JP2015528912A - 強皮症の診断方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象における強皮症を診断するためのin vitro方法であって、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなるタンパク質の群より選択される1種または複数のタンパク質バイオマーカーを認識する1種または複数の自己抗体を、対象から得られた生物学的試料中から検出する工程を含む方法に関する。

Description

発明の分野:
本発明は、対象における強皮症を診断するためのin vitro方法であって、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなるタンパク質の群より選択される1種または複数のタンパク質バイオマーカーを認識する1種または複数の自己抗体を、対象から得られた生物学的試料中から検出する工程を含む方法に関する。
発明の背景:
全身性硬化症(SSc)または強皮症は、血管損傷から始まり、皮膚および内臓におけるコラーゲン合成機能障害および線維化表現型をトリガーする重症慢性自己免疫疾患である。SScは、患者間でのその臨床的不均一性のせいで、依然として診断が困難な相当まれな疾患である。肘および膝より遠位に含まれる皮膚併発によって特徴づけられるCREST症候群(石灰沈着、レイノー現象、食道運動障害、手指硬化、および毛細血管拡張)を含めた限局型皮膚硬化型疾患(lcSSc)、ならびに皮膚併発が拡大しているびまん皮膚硬化型疾患(dcSSc)という全身性硬化症の2つの主要型が定義されている。全身性に対して限局性強皮症と呼ばれる別の型の強皮症がある。限局型全身性硬化症と混同しないように、限局性の病型は多くの場合にモルフェアと呼ばれる。
SScの患者の80%超は抗核抗体(ANA)を有する。一部の特異的自己抗体は臨床亜型と相関し、診断および臨床分類にとって助けになる。抗セントロメア抗体(ACA)の存在は、lcSScの出現と関連し、内臓の併発は低頻度である。抗トポイソメラーゼ抗体(ATAまたは抗Scl−70)の存在は、びまん型の皮膚併発、間質性肺疾患の重症度、および肺疾患に続発性の右心不全の有病率増加と関連する。したがって、ACAおよびATAは、それぞれlcSScおよびdcSScの特徴であり、各臨床亜群における患者のそれぞれ65%および40%に相当する[Allanore Y. et al., 2007]。
他のバイオマーカーは、頻度が低く、日常的にそれほど頻繁に検査されないものの、SScの分類のために使用することができる。例えば、抗RNAポリメラーゼIII抗体は、アメリカ人コホートにおいてdcSScに関する優れた診断マーカーである(SScの25%)が、ヨーロッパ人コホートではより低い(SScの9%)。検出される頻度がより低い(1〜5%)抗核(抗Th/To)抗体は、限定型疾患に存在する。他の自己抗体:抗ku、抗Pm/Sclまたは抗U1RNPは、オーバーラップ症候群、すなわちそれぞれ多発性筋炎(polymyosites)、強皮症/多発性筋炎オーバーラップ症候群(scleromyosites)および混合性結合組織病と関連する[Ho KT et al., 2003; Reveille JD, 2006; Arnett FC et al., 2010およびWalker UA et al., 2007]。
特許出願である国際公開公報第2007013124号は、対象における自己免疫疾患、特に全身性硬化症を診断するための方法であって、対象から得られた生物学的試料中からタンパク質バイオマーカー血小板由来成長因子(PDGF)を認識する自己抗体を検出する工程を含む方法を開示している。
同種移植片炎症因子1(Allograft inflammatory factor 1)(AIF1)は、すでにSScに関与すると記載されているが、自己抗原に関連して記載されていない。Alkassabらの論文[Alkassab F. et al. 2007]は、AIF遺伝子中の一塩基多型(SNP)と全身性硬化症患者での抗セントロメア抗体の存在との関連を開示している。
SSc患者の約30%は、抗セントロメア抗体も、SScに見いだされるその他の古典的自己抗体も有さず、したがって、診断または分類が困難である。実際SScは、おそらく特異的バイオマーカーが臨床評価および疾患予後に最も有用である疾患の一つである。
新しいバイオマーカーを同定するために患者の血漿を解読することは、より良好な予後タンパク質および診断タンパク質を見いだすことを可能にするが、現在までに経過を止める処置がない疾患に、さらなる解明の光もあてるであろう。
発明の概要:
本研究において、本発明者らは、非常に厳密なアプローチでProtoArray(登録商標)分析から6種のタンパク質候補を選択し、患者および他の自己免疫疾患を含めた対照のより大きな群に対するELISAによってそれらの特異性を検証した。
したがって、本発明は、対象における強皮症を診断するためのin vitro方法であって、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなるタンパク質の群より選択される1種または複数のタンパク質バイオマーカーを認識する1種または複数の自己抗体を、対象から得られた生物学的試料中から検出する工程を含む方法に関する。
発明の詳細な説明:
一局面では、本発明は、対象における強皮症を診断するためのin vitro方法であって、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなるタンパク質の群より選択される1種または複数のタンパク質バイオマーカーを認識する1種または複数の自己抗体を、対象から得られた生物学的試料中から検出する工程を含む方法を提供する。
一態様では、強皮症は全身性硬化症(SSc)である。
別の態様では、全身性硬化症は、限局型皮膚硬化型全身性硬化症(IcSSc)またはびまん皮膚硬化型全身性硬化症(dcSSc)である。
一態様では、強皮症は限局性強皮症である。
特定の態様では、複数のタンパク質バイオマーカー(すなわち2種以上のタンパク質バイオマーカー)は、診断方法に使用される。つまり、本発明の方法は、2、3、4、5または6種のタンパク質バイオマーカーと生物学的試料中に存在する自己抗体との間にタンパク質バイオマーカー−抗体複合体を形成可能にする時間および条件で、生物学的試料を複数種のタンパク質バイオマーカーと接触させる工程;ならびに形成された任意のタンパク質バイオマーカー−抗体複合体を検出する工程を含みうる。
特定の態様では、診断方法は、本明細書記載のTHEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6を含めた6種の異なるタンパク質バイオマーカー、そのアナログならびにフラグメントを使用して行われる。
他の特定の態様では、診断方法は、以下の2種のタンパク質バイオマーカー:THEX1およびAIF1を使用して行われる。
他の特定の態様では、診断方法は、以下のタンパク質バイオマーカー:THEX1を使用して行われる。
他の特定の態様では、診断方法は、以下のタンパク質バイオマーカー:AIF1を使用して行われる。
本明細書提供の診断方法において、タンパク質バイオマーカーと生物学的試料中に存在する自己抗体との間に形成された任意のタンパク質バイオマーカー−抗体複合体を検出する工程は、任意の適切な方法によって行うことができる。ある態様では、検出はイムノアッセイによる。
特定の態様では、診断方法に使用される1種または複数のタンパク質バイオマーカーは、固体の担体または支持体上に固定化される。
典型的には、診断方法は、さらに抗トポイソメラーゼI、抗セントロメアB、抗ku、抗Pm/Sclまたは抗U1RNPなどの強皮症特異的自己抗体の存在を検出するために、同様に強皮症の特徴で公知の少なくとも1種の強皮症バイオマーカーの濃度を、対象から得られた生物学的試料中から測定することを含みうる(例えば、Steen VD et al., 1998; Okano Y et al., 1993; Okano Y et al., 1992; Okano Y et al., 1990およびOddis CV et al., 1992を参照されたい)。
