JP2015533587A - ロール状に変形可能なスプリングコイル内蔵マットレス - Google Patents

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Abstract

本発明は、スプリングコイルを含むスプリング構造体(1)と、スプリング構造体(1)の前後左右を取り囲む弾性体からなるフレーム(2)と、スプリング構造体(1)及びフレーム(2)の上面側に設けられた上面展張材(3)と、スプリング構造体(1)及びフレーム(2)の下面側に設けられた下面展張材(4)と、を備えたことを特徴とするスプリングコイル内蔵マットレス(10)である。上面展張材(3)及び下面展張材(4)の各々が、厚み0.5cm以上の300g圧縮樹脂綿〜600g圧縮樹脂綿、または、厚み0.5cm以上の300gハードフェルト〜600gハードフェルトからなることにより、丸めてロール状に変形させることが可能であり、且つ、当該ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な状態に復帰することが可能である。

Description

本発明は、丸めてロール状に変形させることが可能なスプリングコイル内蔵マットレスに関する。
クッション性のよいマットレスとして、スプリングコイルが略全面に広がるように内蔵されたマットレスが広く知られている。スプリングコイルとしては、ポケットコイルやボンネルコイルが知られている。
マットレスの周縁部は、従前はボーダーワイヤと呼ばれる金属製のフレームが内蔵されることが多かったが、近年では弾性体が内蔵されることも多い。例えば実用新案登録第3008437号(特許文献1)に記載されたスプリングマットレスでは、ポケットコイルからなるスプリング構造体が、ウレタン製の弾性体によって包み込まれている。また、特開2010−284425(特許文献2)に記載されたマットレスでは、ポケットコイルからなるスプリング構造体の側面全体がファイバークッションで覆われている。
一方で、収納スペースを小さくできるため、丸めてロール状に変形させることが可能なウレタン製マットレスも広く知られている。
前記した通り、ウレタン製マットレスは、丸めてロール状に変形させることが可能であるため、収納スペースを小さくできるというメリットがある。しかしながら、ウレタン製マットレスの寝心地は、スプリングコイル内蔵マットレスの寝心地と比較すると、顕著に劣る。
従って、スプリングコイル内蔵マットレスを丸めてロール状に変形させることができれば、収納時あるいは搬送時のスペースを小さくできるため、大変に画期的である。
本件発明者は、そのような観点から鋭意検討を重ね、丸めてロール状に変形させることが可能なスプリングコイル内蔵マットレスの開発に取り組んできた。丸めてロール状に変形させるだけなら、丸める際に与える力を大きくすれば、さほど困難ではなかった。しかしながら、マットレスとしての性能を十分に発揮するためには、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰する必要がある。
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、丸めてロール状に変形させることが可能なスプリングコイル内蔵マットレスであって、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰することができるようなスプリングコイル内蔵マットレスを提供することである。
本発明は、スプリングコイルを含むスプリング構造体と、前記スプリング構造体の前後左右を取り囲む弾性体からなるフレームと、前記スプリング構造体及び前記フレームの上面側に設けられた上面展張材と、前記スプリング構造体及び前記フレームの下面側に設けられた下面展張材と、を備えたことを特徴とするスプリングコイル内蔵マットレスであって、上面展張材及び下面展張材の各々は、厚み0.5cm以上の300g圧縮樹脂綿〜600g圧縮樹脂綿、または、厚み0.5cm以上の300gハードフェルト〜600gハードフェルトからなり、丸めてロール状に変形させることが可能であり、且つ、当該ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な状態に復帰することが可能であることを特徴とするスプリングコイル内蔵マットレスである。
本発明によれば、上面展張材として十分な張力(復元力)を有する厚み0.5cm以上の300g圧縮樹脂綿〜600g圧縮樹脂綿、または、厚み0.5cm以上の300gハードフェルト〜600gハードフェルトを採用すると共に、下面展張材として十分な張力(復元力)を有する厚み0.5cm以上の300g圧縮樹脂綿〜600g圧縮樹脂綿、または、厚み0.5cm以上の300gハードフェルト〜600gハードフェルトを採用したことによって、丸めてロール状に変形させることが可能である一方で、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰することが可能なスプリングコイル内蔵マットレスを提供することができる。
