JP5934183B2 - ミオパチーを特性化するための組成物及び方法 - Google Patents

ミオパチーを特性化するための組成物及び方法 Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本願は、以下の米国仮出願第61/324,857号(2010年4月16日出願)及び同第61/371,798号(2010年8月9日出願)の優先権を主張し、このそれぞれの全てが参照により本明細書に取り込まれている。
(連邦支援研究によってなされた発明に対する権利の宣言)
本研究は国立衛生研究所(National Institutes of Health)からの以下の助成金によって支援された。助成金番号:AR44684、R37DE12354、K23−AR−053197、及びK08−AR−245783。政府は本発明においてある特定の権利を有している。
近位筋力低下、クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇、筋電図検査(EMG)でのミオパチーの特徴、及び核磁気共鳴画像(MRI)上での筋浮腫の証拠を有する成人は、自己免疫性ミオパチー、中毒性ミオパチー、腫瘍随伴性ミオパチー、及び筋ジストロフィーを含む広範な鑑別診断を受けている。ミオパチー(筋疾患)は、コレステロールを低下させるためにスタチンを投与された対象にたびたび生じる有害な副作用である。このような患者が感じる筋肉痛は時としてスタチン治療の終了を正当化するほど重症である。自己免疫性筋疾患のみが免疫抑制療法にいつも決まって応答するので、免疫介在性ミオパチーと他の病因を区別することは非常に重要である。
多くの場合、顕著な臨床的特徴及び/又は筋生検が確定診断をもたらすことができる。例えば、筋束周辺萎縮(perifascicular atrophy)は、発疹が存在していなくても皮膚筋炎(DM)に特徴的であり;コルヒチンで治療されている患者における空胞性ミオパチーは中毒性ミオパチーを強く示唆しており;そして下腿筋肥大を伴う若者の筋肉におけるジストロフィン染色の減少はジストロフィン異常症と診断される。
しかしながら、相当な数の症例において、筋生検試料は、疾患特異的な特徴無しに、変性及び壊死性の筋繊維を示す。これらの場合では、筋炎特異的自己抗体(MSAs)の存在により自己免疫性ミオパチーのファミリーに属している疾患が同定される。例えば、シグナル認識粒子(SRP)に対する抗体を有している患者は典型的に、非常に攻撃的な免疫抑制に対してのみ応答する重篤な壊死性ミオパチーを有している。残念ながら、臨床評価及び現在利用できる診断試験は確定診断をもたらすとは限らず、そして壊死性ミオパチーが免疫介在性であるか否かを確認することができない。この不確実性が自己免疫性ミオパチーの不十分な治療或いは免疫介在性疾患を有していない患者における不適切な免疫抑制を誘導してしまう。つまり、現在の臨床方法は、ミオパチーに罹っている患者において特定の筋疾患を診断するためには不適切であって、改善された方法が直ちに必要である。
以下に記載するように、本発明は、対象におけるミオパチー(例えば、免疫介在性の壊死性ミオパチー)を治療し、診断し、観察し、そして特性化するための組成物、方法、及びキットを特徴としている。
一態様では、本発明は、方法が対象の生体試料中で3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体を検出することを含有している、対象の自己免疫応答を検出する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、方法が対象の生体試料中で3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体を検出することを含んでいる、対象のミオパチーを特性化する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、方法が対象の生体試料中でHMGCR抗体と結合する100kDタンパク質及び/又は200kDタンパク質を検出することを含んでいる、対象のミオパチーを特性化する方法を提供する。
別の態様では、本発明は、方法が対象の生体試料中で3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体の存在をアッセイすること(ここで自己抗体の同定がスタチン治療を中止すべきであると示唆する)を含有している、患者においてスタチン治療を続けるべきか否かを確認する方法を提供する。
一実施態様では、筋肉痛を有すると確認されている対象に自己免疫抗体が存在しないことは、自己免疫抗体の進展について対象を定期的に観察しながら、スタチン治療を続けることができることを示唆している。
別の実施態様では、筋肉痛及び筋力低下を有する対象における自己抗体の確認は、スタチン治療を中止して免疫抑制療法を開始すべきであることを示唆している。
別の態様では、本発明は、方法が対象の生体試料中の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体について、対象由来の生体試料を定期的に試験することを含んでいる、対象のスタチン治療を観察する方法を提供する。
一実施態様では、定期的試験をスタチン治療開始の3、6、9、12、24及び/又は36ヶ月後に行う。
別の実施態様では、方法は更に、スタチン治療に続いて筋肉痛又は筋力低下があるかについて対象を識別することを含んでいる。
別の態様では、本発明は、方法が対象の生体試料中で3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体を検出すること(ここで、自己抗体の検出は免疫抑制療法を選択すべきであると示唆する)を含んでいる、ミオパチーを有すると確認された患者について治療計画を選択する方法を提供する。
一実施態様では、方法は更に、対象が筋肉痛又は筋力低下を有しているかを確認することを含んでいる。
別の実施態様では、生体試料が液体の生体試料又は組織試料である。
別の実施態様では、液体の生体試料が血液、血清、又は血漿である。
別の実施態様では、自己抗体を免疫測定法(例えば、ELISA、免疫沈降、蛍光免疫吸着測定、化学結合免疫吸着測定、放射免疫測定、免疫ブロット法、免疫測定法、フローサイトメトリー、ウェスタンブロット、又は免疫組織化学)で検出する。
別の態様では、本発明は、方法が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質又はその断片を対象の血清、血液、又は血漿と接触させて、HMGCR又はその断片への自己抗体の特異的な結合を検出し、それによって対象のミオパチーを特性化することを含んでいる、対象のミオパチーを特性化する方法を提供する。
一実施態様では、HMGCRタンパク質又はその断片が基質に固定化されている。
別の実施態様では、基質が膜、ビーズ、又はマイクロチップである。
別の実施態様では、比色分析又は放射分析を用いて結合を検出する。
別の態様では、本発明は、キットが基質に固定化されている3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質又はその断片を含有している、対象のミオパチーを特性化するためのキットを提供する。
一実施態様では、キットは更に前期の何れかの態様の方法でキットを用いるための使用説明書を含有している。
一実施態様では、基質が膜、ビーズ、又はマイクロチップである。
別の実施態様では、比色分析を用いて結合を検出する。
別の実施態様では、HMGCR断片がaa340〜888を含むC−末端断片を含んでいる。
上記態様の何れか又は本明細書に詳述されている本発明の別の何れかの態様の多くの実施態様において、方法は更に、対象の生体試料中でHMGCR抗体と結合する100kDタンパク質及び/又は200kDタンパク質を検出することを包含する。
上記態様のある特定の実施態様では、タンパク質を免疫沈降法で検出する。
上記態様の別の実施態様では、100kD及び/又は200kDタンパク質に結合しているHMGCR抗体を比色分析又は放射分析で検出する。
更に別の実施態様では、ミオパチーはスタチン治療に関連している自己免疫介在性ミオパチー又は壊死性ミオパチーである。
更に別の実施態様では、方法は、近位筋力、両大腿部MRI上の筋浮腫、クレアチンキナーゼのレベル、及び/又は筋電図検査におけるミオパチー所見を特性化することを包含する。
更に別の実施態様では、方法は、抗シンセターゼ自己抗体、抗−シグナル認識粒子(SRP)自己抗体、上昇したクレアチンキナーゼ(CK)レベル、筋生検における炎症細胞の著しい浸潤、縁取りされている空胞、筋束周辺萎縮、クラスI MHC陽性、小筋周膜血管への細胞膜傷害複合体沈着、及び再生筋繊維の抗NCAM抗体染色よりなる群から選ばれるマーカーを検出することを包含する。
更に別の実施態様では、検出は、対象サンプルの自己抗体のレベルを、基準レベル(例えば、正常コントロールの群に存在する平均レベル)と比較することを包含する。
上記態様のある特定の実施態様では、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体レベルにおいて、基準レベルと比較して、標準偏差が約2〜5倍増大している検出は、スタチン関連自己免疫性ミオパチーを示す。
別の実施態様では、自己抗体のレベルにおいて、標準偏差が約3倍増大している検出は、スタチン関連自己免疫性ミオパチーを示す。
上記態様の更に別の実施態様では、方法は更に、患者が筋肉痛及び筋力低下を有していると確認することを含んでいる。
更に別の実施態様では、生体試料が液体の生体試料又は組織試料である。
別の実施態様では、液体の生体試料が血液、血清、又は血漿である。
別の実施態様では、自己抗体を免疫測定法(例えば、ELISA、免疫沈降、蛍光免疫吸着測定、化学結合免疫吸着測定、放射免疫測定、免疫ブロット法、免疫測定法、フローサイトメトリー、ウェスタンブロット、又は免疫組織化学)で検出する。
上記態様のある特定の実施態様では、HMGCR断片はaa340〜888からなるC−末端断片を含有している。
本発明はミオパチー、特にスタチン治療に関連しているミオパチーを特性化する方法を提供する。本発明で定義される組成物及び生産品は単離されたか、或いは以下に提供されている実施例に関連させて製造された。本発明のその他の特徴及び利点は詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるだろう。
図1は、ヒーラ細胞抽出物から壊死性ミオパチーの患者由来の血清によって免疫沈降したタンパク質を示しているオートラジオグラフを含んでいる。壊死性ミオパチー患者由来の血清による〜200kD及び〜100kDタンパク質の免疫沈降。35S−メチオニンと培養したヒーラ細胞抽出物由来の放射活性標識化タンパク質を免疫沈降するために患者血清を用いた。免疫沈降したタンパク質を、10%ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動によって分離した。左と右の図は2つの別個の実験によるオートラジオグラフを示す;右図に示された結果は、本研究と無関係の免疫沈降を除外するためにレーン7と8の間を切り取った単一のオートラジオグラフによるものである。レーン1〜4及び6〜9の上にある番号は患者番号である。正常コントロール血清由来の血清(Cont33及びCont35)をレーン5と10に示される免疫沈降に用いた。左側の矢印は〜200kD及び〜100kDタンパク質バンドを示している。右端の値は分子量マーカー標準の位置を示す。 図2A及びBは、正常ドナー(図2A)及び抗−200/100自己抗体を有する患者(患者8024、図2B)から得た筋生検試料の毛細血管形態を示している顕微鏡写真を含んでいる。試料を、内皮細胞マーカーである、抗−CD31で染色した。矢印は、コントロール試料中の正常な形態特性を有する筋内膜毛細管(図2A)及び抗−200/100自己抗体を有する患者の肥厚した血管壁及び拡張した管腔(図2B)を示す。これらの生検試料は同じ条件で同時に処理した(元の倍率;X40)。 図3A〜3Dは、微小血管及び非壊死性筋繊維上への細胞膜傷害複合体の沈着を示す顕微鏡写真を含んでいる。壊死性ミオパチーを有する抗−200/100自己抗体陽性患者(患者8076)から得た筋生検試料の連続切片。抗−細胞膜傷害複合体(図3A)又はヘマトキシリン及びエオシン(図3B)による染色が、顕著な補体沈着を有する筋周膜血管を明示した。図3Cは、散在性非壊死性繊維上への細胞膜傷害複合体の沈着を示している、抗−200/100自己抗体陽性患者(患者8024)から得た筋生検試料である。図3Dは、図3Cで示した領域のより高い倍率の写真を示している。図3Dの矢印は、筋内膜毛細血管の細胞膜傷害複合体染色が存在していないことを示している。図3C及び3Dの星印は一致している筋繊維を示す。(元の倍率;図3A、3B、3DではX40;図3CではX20。図3C及び3Dの星印は同じ筋細胞をマークしている。) 図4A〜Cは、抗−200/100自己抗体陽性患者から得た生検試料における非壊死性繊維上へのクラスI主要組織適合性複合体(MHC)の沈着を示す顕微鏡写真を含んでいる。図4Aは正常ヒトの筋肉(筋繊維鞘ではない)の筋内膜毛細血管(矢印)の抗−クラスIMHC抗体染色を示す。図4B及び4Cは、抗200/100自己抗体を有する2人の患者の散在性筋繊維の筋繊維鞘の抗−クラスIMHC抗体染色を示す(1重星印)。抗−200/100自己抗体陽性繊維の細胞質も抗−クラスIMHCで染色した(2重星印);これは恐らく再生繊維を示す。これらの生検試料は同じ条件で同時に処理した(元の倍率:X40)。 図5A及び5Bは、スタチンによる200kD及び100kD自己抗原の上方制御された発現(図5A)及び100kD自己抗原の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMG−CoAリダクターゼ)としての同定(図5B)を示すオートラジオグラフを含んでいる。ヒーラ細胞を10μMのメビノリンの非存在下(レーン1)又は存在下(レーン2)で24時間処理して作成した放射性標識化溶解物を、以下に述べるようにして、患者血清9190で免疫沈降した。図5Bでは、35S−メチオニン−標識化全長、インビトロで転写/翻訳した(IVTT)HMG−CoAリダクターゼタンパク質を、抗−200/100−kd−陽性患者(レーン3〜7;試験した16人の抗−200/100−kd−陽性血清サンプルの代表)、皮膚筋炎を有する抗−200/100−kd−陰性患者(レーン8〜10)又は健常コントロール(レーン11〜13)由来の血清を用いて免疫沈降した。入力したIVTT産物をレーン14に示す。A及びBにある結果は少なくとも3回の個別実験を代表している。分子量マーカーを左に示した。 図6は、全長3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)及びC−末端(アミノ酸340〜888)に対応する断片のヒト抗−HMGCR抗体による免疫沈降(IP)の結果を示すオートラジオグラフである。3個の異なった35S−メチオニン標識化HMGCR産物:全長(FL;レーン4〜8)、C−末端(C−末;レーン9〜13)、及びN−末端(N−末;レーン14〜18)を用いて免疫沈降を行った。血清サンプル10009、9190、及び8050は抗−200/100−kd−陽性患者由来で;サンプル488及び495は正常コントロール対象由来である。入力したインビトロで転写/翻訳した(IVTT)産物をレーン1〜3に示し;それぞれの場合に、0.4倍量を免疫沈降に用いた。結果は2〜8回の個別実験を代表している。分子量マーカーを左に示した。 図7A及び7Bは、3つのオートラジオグラフを含んでいる。図3Aは、ヒト抗−3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(抗−HMGCR)抗体がC−末端を検出すること及び200−kdタンパク質が固有の自己抗体によって認識されないことを確認する、競合免疫沈降(IP)実験の結果を示す。血清サンプル10009及び9190を指示された量の非標識化C−末端HMGCRと前培養して、次いで全長35S−メチオニン標識化HMGCRを免疫沈降するために用いた。図3Bでは、患者9190及び9176由来の血清サンプルを300ngの非標識化C−末端HMGCRの非存在下又は存在下で前培養し、続いて10μMのメビノリンで24時間処理したヒーラ細胞から作成した放射標識化溶解物に添加した。得られた免疫沈降物を本明細書の以下に記載したように処理した。同一のデータを4つの(7A)又は6つの(7B)異なった患者血清を用いた2回の異なる実験で得た。分子量マーカーを左に示した。 図8A〜8Fは、神経細胞接着分子(NCAM)を発現している再生筋繊維におけるHMG−CoA還元酵素の発現の上方調節を示す顕微鏡写真である。抗−HMGCR陽性患者(図8A〜8C)及びコントロール対象(図8D〜8F)由来の筋生検サンプルを抗NCAM抗体(緑色)(図8A及び8D)、抗−HMGCR抗体(赤色)(図8B及び8E)、及びDAPI(青色)で共染色して、核を染色した。重ね合わせた画像(図C及びF)が、抗−HMGCR−陽性筋生検組織においてHMGCR及びNCAMが高レベルで同じ筋繊維に高頻度で共発現するが、コントロールの筋生検組織においては発現しないことを明らかにしている。比較可能性を確かにするために、図8A〜8C及び8D〜8Fは、それぞれのチャンネルに対して同一の露出設定を用いて得られた。結果は、6つの抗−HMGCR−陽性及び3つの正常筋生検サンプルで見られた染色の代表的なものである。元の倍率;X20。
