部から水を供給するだけで簡便に発電を開始させることができる。
発電開始前に電解質を保持しておく部位としては、保水体の表面または内部、負極と保水体の接触面、正極活性体と保水体の接触面などが考えられる。
外部から電解液または水を供給するための供給機構として、
前記負極、正極、正極活性体、および前記保水体を封入するケースを備える場合には、
前記供給機構は、前記ケースの下面に形成された貫通孔であるものとすることができる。貫通孔の大きさおよび数は任意である。
こうすることにより、水等を貯めた容器にマグネシウム空気電池の下面を浸すと、保水体の吸水性によって、保水体内に水を吸い上げ、発電を開始することができる。マグネシウム空気電池の上面から水等を供給する機構に比較し、マグネシウム空気電池を浸すだけで済むため、簡便であるとともに、供給時の水等の漏れを回避でき、漏れた水等に起因する短絡を抑制できる利点もある。
また、下面に貫通孔を設けた場合、
前記負極および正極に接続された外部への接続端子が、前記ケースの中央より上側に形成されているものとしてもよい。
こうしておけば、マグネシウム空気電池を水等に浸した状態でも端子に回路を接続することができる。
保水体は、種々の構成が可能であり、例えば、
前記保水体は、パルプを主成分とする重量密度が100グラム/平方メートル以上、かつ1000グラム/平方メートル以下であるものとしてもよい。
保水体は、パルプのみで形成してもよいし、パルプと不織布などを組み合わせて形成してもよい。上述の重量密度にしておくことにより、マグネシウム空気電池の発電を開始するのに十分な吸水性を確保することができる。
電解質層の構成に関わらず、本発明のマグネシウム空気電池においては、
前記正極活性体は、活性炭および二酸化マンガンの少なくとも一部を用いるものとしてもよい。
活性炭は、空気中の酸素などを内部に吸蔵しておき、これを供給することができる。二酸化マンガンは、水と反応することで酸素原子を遊離することができる。従って、これらの物質を用いることにより、正極活性体を構成することができる。
これらは、単独で用いても良いし、混合して用いても良い。また、固形の状態で用いても良いし、粉末状にした上でシート上に積層等して用いても良い。
本発明において、上述した特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり、組み合わせたりしてもよい。また、本発明は、マグネシウム空気電池の他、種々の態様をとることができる。例えば、上述したマグネシウム空気電池を製造する製造方法、上述したマグネシウム空気電池を用いた発電方法、マグネシウム空気電池に用いられる電解液、およびマグネシウム空気電池に用いられる電解液を固体の状態で保持した電解質層の製造方法などである。
実施例におけるマグネシウム空気電池の外観を示す説明図である。 実施例におけるマグネシウム空気電池の内部構造を示す説明図である。 実施例におけるマグネシウム空気電池の発電継続時間の計測結果を示すグラフである。 実施例におけるマグネシウム空気電池の放電容量の計測結果を示すグラフである。 実施例2におけるマグネシウム空気電池の内部構造を示す説明図である。
図1は、実施例におけるマグネシウム空気電池10の外観を示す説明図である。実施例のマグネシウム空気電池10は、水に下方を浸すことによって発電を開始するよう構成されている。以下、その構造および発電能力について説明する。
A.全体構造:
マグネシウム空気電池10は、樹脂製のケース11内に、複数のセルが組み込まれた構造となっている。ケース11の上方には幅方向に凹んだ凹部12が形成されており、ここに外部の回路に接続するための端子13が設けられている。本実施例では、端子13は、セルの電極を構成する導電性の金属の一部を露出させる構造としている。セルの電極とは別に端子13を設けるようにしてもよい。
図の下側に、マグネシウム空気電池10を下方から見た状態を示した。図示する通り、ケース11の下面には、段部11sが形成され、複数の貫通孔16が形成されたキャップ15がはめ込まれて封印されている。水を蓄えた容器等に、キャップ15を下面にしてマグネシウム空気電池10を立てることによって、貫通孔16を通じてケース11内に水が浸透し、発電を開始することができる。
本実施例では、外部の回路に接続するための端子13は、上方に設けられているため、このようにマグネシウム空気電池10を水に浸しているときでも、短絡等の心配なく外部回路に電池を接続することが可能である。本実施例では、上端に端子13が形成されているが、端子13が水に浸かることを回避するという観点からは、端子13は発電時の水位よりも上方に設けられていればよく、例えば、ケース11の半分より上側の任意の位置に設けることができる。
ケース11の側面には、発電開始時にマグネシウム空気電池を水に浸す基準となる基準線14が描かれている。もっとも、基準線14は、目安に過ぎず、基準線14よりも水位が多少低くても発電を開始することは可能である。
