JP2016000622A - フィルム被覆物品の製造方法 - Google Patents

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哲雄 畑
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Abstract

【課題】ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂フィルムを用いたフィルム被覆物品において、当該フィルムを容易にレーザーカットする方法を提供することである。
【解決手段】フィルム被覆物品10の製造方法は、樹脂フィルム12を加熱して軟化させ、当該フィルムを物品11zに被せる第1の工程と、物品11zの主たるフィルム密着保持面を脱気方向に対して側方に位置させた状態で、物品11zの一方側から物品11zと樹脂フィルム12との間を脱気して、物品11zの表面に樹脂フィルム12を密着させる第2の工程と、物品11zを被覆した樹脂フィルム12にレーザー光αを照射して当該フィルムを切断する第3の工程とを含む。樹脂フィルム12は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするA層21、及びA層21よりもレーザー光αの吸収率が高いB層22を有し、物品11zの一方側の所定領域を除く物品11zの表面全体を覆っている。
【選択図】図6

Description

本発明は、フィルム被覆物品の製造方法に関する。
特許文献1は、加熱して軟化させた樹脂フィルムを物品に被せて、物品の一方側から物品と樹脂フィルムとの間を脱気することにより、物品の表面に樹脂フィルムを密着させたフィルム被覆物品を開示している。かかるフィルム被覆物品では、物品の表面に樹脂フィルムを密着させた所謂スキンパック後において、例えば樹脂フィルムの余剰部分を切断して取り除く必要がある。
樹脂フィルムの切断方法としては、樹脂フィルムにレーザー光を照射して切断するレーザーカットが知られている(例えば、特許文献2,3参照)。刃物を用いて樹脂フィルムを切断することもよく行われるが、フィルム被覆物品の場合、切断位置によっては樹脂フィルムに刃物を当てることが難しく、また物品に刃物が当たって物品が損傷する場合もある。このため、物品に密着した樹脂フィルムを切断する方法としては、レーザーカットが好適である。
特開2013−252894号公報 特開2014−8511号公報 特開平9−249266号公報
ところで、特許文献3でも述べられているように、ポリオレフィン系樹脂から構成されるフィルムは、レーザーカットに用いられるCO2レーザーやYAGレーザーなどのレーザー光を殆ど吸収しないため、当該フィルムをレーザーカットすることは容易ではない。しかし、フィルム被覆物品では、装着性等の観点から、ポリオレフィン系樹脂を含むフィルムを使用することが望まれている。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法は、樹脂フィルムを加熱して軟化させ、当該フィルムを物品に被せる第1の工程と、前記物品の主たるフィルム密着保持面を脱気方向に対して側方に位置させた状態で、前記物品の一方側から前記物品と前記樹脂フィルムとの間を脱気して、前記物品の表面に前記樹脂フィルムを密着させる第2の工程と、前記物品を被覆した前記樹脂フィルムにレーザー光を照射して当該フィルムを切断する第3の工程と、を含み、前記樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするA層、及び前記A層よりも前記レーザー光の吸収率が高いB層を有し、前記物品の一方側の所定領域を除く前記物品の表面全体を覆っていることを特徴とする。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法において、前記樹脂フィルムは、前記A層と前記B層とが積層された複層部を3以上含む多層フィルムであることが好ましく、前記複層部を5〜30含むことがより好ましい。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法において、前記多層フィルムは、前記複層部同士が隣接して積層されていることが好適である。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法において、前記B層は、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種から構成されることが好適である。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法において、前記樹脂フィルムを構成する各層の厚みは、15μm以下であることが好ましく、前記A層及び前記B層については、5μm以下の厚みであることがより好ましい。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法において、前記第2の工程では、前記脱気により前記樹脂フィルムが引き伸ばされ、当該フィルムの一部に前記脱気前よりも厚みが薄くなった薄肉部が形成され、前記第3の工程では、当該薄肉部に前記レーザー光を照射して前記樹脂フィルムを切断することが好適である。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法の一態様において、前記物品は、第1の部分と、前記第1の部分よりも外周長が短い第2の部分とを有し、前記第2の工程では、前記物品の前記第1及び第2の部分に跨って前記樹脂フィルムを密着させ、前記第3の工程では、前記樹脂フィルムの前記第2の部分に密着した範囲に、前記レーザー光を照射して前記樹脂フィルムを切断する。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法の一態様において、前記物品の底部は、前記物品の他方側に位置することが好適である。
本発明に係るフィルム被覆物品の製造方法の一態様において、前記物品は、操作部又は他の部材との接続部を備え、前記操作部又は前記接続部が、前記樹脂フィルムに覆われない前記所定領域に位置する。
本発明に係る製造方法によれば、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂フィルムを用いたフィルム被覆物品において、当該フィルムを容易にレーザーカットすることができる。その理由は定かではないが、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするA層はレーザー光を殆ど吸収しないが、B層がレーザー光を吸収して発熱するため、その熱がA層にも伝わって樹脂フィルムが切断されるものと推測される。当該樹脂フィルムはポリオレフィン系樹脂を含むため、例えば物品に対する装着性が良好であり意匠性に優れたフィルム被覆物品が得られる。また、レーザーカットを適用することにより、物品に密着した部分を切断する場合も、所望の位置で樹脂フィルムを容易に切断することができると共に、物品に損傷を与え難い。
特に、上記多層フィルムを用いることにより、レーザーカット性が向上する。例えば、物品の外周長の変化が大きな部分に樹脂フィルムを密着させると、合掌貼りされたようなフィルムの立ち上がり乃至シワである所謂ブリッジが形成され易いが、上記多層フィルムを用いることにより、切断不良が発生し易いブリッジ部分も容易に切断することができる。
