JP2016003173A - 非粘着性樹脂で被覆された強化ガラスパネルへの加飾方法 - Google Patents

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Takeshi Yoshimura
剛 吉村
尚宏 塩田
Naohiro Shioda
尚宏 塩田
義也 佐々
Yoshiya Sasa
義也 佐々
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Abstract

【課題】強化ガラスパネルの強度を落とすことなく、パネル面への加飾を可能とする方法を提供する。
【解決手段】表面が非粘着性樹脂40で被覆された強化ガラスパネル20の表面に加飾を施す方法であって、加飾対象領域45の非粘着性樹脂40を、所定のエネルギ密度でレーザ照射することにより剥離してガラス面47を露出させ、ガラス面47に対して加飾を施す。レーザ照射はCО2レーザにより、前記エネルギ密度を0.7mJ/mm2以下に保って前記レーザ照射を行い、微小スポットで中央を起点にして外側に向けて前記加飾対象領域45を塗り潰すように走査する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面が非粘着性樹脂で被覆された強化ガラスパネルへの加飾方法に関する。
スマートフォンやタブレット端末などの携帯電子装置に装着されているタッチパネルには一般に強化ガラスが使用されている。
強化ガラスは耐落下、衝撃性に対して十分な強度を有しているため、携帯電子装置に要求される仕様を満たすことができる。
また、タッチパネルは指などで触れて使用されるため、表面に汚れを残さず、または清掃し易くしておく必要がある。このため、フッ素樹脂などの非粘着性樹脂でガラス表面を被覆し、撥水、撥油効果を持たせると共に、携帯電子装置の操作時の指紋や油脂、水分などによる汚れが付き難く、また清掃がし易いように処理している。
フッ素樹脂などの被覆面は、非粘着性が非常に強く接着エネルギが低いため、接着剤を用いて被覆面へ図柄や文字を貼り付けたり、直接印刷はもちろんプライマ処理を伴う印刷をしようとしても十分な接着強度を得ることができないため、貼着や印刷が実際上不可能であった。即ち、被覆面には加飾が出来ないとされてきた。
特開2001−316614号公報 特開平5−64859号公報 特開2000−25041号公報 特開2014−19610号公報 特開2013−82589号公報
特許文献1,2,3には、ガラスにフッ素樹脂をコートした場合、コート面は強固に貼りつき、強い非粘着性を保持すること、およびフッ素樹脂の剥離は機械的な曲げにより表面を破壊することによりなされる旨の記載がある。
特許文献4,5には、レーザを用いて強化ガラスの切断などの加工を行うことが記載されている。
このように、いずれの先行技術文献にも強化ガラスを被覆する非粘着性樹脂を加工して、パネル面に加飾を施すことについては何等記載されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、強化ガラスパネルの強度を落とすことなく、パネル表面への加飾を可能とする方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、表面が非粘着性樹脂で被覆された強化ガラスパネルの表面に加飾を施す方法であって、加飾対象領域の非粘着性樹脂を、所定のエネルギ密度でレーザ照射することにより剥離してガラス面を露出させ、ガラス面に対して加飾を施すことを特徴とする。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、CОレーザにより、エネルギ密度を0.7mJ/mm以下に保ってレーザ照射を行うことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、レーザ照射は、微小スポットで中央を起点にして外側に向けて加飾対象領域を塗り潰すように走査することを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様において、レーザ照射は、微小スポットで加飾対象領域を水平及び垂直方向に順次走査することを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1の態様において、加飾は、露出したガラス面に対してプライマ処理を行う第1工程と、次いで、下地印刷を行う第2工程と、下地印刷面に図柄や文字を印刷又は貼着して装飾する第3工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の第6の態様は、第5の態様において、第3工程に続いて、ポッティングまたはオーバーコート印刷を行う第4工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の第7の態様は、第1の態様において、加飾対象領域を、強化ガラスの裏面の装飾領域に対応する領域に選定することを特徴とする。
