本明細書に添付される図面は、本発明に関する理解を提供するためのもので、本発明の様々な実施の形態を示し、明細書の記載と共に本発明の原理を説明するためのものである。
以下、本発明に係る好適な実施の形態を添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明の唯一の実施の形態を示すためのものではない。以下の詳細な説明は本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、このような具体的な細部事項なしにも本発明が実施され得るということが当業者には理解される。
以下の実施例は、本発明の構成要素と特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、特別の言及がない限り、選択的なものと考慮することができる。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合していない形態で実施されてもよく、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられてもよい。
以下の説明で使われる特定用語は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、このような特定用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更してもよい。
場合によって、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で図示されることもある。また、本明細書全体を通じて同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
本発明の実施例は、無線アクセスシステムであるIEEE 802システム、3GPPシステム、3GPP LTE及びLTE−A(LTE−Advanced)システム、並びに3GPP2システムの少なくとも一つに開示された標準文書によって裏付けることができる。すなわち、本発明の実施例において、本発明の技術的思想を明確にするために説明を省いた段階又は部分は、上記の文書によって裏付けることができる。また、本文書で開示している用語はいずれも上記の標準文書によって説明することができる。
以下の技術は、CDMA(Code Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)などのような様々な無線アクセスシステムに用いることができる。CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やCDMA2000のような無線技術(radio technology)によって具現することができる。TDMAは、GSM(Global System for Mobile communications)/GPRS(General Packet Radio Service)/EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)のような無線技術によって具現することができる。OFDMAは、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802−20、E−UTRA(Evolved UTRA)などのような無線技術によって具現することができる。明確性のために、以下では3GPP LTE及び3GPP LTE−Aシステムを中心に説明するが、本発明の技術的思想がこれに制限されるものではない。
WLANシステムの構造
図1は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの例示的な構造を示す図である。
IEEE 802.11構造は複数個の構成要素を含むことができ、それら構成要素の相互作用によって上位層に対してトランスペアレントなSTA移動性を支援するWLANを提供することができる。基本サービスセット(Basic Service Set;BSS)はIEEE 802.11 LANにおける基本的な構成ブロックに該当し得る。図1では、2個のBSS(BSS1及びBSS2)が存在し、それぞれのBSSのメンバーとして2個のSTAが含まれること(STA1及びSTA2はBSS1に含まれ、STA3及びSTA4はBSS2に含まれる)を例示的に示している。図1で、BSSを示す楕円は、当該BSSに含まれたSTAが通信を維持するカバレッジ領域を示すものと理解してもよい。この領域をBSA(Basic Service Area)と称することができる。STAがBSAの外へ移動すると、当該BSA内の他のSTAと直接通信できなくなる。
IEEE 802.11 LANにおいて最も基本的なタイプのBSSは、独立したBSS(Independent BSS;IBSS)である。例えば、IBSSは、2個のSTAだけで構成された最小の形態を有することができる。また、最も単純な形態であるとともに他の構成要素が省略されている図1のBSS(BSS1又はBSS2)がIBSSの代表的な例示に該当する。このような構成は、STA同士が直接通信できる場合に可能である。また、このような形態のLANは、あらかじめ計画して構成されるものではなく、LANが必要な場合に構成され、これをアド−ホック(ad−hoc)ネットワークと呼ぶこともできる。
STAがついたり消えたりすること、STAがBSS領域に/から入ったり出たりすることなどによって、BSSにおいてSTAのメンバーシップが動的に変更することがある。BSSのメンバーになるためには、STAは同期化過程を用いてBSSに加入すればよい。BSS基盤構造の全てのサービスにアクセスするためには、STAはBSSに連携されなければならない。このような連携(association)は動的に設定され、分配システムサービス(Distribution System Service;DSS)の利用を含んでもよい。
図2は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの他の例示的な構造を示す図である。図2は、図1の構造において、分配システム(Distribution System;DS)、分配システム媒体(Distribution System Medium;DSM)、アクセスポイント(Access Point;AP)などの構成要素が追加された形態である。
LANにおいて直接的なステーション−対−ステーションの距離はPHY性能によって制限されることがある。このような距離の限界が充分な場合もあれば、より遠い距離のステーション間の通信が必要な場合もある。拡張されたカバレッジを支援するために分配システム(DS)を構成することができる。
DSは、BSS同士が相互接続される構造を意味する。具体的に、図1のようにBSSが独立して存在する代わりに、複数個のBSSで構成されたネットワークの拡張された形態の構成要素としてBSSが存在してもよい。
DSは論理的な概念であり、分配システム媒体(DSM)の特性によって特定することができる。これと関連して、IEEE 802.11標準では無線媒体(Wireless Medium;WM)と分配システム媒体(DSM)とを論理的に区別している。それぞれの論理的媒体は互いに異なる目的のために使用され、互いに異なる構成要素によって使用される。IEEE 802.11標準の定義では、このような媒体を互いに同一なものとも、互いに異なるものとも制限しない。このように複数個の媒体が論理的に互いに異なるという点で、IEEE 802.11 LAN構造(DS構造又は他のネットワーク構造)の柔軟性を説明することができる。すなわち、IEEE 802.11 LAN構造は様々に具現することができ、それぞれの具現例の物理的な特性によって独立的に当該LAN構造を特定することができる。
DSは複数個のBSSのシームレス(seamless)な統合を提供し、あて先へのアドレスを扱うために必要な論理的サービスを提供することによって移動機器を支援することができる。
APとは、連携されているSTAに対してWMを介してDSへのアクセスを可能にし、且つSTA機能性を有する個体を意味する。APを介してBSS及びDS間のデータ移動が行われてもよい。例えば、図2に示すSTA2及びSTA3は、STAの機能性を有するとともに、連携されているSTA(STA1及びSTA4)をDSにアクセスさせる機能を持つ。また、いかなるAPも基本的にSTAに該当するため、APはいずれもアドレス可能な個体である。WM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスとDSM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスは必ずしも同一である必要はない。
APに連携されているSTAのいずれか一つから当該APのSTAアドレスに送信されるデータは、常に非制御ポート(uncontrolled port)で受信され、IEEE 802.1Xポートアクセス個体によって処理されてもよい。また、制御ポート(controlled port)が認証されると、送信データ(又は、フレーム)はDSに伝達されてもよい。
図3は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムのさらに他の例示的な構造を示す図である。図3では、図2の構造にさらに広いカバレッジを提供するための拡張されたサービスセット(Extended Service Set;ESS)を概念的に示す。
任意の(arbitrary)大きさ及び複雑度を有する無線ネットワークがDS及びBSSで構成されてもよい。IEEE 802.11システムではこのような方式のネットワークをESSネットワークと称する。ESSは、一つのDSに接続されたBSSの集合に該当し得る。しかし、ESSはDSを含まない。ESSネットワークはLLC(Logical Link Control)層でIBSSネットワークとして見える点が特徴である。ESSに含まれるSTAは互いに通信することができ、移動STAはLLCにトランスペアレントに一つのBSSから他のBSSに(同一ESS内で)移動することができる。
IEEE 802.11では、図3におけるBSSの相対的な物理的位置について何ら仮定しておらず、次のようないずれの形態も可能である。BSSは部分的に重なってもよく、これは、連続したカバレッジを提供するために一般に利用される形態である。また、BSSは物理的に接続していなくてもよく、論理的にはBSS同士間の距離に制限はない。また、BSS同士は物理的に同一位置に位置してもよく、これは冗長性を提供するために用いることができる。また、一つ(又は、一つ以上の)IBSS又はESSネットワークが一つ(又は一つ以上の)ESSネットワークとして同一空間に物理的に存在してもよい。これは、ESSネットワークが存在する位置にアド−ホックネットワークが動作する場合、互いに異なる機関(organizations)によって物理的に重なるIEEE 802.11ネットワークが構成される場合、又は、同一位置で2つ以上の互いに異なるアクセス及び保安政策が必要な場合などにおける、ESSネットワーク形態に該当し得る。
図4は、無線LANシステムの例示的な構造を示す図である。図4では、DSを含む基盤構造BSSの一例が示されている。
図4の例示で、BSS1及びBSS2がESSを構成する。無線LANシステムにおいてSTAはIEEE 802.11のMAC/PHY規定に従って動作する機器である。STAはAP STA及び非−AP(non−AP)STAを含む。Non−AP STAは、ラップトップコンピュータ、移動電話機のように、一般にユーザが直接扱う機器に該当する。図4の例示で、STA1、STA3、STA4はnon−AP STAに該当し、STA2及びSTA5はAP STAに該当する。
以下の説明で、non−AP STAは、端末(terminal)、無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit;WTRU)、ユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動端末(Mobile Terminal)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などと呼ぶことができる。また、APは、他の無線通信分野における基地局(Base Station;BS)、ノード−B(Node−B)、発展したノード−B(evolved Node−B;eNB)、基底送受信システム(Base Transceiver System;BTS)、フェムト基地局(Femto BS)などに対応する概念である。
リンクセットアップ過程
図5は、一般のリンクセットアップ(link setup)過程を説明するための図である。
STAがネットワークに対してリンクをセットアップし、データを送受信するためには、まず、ネットワークを発見(discovery)し、認証(authentication)を行い、連携(association)を確立(establish)し、保安(security)のための認証手順などを行わなければならない。リンクセットアップ過程をセッション開始過程、セッションセットアップ過程と呼ぶこともできる。また、リンクセットアップ過程における発見、認証、連携、保安設定の過程を総称して連携過程と呼ぶこともできる。
図5を参照して例示的なリンクセットアップ過程について説明する。
段階S510で、STAはネットワーク発見動作を行うことができる。ネットワーク発見動作はSTAのスキャニング(scanning)動作を含むことができる。すなわち、STAがネットワークにアクセスするためには、参加可能なネットワークを探さなければならない。STAは無線ネットワークに参加する前に互換可能なネットワークを識別しなければならないが、特定領域に存在するネットワーク識別過程をスキャニングという。
スキャニング方式には、能動的スキャニング(active scanning)と受動的スキャニング(passive scanning)がある。
図5では例示として能動的スキャニング過程を含むネットワーク発見動作を示す。能動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移りながら周辺にどのAPが存在するかを探索するためにプローブ要求フレーム(probe request frame)を送信して、それに対する応答を待つ。応答者(responder)は、プローブ要求フレームを送信したSTAに、プローブ要求フレームに対する応答としてプローブ応答フレーム(probe response frame)を送信する。ここで、応答者は、スキャニングされているチャネルのBSSで最後にビーコンフレーム(beacon frame)を送信したSTAであってもよい。BSSでは、APがビーコンフレームを送信するため、APが応答者となり、IBSSでは、IBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを送信するため、応答者が一定でない。例えば、1番チャネルでプローブ要求フレームを送信し、1番チャネルでプローブ応答フレームを受信したSTAは、受信したプローブ応答フレームに含まれたBSS関連情報を保存し、次のチャネル(例えば、2番チャネル)に移動して同一の方法でスキャニング(すなわち、2番チャネル上でプローブ要求/応答の送受信)を行うことができる。
図5には示していないが、スキャニング動作は受動的スキャニング方式で行われてもよい。受動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移動しながらビーコンフレームを待つ。ビーコンフレームは、IEEE 802.11において管理フレーム(management frame)の一つであり、無線ネットワークの存在を知らせ、スキャニングを行うSTAが無線ネットワークを探して無線ネットワークに参加できるように、周期的に送信される。BSSでAPがビーコンフレームを周期的に送信する役割を担い、IBSSではIBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを送信する。スキャニングを行うSTAはビーコンフレームを受信すると、ビーコンフレームに含まれたBSSに関する情報を保存し、他のチャネルに移動しながら各チャネルでビーコンフレーム情報を記録する。ビーコンフレームを受信したSTAは、受信したビーコンフレームに含まれたBSS関連情報を保存し、次のチャネルに移動して同一の方法で次のチャネルでスキャニングを行うことができる。
能動的スキャニングと受動的スキャニングとを比較すれば、能動的スキャニングが受動的スキャニングに比べて遅延(delay)及び電力消耗が小さいという利点がある。
STAがネットワークを発見した後に、段階S520で認証過程を行うことができる。このような認証過程は、後述する段階S540の保安セットアップ動作と明確に区別するために、第1の認証(first authentication)過程と呼ぶことができる。
認証過程は、STAが認証要求フレーム(authentication request frame)をAPに送信し、これに応答してAPが認証応答フレーム(authentication response frame)をSTAに送信する過程を含む。認証要求/応答に用いられる認証フレーム(authentication frame)は管理フレームに該当する。
認証フレームは、認証アルゴリズム番号(authentication algorithm number)、認証トランザクションシーケンス番号(authentication transaction sequence number)、状態コード(status code)、検問テキスト(challenge text)、RSN(Robust Security Network)、有限循環グループ(Finite Cyclic Group)などに関する情報を含むことができる。これは、認証要求/応答フレームに含まれ得る情報の一例示に過ぎず、他の情報に置き換わったり、追加の情報がさらに含まれたりしてもよい。
STAは認証要求フレームをAPに送信することができる。APは、受信された認証要求フレームに含まれた情報に基づいて、当該STAに対する認証を許容するか否かを決定することができる。APは認証処理の結果を認証応答フレームを用いてSTAに提供することができる。
STAが成功裏に認証された後に、段階S530で連携過程を行うことができる。連携過程は、STAが連携要求フレーム(association request frame)をAPに送信し、それに応答してAPが連携応答フレーム(association response frame)をSTAに送信する過程を含む。