(定義)
「3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質」とは、HMGCR抗体結合活性を有しているNCBI Ref:NP_000850.1又はその断片と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有しているポリペプチド又はその断片を意味する。1つの好ましい断片は、分子(aa340〜888)の細胞内部分を含有しているC−末端断片であり、これは以下に太文字/下線内に示されている。
典型的なHMGCRタンパク質配列を以下に提供する:

>gi|4557643|ref|NP_000850.1| 3-hydroxy-3-methylglutaryl-Coenzyme A reductase isoform 1 [Homo sapiens]

MLSRLFRMHGLFVASHPWEVIVGTVTLTICMMSMNMFTGNNKICGWNYECPKFEEDVLSSDIIILTITRC
IAILYIYFQFQNLRQLGSKYILGIAGLFTIFSSFVFSTVVIHFLDKELTGLNEALPFFLLLIDLSRASTL
AKFALSSNSQDEVRENIARGMAILGPTFTLDALVECLVIGVGTMSGVRQLEIMCCFGCMSVLANYFVFMT
FFPACVSLVLELSRESREGRPIWQLSHFARVLEEEENKPNPVTQRVKMIMSLGLVLVHAHSRWIADPSPQ
NSTADTSKVSLGLDENVSKRIEPSVSLWQFYLSKMISMDIEQVITLSLALLLAVKYIFFEQTETESTLSL
KNPITSPVVTQKKVPDNCCRREPMLVRNNQKCDSVEEETGINRERKVEVIKPLVAETDTPNRATFVVGNS
SLLDTSSVLVTQEPEIELPREPRPNEECLQILGNAEKGAKFLSDAEIIQLVNAKHIPAYKLETLMETHER
GVSIRRQLLSKKLSEPSSLQYLPYRDYNYSLVMGACCENVIGYMPIPVGVAGPLCLDEKEFQVPMATTEG
CLVASTNRGCRAIGLGGGASSRVLADGMTRGPVVRLPRACDSAEVKAWLETSEGFAVIKEAFDSTSRFAR
LQKLHTSIAGRNLYIRFQSRSGDAMGMNMISKGTEKALSKLHEYFPEMQILAVSGNYCTDKKPAAINWIE
GRGKSVVCEAVIPAKVVREVLKTTTEAMIEVNINKNLVGSAMAGSIGGYNAHAANIVTAIYIACGQDAAQ
NVGSSNCITLMEASGPTNEDLYISCTMPSIEIGTVGGGTNLLPQQACLQMLGVQGACKDNPGENARQLAR
IVCGTVMAGELSLMAALAAGHLVKSHMIHNRSKINLQDLQGACTKKTA
「自己抗体」とは、自己抗原に対する抗体を意味する。典型的な自己抗体はHMGCRに対する抗体である。
「HMGCR抗体」とは、HMGCRタンパク質と特異的に結合する抗体を意味する。
「ミオパチー」とは、筋力低下又は筋肉痛に関連している筋疾患を意味する。ミオパチーのその他のマーカーは、これに限定されないが、抗シンセターゼ自己抗体、抗−シグナル認識粒子(SRP)自己抗体、上昇したクレアチンキナーゼ(CK)レベル、筋生検内の顕著な炎症細胞浸潤、縁取りされている空胞、筋束周辺萎縮、クラスIMHC陽性、微小筋周膜血管への細胞膜傷害複合体の沈着、及び再生筋繊維の抗−NCAM抗体染色の存在を包含する。その他のマーカーは、近位筋力低下、筋電図検査(EMG)におけるミオパチーの徴候、筋生検における顕著な炎症細胞浸潤、縁取りされている空胞、筋束周辺萎縮、両大腿部MRI上での筋浮腫を包含する。
「免疫測定」とは、特異的な抗体結合に基づく物質の存在又はレベルを測定する試験を意味する。
「免疫抑制」とは、免疫系の少なくとも1つの望ましくない機能を弱めることを意味する。
「免疫抑制剤」とは、免疫系機能を弱める薬剤を意味する。免疫抑制剤の例は、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾン)、細胞増殖抑制剤(例えば、アザチオプリン及びメトトレキサート)、イムノフィリンに作用する薬剤(例えば、シクロスポリン及びタクロリムス)、及びその他の薬剤(例えば、ヒドロキシクロロキン、静注用免疫グロブリン、ミコフェノール酸モフェチル、及びリツキシマブ)を包含する。
「基質」とは、何れかの固体の支持体を意味する。固体の支持体の例は、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、ポリスチレンビーズ、試験管、側方流動装置、試験紙、又は計深棒を包含する。
「スタチン」とは、酵素HMG−CoAリダクターゼを阻害してコレステロールレベルを下げるために用いられる薬剤のクラスを意味する。スタチンの例は、アトロバスタチン(リピトール(Lipitor;登録商標)及びトルバスト(Torvast))、フルバスタチン(レスコール(Lescol))、ロバスタチン(メバコール(Mevacor;登録商標)、アルトコール(Altocor)、メビノリン(Mevinolin)、及びアルトプレブ(Altoprev;登録商標))、ピタバスタチン(リバロ(Livalo;登録商標)、ピタバ(Pitava))、プラバスタチン(プラバコール(Pravachol)、セレクチン(Selektine)、及びリポスタット(Lipostat))、ロスバスタチン(クレストール(Crestor;登録商標))及びシンバスタチン(ゾコール(Zocor;登録商標)及びリペックス(Lipex;登録商標))を包含する。
「薬剤」とは、小分子化学化合物、抗体、核酸分子、又はポリペプチド或いはその断片の何れかを意味する。
「変更」とは、本明細書に記載されているような標準的で公知の方法によって検出された遺伝子又はポリペプチドの発現レベル又は活性における変化(増大又は減少)を意味する。本明細書で用いられている変更は、発現レベルの10%の変化、好ましくは発現レベルの25%の変化、より好ましくは40%の変化、最も好ましくは50%又はそれ以上の変化を包含する。
「改善する」とは、疾患の発症又は進展を減らし、抑制し、弱め、軽減し、阻み、或いは安定化することを意味する。
「類縁体」とは、同一ではないが、類似の機能又は構造特性を有する分子を意味する。例えば、ポリペプチド類縁体は、対応する天然由来ポリペプチドの生物活性を保持しながら、天然由来ポリペプチドと比較して類縁体の機能を増進するある特定の生物化学的な修正を有している。このような生物化学的な修正は、類縁体のプロテアーゼ耐性、膜透過性、又は半減期を、例えば、リガンド結合を変更せずに、増大することができる。類縁体は非天然アミノ酸を含んでもよい。
「生体サンプル」とは、生命体に由来する組織、細胞、液体又はその他の材料を意味する。
この開示において、「含む(comprises)」、「含んでいる(comrising)」及び「有している(having)」などは、米国特許法においてそれらに帰されている意味を有していてよく、「包含する(include)」、「包含している(incliding)」、などを意味することができる:「本質的に〜からなっている(consisiting essentially of」又は「本質的に〜からなる(consists essentially of)」などは、米国特許法に帰されている意味を有していて、この用語には制限がなく、列挙されているものの基本的且つ新規な特性が列挙されているもの以上の存在によって変更されない限り、列挙されているもの以上の存在を許容するが、先行技術の実施態様は除外する。
「コントロール」とは、比較の標準を意味する。例えば、免疫介在性の壊死性ミオパチーに罹っていることが疑われている対象由来サンプル中の自己抗体レベルを、正常対象、すなわち、ミオパチーに罹っていないもの由来の対応するサンプル中に存在する自己抗体のレベルと比較することができる。
「検出する」は、検出すべき分析物の存在、非存在又は量を確認することを示す。
「検出可能なレベル」とは、目的の分子と結合したときに、分光、光化学、生物化学、免疫化学、又は化学手段によって、これを検出可能にする組成物を意味する。例えば、有用な標識は、放射性同位体、電磁ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光染料、電子密度の高い試薬、酵素(例えば、ELISAで一般に用いられているようなもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、又はハプテンを包含する。
「診断」とは、病的状態の存在を確認するか又は病的状態(例えば、ミオパチー)の性質を確認する何れかの方法を意味する。診断方法はその感度及び特異性において異なっている。特定の診断方法は疾患の確定診断を提供できないかもしれないが、この方法が診断の助けとなる陽性の示唆を提供すれば十分である。
「疾患」とは、細胞、組織、又は臓器の正常な機能を傷害又は妨げる何れかの状態又は障害を意味する。疾患の例は、自己免疫疾患、ミオパチー、及び自己免疫性スタチン関連ミオパチーを包含する。
「有効量」とは、非治療患者と比較して疾患の症状を改善するのに必要な量を意味する。疾患の治療処置のため本発明を実施するのに用いられる活性化合物の有効量は、投与の方法、対象の年齢、体重及び総体的な健康状態によって変化する。最終的に、主治医又は獣医が適切な量及び投与計画を決定するだろう。このような量を「有効」量という。
「断片」とは、ポリペプチド又は核酸分子の一部分を意味する。この部分は、好ましくは、参照する核酸分子又はポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%を含有している。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100、200、300、400、500、600、800、900、又は1000個のヌクレオチド又はアミノ酸を含有してよい。
「単離されたポリペプチド」とは、天然にそれと随伴している成分から分離された本発明のポリペプチドを意味する。典型的には、その少なくとも60重量%がタンパク質及びそれらが天然に結合している天然の有機分子を含有していない場合に、ポリペプチドは単離されている。調製物は好ましくは少なくとも74重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、そして最も好ましくは少なくとも99重量%の本発明のポリペプチドである。本発明の単離されたポリペプチドは、例えば、天然源から抽出によって、このようなポリペプチドをコードする組み替え核酸の発現によって;又はタンパク質を化学合成することにより得ることができる。純度は適切な何れかの方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はHPLC分析によって測定できる。
「マーカー」とは、疾患又は障害と関連しているタンパク質、ポリヌクレオチド、又は臨床指標の変化の何れかを意味する。
本明細書で用いられる、「試薬を得ること」で見られるような「得ること」は合成すること、購買すること、又はその他の方法で試薬を得ることを包含する。
「定期的な」とは、一定間隔を意味する。定期的な患者の観察は、例えば、毎週に、毎月に、半年ごとに、毎年に行う試験のスケジュールを包含する。
「減少する」又は「増大する」とは、参照と比較して少なくとも約10%、25%、50%、75%、又は100%の負の変化又は正の変化をそれぞれ意味する。
「参照」とは、標準的な又はコントロールの条件を意味する。
「参照配列」は、配列比較の基礎として用いられる規定配列である。参照配列は、特定配列の一部又は全体、例えば、全長cDNA又は遺伝子配列の断片、或いは完全なcDNA又は遺伝子配列であってよい。ポリペプチドについては、参照ポリペプチド配列の長さは一般に少なくとも約16アミノ酸、好ましくは少なくとも約20アミノ酸、より好ましくは少なくとも約25アミノ酸、そして更により好ましくは約35アミノ酸、約50アミノ酸、又は約100アミノ酸である。核酸については、参照核酸配列の長さは一般に、少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約75ヌクレオチド、そして更に好ましくは約100ヌクレオチド又は約300ヌクレオチド或いはその辺の又はその間の何れかの整数である。
「特異的に結合する」とは、本発明のポリペプチドを認識して結合するが、試料中、例えば、本発明のポリペプチドを天然に包含している生体サンプル中の他の分子を実質的に認識も結合もしない、化合物又は抗体を意味する。
配列同一性は典型的に配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705, BLAST, BESTFIT, GAP, or PILEUP/PRETTYBOX programs)を用いて測定する。このようなソフトウェアは、多種の置換、欠失、及び/又は他の修飾につての相同性の程度を割り当て同一又は類似配列をマッチさせる。同類置換は典型的に以下のグループ内の置換を包含する:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を確認する例示的な手法において、近似関連配列を示唆するe−3とe−100の間の確率スコアを用いる、BLASTプログラムを使用できる。
「対象」とは、これに限定されないが、ヒト、又はウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、或いはネコのような、非ヒト哺乳動物を包含する、哺乳動物を意味する。
「実質的に同一」とは、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されているアミノ酸配列の何れか1つ)又は核酸配列(例えば、本明細書に記載されている核酸配列の何れか1つ)と少なくとも50%の同一性を示すポリペプチド又は核酸分子を意味する。好ましくは、このような配列は比較のために用いた配列とアミノ酸レベルで又は核酸レベルで、少なくとも60%、より好ましくは80%又は85%、そしてより好ましくは90%、95%、又は99%でさえも同一である。