本発明の第8の態様は、第1乃至7のいずれかの態様において、強化ガラスパネルを電子装置に装着した状態で実行することを特徴とする。
本発明では、表面が非粘着性樹脂で被覆された強化ガラスパネルに対し表面からの加飾を可能としたため、デザインの幅を広げることが出来る。また強化ガラスパネルを電子装置に組込んだ後にも内部回路に影響なく、パネルへの加飾が可能であるため、小ロットの対応、パーソナライズ対応が可能となる。
本発明の加飾方法を説明する工程図(その1)。 本発明の加飾方法を説明する工程図(その2)。 本発明による加飾の完成図。 本発明が適用されるスマートフォンの斜視図。 レーザ照射の方法を説明する図。 ブラスト加工の説明図。 ブラスト加工後の強化ガラスの断面図。
以下、添付図面を参照して、本発明の加飾方法の実施の形態について説明する。
図4は、本発明の加飾方法が適用されるスマートフォンの外観を示す斜視図である。
図4aに示すように筺体10には、表面が非粘着性樹脂で被覆された強化ガラスパネル20が装着されている。パネル20の下端裏面装飾領域23は図柄や文字25を印刷又は貼着して装飾されている。図4bは、筺体10からパネル20を取り外した状態を示したもので、パネル20の裏面には表示用の電子回路部品22が取付けられている。図4cはパネル20の断面構造を示したもので、強化ガラス層30の表面はフッ素樹脂などのような非粘着性樹脂40で被覆され、裏面には装飾領域23が設けられている。装飾領域23は図柄や文字25が印刷又は貼着してある部分以外は、通常、白または黒色で下地印刷されている。
本発明の加飾方法では、加飾する図柄や文字のデザインの形状に合わせ、加飾対象領域で、強化ガラス層30の表面に被覆された非粘着性樹脂40を剥離してガラス面を露出させる。
一般に、強化ガラス層30は一枚のガラスの塊として強度を維持しているため、非粘着性樹脂40の剥離時にガラス層に小さな傷でも入ると全体のバランスが崩れ簡単に破壊してしまう。そのため強度を損なわないために、ガラス層30には傷をつけず非粘着性樹脂40のみを剥離することが必要である。発明者等は、非粘着性樹脂40を剥離する方法を種々試みた結果、所定のエネルギ密度でレーザ照射することでガラス層30を傷付けることなく、ガラス層30と非粘着性樹脂40との境界で非粘着性樹脂40のみを破壊して、剥離させることが可能であることを見出した。
Figure 2016003173
[表1]は、パワー標準出力30mWのCOレーザの出力を80%に設定し、ピッチ0.1mmで走査速度を段階的に変化させながら非粘着性樹脂(厚さ数μm)を照射した結果を示したものである。表1の○印は、非粘着性樹脂40がガラス層30を傷付けることなく完全に破壊されて剥離されたことを示し、×印は、ガラス層30が傷付けられパネル20が破壊したことを示している。
以上から、エネルギ密度を0.7mJ/mm以下に保ってレーザ照射を行うことにより所望の結果が得られることがわかる。
非粘着性樹脂40の厚さによって最適エネルギ密度は変化するが、既存のスマートフォンやタブレット端末のパネルに被覆されている非粘着性樹脂40の厚さはほとんど数μmであるため、上記実験結果からの大きな変動はないと考えてよい。
図5はレーザ照射の方法を説明する図である。
図5aに示すように、レーザ照射は微小スポットで中央Pを起点にして外側の枠部分Qに向けて渦流状に加飾対象領域を塗り潰すように描画走査するのが良い。これに対し、図5bに示すように枠部分Qから内側に向けて走査し、中央Pが終点となるような描画走査を行うと、熱が中央部に集中し、ガラスに熱応力がかかり、破壊する場合がある。
図示しないが、微小スポットで加飾対象領域を水平及び垂直方向に順次走査するようにしても良い。
図6はブラスト加工の説明図であり、図7はブラスト加工後の強化ガラスの断面図である。
ガラス層30を被覆している非粘着性樹脂40を剥離する方法として、ブラスト加工も可能である。ブラスト加工では図6に示すように容器70に収納された砂、セラミック又は金属の細粉75を非粘着性樹脂40に吹き付けて表面を削る。しかし、ガラス層30の部分も切削してしまう可能性があるので、深さ方向の厳密な管理が必要となり、制御条件の設定が困難である。
図7bに示すように、非粘着性樹脂40のみを適正に削ることができれば、レーザ照射の場合と同等の効果が得られるが、図7aに示すように切削深さが不足した場合、非粘着性樹脂40が残ってしまい所定の効果を出すことができない。
また、図7cに示すように、切削深さがガラス層30に達してしまうとガラス強度を大幅に落とすことになる。したがって、本発明ではレーザ照射によって非粘着性樹脂を剥離する。
非粘着性樹脂40のみを剥離することができれば、通常のガラス面と同様にスクリーン印刷などでガラス印刷に対応したプライマ処理を行った後、白もしくは黒の下地印刷を行う。この下地印刷上に粘着性シールを貼付したり、文字や図柄をシルク印刷したりして加飾することが可能となる。