例えば、連携要求フレームは、様々な能力(capability)に関する情報、ビーコン聴取間隔(listen interval)、SSID(service set identifier)、支援レート(supported rates)、支援チャネル(supported channels)、RSN、移動性ドメイン、支援オペレーティングクラス(supported operating classes)、TIM放送要求(Traffic Indication Map Broadcast request)、相互動作(interworking)サービス能力などに関する情報を含むことができる。
例えば、連携応答フレームは、様々な能力に関する情報、状態コード、AID(Association ID)、支援レート、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)パラメータセット、RCPI(Received Channel Power Indicator)、RSNI(Received Signal to Noise Indicator)、移動性ドメイン、タイムアウト間隔(連携カムバック時間(association comeback time))、重畳(overlapping)BSSスキャンパラメータ、TIM放送応答、QoSマップなどの情報を含むことができる。
これは連携要求/応答フレームに含まれ得る情報の一例に過ぎず、他の情報に置き換わったり、追加の情報がさらに含まれたりしてもよい。
STAがネットワークに成功裏に連携された後に、段階S540で保安セットアップ過程を行うことができる。段階S540の保安セットアップ過程は、RSNA(Robust Security Network Association)要求/応答を通じた認証過程ということもでき、上記の段階S520の認証過程を第1の認証(first authentication)過程とし、段階S540の保安セットアップ過程を単純に認証過程と呼ぶこともできる。
段階S540の保安セットアップ過程は、例えば、EAPOL(Extensible Authentication Protocol over LAN)フレームを通じた4−ウェイ(way)ハンドシェーキングを通じて、プライベートキーセットアップ(private key setup)をする過程を含むことができる。また、保安セットアップ過程は、IEEE 802.11標準で定義しない保安方式によって行われてもよい。
WLANの進化
無線LANで通信速度の限界を克服するために比較的最近に制定された技術標準としてIEEE 802.11nがある。IEEE 802.11nは、ネットワークの速度と信頼性を増大させ、且つ無線ネットワークの運営距離を拡張することに目的がある。より具体的には、IEEE 802.11nは、データ処理速度が最大540Mbps以上である高処理率(High Throughput;HT)を支援するとともに、送信エラーを最小化し、データ速度を最適化するために送信端と受信端の両方とも多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術に基づいている。
無線LANの普及が活性化され、さらにそれを用いたアプリケーションが多様化するに伴って、最近ではIEEE 802.11nが支援するデータ処理速度よりも高い処理率を支援するための新しい無線LANシステムの必要性が台頭している。超高処理率(Very High Throughput;VHT)を支援する次世代無線LANシステムは、IEEE 802.11n無線LANシステムの次のバージョン(例えば、IEEE 802.11ac)であり、MACサービスアクセスポイント(Service Access Point;SAP)で1Gbps以上のデータ処理速度を支援するために最近に新しく提案されているIEEE 802.11無線LANシステムの一つである。
次世代無線LANシステムは、無線チャネルを効率的に利用するために複数のSTAが同時にチャネルにアクセスするMU−MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)方式の送信を支援する。MU−MIMO送信方式によれば、APが、MIMOペアリング(pairing)された一つ以上のSTAに同時にパケットを送信することができる。
また、ホワイトスペース(white space)で無線LANシステム動作を支援することが議論されている。例えば、アナログTVのデジタル化による遊休状態の周波数帯域(例えば、54〜698MHz帯域)のようなTVホワイトスペース(TVWS)での無線LANシステムの導入は、IEEE 802.11af標準として議論されている。しかし、これは例示に過ぎず、ホワイトスペースは、許可されたユーザ(licensed user)が優先して使用できる許可された帯域といえる。許可されたユーザは、許可された帯域の使用が許可されたユーザのことを意味し、許可された装置(licensed device)、プライマリユーザ(primary user)、優先的(現在の)ユーザ(incumbent user)などと呼ぶこともできる。
例えば、WSで動作するAP及び/又はSTAは、許可されたユーザに対する保護(protection)機能を提供しなければならない。例えば、WS帯域で特定帯域幅を有するように規約(regulation)上分割されている周波数帯域である特定WSチャネルを、マイクロホン(microphone)のような許可されたユーザが既に使用している場合、許可されたユーザを保護するために、AP及び/又はSTAは当該WSチャネルに該当する周波数帯域は使用することができない。また、AP及び/又はSTAは、現在フレーム送信及び/又は受信のために使用している周波数帯域を許可されたユーザが使用するようになると、当該周波数帯域の使用を中止しなければならない。
そのため、AP及び/又はSTAは、WS帯域中の特定周波数帯域の使用が可能か否か、すなわち、当該周波数帯域に許可されたユーザが存在するか否かを把握する手順を先行しなければならない。許可されたユーザが特定周波数帯域に存在するか否かを把握することをスペクトルセンシング(spectrum sensing)という。スペクトルセンシングメカニズムとして、エネルギー探知(energy detection)方式、信号探知(signature detection)方式などが活用される。受信信号の強度が一定値以上であれば、許可されたユーザが使用中であると判断したり、DTVプリアンブル(preamble)が検出されると、許可されたユーザが使用中であると判断することができる。
また、次世代通信技術としてM2M(Machine−to−Machine)通信技術が議論されている。IEEE 802.11無線LANシステムでもM2M通信を支援するための技術標準がIEEE 802.11ahとして開発されている。M2M通信は、一つ以上のマシン(Machine)が含まれる通信方式を意味し、MTC(Machine Type Communication)又は事物通信と呼ばれることもある。ここで、マシンとは、人間の直接的な操作や介入を必要としない個体(entity)を意味する。例えば、無線通信モジュールが搭載された検針機(meter)や自動販売機のような装置を含めて、ユーザの操作/介入無しに自動でネットワークに接続して通信を行うことができるスマートフォンのようなユーザ機器もマシンの例示に該当し得る。M2M通信は、デバイス間の通信(例えば、D2D(Device−to−Device)通信)、デバイスとサーバー(application server)間の通信などを含むことができる。デバイスとサーバー間の通信の例示としては、自動販売機とサーバー、POS(Point of Sale)装置とサーバー、電気、ガス又は水道検針機とサーバー間の通信が挙げられる。その他にも、M2M通信ベースのアプリケーション(application)には、保安(security)、運送(transportation)、ヘルスケア(health care)などが含まれてもよい。このような適用例の特性を考慮すると、一般に、M2M通信は、数多くの機器が存在する環境でたまに少量のデータを低速で送受信することを支援できるものでなければならない。
具体的に、M2M通信は多数のSTAを支援できるものでなければならない。現在定義されている無線LANシステムでは、一つのAPに最大2007個のSTAが連携される場合を仮定するが、M2M通信ではそれよりも多い個数(約6000個)のSTAが一つのAPに連携される場合を支援する方案が議論されている。また、M2M通信では低い送信速度を支援/要求するアプリケーションが多いと予想される。これを円滑に支援するために、例えば、無線LANシステムでは、TIM(Traffic Indication Map)要素に基づいてSTAが自身に送信されるデータの有無を認知できるが、TIMのビットマップサイズを減らす方案が議論されている。また、M2M通信では送信/受信間隔が非常に長いトラフィックが多いと予想される。例えば、電気/ガス/水道の使用量のように長い周期(例えば、1ケ月)ごとに大変少ない量のデータをやり取りすることが要求される。そのため、無線LANシステムでは、一つのAPに連携され得るSTAの個数が非常に多くなっても、一つのビーコン周期の間にAPから受信するデータフレームが存在するSTAの個数が大変少ない場合を効率的に支援する方案が議論されている。
このように無線LAN技術は急速に進化しつつあり、前述の例示に加えて、直接リンクセットアップ、メディアストリーミング性能の改善、高速及び/又は大規模の初期セッションセットアップの支援、拡張された帯域幅及び動作周波数の支援などのための技術が開発されている。
媒体アクセスメカニズム
IEEE 802.11に基づく無線LANシステムにおいて、MAC(Medium Access Control)の基本アクセスメカニズムは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)メカニズムである。CSMA/CAメカニズムは、IEEE 802.11 MACの分配調整機能(Distributed Coordination Function、DCF)とも呼ばれるが、基本的に「listen before talk」アクセスメカニズムを採用している。このような類型のアクセスメカニズムによれば、AP及び/又はSTAは送信を開始するに先立ち、所定の時間区間(例えば、DIFS(DCF Inter−Frame Space)の間に無線チャネル又は媒体(medium)をセンシング(sensing)するCCA(Clear Channel Assessment)を行うことができる。センシングの結果、媒体が遊休状態(idle status)と判断されると、当該媒体を介してフレーム送信を始める。一方、媒体が占有状態(occupied status)と感知されると、当該AP及び/又はSTAは自分の送信を開始せず、媒体アクセスのための遅延期間(例えば、任意バックオフ周期(random backoff period))を設定して待った後、フレーム送信を試みることができる。任意バックオフ周期の適用から、複数のSTAはそれぞれ異なった時間待った後にフレーム送信を試みることが期待されるため、衝突(collision)を最小化することができる。
また、IEEE 802.11 MACプロトコルはHCF(Hybrid Coordination Function)を提供する。HCFはDCFとPCF(Point Coordination Function)に基づく。PCFは、ポーリング(polling)ベースの同期式アクセス方式で、全ての受信AP及び/又はSTAがデータフレームを受信できるように周期的にポーリングする方式のことをいう。また、HCFは、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)とHCCA(HCF Controlled Channel Access)を有する。EDCAは、提供者が複数のユーザにデータフレームを提供するためのアクセス方式を競合ベースとするものであり、HCCAは、ポーリングメカニズムを用いた非競合ベースのチャネルアクセス方式を用いるものである。また、HCFは、WLANのQoS(Quality of Service)を向上させるための媒体アクセスメカニズムを含み、競合周期(Contention Period;CP)、非競合周期(Contention Free Period;CFP)のいずれにおいてもQoSデータを送信することができる。
図6は、バックオフ過程を説明するための図である。
図6を参照して任意バックオフ周期に基づく動作について説明する。占有(occupy又はbusy)状態だった媒体が遊休(idle)状態に変更されると、複数のSTAはデータ(又はフレーム)送信を試みることができる。この時、衝突を最小化するための方案として、STAはそれぞれ任意バックオフカウントを選択し、それに該当するスロット時間だけ待機した後、送信を試みることができる。任意バックオフカウントは、擬似−ランダム整数(pseudo−random integer)値を有し、0乃至CW範囲の値のいずれか一つに決定され得る。ここで、CWは、競合ウィンドウ(Contention Window)パラメータ値である。CWパラメータは初期値としてCWminが与えられるが、送信失敗の場合(例えば、送信されたフレームに対するACKを受信できなかった場合)に2倍の値を取ることができる。CWパラメータ値がCWmaxになると、データ送信に成功するまでCWmax値を維持しながらデータ送信を試みることができ、データ送信に成功する場合にはCWmin値にリセットされる。CW、CWmin及びCWmax値は2n−1(n=0,1,2,…)に設定されることが好ましい。
任意バックオフ過程が始まると、STAは、決定されたバックオフカウント値によってバックオフスロットをカウントダウンする間に続けて媒体をモニタする。媒体が占有状態とモニタされるとカウントダウンを止めて待機し、媒体が遊休状態になると残りのカウントダウンを再開する。
図6の例示で、STA3のMACに送信するパケットが到達した場合に、STA3はDIFSだけ媒体が遊休状態であることを確認し、直ちにフレームを送信することができる。一方、残りのSTAは、媒体が占有(busy)状態であることをモニタして待機する。その間にSTA1、STA2及びSTA5のそれぞれでも送信するデータが発生することがあり、それぞれのSTAは、媒体が遊休状態とモニタされると、DIFSだけ待機した後に、それぞれ選択した任意バックオフカウント値によってバックオフスロットのカウントダウンを行うことができる。図6の例示では、STA2が最も小さいバックオフカウント値を選択し、STA1が最も大きいバックオフカウント値を選択した場合を示す。すなわち、STA2がバックオフカウントを終えてフレーム送信を始める時点でSTA5の残余バックオフ時間はSTA1の残余バックオフ時間よりも短い場合を例示する。STA1及びSTA5は、STA2が媒体を占有する間に暫くカウントダウンを止めて待機する。STA2の占有が終了して媒体が再び遊休状態になると、STA1及びSTA5はDIFSだけ待機した後に、止めていたバックオフカウントを再開する。すなわち、残余バックオフ時間だけの余りのバックオフスロットをカウントダウンした後にフレーム送信を始めることができる。STA5の残余バックオフ時間がSTA1よりも短かったため、STA5がフレーム送信を始めるようになる。一方、STA2が媒体を占有する間にSTA4でも送信するデータが発生することがある。このとき、STA4の立場では、媒体が遊休状態になるとDIFSだけ待機した後、自身が選択した任意バックオフカウント値によるカウントダウンを行ってフレーム送信を始めることができる。図6の例示では、STA5の残余バックオフ時間がSTA4の任意バックオフカウント値と偶然に一致する場合を示し、この場合、STA4とSTA5間に衝突が発生することがある。衝突が発生する場合はSTA4、STA5両方ともACKを受けることができず、データ送信に失敗することになる。この場合、STA4とSTA5はCW値を2倍に増やした後に任意バックオフカウント値を選択してカウントダウンを行うことができる。一方、STA1は、STA4とSTA5の送信によって媒体が占有状態である間に待機しているが、媒体が遊休状態になると、DIFSだけ待機した後、残余バックオフ時間が経過するとフレーム送信を開始することができる。
STAのセンシング動作
前述したように、CSMA/CAメカニズムは、AP及び/又はSTAが媒体を直接センシングする物理的キャリアセンシング(physical carrier sensing)の他、仮想キャリアセンシング(virtual carrier sensing)も含む。仮想キャリアセンシングは、隠れたノード問題(hidden node problem)などのように媒体アクセスで発生し得る問題を補完するために用いられる。仮想キャリアセンシングのために、無線LANシステムのMACはネットワーク割当ベクトル(Network Allocation Vector;NAV)を用いることができる。NAVは、現在媒体を利用していたり又は利用する権限のあるAP及び/又はSTAが、媒体を使用可能な状態になるまで残っている時間を、他のAP及び/又はSTAに指示(indicate)する値である。したがって、NAVに設定された値は、当該フレームを送信するAP及び/又はSTAによって媒体の利用が予定されている期間に該当し、NAV値を受信するSTAは、当該期間において媒体アクセス(又は、チャネルアクセス)が禁止(prohibit)又は延期(defer)される。NAVは、例えば、フレームのMACヘッダ(header)の「duration」フィールドの値によって設定されてもよい。
また、衝突可能性を低減するために堅牢な衝突検出(robust collision detect)メカニズムが導入された。これについて図7及び図8を参照して説明する。実際にキャリアセンシング範囲と送信範囲は同一でないこともあるが、説明の便宜のために両者は同一であると仮定する。
図7は、隠れたノード及び露出されたノードを説明するための図である。