本発明は、本明細書で詳述した方法で特性化される疾患を治療するために特に特異的な薬剤の開発に有用な多数の標的を提供する。さらに、本発明の方法は対象に使用して安全な治療法を確認する簡便な方法を提供する。さらに、本発明の方法は大量処理能力、高感度、及び低煩雑性を持って、本明細書に記載されている疾患への影響について実質的に様々な化合物を分析する手段を提供する。
本明細書で示されている範囲は、範囲内の全ての値の省略した表現であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50よりなる群からの何れかの数、数の組合わせ、又は部分範囲を含んでいると理解される。
本明細書で用いられる用語「治療する」、「治療すること」、「治療」などは、疾患及び/又はそれに付随する症状を低減又は改善することを示す。当然のことながら、不可能ではないが、疾患又は病気を治療することは、疾患、病気又はこれらに付随する症状を完全に取り除く必要はない。
具体的に記載されているか又は文脈から明白でない限り、本明細書で用いられる用語「又は」は包括的であると理解される。具体的に記載されているか又は文脈から明白でない限り、本明細書で用いられる用語「a」、「an」、及び「the」は単数又は複数であると理解される。
具体的に記載されているか又は文脈から明白でない限り、本明細書で用いられる用語「約」は、当該技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均値の2標準偏差内であると理解される。約は、述べられている値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%内であると理解される。文脈から明確でない限り、本明細書で示されている全ての数値は用語「約」によって修飾されている。
本明細書における可変基の定義の何れかにある化学基のリストの記述は、何れかの単一の基又は列挙された基の組合わせとしてのその可変基の定義を包含している。可変基に対する実施態様又は本明細書の態様の記述は、単一の実施態様の何れか又は他の実施態様或いはそれらの一部分との組合わせの何れかとしてのその実施態様を包含している。
本明細書で提供される何れかの組成物又は方法は、本明細書で提供されるその他の組成物又は方法の何れかの1つ又はそれ以上と組合わせることができる。
(発明の詳細な説明)
本発明は、対象におけるミオパチー(例えば、免疫介在性の壊死性ミオパチー)を治療する、診断する、観察する、及びその他に特性化するための組成物、方法、及びキットに有用である組成物及び方法を特徴としている。
本発明は、少なくともその一部が、ある特定の患者において、スタチンの使用が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体を有する自己免疫介在性の壊死性ミオパチーと関係があるという発見に基づいている。
以下に詳細に報告するように、壊死性ミオパチーを有する患者における新規な自己抗体の発見は、顕著な炎症がなく筋線維壊死を有する患者を特性化しているときになされ、筋ジストロフィー及び毒性又は免疫介在性ミオパチーを有する患者に非特異的に見出された。壊死性ミオパチーの病因は多くの場合はっきりしていないので、これらの患者を如何に治療するかの問題、すなわち、彼らが免疫抑制による恩恵を受けるか否か、が未だ未解決のままである。
このような壊死性ミオパチー患者を診断及び治療する方法を開発するために、ミオパチーを有する225人の患者由来の筋生検試料及び血清サンプルを分析した。35S−メチオニンで標識したヒーラ(HeLa)細胞溶解物から免疫沈降を行って抗体特異性を確認した。選択した生検試料を、細胞膜傷害複合体、クラスI主要組織適合遺伝子複合体(MHC)、及び内皮細胞マーカーCD31で染色した。患者225人のうちの38人からの筋生検試料が主に筋線維壊死を示した。これらの患者のうち12人がそれらのミオパチー又はその他の病因に関連している公知の抗体を有していた。残りの26人のうちの16人の血清が200−kD及び100−kDタンパク質を免疫沈降した;この特異性は壊死性ミオパチーを有していない187人のうちたった1人で観察された。抗200/100−kD抗体(10,333IU/リットル)、及び筋電図検査で炎症性ミオパチーを有する患者(88%)。これらの患者の63%は衰弱の徴候前にスタチンに触れていた。全ての患者は免疫抑制療法に応答して、薬物治療を減らすと多くの患者が衰弱の再発を経験していた。
免疫組織化学的解析が、8人のうち6人の患者の小血管上にそして8人のうち4人の患者の非壊死性筋線維表面上に細胞膜傷害複合体を示した。8人のうち5人の患者が異常な毛細管形態を有し、8人のうち4人の患者が非壊死性筋線維表面上にクラスI MHCを発現した。これらのデータから、抗200/100−kD自己抗体特異性が、以前は自己抗体陰性であると考えられていた壊死性ミオパチーを有する患者のサブグループを特定することが明らかである。
壊死性ミオパチーを有する患者における新規な自己抗体の最初の発見に続いて、免疫介在性の壊死性ミオパチー(IMNM)の病気のメカニズムを解明してその診断を促進することを目指して、自己抗体が標的にする200−kD及び100−kD自己抗原を同定するために、以下に詳細に報告するように、更なる実験を実施した。
自己限定的ミオパチーを誘発することに加えて、スタチンの使用は、200−kD及び100−kD自己抗原を認識する自己抗体を有する、免疫介在性の壊死性ミオパチー(IMNM)に関係がある。これらの分子を同定するために、自己抗原発現に対するスタチン治療の効果を、患者由来血清を用いる免疫沈降法によって解明した。〜100−kD自己抗原の同定を、インビトロで転写/翻訳した(IVTT)3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCoA還元酵素又はHMGCR)タンパク質の免疫沈降によって確認した。筋肉におけるHMGCoA還元酵素の発現を免疫蛍光法で分析した。ミオパチー患者の群を抗HMGCoA還元酵素自己抗体に関して、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び自己限定スタチンミオパチーの予知因子である、rs419056C対立遺伝子に対する遺伝子型によってスクリーニングした。スタチン暴露は培養細胞中での〜200−kD/〜100−kD自己抗原の発現を誘発した。HMGCoA還元酵素を100−kD自己抗原として同定した。競合実験は〜200−kDタンパク質を認識する異なった自己抗体を明らかにしなかった。抗HMGCoA還元酵素自己抗体陽性の患者由来の筋生検組織において、HMGCoA還元酵素の発現が、筋肉再生のマーカーである、神経細胞接着分子(NCAM)を発現する細胞において上方調節された。抗HMGCoA還元酵素自己抗体が Johns Hopkins Myositis Center を受診している750人の患者のうち45人(6%)に見出された。年齢50歳以上の患者のうち、92.3%がスタチンを服用していた。rs419056C対立遺伝子の有病率は抗HMGCoA還元酵素自己抗体陽性患者において増大していなかった。スタチンは、スタチン関連IMNMにおいて自己抗体の主要な標的である、HMGCRの発現を上方調節した。再生筋細胞は、スタチン治療を中断した後でも免疫応答を持続できる、高レベルのHMGCRを発現する。これらの研究は持続した自己免疫の環境要因と進展の間の力学的な関連を明らかにしている。
これらの知見は、スタチンの使用がこの自己抗原の発現を上方調節してHMGCoA還元酵素に対する自己免疫応答を引き起こすことを示唆している。スタチンの使用を中止した後においてさえ、再生筋線維における高レベルのHMGCoA還元酵素の存在が免疫応答を持続させ、スタチン治療を受けた対象は自己抗体の存在について観察されるべきである。スタチンを服用している対象において自己抗体が検出された場合、彼/彼女は免疫介在性のミオパチー症状の重症度を予防又は減少させるためにスタチンの摂取を中止して免疫抑制療法)で治療しなければならない。以下の実施例及び本願の他の部分から分かるように、抗HMGCoA還元酵素自己抗体の検出は免疫介在性の壊死性ミオパチーの診断及び直接治療を促進する。
(スタチン)
スタチンは、コレステロール生合成経路における主要酵素である、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA還元酵素(HMG CoA還元酵素、又はHMGCR)を特異的に阻害してコレステロールレベルを低下させる。これらの薬剤は心臓血管のエンドポイントを有意に低下させ、そして最も一般に処方される薬剤であり、2005年に米国でほぼ3000万人がスタチンを処方された(Stagnitti MN. Rockdale (MD): Agency for Healthcare Research and Quality; 2008 May. Statistical brief 205)。スタチンの例は、アトロバスタチン(Lipitor(登録商標)及び Torvast)、フルバスタチン(Lescol)、ロバスタチン(Mevacor(登録商標)、Altocor、Mevinolin、及び Altoprev(登録商標))、ピタバスタチン(Livalo(登録商標)、Pitava)、プラバスタチン(Pravachol、Selektine、及び Lipostat)、ロスバスタチン(Crestor(登録商標))及びシンバスタチン(Zocor(登録商標)及び Lipex(登録商標))を包含する。
筋骨格症状はスタチン使用の周知の合併症であって、スタチン使用者の9〜20%に生じる筋肉痛及び痙攣(De Sauvage Nolting et al., Am J Cardiol 2002;90:181-4; Bruckert et al., Cardiovasc Drugs Ther 2005;19:403-14; and Franc et al., Cardiovasc Drugs Ther 2003;17:459-65.)から、年間10,000人の患者当り〜0.4の割合でまれに起きる命に関わる横紋筋融解症(Graham et al., JAMA 2004;292: 2585-90.)までに及ぶ。
殆どの場合、スタチン誘発ミオパチー事象は自己限定性であって、スタチンを中止した後数週から数ヶ月で完全に回復する(Soininen et al., Basic Clin Pharmacol Toxicol 2006;98:51-4)。しかしながら、最近の2つの論文が、スタチン暴露に続いて自己免疫ミオパチーを発症した33人の患者について記載しており、これはスタチンの中止後にも緩解されなかった(Needham et al., Neuromuscul Disord 2007;17: 194-200 及び Grable-Esposito et al., Muscle Nerve 2010;41:185-90.)。
(診断)
本発明は、対象の生体サンプル中で3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体を検出する診断試験を特徴としている。一実施態様では、このような自己抗体のレベルを対象のサンプル中で測定して、そして自己免疫疾患、スタチン治療に関連している自己免疫応答に関係するミオパチー、及び壊死性ミオパチーを特性化するため、又はこのような疾患が進展する傾向を特性化するために用いられる。生体サンプル中の自己抗体のレベルを測定するために標準的な方法を用いることができる。生体サンプルは、組織サンプル(例えば、細胞サンプル、生検サンプル)並びに、これに限定されないが、血液、血清、及び血漿を包含する体液を包含する。ポリペプチドのレベルを測定する方法は、免疫測定法、ELISA、ウェスタンブロット及び放射免疫測定、或いは当該技術分野で公知のその他の方法を包含する。
単独又は1つ又はそれ以上の追加のマーカーと組合わせた自己抗体の上昇したレベルは、自己免疫疾患の陽性指標と考えられる。自己抗体の増大は、少なくとも約10%、25%、50%、75%又はそれ以上であってよい。
一実施態様では、本発明のマーカーの何れかの上昇は、自己免疫疾患、ミオパチー、又は壊死性ミオパチーを暗示している。
ミオパチーの病因を特定するために有用な自己抗体又は本明細書に記載されているその他のマーカーを検出するために、適切な方法の何れも用いることができる。特に、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体は単独で、又は抗シグナル認識粒子(SRP)自己抗体である、抗シンセターゼ抗体(抗Jo−1、抗PL−12、及び抗PL−7)と組合わせて用いることができる。これに限定されないが、近位筋力低下、クレアチンキナーゼ(CK)レベルの上昇、筋電図検査(EMG)におけるミオパチーの徴候、筋生検における炎症性細胞浸潤、筋束周辺萎縮、両大腿部MRI上での筋浮腫、クラスIMHC陽性、小筋周膜血管への細胞膜傷害複合体沈着、及び再生筋組織を確認するための抗NCAM抗体染色を包含する、ミオパチーのその他の臨床指標も評価することができる。
このようなマーカーを検出できる、そして好ましくは定量できる1つの又は組合わせた方法を用いて、本発明の実施は首尾良く達成される。これらの方法は、限定されることなく、バイオチップアレイで用いられるようなものを含む、ハイブリダイゼーションによる方法、質量分析法(例えば、レーザー脱離/イオン化質量分析)、蛍光発光(例えば、サンドイッチ免疫測定法、表面プラズモン共鳴、偏光解析法及び原子間力顕微鏡法を包含する。
マーカー(例えば、ポリヌクレオチド又はポリペプチド)の発現レベルは、PT−PCR、ノーザンブロッティング、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫細胞化学、磁気及び/又は抗体コーティングビーズとの結合、in situ ハイブリダイゼーション、蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)、フローチャンバー接着アッセイ、ELISA、マイクロアレー分析、又は比色分析のような、当該技術分野で周知の方法によって比較する。方法は更に、エレクトロスプレイイオン化質量分析(ESI−MS)、ESI−MS/MS、ESI−MS/(MS)、マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)、表面増強レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(SELDI−TOF−MS)、シリコン上のレーザー脱離イオン化(DIOS)、二次イオン質量分析法(SIMS)、四重極飛行時間型分析(Q−TOF)、大気圧化学イオン化質量分析(APCI−MS)、APCI−MS/MS、APCI(MS)、大気圧光イオン化質量分析(APPI−MS)、APPI−MS/MS、及びAPPI−(MS)、四重極質量分析、フーリエ変換型質量分析(FTMS)、並びにイオントラップ質量分析(ここで、nは0より大きい整数である)の1つ又はそれ以上を包含する。
検出方法はバイオチップアレイの使用を包含できる。本発明で有用なバイオチップアレイはタンパク質及びポリヌクレオチドアレイを包含する。1つ又はそれ以上のマーカーはバイオチップ配列上に捕獲して、サンプル中のマーカーのレベルを検出する分析に付す。
自己抗体は、バイオチップ、マルチウェルマイクロタイタープレート、樹脂、又はニトロセルロースのような、固体の支持体に固定されている、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGRCR)タンパク質又はその断片のような、捕獲試薬で捕獲することができ、続いてマーカーの存在又はレベルを精査する。一実施態様では、この断片は、分子の細胞間部分を含んでいるC−末端断片(aa340〜888)である。捕獲は、クロマトグラフィー表面又は生物特異的表面の上でも可能である。例えば、血清などの自己抗体を含有しているサンプル、を用いて結合するために十分な時間バイオチップの活性表面と接触させることができる。結合しなかった分子は、リン酸緩衝食塩水のような、適当な溶離液で表面から洗い流す。一般に、溶離をよりストリンジェントにすると、タンパク質を洗浄後に保持するためにより堅く結合させなければならない。