別の局面では、本発明は、対象における強皮症のin vitro診断のためのキットを提供する。これらのキットは、本発明の1、2、3、4、5または6種のタンパク質バイオマーカー、およびタンパク質バイオマーカーと被験生物学的試料中に存在する自己抗体との間に形成されたタンパク質バイオマーカー−抗体複合体を検出するための少なくとも1種の試薬を含む。キット内では、少なくとも1種のタンパク質バイオマーカーが固体の担体もしくは支持体上に固定化されていてもよく、または固体の担体もしくは支持体上にタンパク質バイオマーカーを固定化するために使用することができる試薬が、キット内に包含されていてもよい。キットは、さらに、本発明による診断方法を実施するための説明書を含みうる。ある態様では、キットは、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6タンパク質を含めた少なくとも6種のタンパク質バイオマーカー、またはそのフラグメントを含む。他の態様では、キットは、以下の2種のバイオマーカー:THEX1およびAIF1を含む。
ある好ましい態様では、これらのキットは、さらに、Steen VDら(1998); Okano Yら(1993); Okano Yら(1992); Okano Yら(1990)およびOddis CVら(1992)に記載のような、強皮症特異的自己抗体の存在を検出するための、同様に強皮症の特徴で公知の少なくとも1種の追加的な強皮症バイオマーカーを含む。例えば、同様に強皮症の特徴で公知の追加的な強皮症バイオマーカーには、非限定的に、トポイソメラーゼI、セントロメアB、ku、Pm/SclまたはU1RNPが挙げられる。
特定の態様では、これらのキットは、さらに、抗トポイソメラーゼI、抗セントロメアB、抗ku、抗Pm/Sclまたは抗U1RNPなどの強皮症特異的自己抗体の存在を検出するための、下記のような同様に強皮症の特徴で公知の少なくとも1種の追加的な強皮症バイオマーカーを含む。
なお別の局面では、本発明は、対象における強皮症の診断のためのアレイを提供する。本発明によるアレイは、本発明の少なくとも1種のタンパク質バイオマーカーをその表面に結合して含む。アレイは、本明細書記載のTHEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6タンパク質を含めた少なくとも6種のタンパク質バイオマーカーをその表面に結合して含む。ある態様では、アレイは、以下の2種のバイオマーカー:THEX1およびAIF1をその表面に結合して含む。
ある好ましい態様では、本発明のアレイは、さらに、Steen VDら(1998); Okano Yら(1993); Okano Yら(1992); Okano Yら(1990)およびOddis CVら(1992)に記載のような、強皮症特異的自己抗体の存在を検出するための、同様に強皮症の特徴で公知の少なくとも1種の追加的な強皮症バイオマーカーを含む。例えば、同様に強皮症の特徴で公知の追加的な強皮症バイオマーカーには、非限定的に、トポイソメラーゼI、セントロメアB、ku、Pm/Sclまたは抗U1RNPが挙げられる。
特定の態様では、さらにアレイは、抗トポイソメラーゼI、抗セントロメアB、抗ku、抗Pm/Sclまたは抗U1RNPなどの強皮症特異的自己抗体の存在を検出するための、下記のような、同様に強皮症の特徴で公知の少なくとも1種の追加的な強皮症バイオマーカーをその表面に結合して含む。
以下の好ましい態様の詳細な説明を読んだ当業者には、本発明のこれらおよび他の目的、利点および特徴が明らかになろう。
定義
本明細書にわたり、以下の節に定義されるいくつかの用語が採用される。
本明細書に使用される用語「対象」は、強皮症に罹患しうるヒトまたは別の哺乳類(例えば、霊長類、イヌ、ネコ、ヤギ、ウマ、ブタ、マウス、ラット、ウサギなど)を表す。本発明の好ましい一態様では、対象はヒトである。そのような態様では、対象は多くの場合に「個体」と呼ばれる。用語「個体」は、特定の年齢を意味せず、したがって子供、ティーンエージャー、および成人を包含する。
用語「強皮症を有すると疑われる対象」は、強皮症を示す1つもしくは複数の症状または強皮症(例えば、硬化および瘢痕化のような皮膚症状、筋骨格合併症、肺合併症、消化管合併症、腎合併症および他の合併症)を呈する対象、あるいは強皮症について(例えば、健康診断の際に)スクリーニングされた対象を表す。代替的または追加的に、強皮症を有すると疑われる対象は、1つまたは複数のリスク因子(例えば、年齢、性別、家族歴、喫煙など)を有しうる。この用語は、強皮症について検査されていない対象および最初の診断を受けた対象を包含する。
用語「生物学的試料」は、本明細書においてその最も広い意味で使用される。生物学的試料は、一般に対象から得られる。試料は、本発明のバイオマーカーをアッセイすることができる任意の生物学的組織または生物学的液体からなる。しばしば、試料は「臨床試料」、すなわち患者由来の試料である。そのような試料には、非限定的に、細胞を含有または不含しうる体液、例えば、血液(例えば、全血、血清または血漿)、滑液、唾液、組織または細針生検試料、ならびに診断、処置および/または転帰歴が既知の保管試料が挙げられる。生物学的試料には、また、組織学目的で採取された凍結切片などの組織切片が含まれうる。用語「生物学的試料」は、また、生物学的試料を処理することによって得られる任意の材料を包含する。得られた材料には、非限定的に、試料から単離された細胞(もしくはその後代)、または試料から抽出されたタンパク質が挙げられる。生物学的試料の処理は、濾過、蒸留、抽出、濃縮、妨害成分の不活性化、試薬の添加などのうち1つまたは複数を伴いうる。
本発明の好ましい一態様では、生物学的試料は血清学的試料であり、対象から得られた全血、血清もしくは血漿であるか、またはそれ由来である。
用語「正常な」および「健康な」は、本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、強皮症の症状も全身性硬化症の症状も何も表しておらず、強皮症とも全身性硬化症とも診断されていない対象を表す。好ましくは、正常な対象は、強皮症のための投薬も全身性硬化症のための投薬も受けておらず、他のいかなる自己免疫疾患とも診断されたことがなく、自己免疫の家族歴がなかったものである。ある態様では、正常な対象は、被験生物学的試料が得られた対象に類似の性別、年齢、および/または肥満指数を有しうる。用語「正常な」は、また、本明細書において健康な対象から得られた試料を適切と認めるために使用される。
本発明に関連して、対象を特徴づけるために使用されるときの用語「対照」は、健康な対象または強皮症以外の特異的自己免疫疾患と診断された患者を表す。用語「対照試料」は、健康な対象または強皮症以外の特異的自己免疫疾患と診断された患者から得られた1つ、または1つよりも多い試料を表す。
本明細書に使用される用語「自己抗体」は、当技術分野において了解された意味を有し、対象の免疫系によって産生される、対象自身のタンパク質に対する抗体を表す。自己抗体は、身体独自の細胞、組織、および/または器官を攻撃して炎症および損傷を起こすおそれがある。
本明細書に使用される用語「自己抗原」は、自己免疫反応として対象の体内での自己抗体の産生を刺激する内因性抗原またはその活性フラグメントを表す。この用語は、また、対象中または対象から得られた生物学的試料中に存在する自己抗体と抗原−抗体複合体を形成することができる任意の物質を包含する。
用語「バイオマーカー」、「タンパク質バイオマーカー」および「マーカー」は、本明細書において互換的に使用される。それらの用語は、生物学的プロセス、生物学的事象、および/または病的状態の特有の指標である物質を表す。本発明に関連して、用語「強皮症のバイオマーカー」または「強皮症バイオマーカー」は、本明細書に提供されるTHEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6タンパク質を包含し、それらは、強皮症患者の生物学的試料(例えば、血液試料)中に存在する抗THEX1自己抗体、抗AIF1自己抗体、抗FGF2自己抗体、抗EphB2自己抗体、抗CLK1自己抗体、および抗ANKS6自己抗体によって特異的に認識される。ある好ましい態様では、本発明のバイオマーカーは、アミノ酸20個未満のタンパク質フラグメントである。より好ましい態様では、本発明のバイオマーカーは、アミノ酸5から20個の間(すなわちアミノ酸10または15個)のタンパク質フラグメントである。
プロセスまたは事象に適用されるときに本明細書に使用される用語「強皮症を示す」は、健康な対象および/または強皮症以外の疾患を患う対象よりも強皮症の対象において有意に高頻度で見いだされるような、強皮症の特徴であるプロセスまたは事象を表す。