本発明の実施形態の一例であるフィルム被覆物品の斜視図である。 図1のAA線断面図である。 本発明の実施形態の一例であるフィルム被覆物品の製造方法において、樹脂フィルムの被覆対象物品(物品11z)を示す図である。 本発明の実施形態の一例であるフィルム被覆物品の製造工程を示すブロック図である。 本発明の実施形態の一例であるフィルム被覆物品の各製造工程(加熱軟化工程〜粗カット工程)を示す図である。 本発明の実施形態の一例であるレーザーカット工程を示す図である。 本発明の実施形態の一例である多層フィルムの断面図である。 本発明の実施形態の他の一例である多層フィルムの断面図である。 本発明の実施形態の他の一例であるフィルム被覆物品を示す図である。 本発明の実施形態の他の一例であるフィルム被覆物品を示す図である。 本発明の実施形態の他の一例であるフィルム被覆物品を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。なお、樹脂フィルムが判別し易いように物品の表面から樹脂フィルムを離して図示しているが、実際には、樹脂フィルムが物品の表面に密着している。
本明細書において、物品の底部(底面)とは、通常の使用状態において鉛直下方を向く部分(下面)を意味する。また、「略**」の用語は、「略全体」を例に挙げて説明すると、全体はもとより実質的に全体と認められるものを含む意図である。
図1及び図2に、本発明の実施形態の一例であるフィルム被覆物品10を示す。
フィルム被覆物品10は、物品11と、物品11を被覆する樹脂フィルム12とで構成されている。フィルム被覆物品10は、物品11の表面に樹脂フィルム12が密着した構造を有する。詳しくは後述するように、樹脂フィルム12は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするA層21、及びA層21よりもレーザー光αの吸収率が高いB層22を有し、物品11の一方側の所定領域を除く物品11の表面全体を覆っている。
物品11は、例えば略直方体形状の1つの面(上面11a)から一対の突部13が上方に向けて突設された形態を有する。物品11は、例えば電池であり、突部13は端子(接続部)である。物品11は、上面11aと底面11b(底部)、及び4つの側面11c,11dを有する。上面11a及び底面11は、短辺と長辺とを有し、4つの側面11c,11dは短辺側の側面11cと長辺側の側面11dとからなる。長辺の長さXと短辺の長さYと高さZとの関係は、X>Z>Yとなっている。即ち、面積の大きい順に、側面11d、上面11a及び底面11b、側面11cである。
物品11は、1枚の樹脂フィルム12によって被覆されることが好適である。樹脂フィルム12は、物品11の一方側の所定領域を除く物品11の全体を覆っている。本実施形態では、底面11b(底部)の全域、4つの側面11c,11dの全域、及び上面11aの端縁部が樹脂フィルム12で覆われている。突部13は、上面11aの端縁部から離れた部分(非端縁部)に設けられており、突部13及びその周囲は樹脂フィルム12に覆われず露出している。即ち、上面11aの非端縁部が、樹脂フィルム12に覆われない所定領域(露出部)である。樹脂フィルム12は、物品11の5つの面に密着しているが、最大面積を有する長辺側の側面11dが主たるフィルム密着保持面となっている。
以下、図3〜図6を参照しながら、フィルム被覆物品10の製造工程について詳細に説明する。
図3は、樹脂フィルム12の被覆対象物品を示す図である。図3に示すように、物品11には、台座14を取り付けた状態で樹脂フィルム12を被せることが好適である。台座14は、例えば物品11の上面11aに取り付けられ、突部13を挿入可能な穴を有する。台座14は、後述する第3の工程後に取り外されるが、後述する第2の工程では、台座14の側面にも樹脂フィルム12が装着される。なお、本明細書では、最終的に取り外される部品を含んだ形態についても「物品」の用語を用いる。以下では、台座14が取り付けられた物品11を「物品11z」という。
台座14の高さは、突部13の高さ以上であることが好適である。図3に示す例では、突部13の上面と台座14の上面が略面一となっている。後述する第1及び第2の工程は、台座14が取り付けられる物品11の上面11aを下に向けた状態で支持台100上に物品11zを載置して行われるが、台座14を取り付けることにより、物品11zの安定性が向上する。また、突部13が台座14に覆われるため、樹脂フィルム12が突部13に密着することを防止できる。
台座14は、例えば略直方体形状を有し、突部13を覆って上面11aの非端縁部上に取り付けられる。本実施形態では、台座14の上面及び底面の長辺、短辺の長さは、それぞれ物品11の短辺の長さX、長辺の長さYよりも短い。即ち、物品11zは、上下方向(高さ方向)に沿って外形寸法が急峻に変化する部分を有する。物品11zを構成する台座14(第2の部分)は、物品11(第1の部分)よりも横方向の外周長が短く、物品11と台座14の外周長の違いに起因して段差部が形成される。
図4は、フィルム被覆物品10の製造工程を示すブロック図である。図4に示すように、フィルム被覆物品10の製造工程は、下記の工程を含む。
(1)樹脂フィルム12を加熱して軟化させ、当該フィルムを物品11zに被せる第1の工程である加熱軟化工程。
(2)物品11z(物品11)の主たるフィルム密着保持面を脱気方向に対して側方に位置させた状態で、物品11zの一方側から物品11zと樹脂フィルム12との間を脱気して、物品11zの表面に樹脂フィルム12を密着させる第2の工程である脱気工程。
(3)物品11zを被覆した樹脂フィルム12にレーザー光αを照射して当該フィルムを切断する第3の工程であるレーザーカット工程。
本実施形態では、第2の工程と第3の工程の間に、粗カット工程を設けている。
図5は、加熱軟化工程〜粗カット工程を示す図である。図5(a)〜(c)は加熱軟化工程(第1の工程)、図5(d)は脱気工程(第2工程)、図5(e)は粗カット工程をそれぞれ示す。以下では、長尺状の樹脂フィルム12により物品11zを被覆した形態を「フィルム被覆物品10x」、各フィルム被覆物品10xの周囲で長尺状の樹脂フィルム12を環状に切断して形成された形態を「フィルム被覆物品10y」とする。
図5(a)〜(c)に示すように、第1の工程(加熱軟化工程)では、ヒーター101を用いて樹脂フィルム12を加熱し、当該加熱により軟化した樹脂フィルム12を相対的に物品11に接近させて物品11の上から被せている。図5に示す例では、台座14(突部13)が下を向き底面11bが上を向くように物品11zを天地逆向きにして支持台100上に載置し、物品11zの底面11b上に加熱により軟化した長尺状の樹脂フィルム12を被せている。支持台100は、吸引孔102を有する。樹脂フィルム12は、降下させてもよいし、物品11zを上昇させてもよいし、樹脂フィルム12を降下させつつ物品11zを上昇させてもよい。いずれにしても、樹脂フィルム12を相対的に物品11zに接近させることで樹脂フィルム12は最初に物品11の底面11bに接触する。
図5(b)に示す例では、物品11zが載置された支持台100を上昇させると共に、押え枠103を下降させて樹脂フィルム12を押し下げている。押え枠103は、物品11zの四方を囲むように配置され、押え枠103と支持台100との間に樹脂フィルム12が挟まれると共に、樹脂フィルム12が物品11zに被せられ物品11の底面11bに接触する(図5(c)参照)。
図5(d)に示すように、第2の工程(脱気工程)では、支持台100の吸引孔102から空気を吸引することにより、物品11zの一方側である台座14側から物品11zと樹脂フィルム12との間を脱気して、軟化した樹脂フィルム12を物品11zの表面に密着させる。軟化した樹脂フィルム12が物品11の底面11bに接触した状態で脱気すると、樹脂フィルム12は物品11の底面11bを起点として下側に向かって引き伸ばされる。このとき、主たるフィルム密着保持面である物品11の側面11dが脱気方向に対して側方に位置している。樹脂フィルム12が引き伸ばされ難い場合は、側面から加熱しながら引き伸ばして密着させてもよい。
