JP2016004652A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム Download PDF

Info

Publication number
JP2016004652A
JP2016004652A JP2014123391A JP2014123391A JP2016004652A JP 2016004652 A JP2016004652 A JP 2016004652A JP 2014123391 A JP2014123391 A JP 2014123391A JP 2014123391 A JP2014123391 A JP 2014123391A JP 2016004652 A JP2016004652 A JP 2016004652A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure difference
anode
flow rate
range
fuel cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014123391A
Other languages
English (en)
Inventor
裕士 鈴木
Yuji Suzuki
裕士 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2014123391A priority Critical patent/JP2016004652A/ja
Publication of JP2016004652A publication Critical patent/JP2016004652A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】燃料電池において、電解質膜の乾湿状態を正確に把握して適度な湿潤状態を維持する。
【解決手段】燃料電池システムは、電解質膜とアノードとカソードとを有する燃料電池と、アノードにおける圧力差を検出する圧力差検出部と、検出された検出圧力差とアノードにおける相対湿度が100%RH以上の所定の湿度範囲に相当する圧力差の範囲と、の関係に応じてカソード側反応ガス流量を制御する流量制御部であって、検出圧力差が圧力差の範囲よりも大きい場合にはカソード側反応ガス流量を圧力差範囲内である場合に比べて増加させ、検出圧力差が圧力差の範囲よりも小さい場合にはカソード側反応ガス流量を圧力差範囲内である場合に比べて減少させる、流量制御部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池に用いられる電解質膜は、湿潤状態において高い発電性能を発揮できるため、燃料電池に供給する反応ガスを加湿して電解質膜の乾燥を抑制する技術が提案されている。他方、電気化学反応によって生じた水(生成水)や反応ガス中の水が燃料電池の触媒層やガス拡散層に多量に存在すると、かかる水によりガス流路が詰まるために、ガス拡散性が低下して燃料電池の発電性能が低下するおそれがある。そこで、特許文献1の燃料電池システムでは、水素ガスの平均湿度を測定し、かかる湿度が100%RHよりも低い所定の範囲(60〜70%RH)となるようにエア流量を制御する。また、特許文献2の燃料電池システムでは、出力電圧を測定し、得られた出力電圧に基づきカソードの濡れ状態を判定し、濡れ過ぎであると判定されると、カソード側のガス流量を増加させてカソード表面の水を強制的に排出する(吹き飛ばす)。
特開2012−15120号公報 特開平7−235324号公報
しかし、特許文献1に記載された燃料電池システムでは、アノード側の平均湿度を100%RHよりも低くなるように制御するため、水素ガスに含まれる水の量が少なく抑えられる。このため、水素ガスからアノードに供給される水の量が低減するのでアノードが乾燥状態となり、その結果、電解質膜が乾燥状態となって発電性能が低下するという問題があった。加えて、燃料電池スタックにおける平均湿度を測定しているため、セル毎の湿度のばらつきは考慮されていない。このため、平均湿度が所定の範囲内となるように制御された結果、電解質膜が過度に乾燥状態となるセルが存在し得るという問題があった。
