JP2015524402A - 創傷治療用の薬剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、患者の慢性創傷または疾患依存性もしくは薬剤依存性の創傷治癒障害の治療に使用するため、あるいは、間葉系細胞もしくは幹細胞の増殖および/または移動を増加または誘導するため、免疫細胞、好ましくはナチュラルキラー細胞を刺激するため、線維芽細胞を刺激するため、上皮細胞、好ましくは表皮の上皮細胞を刺激するため、または血管新生を刺激するためのスタスミン、前記スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞に関する。

Description

本発明は、再生治療、特に創傷治癒用の薬剤の分野に関する。
創傷治癒は、皮膚組織の破壊が起こると活性化され、複雑で動的かつ高度に組織化されたプロセスを構成する。血小板凝集、凝固カスケードの活性化、細胞移動、細胞増殖、炎症性浸潤、細胞分化、および組織のリモデリングなど広範囲の事象が、創傷治癒のプロセスを介して行われる。これらの事象のカスケードは、はっきりと分かれ3つのフェーズ、すなわち炎症、増殖、そして創傷の収縮およびリモデリングに分担されているように見えるが、実際にはフェーズが互いにオーバーラップし、既にある創傷内の関連箇所において、継続的または再発した組織の損傷によりその流れを再開することがある。
皮膚組織の損傷および血管の破壊の後にフィブリン塊の形成が起こり、フィブリン塊が創傷への細胞移動の基板となる。好中球は、一定の範囲の分子、貪食性の異物、および細菌に誘引され、徐々に単球に置換し、これがマクロファージへと分化する。マクロファージは、微生物、細胞外マトリックス、フィブリン、好中球、赤血球、および他の蓄積物等の断片を貪食し、効果的な創傷修復に重要だと考えられる様々な分子を分泌する。慢性創傷では、このフェーズの構成要素の1つまたは複数が調節不全になっているために創傷治癒が遅延しているようである。糖尿病性の創傷では、角化細胞、線維芽細胞、および平滑筋細胞からの成長因子の発現が減少しており、初期の止血血栓の形成に負の効果をもたらしている。加えて、高血糖ならびに高脂血症に関連したサイトカイン放出、走化、接着、および食作用活性の障害が観察されている。
創傷治癒障害は、罹患率および死亡率の上昇と関連する。非治癒性の創傷により、しばしば切断しなくてはならないことがある。しかし、大規模な調査にもかかわらず、正確な病因の基礎となるメカニズムは完全には解明されていない。これは、小血管および大血管疾患の総合的な結果であるようだ。
創傷治癒は、典型的には、糖尿病で遅延する。血管障害が創傷治癒に非常に寄与しているようだ。また、神経障害、そして間葉系細胞の移動および活性化を支援する成長因子の欠乏が、糖尿病性創傷治癒遅延の原因の一つとして認識されている。糖尿病状態自体に固有と思われる他の要因、例えば、細胞形態および機能の変化も病因に関与している。
Mistry Sucharita J et al.(2007)には、抗スタスミンリボザイムによる治療後にHUVECの細胞増殖が減少することについて記載されている。このリボザイムは、微小管の代謝を阻害し微小管が重合する方向に微小管の重合と脱重合の間の平衡をシフトさせることにより細胞増殖を妨害し、抗血管新生効果を有するようになると述べられている。
国際出願WO2008/039390A2号には、癌治療における腫瘍関連抗原およびキトサンのワクチン複合体について記載されている。可能性のある抗原は、スタスミンである。
国際出願WO2007/089151A1号(EP1815863A1)では、TLR3を活性化する物質としてスタスミンが同定され、アルツハイマー病などの神経変性疾患における変性炎症プロセスの治療についての示唆がされている。また、創傷の治療についての言及もある。
一方、米国特許第6,429,304B1号では、癌または「異常創傷治癒」など様々な増殖性疾患の治療に使用できる抗有糸分裂活性を有する化合物が教示されている。作用機序は、細胞増殖の予防である。化合物の抗有糸分裂活性は、微小管の脱重合に基づくと主張されている。かかる化合物はスタスミンであり、OP18とも呼ばれている。
更に、国際出願WO2004/113561A2号では、スタスミンまたは腫瘍性タンパク質18は、チューブリンの減少に起因する無制御細胞増殖を防ぐと主張されている。
これらの文献のいずれも、実際の創傷治癒におけるスタスミンの役割を調べてはいない。これらの特許文献の著者らは、むしろ、創傷治癒における効果の可能性について反対的な意見を述べている。よって、スタスミンが創傷治癒に有益な効果を有するか否かについては未だ解明されていない。
現在の創傷治癒の治療は創傷の洗浄および清拭と目的し、可能性のある感染を治療することで創傷の炎症フェーズを軽減し、そして場合によりPDGFなどの移動または成長因子を適用するものである。現在の創傷治療用製剤は未だ満足のいくものではなく、依然として創傷治癒用の組成物を改良する必要がある。
本発明は、創傷の治療におけるあるいは創傷瘢痕を縮小するためのスタスミン、スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞の使用を提供する。関連する態様では、本発明は、創傷治療に使用するためのスタスミン、スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞にも関する。さらに、本発明は、創傷治療用の薬剤の製造におけるスタスミン、スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞の使用に関する。また、スタスミンを含む医薬組成物も提供する。本発明は更に、免疫細胞、好ましくはナチュラルキラー細胞を刺激するため、線維芽細胞を刺激するため、上皮細胞、好ましくは表皮の上皮細胞を刺激するため、血管新生を刺激するため、特に上記および/または下記の細胞、特に間葉系細胞および/または線維芽細胞におけるIL−8の産生を刺激するため、単球および/またはマクロファージを刺激するために、間葉系細胞、表皮細胞、および/または幹細胞、特に間質幹細胞および/または造血幹細胞、の増殖および/または移動を増加または誘導するインビトロまたはインビボの方法を提供する。単球および/またはマクロファージを誘導してIL−6、IL−8、MIP−1、MIP−2などのサイトカインを産生させることができる。これらの態様のすべてが同等であり、全ての好ましい実施形態は、等しくこれらの各態様に関連する。
本発明者らは、PDGF製剤等の一般的な薬剤に比べて優れた非常に強力な創傷治癒促進剤としてスタスミンを同定した。特に驚くべきなのは、創傷治癒の低下または創傷治癒の障害の場合に、予期不能なほど高速で創傷の閉鎖を達成できるというスタスミンの効果である。更に、本発明の主題を特許請求の範囲で規定する。
ヒトpDC様細胞によるhu Stat1の分泌。AB4(ヒトpDC)およびPS細胞(初代ヒト皮膚線維芽細胞)を無血清培地で48時間培養した。培養上清または細胞溶解物を採取し、ウサギ抗hu Stat1抗血清を用いてウェスタンブロットで解析した。レーン1〜3:陽性対照としての組み換えhu Stat1(500ng、50ng、および5ng)、レーン4〜6:4)AB4溶解液4×104個の細胞、AB4上清104個の細胞、AB4上清4×104個の細胞;レーン7〜9:PS溶解液4×104個の細胞、PS上清104個の細胞、PS上清4×104個の細胞。
AB4細胞由来のhu Stat1のクローニング。pTriEx4 Neo/TOP10クローン4中のhu STAT1のプラスミドDNAを42℃で30秒の熱ショックによりBL21 DE3化学的コンピテント細胞に形質転換した。形質転換反応物を、アンピシリンを含むLB寒天プレート上にプレーティングし、37℃で12時間インキュベートした。コロニーPCRおよび対照の消化は上記のとおり行った。NcoI/Bsu36Iによる対照の消化後、hu STAT1を含むpTriEx4 NeoBL21 DE3クローンはアガロースゲルにおいてそれぞれ450bpのバンドを示した。
連続的陰イオン交換および疎水性相互作用クロマトグラフィーによるhu Stat1の精製。DEAEセファロースおよびオクチルセファロースFast FlowクロマトグラフィーにAKTA精製FPLCシステムを使用した。
電気的な細胞−基質間インピーダンス(ECIS)計測。hu Stat1媒介性のインビトロ創傷治癒。ヒト上皮細胞(A431)をフィブロネクチンでコーティングした培養容器(8W1E,IBIDI,Munich)内で培養した。48時間後に、高磁場パルスを用いると(矢印参照)、電極に覆われた領域のインピーダンスの急激な低下および細胞死が起こった。hu Stat1の添加は、用量依存的に創傷領域への細胞の増殖および移動を引き起こす。10%FCS:陽性対照、無血清培地:陰性対照
コラーゲンのみ(A)またはスタスミンとコラーゲンの組み合わせ(B)によって処理したZuckerラット。同じラットに異なる処理をした創傷の治療開始後9日目の写真を示す。
Stat1による管様構造および管腔の誘導。ヒト内皮細胞(ECV304)は、無血清培地中のフィブロネクチンでコーティングした培養容器上で増殖させた。組換えHu Stat1(0.5ng/ml)またはPDGF(1ng/ml)の添加3日後に、培養物を透過光学顕微鏡(200倍)で解析した。Stat1で処理した培養物は明らかに萌出を示した(矢頭参照)が、この現象は無血清培養物中では本質的にみられなかった。
組み換えhu Stat1は、ヒトNK細胞活性を刺激する。ヒトNK細胞を、MACS分離(Miltenyi Biotec,#130−092−657)によりヒト末梢血リンパ球から単離したところ、CD56+NK細胞が<97%であった(B)。単離前のCD56+細胞の割合は13%であった(A)。 A431細胞を標的として用い、読み取りシステムとしてECIS検査システムを用いた細胞傷害アッセイにおいて、エフェクターとして機能するCD56+濃縮細胞(エフェクター:標的比=10:1)(C)。青線(下)はhu IL−2(50U/ml)存在下でのNK細胞の活性を示す。緑線(中央)はhu Stat1(0.5μg/ml)存在下でのNK細胞の活性を示す。培地のみが存在するNK細胞(赤線、上)では、Stat1またはIL−2処理細胞の活性に到達しなかった。