自己抗体は、バイオチップに捕獲して、例えば、気相イオン分光分析法、光学的方法、電気化学的方法、原子間力顕微鏡法及び高周波法から選ばれる多種の検出方法によって検出できる。一実施態様では、質量分析法、特に、SELDIが用いられる。光学的方法は、例えば、蛍光発光、発光、化学発光、吸光度、反射率、透過率、複屈折又は屈折率の検出(例えば、表面プラズモン共鳴、偏光解析法、共振ミラー法、格子カプラー導波法又は干渉分光法)を包含する。光学的方法は、顕微鏡法(共焦点及び非共焦点の両方)、画像検査法及び非画像検査法を包含する。さまざまな形式の免疫測定法(例えば、ELISA)は固形相に捕獲されている検体を検出するための普及している方法である。電気化学的方法は、ボルタンメトリー法及びアンペリメトリー法を包含する。高周波法は多極共振解析(multipolar resonance spectroscopy)を包含する。
一実施態様では、自己抗体のレベルを少なくとも二度の異なった機会に測定して、正常参照レベルと比較した経時的なレベルの変化を、自己免疫疾患、ミオパチー、壊死性ミオパチーの存在又は進展の指標として用いる。自己免疫疾患、ミオパチー、又は壊死性ミオパチーを有している対象の体液(例えば、血液、血清、血漿)におけるマーカーのレベルは、正常なコントロールにおけるそのようなマーカーのレベルと比較して、僅かに10%、20%、30%、又は40%の変化であってよい、或いは50%、60%、70%、80%、又は90%又はそれ以上に変化してもよい。一般に、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体のレベルは、健常対象(すなわち、ミオパチーを有していないそして/又は進展していないもの)において低いレベル又は検出不可能なレベルで存在している。
一実施態様では、体液(例えば、血液、血清、血漿)の対象サンプルは、ミオパチーの発症前に、しかしスタチン治療の開始に続いて採取する。
本明細書に記載されている診断方法を、ミオパチーの存在又は重症度のより正確な診断のために、単独で又は本明細書に記載されている他の方法と組合わせて用いることができる。
本明細書に記載されている診断方法は、ミオパチーを観察及び管理するために、又は壊死性ミオパチーを他のミオパチーと確実に区別するためにも用いることができる。
上で示したように、本発明は、本明細書で特定したような、1つ又はそれ以上のマーカーを用いるヒトミオパチーの診断を支援する方法を提供する。3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体は、単独で、自己免疫性ミオパチーに関連するその他の抗体と組合わせて、或いはヒトのミオパチー診断の支援に有用な臨床指標と共に用いることができる。自己抗体は、ヒト壊死性ミオパチー患者とミオパチーが検出不可能な正常対象のサンプルに差別的に存在する。従って、ヒトにおける自己抗体の検出は、ヒトが壊死性ミオパチーを有している確率に関する、又はこの疾患を進展させる彼らの傾向に関する有用な情報を提供するだろう。
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体の検出は、自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーと相互に関連付けられている。
ある実施態様では、その量を定量せずに、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体の存在のみを検出することが有用であって、ミオパチーの可能性の高い診断と相関付けることができる。自己抗体の測定は、マーカーの検出を自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーの可能性の高い診断と相関付けるための自己抗体の定量も包含する。従って、検査している対象で検出されたマーカーの量がコントロールの量と比べて異なっている(すなわち、コントロールより高い)場合、検査対象は自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーを有する高い可能性がある。
この相関関係は、マーカー又は複数のマーカーのコントロール量(例えば、ミオパチーが検出されない正常対象中の)と比較した、対象の自己抗体の量を考慮に入れてもよい。コントロールは、例えば、正常対象の比較可能サンプルに存在する自己抗体量の平均値又は中央値であってよい。コントロール量は、試験量の測定と同じか実質的に同じ実験条件下で測定される。結果として、コントロールを参照標準として利用でき(ここでは正常(非−ミオパチー)表現型は公知である)、そしてそれぞれの結果を、コントロールを再度実施せずに、この標準と比較することができる。
自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーを診断する方法のある特定の実施態様では、この状況に基づいた患者の治療を管理することを更に含んでいる。本発明は、患者の管理の後にマーカー(又はマーカーの特定の組合わせ)を測定するような方法も提供する。これらの場合では、この方法をミオパチーの状況、例えば、ミオパチー治療への応答、疾患の寛解又は疾患の進展を観察するために用いる。
対象の生体サンプル中の自己抗体の存在を検出するために或いは自己抗体のレベルを測定するために用いられる免疫測定を包含する、本発明の診断には多くの別の用途がある。例えば、自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーのある特定の治療への応答を観察するために、これらを用いることができる。さらに別の例では、このマーカーを遺伝研究に用いることができる。例えば、ある特定のマーカーを遺伝子操作で結合することができる。遺伝子操作で結合したマーカーを、対象が遺伝的に自己免疫関連ミオパチーを発症しやすいか否かを確認するための手段として用いることができる。例えば、SLCO1B1(すなわち、rs419056C配列)における特定の多形の存在は、スタチンミオパチーの進展と強く関連している。
どのマーカーも、独立して、自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーを確認するための助けとして有用である。最初に、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体を、本明細書に記載されている方法を用いて、対象サンプル中で検出する。次いで、この結果をコントロールと比較して、自己免疫に基づくミオパチーをコントロールと区別する。当該技術分野でよく理解されているように、この技術を、診断医の好みに応じて、診断アッセイの感度又は特性を増大するように調節できる。
個々のマーカーが有用な診断マーカーである一方、ある例では、マーカーの組み合わせが、一つのマーカーだけより、より高い予測値を提供する。サンプルにおける複数のマーカーの検出(又はそれらの欠如、このような場合もあるだろう)は、真の陽性及び真の陰性診断の率を増大することができ、そして擬陽性及び擬陰性診断の率を減少できる。従って、本発明の好ましい方法は1つ以上のマーカーの測定を含んでいる。
(診断アッセイ)
本発明は、自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチー、又はこのような疾患を発症する傾向を同定又は特性化するのに有用な多数の診断アッセイを提供する。一実施態様では、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体単独の、又はこれとミオパチーを特性化するために用いられる1つ又はそれ以上の他のマーカー(抗シンセターゼ自己抗体、抗シグナル認識粒子(SRP)自己抗体、上昇したクレアチンキナーゼ(CK)レベル、筋生検における顕著な炎症性細胞浸潤、筋束周辺萎縮、クラスIMHC陽性、微小筋周膜血管への細胞膜傷害複合体の沈着、及び再生筋繊維の抗−NCAM抗体染色)との組み合わせの存在を検出することによってミオパチーを特性化する。これらのマーカーのレベルを検出する具体的な方法を記載して実施例を以下に提供したが、当業者は、本発明がこのような方法に限定されないことを認識できる。自己抗体レベルは、標準的な方法の何れかによって定量することができ、そのような方法は、これに限定されないが、抗体結合を検出する免疫測定(例えば、ELISA、ウェスタンブロット、免疫沈降法、免疫蛍光法)のような方法を含む。このようなアッセイは膜、試験紙、バイオチップ、又は当該技術分野で公知のその他の何れかの基盤上で実施できる。
(診断用キット)
本発明は、自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーを診断又は観察するための、或いはこれらの疾患又は3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体の存在と関連するその他の疾患に対する治療を選択するためのキットを提供する。一実施態様では、キットは、対象がスタチン治療を続けるべきか否かを確認するために用いられる。この確認に至る際に、医師は対象が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体を有しているか否かを考慮することができる。このような抗体はスタチン治療開始の数週、数ヶ月或いは数年後にでさえ発生しうる。所望により、スタチン治療中の対象を、ミオパチーの症状を示しているかいないかに関わらずこのような自己抗体について検査する。
一実施態様では、キットは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質に特異的に結合する自己抗体に結合する少なくとも1つの物質を含有している組成物を包含する。ある特定の実施態様では、自己抗体に結合する物質はHMGCRタンパク質の断片、例えば、C−末端断片である。ある実施態様では、キットは結合物質を入れる滅菌容器を含有し;このような容器は箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、袋、ポーチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で公知のその他の適切な容器であってよい。このような容器はプラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、又は薬物を入れるのに適しているその他の材材から作られていてよい。
必要に応じて、キットは、自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び/又は壊死性ミオパチーを診断するためのキットの使用に関する取扱説明書と共に提供される。取扱説明書は一般に、ミオパチーを発症しているか又は壊死性ミオパチーを発症しているかについて対象を診断するための組成物の使用に関する情報を包含している。別の実施態様では、取扱説明書は以下の少なくとも1つを包含している:結合物質の種類;警告書;適応症;禁忌症;動物試験のデータ;臨床試験のデータ;及び/又は参考文献。取扱説明書は容器(存在する場合)に直接印刷するか、又はラベルとして容器に貼るか、又は別個のシート、パンフレット、カード、或いはホルダーとして容器内に又はそれと共に提供することができる。
(生体サンプルの種類)
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体のレベルを異なった種類の生体サンプル中で測定する。一実施態様では、1つの自己抗体のレベルを異なった種類の生体サンプル中で測定する。別の実施態様では、自己抗体のレベルを異なった種類の生体サンプル中で測定する。一実施態様では、生体サンプルは筋細胞を包含している組織サンプル(例えば、筋生検で得た筋細胞)である。別の実施態様では、生体サンプルは生体液サンプルである。生体液サンプルは、血液、血清、血漿、唾液、又は本発明の方法で有用なその他の生体液を包含する。
(治療方法の選択及び対象の観察)
対象が自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーを発症していることが確認された後、治療方法を選択する。多くの標準的な治療計画を利用できる。3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体のレベル又は存在は、治療方法の選択に用いられる1つのファクターである。一実施態様では、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体の存在は、免疫抑制療法が適切であることを示唆している。このような自己抗体の存在と併用できるその他の関連するファクターは、ミオパチーの特定に有用なその他のマーカー及び臨床指標(例えば、抗シンセターゼ自己抗体、抗シグナル認識粒子(SRP)自己抗体、上昇したクレアチンキナーゼ(CK)レベル、筋生検における顕著な炎症性細胞浸潤、縁取りされている空胞、筋束周辺萎縮、クラスIMHC陽性、微小筋周膜血管への細胞膜傷害複合体の沈着、及び再生筋繊維の抗−NCAM抗体染色)である。
自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーを発症しているか、又はこれらの疾患を発症する傾向を有する患者の病状又は治療を本発明の方法及び組成物を用いて観察できる。一実施態様では、血液、血清、及び血漿のような、体液中に存在するマーカーの発現を観察する。このような観察は、例えば、ミオパチーの症状を示している対象において特定の薬剤(例えば、免疫抑制剤)の有効性を評価するために有用である。望ましくは、免疫抑制剤による治療が3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体のレベルを減少する。このような治療が自己抗体のレベルを減少しない場合は、別の免疫抑制療法が示唆される。例えば、自己抗体レベルがプレドニゾンに応答して減少しない場合は、併用免疫抑制療法が示唆される。このような治療は、次のプレドニゾン、リツキシマブ、静注用免疫グロブリン、アザチオプリン及び/又はメトトレキサート、又はその他の免疫調節剤の何れか2つ又はそれ以上を包含できる。本発明のマーカー(例えば、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体)の発現を減少する治療は本発明において特に有用である。
(キット)
本発明は、自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチー、特に3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質を認識する自己抗体の存在に関連している自己免疫応答の診断用キットをを提供する。一実施態様では、キットは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質に特異的に結合する自己抗体に結合する物質を包含している。一実施態様では、この物質が基質に固定されている。
基質は、紙片、試験紙、膜(例えば、ナイロン膜又はセルロースフィルター)、プレート(例えば、マイクロプレート、96ウェルのプレート)又は固体粒子(例えば、ラテックス又は磁気ビーズ)の形態であってよい固体の支持体である。固体の支持体は、これに限定されないが、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ラテックス、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリ酢酸ビニル又はこれらの適切な共重合体)、セルロース(例えば、ニトロセルロース紙等のような、各種の紙)、シリコン重合体(例えば、シロキサン)、多糖類(例えば、アガロース又はデキストラン)、又はイオン交換樹脂(例えば、従来の陰イオン又は陽イオン交換樹脂)を包含する、適切な材料の何れかから作られる。