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」は、本明細書において互換的に使用され、中性(非荷電)型または塩のいずれかの状態の、グリコシル化、側鎖酸化、もしくはリン酸化、またはシトルリン化により未修飾または修飾されている、多様な長さのアミノ酸配列を表す。ある態様では、アミノ酸配列は完全長ネイティブタンパク質である。他の態様では、アミノ酸配列は完全長タンパク質のより短いフラグメントである。なお他の態様では、アミノ酸配列は、グリコシルユニット、脂質、またはリン酸イオンなどの無機イオンなどの、アミノ酸側鎖に結合した追加的な置換基、およびスルフヒドリル基の酸化などの鎖の化学変換に関係する改変によって改変されている。したがって、用語「タンパク質」(またはその等価の用語)に、完全長ネイティブタンパク質のアミノ酸配列、またはその特異的性質を有意には変化させないそれらの改変に供されたそのフラグメントを含めるつもりである。特に、用語「タンパク質」は、タンパク質アイソフォーム、すなわち同じ遺伝子によってコードされるが、それらのpIもしくはMW、またはその両方が異なる変異体を包含する。そのようなアイソフォームは、(例えば、選択的スプライシングまたは限定タンパク質分解の結果として)それらのアミノ酸配列が異なる場合があり、または代替的に、ディファレンシャルな翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、アシル化、リン酸化)から生じうる。
本明細書においてタンパク質またはポリペプチドに関して使用されるときの用語「アナログ」は、タンパク質またはポリペプチドとして類似または同一の機能を有するが、必ずしもそのタンパク質もしくはポリペプチドのアミノ酸配列と類似もしくは同一のアミノ酸配列、またはそのタンパク質もしくはポリペプチドの構造と類似もしくは同一の構造を含む必要がないペプチドを表す。好ましくは、本発明に関連して、アナログは、タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列に少なくとも80%、より好ましくは少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。ある好ましい態様では、本発明のペプチドバイオマーカーのアナログは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列と少なくとも80%同一または少なくとも85%同一のアミノ酸配列を有する。
本明細書に使用される用語「相同な」(または「相同性」)は、用語「同一性」と同義であって、2つのポリペプチド分子間または2つの核酸分子間の配列類似性を表す。両方の被比較配列における位置が同じ塩基または同じアミノ酸残基によって占有される場合、それぞれの分子はその位置で相同である。2つの配列間の相同率は、2つの配列によって共有されるマッチ位置または相同位置の数を被比較位置数で除算し100を乗算したものに対応する。一般に、最大の相同性を示すように2つの配列がアライメントされたときに比較が行われる。相同アミノ酸配列は、同一または類似のアミノ酸配列を共有する。類似の残基は、参照配列中の対応するアミノ酸残基の保存的置換または「許容点突然変異(allowed point mutation)」である。参照配列中の残基の「保存的置換」は、対応する参照残基と物理的または機能的に類似の置換、例えば、類似の大きさ、形状、荷電、共有結合または水素結合を形成する能力などの化学的性質他を有する置換である。特に好ましい保存的置換は、Dayhoffら("Atlas of Protein Sequence and Structure", 1978, Nat. Biomed. Res. Foundation, Washington, DC, Suppl. 3, 22: 354-352)によって「容認点突然変異(accepted point mutation)」に関して定義された基準を満たす置換である。
用語「ラベルされた」、「検出可能な薬剤でラベルされた」および「検出可能な部分でラベルされた」は、本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、実体(例えば、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6タンパク質)が、例えば、別の実体(例えば、抗THEX1自己抗体、抗AIF1自己抗体、抗FGF2自己抗体、抗EphB2自己抗体、抗CLK1自己抗体および抗ANKS6自己抗体)に結合した後に可視化できることを明記するために使用される。好ましくは、検出可能な薬剤または部分は、測定することができるシグナルであって、その強度が結合した実体の量に関係するシグナルをそれが発生するように選択される。アレイに基づく方法では、検出可能な薬剤または部分は、また、好ましくはそれが限局性シグナルを発生することによって、アレイの各スポットからのシグナルの空間分解を可能にするように選択される。タンパク質およびポリペプチドをラベルするための方法は、当技術分野において周知である。ラベルされたポリペプチドは、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、もしくは化学的手段、または任意の他の適切な手段によって直接または間接的に、検出可能なラベルを組み込みまたは結合することによって調製することができる。適切な検出可能な薬剤には、非限定的に、様々なリガンド、放射性核種、蛍光色素、化学発光剤、ミクロパーティクル、酵素、比色ラベル、磁気ラベル、およびハプテンが挙げられる。
用語「タンパク質アレイ」および「タンパク質チップ」は、本明細書において互換的に使用される。それらの用語は、異なるタンパク質またはポリペプチドが基材上の別個のスポットに順序的に固定化されている基材表面を表す。タンパク質アレイは、タンパク質/タンパク質相互作用(例えば、抗原/抗体相互作用)を同定するため、酵素の基質を同定するため、または生物学的活性小分子のターゲットを同定するために使用することができる。用語「マイクロアレイ」は、具体的に、視覚的評価のために顕微鏡観察を必要とするように小型化されたアレイを表す。
用語「THEX1」は、「3’−ヒストンmRNAエキソヌクレアーゼ1」という名のタンパク質を表す。該タンパク質の配列は、NCBI参照番号:NM_153332.2から見いだすことができる。本明細書記載のように同定されたタンパク質THEX1は、以下のアミノ酸配列:
Figure 2015528912

を有する。
広く理解されることには、用語「THEX1」は、タンパク質ならびにタンパク質のアナログおよびフラグメントも表す。用語「THEX1フラグメント」は、THEX1タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個のアミノ酸残基(好ましくは少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、または70個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むペプチドを表す。本発明の好ましい態様では、本発明のTHEX1バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全体タンパク質ではない。
用語「AIF1」は、「同種移植片炎症因子1」という名のタンパク質を表す。該タンパク質の配列は、NCBI参照番号:NM_032955.1から見いだすことができる。本明細書記載のように同定されたタンパク質AIF1は、以下のアミノ酸配列:
Figure 2015528912

を有する。
広く理解されることには、用語「AIF1」は、タンパク質ならびにタンパク質のアナログおよびフラグメントも表す。用語「AIF1フラグメント」は、AIF1タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個のアミノ酸残基(好ましくは少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、または250個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むペプチドを表す。本発明の好ましい態様では、本発明のAIF1バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全体タンパク質ではない。
用語「FGF2」は、「塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)」としても公知の「線維芽細胞成長因子2」という名のタンパク質を表す。該タンパク質の配列は、NCBI参照番号:NM_002006.3から見いだすことができる。本明細書記載のように同定されたタンパク質FGF2は、以下のアミノ酸配列:
Figure 2015528912

を有する。
広く理解されることには、用語「FGF2」は、タンパク質ならびにタンパク質のアナログおよびフラグメントも表す。用語「FGF2フラグメント」はFGF2タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個のアミノ酸残基(好ましくは少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、または200個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むペプチドを表す。本発明の好ましい態様では、本発明のFGF2バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全体タンパク質ではない。
用語「EphB2」は、「エフリンB型レセプター2」という名のタンパク質を表す。該タンパク質の配列は、NCBI参照番号:NM_004442.3から見いだすことができる。本明細書記載のように同定されたタンパク質EphB2は、以下のアミノ酸配列:
Figure 2015528912

を有する。
広く理解されることには、用語「EphB2」は、タンパク質ならびにタンパク質のアナログおよびフラグメントも表す。用語「EphB2フラグメント」は、EphB2タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個のアミノ酸残基(好ましくは少なくとも約10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、または250個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むペプチドを表す。本発明の好ましい態様では、本発明のEphB2バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全体タンパク質ではない。
用語「CLK1」は、「二重特異性プロテインキナーゼCLK1アイソフォーム1」という名のタンパク質を表す。該タンパク質の配列は、NCBI参照番号:NM_004071.1から見いだすことができる。本明細書記載のように同定されたタンパク質CLK1は、以下のアミノ酸配列:
Figure 2015528912

を有する。
広く理解されることには、用語「CLK1」は、タンパク質ならびにタンパク質のアナログおよびフラグメントも表す。用語「CLK1フラグメント」は、CLK1タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個のアミノ酸残基(好ましくは少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、または200個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むペプチドを表す。本発明の好ましい態様では、本発明のCLK1バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全体タンパク質ではない。
用語「ANKS6」は、「アンキリンリピートおよびステライルαモチーフドメイン含有タンパク質6(ankyrin repeat and sterile alpha motif domain containing 6)」という名のタンパク質を表す。該タンパク質の配列は、NCBI参照番号:BC012981.2から見いだすことができる。本明細書記載のように同定されたタンパク質P6は、以下のアミノ酸配列:
Figure 2015528912

を有する。
広く理解されることには、用語「ANKS6」は、タンパク質ならびにタンパク質のアナログおよびフラグメントも表す。用語「ANKS6フラグメント」は、ANKS6タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個のアミノ酸残基(好ましくは少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、または200個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むペプチドを表す。本発明の好ましい態様では、本発明のANKS6バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全体タンパク質ではない。
ある好ましい態様の詳細な説明
上述のように、本発明は、患者から得られた生物学的試料中から強皮症特異的自己抗体の存在を検出するために使用することができるバイオマーカーを提供する。これらのバイオマーカーは、強皮症患者の血清または血漿中に存在する抗THEX1自己抗体、抗AIF1自己抗体、抗FGF2自己抗体、抗EphB2自己抗体、抗CLK1自己抗体、および抗ANKS6自己抗体とそれぞれおよび特異的に反応するTHEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6タンパク質である。
Steen VDら(1998); Okano Yら(1993); Okano Yら(1992); Okano Yら(1990)およびOddis CVら(1992)に記載のように、同様に強皮症の特徴で公知の他の強皮症バイオマーカーは、本発明の診断方法に使用することができる。例えば、同様に強皮症の特徴で公知の追加的な強皮症バイオマーカーは、トポイソメラーゼI、セントロメアB、ku、Pm/SclまたはU1RNPからなる群より選択することができる。
本発明は、また、全身性硬化症の診断にこれらのバイオマーカーを使用するための方法を提供する。
I− タンパク質バイオマーカー
ペプチドバイオマーカーの調製
本発明のポリペプチド/タンパク質バイオマーカーは、リコンビナント方法を含めた任意の適切な方法によって調製することができる。例えば、「The Proteins」(Vol. II, 3rd Ed., H. Neurath et al. (Eds.), 1976, Academic Press: New York, NY, pp. 105-237)に記載のような方法も、本発明のバイオマーカーを合成するために使用することができる。
ある態様では、固体の担体または支持体(例えば、ビーズまたはアレイ)上に固定化された本発明のポリペプチド/タンパク質バイオマーカーが提供される。固体表面上にポリペプチド分子を固定化するための方法は、当技術分野において公知である。ポリペプチド/タンパク質は、固体の担体または支持体上の表面に共有結合または受動結合のいずれかをさせることによって固定化することができる。適切な担体または支持体の材料の例には、非限定的に、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、デキストラン、セファデックス、セファロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、濾紙、磁鉄鉱、イオン交換樹脂、ガラス、ポリアミン−メチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体、アミノ酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、ナイロン、絹などが挙げられる。固体の担体または支持体の表面へのポリペプチド/タンパク質バイオマーカーの固定化は、当技術分野で周知の方法を用いた架橋、共有結合形成または物理的吸着を伴う場合がある。固体の担体または支持体は、ビーズ、粒子、マイクロプレートのウェル、アレイ、キュベット、チューブ、メンブランの形態、または本発明による診断方法を(例えば、イムノアッセイを使用して)行うために適した任意の他の形状でありうる。
特に本発明は、強皮症の診断のためのアレイまたはタンパク質アレイであって、本発明の少なくとも1種のペプチドバイオマーカーをその表面に固定化されて含むアレイを提供する。好ましくは、アレイは、1種よりも多い本発明のポリペプチド/タンパク質バイオマーカーを含む。
アレイは、さらに、Steen VDら(1998); Okano Yら(1993); Okano Yら(1992);Okano Yら(1990)およびOddis CVら(1992)に記載のように、強皮症特異的自己抗体を検出するための、同様に強皮症の特徴で公知の少なくとも1種の追加的な強皮症バイオマーカーを含みうる。例えば、同様に強皮症の特徴で公知の追加的な強皮症バイオマーカーは、トポイソメラーゼI、セントロメアB、ku、Pm/Sclまたは抗U1RNPからなる群より選択することができる。