また、特許文献2に記載された燃料電池システムでは、電圧の絶対値のみで濡れ状態を判定しているため、例えば、経年劣化によりI−V特性が劣化したために電圧が低下した場合に、濡れ過ぎであると誤判定されるおそれがある。この場合もカソード側において過度な乾燥状態となるために、電解質膜が過度な乾燥状態となり得る。そのため、燃料電池において、電解質膜の乾湿状態を正確に把握して適度な湿潤状態を維持することが可能な技術が望まれていた。そのほか、従来の燃料電池システムでは、その小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、電解質膜と、互いに前記電解質膜を挟んで対向するアノードおよびカソードと、を有する燃料電池と;前記アノードにおけるアノード側反応ガスの入口側の圧力と、前記アノードにおけるアノード側オフガスの出口側の圧力との圧力差を検出する圧力差検出部と;前記検出された圧力差である検出圧力差と、前記圧力差の範囲であって前記アノードにおける相対湿度が100%RH以上の所定の湿度範囲に相当する圧力差の範囲と、の関係に応じて前記カソードに供給するカソード側反応ガス流量を制御する流量制御部であって、前記検出圧力差が前記圧力差の範囲よりも大きい場合には、前記カソード側反応ガス流量を、前記検出圧力差が前記圧力差の範囲内である場合に比べて増加させ、前記検出圧力差が前記圧力差の範囲よりも小さい場合には、前記カソード側反応ガス流量を、前記検出圧力差が前記圧力差の範囲内である場合に比べて減少させる、流量制御部と;を備える。
上記形態の燃料電池システムによれば、検出圧力差が圧力差の範囲よりも大きい場合にはカソード側反応ガスの流量を増加させるので、圧力差を圧力差範囲内とすることができる。また、検出圧力差が圧力差範囲よりも小さい場合にはカソード側反応ガスの流量を減少させるので、この場合も、圧力差を圧力差範囲内とすることができる。ここで、圧力差の範囲は、アノードにおける相対湿度が100%RH以上の所定の湿度範囲であるので、上述したカソード側反応ガスの流量の調整により、アノードにおける相対湿度を100%RH以上の所定の湿度範囲に調整できる。したがって、アノード側からカソード側へと向かう水量(浸透水量)が増加しても、アノード側が過度に乾燥することを抑制できる。このため、電解質膜が乾燥状態となることを抑制し、電解質膜において適度な湿潤状態を維持することができる。加えて、アノードにおける相対湿度を所定の湿度範囲に調整するために、カソード側反応ガスの流量を調整するので、アノード側反応ガスの流量を調整する構成に比べて、燃費の低下を抑制できる。また、アノード側反応ガスの入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差(検出圧力差)が、所定の湿度範囲に相当する圧力差の範囲内であるか否かに応じた処理は、すなわち、圧力差に基づきアノードにおける乾湿状態を推定し、その推定結果に応じた処理に相当する。アノードにおける乾湿状態は、電解質膜の乾湿状態と相関するため、上記実施形態の燃料電池システムによれば、検出圧力差に基づき電解質膜の乾湿状態を推定しているに等しい。したがって、経年劣化による燃料電池のI−V特性の変化に関係なく、電解質膜の乾湿状態を精度よく推定できる。加えて、アノード側とカソード側とを比べた場合、相対湿度が変化した場合により大きく変化するアノード側の圧力差に基づき電解質膜の乾湿状態を推定するので、乾湿状態の変化を精度よく推定できる。
本発明は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池システムを搭載した車両、燃料電池システムの制御方法、それらのシステムや車両、制御方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
本発明の一実施形態としての燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。 燃料電池10に含まれる単セルの概略構成を示す断面図である。 図1に示すマップ格納部76に格納される圧力差マップの設定内容を模式的に示す説明図である。 アノード側反応ガスとカソード側反応ガスとのそれぞれについての水のモル分率に対する粘性変化率を示す説明図である。 燃料電池システム100において実行されるカソード側ガス流量制御処理の手順を示すフローチャートである。 上述したステップS140が実行された場合のアノード側圧力差の変化を示す説明図である。 上述したステップS135が実行された場合のアノード側圧力差の変化を示す説明図である。
A.実施形態:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施形態としての燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。燃料電池システム100は、燃料電池10と、水素タンク20と、レギュレータ22と、流量計24と、エアコンプレッサ30と、ラジエータ40と、アノード側供給流路51と、アノード側排出流路52と、カソード側供給流路53と、カソード側排出流路54と、冷却媒体供給流路55と、冷却媒体排出流路56と、2つの圧力計61,62と、温度センサ63と、制御部70とを備える。本実施形態において、燃料電池システム100は、駆動用電源を供給するためのシステムとして、電気自動車に搭載されて用いられる。なお、電気自動車に代えて、ハイブリッド自動車,船舶,ロボットなどの各種移動体に適用することもできる。また、燃料電池10を定置型電源として用い、燃料電池システム100をビルや一般住宅等の建物に適用することもできる。