上記脱気工程により、樹脂フィルム12は深絞り状態に引き伸ばされ、伸張状態で物品11の側面11c,11dに密着すると共に、物品11の側面11c,11dから上面11aにスムーズに回り込み、台座14の側面にも密着する。即ち、樹脂フィルム12は、物品11と、物品11よりも外周長が短い台座14とに跨って密着する。物品11と台座14の寸法差が大きい場合、樹脂フィルム12は、台座14に密着する部分が、物品11に密着する部分に比べて大きく窄まる。このため、台座14に密着する部分にブリッジ17(図6参照)が形成される場合がある。
樹脂フィルム12は、台座14側に引き伸ばされ、伸張した状態で物品11の側面11c,11d、台座14の側面に対して不離一体に密着するため、物品11の底面11bにおける厚さよりも側面11c,11dや台座14の側面における厚さが薄くなる。樹脂フィルム12の厚みは、脱気前と比べて、例えば底面11bを被覆する部分で70%〜98%程度、側面11c,11dを被覆する部分で20%〜65%程度になる。即ち、樹脂フィルム12は、側面11c,11d等に対して大きく引き伸ばされた状態で密着するため高い密着性が得られる。一方、底面11bにおける樹脂フィルム12の厚みは、側面11c,11dや台座14の側面における厚みよりも厚くなるため、外的接触に対する高い耐久性が得られる。
図5(e)に示すように、長尺状の樹脂フィルム12を物品11zの近傍で切断する粗カット工程を第2の工程後に設けている。本工程では、長尺状の樹脂フィルム12により繋がった複数のフィルム被覆物品10xの周囲にカット線15を環状に形成して、互いに分離されたフィルム被覆物品10yを作製する。カット線15は、物品11zに密着した部分に形成されるものではないため、生産性等の観点から、トムソン刃等の刃物104を用いて形成することが好適である。但し、レーザー光αの照射によりカット線15を形成することも可能である。フィルム被覆物品10yには、台座14の周りに樹脂フィルム12の余剰部分16が存在する。フィルム被覆物品10yは、例えばロボットアームを用いてレーザーカットを行う場所に搬送される。
図6は、レーザーカット工程(第3の工程)を示す図である。図6に示すように、第3の工程では、粗カットされた樹脂フィルム12にレーザー光αを照射して所望の位置で当該フィルムを切断し、樹脂フィルム12の余剰部分16を切除する。本実施形態では、台座14の側面に密着した範囲にレーザー光αを照射する。レーザー光αは、台座14の各側面に沿って横方向に連続的に照射される。台座14の周りにレーザー光αを環状に照射することにより、レーザー光αが照射された部分で樹脂フィルム12が切断され、レーザー光αの照射部よりも上に位置する部分が余剰部分16として切除される。レーザー光αの照射は、レーザー光αの照射スポットと物品11zとを相対的に移動させて行うが、例えばレーザー光αを走査してもよいし、ロボットアーム等を用いて物品11z側を動かしてもよい。
なお、物品11zは、上記のように、物品11と台座14との境界部分で外形寸法が急峻に変化するため、物品11zに密着した樹脂フィルム12は、台座14に密着する部分で大きく窄まる。このため、台座14に密着した部分には合掌貼りされたようなフィルムの立ち上がり乃至シワであるブリッジ17が形成されることがあるが、樹脂フィルム12(特に後述の多層フィルム)によれば、切断不良が発生し易いブリッジ部分も容易にレーザーカットすることができる。
樹脂フィルム12にレーザー光αを照射すると、樹脂フィルム12にレーザー光αが吸収されて照射部に熱が発生し、これにより樹脂フィルム12が溶融して切断される。樹脂フィルム12の場合、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするA層21にはレーザー光αが殆ど吸収されないが、レーザー光αはB層22に吸収されるため、レーザー光αの照射部で熱が発生し、その熱がA層21にも伝わって樹脂フィルム12が切断される。特に、A層21及びB層22が多数積層された多層フィルムを用いることにより、レーザーカット性が向上する。好適な多層フィルムについては後述する。
レーザー光αは、上記脱気工程により樹脂フィルム12が引き伸ばされて厚みが薄くなった部分に照射することが好適である。特に、脱気前よりも樹脂フィルム12の厚みが20%以上薄くなった薄肉部にレーザー光αを照射することが好適である。具体的には、樹脂フィルム12が大きく引き伸ばされて厚みが薄くなる脱気口の近傍、例えば台座14に密着する部分に対してレーザー光αを照射する。
第3の工程では、樹脂フィルムのレーザーカットに用いられる従来公知のレーザー装置を用いることができる。好適なレーザー装置としては、CO2レーザー(波長9.3μm、又は波長10.6μm)、YAGレーザー(1064nm)及びYVO4レーザー(1064nm)が挙げられる。レーザー装置は、パルス発振方式、連続発振方式のいずれであってもよく、レーザー出力や照射時間等の条件はカット適正等を考慮して適宜設定できる。
以下、図7及び図8を参照しながら、フィルム被覆物品10の製造に用いられる好適な樹脂フィルム12について詳説する。図7は、樹脂フィルム12の積層構造の一例を示す断面図である。図8は、樹脂フィルム12の積層構造の他の一例を示す断面図である。
図7に示すように、樹脂フィルム12は、A層21とB層22とが積層された複層部28を合計で3以上含む多層フィルムであることが好適である。図7に例示する多層フィルムは、複数の複層部28を含む基層部20と、基層部20の表面に形成された表面層とを有する。各複層部28は、A層21、B層22以外の層を介して積層されていてもよいが、好ましくは互いに隣接して積層される。即ち、複数のA層21とB層22とが交互に積層されていることが好ましい。
ここで、A層21とB層22とが交互に積層されているとは、実質的に交互に積層されていることを含む。例えば、A層21/B層22/A層21の二種三層構成を繰り返し単位として積層した場合、「A層21/B層22/A層21/A層21/B層22/A層21/A層21/B層22/A層21・・・」となるが、「A層21/A層21」の部分は同種の樹脂が積層されることから、実質的にA層21の一層とみなすことができる。このように、本願において実質的に交互に積層されているとは、同種の層が積層されている場合はそれを一層とみなしてもよく、その結果、A層21とB層22とが交互に積層されているものを含む意味である。
樹脂フィルム12は、延伸されているか否かについては特に限定されないが、実質的に延伸されていない無延伸フィルムであることが好ましい。本明細書において、無延伸フィルムとは、シュリンクフィルムの製造過程で実施されるような延伸工程を経ることなく製造されるフィルムであって、より具体的には、延伸倍率が2%未満、好ましくは1%未満のフィルムを意味する。無延伸フィルムを用いることにより、見栄えが良好な包装形態を得ることが容易になる。
樹脂フィルム12は、基層部20のみから構成することもできるが、好ましくは基層部20上に別途表面層を有する。表面層には、樹脂フィルム12の最外層として、複層部28を構成するA層21、B層22よりも厚みの大きな外層23を設けることが好適である。外層23は、例えばフィルムの耐損傷性を向上させる。図7に示す例では、基層部20の外層23と反対側の面に、内層24(最内層)が設けられている。なお、A層21は、外層23及び内層24との良好な接着を可能とする。ゆえに、基層部20の最表面はA層21であることが好ましい。