(a)ヒト初代皮膚線維芽細胞における組み換えスタスミン1によるhu IL−8の誘導。ヒト初代皮膚線維芽細胞は、hu Stat1無し(赤、手前)または50ngのhu Stat1を添加した(緑、奥)無血清培地で培養した。細胞を18時間後に採取、溶解、そして可溶性受容体分子に特異的なタンパク質アレイ(R&D)により分析した。タンパク質アレイは化学発光により分析した。(b)ヒト初代皮膚線維芽細胞における組み換えスタスミン1によるTIMP−1および−2の下方制御。ヒト初代皮膚線維芽細胞は、hu Stat1無し(赤、奥)または50ngのhu Stat1を添加した(緑、手前)無血清培地で培養した。細胞は図8aで記載のように分析した。
37℃の創傷液におけるhu Stat1の安定性。1.5μgのhu組み換えSta1をTrisバッファー、ヒト血漿、または慢性創傷から出た創傷液のいずれかと混合し、指定した時間37℃でインキュベートし、SDS−PAGEにより分離し、そして更にウサギ抗hu Stat1血清を用いたウェスタンブロットにより分析した。
Hu Stat1は、ヒドロゲル内において少なくとも5カ月間安定である。Hu組み換えStat1を0.9%NaCLへの溶解またはヒドロゲルへの混合のいずれかを行い、指定した温度で保存した。1μgのStat1を、1、3、および5カ月後にSDS−PAGEおよびクマシー染色により分析した。
(a)マイクロPET画像。124I−hu Stat1(5μg)を投与した1匹のマウスについて(3台のベッドの位置でそれぞれ10分間スキャンしたものを)統合した投影図。創傷は、図中では鋭い白色のスポットとして確認できる。(b)マイクロPET画像。124I−hu Stat1(5μg)を投与してから24時間後の1匹のマウスについて(3台のベッドの位置でそれぞれ10分間スキャンしたものを)統合した投影図。創傷は、図中では鋭い白色のスポットとして確認できる。
雄Zuckerラットの創傷治癒モデルにおけるhu Stat1の効果。8および9日間における創傷領域の変化を示す(創傷サイズが縮小した割合%)。hu STAT1(25μg/創傷)による処理で創傷サイズが著しく縮小した。これに対し、組み換えPDGFは、未処理創傷と比較してもほんの少しの効果しかなく、非常にhu Stat1に劣っていた。
(a)I型コラーゲンと組み合わせた組み換えスタスミンの放出検査(ELISAによる分析)。0.4%コラーゲンゲルに50mgのスタスミンを含浸させ、放出したタンパク質の量をスタスミン特異的ELISAにより決定した。(b)コラーゲンから放出したスタスミンは生物学的に活性である。コラーゲン−スタスミン上で増殖またはコラーゲンTMBPゲルから得た上清で培養したヒト内皮細胞から分泌したIL−8レベルを示す。 (c)ヒト内皮細胞は、I型コラーゲン上で完全に成長した。一晩の培養後に撮影したマイクロ写真は、本質的に何の違いも示していない。
(a)qRT−PCRによる遺伝子発現解析。これは、単離リボ核酸mRNAからの遺伝子発現について正確な定量および特徴付けをするのに標準的な方法である。
(b)白血球細胞から分泌した免疫応答タンパク質についてのELISAによる定量。
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を用いたインビトロでの血管形成。3つの独立した実験の平均数を示す。
スタスミンは、既知の配列を有するタンパク質である(NCBIデータベースNP_005554およびCAD19057、または配列番号1(スタスミンa)もしくは配列番号2(スタスミンb))。スタスミンそしてそのアイソフォームは、さらに、上述の背景技術におけるものが公知である。これは、哺乳動物のほとんどの組織で見られる普遍的に発現するタンパク質である。リン酸化可能な部位間の特定の組み合わせに応じて多くの異なるリン酸化型が見られる。Ser−16におけるリン酸化は、神経細胞の極性に必要であると思われている。Ser−63におけるリン酸化は、チューブリン結合を10倍減少させ、そしてMT重合阻害活性を抑制する。
配列番号1:
MASSDIQVKE LEKRASGQAF ELILSPRSKE SVPEFPLSPP KKKDLSLEEI QKKLEAAEER 60
RKSHEAEVLK QLAEKREHEK EVLQKAIEEN NNFSKMAEEK LTHKMEANKE NREAQMAAKL 120
ERLREKDKHI EEVRKNKESK DPADETEAD 149
配列番号2:
MASSDIQVKE LEKRASGQAF ELILSPRSKE SVPEFPLSPP KKKDLSLEEI QKKLEAAEER 60
RKSHEAEVLK QLAEKREHEK EVLQKAIEEN NNFSKMAEEK LTHKMEANKE NREAQMAAKL 120
ERLREKMYFW THGPGAHPAQ ISAEQSCLHS VPALCPALGL QSALITWSDL SHHH 174
本発明者らによって、分泌スタスミンが形質細胞様樹状細胞(pDC)を模したヒト細胞株において同定された。形質細胞様樹状細胞(pDC)は、創傷のある皮膚において特徴的な役割を有しており、急性の炎症反応および成長因子の産生を介する創傷治癒に関与している。組織再生に役立つ特有のタンパク質セットを分泌するヒト樹状細胞株が開発された。これらのタンパク質の一つは、スタスミン、つまり17,3kDの分子量を有するタンパク質である(配列番号1)。pDCからスタスミン遺伝子をクローニングし、大腸菌で発現させ、均質になるよう精製した。
インビトロにおいて、スタスミンは、ヒト間葉系細胞の増殖および移動を誘導し、血管新生を支援し、ナチュラルキラー細胞の活性を刺激する。真皮細胞の増殖、新血管、および細菌感染に対する第一線の防御が無いことが、多くの慢性創傷において鍵となる問題である。メタボリックシンドロームにより創傷治癒が遅延しているZuckerラットにおける創傷治癒を研究したところ、インビボで顕著な結果が得られた。スタスミンは。ヒドロゲルを用いて局所的に塗布するとPDGFを顕著に上回っていた。また、124Iで標識したスタスミンを用いたPEトモグラフィーにより、このタンパク質が創傷領域に残っていたことが示された。スタスミンは、創傷液中で非常に安定しており(8時間以上)、局所的に塗布したところ血清中では検出されず、全身曝露も測定されなかった。
これらの新たなインビトロおよびインビボの結果に基づき、本発明は、実験証拠によってサポートされた創傷治療におけるスタスミンの使用を初めて提供する。
中心的な態様では、本発明は更に、非治癒性(集中的な治療を行わない非治癒性)の創傷、あるいは創傷治癒の低下したまたは創傷治癒の障害を有する創傷の治療におけるスタスミンの使用を提供する。創傷治癒の低下したまたは創傷治癒の障害を有する創傷とは、例えば、慢性創傷、または疾患依存性もしくは薬剤依存性の創傷治癒障害の創傷(これが慢性創傷である可能性、もしくは慢性創傷に進行する可能性もある)のことである。同様に、スタスミンをコードしスタスミンの発現を誘導する核酸を細胞中で使用することも、あるいはかかる細胞をこのような治療に使用することも可能である。
本発明は更に、創傷の治療におけるスタスミンとコラーゲンとの組み合わせを提供する。この組み合わせにより、相乗効果による創傷治癒速度のさらなる上昇が見られる。
本明細書中で使用する場合、スタスミンは、任意のスタスミンアイソフォームまたは変異体、あるいはリン酸化形態などの任意の翻訳後修飾形態にも関する。好ましい実施形態では、スタスミンは、配列番号1の1位〜126位のアミノ酸、または配列番号1の1位〜126位のアミノ酸の配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。配列番号1の1位〜126位のアミノ酸は、配列番号2にも見られ、相同領域であることがある。更に好ましいスタスミン変異体は、国際出願WO2007/089151号、米国特許第6,429,304B1号、国際出願WO2004/113561号A2およびNCBIデータベースのエントリーNP_005554およびCAD19057に開示されている(全ての文献は参照により本明細書に援用される)。
用語「配列同一性」は、2つの配列、通常、BLAST、PSI−BLAST(www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/)またはClustalW(www.ebi.ac.uk/clustalw/)のような配列アラインメントプログラムによって決定できるアミノ酸配列の間の同一性を指す。これらのアルゴリズムは、選択された配列に対し最も一致するものを計算し、それらを同一性、類似点、および相違点がわかるように並べる。
本発明の好ましい実施形態では、本発明に係るスタスミンは、配列番号1の1位〜126位のアミノ酸の配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または100%の配列同一性を有する配列を含む。より好ましい実施形態では、本発明にかかるスタスミンは、配列番号1に記載の配列と少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。スタスミンは、スタスミン1、スタスミン2、スタスミン3またはスタスミン4であってもよく、好ましくはスタスミン1である。スタスミンは、組み換えスタスミンであってもよい。更に好ましいのは、同じ患者由来のスタスミンであるが、他の動物由来のスタスミン変異体を使用してもよい。好ましくは、患者は、哺乳動物、特にヒトまたはは非ヒト動物、とりわけ家畜動物、例えば、ブタ、げっ歯類、もしくは霊長類である。好ましくは、スタスミンは、ヒトスタスミンまたは非ヒト動物、特に家畜動物、例えば、ブタ、げっ歯類、もしくは霊長類由来のスタスミンである。
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という用語は、オープンな意味、すなわち、本発明のスタスミンがさらにアミノ酸またはタンパク質成分を有することがあるという意味で使用される。融合タンパク質であってもよい。このような拡張された意味を有するスタスミンタンパク質は、好ましい実施形態では、限定されたサイズ、例えば、最大2000個のアミノ酸、最大1800個のアミノ酸、最大1600個のアミノ酸、最大1400個のアミノ酸、最大1200個のアミノ酸、最大1000個のアミノ酸、最大800個のアミノ酸、最大600個のアミノ酸、最大400個のアミノ酸、最大300個のアミノ酸、最大200個のアミノ酸、または最大160個のアミノ酸を有し得る。勿論、本発明はまた、上述の実施形態に含まれる上記配列のいずれか1つからなるスタスミンタンパク質にも関する。「〜からなる(consisting)」は、クローズな意味、つまり限定的な意味で使用する。