本発明は、また、強皮症の診断のためのタンパク質ビーズ懸濁アレイを提供する。このビーズ懸濁アレイは、1個または複数の同定可能な別個の粒子またはビーズの懸濁物を含み、ここで、各ビーズはその大きさ、色または蛍光シグネチャーに関係するコード特徴を含み、各ビーズは本発明のポリペプチド/タンパク質バイオマーカーでコーティングされている。ビーズ懸濁アレイの例には、thexMAP(登録商標)ビーズ懸濁アレイ(Luminex Corporation)が挙げられる。
II− 診断方法
本発明は、対象における強皮症の診断のための方法を提供する。そのような方法は、被験対象から得られた生物学的試料を、バイオマーカー−抗体複合体を形成可能にする時間および条件で1、2、3、4、5または6種のバイオマーカーと接触させること、ならびに形成されたバイオマーカー−抗体複合体を検出することを含む。
バイオマーカーは、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなる群より選択することができる。
この方法では、バイオマーカー−抗体複合体の検出は、対象における強皮症を示す。
一態様では、バイオマーカー−抗体複合体の検出は、対象における全身性硬化症を示す。
本発明は、対象における強皮症の診断のための方法を提供する。特定の一態様では、強皮症は限局性強皮症である。
他の態様では、2種以上のバイオマーカー、例えば、3、4、5または6種のバイオマーカーが組み合わせて使用される。好ましい態様では、バイオマーカーの組み合わせは、少なくともTHEX1およびAIF1を含有する。
ある好ましい態様では、6種のバイオマーカー、すなわちTHEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6が使用される。
他の態様では、2種のバイオマーカー、すなわちTHEX1およびAIF1が使用される。
本発明による方法の別の態様では、対象から得られた生物学的試料は、少なくとも6種のバイオマーカー、およびトポイソメラーゼI、セントロメアB、または核タンパク質からなるタンパク質の群より選択される1種または複数のタンパク質バイオマーカーと接触している。
特定の一態様では、本発明の対象は、トポイソメラーゼI、セントロメアB、または核タンパク質からなるタンパク質の群より選択される1種または複数のタンパク質バイオマーカーを認識する自己抗体を有さない。
一態様では、本発明は、対象における強皮症を診断するための方法であって、抗THEX1自己抗体、抗AIF1自己抗体、抗FGF2自己抗体、抗EphB2自己抗体、抗CLK1自己抗体、および抗ANKS6自己抗体からなる群より選択される少なくとも1種の自己抗体を検出する工程を含む方法に関する。
別の態様では、該方法は、抗THEX1自己抗体および抗AIF1自己抗体からなる群より選択される少なくとも1種の自己抗体を検出する工程を含む。
生物学的試料
本発明の診断方法は、1種または複数のバイオマーカーをアッセイ可能にする任意の種類の生物学的試料に適用することができる。適切な生物学的試料の例には、非限定的に、全血、血清、血漿、唾液、および滑液が挙げられる。本発明の実施に使用される生物学的試料は、対象から収集された新鮮試料もしくは凍結試料であってもよく、または診断、処置および/もしくは転帰歴が既知の保管試料であってもよい。生物学的試料は、例えば、対象から採血するまたは細針吸引もしくは針生検を使用することによるなどの、任意の非侵襲的手段により収集することができる。ある態様では、生物学的試料は血清学的試料であって、全血、血清、および血漿からなる群より選択される。
好ましい態様では、本発明の方法は、生物学的試料を処理せずに、または限定処理して、その試料自体に行うことができる。
しかし代替的に、本発明の方法は、生物学的試料から調製されたタンパク質抽出物に行ってもよい。この場合、タンパク質抽出物は、好ましくは総タンパク質含有物を含有する。タンパク質の抽出方法は、当技術分野において周知である(例えば、"Protein Methods", D.M. Bollag et al., 2nd Ed., 1996, Wiley-Liss; "Protein Purification Methods: A Practical Approach", E.L. Harris and S. Angal (Eds.), 1989; "Protein Purification Techniques: A Practical Approach", S. Roe, 2nd Ed., 2001, Oxford University Press; "Principles and Reactions of Protein Extraction, Purification, and Characterization", H. Ahmed, 2005, CRC Press: Boca Raton, FLを参照されたい)。体液および組織からタンパク質を抽出するために様々なキットを使用することができる。そのようなキットは、例えば、BioRad Laboratories (Hercules, CA)、BD Biosciences Clontech (Mountain View, CA)、Chemicon International, Inc. (Temecula, CA)、Calbiochem (San Diego, CA)、Pierce Biotechnology (Rockford, IL)、およびInvitrogen Corp (Carlsbad, CA)から市販されている。従うべきプロトコールを非常に詳細に説明しているユーザーガイドが、通常これらのキット全てに収められている。感度、処理時間および費用はキット毎に異なりうる。当業者は、特定の状況に最も適するキット(1種または複数)を容易に選択することができる。
バイオマーカー − 抗体複合体の検出
本発明の診断方法は、タンパク質バイオマーカーと被験生物学的試料中に存在する自己抗体との間に形成されたバイオマーカー−抗原複合体の検出を伴う。本発明の実施では、そのような複合体の検出は、任意の適切な方法によって行うことができる(例えば、E. Harlow and A. Lane, "Antibodies: A Laboratories Manual", 1988, Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, NYを参照されない)。
例えば、バイオマーカー−抗体複合体の検出は、イムノアッセイを用いて行うことができる。ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、および免疫蛍光免疫沈降法を含めた幅広いイムノアッセイ技法が利用可能である。イムノアッセイは、当技術分野において周知である。そのようなアッセイを実施するための方法ならびに実際の適用および手順は、教科書に概要されている。そのような教科書の例には、P. Tijssen、出典:Practice and theory of enzyme immunoassays, eds. R.H. Burdon and v. P.H. Knippenberg, Elsevier, Amsterdam (1990), pp. 221-278ならびに免疫学的検出方法を論じているMethods in Enzymology, Eds. S.P. Colowick et al., Academic Pressのいくつかの巻、特に第70、73、74、84、92および121巻が挙げられる。イムノアッセイは、競合的または非競合的でありうる。
例えば、イムノアッセイを行うために、サンドイッチアッセイ技法のいくつかの変形のいずれかを用いることができる。簡潔には、例えば、本発明による抗THEX1自己抗体の検出に適用された典型的なサンドイッチアッセイでは、未ラベルTHEX1−タンパク質/ポリペプチドバイオマーカーが(上記のように)固体表面に固定化され、バイオマーカー−抗体複合体の形成を可能にする時間および条件で被験生物学的試料が結合型バイオマーカーと接触される。インキュベーション後に、検出可能な部分でラベルされた、被験種由来の抗体(例えば、ヒト対象に関する抗ヒトIgG)を特異的に認識する抗体が添加され、任意のバイオマーカー結合型自己抗体とラベル化抗体との間の三重複合体の形成を可能にする条件でインキュベーションされる。あらゆる未結合材料が洗浄除去され、試料中の任意の抗THEX1自己抗体の存在は、検出可能な部分によって直接的または間接的に生成されたシグナルの観察/検出によって決定される。このアッセイへの変形には、生物学的試料とラベル化抗体との両方が固定化THEX1−タンパク質/ポリペプチドバイオマーカーに同時に添加されるアッセイが挙げられる。