燃料電池10は、積層された複数の単セルを有する。図2は、燃料電池10に含まれる単セルの概略構成を示す断面図である。単セル11は、固体高分子型燃料電池であり、電解質膜90と、アノード側触媒層91と、アノード側ガス拡散層92と、アノード側セパレータ93と、カソード側触媒層94と、カソード側ガス拡散層95と、カソード側セパレータ96とを備えている。単セル11は、アノード側反応ガスとして供給される水素ガスとカソード側反応ガスとして供給される空気とを用いて、電気化学反応により起電力を得る。
電解質膜90は、スルホン酸基を含むフッ素樹脂系イオン交換膜であり、Flemion(登録商標)やAciplex(登録商標)等を用いることができる。なお、電解質膜90としては、スルホン酸基に限らず、リン酸基やカルボン酸基など、他のイオン交換基を含む膜を用いることができる。アノード側触媒層91およびカソード側触媒層94は、互いに電解質膜90を挟んで対向している。アノード側触媒層91およびカソード側触媒層94は、いずれも、触媒を導電性粒子に担持させた部材と、プロトン導電体であるアイオノマとを用いて構成されている。触媒としては、例えば、白金や、白金とルテニウムや鉄等の金属との合金を用いることができる。導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック等の炭素粒子や、炭素繊維などを用いることができる。アイオノマとしては、スルホン酸基を含むフッ素樹脂を採用することができる。アノード側ガス拡散層92は、アノード側触媒層91を挟んで電解質膜90とは反対側に配置されている。カソード側ガス拡散層95は、カソード側触媒層94を挟んで電解質膜90とは反対側に配置されている。アノード側ガス拡散層92およびカソード側ガス拡散層95は、いずれも反応ガス(水素ガスおよび空気)を拡散し、また、電気化学反応等により生じた水を排出するために多孔質部材により構成されている。具体的には、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等のカーボン多孔質体や、金属メッシュや発泡金属等の金属多孔質体により構成されている。アノード側セパレータ93は、アノード側ガス拡散層92を挟んでアノード側触媒層91とは反対側に配置されている。カソード側セパレータ96は、カソード側ガス拡散層95を挟んでカソード側触媒層94とは反対側に配置されている。アノード側セパレータ93およびカソード側セパレータ96は、いずれもガス不透過の伝導性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成型した金属板によって構成することができる。なお、図2に示す水W1,W2,Ndif,Nosmについては、後述する。
図1に示す水素タンク20は、高圧水素を貯蔵しており、レギュレータ22およびアノード側供給流路51を介して水素ガスを燃料電池10に供給する。レギュレータ22は、アノード側供給流路51において水素タンク20の下流側に配置されており、水素タンク20から供給される水素ガスの流量を制御する。流量計24は、アノード側供給流路51においてレギュレータ22の下流側に配置されており、水素タンク20から供給される水素ガスの流量を測定する。エアコンプレッサ30は、カソード側供給流路53に配置されており、圧縮空気を燃料電池10に供給する。ラジエータ40は、燃料電池10から冷却媒体排出流路56を介して排出される冷却媒体を冷却し、冷却後の冷却媒体を、冷却媒体供給流路55を介して燃料電池10に戻す。
アノード側供給流路51は、水素タンク20と燃料電池10との間に配置されており、水素タンク20内の水素ガスを燃料電池10に供給する。アノード側排出流路52は、燃料電池10から排出されるアノード側オフガスを大気へと導く。カソード側供給流路53は、エアコンプレッサ30から排出される圧縮空気を燃料電池10に供給する。カソード側排出流路54は、燃料電池10から排出されるカソード側オフガスを大気へと導く。
圧力計61は、アノード側供給流路51において流量計24の下流側に配置されており、燃料電池10における水素ガスの入口側の圧力を測定する。圧力計62は、アノード側排出流路52において燃料電池10の近傍に配置されており、燃料電池10におけるアノード側オフガスの出口側の圧力を測定する。温度センサ63は、冷却媒体排出流路56に配置されており、燃料電池10から排出される冷却媒体の温度を測定する。本実施形態では、燃料電池10から排出される冷却媒体の温度を、燃料電池10の温度として用いる。上述した流量計24と、2つの圧力計61,62と、温度センサ63とは、制御部70と電気的に接続されており、それぞれ測定値を制御部70に通知する。