さらに、非粘着性樹脂を剥離した段差を利用し、ポッティングまたは透明オーバーコート印刷を行うことにより、表面強度を確保することも可能となる。
以下、図1、図2を参照して、本発明の加飾方法の実施例を説明する。
図1は、本発明の加飾方法を説明する工程図で、非粘着性樹脂40を剥離するまでの工程を示したものである。図2は、非粘着性樹脂40を剥離した後、加飾までの工程を示したものである。
図1aに示すように、加工前のパネル20は、強化ガラス層30の表面にフッ素樹脂などの非粘着性樹脂40が被覆され、裏面の装飾領域50には下地印刷面に図柄や文字などが印刷又は貼着されている。
表面の加飾対象領域45に加飾するため非粘着性樹脂40をCOレーザ60で照射しながら所定形状に描画する。この時のレーザ照射条件は前述した通りである。
これにより加飾対象領域45の非粘着性樹脂40が破壊され剥離され、剥離した粉末を清掃すると綺麗な剥離面47が図1cに示すように表われる。
次いで、剥離後露出したガラス面に図2aに示すようにガラス用プライマ処理80を行う。
さらに図2bに示すように、プライマ処理80の上に白や黒などの一色で下地印刷90を行うこの下地印刷は通常スクリーン印刷で行う。
その後、図2bに示すようにこの下地印刷面90に図柄や文字の印刷100を行う。この印刷100は、スクリーン印刷やUVインクジェット印刷など目的に応じて各種の印刷処理を選択することができる。
また、接着も可能であるので、図2cに示すように別途作成した粘着シール110をプライマ処理面80上に貼付することも可能である。
スマートフォンなどの用途では、表面の耐刷性を要求されるので、非粘着性樹脂40を剥離した段差を利用し、図2dに示すように印刷・シールの上からポッティングないしシルク印刷によるポッティング印刷120を追加する。
なお、加飾対象領域45を強化ガラス層30の裏面の装飾領域50に対応する領域に選定することにより、装飾領域50に表示された図柄や文字を隠蔽することも出来る。
本発明の加飾方法は、強化ガラスパネル20をスマートフォンなどの電子装置から取り外すことなく装着した状態で実行することもできる。
そして、本発明の加工によりスマートフォンやタブレット端末などの電子装置の内部回路に影響を与えることもない。
図3は本発明による加飾が完成したスマートフォンの状態を示したものである。パネル20の表面の加飾対象領域23a内に加飾された図柄25aが表示されている。
10:筺体
20:強化ガラスパネル
23,23a:装飾領域
25:装飾された図柄や文字
25a:加飾された図柄や文字
30:強化ガラス層
40:非粘着性樹脂
45:加飾対象領域
47:剥離面
50:裏面の装飾領域
60:COレーザ
80:プライマ処理
90:下地印刷
100:図柄や文字の印刷
110:粘着シール
120:ポッティング印刷

Claims (8)

  1. 表面が非粘着性樹脂で被覆された強化ガラスパネルの前記表面に加飾を施す方法であって、
    加飾対象領域の前記非粘着性樹脂を、所定のエネルギ密度でレーザ照射することにより剥離してガラス面を露出させ、前記ガラス面に対して加飾を施すことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    CОレーザにより、前記エネルギ密度を0.7mJ/mm以下に保って前記レーザ照射を行うことを特徴とする方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法において、
    前記レーザ照射は、微小スポットで中央を起点にして外側に向けて前記加飾対象領域を塗り潰すように走査することを特徴とする方法。
  4. 請求項1又は2に記載の方法において、
    前記レーザ照射は、微小スポットで前記加飾対象領域を水平及び垂直方向に順次走査することを特徴とする方法。
  5. 請求項1に記載の方法において、
    前記加飾は、
    露出した前記ガラス面に対してプライマ処理を行う第1工程と、
    次いで、下地印刷を行う第2工程と、
    下地印刷面に図柄や文字を印刷又は貼着して装飾する第3工程と、を含むことを特徴とする方法。
  6. 請求項5に記載の方法において、
    前記第3工程に続いて、ポッティングまたはオーバーコート印刷を行う第4工程をさらに含むことを特徴とする方法。
  7. 請求項1に記載の方法において、
    前記加飾対象領域を、
    前記強化ガラスの裏面の装飾領域に対応する領域に選定することを特徴とする方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の方法において、
    前記強化ガラスパネルを電子装置に装着した状態で実行することを特徴とする方法。
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