JP2017039509A - フィルム被覆物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 物品の一部をフィルムから露出させつつ、物品を適切に保護することが可能なフィルム被覆物品を提供すること。【解決手段】 物品1と、物品1の少なくとも一部を覆うフィルム2と、を備え、物品1とフィルム2の間が脱気された、フィルム被覆物品A1であって、フィルム2により形成された開口部22と、脱気によって物品1とフィルム2とが密着した領域を少なくとも含む密着部4と、密着部4よりもフィルム2の開口部22寄りの位置において、脱気による密着よりも強い接合力で物品1とフィルム2とが接合された接合部3と、を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、物品とフィルムとの間が脱気されたフィルム被覆物品に関する。
特許文献1は、加熱して軟化させたフィルムを物品に被せて、物品の一方側から物品とフィルムとの間を脱気することにより、物品の表面にフィルムを密着させたフィルム被覆物品を開示している。特許文献1では、フィルムによって物品の表面を容易且つ確実に保護することが意図されている。
しかしながら、このような構成が適用されるフィルム被覆物品には様々な態様のものが含まれる。一例として、物品の一部をフィルムから露出させた態様が求められることが想定される。この場合、フィルムの内物品を露出させている部位から、気体や液体などがフィルム内に浸入するおそれがある。このようなことでは、物品を適切に保護できないおそれがある。
特開2013−252894号公報
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、気体や液体などがフィルム内に浸入することを防ぎ、物品を適切に保護することが可能なフィルム被覆物品を提供することをその課題とする。
本発明によって提供されるフィルム被覆物品は、物品と、前記物品の少なくとも一部を覆うフィルムと、を備え、前記物品と前記フィルムとの間が脱気された、フィルム被覆物品であって、前記フィルムにより形成された開口部と、前記脱気によって前記物品と前記フィルムとが密着した領域を少なくとも含む密着部と、前記密着部よりも前記フィルムの前記開口部寄りの位置において、前記脱気による密着よりも強い接合力で前記物品と前記フィルムとが接合された接合部と、を有することを特徴としている。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記接合部は、前記開口部の全体と前記密着部の全体とを互いに区画するように、前記物品のある全周にわたって形成されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記フィルムは、厚さ方向内側に内面接合層を備え、前記物品は、その表面に外面接合層を備え、前記接合部は、前記内面接合層と前記外面接合層とが接合された部位である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記外面接合層は、前記物品に設けられた接合部材である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記接合部材は、前記物品に貼付されたテープである。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記接合部材は、前記物品に塗布された接着剤である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記接合部は、前記内面接合層と前記外面接合層とが、熱により接合された部位である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記物品は、前記接合部から外部に露出する露出部を有する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記物品の前記露出部は、外部との接続に用いられる接続部を含む。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記物品は、前記接合部よりも内方において前記密着部を構成する基板および該基板に実装された電子部品、を有しており、前記接続部は、前記電子部品に導通している。
本発明によれば、前記フィルムには、前記密着部と前記開口部との間に位置する前記接合部が設けられている。前記接合部は、前記密着部における密着よりも強い接合力で前記物品と前記フィルムとが接合されている。このため、たとえば、前記開口部を起点として前記フィルムがめくられるなどによって前記密着部の密着が解除されてしまうことを抑制可能であり、前記密着部を良好な状態に維持することができる。したがって、前記物品の一部を前記フィルムから露出させつつ、前記物品を適切に保護することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明の第1実施形態に基づくフィルム被覆物品を示す斜視図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 図1のII−II線に沿う要部拡大断面図である。 図2のIV−IV線に沿う断面図である。 図1のフィルム被覆物品の製造方法の一例を示す要部断面図である。 図1のフィルム被覆物品の製造方法の一例を示す要部断面図である。 図1のフィルム被覆物品の製造方法の一例を示す要部断面図である。 本発明の第2実施形態に基づくフィルム被覆物品を示す斜視図である。 図8のIX−IX線に沿う断面図である。 図9のX−X線に沿う要部断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に基づくフィルム被覆物品を示している。本実施形態のフィルム被覆物品A1は、物品1、フィルム2、接合部3および密着部4を備えている。
図1は、フィルム被覆物品A1を示す斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図であり、図3は、同様の断面における要部拡大断面図である。図4は、図2のIV−IV線に沿う断面図である。
物品1は、フィルム2に被覆されることによって保護されるものである。物品1の種類や形状および大きさなどは特に限定されず、フィルム2によって被覆可能な様々な構成のものが採用される。本実施形態においては、物品1は、基板11、複数の電子部品12および接合部材15を有しており、電子モジュールとして構成されている場合を例に説明する。
基板11は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる基材と、該基材上に形成された配線パターンとを有する。基板11の形状は特に限定されず、図示された例においては、基板11は、平面視矩形状とされている。