このような上面展張材及び下面展張材の特性は、本件発明者による鋭意の検討と種々の実験結果とによって漸く知見されたものである。正解が無い(ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰するような条件が無い)かもしれない状況での本件発明者による取り組みは、単なる設計変更の類とは次元が異なるものであった。
前記のような上面展張材及び下面展張材の特性が採用される場合、本件発明者による実際の検証により、スプリングコイルが60mm〜170mmという十分な厚みを有している場合であっても、丸めてロール状に変形させることが可能である一方で、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰することが可能であった。スプリングコイルが60mm〜170mmという十分な厚みを有している場合、寝心地は極めて良く、マットレスとしての性能も極めて高いと言える。
本件発明者による実際の検証によれば、スプリングコイルのバネ定数は、9.3N/mm〜9.9N/mmであることが好ましい。この範囲であれば、丸めてロール状に変形させることが可能である一方で、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰することが可能であった。また、スプリングコイルのバネ定数が9.3N/mm〜9.9N/mmであれば、寝心地は極めて良く、マットレスとしての性能も極めて高いと言える。
フレームを構成する弾性体としては、公知の種々の材料が採用され得る。例えば、25〜40kg/mの密度を有するウレタンが採用され得る。特に、本件発明者による実際の検証によれば、フレームを構成する弾性体として5cm〜7cmの幅を有するウレタンが採用される場合に、丸めてロール状に変形させることが可能である一方でロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰することが可能である、という性能の実現が確認された。
スプリングコイルは、例えば、ポケットコイルである。この場合、横方向に隣接するポケットコイルは、互いに連結されていることが好ましい。あるいは、スプリングコイルは、例えば、ボンネルコイルである。
本発明の第1の実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレスの概略分解図である。 スプリングコイル内蔵マットレスを丸める作業を示す概略図である。 本発明の第2の実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレスの概略分解図である。
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレスの概略分解図である。図1に示すように、本実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10は、シングルサイズ(97cm×195cm)であり、マトリクス状に配置されたポケットコイル1pを含むスプリング構造体1と、スプリング構造体1の前後左右を取り囲むフレーム2と、スプリング構造体1及びフレーム2の上面側に設けられた上面展張材3と、スプリング構造体1及びフレーム2の下面側に設けられた下面展張材4と、を備えている。上面展張材3の上面側には、ウレタン5と、ニット生地6と、が設けられており、下面展張材4の下面側には、ウレタン7と、ニット生地8と、が設けられている。
各ポケットコイル1pは、厚みが17cm、直径が6.5cm、巻数が5回となっており、9.3というバネ定数(弾発力)を有しており、布製の袋に収納されている。そして、そのようなポケットコイル1pが16×31個(図は簡略化されているため整合していない)マトリクス状に隣接配置され、横方向に隣接するポケットコイル1p(の袋)同士が互いに連結されて、スプリング構造体1が形成されている。
フレーム2を構成する材料としては、30kg/mの密度を有するウレタン(業界では、regular foamと称されているタイプ)が採用されており、幅が7cm、厚みはスプリング構造体1と同じ17cmとなっている。
もっとも、フレーム2と同一材料からなるシート材(不図示)がスプリング構造体1の上面側と下面側とのそれぞれに配置されて、それらサンドイッチ構造の全体がフレーム2によって取り囲まれていてもよい。
そして、上面展張材3は、厚み0.5cmの350g圧縮樹脂綿からなり、下面展張材4は、厚み0.5cmの350g圧縮樹脂綿からなる。素材としては、100%ポリエステルである。上面展張材3及び下面展張材4としてこのような特性が採用されたことにより、スプリングコイル内蔵マットレス10は、図2に示すように丸めてロール状に変形させることが可能である一方で、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰することが可能となっている。本件発明者による知見によれば、上面展張材3も下面展張材4も、300g圧縮樹脂綿〜600g圧縮樹脂綿の範囲で選択可能である(この範囲内で素材が選択されれば、本発明の効果が十分に得られる。)あるいは、300gハードフェルト〜600gハードフェルトの範囲で選択されてもよい。元の平坦な形状に確実に復帰するという性能の点では、圧縮樹脂綿の方がハードフェルトよりも好適である。また、上面展張材3と下面展張材4とで素材を異ならせてもよい。