制御部70は、図示しないCPU(Central Processing Unit)および記憶装置を備えており、CPUは、記憶装置に格納されている制御プログラムを実行することにより、圧力差検出部72および流量制御部74として機能する。圧力差検出部72は、2つの圧力計61,62から得られた圧力値に基づき、燃料電池10のアノードにおける入口側圧力と出口側圧力との圧力差(以下、「アノード側圧力差」とも呼ぶ)を求める。流量制御部74は、後述するカソード側ガス流量調整処理を実行する。制御部70が有する図示しない記憶装置は、マップ格納部76を有する。マップ格納部76は、圧力差マップを格納する。
図3は、図1に示すマップ格納部76に格納される圧力差マップの設定内容を模式的に示す説明図である。図3に示すように、圧力差マップは、燃料電池10の温度毎に用意されている複数のマップにより構成されている。なお、図3では、燃料電池10の温度(T)が、温度T1である場合のマップを代表して表している。各マップでは、アノード側の平均相対湿度が100%RHの場合と120%RHの場合とにつき、それぞれ水素ガス流量(横軸)とアノード側圧力差(縦軸)とが対応付けて設定されている。水素ガス流量とは、燃料電池10に供給される水素ガスの流量を意味する。図3では、参考のため、平均相対湿度が70%RHの場合および80%RHの場合の水素ガス流量とアノード側圧力差との関係を破線で示している。
図3に示すように、水素ガス流量が同じである場合には、燃料電池10のアノードにおける平均相対湿度がより高いほど、アノード側圧力差としてより大きな値が設定されている。例えば、水素ガス流量がFA1である場合に、アノード側の平均相対湿度が120%RHである場合のアノード側圧力差ΔP1は、平均相対湿度が100%RHである場合のアノード側圧力差ΔP2に比べて高い。このような圧力差マップの内容は、予め燃料電池10の温度を変化させつつ、各温度について水素ガス流量とアノード側圧力差との関係を実験等により求めて設定されている。上述のように、アノード側の平均相対湿度がより高いほどアノード側圧力差がより大きくなる理由について図4を用いて説明する。
図4は、アノード側反応ガス(水素ガス)と、カソード側反応ガス(空気)とのそれぞれについての、水のモル分率に対する粘性変化率を示す説明図である。図4において、横軸は各ガスに含まれる水のモル分率(%)を示し、縦軸は粘性変化率(%)を示す。また、図4において、曲線L1は、アノード側反応ガス(水素ガス)についての、水のモル分率に対する粘性変化率を示し、曲線L2は、カソード側反応ガス(空気)についての、水のモル分率に対する粘性変化率を示す。
アノード側およびカソード側のいずれについても、入口側の圧力と出口側の圧力との圧力差は、ダルシー(Darcy)の法則に従う下記式(1)により表される。
ΔP=−v・μ/(K・L)・・・(1)
上記式(1)において、ΔPは圧力差を示し、vはガスの流速を示し、μはガスの粘性を示し、Kは透気度を示し、Lはガス流路長を示す。上記式(1)において、KおよびLは固定値であるため、圧力差ΔPは、粘性μに依存する。ここで、アノード側圧力差について検討すると、燃料電池10のアノード側に供給される反応ガスは、水素タンク20から供給される水素ガスに加えて、水(水蒸気)が含まれる。図4に示すように、アノード側の反応ガスに含まれる水の割合(モル分率)が増加するほど、粘性μの変化率は大きくなる。このため、平均湿度がより高くなるほど、粘性μの変化率が大きくなり圧力差ΔPが大きくなる。
ここで、図4において、アノード側の粘性変化率(曲線L1)とカソード側の粘性変化率(曲線L2)とを比べると、含まれる水の割合(モル分率)が同じだけ変化した場合、アノード側の粘性μの変化率は、カソード側の粘性μの変化率に比べて大きい。したがって、アノード側とカソード側とで同じだけ平均湿度が変化した場合に、アノード側の圧力差は、カソード側の圧力差に比べて大きく変化する。ここで、電解質膜90の乾湿状態は、アノード側の平均湿度およびカソード側の平均湿度と相関するため、いずれかの平均湿度により電解質膜90の乾湿状態を推定できる。そこで、本実施形態では、後述するように、平均湿度の変化に伴ってより大きく変化するアノード側圧力差を用いて電解質膜90の乾湿状態を推定することにより、電解質膜90の乾湿状態を精度よく推定する。
なお、本実施形態において、図3に示す各マップの内容は、予め燃料電池10の温度を変化させつつ、各温度について水素ガス流量とアノード側圧力差との関係を実験等により求めて設定されている。