基層部20は、3以上の複層部28を含み、好ましくは5〜30の複層部28を含む。即ち、A層21とB層22の合計が少なくとも6層以上であり、好ましくは10層〜60層である。A層21とB層22の積層数の上限は、特に限定されないが、生産性等の観点から、例えば200層以下が好ましく、60層以下がより好ましい。当該積層数を6層以上、好ましくは10層〜60層とすることにより、レーザーカット性が良好でありながら優れた伸展性が得られる。
樹脂フィルム12を構成する各層、即ち複層部28を構成するA層21、B層22、外層23、及び内層24の厚みは、15μm以下であることが好ましく、12μm以下がより好ましく、10μm以下が特に好ましい。A層21及びB層22の厚みについては、さらに薄いことが好適であり、5μm以下であることが好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が特に好ましい。各層の厚みを上記のように設定することで、例えばレーザー光αの吸収により発熱したB層22が過熱しすぎることなく適度な熱量をA層21等に与えることができる。また、薄層のB層22が樹脂フィルム12の厚み方向に分散して配置されていることから、厚み方向において局所的に過熱されることなく全体的に均一な熱量を発生させることができる。そして、A層21等も容易に切断される程度の薄厚であることから、容易にレーザーカットできると共にカットされたフィルム端縁を美麗に仕上げることができる。なお、ここで記載する各層の厚みは、物品11zに装着される前、即ち脱気前の厚みである。
樹脂フィルム12を構成する各層は、必要に応じて、後述の樹脂成分以外の他の成分(添加成分)、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、ピニング剤(アルカリ土類金属)、軟化剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
生産性等の観点から、A層21、B層22のそれぞれは、全ての層が実質的に同一(例えば、層を構成する樹脂製品が実質的に同じであり、層厚みの差異が製造誤差の範囲内)であることが好ましい。
[A層21]
A層21は、上記のように、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層である。A層21は、例えば樹脂フィルム12に柔軟性を付与して伸展性を向上させ、物品11に対する密着性を向上させる機能を有する。一方、A層21の主成分であるポリオレフィン系樹脂は、レーザー光αを殆ど吸収しない。ここで、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするとは、A層21を構成する樹脂の総重量に対して、ポリオレフィン系樹脂の含有量が50重量%超過〜100重量%であることを意味し、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
A層21を構成する好適なポリオレフィン系樹脂としては、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が例示できる。これらのうち、特に好ましくはエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体である。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体は、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体が特に好ましい。具体例としては、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE−g−MAH)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体を酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン橋かけ構造を形成したアイオノマー(IO)等が挙げられる。これらのうち、LLDPE−g−MAH、EMAA、IOが好ましい。エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体には、市販品を用いてもよい。好適な市販品としては、三井化学株式会社製のNF536等が挙げられる。
A層21は、外層23及び内層24と基層部20との接着性を向上させる目的で、必要に応じて、ロジン系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、水添テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、水添クマロン系樹脂、石油樹脂等の粘着付与樹脂;芳香族系炭化水素樹脂;フェノール系樹脂;脂環族系炭化水素樹脂;スチレン−アクリル共重合体;天然ゴムや合成ゴムのエラストマー等を含んでいてもよい。
A層21の厚み(物品11zに装着される前)は、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.08μm〜4μm、特に好ましくは0.1μm〜3μmである。A層21の厚みが当該範囲内であれば、レーザーカット性が損なわれることなく、樹脂フィルム12に柔軟性を付与して伸展性を向上させることができ、物品11と樹脂フィルム12との良好な密着性を得られ易い。
[B層22]
B層22は、上記のように、A層21よりもレーザー光αの吸収率が高い樹脂層である。ここで、レーザー光αの吸収率が高いとは、A層21、B層22の1層同士を比較したときに、B層22の方がレーザー光αの吸収率が高いことを意味する。B層22は、単位体積当たりのレーザー光αの吸収率がA層21よりも高いことが好ましい。各層のレーザー光αの吸収率は、分光測定装置を用いて測定することができる。また、B層22は、例えば樹脂フィルム12に適切な機械的強度を付与し、製造時や流通時、使用時等における樹脂フィルム12の耐久性を向上させる。
B層22を構成する樹脂としては、A層21を構成するポリオレフィン系樹脂よりも融点の高い樹脂が好適である。A層21を構成するポリオレフィン系樹脂よりも高融点の樹脂を用いることで、樹脂フィルム12の耐久性等が向上すると共に、樹脂フィルム12を加熱して物品11zに装着するまでの間に、溶融又は軟化する内層24やA層21の温度が下がり難いという利点がある。具体的には、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリアミド系樹脂としては、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−6T、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とからなるナイロン−6I、ノナンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−9T、メチルペンタジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−M5Tなどが挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を必須の構成成分として構成された種々のポリエステル(即ち、ジカルボン酸に由来する構成単位とジオールに由来する構成単位を少なくとも含むポリエステル)が挙げられる。