別の実施態様では、キットは、基質に固定化されている物質及びELISAに有用なその他の試薬を含んでいる。ある実施態様では、キットは、治療用又は予防用の細胞組成物を入れる滅菌容器を含んでいて;このような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、袋、ポーチ、ブリスターパック、又は当該技術分野で公知のその他の適切な容器であってよい。このような容器はプラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、又は薬物を入れるのに適しているその他の材料から作られていてよい。
必要に応じて、キットは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質又はその断片と結合する自己抗体を検出するためのキットの使用に関する取扱説明書を包含する。取扱説明書は一般に、自己免疫疾患、スタチン治療に関連する自己免疫応答に関連するミオパチー、及び壊死性ミオパチーの診断用組成物の使用についての情報を包含する。別の実施態様では、取扱説明書は以下の少なくとも1つを包含している:HMGCR結合物質の記載;注意事項;警告書;適応症;反適応症;過剰投与の情報:副作用;動物薬理試験;臨床試験;及び/又は参考文献。取扱説明書は容器(存在する場合)に直接印刷するか、又はラベルとして容器に貼るか、又は別個のシート、パンフレット、カード、或いはホルダーとして容器内に又はそれと共に提供されてもよい。
本発明の実施には、別段に指示がない限り、分子生物学(遺伝子組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生物化学及び免疫学の従来技術を用いるが、これらは十分に当業者の技術範囲内である。これらの技術は、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook, 1989) ;“Oligonucleotide Synthesis”(Gait, 1984);“Animal Cell Culture”(Freshney, 1987) ;“Methods in Enzymology”“Handbook of Experimental Immunology”(Weir, 1996);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller and Calos, 1987) ;“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel, 1987);“PCR: The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis, 1994);“Current Protocols in Immunology”(Coligan, 1991) のような、文献に十分に説明されている。これらの技術は本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの製造に適用可能であり、そのようにして、本発明を製造して実施するために考慮することができる。特定の実施態様に特に有用な技術は以下の項で検討される。
本発明のアッセイ、スクリーニング、及び治療方法を如何に行いそして用いるかについて完全な開示及び説明を当業者に提供するために、以下の実施例を提示する。そしてこれらは本発明者がそれらの発明と見なしているものの範囲を限定することを意図していない。
実施例1:新規な抗−200/100−kD自己抗体が壊死性ミオパチー患者の血清に存在する。
近位筋力低下、上昇したクレアチンキナーゼ(CK)レベル、筋電図検査(EMG)におけるミオパチーの徴候、及び/又は筋疾患のその他の徴候を有する患者225人から得た筋生検試料を、優位に壊死性のミオパチーを有するものを同定するために精査した。顕著な炎症性細胞の浸潤、縁取りされている空胞(封入体筋炎の特性)、筋束周辺萎縮(皮膚筋炎(DM)に特徴的)、又は特異診断を特徴付けるその他の特性が注目される生検結果を有する患者は、優位な壊死性のミオパチーを発症していると考えなかった。
合計38人の患者(全体の17%)を筋生検で優位に壊死性のミオパチーを発症していると同定した。これらのうち、既存の試験方法を用いて、12人の患者に特定の筋疾患が確定診断された。10人の患者は、抗シンセターゼ自己抗体の存在(1人は抗−Jo−1、2人は抗−PL−2、そして1人は抗−PL−7を有している)によって、或いは抗−シグナル認識粒子(SRP)自己抗体の存在(6人の患者)によって特定されるように自己免疫ミオパチーを発症しており;これらの患者はそれぞれ免疫抑制療法に明確な陽性応答も有していた。さらに、1人の患者は深刻な甲状腺機能低下に関連する壊死性ミオパチーを発症しており、他のものは肢帯筋ジストロフィー2B型(すなわち、ジスフェリン異常症:後で遺伝子検査で確認された)を発症していた。残りの患者26人(最初の群の〜10%)は病因が不明確な優位な壊死性のミオパチーを発症していた。
上記26人の患者から採取した血清を新規な自己抗体の存在についてスクリーニングした。注目すべきことに、これらの患者のうちの16人の患者(62%)由来の血清が、放射活性標識化ヒーラ細胞抽出物から、それぞれ大きさがおよそ200kD及び100kDの1対のタンパク質を免疫沈降したことを見出した(図1)。これらのタンパク質は、公知の筋炎に特異的な自己抗原のそれに対応していない分子量を有して、常に対として免疫沈降した。抗−200/100kD自己抗体の免疫沈降は再現性があったが、ヒーラ細胞抽出物を免疫ブロット法に用いた場合、血清に200−kD又は100−kDタンパク質は検出されなかった。
これらの抗体の壊死性表現型に対する特異性を評価するために、残りの群において抗−200/100−kD自己抗体の免疫活性を試験した。優位な壊死性ミオパチーを発症していない患者187人のうちわずか1人の患者(0.5%)由来の血清が200−kD及び100−kDタンパク質を免疫沈降して、この知見が壊死性ミオパチーを有する患者のそれに高度に特異的である(フィッシャーの直接確率検定によりp<10−15)ことを明らかにしている。抗−SRP抗体を有する6人の患者を含む、既知の疾患と関連している壊死性ミオパチーを有する12人の患者由来の血清は何れも、分子量200kd又は100kdのタンパク質を免疫沈降しなかった。
抗−200/100−kD自己抗体陽性血清のうちの幾つかが、更なるタンパク質を免疫沈降した。例えば、患者8,089由来の血清は、200−kD及び100−kDタンパク質と同様に、〜70−kDのタンパク質を免疫沈降した(図1、レーン2)。注目すべきは、追加のタンパク質のそれぞれは、抗−200/100自己抗体陽性患者由来の16血清のうちわずか1つに認識された。さらに、抗−シグナル認識粒子ミオパチーの患者に見られるような、分子量72−kD、54−kD、及び/又は21−kDのタンパク質を包含する、既に認識されている筋炎特異性自己抗原と大きさが一致する、抗−200/100−kD自己抗体陽性血清の何れにも追加的バンドは認識されなかった。
実施例2:スタチンの使用は抗−200/100−kD自己抗体陽性と統計的に相関する。
16人の壊死性ミオパチーを有する抗−200/100−kD自己抗体陽性患者の人口統計学的情報、検査所見、低下のパターン、大腿部核磁気共鳴画像(MRI)及びその他の臨床的特性を解析した(表1)。抗−200/100−kD自己抗体特異性、優位な壊死性のミオパチーを単独で有する患者をこの解析から除外した(表1)。
Figure 0005934183
男性と女性がほぼ同数いて、発症時の平均年齢が54歳であった。16人の患者全てが成人期に発症した、普通の強さの、急性又は亜急性の筋力低下の発症を以前に報告していた。初期評価時に、全ての患者が筋位筋力低下、両大腿部MRI上での筋浮腫の徴候、及び平均値が10,333IU/リットル(範囲、3,052〜24,714)である、顕著に上昇したクレアチンキナーゼレベルを有していた。精査のために使用できる16の筋電図(EMGs)のそれぞれが、ミオパチーの特性を明らかにした。患者16人のうちの14人(88%)は炎症性ミオパチーを立証し、残りの2人は非炎症性ミオパチーであった。
その他の優位な臨床的特性は、患者16人中12人(75%)の筋肉痛、患者16人中8人(50%)の関節痛、及び患者16人中10人(63%)の嚥下障害を含んでいた。患者16人中たった2人(13%)がレイノー症状を有していた。患者16人中7人(44%)が非特異的な発疹を報告したが、どの患者も検査上又は過去の根拠によるDMに一致する皮膚特性を有していなかった。これらの患者は何れも臨床検査で可溶性核抗原に対する抗体を有しておらず(抗−Ro、抗−La、抗−RND、及び抗−Scl−70を含む)、どの患者もその他の結合組織疾患の基準に合致しなかった。2人の患者が過去に悪性腫瘍があった:1人は筋疾患の発症5年前に再発していない子宮癌を治療していた、そして他のものは治療後に寛解した前立腺癌があった。
抗200/100自己抗体陽性患者は何れも筋疾患の家族歴を有していなかった。更に、遺伝的筋疾患を示唆する翼状肩胛骨、顔面筋力低下、非対称性筋力低下、或いはその他の顕著な徴候はこれらの患者のそれぞれに存在していなかった。
注目すべきことに、16人のうち10人(63%)の患者が筋力低下発症前にスタチン治療を受けていた。筋肉症状発症前のスタチン治療の平均±SD期間は31.3±27.4ヶ月(0〜84ヶ月範囲)であった。それぞれのケースで、スタチン投薬の中断は明確な臨床的改善をもたらさなかった。そしてスタチン中断から筋生検までの平均±SD期間は5.2±4.6ヶ月(1〜14ヶ月範囲)であった。病歴の精査は他の重大な筋毒性への暴露を明らかにしなかった。
スタチン使用との関連が偶然に起きたのかどうかを確認するために、筋炎を有する患者の別の群におけるスタチン使用の頻度を分析評価した(表2)。
Figure 0005934183
DM患者33人のうち5人(15.2%)、PM患者38人のうち7人(18.4%)、及びIBM患者31人のうち11人(35.3%)が筋生検を受ける前にスタチンで治療されていた;スタチン使用の頻度は、DM及びPMの両群と比較すると抗−200/100自己抗体陽性群で有意に(P<0.05)増大していた。しかしながら、この分析では、抗−200/100自己抗体陽性の患者群とIBM群との間にスタチン使用に関して有意な差はなかった(P=0.08)。高齢患者の方がスタチンで治療される可能性が高いので、異なった形態の筋炎を有する患者の年齢を評価した。平均±SD年齢が57.8±14.8歳である、抗−200/100自己抗体陽性患者全員と比べると、IBM患者の患者全群は、平均±SD年齢が67.7±9.9歳で、有意に高齢であった。年齢が50歳又はそれ以上の患者のみをこの分析に含めると、抗−200/100自己抗体陽性患者12人のうち10人(83.3%)、DM患者16人のうち4人(25%)、PM患者19人のうち7人(36/8%)、そしてIBM患者30人のうち10人(33.3%)がスタチン治療を受けていた(表2)。この年齢対応比較において、スタチン治療は、DM(P=0.02)、PM(P=0.011)、及びIBM(P=0.003)集団と比較して、抗−200/100自己抗体陽性集団において有意に増大していた。
慢性的に挿管されている四肢麻痺患者から軽度の筋力低下のみを有する数人の患者にいたる臨床表現型に著しい差異が存在した。患者の大半における固有の特徴は、筋肉内酵素レベルの顕著な上昇にも関わらず、それらの強度の相対的な保存であった。しかし、数人の患者の医療記録は、それ以上では筋力低下が生ずるような明らかな閾値筋内酵素レベル(通常3,000〜7,000IU/リットル)を示した。
実施例3:抗−200/100−kD自己抗体陽性患者に起こるミオパチーは免疫抑制療法に応答する。
投薬計画及び治療応答(筋力の他覚的改善に基づく)は変動する。抗−200/100自己抗体陽性患者16人の臨床所見を入手できた。長期に渡って追跡した14人の患者のうち、9人(64%)は完全に或いはほぼ完全に免疫抑制に応答して、5人(36%)は免疫抑制に部分的に応答した。これら5人の患者は、筋力低下の進展が安定化した1人の患者を含んでいたが、免疫抑制では改善されなかった。14人の患者のうち6人(43%)は免疫抑制剤を徐々に減らすか断つと再発した。14人の患者のうち7人(60%)は現在免疫抑制剤を徐々に減らしているが今日まで再発が起きていない。1人の患者だけが筋力低下の再発なしで免疫抑制剤を完全に減らしていた。
Figure 0005934183
Figure 0005934183
殆どの患者がプレドニゾンに対して殆ど初期応答せず、併用免疫抑制療法を必要とした。リツキシマブ及び静注用免疫グロブリンを加えると、プレドニゾン及びアザチオプリン又はメトトレキサートが有効に補助された。プレドニゾンに対して殆ど初期応答しなかったにも関わらず、殆どの患者は維持療法のためにある用量のプレドニゾンを必要として、ステロイドの減量に伴う筋力低下を訴えた。
実施例4:抗−200/100−kD自己抗体陽性に関連する壊死性ミオパチーは免疫介在ミオパチーに特有な特徴を有している。
抗−200/100自己抗体を有する患者17人のうち16人(94%)が、優位な筋繊維壊死を示す筋生検試料を有していて:残りの患者の生検試料は広範な炎症性浸潤が優位であったので、その後の分析にはこの生検の結果を含めなかった。精密な検査により筋生検試料16のうち5つ(31%)で炎症性細胞の筋内膜及び/又は血管周囲堆積が明らかにされたが、炎症の程度は、PM又はDM患者から得た典型的な筋生検試料に見られるものと比べて軽度であった。抗−200/100自己抗体陽性を有する患者から得た生体試料はどれも軽度を超える脱神経の兆候を明らかにせず、どの生体試料も異常なグリコーゲン蓄積又はアミロイド沈着に陽性ではなかった。
抗−200/100自己抗体陽性である壊死性ミオパチー患者16人のうち、8人の患者から得た凍結筋組織サンプルをさらなる分析に利用した。血管形態を評価するために、切片を抗−CD31抗体で染色した。肥厚壁を有する異常に肥大した筋内膜毛細血管が8つの生検試料のうち5つ(63%)で観察された(図2Bの矢印)。しかし、筋組織内の毛細血管の密度はどの筋生検試料においても目立って減少はしなかった。
利用可能な抗−200/100自己抗体陽性筋生検試料を細胞膜傷害複合体を認識する抗体で染色して補体沈着を評価した。筋内膜毛細血管はこの抗体によっては確実には認識されなかったが(図3D)、8つの筋生検試料のうち6つ(75%)において、小筋周膜血管が染色された(図3A及び3B)。反対に、コントロールの筋生検試料由来の血管は細胞膜傷害複合体抗体で強くは染まらなかった。予想通り、細胞膜傷害複合体の沈着が壊死性並びに変性筋原繊維にも存在するので:これは非特異的な知見と見なした。しかし、8つの抗−200/100自己抗体陽性筋生検試料のうち4つ(50%)において、非壊死性筋繊維である、散乱した筋線維表面が細胞膜傷害複合体に対してポジティブ染色した(図3C及び3D);示されているように、これらの筋細胞の幾つかは相対的に小さく、これらが再生繊維であることを示唆している。
抗−200/100自己抗体陽性筋生検試料のクラスIMHCを認識する抗体による染色により、8つの試料のうち4つ(50%)の筋繊維鞘が明確にクラスIMHC陽性であることが示された(図4)。その他の幾つかは不明確なクラスIMHC染色を有するが、このことは、幾つかの実験において陽性コントロールに含まれた、JO−1−陽性PM患者由来の筋生検試料で見られるものよりかなり劣る強さであると見られる。