複数の電子部品12は、電子モジュールとしての物品1の機能を実現するためのものである。複数の電子部品12は、たとえば半田によって基板11の前記配線パターンに実装されている。電子部品12の種類などは特に限定されず、電子モジュールとしての物品1が適切に動作すべく、それぞれの電子部品12の機能等が設定される。電子部品12の具体例としては、IC、メモリ素子、コンデンサ、ダイオード、コイル、抵抗器等が挙げられる。また、本実施形態においては、基板11の片面に複数の電子部品12が実装されているが、基板11の両面に複数の電子部品12が実装された構成であってもよい。
また、物品1には、接続部13が設けられている。接続部13は、基板11の一端縁に沿って形成されており、前記基材の端部と、該端部に配列された複数の電極からなる。接続部13は、物品1とたとえば外部の電子機器とを接続するために用いられるものである。電子モジュールとして構成された物品1においては、接続部13は、複数の電子部品12に導通している。これにより、接続部13は、複数の電子部品12を動作させるための電力供給部として機能したり、複数の電子部品12と外部との信号送受を行う部位として機能する。また、接続部13は、後述するフィルム2および接合部3との関係において、本発明で言う露出部の一例に相当する。なお、電子モジュールとしての物品1の接続部13としては、基板11の一部によって構成されたものは一例に過ぎず、後述するコネクタタイプのものや、柱状などの導通部材によって構成された電極タイプのものなど、様々な構成のものを採用可能である。
接合部材15は、物品1とフィルム2とを接合するための部材である。接合部材15は、物品1の他の構成要素に対して、塗布、接着、貼着などの手法により固定されている。物品1において接合部材15が固定される箇所は特に限定されない。本実施形態においては、接合部材15は、複数の電子部品12と接続部13との間においてこれらを区画するように設けられている。さらに本実施形態においては、図1および図4に示すように、複数の電子部品12と接続部13と間において、基板11の全周にわったって接合部材15が設けられている。接合部材15は、本発明で言う外面接合層を構成している。なお、本発明は、たとえば、物品1の基板11自体がフィルム2の内面接合層と接合可能な材質であれば、接合部材15を別材として備えない構成であってもよい。この場合、基材11自体が基材11でありつつ外面接合層としても機能する。
接合部材15は、物品1とフィルム2との脱気による密着よりも強い接合力で物品1とフィルム2とを接合しうるものであれば、様々な構成のものが採用されうる。接合部材15とフィルム2とが熱接着の原理で接合される場合、接合部材15は、フィルム2と熱接着し得る材質からなるテープによって構成される。あるいは、接合部材15は、フィルム2と熱接着し得る材質が物品1(基板11)に塗布されたものであってもよい。
また、接着を利用した場合の接合部材15としては、特に限定されず、通常公知の感熱性の接着剤や粘着剤、あるいは感圧性の接着剤や粘着剤が挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性の接着剤や粘着剤(以下、これらを総称して「感熱性接着剤等」という)を用いることが好ましい。
感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。
感熱性接着剤等の種類としては、たとえば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
ディレードタック型は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能なものである。ディレードタック型としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたものなどが例示される。
エマルジョン型または溶剤型は、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水または有機溶剤などに溶解または分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能であり、塗工後乾燥して使用するものである。これらも、乾燥後は接着性を示さず、加熱することによって接着性を示すものである。
ホットメルト型は、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって加熱溶融して塗工するものである。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
使用される感熱性接着剤等は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、フィルム2を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
フィルム2は、物品1を被覆することにより物品1を保護するためのものである。以下に、フィルム2の層構成について詳説する。
図3に例示されたフィルム2は、内面接合層2a、基層2bおよび外面層2cからなる例である。
基層2bは、A層(図示略)とB層(図示略)とが積層された複層部(図示略)を合計で3以上含む多層フィルムである。複層部は、A層、B層以外の層を介して積層されていてもよいが、好ましくは互いに隣接して積層される。即ち、複数のA層とB層とが交互に積層されていることが好ましい。
A層とB層とが交互に積層されているとは、実質的に交互に積層されていることを含む。例えば、A層/B層/A層の二種三層構成を繰り返し単位として積層した場合、「A層/B層/A層/A層/B層/A層/A層/B層/A層・・・」となるが、「A層/A層」の部分は同種の樹脂が積層されることから、実質的にA層の一層とみなすことができる。このように、本願において実質的に交互に積層されているとは、同種の層が積層されている場合はそれを一層とみなしてもよく、その結果、A層とB層とが交互に積層されているものを含む意味である。
基層2bは、3以上の複層部を含み、好ましくは5〜30の複層部を含む。即ち、A層とB層の合計が少なくとも6層以上であり、好ましくは10層〜60層である。A層とB層の積層数の上限は、特に限定されないが、生産性等の観点から、例えば200層以下が好ましく、60層以下がより好ましい。当該積層数を6層以上、好ましくは10層〜60層とすることにより、例えば基板11の側面角部付近にブリッジが無く見栄えの良い包装形態を得ることができる。また、例えばレーザーカット性が良好でありながら優れた伸展性が得られる。基層2bの最表面は、A層、B層のいずれであってもよく、例えば一方の最表面がA層、他方の最表面がB層であってもよい。或いは、両面共にA層であるか、両面共にB層であってもよい。