好ましい実施形態では、スタスミンはリン酸化されている。リン酸化は、自然な転写後プロセスであり、組換え発現中に起こる。可能性のあるリン酸化部位は、配列番号1のアミノ酸16位、25位、28位、38位、63位、146位に相当するアミノ酸におけるものである。好ましいリン酸化は、配列番号1のアミノ酸16位および/または63位に相当するアミノ酸におけるものである。本発明にかかるスタスミンは、1個、2個、3個、4個、5個、または6個のアミノ酸のリン酸化を含み得る。
好ましい実施形態では、スタスミンはアセチル化されている。アセチル化は、自然な転写後プロセスであり、組換え発現中に起こる。可能性のあるアセチル化部位は、配列番号1のアミノ酸2位、9位、80位、95位、100位、119位、128位に相当するアミノ酸におけるものである。本発明にかかるスタスミンは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個のアミノ酸のアセチル化を含み得る。
スタスミンはグリコシル化されていてもグリコシル化されていなくてもよい。大腸菌が産生するスタスミンは、グリコシル化されなく効果的である。
スタスミンタンパク質を使用する代わりとして(またはスタスミンタンパク質と組み合わせて)、上述したスタスミンタンパク質をコードする核酸を使用することも可能である。そのような配列は、例えば、配列番号3に記載されており、配列番号1をコードするものである。
配列番号3:
atggcttctt ctgatatcca ggtgaaagaa ctggagaagc gtgcctcagg ccaggctttt 60
gagctgattc tcagccctcg gtcaaaagaa tctgttccag aattccccct ttcccctcca 120
aagaagaagg atctttccct ggaggaaatt cagaagaaat tagaagctgc agaagaaaga 180
cgcaagtccc atgaagctga ggtcttgaag cagctggctg agaaacgaga gcacgagaaa 240
gaagtgcttc agaaggcaat agaagagaac aacaacttca gtaaaatggc agaagagaaa 300
ctgacccaca aaatggaagc taataaagag aaccgagagg cacaaatggc tgccaaactg 360
gaacgtttgc gagagaagga taagcacatt gaagaagtgc ggaagaacaa agaatccaaa 420
gaccctgctg acgagactga agctgactaa 450
核酸は、創傷周辺の細胞におけるスタスミンの産生を誘導するために使用できる。核酸送達に好ましい製剤は、例えば、リポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、または送達制御用の小胞である。細胞は、その後スタスミンを産生および分泌し、これにより治療薬の継続的な生産ができるようになる。
また、本発明にかかる使用のためにスタスミンを発現する細胞も提供する。このような細胞は、好ましくは連続的にスタスミンを分泌して治療効果をもたらす。このような細胞は、任意の細胞であり得る。好ましくは、細胞はpDCであるが、非pDCでも可能である。好ましい実施形態では、細胞は、患者にとって非免疫原性、例えば、スタスミンを発現するように組換えによって遺伝子操作された患者から得られた細胞である。細胞のこのような変形はインビトロまたはインビボで実施できる。
特に、核酸または細胞について直接的に有効な治療因子は発現したスタスミンであるため、今までに記載したそしてこれから記載する詳細な説明は、等しく、スタスミンタンパク質、核酸、および細胞に関するものである。
本発明は、特に、患者における慢性創傷または血管形成不全の創傷の治療に使用するためのスタスミン、上記スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞を提供する。好ましくは、治療する組織は皮膚である、あるいは治療する組織または領域は、少なくとも部分的に皮膚を含む。慢性創傷または創傷治癒障害の創傷は、皮下組織、もしくは骨にすら影響を与えることがある。治療は、好ましく局所的で、特に、ヒドロゲルなどの局所製剤を用いるものである。
スタスミン、核酸、または細胞は、患者における創傷、好ましくは慢性創傷または血管形成不全の創傷の治療に使用するために、生体適合性マトリックス、好ましくはコラーゲン、ゼラチン、アルギン酸、キサンタン、ヒドロキシエチルセルロース、キトサンおよび/またはヒアルロン酸を含む生体適合性マトリックスと調合あるいは当該マトリックスに結合できる。実際、この製剤は、他の従来製剤を凌ぐ驚くほど新しい性質および新規な効果をもたらす。したがって、本発明は、急性および慢性創傷ならびに創傷治癒障害の創傷を含む創傷の治療のためのかかる製剤におけるスタスミンの使用を提供する。生体適合性マトリックスの調製は、当該分野で公知であり、例えばTan et al.(9)に記載されている。生体適合性マトリックスは、好ましくは、創傷治癒および/または特に創傷における細胞の接着を支援する。これらは、再成長した細胞瘢痕組織の強化につながる。好ましくは、生体適合性マトリックスはヒアルロン酸を有する足場を含む。
スタスミンは、創傷治癒における瘢痕吸収および再上皮形成に重要なメタロプロテアーゼ(MMP)を阻害する酵素の1クラスであるメタロプロテアーゼの組織阻害因子(TIMP)を抑制するので、創傷治癒の間における瘢痕の形成を軽減し、そして瘢痕が形成された後の傷跡を縮小させるために使用できる。
好ましい実施形態では、スタスミンはヒドロゲル中において製剤化される。ヒドロゲルは、好ましくはゼラチン、アルギン酸、アガロース、メチルセルロース、ヒアルロン酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む。有機化学ヒドロゲルは、多数の親水性基を有するポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ポリマーおよびコポリマーを含んでもよい。ヒドロゲルは、親水性で、ときどき水が分散媒であるコロイド状ゲルとして見られるポリマー鎖のネットワークを含む。ヒドロゲルは、高吸収性(99.9%以上の水を含み得る)天然または合成ポリマーである。ヒドロゲルは、含水量が非常に高いために天然組織にとても類似した柔軟度を有する。ヒドロゲルは局所薬物送達におけるリザーバーとなる。
好ましい実施形態では、治療対象の創傷は、慢性創傷である。慢性創傷は、その創傷が全く治癒しないかまたは限定的にしか治癒しない創傷のことである。つまり、秩序だった一連の治癒段階内および予測可能な時間内に治癒しない創傷のことである。特定の実施形態において、慢性創傷は、14日、好ましくは18日、特に好ましくは22日、さらにより好ましくは28日、34日、40日、50日、または60日以内に創傷が治癒しないかまたは治癒度が低い(例えば、約20%の創傷領域しか閉鎖していない)創傷のことである。好ましい実施形態では、創傷は、無酸素、および/または十分な酸素供給を欠いている、および/または新たに形成された動脈を欠いている。また、本発明は、血管新生を刺激し、創傷の治癒および創傷または他の場所における血管の新生を適切にまたは加速して修復できる。
代わりにまたは組み合わせとして、創傷は、疾患依存性の創傷治癒障害(疾患依存性の創傷治癒障害は、上述のように慢性であり得る)を有する創傷である。疾患依存性の創傷治癒障害は、糖尿病またはメタボリックシンドローム、慢性静脈不全(CVI)、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、癌、自己免疫、特に関節リウマチ、狼瘡(特に全身性紅斑性狼瘡)およびリベド血管症から選択される自己免疫、手術創、造瘻、長期の炎症プロセス、褥瘡成長因子の欠乏または成長因子受容体の欠乏などによる細胞老化から選択される疾患によるものであり得る。本発明による治療対象の患者は、これらの疾患または状態を1つまたは複数有していてもよい。好ましくは、上記患者は糖尿病またはメタボリックシンドロームに罹患している。
代わりにまたは組み合わせとして、創傷は、薬剤依存性の創傷治癒障害を有する創傷である。薬剤依存性の創傷治癒障害は、コルチコステロイド、ニコチン、抗生物質、免疫抑制剤、抗凝固剤、細胞毒性剤、抗リウマチ薬、特に抗関節リウマチ薬、血管収縮薬から選択される薬剤を用いた治療によるものである。本発明による治療対象の患者は、これらの治療を1つまたは複数受けていてもよい。
したがって、本発明は、血管新生を刺激するためのスタスミンの使用を提供する。動脈からの供給が不十分な組織を有する患者を治療してもよい。患者は、本発明により治療する無酸素組織を有していてもよい。また、動脈からの供給が不十分な組織は、慢性、例えば、14日、好ましくは18日、特に好ましくは22日、更により好ましくは28日、34日、40日、50日、または60日間この状態であってもよい。
慢性疾患は、外科手術または事故による創傷といった急性の原因、あるいは糖尿病または他の併存疾患といった慢性の原因を有することもあり、特に、皮膚または他の組織における低酸素を引き起こすような他の疾患との組み合わせであることもある。
したがって、本発明は、スタスミンによる血管新生の誘導が必要な患者、特にかかる治療が必要な組織における治療に関する。好ましくは、治療は局所的である(これは、本発明の全ての実施形態において好ましい)。
好ましい実施形態では、患者は、全身性変性炎症プロセスに罹患していない。治療する創傷は、変性炎症プロセスを含んでもよいし含んでいなくてもよい。
更に、治療は、免疫を調節するために、先天性免疫応答を刺激する必要がある、ならびに/あるいは、サイトカイン/成長因子および/またはTIMPを誘導する必要がある患者用である。このような患者は、局所性または全身性の免疫不全を有していてもよい。免疫不全とは、全免疫細胞の供給が不足(局所的または全身的に)していること、または免疫細胞の活性が制限されていること、または特定の細胞、特にNK細胞などの先天性免疫系の細胞、好ましくは、本発明に従って刺激される細胞の供給が制限されている(局所的または全身的に)ことである。局所とは、好ましくは、創傷領域に関するものである。好ましくは、免疫不全は、細胞介在性免疫の不全および/または先天性免疫系の不全である。免疫系は、原始的な先天性免疫系と、後天性または適応性免疫系とに分けられる。これら免疫系はそれぞれ液性および細胞性成分を含む。
