[第1実施形態]
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す情報コード利用システム1は、所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルを配列した情報コード100を生成し、この情報コード100を形成対象物150(形成対象媒体)に表す形で情報コード媒体Pを形成する形成装置2と、形成装置2によって生成された情報コード媒体Pの情報コード100を読み取る情報コード読取装置10とを備えている。
(形成装置)
形成装置2は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置として構成されており、CPUなどからなる制御部3と、キーボード、マウス、その他の入力装置からなる操作部4と、ROM、RAM、HDD、不揮発性メモリ等の記憶装置からなる記憶部5と、公知の表示装置(液晶ディスプレイやその他の表示デバイス)などからなる表示部6と、外部装置と有線通信或いは無線通信を行うための通信インタフェースとして機能する通信部7と、公知のプリンタ等と同様のハードウェア構成をなし且つ制御部3からの印刷データに基づいて情報コード100等を印刷可能な印刷部8(印刷装置)とを備えている。
(情報コード読取装置)
次に、情報コード読取装置10の全体構成について説明する。図2に示すように、情報コード読取装置10は、ハードウェア的には二次元コードなどの情報コードを読取可能なコードリーダとして構成されており、図示しないケース(筐体)によって外郭が構成され、このケース内に各種電子部品が収容された構成をなしている。
この情報コード読取装置10は、主に、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されている。なお、これらは、図略のプリント配線板に実装あるいはケース(図示略)内に内装される構成で、ケース(筐体)に一体的に組み付けられている。
光学系は、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等から構成されている。照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、紫外光を照射する光源によって構成されている。なお、本構成では、後述する情報コード100の暗色セルが紫外線発光インクで形成されているため、照明光源21は暗色セルを発光させる光(紫外光)を照射し得る紫外光源で構成されているが、例えば、後述する情報コード100の暗色セルは赤外線発光インクで形成することもでき、この場合、照明光源21は暗色セルを発光させる光(赤外光)を照射し得る赤外光源で構成すればよい。本実施形態では、受光センサ23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、ケースに形成された読取口(図示略)を介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。この読取対象物Rとしては、例えば、樹脂材料、金属材料等の様々な対象が考えられる。なお、以下の説明では、主に、読取対象物Rが、図1等で示す情報コード媒体P(形成対象物150に情報コードが形成された媒体)である例について説明する。
受光センサ23は、図1等で示す情報コード100を撮像可能な「撮像部」の一例に相当し、形成対象物150や情報コード100に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサなどが、これに相当する。この受光センサ23は、例えば、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光面23aにて受光し得る構成で、図略のプリント配線板に実装されている。
フィルタ25は、例えば反射光Lrの波長相当以下の光の通過を許容し、当該波長相当を超える光の通過を遮断し得る光学的なローパスフィルタで、ケースに形成された読取口(図示略)と結像レンズ27との間に設けられている。これにより、反射光Lrの波長相当を超える不要な光が受光センサ23に入射することを抑制している。また、結像レンズ27は、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、本構成では、ケースに形成された読取口(図示略)に入射する反射光Lrを集光し、受光センサ23の受光面23aにて情報コード100のコード画像を結像するように構成されている。
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40及びメモリ35を中心として構成され、前述した光学系によって撮像された情報コード100の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることにより所定ゲインで増幅され、その後、A/D変換回路33に入力されてアナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力され、当該メモリ35の画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
メモリ35は、半導体メモリ装置などによって構成され、例えばRAM、ROM、その他の不揮発性メモリ等がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
制御回路40は、情報コード読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるものであり、情報処理機能を有している。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)が接続されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。また、通信インタフェース48は、公知の有線方式や無線方式で外部装置と通信を行う装置である。
電源系は、電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
(情報コード)
次に、図1の情報コード利用システムで利用される情報コード100の基本構成について図1、図5等を参照して説明する。なお、図1の例と図5右図の例では、セル配列や特定パターンのサイズ等が若干異なるが基本的な考えは同様であり、同様の特徴を有している。図1、図5等に示す情報コード100は、例えば上述の形成装置2によって生成されるものであり、所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセル102を配列した構成となっている。なお、図1、図5等の情報コード100において、「コード領域」は、複数配列された暗色セルを全て含み得る矩形状の領域であり、情報コード100を構成するセルを全て含む最小の正方形領域又は長方形領域となっている。具体的には、3つの位置検出パターン(切り出しシンボル)104を全て含む最小の正方形領域又は長方形領域が「コード領域」となっている。なお、図1、図5等の例では、複数のセル102が、矩形状(例えば外径が正方形状)の第1種セル102a及び第2種セル102bのいずれかによって構成されており、コード領域の内部において後述する空き領域110の周囲にこれらセル102がマトリックス状に配置されている。
第1種セル102a及び第2種セル102bは、所定波長帯の光(例えば、紫外光)が照射された状態で、色彩、濃度、輝度の少なくともいずれかが互いに異なるようになっている。例えば、第1種セル102aは、白色セル等の明色セルで構成され、第2種セル102bは、黒色セル等の暗色セルで構成されていてもよく、それぞれ白色セル、黒色セルに限られず、第2種セル102bが所定の明度で構成され、第2種セル102bがそれよりも明度が高い構成であってもよい。また、情報コード100において上記コード領域の周囲には、当該コード領域を取り囲むように明色又は暗色のマージン領域が構成されるようになっており、図1、図5等の例では、明色(例えば、白色或いは暗色セルよりも明度の大きい他色)のマージン領域がコード領域の周囲に隣接して配置されている。
この情報コード100は、矩形状(例えば、正方形状或いは長方形状等)のコード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類のセル102によってデータを記録するデータ記録領域と、複数種類のセル102によって誤り訂正符号を記録する誤り訂正符号記録領域とが設けられている。図1、図5等のように、情報コード100の特定パターンは、例えば、QRコード(登録商標)の公知の所定型番(図5の例では、JIS等で規格化されたQRコードの所定型番)の特定パターンと同一の形状及び位置となっており、図1、図5等の例では、コード領域の3つの角部にそれぞれ、特定パターンとしての位置検出パターン(切り出しシンボル)104が配置されている。また、上記所定型番において予め定められた位置に、特定パターンとしてのタイミングパターン106やアライメントパターン108も設けられている。このように、情報コード100では、予め定められた位置に予め決められた固定形状の特定パターン(位置検出パターン104、タイミングパターン106、アライメントパターン108(図5では省略))が配置されるようになっている。なお、コード領域の内部において、後述する空き領域110以外の位置は、このような特定パターンの領域、記録領域(データ記録領域及び誤り訂正符号記録領域のいずれかからなる領域)などによって構成されている。
情報コード100のセルの行数及び列数、特定パターンの形状及び位置、フォーマット情報の位置、コードワードの候補位置(コードワードの配置順序を特定するアドレス)等は読取装置がどのような方法で把握してもよい。例えば、情報コード100の種別において複数の型番が設けられていてもよく、この場合、型番毎にセルの行数及び列数、特定パターンの形状及び位置、フォーマット情報の位置、コードワードを配置する候補位置(アドレス)が予め定められていればよい。そして、上記型番を特定する型番情報がコード領域内の決められた位置(予約領域)に配置されていれば、読取装置はこの型番情報に基づいて情報コード100のセルの行数及び列数、特定パターンの形状及び位置、フォーマット情報の位置、コードワードの候補位置(アドレス)を把握できるようになる。なお、この方法に限定されるものではなく、読取装置が把握し得る方法であれば他の方法でもよい。
そして、コード領域の内部において、特定パターン領域、データ記録領域、誤り訂正符号記録領域以外の位置には、セル102によってデータが記録されない領域であり且つ誤り訂正符号による誤り訂正の対象にならない領域である空き領域110が、単一のセル102のサイズよりも大きいサイズで設けられている。図1、図5等の例では、データ記録領域、誤り訂正符号記録領域がコード領域の周縁に沿って環状且つ矩形状に配置されており、コード領域の中央部(コード領域の中心を含む所定領域)に空き領域110が構成されている。なお、「セル102によってデータが記録されない領域」とは、即ち、後述するデータコードワードや誤り訂正コードワードなどのコードワードが記録されない領域であり、且つフォーマット情報が記録されない領域であることを意味する。また、「誤り訂正符号による誤り訂正の対象にならない領域」とは、即ち、誤り訂正符号記録領域に記録された誤り訂正符号を用いた誤り訂正が行われない領域であることを意味する。従って、空き領域110に何らかの情報(後述する追加情報等)が記録されていても、空き領域110の周囲に存在する誤り訂正符号記録領域の誤り訂正符号によってその情報に対する誤り訂正がなされることはない。この空き領域110は、データ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法でのデータの記録又はデザインの表示が可能となる領域であり、図1、図5、図10等の例では、データが記録されず、写真や絵などの所定画像が表される領域となっている。
なお、以下の説明では、図5右図のような上記所定型番に対応する構成と、図5左図のような所定型番よりもサイズが小さい別の型番(Ver.番号)とが対応付けられ、図5右図の情報コード100の各コードワードの位置と、図5左図の他種コード120の各コードワードの位置とが図5下図のような配置変換表によって対応付けられている例を代表例として説明する。この例では、図5左図の他種コード120で格納し得るデータ量であれば、図5右図のような情報コード100により空き領域110を設けた上で表現できるようになっている。逆に、図5右図の情報コード100を読み取る場合には、情報コード100の各コードワードを、図5左図のような他種コード120のコードワードとして読み取ることができるようになっている。
また、図5右図では、空き領域110の周囲に配置される各コードワードの領域を破線枠等によって概念的に示している。また、フォーマット情報を記録する領域(所定位置105)は、所定種類のハッチングにて概念的に示している。なお、図5右図では、フォーマット情報を記録する領域や、コードワードを記録する領域では、升目のみを示し、明色セルや暗色セルの具体的配列を省略して示している。また、図5右図の例では、セル配列と対応付けるべく空き領域110(コード領域の中央部分)の内部にも升目を付しているが、空き領域110の構成は自由であり、図1のように構成してもよく、その他の構成であってもよい。