自己免疫性ミオパチー(総称して筋炎という)は、対称性近位筋力低下、上昇した血清クレアチンキナーゼレベル、及び筋電図上での筋障害所見によって臨床的に特徴付けられる疾患のファミリーである(Dalakas MC, et al., Lancet 2003;362:971-82 and Mammen AL. Ann N Y Acad Sci 2010;1184:134-53)。その他の筋疾患が同様な症状を引き起こし得るが、この疾患のみがいつも決まって免疫抑制療法に応答するので、自己免疫性疾患の診断が重要な治療及び予後を支援する。
他の全身性自己免疫疾患と同様に、自己抗体と独特な臨床表現型との強い関連性が自己免疫性ミオパチー患者に観察される。例えば、アミノアシル−トランスファーRNA(tRNA)シンセターゼに対する自己抗体はよくある筋炎−特異的自己抗体(MSAs)であって、筋炎患者の〜20%で観察される(Targoff IN, et al,. Rheum Dis Clin North Am 2002;28:859-90, viii)。これら及び他のtRNAシンセターゼを認識する自己抗体は、間質性肺炎、レイノー症状、関節炎、及び職工の手として知られている特徴的皮膚所見を包含する、ある特定の様々な臨床的特徴と関連している(Yoshida S, et al., Arthritis Rheum 1983;26:604-11; Marguerie C, et al., Q J Med 1990;77:1019-38)。自己抗体のスクリーニングは免疫介在筋疾患の診断に重要な役割を果たす可能性があるが、このような抗体は必ずしも観察されるとは限らない。
自己免疫性ミオパチーの別のよく認識されている特徴は、筋生検試料における炎症性浸潤の存在である(Dalakas MC, et al., 2003)。しかしながら、いくらかの自己免疫性ミオパチー患者由来の筋生検試料は、炎症性細胞浸潤を含有していても、ごく僅かである。例えば、SRPの成分に対する筋炎−特異的自己抗体(MSAs)を有する患者は、広範に及ぶ炎症性細胞浸潤のない、変性、壊死性、及び再生筋細胞が注目される生検試料を有している(Miller T, et al., J Neurol Neurosurg Psychiatry 2002;73:420-8; Kao AH, et al., Arthritis Rheum 2004; 50:209-15; Hengstman GJ, et al., Ann Rheum Dis 2006;65:1635-8; 及び Dimitri D, et al., Muscle Nerve 2007;35:389-95)。従って、他では壊死性ミオパチーと診断されていない患者が、診断に用いることのできる固有の自己抗体も有しているかもしれない。
ミオパチー患者225人の群のうちで、38人が壊死性ミオパチー優位の筋生検試料を有していた。広範に及ぶ臨床検査の後に、これらの患者の12人に特定の疾患を診断できた;これらの患者は大部分が抗−シグナル認識粒子(抗−SRP)或いは抗シンセターゼ筋炎であった。残り26人の患者の血清を新規の自己抗体の存在についてスクリーニングして、これらの血清の内の16が、それぞれ約200kD及び100kDの分子量をもつ1対のタンパク質を免疫沈降したことが観察された。さらに、別の患者187人のうち、1人の患者が豊富な炎症性細胞浸潤を示す生体試料を有し、この免疫特異性を共有していた。抗−200/100−kD自己抗体を有する患者は、抗−SRPを包含する、他の公知の自己抗体を有していなかった。従って、抗−200/100−kD自己抗体は、26人の患者のうちの突発性壊死性ミオパチーを有する16人(62%)を代表する、ミオパチー患者固有の小集団を特徴付けている。
多くの点で、抗−200/100−kD自己抗体免疫特性を有する患者の臨床的特徴は、免疫介在ミオパチーの別の形態を有する患者のそれと似ている;両群は、上昇したクレアチンキナーゼレベルを有する近位筋力低下の亜急性発症を経験し、筋電図検査での炎症性ミオパチーの所見、MRI上での浮腫の証拠、及び、殆どの場合、免疫抑制療法に対する明確な応答を有していた。しかしながら、抗−200/100−kD自己抗体陽性患者に幾つかの固有の特性があった。第一に、数人の患者は非常に高いクレアチンキナーゼレベル(3,000〜8,000IU/リットルの範囲)を有しているが、殆ど筋力低下がなかった。これは、これらの患者の、広範に及ぶ筋肉破壊と歩調を合わせる十分な効率で筋肉を再生する際だった能力を示唆しているか、或いはこれらの患者が筋力低下を引き起こさずにクレアチンキナーゼの漏洩を可能にする筋膜異常性を有していることを示唆しており;このような異常性は、非壊死性筋原繊維の筋繊維鞘上への細胞膜傷害複合体沈着という知見と一致している。第二に、これらの患者の>60%において、スタチン治療が筋肉症状の進展に先行していて、これはこの筋毒素による治療を中断した後にも長く持続していた。重要なことは、この関連性が高齢患者に顕著であった;50歳又はそれ以上の年齢の抗−200/100kD−自己抗体陽性患者の80%以上がスタチンに暴露されていた。この比率は、多発性筋炎、皮膚筋炎、又は封入体筋炎患者の年齢対応群におけるスタチン治療の比率より有意に高かった。
抗−200/100−kD抗体陽性患者は、よく記載されている抗SRP抗体を有する患者群とある特定の特性を共有しているが、2つの重要な知見がこれらの群を別のものとして区別する。第1は、抗−200/100−kD抗体を有する患者由来の血清はシグナル認識粒子サブユニットの何れも認識せず、そして抗SRP自己抗体を有する患者由来の血清は分子量が〜200kD又は〜100kDのタンパク質を認識しない。これらの観察は、抗−200/100−kD自己抗体特異性を有する患者は抗SRP抗体を有する患者群から免疫学的に区別されることを明らかにしている。第2に、極めて高いCKレベルを有する抗−200/100自己抗体陽性患者の何人かは筋力低下をほとんど有していない。高いCKレベルを有し抗SRP抗体を有する患者は一般に一様に筋力が非常に弱いので、このことは異例のことである。
抗−200/100自己抗体を有する患者における筋疾患を更に特徴付けるために、筋生検試料を、細胞膜傷害複合体、内皮細胞マーカー、及びクラスI MHCに対する抗体で染色した。細胞膜傷害複合体の沈着が補体カスケードの末期を示して、組織が免疫系による破壊の標的になっていることを示唆しているだろう。筋内膜毛細血管への細胞膜傷害複合体の沈着は皮膚筋炎患者に示されていて(Kissel JT et al., N Engl J Med 1986;314:329-34 及びEmslie-Smith AM et al., Ann Neurol 1990;27:343-56)、そして生検試料の4回のうち3回の分析が抗SRPに陽性である(Miller T, et al., 2002; Kao AH, et al., 2004; Hengstman GJ, et al., 2006; and Dimitri D, et al., 2007);このことは筋ジストロフィーには生じない(Spuler S et al., Neurology 1998;50:41-6)。抗−200/100−kD自己抗体を有する患者から得た生検試料中に筋内膜毛細血管への細胞傷害複合体の沈着は観察されなかったが、8試料のうち5つにおいて、筋内膜毛細管が異常に厚くそして肥大していた。同様な形態学的異常が、抗SRP抗体を有する患者及び「痩せ細った毛細血管を有する壊死性ミオパチー」患者群の両方において記載されている。後者の群が抗−200/100−kD自己抗体有する患者及び抗SRP抗体を有する患者と幾つかの形態学的特徴を共有しているが、これらの患者は別の結合組織疾患又は活性腫瘍のいずれかを有していることで異なっていた(Emslie-Smith AM and Engel AG, Neurology 1991;41:936-9)。
それが毛細血管上に存在していなくても、筋内膜小血管中の細胞膜傷害複合体沈着は、抗−200/100−kD自己抗体を有する患者から得た生検試料8つのうち6つ(75%)で明らかであった。学説に結び付けていないが、これらの場合における複合体の沈着がこの患者群における新規な血管標的を反映している可能性があるということは理にかなっている。加えて、非壊死性繊維の表面に局在している細胞膜傷害複合体が、分析した抗−200/100自己抗体を有する患者由来の生体試料8つのうち4つ(50%)で認められた。非壊死性繊維上に細胞膜傷害複合体が存在することは免疫介在ミオパチーにおいて既に報告されているが(Oxenhandler R, et al., Hum Pathol 1982;13:745-57)、これはこれらの疾患の一般的な特徴ではない;抗SRPミオパチーの複数の研究において、細胞膜傷害複合体は、筋生検試料の7つのうちたった1つ(Miller T, et al., J Neurol Neurosurg Psychiatry 2002;73:420-8)、6つのうち0(Hengstman GJ, et al., 2006)、そして3つのうち1つ(Dimitri D, et al., Muscle Nerve 2007;35:389-95)で非壊死繊維上に観察された。非壊死性筋繊維上への細胞膜傷害複合体の沈着が幾つかのジストロフィーにおいても生じると報告されていること(Spuler S, et al., Neurology 1998;50:41-6)、及び血管及び筋繊維上への細胞膜傷害複合体沈着は、初期の病理学的事象よりもむしろ二次的な細胞膜障害であるかもしれないということに注目すべきである。
最終的に、入手可能な生検試料8つのうち4つがクラスI MHCで染色された筋繊維鞘を有する筋原繊維を包含していた。これは免疫介在ミオパチーの特性であって筋ジストロフィー及びその他の筋肉及び神経疾患の患者由来生体試料においては希であるか又は存在しない(Van der Pas J, et al., J Neurol Neurosurg Psychiatry 2004;75:136-9及びSundaram C, et al., Neurol India 2008;56:363-7)。比べて、SRPに対する抗体を有する患者におけるクラスI MHC染色を評価する研究の結果を取り纏めると;ある研究は患者3人のうち2人にクラスI MHC陽性線維を明らかにし(Dimitri D, et al., 2007)、2番目の研究は患者6人のうち3人にこれらの線維を示し(Miller T, et al., J Neurol Neurosurg Psychiatry 2002;73:420-8)、3番目の研究は6人の患者だれにもこの線維を示さなかった(Hengstman et al, 2006)。
興味深いことに、2つの最近の報告が、壊死性ミオパチーがスタチン治療中に発症して、筋毒性薬物治療の中断にも関わらず進展した患者を記載している(Needham, et al., Neuromuscul Disord 2007;17: 194-200及びGrable-Esposito et al., Muscle Nerve 2010;41:185-90)。この2つの報告のうち大きい方で、Grable-Esposito et al.,は、抗−200/100−kD自己抗体陽性患者の我々の群で観察された臨床特性を共有している、明らかに免疫介在性、スタチン関連壊死性ミオパチーを発症した患者25人を記載した。例えば、この患者群は近位筋力低下を有し、殆ど同数の男性及び女性を包含し、8,203IU/リットルの平均クレアチンキナーゼレベルを有し、筋力を改善するために複数の免疫抑制剤を必要とし、そして免疫抑制剤の低減によって再発を経験していた。同様な患者8人から得た筋生検試料が Needhamと共同研究者によって詳細に分析された(Needham, et al., 2007)。ここでは、Needham, et al.,に記載されている全ての生検試料が非壊死性筋線維の表面上で上昇したクラスI MHCの発現を有していて、そこに記載されている抗−200/100−kD自己抗体陽性患者8人のうちわずか4人がクラスI MHC染色に陽性であった。
結論として、上で報告された結果は、壊死性ミオパチー及び新規な抗−200/100自己抗体特異性を有する患者の群を同定している。興味深いことには、この表現型の発症はスタチン投薬治療の経験と関連している。自己抗体の存在に加えて、全ての患者が免疫抑制に応答して、この治療を軽減すると多くのものが筋力低下の再発を経験した。これらの知見はこれらの対象における免疫介在性ミオパチーの存在を示す傾向にある。非壊死性繊維の表面上のクラスI MHCの存在はこの過程を免疫が介在していることも裏付けている。実際に、壊死性ミオパチー及び抗−200/100自己抗体を有するこれらの患者は恐らく免疫抑制療法で治療すべき自己免疫疾患を有しているのだろう。
実施例5:スタチンによる200−kD及び100−kD自己抗原発現の上方調節
上で報告したように、IMNMを有する患者群から得た血清は、放射標識化ヒーラ抽出物から、−200−kD及び−100kDタンパク質を免疫沈降した。
スタチンの使用とこれらの抗−200/100自己抗体の発症との強い関連性を前提として、ヒーラ細胞を10pMのメビノリン又は賦形剤(DMSO)単独のいずれかで24時間前処理した後、35S−メチオニン/システインで標識化した。これら溶解物のタンパク質等価性を確認するために、Mi−2又はPM−Sclに対する抗体を用いて免疫沈降を実施した。予想通りに、同量のMi−2及びPM−Scl複合体の5タンパク質成分がそれぞれの溶解物型で検出された。その一方、200−kD及び100−kDの両タンパク質の3倍に増加したレベルが、メビノリン処理細胞から免疫沈降して、これらの自己抗原のレベルがスタチンによって上方調節されることを明らかにした(図5A)。
Goldstein 及び Brown(Goldstein JL and, Brown MS. Nature 1990;343:425-30)は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMG−CoA還元酵素又はHMGCRと省略する)の発現はスタチン処理によって上方調節されるということを最初に明らかにした。Morikawa 及び共同研究者はこれらの知見を筋細胞に拡大した(Morikawa S et al., J Atheroscler Thromb 2005;12:121-31)。彼らはDNAマイクロアレイ解析を用いて、スタチンがヒト骨格筋細胞株中の19遺伝子の発現を誘発し、その殆どがコレステロール生合成に関連していることを明らかにした。これらのうちHMG−CoA還元酵素を、その分子量が97−kDなので、100−kD自己抗原の候補として選択した。
35S−メチオニンで標識化したHMGCRを(IVTT)で作成して、抗−200/100−kD自己抗体を有する患者16人から得た血清を用いる、さらに、スタチンに暴露していないDM患者3人及び3人の健常な個人からなる陰性コントロールの対象6人から得た血清を用いる免疫沈降測定に用いた。抗−200/100−kD陽性患者から得た血清はHMGCRを免疫沈降したのに対して、コントロール群から得た血清は沈降しなかった(図5B)。
実施例6:抗−200/100−kD自己抗体はHMG−CoA還元酵素のC−末端断片を認識する。
HMG−CoA還元酵素は1つの小さい細胞外ドメイン、7つの膜貫通ドメイン、及び1つの細胞内触媒ドメインを有する膜タンパク質である。抗−HMGCR抗体を有する患者から得た血清が認識するタンパク質の領域を特定するために、35S−メチオニンで標識化した全長のHMGCRタンパク質、細胞外及び膜貫通ドメインを包含するN−末端断片(aa1〜377)、及び分子の細胞内部分を包含するC−末端断片(aa340〜888)を合成した。抗−HMGCR陽性患者から得た血清は全長のHMGCR及びC−末端断片を一貫して免疫沈降したが、N−末端断片を免疫沈降しなかった(図6)。35S−メチオニンで標識化した全長のHMGCRタンパク質の免疫沈降前に、抗−HMGCR陽性血清を非標識化C−末端HMGCRの濃度を増大させながら前培養すると、免疫沈降しなくなった(図7A)。総合すると、これらの知見は、抗−HMGCR自己抗体がこの酵素の細胞内C−末端部分を認識したことを明らかにしている。