スタスミン、核酸、または細胞は、糖尿病またはメタボリックシンドロームに罹患している患者における創傷の治療に使用することができる。糖尿病およびメタボリックシンドロームは、患者の増殖および代謝能力の調節異常を引き起こし、これにより創傷治癒の低下または創傷治癒の喪失につながる。更に、糖尿病は、免疫低下および小血管の損傷を引き起こし、組織への適切な酸素供給を防げ、急性の原因なしに慢性的な創傷を引き起こす可能性がある。
スタスミンで治療可能な創傷または状態の特定の例として、糖尿病性足部創傷、特に糖尿病性足部潰瘍、一般的な潰瘍、特に静脈性潰瘍、褥瘡または圧迫潰瘍、熱傷、好ましくは第三度熱傷、手術創、事故による創傷、壊死性創傷、感染傷から選択される創傷が挙げられる。これらの創傷および状態は慢性であってもよく、特定の場合は急性であってもよい。好ましい実施形態では、これらの慢性的な創傷および状態を本発明に従って治療する。
本発明は更にスタスミンを含む医薬組成物に関する。治療的使用のための医薬組成物または製剤は、医薬的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、防腐剤、および/またはアジュバントを含んでもよい。また、本発明は、治療的有効量のスタスミンを含む医薬組成物も提供する。「治療有効量」という用語は、特定の条件および投与経路において治療効果をもたらす量という意味である。組成物は、液体または凍結乾燥形態であってもよく、種々のpH値およびイオン強度を有する希釈剤(Tris、酢酸またはリン酸緩衝液、NaCl)、Tweenまたはポリソルベートなどの可溶化剤、ヒト血清アルブミンまたはゼラチンなどの担体、チメロサールまたはベンジルアルコールなどの防腐剤を含む。特定の組成物の選択は、治療すべき状態、投与経路、および所望の薬物動態パラメータを含む多くの因子に依存するであろう。
好ましい製剤は、局所投与用の製剤である。特に好ましいのはヒドロゲルである。また、溶解性、安定性、血漿半減期、および生物学的利用能を増加させるために水溶性ポリマーで修飾したスタスミンを含む組成物も包含される。組成物は、長期間にわたる制御送達のために、スタスミンをリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、微粒子、または小胞へ組み込んだものを含んでもよい。
特定の実施形態では、スタスミンは担体を備える。好ましくは、担体は、ゲル、好ましくは、ヒドロゲル、または創傷被覆材または綿棒から選択される。これらは、場合によりスタスミンを含む溶液が含浸されている。更に、担体は、活性薬剤の混合物が長期わたり効果があるように遅延させてまたはゆっくりと放出する徐放用の担体を含む。対応する担体を有するかかる製剤は、局所的で迅速な投与に特に適している。これらの担体のいずれかの代わりにまたは組み合わせにして、担体は、生理食塩水、好ましくはNaCl塩を、特に好ましくは約0.9%の濃度で含んでもよい。かかる担体は、例えば皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液内等の非経口投与または注入技術に使用してもよい。
好ましい実施形態では、スタスミンは、創傷cm2当たり0.1μg〜1000μgのスタスミン量で使用する。また、好ましいのは、創傷cm2当たり少なくとも0.1μg、少なくとも0.2μg、少なくとも0.5μg、少なくとも1μg、少なくとも2μg、少なくとも5μg、および/または多くとも1000μg、多くとも750μg、多くとも500μg、多くとも400μg、多くとも300μg、多くとも200μg、多くとも100μg、または多くとも50μgの量、あるいはこれらの値の任意の範囲の量である。
医薬組成物は、前述のように、生体適合性マトリックス、好ましくはコラーゲン、ゼラチン、キトサン、および/またはヒアルロン酸を含む生体適合性マトリックスと調合された、またはかかるマトリックスに結合されたスタスミンを含んでもよい。医薬組成物は、代わりまたは組み合わせとして、前述のようなスタスミンを有するヒドロゲルを含んでもよく、例えば、アルギン酸を有するスタスミンの製剤であってもよい。
特に、本発明は、薬剤として使用するための医薬組成物を提供する。特定の用途は、上述のような創傷の治癒および/または血管新生の刺激である。
更なる態様では、本発明は、免疫細胞を刺激するため、線維芽細胞を刺激するため、上皮細胞、好ましくは表皮または血管の上皮細胞を刺激するため、マクロファージまたは単球を刺激するため、あるいは血管新生を刺激するために、間葉系細胞、表皮細胞、および/または幹細胞、特に間質幹細胞もしくは造血幹細胞の増殖および/または移動を増加または誘導する方法であって、上記細胞に、スタスミン、上記スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞を投与する工程を含む方法を提供する。この方法は、インビトロ、例えば、単離細胞または細胞培養物で実施し得る。特に本発明にかかる方法は、上記細胞、特に間葉系細胞および/または線維芽細胞におけるIL−8の産生を刺激するために使用できる。本発明は、創傷治癒に対し特に有益な効果をもたらすIL−8の産生を刺激する。単球および/またはマクロファージは、創傷治癒において更に有益な効果を有するサイトカイン、例えばIL−6、IL−8、MIP−1、MIP−2を産生するように誘導できる。
また、この方法のインビボにおける使用、特に創傷を有する患者または上記の治療、例えば、血管新生を刺激すること、が必要とする患者に対する使用を提供する。よって、患者における免疫細胞を刺激するため、線維芽細胞を刺激するため、上皮細胞、好ましくは表皮または血管の上皮細胞を刺激するため、あるいは血管新生を刺激するために間葉系細胞、表皮細胞、および/または幹細胞、特に間質幹細胞もしくは造血幹細胞の増殖および/または移動を増加または誘導する方法であって、患者に、スタスミン、上記スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞を、好ましくは創傷部の局所投与により投与する工程を含む方法を提供する。患者は、例えば、創傷または無酸素状態、組織の壊死または感染(あるいはそれらの組み合わせ)により、かかる増加、誘導、または刺激が必要であってもよい。特に本発明の方法は、前述の通り、上記細胞、特に間葉系細胞および/または線維芽細胞におけるIL−8の産生を刺激するために使用できる。
刺激可能な免疫細胞は、好ましくは先天性免疫系の細胞、特にナチュラルキラー細胞である。
本発明は更に、表2に記載の成長因子のいずれか1つ、特にIFN−α、IFN−β、PDGF−B、FGF−2、HGF、TGF−β、VEGFおよび/またはKGF、IL−8、IL−6、MIP−1aまたはMIP−2の刺激を提供する。この方法は、上記のインビトロまたはインビボの方法において使用することができる。
本発明を更に以下の図および実施例により説明するが、本発明はこれら特定の態様に限定されない。
略語
DFU、糖尿病性足部潰瘍
FCS、ウシ胎児血清
FN、フィブロネクチン
FPLC、高速タンパク質液体クロマトグラフィー
HIC、疎水性相互作用クロマトグラフィー
Hrs、時間
ON、一晩
pDC、形質細胞様樹状細胞
PDGF、血小板由来成長因子
R hu Stat1、組み換えヒトスタスミン1
TIMP、メタロプロテイナーゼの組織阻害因子
TLR、Toll様受容体
実施例1:材料と方法
1.1 細胞培養物
初代細胞物(SNF、PS)は、整形手術を受けた患者から得られたヒト皮膚由来の線維芽細胞である。組織標本を細かく切断し、脂肪組織から遊離させ、コラゲナーゼ/ディスパーゼの存在下、37℃で4時間インキュベートした。
細胞株:AB4細胞は、形質細胞様樹状細胞に類似したヒト細胞であり、組織球増殖症の患者由来である。ECV304およびA431は、それぞれ内皮および上皮由来のヒト細胞株である。細胞は、10%の熱で不活化したFCS、2mMのL−グルタミン、および100IU/mlのペニシリン−100μg/mlのストレプトマイシンを補充したRPMI1640中で培養した(全ての試薬は、PAA Laboratories,Linz,Austriaから入手)。細胞を1:4の割合で週2回継代培養した。
1.2 試薬
組み換えIL−2、VEGF、およびPDGFをPeproTech(London,UK)から入手した。ウシI型コラーゲンおよびフィブロネクチンは、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。ヒドロゲルは、Normlgel(登録商標)(Molnlycke,Gothenburg,Sweden)を指し、PDGFを含むヒドロゲルをJanssen−Cilagから入手した(Regranex(登録商標),Belgium)。
1.3 ヒトスタスミン1のクローニング、発現、および機能的特徴
-由来:ヒト細胞株AB4由来のcDNA
-特許第AT 412281B号に記載されている形質様樹状B細胞
-大腸菌(BL21株)における発現
-均一になるまで精製
-技術的な詳細は、参考文献1〜5に記載されている。
1.3.1 クローニング
AB4cDNAを、ImProm−II逆転写システム(Promega)を用い業者の説明書に従って生成した。PCR反応は、Phusion High Fidelity DNAポリメラーゼを用いて設定し、オリゴヌクレオチド「hu STAT1-NcoI-F」および「hu STAT1-Bsu-R」およびAB4-cDNAを鋳型として用い、5’末端にNcoI制限部位を有し3’末端にBsu36I制限部位を有するPCR産物を生産した。
PCR 産物およびpTriEx4 NeoプラスミドDNAを、NcoIおよびBsu36Iにより37℃で2時間消化した。消化産物をアガロースゲル電気泳動により分離した。消化PCR産物およびプラスミドDNAについての各バンドをアガロースゲルから精製し、T4DNAリガーゼを用いて室温で4時間ライゲーションした。ライゲーション反応物は、30秒間42℃で熱ショックを与えTOP10ワンショット化学的コンピテント細胞に形質転換した。形質転換反応物は、アンピシリンを含むLB寒天プレート上にプレーティングし、37℃で12時間インキュベートした。