フォーマット情報(形式情報)は、例えば図6のように構成されて情報コード100内の所定位置105(所定種類のハッチング位置)に特定のフォーマット構成で記録されている。このフォーマット情報は、誤り訂正レベルを特定する訂正レベル情報と、マスク番号を特定するマスク番号情報とを含んでいる。訂正レベル情報は、情報コード100で用いる誤り訂正レベルを特定する情報であり、例えば他種コード120に変換して読み取る場合の当該他種コード120で用いる誤り訂正レベルにも相当する。また、マスク番号は、情報コード100のコードワード領域(データコードワードや誤り訂正コードワードが記録されている領域)にかけられているマスクがどのマスク種別であるかを特定する情報である。
図6に示すようにフォーマット情報は、所定種類のマスクパターン(特定マスク)を反映した状態で記録されており、公知のQRコード(登録商標)と同様の方法でフォーマット情報のマスク種別を識別することで、図5右図に示すような特定のコード種別(空き領域110を設けた種別)であることを検出できるようになっている。公知規格のQRコードでは、例えばモデル1として構成する場合には、図6のようなフォーマット情報に対してモデル1用のマスクをかけたときに表現されるデータ(セル配列)を所定位置に記録し、モデル2として構成する場合には、図6のようなフォーマット情報に対してモデル2用のマスクをかけたときに表現されるデータ(セル配列)を所定位置に記録するようになっている。一方、図5に示す本構成の情報コード100(空き領域110を有する特別種類のコード)では、図6のようなフォーマット情報に対してモデル1、2とは異なる種類の特定マスク(図6では額縁QR用と例示)をかけたときに表現されるデータ(セル配列)を所定位置105に記録するようになっている。そして、公知規格のモデル1及びモデル2、情報コード100の種別のいずれの場合でも、記録する訂正レベル(訂正レベル情報)及びマスク番号(マスク番号情報)に対応するチェックデジットが付された上でフォーマット情報が構成されており、その上で各種別用のマスクがかけられるようになっている。具体的には、各種別用のマスクパターンを用いて公知の方法でマスク処理が行われ、マスク処理後のビットパターンが所定位置105に記録されるようになっている。従って、情報コード100のようにフォーマット情報に対して特定マスク(図6では額縁QR用と例示)をかけた上で所定位置105に記録する場合、このように所定位置105に記録された情報を上記特定マスクに基づいてマスク処理を解除して解読すればチェックデジットが合うため、情報コード100の種別であることを特定することができる。逆に、情報コード100の所定位置105のデータを、モデル1やモデル2のマスクに基づいてマスクを外しても、チェックデジットが合わなくなるため、公知規格のモデル1やモデル2でないことを特定することができる。
この情報コード100では、特定パターン(位置検出パターン104等)を検出し、公知のQRコードと同様の方法でコード領域、コードの向き、各セル位置を特定した後、公知のQRコードと同様の方法でフォーマット情報が記録された所定位置105を解読することで、解読時に成功したマスクの種別により情報コード100の種別(空き領域110を有する特別種類)であることを特定することができる。そして、解読されたフォーマット情報により、情報コード100で用いる誤り訂正レベルを特定でき、且つ情報コード100のコードワード領域(セルによってデータコードワードや誤り訂正コードワードが記録されている領域)にかけられているマスク種別を特定できるようになっている。
情報コード100に記録する内容は、例えば、図3のような構成をなしており、データ配列の先頭部分にヘッダデータ(額縁QR用ヘッダー)が設定され、ヘッダデータの後に入力データ(解読対象データ)が続くようになっている。図3の例では、入力データ(解読対象データ)については、例えば公知の方法で圧縮し、データワード(データコードワード)に変換しているが、このような圧縮を行わなくてもよい。なお、情報コード100で用いるヘッダデータは、以降の説明では、「額縁QR用ヘッダー」とも称する。また、本明細書では、このようなヘッダデータ及び入力データ(解読対象データ)のデータワード(データコードワード)を記録する領域、及び上述のフォーマット情報を記録する領域が「データ記録領域」に相当する。また、図3の例では、ヘッダデータ(額縁QR用ヘッダー)として、後述する他種コード120(情報コード100を解読するために用いるコード種別であり、配置変換表(図5)によって情報コード100と対応付けられたコード)の種別(型番)を特定し得る情報(図3では、Ver.番号と例示)や、空き領域内の形式を特定し得る識別情報が記録されている。なお、図3の例では、ヘッダデータとして、他種コードの種類(Ver.番号)に加え、空き領域110の形式が図1、図5、図10等に示す画像形式であることを特定する情報(第1情報)と、空き領域110の位置(画像領域位置)を特定し得る情報(第2情報に相当する「画像領域位置情報」)とが記録されている。このうち、空き領域110の形式が画像形式であることを特定する情報(第1情報)は、空き領域110の存在を示す「識別情報」の一例に相当する。また、空き領域110の位置(画像領域位置)を特定し得る情報(第2情報)は、コード領域内での空き領域110の位置を示す「位置データ」の一例に相当する。
図3、図5の例では、空き領域110の列位置及び行位置を特定し得る情報が画像領域位置情報(位置データ)として記録されている。より具体的には、図5に示すような矩形状に構成される情報コード100を複数行且つ複数列に格子状に分割したときの空き領域110の左上の行位置及び列位置の組み合わせと、空き領域110の右下の行位置及び列位置の組み合わせとが画像領域位置情報(位置データ)として記録されている。なお、ここでは、空き領域110の左上の行位置及び列位置の組み合わせと、空き領域110の右下の行位置及び列位置の組み合わせを画像領域位置情報(位置データ)としているが、空き領域110の四隅の各位置における行位置及び列位置の組み合わせを画像領域位置情報(位置データ)としてもよい。また、図5のように情報コード100を格子状に分割したときの各行及び各列の幅は、それぞれ単一のセルの行方向の幅及び列方向の幅に相当している。なお、図3等では空き領域110の位置を特定するデータの一例を示しているが、位置データは、空き領域110の位置が特定可能なデータであればよい。例えば、空き領域を円形の構成とする場合、その空き領域の中心位置のデータと、半径のデータ(例えば半径がセル何個分に相当するかを示すデータ)などであってもよい。
そして、図3等に示す例では、入力データ(解読対象データであるデータワード)の後に誤り訂正符号となる誤り訂正コードワード(ECCワード)が続いている。情報コード100では、この誤り訂正符号を記録する領域が誤り訂正符号記録領域となる。なお、データワード(図3の例ではヘッダデータ及び入力データ(解読対象データ))に基づいて誤り訂正符号(誤り訂正コードワード)を生成する方法は、公知の二次元コード(QRコード等)の規格で定められた方法などを用いることができる。例えば、データワード(データコードワード)に基づいて誤り訂正コードワードを生成する方法として、JISX0510:2004に規定された誤り訂正コード語の生成方法(JISX0510:2004、8.5誤り訂正)などを用いることができる。なお、誤り訂正コードワードの生成方法はこれに限られず、公知の様々な方法を用いることができる。
また、情報コード100では、解読対象データを表現する各データワード(データコードワード)や誤り訂正コードワードが予め定められた配置位置情報に基づいてコード領域内に配置されている。本構成では、図5のように、情報コード100のコード領域内において予め各コードワードの配置候補位置が定められており、各配置候補位置にそれぞれ番号(アドレス)が割り当てられている。そして、配置位置情報は、図3に示す記録内容を構成する各コードワードをそれぞれどの配置候補位置に配置すべきかを特定する情報となっている。なお、図5右図の例では、1〜25番の配置候補位置を概略的に例示しており、各配置候補位置では、先頭と最後のビット部分に番号を付して明示している。また、図5右図では、26番以降の配置候補位置は省略している。
具体的には、他種コード120(公知のQRコード)の型番(図3に示すヘッダデータで特定される他種コード120の型番)では、各順番のコードワードを他種コード120内のどの位置に配置すべきかが公知規格等により予め定められており、他種コード120を解読する場合にはこのように定められた配置に基づいて各順番のコードワードを解読する。例えば、図5左図に示す他種コード120の例では、0番目のコードワードを右下に配置し、1番目のコードワードをその上に配置し、2番目のコードワードをその上に配置するといった具合に各コードワードの配置位置が予め決められている。従って、この他種コード120を解読する場合には、このように決められた配置に基づいて0番目のコードワード、1番目のコードワード、2番目のコードワード、3番目のコードワード・・・といった具合に順番に解読することになる。
一方、図5に示す配置位置情報(配置変換表)では、このように他種コード120で予め定められた各配置位置(各順番のコードワードの配置位置)の番号を、情報コード100において予め定められた候補位置(各コードワードの配置候補位置)の番号にそれぞれ対応付けている。具体的には、「他種コード120における1番目のコードワードの配置位置が情報コード100の1番目の配置候補位置に相当」、「他種コード120における2番目のコードワードの配置位置が情報コード100の2番目の配置候補位置に相当」、「他種コード120における3番目のコードワードの配置位置が情報コード100の3番目の配置候補位置に相当」といった情報が、例えばテーブルデータなどとしてそれぞれ記録されており、他種コード120における各番号のコードワードの配置位置を、情報コード100の各配置候補位置にそれぞれ対応付けている。このように構成されているため、情報コード100を解読する場合には、コード領域内の各配置候補位置のコードワード(各アドレスのコードワード)を配置位置情報(配置変換表)で対応付けられた他種コード120の各配置位置にそれぞれ配置し直し、このように配置し直された他種コード120を公知の方法で解読すれば良い。例えば、図5下図に示す配置変換表を用いて情報コード100の解読を行う場合、情報コード100の1番目の配置候補位置のコードワードを他種コード120における1番目のコードワードの配置位置に配置し、情報コード100の2番目の配置候補位置のコードワードを他種コード120における2番目のコードワードの配置位置に配置し、情報コード100のN番目の配置候補位置のコードワードを他種コード120において当該N番目の配置候補位置に対応付けられているM番目のコードワードの配置位置に配置するといった具合にそれぞれ配置し直した上で、このように配置し直された他種コード(QRコード)を公知の方法で解読すればよい。なお、上述の配置位置情報(配置変換表)については、情報コード100を生成する形成装置2及び情報コード100を読み取る情報コード読取装置10に共通のデータ(共通の配置変換表)がそれぞれ設けられていることが望ましい。
(情報コードの生成処理)
次に、図8等を参照して情報コード生成処理及び情報コード生成方法について説明する。以下では、図5のように他種コード120がQRコード(登録商標)であり、情報コード100がQRコードと同様の特定パターンを有する場合を例に挙げて説明する。なお、この例では、空き領域110を有する情報コード100を「額縁QR」とも称する。
図8の情報コード生成処理は、形成装置2によって行われる処理であり、例えば、操作部4での所定操作によって実行開始される。この処理では、まず、外部からコード化するデータ(解読対象データ)と、属性データと、コード種別データ(情報コード100を生成するか、一般的な二次元コード(例えば一般的なQRコード)を生成するかを特定するデータ)を取得する(S1)。なお、本構成では、制御部3、操作部4が「データ取得部」の一例に相当し、解読対象データ(外部からの入力データ)を取得するように機能する。また、このような例に限らず、例えば、制御部3と通信部7が「データ取得部」として構成され、外部から通信によって入力されるデータを解読対象データとして取得するように機能してもよい。
図8の処理において、S1でデータを取得した後には、その取得したデータを圧縮する方法を公知の方法で定め(S2)、入力データを圧縮したデータ(解読対象データ)を複数のデータワード(データコードワード)で表現する(S3)。そして、S3の後には、S1で取得されたコード種別データが、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)であるか否かを判断する。S1で取得されたコード種別データが、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)である場合には、S4にてYesに進み、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)で用いられる特有のヘッダデータ(上述)を生成し、図3のように複数のデータワードを含んだデータ配列の先頭にセットする(S5)。図3のヘッダデータには、上述したように、図5右図に示す他種コード120の種別(型番)を特定し得る情報(バージョン番号情報等)と、空き領域110の形式が画像形式であることを特定する情報(第1情報)と、空き領域110の位置(画像領域位置)を特定し得る情報(第2情報に相当する「画像領域位置情報」)とが記録されることになる。一方、S1で取得されたコード種別データが、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)でない場合(一般的な二次元コードを選択するデータ(例えば、モデル1又はモデル2を選択するデータ)である場合)には、S4にてNoに進む。