なお、生産性等の観点から、A層、B層のそれぞれは、全ての層が実質的に同一(例えば、層を構成する樹脂製品が実質的に同じであり、層厚みの差異が製造誤差の範囲内)であることが好ましい。
A層は、例えばフィルム2に適切な機械的強度を付与し、製造時や流通時、使用時等におけるフィルム2の耐久性を向上させる。A層を構成する好適な樹脂としては、B層を構成する樹脂よりも融点の高い樹脂であって、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特にポリプロピレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。B層を構成する樹脂よりも高融点の樹脂を用いることで、フィルム2の耐久性等が向上すると共に、フィルム2を加熱して物品1に装着するまでの間に、溶融又は軟化する内面接合層2aやB層の温度が下がり難いという利点がある。これらのうち、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂がより好ましく、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[A層]
A層は、例えばB層よりも後述するレーザー光Lの吸収率が高い樹脂層である。レーザー光Lの吸収率が高いとは、A層、B層の1層同士を比較したときに、A層の方がレーザー光Lの吸収率が高いことを意味する。A層は、単位体積当たりのレーザー光Lの吸収率がB層よりも高いことが好ましい。各層のレーザー光Lの吸収率は、分光測定装置を用いて測定することができる。
前記ポリアミド系樹脂としては、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−6T、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とからなるナイロン−6I、ノナンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−9T、メチルペンタジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−M5Tなどが挙げられる。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、結晶性のポリプロピレン系樹脂を用いることができる。例えば、結晶性プロピレン単独重合体、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−L−オレフィンランダム共重合体、エチレン及びL−オレフィンの少なくとも一方とプロピレンとの結晶性ブロック共重合体等が挙げられる。当該L−オレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4〜10のL−オレフィンが好ましい。
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を必須の構成成分として構成された種々のポリエステル(即ち、ジカルボン酸に由来する構成単位とジオールに由来する構成単位を少なくとも含むポリエステル)が挙げられる。
前記ジカルボン酸(ジカルボン酸成分)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トランス−3,3’−スチルベンジカルボン酸、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ジベンジルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、及びこれらの置換体等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、イコサン二酸、ドコサン二酸、1,12−ドデカンジオン酸、及びこれらの置換体等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、及びこれらの置換体等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。前記ジカルボン酸は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
前記ジオール(ジオール成分)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2,4−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環式ジオール;2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加物、キシリレングリコール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。前記ジオールは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
前記ポリエステル系樹脂は、前記成分以外にも、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸;安息香酸、ベンゾイル安息香酸等のモノカルボン酸;トリメリット酸等の多価カルボン酸;ポリアルキレングリコールモノメチルエーテル等の1価アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールなどに由来する構成単位を含んでいてもよい。
また、ジカルボン酸成分及びジオール成分のうちの少なくとも一方が2種以上の成分から構成される(例えば、主成分の他に成分を含む)変性芳香族ポリエステル系樹脂であってもよい。
前記ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を必須の単量体(モノマー)成分として構成される重合体である。即ち、分子中(1分子中)に、スチレン系単量体に由来する構成単位を少なくとも含む重合体である。前記ポリスチレン系樹脂は、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。また、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