上記ジカルボン酸(ジカルボン酸成分)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トランス−3,3’−スチルベンジカルボン酸、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ジベンジルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、及びこれらの置換体等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、イコサン二酸、ドコサン二酸、1,12−ドデカンジオン酸、及びこれらの置換体等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、及びこれらの置換体等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。上記ジカルボン酸は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記ジオール(ジオール成分)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2,4−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環式ジオール;2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加物、キシリレングリコール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。上記ジオールは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記ポリエステル系樹脂は、上記成分以外にも、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸;安息香酸、ベンゾイル安息香酸等のモノカルボン酸;トリメリット酸等の多価カルボン酸;ポリアルキレングリコールモノメチルエーテル等の1価アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールなどに由来する構成単位を含んでいてもよい。
また、ジカルボン酸成分及びジオール成分のうちの少なくとも一方が2種以上の成分から構成される(例えば、主成分の他に成分を含む)変性芳香族ポリエステル系樹脂であってもよい。
上記ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を必須の単量体(モノマー)成分として構成される重合体である。即ち、分子中(1分子中)に、スチレン系単量体に由来する構成単位を少なくとも含む重合体である。上記ポリスチレン系樹脂は、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。また、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。これらのうち、入手し易さ、材料価格などの観点から、スチレンが好ましい。なお、上記スチレン系単量体は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記ポリスチレン系樹脂の具体例としては、スチレンの単独重合体である一般ポリスチレン(GPPS)等のスチレン系単量体の単独重合体、2種以上のスチレン系単量体のみを単量体成分として構成される共重合体、スチレン−ジエン系共重合体、スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル系共重合体等の共重合体、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)などが挙げられる。これらのうち、スチレン−ジエン系共重合体が好ましい。なお、上記ポリスチレン系樹脂は、水素添加されたポリスチレン系樹脂(水添ポリスチレン系樹脂)であってもよい。
上記スチレン−ジエン系共重合体は、スチレン系単量体及びジエン(特に、共役ジエン)を必須の単量体成分として構成される共重合体である。共重合の形態は、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。ジエンは、共役ジエンが好ましく、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、クロロプレンなどが挙げられる。ジエンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記スチレン−ジエン系共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレンブロック共重合体(SBIS)などが挙げられる。
上記水添ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、SBSやSISに水素を添加した水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)や水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。
B層22の厚み(物品11zに装着される前)は、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.08μm〜4μm、特に好ましくは0.1μm〜3μmである。B層22の厚みが当該範囲内であれば、良好なレーザーカット性が得られると共に、樹脂フィルム12の機械的強度が良好となり、製造時や流通時、使用時等における樹脂フィルム12の耐久性が向上する。
A層21とB層22を構成する樹脂として好ましい組み合わせは、A層21がポリオレフィン系樹脂、B層22がポリアミド系樹脂である組み合わせ、A層21がポリオレフィン系樹脂、B層22がポリエステル系樹脂である組み合わせが挙げられる。
[外層23]
外層23は、物品11と反対側に向く樹脂フィルム12の最外層である。外層23は、例えばポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等から構成される。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。これらのうち、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリエステル系樹脂が好ましく、ポリアミド系樹脂及びポリオレフィン系樹脂がより好ましい。これらの樹脂としては、B層22を構成する樹脂と同様のもの(上記ポリアミド樹脂等)を用いることができ、B層22と外層23とで同一組成(実質的に同一)の樹脂を用いてもよい。例えば、B層22がポリアミド系樹脂から構成される場合に、同じポリアミド樹脂(同一製品)から外層23が構成されてもよい。また、ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、後述する内層24と同種のものを用いることが、フィルムのカールの発生を防止する観点から好ましい。
外層23の厚み(物品11zに装着される前)は、上記のように、A層21、B層22の厚みよりも大きいことが好適である。具体的には、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜12μmがより好ましく、5μm〜10μmが特に好ましい。
[内層24]