図8の処理において、S4でNoに進む場合、S3で生成されたデータワード(データコードワード)の構成に基づいて公知の方法で誤り訂正符号を生成し、この誤り訂正符号を表現する複数の誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード)を生成する(S6)。一方、S4からS5に進む場合、S3、S5で生成された最終的なデータワード(ヘッダデータ及び入力データを表現する複数のデータコードワード)の構成に基づいて公知の方法で誤り訂正符号を生成し、この誤り訂正符号を表現する複数の誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード)を生成する(S6)。
図8の処理において、S6の後には、S1で取得されたコード種別データが、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)であるか否かを判断し(S7)、S1で取得されたコード種別データが、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)でない場合には、S7にてNoに進み、公知の方法で二次元コード(例えばQRコード)を生成することになる。S7でNoに進む場合、S3で生成されたデータワード(データコードワード)及びS6で生成された誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード)を格納しうるサイズの二次元コードの型番(この例では、規格化された公知のQRコードの複数の型番において、S3で生成されたデータワード及びS6で生成された誤り訂正ワードを格納しうるサイズの型番)を決定し、当該型番で予め定められた配置パターンに従い、S3で生成されたデータワード及びS6で生成された誤り訂正ワードを配置する(S9)。
一方、S1で取得されたコード種別データが、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)である場合には、S7にてYesに進み、S3、S5で生成されたデータワード(データコードワード)と、S6で生成された誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード)と、空き領域と、を格納しうる情報コード100の型番を決定する(S10)。なお、空き領域のサイズは、予め定められた一定サイズであってもよく、S10の前段階でユーザが入力などによって指定してもよい。また、空き領域のサイズは、行数及び列数で特定してもよく、何ワード分に相当するか、あるいは何セル分に相当するか等の情報によって特定してもよい。図5、図8の例では、例えば情報コード100の種別で予め定められた複数の型番(サイズ)において、S3、S5で生成されたデータワード(データコードワード)、S6で生成された誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード)、及び空き領域を格納しうるサイズの型番を決定することになる。なお、情報コード100の種別で複数の型番を使用可能とする場合、各型番毎に、行数及び列数、特定パターンの形状及び配置、フォーマットデータの配置、各コードワードの配置候補位置をそれぞれ定めておけばよい。また、いずれの型番でも、図5右図のように外周側から順番に各コードワードの配置候補位置を定めるようにし(例えば、外周側から内側に渦巻き状に配置候補位置を順番に設定し)、番号が若い配置候補位置ほど外側とするように各コードワードの配置候補位置を定め、用意された配置候補位置の内、コードワードが配置されない部分(即ち、使用されない部分)については、空き領域として用いるようにすれば、中央部により広い空き領域を確保し易くなる。また、S3、S5で生成されたデータワード(データコードワード)、S6で生成された誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード)、及び空き領域を格納しうるサイズの型番が複数存在する場合には、その中から一番小さい型番(サイズ)を決定するようにしてもよく、ユーザがその中からいずれかの型番(サイズ)を指定できるようにしてもよい。そして、情報コード100を生成する際には、このように決定された型番において予め定められたサイズ(行数及び列数)、特定パターンの配置、コードワードの各配置候補位置を用いると共に、具体的な各コードワードの配置位置は、上述の配置変換表に従って決定することになる。なお、以下では、S10において図5右図のような型番が決定された例について具体的に説明する。
図8の処理において、S10の後には、S3、S5で生成されたデータワード(データコードワード)及びS6で生成された誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード)を上述の配置位置情報(配置変換表)に基づいて配置することになる。形成装置2では、上述の配置位置情報(配置変換表)が記憶部5に記憶されており、この配置変換表では、上述したように他種コード120で定められた各配置位置(各順番のコードワードの配置位置)を、情報コード100において予め定められた候補位置(各コードワードの配置候補位置)にそれぞれ対応付けている。S11の処理では、記録すべきコードワード(S3、S5で生成されたデータワード(データコードワード)及びS6で生成された誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード))を、図4、図5左図で示す他種コード120(情報コード100よりもサイズが小さく、且つS3、S5で生成されたデータワード及びS6で生成された誤り訂正ワードを格納し得るサイズの二次元コード)で表現するときの各コードワード(各順番のコードワード)の配置位置を特定した上で、それら各順番のコードワードを、配置位置情報(配置変換表)によって各順番のコードワードの配置位置に対応付けられている情報コード100内の各配置候補位置に配置する。例えば、図5の配置位置情報(配置変換表)では、他種コード120での1番目のコードワードの配置位置と、情報コード100の1番の配置候補位置とが対応付けられているため、記録すべきコードワード(S3、S5で生成されたデータワード及びS6で生成された誤り訂正ワード)の内の1番目のコードワードについては情報コード100内の1番の配置候補位置に配置する。また、他種コード120での2番目のコードワードの配置位置と、情報コード100の2番の配置候補位置とが対応付けられているため、記録すべきコードワードの内の2番目のコードワードについては情報コード100内の2番の配置候補位置に配置する。このように、記録すべきコードワードにおいてN番目のコードワードを配置する他種コード120での配置位置(N番目のコードワードの配置位置)と、情報コード100のM番の配置候補位置とが対応付けられていれば、記録すべきコードワードの内のN番目のコードワードについては情報コード100内のM番の配置候補位置に配置することになる。
つまり、S3、S5で生成されたデータワード及びS6で生成された誤り訂正ワードだけなら、情報コード100よりも小サイズの他種コード120(公知のQRコードとして構成されたもの)で表現できるが、S3、S5で生成されたデータワード、S6で生成された誤り訂正ワード、及び空き領域110を格納する場合には、これよりも大きいサイズの情報コード100によって表現する必要がある。そこで、本構成では、S3、S5で生成されたデータワード、S6で生成された誤り訂正ワード、及び空き領域110を、他種コード120よりも大きいサイズの情報コード100によって表し、S3、S5で生成されたデータワード及びS6で生成された誤り訂正ワードを他種コード120(公知のQRコード)で表現した場合のコードワードの各配置と、これよりも大きいサイズの情報コード100に格納する場合のコードワードの各配置との対応関係を、予め定められた配置変換表によって特定できるようにしている。
なお、本構成では、図5のような「配置変換表」が「解読対象データを表現する複数のデータワードをコード領域に配置する際の各配置位置を特定する配置位置情報」の一例に相当しており、この配置変換表(配置位置情報)は、解読対象データを複数のデータワードで表現したときの各順番のデータワードと、各順番のデータワードのコード領域内での各配置位置とを対応付けて定める情報として構成されている。また、記憶部5が「配置位置情報記録部」の一例に相当し、このような配置変換表のデータ(配置位置情報)を記録するように機能する。
図8の処理において、S9又はS11の後には、S9又はS11で配置場所が決定されたコードワードに対してかけるべきマスクパターンを公知の所定方法(例えばQRコードで用いられる公知方法)で決定し、その決定されたマスクパターンをS9又はS11で配置場所が決定されたコードワードに反映するように公知のマスク処理方法でマスクをかける(S12)。そして、S12で設定したマスクパターンの情報(マスク番号)及び誤り訂正レベルの情報に基づいてチェックデジットを算出し、図6のように誤り訂正レベル、マスク番号、チェックデジットを含んだフォーマット情報を生成する(S13)。なお、フォーマット情報として記録するマスク番号や誤り訂正レベルなどのデータは、S1で入力できるようにしてもよい。
そして、S1で取得されたコード種別データが、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)である場合には、S14にてYesに進み、S13で生成されたフォーマット情報に、上述の特定マスク(額縁QRマスク)を反映するようにマスク処理を行う(図6参照)。一方、S1で取得されたコード種別データが、空き領域110を有する情報コード100の種別(額縁QR)でない場合には、S14にてNoに進み、S16で設定するマスクパターンとは異なるマスクパターンのマスク(モデル1のマスク又はモデル2のマスク)をセットする。S15又はS16によりフォーマット情報に対してマスクをかけた後には、そのマスク処理後のフォーマット情報をコード領域内の所定位置105に配置する(S17)。
このようにして、特定パターン領域、データ記録領域、誤り訂正領域が構成された後には、空き領域110の構成要素を配置する(S18)。図3の例では、空き領域110の位置がそれぞれ行位置及び列位置によって指定されているため、S18では、このように指定された位置に空き領域110で表わすべきデザインやデータ(データ記録領域に記録する方法とは異なる方法で表わされるデータ)を配置する。なお、空き領域110に表す画像は、外部から入力された画像データによって表される画像であってもよく、予め形成装置2に記憶された画像データによって表される画像であってもよい。いずれの場合でも、どの画像データの画像を空き領域110に組み込むべきかの指示をS1で受け付ければよく、この場合、S1で受け付けられた指示で特定される画像を空き領域110に表すように空き領域110を構成すればよい。
このようにして情報コード100又は他の二次元コードが生成された後には、そのコードを印刷部8によって印刷する(S19)。S1〜S18までの処理で、情報コード100以外の種類の二次元コードが生成される場合、この二次元コードについては、印刷部8によって一般的な印刷方法で印刷する。一方、S1〜S18までの処理で情報コード100が生成される場合、この情報コード100の空き領域110については、印刷部8により、例えば可視光環境下で視認可能となる通常のインクを用いて一般的な印刷方法で印刷する。また、情報コード100のコード領域における空き領域110の外側領域については、所定波長帯(例えば、紫外線の波長帯)で発光する特殊発光インク(例えば、紫外線発光インク)を用いて印刷する。情報コード100のコード領域における空き領域110の外側領域は、暗色領域と明色領域とに分けられており、これら明色領域及び暗色領域のうちの一方の領域を、上記特殊発光インクによって印刷することになる。
このように、本システム1で用いられる形成装置2によって情報コード媒体Pを形成する際には、図1、図10のように、コード領域内における空き領域110の外側の全領域を、明色領域と暗色領域とで構成することになる。そして、空き領域110の外側の全領域の構成を、第1状態(第1波長帯の光である可視光が照射される通常状態)において明色領域と暗色領域との区別が困難な視認困難状態となる構成であって、且つ第2状態(例えば、第2波長帯の光である紫外光が照射される紫外線照射状態)において明色領域と暗色領域との区別が可能な視認可能状態となる構成で形成対象媒体150に情報コード100を形成している。
具体的には、空き領域110の周囲に配置されるデータ記録領域の構成を、第1波長帯の光(具体的には、可視光の波長帯の光)が照射される所定の第1状態において複数種類のセルを特定する視認が困難な所定の視認困難状態となる構成であって、且つ第1波長帯とは異なる第2波長帯の光(例えば、紫外線の波長帯の光)が照射される所定の第2状態において複数種類のセルが特定可能な所定の特定可能状態となる構成としている。また、空き領域110の周囲に配置される特定パターン領域についても、第1状態(可視光が照射される通常状態)において当該特定パターン領域の形状の視認が困難な所定の非可視化状態となる構成であって、且つ第2状態(例えば、紫外光が照射される紫外線照射状態)において当該特定パターン領域の形状の視認が可能な所定の可視化状態となる構成で、形成対象媒体150に情報コード100を形成している。より具体的には、空き領域110の周囲に配置されるデータ記録領域及び特定パターン領域のいずれかの一の種類の各セル(例えば、第2種セル102b)を、可視光が照射される第1状態において非発光状態となり、所定波長帯の光が照射される第2状態において発光状態となる発光インク(例えば紫外線発光インク)によって形成し、一の種類とは異なる他の種類の各セル(例えば第1種セル102a)を、発光インクが付されない構成(具体的には、例えば、可視光環境下において透明ではない所定色となるインクが付された構成)としている。このような発光インクを、第1種セル102a又は第2種セル102bのいずれかのみに付すようにすればよい。このようにすれば、第1種セル102aの領域も、第2種セル102bの領域も、可視光環境下では形成対象物105の表面の地の色が表れるため、両種のセルを区別して認識することが困難となる。一方、紫外光が照射される環境下では、紫外線発光インクが付された種類のセルのみが発光するため、このような状態を撮像した撮像画像では、両種のセルを区別して認識することが可能となる。