前記スチレン系単量体としては、例えばスチレン、L−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。これらのうち、入手し易さ、材料価格などの観点から、スチレンが好ましい。なお、前記スチレン系単量体は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。前記ポリスチレン系樹脂の具体例としては、スチレンの単独重合体である一般ポリスチレン(GPPS)等のスチレン系単量体の単独重合体、2種以上のスチレン系単量体のみを単量体成分として構成される共重合体、スチレン−ジエン系共重合体、スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル系共重合体等の共重合体、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)などが挙げられる。これらのうち、スチレン−ジエン系共重合体が好ましい。なお、前記ポリスチレン系樹脂は、水素添加されたポリスチレン系樹脂(水添ポリスチレン系樹脂)であってもよい。
前記スチレン−ジエン系共重合体は、スチレン系単量体及びジエン(特に、共役ジエン)を必須の単量体成分として構成される共重合体である。共重合の形態は、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。ジエンは、共役ジエンが好ましく、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、クロロプレンなどが挙げられる。ジエンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
前記スチレン−ジエン系共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレンブロック共重合体(SBIS)などが挙げられる。
前記水添ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、SBSやSISに水素を添加した水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)や水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などが挙げられる。
A層の厚み(物品1に装着される前)は、特に限定されないが、好ましくは0.05μm〜20μm、より好ましくは0.1μm〜15μm、特に好ましくは0.2μm〜10μmである。フィルム被覆物品A1の製造において後述するレーザーカット工程が適用される場合、A層の厚みは、例えば、0.05μm〜5μmが好ましく、0.08μm〜4μmがより好ましく、0.1μm〜3μmが特に好ましい。A層の厚みが当該範囲内であれば、例えば、フィルム2の機械的強度が良好なものとなり、製造時や流通時、使用時等におけるフィルム2の耐久性が向上する。また、良好なレーザーカット性が得られる。
[B層]
B層は、例えば、フィルム2に柔軟性を付与して伸展性を向上させる機能を有する。なお、B層を構成する樹脂としては、A層を構成する樹脂よりも低融点であることが好ましく、この関係を満たせば、A層を構成するものとして例示する前記ポリアミド系樹脂、前記ポリプロピレン系樹脂、前記ポリエステル系樹脂、前記ポリスチレン系樹脂などを用いることもできる。例えば、A層がポリアミド系樹脂から構成され、B層が当該ポリアミド系樹脂よりも融点の低いポリアミド系樹脂やポリスチレン系樹脂から構成される場合等が例示できる。
B層を構成する好適な樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、B層はポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層であることが好ましい。B層におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、B層を構成する樹脂成分の総重量に対して、50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上が特に好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、プロピレンとビニル基含有モノマーとの共重合体、1−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体、2−ブテンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が例示できる。これらのうち、A層との層間強度を向上させるためには、特に好ましくはエチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体である。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。前記エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体は、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体が特に好ましい。具体例としては、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE−g−MAH)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体を酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン橋かけ構造を形成したアイオノマー(IO)等が挙げられる。これらのうち、LLDPE−g−MAH、EMAA、IOが好ましい。エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体には、市販品を用いてもよい。好適な市販品としては、三井化学株式会社製のNF536等が挙げられる。
B層は、他の層との接着性を向上させる目的で、必要に応じて、ロジン系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、水添テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、水添クマロン系樹脂、石油樹脂等の粘着付与樹脂;芳香族系炭化水素樹脂;フェノール系樹脂;脂環族系炭化水素樹脂;スチレン−アクリル共重合体;天然ゴムや合成ゴムのエラストマー等を含んでいてもよい。
B層の厚み(物品1に装着される前)は、特に限定されないが、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.08μm〜4μm、特に好ましくは0.1μm〜3μmである。また、後述のレーザーカット工程が適用される場合も、B層の厚みは、例えば、0.05μm〜5μmが好ましく、0.08μm〜4μmがより好ましく、0.1μm〜3μmが特に好ましい。B層の厚みが当該範囲内であれば、基層2bに柔軟性を付与して伸展性を向上させることができ、例えば、物品1とフィルム2との良好な密着性が得られ易い。また、良好なレーザーカット性が得られる。