二次抗体(すなわち上記サンドイッチアッセイにおいて添加される抗体)は、任意の検出可能な部分で、すなわちその化学的性質によって分析的に同定可能なシグナルを提供して三重複合体の検出を可能にし、それゆえにバイオマーカー−抗体複合体の検出を可能にする任意の実体で、ラベルすることができる。
検出は、定性的または定量的のいずれかでありうる。抗体などの生物学的分子をラベルするための方法は、当技術分野において周知である(例えば、"Affinity Techniques. Enzyme Purification: Part B", Methods in Enzymol., 1974, Vol. 34, W.B. Jakoby and M. Wilneck (Eds.), Academic Press: New York, NY;およびM. Wilchek and E.A. Bayer, Anal. Biochem., 1988, 171: 1-32を参照されたい)。
イムノアッセイにおいて最も一般に使用される検出可能な部分は、酵素およびフルオロフォアである。酵素イムノアッセイ(EIAまたはELISA)の場合、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼなどの酵素が、一般にグルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩によって二次抗体とコンジュゲーションされる。特異的酵素と共に使用されるべき基質は、一般に、対応する酵素の加水分解の際の検出可能な色変化の生成で選択される。免疫蛍光の場合、二次抗体は、その結合能を変化させずに蛍光部分と化学的にカップリングされる。バイオマーカー−抗体複合体に蛍光ラベル化抗体を結合させ、あらゆる未結合物質を除去した後、蛍光部分によって発生した蛍光シグナルが検出され、場合により定量される。または、二次抗体は、放射性同位体、化学発光部分、または生物発光部分でラベルしてもよい。
強皮症の診断
本発明の方法では、バイオマーカー−抗体複合体の検出は、被験生物学的試料中のTHEX1自己抗体、AIF1自己抗体、FGF2自己抗体、EphB2自己抗体、CLK1自己抗体またはANKS6自己抗体の存在を示し、したがって、その生物学的試料が得られた対象における強皮症を示す。したがって、本発明の方法は、患者での強皮症の診断のために使用することができる。特に、本発明の方法は、強皮症を有すると疑われる対象を検査するために使用することができる。
別の態様では、本発明の方法は、患者での全身性硬化症の診断のために使用することができる。
強皮症の診断を単に本明細書提供の方法によって得られた結果に基づいて行ってもよいことが、当業者によって理解されよう。または、医師は、既存の方法に使用される他の臨床パラメーターまたは病理パラメーターも考慮して強皮症を診断してもよい。したがって、本発明の方法を使用して得られた結果は、強皮症の診断のために行われた他の検査、アッセイまたは手順からの結果と比較および/または組み合わせすることができる。そのような比較および/または組み合わせは、より精密な診断の提供を助けうる。
例えば、本発明の強皮症診断方法は、強皮症の基準と組み合わせて使用することができる(総説についてHachulla E et al. 2011を参照されたい)。
代替的または追加的に、本発明の強皮症診断方法の結果は、他の強皮症バイオマーカーを採用する1つまたは複数のアッセイの結果と組み合わせて使用することができる。したがって、ある態様では、強皮症の診断は、本発明の方法の結果および異なる強皮症バイオマーカーを使用する1つまたは複数の追加的なアッセイの結果に基づきうる。例えば、強皮症バイオマーカーのパネルは、例えば、チップまたはビーズに基づくアレイ技法を用いて個別または同時のいずれかで検査することができる。
適切な強皮症バイオマーカーの例には、Steen VDら(1998); Okano Yら(1993); Okano Yら(1992); Okano Yら(1990)およびOddis CVら(1992)に記載のように、同様に強皮症の特徴で公知の強皮症バイオマーカーが挙げられる。例えば、同様に強皮症の特徴で公知の適切な強皮症バイオマーカーには、非限定的にトポイソメラーゼI、セントロメアB、ku、Pm/SclまたはU1RNPが挙げられる。
本発明による方法の別の態様では、対象から得られた生物学的試料は、本発明の少なくとも6種のバイオマーカーならびにSteen VDら(1998); Okano Yら(1993); Okano Yら(1992); Okano Yら(1990)およびOddis CVら(1992)に記載のように、同様に強皮症の特徴で公知の強皮症バイオマーカーからなるタンパク質の群より選択される1種または複数のタンパク質バイオマーカーと接触している。例えば、同様に強皮症の特徴で公知の適切な強皮症バイオマーカーには、非限定的にトポイソメラーゼI、セントロメアB、ku、Pm/SclまたはU1RNPが挙げられる。
III− キット
別の局面では、本発明は、本発明による診断方法を実施するために有用な材料を含むキットを提供する。本明細書に提供される診断手順は、診断検査室、実験研究室、または開業医が行うことができる。本発明は、これらの異なる背景で使用することができるキットを提供する。
抗THEX1自己抗体、抗AIF1自己抗体、抗FGF2自己抗体、抗EphB2自己抗体、抗CLK1自己抗体、および抗ANKS6自己抗体、もしくはその任意の組み合わせを生物学的試料中から検出するための、ならびに/または本発明による対象における強皮症を診断するための材料ならびに試薬は、キット中に一緒に集めることができる。本発明の各キットは、本発明の少なくとも1種のタンパク質/ポリペプチドバイオマーカーを好ましくは生物学的試料中の自己抗体の検出に適切な量で含む。
したがってある態様では、本発明のキットは、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなる群より選択される1、2、3、4、5または6種のバイオマーカーを含む。
なお別の態様では、本発明のキットは、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなる群より選択される、少なくとも2、3、4、5または6種のバイオマーカーを含む。
好ましい一態様では、本発明のキットは、少なくともTHEX1またはAIF1を収容する。
別の好ましい態様では、キットは、少なくとも6種のバイオマーカーTHEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6を含む。
なお別の好ましい態様では、キットは、以下の2種のバイオマーカー:THEX1およびAIF1を含む。
キット内に包含されるペプチドバイオマーカー(1種または複数)は、基材表面(例えば、ビーズ、アレイなど)に固定化されていてもよく、または固定化されていなくてもよい。したがって好ましい態様では、本発明のキットは、本明細書提供の強皮症診断用アレイを包含する。または、ペプチドバイオマーカーの固定化のために基材表面が本発明のキットに包含される場合がある。
本発明のキットは、一般に、キット内に包含されるペプチドバイオマーカーと生物学的試料中に存在する自己抗体との間に形成されたバイオマーカー−抗体複合体の検出のための少なくとも1種の試薬も含む。そのような試薬は、例えば、上記のように被験種由来の抗体(例えば、ヒト対象についての抗ヒトIgG)を特異的に認識するラベル化抗体でありうる。
手順に応じて、キットは、さらに以下の1つまたは複数を含みうる:抽出緩衝剤および/または試薬、ブロッキング緩衝剤および/または試薬、免疫検出緩衝剤および/または試薬、ラベル化緩衝剤および/または試薬、ならびに検出手段。手順の異なる工程を行うために、これらの緩衝剤および試薬を使用するためのプロトコールがキット内に包含される場合がある。
本発明のキット内に包含される異なる試薬は、固体状(例えば、凍結乾燥されたもの)または液体状で供給することができる。本発明のキットは、場合により、各個別の緩衝剤および/または試薬について異なる容器(例えば、バイアル、アンプル、試験管、フラスコまたはボトル)を含みうる。各構成要素は、一般にその個々の容器に小分けするまたは濃縮状で提供するのに適している。開示された方法のある工程を行うために適切な他の容器も提供される場合がある。キットの個別の容器は、好ましくは商業的販売用に厳重に制限されて維持される。