上記構成を有する燃料電池システム100では、後述するカソード側ガス流量調整処理を実行することにより、燃料電池10における乾湿状態を正確に把握して適度な湿潤状態を維持することができる。
A2.カソード側ガス流量調整処理:
図5は、燃料電池システム100において実行されるカソード側ガス流量制御処理の手順を示すフローチャートである。燃料電池システム100では、燃料電池システム100に図示しない負荷が接続された場合など、燃料電池システム100において発電が開始されると、併せてカソード側ガス流量調整処理が実行される。
流量制御部74は、温度センサ63および流量計24からの信号を受信することにより、燃料電池10の温度と、水素ガスの流量とを検出する(ステップS105)。流量制御部74は、ステップS105で検出された燃料電池10の温度と水素ガスの流量とに基づき、圧力差マップを参照して、所定の相対湿度範囲に相当するアノード側圧力差の範囲を特定する(ステップS110)。上述した「所定の相対湿度範囲」とは、本実施形態では、100%RH以上かつ120%RH以下の範囲を意味する。例えば、燃料電池10の温度TがT1であり、かつ、水素ガス流量がFA1である場合には、図3に示すマップが参照され、所定の相対湿度範囲(100%RH以上かつ120%RH以下)に相当するアノード側圧力差の範囲として、「ΔP2以上かつΔP1以下」が特定される。なお、以降では、上述したステップS110において特定されたアノード側圧力差の範囲である「ΔP2以上かつΔP1以下」を、範囲PRと呼ぶ。
図5に示すように、圧力差検出部72は、圧力計62から水素ガスの出口側の圧力値を取得すると共に、圧力計61から水素ガスの入口側の圧力値を取得し(ステップS115)、取得された圧力値を用いてアノード側圧力差を算出する(ステップS120)。
流量制御部74は、ステップS120において算出されたアノード側圧力差が、ステップS110において推定されたアノード側圧力差の範囲内に含まれているか否かを判定する(ステップS125)。具体的には、例えば、算出されたアノード側圧力差が、図3における範囲PR内に含まれているか否かが判定される。また、アノード側圧力差が範囲PR内に含まれていないと判定される際には、併せて、アノード側圧力差が「範囲PRの下限値よりも小さい」および「範囲PRの上限値よりも大きい」のいずれであるかが判定される。アノード側圧力差が範囲PRの下限値よりも小さい場合には、アノード側が乾燥状態であり、すなわち、電解質膜90が乾燥状態であると推定される。他方、アノード側圧力差が範囲PRの上限値よりも大きい場合には、アノード側が高い湿潤状態であり、すなわち、電解質膜90が高い湿潤状態であると推定される。アノード側圧力差が範囲PR内である場合には、アノード側が適度な乾湿状態であり、すなわち、電解質膜90が適度な湿潤状態であると推定される。
前述のステップS125の結果、アノード側圧力差がステップS110で特定されたアノード側圧力差の範囲内であると判定されると(ステップS125:YES)、流量制御部74は、エアコンプレッサ30を制御して、燃料電池10に供給する空気流量を通常量に制御する(ステップS130)。通常量とは、燃料電池10において要求電力を出力するために空気を供給する際の(すなわち、燃料電池10が通常動作を行う際の)空気流量を意味する。
これに対して、アノード側圧力差がステップS110で特定されたアノード側圧力差の範囲よりも小さいと判定されると(ステップS125:NO)、流量制御部74は、エアコンプレッサ30を制御して、燃料電池10に供給する空気流量を通常量よりも減少させる(ステップS135)。また、アノード側圧力差が推定されたアノード側圧力差の範囲よりも大きいと判定されると(ステップS125:NO)、流量制御部74は、エアコンプレッサ30を制御して、燃料電池10に供給する空気流量を通常量よりも増加させる(ステップS140)。上述したステップS130、S135、およびS140が実行された後、上述のステップS115に戻り、再度ステップS115〜S140が実行される。
図6は、上述したステップS140が実行された場合のアノード側圧力差の変化を示す説明図である。図6における横軸および縦軸は、図3における横軸および縦軸と同じであるので、説明を省略する。