実施例7:固有の自己抗体は200−kDタンパク質を認識しない。
抗HMGCR陽性患者から得た血清が200−kDタンパク質を認識する独特な自己抗体を含んでいるか否かを確認するために、35S−メチオニンで標識化し、メビノリン処理したヒーラ細胞抽出物から、再びこれを精製したC−末端HMGCRタンパク質と前培養して、免疫沈降を実施した(図7B)。この手法はHMGCR及び−200−kDタンパク質の両方の免疫沈降を阻害して、−200−kDタンパク質はHMGCRと共免疫沈降するか又はHMGCR二量体であるかの何れかであることを示唆している。
実施例8:患者血清中の抗−HMGCR自己抗体を検出する新規なELISAの検証。
抗−HMGCR自己抗体について患者を迅速にスクリーニングするために、ELISAを開発した。相対吸光度値が3標準偏差であるか又はスタチンを服用したことのないコントロールの健常対象20人の平均値より高い場合は血清サンプルが抗−HMGCRに陽性であると特定した。この方法を用いて、先にヒーラ細胞抽出物から免疫沈降によって確認されている抗−200/100−kD陽性血清16の全てが抗−HMGCR陽性であることを見出した。これに対して、DM患者33人(以前にスタチンを服用していた5人を含む)及びIBM患者31人(以前にスタチンを服用していた11人を含む)は誰も抗−HMGCR陽性ではなかった。
次に、2002年5月から2010年4月の間、the Johns Hopkins Myositis Centerで長期に渡る研究に登録されていた患者全750人から得た血清サンプルをスクリーニングするために、このHMGCR ELISAを用いた。これらのうち、45人の患者(6%)がELISAによって抗−HMGCR陽性であった(表4)。
Figure 0005934183
* 表4において、「HMGCR ELISA」欄に列挙した吸光度値は、任意の陽性コントロールサンプル(サンプル9176)の吸光度に相対する単位である。
HMG−CoA還元酵素(HMGCR)抗体 についての酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)における陽性結果のカットオフ値は0.215吸光度単位であり;この値はスタチンを投与されたことのない健常対象20人の平均より大きい3標準偏差に等しかった。
スタチンの使用は血清検査前の期間を示している。
クレアチンキナーゼ(CK)値はIU/リットルで表されている。
筋電図(EMG)所見は、正常、炎症性ミオパチー(IM)、又は非炎症性ミオパチー(NIM)として分類した。
筋生検所見は、壊死+炎症(N+I)、壊死性ミオパチー(NM)、又は壊死+縁取りされている空胞(N+RV)として分類した。
rs4149046に対する遺伝子型決定はDNAサンプルが入手可能な抗−HMG−CoA還元酵素抗体陽性患者17人について実施した。
n/a= 適用せず。
W=白人、B=黒人、A=アジア人
ELISAを評価するために、ELISAと、2009年1月から2010年4月の間に経時的に固有な患者307人から採取した、この群由来の血清の小集団を用いて得られたIVTT免疫沈降データとを比較した。この小集団において、抗−HMGCR陽性患者17人が両方法で同定された。ELISAが、免疫沈降法で陰性であった追加1名の抗−HMGCR陽性を同定した(血清10029)。この患者は上昇したCKレベルを伴う壊死性ミオパチーを有しているので、これは真のHMGCR陽性血清であり、擬陽性の血清ではないことが確認された。この結果は、これら2つの方法の間の非常に高い相関性を明らかにして、このELISA試験が抗−HMGCR自己抗体を検出するための信頼性のある、有効なスクリーニングであると認証している。
実施例9:抗−HMGCR陽性患者の臨床的特徴
抗−HMGCR陽性患者45人のうち、30人(66.7%)が以前にスタチンを服用していた(表1)。50歳又はそれ以上で我々のクリニックを訪れた患者26人のうち、24人がスタチンを服用していた(92.3%)。従って、抗−HMGCR自己抗体を有する患者におけるスタチン使用の比率は、我々及び他の者が以前に報告している、DM(25%)、PM(36.8%)、及びIBM(33.3%)を含む、他のミオパチーを有する患者(年齢〜50歳)について年齢を対応させたものより有意に高い(Grable-Esposito et al., 2010 and Christopher-Stine et al.,2010)。
抗−HMGCR陽性患者は、近位筋力低下(95.6%)、上昇したCKレベル(平均±SD;9,718±7,383IU/リットル)、及びEMG上での筋疾患の所見(97.3%)によって特徴付けられた(表2)。入手可能な筋生検試料40の全て(100%)が優位に変性した、再生した、そして/又は壊死した繊維を有することが報告された。顕著な炎症性浸潤が筋生検サンプル40のうち8つ(20%)に確認され、そして生検試料40のうち1つに縁取りされている空胞が視覚化された:この患者は優位に近位筋力低下を有していてIBMに典型的な臨床的特徴を有していなかった。スタチンを服用したことのない患者は、その若年性(平均±SD37±17歳対59±9歳)、高いCKレベル(13,392±8,839対7,881±5,875IU/リットル)、及び人種(白人が46.7%対86.7%)を除いて、スタチンを服用したことのあるものと臨床的に区別ができなかった(表5)。
Figure 0005934183
抗−HMGCR陽性患者45人のうちの43人が他には全身性自己免疫疾患を有していない(95.6%)とはいえ、患者8196はJo−1抗体及び間質性肺疾患を有していた。別の患者(患者8038)は強皮症、抗−PM−Scl抗体、及び間質性肺疾患を有していた。これらの患者は何れも筋肉症状を発症する前にスタチンを服用していなかった。
抗−HMGCR陽性患者の大部分が免疫介在性のミオパチーと一致する臨床的特徴を有していた。しかし、1人の患者(患者8144)はスタチン使用後の持続性筋肉痛、正常な自覚的及び他覚的筋力、両大腿部のMRI上での異常ではない所見、EMG上の正常な所見、及びわずか254IU/リットルのCKレベルのみを示した。この患者のHMGCR ELISAの結果は、2000の正常コントロールの平均を越える3−標準偏差より低かった。従って、この患者は筋力低下のサイン及び/又はHMGCR自己抗体の発症を観察すべきである。
実施例10:スタチンミオパチー性の抗−HMGCR陽性患者に関連する単一ヌクレオチド多型の保有率は増大しなかった。
Study of the Effectiveness of Additional Reductions in Cholesterol and Homocysteine (SEARCH) Collective (N Engl J Med 2008;359: 789-99) で公表された最近の研究は、SLCO1B1遺伝子(すなわち、rs4149056C対立遺伝子)における特定多型の存在がスタチンミオパチーの発症と強い関連性があることを明らかにした。この遺伝子は、スタチンの肝摂取を調節する、有機アニオントランスポーターポリペプチドOATP−1B1をコードする。〜12,000人の参加者(殆どがヨーロッパ系)の集団におけるC対立遺伝子の保有率は0.15であったのに対して、シンバスタチンを80mg/日の用量で開始して1年以内にスタチンミオパチーを発症した人における保有率は0.54であった。
抗−HMGCR陽性患者17人からDNAサンプルを入手できて、この集団におけるrs4149056C対立遺伝子の保有率は0.12であった。スタチンを服用しておらず、そして/又はヨーロッパ系でない患者6人を除外すると、残りの患者11人におけるこのC対立遺伝子の保有率は0.14であった。遺伝子型を同定した対象の数が少なかったが、この抗−HMGCR陽性患者におけるrs4149056C対立遺伝子の保有率は、ヨーロッパ系の中で先に報告されている0.14〜0.22の範囲(SEARCH Collaborative Group, N Engl J Med 2008;359: 789-99)と一致している。
実施例11:HMG−CoA還元酵素の発現は、抗−HMG−CoA還元酵素自己抗体陽性患者における再生筋線維中で上方調節される。
インビボにおけるHMG−CoA還元酵素発現を直接試験するために、筋生検切片を市販のポリクローナル抗−HMG−CoA還元酵素抗体(Millipore, Billerica, MA)で染色した。筋炎関連自己抗原は再生の特性を示して筋細胞において高レベルで発現されるので(Casciola-Rosen et al., J Exp Med 2005;201:591-601 及び Mammen et al, Arthritis Rheum 2009;60: 3784-93)、筋生検切片を抗−NCAM抗体(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)で共染色した。NCAM(神経細胞接着分子)は筋再生について確立されたマーカーである。正常な特性を示している筋生検切片において、HMGCR(図8E)及びNCAM(図8D)が比較的低いレベルで発現された(図8Fも参照されたい)。一方、抗−HMGCR−CoA還元酵素自己抗体陽性患者(数ヶ月〜数年スタチンを服用していなかった)から得た筋生検サンプル中で、NCAM陽性線維は優位だった(図8A)。興味深いことに、これらNCAM陽性線維の殆どが高レベルのHMGCR−CoA還元酵素も発現した(図8B〜C)。これらの知見は、抗−HMGCR−CoA還元酵素自己抗体陽性患者から得た再生筋線維が高レベルのHMGCRを発現することのインビボでの確認を提供する。
スタチン類は、通常は軽度な、筋肉に対する公知の副作用を有する、広く処方されている薬剤の種類である。自己免疫性ミオパチー及びスタチン使用と関連している200−kD及び100−kDタンパク質を認識する新規な自己抗体が本明細書の上記に記載されている。本明細書で報告された結果は、HMGCRとしての自己抗原の同定を介してスタチンへの暴露とIMNMのこの異型の間の妥当な因果関係を明らかにしている。免疫沈降測定が、この酵素のC−末端に対する自己抗体の特異性を明らかにし、一方競合実験は、抗−HMGCR自己抗体がHMGCR及び200−kDタンパク質の両方を免疫沈降することを確認した。大きいタンパク質は、結合タンパク質又はHMGCRの多量体であろう。後者の可能性が、HMGCRは97−kDの単量体として及び200−kDの2量体として免疫沈降され得ることを示す別の研究(Parker et al., J Biol Chem 1989;264:4877-87)によって裏付けられている。
HMGCRを関連する自己抗原と同定して、患者の血清を迅速にスクリーニングするためにELISAが開発された。このELISAを用いて、Johns Hopkins Myositis Centerを訪れたミオパチーが疑われる患者の抗−HMGCR自己抗体の保有率が6%であることが分かった。抗−HMGCR自己抗体は、筋生検で壊死性ミオパチー患者に特異的に同定されて、IBM、DM患者、又は正常コントロールには見出されなかった。従って、抗−HMGCR自己抗体は、この群において最も多く見られる自己抗体であって、次は、抗−Jo−1だけである。壊死性ミオパチーは免疫が介在しているとは限らないので、ELISAによる抗−HMGCRの検出は、大部分が免疫抑制療法に応答する、このIMNMの形態を有する患者の同定に診断的に役立つ可能性が高い。
抗−HMGCR陽性患者45人のうち、1人がJo−1陽性抗シンセターゼ症候群を有し(2.2%)、別の1人が抗−PM−Scl自己抗体を伴う強皮症を有していた(2.2%)。よって、自己免疫性筋疾患の別の形態を有しているものと同様に、抗−HMGCR自己抗体を有する患者は、希な例であるが、他の結合組織疾患と重複する症候群を有している可能性がある。
重要なのは、HMG−CoA還元酵素の筋肉での発現は、スタチンへの暴露によって、さらにNCAM発現を特徴とする再生筋細胞において、増大する。このことは、スタチンの存在によって開始され、及び抗−HMG−CoA還元酵素自己抗体に関連する免疫介在性筋肉障害は、筋肉の再生に関連して一貫して増大するHMG−CoA還元酵素の発現を介して、スタチンを中断した後でも持続するということを示唆している。
スタチンを服用している大部分の患者は免疫介在性ミオパチーを発症しないので、遺伝的感受性を包含する、その他の因子も影響しているはずである。患者を自己限定性のスタチンミオパチーに罹りやすくする最も一般的な遺伝因子はrs4149056C対立遺伝子の存在であり、これはシンバスタチンを1日に80mg服用している患者におけるスタチンミオパチーの最大60%を占めている(SEARCH Collaborative Group 2008)。この多型が、OATP−1B1トランスポーターによるスタチンの肝摂取を減少させてミオパチーのリスクを増大させる可能性が最も高い。しかしながら、この遺伝子変化は抗−HMG−CoA還元酵素自己抗体陽性患者に過剰に存在しておらず、自己免疫応答の発症には別の遺伝的感受性又は環境共暴露が必要であることを示唆している。
興味深いことには、抗−HMG−CoA還元酵素自己抗体陽性患者の33%が以前にスタチンを服用していなかった。これらの患者が疾患発症時に若くて、より高いクレアチンキナーゼレベルを有していたとしても、彼らも明らかに免疫介在性ミオパチーも有していて、そして別にはスタチンに暴露された者と区別ができない。別の遺伝的及び/又は環境的な因子がこれらの患者において高レベルのHMG−CoA還元酵素発現を引き起こす可能性がある。
本明細書に記載されている臨床患者が筋力低下及びミオパチーのその他の顕著な特徴を示したので、抗−HMGCR自己抗体が、より軽度の症状を有して、スタチンを服用している患者中にどの程度広がっているかについて本研究は取り組んでいない。しかし、他にミオパチーの切実な臨床的兆候を有していない、抗−HMGCR陽性患者は誰も、継続的なスタチン誘発性筋肉痛を有することは確認されていない。このことは、自己免疫応答が一部の患者においては軽度なミオパチー症状とも関連していることを示唆している。
本明細書の上記実施例1〜4で報告された結果は以下の材料及び方法を用いて得られた。
(患者)
保存血清、評価のために入手可能な筋生検試料、並びに近位筋力低下、上昇したクレアチンキナーゼ(CK)レベル、ミオパチーの筋電図検査(EMG)所見、磁気共鳴画像上での筋浮腫、及び/又は筋生検上のミオパチーの特徴によって特定されたミオパチーを有する225人の患者をJohns Hopkins Institutional Review Boardで承認された、2007年3月から2008年12月までの、長期に渡る研究に登録した。病歴を提供すること及びJohns Hopkins Myositis Center で健康診断を受けることに加えて、これらの患者は以下の幾つか又は全てを含む総合評価を受けた:(1)筋電図検査及び神経伝導検査、(2)非対称両大腿部MRI、(3)肺機能検査、(4)胸部、腹部、及び骨盤のコンピュータ断層撮影を含む悪性腫瘍のスクリーニング、(5)CKレベル、抗核抗体(ANA)スクリーニング、赤血球沈降速度(ESR)、C−反応タンパク質(CRP)レベル、抗Ro/Laスクリーニング、及び筋炎特異的自己抗体(MSA)スクリーニングを含む、異なる民間試験所数ヶ所で実施される標準的な実験室評価、及び(6)臨床又は生検特徴によって疑わしいときは、肢帯筋ジストロフィー(肢帯筋ジストロフィー評価パネル(Athena Diagnostics, Worcester, MA)による)、酸性マルターゼ欠損症(グリコーゲン貯蔵ミオパチー「A」プロフィル(Athena Diagnostics)及び/又はαグルコシダーゼ活性についての乾燥血斑試験(Genzyme, Cambridge, MA)による)、及び/又は顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)DNA試験(Athena Diagnostics)による)を含む遺伝性筋疾患の検査。