上面側のウレタン5も下面側のウレタン7も、25kg/mの密度を有するウレタン(業界では、regular foamと称されているタイプ)が採用されており、厚みは2cmとなっている。もっとも、密度については、25kg/m〜40kg/mの範囲で選択可能であり、厚みについても、2〜6cmの範囲で選択可能である。さらに、上面側のウレタン5については、40kg/m〜80kg/mの密度を有する低反発ウレタン(業界では、memory foamと称されているタイプ)が採用されてもよい。
上面側のニット生地6及び下面側のニット生地8は、200g、100%Pのニット繊維と、20kg/mの密度を有する厚み1cmのウレタン(業界では、regular foamと称されているタイプ)と、30gの不織布と、が積層されたニット生地が採用されている。
以上のような構成からなる本実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10は、上面展張材3として十分な張力(復元力)を有する厚み0.5cmの350g圧縮樹脂綿を採用すると共に、下面展張材4として十分な張力(復元力)を有する厚み0.5cmの350g圧縮樹脂綿を採用したことによって、図2に示すように丸めてロール状に変形させることが可能である一方で、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰することが可能である。
本件発明者による知見によれば、上面展張材3及び下面展張材4の厚みは0.5cmに限定されず、0.5cm以上であれば、本実施の形態と同様の作用効果が得られる。
また、本実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10は、スプリングコイルが17cmという十分な厚みを有しており、また、各ポケットコイル1pが9.3というバネ定数(弾発力)を有しているため、寝心地が極めて良好で、マットレスとしての性能が極めて高い。
本件発明者によって実際に検証された、本発明において有効なポケットコイル1pの仕様について、以下の表1に示す。なお、セミシングルとは、85cm×195cmのサイズであり、セミダブルとは、120cm×195cmのサイズ、ダブルとは、140cm×195cmのサイズ、クィーンとは、170cm×195cmのサイズ、キングとは、200cm×195cmのサイズである。
Figure 2015533587
次に、図3は、本発明の第2の実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10’の概略分解図である。図3に示すように、本実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10’は、シングルサイズ(97cm×195cm)であり、マトリクス状に配置されたポケットコイル1pを含むスプリング構造体1の代わりに、マトリクス状に配置されたボンネルコイル1bを含むスプリング構造体1’が採用されている。
各ボンネルコイル1bは、厚みが17cm、直径が4.5cm〜6.5cm、巻数が5回となっており、9.3というバネ定数(弾発力)を有している。そして、そのようなボンネルコイル1bが10×32個(図は簡略化されているため整合していない)マトリクス状に配置されている。
その他の構成は、図1に示す第1の実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10と略同様である。第2の実施の形態において、図1に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
以上のような構成からなる本実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10’によっても、上面展張材3として十分な張力(復元力)を有する厚み0.5cmの350g圧縮樹脂綿を採用すると共に、下面展張材4として十分な張力(復元力)を有する厚み0.5cmの350g圧縮樹脂綿を採用したことによって、図2に示すように丸めてロール状に変形させることが可能である一方で、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に確実に復帰することが可能である。
また、本実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10’においても、スプリングコイルが17cmという十分な厚みを有しており、また、各ボンネルコイル1bが9.3というバネ定数(弾発力)を有しているため、寝心地が極めて良好で、マットレスとしての性能が極めて高い。