図7(a)は、隠れたノードに対する例示であり、STA AとSTA Bとが通信中にあり、STA Cが送信する情報を持っている場合である。具体的に、STA AがSTA Bに情報を送信している状況であるにもかかわらず、STA CがSTA Bにデータを送る前にキャリアセンシングを行う際、媒体が遊休状態にあると判断することがある。これは、STA Aの送信(すなわち、媒体占有)をSTA Cの位置ではセンシングできないこともあるためである。このような場合、STA BはSTA AとSTA Cの情報を同時に受け、衝突が発生することになる。このとき、STA AをSTA Cの隠れたノードということができる。
図7(b)は、露出されたノード(exposed node)に対する例示であり、STA BがSTA Aにデータを送信している状況で、STA CがSTA Dに送信する情報を持っている場合である。この場合、STA Cがキャリアセンシングを行うと、STA Bの送信によって媒体が占有された状態であると判断することができる。そのため、STA CがSTA Dに送信する情報を持っていても、媒体占有状態とセンシングされたため、媒体が遊休状態になるまで待たなければならない。しかし、実際にはSTA AはSTA Cの送信範囲外にあるため、STA Cからの送信とSTA Bからの送信とがSTA Aの立場では衝突しないこともあるため、STA Cは、STA Bが送信を止めるまで余分に待機することになる。このとき、STA CをSTA Bの露出されたノードということができる。
図8は、RTSとCTSを説明するための図である。
図7のような例示的な状況で衝突回避(collision voidance)メカニズムを効率的に利用するために、RTS(request to send)とCTS(clear to send)などの短いシグナリングパケット(short signaling packet)を利用することができる。両STA間のRTS/CTSは周囲のSTAがオーバーヒヤリング(overhearing)できるようにし、この周囲のSTAが上記両STA間の情報送信の有無を考慮するようにすることができる。例えば、データを送信しようとするSTAがデータを受けるSTAにRTSフレームを送信すると、データを受けるSTAはCTSフレームを周囲のSTAに送信することによって、自身がデータを受けることを知らせることができる。
図8(a)は、隠れたノード問題を解決する方法に関する例示であり、STA AとSTA CがいずれもSTA Bにデータを送信しようとする場合を仮定する。STA AがRTSをSTA Bに送ると、STA BはCTSを自身の周囲にあるSTA A及びSTA Cの両方に送信する。その結果、STA CはSTA AとSTA Bのデータ送信が終わるまで待機し、衝突を避けることができる。
図8(b)は、露出されたノード問題を解決する方法に関する例示であり、STA AとSTA B間のRTS/CTS送信をSTA Cがオーバーヒヤリングすることによって、STA Cは自身が他のSTA(例えば、STA D)にデータを送信しても衝突が発生しないと判断することができる。すなわち、STA Bは周囲の全STAにRTSを送信し、実際に送るデータを持っているSTA AのみがCTSを送信するようになる。STA Cは、RTSのみを受信し、STA AのCTSは受信できなかったため、STA AがSTA Cのキャリアセンシング外にあるということがわかる。
電力管理
前述したように、無線LANシステムではSTAが送受信を行う前にチャネルセンシングを行わなければならないが、チャネルを常にセンシングすることはSTAの持続的な電力消耗を引き起こす。受信状態での電力消耗は送信状態での電力消耗と大差がないため、受信状態を持続することも、電力の制限された(すなわち、バッテリーによって動作する)STAには大きな負担となる。したがって、STAが持続的にチャネルをセンシングするために受信待機状態を維持すると、無線LAN処理率の側面で特別な利点もなく電力を非効率的に消耗することになる。このような問題点を解決するために、無線LANシステムではSTAの電力管理(power management;PM)モードを支援する。
STAの電力管理モードはアクティブ(active)モード及び節電(power save;PS)モードに区別される。STAは基本的にアクティブモードで動作する。アクティブモードで動作するSTAは、アウェイク状態(awake state)を維持する。アウェイク状態は、フレーム送受信やチャネルスキャニングなどの正常動作が可能な状態である。一方、PSモードで動作するSTAは、スリープ状態(sleep state)(又は、ドーズ(dose)状態)とアウェイク状態(awake state)を切り替えながら動作する。スリープ状態で動作するSTAは、最小限の電力で動作し、フレーム送受信もチャネルスキャニングも行わない。
STAがスリープ状態でできるだけ長く動作するほど電力消耗が減るため、STAの動作期間が増加する。しかし、スリープ状態ではフレーム送受信が不可能なため、無条件に長く動作するわけにはいかない。スリープ状態で動作するSTAがAPに送信するフレームを有すると、アウェイク状態に切り替わってフレームを送信することができる。一方、APがSTAに送信するフレームがある場合、スリープ状態のSTAはそれを受信できないことはもとより、受信するフレームが存在するということも把握できない。したがって、STAは自身に送信されるフレームが存在するか否かを確認するために(また、存在するならそれを受信するために)特定周期に従ってアウェイク状態に切り替わる動作が必要でありうる。
図9は、電力管理動作を説明するための図である。
図9を参照すると、AP 210は、一定の周期でビーコンフレーム(beacon frame)をBSS内のSTAに送信する(S211、S212、S213、S214、S215、S216)。ビーコンフレームには、TIM(Traffic Indication Map)情報要素(Information Element)が含まれる。TIM情報要素は、AP 210が自身と連携されているSTAに対するバッファされたトラフィックが存在し、フレームを送信することを知らせる情報を含む。TIM要素には、ユニキャスト(unicast)フレームを知らせるために用いられるTIMと、マルチキャスト(multicast)又はブロードキャスト(broadcast)フレームを知らせるために用いられるDTIM(delivery traffic indication map)がある。
AP 210は、3回のビーコンフレームを送信する度に1回ずつDTIMを送信することができる。STA1 220及びSTA2 230はPSモードで動作するSTAである。STA1 220及びSTA2 230は、所定の周期のウェイクアップインターバル(wakeup interval)ごとにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わり、AP 210によって送信されたTIM要素を受信できるように設定されてもよい。それぞれのSTAは、自身のローカルクロック(local clock)に基づいてアウェイク状態に切り替わる時点を計算することができ、図9の例示ではSTAのクロックがAPのクロックと一致すると仮定する。
例えば、所定のウェイクアップインターバルは、STA1 220がビーコンインターバルごとにアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信できるように設定されてもよい。そのため、STA1 220は、AP 210が最初にビーコンフレームを送信する時(S211)にアウェイク状態に切り替わり得る(S221)。STA1 220は、ビーコンフレームを受信してTIM要素を取得することができる。取得されたTIM要素が、STA1 220に送信されるフレームがあることを示すと、STA1 220は、AP 210にフレーム送信を要求するPS−Poll(Power Save−Poll)フレームをAP 210に送信することができる(S221a)。AP 210は、PS−Pollフレームに対応してフレームをSTA1 220に送信することができる(S231)。フレーム受信を完了したSTA1 220は再びスリープ状態に切り替わって動作する。
AP 210が二番目にビーコンフレームを送信するにあたり、他の装置が媒体にアクセスするなどして媒体が占有された(busy medium)状態であるから、AP 210は正確なビーコンインターバルに合わせてビーコンフレームを送信できず、遅延された時点に送信することがある(S212)。この場合、STA1 220はビーコンインターバルに合わせて動作モードをアウェイク状態に切り替えるが、遅延送信されるビーコンフレームを受信できず、再びスリープ状態に切り替わる(S222)。
AP 210が三番目にビーコンフレームを送信する時、当該ビーコンフレームはDTIMと設定されたTIM要素を含むことができる。ただし、媒体が占有された(busy medium)状態であるから、AP 210はビーコンフレームを遅延して送信する(S213)。STA1 220は、ビーコンインターバルに合わせてアウェイク状態に切り替わって動作し、AP 210によって送信されるビーコンフレームからDTIMを取得することができる。STA1 220が取得したDTIMは、STA1 220に送信されるフレームはなく、他のSTAのためのフレームが存在することを示す場合を仮定する。この場合、STA1 220は、自身が受信するフレームがないことを確認し、再びスリープ状態に切り替わって動作することができる。AP 210はビーコンフレーム送信後にフレームを該当のSTAに送信する(S232)。
AP 210は、四番目にビーコンフレームを送信する(S214)。ただし、STA1 220は、その以前の2回にわたるTIM要素受信から、自身に対するバッファされたトラフィックが存在するという情報が取得できなかったため、TIM要素受信のためのウェイクアップインターバルを調整してもよい。又は、AP 210によって送信されるビーコンフレームにSTA1 220のウェイクアップインターバル値を調整するためのシグナリング情報が含まれた場合、STA1 220のウェイクアップインターバル値が調整されてもよい。本例示で、STA1 220はビーコンインターバルごとにTIM要素受信のために運営状態を切り替えたが、3回のビーコンインターバルごとに1回起床(起動)するように運営状態を切り替えるように設定してもよい。したがって、STA1 220は、AP 210が四番目のビーコンフレームを送信し(S214)、五番目のビーコンフレームを送信する時点に(S215)スリープ状態を維持するため、TIM要素を取得することができない。
AP 210が六番目にビーコンフレームを送信する時(S216)、STA1 220はアウェイク状態に切り替わって動作し、ビーコンフレームに含まれたTIM要素を取得することができる(S224)。TIM要素は、ブロードキャストフレームが存在することを示すDTIMであるから、STA1 220はPS−PollフレームをAP 210に送信することなく、AP 210によって送信されるブロードキャストフレームを受信することができる(S234)。一方、STA2 230に設定されたウェイクアップインターバルはSTA1 220に比べて長い周期に設定されてもよい。そのため、STA2 230は、AP 210が五番目にビーコンフレームを送信する時点(S215)にアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信することができる(S241)。STA2 230は、TIM要素から、自身に送信されるフレームが存在することがわかり、フレーム送信を要求するためにAP 210にPS−Pollフレームを送信することができる(S241a)。AP 210はPS−Pollフレームに対応してSTA2 230にフレームを送信することができる(S233)。
図9のような節電モードの運営のためにTIM要素には、STAに送信されるフレームが存在するか否かを示すTIM、又はブロードキャスト/マルチキャストフレームが存在するか否かを示すDTIMが含まれる。DTIMはTIM要素のフィールド設定によって具現することができる。
図10乃至図12は、TIMを受信したSTAの動作を詳しく説明するための図である。
図10を参照すると、STAは、APからTIMを含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わり、受信したTIM要素を解釈して、自身に送信されるバッファされたトラフィックがあることを確認できる。STAは、PS−Pollフレームの送信のための媒体アクセスのために他のSTAと競合(contending)を行った後に、APにデータフレーム送信を要求するためにPS−Pollフレームを送信することができる。STAによって送信されたPS−Pollフレームを受信したAPは、STAにフレームを送信することができる。STAはデータフレームを受信し、それに対する確認応答(ACK)フレームをAPに送信することができる。以降、STAは再びスリープ状態に切り替わり得る。
図10のように、APは、STAからPS−Pollフレームを受信した後、所定の時間(例えば、SIFS(Short Inter−Frame Space))後にデータフレームを送信する即時応答(immediate response)方式によって動作することができる。一方、APがPS−Pollフレームを受信した後に、STAに送信するデータフレームをSIFS時間の間に用意できなかった場合は、遅れた応答(deferred response)方式によって動作してもよく、それについて図11を参照して説明する。
図11の例示で、STAがスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってAPからTIMを受信し、競合を経てPS−PollフレームをAPに送信する動作は、図10の例示と同一である。APがPS−Pollフレームを受信したが、SIFSの間にデータフレームを用意できなかった場合、データフレームを送信する代わりにACKフレームをSTAに送信してもよい。APは、ACKフレーム送信後にデータフレームが用意されると、競合を行った後、データフレームをSTAに送信することができる。STAはデータフレームを成功裏に受信したことを示すACKフレームをAPに送信し、スリープ状態に切り替わり得る。
図12は、APがDTIMを送信する例示に関するものである。STAはAPからDTIM要素を含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってもよい。これらのSTAは、受信したDTIMから、マルチキャスト/ブロードキャストフレームが送信されることがわかる。APは、DTIMを含むビーコンフレームを送信後に、PS−Pollフレームの送受信動作無しで直ちにデータ(すなわち、マルチキャスト/ブロードキャストフレーム)を送信することができる。これらのSTAは、DTIMを含むビーコンフレームを受信してから引き続きアウェイク状態を維持しながらデータを受信し、データ受信が完了した後再びスリープ状態に切り替わり得る。
TIM構造
図9乃至図12を参照して上述したTIM(又は、DTIM)プロトコルに基づく節電モード運営方法において、STAは、TIM要素に含まれたSTA識別情報から、自身のために送信されるデータフレームが存在するか否かを確認することができる。STA識別情報は、STAとAPとの連携(association)時にSTAに割り当てられた識別子であるAID(Association Identifier)に関する情報であってよい。
AIDは一つのBSS内ではそれぞれのSTAに対する固有の(unique)識別子として使われる。一例として、現在の無線LANシステムにおいてAIDとしては1から2007までのいずれか一つの値を割り当てることができる。現在定義されている無線LANシステムでは、AP及び/又はSTAが送信するフレームにはAIDのために14ビットを割り当てることができ、AID値は16383まで割り当てることができるが、2008〜16383は予備(reserved)値として設定されている。
既存の定義によるTIM要素は、一つのAPに多数(例えば、2007個を超える)のSTAが連携され得るM2Mアプリケーションの適用には適していない。既存のTIM構造をそのまま拡張するとTIMビットマップのサイズが過大になるため、既存のフレームフォーマットでは支援することができず、また、低い伝送レートのアプリケーションを考慮するM2M通信に適していない。また、M2M通信では、一つのビーコン周期の間に受信データフレームが存在するSTAの個数は大変少ないと予想される。したがって、このようなM2M通信の適用例を考慮すれば、TIMビットマップのサイズは大きくなるが、大部分のビットが0値を有する場合が多く発生すると予想されるため、ビットマップを效率的に圧縮する技術が要求される。
既存のビットマップ圧縮技術として、ビットマップの先頭部分に連続する0を省略し、オフセット(offset)(又は、開始点)値で定義する方案がある。しかし、バッファされたフレームが存在するSTAの個数は少ないが、それぞれのSTAのAID値の差が大きい場合には圧縮効率が高くない。例えば、AIDが10と2000の値であるただ2つのSTAに送信するフレームのみがバッファされている場合、圧縮されたビットマップの長さは1990であるが、両端を除いてはいずれも0の値を有することになる。一つのAPに連携され得るSTAの個数が少ない場合にはビットマップ圧縮の非効率性があまり問題にならないが、STAの個数が増加する場合は、このような非効率性が全体システム性能を阻害する要素になることもある。
これを解決するための方案として、AIDを複数のグループに分けてより効果的なデータ送信を行うようにすることができる。各グループには、指定されたグループID(GID)が割り当てられる。このようなグループベースで割り当てられるAIDについて図13を参照して説明する。
図13(a)は、グループベースで割り当てられたAIDの一例を示す図である。図13(a)の例示では、AIDビットマップの先頭部におけるいくつかのビットを、GIDを示すために用いることができる。例えば、AIDビットマップにおける先頭の2ビットを用いて4個のGIDを示すことができる。AIDビットマップの全体長がNビットである場合、先頭の2ビット(B1及びB2)の値は当該AIDのGIDを示す。