ある態様では、キットは、本発明の方法により対象における強皮症の診断のためにその構成要素を使用するための説明書を含む。本発明の方法によりキットを使用するための説明書は、対象から得られた生物学的試料を処理するため、および/もしくは検査を行うための説明書、ならびに/または結果を解釈するための説明書を含みうる。キットは、また、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制している政府機関によって規定される形式での通知も収載しうる。
本発明を、さらに、以下の図面および実施例によって例示する。しかし、これらの実施例および図面は、決して本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
AIF1のELISA用量設定を示す図である。*3群全てを比較したときにp=0.04(ANOVA検定)。黒の横線は、他の自己免疫疾患および健康状態からSScを厳密に識別可能にする0.055のΔOD閾値を表す。 THEX1のELISA用量設定を示す図である。*3群全てを比較したときにp=0.001(ANOVA検定)。黒の横線は、他の自己免疫疾患および健康状態からSScを厳密に識別可能にする0.08のΔOD閾値を表す。
Figure 2015528912
Figure 2015528912
Figure 2015528912
実施例:
材料および方法
参加者の特徴
タンパク質アレイ分析は、フランスの病院5箇所から募集した、ATAおよびACAが陰性の患者8人(Abneg)、ATA陽性の6人およびACA陽性の6人を含めたSSc患者20人由来の血漿試料に行った。SSc患者は、Centre d'Examen de Sante de l'Assurance Maladie(CESAM)(Marseille, France)で募集した自己免疫疾患(AID)の病歴のない健康個体8人、ならびにマルセイユのSt Marguerite病院リウマチ学部門で募集した関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)および限局性強皮症(LocSc)を含めた他のAID患者10人を含む対照18人と比較した。患者の自己抗体プロファイル(ATA、ACA、Abneg)および患者の疾患サブタイプ(Lc−SSc、Dc−SSc)は、医療記録を再調査することによって得た。
次に、最大および最小がSSc患者56〜88人、他のAID患者57〜91人および健康対照57〜83人のより大きなコホートで各候補を検査した。各被験タンパク質についての結果に、各自己抗体群(Abneg、ATApos、ACApos)内の分布を詳細に示す。
Abneg患者はATAおよびACAについて陰性であるが他の自己抗体(抗RNAポリメラーゼIII、抗U3RNPなど)については陽性のおそれがあり、しかし、このことは医療記録に記録されていなかったことに留意されたい。
倫理声明
全ての参加者は、ヘルシンキ宣言によるインフォームドコンセントにサインした(6)。研究は、生物医学研究プロトコール番号RBM−04−10で、または番号DC−2008−327で登録されたコレクションとしてINSERMに登録されている。
タンパク質アレイによる自己抗体の検出
ProtoArrayヒトタンパク質マイクロアレイV5.0(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)は、ニトロセルロースコーティングガラススライド上に、昆虫細胞から精製されたバキュロウイルス発現系を用いて発現された9483種のヒトタンパク質(タンパク質内容物リスト5.0)を二つ組でスポットされている。非特異的ハイブリダイゼーションを回避するために、アレイを最初に4℃のブロッキング緩衝液(1%BSA、1×PBS、0.1%Tween(登録商標)20)(PartnerChip, Evry, France)で1時間ブロッキングした。プローブ緩衝液(1×PBS、5mM MgCl2、0.5mM DTT、5%グリセロール、0.05%Triton(登録商標)X-100、1%BSA)に1:500希釈した血漿試料をアレイに加え、4℃のインキュベーション/ハイブリダイゼーションチャンバー内で90分間インキュベーションした。次に、アレイをプローブ緩衝液20mlで8分間、3回洗浄し、その後、4℃の1.0μg/ml Alexa Fluor(登録商標)647(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)コンジュゲーション型抗ヒトIgG溶液を90分間加えた。上記のようにアレイを再度3回洗浄し、室温で乾燥させた。NimbleGen MS200スキャナー(Roche, Basel, Switzerland)でアレイをスキャンした。蛍光データは、GenePix Proソフトウェアで取得し、Protoarray Prospector 5.2(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を用いて処理した。血漿を有さない2枚の対照スライドを使用し、スポットされた9483種のタンパク質から58種の非特異的タンパク質を排除できた(データは示さず)。
ProtoArray(登録商標)データの解析
ProtoArray(登録商標)Prospectorソフトウェアは、バイオマーカー同定に重要な交差群比較のためのアッセイ間データ解析を容易にする線形正規化アルゴリズムおよびM統計量アルゴリズムを備える。これらの統計ツールは、対になった群間で結果を比較して、対照群(健康個体および他のAID患者)に比較してSSc患者群で一貫して増加したシグナルを有するプローブを同定可能にする。
ELISAによる自己抗体の検出
ウェル1個あたりPBSに希釈された候補タンパク質0.2μgをプレートに4℃で一晩コーティングした(作業条件を0.1μg/ウェルに規定したANKS6を除く)。PBS+1%BSAでプレートを一晩ブロッキングした。ブロッキング溶液を除去後に、1:100希釈した血漿試料を添加した。室温で2時間インキュベーション後に、プレートをPBS+0.1%Tween20で3回(1分間)洗浄し、ペルオキシダーゼコンジュゲーション型抗ヒトIgG(Sigma, France)を半時間添加し、次にテトラメチルベンジジン(TMB)液体基質系(Sigma, St Louis, MO, USA)で顕色させた。吸光度(OD)は、PowerWave XSマイクロプレート分光光度計(BIOTEK, France)を用いて405nmで読み取った。各個体について、バックグラウンドODは、被験タンパク質を有さない二つ組のウェルに血漿を添加することによって得た。陽性血漿は、バックグラウンドODの2倍以上のOD値と規定した(陽性ΔOD=0以上)。
ELISAデータ解析
候補タンパク質が健康対照および/または他のAID患者よりもSSc患者由来の血漿によって有意に良好に認識されたかどうかを判定するために、χ検定を用いてp値を計算した。用量設定のために、ANOVA検定を用いてp値を評価した(Graphpad Prism 5)。
結果
SSc患者由来の血漿試料は、対照血漿試料よりも多くのタンパク質を認識する。
ProtoArray(登録商標)アッセイで、それぞれ健康対照(N=8)および他のAID患者(N=10)における1685種(17.8%)および3080種(32.5%)のタンパク質に比べて、SSc患者(N=20)由来の血漿試料は9483種のヒトタンパク質から平均で4221種(44.5%)を認識したので、最も反応性に富んでいた(表1)。認識の差(マンホイットニー検定)は、SSc患者と健康対照との間で有意であり(p=0.0009)、SSc患者と他のAID患者との間でわずかに有意であった(p=0.058)。
ProtoArrayは、以前に記載されたSSc特異的自己抗原を同定する。
ATAおよびACAは、SScにおいて最も特異的で最も多くの場合に検査される自己抗体である。被験患者20人についてACAおよびATAを評価した臨床記録があったので(追補の表S1)、本発明者らはそれらをProtoArrayの結果と比較して方法を検証した。SSc患者20人中12人(60%)および対照18人中5人(28%)がProtoArraysにより抗セントロメア(CENP−B)抗体を有したが、一方で臨床ファイルに基づくとSSc患者20人中6人(30%)だけがACA陽性であった。CENP−Bは、予想どおりACA陽性6人中5人により認識されたが、Ab陰性患者8人中5人およびATA陽性患者6人中2人によっても認識された(データは示さず)。