A層とB層を構成する樹脂として好ましい組み合わせは、A層がポリアミド系樹脂、B層がポリオレフィン系樹脂である組み合わせ、A層がポリエステル系樹脂、B層がポリオレフィン系樹脂である組み合わせが挙げられる。
内面接合層2aは、フィルム2の最内層である。内面接合層2aを構成する樹脂は、物品1の接合部材15(外面接合層)と接合するものであれば特に限定されず、A層又はB層を構成する樹脂と同一組成であっても異なっていてもよい。
内面接合層2aは、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の熱可塑性樹脂から構成される。これらの樹脂は、具体的には上述のA層又はB層を構成する樹脂が挙げられる。
なお、フィルム2の接合領域23と接合部材15とが、熱接着を利用して接合される構成の場合、フィルム2の内面接合層2aの材質、および接合部材15の少なくとも接合領域23側の表層をなす材質として、ともにポリオレフィン系樹脂が選択される。一方、接合部材15として、上述した感熱性接着剤等が用いられる場合、内面接合層2aの材質は特に限定されない。また、フィルム2は、内面接合層2aを有さない構成であってもよい。
内面接合層2aは、A層及びB層のいずれの表面に形成されてもよい。内面接合層2aの厚みは、特に限定されないが、A層、B層よりも厚いことが好適である。具体的には、2μm〜20μmが好ましく、3μm〜15μmがより好ましい。また、後述のレーザーカット工程が適用される場合も、内面接合層2aの厚みは、例えば、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜12μmがより好ましく、5μm〜10μmが特に好ましい。
外面層2cは、フィルム2の最外層である。外面層2cは、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の熱可塑性樹脂から構成される。これらの樹脂は、具体的には上述のA層又はB層を構成する樹脂が挙げられる。
外面層2cは、A層及びB層のいずれの表面に形成されてもよいが、接着性等の観点から好ましくはB層上に形成される。外面層2cの厚みは、特に限定されないが、A層、B層よりも厚いことが好適である。具体的には、2μm〜40μmが好ましく、3μm〜20μmがより好ましく、5μm〜15μmが特に好ましい。また、後述のレーザーカット工程が適用される場合も、外面層2cの厚みは、例えば、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜12μmがより好ましく、5μm〜10μmが特に好ましい。
例えば、内面接合層2aがポリアミド系樹脂から構成され、外面層2cがポリエチレン系樹脂から構成される場合、フィルム2は外面層2c側にカールし易くなる。そこで、フィルム2のカールを抑制するために、内面接合層2aを構成する樹脂と外面層2cを構成する樹脂を同一組成とすることも好適である。同一組成とする場合は、LLDPE、EVA等のポリエチレン系樹脂やポリアミド系樹脂から構成される。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。一方、内面接合層2aがポリエチレン系樹脂から構成され、外面層2cがポリアミド系樹脂から構成される場合は、フィルム2が内面接合層2a側、即ち物品1側にカールし易くなるため、フィルム2の浮き、剥がれを抑制し易くなる。なお、内面接合層2aを形成することにより、物品1の表面にフィルム2が固定され、フィルム2の浮き、剥がれを抑制し易くなる。
基層2bを構成する各層、内面接合層2a、外面層2cは、必要に応じて、上述の樹脂成分以外の他の成分(添加剤)、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、着色剤(顔料)、ピニング剤(アルカリ土類金属)、軟化剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。なお、内面接合層2a、基層2bおよび外面層2cを構成する各層で、含有される前記添加剤の種類や量が異なっていてもよい。例えば、内面接合層2a及び外面層2cのみに帯電防止剤や滑剤が含有されていてもよい。
密着部4は、物品1とフィルム2との間が後述する脱気工程によって脱気されることにより物品1の一部およびフィルム2の一部同士が密着した部位である。フィルム2のうち密着部4を構成する領域を、便宜上密着領域21と定義する。本実施形態においては、フィルム2のうち後述する接合部3よりも複数の電子部品12が配置された側に位置する部分が、密着領域21とされている。本発明においては、密着部4は、密着領域21の全領域が物品1に完全に密着している構成に限定されるものではない。たとえば、本実施形態においては、基板11のうち電子部品12から比較的広く露出している部分や、電子部品12のうち基板11から突出する部分等は、フィルム2の密着領域21と良好に密着している。一方、基板11と電子部品12との境界部分などにおいては、基板11や電子部品12からフィルム2の密着領域21が局所的に離間している部位が不可避的に存在する。本発明で言う密着部4は、このような局所的に離間している部分を含んでいても、物品1とフィルム2とが密着している領域を少なくとも含むことにより、全体として物品1とフィルム2とが密着している部分を言う。
フィルム被覆物品A1は、フィルム2によって形成された開口部22を有している。物品1は、開口部22からその一部が露出した状態となる。本実施形態においては、開口部22は、密着部4(密着領域21)に対して物品1の接続部13側に位置する端縁を指している。開口部22は、物品1のうち少なくとも接続部13を露出させうる形状および大きさとされている。
接合部3は、脱気による物品1とフィルム2の密着領域21との密着よりも強い接合力で物品1とフィルム2とが接合された部位である。フィルム2のうち接合部3を構成する領域を、便宜上接合領域23と定義する。本実施形態においては、図3に示すように、接合部3は、物品1の外面接合層としての接合部材15とフィルム2の内面接合層2aとが接合された部位である。なお、接合部3が接合部材15を含む場合、接合部3は、フィルム2が内面接合層2aを有さない構成、物品1が本発明で言う外面接合層を有さない構成、さらに内面接合層2aおよび外面接合層の双方が具備されない構成、であってもよい。あるいは、接合部3は、内面接合層2aおよび外面接合層を具備し、且つこれらが接合部材15を介して接合された構成であってもよい。