図13(b)は、グループベースで割り当てられたAIDの他の例を示す図である。図13(b)の例示では、AIDの位置によってGIDを割り当てることができる。このとき、同一のGIDを使用するAIDはオフセット(offset)及び長さ(length)の値で表現することができる。例えば、GID 1がオフセットA及び長さBで表現されると、ビットマップ上でA乃至A+B−1のAIDがGID 1を有するということを意味する。例えば、図13(b)の例示で、全体1乃至N4のAIDが4個のグループに分割されると仮定する。この場合、GID 1に属するAIDは1乃至N1であり、このグループに属するAIDはオフセット1及び長さN1で表現することができる。次に、GID 2に属するAIDをオフセットN1+1及び長さN2−N1+1で表現することができ、GID 3に属するAIDをオフセットN2+1及び長さN3−N2+1で表現することができ、GID 4に属するAIDをオフセットN3+1及び長さN4−N3+1で表現することができる。
このようなグループベースで割り当てられるAIDが導入されると、GIDによって異なる時間区間にチャネルアクセスを許容できるようにすることによって、多数のSTAに対するTIM要素不足の問題を解決すると同時に、効率的なデータの送受信を行うことができる。例えば、特定時間区間では特定グループに該当するSTAにのみチャネルアクセスが許容され、残り他のSTAにはチャネルアクセスが制限(restrict)されてもよい。このように特定STAにのみアクセスが許容される所定の時間区間を、制限されたアクセスウィンドウ(Restricted Access Window;RAW)と呼ぶこともできる。
GIDによるチャネルアクセスについて図13(c)を参照して説明する。図13(c)では、AIDが3個のグループに分けられている場合、ビーコンインターバルによるチャネルアクセスメカニズムを例示的に示す。一番目のビーコンインターバル(又は、一番目のRAW)は、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスが許容される区間で、他のGIDに属するSTAのチャネルアクセスは許容されない。これを具現するために、一番目のビーコンにはGID 1に該当するAIDのみのためのTIM要素が含まれる。二番目のビーコンフレームにはGID 2を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって二番目のビーコンインターバル(又は、二番目のRAW)の間には、GID 2に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。三番目のビーコンフレームには、GID 3を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって三番目のビーコンインターバル(又は、三番目のRAW)の間には、GID 3に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。四番目のビーコンフレームには再びGID 1を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって四番目のビーコンインターバル(又は、四番目のRAW)の間には、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。続いて、五番目以降のビーコンインターバル(又は、五番目以降のRAW)のそれぞれにおいても、当該ビーコンフレームに含まれたTIMで示す特定グループに属したSTAのチャネルアクセスのみが許容されてもよい。
図13(c)では、ビーコンインターバルによって許容されるGIDの順序が循環的又は周期的である例示を示しているが、これに制限されることはない。すなわち、TIM要素に特定GIDに属するAIDのみを含めることによって、特定時間区間(例えば、特定RAW)の間に、これら特定AIDに該当するSTAのみのチャネルアクセスを許容し、残りのSTAのチャネルアクセスは許容しない方式で動作してもよい。
前述したようなグループベースAID割当方式は、TIMの階層的(hierarchical)構造と呼ぶこともできる。すなわち、全体AID空間を複数個のブロックに分割し、0以外の値を持つ特定ブロックに該当するSTA(すなわち、特定グループのSTA)のチャネルアクセスのみが許容されるようにすることができる。これによって、大きいサイズのTIMを小さいブロック/グループに分割して、STAがTIM情報を維持しやすくし、STAのクラス、サービス品質(QoS)、又は用途によってブロック/グループが管理しやすくなる。図13の例示では2−レベルの階層を示しているが、2つ以上のレベルの形態で階層的構造のTIMが構成されてもよい。例えば、全体AID空間を複数個のページ(page)グループに分割し、それぞれのページグループを複数個のブロックに区別し、それぞれのブロックを複数個のサブ−ブロックに分割することができる。このような場合、図13(a)の例示の拡張として、AIDビットマップにおいて先頭のN1個のビットはページID(すなわち、PID)を示し、その次のN2個のビットはブロックIDを示し、その次のN3個のビットはサブ−ブロックIDを示し、残りのビットがサブ−ブロック内のSTAビット位置を示す方式で構成されてもよい。
以下に説明する本発明の例示において、STA(又は、それぞれのSTAに割り当てられたAID)を所定の階層的なグループ単位に分割して管理する様々な方式が適用されてもよく、グループベースAID割当方式が上記の例示に制限されるものではない。
PPDUフレームフォーマット
PPDU(Physical Layer Convergence Protocol(PLCP) Packet Data Unit)フレームフォーマットは、STF(Short Training Field)、LTF(Long Training Field)、SIG(SIGNAL)フィールド、及びデータ(Data)フィールドを含むことができる。最も基本的な(例えば、non−HT(High Throughput))PPDUフレームフォーマットは、L−STF(Legacy−STF)、L−LTF(Legacy−LTF)、SIGフィールド及びデータフィールドのみで構成することができる。また、PPDUフレームフォーマットの種類(例えば、HT−mixedフォーマットPPDU、HT−greenfieldフォーマットPPDU、VHT(Very High Throughput)PPDUなど)によって、SIGフィールドとデータフィールドとの間に追加の(又は、他の種類の)STF、LTF、SIGフィールドが含まれてもよい。
STFは、信号検出、AGC(Automatic Gain Control)、ダイバーシティ選択、精密な時間同期などのための信号であり、LTFは、チャネル推定、周波数誤差推定などのための信号である。STFとLTFをあわせてPCLPプリアンブル(preamble)と呼ぶことができ、PLCPプリアンブルはOFDM物理層の同期化及びチャネル推定のための信号であるといえる。
SIGフィールドはRATEフィールド及びLENGTHフィールドなどを含むことができる。RATEフィールドはデータの変調及びコーディングレートに関する情報を含むことができる。LENGTHフィールドは、データの長さに関する情報を含むことができる。SIGフィールドはさらに、パリティ(parity)ビット、SIG TAILビットなどを含むことができる。
データフィールドは、SERVICEフィールド、PSDU(PLCP Service Data Unit)、PPDU TAILビットを含むことができて、必要によってパディングビット(padding bit)も含むことができる。SERVICEフィールドの一部のビットは、受信端でのデスクランブラの同期化のために用いることができる。PSDUは、MAC層で定義されるMAC PDUに対応し、上位層で生成/利用されるデータを含むことができる。PPDU TAILビットは、エンコーダを0状態にリターンするために用いることができる。パディングビットは、データフィールドの長さを所定の単位に合わせるために用いることができる。
MAC PDUは、様々なMACフレームフォーマットによって定義され、基本的なMACフレームは、MACヘッダー、フレームボディー、及びFCS(Frame Check Sequence)で構成される。MACフレームは、MAC PDUで構成され、PPDUフレームフォーマットのデータ部分のPSDUを通じて送信/受信され得る。
一方、ヌル−データパケット(NDP)フレームフォーマットは、データパケットを含まない形態のフレームフォーマットを意味する。すなわち、NDPフレームは、一般のPPDUフォーマットにおいてPLCPヘッダー部分(すなわち、STF、LTF及びSIGフィールド)のみを含み、残りの部分(すなわち、データフィールド)は含まないフレームフォーマットを意味する。NDPフレームを短い(short)フレームフォーマットと呼ぶこともできる。
短いビーコン
一般のビーコンフレームは、MACヘッダー、フレームボディー及びFCSで構成され、フレームボディーは次のようなフィールドを含むことができる。
タイムスタンプ(timestamp)フィールドは同期化(synchronization)のためのものであり、ビーコンフレームを受信した全てのSTAは自身のローカルクロックをタイムスタンプ値に合わせて変更/アップデートすることができる。
ビーコンインターバルフィールドは、ビーコン送信間の時間インターバルを示し、時間ユニット(TU)の単位で表現される。TUはマイクロ秒(μs)の単位にすることができ、例えば、1024μsと定義することができる。APがビーコンを送信すべき時点はTBTT(Target Beacon Transmission Time)と表現することができる。すなわち、ビーコンインターバルフィールドは、一つのビーコンフレームの送信時点から次のTBTTまでの時間間隔に該当する。以前のビーコンを受信したSTAは次のビーコンの送信時点をビーコンインターバルフィールドから計算することができる。一般にビーコンインターバルは100TUに設定することができる。
ケーパビリティ情報(capability information)フィールドは、装置/ネットワークのケーパビリティに関する情報を含む。例えば、アドホック又はインフラストラクチャーネットワークなどのネットワークのタイプ(type)をケーパビリティ情報フィールドで示すことができる。また、ポーリング支援の有無、暗号化に対する詳細な内容などを知らせるためにケーパビリティ情報フィールドを用いることもできる。
その他に、SSID、支援されるレート(supported rates)、FH(Frequency Hopping)パラメータセット、DSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)パラメータセット、CF(Contention Free)パラメータセット、IBSSパラメータセット、TIM、国(Country)IE、電力制限(Power Constraint)、QoSケーパビリティ、HT(High−Throughput)ケーパビリティなどがビーコンフレームに含まれてもよい。ただし、ビーコンフレームに含まれる上記のフィールド/情報は例示であり、この例示に本発明で言及するビーコンフレームが制限されるわけではない。
前述したような一般のビーコンフレームの他、短い(short)ビーコンフレームを定義することができる。このような短いビーコンと区別するために、既存の一般のビーコンをフル(full)ビーコンと呼ぶことができる。
図14は、短いビーコンを説明するための図である。
短いビーコンインターバルは、TUの単位で表現され、ビーコンインターバル(すなわち、フルビーコンのビーコンインターバル)は短いビーコンインターバルの整数倍と定義することができる。図14に示すように、フルビーコンインターバル=N*短いビーコンインターバルと定義することができる(ここで、N≧1)。例えば、フルビーコンが1回送信されてからその次のフルビーコンが送信される時間の間に、短いビーコンを1回以上送信することができる。図14には、フルビーコンインターバルの間に3回の短いビーコン(Short B)が送信される例を示す。
STAは、短いビーコンに含まれたSSID(又は、圧縮されたSSID)を用いて、自身の探しているネットワークが利用可能か否かを決定することができる。STAは、所望のネットワークが送信する短いビーコンに含まれたAPのMACアドレスに、連携要求を送信することできる。短いビーコンはフルビーコンに比べて頻繁に送信されるのが一般的であるため、短いビーコンを支援することによって、連携していないSTAが速やかに連携を結ぶことができる。STAは、連携のためにさらなる情報が必要な場合は、所望のAPにプローブ要求を送信することができる。また、短いビーコンに含まれたタイムスタンプ情報を用いて同期化を行うことができる。また、短いビーコンを用いて、システム情報(又は、ネットワーク情報又はシステムパラメータ)(以下、システム/ネットワーク情報(パラメータ)を総称して「システム情報」という。)が変更されたか否かを知らせることができる。システム情報が変更された場合に、STAはフルビーコンから、変更されたシステム情報を取得することもできる。また、短いビーコンはTIMを含むこともできる。すなわち、TIMは、フルビーコンを用いて提供されてもよく、短いビーコンを用いて提供されてもよい。
図15は、短いビーコンフレームに含まれる例示的なフィールドを説明するための図である。
FC(Frame Control)フィールドは、プロトコルバージョン(protocol version)、タイプ、サブタイプ、次のフルビーコン存在(Next full beacon present)、SSID存在(SSID present)、BSS BW(bandwidth)、保安(Security)フィールドを含むことができる。FCは2オクテット長を有することができる。
FCフィールドのサブフィールドのうち、プロトコルバージョンフィールドは2ビット長と定義し、基本的に0の値に設定することができる。タイプフィールド及びサブタイプフィールドはそれぞれ2ビット及び4ビット長と定義し、タイプフィールドとサブタイプフィールドが一緒に当該フレームの機能を示すことができる(例えば、当該フレームが短いビーコンフレームであることを示すことができる)。次のフルビーコン存在フィールドは、1ビット長と定義し、短いビーコンフレーム内に、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールド(又は、次のTBTTに関する情報)が含まれるか否かを示す値に設定することができる。SSID存在フィールドは1ビット長と定義し、短いビーコンフレーム内に、圧縮された(compressed)SSIDフィールドが存在するか否かを示す値に設定することができる。BSS BWフィールドは3ビット長と定義し、BSSの現在動作帯域幅(例えば、1、2、4、8又は16MHz)を示す値に設定することができる。保安フィールドは1ビット長と定義され、APがRSNA APか否かを示す値に設定することができる。その他残るビット(例えば、2ビット)は留保(reserved)にすることができる。
次に、短いビーコンフレームにおいてSA(Source Address)フィールドは、短いビーコンを送信するAPのMACアドレスであってもよい。SAは6オクテット長を有することができる。
タイムスタンプフィールドは、APのタイムスタンプのLSB(Least Significant Bit)4バイト(すなわち、4オクテット)を含むことができる。全体タイムスタンプではなくLSB 4バイトしか提供されなくても、全体タイムスタンプ値を既に受信したことのある(例えば、連携している)STAが同期化を行うには上記LSB 4バイト値で充分であるためである。
変更シーケンス(Change Sequence)フィールドは、システム情報が変更されるか否かを示す情報を含むことができる。具体的に、ネットワークの重要な(critical)情報(例えば、フルビーコン情報)が変更される場合に、変更シーケンスカウンタが1ずつ増加する。このフィールドは1オクテット長と定義される。
次のフルビーコンまでのデューレーション(Duration to Next Full Beacon)フィールドは、短いビーコンに含まれても含まれなくてもよい。このフィールドは、当該短いビーコン送信時点を基準に次のフルビーコンの送信時点までの時間長をSTAに知らせることができる。これによって、短いビーコンを聴取したSTAは次のフルビーコンまでドーズ(又は、スリープ)モードで動作して、電力消費を減らすことができる。又は、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドは、次のTBTTを示す情報として構成することもできる。このフィールドの長さは、例えば、3オクテットと定義することができる。
圧縮されたSSID(Compressed SSID)フィールドは、短いビーコンに含まれても含まれなくてもよい。このフィールドは、ネットワークのSSIDの一部又はSSIDのハッシュ(hashing)値を含むことができる。SSIDを用いて、当該ネットワークを既に知っているSTAが当該ネットワークを発見することを許容することができる。このフィールドの長さは、例えば、4オクテットと定義することができる。
短いビーコンフレームは、上記の例示したフィールドの他にも、追加的な又は選択的な(optional)フィールド又は情報要素(IE)を含むことができる。
FEC(Forward Error Correction)フィールドは短いビーコンフレームのエラーの有無を検査する用途に用いることができ、FCSフィールドとして構成することもできる。このフィールドは4オクテット長と定義することができる。
改善されたシステム情報アップデート方案
既存の無線LAN環境では、APが、システム情報を含むフルビーコンフレームを周期的に送信する方式で動作したが、発展した無線LAN環境では、システム情報を含むフルビーコンフレームが必ずしも周期的に送信されない方式で動作することもある。例えば、ホームLAN(home LAN)などの環境では、連携しているSTAが存在しない場合にはビーコンを送信しない方式で動作することもある。又は、フルビーコンフレームが周期的に送信される場合であっても、短いビーコンのオーバーヘッドを減らすために、短いビーコン内に、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドが含まれないこともある。この場合、APは、短いビーコンフレームのFCフィールドにおける次のフルビーコン存在フィールドの値を0に設定し、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドを含まない短いビーコンを送信することがある。