一方、図8で示す形成処理では、空き領域110に表されるデータ又はデザインの少なくともいずれかが、第1状態において少なくとも部分的に視認可能となるように形成対象媒体150に情報コード100を形成している。例えば、図1、図10等の例では、空き領域110に表されるデザイン(例えば、風景写真などのデザイン画像)の全体が通常環境下(可視光が照射される環境下)で視認可能となるように、空き領域110内の全体を通常のインク(可視光環境下でそれぞれの色を呈する各インク)で形成している。
なお、上述したように、情報コード100を備えた情報コード媒体Pを形成する場合、データ記録領域には、空き領域110に表されるデータ又はデザインに関連する所定の関連情報をデータ記録領域に記録した構成で、形成対象物150(形成対象媒体)に情報コード100を形成してもよい。例えば、図1、図10の例では、空き領域110に風景写真がデザイン画像として表されているが、この場合、データ記録領域には、このようなデザイン画像の作成日(例えば、写真の撮影日)やこのようなデザイン画像で表される対象の場所や名称などを記録しておくことができる。これにより、空き領域110のデザイン画像とデータ記録領域の関連データとが、同一の情報コード100によって紐付けられた形となる。
本構成では、形成装置2の制御部3が「データ記録領域生成部」の一例に相当し、情報コード100のコード領域の内部に空き領域110を設ける場合、コード領域内の所定位置に特定のフォーマット構成でフォーマット情報を記録し、且つ、データ取得部で取得された解読対象データ(入力データ)を表現する各データワードを、配置位置情報記録部に記録された配置位置情報に基づいて配置するように、データ記録領域を生成している。また、制御部3によって構成される「データ記録領域生成部」では、コード領域の内部に空き領域110を設ける場合、所定種類のマスクパターン(特定マスク)を反映した状態で所定位置105のセル配列を構成している。
(情報コードの読取処理)
次に、図2の情報コード読取装置10によって図1、図5右図等に示す情報コード100を読み取る場合の処理について説明する。図9の読取処理は、例えばユーザによって所定操作(例えば、操作スイッチ42の操作等)がなされたときに実行されるものであり、処理開始に伴い、情報コードの撮像及びフォーマット情報の解読を行う(S40)。この処理では、まず、受光センサ23の撮像エリアにある二次元コードを撮像して当該二次元コードの撮像画像を取得する。撮像の際には、受光センサ23の撮像エリアに対して上述した照明光源21から所定波長帯(例えば、紫外線領域の波長帯)の光(例えば紫外光)を照射しつつ受光センサ23によって撮像を行う。例えば、上述の情報コード媒体Pが撮像対象の場合、この情報コード媒体Pの情報コード100に対し所定波長帯(例えば、紫外線領域の波長帯)の光(例えば紫外光)を照射しつつ当該情報コード100を受光センサ23によって撮像することになる。このように撮像を行うことで、発光インクで形成された第2種セル102bが発光し、第1種セル102aが発光していない情報コード100の撮像画像が得られることになる。
そして、その撮像後には、その二次元コードの形を検出する。具体的には、位置検出パターン104の認識や二次元コードの外形の検出を公知の方法で試みる。例えば、QRコード(登録商標)で行われる、1:1:3:1:1の波形を検出する公知の方法等により位置検出パターン104を検出し、撮像された二次元コードの外形をQRコード(登録商標)で行われる公知の方法で検出する。このような外形検出処理を行った場合、情報コード100が撮像されている場合には、情報コード100の外形が検出されることになる。なお、外形検出方法は、特定パターンの形状や二次元コードの外形を検出し得る方法であれば他の方法であってもよい。
このように情報コードの外形を検出し、情報コードのコード領域を抽出できた場合には、フォーマット情報の解読を行う。例えば、情報コード100であれば、この情報コード100内の所定位置105の情報(フォーマット情報)を解読し、撮像された情報コードの種別及びマスク訂正レベルを取得する(S40)。具体的には、例えば、上述したように所定位置105に記録された情報を上述の特定マスク(額縁QR用マスク)に基づいてマスク処理を解除して解読を試みる。上述の特定マスクのマスクを解除し得る方法でマスク処理を解除した時にチェックデジットが合う場合(即ち、所定位置105を解読したときの訂正レベルのデータとマスク番号のデータとに基づいて算出されたチェックデジットが、所定位置105に記録されたチェックデジットと合うような場合)には、情報コード100の種別(空き領域110を有する種別)であることを特定することでき、フォーマット情報に含まれる誤り訂正レベル及びマスク番号も取得できることとなる。このように特定のマスクに基づいてマスク処理を解除できたとき(即ち、情報コード100の種別(額縁QR)であることが認識できたとき)には、S41にてYesに進む。一方、図6に示すモデル1用のマスクやモデル2用のマスクなど、特定のマスク(額縁QR用マスク)以外の他のマスクによってマスク処理を解除できたときには、S41にてNoに進む。他のマスクによってマスク処理が解除できるときは、S40で撮像された二次元コードが公知のQRコード(登録商標)であるため、S41でNoに進む場合は、公知の方法で当該QRコードを解読して解読結果を出力することになる。なお、図9では、S41でNoとなる場合の処理は省略して示している。
S41でYesに進む場合、即ち、情報コード100が読取対象である場合、データ記録領域に記録されたデータを解読する(S42)。具体的には、S40で取得されたフォーマット情報に含まれるマスク番号に基づいてコード全体(具体的には、コードワードの領域)のマスクを解除する。そして、データワードの先頭に設けられたヘッダデータ(額縁QRヘッダー)に基づいて、元のコードサイズ(他種コード120の型番、形式)を特定し、図5と同様の配置変換表に従って、図5右図に示すような情報コード100から図5左図に示すような元のコード(他種コード120)の配置に戻す。具体的には、情報コード100の各配置候補位置のコードワード(データコードワード及び誤り訂正コードワード)を、配置変換表において各配置候補位置に対応付けられている他種コード120内での配置位置に配置し直す。このように配置変換することにより、情報コード100に配置されていたデータコードワードや誤り訂正コードワードを記録してなる他種コード120が得られることになる。そして、他種コード120は、公知のQRコードであるため、公知のQRコードと同様の方法でデータを解読する(即ち、誤り訂正コードワードに基づいて公知の方法で誤り訂正計算を実施すると共に、データコードワードを解読する)。
本構成では、制御回路40が「判別部」の一例に相当し、撮像部によって情報コード100が撮像された場合に、コード領域の所定位置105が特定のフォーマット構成であるか否かを判別するように機能する。具体的には、所定位置105に所定種類のマスクパターン(特定マスク)が反映されているか否かを判別するように機能する。
また、制御回路40が「データ記録領域読取部」「解読部」の一例に相当し、撮像部によって情報コード100が撮像された場合に、その撮像された情報コード100のコード画像におけるデータ記録領域及び誤り訂正符号記録領域の内容に基づいてデータ記録領域に記録されたデータを読み取るように機能する。具体的には、判別部によって所定位置105が特定のフォーマット構成であると判別された場合(より詳しくは、所定位置105に所定種類のマスクパターンが反映されている場合)に、対応情報記録部に記録された対応情報(配置変換表)に基づいてコード領域内の各データワードの位置を特定し、解読対象データを解読するように機能する。
なお、配置変換表は、「対応情報」の一例に相当し、コード領域において各配置位置で表される各順番のデータワードを、情報コード100とは異なる他種コード120において予め定められた方式(例えば公知規格等で定められた方式など)で表現する場合の当該他種コード120内での各対応位置を定める情報として構成されている。そして、解読部に相当する制御回路40は、判別部によって所定位置105が特定のフォーマット構成であると判別された場合、コード領域の各配置位置で表される各順番のデータワードを、対応情報で定められる他種コード120内での各対応位置に置換した構成で当該他種コード120を解読するように機能する。
図9の処理において、S42にてデータ記録領域のデータを解読した後には、ヘッダデータ(額縁QRヘッダー)に含まれる形式情報を読み取る。そして、この形式情報が「画像形式」を示す形式情報である場合には、S44でYesに進む。その他の形式の場合には、S44にてNoに進む。なお、図9では、S44でNoに進む場合の処理を省略して示している。
S44でYesに進む場合(即ち、ヘッダデータ(額縁QRヘッダー)に含まれる形式情報が「画像形式」を示す形式情報である場合)、ヘッダデータに含まれる画像領域位置情報(位置データ)を読み取り、情報コード100内における空き領域110の位置を特定する(S45)。本構成では、矩形状のコード領域内に矩形状の空き領域110を形成することを想定しており、S45では、S40で撮像された情報コード100のコード画像を解析し、そのコード画像において空き領域110の四隅の位置を特定すると共に、空き領域110の境界位置(その四隅の位置を角位置とする矩形状の境界)を認識する。
このように情報コード100のコード画像において空き領域110の境界位置が特定できた後には、その空き領域110(画像領域)の画像に対して所定処理を行う。S46の処理は様々に想定され、例えば、S45で特定される空き領域110(画像領域)を、所定画像形式(例えばビットマップ画像形式)として切り出すように抽出し、保存したり外部装置に送信したりする処理などであってもよい。或いは、空き領域110の画像に対して、所定の解析処理などを行うようにしてもよい。なお、空き領域110の画像を抽出する場合、抽出する画像形式はビットマップ形式に限られず、公知の様々な形式を採用することができ、GIF形式や、JPEG形式等であってもよい。或いはこれ以外の画像ファイル形式であってもよい。
(本構成の効果の例)
本構成によれば、データ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法でのデータの記録又はデザインの表示が可能となる空き領域110をコード領域内に設けることができ、コード領域の利用の自由度を高めることができる。しかも、可視光が照射される通常環境下において、空き領域110の周囲に配置されるデータ記録領域の具体的構成が視認困難となるため、通常環境下においてデータ記録領域の具体的構成を目立たせたくない用途において特に有利になる。一方、所定波長帯の光が照射される第2状態では、データ記録領域を構成する複数種類のセルが特定可能となる。従って、所定波長帯の光を照射することを条件として読み取りを行えば、通常環境下で視認困難なデータ記録領域であっても、複数種類のセルを特定してデータを読み取ることが可能となる。
また、本構成では、空き領域110に表されるデータ又はデザインの少なくともいずれかが、第1状態において少なくとも部分的に視認可能となっている。この構成では、可視光が照射される通常環境下において、空き領域110の周囲に配置されるデータ記録領域を目立ちにくくする一方で、空き領域110に表されるデザインについては視認可能とすることができるため、通常環境下では、空き領域110に表されるデザインをより際立たせて表示することが可能となる。
また、本構成では、空き領域110の周囲に配置される特定パターン領域の構成を、第1状態において当該特定パターン領域の形状の視認が困難な所定の非可視化状態となる構成であって、且つ第2状態において当該特定パターン領域の形状の視認が可能な所定の可視化状態となる構成とすることができる。この構成では、可視光が照射される通常環境下において、データ記録領域だけでなく特定パターン領域をも視認困難とすることができるため、通常環境下において特定パターン領域の構成を目立たせたくない用途において特に有利になる。一方、所定波長帯の光が照射される第2状態では、特定パターン領域が特定可能となる。従って、所定波長帯の光を照射することを条件として読み取りを行えば、通常環境下で視認困難な特定パターン領域であっても形状をより正確に認識することができ、これにより、読み取りが良好に行われ易くなる。