複数の電子部品12と接続部13と間において、基板11の全周にわったって接合部材15が設けられていることにより、本実施形態の接合部3は、複数の電子部品12と接続部13とを互いに区画するように、基板11の全周にわたって設けられている。このような接合部3は、密着部4の全体とフィルム2の開口部22の全体とを互いに区画していると言える。また、物品1のうち接合部3から外部に露出する部位は、本発明で言う露出部に該当する。本実施形態においては、接続部13および基板11のうち接続部13に隣接する部分によって、前記露出部が構成されている。
次に、フィルム被覆物品A1の製造方法の一例について、図5〜図7を参照しつつ、以下に説明する。
まず、図5に示すように、物品1を製造しておく。物品1の製造は、たとえば、基板11に複数の電子部品12を半田によって実装することによって行う。また、基板11のうち複数の電子部品12と接続部13との間の領域に接合部材15を設ける。接合部材15がテープである場合、基板11の表裏面および両側面を経由して、基板11の全周にわたって貼付する。接合部材15が感熱性接着剤等である場合、図示しないノズル等を用いて基板11の全周にわたって接合部材15を塗布する。なお、接合部材15を設ける工程は、物品1の製造が完了した後でもよいし、基板11に複数の電子部品12を実装する前に行ってもよい。
また、脱気テーブル71および支持部材72を用意する。脱気テーブル71は、後述する脱気工程を行うための作業台であり、たとえば作業対象を載置するための平面と複数の脱気孔711を有する。複数の脱気孔711は、前記平面に開口しており、図示しないポンプなどの吸引源に適宜接続されている。支持部材72は、脱気テーブル71上において物品1を所望の姿勢で支持するためのものである。本実施形態においては、支持部材72は、接続部13を鉛直方向下方に位置させた姿勢で物品1を支持するように構成されている。また、支持部材72には、図示された脱気孔721を設けてもよい。脱気孔721は、脱気テーブル71の脱気孔711からの脱気を、支持部材72の上方へと作用させるためのものである。
次いで、図6に示すように、フィルム材料20を用意する。フィルム材料20は、フィルム2となるべき材料であり、たとえば上述した内面接合層2a、基層2bおよび外面層2cからなる層構造を有する。このフィルム材料20を、後述する脱気工程において物品1に沿った変形を促進すべく、適切な温度に加熱しておく。また、本実施形態においては、フィルム材料20の内面接合層2aと接合部材15とを熱接着させることが、フィルム材料20を加熱する目的となっている。そして、加熱したフィルム材料20を物品1の直上に配置する。
続いて、脱気工程を行う。この工程は、上述した吸引源(図示略)の吸引力を発揮させることにより複数の脱気孔711および複数の脱気孔721から吸引することによって行う。この吸引により、物品1とフィルム材料20との間の空気が脱気される。フィルム材料20は、適度な変形をなしうる温度に加熱されているため、物品1の基板11や複数の電子部品12に沿うように顕著に伸展される。これにより、図1〜図4を参照して説明したように、物品1の各部にフィルム材料20が密着し、密着部4が形成される。また、この脱気工程において、加熱されたフィルム材料20が接合部材15に接触すると、フィルム材料20と接合部材15とが熱接着され、接合部3が形成される。本実施形態においては、物品1の直上にフィルム材料20が配置された状態で脱気が行われ、接合部材15は、複数の電子部品12よりも下方に位置している。このため、脱気工程においては、まず、基板11や電子部品12とフィルム材料20との脱気による密着がなされた後に、接合部材15とフィルム材料20との熱接着がなされる。
次いで、図7に示すように、フィルム材料20を切断する。フィルム材料20の切断は、フィルム材料20の余剰部分を取り除くことにより、所望の大きさおよび形状のフィルム2を形成しうる手法であれば、何ら限定されない。切断手法としては、トムソン刃などに代表される切断部材(図示略)を用いた手法やレーザー光を用いた手法が挙げられる。
レーザー光を用いた手法を例に説明すると、本実施形態では、支持部材72に密着した範囲にレーザー光Lを照射する。すなわち、物品1を囲むように、レーザー光Lを環状に照射する。これにより、レーザー光Lが照射された部分でフィルム材料20が切断され、フィルム2が得られる。レーザー光Lの照射は、レーザー光Lの照射スポットと物品1とを相対的に移動させて行うが、例えばレーザー光Lを走査してもよいし、ロボットアーム等を用いて物品1側を動かしてもよい。
フィルム材料20にレーザー光Lを照射すると、フィルム材料20にレーザー光Lが吸収されて照射部に熱が発生し、これによりフィルム材料20が溶融して切断される。フィルム材料20の場合、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするB層にはレーザー光Lが殆ど吸収されないが、レーザー光LはA層に吸収されるため、レーザー光Lの照射部で熱が発生し、その熱がB層にも伝わってフィルム材料20が切断される。
レーザー光Lは、前記脱気工程によりフィルム材料20が引き伸ばされて厚みが薄くなった部分に照射することが好適である。特に、脱気前よりもフィルム材料20の厚みが20%以上薄くなった薄肉部にレーザー光Lを照射することが好適である。具体的には、フィルム材料20が大きく引き伸ばされて厚みが薄くなる脱気口の近傍に密着する部分に対してレーザー光Lを照射する。
フィルム材料20の支持部材72に密着する部分には、フィルム材料20が局所的に折り畳まれたブリッジが形成される場合がある。通常の切断部材を用いた切断手法においては、ブリッジが形成されやすい部分でフィルム材料20を切断することが困難である。しかし、レーザーカット工程を適用することにより、ブリッジが形成された部分においてもフィルム材料20を容易に切断することができる。
フィルム材料20を切断する工程では、フィルムのレーザーカットに用いられる従来公知のレーザー装置を用いることができる。好適なレーザー装置としては、CO2レーザー(波長9.3μm、又は波長10.6μm)、YAGレーザー(1064nm)及びYVO4レーザー(1064nm)が挙げられる。レーザー装置は、パルス発振方式、連続発振方式のいずれであってもよく、レーザー出力や照射時間等の条件はカット適正等を考慮して適宜設定できる。