このような場合、APがフルビーコンを送信しないということをSTAに知らせないと、STAは続けてフルビーコンの受信を試みて失敗することを反復することになり、STAの電力消耗が増加することがある。また、短いビーコン内に次のフルビーコンの受信可能時点に関する情報が含まれないと、STAが短いビーコンを受信したとしても、フルビーコンが実際に送信されるまで引き続きフルビーコンの受信を試みるため、電力消耗が増加し得る。したがって、APは、自身がフルビーコンを送信しないということをSTAに速やかに知らせることによって、又は次のフルビーコンの送信が周期的に行われないということをSTAに速やかに知らせることによって、STAの電力消耗を減らすことができる。
また、APがフルビーコンを送信しないことをSTAが判断した場合は、当該STAは、フルビーコンを待つことなくプローブ要求/応答動作を行ってシステム情報を取得(obtain)し、当該APに連携を結ぶ動作を効率的に行うことができる。例えば、STAからのプローブ要求フレームを受信したAPはそれに応答して当該STAにシステム情報(例えば、SSID、支援されるレート、FHパラメータセット、DSSSパラメータセット、CFパラメータセット、IBSSパラメータセット、国(Country)IEなど)を含むプローブ応答フレームを送信することができる。これによって、STAは、プローブ応答フレームを介して提供されるシステム情報を取得し、連携要求/応答を行うことによって、当該APと連携を結ぶことができる。
既存の無線LAN動作では、システム情報の含まれたフルビーコンが周期的に送信されるため、システム情報が変更される場合、STAは次のビーコンを受信することによって、変更されたシステム情報を取得することができる。しかし、システム情報の含まれたフルビーコンが周期的に送信されない環境では、STAが変更されたシステム情報を適宜の時点に正しく取得できないこともある。この場合、STAは当該無線LANネットワークで正しく動作できなくなる。
本発明では、APが周期的にフルビーコンフレーム(すなわち、システム情報を含むフレーム)を送信しないシステムにおいて、STAが、変更されたシステム情報を正しく取得し、アップデートされたシステム情報を維持できる方案について提案する。
実施例1
本実施例は、APがシステム情報を含むフルビーコンフレームを周期的に送信するか否かをSTAに知らせる方案に関する。
例えば、フルビーコンが周期的に送信されるか否かを示す情報を短いビーコンフレームに含めてSTAに知らせることができる。
図16は、本発明の一例に係る短いビーコンフレームフォーマットを示す図である。
図16に示すように、短いビーコンフレームのFCフィールド内に、フルビーコン存在(Full beacon present)サブフィールドを定義することができる。フルビーコン存在フィールドは、周期的に送信されるフルビーコンが存在するか否かを示す値に設定することができる。例えば、APがフルビーコンを送信する場合(又は、フルビーコンを周期的に送信する場合)には、上記フルビーコン存在フィールドの値を1に設定することができる。もし、フルビーコン存在フィールドの値が0に設定される場合は、APがフルビーコンを送信しない(又は、フルビーコンを周期的に送信しない)ことを意味することができる。フルビーコン存在フィールドの値が0に設定される場合、短いビーコンのFCフィールドにおける次のフルビーコン存在フィールドも、短いビーコン内に次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドが存在しないことを示す値(例えば、0)に設定することができる。
図17は、本発明の他の例に係る短いビーコンフレームフォーマットを示す図である。
図17に示すように、短いビーコンのFCフィールドにおける次のフルビーコン存在フィールドの値が1に設定され、且つ、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドの値が所定の値を有する場合(例えば、全ビットが0に設定される場合、又は全ビットが1に設定される場合)には、フルビーコンが送信されないこと(又は、フルビーコンが周期的に送信されないこと)を示すことができる。図16の例示ではフルビーコンの存在の有無を示す明示的なフィールドをさらに定義することとは違い、図17の例示では、既存のフィールドの値が特定の組合せを構成する場合にフルビーコンが存在しないことを黙示的(implicitly)に示す方式を取っている。
図17では、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドの値が0に設定される場合に、APがフルビーコンを送信しないことを示す例を示している。この場合、APがフルビーコンを送信しなくても、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドは常に短いビーコンフレーム内に含まれなければならない。
実施例2
本実施例では、フルビーコン送信の有無によるAPとSTAの動作について説明する。
図18は、本発明の一例に係るフルビーコンフレーム送受信方法を説明するための図である。
APは自身と連携を結んでいるSTAが存在しない場合にはフルビーコンを送信しなくてもよく、このような場合、フルビーコンが送信されないということを、短いビーコンの特定フィールドを用いて(例えば、図17に示したように次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドの値を0に設定して)STAに知らせることができる。
以降、上記APと連携を結んでいるSTAが存在するようになると、当該APはフルビーコンも送信し始める。この場合、短いビーコンフレームにおける次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドの値は、次のフルビーコンの送信時点を知らせる値(例えば、0以外の値)に設定することができ、このような短いビーコンを受信したSTAは、次のフルビーコンの受信時点を決定することができる。
一方、図16に例示したように、APがフルビーコンを送信しない場合に、短いビーコンフレームに次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドを含めず、次のフルビーコン存在フィールドの値を0に設定することもできる。このような短いビーコンフレームを受信したSTAは、フルビーコンが送信されないと判定することができ、これによって、フルビーコンを待つことなく直ちに能動的スキャニングを行うことができる。又は、短いビーコンに含まれた情報から、フルビーコンが送信されないと判定したSTAは、短いビーコンを受信した時点から所定の期間(例えば、100ms(すなわち、デフォルトビーコンインターバル))待機し、この所定の期間でもフルビーコンを受信できないときに能動的スキャニングを行うように動作することもできる。
STAは能動的スキャニングによってAPにプローブ要求フレームを送信し、その応答としてAPからプローブ応答フレームを受信し、該プローブ応答フレームに含まれたシステム情報を取得することができる。また、このプローブ応答フレームにはシステム情報の変更有無を示す情報(例えば、変更シーケンス(又は、バージョン)情報)が含まれてもよい。変更シーケンス情報は、システム情報が変更される度に1ずつカウントされるという意味から、(AP)設定変更カウント(Configuration Change Count、CCC)情報と呼ぶこともできる。
図19は、本発明の他の例に係るフルビーコンフレーム送受信方法を説明するための図である。
STAは、短いビーコンフレームに含まれた情報から(例えば、図16又は図17に例示したように)、APがフルビーコンフレームを送信しないと判定した場合、APにフルビーコンフレームの送信を要求することができる。
そのために、STAはAPにフルビーコン要求(full beacon request)フレームを送信することができる。フルビーコン要求フレームを受信したAPは、それに応答してフルビーコンフレームの送信を始めることができる。
例えば、APはSTAからのフルビーコン要求フレームを受信してから所定の期間の間に又は所定の回数だけフルビーコンフレームを周期的に送信することができる。この所定の期間/回数は、STAの要求する値によって設定されてもよく、システム特性によってあらかじめ設定された値に基づいて設定されてもよい。
図20は、本発明のさらに他の例に係るフルビーコンフレーム送受信方法を説明するための図である。
図18で説明したように、STAからのフルビーコン要求フレームを受信したAPが直ちにフルビーコンフレームの送信を始めることができない場合は、フルビーコン応答フレームをSTAに送信することができる。フルビーコン応答フレームには、次のフルビーコンの送信時点をSTAが決定できる情報(例えば、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールド又は次のTBTTフィールド)を含めることができる。これによって、STAは次のフルビーコンの受信時点を決定することができる。
図19及び図20の例示では、STAがAPにフルビーコンを要求するためにフルビーコン要求フレームを送信するとしたが、これは既存のプローブ要求フレームを用いて行ってもよい。すなわち、APがフルビーコンを送信しないと判断したSTAは、APにプローブ要求フレームを送信することによってAPにフルビーコンの送信を要求することができる。そのために、プローブ要求フレームは、STAがフルビーコンフレームの送信を要求するということを示す情報を含むことができる。このような情報を含むプローブ要求フレームを受信したAPは、STAにフルビーコンフレームを送信することもでき、フルビーコンフレームを直ちに送信できない場合にはプローブ応答フレームを送信することによって、次のフルビーコンを受信し得る時点をSTAが決定できる情報を当該STAに提供することもできる。
要するに、APがフルビーコンフレームを送信しないと判断したSTAは、APにフルビーコンフレームを要求するためにフルビーコン要求フレーム/プローブ要求フレームを送信することができる。これに応答して、APはフルビーコンフレーム/フルビーコン応答フレーム/プローブ応答フレームを送信することができる。
ここで、APがSTAに送信するフルビーコン応答フレーム/プローブ応答フレームはそれぞれのSTAにユニキャスト(unicast)方式で送信されてもよく、ブロードキャスト(broadcast)方式で送信されてもよい。
図21は、ブロードキャスト方式プローブ応答フレームの送信について説明するための図である。
既存の無線LANシステムにおけるプローブ応答フレームはプローブ要求フレームに対する応答として送信され、プローブ要求フレームを送信したSTAのみのためのユニキャスト方式で送信された。しかし、本発明で提案するとおり、プローブ応答フレームはフルビーコン応答フレームと同様に、次のフルビーコンの送信時点に関する情報を提供する機能を果たすこともでき、そのためにはプローブ応答フレームがブロードキャストされる方が好適であり得る。
プローブ応答フレームをブロードキャスト方式で送信するように指示/要求する情報(図21の例示で、プローブ応答のブロードキャスト(broadcast of probe response)を示す情報)がプローブ要求フレームに含まれてもよい。このような場合、APはプローブ応答フレームをブロードキャスト方式で送信することができる。
例えば、プローブ応答フレームの受信アドレスフィールドの値をブロードキャスト識別子(例えば、ワイルドカード(wildcard)値)に設定することができる。また、ブロードキャスト方式で送信されるプローブ応答フレームのデータに対してBSS内の全STAが受信できるように最もロバスト(robust)な変調及びコーディング技法(例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)1/12、2反復(repetition))を適用することができる。
実施例3
既存の無線LAN動作ではシステム情報の含まれたフルビーコンが周期的に送信されるため、システム情報が変更される場合にSTAは次のフルビーコンを受信することによって、変更されたシステム情報を取得することができた。しかし、システム情報の含まれたフルビーコンが周期的に送信されない環境、又はフルビーコンは送信されず短いビーコンのみが送信される環境では、システム情報が変更されてもSTAがシステム情報を直ちにアップデートすることができない。
本実施例では、フルビーコンを送信しないシステムにおいてシステム情報が変更された場合に、STAが、変更されたシステム情報をアップデートする方法について提案する。
短いビーコンフレームを用いる無線LANシステム(例えば、IEEE 802.11ahシステム)において、フルビーコンフレームに、システム情報が変更されたか否かを知らせる情報が含まれるように定義できる。
システム情報が変更されたか否かを知らせる情報は、図22に示すような変更シーケンスフィールド又は設定変更シーケンス(configuration change sequence)フィールドとして定義することができる。変更シーケンスフィールドは、システム情報が変更されたか否かを示す値に設定することができる。具体的に、タイムスタンプ情報などのような動的要素(動的システム情報)を除く他のシステム情報(例えば、非−動的システム情報)が変更される場合に、変更シーケンスフィールドの値は1ずつ増加(increment)するように定義され、0から255までの値を有することができる(すなわち、モジューロ256が適用される)。前述した通り、変更シーケンスフィールドは、システム情報が変更される度に1ずつカウントされるという意味から、(AP)設定変更カウント(Configuration Change Count、CCC)フィールドと呼ぶこともできる。
ビーコン又はプローブ応答フレームに含まれた変更シーケンスの値が以前の値と同一に維持された場合に、STAは、ビーコンフレーム又はプローブ応答フレームに含まれた残りのフィールドが変更されていないと直ちに決定することができ、これら残りのフィールドを無視(disregard)することもできる。ただし、STAは、変更シーケンスの値が変更されていない場合にも、タイムスタンプ値のような動的情報を取得するように動作することができる。
また、本発明によれば、プローブ応答フレームに、システム情報の変更有無を示す情報(例えば、変更シーケンスフィールド)が含まれるように定義することもできる。すなわち、STAの送信したプローブ要求フレームに対する応答としてプローブ応答フレームをAPが送信する場合に、APはプローブ応答フレームに含まれたシステム情報に対応する変更シーケンスを含めて該プローブ応答フレームを送信することもできる。
これによって、STAがフルビーコンフレーム又はプローブ応答フレームを用いてシステム情報を取得する場合、取得されるシステム情報に関する変更シーケンス値を共に保存することができる。その後、STAが短いビーコンフレームやフルビーコンフレームを受信するようになると、短いビーコンフレームやフルビーコンフレームに含まれた変更シーケンス値と、STAが保存していた変更シーケンス値とを比較することができる。比較の結果、両方の値が一致すると、STAはシステム情報が変更されていないと判断することができる。一方、比較の結果、両方の値が互いに異なると、STAは、変更されたシステム情報をアップデートする動作を行うことができる。
ここで、フルビーコンフレームが送信される場合は、STAは、当該フルビーコンフレームを介して変更されたシステム情報を取得することができる。しかし、フルビーコンフレームが送信されない場合は、STAは、変更されたシステム情報をフルビーコンフレームを介して取得することができない。そこで、フルビーコンフレームが送信されない場合、変更されたシステム情報をアップデートするために次のような過程を行うことができる。
実施例3−1
本実施例は、プローブ要求/応答過程を用いてシステム情報のアップデートを行う方案に関する。
既存のプローブ要求/応答過程は、STAがAPを発見する過程で能動的スキャニングのために行った。これに加えて、本発明では、プローブ要求/応答過程をシステム情報のアップデートのために用いることを提案する。すなわち、既存のプローブ要求/応答過程は、APと連携を結んでいない状態のSTAが当該APとの連携を結ぶために行うものであるが、本発明によれば、APと既に連携を結んでいる状態のSTAがシステム情報のアップデートのためにプローブ要求を送信してAPからプローブ応答を受信することもできる。
図23は、本発明の一例に係るプローブ要求/応答過程を説明するための図である。
APと連携を結んでいるSTAが短いビーコンを受信した後、変更シーケンスの値を確認し、システム情報が変更されたことを確認することができる。図23に例示するように、STAが保存している変更シーケンスの値は1であるが、短いビーコンに含まれた変更シーケンスの値は2である場合に、STAは、システム情報が変更されたと判断することができる。
この場合、STAはAPにプローブ要求フレームを送信することができる。ここで、STAはプローブ要求フレームに、該当プローブ要求フレームがシステム情報をアップデートするためのプローブ要求フレームであることを示す情報をさらに含めることもできる。
STAからのプローブ要求フレームに応答して、APはSTAにプローブ応答フレームを送信することができる。このとき、APはプローブ応答フレームに現在の(current)システム情報(すなわち、アップデートされた/変更されたシステム情報)を含めてSTAに提供することができる。
また、変更されたシステム情報は、BSS内の全STAに共通に適用されるべきものであるため、一つのSTAがシステム情報のアップデートのためにプローブ要求を送信したとしても、プローブ応答フレームは当該一つのSTAへのユニキャスト方式で送信されず、BSS内の他のSTAのシステム情報アップデートのためにブロードキャスト方式で送信されてもよい。
図24は、本発明の他の例に係るプローブ要求/応答過程を説明するための図である。
前述したようなプローブ応答フレームは全てのシステム情報を含むことができる。すなわち、STAが保存していた以前のシステム情報を考慮せず、現在のネットワークの情報を全てSTAに提供することができる。これは、既存のフルビーコンで提供されるシステム情報は、特定STAのためのシステム情報ではなくBSS内の全STAのためのシステム情報であるから、全てのシステム情報を含むことが好適であり、既存のプローブ応答は、STAがネットワークに初めて連携を結ぶために提供されるものであるから、当該STAが当該ネットワークに関する情報を以前に持っていない状況で適切であるためである。