また、本構成では、コード領域内における空き領域110の外側の全領域が、明色領域と暗色領域とで構成され、当該全領域は、第1状態において明色領域と暗色領域との区別が困難な視認困難状態となり、第2状態において明色領域と暗色領域との区別が可能な視認可能状態となる構成である。このように、コード領域内における空き領域110の外側の全領域を明色領域と暗色領域とで表すシンプルな構成とした上で、第1状態において明色領域と暗色領域との区別が困難な視認困難状態となるように構成すれば、通常環境下においてコード領域内における空き領域110の外側の全領域を目立ちにくくすることができる。これにより、空き領域110の表示が、その外側の明暗構造の影響をより受けにくくなる。
また、本構成では、空き領域110の周囲に配置されるデータ記録領域のいずれかの一の種類の各セルは、可視光が照射される第1状態において非発光状態となり、所定波長帯の光が照射される第2状態において発光状態となる発光インクによって形成されており、一の種類とは異なる他の種類の各セルは、発光インクが付されない構成となっている。この構成によれば、発光インクを付すといった簡易な構成により、第2状態において、一の種類の各セルの状態と他のセルの各セルの状態とを、より明確に異ならせることができる。
また、本構成では、空き領域110に表されるデータ又はデザインに関連する所定の関連情報がデータ記録領域に記録されている。この構成によれば、空き領域110にデータ又はデザインを表すだけでなく、空き領域110に表されるデータ又はデザインに関連する情報を読み取って利用することが望まれる用途において特に有利になる。
また、本構成では、空き領域110のコード領域内での位置を示す位置データがデータ記録領域に記録されている。この構成によれば、読取時に、データ記録領域に記録される位置データに基づいてコード画像内での空き領域110の位置がより正確に特定されやすくなる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態の情報コード利用システムも、ハードウェア構成については第1実施形態と同一であり、上述した図1、図2のような構成が用いられる。よって、第1実施形態と同様のハードウェア構成については詳細な説明は省略し、適宜図1や図2などを用いることとする。本構成では、図1のような形成装置2により、図12(A)のような情報コード100(所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルを配列してなる情報コード)を生成するようになっている。なお、形成装置2による情報コード100の生成方法は第1実施形態と同一である。また、形成装置2で生成される情報コード100は、空き領域110の内容のみが第1実施形態の情報コード100と異なり、空き領域110の内容以外は第1実施形態の情報コード100の特徴を全て含んでいる。この例でも、「コード領域」は、複数配列された暗色セルを全て含み得る矩形状の領域であり、具体的には、3つの位置検出パターン(切り出しシンボル)104を全て含む最小の正方形領域又は長方形領域となっている。
また、図12(A)の例でも、複数のセル102が、矩形状(例えば外径が正方形状)の明色(白色)セル及び暗色(黒色)セルのいずれかによって構成されており、コード領域の内部において後述する空き領域110の周囲にこれらセル102がマトリックス状に配置されている。明色セル及び暗色セルは、それぞれ白色セル、黒色セルに限られるものではなく、暗色セルが所定の明度で構成される場合、明色セルはそれよりも明度が高ければよい。また、情報コード100において上記コード領域の周囲には、当該コード領域を取り囲むように明色又は暗色のマージン領域が構成されるようになっており、図38等の例では、明色(例えば、白色或いは暗色セルよりも明度の大きい他色)のマージン領域がコード領域の周囲に隣接して配置されている。
そして、この例でも、空き領域110の周囲に配置されるデータ記録領域の構成を、可視光が照射される所定の第1状態において複数種類のセルを特定する視認が困難な所定の視認困難状態となる構成であって、且つ可視光とは異なる所定波長帯の光が照射される所定の第2状態において複数種類のセルが特定可能な所定の特定可能状態となる構成としている。そして、空き領域110に表されるデータ又はデザインの少なくともいずれについては、第1状態において少なくとも部分的に視認可能となる構成としている。
そして、このように生成された情報コード100(図12(A)の空き領域110に対して事後的に押印がなされることで、図11、図12(B)のように押印の画像が付された情報コード100が得られるようになっている。
更に、図1、図2のような読取装置10により、図12(A)のような情報コード100、或いは、図12(B)のように押印画像Dが付された情報コード100を読み取ることができるようになっている。読取装置10による情報コード100の解読処理は第1実施形態と同様の流れで行ってもよく、図13のような流れで行ってもよい。なお、以下では、図13で例示される解読処理を代表例として説明する。
ここで、本構成で用いられる情報コード100について説明する。本構成で用いられる情報コード100も、図12(A)のように、コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域(第1実施形態と同様の位置検出パターン104、タイミングパターン(タイミングセル)106、アライメントパターン108が配置される領域)と、複数種類のセル102によってデータを記録するデータ記録領域と、複数種類のセル102によって誤り訂正符号を記録する誤り訂正符号記録領域とが設けられている。特定パターン領域は、明色セル及び暗色セルを配列し、単一のセルサイズよりも大きい固定パターンを表した領域であり、例えば、同一の型番の情報コードでは、同一の特定パターン領域が同一の位置に配置されるようになっている。そして、セル102とは異なる画像を示す画像領域が、単一のセル102のサイズよりも広い領域としてコード領域内に表される構成となっている。また、図12の例でも、空き領域110は、データ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法でデータの記録又はデザインの表示の少なくともいずれかが可能となる領域であり、単一のセル102のサイズよりも大きいサイズで構成されている。
更に本構成では、図1に示す形成装置2が図12(A)に示す情報コード100を生成する際に、空き領域110(画像領域)の画像を処理する際に利用する利用データをデータ記録領域(複数のセル102によって解読対象となるデータを記録する領域)に記録しており、具体的には、空き領域110(画像領域)の画像の少なくとも一部又は空き領域110(画像領域)の画像を解析して得られる解析データと比較するための比較データをデータ記録領域(解読対象となるデータを記録する領域)に記録している。
ここで、データ記録領域に記録する比較データについて説明する。本構成では、後述する読取処理の際に、公知の印影照合方法や指紋照合方法(例えば、特徴点抽出法(マニューシャ法)、パターンマッチング法、周波数解析法等)などと同様の照合方法で印影の照合が行われるようになっており、事前登録では、この印影照合に利用される登録印影データを比較データとして生成している。なお、以下では、印影照合方法として特徴点抽出法が用いられる場合を代表例として説明することとする。
事前登録では、例えば登録対象者に押印を要求し、紙材料、樹脂材料、金属材料などの被押印材料の表面に所定色の押印を付けてもらい、その押印の画像(登録対象となる印鑑の押印図形)を読取装置10やその他のカメラによって撮像する。図14は、このような撮像で得られた押印画像の例である。そして、例えば特徴点抽出法(マニューシャ法)を用いる場合、予め特徴点の形状を規定しておき、上述の作業で得られた押印画像からその規定された特徴点を抽出する。本構成では、特徴点の形状として「分岐点」及び「端点」を規定しており、例えば、図14のような特徴点となる。なお、図15では、押印を撮像して得られた押印画像に散在する分岐点(線が分岐する位置)、端点(線の端部となる位置)を概念的に例示している。この図15では、画像内での押印領域を一点鎖線Afにて示しており、分岐点の位置を点にて示し、端点の位置を+印にて示している。
そして、図15のように散在する各特徴点(分岐点、端点)を検出し、特徴点毎にX座標値、Y座標値を算出する。座標値の算出方法については、各特徴点の相対的位置関係を把握しうる方法であればよく、例えば、図15のように、押印領域(一点鎖線Afによって囲まれる領域)の中心位置に最も近い特徴点P0の位置を基準位置(原点)とし、画素の横方向及び縦方向をそれぞれX方向、Y方向として各特徴点のX座標値、Y座標値を算出する。
そして、このように検出ないし算出された各特徴点の種類、X座標値、Y座標値に基づいて登録押印データを生成する。具体的には、各特徴点の種類、X座標値、Y座標値に基づき、図16のように、特徴点毎に、種類を示す値、X方向位置に対応する値、Y方向位置に対応する値を対応付けて生成し、これらを登録押印データ(比較データ)とする。なお、図16の例では、上記基準位置(原点)に近い所定数(例えば15個)の各特徴点のデータ(種類を示す値、X方向位置に対応する値、Y方向位置に対応する値)を生成し、これらを登録押印データ(比較データ)としている。そして、形成装置2が図12(A)のような情報コード100を生成する際には、データ記録領域にこのような登録押印データ(比較データ)を記録しておく。このように事前準備をしておくことで、図12(A)のような情報コード100の空き領域110(画像領域)に対して、データ記録領域に記録された登録押印データ(比較データ)に対応する押印が付された場合に認証が成功し、登録押印データ(比較データ)に対応する押印が付されない場合に認証が失敗するようなコード構成となる。
そして、本構成では、例えば図13のような流れで情報コードの読み取り及び認証を行う。この処理は、読取装置10において、所定の開始操作がなされた場合に実行されるものであり、まず情報コードの撮像を行い(S80)、その情報コードのコード画像を解析してデータ記録領域のデータを読み取る(S81)。そして、その情報コードのコード画像から画像領域(空き領域110)を特定し、画像領域(空き領域110)の画像を切り出す(S82)。なお、情報コード100でのデータ記録領域の解読方法や、画像領域(空き領域110)の抽出方法は、例えば第1実施形態と同様の方法で行うことができる。
そして、このように切り出された画像領域(空き領域110)の画像を解析し、特徴点を抽出する(S83)。なお、このS83での特徴点の抽出方法は事前登録の場合と同様であり、例えば、図12(B)のような押印画像が空き領域110に表されている場合、この押印画像の中から端点(線の端部となる位置)と分岐点(線が分岐する位置)を抽出する。そして、S83で特徴点を抽出した後には、その抽出された特徴点のデータと、S81でデータ記録領域から読み取った特徴点のデータ(比較データ)とを比較し、特徴点のデータ同士が一致しているか否かを判断する(S84)。なお、登録された特徴点と読み取られた特徴点とを比較して一致を判断する方法は印鑑認証や指紋認証などの分野で公知となっているいずれの方法を用いてもよい。
そして、S84の比較処理(判断処理)により、S83で抽出された特徴点のデータと、S81でデータ記録領域から読み取られた特徴点のデータ(比較データ)とが一致していると判断される場合には、S85にてYesに進み、認証成功と判定する(S86)。この場合、認証が成功した旨の報知(例えば、認証成功のメッセージ表示や認証成功音声情報の出力など)を行えばよい。一方、S84の比較処理(判断処理)により、S83で抽出された特徴点のデータと、S81でデータ記録領域から読み取られた特徴点のデータ(比較データ)とが一致していないと判断される場合には、S85にてNoに進み、エラーと判定する(S87)。この場合、エラーである旨の報知(例えば、エラーメッセージ表示やエラー音声情報の出力など)を行えばよい。
なお、本構成でも受光センサ23が撮像部に相当する。また、制御回路40が、データ記録領域解読部の一例に相当し、受光センサ23(撮像部)によって情報コード100が撮像された場合に、データ記録領域に記録されたデータを読み取るように機能する。
また、制御回路40は、画像処理部の一例に相当し、受光センサ23(撮像部)によって撮像された情報コード100のコード画像において空き領域110の画像に対し、データ記録領域読取部によるデータの解読処理とは異なる方法で所定の画像処理を行うように機能している。具体的には、データ記録領域読取部によって読み取られた比較データ(利用データ)を用い、空き領域110の画像が所定の正規画像に該当するか否かの判断処理を行っており、より詳しくは、空き領域110の画像に対して所定の特徴点抽出処理(S83)を行い、この特徴点抽出処理によって抽出された空き領域110での特徴点と、データ記録領域に記録される基準特徴点データ(比較データ)とを比較して一致しているか否かを判断することで、空き領域110の画像が正規画像(データ記録領域に記録された基準特徴点データの生成元となる押印画像)に該当するか否かを判断している。
(本構成の効果の例)
本構成では、空き領域110の画像の少なくとも一部又は空き領域の画像を解析して得られる解析データと比較するための比較データが利用データとしてデータ記録領域に記録されている。この構成によれば、一度の撮像により利用対象となる画像とその比較を行うための比較データとを同時期に取得できるため、互いに関連付けるべき画像(空き領域の画像)とデータ(比較データ)を正確に取得可能となり、作業時間や処理時間の短縮化も図り易くなる。
しかも、比較データを記録する領域については、通常環境下で視認困難とすることができるため、データ記録領域の不正利用を困難にすることができる。更に、通常環境下で視認困難であれば、空き領域の周囲にデータ記録領域が存在すること自体を意識させないようにすることができ、情報コードの改竄やデータの不正取得などの不正利用に関し、そのきっかけをも与えにくくなる。