例えば、水素ガス流量がFA1であり、カソード側ガス流量制御処理が開始されて、最初にステップS120が実行されて得られた圧力差がΔPAである場合、図6に示すように、ステップS125以降が実行される前において、動作点は点P1である。この場合、圧力差ΔPAが範囲PRの上限値ΔP1よりも大きいため、ステップS140が実行され、空気流量は通常量よりも増加する。その結果、アノード側の平均湿度が低下するためにアノード側圧力差は減少し、アノード側圧力差は、例えば、範囲PR内の圧力差である圧力差ΔPBとなり、動作点は点P1から点P2へと移動する。このように、空気流量(カソード側流量)を増加させることによりアノード側の平均湿度が低下する理由について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、カソード側触媒層94には、電気化学反応により生じた水W1が存在し、この水W1の一部は、電解質膜90を介してアノード側へと拡散する。以降では、このカソード側からアノード側へと拡散する水の量を、拡散水量Ndifと呼ぶ。また、アノード側触媒層91には、水素ガスに含まれている水分に由来する水W2が存在し、この水W2の一部は、電解質膜90を介してカソード側へと浸透する。以降では、このアノード側からカソード側へと浸透する水の量を、浸透水量Nosmと呼ぶ。拡散水量Ndifは、下記式(1)により表すことができる。また、浸透水量Nosmは、下記式(2)により表すことができる。
Ndif=DW(Hm)・(Cwc(Hc)−Cwa(Ha))/tm ・・・(1)
Nosm=nd(Hm)・M(I) ・・・(2)
上記式(1)において、DW(Hm)は、電解質膜90内の水拡散係数を示し、膜湿度(Hm)に依存する。また、式(1)において、Cwc(Hc)はカソード側触媒層94と電解質膜90との界面における膜界面水濃度を、Cwa(Ha)はアノード側触媒層91と電解質膜90との界面における膜界面水濃度を、tmは電解質膜90の厚さを、それぞれ示す。上述のCwc(Hc)は、カソード側湿度(Hc)に依存する。また、上述のCwaは、アノード側湿度(Ha)に依存する。また、上記式(2)において、nd(Hm)は水分子数を、M(I)は移動モル数を、それぞれ示す。なお、nd(Hm)は膜湿度(Hm)に依存し、M(I)は電流(I)に依存する。
アノード側圧力差が範囲PRの上限値よりも大きい場合、上述したように、燃料電池10の平均相対湿度は非常に高く、アノード側において水W2が過剰に存在する。この場合、アノード側の水W2の少なくとも一部をカソード側に移動させるためには、下記式(3)が満たされることが必要となる。
Ndif<Nosm ・・・(3)
上記式(3)に、上記式(1),(2)を代入して変形すると、下記式(4)が得られる。
Cwc(Hc)−nd(Hm)・M(I)・tm/DW(Hm)<Cwa(Ha) ・・・(4)
上記(4)を満たすために、例えば、左辺の値を減少させればよい。そのために、例えば、膜界面水濃度Cwcを減少させることが考えられる。膜界面水濃度Cwcは、カソード側湿度(Hc)に依存し、カソード側湿度(Hc)の減少に伴って減少する。ここで、前述のステップS140のように、空気流量を増加させることにより、カソード側湿度(Hc)を減少させることができるので、上記式(4)を満たすことができる。その結果、アノード側の水W2の少なくとも一部をカソード側に移動させて、アノード側の平均湿度を低下させることができる。
図7は、上述したステップS135が実行された場合のアノード側圧力差の変化を示す説明図である。図7における横軸および縦軸は、図3における横軸および縦軸と同じであるので、説明を省略する。
例えば、水素ガス流量がFA1であり、カソード側ガス流量制御処理が開始されて、最初にステップS120が実行されて得られた圧力差がΔPCである場合、図7に示すように、ステップS125以降が実行される前において、動作点は点P3である。この場合、圧力差ΔPCが範囲PRの下限値ΔP2よりも小さいため、ステップS135が実行され、空気流量は通常量よりも減少する。その結果、アノード側の平均湿度が上昇するためにアノード側圧力差は増加し、アノード側圧力差は、例えば、範囲PR内の圧力差である圧力差ΔPBとなり、動作点は点P3から点P2へと移動する。ここで、アノード側の平均湿度を上昇させるには、下記式(5)を満たす必要がある。
Ndif>Nosm ・・・(5)
上記式(5)を満たすためには、例えば、カソード側触媒層94と電解質膜90との界面における膜界面水濃度(Cwc(Hc))を増加させることが考えられる。上述のように、かかる膜界面水濃度は、カソード側湿度(Hc)に依存し、カソード側湿度の増加に伴って増加する。前述のステップS135のように空気流量を減少させることによりカソード側湿度を増加させることができるので、上記式(5)が満たされる。その結果、アノード側の湿度は上昇する。
以上説明した実施形態の燃料電池システム100によれば、アノード側の平均相対湿度が100%RH以上かつ120%RH以下となるように、すなわち、過加湿となるように制御するため、アノード側からカソード側に向かう水(浸透水量Nosm)が増加しても、アノード側が過剰に乾燥することを抑制できる。このため、電解質膜90が乾燥状態となることを抑制し、電解質膜90における適度な湿潤状態を維持できるので、燃料電池10の発電性能の低下を抑制できる。加えて、アノード側の平均相対湿度を100%RH以上かつ120%RH以下の範囲に維持させるために、空気流量を調整しているので、水素ガスの流量を調整する構成に比べて、燃費悪化を抑制できる。