しかし、本発明で提案するとおり、APと既に連携を結んで該当のネットワークの情報(すなわち、変更される以前の情報)を保存していたSTAが、システム情報のアップデートのための動作を行う場合には、より効率的にシステム情報を提供することがより好ましい。すなわち、STAが以前に持っていたシステム情報と同一のシステム情報をプローブ応答フレームを用いて重複提供することは不必要であり、リソースの浪費につながり得るため、これを防止することが必要である。
したがって、STAが保存していたシステム情報(すなわち、以前システム情報)に比べて現在のシステム情報のうち、変更された部分のみ(すなわち、STAによってアップデートされるべきシステム情報の一つ以上の要素のみ)が提供されるようにすることを提案する。このようにシステム情報の変更に関する情報のみを含むプローブ応答フレームを、最適化した(optimized)プローブ応答フレームと呼ぶことができる。
図24を参照すると、STAが既に保存していた変更シーケンス値が1であり、APからの短いビーコンに含まれた変更シーケンス値が2であるとき、STAはシステム情報が変更されたと判断することができる。
STAがシステム情報のアップデートのためにプローブ要求フレームを送信する場合、STAは、自身の保存していた変更シーケンス値をプローブ要求フレームに含めて送信することができる。さらに、STAは、プローブ要求フレームがシステム情報をアップデートするためのプローブ要求フレームであることを示す情報を含めることもできる。
APの受信したプローブ要求フレームに変更シーケンス値が含まれた場合(又は、変更シーケンス値と当該プローブ要求フレームがシステム情報アップデートのためのものであることを示す情報が含まれた場合)、APは、現在のシステム情報とSTAが保存しているシステム情報(すなわち、STAが保存していた変更シーケンス値に対応するシステム情報)とを比較することができる。比較の結果、様々なシステム情報のうち、変更された部分のみを選択してプローブ応答フレームに含めてSTAに提供することができる。図24の例で、APは、変更シーケンス=1を含むプローブ要求フレームを受信すると、変更シーケンス=2において以前に比べて変更されたシステム情報要素に関する現在値のみをプローブ応答フレームに含めてSTAに送信することができる。
図25は、本発明のさらに他の例に係るプローブ要求/応答過程を説明するための図である。
図25に例示するように、APの送信する短いビーコンフレームは複数個のSTA(STA1、STA2、STA3)にブロードキャスト方式で送信されてもよい。ここで、短いビーコンフレームに含まれた変更シーケンス値は5であると仮定する。また、STA1、STA2及びSTA3のそれぞれが以前に保存していたシステム情報に該当する変更シーケンス値はそれぞれ、1、2及び2であると仮定する。
これによって、複数個のSTAのそれぞれは、システム情報が変更されたと判断することができ、各々の保存していた値に設定された変更シーケンスフィールドを含むプローブ要求フレームをAPに送信することができる。
図25の例では、プローブ要求フレームを受信したAPが、変更されたシステム情報(すなわち、変更シーケンス=5に該当するシステム情報)を含むプローブ応答フレームをブロードキャスト方式で送信することができる。ブロードキャスト方式で送信されるプローブ応答フレームには、現在のシステム情報の全ての情報要素が含まれてもよい。
又は、複数個のSTAからのプローブ要求フレームを受信したAPは、それぞれのSTAに対して個別に(すなわち、ユニキャスト方式で)プローブ応答フレームを送信することもできる。この場合、それぞれのSTAに対するプローブ応答フレームに含まれるシステム情報は、当該STAが保存していたシステム情報と比較して変更された部分のみを含むことができる。例えば、STA1に送信されるプローブ応答フレームには、変更シーケンス=1に該当するシステム情報に比べて変更された変更シーケンス=5に該当するシステム情報(すなわち、変更シーケンス=2、3、4、5の一つ以上で以前に比べて変更された情報要素の現在値)のみが含まれてもよい。例えば、STA2又はSTA3に送信されるプローブ応答フレームには、変更シーケンス=2に該当するシステム情報に比べて変更された変更シーケンス=5に該当するシステム情報(すなわち、変更シーケンス=3、4、5の一つ以上で以前に比べて変更された情報要素の現在値)のみが含まれてもよい。
複数個のSTAからのシステム情報アップデートのためのプローブ要求フレームを受信したAPは、プローブ応答フレームをブロードキャスト方式で送信するか或いはユニキャスト方式で送信するかを決定することができる。これは、変更されたシステム情報の量、システム情報のアップデートを要求するSTAの個数、ネットワーク混雑状態などを考慮して決定することができる。
実施例3−2
上記の実施例3−1で説明した既存のプローブ要求フレーム/プローブ応答フレームを用いたシステム情報アップデート方案と類似の動作は、新しい要求/応答フレームを用いて行うこともできる。新しい要求/応答フレームを、システム情報アップデート要求フレーム、システム情報アップデート応答フレームと呼ぶことができる。又は、新しい要求/応答フレームをシステム情報(SI)アップデート要求フレーム、システム情報(SI)アップデート応答フレームと呼ぶこともできる。ただし、本発明の範囲は、新しい要求/応答フレームの名称に制限されるものではなく、本発明で提案する動作に用いられる他の名称の要求/応答フレームも含む。
図26は、本発明の一例に係るSIアップデート要求/応答過程を説明するための図である。
図26の例は、プローブ要求フレームをSIアップデート要求フレームに代え、プローブ応答フレームをSIアップデート応答フレームに代えた以外は、図25の例と同一であるため、重複する説明は省略する。
実施例3−3
図27は、フルビーコン要求フレームを用いてシステム情報をアップデートする方法を説明するための図である。
図27の例は、図19の例に比べて、STAが短いビーコンフレームに含まれた変更シーケンスを考慮してフルビーコン要求フレームを送信する点が異なる。
すなわち、図27の例で、短いビーコンフレームに含まれた変更シーケンス値とSTAが保存していた変更シーケンス値とが異なる場合、STAは、システム情報が変更されたと判断することができる。これによって、STAはAPにフルビーコン要求フレームを送信することができる。すなわち、STAは、APがフルビーコンフレームを送信しないと判断しても、システム情報の変更がなければフルビーコン要求フレームを送信しなくてもよい。
フルビーコン要求フレームを受信したAPは、それに応答してフルビーコンフレームの送信を始めることができる。例えば、APは、STAからのフルビーコン要求フレームを受信してから所定の期間又は所定の回数だけフルビーコンフレームを周期的に送信することができる。この所定の期間/回数は、STAが要求する値によって設定されてもよく、システム特性によってあらかじめ設定された値に基づいて設定されてもよい。
実施例4
前述した実施例で提案した通り、APはSTAから該STAの変更シーケンス値を含む要求フレーム(例えば、プローブ要求フレーム又はSIアップデート要求フレーム)を受信すると、当該STAの変更シーケンス値を参照して現在のシステム情報において変更された情報要素に対する現在値を含む応答フレーム(例えば、プローブ応答フレーム又はSIアップデート応答フレーム)を送信することができる。
APが現在のシステム情報において以前のシステム情報(例えば、STAが保存しているシステム情報)に比べて変更された部分を決定して該当の部分を送信するためには、以前の変更シーケンス値に該当するシステム情報を保存していなければならない。ここで、APは、変更されたシステム情報の情報要素(IE)自体を保存するのではなく、変更されたIEの要素ID(element ID)のみを保存することができる。
システム情報において変更されたIEに対する要素IDを次の表1のように与えることができる。
上記表1の例のように変更されたIEに対する要素IDが与えられる場合、システム情報の変更によって、APが保存する変更シーケンスと変更されたIEの要素IDとをマップすることができる。
例えば、変更シーケンス1でEDCAパラメータが変更され、変更シーケンス2でCFパラメータが変更され、変更シーケンス3でHT動作要素が変更され、変更シーケンス4でEDCAパラメータが変更されたと仮定する。このような場合、APは、変更シーケンス値と変更されたIEに該当する要素IDとをマップして保存することができる。すなわち、次の表2のようにシステム情報の変更に対するリスト(以下、これを、変更シーケンスリスト又は設定変更カウントリストという。)をAPで保存することができる。
上記表2のように、一つの変更シーケンスごとに一つのIEのIDをマップして保存することができる。変更シーケンス情報のサイズは1バイト(すなわち、256の場合の数のうちの一つを表現し得る情報)であり、これにマップされる要素ID情報のサイズも1バイトであるとすれば、一つの変更シーケンスにマップされる一つの要素IDを表現するために2バイトの保存空間が必要である。
上記の例によってシステム情報が変更されたと仮定する場合、システム情報アップデート動作を次の通りに行うことができる。
STAが変更シーケンス=2を含む要求フレーム(例えば、プローブ要求フレーム又はSIアップデート要求フレーム)を送信し、このとき、ネットワークの現在のシステム情報に対応する変更シーケンスの値は4であると仮定する。このような場合、APの立場では変更シーケンス2のシステム情報に比べて後で変更されたシステム情報(すなわち、上記の表2で要素ID=45及び12)を決定することができる。これによって、APは、要素ID 45及び12にそれぞれ該当するHT動作要素及びEDCAパラメータを応答フレーム(例えば、プローブ応答フレーム又はSIアップデート応答フレーム)に含めてSTAに送信することができる。
上記のように、APは、すなわち、変更シーケンス値及び当該変更シーケンス値において変更されたシステム情報のIDがマップされた変更シーケンスリスト(又は、設定変更カウントリスト、CCC List)を保存することができる。
一方、システム情報が変更される度に、変更された要素に対するIDを変更シーケンス値にマップさせて保存し続ける場合には、APのメモリーのオーバーヘッドが増加し得る。例えば、変更シーケンス情報のサイズが1バイトで、要素ID情報のサイズが1バイトである場合を仮定すれば、互いに異なる256個の変更シーケンス値にマップされる要素ID情報を全て保存するためには512バイトの保存空間が必要である。しかし、システム情報の変更は頻繁に発生しないのが一般的であるため、古いシステム情報の変更に関する情報(すなわち、変更シーケンス値及びそれにマップされた要素ID値)は不要になることがある。すなわち、APがシステム情報の変更に関する情報を保存するために常に512バイト分の保存空間を維持することは、APのメモリーに余分のオーバーヘッドを発生させ得る。
これによって、APでシステム情報の変更に関する情報を保存するためのオーバーヘッドを減らすために、保存される情報、すなわち、変更シーケンスリストの個数を、時間、個数などの条件によってリフレッシュ(refresh)したり制限したりしてもよい。
例えば、APは、時間条件によって、保存される情報を制限することができる。所定の期間(例えば、数分、数時間、数日、数月、数年など)の単位を定めて該当の期間にのみ保存される情報を維持し、期間が満了した情報は維持しないか又は削除することができる。例えば、1ヶ月単位にシステム情報の変更に関する情報(すなわち、変更シーケンス値及びそれにマップされた要素ID値)を維持すると設定された場合、APは、1ヶ月を超えたシステム情報の変更に関する情報は維持しなくてもよい。この場合にはAPがシステム情報の変更に関する情報を保存するために必要な保存空間のサイズが一定に維持されない。例えば、最近の1ヶ月においてシステム情報の変更が1回発生した場合には必要な保存空間が2バイトであるが、最近の1ヶ月においてシステム情報の変更が10回発生した場合には、必要な保存空間が20バイトとなる。ただし、時間によって保存される情報を制限する場合には、システム情報変更の頻度が高い場合にも以前システム情報を消失する場合が発生しなくて済むため、システム情報の管理の安全性を向上させることができる。
他の例として、APは変更シーケンスの個数条件によって、保存される情報を制限することができる。上記の維持する個数を、例えば、4、8、12、16、…に設定することができる。例えば、APが最近8個の変更シーケンスに該当する情報のみを維持するように設定され、現在のシステム情報の変更シーケンス値が16である場合を仮定する。この場合、APは、変更シーケンス=9、10、…、16及びこれにマップされる要素ID情報は維持しているが、それ以前のシステム情報の変更に関する情報(すなわち、変更シーケンス=8、7、6、5、…及びこれにマップされる要素ID情報)は維持しないか又は削除することができる。この場合、APがシステム情報の変更に関する情報を保存するために必要な保存空間を16バイトのサイズと一定に維持することができる。これによって、システム情報管理の効率性を向上させることができる。
上記のシステム情報の変更に関する情報を保存する方法において、時間条件及び個数条件を同時に適用することもできる。例えば、最近の1ヶ月におけるシステム情報変更に関する情報を保存するとともに最大の保存個数は10個に制限することによって、20バイト以下において流動的な保存空間を用いてシステム情報を管理することができる。
実施例5
本発明に係るSTAは、一応、連携されている(associated)APから、フルビーコン、プローブ応答フレーム及びシステム情報応答フレームの少なくとも一つを介してシステム情報及び変更シーケンス情報を受信すると、APと分離(dissociate)された後にも、過去に連携したAPのシステム情報及び変更シーケンス情報を続けて保存することができる。分離されたAPのシステム情報及び変更シーケンス情報を保存することによって、STAが分離されたAPに再連携するとき、速い初期リンクセットアップ(Fast Initial Link Setup、FILS)が可能となる。図28及び図29を参照して能動的スキャニングと受動的スキャニング時に、分離されたAPのシステム情報及び変更シーケンス情報を保存することによって、速く初期リンクセットアップが行われる例を詳しく説明する。
図28は、能動的スキャニング時に、速い初期リンクセットアップが行われる例を説明するための図である。
STAがターゲットAP(又は、BSS)に対して能動的スキャニングを行う時、ターゲットAPが過去に連携したAPであり、ターゲットAPに関するシステム情報及び変更シーケンス情報を保存していると、STAは、変更シーケンス情報が含まれるようにプローブ要求フレームを構成することができる(S2801)。
変更シーケンス情報が含まれたプローブ要求フレームを受信したAPは、現在のシステム情報とSTAが保存しているシステム情報(すなわち、STAが保存している変更シーケンス値に対応するシステム情報)とを比較することができる。STAから受信された変更シーケンス値がAPの現在のシーケンス値と異なる場合、APは、様々なシステム情報のうちの変更された部分をプローブ応答フレームに含めてSTAに提供することができる(S2802)。
一例として、図28では、APがSTAから受信した変更シーケンス(=1)が、変更シーケンスリスト中の現在の変更シーケンス(=2)の値ではなく過去の変更シーケンスの値と一致するため、APは、STAにアップデートされるべきシステム情報要素に対する現在値(すなわち、現在の変更シーケンス(=2)において前の変更シーケンス(=1)に比べて変更されたシステム情報要素に対する現在値)のみをプローブ応答フレームに含めてSTAに送信することができる。
このように、全てのシステム情報ではなく変更されたシステム情報のみをプローブ応答フレームに含めることによって、プローブ応答フレームのサイズを減らすことができ、これは、速い初期リンクセットアップにつながる。
APが保存している変更シーケンスリストに、STAから受信した変更シーケンス値と一致する値がないと、APは、いかなるシステム情報が変更されたかわからない。そのため、APは全体システム情報及び現在の変更シーケンス値を含むようにプローブ応答フレームを構成することもできる。このとき、プローブ応答フレームに含み得るシステム情報は、非−動的要素に制限されてもよく、非−動的要素及び一部の動的要素に制限されてもよい。(非−動的要素及び動的要素に関する詳細な説明は、後述する実施例5−1を参照)
図29は、受動的スキャニング時に速い初期リンクセットアップが行われる例を説明するための図である。
受動的スキャニングを行うSTAは、APから変更シーケンス情報を含む短いビーコンを受信することができる(S2910)。このとき、APが過去に連携したAPであり、APに関するシステム情報及び変更シーケンス情報が保存されていると、STAは、APから受信した変更シーケンス情報と保存している変更シーケンス情報とを比較し、システム情報の中で変更された部分があるか判断することができる。STAが保存している変更シーケンス値がAPから受信した変更シーケンス値(すなわち、現在の変更シーケンス値)と一致すると、STAは、フルビーコンを受信しなくとも、保存されたシステム情報を用いてAPと連携することができる。
一方、STAが保存している変更シーケンス値がAPから受信した変更シーケンス値(すなわち、現在の変更シーケンス値)と異なると、STAは、図29の(a)に示す例のように、フルビーコン送信時点にフルビーコンを受信して(S2902a)、又は、図29の(b)に示す例のように、プローブ要求フレームに対するプローブ応答フレームを受信して、APからシステム情報を取得することができる。
フルビーコン送信時点は、図19及び図20で前述した例のように、短いビーコンに含まれる、次のフルビーコンまでのデューレーション(Duration to Next Full Beacon)フィールドによって指示されるが、これに限定されるものではない。