CENP−B陽性の対照5人のうち、2人が健康で、1人がレイノー症候群を有し、ごく最近未分化型結合組織病の診断を受けており、その他の3人は、RA患者1人、SLOC患者1人およびSLE患者1人であった。
強皮症での古典的ターゲットであるトポイソメラーゼI(Scl−70)は、ProtoArraysでSSc患者14人(Abneg8人中3人、ATA6人中6人およびACA6人中5人)ならびに対照2人(限局性強皮症の患者1人および健康個体1人)により認識されたが、医療記録からは6人だけがATA陽性であった。
トポイソメラーゼおよびCENP−Bの両方は、古典的臨床検査よりもProtoArraysの方が高感度で認識された。
ProtoArray(登録商標)分析による強皮症にとって関心対象の抗原の同定。
ProtoArray(登録商標)アッセイからの結果の解釈は、陽性シグナルについて正しいカットオフを設定することを必要とする。最も厳密な制限は、SSc患者100%によって認識されるが対照によっては全く認識されないタンパク質だけを選択することであろう(データは示さず)。そのような理想的な特異的SSc候補は本発明者らのアッセイに存在しない。そのうえ、そのような厳密な制限下では、トポイソメラーゼIもセントロメアBもProtoArrayによって発見されなかったであろう。
なお、SScについての高度に特異的で新しい候補を検証するために、本発明者らは、SSc患者の少なくとも半数によって認識されたが、対照では認識されなかったタンパク質に任意に焦点を合わせた。これによって、タンパク質の数は6種の候補(表2)、すなわち線維芽細胞成長因子2(FGF2)、同種移植片炎症因子1(AIF1)転写変異体1、エフリンB型レセプター2(EphB2)、二重特異性プロテインキナーゼCLK1、3’−ヒストンmRNAエキソヌクレアーゼ1(THEX1)、アンキリンリピートおよびステライルαモチーフドメイン含有タンパク質6(ANKS6)に減少した。
それらのタンパク質の中でTHEX1は、ACAおよびATAを有さない患者についての新しいバイオマーカーとして最も関心がもたれると考えられた。それは、THEX1がそのような患者の62.5%によって認識されたからである(表2)。
ELISAによって確認された2種の候補AIF1およびTHEX1。
候補タンパク質は、Milliporeから購入したFGF2以外はInvitrogenから購入した。より多数の個体をELISA検査するように、タンパク質を96ウェルプレート上にプレーティングした(表3)。
FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6は、SSc患者のそれぞれ12%、25%、34%および55%、ならびに他のAID患者の9%、15%、21%および54%由来の血漿試料によって認識されたので、SScに特異的ではなかった(表3)。
反対に、THEX1およびAIF1は、SSc患者由来の血漿のそれぞれ69%および42%、ならびに他のAID由来の血漿試料のわずか31%(p=0.00002)および25%(p=0.0014)、ならびに健康個体由来の血漿試料の16%および18%(それぞれp=0.0004および0.0007)によって認識された。THEX1がACAもATAも有さない患者についての良好なマーカーでありうるという最初のProtoArrayの観察がより大規模な分析で確認された。それは、このマーカーがAb陰性患者の67%によって認識されたからである。
ELISA用にプレーティングされた精製タンパク質がマイクロアレイ上と同じであると業者によって保証されていたが、それらのうちProtoArrayによりSScに特異的な4種は、ELISAによるとSScに特異的なままではなかった。2種の異なるアッセイで同じタンパク質の間に特異性に差があることに関するありうる説明は、タンパク質コンフォメーションの差である。マイクロアレイ上にスポットされたヒトタンパク質の大部分が昆虫細胞で高レベル発現されたものであり、それらの昆虫細胞は、哺乳動物細胞と同様に、E. coliで発現されたタンパク質とは対照的なタンパク質フォールディングならびにリン酸化およびグリコシル化などの翻訳後修飾に進むことに留意されたい[Augustin HG et al., 2003]。一方、SScについての6種の候補のうち、FGF2およびCLK1はE. Coliで発現されたものである。そのうえ、Invitrogenから購入されたE. Coli発現FGF2は、本発明者らの側では作用しないのに対して、Milliporeから購入された酵母(翻訳後修飾に適する)で発現されたFGF2はSScに特異的ではないものの作用した。ELISAで検査されたCLK1は、ProtoArrayでのCLK1と全く同じであり、本発明者らがProtoArrayで観察した決定的な結果を与えなかった。タンパク質コンフォメーションが2種のアッセイの間での結果の差に役割を果たすならば、それはエピトープマッピング研究で一部解決されるであろう。
したがって、ProtoArrayによって見いだされたが、ELISAによって検証されなかった4種のタンパク質は、依然として強皮症の診断のため、特に全身性硬化症のためのバイオマーカーとして考慮されるべきである。
AIF1およびTHEX1のELISA力価。
本発明者らは、さらに、診断ツールを開発する目的でSScと他の群との間でAIF1およびHEX1についての力価の差を分析した。AIF1について、ELISA力価はSSc群の方が他の対照群よりわずかに高かった(p=0.04、図1)。しかし、閾値をΔOD=0.055に設定することでSSc患者88人中11人(12.5%)ならびにプール対照(健康対照および他のAID患者)169人中4人(2.4%)の検出が可能になるであろう(p=0.001)。THEX1について、力価はSSc群の方が対照群よりも統計的に高かった(<0.0001)(図2)。0.08でのΔODの閾値は、SSc患者61人中17人(11.5%)およびプール対照群123人中2人(1.6%)(p<10−7)の検出を可能にする。
参考文献
本出願にわたり、様々な参考文献が、本発明が属する技術分野の現状を記載している。
Figure 2015528912

Claims (11)

  1. 対象における強皮症を診断するためのin vitro方法であって、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなるタンパク質の群より選択される1種または複数のタンパク質バイオマーカーを認識する1種または複数の自己抗体を、対象から得られた生物学的試料中から検出する工程を含む方法。
  2. 強皮症が全身性硬化症である、請求項1記載のin vitro方法。
  3. 方法が、対象から得られた生物学的試料を、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなる群より選択される1、2、3、4、5または6種のバイオマーカーと接触させる工程;ならびに形成された任意のバイオマーカー−抗体複合体を検出する工程を含み、バイオマーカー−抗体複合体の検出が、対象における全身性硬化症を示す、請求項2記載の方法。
  4. 対象から得られた生物学的試料が、2種のバイオマーカー:THEX1およびAIF1と接触している、請求項3記載の方法。
  5. 対象から得られた生物学的試料が、6種のタンパク質バイオマーカーと接触している、請求項3記載の方法。
  6. THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなる群より選択される1、2、3、4、5または6種のタンパク質バイオマーカー;ならびにタンパク質バイオマーカーと対象から得られた生物学的試料中に存在する自己抗体との間で形成されたバイオマーカー−抗体複合体を検出するための少なくとも1種の試薬を含む、対象における強皮症のin vitro診断のためのキット。
  7. 6種のタンパク質バイオマーカーを含む、請求項6記載のキット。
  8. 2種のタンパク質バイオマーカー:THEX1およびAIF1を含む、請求項6記載のキット。
  9. 対象における強皮症の診断のためのアレイであって、THEX1、AIF1、FGF2、EphB2、CLK1およびANKS6からなる群より選択される1、2、3、4、5または6種のタンパク質バイオマーカーをその表面に結合して含むアレイ。
  10. 6種のタンパク質バイオマーカーをその表面に結合して含む、請求項9記載のアレイ。
  11. 2種のタンパク質バイオマーカー:THEX1およびAIF1をその表面に結合して含む、請求項9記載のアレイ。
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