コロニーPCRはGoTaqDNAポリメラーゼおよびオリゴヌクレオチド「hu STAT1-NcoI-F」および「hu STAT1-Bsu-R」を用いて行い、陽性の形質転換体を同定した。
PCR産物をアガロースゲル上で確認したところ、陽性の形質転換体は、アガロースゲルにおいて450bpに特異的なバンドを示した。陽性クローンはアンピリシンを含む4mlのLBブロスに接種し、37℃で12時間インキュベートした。
プラスミド調製物を、High Pureプラスミド単離キットを用いて業者の説明書に従い行った。プラスミドDNAはNcoIおよびBsu36Iを用いて37℃で2時間消化し、さらに、陽性形質転換体を確認した。
hu STAT1は、pTriEx4 NeoおよびTOP10ワンショット化学的コンピテント細胞へクローニングできた。NcoI/Bsu36Iによる対照消化により、pTriEx4 Neo/TOP10クローン4、6、および8にあるhu STAT1は、アガロースゲルにおいてそれぞれ450bpに特異的なバンドを示した(図1参照)。
陽性形質転換体のプラスミドDNAを配列評価のためMWG Biotech(Munich,Germany)に送付し、得られた配列を、多重配列アラインメントツールを採用するGenBankの参照hu STAT1配列とアラインさせることによって評価した。
1.3.2 発現
pTriEX−4 Neo内のNcoI/Bsu36Iにてクローニングしたhu Stat1を含むBL21 DE3大腸菌クローン4−3を、100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地中でOD600>0.5になるまで増殖させた。1mMのIPTGを添加した後に、hu Stat1に特異的なタンパク質のバンド(17,3 kD)を誘導した。細菌細胞を4500rpmで1時間の遠心分離をすることにより回収した。細胞ペレットを溶解緩衝液中に再懸濁し(500μlの溶解緩衝液中に10mlの培養物由来ペレット)、3回の凍結/解凍サイクルを行い細胞溶解を行った。次に溶解物を1時間4500rpmで遠心分離することにより細胞の沈殿物と上清に分離した。溶解物の上清を0.45μmシリンジフィルタで濾過した。
1.3.3 陰イオン交換クロマトグラフィー
溶解物の上清は、AKTA精製FPLCシステム上で陰イオン交換バッファーAを用いたCapto DEAEセファロースFast Flow(GE Healthcare,Germany)に加えた。未結合の試料を10CVの陰イオン交換バッファーAでカラムから洗い流し、その後カラムを10CVの5%陰イオン交換バッファーBで洗浄した。5CVの20%陰イオン交換バッファーBをカラムに流して溶出を行った。溶出液を15mlの画分に回収し、クマシー染色し12%のBisTrisゲルで分析した。
1.3.4 硫酸アンモニウム沈殿
陰イオン交換クロマトグラフィーから得た画分を含むhu STAT1をプールし、30%硫酸アンモニウムを用い4℃で24時間攪拌しながら沈殿させた。沈殿後、試料を4500rpmで10分間遠心分離してペレットと上清中に分離した。上清を0.45μmシリンジフィルタで濾過した。
1.3.5 疎水性相互作用クロマトグラフィー
硫酸アンモニウム沈殿後の上清を、AKTA精製FPLCシステム(GE Healthcare)上でHICバッファーA1入りのオクチルセファロースFast Flowに加えた。未結合の試料を10CVのHICバッファーAによりカラムから洗い流した。20CVで0〜100%HICバッファーBの勾配により溶出を行った。溶出液を10mlの画分に回収し、クマシー染色、銀染色、およびウェスタンブロットを用いて12%BisTrisゲルで分析した。
HIC工程から得たhu STAT1を含む画分をプールし、遠心フィルタ装置(Millipore,Vienna)を用いて濃縮した。この工程では、バッファーを20mM Tris(pH7.3)に交換した。最後に生成物を0.2μmシリンジフィルタで滅菌した。得られた生成物の純度は銀染色(図3のレーン10を参照)によって確認した。タンパク質の同一性を、標的タンパク質特異的ウェスタンブロットで確認した(図3のレーン12を参照)。
pTriEx4 Neo/TOP10クローン4へ挿入したhu STAT1の配列はhuSTATlの配列と同一であり、pTriEx4 Neoベクターの制限部位5’NcoIおよび3’Bsu36Iに正しくライゲートされていたので、ベクターがコードするアミノ酸なしに天然のタンパク質の発現が可能であることが分かった(図2参照)。
SDS−PAGE
1.3.6 細胞溶解物および培養上清のウェスタンブロット分析
AB4およびPS−F細胞をRPMI、10%FCS(PAA)入りの75cmフラスコ(Nunc)内で培養してから、培養物を、無血清RPMI(PAA)中で48時間保持した。その後AB4細胞を遠心分離により回収し、0.5%(v/v)Tritonに2×106個の細胞/mlの濃度で再懸濁した。PS−F細胞をトリプシン(PAA)で処理し、0.5%Tritonに2×106個の細胞/mlの濃度で再懸濁した。両方の細胞株の培養上清を回収し、U−Tube Concentrator,2H−2(Merck)で濃縮した。細胞溶解物および上清を12%Criterion XT Bis−Trisゲル(Biorad,Vienna)で分離し、半乾燥ブロッティングによりPVDF膜(Carl Roth,Germany)に移した。膜は、3%(w/v)の脱脂粉乳粉末入りのTBST中で37℃で1時間ブロッキングした後、10分間の洗浄を3回行った(TBSTで2回、TBSで1回)。スタスミン1であらかじめ免疫したウサギの血清をTBSTで1:100に希釈し、膜に塗布し、4℃で24時間インキュベートした。3回の洗浄工程の後、膜をImmun−Starヤギ抗ウサギ(GAR)−HRP検出キット(Bio−Rad Laboratories)を用いてインキュベートし、ChemiDoc MPシステム(Bio−Rad Laboratories)で分析した。
1.4 電気セルインピーダンス測定
ECIS電極アレイ(8W1E)はIBIDI,Munichから入手した。細胞を播種する前に、5μg/mlのフィブロネクチン(Sigma−Aldrich,F1141)を含む超純水により37℃で3〜4時間アレイをコーティングした。コーティング後、フィブロネクチンを吸引し、室温で乾燥させ、無菌条件下で保存した。
細胞型および用途に応じて、異なる細胞濃度を採用してもよい。1×105個の細胞/mlだと2〜3日以内にコンフルエント層が得られた。
FNコーティング後、200μlの無血清RPMIを各ウェルに添加した。アレイをCO2インキュベーターに入れ培地を雰囲気に慣らし、細胞接着をより良くした。細胞増殖、創傷、および細胞傷害性は、本質的にKeese et al(8)に記載のECISモデル1600R(Applied Biophysics,USA)を用いて測定した。
1.5 血管新生アッセイ
血管新生は、フィブリノゲン/トロンビンでコーティングした培養容器で増殖させたECV304細胞を用いて測定した。簡単に言うと、30μLのフィブリノゲン溶液を平底96ウェルプレートのウェルに分注した。プレートを穏やかに振盪し、確実にフィブリノゲン溶液が96ウェルプレートの底部をカバーするようにしてから、ウェルあたり20μLのトロンビンを添加した。
プレートを振盪し、15〜60分間37℃に置き重合を行った。検査対象のタンパク質(r huStat1)は、無血清培地中で希釈した。100μLのECV304細胞を含む無血清培地(105個の細胞/ml)を96ウェルプレートのウェルに添加してから、各r hu Stat1希釈液を100μl添加した。陽性対照として、hu rVEGF−165(Peprotech、UK)を使用した。培養物を37℃、5%CO2でインキュベートし、24、48、及び72時間後に光学顕微鏡/デジタル写真によって分析した。
1.6 NK媒介性細胞傷害
ヘパリン化血液を健康な対象から採取し、末梢血液単核細胞をFicoll密度遠心分離により単離した。続いて、NK+細胞を、Miltenyのプロトコル(NK細胞単離キット、Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)に従い磁気ビーズによりネガティブ選択することにより単離した。細胞集団の純度はフローサイトメトリーによって決定した。得られたNK画分を回収し、計数し、純度をFACS分析によって確認した。
1×105個のA431細胞を8ウェルECISアレイに播種した。24時間後、1×106個のNK細胞(標的:エフェクター比=1:10)を各ウェルに加えた。様々な濃度の組み換えhu Stat1を加え、r hu IL2(50単位/ml;Peprotech,UK)を陽性対照として使用した。標的細胞株のインピーダンスを数日間観察して、NK細胞媒介性殺傷を評価した。A431の1つのウェルには、A431が誘導なしで死亡する時点を決定するためにNKを添加しなかった。
1.7 スタスミンの刺激によるSN−F細胞の遺伝子発現
SN−F細胞(初代ヒト皮膚繊維芽細胞)を、10%FCS、2mMのL−グルタミンおよびペニシリン−ストレプトマイシンを補充したRPMI−1640培地中で培養した。約80%のコンフルエンスに達した後、細胞をトリプシン処理し、200,000個の細胞/ウェルの細胞数で6ウェルプレートに播種した。刺激するために、rhuStat1を5μg/ml、50ng/ml、および500pg/mlの濃度で培養物に添加した。刺激時間(2時間、6時間、24時間、48時間)の終了後、細胞をウェルから剥離し、さらに、RNAの単離用に処理した。
全RNAを、PromegaのSV全RNA単離システム(Promega,Madison,USA)を用いて単離した。その目的のために、細胞をトリプシン処理し、10分間800rpmで遠心分離した。その後、ペレットを1×PBSで希釈し、300gで5分間遠心分離し、残りの細胞ペレットを、175μlの溶解バッファー中で溶解した。最後に、350μlの希釈バッファーを溶解細胞に添加し、試料を70℃で3分間インキュベートした。その後、試料を13,000×gで10分間遠心分離した。すべての追加工程は、製造業者のプロトコルに従って実施した。