プローブ要求フレーム及びプローブ応答フレームを用いてシステム情報を受信する場合、STAは、自身が保存している変更シーケンス値を含むプローブ要求フレームを送信することができる(S2902b)。APは、STAから受信した変更シーケンス値が、自身が保存している変更シーケンス値と異なる場合、すなわち、STAから受信した変更シーケンス値が現在の変更シーケンス値ではなく以前の変更シーケンス値と一致する場合、APは、現在の変更シーケンス(=2)において以前の変更シーケンス(=1)に比べて変更されたシステム情報要素に対する現在値のみをプローブ応答フレームに含めてSTAに送信することができる(2902b)。勿論、APは、変更シーケンス値に関係なく、全てのシステム情報が含まれるようにプローブ応答フレームを構成することもできる。
APが保存している変更シーケンスリストに、STAから受信した変更シーケンス値と一致する値がないと、APはいかなるシステム情報が変更されたかわからない。そのため、APは、全体システム情報及び現在の変更シーケンス値を含むようにプローブ応答フレームを構成することもできる。このとき、プローブ応答フレームに含み得るシステム情報は、非−動的要素に制限されてもよく、非−動的要素及び一部の動的要素に制限されてもよい。
上述した例のように、STAが分離されたAPに関するシステム情報及び変更シーケンス情報を保存していると、STAは、プローブ要求/応答フレームの交換によって変更されたシステム情報のみを受信したり(変更シーケンス値が異なる場合)、フルビーコンの受信を省略したり(変更シーケンス値が同一である場合)することによって、速く初期リンクセットアップを行うことができる。
そのために、STAは、APからプローブ応答フレームやビーコンフレーム(ショートビーコン又はフルビーコン)を介して受信したシステム情報要素及び変更シーケンス情報を、APと分離された後にも続けて保存することができる。
なお、APは、システム情報を変更する度に、以前の変更シーケンス情報と変更されたシステム情報を保存することができる。ここで、APは、変更された情報の情報要素(IE)自体を保存するのではなく、変更されたIEのIDのみを保存することができる。
例えば、変更シーケンス値=0のとき、チャネルスイッチ割当情報要素(channel switch assignment IE)が変更(或いは、追加又は削除)されたら、APは、変更シーケンス値を1上げて、変更シーケンス値とチャネルスイッチ割当情報要素のIDを連携付けて保存することができる(例えば、表1で例示した情報要素のID値を用いるとすれば、APは、[変更シーケンス=1、チャネルスイッチ割当情報要素ID=35]のようなデータを保存することができる)。同様の原理で、変更シーケンス値=1のとき、EDCAパラメータセット情報要素(EDCA parameter set IE)が変更(或いは、追加又は削除)されたら、APは、[変更シーケンス、システム情報情報要素]ペア(pair)として[2、12]のようなデータを保存することができ、変更シーケンス値=2のとき、HT動作情報要素(HT operation IE)が変更(或いは、追加)されたら、APは、[変更シーケンス、システム情報情報要素]ペアとして[3、45]のようなデータを保存することができる。このように、APは、すなわち、変更シーケンス値、及び当該変更シーケンス値において変更されたシステム情報のIDがマップされた変更シーケンスリスト(又は、設定変更カウントリスト、CCC List)を生成及び保存することができる。
一方、システム情報が変更される度に、変更された要素のIDを変更シーケンス値にマップさせて保存し続く場合には、APのメモリーのオーバーヘッドが増加しうる。そのため、APでシステム情報の変更に関連した情報を保存するためのオーバーヘッドを減らすために、保存される情報、すなわち、変更シーケンスリストの個数を、時間、個数などの条件によってリフラッシュ(refresh)したり制限してもよい。
保存される情報が時間又は個数によって制限される例は、上記の実施例4で説明したため、その詳細な説明は省略する。
実施例5−1
システム情報の情報要素は、時間とは無関係な非−動的要素(又は、固定した要素)と、時間によって可変する動的要素とに区別できる。具体的に、タイムスタンプ(Time Stapm)、BSS負荷(BSS load)、(隣接STAの)ビーコンタイミング(Becon timing:Of Neighbor STAs)、タイム広告(Time advertisement)、BSSアクセスカテゴリー(Access Category、AC)アクセスディレイ(BSS AC access delay)、BSS平均アクセスディレイ(BSS Average Access Delay)、BSS利用可能な進入能力(BSS available admission capacity)及びTPC報告要素(TPC Report element)(TPC報告要素は一日に2〜5回変更されうる)などが動的要素に該当しうる。
動的要素は時々刻々変更するものであり、動的要素の変更によって変更シーケンス値(又は、設定変更カウント値)を増加させることは非効率的であるといえる。そのため、APは、動的要素以外の要素(すなわち、非−動的要素)に該当するシステム情報が変更した場合にのみ、変更シーケンス値(又は、設定変更カウント値)を増加させてもよい。
この場合、APは、STAが送信する変更シーケンス値と自身が保存している変更シーケンス値とを比較し、非−動的要素をプローブ応答フレームに含めるか否かを選択的に決定するが、動的要素はプローブ応答フレーム又は短いビーコンフレームにデフォルト(default)として含めて送信することもできる。
すなわち、変更シーケンス値に影響を与えない動的要素は常にプローブ応答フレーム又は短いフレームに含まれる一方、変更シーケンス値に影響を与える非−動的要素は、STAが保存している変更シーケンス値とAPが保存する変更シーケンス値とを比較して選択的にプローブ応答フレームに含まれるようにすることができる。
ただし、全ての動的要素をプローブ応答フレーム又は短いビーコンフレームに含める場合には、プローブ応答フレーム又は短いビーコンフレームのオーバーヘッドが過度に大きくなりうる。そのため、APは、AP選択のために主要な情報(例えば、タイムスタンプ及びBSS負荷など)は短いビーコンフレームやプローブ応答フレームに含めてSTAに送信し、残りの動的要素(例えば、タイム広告、TPC報告要素など)は認証又は連携段階でさらにSTAに送信することもできる。
他の例として、短いビーコンフレーム及びプローブ応答フレームにはいかなる動的要素も挿入せず、APは、認証又は連携段階で全ての動的要素をSTAに送信することもできる。
このように、認証又は連携過程で動的要素の少なくとも一部がSTAに送信されるようにすることによって、スキャニング段階における余計なオーバーヘッド(すなわち、短いビーコンフレーム又はプローブ応答フレームのオーバーヘッド)を減らし、STAが速い初期リンク設定を行うようにすることができる。
STAは、以前に(過去に)連携したAPのシステム情報を維持(retain)するとき、動的要素を除く非−動的要素のみを維持することもできる。動的要素は時間によって変化するため、APから受信されるビーコンフレーム(短いビーコン又はフルビーコン)、プローブ応答フレーム、又は認証又は連携過程で取得することがより好ましいだろう。
実施例5−2
STAは、以前に連携されたAPのうち、望ましいAP(preferred AP)のみのシステムパラメータ及び設定変更カウント値(又は、変更シーケンス値)を保存することもできる。これは、STAが、APがシステム情報の変更に関連した情報を保存するために割り当てる保存空間を適度に維持し、システム情報管理の効率性を向上させるためである。
STAは、連携されたAPを望ましいAPと設定するために、自身を望ましいSTAと設定することをAPに要求することができる。具体的に、図30は、連携されたAPを望ましいAPと設定する過程を説明するための図である。STAは、連携されたAPに、自身を望ましいSTAと設定することを要求することができる。このとき、望ましいSTAと設定するようとの要求は、図30に示す例のように、リンクセットアップ過程(すなわち、スキャニング、認証及び連携過程)後に、既に定義された要求フレーム(例えば、連携要求フレームなど)を送信することによって行われてもよく、新しい要求フレーム(例えば、短いプローブ要求フレーム、最適化したプローブ要求フレーム、FILSプローブ要求フレーム、望ましいSTA要求フレーム(Preferred STA request fame)など)を送信することによって行われてもよい。
他の例として、望ましいSTAと設定するようとの要求は、リンクセットアップ過程の実項中に、望ましいSTAと設定するようとの要求を示すフィールドを含む既存の要求フレームや新しい要求フレームを送信することによって行われてもよい。
STAから望ましいSTAと設定するようとの要求を受けたAPは、STAの要求を拒絶してもよく、STAの要求を受諾してもよい。STAの要求を拒絶する場合、APは、既存の応答フレーム(例えば、連携応答フレームなど)又は新しい応答フレーム(例えば、短いプローブ応答フレーム、最適化したプローブ応答フレーム、FILSプローブ応答フレーム、望ましいSTA応答フレーム(Preferred STA response frame)など)を送信し、STAの要求が拒絶されたことを知らせることができる。例えば、APは、既に登録された望ましいSTAの数が多い場合、STAの要求を拒絶することができる。STAの要求を拒絶する場合、STAがAPから分離(de−association)されると、APは当該STAの情報(例えば、当該STAの能力)を削除することができる(図30の(a)参照)。
STAの要求を受諾すると、APは、STAのシステム情報及び能力(capability)に関するシステム情報を保存し、既存の応答フレーム又は新しい応答フレームを送信し、STAの要求を受諾したことを知らせることができる。STAの要求を受諾する場合、STAがAPから分離されても、APは当該STAの情報(例えば、当該STAの能力)を削除せずに維持できる(図30の(b)参照)。
望ましいSTAに設定要求が受諾されたことを知らせる応答フレームを受信したSTAは、当該APを望ましいAPと設定できる。その後、STAがAPから分離されても、STAは、望ましいAP(preferred AP)に関するシステムパラメータ及び設定変更カウント値(又は、変更シーケンス値)を保存することができる。
STAは、望ましいAPに関するシステムパラメータを保存していると、望ましいAP(Preferred AP)(又は、ターゲットAP)に能動的スキャニングを試みる時、当該APに関するAP設定変更カウント情報(又は、変更シーケンス情報)をプローブ要求フレームに含めてAPに送信することができる。
一例として、図31は、過去に分離された望ましいAPに能動的スキャニングを行う時の動作を示す図である。図31に示す例のように、STAは、望ましいAPに能動的スキャニングを試みる時、当該APに関するAP設定変更カウント情報(又は、変更シーケンス情報)をプローブ要求フレームに含めてAPに送信することができる(S3101)。
STAから設定変更カウント情報を含むプローブ要求フレームを受信したAPは、受信した設定変更カウント値と現在の設定情報カウント値とを比較し、比較の結果によってプローブ応答フレームの構成を調節することができる(S3102)。
一例として、受信した設定変更カウント値が現在の設定情報カウント値と一致すると、APは、選択的な(optional)情報要素を排除し、現在のAP設定変更カウント値(これは、STAが保存している設定変更カウント値と同一であるはずである)と共に、必須の(mandatory)フィールド(例えば、タイムスタンプ(Time Stamp)、能力(Capability)及びビーコンインターバル(Beacon Interval)など)又は変更シーケンス値と無関係な要素(すなわち、頻繁に変わる情報要素(例えば、システム情報のうちの動的要素))をプローブ応答フレームに含めてSTAに送信することができる。
一方、受信した設定変更カウント値が現在の設定変更カウント値と異なるが、以前の設定変更カウント値とは一致する場合、APはSTAに変更されたシステムパラメータを送信する必要があると判断し、必須のフィールドとアップデートされるべき選択的な(optional)情報要素(すなわち、変更されたシステムパラメータ)を含めてプローブ応答フレームをSTAに送信できる。
APが保存している設定変更カウントリストに、STAから受信した設定変更カウント値と一致する値がないと、APは、いかなるシステム情報が変更されたかわからない。そのため、APは、全体システム情報及び現在の変更シーケンス値を含むようにプローブ応答フレームを構成することもできる。このとき、プローブ応答フレームに含み得るシステム情報は、非−動的要素に制限されてもよく、非−動的要素及び一部の動的要素に制限されてもよい。
受信した設定変更カウント値と現在の設定変更カウント値とが異なっても、変更されたシステムパラメータをSTAに送信する必要がないと判断したら、APは、選択的な(optional)情報要素を排除し、必須のフィールド及び現在のAP設定変更カウント値を含むようにプローブ応答フレームを構成することもできる。
実施例5−3
図5及びその下位の実施例で説明した通り、STAが望ましいAPに能動的スキャニングを行う時、一般(normal)プローブ要求フレームの代わりに、システム情報の変更に関連した情報のみを含む、最適化した(optimized)プローブ応答フレームが用いられてもよい。
最適化したプローブ要求フレームは、一般プローブ要求フレームに比べてより少ない情報を含むことから、短いプローブ要求フレーム、FILSプローブ要求フレームなどと呼ぶこともできる(本実施例では、短いプローブ要求フレーム、最適化したプローブ要求フレーム及びFILSプローブ要求フレームを総称してFILSプローブ要求フレームという)。
FILSプローブ要求フレームは、次のいずれか一つの情報を含むことができる。
i)STAのアドレス(MACアドレス):能動的スキャニングを行うSTAは、FILSプローブ要求フレームに自身のMACアドレスを含めることができる。
ii)BSSID又は部分(Partial)BSSID:STAは、望ましいAPのアドレス情報を知っているため、FILSプローブ要求フレームのMAC PDUにBSSID又は部分BSSIDを含めることができる。
iii)望ましいAPの設定変更カウント情報(又は、変更シーケンス情報):設定変更カウント情報は、APのシステム情報が変更されたか否かを示す。STAは、以前に連携された望ましいAPから受信した設定変更カウント値を、望ましいAPと分離された後にも保存(維持)しているが、望ましいAPに能動的スキャニングを行う際、FILSプローブ要求フレームに、保存していた設定変更カウント値を含めることができる。
iv)STAがプローブ要求フレームを用いて送信した能力(Capability)やシステム情報と関連した選択的情報要素(optional information element(s)):STAの能力や選択的情報要素の値が変更された場合、STAはAPに、能力又は選択的情報要素が変更されたことを知らせなければならない。そのため、望ましいAPとの分離後に、STAの能力或いは選択的情報要素が変更された場合は、変更された情報をFILSプローブ要求フレームに含めることができる。
ただし、一般に、STAの能力は変更されず、FILSプローブ要求フレームにはSTAの能力又は選択的情報要素が含まれなくてもよい。
図面を参照して、FILSプローブ要求フレームについてより詳しく説明する。
図32は、FILSプローブ要求フレームの一例を示す図である。図32を参照すると、FILSフレーム要求フレームは、MACヘッダー、プローブ要求ボディー、及びFCSフィールドを含むことができる。
STAのアドレス(MACアドレス)及びBSSID(又は、部分BSSID)はMACヘッダーに含まれてもよい。
MACヘッダーのサイズは36バイトであり、FCSのサイズは4バイトである。1バイトの設定変更カウント情報を情報要素の形態でプローブ要求ボディーに含める場合、2バイト(設定変更カウントフィールドの要素IDフィールド(1バイト)及び設定変更カウントフィールドの長さフィールド(1バイト))のオーバーヘッドが追加される。そのため、1バイトの設定変更カウント値を含めるためのFILSプローブ要求フレームの総オーバーヘッドは42バイトであり、選択的情報要素を含まないFILSプローブ要求フレームのMAC PDUのサイズは43バイトになり得る。
もし、設定変更カウント値が情報要素ではなくデフォルト値として常にFILSプローブ要求フレームに含まれると、FILSプローブ要求フレームのMPDUは41バイトになるはずである。
このとき、FILSプローブ要求フレームのオーバーヘッドをより減少させるために、MACヘッダーに代えて短いMACヘッダーが用いられてもよい。図33は、短いMACヘッダーが適用されたFILSプローブ要求フレームの一例を示す図である。図33を参照すると、FILSフレーム要求フレームは、短いMACヘッダー、プローブ要求ボディー、及びFCSフィールドを含むことができる。短いMACヘッダーを用いると、FILSプローブ要求フレームをさらに減少させることができる。具体的に、図34に短いMACヘッダーの一例が例示されている。
図34は、短いMACヘッダーを例示する図である。図34を参照すると、短いMACヘッダーは、フレーム制御(Frame Control、FC)フィールド、AIDフィールド、BSSID(又は、RA(Receiver Address)フィールド及びシーケンス制御フィールドを含み、A3フィールドを選択的に含むことができる。
フレーム制御フィールドのサブフィールドが図34の(b)に示されている。フレーム制御フィールドを用いて、MACヘッダーが短いMACヘッダーか否かを示すことができる。さらに、フレーム制御フィールドを用いて、短いMACヘッダーに、A3フィールドが存在するか否かを示すことができる。
AIDフィールド及びBSSIDフィールドの位置は、FCフィールドに含まれるFrom−DS(Distribution System)の値によって調節することができる。短いプローブ要求フレームは、STAに同一のBSS内のAPに送信されるのが一般的であるため、一般にFrom−DSは’0’と設定されるはずである。そのため、一般には、FCフィールドの次のA1にはBSSIDフィールドが位置し、A2にはSTAのAIDが含まれるが、必ずしもこれに限定されない。
短いMACヘッダーはシーケンス制御(Sequence Control)フィールドをさらに含むことができる。一例として、図34の(c)にはシーケンス制御フィールドのサブフィールドが例示されている。