前記製造方法によれば、ポリオレフィン系樹脂を含むフィルムを用いて、当該フィルムを容易にレーザーカットすることができる。例えば、物品の外周長の変化が大きな部分にフィルムを密着させると、その部分にブリッジが形成され易いが、前記多層フィルムを用いることにより、切断不良が発生し易いブリッジ部分も容易に切断することができる。その理由は定かではないが、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするB層はレーザー光を殆ど吸収しないが、A層がレーザー光Lを吸収して発熱するため、その熱がB層にも伝わってフィルムが切断されるものと推測される。当該フィルムはポリオレフィン系樹脂を含むため、例えば物品1に対する装着性が良好であり意匠性に優れたフィルム被覆物品が得られる。また、レーザーカットを適用することにより、物品1に密着した部分を切断する場合も、所望の位置でフィルムを容易に切断することができると共に、物品1に損傷を与え難い。
次に、フィルム被覆物品A1の作用について説明する。
本実施形態によれば、密着部4とフィルム2の開口部22との間に位置する接合部3が設けられている。接合部3は、密着部4における密着よりも強い接合力で物品1に対してフィルム2が接合されている。このため、たとえば、開口部22を起点としてフィルム2がめくられるなどによって密着部4の密着が解除されてしまうことを抑制可能であり、密着領域21を良好な状態に維持することができる。したがって、物品1の一部をフィルム2から露出させつつ、物品1を適切に保護することができる。
また、接合部3が設けられることにより、気体や液体が開口部22を通じて密着部4へと浸入することを抑制することができる。特に、本実施形態においては、接合部3は、物品1(基板11)の全周にわたって設けられている。これは、気体および液体の浸入防止効果を高めるのに好ましい。
接合部3は、フィルム2(フィルム材料20)の内面接合層2aと接合部材15とが脱気工程において熱接着することによって形成されている。上述した構成とされたフィルム2は、脱気工程において、顕著な延伸や変形を発揮する。このため、仮に物品1の形状に起因して接合部材15が複雑な形状とされた場合であっても、このような形状の接合部材15にフィルム2が追従するように延伸および変形することが期待できる。したがって、物品1が複雑な形状であっても、物品1のある全周にわたって接合部3を設けやすいという利点がある。また、脱気工程において密着部4と接合部3とを一括して形成可能であり、接合部3を形成するための専用の工程は不要である。これは、フィルム被覆物品A1の製造効率を高めるのに有利である。
接合部材15がテープからなる場合、物品1を構成する基板11などの所望の箇所に所望の形状で接合部材15を貼付しやすいという利点がある。また、接合部材15が、感熱性接着剤等である場合、物品1が細かな凹凸を有する構成であっても、これらの凹凸を接合部材15によって埋めることが可能である。したがって、接合部3に意図しない隙間が生じることを防止することができる。
本実施形態の物品1は、基板11に複数の電子部品12が実装された電子モジュールとして構成されている。密着部4に含まれる基板11および複数の電子部品12は、フィルム2の密着領域21によって密着状態で被覆されている。これにより、基板11および複数の電子部品12を保護することができる。特に、本実施形態においては、本発明で言う露出部としての接続部13が、接合部3から露出している。このため、物品1をフィルム2によって被覆した状態で、フィルム被覆物品A1を電子機器などに組み込むことが可能である。したがって、フィルム被覆物品A1を搬送する期間だけでなく、フィルム被覆物品A1が電子機器などに組み込まれた後の使用期間においても、基板11および電子部品12をフィルム2によって保護することができる。
フィルム2を透明もしくは半透明の材質によって形成することにより、使用状態においても複数の電子部品12を外部から視認可能である。このため、電子部品12として、たとえば電子モジュールとしての物品1の動作状態を示すLED等の発光部品を採用することができる。また、フィルム2は、上述した延伸および変形を発揮するものであり、常温においても比較的柔軟な部材である。このため、電子部品12として、たとえば使用期間において押下などの操作がなされるスイッチ部品などを使用可能である。また、上述した構成のフィルム2は、スイッチ部品としての電子部品12が繰り返し操作されても、破損しにくいという利点がある。
図8〜図10は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
図8〜図10は、本発明の第2実施形態に基づくフィルム被覆物品を示している。本実施形態のフィルム被覆物品A2は、物品1の構成が上述したフィルム被覆物品A1の物品1と異なる。また、物品1の構成の相違により、接合部3の構成が、上述したフィルム被覆物品A1の接合部3と異なる。
本実施形態の物品1は、基板11、複数の電子部品12、接続部13およびケーブル14を有する。上述したように複数の電子部品12が基板11に実装されている。
ケーブル14は、基板11に対して固定されたものであり、複数の芯線142およびケーブル被覆141を有する。複数の芯線142は、たとえば銅などの金属からなる導通部材である。ケーブル被覆141は、芯線142を被覆しており、絶縁材料からなる。特に、本実施形態においては、フィルム2(フィルム材料20)の内面接合層2aと熱接着させるべく、ケーブル被覆141の材質として、ポリエチレン系樹脂が用いられている。このようなケーブル被覆141は、本発明で言う外面接合層の一例に相当する。複数の芯線142のうち、ケーブル被覆141から露出した部分が、基板11の前記配線パターンにたとえば半田によって接合されている。また、ケーブル14は、基板11の外縁を超えて外方へと延出している。
接続部13は、ケーブル14の外方に位置する端部に取り付けられている。接続部13は、たとえば電子機器に接続部13を接続するためのものであり、一般的にコネクタと称される部材が採用されている。
本実施形態のフィルム2は、密着領域21、開口部22、接合領域23および自己接合領域24を有する。密着領域21は、フィルム被覆物品A1における密着領域21と同様に、基板11および複数の電子部品12と脱気によって密着した領域であり、密着部4を構成している。本実施形態においては、基板11および複数の電子部品12の全体が、フィルム2の密着領域21と密着しており、密着部4を構成している。
開口部22は、図8および図9に示すように、基板11と接続部13との間に位置しており、ケーブル14を横断している。そして、フィルム2のうち密着領域21と開口部22との間に位置する部位が、接合領域23および自己接合領域24となっている。