また、データ記録領域に記録された比較データを用いて認証を行うことができるため、サーバへのアクセスなどが不要となり、サーバへの通信が行えない環境、或いはサーバへの通信が行い難い環境であっても支障なく認証を行うことができる。
また、本構成では、空き領域110が、情報コード100の形成後に事後的に記載することが可能な追加可能領域として構成されている。この構成では、データ記録領域に記録された情報とは別の追加情報を事後的に利用できるようになり、空き領域を備えた特徴的な情報コードを利用する上での利便性が一層増す。
また、本構成では、空き領域110に、追加可能領域の範囲を示す範囲特定画像が表されている。具体的には、空き領域110の内部において、範囲特定画像として、追加可能領域の範囲を示す識別表示(マーク121a)が設けられており、このマーク121aを目印として事後的に追加表示が行えるようになっている。具体的には、マーク121a内の部分が1又は複数の所定色(例えば白色等)で構成されており、マーク121aがその所定色とは異なる色(例えば黒色等)により識別表示として示されている。このように構成されているため、空き領域110に対して前記所定色(マーク121a内の領域を構成する背景色)とは異なる他の色によって押印等の追加表示が可能となり、所定色とは異なる色によって追加表示されたときには、上述の情報コード読取装置10により、その書き込みを認識できるようになっている。なお、図11、図12等の例では、識別表示として、四角形状の図形からなるマーク121aを例示し、マーク121aの内側が情報追加領域として構成される例を示したが、情報追加領域の境界(外縁)が特定できる構成であれば、識別表示の形状や構成はどのようなものであってもよい。例えば、情報追加領域が所定色(例えば白色)によって構成されている場合、情報追加領域の周囲に隣接する背景がその所定色以外であれば、画像領域と背景とが異なる色によって区分けされることになる。この場合、画像領域の周囲に隣接する背景が識別表示に相当することになる。
このようにすることで、情報追加領域の位置をより明確に特定しやすくなる。特に、本構成では、空き領域110の周囲のデータ記録領域は、通常環境下で視認困難な構成であるため、空き領域110内に目印が無いと通常環境下で追加可能領域の位置が分かりにくく、正確な位置に記入されにくくなる虞があるが、本構成によれば、このような問題を解消しやすくなる。例えば、空き領域110が完全に空白であり、空き領域110の周囲が視認不能な構成の場合、押印すべき位置が特定しにくいため、データ記録領域に押印されやすく、これによりデータ記録領域の読み取りが失敗しやすくなる虞があるが、上記構成によればこの問題を確実に抑えることができる。
また、本構成では、情報コード読取装置10は、受光センサ23(撮像部)と、データ記録領域読取部及び画像処理部として機能する制御回路40とが、図示しないケース(筐体)に組み付けられた構成で一体的に設けられており、これらを一体的に把持して操作することができ、且つ、認証も装置内で完結させることができるようになっている。
なお、上述した例では、事前登録で得られた特徴点(複数の基準特徴点)の位置を特定する位置データを比較データとしてデータ記録領域に記録する例を示したが、事前登録で得られた特徴点(複数の基準特徴点)の個数を比較データとしてデータ記録領域に記録するような構成であってもよい。この場合、S84の比較処理では、データ記録領域に記録された特徴点の個数と、S83で抽出された特徴点の個数とが一致するか否かを判断すればよく、一致する場合にはS85にてYesに進み、一致しない場合にはS85にてNoに進むようにすればよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
第3実施形態の情報コード利用システム1も、ハードウェア構成については第1実施形態と同一であり、上述した図1、図2のような構成が用いられる。そして、図1のような形成装置2により、図17(A)のような情報コード100(所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルを配列してなる情報コード)を生成するようになっている。なお、形成装置2による情報コード100の生成方法は空き領域の具体的内容を除いて第1実施形態と同一である。このように形成装置2で生成される情報コード100は、空き領域110の内容のみが第1実施形態の情報コード100と異なり、空き領域110の画像以外は第1実施形態の情報コード100の特徴を全て含んでいる。
この構成では、情報コード100が図17(A)のようなコードとして構成されており、この例でも、空き領域110が追加可能領域として構成されている。そして、この空き領域110には、図17(B)のように指紋画像を形成可能となっている。
この例でも、第2実施形態と同様、登録対象の指紋を事前登録しておけばよく、これにより、図17(B)のように事後的に付された指紋の認証が可能となる。この事前登録では、例えば登録対象者に押捺を要求し、紙材料、樹脂材料、金属材料などの被押捺材料の表面に所定色の押捺を付けてもらい、その押捺画像(登録対象となる指紋の画像)を読取装置10やその他のカメラによって撮像する。そして、例えば特徴点抽出法(マニューシャ法)を用いる場合、予め特徴点の形状を規定しておき、上述の作業で得られた指紋画像からその規定された特徴点を抽出する。そして、第2実施形態と同様の方法で、登録指紋データを生成する。具体的には、各特徴点の種類、X座標値、Y座標値に基づき、図16と同様、特徴点毎に、種類を示す値、X方向位置に対応する値、Y方向位置に対応する値を対応付けて生成し、これらを登録指紋データ(比較データ)とすればよい。なお、この場合も、上記基準位置(原点)に近い所定数(例えば15個)の各特徴点のデータ(種類を示す値、X方向位置に対応する値、Y方向位置に対応する値)を生成し、これらを登録指紋データ(比較データ)とすればよい。そして、形成装置2が図17(A)のような情報コード100を生成する際には、データ記録領域にこのような登録指紋データ(比較データ)を記録しておく。このように事前準備をしておくことで、図12(A)のような情報コード100の空き領域110(画像領域)に対して、データ記録領域に記録された登録指紋データ(比較データ)に対応する指紋が付された場合に認証が成功し、登録指紋データ(比較データ)に対応する指紋が付されない場合に認証が失敗するようなコード構成となる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
第4実施形態の情報コード利用システム1も、ハードウェア構成については第1実施形態と同一であり、上述した図1、図2のような構成が用いられる。そして、図1のような形成装置2により、図18(A)のような情報コード100(所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルを配列してなる情報コード)を生成するようになっている。なお、形成装置2による情報コード100の生成方法は空き領域の具体的内容を除いて第1実施形態と同一である。このように形成装置2で生成される情報コード100は、空き領域110の内容のみが第1実施形態の情報コード100と異なり、空き領域110の画像以外は第1実施形態の情報コード100の特徴を全て含んでいる。
この例でも、形成装置2が図18(A)と同様の情報コード100を生成するようになっており、この情報コード100の生成の際に、空き領域110(画像領域)の画像を処理する際に利用する利用データとして、空き領域110(画像領域)の画像の少なくとも一部又は空き領域110(画像領域)の画像を解析して得られる解析データと比較するための比較データをデータ記録領域(解読対象となるデータを記録する領域)に記録している。この例で用いられる比較データは、空き領域110(画像領域)に記録されるべき数字、文字、記号、図形の少なくともいずれかを特定する特定データとなっている。例えば、図18(B)のような「田中」の文字が記録されることが正解である場合、この「田中」の文字のデータを比較データとしてデータ記録領域に記録しておけばよい。このようにすれば、「田中」の文字が書き込まれた場合に認証成功となり、「田中」の文字が書き込まれない場合にエラーとなるような情報コード100を実現できる。この例に限られず、例えば、「1234」という数字が描かれたことが正解である場合、この「1234」のデータを比較データとしてデータ記録領域に記録しておけばよい。
なお、このような例では、図13のような読取処理を行う場合、S83の特徴点抽出処理を記号認識処理に変更し、S84の比較処理を、登録記号と抽出記号の比較処理に変更すればよい。具体的には、代表例と同様の方法でS80〜S82の処理を行った後、S83では、画像領域の画像に対して公知の記号認識処理(OCR(Optical Character Reader)処理)を行い、画像領域に記録される記号(例えば、手書き文字、手書き数字などの手書きの記号)を把握する。そして、S84では、S83で把握された記号と、S81で読み取られた記号(比較データ)とが一致するか否かを判断し、一致すればS85にてYesに進み、一致しなければS85にてNoに進むようにする。なお、S86、S87については代表例と同様の方法で行うことができる。
本構成でも、制御回路40が画像処理部に相当し、空き領域110(画像領域)の画像に対して数字、文字、記号、図形の少なくともいずれかを認識する記録内容認識処理を行い、記録内容認識処理によって認識された空き領域110(画像領域)での記録内容と、データ記録領域に記録される特定データ(正解となる数字、文字、記号、図形などのデータ)とに基づき、空き領域110(画像領域)の画像が正規画像(即ち、データ記録領域に記録された数字、文字、記号、図形などが表された画像)に該当するか否かの判断処理を行うように機能する。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。
第5実施形態の情報コード利用システム1も、ハードウェア構成については第1実施形態と同一であり、上述した図1、図2のような構成が用いられる。そして、図1のような形成装置2により、図20のような情報コード100(所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルを配列してなる情報コード)を生成するようになっている。なお、形成装置2による情報コード100の生成方法は空き領域の具体的内容を除いて第1実施形態と同一である。
このように形成装置2で生成される情報コード100は、空き領域110の内容のみが第1実施形態の情報コード100と異なり、空き領域110の画像以外は第1実施形態の情報コード100の特徴を全て含んでいる。
ここで、情報コード100について説明する。本システム1で扱われる情報コード100も、コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域(図1と同様の位置検出パターン104、タイミングパターン(タイミングセル)106、アライメントパターン108が配置される領域)と、複数種類のセル102によってデータを記録するデータ記録領域と、複数種類のセル102によって誤り訂正符号を記録する誤り訂正符号記録領域と、空き領域110とが設けられている。なお、図20の例では、空き領域110の全体が画像領域として構成されており、例えば図20のように、空き領域110内にセル102とは異なる画像が表されるようになっている。この空き領域110は、データ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法でデータの記録又はデザインの表示の少なくともいずれかが可能となる領域であり、単一のセル102のサイズよりも大きいサイズで構成されている。
そして、この例でも、空き領域の周囲に配置されるデータ記録領域の構成を、可視光が照射される所定の第1状態において複数種類のセルを特定する視認が困難な所定の視認困難状態となる構成であって、且つ可視光とは異なる所定波長帯の光が照射される所定の第2状態において複数種類のセルが特定可能な所定の特定可能状態となる構成とすればよい。そして、空き領域に表されるデータ又はデザインの少なくともいずれについては、第1状態において少なくとも部分的に視認可能となる構成とすればよい。
そして、この情報コード100は、空き領域110(画像領域)に、フォログラム部112が配置されている。このフォログラム部112は、図21のように、読取装置10が所定の第1方向から撮像したときに撮像部で得られる第1撮像画像112aと、読取装置10が第1方向とは異なる所定の第2方向から撮像したときに撮像部で得られる第2撮像画像112bとが異なる構成となっている。
また、情報コード100のデータ記録領域には、例えば、商品名、商品番号、価格、梱包単位、固有ID(シリアル番号等)、店舗情報などが記録されている。