内層24は、物品11の表面に接する樹脂フィルム12の最内層である。内層24は、通常ポリオレフィン系樹脂が用いられる。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、EVA、EMMA、EEA、EMA、E−EA−MAH、EAA、EMAA、IO等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。内層24を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、LLDPE、EVAがより好ましく、LLDPEが特に好ましい。
内層24の厚み(物品11zに装着される前)は、A層21、B層22の厚みよりも大きいことが好適である。具体的には、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜12μmがより好ましく、5μm〜10μmが特に好ましい。
図8は、樹脂フィルム12の積層構造の他の一例を模式的に示す。この例に示す樹脂フィルム12は、例えば特開2013−111822号公報記載のフィルムが挙げられる。
図8に示す例では、複数の複層部28同士が隣接して積層されてなる基層部20、外層23、及び内層24を有する点で図7に示す例と共通するが、接着層25,26、及びコア層27が設けられる点で図7に示す例と異なる。図8に示す例では、コア層27を挟んで、その両側に2つの基層部20が設けられている。樹脂フィルム12は、基層部20における複層部28を3以上含むものであるが、このように2つの基層部20が設けられている場合は、それぞれを併せて、全体として複層部28を3以上含んでいればよい。各基層部20における複層部28の数は、2〜15がより好ましく、3〜10が特に好ましい。各基層部20における複層部28の数は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
[接着層25]
接着層25は、例えば外層23と基層部20(例えば、A層21)との接着強度を向上させる。接着層25を構成する材料は、外層23を構成する樹脂に応じて適宜変更可能であり、例えば接着層26を構成する材料と同じものを用いることができる。
接着層25の厚み(物品11zに装着される前)は、特に限定されないが、A層21、B層22よりも厚いことが好適である。具体的には、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜12μmがより好ましい。接着層25の厚みが当該範囲内であれば、例えば良好な接着強度を有する多層フィルムを比較的安価で得ることができる。
[接着層26]
接着層26は、例えば内層24と基層部20(例えば、A層21)との接着強度を向上させる。接着層26を構成する材料には、従来公知の接着性樹脂、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体例としては、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、又はこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸などが用いられる。二塩基性不飽和脂肪酸として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが用いられる。また、A層21を構成するポリオレフィン系樹脂と同じ樹脂を用いて接着層26を形成してもよい。
接着層26の厚み(物品11zに装着される前)は、特に限定されないが、A層21、B層22よりも厚いことが好適である。具体的には、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜12μmがより好ましい。接着層26の厚みが当該範囲内であれば、例えば良好な接着強度を有する多層フィルムを比較的安価で得ることができる。
[コア層27]
コア層27は、樹脂フィルム12の用途等に応じて適宜選択される。例えば、樹脂フィルム12にバリア性が求められる場合には、バリア層が設けられる。また、耐熱性が求められる場合には、耐熱バリア層が設けられる。ここで、例えばコア層27として酸素バリア性を有する酸素バリア層が必要な場合、その材料としては、例えばポリビニルアルコール、EVOH、塩化ビニリデン樹脂、ジアミン成分に芳香環を有するポリアミド系樹脂などが用いられる。これらの中でも、EVOHが好ましい。EVOHのエチレン共重合比率は、特に限定されないが、20モル%〜50モル%が好ましく、30モル%〜40モル%がより好ましく、30モル%〜35モル%が特に好ましい。
コア層27を構成する樹脂として、例えばエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体等を用いてもよい。また、A層21又はB層22とコア層27とで同一組成(実質的に同一)の樹脂を用いてもよい。例えば、B層22がポリアミド系樹脂から構成される場合に、同じポリアミド樹脂(同一製品)からコア層27が構成されてもよい。また、コア層27は、複数の樹脂層を有していてもよい。
コア層27の厚み(物品11zに装着される前)は、特に限定されないが、好ましくは1μm〜15μm、より好ましくは2μm〜12μmである。
[樹脂フィルム12(多層フィルム)の製造方法]
上記多層構造を有する樹脂フィルム12は、溶融製膜などの慣用の方法によって製造することができる。中でも、溶融製膜法(特に、Tダイ法)が好ましい。また、積層の方法としては、例えば、共押出法(フィードブロック法、マルチマニホールド法等)、ドライラミネート法などを用いることができる。中でも、共押出法が好ましく、フィードブロック法が好ましい。
さらに、レイヤー・マルチプライヤー(layer multiplier)を用いて、またフィードブロックとレイヤー・マルチプライヤー(以下、「マルチプライヤー」という)を組み合わせて、基層部20の多層化を行うこともできる。マルチプライヤーは、フィルム層を多層化する装置である。マルチプライヤーでフィルム層を多層化する方法としては、特に限定されないが、フィルム層を幅方向に分割した後、分割したフィルム層を厚み方向に積層する方法が挙げられる。
ここで、共押出法(フィードブロック法)の一例について説明する。
まず初めに、それぞれ所定の温度に設定した複数の押出機に、基層部20を形成する原料、表面層を形成する原料をそれぞれ投入して溶融(又は溶融混練)後、溶融した原料をTダイから共押出することで、溶融されたA層21を構成する原料(a)と、B層22を構成する原料(b)とを積層して、A層21及びB層22が交互に積層された基層部20を作製する。即ち、複数の複層部28同士が隣接して積層された基層部20を作製する。基層部20の積層構造は、フィードブロックのみを用いて形成することもできるし、フィードブロックとマルチプライヤーを組み合わせて用いることで形成することもできる。必要に応じて、ギアポンプで原料の供給量を調節してもよいし、フィルターを用いて異物を除去してもよい。押出温度は、用いる原料の種類によっても異なり、特に限定されないが、150℃〜250℃が好ましい。また、例えば、溶融されたコア層27を構成する原料(e)を、フィードブロックを用いて押出すと共に、溶融された原料(a)及び原料(b)を、原料(e)の両側から押出すことにより、コア層27の両側にA層21とB層22とが交互に積層された基層部20を形成することもできる。上記共押出したポリマーを、冷却ドラムなどを用いて急冷することにより、未延伸多層フィルム(無延伸多層フィルム)を得ることができる。
また、外層23を構成する原料(c)及び内層24を構成する原料(d)をそれぞれ上記の原料(a)及び(b)(場合により原料(e))と同時に共押出することにより、あるいは外層23を構成するフィルムや内層24を構成するフィルムと、上記により得られた基層部20を含む未延伸多層フィルムとを、慣用のラミネート法(ドライラミネート法)等により積層することにより、多層フィルム(樹脂フィルム12)を製造することができる。