抗−200/100自己抗体を有する患者においてスタチンが増加する頻度で用いられていたか否かを確認するために、明確な或いは可能性の高い多発性筋炎(PM)又は皮膚筋炎(DM)(Bohan and Peter, N Engl J Med 1975;292:344-7 and 292:403-7)を有していたこの群の患者、更に恐らく封入体筋炎(IBM)(Griggs RC, et al., Ann Neurol 1995;38:705-13)を有する患者についてスタチン使用の頻度を確認した。患者の年齢をスチューデント両側t−検定を用いて比較した。異なった群におけるスタチン使用の頻度を比較するためにカイ二乗検定を用いた。
(筋生検解析)
筋生検試料を三角筋、二頭筋、又は大腿四頭筋群から得た。それぞれのケースにおいて、選択した筋肉が弱いことを試験医師が確認した。筋生検試料から得たスライドをJohns Hopkins Neuromuscular Pathology Laboratory で評価した。これらの検討はヘマトキシリン及びエオシン染色した組織、更に下記の染色剤の幾つか又は全てを包含した:改変ゴモリ・トリクローム、pH4.3、pH4.6、及びpH9.4におけるアデノシントリホスファターゼ、NADテトラゾリウム還元酵素、酸性ホスファターゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、チトクロームオキシダーゼ、エステラーゼ、アルカリホスファターゼ、過ヨウ素酸−シッフ(PAS)、PAS−ジアスターゼコントロール、及びコンゴレッド。凍結及びパラフィン包埋試料を、変性、再生、及び/又は壊死繊維、初期筋内膜炎症、血管周囲炎症、縁取りされている空胞、筋束周辺萎縮、及び線維症の存在について規定通りにスクリーニングした。優位に異常な組織学的特徴としての壊死性筋線維の存在に基づき;筋貪食を受けている壊死性筋線維を除外して、「壊死性ミオパチー」生検試料を同定した。炎症性細胞はあっても、少なかった。抗−200/100−kD自己抗体特異性を有する患者から得た筋生検試料を、CD31(内皮細胞マーカー)、C5b−9(すなわち、細胞膜傷害複合体)、及びクラスI主要組織適合複合体(MHC)を認識する抗体で染色した。
つまり、厚さ7μの凍結筋生検切片を氷冷したアセトン中で固定した。ペルオキシターゼ遮断剤(Dako, Carpinteria, CA)中で室温で10分間処理した後、切片を5%ウシ血清アルブミン/リン酸緩衝食塩液(BSA/PBS)と37℃で1時間培養した。一次抗体を1%BSA/PBS中、以下の希釈で調製し:クラスIMHC(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)には1:50、CD31(Dako)には1:20、Cb5−9(Santa Cruz Biotechnology)には1:50;初期培養は4℃で一晩実施した。PBSを洗浄した後、スライドを西洋ワサビペリオキシダーゼ標識化ヤギ抗−マウス二次抗体(Dako)と1%BSA/PBS中、1:500で1時間室温で培養した。化合物3,3’−ジアミノベンジジンクロモゲン(Dako)は、それぞれの抗体を可視化するために用い、そして全ての切片をヘマトキシリンで対比染色した。正常な筋組織サンプルを陰性コントロールとして用いて、Jo−1陽性の筋炎患者から得た筋組織をクラスI MHC染色の陽性コントロールとして用いた。それぞれの一次抗体に対して、全ての筋切片を同時に同じ条件下で処理した。
(免疫沈降)
それぞれの患者から採取した血清サンプルを−80℃で保存した。標準的な手法を用いて培養したヒーラ細胞を100μCi/mlの35S−メチオニン及びシステイン(MP Biomedicals, Solon, OH)で、メチオニンを含まず、及びシステインを含まない培地中で、2時間放射標識した。細胞をその後、緩衝液A(50mMのトリスpH7.4、150mMのNaCl、5mMのEDTA、0.5%のノニデット(Nonidet)P40、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、0.1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及びプロテアーゼ阻害カクテル)中で溶解した。それぞれを10cmのシャーレで緩衝液A1mLに溶解して10の免疫沈降に用いた。1μlの患者血清を100μlの放射標識化溶解物に加えて、緩衝液B(1%のノニデットP40、20mMのトリス、pH7.4、150mMのNaCl、1mMのEDTA、及びプロテアーゼ阻害カクテル)で容量を1mlにし、そして混合物を4℃で1時間回転して免疫沈降を実施した。プロテインAアガロースビーズ(Pierce, Rockford, IL)を抗体−抗原複合体を沈殿させるために用い、次いで10%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動した
放射標識化免疫沈降物をX線蛍光撮影で可視化した。
本明細書の上記実施例5〜11で報告された結果は以下の材料及び方法を用いて得られた。
(患者及び遺伝子型判定)
2002年5月と2010年4月の間に、近位筋力低下、上昇したクレアチンキナーゼ(CK)レベル、筋電図(EMG)上でのミオパチー所見、核磁気共鳴画像(MRI)上での筋浮腫、及び/又は筋生検でのミオパチー特性によって定義して、ミオパチーが疑われる患者750人を長期に渡る研究に登録した。患者がBohanとPeterの基準(Bohan and Peter, N Engl J Med 1975;292:344-7 and 403-7)に従う推定又は確定疾患を有している場合に、患者を多発性筋炎(PM)又は皮膚筋炎(DM)を有していると定義し、彼らがGriggs et al.の基準(Griggs et al., Ann Neurol 1995;38:705-13)に見合っていたら、封入体筋炎(IBM)を有していると定義した。各対象から血清が入手でき、そして対象260人からDNAサンプルが入手できた。以前にスタチンに暴露していない健常なコントロール対象25人からも血清サンプルを得た。対象全てを、Johns Hopkins Institutional Review Board によって承認されたプロトコールに登録した。DNAサンプルが入手できた抗HMG−CoA還元酵素陽性患者17人全てに対して、適切に検証されたTaqMan(登録商標) Drug Metabolism Genotyping Assay (Applied Biosystems, Carlsbad, CA) を用いて、rs4159056C対立遺伝子の遺伝子型判定を実施した(詳細な臨床情報についての表4を参照されたい)。
(放射標識化細胞溶解物からの免疫沈降)
ヒーラ細胞を10μMメビノリン(Sigma, St. Louis, MO)の存在下又は非存在下で22時間培養し、次いで100μCi/mlの35S−メチオニン/システイン(MP Biomedicals, Solon, OH)で放射標識化し、溶解して、患者血清で免疫沈降した(上記実施例1〜4を参照されたい)。免疫沈降物を還元し、煮沸し、電気泳動(10%ドデシル硫酸ントリウム−ポリアクリルアミドゲル)に付して、X線蛍光撮影で可視化した。
35S−メチオニン標識化インビトロ転写/翻訳(IVTT)タンパク質を用いる免疫沈降)
全長ヒトHMG−CoA還元酵素をコードするDNAをInvitrogen (Carlsbad, CA)から購入した。N−末端断片(アミノ酸(aa)1〜377)をコードするDNAをR377からストップコドンまで突然変異させて作成した。HMG−CoA還元酵素のC−末端(aa340〜888)をコードするDNAを、全長DNAを鋳型として用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で作成した。構築物を配列決定し、検証して、IVTT反応(Promega, Madison, WI)で用い、35S−メチオニン標識化タンパク質を作成した。これらの産物を用いて免疫沈降を実施して、上記のように免疫沈降物を検出した。
(競合実験)
それぞれの患者血清1マイクロリットルを、グルタチオンS−トランスフェラーゼとの融合タンパク質として発現されたヒトHMG−CoA還元酵素の触媒ドメイン(aa426〜888)(以下「C−末端HMG−CoA還元酵素」と呼ぶ;Sigma)と共に前培養した(30分、4℃、50μl中)。続いて、前培養した抗体を、全長IVTT HMG−CoA還元酵素又はメビノリン処理したヒーラ細胞から作られた放射標識化溶解物との免疫沈降に用いた。
(抗−HMGCR ELISA)
ELISAプレート(96ウェル)をリン酸緩衝食塩水(PBS)に希釈した100ngのC−末端HMG−CoA還元酵素(Sigma)で1晩4℃でコーティングした。複製ウェルをPBSのみで培養した。プレートを洗浄した後、PBSに1:400で希釈したヒト血清サンプルを0.05%のTween20と共にウェルに37℃で1時間加えた。洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識したヤギ抗ヒト抗体(1:10,000;Pierce, Rockford, IL)を、37℃で30分間各ウェルに加えた。SureBlue(登録商標)ペルオキシダーゼ試薬(KPL, Gaithersburg, MD)を用いて発色を行って、450nmの吸光度を確認した。各サンプルについて、PBSでコーティングしたウェルのバックグランド吸光度を対応するC−末端HMG−CoA還元酵素でコーティングしたウェルのそれから差し引いた。試験サンプルの吸光度をそれぞれのELISAに含まれている参照血清である、任意の陽性コントロールサンプル(サンプル9176)における吸光度との比で表した。
(免疫組織化学)
ヒト生検試料の採取及び使用はJohns Hopkins Institutional Review Boardで承認された。抗HMGCR抗体を有する患者6人及び正常コントロール対象3人から得た筋生検試料を検討した。全ての生体試料は3ヶ月以上にわたってスタチンを投薬されていなかった患者から得た。パラフィン切片の染色を先に記載(9)したように実施した。抗体培養は、ウサギ抗−HMGCR(Millipore)とマウス抗−神経細胞接着分子(抗−NCAM;Santa Cruz Biotechnology)一次抗体との混合物、続いてロバ抗−ウサギIgG Alexa Fluor594(HMGCRを検出するために)及びロバ抗−マウスIgG Alexa Fluor488(NCAMを検出するため)二次抗体(Invitrogen)との混合物を含んでいた。
(その他の実施態様)
前述の説明から、本明細書に記載されている本発明を、様々な使用及び条件に適用するために、改変及び修正できることは明らかであろう。このような実施態様もまた以下の特許請求の範囲の範囲内である。
本明細書の可変部の定義の何れかにおける構成要素のリストの記述は、単一構成要素又はリストされている構成要素の組合わせ(又は小組合わせ)の何れかとしてのその可変部の定義を包含している。本明細書の実施態様の記述は、単一の実施態様の何れかとしての、又はその他の何れかの実施態様又はそれらの部分との組合わせとしてのその実施態様を包含している。
本明細書に述べられている全ての特許及び刊行物は、それぞれの独立した特許及び刊行物が参照により取り込まれることを具体的にそして個々に示しているのと同じ程度に、参照により本明細書に取り込まれている。

Claims (19)

  1. 方法が、
    a)対象から生体サンプルを得ること、
    b)対象の生体サンプル中の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質又は自己抗体との結合活性を有するその断片を認識する自己抗体を検出することによって免疫測定を行うこと、及び
    c)生体サンプル中のHMGCRタンパク質又はその断片に結合する自己抗体の存在を示唆するシグナルを検出すること、
    を含んでなり、
    自己抗体の存在が、対象が自己免疫疾患を有することを示す、
    対象における自己免疫疾患を診断するために、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質又はその断片を認識する自己抗体を検出する方法。
  2. 自己免疫疾患が、免疫介在性ミオパチーである、請求項1に記載の方法。
  3. ミオパチーがスタチン治療に関連した自己免疫介在性ミオパチー又は壊死性ミオパチーである、請求項2に記載の方法。
  4. 検出が、対象サンプル中の自己抗体のレベルを参照レベルと比較することを含んでなる、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 自己抗体レベルの3標準偏差増大した検出が、スタチン関連自己免疫性ミオパチーを示す、請求項2〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 生体サンプルが液体生体サンプル又は組織サンプルである、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 液体生体サンプルが、血液、血清、又は血漿である、請求項6に記載の方法。
  8. 免疫測定が、ELISA、免疫沈降、蛍光免疫吸着測定、化学結合免疫吸着測定、放射免疫測定、免疫ブロット法、免疫測定法、フローサイトメトリー、ウェスタンブロット、及び免疫組織化学からなる群より選ばれる、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. HMGCRタンパク質又はその断片を基質に固定化する、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
  10. 基質が膜、ビーズ、又はマイクロチップである、請求項9に記載の方法。
  11. 比色分析又は放射分析を用いて結合を検出する、請求項1〜10の何れか一項に記載の方法。
  12. 自己抗体が、化学発光を含む光学的方法で検出される、請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。
  13. HMGCR断片が、aa340〜888を含むC−末端断片を含んでなる、請求項1〜12の何れか一項に記載の方法。
  14. キットが、基質に固定化された3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質又は自己抗体との結合活性を有するその断片を含んでなり、HMGCR又はその断片への対象の自己抗体の特異的な結合を検出し、それによって対象のミオパチーを特性化する、対象のミオパチーを特性化するためのキット。
  15. 基質が膜、ビーズ、又はマイクロチップである、請求項14に記載のキット。
  16. 比色分析を用いて結合を検出する、請求項14に記載のキット。
  17. HMGCRの断片がaa340〜888を含むC−末端断片を含んでなる、請求項14に記載のキット。
  18. HMGCRタンパク質又はその断片を基質に固定化する、請求項14〜17の何れか一項に記載のキット。
  19. 免疫介在性の壊死性ミオパチーに関連し、200kD及び100kDタンパク質を認識する、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素(HMGCR)タンパク質に対する新規な自己抗体。
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