図34に示す短いMACヘッダーを使用する場合、短いMACヘッダーのサイズは12バイト、FCSフィールドのサイズは4バイト、及び設定変更カウント情報の情報要素オーバーヘッド2バイトを含めて、1バイトの設定変更カウント値を含めるために14バイトのオーバーヘッドが発生し、FILSプローブ要求フレームのMAC PDUのサイズは19バイトとなり得る。もし、設定変更カウント情報が情報要素ではなくデフォルト値として含まれ、選択的情報要素が含まれないと、FILSプローブ要求フレームのMPDUのサイズは17バイトとなるはずである。
短いMACヘッダーのフォーマットは、図34に限定されない。一例として、図35は、短いMACヘッダーの他の例を示す図である。図35に示す例のように、短いMACヘッダーは、フレーム制御フィールド、あて先MACアドレス(Destination MAC Address)フィールド、ソースMACアドレス(Source MAC Address)フィールド、シーケンス制御フィールド、ボディーフィールド及びFCSフィールドを含むことができる。
あて先MACアドレスフィールドはAPのBSSID(又は、部分BSSID)を含み、ソースMACアドレスフィールドはSTAのMACアドレスを含むことができる。MACヘッダーが短いMACヘッダーか否かは、フレーム制御フィールドで示すことができる。
図35に示す短いMACヘッダーを使用する場合、短いMACヘッダーのサイズは16バイト、FCSフィールドは4バイトであり、設定変更カウント値に関する情報要素オーバーヘッド2バイトを含めて、22バイトのオーバーヘッドが発生し、FILSプローブ要求フレームのMAC PDUのサイズは23バイトとなり得る。仮に、設定変更カウント値が情報要素ではなくデフォルト値として含まれ、選択的情報要素が含まれないと、FILSプローブ要求フレームのMPDUのサイズは21バイトとなるはずである。
FILSプローブ要求フレームは、図32に示したものと異なるように定義されてもよい。一例として、図36は、FILSプローブ要求フレームの他の例を示す図である。図36を参照すると、FILSプローブ要求フレームは、フレーム制御(FC)フィールド、あて先アドレス(DA、Destination Address)フィールド、ソースアドレス(SA、Source Address)フィールド、変更シーケンス(又は、設定変更カウント)フィールド)、選択的情報要素及びFCSフィールドを含むことができる。
プローブ要求フレームがFILSプローブ要求フレームであるか否かは、FCフィールド、具体的には、FCフィールドのタイプ及びサブタイプフィールドで示すことができる。例えば、タイプ=11、サブタイプ=0010が、プローブ要求フレームがFILSプローブ要求フレームであることを示すことができる。タイプ、サブタイプフィールドを用いる方式以外の方式によっても、プローブ要求フレームがFILSプローブ要求フレームインであることを示すことができる。
DAフィールドは、BSSID(又は、部分BSSID)に設定し、SAフィールドはSTAのMACアドレスに設定することができる。
図36のFILSフレーム要求フレームを使用する場合、FILSプローブ要求フレームのMPDUは13バイトを有することができる。
さらに、図5及びその下位の実施例で説明した通り、APもSTAにシステム情報を送信する時、変更が必要な情報のみを含む最適化したプローブ応答フレームを用いることができる。最適化したプローブ応答フレームは、一般のプローブ応答フレームに比べてより少ない情報を含むことから、短いプローブ応答フレーム、FILSプローブ応答フレームなどと呼ぶこともできる(本実施例では、短いプローブ応答フレーム、最適化したプローブ応答フレーム及びFILSプローブ応答フレームを総称して、FILSプローブ応答フレームという)。
図37は、FILSプローブ応答フレームの一例を示す図である。図37に示す例のように、フレーム制御フィールド、あて先アドレスフィールド、ソースアドレスフィールド、タイムスタンプフィールド、変更シーケンスフィールド(又は、設定変更カウントフィールド)、選択的情報要素フィールド及びFCSフィールドを含むことができる。
フレーム制御フィールドを用いて、プローブ応答フレームがFILSプローブ応答フレームであることを示すことができる。
あて先アドレスフィールドはSTAのMACアドレスを含むことができ、ソースアドレスフィールドはAPのBSSID(又は、部分BSSID)を含むことができる。
タイムスタンプは、実時間で変更される動的システム情報であるから、設定変更カウントによって変更の有無が示されない。STAは、設定変更カウント値が変更されるか否かにかかわらず、FILSプローブ要求フレームのタイムスタンプフィールドを介して常にタイムスタンプ値を取得することができる。
設定変更カウントフィールドは、望ましいAPからSTAが過去の連携時に取得した変更シーケンス値(又は、設定変更カウント値)を含むことができる。設定変更カウントフィールドは、図37に示す例のように、デフォルト値として含まれてもよいが、情報要素の形態(すなわち、変更シーケンスフィールドの要素IDフィールド及び変更シーケンスフィールドの長さフィールドが追加された形態)で含まれてもよい。
選択的情報要素フィールドは、STAにアップデートしなければならないシステム情報の情報要素を含むことができる。さらに、タイムスタンプを除く動的要素、すなわち、設定変更カウント値に影響を与えないシステム情報も、APによって支援されると、選択的情報要素フィールドに含まれてもよい。具体的に、APが支援するか否かによって、BSS負荷(BSS load)、(隣接STAの)ビーコンタイミング(Becon timing:Of Neighbor STAs)、タイム広告(Time advertisement)、BSSアクセスカテゴリー(Access Category、AC)アクセスディレイ(BSS AC access delay)、BSS平均アクセスディレイ(BSS Average Access Delay)、BSS利用可能な進入能力(BSS available admission capacity)及びTPC報告要素(TPC Report element)(TPC報告要素は、一日に2〜5回変更されうる)などを選択的情報要素フィールドに含むことができる。
図38は、本発明の一例に係る、システム情報アップデート要求/応答過程を説明するための図である。
図38の例は、プローブ要求フレームをFILSプローブ要求フレームに代え、プローブ応答フレームをFILSプローブ応答フレームに代えた以外は、図31と同一であり、その詳細な説明は省略する。
実施例5−4
前述した既存のプローブ要求フレーム/プローブ応答フレームを用いたシステム情報アップデート方案と類似の動作は、実施例5−4で説明したものとは違う、新しい要求/応答フレームを用いて行われてもよい。新しい要求/応答フレームは、システム情報アップデート要求フレーム、システム情報アップデート応答フレームと呼ぶことができる。又は、新しい要求/応答フレームは、システム情報(SI)アップデート要求フレーム、システム情報(SI)アップデート応答フレームと呼ぶこともできる。ただし、本発明の範囲は、新しい要求/応答フレームの名称に制限されるものではなく、本発明で提案する動作に用いられる、他の名称の要求/応答フレームをも含む。
新しい要求/応答フレームは、ヌル−データパケット(NDP)フレームフォーマットの形態であってもよい。
実施例5−5
APが1つ以上のSTAから、設定変更カウント情報が含まれたプローブ要求フレームを受信した場合、APは、受信したそれぞれの設定変更カウント値と現在の設定変更カウント値とを比較した後、システム情報のアップデートが必要なSTAに適切に構成されたプローブ応答フレームをユニキャスト(unicast)送信することができる。
図39は、プローブ応答フレームがユニキャスト送信される例を示す図である。図39に示す例のように、APの現在の設定変更カウント値は6であるが、STA1、2及び3から受信した設定変更カウント値はそれぞれ3、4、5であれば、APは、STA1には、設定変更カウント4、5、6に対応するシステム情報を含むプローブ応答フレームを、STA2には設定変更カウント5、6に対応するシステム情報を含むプローブ応答フレームを、STA3には設定変更カウント6に対応するシステム情報を含むプローブ応答フレームをそれぞれユニキャスト送信することができる。
しかし、図39に示す例では、一部の重なる情報(STA1〜3はいずれも、設定変更カウント6に対応するシステム情報を共通に受信する)が存在するにもかかわらず、プローブ要求フレームを送信したSTAの数だけプローブ応答フレームを送信しなければならないという問題点が発生しうる。
そのため、APは、それぞれのSTAにアップデートすべきシステム情報要素を1つのプローブ応答フレームに含めた後、ブロードキャスト方式でプローブ応答フレームをSTAに送信することもできる。
一例として、図40は、プローブ応答フレームがブロードキャスト送信される例を示す図である。図31に示す例のように、APの現在の設定変更カウント値は6であるが、STA1、2及び3から受信した設定変更カウント値はそれぞれ3、4、5であれば、APは、最も低い設定変更カウント値に基づいてSTAにアップデートすべきシステム情報を選定することができる。図31の例では、STA1が送信した設定変更カウント値が最も低いので、APはSTA1から受信した設定変更カウント値に基づいて、設定変更カウント4、5、6に対応するシステム情報を含むプローブ応答フレームを構成し、それをブロードキャスト送信することができる。
STA1〜3は、ブロードキャスト送信されるプローブ応答フレームを受信し、システム情報をアップデートすることができる。
実施例5−6
上述したいくつかの実施例では、STAがAPから短いビーコンを受信することによって、現在APの変更シーケンス値(又は、設定変更カウント値)を認知できるとした。他の例として、APの変更シーケンス値(又は、設定変更カウント値)は、FILS探索フレーム(FILS Discovery Frame)を介してSTAに送信されてもよい。
FILS探索フレームは、速い初期リンクセットアップ(FILS)のために速い(quick)AP(又は、ネットワーク)を支援するためのものであり、FILS探索フレームは、ビーコンフレームを送信するSTA(すなわち、AP)で送信することができる。
実施例6
STAが望ましいAPと分離された後に、望ましいAPの設定変更カウント情報及びシステム情報を保存していても、APのリセットや停電(power outage)などの理由で、APが再起動すると、APでは望ましいSTAに関する情報(例えば、望ましいSTAの能力)及び設定変更カウント情報が削除されうる。しかし、STAは、望ましいAPが再起動したか否かが把握できず、設定変更カウント情報を比較しても、正しくシステム情報を受信できないという問題点が発生しうる。
そのために、再起動したAPは、望ましいSTAからFILSプローブ要求フレームを受信する場合、STAが正しくシステム情報を受信できるように、FILSプローブ応答フレームに、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールド又は次のTBTTに関する情報、又は一般(Normal)プローブ要求フレームを要求するための情報を含めることができる。
一例として、図41は、FILS応答フレームに、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールド又は次のTBTTに関する情報が含まれる例を説明するための図である。APが再起動した後に、望ましいSTAから変更シーケンス情報(又は、設定変更カウント情報)を含むFILSプローブ要求フレームを受信すると、APは、図41に示す例のように、次のTBTTに関する情報又は次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドを含むFILSプローブ応答フレームをAPに送信することができる。
STAは、FILSプローブ応答フレームが示すフルビーコン送信時点にフルビーコンを受信し、システム情報をアップデートすることができる。
図42は、FILS応答フレームに一般プローブ要求フレームの送信を要求する情報が含まれる例を示す図である。APが再起動した後に、望ましいSTAから変更シーケンス情報(又は、設定変更カウント情報)を含むFILSプローブ要求フレームを受信すると、APは、図42に示す例のように、一般プローブ要求フレームの送信を要求する情報を含むFILSプローブ応答フレームを送信することができる。FILSプローブ応答フレームを受信したSTAは、一般プローブ要求フレームを送信し、それに対する応答として一般プローブ応答フレームを受信してシステム情報をアップデートすることができる。
FILS応答フレームに、次のTBTTに関する情報(又は、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールド)又は一般プローブ要求フレームの送信を要求する情報のいずれかを含めるかは、次のビーコンの送信時点(すなわち、next TBTT)までの残余期間の長さによって決定することができる。次のビーコンの送信時点までの残余期間が短く、STAが直ちにフルビーコンを受信できる場合には、APは、FILS応答フレームに次のTBTTに関する情報(又は、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールド)を含めることができ、次のビーコンの送信時点までの残余期間が長く、STAが近いうちにはフルビーコンを受信できない場合には、APは、FILS応答フレームに一般プローブ要求フレームの送信を要求する情報を含め、STAの速い初期リンクセットアップを支援することができる。
本発明のシステム情報アップデート方法において、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項は独立して適用されてもよく、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現されてもよい。
図43は、本発明の一実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
AP10は、プロセッサ11、メモリ12、送受信器13を備えることができる。STA20は、プロセッサ21、メモリ22、送受信器23を備えることができる。送受信器13及び23は、無線信号を送信/受信することができ、例えば、IEEE 802システムに基づく物理層を具現することができる。プロセッサ11及び21は、送受信器13及び21と接続して、IEEE 802システムに基づく物理層及び/又はMAC層を具現することができる。プロセッサ11及び21は、前述した本発明の様々な実施例に係る動作を行うように構成されてもよい。また、前述した本発明の様々な実施例に係るAP及びSTAの動作を具現するモジュールがメモリ12及び22に格納され、プロセッサ11及び21によって実行されてもよい。メモリ12及び22は、プロセッサ11及び21の内部に含まれてもよく、又はプロセッサ11及び21の外部に設けられて、プロセッサ11及び21と公知の手段によって接続されてもよい。
このようなAP及びSTA装置の具体的な構成は、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項が独立して適用されたり、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現されてもよく、重複する内容は明確性のために説明を省略する。
上述した本発明の実施例は様々な手段を用いて具現することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、一つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順又は関数などの形態で具現することができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに保存され、プロセッサによって駆動されてよい。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、既に公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
以上開示された本発明の好ましい実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現して実施できるように提供された。以上では本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者に理解されるように、本発明の領域から逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更することもできる。例えば、当業者は、上記の実施例に記載された各構成を互いに組み合わせる方式で用いてもよい。したがって、本発明は、ここに開示されている実施形態に制限されるものではなく、ここに開示されている原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えるためのものである。
図5及びその下位の実施例で説明した通り、STAが望ましいAPに能動的スキャニングを行う時、一般(normal)プローブ要求フレームの代わりに、システム情報の変更に関連した情報のみを含む、最適化した(optimized)プローブ要求フレームが用いられてもよい。
このとき、FILSプローブ要求フレームのオーバーヘッドをより減少させるために、MACヘッダーに代えて短いMACヘッダーが用いられてもよい。図33は、短いMACヘッダーが適用されたFILSプローブ要求フレームの一例を示す図である。図33を参照すると、FILSフレーム要求フレームは、短いMACヘッダー、プローブ要求ボディー、及びFCSフィールドを含むことができる。短いMACヘッダーを用いると、FILSプローブ要求フレームのオーバーヘッドをさらに減少させることができる。具体的に、図34に短いMACヘッダーの一例が例示されている。
一例として、図41は、FILS応答フレームに、次のフルビーコンまでのデューレーションフィールド又は次のTBTTに関する情報が含まれる例を説明するための図である。APが再起動した後に、望ましいSTAから変更シーケンス情報(又は、設定変更カウント情報)を含むFILSプローブ要求フレームを受信すると、APは、図41に示す例のように、次のTBTTに関する情報又は次のフルビーコンまでのデューレーションフィールドを含むFILSプローブ応答フレームをSTAに送信することができる。