得られたRNA調製物は、Promegaの「ImPromII(商標)逆転写システム」(Promega,Madison,US)を用いてcDNA合成用に処理した。ハウスキーピング遺伝子および特定の遺伝子のPCR反応用に、2つの異なるマスターミックスを使用した。各マスターミックスに、2.7Mのベタイン、6.7mMのDTT(ジチオスレイトール)、6.7%のDMSO(ジメチルスルホキシド)、および55μg/mlのBSA(ウシ血清アルブミン)からなる複合エンハンサー溶液(Combinatorial Enhancer Solution、CES)を補充した。
プライマーは、インターネットツールのプライマー設計アシスタント(PDA)を利用して設計し、VBC Oligotech(Vienna,Austria)によって合成した。全てのプライマーは、10pmolの最終濃度で使用した。プライマーを表1に示す。
30、35、および40サイクルを比較することにより適切なサイクル数を決定した。最良の結果が35サイクル後から観察できたので、今後の使用は35サイクルで設定した。
PCR試料のアガロースゲル電気泳動を、1%アガロースゲル(1gのアガロース+100mlの1×トリスホウ酸EDTA(TBE)緩衝液)を用いて実施した。臭化エチジウムの代わりに7μlのLonza(登録商標)Gel Star核酸染色で、ゲルを染色した。分析のため、15μlのPCR試料および10μlのDNAラダー(Quick−Load(登録商標)100bp DNAラダー、New England Biolabs)をゲルに載せ、115Vで約45分間電気泳動にかけた。泳動後のゲルの写真を、UVトランス照明器の下で撮影した。
画像解析をKapelan(Leipig,Germany)のソフトウェアLabImage 1Dを用いて行った。このプログラムを利用して、試料のDNAバンドをマーカーのDNA量と比較することによってDNA量を定量した。
1.8 ヒト可溶性受容体アレイ
ヒト初代線維芽細胞(SN−F)を、50ng/mlのTMBP3の存在下(RPMI培地+10%FCS+TMBP3)または非刺激(RPMI培地+10%FCS)で一晩培養した。培養細胞を剥離した後、PBSでリンスし、溶解緩衝液(アレイキットの一部)に1×107個の細胞/mlの濃度で溶解した。溶解物を4℃で30分間揺動した。5分間のマイクロ遠心分離後、上清を清浄な試験管に移した。全ての追加工程は、hu可溶性受容体に特化したProteome ProfilerArray(R&D,Cat.No.ARY012)のR&Dプロトコルに従って行った。
化学発光試薬を添加した後、信号の光強度を、UVP BioSpectrum AC画像システム(UVP,Upland,CA)を用いて30分の露光時間で測定した。得られた画像はTotalLab TL100プログラム(Nonlinear Dynamics Newcastle,England)の一部であるPhoretix Arrayソフトウェアを用いて分析した。このソフトウェアは、各個々のスポットの画素値(光強度)を計算するものである。
1.9 陽電子放射断層撮影(PET)による試験
Stat1は、ヨウ素−124およびクロラミンTで標識後、品質管理のために紙電気泳動およびHPLCをした。3匹の雄Spraque Dawleyラットに創傷を作成した。ラットに麻酔をし、体の背面を剃毛した。2つの全層創傷を、生検パンチ(Fa.Henry Schein(登録商標)、直径:0.8cm)を用いて、獣医によって作成した。創傷の作成後、動物を38℃に保ったmicroPETのベッド上に配置した。動物は5μgまたは100μgのr hu Stat1を含む50μlヒドロゲル(Normlgel(登録商標),Molnycke)で処理した。Focus220microPETスキャナー(Siemens Medical Solutions,Munich)を用いて0、4、8、および24時間後に4回スキャンした。測定は、放射性トレーサー投与から4、8、および24時間後に直接行った。ラットの全身をカバーするように3台のベッドの位置で10分間静的スキャンを取得した。すべての画像は、FORE rebinningを使用して再構成し、その後フィルタ補正逆投影アルゴリズムを行った。関心領域(ROI)を手作業で再構成画像に描いた。
1.10 Zuckerラットにおけるインビボの創傷治癒
雄Zuckerラット(Crl:ZUC−Leprfa(fa/fa))をインビボモデルとして使用して創傷治癒遅延におけるr hu Stat1の効果を検査した。剃毛した各ラットの背中に生検パンチによって1つの創傷を作成した。創傷は異なる濃度(25.5μgまたは0.5μg)のr hu Stat1を含む50μlのヒドロゲルである50μlRegranex(登録商標)で処理するか、または処理しないままにした。創傷はVarihesive(登録商標)extra mince(CovaTec)で閉じ、Leukoplastで固定した。各動物につき、1つの円形傍脊椎真皮/表皮全層創傷を背中に作成し、異なる量のhu STAT1(0.5μg/創傷、5μg/創傷、および25μg/創傷)またはRegranex(登録商標)(5μg/創傷)で毎日局所的に処理した。さらにもう1つの円形傍脊椎真皮/表皮全層創傷を対照として非処理動物に作成した。検査対象のhu STAT1および参照対象のRegranex(登録商標)は非常に耐容性が良好であった。ラットを12日間にわたって毎日処理した。創傷サイズの決定のためにデジタル写真を用いて創傷を評価した。個々の創傷領域の範囲を、元の創傷サイズに対する割合として表した。治癒の進捗は、デジタル写真の創傷面積を計算することによって分析した。治療の効果は、マンホイットニーU検定を用いて分析した。
1.11 創傷液におけるスタスミンの安定性
精製した組み換えスタスミンを0.9%(w/v)NaCl、創傷液およびヒト血清にそれぞれ100μg/mlの濃度で希釈し、37℃で合計72時間インキュベートした。試料(15μl)を様々な時間間隔で取り出し、12%Criterion XT Bis−Trisゲル(Biorad)上で分離した。前述したように、膜転写およびブロッキングを行った。あらかじめスタスミンで免疫したウサギから採取した全血清をTBST中に1:1000で希釈し、膜に塗布し、室温で1時間インキュベートした。3回の洗浄工程(前述)の後、TBST中に1:1000に希釈したウサギIgG−H&L−AP(Abcam)に対するヤギポリクローナル二次抗体と共に膜を室温で1時間インキュベートした。更に別の3回の洗浄工程の後、供給元のガイドラインに従って希釈したブロッティングおよび免疫組織化学用のNBT/BCIPストック溶液(Roche)で膜を覆い、10分間室温でインキュベートした。
1.12 ヒドロゲルの調製
プロピレングリコールを含まないアルギン酸ゲル:
アルギン酸ゲル4% 100.0g
アルギン酸ナトリウム塩 4.0g
脱塩水 86.0g

アルギン酸ゲル6% 100.0g
アルギン酸ナトリウム塩 6.0g
脱塩水 84.0g

プロピレングリコールを含むアルギン酸ゲル:
アルギン酸ゲル4% 100.0g
アルギン酸ナトリウム塩 4.0g
プロピレングリコール 5.0g
脱塩水 81.0g
アルギン酸ゲル6% 100.0g
アルギン酸ナトリウム塩 6.0g
プロピレングリコール 5.0g
脱塩水 79.0g
プラスチック乳鉢および乳棒を、分析天秤で重量測定する必要がある。アルギン酸ナトリウム塩をプラスチック乳鉢に載せて秤量し、等量の脱イオン水を加える必要がある。慎重に、この水の一部と共に塩をすり潰す。アルギン酸ナトリウム塩がプラスチック乳鉢の表面に付着しないように注意を払う必要がある。塩を除去するのにスパチュラを使用してもよい。慎重に撹拌しながら、残りの水を混合物にゆっくりと少しずつ追加する必要がある。製剤中の気泡を避けるよう注意を払う必要がある。しばらく撹拌した後、アルギン酸ナトリウム塩を水に分散し、ゲル化を開始する。プラスチック乳鉢は少なくとも12時間冷蔵庫に保管する必要がある。
現時点で不足の10gを治療用タンパク質と共に後で追加する。
必要であればNaCl溶液でpHを調整できる。
作成したゲルを滅菌しなくてはならない。この工程では、試料を120℃で30分間オートクレーブ内に置く。
治療用タンパク質としてのスタスミンの追加では、次の工程を層流下で行い確実に殺菌条件にする必要がある。治療用タンパク質を水に溶解する必要がある。薬物濃度は500μg/mlに決定した。100gの製剤に対し、規定濃度のタンパク質溶液10gを0.45μmの孔径を有する滅菌フィルタで濾過しなければならない。滅菌水溶液をゲルに注入した。その後、ゲルの滅菌を行った容器内でゲルとタンパク質溶液を混合して均質化を行った。各製剤はボルテックスで均質化する必要があった。次いで、製剤を2〜8℃の冷蔵庫に保存した。
1.13 I型コラーゲンゲルへのスタスミンの含浸
最終組換えタンパク質濃度が100μg/mlのゲルを得るためにI型コラーゲンとスタスミンを混合し、100μlのゲル混合物を96ウェルプレートの各ウェルに添加した。37℃で1時間インキュベーションした後に、スタスミン入りまたは無しのゲルを含むウェルを200μlの無血清培養培地で覆った。37℃で1、6、または16時間のインキュベーション後、100μlを回収し、培養培地中に放出した組み換えスタスミンの量を分析した。放出したスタスミンの量をサンドイッチELISAにより定量した。値は、投入量に対する割合パーセントで表す。ELISAでは、プレートを抗スタスミンマウスモノクローナル抗体で被覆し、5%BSAを有する緩衝液でブロックした。試料由来の可溶性スタスミンは、モノクローナル抗体によって捕捉され、さらに、ポリクローナル抗体によって認識される。最後に、ビオチン結合免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼ−アビジンをウェルに加えた。リンス後、プレートをウルトラTMB基質と共にインキュベーションして、色の変化を450nmで測定し、基準値と比較し、各ウェル内のスタスミン量を評価した。
機能的活性:コラーゲン(I型)ゲルを製造業者の説明書(Gibco,I型コラーゲン(5mg/mL),Cat.No.A10644−01)に従い調製した。簡潔に言うと、以下の試薬を調製し、氷上で冷却した:10×PBS、1M NaOH、H2O(細胞培養用)、スタスミンストック溶液(5.5mg/mL)、1×PBS、および0.5%I型コラーゲンストック溶液。1.5mLのゲルの場合は、150μLの10×PBS、30μLのNaOH、92.73μLのH2O、27.27μLのスタスミンまたは1×PBS、および1.2mLのI型コラーゲンストック溶液を氷上で十分に混合し、100μg/mLのスタスミンを含む/または含まない0.4%I型コラーゲンゲルを得た。96ウェル毎に100μLの当該ゼリー状溶液を、表面を被覆するときに気泡ができないよう注意しながら移した。96ウェルプレートを37℃で1時間置いた後、ゲルを室温で形成させて、ゲル形成を完成する。