また、アノード側圧力差に基づき電解質膜90の乾湿状態を推定するため、経年劣化による燃料電池10のI−V特性の変化に関係なく、電解質膜90の乾湿状態を精度よく推定できる。加えて、アノード側とカソード側とを比べた場合、平均湿度が変化した場合により大きく変化するアノード側の圧力差に基づき電解質膜90の乾湿状態を推定するので、乾湿状態の変化を精度よく推定できる。
B.変形例:
B1.変形例1:
上記実施形態では、目標とするアノード側の平均相対湿度範囲の上限値は120%RHであったが、120%RHに限らず、100%RHよりも大きな任意の値に設定してもよい。また、目標とするアノード側の平均相対湿度範囲の下限値は100%RHであったが、100%RHに限らず、100%RHよりも大きな任意の値に設定してもよい。また、平均相対湿度に代えて、最大相対湿度など、アノード側の相対湿度に関連する指標であって、アノード側圧力差と相関する任意の指標を用いてもよい。
B2.変形例2:
上記実施形態では、燃料電池10の温度として、燃料電池10から排出される冷却媒体の温度を用いていたが、かかる温度に代えて、燃料電池10を構成するいずれかの単セル11の温度を、燃料電池10の温度として用いても良い。この構成では、例えば、燃料電池10の中央に位置する単セル11に温度センサを設置することで、燃料電池10の温度を測定できる。
B3.変形例3:
上記実施形態において、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、これとは逆に、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよい。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…燃料電池
11…単セル
20…水素タンク
22…レギュレータ
24…流量計
30…エアコンプレッサ
40…ラジエータ
51…アノード側供給流路
52…アノード側排出流路
53…カソード側供給流路
54…カソード側排出流路
55…冷却媒体供給流路
56…冷却媒体排出流路
61…圧力計
62…圧力計
63…温度センサ
70…制御部
72…圧力差検出部
74…流量制御部
76…マップ格納部
90…電解質膜
91…アノード側触媒層
92…アノード側ガス拡散層
93…アノード側セパレータ
94…カソード側触媒層
95…カソード側ガス拡散層
96…カソード側セパレータ
100…燃料電池システム
Ndif…拡散水量
Nosm…浸透水量
P1,P2,P3…点(動作点)
W1,W2…水
L1…曲線
L2…曲線
PR…範囲

Claims (1)

  1. 燃料電池システムであって、
    電解質膜と、互いに前記電解質膜を挟んで対向するアノードおよびカソードと、を有する燃料電池と、
    前記アノードにおけるアノード側反応ガスの入口側の圧力と、前記アノードにおけるアノード側オフガスの出口側の圧力との圧力差を検出する圧力差検出部と、
    前記検出された圧力差である検出圧力差と、前記圧力差の範囲であって前記アノードにおける相対湿度が100%RH以上の所定の湿度範囲に相当する圧力差の範囲と、の関係に応じて前記カソードに供給するカソード側反応ガス流量を制御する流量制御部であって、
    前記検出圧力差が前記圧力差の範囲よりも大きい場合には、前記カソード側反応ガス流量を、前記検出圧力差が前記圧力差の範囲内である場合に比べて増加させ、
    前記検出圧力差が前記圧力差の範囲よりも小さい場合には、前記カソード側反応ガス流量を、前記検出圧力差が前記圧力差の範囲内である場合に比べて減少させる、流量制御部と、
    を備える、燃料電池システム。
JP2014123391A 2014-06-16 2014-06-16 燃料電池システム Pending JP2016004652A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014123391A JP2016004652A (ja) 2014-06-16 2014-06-16 燃料電池システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014123391A JP2016004652A (ja) 2014-06-16 2014-06-16 燃料電池システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016004652A true JP2016004652A (ja) 2016-01-12