本実施形態の接合部3は、ケーブル14のケーブル被覆141とフィルム2の接合領域23とが熱接着によって接合されることにより形成されている。詳しくは、図10に示すように、ケーブル14の長手方向において、芯線142を露出させているケーブル被覆141の端部から開口部22までの区間において、ケーブル被覆141とフィルム2とが熱接着されることにより、接合部3が形成されている。また、図9に示すように、ケーブル14は、図中上下両側からフィルム2に挟まれた状態となっている。上述した脱気工程がなされることにより、フィルム2は、図9においてケーブル14の全周を取り囲むように密着し、熱接着によって接合される。この結果、本実施形態においても、ケーブル14(すなわち物品1)のある全周にわたって、接合部3が設けられている。
自己接合領域24は、フィルム2のうち基板11からはみ出した部分同士が、ケーブル14を避けた領域において対面することにより、互いの内面接合層2aが熱接着によって接合された部位である。図8に示すように、自己接合領域24は、基板11の図中下端縁のうちケーブル14が設けられた箇所以外の部位と開口部22との間において基板11側を密閉する構成となっている。
本実施形態によっても、物品1の一部をフィルム2から露出させつつ、物品1を適切に保護することができる。また、本実施形態においては、接続部13およびケーブル14の一部がフィルム2から露出しており、基板11は、その全体がフィルム2の密着領域21によって被覆されている。このため、たとえば塩害などが懸念される環境において、基板11をより適切に保護することができる。
接合部3は、フィルム2とケーブル14のケーブル被覆141とが接合されることによって形成されている。ケーブル14は、接続部13について基板11に対してより自由な姿勢を取らせることにより、フィルム被覆物品A2を様々な姿勢で電子機器等に組み込むことを達成させる。このようなケーブル14は、柔軟であり屈曲自在である。このため、フィルム被覆物品A2の製造工程においては、ケーブル14の形状が不安定となりやすい。しかし、本実施形態においては、フィルム2(フィルム材料20)の内面接合層2aとケーブル14の接合層としてのケーブル被覆141とを熱接着させることにより、接合部3が形成されている。ケーブル14が不安定な状態であっても、フィルム材料20は、ケーブル14の形状に沿って顕著に延伸および変形可能である。したがって、ケーブル14のような屈曲自在な部材であっても、これに適切に接合された接合部3を形成することができる。
また、本実施形態においては、接合部3に加えてフィルム2に自己接合領域24が形成されている。自己接合領域24は、基板11と開口部22との間において、密着部4における密着よりも強い接合力で接合部3とともにフィルム2を封止する部位となっている。これにより、基板11および電子部品12をより確実に保護することができる。また、本実施形態においては、開口部22は、接合部3(接合領域23)および自己接合領域24の端縁と一致しており、接合部3(接合領域23)や自己接合領域24から離間した自由端によって構成されていない。このため、開口部22を起点としてフィルム2がめくられることを回避可能である。これは、密着部4(密着領域21)による基板11および電子部品12の保護に好ましい。
本発明に係るフィルム被覆物品は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るフィルム被覆物品の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
本発明に用いられる物品は、上述した電子モジュールに限定されず、様々な物品を採用可能である。また、本発明で言う露出部は、個々の物品に応じて様々な構成とされる。たとえば、物品1が流体を用いた動作を行うものである場合、露出部としての接続部13は、流体の流入口や流出口として構成されてもよい。また、露出部は、接続部13に限定されず、フィルム2から露出することにより、物品1の使用や保護などに寄与しうるものであればよい。たとえば、物品1の一部がフィルム2から露出することにより、使用者がこの露出部を把持するための把持部や、外部のフックなどに係合することにより物品1を支持するための係合部であってもよい。
A1,A2 フィルム被覆物品
1 物品
11 基板
12 電子部品
13 接続部
14 ケーブル
141 ケーブル被覆(外面接合層)
142 芯線
15 接合部材(外面接合層)
2 フィルム
20 フィルム材料
21 密着領域
22 開口部
23 接合領域
24 自己接合領域
2a 内面接合層
2b 基層
2c 外面層
3 接合部
4 密着部
71 脱気テーブル
711 脱気孔
72 支持部材
721 脱気孔
L レーザー光

Claims (10)

  1. 物品と、
    前記物品の少なくとも一部を覆うフィルムと、を備え、
    前記物品と前記フィルムとの間が脱気された、フィルム被覆物品であって、
    前記フィルムにより形成された開口部と、
    前記脱気によって前記物品と前記フィルムとが密着した領域を少なくとも含む密着部と、
    前記密着部よりも前記フィルムの前記開口部寄りの位置において、前記脱気による密着よりも強い接合力で前記物品と前記フィルムとが接合された接合部と、を有することを特徴とする、フィルム被覆物品。
  2. 前記接合部は、前記開口部の全体と前記密着部の全体とを互いに区画するように、前記物品のある全周にわたって形成されている、請求項1に記載のフィルム被覆物品。
  3. 前記フィルムは、厚さ方向内側に内面接合層を備え、
    前記物品は、その表面に外面接合層を備え、
    前記接合部は、前記内面接合層と前記外面接合層とが接合された部位である、請求項1または2に記載のフィルム被覆物品。
  4. 前記外面接合層は、前記物品に設けられた接合部材である、請求項3に記載のフィルム被覆物品。
  5. 前記接合部材は、前記物品に貼付されたテープである、請求項4に記載のフィルム被覆物品。
  6. 前記接合部材は、前記物品に塗布された接着剤である、請求項4に記載のフィルム被覆物品。
  7. 前記接合部は、前記内面接合層と前記外面接合層とが、熱により接合された部位である、請求項3ないし6のいずれかに記載のフィルム被覆物品。
  8. 前記物品は、前記接合部から外部に露出する露出部を有する、請求項1または7に記載のフィルム被覆物品。
  9. 前記物品の前記露出部は、外部との接続に用いられる接続部を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載のフィルム被覆物品。
  10. 前記物品は、前記接合部よりも内方において前記密着部を構成する基板および該基板に実装された電子部品、を有しており、
    前記接続部は、前記電子部品に導通している、請求項9に記載のフィルム被覆物品。
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