本件発明者によって実際に検証された、本発明において有効なボンネルコイル1bの仕様について、以下の表2に示す。なお、セミシングルとは、85cm×195cmのサイズであり、セミダブルとは、120cm×195cmのサイズ、ダブルとは、140cm×195cmのサイズ、クィーンとは、170cm×195cmのサイズ、キングとは、200cm×195cmのサイズである。
Figure 2015533587
以上の各実施の形態のスプリングコイル内蔵マットレス10、10’を搬送する際、本件発明者による知見によれば、スプリングコイル内蔵マットレス10、10’を丸めてロール状に変形させた後、当該スプリングコイル内蔵マットレス10、10’を袋材または筒材の中に空気と共に挿入して搬送することで、当該スプリングコイル内蔵マットレス10、10’を袋材または筒材に真空パックして搬送する態様と比較して、ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な形状に復帰する性能を高く維持することができる(真空パック:復元率95%程度、空気入り:復元率98%程度)。更に、真空パックを利用する態様では当該袋材または筒材の損傷時に破裂のおそれがあるが、予め空気を含んでいる態様ではそのような懸念が無い。また、予め空気を含んでいる態様では、袋材または筒材が密閉性能を有する必要がないため、開梱時の便宜のために例えばミシン目のような切目を袋材または筒材に予め入れておくことができる。
袋材または筒材としては、厚み0.12mm程度のPE(ポリエチレン)が採用可能である。
マットレスを丸めてロール状に変形させる工程と、丸めてロール状に変形されたマットレスを袋材または筒材の中に空気と共に挿入する工程と、を備えたマットレスの搬送方法は、本発明によるスプリングコイル内蔵マットレスに限定されることなく、丸めてロール状に変形できるマットレスに対して広く有効である。
1、1’ スプリング構造体
1p ポケットコイル
1b ボンネルコイル
2 フレーム
3 上面展張材
4 下面展張材
5 ウレタン
6 ニット生地
7 ウレタン
8 ニット生地
10、10’ スプリングコイル内蔵マットレス

Claims (9)

  1. スプリングコイルを含むスプリング構造体と、
    前記スプリング構造体の少なくとも前後または左右に配置された弾性体からなるフレームと、
    前記スプリング構造体及び前記フレームの上面側に設けられた上面展張材と、
    前記スプリング構造体及び前記フレームの下面側に設けられた下面展張材と、
    を備え、
    上面展張材及び下面展張材の各々は、厚み0.5cm以上の300g圧縮樹脂綿〜600g圧縮樹脂綿、または、厚み0.5cm以上の300gハードフェルト〜600gハードフェルトからなり、
    丸めてロール状に変形させることが可能であり、且つ、当該ロール状の変形状態を開放した時に元の平坦な状態に復帰することが可能である
    ことを特徴とするスプリングコイル内蔵マットレス。
  2. 前記弾性体は、5cm〜7cmの幅を有するウレタンである
    ことを特徴とする請求項1に記載のスプリングコイル内蔵マットレス。
  3. 前記弾性体は、25〜40kg/mの密度を有するウレタンである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のスプリングコイル内蔵マットレス。
  4. 前記スプリングコイルは、60mm〜170mmの厚みを有している
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスプリングコイル内蔵マットレス。
  5. 前記スプリングコイルのバネ定数は、9.3N/mm〜9.9N/mmである
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスプリングコイル内蔵マットレス。
  6. 前記スプリングコイルは、ポケットコイルである
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスプリングコイル内蔵マットレス。
  7. 横方向に隣接するポケットコイルは、互いに連結されている
    ことを特徴とする請求項6に記載のスプリングコイル内蔵マットレス。
  8. 前記スプリングコイルは、ボンネルコイルである
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスプリングコイル内蔵マットレス。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のスプリングコイル内蔵マットレスを搬送する搬送方法であって、
    前記スプリングコイル内蔵マットレスを丸めてロール状に変形させる工程と、
    丸めてロール状に変形されたスプリングコイル内蔵マットレスを袋材または筒材の中に空気と共に挿入する工程と、
    袋材または筒材の中に空気と共に挿入されたロール状に変形されたスプリングコイル内蔵マットレスを当該袋材または筒材と共に搬送する工程と、
    を備えたことを特徴とする搬送方法。
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