このような情報コード100を読取装置10で読み取り、認証を行う場合、読取装置10の受光センサ23(撮像部)は、情報コード100を所定の第1方向から撮像したときの第1撮像画像と、情報コード100を第2方向から撮像したときの第2撮像画像とを取得する。例えば、図21の左側の読取装置10ように、3つの位置検出パターン104のうち、1つの位置検出パターン104がコード領域の左上になり、2つの位置検出パターン104がコード領域の左下、右下になるような撮像画像が得られる方向であって、それら2つの位置検出パターン104側を下側として斜め下側から撮像する方向(撮像画像において3つの位置検出パターン104が所定の第1配置となる撮像方向)を第1方向とし、この第1方向でのフォログラム部112の第1撮像画像112aを取得する。また、3つの位置検出パターン104のうち、2つの位置検出パターン104がコード領域の左上、右上になり、1つの位置検出パターン104が右下になるような撮像画像が得られる方向であって、その1つの位置検出パターン104側を下側として斜め下側から撮像する方向(撮像画像において3つの位置検出パターン104が所定の第2配置となる撮像方向)を第2方向とし、この第2方向でのフォログラム部112の第2撮像画像112bを取得する。そして、データ記録領域に記録された、商品名、シリアル番号などを取得し、これらの情報と共に、第1撮像画像112a、第2撮像画像112bを図示しないサーバに送信する。
サーバには、予め商品名、シリアル番号と対応付けてフォログラム部112の第1方向での正規画像と、第2方向での正規画像とが登録されているため、これら正規画像と、送信されてきた第1撮像画像112a及び第2撮像画像112bとを公知のパターンマッチングなどによって照合することで、送信されてきた第1撮像画像112a及び第2撮像画像112bが予めサーバに登録されたものであるか否かを判定することができる。そして、読取装置10から送られてきたフォログラム部の画像がシリアル番号に対応する第1方向での正規画像及び第2方向での正規画像である場合には認証成功である旨を読取装置10に送信する。
本構成では、図2に示す読取装置10の制御回路40が画像処理部の一例に相当し、所定の第1撮像画像と前記第2撮像画像に基づいてフォログラム部112の認証を行うように機能する。
この構成では、少なくとも2種類の画像が発生し得るフォログラム部112を備えた情報コード100を認証用の媒体として利用できる。読取装置10では、フォログラム部から2種類の画像の取得を試み、その取得結果に基づいて認証を行うことができるため、フォログラムが正規のものであるか否かをより正確に判定しやすくなる。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について、図面を参照して説明する。
第6実施形態の情報コード利用システムは、ハードウェア構成については第1実施形態と同一であり、上述した図1、図2のような構成が用いられる。
第6実施形態の情報コード利用システムでは、形成装置2(図1等参照)により図22(B)のような情報コード200を生成する。この構成でも、コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターン(位置検出パターン204)が配置される特定パターン領域と、複数種類のセルによってデータを記録するデータ記録領域と、空き領域210とを設けている。
この構成では、空き領域210内の構成以外は、公知のQRコード(登録商標)として構成されており、まず、図22(A)のように、コード領域の内部に、特定パターン領域と、データ記録領域と、複数種類のセルによって誤り訂正符号を記録する誤り訂正符号記録領域とを設けている。なお、データ記録領域でのデータコードワードの記録方法及び誤り訂正符号記録領域での誤り訂正コードワードの記録方法は公知のQRコード(登録商標)と同様であり、例えば、JISX0510で規定される方式でコード領域内の位置検出パターン204の配置、データ記録領域におけるデータコードワードの配置、誤り訂正符号記録領域での誤り訂正コードワードの配置が定められている。
但し、図22(A)のように、一部領域のコードワードを、白セルのみによって表現されるコードワードとして構成した情報コード200’を生成し、このように白セルのみによって表現される領域ARを空き領域210としている。図22(B)の例では、空き領域210内に、第4実施形態と同様のサイン画像記録領域を設け、このサイン画像記録領域内にサインが記入された状態を示している。このように構成した場合、図22(A)のような本来のデータ表示とは異なった構成になるが、この空き領域210でのデータの誤りは、誤り訂正符号記録領域に記録された誤り訂正符号を用いて公知の誤り訂正を行えばよい。
また、図22(B)に示す情報コード200では、空き領域210の位置が予め特定されるため、空き領域210内にデザインや情報を付加して表示する場合にはこの表示による誤り位置が予め分かっていることになる。従って、空き領域210の位置を誤り位置として消失訂正を行うように誤り訂正符号記録領域の誤り訂正符号を構成することもできる。この場合、空き領域210の位置を示す情報を予めデータ記録領域に記録しておいたり、或いは、予め読取装置10(図1)内に記憶しておくことで、読取時に読取装置10が空き領域210の位置(即ち、誤りが生じているデータコードワードの位置)を特定することができるようになり、読取装置10は、このように位置が特定された空き領域210に存在するデータコードワードの誤りを訂正するように、誤り訂正符号記録領域に記録された誤り訂正符号を用いて消失訂正を行うようにすればよい。
また、図22のように既存のQRコード(登録商標)の一部を空き領域210として構成する場合、データ記録領域に記録されるデータにおいて、図24(A)のような識別情報を含ませておけばよい。図24(A)は、データ記録領域に記録される解読対象データ構成を概念的に示しており、この例では、解読対象データの先頭部分に、所定構成(%%IMAGE%%)のデータが付されている。このように構成しておけば、読取装置10は、データ記録領域に記録される解読対象データの中からこの識別情報(%%IMAGE%%)を検出したときに、空き領域210に対する所定処理(例えば、画像認識処理)を行うことができるようになり、逆に、識別情報(%%IMAGE%%)を検出できないときには通常のデコード処理を行うことになる。また、この例では、データ記録領域のデータとして、通常のデータ以外に、画像領域の位置を特定する位置データや、その他の付随情報が含まれていることが望ましい。また、図24(A)に示すデータは、データ記録領域に記録されるデータの内、終端子よりも前に配置される解読対象データを示しており、終端子よりも後に配置される埋め草コードは省略している。本構成では、例えば、この埋め草コードの領域を全て白セルのみで表示するようにし、この領域を空き領域210として扱うようにすることができる。
また、識別情報の例はこの例に限られるものではなく、例えばモード番号として専用のモード番号を用いるようにしてもよい。例えば、QRコードの規格では、1:数字モード、2:英数字モード、3:連結モード等が定められており、このようなモード番号の1つとして14:画像認識モードを設けるようにしてもよい。このような例では、モード番号「14」が設定されている場合に、空き領域210に対する所定処理(画像認識処理)を行えばよい。
そして、このような例でも、空き領域の周囲に配置されるデータ記録領域の構成を、可視光が照射される所定の第1状態において複数種類のセルを特定する視認が困難な所定の視認困難状態となる構成であって、且つ可視光とは異なる所定波長帯の光が照射される所定の第2状態において複数種類のセルが特定可能な所定の特定可能状態となる構成とすればよい。そして、空き領域に表されるデータ又はデザインの少なくともいずれについては、第1状態において少なくとも部分的に視認可能となる構成とすればよい。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明する。
第7実施形態の情報コード利用システムも、ハードウェア構成については第1実施形態と同一であり、上述した図1、図2のような構成が用いられる。
第7実施形態の情報コード利用システムでは、形成装置2(図1等参照)により図23(B)のような情報コード300を生成する。この構成でも、コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターン(L字状のアライメントパターン304a及び明色セルと暗色セルが1セルずつ交互に配置され、コード領域の境界に沿ったL字状の領域を構成するタイミングパターン(タイミングセル)304b)が配置される特定パターン領域と、複数種類のセルによってデータを記録するデータ記録領域とを設け、コード領域の内部において、特定パターン領域以外の位置に、データ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法で、データの記録又はデザインの表示の少なくともいずれかが可能となる空き領域310を、単一のセルのサイズよりも大きい所定サイズで設けている。
この構成では、空き領域310の構成以外は、公知のデータマトリックスコードとして構成されており、まず、図23(A)のように、コード領域の内部に、特定パターン領域と、データ記録領域と、複数種類のセルによって誤り訂正符号を記録する誤り訂正符号記録領域とを設けている。なお、データ記録領域でのデータコードワードの記録方法及び誤り訂正符号記録領域での誤り訂正コードワードの記録方法は公知のデータマトリックスコードと同様であり、コード領域内のアライメントパターン304aやタイミングパターン304bの配置、データ記録領域におけるデータコードワードの配置、誤り訂正符号記録領域での誤り訂正コードワードの配置は、例えばECC200バージョンに従って定められている。
但し、図23(A)のように、一部領域のコードワードを、白セルのみによって表現されるコードワードとして構成した情報コード300’を生成し、このように白セルのみによって表現される領域ARを空き領域310としている。図23(B)のように空き領域310を設ける場合、図23(A)のような本来のデータ表示とは異なった構成になるが、この空き領域310でのデータの誤りは、誤り訂正符号記録領域に記録された誤り訂正符号を用いて公知の誤り訂正を行えばよい。
また、図23(B)に示す情報コード300では、空き領域310の位置が予め特定されるため、空き領域310内にデザインや情報を付加して表示する場合にはこの表示による誤り位置が予め分かっていることになる。従って、空き領域310の位置を誤り位置として消失訂正を行うように誤り訂正符号記録領域の誤り訂正符号を構成することもできる。この場合、空き領域310の位置を示す情報を予めデータ記録領域に記録しておいたり、或いは、予め読取装置10(図1)内に記憶しておくことで、読取時に読取装置10が空き領域310の位置(即ち、誤りが生じているデータコードワードの位置)を特定することができるようになり、読取装置10は、このように位置が特定された空き領域310に存在するデータコードワードの誤りを訂正するように、誤り訂正符号記録領域に記録された誤り訂正符号を用いて消失訂正を行うようにすればよい。
また、図23のように既存のデータマトリックスコードの一部を空き領域310として構成する場合、データ記録領域に記録されるデータにおいて、図24(B)のような識別情報を含ませておけばよい。図24(B)は、データ記録領域に記録される解読対象データ構成を概念的に示しており、この例では、解読対象データの先頭部分に、所定構成(%%IMAGE%%)のデータが付されている。このように構成しておけば、読取装置10は、データ記録領域に記録される解読対象データの中からこの識別情報(%%IMAGE%%)を検出したときに、空き領域310に対する所定処理(例えば、画像認識処理)を行うことができるようになり、逆に、識別情報(%%IMAGE%%)を検出できないときには通常のデコード処理を行うことになる。また、この例では、データ記録領域のデータとして、通常のデータ以外に、画像領域の位置を特定する位置データや、その他の付随情報が含まれていることが望ましい。
また、識別情報の例はこの例に限られるものではなく、例えば専用のコードワードを用いるようにしてもよい。データマトリックスコードの仕様として、例えば、0〜128をASCII文字、233を連結モードなどとして定めている場合、「234」を画像認識用の特別なコードワードとして新たに定めるようにしてもよい。このような例では、データ記録領域のデータに「234」のコードワードが含まれている場合に、空き領域310の画像認識処理を行えばよい。また、未使用のコードワードが存在する場合、未使用のコードワードを識別情報として含ませておき、データ記録領域のデータに未使用のコードワードが含まれている場合に、空き領域310に対する所定処理(例えば、画像認識処理)を行うようにしてもよい。
そして、このような例でも、空き領域の周囲に配置されるデータ記録領域の構成を、可視光が照射される所定の第1状態において複数種類のセルを特定する視認が困難な所定の視認困難状態となる構成であって、且つ可視光とは異なる所定波長帯の光が照射される所定の第2状態において複数種類のセルが特定可能な所定の特定可能状態となる構成とすればよい。そして、空き領域に表されるデータ又はデザインの少なくともいずれについては、第1状態において少なくとも部分的に視認可能となる構成とすればよい。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
第1実施形態等では、情報コード100内に、情報入力領域の位置を示す位置データ(例えば、図3に示す画像領域位置情報など)を含ませるようにしていたが、このような例に限られない。例えば、形成装置2が、空き領域において予め定められた所定位置に画像領域を配置するように情報コードを生成する構成であってもよい。この場合、所定位置を特定する情報(図3に示す画像領域位置情報などの情報)が記憶部5に記憶されていればよい。また、この場合、情報コード読取装置10には、形成装置2と同様、所定位置を特定する特定情報(図3に示す画像領域位置情報などの情報)をメモリ35に記憶しておけばよい。そして、情報コード読取装置10では、図9のS45において、メモリ35からこのような特定情報を読み出して空き領域を特定した上で、それ以降の処理を行えばよい。また、この場合、図3に示す画像領域位置情報は、ヘッダデータに含めなくてもよい。