Family

ID=55223811

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014123391A Pending JP2016004652A (ja) 2014-06-16 2014-06-16 燃料電池システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016004652A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111028894A (zh) * 2019-11-22 2020-04-17 华中科技大学鄂州工业技术研究院 基于一种二维稳态模型的电解池最优效率的确定方法
JP2022052794A (ja) * 2020-09-24 2022-04-05 トヨタ自動車株式会社 ガス拡散層の設計方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111028894A (zh) * 2019-11-22 2020-04-17 华中科技大学鄂州工业技术研究院 基于一种二维稳态模型的电解池最优效率的确定方法
CN111028894B (zh) * 2019-11-22 2023-06-23 华中科技大学鄂州工业技术研究院 基于一种二维稳态模型的电解池最优效率的确定方法
JP2022052794A (ja) * 2020-09-24 2022-04-05 トヨタ自動車株式会社 ガス拡散層の設計方法
JP7444748B2 (ja) 2020-09-24 2024-03-06 トヨタ自動車株式会社 ガス拡散層の設計方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6131942B2 (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池の運転制御方法
US8415061B2 (en) Fuel cell system and control method of same
JP6222050B2 (ja) 燃料電池システム、および、燃料電池システムの制御方法
US10199668B2 (en) Fuel cell system and performance improvement method of fuel cell system
AU2016291738A1 (en) Generation of oxygen depleted air by a fuel cell system
JP6133365B2 (ja) 燃料電池システムの運転方法
JP6258378B2 (ja) 燃料電池システムの制御方法
KR20150111312A (ko) 연료 전지 시스템 및 연료 전지의 수분량 제어 방법
JP5186794B2 (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池システムにおけるガス圧力調節方法
JP5581880B2 (ja) 燃料電池システム
JP2016004652A (ja) 燃料電池システム
JP2010015945A (ja) 燃料電池システム
US11217803B2 (en) Fuel cell system and method for inferring wet state of fuel cell
JP2008021448A (ja) 燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法
US9318760B2 (en) Fuel cell and method of operating fuel cell
JP6520803B2 (ja) 燃料電池システム及び燃料電池システムの性能向上方法
JP2017027820A (ja) 燃料電池システム
JP6389835B2 (ja) 燃料電池システムの出力加速時における圧力制御方法
JP2012129081A (ja) 燃料電池システムの運転方法
JP6315714B2 (ja) 燃料電池システムの運転制御方法
US9509001B2 (en) Fuel cell system and control method for same
JP6308140B2 (ja) 燃料電池システムにおける陽イオン不純物量の推定方法及び陽イオン不純物量の推定装置
JP6256270B2 (ja) 燃料電池システム
JP2012009182A (ja) 燃料電池システム、燃料電池の発電方法およびフラッディング判断方法
JP5279005B2 (ja) 燃料電池システム