図2は、実施例におけるマグネシウム空気電池10の内部構造を示す説明図である。斜視図(図1)におけるA−A断面の様子を模式的に示した。
図示するように、マグネシウム空気電池10には、ケース11内に、4つのセル20が積層され、さらに一端に導電性の金属板28が積層された状態で、封入されている。セル20の数は任意に設定可能である。ケース11の下側は、貫通孔16が形成されたキャップ15によって封印されている。
図の下側に、各セル20の拡大図を示した。セル20は、4つの層を積層した構造となっている。
正極21は、ステンレスや銅などの導電性の金属で形成することができる。本実施例ではステンレスを用いている。
正極活性体22は、活性炭粉末を積層した層である。活性炭に代えて二酸化マンガンなどを用いても良い。
電解質層23は、電解質を保持したセパレータシートで構成されている。
負極24は、マグネシウム合金AZ31で形成されている。マグネシウムを用いても良い。
4つのセルは、負極24に、正極21が接触するように、直列に配置されている。図中の左端に位置するセル20の正極21と、金属板28の上端の一部がケース11から露出するように構成されており、図1で説明した端子13として機能する。
電解質層23の構造についてさらに詳細に説明する。
セパレータシートは、パルプと不織布の混成素材であり、その重量密度は、100〜1000グラム/平方メートル程度となっている。
本実施例では、電解液としてエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)に、塩化カリウムを0.2%添加した水溶液を用いる。マグネシウム空気電池10を製造する際には、セパレータシートに対して、上述の電解液を浸透させた後、これを乾燥させて電解質層23を形成する。このように製造された電解質層23は、発電開始前は、液体を含んでいないため、マグネシウム空気電池10を保存する際に液漏れなどが生じる心配がない。
発電を開始時に、マグネシウム空気電池10を水に浸すと、セパレータシートが水を吸収し、予め保持されていたエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)が溶出するため、電解液として機能するようになる。
本実施例で用いたエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)の水溶液は、pH8〜13程度のアルカリ性を示す。従って、電解液が酸性下で生じる自己放電を回避することができる。
電解質層23には、この他、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム(EDTA3Na)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(DTPA5Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム(HEDTA3Na)、 トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N”,N”,N”’六ナトリウム(TTHA6Na)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二ナトリウム(HIDA2Na)、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)グリシン一ナトリウム(DHEGNa)、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(GLDA4Na)、およびエチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸三ナトリウム(EDDSH3Na)などを用いてもよい。また、電解液のpHが、8以下となるような場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性物質を合わせて保持しておいてもよい。
B.発電継続時間:
図3は、実施例におけるマグネシウム空気電池の発電継続時間の計測結果を示すグラフである。縦軸に電流値、横軸に経過時間をとって示した。本実施例は、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)6%に塩化カリウムO.2%の重量比で混合させた水溶液を電解液として用いており、その結果は、図中の曲線C1で示されている。比較例として、電解液を塩化カリウムの10%水溶液とした場合の計測結果を曲線C2で示した。外部回路として、弾丸型白色LED(Vf=2.8V、53ルーメンス/w、実用的な明るさが得られる電流域は2mA以上)を接続した。