ゲル上清(SN)を用いた実験では、ウェルあたり200μLのDMEMを添加した。150μLのゲルSNを、規定の期間(1、6、および16時間)後に除去し、放出効率の評価(50μg/mLスタスミン溶液に対するスタスミンELISA)および/またはECV304細胞(IL−8ELISA)の刺激のため、別個の96ウェルプレートに保存した。
ゲルの上に載せた細胞を用いた実験では、コントロール/スタスミンを含有するゲルは、上記のように調製した。ECV304細胞を0%FCS/DMEM中で洗浄し、0%FCS/DMEM内に30×103個/mLの密度にした。そのうちの200μL、つまり6×103個のECV304細胞を含む溶液をゲルの上層に使用した。
ECV304細胞:細胞を、10%FCS/DMEMを含む96ウェルプレートに播種し3時間置いた。その後、プレートを、シンク上でひっくり返し、乾燥ブロットし、PBSで洗浄し、再び乾燥ブロットした。別々に調製した96ウェルプレートから、ウェルあたり200μLの刺激カクテル(0%FCS/DMEM中)を調製し、ECV304細胞と、例えば、0対50μg/mLのスタスミン溶液またはI型コラーゲンゲルSN、を含む96ウェルプレートに移した。
1.14 ヒト内皮細胞および造血細胞におけるサイトカイン発現
ECV304細胞は、スタスミン(50μg/ml)有りまたは無しで6時間処理した。RNAを単離し、標的遺伝子の発現をqRT−PCRによって分析した(n=3)。データは、ハウスキーピング遺伝子(GAPDH)に対し正規化し、値は、未処理条件と比較した倍率の違いとして表した。
2.結果
2.1 形質細胞様樹状細胞に類似するヒト細胞によって分泌されるスタスミン
AB4細胞は、組織球増殖症の患者のリンパ節から単離された永久増殖ヒト細胞である。これらの細胞は、形質細胞様樹状細胞型特有の種々機能及び表現型上の特徴(すなわち、膜抗原発現、抗原提示能、樹枝状形状、IFN−1型の高発現)を示すので、形質細胞様樹状細胞に類似する。AB4細胞を48時間無血清培地で培養し、細胞溶解物および培養上清の両方を、Stat1が5ngのレベルまで容易に検出できる敏感ウェスタンブロッティング手順によって分析した。AB4細胞の溶解物および上清の両方で17,3kDに明確なシグナルがStat1特異的ウサギ免疫血清によって検出できた。対照的に、初代ヒト皮膚細胞の細胞溶解物だけは、かすかなバンドしか検出されなかった。培養上清は、分泌Stat1を本質的に欠いていた(図1を参照)。これまでのところ、このタンパク質Stat1は、細胞骨格構造および/またはTLR3と関連し、細胞内でのみ発現するものとして文献に記載されているので、Stat1が分泌されているというのは素晴らしい発見である。
2.2 hu Stat1によるヒト上皮細胞の増殖
電気的な細胞−基質間インピーダンス計測を使用して、組織培養における創傷治癒および細胞増殖を行った。ヒト上皮細胞株A431を、ECIS電極アレイで48時間培養した。細胞がコンフルエントに達した時点でインピーダンスがプラトーに達した。データ取得を短時間保留し、10秒もう1つはさらに30秒、ウェルに上昇磁場パルスを与えてから、データ取得を再開した。パルスの直後に、種々な濃度のhu Stat1を個々の培養物に添加した。10%FCSを陽性対照ウェルに添加し、一方陰性対照培養物には無血清培地のみを与えた。スタスミン1は、用量依存的に電極に覆われた領域における細胞の増殖を急速に誘導し、これは、陽性対照培養物と同等であった。無血清培地は効果を有していなかった(図4)。
Stat1とI型コラーゲンの複合作用があったことは興味深い。コラーゲンのみだとZuckerラットにおける創傷治癒に対する効果がなかったが、Stat1およびコラーゲンの組み合わせだと創傷領域が良好に回復した(図5)。
2.3 hu Stat1による血管新生/萌出/管様構造の誘導
下肢/足の領域内の微小血管の損失および組織の同時栄養失調はDFUの顕著な特徴の1つである。したがって、微小血管系を再構成することが最も重要である。図6に見られるように、ヒト内皮細胞へr hu Stat1を添加すると、強い反応が見られた。これは、多数の萌出、管腔、および管様構造の形成により明らかであった。Stat1の非存在下では、そのような反応は観察されなかった。PDGFで処理した培養物でも、いくつかの萌出/管腔があったがその程度はかなり劣っていた。
2.4 hu Stat1によるNK細胞媒介性細胞傷害の刺激
ほぼ全ての慢性創傷は、病原体が占めているので抗生物質による治療が必要である。創傷領域は細菌の増殖に理想的な環境であることから、樹状細胞またはナチュラルキラー細胞のいずれかによる第一線の防衛が望ましいだろう。Stat1はTLR3のアゴニストであることが、文献で報告されている(WO07/089151号)。しかし、本発明以前に、Statが免疫防御機構における役割を果たすことを示す実質的な証拠はなかった。
したがって、標的細胞の死滅をリアルタイムで高濃度のヒトNK細胞によって測定できるようなECISベースのNKアッセイを設計した。r hu Stat1の添加は、実際に4日もたたないうちにNK細胞の活性化および標的細胞の全体的な破壊をもたらした(図7)。
2.5 初代ヒト皮膚線維芽細胞におけるStat1媒介性のサイトカイン/成長因子特異的なmRNAの誘導
慢性創傷の重要な特徴は、特定のサイトカイン/成長因子遺伝子発現が存在しないことまたは下方制御されていることである。これらのタンパク質は、表皮/真皮細胞の増殖および移動を支援するだけでなく、樹状細胞、間葉系幹細胞、および組織リモデリングの機能をも支援するので、このような特徴は大きな欠点である。結果を表2に要約する。そこに見られるように、Stat1によって、サイトカイン/成長因子を上方制御するように初代ヒト皮膚線維芽細胞を活性化することができる。慢性創傷では、PDGFを除きサイトカイン/成長因子は存在しない。さらに、分析した遺伝子の遺伝子発現は、皮膚に存在する免疫細胞および幹細胞の細胞機能に不可欠なものである。
2.6 Stat1は、IL−8を上方制御しTIMP−1および−2の発現を抑制する
Stat1タンパク質によって刺激されたタンパク質の分析を拡大するために、アレイ研究を行った。図8aおよび図8bに、創傷治癒に重要なタンパク質(IL−8、TIMP−1、−2)の結果を示す。PMNに重要な化学誘引物質であるIL−8は8倍刺激されている。生体活性IL−8は、創傷中で発現し創傷治癒を増強する。
興味深いことに、Stat1は、メタロプロテアーゼ(MMP)を阻害するクラスの酵素であるメタロプロテアーゼの組織阻害因子(TIMP)を50%抑制する。MMPは、創傷治癒における瘢痕の再吸収および再上皮化の活性などに重要である。TIMPの下方制御は、創傷治癒におけるリモデリングに重要であり得る。
2.7 r hu Stat1の安定性
タンパク質は、創傷液中で急速に劣化する。治療用の生体物質としてStat1を使用する前提条件は、創傷および臨床試験で使用する予定のヒドロゲル中の製剤の両方において安定であることだろう。
タンパク質の安定性を検査するために、2つのラインの実験を行った。
1.組み換え試料を、創傷液の存在下37℃でインキュベートし、その後、図10に示す時間にわたってウェスタンブロット分析をした。図から分かるように、Stat1は最大8時間までで検出可能であった。これは、慢性創傷には存在しない細胞機能を誘導するのに十分な時間である。
2.組み換え試料をヒドロゲル(Normlgel,Molnycke)と混合し、4℃、−20℃、および−80℃でインキュベートした。試料を図10に示す時間で採取し、SDS−PAGEによって分析した。試料が少なくとも5カ月間劣化する兆しなくそのままの状態で残っていたという結果だったので、更なる医療用途に最適であることが示される。
2.8 局所塗布後のhu Stat1の分布−マイクロPET画像
本研究の目的は、全層創傷への局所投与後における放射性標識hu STAT1の局所および全身分布を評価することである。
研究により、124I標識hu STAT1の組織分布および薬物動態が、マイクロPET技術を用いて測定可能であることが示された。5μgおよび100μgのhu STAT1で処理した動物において、物質を投与して4時間後から放射活性分布の違いが見られた(図11aおよび11b)。放射活性レベルは、膀胱、胃、及び甲状腺において検出できた。これらの器官以外では、体内のどの部位においても放射性標識hu STAT1の取り込みが認められなかった。124I−hu STAT1ストック溶液自体に遊離ヨウ素の4%が含まれていたので、胃、甲状腺、および血液中でのレベルが高いのは、遊離ヨウ素の取り込みに関連している可能性がある(これらの器官における放射能の取り込みは、文献に報告されたものよりも少ない)。全対象の膀胱に放射活性が取り込まれていたのは、放射性標識物の腎排泄を示している。
結論として、この研究は明らかにほとんどの124I−hu STAT1が創傷領域に残っていることを示している。他の領域はPET画像では視認できず、これら他の領域では124I−huスタスミンの実質的な取り込みが無かったことを示している。
2.9 hu STAT1は、Zuckerラットにおける創傷治癒の加速を用量依存的に誘導する。
本研究の目的は、慢性創傷研究用のモデルの代表である雄Zuckerラット使用して創傷治癒モデルにおけるhu STAT1の効果をRegranex(登録商標)(PDGF)と比較して検査することである。Zuckerラットにメタボリックシンドロームを発症させ、正常な動物と比較して創傷治癒が遅延していることに留意する。このインビボ系で最も関連する創傷治癒は8日目から始まる。
試験8日目から、hu STAT1処理動物(第3、4、5群)は、創傷領域がPDGF処理動物に比べ生物学的に有意に小さいことが示された(図12)。創傷治癒は用量依存的である。また、hu STAT1は、創傷治癒を加速する。hu STAT1の用量が高い群(25μg/創傷)において最も速い創傷治癒が記録された。これは、9日および10日目におけるPDGF群を統計学的に有意に超えるものである。総合的に考えると、hu STAT1は、慢性創傷の動物の治癒を加速し、現在の標準的な治療より優れたものである。