本発明は、上述したいずれか1又は複数若しくは全ての情報コードを表示し得る表示装置として構成することもできる。また、上述したいずれか1又は複数若しくは全ての情報コードを印刷し得る印刷装置として構成することもできる。更に、上述したいずれか1又は複数若しくは全ての情報コードを生成するためのコンピュータ読取可能なプログラムとして構成することもできる。また、上述した1又は複数若しくは全ての情報コードを生成するためのプログラムを記録した記録媒体として構成することもできる。更に、上述した1又は複数若しくは全ての情報コードが付された情報コード媒体(印刷物、ダイレクトマーキング等によって構成された形成物など)として把握することもできる。また、上述した1又は複数若しくは全ての情報コードが表示された表示画像として把握することもできる。
図1等の構成では、形成装置2と情報コード読取装置10が別々の装置として構成された例を示しているが、形成装置2が情報コード読取装置10として構成されていてもよい。また、形成装置2が、複数の装置によって構成されていてもよく、情報コード読取装置10が複数の装置によって構成されていてもよい。
上記実施形態では、コード領域の中央部に空き領域110を設けた例を示したが、空き領域110の配置はこの例に限られない。同様に画像領域121の位置も上述の例に限られない。例えば、コード領域の周縁付近に空き領域を設け、この位置に画像領域121を設けてもよい。また、画像領域のデザインとしては、図形、模様、色彩又はこれらの結合からなる構成であれば他の様々なデザインを採用することができる。また、デザインに代えて、或いはデザインと共に情報を表示する場合、その情報の内容は様々である。
上記実施形態では、他種コードとしてQRコードを例に挙げ、情報コード100で用いる特定パターンとしてQRコードの特定パターンを例に挙げたが、これ以外の種類の二次元コードを用いてもよい。例えば、他種コードとしてデータマトリックスコードを用い、情報コード100で用いる特定パターンをデータマトリックスコードの特定パターンとしてもよい。
図5のように設定した配置変換表における対応関係は、図7のように任意に変更することができる。例えば、形成装置2、情報コード読取装置10において図5のように設定されていた配置変換表を図7のように変更した場合、生成される情報コード100では、22〜23番目のコードワードの配置が、図5右図のような配置(22〜23番の配置候補位置に記録する配置)から図7右図のような配置(42〜43番の配置候補位置に記録する配置)に変更され、これにより空き領域110の位置や形状も変化することになる。この場合、22〜23番の配置候補位置は空き領域としてもよく、他のコードワードの配置位置としてもよい。つまり、この構成では、配置変換表を調整することで空き領域110の位置や形状を調整することができ、空き領域を構成する上での自由度をより高めることができる。
上記実施形態では、空き領域110を設け、この空き領域110の内部に画像領域を設けた例を示したが、このような例に限られない。例えば、誤り訂正が可能な一般的な二次元コード(例えばQRコード等)のセル配置領域に、上述したような画像を上書き等によって設け、このような画像領域によって潰れた領域のデータを誤り訂正によって復元するようにしてもよい。
上記実施形態では、図9のS46で特定される空き領域をビットマップ画像として抽出し、所定処理を行う例を示したが、このような例に限られない。例えば、特定される空き領域を白黒画像として抽出してもよく、グレースケール画像として抽出してもよい。
上記実施形態では、「コード領域」の一例を示したが、「コード領域」は、情報コードを構成する複数種類のセルを全て含む最小の正方形領域又は長方形領域であればよく、コード領域の内縁部の一部にセルが配列されていなくてもよい。例えば、図25の情報コード800ように、空き領域810がコード領域の周縁部に隣接して形成されていてもよい。この場合、情報コード800を構成する複数種類のセルを全て含む最小の正方形領域又は長方形領域は、一点鎖線ARのようになり、空き領域810の外縁は、例えば二点鎖線AR2のようになる。また、認識対象となる画像領域はコード領域内に少なくとも一部が存在すればよく、図26の画像領域AR3ように、残余の部分がコード領域外に存在するような構成であってもよい。図26のような例では、予め画像領域AR3がどのような範囲になるかを特定する情報をデータ記録領域に記録しておけばよい。なお、図25、図26では、空き領域に第6実施形態と同様のデザインが表されているが、これ以外の実施形態で用いられたデザインやデータが表されていてもよい。
上記実施形態では、コード領域内を構成する複数種類のセルとして、白色セルなどの明セルと黒色セルなどの暗セルを例示したが、コード領域内の特定パターン領域、データ記録領域、誤り訂正符号記録領域が、所定の濃度、輝度、色彩の第1種セルと、この第1種セルとは濃度、輝度、色彩のいずれかが異なる第2種セルに構成されていてもよい。或いは、コード領域内の特定パターン領域、データ記録領域、誤り訂正符号記録領域が、濃度、輝度、色彩のいずれかがそれぞれ異なる三種類以上のセルによって構成されていてもよい。
上記実施形態では、コード領域内の特定パターン領域、データ記録領域、誤り訂正符号記録領域において、外形が正方形状のセルを複数配列した例を示したが、各セルの外形は正方形以外の四角形であってもよく、四角形以外の多角形や、円形、楕円形などの図形であってもよい。
上記実施形態では、特定パターンの例として位置検出パターン104、タイミングパターン106、アライメントパターン108などを例示したが、データ記録領域及び誤り訂正符号記録領域の内容に関係なく固定のパターンとして構成される領域であれば、特定パターンを構成する図形は他の固有図形であってもよい。
上記実施形態では、空き領域の一例を示したが、空き領域は、セルによって解読対象データが記録されない領域であり、データ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法で情報の表示又は画像の表示がなされる領域であればよい。例えば、第1実施形態のように、コードワードが全く配置されない領域として空き領域が構成されていてもよく、公知のQRコードなどにおいて、誤り訂正符号を表現する誤り訂正コードワードや解読対象データを表現するデータコードワードが配置されず、埋め草コードワードが配置される領域を空き領域としてもよい。また、いずれの空き領域の場合でも、「セルによってデータ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法で情報の表示」を行うことができ、この情報の表示は、上記実施形態で例示される情報のほか、例えば、文字、数字、その他の記号などによるその他の情報であってもよく、商標などによって特定の商品やサービスを表すような情報の表示方法であってもよい。また、空き領域では、「セルによってデータ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法では画像の表示」を行うことができ、この画像の表示は、上記実施形態で例示される画像のほか、様々な形状、模様、色彩、それらの結合などを表すことができる。
また、図27の情報コード900のように構成してもよい。この例は、第1実施形態と同様の空き領域を設ける構成であるが、空き領域の特定のみが第1実施形態と異なっている。なお、図27の例では、一部の特定パターン以外の領域の具体的内容は省略して示しており、実際は、空き領域910外の外部領域に明色セルや暗色セルが配置されることになる。また、空き領域910内は、例えば第1実施形態の空き領域110と同様の画像、或いは他の実施形態の空き領域と同様の画像が表示される。
本構成でも、情報コード900の種別において複数の型番が用意されており、型番毎にセルの行数及び列数、特定パターンの形状及び位置、フォーマット情報の位置、コードワードの候補位置(アドレス)が予め定められている。そして、形成装置2が情報コード900を生成する際には、型番情報をコード領域内の決められた位置(図27の例では予約領域107)に配置するようになっている。従って、読取装置10が情報コード900を読み取る際には、情報コード900のコード画像を解析し、所定位置に配置された型番情報を読み取ることで、情報コード900のセルの行数及び列数、特定パターンの形状及び位置、フォーマット情報の位置、コードワードの候補位置(アドレス)を把握できることになる。
情報コード900を生成する際には、予め用意された複数の型番の中からいずれかの型番を選択する。これにより、コード領域内の基本構成(特定パターン104の位置、セルの行数及び列数、コードワードの候補位置)が決定する。例えば、図27に示す構成の型番では、29行29列のセル配列となっており、予め定められた3つの角部に、QRコード(登録商標)の切り出しシンボルと同一の構造の特定パターン104が配置されるようになっている。そして、特定パターン104の近くの所定位置に、フォーマット情報を記録する領域(所定位置105)が設けられている。また、29行29列のマトリックス領域において、特定パターン104及び所定位置105以外の位置に、予めコードワードの候補位置が定められており、各候補位置に0〜67までのアドレスが割り当てられている。このように、型番に対応する構成で予めコード領域内の構成が規定されているため、型番が特定されれば、どの順番のコードワードがどの位置に配置されるかを特定することが可能となる。なお、決定した型番の情報は、その型番の配列において予め定められた固定位置に記録される。例えば図27の例では、所定種類のハッチングで特定される領域107に型番の情報が記録されるようになっている。
そして、型番が決定し、コード領域内の基本構成が決定した後には、空き領域の形状及び位置を決定する。空き領域の形状の決定方法は、例えば、予め用意された複数の候補形状の中から選定する方式で決定してもよく、或いは、形成装置2に対して外部から入力された形状指定情報に従った形状に設定する方式で決定してもよい。或いは、決められた固定形状のみに決定してもよい。また、空き領域の位置については、予め決められた固定位置に決定してもよく、ユーザが位置を指定する情報を入力することで、その位置に決定するようにしてもよい。
そして、空き領域が決定した後には、決定された空き領域の位置から外れるコードワードの候補位置に、データ記録領域のコードワード及び誤り訂正符号記録領域のコードワードをそれぞれ配置する構成で情報コード900を生成する。例えば、図27のような構成の型番では、3つの角部に特定パターン104が配置され、これら特定パターン104の位置を基準として、0〜67の番号が付された68個のコードワードの候補位置が予め規定されている。このようなレイアウトにおいて、図27のように空き領域910が決定した場合、少なくとも一部が空き領域910内に入るコードワードの候補位置を配置対象位置から除外し、その除外されたコードワードの位置を飛ばすようにして、順番にコードワードを配置する。例えば、図27の例では、50、51番、53、54番、60〜67番のコードワードの候補位置に入り込むように空き領域910が設定されているため、これら50、51番、53、54番、60〜67番のコードワードの候補位置にはコードワードを配置しないようにする。即ち、0〜49番の位置に順番にコードワードを配置した後、50、51番を飛ばして52番の位置にコードワードを配置し、その後、53、54番を飛ばして55〜59番の位置にコードワードを順番に配置することになる。このようにすれば、解読対象データを符号化したデータコードワードと、誤り訂正符号を表す誤り訂正コードワードとを、空き領域910から外れた候補位置に確実に配置することができる。
このように特定パターン領域(特定パターン104やその他の特定パターンの領域)、フォーマット領域(所定位置105)、型番領域107、各コードワード領域などを決定した後には、空き領域910の具体的な内容を決定する。この情報コード900でも、空き領域910に、空き領域110と同様の画像を表すことで、図1と同様の機能を有する情報コード900を構成することができる。なお、情報コード900の利用方法は第1実施形態やその他の実施形態と同様である。
そして、このような例でも、空き領域の周囲に配置されるデータ記録領域の構成を、可視光が照射される所定の第1状態において複数種類のセルを特定する視認が困難な所定の視認困難状態となる構成であって、且つ可視光とは異なる所定波長帯の光が照射される所定の第2状態において複数種類のセルが特定可能な所定の特定可能状態となる構成とすればよい。そして、空き領域に表されるデータ又はデザインの少なくともいずれについては、第1状態において少なくとも部分的に視認可能となる構成とすればよい。
なお、上記実施形態では、第1波長帯を可視光の波長帯とし、第2波長帯を紫外線の波長帯としたが、第1波長帯を可視光の波長帯とし、第2波長帯を赤外線の波長帯としてもよい。この場合、上述の発光インクを赤外線発光インクとすればよく、このような発光インクを、第1種セル102a又は第2種セル102bのいずれかのみに付すようにすればよい。このようにすれば、第1種セル102aの領域も、第2種セル102bの領域も、可視光環境下では形成対象物105の表面の地の色が表れるため、両種のセルを区別して認識することが困難となり、赤外光が照射される環境下では、赤外線発光インクが付された種類のセルのみが発光するため、このような状態を撮像した撮像画像では、両種のセルを区別して認識することが可能となる。