図示する通り、比較例(曲線C2)は、測定開始当初は高い電流値を得られるが、4時間経過後から急激に電流値が低下し、約10時間経過後には2mA以下となり、実用的な明るさが得られなくなった。これに対して本実施例では、曲線C1に示す通り、24時間経過後でも10mA以上の電流値が得られており、発電継続時間が大幅に向上していることが分かる。
C.放電容量:
図4は、実施例におけるマグネシウム空気電池の放電容量の計測結果を示すグラフである。本実施例の結果を曲線C11に示し、比較例の結果を曲線C12に示した。実施例および比較例におけるマグネシウム空気電池の構造は、発電継続時間(図3)の場合と同じである。外部回路による負荷として、10オームの固定抵抗器を接続した。比較例(曲線C12)では、測定開始当初は高い出力電圧が得られたが、発電継続時聞が短いため、放電容量は約450mAh/gとなっている。一方、本実施例(曲線C11)の場合は、放電容量は約1900mAh/gとなっており、比較例の約4倍となっていることが分かる。
D.効果および変形例:
以上で説明した通り、本実施例のマグネシウム空気電池10によれば、塩化カリウムを電解液に用いた一般的なマグネシウム電池と比較して、発電継続時間、放電容量が大幅に向上することが確認できた。
上述の向上が得られるのは、次の理由による。即ち、実施例の電解液で用いたエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)は、アミノポリカルボン酸塩の一種であり、マグネシウムイオンと安定的にキレート結合することができるのである。この結果、マグネシウムイオンが水酸化イオンと反応して水酸化マグネシウムを発生することを抑制でき、不動態膜の形成を抑制することができる。また、本発明では、電解液はアルカリ性となるから、酸性下で生じる自己放電の問題も自然と回避することができるのである。
実施例で説明したマグネシウム空気電池10は、以下に示す通り、種々の変形例をとることができる。
(1) 実施例では、発電前の状態では、固体の電解質を電解質層23に保持する例を示した。これに代えて、電解質は、電解質層23に溶出可能な種々の部位に保持することができ、例えば、負極24と電解質層23との接触面、正極活性体22と電解質層23との接触面などに保持してもよい。
(2) 実施例では、電解質層23に固体の電解質を保持しておき、水を加えることで発電を開始する例を示したが、電解質層23に予め電解液を保持しておくものとしてもよい。
(3) 実施例では、電解質層23にセパレータシートを用いた例を示したが、電解質層23は以下に示すように液体を貯蔵するタンクとしてもよい。
図5は、変形例におけるマグネシウム空気電池10Aの内部構造を示す説明図である。変形例のマグネシウム空気電池10Aは、実施例と同様、樹脂のケース11A、11Bの内部に4つのセル20Aが直列に積層され、負極側には電極となる金属板28Aが積層されている。
ただしケース11A、11Bは下面も閉じた容器状となっており、下側のケース11Aに上側のケース11Bをかぶせて接着等することで、セル20A、金属板28Aを封入している。
ケース11Bの上面には貫通孔18が設けられており、ここから電解液を注入可能となっている。
図の下側にセル20Aの構造を示した。正極21、正極活性体22、負極24は、それぞれ実施例と同じである。変形例では、実施例における電解質層に代えて、スペーサ23Aが取り付けられている。変形例では、筒状のスペーサ23Aを正極21から負極24まで貫通するピン23Bで止める構造とした。図示の便宜上、ピン23Bの頭は正極21、負極24の表面より突出して描いてあるが、隣接するセル20Aの正極21と負極24とが接触しやすいよう、ピン23Bの頭は、正極21と負極24から突出させないよう加工しておくことが好ましい。スペーサ23Aの取り付けは、ピン23Bを用いる他、接着など種々の構造が可能である。
スペーサ23Aによって、正極活性体22と負極24との間には所定の間隙が形成されており、ケース11A、11Bと合わせて電解液を貯蔵するタンクとして機能する。電解液を貫通孔18から注入すると、ケース11Aの内部全体が、電解液で満たされるため、正極活性体22と負極24との間の部分が発電に寄与する電解質層として機能することになる。
変形例においても、例えば、発電前の状態では、ケース11内のいずれかの部分や、正極21、正極活性体22および負極24の表面などに固体の電解質を保持しておくようにしてもよい。こうしておくことにより、貫通孔18から水を注入すれば、予め保持された電解質が溶けだして電解液となるため、発電を開始することができる。
正極活性体22と負極24との間は、必ずしもスペーサ23Aを設ける必要はなく、ケース11Bの内面に、所定の間隔をあけて正極活性体22と負極24を固定する溝を設けるなどしてもよい。
以上、本発明の実施例および変形例について説明した。本発明は、実施例等で説明した全ての特徴を備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり組み合わせたりしてもよい。