上記構成を備えたフィルム被覆物品10は、物品11の表面が樹脂フィルム12で被覆されているので、傷等から物品11の表面を保護することができるうえに、防水性も確保される。特に、底面11bにおける樹脂フィルム12の厚さが最も厚いので、フィルム被覆物品10を設置する面との擦れにも強いという利点がある。さらに、上面11a側よりも底面11b側の方が樹脂フィルム12の厚さが相対的に厚くなっているので、特に傷つきやすい物品11の底部を効果的に保護することができると共に、設置場所が浸水したとしても高い防水性能が発揮される。
一方、物品11の上面11a側は脱気口側であって樹脂フィルム12の開口端であるから、樹脂フィルム12の上面11a側は底面11b側に比して大きく引き伸ばされた状態となり、物品11の表面に対して強く密着する。ゆえに、樹脂フィルム12が開口端から剥がれることも防止される。また、突部13は樹脂フィルム12に覆われず露出しているので、例えば端子等の突部13が接続部である場合、他の部材との接続作業も容易である。
図9〜図11に、実施形態の他の一例を示す。
上記実施形態では、樹脂フィルム12を被覆する物品として物品11を例示したが、本発明の製造方法は各種物品に適用可能であり、例えば図9のような容器30にも適用可能である。容器30は、金属製の本体部31を備え、上部には内容物を外部に放出するための操作部32を備えている。本体部31の上部には、操作部32に近づくほど周長が短くなった肩部が形成されている。樹脂フィルム12は、当該肩部を含む本体部31の大部分を被覆している。
容器30の場合、容器30を軸線方向と直交する方向に投影したときの投影面積よりも、容器30を軸線方向に投影したときの投影面積の方が小さい。従って、容器30の軸線方向を脱気方向とすることにより、容器30の周側面31bが脱気方向に対して側方に位置することになり、樹脂フィルム12が深絞り状態となって主たるフィルム密着保持面である周側面31bに密着することになる。さらに、操作部32側を脱気側とすることにより、本体部31の上端部と操作部32を除くそれ以外の表面全体が樹脂フィルム12で被覆され、操作部32は露出部となる。このようにして容器30を樹脂フィルム12で被覆すれば、本体部31を錆びから保護することができる。特に、底部31aにおいて樹脂フィルム12の厚みが大きくなるので、底部31aの錆付き防止に効果が大きい。
この場合も、例えば操作部32に台座を取り付け、台座を下に向けた状態で軟化させた樹脂フィルム12を容器30の底部31a側から被せて、台座側から脱気することにより、容器30の表面に樹脂フィルム12を密着させることができる。そして、樹脂フィルム12の肩部に密着した範囲に、レーザー光αを照射してフィルムを切断し、余剰部分を取り除くことができる。この場合も、上記構成の多層フィルムを用いることにより、レーザーカット性が良好でありながら優れた伸展性が得られる(図9及び図11に示す形態についても同様)。
図10に示す例では、電球40を樹脂フィルム12で被覆している。電球40の場合、口金41の軸線方向と直交する方向に電球40を投影したときの投影面積よりも、口金41の軸線方向に電球40を投影したときの投影面積の方が小さい。従って、口金41の軸線方向を脱気方向とすることにより、電球40のガラス部42の周側面42aが脱気方向に対して側方に位置することになり、樹脂フィルム12が深絞り状態となって主たるフィルム密着保持面であるガラス部42の周側面42aに密着することになる。
電球40の場合は、口金41側を脱気側とすることにより、ガラス部42の大部分を樹脂フィルム12で被覆することができ、ガラス部42の破損を防止することができる。特に、ガラス部42の頂部42bにおいて樹脂フィルム12の厚みが大きくなるので、頂部42bの破損を効果的に防止できる。この場合も、電球40に密着した樹脂フィルム12にレーザー光αを照射して、所望の位置でフィルムを切断することができる。
図11に示す例では、本50を樹脂フィルム12で被覆している。本50の場合には、その表表紙51と裏表紙52と背表紙53が最も保護したい面である。従って、表表紙51や裏表紙52を脱気側とするのではなく、表表紙51と裏表紙52が主たるフィルム密着保持面となるように、天部54もしくは地部を脱気側として樹脂フィルム12を被覆する。特に、天部54には値札やしおり等の差し込み片56が差し込まれることが多いので、天部54を露出部とすべく、天部54を脱気側として樹脂フィルム12を天地方向に引き伸ばしながら表表紙51と裏表紙52に密着させることが好ましい。なお、前小口部57を脱気側として樹脂フィルム12を背表紙53側から前小口部57に向けて引き伸ばしつつ密着させるようにしてもよい。いずれにしても、表表紙51と裏表紙52が主たるフィルム密着保持面となるように表表紙51と裏表紙52が脱気方向に対して側方に位置するようにする。この場合も、本50に密着した樹脂フィルム12にレーザー光αを照射して、所望の位置でフィルムを切断することができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
樹脂フィルムには、特開2013-111822号公報に記載の方法に準じて作成した多層フィルム(厚み:95μm)を用いた。多層フィルムの層構造、各層の組成等は、以下の通りである。
層構造:内層/接着層/基層部1/コア層/基層部2/接着層/外層
内層:LLDPE(9.0μm)
接着層1:接着性ポリエチレン系樹脂(15.0μm)
基層部1:ポリアミド系樹脂(A層:4.0μm)、接着性ポリエチレン系樹脂(B層:2.0μm)、A層/B層が交互に合計で8層(4つの隣接して積層された複層部を含む)
コア層:ポリアミド系樹脂(4.0μm)
基層部2:接着性ポリエチレン系樹脂(B層:2.0μm)、ポリアミド系樹脂(A層:4.0μm)。B層/A層が交互に合計で8層(4つの隣接して積層された複層部を含む)
接着層2:接着性ポリエチレン系樹脂(6.0μm)
外層:ポリアミド系樹脂(13.0μm)
物品には、略矩形形状(X:150mm×Z:100mm×Y:25mm)の金属製ブロックを用いた。当該ブロックは、上面と下面、及び4つの側面を有する。上面及び下面は、短辺と長辺とを有し、従って4つの側面は短辺側の側面と長辺側の側面とからなる。面積の大きい順に、長辺側の側面、上面及び下面、短辺側の側面となっている。本実施例では、吸引孔を有する支持台上に台座を配置し、その台座上に当該ブロックを載置して樹脂フィルムを装着する。以下では、当該ブロックの台座に接する面を上面、台座と反対側の面を下面とする(支持台に接する台座の面は上面)。
フィルム被覆物品A1は、以下のようにして作製した。
まず、上記ブロックを台座(x:130mm×z:30mm×y:15mm)上に載置し、ブロックの下面に加熱により軟化した上記樹脂フィルムを被せる。なお、上記ブロックは、その各辺X、Z、Yと、台座の対応する各辺x、z、yとがそれぞれ略平行となるように配置した。続いて、樹脂フィルムを被せたブロックの上面側(台座側)から吸引して、ブロックと樹脂フィルムとの間の空気を脱気する。脱気工程では、長辺側の側面を脱気方向に対して側方に位置させた。次に、脱気工程によりブロック及び台座の表面に密着した樹脂フィルムのうち、台座部分の樹脂フィルムに、下記の条件でレーザー光を照射して当該フィルムを切断し、フィルム被覆物品A1を得た。
レーザー装置:CO2レーザーマーカ(パナソニック株式会社製「LP400」)
波長:9.3μm
出力:16W
走査速度:100mm/sec.