コラーゲンとスタスミンを組み合わせると、迅速な上皮形成および創傷閉鎖により創傷治癒がさらに増強された(図5)。
2.10 コラーゲンゲル
コラーゲンは、多くの種でよく見られる天然のタンパク質である。特に、I型コラーゲンが結合組織のコラーゲンで最も多く見られる型である。ここで、組み換えスタスミン有りまたは無しのI型コラーゲンを0.4%の最終濃度で使用した。図13cに見られるように、ELISAの測定では、注入タンパク質の80%がゲルから放出された。コラーゲンから放出されたスタスミンが生物学的に活性であるかどうかをテストするために、ヒト内皮細胞を、コラーゲンスタスミン結合体またはこれらのゲル/タンパク質の組み合わせから放出した上清のいずれかにおいて増殖させた。細胞培養の16時間(一晩)後、100μLの上清試料をIL−8の分泌について検査し、それぞれの背景よりも高い割合%のIL−8分泌(100%=2倍)としてプロットした。図13bに示す結果から、ヒト内皮細胞の活性化およびIL−8の分泌による反応があったことは明らかである。
この分析により、16時間後にスタスミンが非常に放出されそしてヒト標的細胞への刺激があったことが示された。これは、慢性創傷、例えば糖尿病性足部潰瘍の患者にスタスミンを含有する液体を塗布することが有効であることの裏付けとなる。
2.11 ヒト内皮細胞および造血細胞におけるサイトカインの発現
インターロイキン(IL−6、IL−8)、ケモカイン(MIP−2a)、またはインターフェロン(IFNα)といった免疫応答タンパク質をコードする遺伝子はスタスミンにより誘導されるが、一方、成長因子(例えば、VEGF)は誘導されない(図14a)。
IL−6は、例えばリンパ球およびマクロファージにより分泌され、例えば、感染や炎症の間、免疫応答反応を刺激する。IL−8は、生化学反応の連鎖を介して分泌され、リモデリングおよび創傷閉鎖を支援する細胞移動の重要な仲介物質である。MIPは、活性化マクロファージによって産生される化学誘引タンパク質である。それらは、感染症や炎症に対する免疫応答に重要である。IFNは、病原体または腫瘍細胞に反応し細胞から合成および分泌されるタンパク質である。また、IFNαはNK細胞の強力な活性化因子である。感染は糖尿病性足部潰瘍を有する患者の主要な合併症であり、多くの場合、下肢切断につながる。これらの結果は、スタスミンが自家NK細胞の刺激により患者の感染レベルを減少させる可能性があることを示している。
これらのサイトカインは全て創傷治癒を支援するが、一方、成長因子(例えば、VEGF)量の増加は、細胞成長、増殖、および分化の望ましくない刺激につながることもあり、腫瘍形成の可能性もある。
末梢血単核細胞は、非凝固血液から単離し、さらに高濃度の単球(>90%)中でMACS(登録商標)技術によって分離した。
免疫応答の活性化は、創傷治癒の前提条件である。単球は、炎症に応答し感染部位に急速に移動する能力があり、治癒過程に関与し、ヒトにおける先天性免疫系の重要な成分である。図14bは、バッファーのみ(陰性対照)、50μg/mlのポリ(I:C)(陽性対照)、または25μg/ml組み換えスタスミンによる処理に反応して末梢血単核細胞、単球枯渇白血球、または単離単球により分泌された2つのケモカインIL−8(左パネル)またはMCP−1(右パネル)の量を示す(n=5)。
組換えスタスミンは、単球特異的に作用する。これは、化学誘導性物質の生産を引き起こすことにより免疫細胞および真皮間葉系細胞の浸潤を刺激していることを示唆する。
2.12 組換えスタスミンは、血管新生特性を有する。
細胞を適切なマトリックスに播種した後、PBS(陰性対照)、Dkk−2(陽性対照)、または組み換えスタスミンで処理した(n=3)(図15)。37℃で7時間インキュベーションした後、細胞の画像を撮影して定量化に用いた。活性化HUVECは、血管に類似する管様構造を形成する。これは、顕微鏡画像の分析により定量できる。
組換えスタスミンは、血管新生効果を示す。この効果は、創傷治癒の過程における組換えスタスミンの役割を強化する。なぜなら、慢性創傷では微小血管の新生ができないからである。実験で使用したマトリックスはGeltrexである。
形成した管の数を、各画像および各条件毎に手動でカウントした。5つの異なる画像を、各実験毎に撮影した。
3.まとめ
スタスミンはZuckerラットにおける創傷治癒遅延の速度を上げ、そして全身活性ではない。また、慢性創傷の治癒に重要ないくつかの利点、皮膚細胞増殖の促進、血管新生の誘導、およびナチュラルキラー細胞活性の活性化、を組み合わせるものである。
また、組換えStat1(スタスミン)は、免疫調節および癌治療に重要な特定のサイトカイン遺伝子及びタンパク質の活性化に有用である。
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Claims (15)

  1. 患者における慢性創傷または疾患依存性もしくは薬剤依存性の創傷治癒障害の治療において使用するため、および/あるいは創傷瘢痕を縮小するのに使用するための、スタスミン、前記スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞。
  2. 患者における創傷、好ましくは慢性創傷または疾患依存性もしくは薬剤依存性の創傷治癒障害の治療に使用するための、生体適合性マトリックス、好ましくはコラーゲン、ゼラチン、キトサン、および/またはヒアルロン酸を含む生体適合性マトリックスと共に調合あるいは当該マトリックスに結合されているスタスミン。
  3. 前記スタスミンはヒトスタスミンである、請求項1または2に記載の使用のためのスタスミン、核酸、または細胞。
  4. 前記スタスミンは組み換えスタスミンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用のためのスタスミンまたは細胞。
  5. スタスミンは、配列番号1の1位〜126位のアミノ酸、または配列番号1の1位〜126位のアミノ酸の配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用のためのスタスミン、核酸、または細胞。
  6. 前記スタスミンがヒドロゲル内に調合されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用のためのスタスミン。
  7. 前記患者は、免疫を調節あるいは瘢痕を縮小するために、血管新生の誘導の必要がある、先天性免疫応答の刺激の必要がある、ならびに/あるいはサイトカイン/成長因子およびTIMPの誘導の必要がある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用のためのスタスミン、核酸、または細胞。
  8. 前記疾患依存性の創傷治癒障害が、糖尿病またはメタボリックシンドローム、慢性静脈不全(CVI)、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、癌、自己免疫、特に関節リウマチ、狼瘡およびリベド血管症から選択される自己免疫、造瘻、長期の炎症プロセス、褥瘡から選択される疾患によるものであり、好ましくは前記患者が糖尿病またはメタボリックシンドロームに罹患している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用のためのスタスミン、核酸、または細胞。
  9. 前記薬剤依存性の創傷治癒障害は、コルチコステロイド、ニコチン、抗生物質、免疫抑制剤、抗凝固剤、細胞毒性剤、抗リウマチ薬、血管収縮薬から選択される薬剤を用いた治療によるものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用のためのスタスミン、核酸、または細胞。
  10. 前記創傷が、慢性または非治癒性の糖尿病性足部創傷、潰瘍、特に静脈性潰瘍、褥瘡、または圧迫潰瘍、熱傷、好ましくは第三度熱傷、手術創、事故による創傷、壊死性創傷、感染傷から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用のためのスタスミン、核酸、または細胞。
  11. スタスミン、場合により更に請求項3〜6のいずれか1項で定義したスタスミンであり、生体適合性マトリックス、好ましくはコラーゲン、ゼラチン、キトサンおよび/またはヒアルロン酸を含む生体適合性マトリックス、特にヒドロゲルマトリックス、好ましくはアルギン酸、と共に調合または当該マトリックスに結合されているスタスミンを含む医薬組成物。
  12. 薬剤として使用するための、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 創傷または瘢痕の治療に使用するため、好ましくは更に請求項1、7〜10のいずれか1項で定義した使用のための、請求項11に記載の医薬組成物。
  14. 免疫細胞、好ましくはナチュラルキラー細胞を刺激するため、線維芽細胞を刺激するため、上皮細胞、好ましくは表皮の上皮細胞を刺激するため、または血管新生を刺激するため、特に上記および/または下記の細胞、特に間葉系細胞および/または線維芽細胞におけるIL−8の産生を刺激するため、単球および/またはマクロファージを刺激するために、間葉系細胞、表皮細胞、および/または幹細胞、特に間質幹細胞、の増殖および/または移動を増加または誘導するインビトロの方法であって、
    前記細胞に、スタスミン、前記スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞を投与する工程を含む方法。
  15. 患者における、免疫細胞、好ましくはナチュラルキラー細胞を刺激するため、線維芽細胞を刺激するため、上皮細胞、好ましくは表皮の上皮細胞を刺激するため、または血管新生を刺激するため、特に上記および/または下記の細胞、特に間葉系細胞および/または線維芽細胞におけるIL−8の産生を刺激するため、単球および/またはマクロファージを刺激するために、間葉系細胞および/または幹細胞、特に間質幹細胞、の増殖および/または移動を増加または誘導する方法であって、
    患者に、スタスミン、前記スタスミンをコードする核酸、またはスタスミンを発現する細胞を、好ましくは創傷に対する局所投与により投与する工程を含む方法。
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