本発明は、マグネシウム空気電池の発電継続時間、放電容量向上のために利用可能である。
10、10A…マグネシウム空気電池
11、11A、11B…ケース
11s…段部
12…凹部
13…端子
14…基準線
15…キャップ
16…貫通孔
20、20A…セル
21…正極
22…正極活性体
23…電解質層
23A…スペーサ
23B…ピン
24…負極
28、28A…金属板

Claims (11)

  1. マグネシウムと酸素を用いて発電するマグネシウム空気電池であって、
    マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる負極と、
    導電性材料からなる正極と、
    前記正極に接して配置され、酸素を供給する正極活性体と、
    前記正極活性体と前記負極との間に配置され、アルカリ性を示すアミノポリカルボン酸塩の水溶液を含む電解液を保持する電解質層とを備えるマグネシウム空気電池。
  2. 請求項1記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記アミノポリカルボン酸塩として、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA4Na)、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム(EDTA3Na)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA3Na)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(DTPA5Na)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム(HEDTA3Na)、***(TTHA6Na)、***(HIDA2Na)、***(DHEGNa)、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(GLDA4Na)、***(EDDSH3Na)の少なくとも一つを用いるマグネシウム空気電池。
  3. 請求項1または2記載のマグネシウム空気電池であって、
    発電時における前記電解液が、pH8以上かつpH13以下に調整されているマグネシウム空気電池。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記電解液は、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの少なくとも一方を、0.05重量%以上かつ18重量%以下の範囲で含有するマグネシウム空気電池。
  5. 請求項1〜4いずれか記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記電解質層は、前記負極および正極活性体の少なくとも一部を浸す状態で前記電解液を貯蔵するタンクによって構成されるマグネシウム空気電池。
  6. 請求項1〜4いずれか記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記電解質層は、前記負極および正極活性体に少なくとも一部で接触し、前記電解液を吸収し保持する保水体によって構成されるマグネシウム空気電池。
  7. 請求項6記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記電解質は、発電開始前の状態において、前記保水体に溶出可能な部位に固体として保持されており、
    前記保水体に、前記溶出を実現できる量の水を外部から供給するための供給機構を備えているマグネシウム空気電池。
  8. 請求項7記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記負極、正極、正極活性体、および前記保水体を封入するケースを備え、
    前記供給機構は、前記ケースの下面に形成された貫通孔であるマグネシウム空気電池。
  9. 請求項8記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記負極および正極に接続された外部への接続端子が、前記ケースの中央より上側に形成されているマグネシウム空気電池。
  10. 請求項6〜9いずれか記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記保水体は、パルプを主成分とする重量密度が100グラム/平方メートル以上、かつ1000グラム/平方メートル以下であるマグネシウム空気電池。
  11. 請求項1〜10いずれか記載のマグネシウム空気電池であって、
    前記正極活性体は、活性炭および二酸化マンガンの少なくとも一部を用いているマグネシウム空気電池。
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