レーザー光の照射位置:台座の下面(ブロックの上面)から1mm上方
レーザー光の照射位置における樹脂フィルムの平均厚み:60μm
フィルム被覆物品A1では、ブロックの表面に樹脂フィルムが良好に密着しており、美麗な包装形態を実現している。ブロックに密着した樹脂フィルムは、上記レーザー光の照射により所望の位置で容易に切断され、またその切断端縁の状態も良好であった。樹脂フィルムの台座に密着する部分には、上述したようにブリッジが形成され易いが(本実施例においても図6に示すようなブリッジが形成された)、本実施例ではブリッジ部分も容易にレーザーカットすることが可能であった。
<実施例2>
樹脂フィルムのコア層の素材をポリアミド系樹脂からEVOH樹脂に代えた以外は、実施例1と同様にしてフィルム被覆物品A2を作製した。この場合も、樹脂フィルムのレーザーカット性は良好であり、美麗な包装形態が得られた。
<実施例3>
樹脂フィルムとして、タマポリ株式会社製の3層フィルム(商品名:ZPX−111、厚み:100μm)を用い、レーザー装置を次のものを用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルム被覆物品A3を作製した。当該3層フィルムの層構造等は、以下の通りである。
層構造:内層/中心層/外層
内層:ポリエチレン系樹脂(42.5μm)
中心層:ポリアミド系樹脂(15μm)
外層:ポリエチレン系樹脂(42.5μm)
レーザー装置:CO2レーザーマーカ(株式会社キーエンス製「3−Axis」)
波長:10.6μm
出力:80W
走査速度:50mm/sec.
この場合も、樹脂フィルムをレーザーカットすることが可能であった。しかし、フィルム被覆物品A1に比してそのフィルム切断端縁の状態は煤が付着し且つ粗いものであり好ましいものではなかった。
なお、実施例1と同一のレーザー装置を用い同一条件でフィルムの切断を試みたが切断できず、上述のとおり、より高出力のレーザー装置を用い、且つ走査速度を遅くすることでレーザーカットが可能となったものである。従い、実施例1のように上記A層と上記B層とが積層された複層部を3以上含む多層フィルムを用いるほうがより好ましいことがわかる。
<比較例1>
樹脂フィルムとして、ポリエチレン系樹脂から構成されるタマポリ株式会社製の単層フィルム(商品名:UB−1、厚み:100μm)を用いた以外は、実施例3と同様にしてフィルム被覆物品X1の作製を試みたが、樹脂フィルムをレーザーカットすることができなかった。また、脱気側の角部近傍に大きなブリッジが形成された。
10,10x,10y フィルム被覆物品、11,11z 物品、11a 上面、11b 底面、11c,11d 側面、12 樹脂フィルム、13 突部、14 台座、15 カット線、16 余剰部分、17 ブリッジ、20 基層部、21 A層、22 B層、23 外層、24 内層、25,26 接着層、27 コア層、28 複層部、100 支持台、101 ヒーター、102 吸引孔、103 押え枠、104 刃物、α レーザー光

Claims (11)

  1. 樹脂フィルムを加熱して軟化させ、当該フィルムを物品に被せる第1の工程と、
    前記物品の主たるフィルム密着保持面を脱気方向に対して側方に位置させた状態で、前記物品の一方側から前記物品と前記樹脂フィルムとの間を脱気して、前記物品の表面に前記樹脂フィルムを密着させる第2の工程と、
    前記物品を被覆した前記樹脂フィルムにレーザー光を照射して当該フィルムを切断する第3の工程と、
    を含み、
    前記樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするA層、及び前記A層よりも前記レーザー光の吸収率が高いB層を有し、前記物品の一方側の所定領域を除く前記物品の表面全体を覆っている、フィルム被覆物品の製造方法。
  2. 前記樹脂フィルムは、前記A層と前記B層とが積層された複層部を3以上含む多層フィルムである、請求項1に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  3. 前記多層フィルムは、前記複層部を5〜30含む、請求項2に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  4. 前記多層フィルムは、前記複層部同士が隣接して積層されている、請求項2又は3に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  5. 前記B層は、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種から構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  6. 前記樹脂フィルムを構成する各層の厚みは、15μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  7. 前記A層及び前記B層の厚みは、5μm以下である、請求項6に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  8. 前記第2の工程では、前記脱気により前記樹脂フィルムが引き伸ばされ、当該フィルムの一部に前記脱気前よりも厚みが薄くなった薄肉部が形成され、
    前記第3の工程では、当該薄肉部に前記レーザー光を照射して前記樹脂フィルムを切断する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  9. 前記物品は、第1の部分と、前記第1の部分よりも外周長が短い第2の部分とを有し、
    前記第2の工程では、前記物品の前記第1及び第2の部分に跨って前記樹脂フィルムを密着させ、
    前記第3の工程では、前記樹脂フィルムの前記第2の部分に密着した範囲に、前記レーザー光を照射して前記樹脂フィルムを切断する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  10. 前記物品の底部は、前記物品の他方側に位置する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
  11. 前記物品は、操作部又は他の部材との接続部を備え、
    前記操作部又は前記接続部が、前記樹脂フィルムに覆われない前記所定領域に位置する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルム被覆物品の製造方法。
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